説明

情報提供プログラム、情報提供装置および情報提供方法

【課題】被提供者に対して被写体の状態についてわかりやすい情報を提供すること。
【解決手段】読影画像P1は、読影の対象の画像であり、被写体の画像である。所見文書データDtは、読影画像P1に対する所見の文書データである。説明文書データDvは、読影画像P1に対する説明の説明音声データから変換された文書データである。ここで、所見文書データDtにおける医学用語が一般的な用語に変換される。そして、変換後の所見文書データDtの文字列から、説明文書データDvの文字列と一致する一致文字列が抽出される。抽出された一致文字列が、読影画像P1に設けられたキーワードの欄に印字され、患者用読影画像P2として出力される。これにより、一般的な用語を添付した患者用読影画像P2が作成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供プログラム、情報提供装置および情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関では、読影医により読影される患者などの被写体の撮影画像と、読影医が撮影画像を読影した結果である所見を基に、診療科の医師によって診察がおこなわれることがある。なお、以下、読影医が読影する撮影画像を読影画像という。また、読影画像が大量であることから、読影医は、読影画像のうち、診療科の医師が特に注意してみるべき画像を指定する。指定された画像を指定画像とよぶ。医師は、例えば、指定画像と所見とを参考にして診断を行い、診断結果を患者や患者の関係者に説明する。一方、読影画像を、読影医により入力された所見の文字列とともに出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−72649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、インフォームドコンセントなどの観点から、医師は、例えば、患者などに対して、撮影画像の一部(指定画像等)を提供することが考えられる。そして、撮影画像とともに、所見等も提供することで、患者へ検査結果を知らせる。しかしながら、被提供者は、提供された撮影画像から被写体の状態に関する情報を読み取ることができないことがあるという問題があった。例えば、所見は、医師や看護師などの医療関係者を対象として作成されるため、医学用語が用いられることがある。この場合、医学用語に関する知識の乏しい被提供者は、提供された読影画像に含まれる所見の内容を理解できないことがある。
【0005】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、被提供者に対して被写体の状態についてわかりやすい情報を提供することのできる情報提供プログラム、情報提供装置および情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一側面によれば、被写体の画像と、前記画像に対して入力された所見内容を示す文書データと、前記画像に対する音声データが音声認識により変換された説明文書データとを取得し、文字列と該文字列に関連する他の文字列とが関連付けられた変換マスタを参照して、取得された前記文書データに含まれる該文字列を該他の文字列に変換し、変換後の文書データと、前記説明文書データとを比較し、一致する一致文字列を抽出し、抽出された前記一致文字列を、前記画像とともに出力する情報提供プログラム、情報提供装置および情報提供方法が提案される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一側面によれば、被提供者に対して被写体の状態についてわかりやすい情報を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる情報提供例を示す説明図(その1)である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる情報提供例を示す説明図(その2)である。
【図3】図3は、実施の形態1にかかる情報提供例を示す説明図(その3)である。
【図4】図4は、実施の形態1にかかる情報提供例を示す説明図(その4)である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる情報提供システムの一例を示す説明図である。
【図6】図6は、実施の形態1にかかる主治医用端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図7】図7は、変換マスタの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図8−1】図8−1は、電子カルテDBの記憶内容の一例を示す説明図(その1)である。
【図8−2】図8−2は、電子カルテDBの記憶内容の一例を示す説明図(その2)である。
【図9】図9は、所見DBの記憶内容の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、画像データのタグ情報の一例を示す説明図である。
【図11】図11は、主治医用端末のディスプレイの表示例を示す説明図である。
【図12】図12は、主治医用端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、実施の形態1にかかる主治医用端末の情報提供処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、実施の形態2にかかる情報提供例を示す説明図(その1)である。
【図15】図15は、実施の形態2にかかる情報提供例を示す説明図(その2)である。
【図16】図16は、実施の形態2における説明文書データの一例を示す説明図である。
【図17】図17は、実施の形態2にかかる主治医用端末の情報提供処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる情報提供プログラム、情報提供装置および情報提供方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
<実施の形態1>
まず、本発明にかかる情報提供プログラム、情報提供装置および情報提供方法の実施の形態1について説明する。実施の形態1では、読影画像の所見の文字列のうち、医師により平易な表現にて説明がされた文字列を付加した読影画像が出力される。これにより、読影画像が提供される被提供者に対して、被写体の状態についてわかりやすい情報を提供することができる。
【0011】
(情報提供例)
図1〜図4は、実施の形態1にかかる情報提供例を示す説明図である。図1〜図4において、読影画像P1と所見文書データDtと説明文書データDvとから、患者に提供される患者用読影画像P2が作成される。
【0012】
図1を用いて、患者用読影画像P2の出力例について説明する。図1においては、読影画像の所見の単語のうち、医師により平易な表現にて説明された単語が付加された読影画像が出力されるまでの過程について説明する。
【0013】
読影画像P1は、読影の対象の画像であり、被写体である生体の画像である。被写体(生体)は、人であってもよいし、また、人以外の動物であってもよい。読影画像P1は、人の腹部のCT(Computed Tomography)画像であるが、これに限るものではない。例えば、MRI(Magnetic Resonance Imagine)画像や、RI(Radioisotope)画像などであってもよい。また、撮影対象部位は体内に限るものではなく、例えば、皮膚などであってもよい。また、読影画像P1は、平面画像であってもよいし、立体画像であってもよい。また、読影画像P1は、読影医から指定された指定画像である。
