説明

情報提供装置、情報提供サーバ、車両支援システム、ナビゲーション装置および充電ケーブル

【課題】電池切れしそうな車両を支援するシステムを提供すること。
【解決手段】情報提供装置は、車両の現在位置および車両が有する蓄電装置の蓄電量を、複数の車両から取得する情報取得部と、複数の車両のそれぞれの現在位置および蓄電量に基づいて、蓄電装置の充電を要する車両である充電対象車への充電電力を供給できる1以上の車両を、複数の車両の中から給電可能車として選択する車両選択部と、車両選択部が選択した給電可能車を通知する通知部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、ナビゲーション装置および充電ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電動車への給電技術として、下記特許文献1−7に記載の技術が知られている。また、車両の燃費を算出して表示する車両情報表示装置が知られている(例えば、下記特許文献8参照。)。
特許文献1 特開2000−102102号公報
特許文献2 特開2007−267561号公報
特許文献3 特開2010−110050号公報
特許文献4 特許第3919009号明細書
特許文献5 特開2010−79456号公報
特許文献6 特開2008−77267号公報
特許文献7 特開2007−252118号公報
特許文献8 特開2004−189144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両に搭載されたバッテリの残存容量が不足した場合、近くに充電スタンドがないときには、緊急車両を呼ぶ等する必要がある。このため、適時にバッテリを充電することができず極めて不便である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、情報提供装置であって、車両の現在位置および車両が有する蓄電装置の蓄電量を、複数の車両から取得する情報取得部と、複数の車両のそれぞれの現在位置および蓄電量に基づいて、蓄電装置の充電を要する車両である充電対象車への充電電力を供給できる1以上の車両を、複数の車両の中から給電可能車として選択する車両選択部と、車両選択部が選択した給電可能車を通知する通知部とを備える。
【0005】
情報取得部は、複数の車両のそれぞれの目的地を更に取得し、情報提供装置は、複数の車両のそれぞれの目的地、現在位置および蓄電量に基づいて、他車へ供給できる電力量である供給可能電力量を特定する電力量特定部をさらに備え、車両選択部は、充電を要する車両である充電対象車の蓄電装置に充電すべき充電電力量よりも供給可能電力量が大きい車両を、複数の車両の中から給電可能車として選択してよい。
【0006】
車両選択部は、充電対象車の現在位置および目的地、ならびに、複数の車両のそれぞれの現在位置および目的地に基づいて、充電対象車の将来位置から予め定められた距離以内の地点を通過する車両を、供給可能電力量が充電電力量よりも大きい車両の中から給電可能車として選択してよい。
【0007】
複数の車両のそれぞれの現在位置および目的地に基づいて、複数の車両のそれぞれの将来のルートを特定するルート特定部をさらに備え、車両選択部は、複数の車両のそれぞれの現在位置およびルート特定部が特定したルート、充電対象車の現在位置およびルート、ならびに予め算定された車両速度に基づいて、充電対象車の将来位置から予め定められた距離以内の地点を充電対象車と同時期に通過する車両を、供給可能電力量が充電電力量よりも大きい車両の中から給電可能車として選択してよい。
【0008】
通知部はさらに、特定されたルートが高速道路か一般道路かを判断した上で、給電可能車が充電対象車と同時期に通過する地点を通知してよい。
【0009】
ルートに対応づけて電力消費率の基準値を記憶する電力消費率記憶部をさらに備え、電力量特定部は、電力消費率記憶部が記憶している電力消費率の基準値、および、ルート特定部が特定したルートに基づいて、供給可能電力量を特定してよい。
【0010】
電力量特定部は、情報取得部が取得した現在位置および残存容量の履歴に基づいて複数の車両のそれぞれの電力消費効率を特定し、特定した電力消費効率、および、ルート特定部が特定したルートに基づいて、供給可能電力量を特定してよい。
【0011】
情報取得部は、通知部が通知した給電可能車のうち、充電対象車への充電電力の供給をすべき車両として充電対象車で選択された車両を示す選択情報を取得し、通知部は、選択情報が示す車両に、充電対象車によって選択された旨を通知する選択通知を送信してよい。
【0012】
通知部は、選択情報が示す車両に、充電電力の供給を依頼する旨を示す選択通知を送信し、情報取得部は、通知部が選択通知を送信した車両から、充電電力の供給を受諾する旨の受諾情報を受信し、情報提供装置は、受諾情報を送信した車両である電力供給車を識別する情報と、充電対象車を識別する情報とを対応づけて記憶する車両間充電情報記憶部をさらに備えてよい。
【0013】
通知部は、車両間充電情報記憶部が対応づけて記憶している一方の識別情報によって識別される車両に、他方の識別情報によって識別される車両の車種、車体色およびナンバープレート番号の少なくとも一つの情報を通知してよい。
【0014】
第1車両および第2車両に接続された充電ケーブルと通信して、第1車両と第2車両との間で車両間充電をしてよいか否かを示す情報を充電ケーブルに送信する認証部をさらに備え、認証部は、第1車両を識別する情報と第2車両を識別する情報とを車両間充電情報記憶部が対応づけて記憶している場合に、第1車両と第2車両との間で車両間充電をしてよい旨の情報を充電ケーブルに送信してよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、車両用のナビゲーション装置であって、車両の現在地および目的地を取得する情報取得部と、目的地、現在地および車両が有する蓄電装置の蓄電量に基づいて、他の車両に供給することができる電力量を算出する電力量特定部と、現在地および電力量特定部が算出した電力量を、外部の情報提供装置に送信する通信部と、情報提供装置から、蓄電装置の電力を用いて充電されるべき他の車両の情報を取得する他車情報取得部と、他の車両の情報を提示する提示部とを備える。
【0016】
本発明の第3の態様においては、車両が有する蓄電装置の充電用の充電ケーブルであって、それぞれ異なる車両に接続される第1接続口および第2接続口と、第1接続口および第2接続口にそれぞれ接続された第1車両および第2車両から、第1車両を識別する第1識別情報および第2車両を識別する第2識別情報を取得する識別情報取得部と、充電を要する蓄電装置を有する車両を識別する識別情報に対応づけて、当該蓄電装置への充電電力を供給すべき車両を識別する識別情報を記憶する情報提供装置と通信して、情報提供装置が第1識別情報に対応づけて第2識別情報を記憶しているか否かを判断する認証部と、認証部が、情報提供装置が第1識別情報に対応づけて第2識別情報を記憶している旨を判断した場合に、第1接続口および第2接続口を介して、第1車両が有する蓄電装置に、第2車両が有する蓄電装置からの電力を用いて充電する充電制御部とを備える。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係る車両支援システム50の全体構成を示す図である。
【図2】車両支援システム50のブロック構成の一例を示す図である。
【図3】車両10における処理の一例を示す図である。
【図4】車両支援サーバ20における処理の一例を示す図である。
【図5】電力消費効率に関するデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図6】合流地点の特定処理および車両の選択処理を模式的に示す図である。
【図7】充電対象車におけるナビゲーション画面の遷移例を模式的に示す図である。
【図8】給電可能車におけるナビゲーション画面の遷移例を模式的に示す図である。
【図9】充電電力の需給関係データの一例をテーブル形式で示す図である。
【図10】相手車両情報画面1000を模式的に示す図である。
【図11】充電ケーブル290のブロック構成の一例を模式的に示す図である。
【図12】充電ケーブル290の外観の一例を模式的に示す図である。
【図13】車両支援システムの変形例の全体構成を示す図である。
【図14】車両支援サーバ20aにおける処理の一例を示す図である。
【図15】連携サーバ25および車両支援サーバ20における通信シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、一実施形態に係る車両支援システム50の全体構成を示す。車両支援システム50は、複数の車両を支援するシステムを提供する。特に、車両支援システム50は、車両の充電を支援するシステムを提供する。車両支援システム50は、複数の車両10a〜d、車両支援サーバ20、移動体通信網30およびネットワーク40を備える。移動体通信網30は、携帯電話網等、データ通信および通話が可能な通信網であってよい。ネットワーク40は、インターネット等のコンピュータネットワークであってよい。
【0021】
なお、車両支援システム50を説明するに際して、車両10a〜dを、車両10と総称する場合がある。また、ここでは紙面の都合上、4台の車両10a〜dを例示したが、車両支援システム50は任意の数の車両を備えることができる。
【0022】
車両10は、それぞれ充放電可能なバッテリを搭載した車両とする。車両10は、搭載したバッテリからの電力を用いて駆動される。例えば、車両10は、バッテリからの電力を用いてモータ等を駆動することにより走行する。バッテリに蓄積された電気エネルギーを主に車両10の走行に利用するとして、本実施形態の車両支援システム50の機能および動作を説明する。しかしながら、車両10のバッテリに蓄電された電力エネルギーを、各車両10に搭載された空調機器、ライト等の照明機器およびナビゲーション装置等、他の電力機器を駆動するエネルギーとして利用してよい。
【0023】
車両10は、移動体通信網30およびネットワーク40を通じて、情報提供装置の一例としての車両支援サーバ20と通信する。車両10は、バッテリの残存容量、現在位置、目的地等の車両状況データを定期的に取得して、移動体通信網30を通じて車両支援サーバ20に送信する。車両支援サーバ20は、各車両10から受信した車両状況データに基づき、バッテリの充電を要する車両10を特定する。バッテリの充電を要する車両10を、充電対象車と呼ぶ場合がある。一例として、車両支援サーバ20は、受信したバッテリの残存容量では最寄りの充電スタンドまで走行を続けることができない車両を、充電対象車として特定する。ここでは、車両10aが、充電対象車として特定されたとする。
【0024】
車両支援サーバ20は、充電対象車を特定すると、車両10aのバッテリへの充電電力を供給できる余剰な残存容量を持つ車両10を特定する。充電電力を供給できる車両のことを給電可能車と呼ぶ。例えば、車両支援サーバ20は、車両10の車両状況データに基づき、将来、車両10aの半径5キロ以内に近づくことができ、かつ、余剰な残存容量を持つ車両10を、給電可能車として特定する。例えば、車両支援サーバ20は、車両10aの将来位置Pの近くに車両10aと同時期に到達する車両10bおよび車両10cを、車両10aに対する給電可能車として特定する。一方、車両支援サーバ20は、将来位置Pから遠ざかる車両10dを給電可能車としなくてよい。
【0025】
車両10bおよび車両10cを給電可能車とした場合、車両支援サーバ20は、車両10bおよび車両10cの現在位置等の情報を、車両10aに送信する。また、車両支援サーバ20は、車両10aの現在位置等の情報を、車両10bおよび車両10cに送信してもよい。そして、車両支援サーバ20は、車両10aの乗車人と、車両10bの乗車人または車両10cの乗車人との間のやりとりを仲介して、個人情報を直接やりとりさせることなく電力の需給関係の成立を支援する。需給関係が成立すると、車両支援サーバ20は、待ち合わせることができる地点を提示したり、相手車両の車種情報等を交換させたりして、速やかな合流を支援する。
