説明

情報提供媒体および情報提供システム

【課題】 人間にもわかりやすいデザインでコードイメージを表現し、そのコードイメージから食の安全や安心に対する情報を得ることができる情報提供媒体および情報提供システムを提供する。
【解決手段】 この情報提供媒体31は、情報通信端末32により撮像されるコードを有し、情報通信端末32がコードを使用して複数の情報を格納するデータベース30から表示すべき情報を取得することを可能にする。情報提供媒体31は、複数色のブロックの組み合わせからなり、表示すべき情報を識別するための識別コードと、表示すべき情報の内容に関連した絵もしくは写真または映像とを融合させたグラフィックコードが印刷されたラベルもしくは紙またはグラフィックコードを表示する表示デバイスから選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフィックコードを有する情報提供媒体、グラフィックコードを撮像し、そのグラフィックコードに関連する情報を提供する情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食の安全や安心に対する消費者の意識が高まっており、消費者の信頼を確保するために、食材の移動を把握するトレーサビリティシステムが導入されている。
【0003】
従来のトレーサビリティシステムは、食材の容器等に明記された英数字、バーコードや二次元コード等の識別コードを読み取り、読み取った識別コードに基づき、インターネットを介してその食材に関する諸情報を保持するサーバ等へアクセスすることにより、その諸情報を得ることができるようにされている(例えば、特許文献1および2参照)。また、他のトレーサビリティシステムでは、食材の容器等に取り付けられ、その食材に関する諸情報が書き込まれたICタグや、その諸情報が記録され、電波を使って管理システムと情報を送受信する能力を有するRFIDタグ等を備えており、インターネットを介してその食材に関する諸情報を開示することにより、その諸情報を得ることができるようにされている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
バーコードは、太さの異なる線と空間との組み合わせによって情報をコード化したシンボルであるが、その情報量が数十バイトと小さく、漢字全角かな、バイナリーデータ等の2バイトコードを使用することができない等の制限がある。例えば、鶏卵ラベルでは、流通コードとして数字13桁、またはJAN(Japanese Article Number)コードが使用されているが、これでは、国名、メーカ名、アイテム名しかトレースすることができない。
【0005】
二次元コードは、縦横2方向にデータを持たせたコードで、バーコードと比較すると省スペースで情報量が多く、バイナリーで最大2953バイトの情報をコード化することが可能である。しかしながら、二次元コードは、単色で表現されるため、そこにコードがあることを人間に容易に意識させることはできず、また、意匠性が重視されるラベルには不向きである。
【0006】
ICタグ等は、データを記憶するメモリを備えるため、多くの情報を保持することができる。しかしながら、取引単価が低い鶏卵業界等では、数十円の負担が費用対効果の側面から合わないため、ICタグ等を採用することは困難である。
【0007】
そこで、バーコードや二次元コードに代えてカラーのコードイメージを用いることが提案されている(例えば、特許文献4〜7参照)。標準的なカラーのコードイメージは、赤、青、緑、黒の4色で、縦5行、横5列の正方形からなるブロックを組み合わせて情報をコード化したものであり、ブロックの組み合わせにより、多くの種類のパターンを表現することができる。カラーのコードイメージは、目立つものであり、そこにコードがあることを容易に意識させることができるものである。
【0008】
例えば、特許文献4および5では、各文字および数字を所定の色彩または濃淡で各々マッピングする所定のコード変換表によりコード情報に含まれる1つ以上の文字または数字を変換して生成される形状、色彩、パターンまたはこれらの組み合わせからなるカラーのコードイメージを獲得し、デコーディングアルゴリズムでデコーディングしてコード情報を抽出し、コード情報に含まれるアドレス情報により目的情報を得ている。
【0009】
