説明

情報提供装置、コンピュータプログラム、記録媒体、作成方法、作成システム、及び特定のURLへの誘導方法

【課題】インターネット上のコンテンツ情報の要求を受けても、インターネット上のコンテンツ情報の提供を行わずに、自装置が有するコンテンツ情報を提供する。
【解決手段】自装置1が有するコンテンツ情報3fを無線通信端末(WiFi機器)10に対して無線通信により提供する情報提供装置1である。この情報提供装置1は、無線通信端末10に対して提供される提供用コンテンツ情報3fを記憶する記憶部3を備えている。情報提供装置1は、無線通信端末がコンテンツ要求のために指定したURLにかかわらず、記憶部3に記憶された提供用コンテンツ情報3fを、無線通信端末に提供する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、コンピュータプログラム、記録媒体、作成方法、作成システム、及び特定のURLへの誘導方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末にWebページ等のコンテンツを提供する場合、コンテンツをインターネット上の所定のURLにアップロードしておくのが一般的である。
無線通信端末は、コンテンツを取得する際には、まず、携帯電話基地局や無線LANのアクセスポイントを介してインターネットに接続する。そして、無線通信端末は、コンテンツの存在するURLを指定したHTTPプロトコルによって、インターネット上のコンテンツを取得する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−94481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターネットによってコンテンツを提供することのメリットとして、インターネット接続環境があれば、世界中のどこからでもコンテンツにアクセスできるということが挙げられる。
しかし、ある特定の、比較的狭いエリアにいるユーザに対してだけ、コンテンツを提供したい場合には、上記のインターネットの利点は、逆に欠点となる。
【0005】
例えば、特定の位置にいる人だけに電子広告を提供したい場合であっても、単に、インターネット上の特定のURLにコンテンツを置くだけでは、他の位置にいる人にも電子広告が提供されることになる。
また、学校の授業に出席した学生、すなわち、学校の教室にいる学生、にだけ授業用の資料をコンテンツとして提供したい場合でも、インターネット上に資料をおくと、授業に出席していない学生でも資料を取得することが可能となる。
【0006】
しかも、無線通信によってコンテンツを提供する場合、無線のアクセスポイント等が必要となる。したがって、無線のアクセスポイントが設置されていない場所にユーザがいる場合や、アクセスポイントが設置されていてもユーザがそのアクセスポイントの利用権限を持っていない場合には、ユーザは、コンテンツを取得できない。
上記のような状況で、小規模店舗等が、コンテンツを提供しようとすれば、インターネット接続用の無線アクセスポイントを設置する必要があり、小規模店舗等のコンテンツ提供側の負担が大きくなる。
【0007】
さらに、無線通信端末がインターネット上のコンテンツを取得する場合、無線通信端末はインターネットに接続する必要がある。このため、通信料金やインターネット接続料金が発生し、無線通信端末のユーザにとって負担となる。また、ユーザがインターネット接続契約をしていない場合、コンテンツを取得すること自体が、不可能となる。
【0008】
また、無線通信端末がインターネット上のコンテンツを取得するには、無線通信端末をインターネットに接続させた上で、さらに、インターネット上のコンテンツが存在する特定のURLに誘導する必要がある。しかし、ユーザに特定のURLをタイプさせるのは、煩雑であり、ユーザの負担が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、インターネット接続が可能な無線通信端末に対して、インターネットを介さずにコンテンツ提供を行う無線接続可能な情報提供装置(Webサーバ)という新規な着想を得て、本発明を完成させた。
【0010】
(1)すなわち、本発明は、自装置が有するコンテンツ情報を無線通信端末に対して無線通信により提供する情報提供装置であって、前記無線通信端末に対して提供される提供用コンテンツ情報を記憶する記憶部と、前記無線通信端末がコンテンツ要求のために指定したURLにかかわらず、前記記憶部に記憶された提供用コンテンツ情報を、前記無線通信端末に提供する処理を行うコンテンツ提供処理部と、を備えている情報提供装置である。
【0011】
本発明の情報提供装置は、インターネット上のコンテンツ情報の要求を受けても、インターネット上のコンテンツ情報の提供を行わずに、自装置が有するコンテンツ情報を提供する。すなわち、無線通信端末においてどのようなURL(例えば、WEBブラウザ起動時にアクセスする初期URLとして設定されたURL)が指定されても、情報提供装置は、自装置の記憶部に記憶されている提供用コンテンツを無線通信装置に提供する。
したがって、無線通信端末側では、インターネットへのアクセスが不要であり、URLを積極的に入力又は選択する必要がない。また、無線アクセスポイントは必要とはされない。
【0012】
(2)前記コンテンツ提供処理部は、前記記憶部に記憶した提供用コンテンツを、前記コンテンツ提供処理部が指定するURLを持つコンテンツ情報として前記無線通信端末に提供する処理を行うものであり、前記コンテンツ提供処理部が指定するURLは、インターネット上に実在するコンテンツ情報のURLであるのが好ましい。この場合、事後的に、無線通信端末を、コンテンツ提供処理部が指定するURLに誘導する効果が得られる。
【0013】
(3)前記コンテンツ提供処理部は、前記無線通信端末がコンテンツ要求のために指定したURLを前記コンテンツ提供処理部が指定するURLにリダイレクトし、前記記憶部に記憶された提供用コンテンツ情報を前記コンテンツ提供処理部が指定するURLを持つコンテンツ情報として前記無線通信端末に対して送信することができる。