【0026】
車両間でバッテリの充電が行われると、車両支援サーバ20は、車両10aの利用者が登録したクレジットカードでの決済処理を進める等して、充電電力量に応じて課金する。また、電力を提供した車両10の利用者には、充電電力量に応じたインセンティブを与える。例えば、車両支援サーバ20は、当該車両10の利用者が登録した口座を管理する銀行に対して充電電力量に応じた金額の振り込みを依頼したり、充電電力量に応じた価値を持つポイントを当該利用者に付与したりする。
【0027】
以上に説明した車両支援システム50によれば、バッテリ切れが生じそうな車両10に対して、残存容量が十分な近くの他の車両10を随時提示することができる。このため、バッテリ切れが生じそうになった場合でも、残存容量が十分な近くの車両10と速やかに合流して充電することができる。電力を提供した者は相応のインセンティブを得ることができるので、安心して電力を提供することができる。このため、電力を提供してくれる車両を手招きで呼び込んだりする場合と比べて、極めてスムーズに事を進めることができる。また、緊急車両等を呼ぶ羽目となる確率を著しく低減することができる。したがって、車両10の利用者は、バッテリの残存容量を気にすることなく気軽にドライブに出かけることができる。
【0028】
図2は、車両10および車両支援サーバ20のブロック構成の一例を、ネットワークおよび充電ケーブル290とともに示す。車両支援サーバ20は、通信部108、情報取得部100、解析部105、記憶部150、通知部160および認証部170を有する。車両10は、通信部208、自車情報取得部200、解析部205、記憶部250、他車情報取得部260、表示部270、バッテリ280、モータ282、ケーブル接続部292を含む。一実施形態において、通信部208、自車情報取得部200、解析部205、記憶部250、他車情報取得部260および表示部270の機能ブロックは、車載ナビゲーション装置として実装されてよい。また、当該機能ブロックは、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)が有しても良い。いずれの場合でも、診断装置204の機能ブロックは外付けの診断装置によって提供されてよい。
【0029】
充電ケーブル290は、車両10のトランク内等に格納することができ、車両10とともに運搬される。車両支援サーバ20が提供する車両支援サービスに加入すると、充電ケーブル290が車両10の利用者に供与または貸与される。バッテリ280は、蓄電装置の一例である。バッテリ280に蓄積された電気エネルギーは、モータ282に供給される。モータ282は当該電気エネルギーにより駆動され車両10を走行させる。バッテリ280としては、リチウムイオン電池、ニッケル・水素電池、鉛蓄電池、リチウム・空気電池等、種々の充電式電池を例示することができる。車両10用の蓄電装置としては、これらの充電式電池の他、キャパシタ、フライホイール、またはそれらを組み合わせた充放電可能な電源装置であれば、どのようなものであってよい。本実施形態では、蓄電装置の一例としてのバッテリ280、蓄電装置の蓄電量の一例としてバッテリ280の残存容量を用いて、車両支援システム50の機能および動作を説明する。
【0030】
車両10が有する自車情報取得部200は、自車状況データを取得する。自車情報取得部200は、入力部202、診断装置204および位置取得部206を含む。位置取得部206は、車両10の現在位置を取得する。位置取得部206は、GPS衛星からの電波信号を受信して現在位置を算出してよい。位置取得部206は、移動体通信網30を提供する基地局情報を取得して、現在位置を算出してもよい。また、位置取得部206は、地磁気を検出して方位を算出してよい。入力部202は、車両10の乗車人の操作に基づき、目的地、ルート内の中継地点等の種々の指示を取得する。乗車人としては、車両10の運転者および同乗者を含むことができる。入力部202としては、例えば、車載ナビゲーション装置のタッチパネル装置等の操作入力デバイス、音声入力デバイス等であってよい。診断装置204は、車載式故障診断システム(OBDシステム)にOBDコネクタを介して接続され、例えばECU等から診断データを取得することができる。診断装置204は、コントローラエリアネットワーク(CAN)を介して診断データを取得してもよい。診断データとしては、バッテリ280の残存容量、走行距離、車種情報、車体番号等を例示することができる。さらには、バッテリ280の残存容量に影響するデータとして、アクセル開度履歴、空調機器の使用履歴、ライトの使用履歴などの履歴情報を取得できるように構成してもよい。このように、自車情報取得部200は、車両10の現在位置および目的地、中継点、バッテリ280の残存容量、走行距離、車種情報、車体番号、各種履歴情報等を、自車状況データとして取得する。
【0031】
解析部205は、自車情報取得部200が取得した自車状況データを解析する。解析部205は、ルート特定部210及び電力量特定部220を含む。電力量特定部220は、目的地、現在地およびバッテリ280の残存容量に基づいて、他の車両10に供給することができる電力量である供給可能電力量を算出する。また、電力量特定部220は、目的地、現在地およびバッテリ280の残存容量に基づいて、不足する電力量である不足電力量を算出してもよい。具体的には、ルート特定部210は、自車情報取得部200が取得した現在位置、目的地、中継地点に基づき、ルートを特定する。そして、電力量特定部220は、ルート特定部210が特定したルート、車両10の電力消費率に基づき、供給可能電力量または不足電力量を算出する。電力量特定部220は、車両10の電力消費率を、走行距離およびバッテリ280の残存容量の履歴から算出することができる。電力量特定部220は、アクセル開度履歴、空調機器の使用履歴、ライトの使用履歴などの履歴情報履歴情報に更に基づいて、供給可能電力量または不足電力量を算出してよい。
【0032】
記憶部250は、自車情報取得部200が取得した自車状況データ、解析部205が解析した結果を記憶する。例えば、記憶部250は、車両10の車種情報および車体番号、車両10の現在位置および目的地、中継点、バッテリ280の残存容量、走行距離、ルート、電力消費率、供給可能電力量または不足電力量を記憶する。通信部208は、車両支援サーバ20との間でデータを送受信する。具体的には、通信部208は、記憶部250が記憶している情報を、移動体通信網30を通じて車両支援サーバ20に送信する。このように、通信部208は、現在地および電力量特定部220が算出した供給可能電力量または不足電力量を、外部の車両支援サーバ20に送信することができる。
【0033】
また、通信部208は、車両支援サーバ20から受信した給電可能車に関するデータを、他車情報取得部260に供給する。他車情報取得部260は、通信部208から供給されたデータから、給電可能車または充電対象車に関する情報を抽出する。
【0034】
例えば、自車が充電対象車である車両10aの場合、他車情報取得部260は、給電可能車である車両10bおよび車両10cの情報を抽出する。具体的には、他車情報取得部260は、車両支援サーバ20から、バッテリ280への充電電力を供給することができる他の車両10bおよび車両10cの情報を取得する。自車が給電可能車としての車両10bまたは車両10cである場合、他車情報取得部260は、充電対象車である車両10aの情報を抽出する。具体的には、他車情報取得部260は、車両支援サーバ20から、バッテリ280の電力を用いて充電されるべき他の車両10aの情報を取得する。
【0035】
他の車両10の情報としては、他の車両10の車種および車体色の他、他の車両10の現在位置、バッテリ280の残存容量等を例示することができる。すなわち、他車情報取得部260は、情報提供装置から、他の車両10の車種、車体色およびナンバープレート番号の少なくとも一つの情報を取得する。そして、表示部270は、他車情報取得部260が取得した情報を車両10の乗車人に提示する。具体的には、表示部270は、他車情報取得部260が取得した情報を表示デバイスに表示することにより、車両10の乗車人に提示する。表示部270は、車載ナビゲーション装置の表示デバイスであってよく、他の車両10の情報の他にも、地図情報等のナビゲーション情報を表示してよい。
【0036】
車両支援サーバ20において、通信部108は、移動体通信網30およびネットワーク40を介して、車両10が備える通信部208との間でデータを送受信する。例えば、通信部108は、車両10の車種情報および車体番号、車両10の現在位置および目的地、中継点、バッテリ280の残存容量、走行距離、ルート、電力消費率、供給可能電力量または不足電力量等の状況データを、移動体通信網30およびネットワーク40を介して、複数の車両10のそれぞれの通信部208から受信する。通信部108が取得した車両10の現在位置および目的地、中継点、バッテリ280の残存容量、走行距離、ルート、電力消費率、供給可能電力量または不足電力量のデータは、情報取得部100に供給される。これにより、情報取得部100は、車両10の現在位置および車両10が有するバッテリ280の残存容量、目的地を、複数の車両10のそれぞれから取得することができる。
【0037】
解析部105は、情報取得部100が取得した車両10のそれぞれの車両状況データを解析する。解析部105は、電力量特定部120、車両選択部130および合流地点特定部140を含む。
【0038】
電力量特定部120は、複数の車両10のそれぞれの目的地、現在位置および残存容量に基づいて、他車へ供給できる電力量である供給可能電力量を特定する。また、電力量特定部120は、複数の車両10のそれぞれの目的地、現在地および残存容量に基づいて、不足する電力量である不足電力量を特定する。具体的には、ルート特定部110が、複数の車両10のそれぞれの現在位置および目的地に基づいて、複数の車両10のそれぞれの将来のルートを特定する。ルート特定部110は、ルート特定部210と同様、中継地点に更に基づき、将来のルートを特定してもよい。なお、車両状況データに将来のルートが含まれている場合、ルート特定部110は、当該車両状況データに含まれる将来のルートを、対応する車両10の将来のルートとして特定してもよい。電力量特定部120は、ルート特定部110が特定した将来のルートおよび電力消費率に基づき、供給可能電力量または不足電力量を算出する。
【0039】
例えば、記憶部150は、ルートに対応づけて車種ごとの電力消費率の基準値を記憶しており、電力量特定部120は、記憶部150が記憶している電力消費率の基準値、および、ルート特定部110が特定したルートに基づいて、供給可能電力量または不足電力量を特定する。記憶部150は、電力消費率の基準値を記憶する電力消費率記憶部として機能することができる。なお、電力量特定部220は、電力消費率の基準値に替えて、または、電力消費率の基準値に加えて、車両10のそれぞれの実際の電力消費率を用いて、供給可能電力量または不足電力量を特定してもよい。例えば、電力量特定部120は、車両状況データに含まれる走行距離および残存容量の履歴から車両10のそれぞれの実際の電力消費率を算出してよい。このように、電力量特定部120は、情報取得部100が取得した現在位置および残存容量の履歴に基づいて複数の車両10のそれぞれの電力消費効率を特定し、特定した電力消費効率、および、ルート特定部110が特定したルートに基づいて、供給可能電力量を特定してよい。なお、車両状況データに電力消費率が含まれている場合は、当該車両状況データに含まれる電力消費率を、対応する車両10の電力消費率として特定してもよい。
【0040】
なお、情報取得部100が車両10から取得した車両状況データに供給可能電力量が含まれている場合、電力量特定部120は、当該車両状況データに含まれる供給可能電力量を、対応する車両10の供給可能電力量として特定してもよい。また、情報取得部100が車両10から取得した車両状況データに不足電力量が含まれている場合、電力量特定部120は、当該車両状況データに含まれる不足電力量を、対応する車両10の不足電力量として特定してもよい。
【0041】