また、特許文献6では、カラーのコードイメージからデータ領域とパリティ領域を区分して識別し、データ領域およびパリティ領域に表現されたイメージから色彩や濃淡を認識し、データ領域のイメージから認識された色彩や濃淡によって第1パリティ値を計算し、パリティ領域のイメージから認識された色彩や濃淡によって第2パリティ値を計算し、それらのパリティ値を比較し、パリティエラーがなければ、データ領域のイメージから認識された色彩や濃淡によってデコーディングして数字、記号を含む認識できる文字よりなる目的データを抽出している。
【0010】
また、特許文献7では、カラーのコードイメージを獲得し、そのカラーのコードイメージに含まれる複数のブロックの各々に表示されたカラーまたは濃淡を認識し、各ブロックに属するピクセルのカラーまたは濃淡のうち最も多い分布を有するカラーまたは濃淡をそのブロックのカラーまたは濃淡として認識し、各ブロックに対して認識されたカラーまたは濃淡からそれに対応する文字、数字または記号に変換してコード情報を生成している。
【特許文献1】特開2004−344040号公報
【特許文献2】特開2006−018420号公報
【特許文献3】特開2006−055108号公報
【特許文献4】特開2001−273441号公報
【特許文献5】特開2003−006200号公報
【特許文献6】特開2001−319200号公報
【特許文献7】特開2005−509223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のカラーのコードイメージは、色で目立つことにより、そこにコードがあることを人間に意識させることができるが、そのコードイメージだけでは、情報の分類やその意味がどのようなものかを容易に理解することはできない。また、カラーのコードイメージは、各ブロックの色を識別しなければならないため、多少のデザインを施すことができるのみである。
【0012】
消費者は、食の安全や安心に対する情報を直感的に理解できることを望んでおり、機械のみならず、人間にもわかりやすいデザインでコードイメージを表現し、そのコードイメージから食の安全や安心に対する情報を得ることができるシステムの提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、上記課題に鑑みて鋭意検討を加えてきたところ、5行×5列に配列する正方形のブロックからなる、赤、青、緑、黒の4色を用いて作成されるカラーのイメージコードの各ブロックの色が、各ブロック内の予め指定した範囲の色から認識でき、また、二次元バーコードやQRコード(登録商標)等の二次元コードが、各ブロック内の濃淡値から認識できることを見出し、色や濃淡値の認識に影響を与えないスペースに絵や写真等を配置することが可能であることから、カラーのイメージコードや二次元コード等の識別コードとピクトグラムや写真等とを融合させた人間および機械可読なグラフィックシンボルであるグラフィックコードを作成できることを見出した。このグラフィックコードを提供することにより、人間が見るだけで、提供される情報がどのような種類のものであるか直感的に理解することができ、また、各ブロック内の予め指定した範囲の色または各ブロック内の濃淡値を決定し、これをデコードに利用して、カラーまたはモノクロの識別コードを容易に抽出することができ、さらには、その識別コードを使用して、食の安全や安心に対する情報を得ることができる。
【0014】
ここで、ピクトグラムとは、非常口、交通標識、トイレ、地図等の案内記号に人間が理解しやすいコードとして日常的に使用されているもので、文法の理解を必要とせずに誰もが一目で分かる絵文字で実現されるものである。
【0015】
このグラフィックコードを用いてサービスを提供することにより、消費者の支持拡大を図ることができ、同時に事業者のインセンティブを向上させることができ、消費拡大と商品価値の向上に導くことができる。本発明は、これらのことを見出すことによりなされたものであり、上記課題は、本発明の情報提供媒体および情報提供システムを提供することにより解決することができる。
【0016】
本発明によれば、情報通信端末により撮像されるコードを有し、情報通信端末がコードを使用して複数の情報を格納するデータベースから表示すべき情報を取得することを可能にする情報提供媒体であって、複数色のブロックの組み合わせ、または一定の濃淡値を有する複数の線からなり、表示すべき情報を識別するための識別コードと、表示すべき情報の内容に関連した絵もしくは写真または映像とを融合させたグラフィックコードが印刷されたラベルもしくは紙またはグラフィックコードを表示する表示デバイスから選択される、情報提供媒体が提供できる。
【0017】
