情報提供装置及びプログラム
【課題】 表示する文字・図形等のイメージの視認性を向上させ、一般色覚者及び色覚異常者双方に対し色による事象の重大性を認識させての情報提供を行う。
【解決手段】 表示装置に表示された文字・図形等のイメージの色が赤系の色である場合に、当該文字・図形等の赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色に時間的に切り換える。赤系の表示色と赤系以外の第2の表示色とで色を切り換えることによって、危険性の高い重要な事象に関する情報を、危険を知らせ得る「赤系の色」によって一般色覚者に対し伝えることができる一方で、「赤系の色」によっては表示された文字・図形等を認識し得ない色覚異常者に対しても、「色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色」によって表示された文字・図形等を認識させることができることから、色覚異常者に対しても色による事象の重大性を認識させての情報提供を行うことが適切にできる。
【解決手段】 表示装置に表示された文字・図形等のイメージの色が赤系の色である場合に、当該文字・図形等の赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色に時間的に切り換える。赤系の表示色と赤系以外の第2の表示色とで色を切り換えることによって、危険性の高い重要な事象に関する情報を、危険を知らせ得る「赤系の色」によって一般色覚者に対し伝えることができる一方で、「赤系の色」によっては表示された文字・図形等を認識し得ない色覚異常者に対しても、「色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色」によって表示された文字・図形等を認識させることができることから、色覚異常者に対しても色による事象の重大性を認識させての情報提供を行うことが適切にできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に文字や図形等を色分け表示することによって、一般公衆に対し事象の重大性を認識させての情報提供を行う情報提供装置及びプログラムに関する。特に、一般色覚者及び色覚異常者双方に対し、色分けした際における前記文字や図形等の視認性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば駅構内や街頭などに設置されて列車運行状況などの交通情報を提供する、あるいは自動車専用道路の道路脇や架橋等に配設されて高速道路をはじめとする主要な幹線道路の交通状況などの道路情報を提供する情報提供装置が知られている。例えば道路情報を表示する情報提供装置(道路情報板などと呼ばれる)においては、赤系と黄緑系の発光色を発光するそれぞれの発光ダイオード(以下、LED)が組み合わされてなる発光ユニットが行列状(ドットマトリクス状)に多数配置された表示装置に、それら多数のLEDの発光の組み合わせによる赤色と黄緑色さらにはそれらの混合色である橙色とを含めた3色の色を使って文字や図柄(又は図形)等のイメージ(便宜的に提供情報とも呼ぶ)を表示することで、車両の運転者に対し情報提供者によって提供される道路情報の表示を行っている。また、最近では、3原色(赤色、緑色、青色)の色それぞれを発光可能な複数のLEDからの発光色を組み合わせることで、単色だけでなく白色を含む多様な色(混合色)での提供情報の表示が可能な情報提供装置が開発されており、駅構内や高速道路などで導入が進んでいる。
【0003】
ところで、情報提供装置においては提供情報の表示の際に、提供する情報の種類・内容等に従って色分け表示を行っている。この提供情報の表示色の色分けについては特に規定はないものの、一般的には事象の重大性によって異なる色を用いて表示するようになっている。例えば道路情報板においては、通行止めや渋滞等の特に危険性の高い重要な事象に関する提供情報を表示する場合には車両の運転者の注意を引きやすくかつ一般的に危険を表す「赤色」(赤系)の表示色を、交通規制や落下物の注意等の比較的軽微な事象に関する提供情報を表示する場合には「橙色」の表示色を、高速出口や各都市までの残距離等の一般的な交通案内の事象に関する提供情報を表示する場合には「白色」の表示色をそれぞれ使用することで、車両の運転者に対して色による事象の重大性を認識させながらの情報提供を行うようにしている。
【0004】
表示の色分けによる情報提供が行われる場合、色覚異常でない一般色覚者はどの色で表示されたとしても、表示された提供情報をほぼ認識できるので特に問題は生じない。しかし、目の視細胞における赤色錐体又は緑色錐体が欠損している殆どの色覚異常者においては、赤系の色を非常に暗い色として視認することが知られており、そのため色覚異常者は「赤色」により表示された提供情報を認識しない可能性がある。上記したように「赤色」により表示される提供情報は特に危険を伴う重要な事象に関する情報であるので、一般色覚者は勿論のこと色覚異常者にも必ず認識してもらわない安全性が損なわれる可能性がある。そこで、この問題を解決するために、一般色覚者と色覚異常者の双方に対して色分けされた提供情報の視認性を高める技術が知られている。一例を挙げると、下記に示す特許文献1に記載の装置がある。
【0005】
特許文献1に記載の装置では色覚異常者の視認性を改善させるために、赤色単独でなく黄緑系と混合した混合色である赤系の色にて提供情報の表示を行っている。ただし、こうした場合には、一般色覚者がその混合色を夜間に黄色みがかかった赤色として視認するという不都合が生じることから、従来ではそれを解決するために、所定のドミナント波長を持つ混合色の混合比を昼夜別に記憶しておき、昼夜の時間帯によって前記昼夜別の混合比に基づく異なる色合い(色相)の混合色(ただしどちらも赤系)を使い分けて提供情報の表示を行うようにしている。
【0006】