【0014】
所見文書データDtは、読影画像P1に対する所見の文書データである。所見とは、例えば、読影画像P1に対する読影医による診断や意見などである。所見文書データDtの文字列には、主に医学用語が用いられている。医学用語は、例えば、「コロン」、「病的意義」、「腹水」、「シャッテン」などである。
【0015】
説明文書データDvは、読影画像P1に対する説明の説明音声データから変換された文書データである。読影画像P1に対する説明とは、例えば、読影画像P1および所見文書データDtを参考にした、主治医から患者に対する口頭による説明である。また、例えば、読影画像P1に対する説明とは、患者の状態や症状などについての説明である。説明文書データDvの文字列には、主に一般的な用語が用いられている。一般的な用語は、患者にとって医学用語よりも平易な用語が好ましい。例えば、一般的な用語とは、「大腸」、「小腸」、「薬」、「食事」などである。
【0016】
ここで、図1における患者用読影画像P2が出力されるまでの過程の一例について説明する。まず、所見文書データDtにおける医学用語が一般的な用語に変換される。例えば、医学用語である「コロン」は、「コロン」と同義である一般的な用語の「大腸」へ変換される。つぎに、変換後の所見文書データDtの文字列から、説明文書データDvの文字列と一致する一致文字列が抽出される。例えば、一致文字列として「大腸」が抽出される。
【0017】
そして、抽出された一致文字列が読影画像P1に設けられたキーワードの欄に添付され、患者用読影画像P2として出力される。このとき、一致文字列が添付される位置は、読影画像P1を含む画像データ中であればよく、読影画像P1上に限るものではない。また、図1の例では、読影画像P1上に一致文字列が添付された患者用読影画像P2が出力されるが、これに限るものではなく、例えば、一致文字列の文書データと読影画像P1の画像データとが、異なるデータとして出力されるものであってもよい。このように、読影画像P1に関する一般的な用語による説明が付加された患者用読影画像P2が出力される。
【0018】
つぎに、図2を用いて、部位の位置情報を含む患者用読影画像P2の出力例について説明する。図2においては、読影画像の所見における部位の名称の単語のうち、医師により平易な表現にて説明された部位の名称の単語が、該部位の位置情報とともに付加された読影画像が出力されるまでの過程について説明する。
【0019】
読影画像P1には、読影画像P1に含まれる被写体の部位の名称と、読影画像P1における部位の位置情報とが関連付けられている。部位の名称には、主に医学用語が用いられる。例えば、部位の名称は、「コロン」や、「ストマック」や、「腎」などである。部位の位置情報とは、例えば、読影画像の所定の位置を原点とした座標による位置情報である。具体的に、例えば、読影画像P1においては、点P0を原点とし、X軸とY軸から成る平面座標が設定されており、「コロン」には、X=X1、Y=Y1の位置情報が関連付けられている。
【0020】
ここで、図2における患者用読影画像P2が出力されるまでの過程の一例について説明する。一致文字列が抽出されるまでの過程については、図1に示した過程と同様である。一致文字列に対応する医学用語の文字列が部位の名称である場合、該名称に対応する部位の位置情報が抽出される。そして、抽出された一致文字列が、位置情報に対応する読影画像P1上の位置を指し示すように添付され、患者用読影画像P2として出力される。このように、読影画像P1に関する一般的な用語による説明と位置情報とが付加された患者用読影画像P2が出力される。
【0021】
つぎに、図3を用いて、医学用語および一般的な用語による所見を含む患者用読影画像P2の出力例について説明する。図3においては、読影画像の所見における部位の名称の単語のうち、医師により平易な表現にて説明された部位の名称の単語と、所見における部位の名称の単語とが、部位の位置情報とともに付加された読影画像が出力されるまでの過程について説明する。
【0022】
ここで、図3における患者用読影画像P2が出力されるまでの過程の一例について説明する。一致文字列が抽出されるまでの過程については、図1に示した過程と同様である。抽出された一致文字列と、一致文字列に対応する所見文書データDtの文字列とが、読影画像P1とともに出力される。このように、医学用語および一般的な用語による所見が付加された患者用読影画像P2が出力され、医学用語と一般的な用語の対応関係を被提供者に理解させることができる。
【0023】
つぎに、図4を用いて、文章による所見を含む患者用読影画像P2の出力例について説明する。図4においては、読影画像P1の所見における文章の文字列のうち、医師により平易な表現にて説明された文章の文字列が付加された読影画像が出力されるまでの過程について説明する。
【0024】
所見文書データDtの文字列には、医学用語が用いられた文章が含まれている。また、説明文書データDvの文字列には、一般的な用語が用いられた文章が含まれている。
【0025】
ここで、図4における患者用読影画像P2が出力されるまでの過程の一例について説明する。まず、所見文書データDt中の文字列の医学用語が一般的な用語に変換される。例えば、医学用語である「コロン」は「コロン」と同義である一般的な用語の「大腸」へ変換される。同様に、医学用語である「腹水」は「腹水」と同義である一般的な用語の「影」へ、医学用語である「病的意義」は「病的意義」と同義である一般的な用語の「異常」へ、それぞれ変換される。
【0026】
つぎに、変換後の所見文書データDtの文字列の文章から、説明文書データDvの文字列の文章と一致する一致文章が抽出される。その際、具体的には、例えば、主語と述語と修飾語とが一致している文章が抽出される。例えば、一致文章として「大腸に影がありますが異常はありません」が抽出される。
【0027】
また、一致文章に対応する医学用語の文字列に部位の名称が含まれる場合、該名称に対応する部位の位置情報が抽出される。そして、抽出された一致文章と位置情報とが、読影画像P1とともに出力される。このように、読影画像P1に関する一般的な用語による説明の文章が付加された患者用読影画像P2が出力される。
【0028】
(情報提供システムの一例)
図5は、実施の形態1にかかる情報提供システムの一例を示す説明図である。図5において、情報提供システム500は、主治医用端末510と、電子カルテサーバ520と、読影医用端末530と、読影医用システム540とが、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク550を介して接続されている。
【0029】
主治医用端末510は、主治医によって操作されるコンピュータである。主治医用端末510は、音声入力装置511と変換マスタ512とを有する。音声入力装置511は、音声を入力し、入力された音声を音声データとして主治医用端末510へ送信する装置である。また、主治医用端末510は、音声データを音声入力装置511から取得した場合、電子カルテサーバ520へ送信する。変換マスタ512とは、医学用語を一般的な用語に変換するために用いられる規則が記憶されているテーブルである。変換マスタ512の詳細は、図7に後述する。
【0030】
電子カルテサーバ520は、電子カルテDB521を有する。電子カルテDB521には、患者ID毎に電子化されたカルテが記憶されている。患者IDとは、患者毎に設定されている識別番号である。また、電子カルテDB521には、主治医用端末510から送信された説明音声データが説明文書データDvに変換されて記憶されている。具体的に、電子カルテサーバ520は、音声認識機能によって説明音声データを説明文書データDvに変換し、電子カルテDB521に記憶する。電子カルテDB521の詳細は、図8−1および図8−2に後述する。