車両選択部130は、充電対象車のバッテリ280に充電すべき充電電力量よりも供給可能電力量が大きい車両10を、複数の車両10の中から給電可能車として選択する。具体的には、車両選択部130は、充電対象車の現在位置および目的地、ならびに、複数の車両10のそれぞれの現在位置および目的地に基づいて、充電対象車の将来位置から予め定められた距離以内の地点を通過する車両10を、供給可能電力量が充電電力量よりも大きい車両10の中から給電可能車として選択する。
【0042】
例えば、合流地点特定部140は、複数の車両10のそれぞれの現在位置およびルート特定部110が特定したルート、充電対象車の現在位置およびルート、ならびに予め算定された車両速度に基づき、充電対象車の将来位置から予め定められた距離以内の地点を充電対象車と同時期に通過する車両10を特定する。当該充電対象車と同時期に通過する車両10が存在する場合、合流地点特定部140は、当該将来位置から予め定められた距離以内のエリアを、充電対象車および給電可能車が将来合流できる合流エリアとして特定する。なお、予め算定された車両速度とは、ルート毎に予め算定された車両速度の基準値であってよい。車両速度の基準値は、記憶部150が時間帯に対応づけて予め定め記憶してよい。また、予め算定された車両速度は、各ルートにおける現在の車両の平均速度であってよく、各ルートにおける将来の渋滞予測等に基づく車両の平均速度であってよい。
【0043】
そして、車両選択部130は、合流地点特定部140が特定した合流エリアを充電対象車と同時期に通過することが予測される車両10を、供給可能電力量が充電電力量よりも大きい車両10の中から給電可能車として選択する。このように、車両選択部130は、複数の車両10のそれぞれの現在位置およびルート特定部110が特定したルート、充電対象車の現在位置およびルート、ならびに予め算定された車両速度に基づき、充電対象車の将来位置から予め定められた距離以内の地点を充電対象車と同時期に通過する車両10を、供給可能電力量が充電電力量よりも大きい車両10の中から給電可能車として選択することができる。このように、車両選択部130は、複数の車両10のそれぞれの現在位置および残存容量に基づいて、充電対象車への充電電力を供給できる1以上の車両10を、複数の車両10の中から給電可能車として選択することができる。
【0044】
記憶部150は、解析部105において選択された給電可能車、充電対象車、不足電力量、給電可能電力量、合流エリアおよび残存容量、ならびに、車両10のそれぞれの現在位置を記憶する。通知部160は、車両選択部130が選択した給電可能車を通知する。具体的には、通知部160は、車両選択部130が選択した給電可能車の情報を、充電対象車に通信部108を通じて送信することにより、充電対象車の乗車人に通知する。また、通知部160は、車両選択部130が選択した給電可能車に、充電対象車の情報を通知してもよい。具体的には、通知部160は、充電対象車の情報を、通信部108を通じて給電可能車に送信することにより、給電可能車の乗車人に通知してよい。
【0045】
また、通知部160は、充電対象車および充電対象車の少なくとも一方に、合流エリアを示す情報を通知してもよい。具体的には、通知部160は、合流エリアを示す情報を、通信部108を通じて給電可能車および充電対象車の少なくとも一方に送信することにより、対応する車両の乗車人に通知してよい。このように、通知部160は、給電可能車が充電対象車と同時期に通過する地点を通知することができる。
【0046】
車両支援サーバ20によれば、各車両10の乗車人は、どのあたりで充電対象車または給電可能車と合流できるかを、予め知ることができる。このため、各車両10の乗車人は、望ましいエリアで合流できる車両を選択することができる。
【0047】
なお、車両支援サーバ20は、充電対象車の乗車人および給電可能車の乗車人にいずれの車両と待ち合わせをするかを選択させたり、スムーズに合流させるための情報を提供する。これらの情報の提供処理については後述する。充電対象車と給電可能車が合流して充電する場合、充電対象車および給電可能車の一方の充電ケーブル290を用いて互いのケーブル接続部292に接続することで、給電可能車のバッテリ280で充電対象車のバッテリ280を充電することができる。この場合、車両支援サーバ20が備える認証部170は、充電ケーブル290と通信し相互の車両10を認証して、予め需給関係が決められた正しい車両10同士であるか否かを認証する。本認証処理についても後述する。
【0048】
図3は、車両10における処理の一例を示す。S302において、入力部202は車両10の乗車人から目的地を取得する。例えば、入力部202は、出発時および出発後の任意のタイミングで目的地を取得することができる。目的地が取得されると、位置取得部206および診断装置204は、それぞれ現在位置および残存容量を取得する(S304)。S306において、ルート特定部210は、目的地までのルートを特定する。ルート特定部210は、現在位置から目的地を経由して帰宅するまでのルートを特定してよい。
【0049】
S308において、電力量特定部220は、ルートに従って現在位置から目的地まで走行した場合に消費される電力消費量を算出する。ここで、電力量特定部220は、ルートに従って現在位置から目的地まで走行し目的地から自宅に帰宅するまでの間に消費される電力消費量を算出してもよい。ここで、電力量特定部220は、現在位置から目的地を経由し自宅に至るまでのルートの間において直近の充電スタンドが存在する地点まで走行した場合の電力消費量を算出してもよい。これらのいずれの電力消費量を算出するかは、車両10の乗車人等によって予め設定されていてよい。
【0050】
S310において、電力量特定部220は、途中で電池切れが生じるか否かを判断する(S310)。具体的には、電力量特定部220は、現在の残存容量から電力消費量を減算した値を余剰電力量として算出して、当該余剰電力量が予め定められた値より小さいか否かを判断する。余剰電力量が予め定められた値より小さい場合に、バッテリ切れが生じると判断される。ここでの予め定められた値とは、予め定められたマージンとしての正のを符号を持つ値であってよい。
【0051】
S310において、電池切れが生じると判断された場合、電力量特定部220は、充電電力量を算出する(S322)。一例として、電力量特定部220は、S308で算出した電力消費量とマージンとを加算した値から、現在の残存容量を減算した値を、充電電力量として算出してよい。そして、S324において、車両支援サーバ20に既に充電対象車として登録されている場合(S324:YES)は、処理を終了する。自車が車両支援サーバ20に既に充電対象車として登録されていない場合(S324:NO)、車両10を充電対象車として車両支援サーバ20に登録するか否かを判断する(S326)。例えば、表示部270が当該問い合わせをするメッセージを表示して、充電対象車として登録するか否かを示す入力を乗車人から取得する。
【0052】
充電対象車として登録しない場合(S326:NO)、処理を終了する。充電対象車として登録する場合(S326:YES)、通信部208は、車両支援サーバ20に充電対象車として登録する旨のデータを送信する(S326)。この場合、通信部208は、S322で算出した充電電力量を、不足電力量として車両支援サーバ20に送信する。また、記憶部250は、充電電力量とともに、車両支援サーバ20への登録状態を記憶する。
【0053】
S310において、途中で電池切れが生じないと判断された場合、電力量特定部220は、供給可能電力量を算出する(S312)。一例として、電力量特定部220は、S308で算出した電力消費量とマージンとを加算した値を現在の残存容量から減算した値を、供給可能電力量として算出してよい。
【0054】
S314において、車両10を給電可能車として車両支援サーバ20に登録するか否かを判断する(S314)。例えば、表示部270が当該問い合わせをするメッセージを表示して、給電可能車として登録するか否かを示す入力を乗車人から取得する。給電可能車として登録しない場合(S314:NO)、処理を終了する。給電可能車として登録すべき場合(S314:YES)、通信部208は、車両支援サーバ20に給電可能車として登録する旨のデータ送信する(S316)。この場合、通信部208は、S312で算出した供給可能電力量を車両支援サーバ20に送信する。また、記憶部250は、供給可能電力量とともに、車両支援サーバ20への登録状態を記憶する。
【0055】
車両10は、以上の処理を目的地が変更される度に実行することができる。車両10は、中継地が変更された場合も、上述したように中継地を経由するルートで電力消費量を算出するとして、本フローと同様の処理を行うことができる。また、目的地および中継地点のいずれも変更されない場合でも、S304における現在地および残存容量を定期的に取得して、S304以降の処理を実行することができる。そして、充電電力量または供給可能電力量が前回登録した値から変わった場合は、車両支援サーバ20に登録し直すことができる。
【0056】
なお、本例では、車両10側で不足電力量および供給可能電力量を算出して車両支援サーバ20に登録するとしたが、車両10が不足電力量および供給可能電力量を送信することに替えて、現在地、中継地点、目的地、残存容量を車両支援サーバ20に定期的に送信してもよい。上述したように、車両支援サーバ20は、これらの車両状況データに基づき、本例で示した処理と同様の処理により、充電対象車および給電可能車のいずれに該当し得るかを判断し、不足電力量または供給可能電力量を算出することができる。車両支援サーバ20で本処理を行えば、車両10側での演算負荷を軽減することができる。また、車両支援サーバ20は、道路状況や給電スタンドの場所等のデータについて最新の状態に維持することが車両10に比べると容易である。このため、車両支援サーバ20において不足電力量および供給可能電力量を正しく算出することができる場合がある。
【0057】
図4は、車両支援サーバ20における処理の一例を示す。情報取得部100は、現在位置、中継地点および目的地を含む位置情報データと、バッテリ280の残存容量とを、車両10から定期的に取得する(S402)。S404において、ルート特定部110は、将来のルートを特定する(S404)。S404における処理は、図3のS306で算出した処理と同様の処理となる。
【0058】
S406において、解析部105は、充電対象車および給電可能車を特定する。例えば、解析部105は、図3のS308およびS310で示した方法と同様に、電力消費量および余剰電力量を算出しマージンと比較することで、充電対象車と給電可能車とに分類してよい。
【0059】
合流地点特定部140は、充電対象車および給電可能車の将来位置を将来の時刻毎に予測する(S408)。例えば、合流地点特定部140は、S404で特定したルートおよび平均速度に基づき、各車の将来位置を将来の時刻毎に予測することができる。S410において、車両選択部130は、各充電対象車に対してそれぞれ給電可能車を選択する。そして、通知部160は、給電可能車に充電対象車を通知するとともに(S412)、充電対象車に給電可能車を通知する(S414)。なお、S412において給電可能車に充電対象車を通知した場合に、給電可能車として通知されることを希望しない旨を受信した場合は、S414において当該車両を充電対象車に通知しなくてよい。
【0060】
図5は、記憶部150が格納している電力消費効率に関するデータの一例をテーブル形式で示す。記憶部150は、車種を識別する車種ID情報、車両10が走行可能な道路の区間を識別する区間ID情報、季節を示す季節情報、気候を示す気候情報および時間帯を示す時間帯情報に対応づけて、電力消費効率の基準値を記憶している。
【0061】
車種IDとしては、車両の形式を識別する情報を例示することができる。例えば、車両10が自動車である場合、形式指定番号等を車種IDとして例示することができるが、いわゆる車種による電力消費効率の差異を考慮し得る情報であれば、どのような情報であってもよい。
【0062】