【0014】
(4)前記コンテンツ提供処理部は、前記無線通信端末がコンテンツ要求のために指定したURLが示すパス名に相当するパス名で記憶された提供用コンテンツ情報が前記記憶部において存在する場合には、前記リダイレクトをすることなく、その提供用コンテンツ情報を前記無線通信端末装置に送信することができる。
【0015】
(5)前記コンテンツ提供処理部は、URLが示すドメイン名に対応するIPアドレスの問い合わせを前記無線通信端末から受けると、その問い合わせに係るドメイン名に対応するIPアドレスとして、前記情報提供装置のIPアドレスを返す手段を備えるものとすることができる。
【0016】
(6)他の観点からみた本発明は、無線通信機能を有するコンピュータを、
前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0017】
(7)他の観点からみた本発明は、提供用コンテンツ情報と、前記(6)記載のコンピュータプログラムと、を記録した記録媒体である。
【0018】
(8)前記記録媒体は、更に、コンピュータのオペレーティングシステムとして機能するコンピュータプログラムを記録しており、前記オペレーティングシステムは、コンピュータにインストールされることなく起動可能であるのが好ましい。
【0019】
(9)他の観点からみた本発明は、無線通信機能を有するコンピュータを前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラム及び前記情報提供装置によって提供される提供用コンテンツの作成方法であって、インターネット上のURLを持つターゲットコンテンツ情報を加工して前記提供用コンテンツ情報を得る加工ステップと、前記ターゲットコンテンツ情報が存在する前記URLを、前記コンテンツ提供処理部が指定するURLとして前記コンピュータプログラムに設定するステップと、を含み、前記加工ステップでは、前記ターゲットコンテンツ情報に含まれる外部リンクを除去し、前記ターゲットコンテンツ情報に含まれる絶対リンク表記の内部リンクを相対リンク表記の内部リンクに書き換える作成方法である。
【0020】
(10)他の観点からみた本発明は、無線通信機能を有するコンピュータを前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラム及び前記情報提供装置によって提供される提供用コンテンツの作成システムであって、インターネット上のURLを持つターゲットコンテンツ情報を加工して前記提供用コンテンツ情報を得る加工手段と、前記インターネット上の前記URLを、前記コンテンツ提供処理部が指定するURLとして前記コンピュータプログラムに設定する手段と、を含み、前記加工手段は、前記ターゲットコンテンツ情報に外部リンクが含まれていればその外部リンクを除去し、前記ターゲットコンテンツ情報に絶対リンク表記の内部リンクが含まれていればその内部リンクを相対リンク表記の内部リンクに書き換える作成システムである。
【0021】
(11)他の観点からみた本発明は、コンピュータを、前記(10)記載の作成システムとして機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0022】
(12)他の観点からみた本発明は、特定のURLへ誘導する方法であって、無線通信端末が任意のURLを指定してコンテンツ要求をするステップと、前記無線通信端末からコンテンツ要求を受けた情報提供装置が、前記無線通信端末がコンテンツ要求のために指定したURLにかかわらず、前記情報提供装置が保有する提供用コンテンツ情報を、前記情報提供装置が指定するURLを持つコンテンツ情報として前記無線通信端末に対して提供するステップと、無線通信端末が、前記情報提供装置が指定するURLを保存するステップと、を含み、前記情報提供装置が指定するURLは、インターネット上に実在するコンテンツ情報のURLとなっている方法である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】情報提供装置の構成図である。
【図2】URLの構造を説明する図である。
【図3】情報提供処理を示す図である。
【図4】特定のURLへの誘導方法の説明図である。
【図5】ソフトウェアの作成方法を示す図である。
【図6】情報提供装置の店舗等での利用形態を示す図である。
【図7】情報提供装置の講義・講演での利用形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0025】
[1.情報提供装置の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る情報提供装置1を示している。この情報提供装置1は、無線通信機能(無線LAN機能)を搭載したコンピュータ2に、必要なコンピュータプログラム(ソフトウェア)が記録されたUSBメモリ(記録媒体)3を接続して構成されている。
【0026】
コンピュータ2は、CPU、RAMなどの内部記憶装置、ハードディスクなどの外部記憶装置、ディスプレイ、及びキーボードなどの入力装置、を備えている。このコンピュータ2は、USBメモリの接続端子を有しており、USBメモリを外部記憶装置として利用可能である。さらに、このコンピュータは、CD又はDVDなどの光ディスクの読取装置を備えており、光ディスクを外部記憶装置として利用可能となっている。
【0027】
コンピュータ2は、WiFi(登録商標)に準拠した無線通信装置(無線LAN装置)を搭載しており、WiFiに準拠した無線通信端末(WiFi機器)10との間で無線通信が可能である。
なお、本実施形態で説明する無線通信端末10は、インターネット接続機能を有しており、インターネット上のWEBサーバとの間で、情報のやりとり(ダウンロード又はアップロード)が可能なものである。つまり、無線通信端末10は、WEBブラウザを搭載しており、HTTPプロトコル等により、インターネット上のコンテンツ(WEBコンテンツ)を取得したり、WEBサーバに対して情報を送信したりする機能を有している。