【0031】
読影医用端末530は、主に読影医によって操作されるコンピュータである。読影医とは、主治医からの依頼に応じて撮影された読影画像P1に対する所見を作成する医師である。読影医用端末530は、例えば、読影医から文字列が入力されることにより、所見文書データDtを作成する。
【0032】
読影医用システム540は、読影医用サーバ541と撮影装置542とを有する。読影医用サーバ541は、読影医用システムDB543を有する。撮影装置542には、例えば、CT機器や、MRI機器や、RI機器などがある。この撮影装置542は、例えば、読影医から依頼を受けた放射線技師によって操作される。
【0033】
読影医用システムDB543は、画像DB544と所見DB545とを含む。画像DB544は、撮影装置542によって撮影された画像データが、付加情報(タグ情報)とともに記憶されている。タグ情報は、例えば、画像データに含まれる被写体の部位の名称や、部位の位置情報などである。タグ情報の詳細は、図10に後述する。
【0034】
所見DB545は、読影医用端末530により作成された所見文書データDtがオーダ番号に関連付いて記憶されている。オーダ番号は、主治医によって撮影依頼が作成された際に設定される一意的な番号である。所見DB545の詳細は、図9に後述する。
【0035】
情報提供システム500において、主治医用端末510が患者用読影画像P2の出力要求を受け付けた場合、主治医用端末510は、以下の処理を実行する。まず、主治医用端末510は、読影画像P1の画像データおよび所見文書データDtを、画像DB544および所見DB545から取得する。
【0036】
具体的に、例えば、主治医用端末510は、電子カルテサーバ520に対してオーダ番号とともに画像データおよび所見文書データDtの取得要求を送信する。オーダ番号および取得要求を受信した電子カルテサーバ520は、読影医用サーバ541に対して、オーダ番号および取得要求を出力することにより、読影医用サーバ541から画像データおよび所見文書データDtを取得する。そして、主治医用端末510は、電子カルテサーバ520から画像データおよび所見文書データDtを取得する。
【0037】
つぎに、主治医用端末510は、説明文書データDvを電子カルテDB521から取得する。具体的に、例えば、主治医用端末510は、電子カルテサーバ520に対してオーダ番号とともに説明文書データDvの取得要求を送信することにより、説明文書データDvを電子カルテDB521から取得する。そして、主治医用端末510は、変換マスタ512を参照して、取得した所見文書データDtの文字列内の医学用語を一般的な用語に変換する。例えば、図1〜図4に示した例を挙げると、医学用語である「コロン」を一般的な用語である「大腸」に変換する。
【0038】
その後、主治医用端末510は、一般的な用語に変換された所見文書データDtと説明文書データDvとを比較し、変換された所見文書データDtの文字列のうち、説明文書データDvの文字列と一致する一致文字列を抽出する。その際、変換された所見文書データDtの文字列の文章のうち、説明文書データDvの文字列の文章と一致する一致文章がある場合、主治医用端末510は、一致文章を抽出する。
【0039】
また、その際、主治医用端末510は、説明文書データDvの文字列内の医学用語を一般的な用語に変換し、変換された説明文書データDvと、変換された所見文書データDtとを比較することとしてもよい。
【0040】
そして、主治医用端末510は、一致文字列が部位の名称である場合、画像データに付加されているタグ情報に基づいて、部位に対応する位置情報を抽出する。具体的には、例えば、主治医用端末510は、タグ情報として記憶されている部位の名称に、一致文字列と一致する単語があるか否かを判定し、一致する単語がある場合に、該一致する単語に関連付けられている位置情報を、画像データから抽出する。主治医用端末510は、抽出した一致文字列と位置情報とを、取得した画像データとともに出力する。ここで、出力先としては、例えば、ディスプレイや、プリンタや、メモリなどを挙げることができる。
【0041】
(主治医用端末510のハードウェア構成例)
図6は、実施の形態1にかかる主治医用端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。図6において、主治医用端末510は、CPU(Central Processing Unit)601と、ROM(Read‐Only Memory)602と、RAM(Random Access Memory)603と、磁気ディスクドライブ604と、磁気ディスク605と、光ディスクドライブ606と、光ディスク607と、I/F(Interface)608と、を備えている。また、各構成部はバス600によってそれぞれ接続されている。
【0042】
ここで、CPU601は、主治医用端末510の全体の制御を司る。ROM602は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM603は、CPU601のワークエリアとして使用される。磁気ディスクドライブ604は、CPU601の制御にしたがって磁気ディスク605に対するデータのリード/ライトを制御する。磁気ディスク605は、磁気ディスクドライブ604の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0043】
光ディスクドライブ606は、CPU601の制御にしたがって光ディスク607に対するデータのリード/ライトを制御する。光ディスク607は、光ディスクドライブ606の制御で書き込まれたデータを記憶したり、光ディスク607に記憶されたデータをコンピュータに読み取らせたりする。
【0044】
インターフェース(以下、「I/F」と略する。)608は、通信回線を通じてLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのネットワーク550に接続され、このネットワーク550を介して他の装置に接続される。そして、I/F608は、ネットワーク550と内部のインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。I/F608には、例えばモデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0045】
つぎに、変換マスタ512の記憶内容について説明する。変換マスタ512は、例えば、図6に示した主治医用端末510のROM602と、RAM603、磁気ディスク605、光ディスク607などの記憶装置により実現される。
【0046】
(変換マスタ512の記憶内容)
図7は、変換マスタの記憶内容の一例を示す説明図である。図7において、変換マスタ512は、変換後文字列および変換前文字列のフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、変換特性データ513−1〜513−nがレコードとして記憶されている。
【0047】
ここで、変換後文字列は、一般的な用語の文字列である。変換前文字列は、変換後文字列の同義語であり、主に医学用語である。また、変換前文字列は、変換後文字列の同義語であれば、変換後文字列における言語と異なる言語であってもよい。例えば、変換前文字列に英語やドイツ語の文字列が含まれ、変換後文字列に日本語の文字列が含まれるものであってもよい。主治医用端末510は、変換マスタ512を参照することにより、所見文書データDtや説明文書データDvの文字列に変換前文字列が含まれている場合に、変換前文字列から変換後文字列に変換する。