区間IDとしては、ナビゲーションシステムにおけるルート計算や道路交通情報システム(VICS)等で用いる各道路区間を識別する情報であってよい。一般道路および高速道路が同一路線上にある場合でも、一般道路と高速道路とに異なる区間IDを割り当てられてよい。これにより、一般道路を走行する場合と高速道路を走行する場合とで電力消費効率の差異をきちんと考慮することができる。また、一般道路同士でも、高速道路同士でも、それらが異なるルートを形成する道路であれば、異なる区間IDを割り当てることができる。
【0063】
季節情報としては、四季を識別する情報を例示することができる。季節情報とは、一年の間における時間区分を識別する情報であれば、どのようなものであってもよい。例えば、季節情報として、第1四半期から第4四半期を識別する情報、月を識別する情報等を例示することができる。気候情報として、晴、雨および曇等の天候を識別する情報、気温および湿度等の測定可能な大気の物理量を識別する情報等を例示することができる。時間帯情報としては、朝、昼、夕および夜等の時間帯を識別する情報を例示することができる。時間帯情報とは、一日の間における時間区分を識別する情報であれば、どのようなものであってもよい。例えば、時間帯情報として、60分単位の時間区分を識別する情報等を例示することができる。
【0064】
電力消費率は、単位電力量あたりに車両が走行できる距離を表す数値であってよい。電力消費率の数値として、簡便には、10.15モード燃費に対する電力消費率の係数を例示することができる。この係数情報を単に用いた場合でも、例えば上り坂の区間と下り坂区間との間の電力消費率の差異を表現することができる場合がある。車両支援システム50によると、車両10の現在位置および残存容量等の電力消費率に係るパラメータを取得でき、また、車両10によっては電力消費率自体を取得することができる。このため、複数の車両からそれぞれ取得したパラメータから算出した電力消費率の平均値、または、複数の車両からそれぞれ取得した電力消費率の平均値を、電力消費率としてもよい。これにより、実地に即した電力消費率を得ることができる場合がある。
【0065】
電力量特定部120は、本例に示した情報を用いて、将来のルートを走行した場合の電力消費量を算出することができる。例えば、電力量特定部120は、車種情報に対応する車種ID、リンクに対応する区間ID、現在日時が属する季節、現在または将来の天候や気温に対応する気候、および、現在時刻または将来時刻が属する時間帯に対応づけて記憶されている電力消費率を選択する。電力量特定部120は、将来のルートを形成する1以上のリンクのそれぞれについて電力消費率を選択して、選択した電力消費率で対応するリンクの距離を除算する。電力量特定部120は、当該除算値を将来のルートを構成するリンクにわたって合計することで、電力消費量を算出することができる。
【0066】
図6は、合流地点特定部140および車両選択部130における処理内容を模式的に示す。本図においてEV1、EV2およびEV3の各マークは、それぞれ充電対象車である車両10a、給電可能車である車両10b、および、給電可能車である車両10cの位置を示す。本図の直線は各車両10が走行するルートを示す。黒塗りのマークは、現在の時刻t0における各車両10の位置、すなわち現在位置を表す。
【0067】
合流地点特定部140は、現在から車両10aがバッテリ切れとなるまでの期間を、一定期間毎に区分して各タイミングにおける車両10aの位置を予測する。例えば、合流地点特定部140は、将来時刻t1、将来時刻t2、将来時刻t3、将来時刻t4および将来時刻t5の各時刻における将来位置を算出する。合流地点特定部140は、現在の時刻および現在位置、車両10aの速度および将来時刻、ならびに将来のルートに基づき、各時刻における将来位置を算出することができる。上述したように、車両10aの速度として、ルートを形成するリンクにおける平均速度を用いることができる。
【0068】
車両10bおよび車両10cについても同様に、将来時刻t1、将来時刻t2、将来時刻t3、将来時刻t4および将来時刻t5の各時刻における将来位置をそれぞれ算出する。合流地点特定部140は、各将来時刻において、車両10aの位置から例えば半径5km圏内に将来位置が算出された他の車両10が存在する場合に、当該半径5km圏内のエリアを合流予想エリアとして特定する。車両選択部130は、当該合流予想エリア内の車両10を給電可能車として選択する。図示されるように本例では、将来時刻t3における車両10aの将来位置600から半径5km以内のエリア610内に、車両10bの将来位置および車両10cの将来位置が存在する。したがって、合流地点特定部140は、エリア610を合流予想エリアとして特定する。また、車両選択部130は、車両10bおよび車両10cを、給電可能車として選択する。
【0069】
本例では説明を簡単にするため、将来位置を1点で予測するとした。このため、将来位置から半径5km以内のエリアを設定するとすれば、半径5kmの円形のエリアが設定される。合流地点特定部140は、将来位置を1点ではなく、複数点または一定の長さの線分を形成する将来位置を予測してよい。例えば、合流地点特定部140は、平均速度に予め定められた誤差があることを考慮して、将来位置を予測してよい。具体的には、合流地点特定部140は、当該誤差に応じた長さの線分を形成する将来位置を予測してもよい。そして、合流地点特定部140は、将来位置を表す線分から予め定められた距離範囲内のエリアを設定してよい。
【0070】
なお、他の車両10の予測位置についても同様に、それぞれのルート上に線分を形成する将来位置を予測してもよい。この場合、車両選択部130は、車両10aの将来位置から設定されたエリアに少なくとも一部が重なる将来位置が予測された車両10を、給電可能車として選択してよい。
【0071】
また、平均速度の誤差の他、同一目的地または同一中継地点に到達するルートが複数存在する場合を考慮すれば、複数ルートのそれぞれのルート上でそれぞれ1点の将来位置を予測することもできる。また、複数ルートのそれぞれのルート上で、それぞれ上述の線分を形成する将来位置を予測することもできる。
【0072】
なお、半径5km圏内のエリアを設定するとしたが、半径5km圏内に限られず、任意の距離圏内のエリアを設定してよいことは言うまでもない。また、車両10aのエリア内であっても、互いに交わらないルートを走行する車両10については、給電可能車としての選択対象から除外する。例えば、車両10aのルートが一般道路で形成され、車両10cのルートが高速道路で形成されると仮定した場合、車両10aに対する給電可能車としての選択対象からは、車両10cを除外する。したがって、通知部160は、ルートが高速道路か一般道路かを判断した上で、給電可能車が充電対象車と同時期に通過する地点を通知することができる。
【0073】
本例で説明した合流地点特定部140および車両選択部130に係る処理によれば、いつ、どのエリアで落ち合うことができるかを予め予測できる。このため、待ち合わせるべきエリアを通り過ぎてしまうことを未然に防ぐことができる。したがって、車両支援システム50によれば、両者の待ち合わせ時間を短縮しつつ、確実に落ち合うことが可能になる。
【0074】
図7は、充電対象車におけるナビゲーション画面の遷移例を模式的に示す。本例は、車両10aが備える表示部270が表示するナビゲーション画面を例示する。ここでは、表示部270のうちの表示機能を提供する表示デバイスと、入力部202のうちのタッチ操作機能を提供する操作入力デバイスとが一体化されたタッチパネル構造を形成しているとする。
【0075】
マップ画面700において、自車位置オブジェクト705は、車両10aの進行方向および位置を表す表示オブジェクトである。合流予想エリア702は、図6に関連して説明した合流予想エリアを示すオブジェクトである。表示部270は、合流地点特定部140によって合流予想エリアが特定された場合、マップオブジェクト上に合流予想エリア702を重畳して表示する。表示部270は、合流予想エリア702を表示することによって、当該エリアで合流できそうな給電可能車が存在することを車両10aの乗車人に提示する。
【0076】
表示部270は、車両オブジェクト701aおよび車両オブジェクト701b、ならびに車両オブジェクト701cを、マップオブジェクト上に重畳して表示する。車両オブジェクト701a〜cは、バッテリ280の残存容量を示すオブジェクトとして表示される。これにより、車両オブジェクト701aで示される車両10よりも、車両オブジェクト701bで示される車両10の方が、残存容量が大きいことが一目で分かる。車両オブジェクト701aおび車両オブジェクト701bは、合流予想エリア702の近傍に表示される。これにより、車両10aの乗車人は、合流予想エリア702内で合流できる可能性が高い車両が2台存在することが一目で理解できる。また、車両オブジェクト701cの近傍には合流予想エリアは表示されていないので、当該車両とは合流できる可能性が低いことが一目で理解できる。
【0077】
車両10aの乗車人がマップ画面700上の合流予想エリア702をタッチすると、表示部270は、給電可能車の情報を一覧表示する車両情報画面710に遷移する。車両情報画面710では、タッチしたエリア内で合流できる給電可能車の情報が一覧表示される。車両情報画面710は、残量を示す車両オブジェクト701、残存容量の余剰度情報、急速充電の可否情報、ランク情報とともに、連絡ボタン711を含む。余剰度情報は、各車が備えるバッテリ280の残存容量の余剰度合いを示す。例えば、余剰度合いは、満充電した場合の蓄電電力量に対する給電可能電力量の割合を指標とすることができる。表示部270は、当該割合を示すマークで表示する。このため、車両10aの乗車人は、どれくらいの給電余力があるかを一目で理解できる。
【0078】
また、表示部270は、急速充電の可否情報として、相手車両との間で急速充電できる場合とできない場合とで異なるマークを表示する。尚、ここでの急速充電とは、一般的な急速充電に限定されず、通常充電時よりも充電電圧を高くするなどの方法によって、通常充電に対して短時間で充電を行うことの全般を指す。表示部270は、自車および相手車両の両車が急速充電に対応できることを条件として、急速充電が可である旨のマークを表示する。急速充電に対応できない場合としては、例えばバッテリ280自体が急速充電または急速放電に対応していない場合を例示することができる。他にも、急速充電に対応できない場合として、自車および相手車両の少なくとも一方が急速充電または急速放電を許可していない場合を例示することができる。また、急速充電に対応できない場合として、自車および相手車両のいずれも急速充電機能を持つ充電ケーブル290を運搬していない場合を例示することができる。車両10aの乗車人は、急速充電できるか否かを、本マークによって一目で理解することができる。
【0079】
表示部270は、ランク情報として、車両10の利用者の信頼度を示すマークを表示する。信頼度は、他車に電力を提供した回数である提供回数、他車に電力を提供した頻度である提供頻度、電力提供を受諾した回数で上記提供回数を除した値である提供確率、等を指標とすることができる。提供回数が多いほど、提供頻度が高いほど、提供確率が高いほど、高い信頼度が割り当てられるとしてよい。提供頻度とは予め定められた期間内で電力提供をした回数を指標としてよい。また、信頼度は、車両10の利用者が、他の利用者と接した際の印象に基づいて、他の利用者へ付与する主観的評価情報を指標としてもよい。なお、車両支援サーバ20は、車両10の利用者が車載ナビゲーション装置に入力した主観的評価情報を、車載ナビゲーション装置から取得してよい。また、車両支援サーバ20は、車載ナビゲーション装置の他、車両10の利用者が所持するスマートフォン、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ等に入力された主観的評価情報を取得してもよい。これらのランク情報は、車両支援サーバ20の記憶部150に記憶されていてよい。
【0080】