無線通信端末10としては、具体的には、WiFi機能を有する携帯型の電話、ゲーム機、音楽プレーヤ、電子書籍リーダなどが挙げられる。
【0028】
USBメモリ3は、オペレーティングシステム3a、無線LANドライバ3b、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ3c、ドメインネームサーバ(Domain Name Server)3d、及び、Webサーバ3e等のソフトウェアが記録されている。
USBメモリ3内のDHCPサーバ3c、ドメインネームサーバ3d、及びWebサーバ3eのソフトウェア(必要であれば、オペレーティングシステム及び/又は無線LANドライバ3bも含めて)は、コンピュータ2によって実行されることで、本発明のコンテンツ提供処理部30として機能する。
【0029】
また、USBメモリ3には、コンピュータ2が読み取り可能な提供用コンテンツ情報としてWebコンテンツ3fも記録されている。提供用コンテンツ情報3fは、一つのファイル(HTMLファイル等)である必要はなく、ハイパーリンクによって接続された複数のファイルからなるファイル群であってもよい。提供用コンテンツ情報を構成する一つ又は複数のファイルは、それぞれ、USBメモリ内において、所定のパス名で記録されている。コンピュータ2(そのコンピュータ2上で動作しているオペレーティングシステムに含まれるファイルシステム)は、パス名を辿ることで、USBメモリ3中の提供用コンテンツ情報のファイルにアクセスすることができる。
【0030】
USBメモリ3に記録されたオペレーティングシステム3aは、コンピュータ2のハードディスクにインストールされることなく起動可能なものであり、例えば、Puppy Linux(Linuxは登録商標)である。つまり、USBメモリ3は、live USBとなっている。なお、インストールされることなく起動可能なオペレーティングシステムを記録した記録媒体は、その記録媒体がCDであれば、”live CD”とよばれ、その記録媒体がDVDであれば、”live DVD”とよばれる。
【0031】
USB3に記録された他のソフトウェア(情報提供装置ソフトウェア)3b〜3fは、すべて、オペレーティングシステム3a上で動作するものである。したがって、コンピュータ2には、ハードディスクが無くてもよい。このため、情報提供装置1として機能させるコンピュータ2としては、ハードディスクを搭載していない安価なコンピュータを利用したり、ハードディスクが故障して使用しなくなった古いコンピュータを再利用したりすることができ、安価に情報提供装置1を構築することができる。
【0032】
また、前記オペレーティングシステム3a上で、コンピュータ2にサーバ3c,3d,3e機能を発揮させるための必要な設定が各サーバソフトウェア3c,3d,3eに対して行われた状態で、サーバソフトウェア3c,3d,3eが、USB3に記録されている。さらに、サーバソフトウェア3c,3d,3eは、オペレーティングシステム3aが起動すると、自動的に起動するよう設定されている。
【0033】
ここで、仮に、情報提供者側が、各種サーバ3c,3d,3eのソフトウェアを、個々にコンピュータ2にインストールしたり、そのソフトウェアの設定を自ら行ったりしなければならないものとすると、情報提供装置1を自ら構築しようとするコンテンツ提供者は、コンピュータネットワークの知識を有している必要がある。このため、コンテンツ提供者側の負担が大きくなる。しかし、本実施形態では、コンピュータ2にUSBメモリ3を差し込んで、コンピュータ2を起動するだけで、情報提供装置1が自動的に構築され、稼働することができる。
【0034】
しかも、本実施形態に係る情報提供装置1となるコンピュータは、一般的なパーソナルコンピュータ(特に、ノート型やパネル型の可搬型コンピュータ)が、標準的に有するUSB接続端子及び無線通信機能を有していれば良い。したがって、そのようなコンピュータが存在すれば、その場で、USBメモリをコンピュータに差し込むだけで、直ちに、情報提供装置1を構築することができる。
なお、コンピュータ2を情報提供装置1として機能させるためのソフトウェア3b〜3f及び/又はオペレーティングシステム3aが記録される記録媒体は、USBメモリに限らず、CDやDVDなど、USBメモリ以外の可搬型記憶装置であってもよい。
また、これらのソフトウェア3a〜3fは、コンピュータ2のハードディスクにインストールされていてもよい。
【0035】
前記無線LANドライバ3bは、アドホックモード(Ad−Hoc mode)が可能なものである。アドホックモードの無線LANは、アクセスポイントを必要とせず、端末同士(ここでは、情報提供装置1と無線通信端末10)が、直接通信を行うネットワーク構成となる。したがって、本実施形態の情報提供装置1は、当該情報提供装置1からの電波が届く範囲(例えば、30m程度の範囲)にある無線通信端末10との間で、アドホックモードで無線通信を行うことができる。したがって、アクセスポイントの設置が不要である。
【0036】
なお、アドホックモード以外の無線LANのネットワーク構成としては、インフラストラクチャモードがある。インフラストラクチャモードは、端末が、アクセスポイントを介して無線通信を行うよう構成されたネットワークである。アクセスポイントは、一般に、インターネットに接続されており、アクセスポイントは、端末同士の通信を中継するほか、端末のインターネット接続を中継する機能を持つ。
なお、本実施形態の情報提供装置1は、コンテンツ提供の際のインターネット接続を必要としないが、コンピュータ2がインターネット接続可能であることを妨げるものではない。
【0037】
前記DHCPサーバ3cは、情報提供装置1との間で無線接続リンク(CSMA/CAリンク)が確立した無線通信端末10に対して、当該無線通信端末10用のIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトルータのIPアドレス、及びDNSサーバのIPアドレス等の必要な情報(設定情報)を自動的に割り当てる機能を実現するソフトウェアである。