【0048】
一例として、変換特性データ513−1を例に挙げると、変換後文字列「影」、変換前文字列「覆水」、「影」、「シャッテン」、「Schatten」が記憶されている。すなわち、主治医用端末510は、変換マスタ512を参照することにより、所見文書データDtや説明文書データDvの文字列における「覆水」、「影」、「シャッテン」、「Schatten」を、「影」に変換する。
【0049】
つぎに、図8−1および図8−2を用いて、電子カルテDBの記憶内容について説明する。電子カルテDBは、例えば、電子カルテサーバ520のROM、RAM、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶装置により実現される。
【0050】
(電子カルテDB521の記憶内容)
図8−1および図8−2は、電子カルテDBの記憶内容の一例を示す説明図である。図8−1および図8−2において、電子カルテDB521は、患者ID、氏名、性別、年齢、オーダ番号、撮影内容、所見ポインタ、画像ポインタおよび説明内容のフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、電子カルテ特性データ522−1〜522−mがレコードとして記憶されている。
【0051】
ここで、氏名は、患者の姓名である。性別は、患者の性をあらわす種別である。年齢は、患者が生まれてから経過した年数を示す数値である。撮影内容は、主治医による撮影依頼の内容であり、たとえば、撮影箇所と撮影方法とを含む。撮影箇所とは、患者を撮影した位置や部位を示し、具体的には、例えば、頭部、胸部、腹部、などである。撮影方法とは、撮影方式の種別を示し、例えば、CT、MRIなどである。患者ID、氏名、年齢、オーダ番号、撮影内容は、例えば、主治医用端末510が主治医による撮影要求を受け付けた場合に発行され、主治医用端末510から電子カルテサーバ520が受信する。
【0052】
また、所見ポインタは、オーダ番号に対応した所見文書データDtが格納されている読影医用システムDB543内のアドレスを示している。電子カルテサーバ520は、主治医用端末510から所見文書データDtの取得要求を受信した場合に、所見ポインタを参照して読影医用サーバ541から所見文書データDtを取得する。そして、電子カルテサーバ520は、取得した所見文書データDtを主治医用端末510へ送信する。所見ポインタは、読影医用サーバ541によって所見文書データDtが記憶された際に、読影医用サーバ541から電子カルテサーバ520へ送信され、記憶される。
【0053】
画像ポインタは、オーダ番号に対応した画像データが格納されている読影医用システムDB543内のアドレスを示している。電子カルテサーバ520は、主治医用端末510から画像データの取得要求を受信した場合に、画像ポインタを参照して読影医用サーバ541から画像データを取得する。そして、電子カルテサーバ520は、取得した画像データを主治医用端末510へ送信する。画像ポインタは、読影医用サーバ541によって画像データが記憶された際に、読影医用サーバ541から電子カルテサーバ520へ送信され、記憶される。説明内容は、説明文書データDvの文字列である。
【0054】
一例として、電子カルテ特性データ522−1を例に挙げると、患者ID「000000001」、氏名「トウキョウ キョウコ」、性別「女」、年齢「54」、オーダ番号「#000000001」、撮影内容「腹部、CT」、所見ポインタ「s/2011/2/1/ct/#1」、画像ポインタ「g/2011/2/1/ct/#1」、説明内容「今日は、左胸部と子宮と尿管について、CT撮影を行いました。撮った画像から、左胸部に影が見受けられましたが、無害性であるので、異常ありません。念のため、お薬をお出ししますね。」が記憶されている。
【0055】
つぎに、所見DB545の記憶内容について説明する。所見DB545は、例えば、読影医用サーバ541のROM、RAM、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶装置により実現される。
【0056】
(所見DB545の記憶内容)
図9は、所見DBの記憶内容の一例を示す説明図である。図9において、所見DB545は、オーダ番号および所見内容のフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することで、所見特性データ900−1〜900−lがレコードとして記憶されている。
【0057】
ここで、オーダ番号は、読影医用端末530によって所見内容が書き込まれる際に記憶される。所見内容は、オーダ番号毎に記憶されている所見文書データDtの文字列である。所見内容は、所見DB545が読影医用端末530から所見文書データDtを受信する際に記憶される。
【0058】
一例として、所見特性データ900−1を例に挙げると、オーダ番号「#000000001」、所見内容「1)腎・尿管に異常ありません。2)左胸部に少量の腹水がありますが、病的意義はありません。」が記憶されている。
【0059】
つぎに、画像DB544に記憶される画像データのタグ情報の一例について説明する。画像DB544は、例えば、読影医用サーバ541のROM、RAM、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶装置により実現される。
【0060】
(画像データのタグ情報)
図10は、画像データのタグ情報の一例を示す説明図である。図10において、タグ情報1000は、タグ毎に項目が設定されており、項目に応じた情報が記憶されている。例えば、タグ情報1000には、オーダ番号や、シリーズインスタンスUIDや、検査インスタンスUIDや、検査部位や、名称(位置)などの項目の情報が含まれる。
【0061】
シリーズインスタンスUIDは、画像データ毎に設定された識別番号である。検査インスタンスUIDは、複数の画像データからグループ化されたグループ毎の識別番号である。検査部位とは、撮影対象となる部位であり、例えば、頭部、胸部、腹部などがある。名称(位置)は、画像に含まれる部位の名称と、その位置情報を示している。例えば、名称(位置)がコロン(x43/y53)である場合、画像に設けられた座標においてX=43、Y=53の位置がコロンであることを示している。名称(位置)の情報は、例えば、主治医用端末510によって患者用読影画像P2が出力される際に参照される情報である。また、名称(位置)の情報は、例えば、画像データが作成された際に、色の濃淡などが解析されることにより決定されるものである。
【0062】
(主治医用端末510のディスプレイの表示例)
図11は、主治医用端末のディスプレイの表示例を示す説明図である。図11に示す表示例1100は、主治医用端末510が所見文書データDtを取得した際に主治医用端末510のディスプレイ(不図示)に表示される画像である。
【0063】
表示例1100には、画像ボタン1101が含まれる。主治医用端末510は、例えば、画像ボタン1101にカーソルが合わされた状態にてマウスに対する操作を受け付けることにより、表示中の所見文書データDtに対応するオーダ番号と画像データの取得要求とを電子カルテサーバ520へ出力する。そして、主治医用端末510は、電子カルテサーバ520から取得した画像データをディスプレイに出力する。
【0064】
また、表示例1100には、受付時刻、撮影室、検査名、指示項目、撮影方向、フィルム、分割数などの撮影情報と、所見文字列と、が含まれる。主治医は、例えば、画像データと撮影情報と所見文字列とを参考にして、患者に対して説明を行う。この際に、主治医用端末510は、説明音声データを作成する。