本例の車両情報画面710によれば、車両10aの乗車人は、ランク情報を参照して実際に給電を依頼する車両10を選択することによって、信頼性の高い相手を選択することができる。例えば、電力の提供経験が豊富であるか否か、最近頻繁に電力提供をしたか否か、または、一旦受諾すれば必ず待ち合わせ場所に来てくれるか否かを考慮に入れて、相手車両を選ぶことができる。また本ランク情報が相手に提示されることで、他車に電力提供することへの動機づけとなり得る。また、一旦受諾した場合には誠実に対応するようにし向けることができる。
【0081】
また、表示部270は、料金、急速充電した場合の所要時間、通常充電した場合の所要時間を表示する。料金は、不足電力量に電力単価を乗じることで算出してよい。各所要時間は、それぞれ不足電力量を急速充電した場合の所要時間、同不足電力量を通常充電した場合の所要時間とする。このため、車両10aの乗車人は、どれくらい課金され、充電の待ち時間がどれくらいかかるかを容易に理解することができる。
【0082】
連絡ボタン711aおよび連絡ボタン711bは、対応する車両10に連絡するためのボタンオブジェクトである。連絡ボタン711aの表示位置がタッチされると、対応する車両10bに電力提供を依頼する旨を車両支援サーバ20に送信する。車両支援サーバ20は、当該依頼を受信した場合に、充電対象車から依頼された旨を車両10bに通知する。このように、車両支援システム50によると、最初の連絡を車両支援サーバ20に依頼することができるので、いきなり直接にやりとりする場合と比較して両者の直接心理的負担を軽減することができる。
【0083】
マップ画面720は、給電可能車の乗車人が給電を受諾した場合のナビゲーション画面を示す。マップ画面720は、マップオブジェクトに自車位置オブジェクト725、合流予想エリア722、他車位置オブジェクト721を重畳して表示する。自車位置オブジェクト725は、車両10aの進行方向および位置を表す表示オブジェクトである。他車位置オブジェクト721は、給電を受諾した車両10bの進行方向および位置を表す表示オブジェクトである。合流予想エリア722は、図6に関連して説明した合流予想エリアを示す。本画面によれば、相手車両が現在どの位置に存在しどの方向に向かっているかを一目で判断することができる。このため、両者がすれ違ってしまう確率を低減することができる。
【0084】
図8は、給電可能車におけるナビゲーション画面の遷移例を模式的に示す。本例は、車両10bが備える表示部270が表示するナビゲーション画面を例示する。車両10bでも、車両10aと同様に表示部270と入力部202とがタッチパネル構造を形成しているとする。
【0085】
マップ画面800において、自車位置オブジェクト805は、車両10bの進行方向および位置を表す表示オブジェクトである。合流予想エリア802aは、図7の合流予想エリア702に対応する表示オブジェクトであり、図6に関連して説明した合流予想エリアを示す。表示部270は、合流地点特定部140によって合流予想エリアが特定された場合、マップオブジェクト上に合流予想エリア802aを重畳して表示する。表示部270は、合流予想エリア802aを表示することによって、当該エリアで合流できる可能性が高い充電対象車が存在することを、車両10aの乗車人に提示する。なお、本図において車両オブジェクト801bも、充電対象車として特定された車両を示す。当該車両とは合流予想エリア802bで合流できる可能性が高いことが一目で理解できる。
【0086】
表示部270は、車両オブジェクト801aおよび車両オブジェクト801bを、マップオブジェクト上に重畳して表示する。車両オブジェクト801は、バッテリ280の残存容量を示すオブジェクトとして表示する。これにより、どれぐらい残存容量が少ないかを一目で理解することができる。
【0087】
図7の車両情報画面710に関連して説明したように、充電対象車である車両10aの乗車人が連絡ボタン711aをタッチすると、車両支援サーバ20の通知部160は、充電対象車から充電電力の供給を依頼された旨を選択された車両10bに通知する。具体的には、車両支援サーバ20の情報取得部100は、通知部160が通知した給電可能車のうち、充電対象車への充電電力の供給をすべき車両として充電対象車で選択された車両10を示す選択情報を取得する。そして、通知部160は、選択情報が示す車両10bに、充電対象車によって選択された旨を通知する選択通知を送信する。具体的には、通知部160は、選択情報が示す車両10に、充電電力の供給を依頼する旨を示す選択通知を送信する。
【0088】
車両10bの他車情報取得部260が当該選択通知を受信すると、表示部270は、選択通知を送信した車両10aに対応する車両オブジェクト801aをマップ画面810内に残したまま、車両オブジェクト801bを消去する。これにより、車両10bの乗車人は、車両オブジェクト801aで示される車両10aから連絡があったしたことを一目で理解することができる。また、表示部270は、本図に例示するように、連絡サブ画面812および受諾ボタン811をマップ画面810に重畳表示する。なお、連絡サブ画面812および受諾ボタン811を表示することで自車位置オブジェクト805および合流予想エリア802aの位置関係が隠れたりしないよう、画面をシフトまたは縮小表示して、自車位置オブジェクト805および合流予想エリア802aが表示された状態を維持してよい。
【0089】
連絡サブ画面812には、連絡してきた車両10aに関する情報が含まれる。連絡サブ画面812には、一例として充電量情報、所要時間情報、報酬情報、ランク情報とともに通話ボタン813を含む。充電量は、車両10aの不足電力量に該当する。所要時間情報には、充電に要する予測時間および充電モードを含む。報酬情報には、充電量情報で示した電力量を提供して得られる報酬額を含む。ランク情報は、車両10aの利用者のランク情報である点を除き、図7に関連して説明したランク情報と同じであるので、詳細な説明を省略する。通話ボタン813は、車両10bの乗車人が車両10aと通話を欲する場合に選択することができる。通話ボタン813がタッチされると、車両10bの通信部208から移動体通信網30を介して車両10aの通信部208へ発呼され、相互の通話が可能となる。これにより、車両10aの乗車人に充電条件の詳細を問い合わせたり、細部を詰めることができる。
【0090】
車両10aからの依頼を受諾する場合、車両10bの乗車人が受諾ボタン811をタッチすると、車両10bの通信部208は、車両支援サーバ20に給電を受諾した旨を送信する。すなわち車両支援サーバ20の情報取得部100は、通知部160が選択通知を送信した車両10bから、充電電力の供給を受諾する旨の受諾情報を受信する。なお、受諾情報を受信した場合、車両支援サーバ20の記憶部150は、受諾情報を送信した車両10bである電力供給車を識別する情報と、充電対象車を識別する情報とを対応づけて記憶する。記憶部150に記憶される情報は、充電ケーブル290を用いて実際に充電をする場合に認証に利用される。詳細については後述する。車両支援サーバ20は、車両10bの乗車人が充電電力の供給を受諾した旨を車両10aに送信する。
【0091】
マップ画面820は、車両10bの乗車人が給電を受諾した場合のナビゲーション画面を示す。表示部270は、マップオブジェクト上に、自車位置オブジェクト825、合流予想エリア822、他車位置オブジェクト821を重畳して表示する。自車位置オブジェクト825は、車両10bの進行方向および位置を表す表示オブジェクトである。他車位置オブジェクト821は、充電対象車である車両10aの進行方向および位置を表す表示オブジェクトである。合流予想エリア822は、合流予想エリア802aに対応する合流予想エリアを示す。車両10aへの給電を受諾した状態であるので、表示部270は、マップ画面800に表示した合流予想エリア802bを表示しない。本画面によれば、相手車両が現在どの位置に存在しどの方向に向かっているかを一目で判断することができる。このため、両者がすれ違ってしまう確率を低減することができる。
【0092】
図9は、記憶部150が記憶する充電電力の需給関係情報の一例をテーブル形式で示す。図8に関連して説明したように、車両10bの乗車人が車両10aのバッテリ280への給電を受諾すると、車両支援サーバ20は、車両10bを電力供給車として管理する。具体的には、記憶部150は、電力供給車としての車両10bを識別する情報と、充電対象車である車両10aを識別する情報とを対応づけて記憶する。より具体的には、記憶部150は、電力供給車としての車両10bを識別する情報と、充電対象車である車両10aを識別する情報とを、充電電力量に対応づけて記憶する。なお、車両10を識別する情報としては、診断データに含まれる車体番号を例示することができる。記憶部150は、他にも、充電電力量、急速充電するか否か等を特定する情報を記憶してもよい。
【0093】
図10は、ナビゲーション画面の一例としての相手車両情報画面1000を模式的に示す。ここでは、車両10bの表示部270が表示するナビゲーション画面を例示する。本例の相手車両情報画面1000は、車両10aと車両10bとの待ち合わせをスムーズに進めるために参照することができる。車両10bの表示部270は、車両10bの乗車人が車両10aを発見し易いよう、車両10aをのイメージ画面を表示する。
【0094】
相手車両情報画面1000において、ナンバーオブジェクト1020は、ナンバープレートを表すオブジェクトである。ナンバープレートとは、車両10が登録自動車である場合は自動車登録番号標であり、車両10が軽自動車、自動二輪車等他の自動車である場合は車両番号標である。車種情報オブジェクト1030は、車体色および車種を表すオブジェクトである。車両オブジェクト1010は、車両10aの車体イメージを表すオブジェクトである。通話ボタン1040は、車両10bの乗車人と通話連絡するためのボタンオブジェクトである。
【0095】
車両支援サーバ20は、車両10aから車種、車体色およびナンバープレート番号を特定する情報を予め取得して記憶部150に予め記憶しておく。車両支援サーバ20は、車両10aの車種、車体色およびナンバープレート番号を特定する情報を記憶部150から読み出して車両10bに送信する。表示部270は、車両支援サーバ20から送信されたナンバープレート番号に基づくナンバーオブジェクト1020を表示する。また、表示部270は、車両支援サーバ20から送信された車体色および車種情報に基づく車種情報オブジェクト1030を表示する。車種情報オブジェクト1030には、車体色を文字で表すテキストイメージと、車種を文字で表すテキストイメージとが含まれる。
【0096】
また、表示部270は、車両支援サーバ20から送信された車種および車体色に基づく車両オブジェクト1010を表示する。具体的には、表示部270は、車種情報が示す車両の車体形状を表す車体形状オブジェクトを車体色で着色した車両オブジェクト1010を表示してよい。なお、車両オブジェクト1010は、車両支援サーバ20が生成して車両10bに送信してもよく、車両10bにおいて生成されてもよい。また、車両オブジェクト1010の画像は、車両10aそのものを撮像した撮像画像であってよい。例えば、車両支援サーバ20が、車両10aから当該撮像画像を予め取得して記憶部150に記憶していてよい。車両支援サーバ20は、当該撮像画像を車両10bに送信することで、車両10bの乗車人に車両10aの撮像画像を提示してよい。
【0097】
表示部270が車両オブジェクト1010を表示するので、車両10aが近くを通過した場合には、車両10bの乗車人は一目でそのことに気付くことができる。仮に同車種の同色の他の車両や似した車両が近くを通過した場合でも、車両10bの乗車人はナンバーオブジェクト1020の情報に基づき、車両10aであるか否かを確実かつ速やかに判断することができる。相手車両情報画面1000において通話ボタン813がタッチされると、車両10bの通信部208から移動体通信網30を介して車両10aの通信部208へ発呼され、相互の通話が可能となる。これにより、相互に詳細な待ち合わせ位置を問い合わせたりすることができ、スムーズに落ち合うことができる。
【0098】