本実施形態のDHCPサーバ3cは、情報提供装置1自体のIPアドレス(以下、「自己IPアドレス」という)を、デフォルトルータのIPアドレス、及びDNSサーバのIPアドレスとして、無線通信端末10に通知するよう設定されている。
【0038】
この結果、無線通信端末10は、情報提供装置1との間で、アドホックモードでの無線リンクが確立すると、情報提供装置1(のDHCPサーバ3c)からDHCP応答を受けることができる。情報提供装置1からDHCP応答を受けた無線通信端末10は、IPパケットを情報提供装置1に対して送信することになる。
さらに、情報提供装置1からDHCP応答を受けた無線通信端末10からの”DNS ZONE 情報問い合わせ”は、情報提供装置1のDNSサーバ3dに対して行われることになる。
【0039】
一般に、DNSサーバは、ドメイン名とIPアドレスとの対応を管理し、ドメイン名に対応するIPアドレスの問い合わせ(DNS ZONE 情報問い合わせ)を受けると、その問い合わせに係るドメイン名に対応するIPアドレスを返答する機能を実現するソフトウェアである。
一方、本実施形態の前記DNSサーバ3dは、ドメイン名に対応するIPアドレスの問い合わせを無線通信端末10から受けると、その問い合わせに係るドメイン名に対応するIPアドレスとして、常に、自己IPアドレス(情報提供装置1のIPアドレス)を返すよう構成されている。
【0040】
したがって、情報提供装置1は、無線通信端末10から、どのようなドメイン名の問い合わせを受けても、自己IPアドレスを、問い合わせに係るドメイン名に対応するIPアドレスとして、無線通信端末10に返答する。
この結果、無線通信端末10は、問い合わせに係るドメイン名を持つWEBサーバ(無線通信端末10が取得しようとするコンテンツ情報を持つサーバ)のIPアドレスとして、情報提供装置1のIPアドレス(自己IPアドレス)を取得することになる。
【0041】
前記WEBサーバ3eは、無線通信端末(クライアント)10からの要求(コンテンツ要求)を受けて、USB3に記録されているHTMLファイルなどのコンテンツ情報3fを、端末に送信する機能を実現するソフトウェアである。コンテンツ要求は、取得したいコンテンツ(HTMLファイル等)が存在するURLを、端末10からWEBサーバ3eに送信することで行われる。WEBサーバ3eは、コンテンツ要求の応答として、端末10に対してコンテンツを送信する。
【0042】
図2は、URLの構造を示している。URLは、プロトコル部、ホスト名、及びパス名で構成されている。URL中のホスト名は、取得したいコンテンツ情報が存在するWEBサーバのホスト名を示し、URL中のパス名は、取得しようとするコンテンツ(ファイル)のWEBサーバでのパス名を示す。
図2では、ホスト名は、人間が理解しやすいように、ドメイン名として記述されているが、端末10が、実際に、WEBサーバにコンテンツ要求を行う場合には、図2のURLのドメイン名の部分は、WEBサーバのIPアドレスで表現される。
【0043】
コンテンツ要求の際に指定されるWEBサーバのIPアドレスは、”DNS ZONE 情報問い合わせ”によって端末10が得たIPアドレスとなる。したがって、端末10のWEBブラウザでどのようなURLが指定されたとしても、そのURLのドメイン名に対応するIPアドレスは、情報提供装置1のIPアドレス(自己IPアドレス)となる。
よって、端末10からなされる全てのコンテンツ要求は、情報提供装置1上のWEBサーバ3eへのコンテンツ要求となる。
【0044】
また、WEBサーバ3eは、リダイレクト機能を有している。リダイレクトとは、端末10からのコンテンツ要求のURLを、サーバ3eが指定する別のURLに変更し、端末10を、サーバ3eが指定する別のURLに誘導する機能である。なお、リダイレクト機能によって端末が誘導される「別のURL」については後述する。
【0045】
[2.情報提供処理の流れ]
[2.1 ステップS1:ESSIDの設定]
まず、無線通信端末10を、情報提供装置1の近く(情報提供装置からの電波が届く範囲;例えば、30m程度)に位置させる。そして、無線通信端末10において、情報提供装置1が構成する無線LANネットワークの識別子の設定(入力又は選択)が行われると、情報提供装置1と無線通信端末10との間で、論理的な無線通信接続リンクが確立する。
【0046】
ネットワークの識別子の設定は、無線通信端末10の無線LANドライバのネットワーク識別子設定部において、ユーザが手動タイプ入力で行ったり、接続可能な無線LANネットワークの一覧から選択したりすることで行える。なお、WiFi機器は、IEEE802.11に準拠しているため、ネットワーク識別子は、ESSID(Extended Service Set Identifier)とよばれる。
また、無線通信端末10が、接続可能な無線LANネットワークを検出した場合に、そのネットワークに自動接続するよう構成されている場合、ネットワーク識別子の設定は自動的に行われることになる。
【0047】
無線通信端末10のユーザへのネットワーク識別子の通知は、ネットワーク識別子を記載したステッカー・貼り紙などを情報提供装置1近傍に掲示するほか、口頭で行っても良い。
【0048】
[2.2 ステップS2:DHCPサーバ応答]
情報提供装置1と無線通信端末10との間で接続が確立すると、情報提供装置1のHDCPサーバ3cは、無線通信端末10に対して、HDCP応答を行う。このHDCP応答では、無線通信端末10に対して、当該無線通信端末10用のIPアドレス、サブネットマスク等のほか、デフォルトルータのIPアドレス、及びDNSサーバのIPアドレスが通知される。情報提供装置1のHDCPサーバ3cは、デフォルトルータのIPアドレス及びDNSサーバのIPアドレスとして、自己IPアドレスを通知する。
【0049】
[2.3 ステップS3:コンテンツアクセス要求]
HDCP応答を受けた無線通信端末10は、WEBブラウザを、自動的に起動、又はユーザの起動操作によって起動する。一般的に、WEBブラウザには、ブラウザ起動直後に自動アクセスする”初期URL”が設定されているため、無線通信端末10のWEBブラウザが起動すると、前記初期URLへのコンテンツ要求が自動的になされる。なお、WEBブラウザに初期URLが設定されていない場合、WEBブラウザへのURL入力又は選択によってコンテンツ要求がなされる。