ここで、表示すべき情報は、例えば、食の安全や安心に対する情報、その情報に付加価値をつけた付加価値情報とすることができる。具体的には、トレーサビリティであれば、加工、製造、流通等の過程を表示する写真や映像、生産地、出荷日、生産者名、製造日等を含むことができる。付加価値情報としては、その食材を使用した料理の種類、その作り方を含むことができる。表示すべき情報の内容に関連した絵としては、上記のピクトグラムを挙げることができる。また、上記の紙としては、広告紙や包装紙を挙げることができる。
【0018】
グラフィックコードは、情報通信端末に識別コードを抽出させるために、各ブロックに対応するグラフィックコードの各領域内の指定範囲の色が、その識別コードを構成する各ブロックの色に対応するものとされる。このような構成にすることで、情報通信端末が識別コードを抽出し、その識別コードを基に、データベースから対応する情報を取得することができる。
【0019】
また、本発明によれば、複数の情報を格納するデータベースと、
複数色のブロックの組み合わせ、または一定の濃淡値を有する複数の線からなり、表示すべき情報を識別するための識別コードと、表示すべき情報の内容に関連した絵もしくは写真または映像とを融合させたグラフィックコードが印刷されたラベルもしくは紙またはグラフィックコードを表示する表示デバイスから選択される情報提供媒体と、
グラフィックコードを撮像するための撮像手段と、グラフィックコードの各ブロックに対応するグラフィックコードの各領域内の指定範囲の色または濃淡値から複数の線を識別し、各領域につき識別された色の配列または識別された各線の配置から識別コードを抽出するための抽出手段と、抽出した識別コードを使用してデータベースから表示すべき情報を取得する通信手段と、取得した情報を表示する表示手段とを備える情報通信端末とを含む情報提供システムが提供できる。
【0020】
この情報提供システムは、情報通信端末からの識別コードに含まれる認証用識別子の受信に応答して、自己が保持する認証用識別子と比較し、一致する場合に、データベースが接続されるネットワークへの情報通信端末の接続を認証する認証サーバをさらに含むことができる。この認証サーバは、その接続を認証した後、グラフィックコードを情報通信端末へ送信し、情報通信端末が備える表示手段に表示させることができる。この場合、抽出手段が識別コードを抽出し、通信手段が識別コードを使用してデータベースから表示手段に表示させるべき情報を取得する。
【0021】
情報提供媒体が表示デバイスである場合、認証サーバは、情報通信端末の認証に応答して、表示デバイスが表示するグラフィックコードに含まれる認証用識別子を受信し、自己が保持する認証用識別子と比較して一致する場合に、表示デバイスのネットワークへの接続を認証し、情報通信端末へ送信したグラフィックコードと同じグラフィックコードを表示デバイスへも送信し表示させることができる。利用者は、自己の情報通信端末に表示されたグラフィックコードと、表示デバイスに表示されたグラフィックコードとが同じで、認証が成功であることを確認することができ、また、グラフィックコードから、それがどのような種類、内容の情報であるか一目で理解することができる。
【0022】
また、表示デバイスは、情報通信端末により撮像され認証サーバへ送信される、複数色のブロックの組み合わせ、または一定の濃淡値を有する複数の線からなる認証用コードを表示し、認証サーバは、認証用コードを使用して認証を行い、2つに分割された一方の絵もしくは写真または映像が識別コードと融合されたグラフィックコードを第1認証済みコードとして情報通信端末へ、他方の絵もしくは写真または映像が識別コードと融合されたグラフィックコードを第2認証済みコードとして表示デバイスへそれぞれ送信して表示させることができる。これらを組み合わせることで、1つのグラフィックコードになり、認証が成功したことを確認することができ、その確認後、認証サーバに対し、グラフィックコードの合成を要求し、認証サーバが合成したグラフィックコードを送信することにより、そのグラフィックコードから、それがどのような種類、内容の情報であるか一目で理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図面に示した具体的な実施の形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
本発明の情報提供媒体は、複数色のブロックの組み合わせ、または一定の濃淡値を有する複数の線からなり、情報を識別するための識別コードと、その情報の内容に関連した絵もしくは写真または映像とを融合させたグラフィックコードを有するものである。