【0065】
(主治医用端末510の機能的構成例)
つぎに、主治医用端末510の機能的構成例について説明する。図12は、主治医用端末の機能的構成を示すブロック図である。主治医用端末510は、取得部1201と、変換部1202と、文字列抽出部1203と、出力部1204と、位置抽出部1205とを含む。この制御部となる機能(取得部1201〜位置抽出部1205)は、具体的には、例えば、図6に示したROM602、RAM603、磁気ディスク605、光ディスク607などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU601に実行させることにより、または、I/F608により、その機能を実現する。
【0066】
取得部1201は、被写体の画像と、画像に対する所見の文書データと、画像に対する音声データから変換された説明文書データDvとを取得する。被写体の画像とは、例えば、読影画像P1である。画像に対する所見の文書データとは、例えば、上述した所見文書データDtである。また、画像に対する音声データとは、例えば、上述した説明音声データである。例えば、取得部1201は、図1〜図4に上述した読影画像P1と所見文書データDtと説明文書データDvとを取得する。
【0067】
具体的には、例えば、取得部1201が、被写体の画像と、画像に対する所見の文書データと、画像に対する音声データから変換された説明文書データDvとが登録されている端末に対して、各データの取得要求を送信することで、各データを取得する。実施の形態1においては、取得部1201が、電子カルテサーバ520へ取得要求を送信することにより、被写体の画像と、画像に対する所見の文書データと、画像に対する音声データから変換された説明文書データDvとを取得する。
【0068】
また、取得部1201は、電子カルテサーバ520によって音声データから変換された説明文書データDvを取得するがこれに限るものではない。例えば、取得部1201は、読影医用端末530や読影医用サーバ541によって音声データから変換された説明文書データDvを取得することとしてもよい。また、例えば、取得部1201は、主治医用端末510によって音声データから変換された説明文書データDvを取得することとしてもよい。
【0069】
変換部1202は、文字列と該文字列に関連する他の文字列とが関連付けられた変換マスタを参照して、取得部1201によって取得された文書データに含まれる該文字列を該他の文字列に変換する。文字列とは、実施の形態1における医学用語である。また、該文字列に関連する他の文字列とは、実施の形態1における医学用語の同義語の一般的な用語である。また、文字列と該文字列に関連する他の文字列とは、異なる言語であってもよい。変換マスタとは、文字列と該文字列に関連する他の文字列が関連付けられたマスタであり、例えば、上述した変換マスタ512である。例えば、変換部1202は、図1〜図3に上述したように、医学用語の「コロン」を翻訳語の「大腸」に変換する。また、例えば、変換部1202は、図4に上述したように医学用語の「コロン」を翻訳語の「大腸」に、医学用語の「腹水」を翻訳語の「影」に、医学用語の「病的意義」を翻訳語の「異常」に、それぞれ変換する。
【0070】
文字列抽出部1203は、変換部1202による変換後の所見の文書データの文字列のうち、説明文書データDvの文字列に一致する一致文字列を抽出する。具体的には、例えば、文字列抽出部1203が、所見文書データDtの文字列と説明文書データDvの文字列とを比較することにより、一致文字列を抽出する。例えば、文字列抽出部1203は、図1〜図3に上述したように、「大腸」を一致文字列として抽出する。
【0071】
出力部1204は、文字列抽出部1203によって抽出された一致文字列を、画像とともに出力する。具体的に、例えば、出力部1204が、プリンタや、記憶媒体や、ディスプレイなどに、一致文字列と読影画像P1とを出力する。すなわち、出力部1204が、患者用読影画像P2を出力する。例えば、出力部1204は、図1〜図4に上述したように、一致文字列を読影画像P1とともに、患者用読影画像P2として出力する。
【0072】
また、出力された患者用読影画像P2は患者に提供されるものとするが、これに限るものではなく、例えば、患者の関係者などに提供されることとしてもよい。また、読影画像P1の被写体がペットである場合、患者用読影画像P2が被写体のペットの飼い主などに提供されるものであってもよい。
【0073】
また、取得部1201は、被写体の画像と、画像に含まれる被写体の部位の名称と、画像における部位の位置情報とが関連付けられた画像データと、画像に対する所見の文書データと、画像に対する音声データから変換された説明文書データDvとを取得することとしてもよい。画像データは、実施の形態1における画像およびタグ情報である。例えば、取得部1201は、図2〜図4に上述した読影画像P1と所見文書データDtと説明文書データDvと位置情報とを取得する。
【0074】
位置抽出部1205は、変換部1202による変換前の所見の文書データと画像データとに基づいて、一致文字列に対応する位置情報を抽出する。具体的には、例えば、位置抽出部1205が、変換前の所見の文書データの文字列に含まれる部位の名称に応じた位置情報を、一致文字列に対応する位置情報として抽出する。例えば、位置抽出部1205は、図2〜図4に上述した一文字列に対応する位置情報としてX=X1、Y=Y1を抽出する。
【0075】
出力部1204は、一致文字列に対応する位置情報と一致文字列とを、画像とともに出力する。具体的に、例えば、出力部1204が、画像上の部位の位置を指し示すように一致文字情報を表示するよう出力する。例えば、出力部1204は、図2〜図4に上述したように、X=X1、Y=Y1の位置情報と一文字列とを出力する。また、出力部1204が、一致文字列と位置情報とを文字列として表記するよう画像とともに出力することとしてもよい。
【0076】
また、文字列抽出部1203は、変換部1202によって翻訳語に変換された所見の文書データの文字列のうち、説明文書データDvの文字列に一致する文章の文字列を抽出する。具体的に、例えば、文字列抽出部1203が、主語と述語と修飾語とが一致する文字列を抽出する。例えば、文字列抽出部1203は、図4に上述したように、「大腸に影がありますが異常はありません。」を一致文字列として抽出する。そして、出力部1204は、文字列抽出部1203によって抽出された文章の文字列を、取得部1201によって取得された画像とともに出力する。例えば、出力部1204は、図4に上述したように、「大腸に影がありますが異常はありません。」を読影画像P1とともに出力する。
【0077】
また、主治医用端末510が各部(取得部1201〜位置抽出部1205)を有することとしたが、これに限るものではない。例えば、電子カルテサーバ520や、読影医用端末530や、読影医用サーバ541が各部を有するものであってもよい。
【0078】
(主治医用端末510のファイル情報提供処理手順)
図13は、実施の形態1にかかる主治医用端末の情報提供処理手順の一例を示すフローチャートである。情報提供処理は、CPU601によって実行される処理である。情報提供処理において、主治医用端末510は、まず、患者用読影画像P2の出力要求をユーザから受け付けたか否かを判定し(ステップS1301)、受け付けない場合(ステップS1301:No)、受け付けるまで待機する。
【0079】