なお、このステップS3のコンテンツアクセス要求は、前記1)〜4)の機能を除き、WEBブラウザを備えている一般的な無線通信端末10が標準的に有している機能である。
【0050】
[2.3.1 ステップS3−1:DNS ZONE 情報問い合わせ]
コンテンツ要求の際には、無線通信端末10は、リゾルバ(resolver)機能によって、コンテンツ要求のために指定されたURL(初期URL又はWEBブラウザで入力又は選択されたURL)に含まれるドメイン名に対応するIPアドレスを調べる。
リゾルバは、ドメイン名に対応するIPアドレスを調べるため、HDCP応答で取得したHDCPサーバのIPアドレスに対して、”DNS ZONE 情報問い合わせ”を行う。
ステップS2のDHCP応答によって、無線通信端末10は、HDCPサーバのIPアドレスとして、情報提供装置1のIPアドレスを得ている。このため、リゾルバは、情報提供装置1のDNSサーバ3dに対して、”DNS ZONE 情報問い合わせ”を行う。
【0051】
[2.3.2 ステップS3−2:URL1のコンテンツ要求]
無線通信端末10は、コンテンツ要求のために指定されたURL(以下、「URL1」という)に含まれるドメイン名のIPアドレスを取得すると、URL1で示される場所にあるコンテンツの要求を、先のDNS応答によって取得したIPアドレスを持つWEBサーバに対して行う。
【0052】
[2.4 ステップS4:DNS応答]
ステップS3−1にて、無線通信端末10からの問い合わせを受けた情報提供装置1のDNSサーバ3dは、コンテンツ要求のために指定されたURL1に含まれるドメイン名が如何なるものであっても、自己IPアドレスを返答する。
したがって、ステップS3−2にて無線通信端末10からなされるURL1のコンテンツ要求は、DNS応答にて返答されたIPアドレスを持つ情報提供装置1自身のWEBサーバ3eが応答することになる。
【0053】
[2.5 ステップS5:コンテンツ送信]
情報提供装置1のWEBサーバ3eは、ステップS3−2にて無線通信端末10からなされるURL1のコンテンツ要求を受けると、USBメモリ3に記録されている提供用コンテンツ情報3fを、コンテンツ要求を行った無線通信端末10に対して送信する処理を行う。
【0054】
この送信処理では、無線通信端末10がコンテンツ要求のために指定したURL1が示すパス名に相当するパス名でもって、USBメモリ3Bに記憶された提供用コンテンツ情報(ファイル)が存在する場合には、そのパス名を持つ提供用コンテンツ情報(ファイル)を、URL1というURLを持つコンテンツ情報として、無線通信端末10に送信する。
【0055】
一方、無線通信端末10がコンテンツ要求のために指定したURL1が示すパス名に相当するパス名でもって、USBメモリ3Bに記憶された提供用コンテンツ情報(ファイル)が存在しない場合には、情報提供装置1のWEBサーバ3eが指定する特定のURL(以下、「URL2」という)にリダイレクトする。このリダイレクトにより、無線通信端末10は、USBメモリ3に記録された所定のパス名を持つコンテンツ情報(ファイル)へ誘導される。この結果、URL2に含まれるパス名に相当するパス名でUSBメモリ3に記録されたコンテンツ情報(ファイル)が、URL2というURLを持つコンテンツ情報として、情報提供装置1から無線通信端末10に送信される。
【0056】
ここで、「URL1が示すパス名に相当するパス名が存在する場合」とは、URL1が示すパス名と、USBメモリ3などの情報提供装置1側の記憶装置における提供用コンテンツ情報のパス名と、が完全に一致している場合のほか、URL1が示すパス名の読み替えが、情報提供装置1において設定されている場合には、読み替え後のパス名が、情報提供装置1側の記憶装置におけるパス名と一致する場合をも含む。
例えば、URL1が示すパス名が、”foo/index.html”である場合において、このパス名を、”foo/abc/def/index.html”に読み替える旨が、情報提供装置1に設定されているものとする。
この場合、”foo/abc/def/index.html”のパス名で記録されたコンテンツ情報が情報提供装置1側の記憶装置に存在すれば、「URL1が示すパス名に相当するパス名が存在する場合」とみなされる。
【0057】
同様に、「URL2に含まれるパス名に相当するパス名」には、URL2が示すパス名の読み替えが情報提供装置1において設定されている場合には、読み替え後のパス名が、情報提供装置1側の記憶装置におけるパス名と一致する場合における当該読み替え後のパス名をも含む。
【0058】
さて、本実施形態では、情報提供装置1がリダイレクト先として指定するURL2として、インターネット上に実在するコンテンツ情報のURLが、情報提供装置1のWEBサーバ3eに設定されている。
ここで、無線通信端末10を、情報提供装置1が自ら(USBメモリ3に)保有する提供用コンテンツ情報3fに誘導するだけであれば、URL2としては、そのドメイン名は任意のものでよく、URL2のパス名が、情報提供装置1が保有する提供用コンテンツ情報の、当該情報提供装置1におけるパス名に相当するものであればよい。
【0059】
すなわち、本実施形態の情報提供装置1は、インターネット上の情報を提供するものではなく、無線通信端末10からの全てのコンテンツ要求は、情報提供装置1が自ら保有する提供用コンテンツ情報3fへのアクセスとなる。このため、URL2に含まれるパス名で示される情報(ファイル)が、情報提供装置1に存在さえすれば、WEBサーバ3eにおける通常のコンテンツ要求応答処理によって、コンテンツ要求に係るコンテンツ情報を無線通信端末10に送信できる。
【0060】
これに対し、本実施形態では、情報提供装置1がリダイレクト先として指定するURL2として、インターネット上に実在するコンテンツ情報のURLが設定されているため、無線通信端末10を、事後的に、インターネット上に実在するコンテンツ情報のURLへ誘導することが可能である。この誘導機能については、後述する。