【0025】
このグラフィックコードは、次のような機能を有する。その機能を、鶏卵について使用する場合について説明する。1つは、鶏卵の農場から食卓に至るまでの移動と品質管理の責任者を追跡・遡及可能にする機能である。具体例としては、選別包装設備において鶏卵が適切な洗卵工程を経ている映像やデータをモニタリングすることができる機能である。この機能により、事故発生と製品回収リスクの最小化に寄与することができる。
【0026】
2つ目は、鶏卵の品質に対する不安を少なくし、信頼を感じることができる機能、すなわち目で見て直感的に情報の分類やその意味がどのようなものかを容易に理解することができる機能である。消費者が品質管理に関して直感的にわかり、いつでも安全基盤情報にトレースしやすいことを感じることにより、安心を演出することができる。
【0027】
3つ目は、食生活の質を高める機能である。具体例としては、鶏卵を用いた料理レシピや栄養情報の配信を可能にする機能である。この機能により、健康な食生活を実現し、食品の正しい選択眼を養い、調理技術や技能を学び、また、創作料理や郷土料理等の情報交換の場に自由に参加でき、さらに、鶏卵関係者が消費者へのヒアリングや鶏卵に対するリスクコミュニケーションの場として活用することができる。
【0028】
図1に、識別コード、情報の内容に関連した絵としてピクトグラム、グラフィックコードを例示する。図1(a)に示す識別コードは、赤、青、緑、黒の4色からなる正方形のブロック10が、縦に5つ、横に5つ並んで配列する二次元コードとされている。その組み合わせにより、170億を超える種類のパターンを実現することができる。各パターンの識別コードを各情報に割り当てることにより、識別コードを基に情報を識別することができる。図1(a)に示す識別コードは、農場で鶏が産んだ卵が洗浄管理を行い流通されている情報を識別するものとされている。例えば、識別コードは、国名、メーカ名、商品番号等を含むことができる。また、識別コードは、情報が格納されているアドレスを含むこともできる。この識別コードは、5×5ブロックに限られるものではなく、提供する情報の数等に応じて7×7ブロックや9×9ブロックとすることもできる。また、識別コードは、複数の線からなる、バーコードが縦横に複数配列する二次元バーコードや格子状のパターンで形成されるQRコード(登録商標)等とすることもできる。
【0029】
図1(b)に示すピクトグラムは、卵を洗浄しているところを示した絵とされている。ピクトグラムは、非常口、交通標識、トイレ、地図等の案内記号に人間が理解しやすいコードとして日常的に使用されているもので、文法の理解を必要とせずに誰もが一目で分かる絵文字で実現されるものである。図1(b)では、この絵から、農場で鶏が産んだ卵が洗浄管理を行い流通されている情報の分類を想起することができる。このピクトグラムは、例えば、緑色のみの単色で描画されたものとすることができる。
【0030】
図1(c)に示すグラフィックコードは、図1(a)に示す識別コードと、図1(b)に示すピクトグラムとを融合させたグラフィックシンボルである。このグラフィックコードは、図1(a)に示す識別コードと図1(b)に示すピクトグラムとを組み合わせて一体化し、図1(a)に示す識別コードを構成する各ブロックに対応するグラフィックコードの各領域内の指定範囲の色が、各ブロックの赤、青、緑、黒といった色になるように作成されている。ここでは、全体のデザインや色のバランスを考慮し、紙面に向けて右上に鶏の絵を配置し、中央部に複数の卵の絵を配置している。また、図1(a)に示す識別コードの赤のブロックを識別するために、その範囲を含む図形部分である鶏や卵の絵を赤に、黒のブロックを識別するために、その範囲を含む図形部分である卵の絵を黒に描画している。
【0031】
図2は、グラフィックコードを拡大して示した図である。図2では、グラフィックコードが、破線で、25個のブロックに対応した領域20に分けられ、その領域20内の指定範囲21が破線の円で示されている。これらの破線は、実際にはないが、説明を容易にするために設けられている。
【0032】
指定範囲21は、その領域20内であればどの範囲であってもよいが、その領域20の中心22から所定径の円を描き、その中の部分とすることができる。その円の径は、その円の面積がその領域の面積の約10〜40%になるようにして決定することができる。なお、ここで示した数字は例示的なものであり、これに限定されるものではない。
【0033】