図11は、充電ケーブル290のブロック構成の一例を車両10とともに模式的に示す。本例の充電ケーブル290は、車両同士を接続して、一方の車両10が有するバッテリ280を、他方の車両10が有するバッテリ280から充電することができる。充電ケーブル290は、いわゆる車両対車両間の充放電用の充電ケーブルを提供する。充電ケーブル290は、接続口1180aおよび接続口1180b、導電線1170、昇圧部1130、スイッチ部1140、充電制御部1120、充電情報取得部1100、ユーザ入力部1106、認証部1110および表示部1150を備える。
【0099】
接続口1180aと接続口1180bとは、それぞれ互いに異なる車両10に接続される。ここでは、接続口1180aは車両10aのケーブル接続部292に接続され、接続口1180bは車両10bのケーブル接続部292に接続される。充電ケーブル290は、車両10bが有するバッテリ280に蓄積された電気エネルギを接続口1180bで受け取る。スイッチ部1140が閉である場合、接続口1180bで受け取った電気エネルギーは導電線1170を通じて導電線1170に伝達され、接続口1180aを介して車両10aへと伝達される。接続口1180aおよび接続口1180bは、接触式コネクタまたは非接触式コネクタを介して、それぞれ車両10aおよび車両10bと結合されてよい。昇圧部1130は、導電線1170に設けられ、充電制御部1120の制御により、接続口1180bで生じた電圧を昇圧して接続口1180aに伝達する。スイッチ部1140は、充電制御部1120の制御により開閉制御される。
【0100】
充電情報取得部1100は、識別情報取得部1102および電圧取得部1104を有する。識別情報取得部1102および電圧取得部1104は、車両10aおよび車両10bと通信することができる。本通信は、電力線通信により実現されてよく、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により実現されてよい。識別情報取得部1102は、接続口1180aおよび接続口1180bにそれぞれ接続された車両10aおよび車両10bから、車両10aを識別する第1識別情報および車両10bを識別する第2識別情報を取得する。識別情報取得部1102が取得した第1識別情報および第2識別情報は、認証部1110に供給される。通信部1190は、移動体通信網30を介して車両支援サーバ20の通信部108と通信することができる。認証部1110は、通信部1190を介して車両支援サーバ20と通信する。
【0101】
認証部1110は、車両支援サーバ20と通信して、車両支援サーバ20が第1識別情報に対応づけて第2識別情報を記憶しているか否かを判断する。具体的には、認証部1110は、車両支援サーバ20と通信して、第1識別情報に対応づけて第2識別情報を記憶しているか否かを判断させ、判断結果を取得する。より具体的には、認証部1110は、第1識別情報および第2識別情報を車両支援サーバ20に送信して、車両支援サーバ20が第1識別情報に対応づけて第2識別情報を記憶しているか否かを示す判断結果を取得する。既に説明したように、車両支援サーバ20は、充電を要するバッテリ280を有する車両10aを識別する識別情報に対応づけて、当該バッテリ280への充電電力を供給すべき車両10bを識別する識別情報を記憶部150に記憶している。車両支援サーバ20では、通信部108が第1識別情報および第2識別情報を受信した場合、認証部170は、記憶部150が第1識別情報に対応づけて第2識別情報を記憶しているか否かを判断する。記憶部150が第1識別情報に対応づけて第2識別情報を記憶していない場合、通信部108を介して判定結果「否」を示す正否情報を充電ケーブル290に送信する。記憶部150が第1識別情報に対応づけて第2識別情報を記憶している場合、通信部108を介して判定結果「正」を示す正否情報を、充電電力量とともに充電ケーブル290に送信する。なお、通信部108は、急速充電の可否、充電電力量に応じた料金情報を示す情報を充電ケーブル290に送信してよい。
【0102】
このように、認証部170は、車両10aおよび車両10bに接続された充電ケーブル290と通信して、車両10aと車両10bとの間で車両間充電をしてよいか否かを示す情報を充電ケーブル290に送信する。具体的には、認証部170は、車両10aを識別する情報と車両10bを識別する情報とを記憶部150が対応づけて記憶している場合に、車両10aと車両10bとの間で車両間充電をしてよい旨の情報を充電ケーブル290に送信する。
【0103】
通信部1190で受信した正否情報が「否」を示す場合、認証部1110は、車両間充電を認証できなかった旨を表示部1150に表示させる。そして、充電制御部1120は、スイッチ部1140を開状態に維持する。通信部1190で受信した正否情報が「正」を示す場合、認証部1110は、認証された旨を表示部1150に表示させる。そして、認証部1110は、充電電力量、充電電力量に応じた料金および充電所用時間を表示部1150に表示させる。そして、ユーザ入力部1106等を通じて充電を開始すべき指示を受け取ると、充電制御部1120はスイッチ部1140を閉状態にして充電を開始する。
【0104】
設定された充電電力量の充電が完了すると、充電制御部1120は、スイッチ部1140を開にして充電を終了する。その後に通信部1190は、充電完了を通知してよい。例えば、通信部1190は、車両支援サーバ20、車両10a、車両10b、および車両10aの乗車人が所持する携帯電話、車両10bの乗車人が所持する携帯電話の少なくともいずれかに、充電完了を通知してよい。車両支援サーバ20に充電完了が通知した場合、車両支援サーバ20は移動体通信網30を通じて車両10の乗車人が所持する携帯電話に充電完了を通知してよい。また、車両10が備えるナビゲーション装置に充電完了が通知されてもよい。充電情報取得部1100と同様に、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により充電完了が通知されてよい。車両10の乗車人が所持する携帯電話には、Bluetooth(登録商標)および移動体通信網30の少なくとも一方を通じて、充電完了が通知されてよい。
【0105】
このように、充電制御部1120は、上記正否情報が「正」である場合に、接続口1180aおよび接続口1180bを介して、車両10aが有するバッテリ280に、車両10bが有するバッテリ280からの電力を用いて充電する。すなわち、充電制御部1120は、認証部170が、情報提供装置が第1識別情報に対応づけて第2識別情報を記憶している旨を判断した場合に、接続口1180aおよび接続口1180bを介して、車両10aが有するバッテリ280に、車両10bが有するバッテリ280からの電力を用いて充電する。
【0106】
本制御によれば、充電ケーブル290によって充電される車両10と当該車両10に給電しようとしている車両10とが、車両支援サーバ20を通じてきちんと対応づけられた車両10同士であるかを、事前にチェックすることができる。このため、車両10を誤って接続し充電してしまうことを未然に防ぐことができる。
【0107】
なお、電圧取得部1104は、車両10aと通信して、車両10aが有するバッテリ280の充電電圧を取得する。具体的には、電圧取得部1104は、車両10aが有するバッテリ280を急速充電するのに要する充電電圧である急速充電電圧を取得する。また、電圧取得部1104は、車両10aが有するバッテリ280を通常充電するのに要する充電電圧である通常充電電圧を取得する。充電制御部1120は、電圧取得部1104が取得した充電電圧に従って、昇圧部1130の動作を制御する。具体的には、充電制御部1120は、車両10aのバッテリ280を急速充電する場合に、接続口1180bで生じた電圧が当該急速充電用の充電電圧より低いときは、接続口1180bで生じた電圧を急速充電電圧まで昇圧する。なお、充電制御部1120は、車両10aのバッテリ280を通常充電する場合には、通常充電圧になるよう昇圧部1130の昇圧動作を制御する。なお、昇圧部1130は、目標電圧よりも10%程度高い電圧にまで昇圧してもよい。このように、昇圧部1130は、車両10bが有するバッテリ280からの電力を、電圧取得部1104が取得した充電電圧に昇圧して車両10aが有するバッテリ280に供給する。
【0108】
図12は充電ケーブル290の外観の一例を模式的に示す。本図は特に、充電ケーブル290が備える制御ボックス1200付近を例示する。制御ボックス1200にはケーブル1210が連結される。ケーブル1210内には、導電線1170が含まれる。制御ボックス1200は、図11に関連して説明した昇圧部1130、スイッチ部1140、充電制御部1120、充電情報取得部1100、ユーザ入力部1106、認証部1110および表示部1150が実装される。制御ボックス1200には、表示部1150の一部としてのモニタ部1230が、ユーザに視認可能な位置に設けられる。また、制御ボックス1200には、ユーザ入力部1106の一部としてのスイッチ1240が、ユーザからの操作入力可能な位置に設けられる。
【0109】
図示されるように、モニタ部1230は、充電電力量、料金、および充電所用時間を表示する。車両10aの乗車人および車両10bの乗車人は、モニタ部1230に表示された情報により、充電内容をお互いに確認することができる。そして、スイッチ1240を押下することで、充電制御部1120の制御に従って充電が開始される。
【0110】
以上の説明では、バッテリ280に蓄積されたエネルギーを主に車両10の走行に利用するとして、本実施形態の車両支援システム50の機能および動作を説明した。しかしながら、車両10のバッテリ280は、走行用のモータ282に電力エネルギーを供給しなくてもよい。例えば、バッテリ280は、走行用のモータ282以外の電力負荷、例えば空調機器、ライトおよびナビゲーション装置等に、電力エネルギーを供給するバッテリであってよい。車両10はモータ282を有さなくても良い。また、車両10としては、自動車、軽自動車、自動二輪車等を例示することができるが、車両10は電気自動車に限られない。例えば、車両10として、内燃機関も備えるいわゆるハイブリッド車を含むことができる。車両10は、内燃機関の他、燃料電池等の他の動力源を備えることもできる。その他、車両10は、バッテリ280を備えて人物を運搬できる車両であれば、どのような車両をも含むことができる。例えば、車両10として、電車、電動バイク、電動自転車等を例示することもできる。電車としての車両10は、バッテリ280だけでなく架線等から電力供給を受けてもよい。また、車両10は、電動アシストバイク、電動アシスト自転車であってもよい。なお、以上に説明した車両支援サーバ20が有する一部または全ての機能ブロックを、車両10が有してよい。例えば、車両支援サーバ20が有する一部または全ての機能ブロックを、車両10が備える車載ナビゲーション装置が有しても良い。また、以上の説明では、バッテリーの残存容量が不足した車両10が、他の車両10から電力の供給を得るに至る例を示したが、バッテリーの残存容量が不足した車両10の現在位置情報に基づいて、最寄の充電スタンドの位置、あるいは、充電設備を備える最寄の住宅の位置などを案内する機能を有しても良い。尚、以上の説明における表示、あるいは提示について、音声出力による乗車人への伝達を併用しても良く、また、可能なものについては、音声出力のみによって乗車人へ伝達しても良い。
【0111】
図13は、車両支援システムの変形例の全体構成を、ブロック構成とともに示す。車両支援システム1350は、複数の車両10a〜l、複数の車両支援サーバ20a〜d、移動体通信網30およびネットワーク40を備える。連携サーバ25は、通信部1308、充電対象車情報取得部1310、車両選択制御部1300、給電可能車情報取得部1320、給電可能車情報通知部1330、および、記憶部1340を有する。車両選択制御部1300は、地点特定部1302および選択制御部1304を有する。
【0112】
車両支援システム1350が備える構成要素のうち、図1から12に関連して説明した車両支援システム50が備える構成要素と同様の機能および動作をする構成要素については、同じ符号が付されている。ここでは、車両支援システム50に対する相違点を中心に、車両支援システム1350の各構成要素の機能および動作を説明する。