ステップS1301において、患者用読影画像P2の出力要求をユーザから受け付けた場合(ステップS1301:Yes)、取得部1201により、読影画像P1の画像データを取得する(ステップS1302)。そして、取得部1201により、所見文書データDtを取得する(ステップS1303)。その後、変換部1202により、変換マスタ512を参照して、取得した所見文書データDtの文字列の医学用語を、一般的な用語に変換する(ステップS1304)。
【0080】
その後、取得部1201により、説明文書データDvを取得し(ステップS1305)、変換部1202により、変換マスタ512を参照して、説明文書データDvの文字列を、一般的な用語に変換する(ステップS1306)。そして、文字列抽出部1203により、ステップS1304において変換された所見文書データDtの文字列と、ステップS1306において変換された説明文書データDvの文字列とを比較する(ステップS1307)。
【0081】
そして、文字列抽出部1203により、ステップS1304において変換された所見文書データDtの文字列と、ステップS1306において変換された説明文書データDvの文字列とに、一致する文章があるか否かを判定する(ステップS1308)。一致する文章がある場合(ステップS1308:Yes)、文字列抽出部1203により、一致する文章を抽出する(ステップS1309)。
【0082】
その後、文字列抽出部1203により、ステップS1304において変換された所見文書データDtの文字列と、ステップS1306において変換された説明文書データDvの文字列との一致する単語を抽出する(ステップS1310)。その際、ステップS1309を経由してステップS1310を行う場合、文字列抽出部1203により、文章として抽出されていない文字列から、一致する単語を抽出する。また、ステップS1308において、一致する文章がないと判定された場合(ステップS1308:No)、主治医用端末510は、ステップS1310へ移行する。
【0083】
その後、位置抽出部1205により、抽出した文字列に対する位置情報を抽出する(ステップS1311)。そして、出力部1204により、抽出した文字列と位置情報とを、画像データとともにプリンタやメモリへ出力し、すなわち、患者用読影画像P2を出力し(ステップS1312)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0084】
以上説明した実施の形態1にかかる主治医用端末510によれば、所見文書データDtの文字列の医学用語から変換された一般的な用語のうち、説明文書データDvと一致する一致文字列を読影画像P1とともに出力することができる。すなわち、所見文書データDtの文字列のうち、医師により平易な表現にて説明がされた文字列を付加した患者用読影画像P2を出力することができる。これにより、患者用読影画像P2が提供された被提供者は、医学用語に対する知識に乏しくても、患者用読影画像P2に含まれる情報を容易に読み取ることができる。
【0085】
ここで、所見データを全て患者に提供する場合は、患者に提供される情報量が膨大になってしまう。通常、読影医が入力する所見は、さまざまな読影結果が記載されるためである。また、説明文書データを全て患者に提供する場合は、提供される情報量が膨大になるとともに、説明文書データには質疑応答や他のトピックについての音声も反映される。説明文書データが膨大になると、患者にとっては、どの部分が重要であるのかの判断が難しい情報となる。
【0086】
一方、本実施例では、変換された所見文書データと説明文書データとを用い、両者に共通する部分を特定することができる。つまり、共通する部分は、所見にも説明音声にも用いられた部分であって、重要であると推測される部分を患者へ提供することができる。よって、画像と共に、両者に共通する文字列を提供することで、検査結果に対する患者の理解を助けることができる。
【0087】
また、主治医用端末510によれば、一致文字列と該一致文字列に含まれる部位の位置情報とを読影画像P1とともに出力することができる。すなわち、主治医用端末510は、医師により平易な表現にて説明がされた部位と、該部位の位置情報が付加された患者用読影画像P2を出力することができる。これにより、被提供者は、医学用語に対する知識に乏しくても、部位の名称と位置を容易に理解することができる。
【0088】
また、主治医用端末510によれば、所見文書データDtにおける医学用語から変換された一般的な用語を用いた文章の文字列のうち、説明文書データDvと一致する文章の一致文字列を読影画像P1とともに出力することとした。すなわち、主治医用端末510は、医師により平易な表現にて説明がされた文章の文字列を付加した患者用読影画像P2を出力することができる。これにより、被提供者は、医学用語に対する知識に乏しくても、被写体の状態の詳細についての理解を促進することができる。
【0089】
また、実施の形態1において、主治医用端末510は、所見文書データDtと説明文書データDvとで文章の一致文字列がある場合、文章の一致文字列を抽出した後に、文章の一致文字列以外の単語の一致文字列を抽出するものとするが、これに限るものではない。例えば、主治医用端末510は、所見文書データDtと説明文書データDvとで文章の一致文字列がある場合、単語の一致文字列を抽出しないものであってもよい。また、主治医用端末510は、所見文書データDtと説明文書データDvとで文章の一致文字列がない場合に、単語の一致文字列を抽出するものであってもよい。
【0090】
また、実施の形態1において、主治医用端末510は、説明文書データDvの文字列と比較する文字列を、所見文書データDtの文字列のみとしたが、これに限るものではない。例えば、所見文書データDtの文字列と、読影画像P1を撮影した際の検査情報の文字列との医学用語を翻訳語に変換し、変換後の検査情報の文字列のうち、説明文書データDvの文字列に一致する一致文字列を読影画像P1とともに出力することとしてもよい。検査情報とは、読影画像P1の撮影時に設定される情報であり、例えば、検査名や、検査場所や、撮影方法などである。
【0091】
<実施の形態2>
つぎに、実施の形態2について説明する。実施の形態1では、所見の文字列のうち、平易な表現にて説明された文字列を付加した患者用読影画像P2が出力されることとしたが、実施の形態2では、付加された文字列に対応する説明音声データの再生時刻を更に付加した患者用読影画像P2が出力される。また、実施の形態1では、患者用読影画像P2のみを患者や患者の関係者に提供することとしたが、実施の形態2では、患者用読影画像P2および説明音声データを、患者や患者の関係者に提供する。これにより、説明音声データのうち患者用読影画像P2に該当する箇所を、探す手間をかけることなく再生することができる。なお、実施の形態1で説明した箇所と同一箇所については説明を省略する。
【0092】
図14および図15は、実施の形態2にかかる情報提供例を示す説明図である。図14および図15において、説明文書データDvは、文字列毎に説明音声データの再生時刻の情報が関連付けられている。
【0093】
図14においては、読影画像P1の所見における部位の名称の単語のうち、医師により平易な表現にて説明された部位の名称の単語が、説明音声データの再生時刻の情報とともに付加された患者用読影画像P2が出力されるまでの過程について説明する。図14において、読影画像P1には、読影画像P1に含まれる被写体の部位の名称と、読影画像P1における部位の位置情報とが関係付けられている。ここで、図14における患者用読影画像P2が出力されるまでの過程の一例について説明する。一致文字列が抽出されるまでの過程については、図1に示した過程と同様である。
【0094】