グラフィックコードは、領域20内の指定範囲21の色のみが、そのブロックの色になればよいため、その領域20内の指定範囲21外の色は、全体のデザインや色のバランスを考慮して任意に決定することができる。
【0034】
このため、多様なタイプのデザインが可能となり、同一の識別コードで、ピクトグラムが異なる複数のグラフィックコードを提供することも、同一の識別コードで、識別コードが異なる複数のグラフィックコードを提供することも可能である。前者の場合には、人間の目には全く異なるデザインとして認識されるが、機械によるカラー認識では同一のコードとして認識される。後者の場合には、その逆で、人間の目には同じデザインとして認識されるが、機械によるカラー認識では異なるコードとして認識される。これらのことから、グラフィックコードは、利用者および提供者が消費者にアピールしたい内容に応じて提供することができ、また、フードビジネス全般で共有できるグラフィックシンボルとして標準化することもできる。
【0035】
識別コードとして、複数の線からなる二次元バーコードやQRコード(登録商標)を使用し、これらとピクトグラムとを融合させてモノクロのグラフィックコードを作成する場合、色による識別が困難であるため、色の濃淡を表す濃淡値により識別することができる。この場合、コード部分は、ある一定の濃淡値とされ、それ以外の部分は、それ以外の濃淡値で表現される。これにより、濃淡値から、複数の線からなるコード部分を識別することができ、複数の線の間隔、各線の太さ、長さ、線が延びる方向等の各線の配置から識別コードを抽出することができる。これらの二次元バーコードやQRコード(登録商標)は、一般に、黒の線と白の空間とから構成されるが、その線および空間の色は、濃淡値によって識別することができれば、他の色であってもよい。
【0036】
このグラフィックコードは、広告や標識のために貼るラベルに印刷され、また、広告紙や包装紙に印刷され、表示デバイスに表示されることにより提供される。したがって、これらラベル、広告紙、包装紙、包装容器、表示デバイスを情報提供媒体として提供することができる。情報提供媒体としては、グラフィックコードを介して情報を提供することができるものであれば、いかなるものであってもよく、グラフィックコードが付されたものすべてをその対象とすることができる。
【0037】
なお、グラフィックコードは、撮像手段を備える情報通信端末により撮像され、情報通信端末において識別コードが抽出される。情報通信端末は、抽出された識別コードを使用してデータベースから情報を取得し、利用者は、情報通信端末の表示画面に表示された情報を見ることにより、その内容を確認することができる。
【0038】
図3は、上記の処理を実現するための情報提供システムの構成を例示した図である。情報提供システムは、複数の情報を格納するデータベース30と、グラフィックコードを有する情報提供媒体31と、情報通信端末32とを備える。データベース30は、ネットワーク33に接続され、ネットワーク33にはさらに、認証サーバ34、35が接続されている。認証サーバ34は、異なる媒体や通信プロトコルを使用するネットワーク間の通信を可能にするために使われるゲートウェイとして機能し、情報通信端末32との通信を可能にする。
【0039】
この構成では、PCの液晶モニタ等の表示デバイスとされた情報提供媒体31に表示されたグラフィックコードを情報通信端末32により撮像し、そのグラフィックコードから認証用識別子を抽出し、その認証用識別子を認証サーバ34へ送信する。認証サーバ34では、認証用識別子の受信に応答して、認証サーバ34が保持する認証用識別子と比較し、一致する場合に、情報通信端末32のネットワーク33への接続を認証する。認証サーバ34は、この認証に伴い、認証済みグラフィックコードを情報通信端末32へ送信し、情報通信端末32の表示手段に表示させる。
【0040】
また、情報通信端末32の認証に伴い、認証サーバ35は、表示デバイスとされた情報提供媒体31が表示するグラフィックコードに含まれる認証用識別子を受信し、認証サーバ35が保持する認証用識別子と比較して一致する場合に、情報提供媒体31のネットワーク33への接続を認証し、情報提供媒体31をネットワーク33に接続させる。このネットワーク33への接続により、認証サーバ34は、認証サーバ35を介して情報提供媒体31へ、情報通信端末32へ送信した認証済みグラフィックコードと同じグラフィックコードを送信し表示させる。
【0041】