【0061】
[2.6 ステップS6:コンテンツ情報表示]
情報提供装置1からコンテンツ情報が送信されてくると、無線通信端末10では、その内容が、WEBブラウザによって表示される。なお、無線通信端末10からは、WEBブラウザ等を利用して、情報提供装置1側へ情報を送信することもできる。
【0062】
また、無線通信端末10からコンテンツ要求した際に指定されたURL1や、リダイレクト先のURL2は、無線通信端末10のWEBブラウザのURL表示部において表示されるとともに、アクセス履歴保存機能によって、保存される。
なお、これらのコンテンツ情報表示機能は、一般的なWEBブラウザの標準的な機能である。
【0063】
以上のように構成された情報提供装置1によれば、無線通信端末10のユーザは、ネットワーク識別子を選択するだけで、情報提供装置1に接続でき、ブラウザを起動すれば,どのようなURL(URL1)を指定していても特定のURL(URL2)にガイドされ,ローカルコンテンツ(局所情報)である提供用コンテンツ情報にアクセスできる。
ローカルコンテンツとしては、周辺地図や、名所の案内、店のメニューと価格、売り出し商品の案内、クーポン券、講義資料など様々である。
また、無線通信端末のユーザは、単に、ローカルコンテンツを受け取るだけでなく、Blog等を用いれば、局所情報に対する感想やコメントなどを残すこともできる。
【0064】
ただし、これだけではインターネットと切り離された世界での通信で終わるため、広告として用いた場合、その価値は限定的となる。そこで、前述のように、端末10を誘導するURL(URL2)はインターネット上に実在するURLとなっている。これにより、ユーザは、インターネットにつながっている状況で、履歴からURLを探し、アクセスすると、今度はインターネット上の本来のホームページをアクセスすることができる。この仕組みにより,単に局所情報をローカルに流すだけではなく,インターネット上の特定のURLに誘導する効果が一気に高められる。
以下、特定のURLへの誘導について詳述する。
【0065】
[3.特定のURL(URL2)への誘導]
図4は、図3に示す処理によって、無線通信端末10を特定のURL(URL2)に誘導する原理(特定のURLを無線通信端末10に取得させる方法)を示している。
ここで、無線通信端末10を誘導したいURL(以下、「目的URL」という)は、インターネット上に実在するコンテンツ情報(店舗のホームページなど)の場所を示すURL(例えば、http://www.xyz.com/foo/index.html)であるものとする。
なお、インターネット上に実在するコンテンツ情報の場所を示すURLには、一般的なリダイレクト機能によってリダイレクトされるインターネット上のコンテンツ情報についての、リダイレクト前のURLを含むものとする。
【0066】
本実施形態に係る情報提供装置1では、誘導の目的URLが、図3のステップS5におけるリダイレクト先のURLである「URL2」として設定されている。
【0067】
この場合、無線通信端末10は、そのWEBブラウザに設定された初期URL等を「URL1」として、コンテンツ要求をするが、図3のステップS5において、目的URLであるURL2にリダイレクトされることになる。
つまり、無線通信端末10からコンテンツ要求を受けた情報提供装置1は、無線通信端末10がコンテンツ要求のために指定したURL1にかかわらず、情報提供装置1自身が保有する提供用コンテンツ情報(ローカルコンテンツ)を、誘導の目的URLであるURL2のコンテンツ情報として無線通信端末10に対して送信する。
【0068】
したがって、ローカルコンテンツを読み込んだ無線通信端末10のWEBブラウザは、誘導の目的URL(URL2)を、アクセス履歴情報として記憶する。つまり、無線通信端末10は、インターネット上の目的URLにあるコンテンツ情報に対して、実際にはアクセスすることなく、ローカルコンテンツ(提供用コンテンツ情報)にアクセスすることで、目的URLを取得する。
【0069】
その後、無線通信端末10がインターネット接続した場合、無線通信端末10のユーザは、当該無線通信端末10の履歴情報として保存されているURL2を選択し、コンテンツ要求を行うことで、インターネット上の目的URLへのアクセスを簡単に行うことができる。つまり、無線通信端末10のユーザは、目的URLをタイプすることなく、インターネット上の目的URLにアクセスすることができる。
【0070】
[4.カスタム版情報提供装置ソフトウェアの作成システム]
情報提供装置1は、各装置1ごとに異なる提供用コンテンツ情報を持つはずである。コンピュータ2を情報提供装置1として機能させるための共通のソフトウェア3b,3c,3d,3eと、個別の提供用コンテンツ情報と、に分けて提供するということが考えられる。しかし、この場合、情報提供者は、CD等の媒体を少なくとも2つ持たなければならず、煩雑である。
そこで、(OS+情報提供装置アプリケーションソフトウェア3b,3c,3d,3e+コンテンツ)を1枚のCD等の媒体に書き込み、その1枚のCDだけでコンピュータを起動させるのが簡便である。
以下、記録媒体に記録されるソフトウェア3a〜3fを統合したソフトウェアの作成システム100について説明する。
【0071】
図5は、ソフトウェアの作成システム(CDイメージ製造装置)100の処理を示している。この作成システム100は、情報提供装置1によって提供される提供用コンテンツ(ローカルコンテンツ)の情報提供者が、既に有するインターネット上のコンテンツ情報(店舗のホームページなど)を加工して、情報提供装置1によって提供されるローカルコンテンツとなる提供用コンテンツ情報を作成するとともに、情報提供装置1としてコンピュータを機能させるソフトウェア3b〜3eに必要な設定を行う。
【0072】
なお、この作成システム100は、コンピュータに、以下に説明するソフトウェア作成処理を実行させるコンピュータプログラムをインストールして構成されている。