【0113】
車両支援サーバ20aは、図1から図12に関連して説明した車両支援サーバ20に対応する。車両支援サーバ20aは、車両支援サーバ20と同様の構成要素を有する。車両支援サーバ20aは、予め定められた車両群1390aに属する車両10a〜dを支援するよう定められている。例えば、車両支援サーバ20aは、車両群1390aに属する車両10a〜dから位置情報、バッテリの残存容量、ルートの情報等を取得する。そして、車両支援サーバ20aは、車両群1390aに属する車両10a〜dの中から、それぞれ充電対象車および給電可能車を選択する。
【0114】
また、車両支援サーバ20bおよび車両支援サーバ20cは、車両群1390aとは異なる車両群に属する車両10の中から位置情報、バッテリの残存容量、ルートの情報等を取得して、充電対象車および給電可能車を選択する。具体的には、車両支援サーバ20bは、車両群1390bに属する車両10e〜hの中から充電対象車および給電可能車を選択する。車両支援サーバ20cは、車両群1390cに属する車両10i〜lの中から充電対象車および給電可能車を選択する。このように、車両支援サーバ20a〜cは、それぞれ予め定められた車両群の中から供給可能車を選択する。この点を除いて、車両支援サーバ20は互いに同様の機能および動作を有する。車両支援システム1350の説明において、車両支援サーバ20a〜cを車両支援サーバ20と総称する場合がある。
【0115】
車両支援システム1350の説明において、車両支援サーバ20a〜cが備える構成要素は符号の添え字a〜cで識別される。例えば、車両支援サーバ20aは、車両選択部130aを有する。同様に、車両支援サーバ20bおよび車両支援サーバ20cは、それぞれ車両選択部130bおよび車両選択部130cを有する。
【0116】
車両支援システム1350において、車両支援サーバ20a〜cは、それぞれ互いに異なる車両群1390が割り当てられている。例えば、車両10のメーカ毎に車両群1390に分けられている。そして、車両支援サーバ20a〜cは、メーカ毎に運用される。車両支援サーバ20は、同一メーカの車両10を給電可能車として優先的に選択するが、割り当てられた車両群1390の中に適切な給電可能車がみつからなかった場合には、連携サーバ25を介して、他の車両支援サーバ20から給電可能車を選択してもらう。車両支援サーバ20a〜cおよび連携サーバ25には、情報、機能等を外部に提供するためのAPIが用意されている。
【0117】
車両支援サーバ20aは、車両選択部130aが、充電対象車への充電電力を供給できる1以上の車両10を、それぞれの車両支援サーバ20に対応する車両群1390aの中から給電可能車として選択することができなかった場合に、充電対象車の現在位置および蓄電量を連携サーバ25に送信する。充電対象車の現在位置および蓄電量を示す情報は、通信部108aを介して、連携サーバ25の通信部1308により受信される。
【0118】
充電対象車情報取得部1310は、車両支援サーバ20aから、充電対象車の現在位置および蓄電量を取得する。例えば、充電対象車情報取得部1310は、通信部1308を介して、車両支援サーバ20aから充電対象車の現在位置および蓄電量を取得する。車両選択制御部1300は、充電対象車の現在位置および蓄電量に基づいて、充電対象車が有する蓄電装置への充電電力を供給できる給電可能車を、複数の車両支援サーバ20のうちの他の車両支援サーバ20b、20cに選択させる。
【0119】
また、連携サーバ25は、充電対象車の目的地を考慮して、車両支援サーバ20b、車両支援サーバ20cに給電可能車を選択させてもよい。充電対象車情報取得部1310は、充電対象車の現在位置および蓄電量目的地を、車両支援サーバ20aから取得してよい。そして、車両選択制御部1300は、充電対象車の現在位置、蓄電量および目的地に基づいて、給電可能車を他の車両支援サーバ20b、20cに選択させてよい。
【0120】
具体的には、地点特定部1302は、充電対象車の現在位置、蓄電量および目的地に基づいて、充電対象車が到達することができる地点を特定する。地点特定部1302は、現在位置と目的地とから予測されるルート情報、各ルートにおける燃費情報等に基づいて、充電対象車が到達できる地点を特定してよい。ルート情報、燃費情報等は、記憶部1340に記憶されていてよい。
【0121】
そして、選択制御部1304は、地点特定部1302が特定した地点を他の車両支援サーバ20に通知して、当該地点で充電対象車への充電電力を供給できる給電可能車を、他の車両支援サーバ20b、20cに選択させる。例えば、選択制御部1304は、給電可能車情報取得部1320に、到達することができる地点を通知させ、給電可能車の情報を取得させる。
【0122】
給電可能車情報取得部1320は、他の車両支援サーバ20b、20cにより選択された給電可能車を特定する情報を、他の車両支援サーバ20b、20cから取得する。そして、給電可能車情報通知部1330は、給電可能車情報取得部1320が取得した給電可能車を、車両支援サーバ20aに通知する。具体的には、給電可能車情報通知部1330は、通信部1308を介して車両支援サーバ20aに給電可能車を通知する。連携サーバ25によれば、給電可能車の選択範囲を、例えば他メーカの車両10にまで広げることができる。また、充電対象車の現在位置、目的地等に応じて適切な地点で合流できる給電可能車を広く検索することができる。
【0123】
図14は、車両支援サーバ20における処理の一例を示す。本処理は、図4に関連して説明した処理の変形例である。ここでは、図4に関連して説明した処理と異なる点を中心に車両支援サーバ20aの動作として説明する。
【0124】
ステップS1402、ステップS1404、ステップS1406、ステップS1408、ステップS1410、ステップS1412およびステップS1414は、車両支援サーバ20aおよび車両群1390aに関する処理である点を除いて、それぞれステップS402、ステップS404、ステップS406、ステップS408、ステップS410、ステップS412およびステップS414と同様の処理である。
【0125】
S1406では、ステップS406と同様、解析部105aが、充電対象車および給電可能車を特定する。続いて、解析部105aによって充電対象車が特定され、かつ、給電可能車を特定することができたか否かを判断する(ステップS1407)。給電可能車を特定することができなかった場合には、ステップS1420に処理を進める。給電可能車を特定することができた場合には、ステップS1408に処理を進める。
【0126】
また、ステップS1410において、ステップS410と同様、車両選択部130aは、各充電対象車に対してそれぞれ給電可能車を選択する。続いて、車両選択部130aが全ての充電対象車に対して給電可能車を選択できたか否かを判断する(ステップS1411)。全ての充電対象車に対して給電可能車を選択することができなかった場合には、ステップS1420に処理を進める。全ての充電対象車に対して給電可能車を選択できた場合には、ステップS1412に処理を進める。
【0127】
ステップS1420では、車両支援サーバ20aは、給電可能車を選択できなかった充電対象車について、給電可能車の検索を連携サーバ25に依頼する。例えば、車両支援サーバ20aは、充電対象車の位置情報、バッテリの残存容量、目的地、ルート情報等を連携サーバ25に送信する。そして、車両支援サーバ20aは、連携サーバ25から検索結果が通知されるのを待つ。連携サーバ25から給電可能車が通知されると、ステップS1414に処理を進めて、連携サーバ25から通知された給電可能車を、充電対象車に通知する。
【0128】
図15は、連携サーバ25および車両支援サーバ20における通信シーケンスの一例を示す。ここでは、車両10aが充電対象車であるとする。
【0129】
ステップS1502において、車両10aに対する給電可能車を車両支援サーバ20aにおいて選択することができなかった場合、車両支援サーバ20aは、連携サーバ25へ検索依頼を送信する。ステップS1502では、充電対象車の位置情報、バッテリの残存容量、目的地、ルート情報、不足する電力量等が送信される。
【0130】
連携サーバ25は、検索依頼を受信すると、充電対象車の位置情報、バッテリの残存容量、目的地、ルート情報等に基づいて給電可能地点を決定する(ステップS1502)。給電可能地点は、他車から給電を受け付ける場所を示す。連携サーバ25は、車両10aがバッテリに残されたエネルギーを使用して到達することができる地点内で、給電可能地点を決定する。連携サーバ25は、ルート情報、燃費情報等を参照して充電対象車の将来位置を予測して、その中から給電可能地点を決定する。なお、給電可能地点は、複数の地点であってもよい。また、充電対象車が到達すると予測される時刻情報を含めて給電可能地点を決定してもよい。
【0131】
ステップS1504において、連携サーバ25は、給電可能地点および不足電力量等の情報を車両支援サーバ20bおよび車両支援サーバ20cに送信する。車両支援サーバ20bおよび車両支援サーバ20cは、給電可能地点および不足電力量等に基づいて給電可能車を選択する(ステップS1506、ステップS1508)。なお、ステップS1506、ステップS1508における処理としては、例えば図4から図6に関連して説明した処理と同様の処理を適用できる。車両支援サーバ20bおよび車両支援サーバ20cは、給電可能車を選択することができた場合、給電可能車の情報を連携サーバ25に送信する(ステップS1510、ステップS1512)。
【0132】
連携サーバ25は、車両支援サーバ20b、車両支援サーバ20cから給電可能車の情報を取得すると、その中から車両支援サーバ20aに通知する給電可能車を選択する。例えば、充電対象車のユーザが車両支援システム1350のサービス利用者でない場合、サービス利用者としてユーザが登録されている給電可能車を選択する。一方、連携サーバ25は、充電対象車のユーザが車両支援システム1350のサービス利用者として登録されている場合は、全ての給電可能車を選択する。そして、ステップS1516において、ステップS1514で選択した給電可能車の情報を、車両支援サーバ20aに送信する。ここで給電可能車の情報として車両支援サーバ20aに送信される情報は、供給可能な電力量等、限定された情報であってよい。車両支援サーバ20aは、連携サーバ25から受信した給電可能車の情報を、車両10aに送信する。車両10aは、給電可能車の情報を車両支援サーバ20aから受信すると、車両10aの乗車人に通知する。
【0133】
以上に説明した車両支援システム1350によれば、いずれか一方の車両10のユーザが車両支援システム1350によるサービスの利用者であり充電ケーブル290を携帯していればよく、両者がサービス利用者である必要はない。また、連携サーバ25は、単に位置情報、目的地情報等のデータを処理するだけでよい。したがって、個人情報を連携サーバ25で管理する必要がない。
【0134】
なお、以上の説明では、車両支援サーバ20が、給電可能車の検索を連携サーバ25に依頼するとした。しかし、車両10自身が、給電可能車の検索を連携サーバ25に依頼してもよい。また、充電対象車に対する給電可能車を選択することができなかった場合に、連携サーバ25に検索を依頼するとした。しかし、車両支援サーバ20は、選択された給電可能車の数が予め定められた値以下であった場合に、連携サーバ25に給電可能車の検索を依頼してもよい。
【0135】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0136】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0137】