この処理により、認証サーバ34、35による認証に加え、認証済みグラフィックコードが表示された情報提供媒体31と情報通信端末32とを目で見て比較することにより、目視による認証を行うことができる。同じであることが確認できた後、認証済みグラフィックコードから識別コードを抽出し、その識別コードを使用してデータベース30から対応する情報を取得することができる。
【0042】
情報通信端末32および情報提供媒体31へ送信し表示させる認証済みグラフィックコードは、同じものに限られるものではなく、例えば、ピクトグラムを半分に分割し、一方を融合させたグラフィックコードを情報提供媒体31へ、他方を融合させたグラフィックコードを情報通信端末32へ送信し表示させることができる。利用者は、自己の情報通信端末32へ送られてきたグラフィックコードと、情報提供媒体31へ送信され、表示されたグラフィックコードとを照らし合わせ、合成した場合に1つのグラフィックコードを形成するか否かによって目視による認証を行うことができる。
【0043】
図3では、図示していないが、データベース30を管理する管理サーバを備えることができ、識別コードを管理サーバに送り、管理サーバからデータベース30に格納されている情報のアドレスを取得し、そのアドレスにアクセスすることにより情報を取得することができる。
【0044】
この場合、識別コードが、メーカ名や商品番号を表し、ピクトグラムが、提供される情報のカテゴリを表すことができる。管理サーバは、メーカ名や商品番号と、それに対応するURL等のアドレスとを関連付けたテーブルを保持することができる。
【0045】
認証済みグラフィックコードとして図1(c)に示すグラフィックコードを獲得した場合、情報通信端末32においてそのグラフィックコードから図1(a)に示す識別コードを抽出し、その識別コードを使用して、洗卵工程の映像データへアクセスし、その映像を提供することができる。この場合、選別包装施設に設置されている監視カメラからの鶏卵が適切な洗卵工程を経ている映像を配信することができる。
【0046】
グラフィックコードは、図1(c)に示すグラフィックコードのほか、図4に示すような、料理に関する情報交換の場を提供するグラフィックコード40を提供することができる。図4(a)に示す「ZIPIC」という文字を含むグラフィックコード40を情報通信端末32により撮像すると、情報通信端末32では、グラフィックコード40から識別コードを抽出し、抽出した識別コードを使用してその情報にアクセスし、図4(b)に示す卵を使った調理方法の映像を配信することができる。図4(b)では、紙面に向けて左から、卵を割り、調味料およびはんぺんを入れてかき混ぜているところ、フライパンを熱し、油をひき、生地を流し込んで焼いているところ、出来た伊達巻きを皿に並べたところが示されている。
【0047】
また、この映像のほか、図4(c)に示すような、料理の情報交換を行うことができる画面を表示することもできる。図4(c)では、グラフィックコード40に加え、「最新日記」、「コメント履歴」、「最新書き込み」、「最新アルバム」、「プロフィールを確認」、「日記を書く」という欄が設けられ、これらはいずれも、ハイパーリンクによってファイルやデータが参照可能とされている。
【0048】
情報通信端末32は、図5に示すように、グラフィックコードを撮像するための撮像手段50と、撮像されたグラフィックコードの、識別コードの各ブロックに対応する各領域内の指定範囲の色を識別し、各領域につき識別された色の配列から識別コードを抽出し、抽出した識別コードを使用してデータベース30から情報を取得する処理を実行するためのアプリケーション51と、アプリケーション51を記憶するためのメモリ52と、アプリケーション51を実行するためのCPU53と、取得した情報を表示するための表示手段54と、認証サーバ34と通信を行うための通信手段55とを備える。
【0049】
情報通信端末32は、アプリケーション51を記憶するメモリ52、それを実行するためのCPU53、グラフィックコードを撮像するためのカメラ、情報を表示するためのディスプレイ、通信機能を備えるものであればいかなるものであってもよく、カメラ付き携帯電話やPDA(personal digital assistant)を挙げることができる。
【0050】