また、情報提供装置1としてコンピュータを機能させるソフトウェア3b〜3eであって必要な設定がされていないもの、及び、オペレーティングシステム3aは、システム100の記録装置に記録されている。
【0073】
このシステム100は、情報提供者側のコンピュータ2との間で、インターネット等のネットワークを介して、ソフトウェア作成に必要な情報を取得して、ソフトウェア作成を行う。作成されるソフトウェアは、オペレーティングシステム3a、無線LANドライバ3b、コンテンツ提供処理部30を構成するソフトウェア(DHCPサーバ3c、DNSサーバ3d、WEBサーバ3e)、及び、WEBコンテンツ3fを統合したものである。
作成したソフトウェア(ISOイメージ)は、情報提供者側のコンピュータ2に送信される。
【0074】
具体的には、まず、システム100は、情報提供者側のコンピュータ2から、情報提供装置1が構成する無線LANにおいて使用するESSID(ネットワーク識別子)と、ローカルコンテンツの雛形となるコンテンツ情報であってインターネット上に実在するコンテンツ情報(以下、ターゲットコンテンツ情報)のURL(目的URL)と、を取得する(ステップS11)。
【0075】
続いて、システム100は、情報提供者側のコンピュータ2から指定された目的URLにアクセスして、インターネット上のターゲットコンテンツ情報をダウンロードする(ステップS12)。そして、システム100は、ダウンロードしたターゲットコンテンツ情報を加工して提供用コンテンツ情報を得る(ステップS13;加工ステップ)。この加工ステップでは、前記ターゲットコンテンツ情報に外部リンクが含まれていればその外部リンクを除去し、前記ターゲットコンテンツ情報に絶対リンク表記の内部リンクが含まれていればその内部リンクを相対リンク表記の内部リンクに書き換える。
また、システム100は、内部リンク先のコンテンツ情報も、ターゲットコンテンツ情報としてダウンロードし、内部リンク名に対応したパス名で、提供用コンテンツ情報として保存する。
つまり、指定された目的URLをトップページとするインターネット上の1個のホームページ全体が、その内部リンク構造を相対リンク表記で維持したまま、システム100に、提供用コンテンツ情報3fとして保存される。
【0076】
さらに、システム100は、ESSIDが未設定の無線LANドライバ3bに、ステップS11で取得したESSID(ネットワーク識別子)を設定した設定済み無線LANドライバ3bを生成する。また、システム100は、リダイレクト先のURL2が未設定のWEBサーバソフトウェア3eに、リダイレクト先のURL2として、ステップS11で取得した目的URLを設定した設定済みWEBサーバソフトウェア3eを作成する。
【0077】
そして、システム100は、システム100に格納されているオペレーティングシステム3a、設定済み無線LANドライバ3b、DHCPサーバ3c、DNSサーバ3d、設定済みWEBサーバ3e、及び提供用コンテンツ情報3fを統合したデータ(CDのisoイメージ)を生成する(ステップS14)。システム100は、このisoイメージを、情報提供者側のコンピュータ2に送信する(ステップS15)。情報提供者側のコンピュータ2では、そのisoイメージを、CD又はDVDなどの光ディスク(記録媒体)に書き込む。
【0078】
以上の手順によって、情報提供装置1に必要なソフトウェア3a〜3fを統合した記録媒体(CD)3が得られる。この記録媒体3は、その内容が、個々の情報提供者用にカスタマイズされたものであるため、情報提供者は、この記録媒体(CD)をコンピュータ2にセットするだけで、そのコンピュータ2を、所望のコンテンツを提供するための情報提供装置1とすることができる。
【0079】
また、提供用コンテンツ情報3fは、インターネット上に実在するコンテンツ情報(ホームページ)を、その内部リンク構造を維持したまま記録媒体3に記録したものとなっているため、無線通信端末10のユーザは、情報提供装置1に接続することで、インターネットに接続することなく、インターネット上に実在するコンテンツ情報(ホームページ)と同様の情報にアクセスすることができる。
【0080】
なお、システム100において記録媒体(CD,DVD,USBなど)の書き込みまで(ステップS16)を行い、その記録媒体を、情報提供者へ販売してもよい。
【0081】
[5.情報提供装置の利用形態]
本実施形態に係る情報提供装置1は、以下のように利用することができる。
1)位置依存情報提供:地図など位置に依存する情報を提供用コンテンツ情報とする(図6参照)。
2)店舗の広告:食堂、デパート、ゲームセンター、理髪店など、顧客が直接訪れる店舗において、クーポン券、目玉商品の宣伝、閉店・開店時間の案内、メニューなどの情報を提供用コンテンツ情報として、顧客に開示し店舗に誘導する(図6参照)。
3)移動体上の広告:インターネット接続を維持しにくいバスや電車等の移動体に情報提供装置1を搭載し、そこで広告を提供用コンテンツ情報として提供する。また、沿線の駅や店舗の情報や時刻表も提供用コンテンツ情報とすることができる。
【0082】
4)講義・講演の資料配布:講義や講演で聴衆がWiFi機器10を持っている場合には、情報提供装置1によって、講義資料を電子媒体で配布し、意見・質問・感想等をBlogで回収する。また、講義の場合、WiFi機器10から情報提供装置1へのアクセスログに基づいて、出席確認をとることができる。
5)電子回覧板:情報提供装置1によって、団地等での回覧板に代わる電子回覧板システムを構築できる。
6)無線ガイド:史跡や博物館の展示物等に関する説明を提供用コンテンツ情報とする。
7)順番管理:情報提供装置1によって、店の前にできる待ち行列や、テーマパークにおけるアトラクションの待ち行列の順序だけを管理し、実際に並ばなくても順序を管理してくれるシステムを構築することができる。
【0083】
[6.付記]
なお、本明細書の実施形態として開示した事項は、例示であって、本発明を限定するものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 情報提供装置