まず、抽出された一致文字列に対応する再生時刻が抽出される。そして、抽出された一致文字列と再生時刻と読影画像P1とが、患者用読影画像P2として出力される。このように、読影画像P1に関する一般的な用語による説明が、説明音声データの再生時刻とともに付加された患者用読影画像P2が出力される。
【0095】
この再生時刻の情報が付加された患者用読影画像P2は、例えば、説明音声データとともに主治医から被提供者へ提供される。これにより、被提供者は、説明音声データにおける患者用読影画像P2に関する説明がおこなわれる箇所を、探すことなく、容易に再生することができる。したがって、被提供者は、説明音声データおよび患者用読影画像P2による相乗的な被写体の状態への理解を、容易に深めることができる。
【0096】
また、図15に示すように、抽出された一致文字列に対応する医学用語と一般的な用語と再生時刻とが、読影画像P1とともに出力されることとしてもよい。その場合、患者用読影画像P2の被提供者は、説明音声データにおける患者用読影画像P2に関する説明がおこなわれる箇所を探すことなく、容易に再生することができる。したがって、被提供者は、説明音声データおよび患者用読影画像P2により、被写体の状態と、医学用語と一般的な用語の対応関係とを容易に深めることができる。
【0097】
ここで、実施の形態2において、電子カルテDB521が説明音声データを記憶することとする。そして、患者用読影画像P2の出力要求を主治医用端末510が取得した場合に、主治医用端末510が電子カルテサーバ520から説明音声データを受信し、音声認識機能を用いて、説明音声データから説明文書データDvへ変換することとする。その際、具体的には、主治医用端末510は、説明音声データの再生時刻の情報を付加した説明文書データDvを作成する。図16を用いて、再生時刻の情報が付加された説明文書データの一例について説明する。
【0098】
(説明文書データDvの一例)
図16は、実施の形態2における説明文書データの一例を示す説明図である。図16に示す説明文書データDvは、再生時刻毎の文字列が含まれる。
【0099】
例えば、説明文書データDvには、0分0秒〜0分5秒の再生時刻に対する文字列として、「今日は、左胸部と子宮と尿管について、」が記憶されている。また、同様に、説明文書データDvには、0分5秒〜0分10秒の再生時刻に対する文字列として、「CT撮影を行いました。撮った画像から、左胸部に影が」が記憶されている。
【0100】
(主治医用端末510の情報提供処理手順)
図17は、実施の形態2にかかる主治医用端末の情報提供処理手順の一例を示すフローチャートである。情報提供処理は、CPU601によって実行される処理である。情報提供処理において、主治医用端末510は、まず、患者用読影画像P2の出力要求をユーザから受け付けたか否かを判定し(ステップS1701)、受け付けない場合(ステップS1701:No)、受け付けるまで待機する。
【0101】
ステップS1701において、患者用読影画像P2の出力要求をユーザから受け付けた場合(ステップS1701:Yes)、取得部1201により、読影画像P1の画像データを取得する(ステップS1702)。そして、取得部1201により、所見文書データDtを取得する(ステップS1703)。その後、変換部1202により、変換マスタ512を参照して、取得した所見文書データDtの文字列の医学用語を、一般的な用語に変換する(ステップS1704)。
【0102】
その後、取得部1201により、説明音声データを取得する(ステップS1705)。そして、主治医用端末510は、取得した説明音声データを説明文書データDvへ変換する(ステップS1706)。そして、変換部1202により、変換マスタ512を参照して、説明文書データDvの文字列を、一般的な用語に変換する(ステップS1707)。そして、文字列抽出部1203により、ステップS1704において変換された所見文書データDtの文字列と、ステップS1707において変換された説明文書データDvの文字列とを比較する(ステップS1708)。
【0103】
そして、文字列抽出部1203により、ステップS1704において変換された所見文書データDtの文字列と、ステップS1707において変換された説明文書データDvの文字列とに、一致する文章があるか否かを判定する(ステップS1709)。一致する文章がある場合(ステップS1709:Yes)、文字列抽出部1203により、一致する文章を抽出する(ステップS1710)。
【0104】
その後、文字列抽出部1203により、ステップS1704において変換された所見文書データDtの文字列と、ステップS1707において変換された説明文書データDvの文字列との一致する単語を抽出する(ステップS1711)。その際、ステップS1710を経由してステップS1711を行う場合、文字列抽出部1203により、文章として抽出されていない文字列から、一致する単語を抽出する。また、ステップS1709において、一致する文章がないと判定された場合(ステップS1709:No)、主治医用端末510は、ステップS1711へ移行する。
【0105】
その後、位置抽出部1205により、抽出した文字列に対する位置情報を抽出する(ステップS1712)。そして、出力部1204により、抽出した文字列と位置情報とを、画像データとともにプリンタやメモリへ出力し、すなわち、患者用読影画像P2を出力し(ステップS1713)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0106】
以上説明した実施の形態2にかかる主治医用端末510によれば、一致文字列と説明音声データの再生時刻とを、読影画像P1とともに、患者用読影画像P2として出力することができる。この患者用読影画像P2と説明音声データとが提供された患者は、説明音声データのうち一致文字列に関する説明箇所を、手間をかけることなく容易に再生することができる。
【0107】
これにより、被提供者は、医学用語に対する知識に乏しくても、患者用読影画像P2に含まれる情報を容易に読み取ることができるとともに、説明音声データのうち患者用読影画像P2に該当する箇所を、探す手間をかけることなく再生することができる。したがって、主治医用端末510によれば、被提供者による被写体の状態の理解の短縮化を図ることができる。
【0108】
また、実施の形態2において、説明文書データDvには、5秒毎の再生時刻に文字列が含まれることとしたが、これに限るものではない。例えば、説明文書データDvには、1秒毎の再生時刻に文字列が含まれることとしてもよいし、単語毎に個別の再生時刻が対応付けられるものとしてもよい。具体的には、説明文書データDvには、「CT撮影」の文字列に対応する再生時刻として「12分23秒」が含まれることとしてもよい。また、一つの文字列が複数回ある場合、複数の再生時刻が対応付けられることとしてもよい。
【0109】
なお、実施の形態で説明した情報提供方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本情報提供プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本情報提供プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0110】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0111】
(付記1)被写体の画像と、前記画像に対して入力された所見内容を示す文書データと、前記画像に対する音声データが音声認識により変換された説明文書データとを取得する取得処理と、
文字列と該文字列に関連する他の文字列とが関連付けられた変換マスタを参照して、前記取得処理によって取得された前記文書データに含まれる該文字列を該他の文字列に変換する変換処理と、