アプリケーション51は、CPU53に読み込まれて、撮像手段50により撮像されたグラフィックコードの、識別コードの各ブロックに対応する各領域内の指定範囲の色を識別する。まず、グラフィックコードの各領域を認識し、各領域の中心を検出する。例えば、その中心は座標で検出することができる。検出した中心を円の中心として所定径の円を描き、その範囲内にあるすべての画素(ピクセル)の色を識別する。本発明では、この範囲内にある画素の色はすべて、赤、青、緑または黒とされるため、赤、青、緑または黒と識別することができる。このようにして識別した各領域の色を、各領域に対応する各ブロックの色として決定することにより、赤、青、緑または黒のいずれかの色が各ブロックに配置された識別コードを抽出することができる。
【0051】
上記では、範囲内にある画素すべてが同じ色として説明したが、その範囲内にある画素すべてが同じ色でなくてもよく、最も多い色を、その領域に対応するブロックの色として決定することもできる。また、識別コードとして二次元バーコードやQRコード(登録商標)を使用し、これらとピクトグラムとを融合させて作成されたモノクロのグラフィックコードの場合、そのコードを示す濃淡値により識別し、それら二次元バーコードやQRコード(登録商標)を抽出することができる。
【0052】
識別コードは、情報そのもののアドレスを示すものであってもよいが、ネットワークに接続された管理サーバを備える構成の場合、上述したようにメーカ名や商品番号を表すものとすることができる。この場合、メーカ名や商品番号を表す識別コードを管理サーバへ送り、管理サーバがその識別コードからアクセス先を表すURL等のアドレスを情報通信端末32に返却する。
【0053】
情報通信端末32は、管理サーバから受け取ったURL等のアドレスへアクセスし、そのアドレスにあるデータを取得することができる。すなわち、そのアドレス先にあるデータが写真データや映像データである場合には、それらのデータを取得し、表示手段54に表示させることができる。
【0054】
URL等のアドレスにあるデータが、写真データや映像データを示すのではなく、利用者に選択させる選択画面を提供し、その選択画面から利用者が選択した情報を表示させることもできる。
【0055】
選択画面としては、図6に示すような画面とすることができる。図6では一例として、洗卵工程における「洗卵条件」、「現在映像」、「過去映像」が選択できるようになっている。「洗卵条件」は、洗浄水の温度、洗浄水の圧力、次亜塩素酸ナトリウムまたはオゾン等の消毒剤の有無、室温等の情報を含むデータへアクセスし、そのデータを表示させることができる。「現在映像」は、現在行われている洗卵工程の監視カメラからの映像をモニタリングすることができる。「過去映像」は、さらに、1日前、1週間前、1ヶ月前等の映像を選択することができる選択画面とリンクされており、それらの過去に監視カメラで撮影され、データベース30に格納された映像をダウンロード等により取得し表示させることができる。
【0056】
上記では洗卵工程についてのみ説明したが、農場、加工、流通といった各工程の品質管理も映像等で確認できるようにすることができる。これらの映像は、一定期間保存し、必要に応じて「過去映像」として確認できるようにすることができる。このようなサービスを提供することで、鳥インフルエンザやサルモネラ等の有事が発生した場合、即時に最新の鶏卵安全情報を確認することができ、鶏卵に対する不安や風評被害を抑制し、事業者への問い合わせを減らすことが可能となる。また、鶏卵事業者は、このシステムを利用し、自己の情報を消費者に提供することで、鶏卵に対する消費者への信頼性を高めることができる。
【0057】
鶏卵事業者は、このシステムを利用し、食育のためのコンテンツを提供することで、消費者に料理レシピを無償で提供するという利便性だけでなく、食育の観点から鶏卵に関する理解や判断を高めることができ、また、安全性や栄養に関するリスクコミニュケーションを深める情報を発信することができ、鶏卵の消費拡大と価値を向上させることが可能となる。
【0058】
これまで本発明を上述した実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の情報提供媒体を提供することにより、鶏卵に限らず、他の食材、商品やサービスに対しても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】識別コード、ピクトグラム、グラフィックコードを例示した図。
【図2】グラフィックコードを拡大して示した図。
【図3】本発明の情報提供システムの構成を例示した図。
【図4】他のグラフィックコードを例示した図。
【図5】情報通信端末の構成を例示した図。
【図6】情報通信端末に表示された選択画面を例示した図。
【符号の説明】
【0061】