2 コンピュータ
3 USBメモリ(記録媒体)
3a オペレーティングシステム
3b 無線LANドライバ
3c DHCPサーバ
3d DNSサーバ
3e WEBサーバ
3f 提供用コンテンツ(Webコンテンツ)
10 無線通信端末(WiFi機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置が有するコンテンツ情報を無線通信端末に対して無線通信により提供する情報提供装置であって、
前記無線通信端末に対して提供される提供用コンテンツ情報を記憶する記憶部と、
前記無線通信端末がコンテンツ要求のために指定したURLにかかわらず、前記記憶部に記憶された提供用コンテンツ情報を、前記無線通信端末に提供する処理を行うコンテンツ提供処理部と、
を備えている情報提供装置。
【請求項2】
前記コンテンツ提供処理部は、前記記憶部に記憶した提供用コンテンツを、前記コンテンツ提供処理部が指定するURLを持つコンテンツ情報として前記無線通信端末に提供する処理を行うものであり、
前記コンテンツ提供処理部が指定するURLは、インターネット上に実在するコンテンツ情報のURLである請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記コンテンツ提供処理部は、前記無線通信端末がコンテンツ要求のために指定したURLを前記コンテンツ提供処理部が指定するURLにリダイレクトし、前記記憶部に記憶された提供用コンテンツ情報を前記コンテンツ提供処理部が指定するURLを持つコンテンツ情報として前記無線通信端末に対して送信する
請求項1又は2記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記コンテンツ提供処理部は、前記無線通信端末がコンテンツ要求のために指定したURLが示すパス名に相当するパス名で記憶された提供用コンテンツ情報が前記記憶部において存在する場合には、前記リダイレクトをすることなく、その提供用コンテンツ情報を前記無線通信端末装置に送信する
請求項3記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記コンテンツ提供処理部は、URLが示すドメイン名に対応するIPアドレスの問い合わせを前記無線通信端末から受けると、その問い合わせに係るドメイン名に対応するIPアドレスとして、前記情報提供装置のIPアドレスを返す手段を備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
無線通信機能を有するコンピュータを、請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
提供用コンテンツ情報と、
請求項6記載のコンピュータプログラムと、
を記録した記録媒体。
【請求項8】
更に、コンピュータのオペレーティングシステムとして機能するコンピュータプログラムを記録しており、
前記オペレーティングシステムは、コンピュータにインストールされることなく起動可能である
請求項7記載の記録媒体。
【請求項9】
無線通信機能を有するコンピュータを請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラム及び前記情報提供装置によって提供される提供用コンテンツの作成方法であって、
インターネット上のURLを持つターゲットコンテンツ情報を加工して前記提供用コンテンツ情報を得る加工ステップと、
前記ターゲットコンテンツ情報が存在する前記URLを、前記コンテンツ提供処理部が指定するURLとして前記コンピュータプログラムに設定するステップと、
を含み、
前記加工ステップでは、前記ターゲットコンテンツ情報に含まれる外部リンクを除去し、前記ターゲットコンテンツ情報に含まれる絶対リンク表記の内部リンクを相対リンク表記の内部リンクに書き換える
作成方法。
【請求項10】
無線通信機能を有するコンピュータを請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラム及び前記情報提供装置によって提供される提供用コンテンツの作成システムであって、
インターネット上のURLを持つターゲットコンテンツ情報を加工して前記提供用コンテンツ情報を得る加工手段と、
前記インターネット上の前記URLを、前記コンテンツ提供処理部が指定するURLとして前記コンピュータプログラムに設定する手段と、
を含み、
前記加工手段は、前記ターゲットコンテンツ情報に外部リンクが含まれていればその外部リンクを除去し、前記ターゲットコンテンツ情報に絶対リンク表記の内部リンクが含まれていればその内部リンクを相対リンク表記の内部リンクに書き換える
作成システム。
【請求項11】
コンピュータを、請求項10記載の作成システムとして機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
特定のURLへ誘導する方法であって、
無線通信端末が任意のURLを指定してコンテンツ要求をするステップと、
前記無線通信端末からコンテンツ要求を受けた情報提供装置が、前記無線通信端末がコンテンツ要求のために指定したURLにかかわらず、前記情報提供装置が保有する提供用コンテンツ情報を、前記情報提供装置が指定するURLを持つコンテンツ情報として前記無線通信端末に対して提供するステップと、
無線通信端末が、前記情報提供装置が指定するURLを保存するステップと、
を含み、
前記情報提供装置が指定するURLは、インターネット上に実在するコンテンツ情報のURLである
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−253293(P2011−253293A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125977(P2010−125977)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(504145283)国立大学法人 和歌山大学 (62)