前記変換処理による変換後の文書データと、前記説明文書データとを比較し、一致する一致文字列を抽出する文字列抽出処理と、
前記文字列抽出処理によって抽出された前記一致文字列を、前記画像とともに出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【0112】
(付記2)前記取得処理において、前記被写体の画像とともに、前記画像に含まれる前記被写体の部位の名称と、前記画像における前記部位の位置情報とが関連付けられた画像データを取得し、
前記コンピュータに、さらに、
前記文書データと前記画像データとに基づいて、前記一致文字列に対応する前記位置情報を抽出する位置抽出処理と、
前記一致文字列に対応する前記位置情報と前記一致文字列とを、前記画像とともに出力する出力処理と、
を実行させることを特徴とする付記1に記載の情報提供プログラム。
【0113】
(付記3)前記文字列抽出処理は、前記変換処理によって前記他の文字列に変換された他の文書データと、前記説明文書データとを比較し、前記一致文字列として文章を抽出し、
前記出力処理は、前記文字列抽出処理によって抽出された前記文章を、前記取得処理によって取得された前記画像とともに出力する
ことを特徴とする付記1または2に記載の情報提供プログラム。
【0114】
(付記4)前記出力処理は、前記文字列抽出処理によって抽出された前記一致文字列を前記画像とともに印刷する命令を、プリンタへ出力する
ことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の情報提供プログラム。
【0115】
(付記5)前記出力処理は、前記文字列抽出処理によって抽出された文字列を前記画像とともに記憶媒体へ記憶する
ことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の情報提供プログラム。
【0116】
(付記6)被写体の画像と、前記画像に対して入力された所見内容を示す文書データと、前記画像に対する音声データが音声認識により変換された説明文書データとを取得する取得部と、
文字列と該文字列に関連する他の文字列とが関連付けられた変換マスタを参照して、前記取得部によって取得された前記文書データに含まれる該文字列を該他の文字列に変換する変換部と、
前記変換部による変換後の文書データと、前記説明文書データとを比較し、一致する一致文字列を抽出する文字列抽出部と、
前記文字列抽出部によって抽出された前記一致文字列を、前記画像とともに出力する出力部と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【0117】
(付記7)文字列と該文字列に関連する他の文字列とが関連付けられた変換マスタを記憶するコンピュータが、
被写体の画像と、前記画像に対して入力された所見内容を示す文書データと、前記画像に対する音声データが音声認識により変換された説明文書データとを取得する取得処理と、
前記変換マスタを参照して、前記取得処理によって取得された前記文書データに含まれる該文字列を該他の文字列に変換する変換処理と、
前記変換処理による変換後の文書データと、前記説明文書データとを比較し、一致する一致文字列を抽出する文字列抽出処理と、
前記文字列抽出処理によって抽出された前記一致文字列を、前記画像とともに出力する出力処理と、
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【符号の説明】
【0118】
510 主治医用端末
511 音声入力装置
512 変換マスタ
520 電子カルテサーバ
521 電子カルテDB
530 読影医用端末
540 読影医用システム
541 読影医用サーバ
542 撮影装置
543 読影医用システムDB
1201 取得部
1202 変換部
1203 文字列抽出部
1204 出力部
1205 位置抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の画像と、前記画像に対して入力された所見内容を示す文書データと、前記画像に対する音声データが音声認識により変換された説明文書データとを取得する取得処理と、
文字列と該文字列に関連する他の文字列とが関連付けられた変換マスタを参照して、前記取得処理によって取得された前記文書データに含まれる該文字列を該他の文字列に変換する変換処理と、
前記変換処理による変換後の文書データと、前記説明文書データとを比較し、一致する一致文字列を抽出する文字列抽出処理と、
前記文字列抽出処理によって抽出された前記一致文字列を、前記画像とともに出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項2】
前記取得処理において、前記被写体の画像とともに、前記画像に含まれる前記被写体の部位の名称と、前記画像における前記部位の位置情報とが関連付けられた画像データを取得し、
前記コンピュータに、さらに、
前記文書データと前記画像データとに基づいて、前記一致文字列に対応する前記位置情報を抽出する位置抽出処理と、
前記一致文字列に対応する前記位置情報と前記一致文字列とを、前記画像とともに出力する出力処理と、
を実行させることを特徴とする請求項1に記載の情報提供プログラム。
【請求項3】
前記文字列抽出処理は、前記変換処理によって前記他の文字列に変換された他の文書データと、前記説明文書データとを比較し、前記一致文字列として文章を抽出し、
前記出力処理は、前記文字列抽出処理によって抽出された前記文章を、前記取得処理によって取得された前記画像とともに出力する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報提供プログラム。
【請求項4】
被写体の画像と、前記画像に対して入力された所見内容を示す文書データと、前記画像に対する音声データが音声認識により変換された説明文書データとを取得する取得部と、
文字列と該文字列に関連する他の文字列とが関連付けられた変換マスタを参照して、前記取得部によって取得された前記文書データに含まれる該文字列を該他の文字列に変換する変換部と、
前記変換部による変換後の文書データと、前記説明文書データとを比較し、一致する一致文字列を抽出する文字列抽出部と、
前記文字列抽出部によって抽出された前記一致文字列を、前記画像とともに出力する出力部と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
文字列と該文字列に関連する他の文字列とが関連付けられた変換マスタを記憶するコンピュータが、
被写体の画像と、前記画像に対して入力された所見内容を示す文書データと、前記画像に対する音声データが音声認識により変換された説明文書データとを取得する取得処理と、
前記変換マスタを参照して、前記取得処理によって取得された前記文書データに含まれる該文字列を該他の文字列に変換する変換処理と、
前記変換処理による変換後の文書データと、前記説明文書データとを比較し、一致する一致文字列を抽出する文字列抽出処理と、
前記文字列抽出処理によって抽出された前記一致文字列を、前記画像とともに出力する出力処理と、
を実行することを特徴とする情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−194928(P2012−194928A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59936(P2011−59936)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】