10…ブロック、20…領域、21…指定範囲、22…中心、30…データベース、31…情報提供媒体、32…情報通信端末、33…ネットワーク、34、35…認証サーバ、40…グラフィックコード、50…撮像手段、51…アプリケーション、52…メモリ、53…CPU、54…表示手段、55…通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信端末により撮像されるコードを有し、前記情報通信端末が前記コードを使用して複数の情報を格納するデータベースから表示すべき情報を取得することを可能にする情報提供媒体であって、
複数色のブロックの組み合わせ、または一定の濃淡値を有する複数の線からなり、前記表示すべき情報を識別するための識別コードと、前記表示すべき情報の内容に関連した絵もしくは写真または映像とを融合させたグラフィックコードが印刷されたラベルもしくは紙、または前記グラフィックコードを表示する表示デバイスから選択される、情報提供媒体。
【請求項2】
前記グラフィックコードは、前記情報通信端末に前記識別コードを抽出させるために、各前記ブロックに対応する前記グラフィックコードの各領域内の指定範囲の色が、前記識別コードを構成する前記各ブロックの色に対応する、請求項1に記載の情報提供媒体。
【請求項3】
複数の情報を格納するデータベースと、
複数色のブロックの組み合わせ、または一定の濃淡値を有する複数の線からなり、前記情報を識別するための識別コードと、前記情報の内容に関連した絵もしくは写真または映像とを融合させたグラフィックコードが印刷されたラベルもしくは紙、または前記グラフィックコードを表示する表示デバイスから選択される情報提供媒体と、
前記グラフィックコードを撮像するための撮像手段と、前記グラフィックコードの各前記ブロックに対応する該グラフィックコードの各領域内の指定範囲の色または前記濃淡値から前記複数の線を識別し、前記各領域につき識別された前記色の配列または識別された前記各線の配置から前記識別コードを抽出するための抽出手段と、抽出した前記識別コードを使用して前記データベースから表示すべき前記情報を取得する通信手段と、取得した前記情報を表示する表示手段とを備える情報通信端末とを含む、情報提供システム。
【請求項4】
前記情報通信端末からの識別コードに含まれる認証用識別子の受信に応答して、保持する認証用識別子と比較し、一致する場合に、前記データベースが接続されるネットワークへの前記情報通信端末の接続を認証する認証サーバをさらに含む、請求項3に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記認証サーバは、前記接続を認証した後、前記グラフィックコードを前記情報通信端末へ送信し、前記情報通信端末が備える前記表示手段に表示させる、請求項4に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記情報提供媒体は、前記表示デバイスであり、前記認証サーバは、前記情報通信端末の認証に応答して、前記表示デバイスが表示する前記グラフィックコードに含まれる認証用識別子を受信し、前記保持する認証用識別子と比較して一致する場合に、前記表示デバイスの前記ネットワークへの接続を認証し、前記情報通信端末へ送信した前記グラフィックコードと同じグラフィックコードを前記表示デバイスへも送信し表示させる、請求項5に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記表示デバイスは、前記情報通信端末により撮像され前記認証サーバへ送信される、複数色のブロックの組み合わせ、または一定の濃淡値を有する複数の線からなる認証用コードを表示し、前記認証サーバは、前記認証用コードを使用して認証を行い、2つに分割された一方の前記絵もしくは写真または映像が前記識別コードと融合されたグラフィックコードを第1認証済みコードとして前記情報通信端末へ、他方の前記絵もしくは写真または映像が前記識別コードと融合されたグラフィックコードを第2認証済みコードとして前記表示デバイスへそれぞれ送信して表示させる、請求項4に記載の情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−93403(P2009−93403A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263173(P2007−263173)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(501245816)
【出願人】(599033461)
【Fターム(参考)】