10 車両、20 車両支援サーバ、25 連携サーバ、30 移動体通信網、40 ネットワーク、50 車両支援システム、100 情報取得部、105 解析部、110 ルート特定部、120 電力量特定部、130 車両選択部、140 合流地点特定部、150 記憶部、160 通知部、170 認証部、108 通信部、200 自車情報取得部、202 入力部、204 診断装置、205 解析部、206 位置取得部、208 通信部、210 ルート特定部、220 電力量特定部、250 記憶部、260 他車情報取得部、270 表示部、280 バッテリ、282 モータ、290 充電ケーブル、292 ケーブル接続部、600 将来位置、610 エリア、700、720、800、810、820 マップ画面、701、801 車両オブジェクト、702、722、802、822 合流予想エリア、705、725、805、825 自車位置オブジェクト、721、821 他車位置オブジェクト、710 車両情報画面、711 連絡ボタン、811 受諾ボタン、812 連絡サブ画面、813 通話ボタン、1000 相手車両情報画面、1010 車両オブジェクト、1020 ナンバーオブジェクト、1030 車種情報オブジェクト、1040 通話ボタン、1100 充電情報取得部、1102 識別情報取得部、1104 電圧取得部、1106 ユーザ入力部、1110 認証部、1120 充電制御部、1130 昇圧部、1140 スイッチ部、1150 表示部、1170 導電線、1180 接続口、1190 通信部、1210 ケーブル、1200 制御ボックス、1230 モニタ部、1240 スイッチ、1300 車両選択制御部、1302 地点特定部、1304 選択制御部、1308 通信部、1310 充電対象車情報取得部、1320 給電可能車情報取得部、1330 給電可能車情報通知部、1340 記憶部、1350 車両支援システム、1390 車両群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置および前記車両が有する蓄電装置の蓄電量を、複数の前記車両から取得する情報取得部と、
前記複数の車両のそれぞれの前記現在位置および前記蓄電量に基づいて、蓄電装置の充電を要する車両である充電対象車への充電電力を供給できる1以上の車両を、前記複数の車両の中から給電可能車として選択する車両選択部と、
前記車両選択部が選択した給電可能車を通知する通知部と
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記複数の車両のそれぞれの目的地を更に取得し、
前記情報提供装置は、
前記複数の車両のそれぞれの目的地、現在位置および蓄電量に基づいて、他車へ供給できる電力量である供給可能電力量を特定する電力量特定部
をさらに備え、
前記車両選択部は、前記充電を要する車両である充電対象車の蓄電装置に充電すべき充電電力量よりも前記供給可能電力量が大きい車両を、前記複数の車両の中から前記給電可能車として選択する
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記車両選択部は、前記充電対象車の現在位置および目的地、ならびに、前記複数の車両のそれぞれの現在位置および目的地に基づいて、前記充電対象車の将来位置から予め定められた距離以内の地点を通過する車両を、前記供給可能電力量が前記充電電力量よりも大きい車両の中から前記給電可能車として選択する
請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記複数の車両のそれぞれの現在位置および前記目的地に基づいて、前記複数の車両のそれぞれの将来のルートを特定するルート特定部
をさらに備え、
前記車両選択部は、前記複数の車両のそれぞれの現在位置および前記ルート特定部が特定したルート、前記充電対象車の現在位置およびルート、ならびに予め算定された車両速度に基づいて、前記充電対象車の将来位置から予め定められた距離以内の地点を前記充電対象車と同時期に通過する車両を、前記供給可能電力量が前記充電電力量よりも大きい車両の中から前記給電可能車として選択する
請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記通知部はさらに、特定されたルートが高速道路か一般道路かを判断した上で、前記給電可能車が前記充電対象車と前記同時期に通過する前記地点を通知する
請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
ルートに対応づけて電力消費率の基準値を記憶する電力消費率記憶部
をさらに備え、
前記電力量特定部は、前記電力消費率記憶部が記憶している電力消費率の基準値、および、前記ルート特定部が特定したルートに基づいて、前記供給可能電力量を特定する
請求項4または5に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記電力量特定部は、前記情報取得部が取得した現在位置および残存容量の履歴に基づいて前記複数の車両のそれぞれの電力消費効率を特定し、特定した電力消費効率、および、前記ルート特定部が特定したルートに基づいて、前記供給可能電力量を特定する
請求項4または5に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記情報取得部は、前記通知部が通知した前記給電可能車のうち、前記充電対象車への充電電力の供給をすべき車両として前記充電対象車で選択された車両を示す選択情報を取得し、
前記通知部は、前記選択情報が示す車両に、前記充電対象車によって選択された旨を通知する選択通知を送信する
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記通知部は、前記選択情報が示す車両に、前記充電電力の供給を依頼する旨を示す前記選択通知を送信し、
前記情報取得部は、前記通知部が前記選択通知を送信した車両から、前記充電電力の供給を受諾する旨の受諾情報を受信し、
前記情報提供装置は、
前記受諾情報を送信した車両である電力供給車を識別する情報と、前記充電対象車を識別する情報とを対応づけて記憶する車両間充電情報記憶部
をさらに備える請求項8に記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記通知部は、前記車両間充電情報記憶部が対応づけて記憶している一方の識別情報によって識別される車両に、他方の識別情報によって識別される車両の車種、車体色およびナンバープレート番号の少なくとも一つの情報を通知する
請求項9に記載の情報提供装置。
【請求項11】
第1車両および第2車両に接続された充電ケーブルと通信して、前記第1車両と前記第2車両との間で車両間充電をしてよいか否かを示す情報を前記充電ケーブルに送信する認証部
をさらに備え、
前記認証部は、前記第1車両を識別する情報と前記第2車両を識別する情報とを前記車両間充電情報記憶部が対応づけて記憶している場合に、前記第1車両と前記第2車両との間で車両間充電をしてよい旨の情報を前記充電ケーブルに送信する
請求項9または10に記載の情報提供装置。
【請求項12】
それぞれ予め定められた車両群の中から前記給電可能車を選択する請求項1に記載の複数の情報提供装置と通信する情報提供サーバであって、
前記複数の情報提供装置のうちの一の情報提供装置から、前記充電対象車の現在位置および蓄電量を取得する充電対象車情報取得部と、
前記充電対象車の現在位置および蓄電量に基づいて、前記充電対象車が有する蓄電装置への充電電力を供給できる給電可能車を、前記複数の情報提供装置のうちの他の情報提供装置に選択させる車両選択制御部と、
前記他の情報提供装置により選択された前記給電可能車を特定する情報を、前記他の情報提供装置から取得する給電可能車情報取得部と、
前記給電可能車情報取得部が取得した前記給電可能車を、前記一の情報提供装置に通知する給電可能車情報通知部と
を備える情報提供サーバ。
【請求項13】
前記複数の情報提供装置が備える前記情報取得部は、前記複数の車両のそれぞれの目的地を更に取得し、
前記充電対象車情報取得部は、前記充電対象車の目的地を、前記一の情報提供装置から更に取得し、
前記車両選択制御部は、前記充電対象車の現在位置、蓄電量および目的地に基づいて、前記給電可能車を前記他の情報提供装置に選択させる
請求項12に記載の情報提供サーバ。
【請求項14】
前記車両選択制御部は、
前記充電対象車の現在位置、蓄電量および目的地に基づいて、前記充電対象車が到達することができる地点を特定する地点特定部と、
前記地点特定部が特定した地点を前記他の情報提供装置に通知して、前記地点で前記充電対象車への充電電力を供給できる前記給電可能車を、前記他の情報提供装置に選択させる選択制御部と
を有する請求項13に記載の情報提供サーバ。
【請求項15】
それぞれ予め定められた車両群の中から前記給電可能車を選択する請求項1から11のいずれか一項に記載の複数の情報提供装置と、
前記複数の情報提供装置と通信する情報提供サーバと
を備え、
前記複数の情報提供装置は、それぞれが備える前記車両選択部が、前記充電対象車への充電電力を供給できる1以上の車両を、それぞれの前記情報提供装置に対応する前記車両群の中から前記給電可能車として選択することができなかった場合に、前記充電対象車の現在位置および蓄電量を前記情報提供サーバに送信し、
前記情報提供サーバは、
前記複数の情報提供装置のうちの一の情報提供装置から、前記充電対象車の現在位置および蓄電量を取得する充電対象車情報取得部と、
前記充電対象車の現在位置および蓄電量に基づいて、前記充電対象車が有する蓄電装置への充電電力を供給できる給電可能車を、前記複数の情報提供装置のうちの他の情報提供装置に選択させる車両選択制御部と、
前記他の情報提供装置により選択された前記給電可能車を特定する情報を、前記他の情報提供装置から取得する給電可能車情報取得部と、
前記給電可能車情報取得部が取得した前記給電可能車を、前記一の情報提供装置に通知する給電可能車情報通知部と
を備える車両支援システム。
【請求項16】
車両用のナビゲーション装置であって、
車両の現在地および目的地を取得する情報取得部と、
前記目的地、前記現在地および前記車両が有する蓄電装置の蓄電量に基づいて、他の車両に供給することができる電力量を算出する電力量特定部と、
前記現在地および前記電力量特定部が算出した電力量を、外部の情報提供装置に送信する通信部と、
前記情報提供装置から、前記蓄電装置の電力を用いて充電されるべき他の車両の情報を取得する他車情報取得部と、
前記他の車両の情報を提示する提示部と
を備えるナビゲーション装置。
【請求項17】
前記他車情報取得部は、前記情報提供装置から、前記他の車両の車種、車体色およびナンバープレート番号の少なくとも一つの情報を取得し、
前記提示部は、前記他車情報取得部が取得した情報を提示する
請求項16に記載のナビゲーション装置。
【請求項18】
車両が有する蓄電装置の充電用の充電ケーブルであって、
それぞれ異なる車両に接続される第1接続口および第2接続口と、
前記第1接続口および前記第2接続口にそれぞれ接続された第1車両および第2車両から、前記第1車両を識別する第1識別情報および前記第2車両を識別する第2識別情報を取得する識別情報取得部と、
充電を要する蓄電装置を有する車両を識別する識別情報に対応づけて、当該蓄電装置への充電電力を供給すべき車両を識別する識別情報を記憶する情報提供装置と通信して、前記情報提供装置が前記第1識別情報に対応づけて前記第2識別情報を記憶しているか否かを判断する認証部と、
前記認証部が、前記情報提供装置が前記第1識別情報に対応づけて前記第2識別情報を記憶している旨を判断した場合に、前記第1接続口および前記第2接続口を介して、前記第1車両が有する蓄電装置に、前記第2車両が有する蓄電装置からの電力を用いて充電する充電制御部と
を備える充電ケーブル。
【請求項19】
前記第1車両が有する蓄電装置を急速充電するのに要する充電電圧を取得する電圧取得部と、
前記第2車両が有する蓄電装置からの電力を、前記電圧取得部が取得した充電電圧に昇圧して前記第1車両が有する蓄電装置に供給する昇圧部と
をさらに備える請求項18に記載の充電ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−108870(P2012−108870A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118506(P2011−118506)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】