こうした色を使い分けての表示を行うために、従来装置では使用するLEDの種別によって特性が異なることに鑑みて、事前にピーク波長とドミナント波長のバランスを調整して混合比を設定しておく必要がある。また、ピーク波長とドミナント波長との関係は一様でなく、同じ元素の半導体から構成されるLEDであってもピーク波長とドミナント波長が異なるため、ピーク波長を調整して混合色に対する混合比を設定するに際して、ドミナント波長とのバランスを考慮して設定を行う必要がある。さらに、ピーク波長とドミナント波長とは同じ元素からなる半導体を収容したLEDであってもメーカや型式によって異なるために、上記のピーク波長及びドミナント波長の設定に際しては、LEDの計測装置を用いて両波長に対してバランスの良い混合比を事前に求めておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−284977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、例えば道路情報板において危険色である「赤色」(赤系)により提供情報を表示するのは、事象の重大性を運転者に伝えることが目的である。しかし、特許文献1に記載の従来装置のように、色覚異常者の視認性を改善させるために例え混合色の赤系の色を用いて情報の表示を行ったとしても赤系であることには変わらないことから、色覚異常者にとってはやはり認識しづらく場合によっては色覚異常者にまったく認識してもらえない恐れがある、という問題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、表示装置に表示される文字や図柄(図形)等のイメージへの視認性を一般色覚者及び色覚異常者双方において向上させて、色による事象の重大性を認識させての情報提供を行うことのできるようにした情報提供装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る情報提供装置は、文字・図形等のイメージを複数の色を用いて表示することが可能な表示装置と、指定されたイメージを指定された第1の色で表示するよう前記表示装置を制御する表示制御手段と、前記指定された第1の色が赤系の色である場合に、前記表示装置で表示する前記指定されたイメージの赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色に時間的に切り換えるよう前記表示制御手段を制御する表示切換手段とを備える。
【0011】
本発明によれば、表示装置に表示された文字・図形等のイメージの色が赤系の色である場合に、当該文字・図形等の赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色に時間的に切り換えるようにした。赤系の表示色と前記赤系以外の第2の表示色との間で色を切り換えて文字・図形等を表示することによって、危険性の高い重要な事象に関する情報を一般的に危険を知らせ得る「赤系の色」によって一般色覚者に対し伝えることができる一方で、「赤系の色」によっては表示された文字・図形等を認識し得ない色覚異常者に対しても、前記「赤系の色」を「色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色」に切り換えることで表示された文字・図形等を認識させることができ、これにより危険性の高い重要な事象に関する情報を伝えることができるようになる。また、こうした「赤系の表示色」と前記「赤系以外の第2の表示色」とを切り換え表示するので、表示された文字・図形等の視認性を一般色覚者及び色覚異常者のどちらかを犠牲にすることなく双方において向上させることができ、もって一般色覚者又は色覚異常者のどちらか一方だけでなく、一般色覚者及び色覚異常者双方に対して色による事象の重大性を認識させての情報提供が適切にできるようになる。
【0012】
本発明は装置の発明として構成し実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示装置に表示された文字・図形等のイメージの色が赤系の色である場合に、当該文字・図形等の赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色に時間的に切り換えるようにしたことから、一般色覚者及び色覚異常者双方において色分け表示したイメージの視認性を向上させることができ、もって一般色覚者及び色覚異常者双方に対し色による事象の重大性を認識させての情報提供を行うことが適切にできるようになる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る情報提供装置の一実施例を示す概念図である。
【図2】表示ユニットを示す概念図である。
【図3】表示ユニットの内部構成を便宜的に示す概念図である。
【図4】制御伝送部の機能構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図5】提供情報の一実施例である。
【図6】LED制御による表示色の遷移範囲を色光のxy色度図上に示した図である。
【図7】表示制御処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図8】表示色切換処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】提供情報の別の実施例である。
【図10】表示色切換の別の実施態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る情報提供装置の一実施例を示す概念図である。以下では、説明を理解しやすくするために、情報提供装置として道路情報を提供する道路情報板を例に説明する。本発明に係る情報提供装置(道路情報板)は、大きく分けて多数のLED(発光素子)がドットマトリクス状に配設されてなる表示装置1と、当該表示装置1の表示制御を行う制御伝送部Cとからなる。
【0017】
前記表示装置1は、複数行複数列(ここでは一例として6行12列のものを示した)に配設された多数の表示ユニットUからなり、当該表示ユニットUを使用して所定の道路情報を文字・図形等のイメージ(後述する図5や図9参照)により表示することが可能になっている。ここで、前記イメージはそれを見た一般公衆がそのイメージが意味する情報(情報提供者が提供しようとする情報)の内容を理解することのできるものであれば、文字や図形(図柄)等に限られない。
【0018】
図2に示すように、前記表示ユニットUには、複数個のLED2がN行N列の行列状(例えば、図中N=16)に配設されている。そして、各LED2は1個または2個の素子で赤・緑・青(RGB)の3原色の発光が同時に可能なフルカラーLEDであって、図3に示すように、赤色の単色を発光する赤系色発光部Rと、緑色の単色を発光する緑系色発行部Gと、青色の単色を発光する青系色発行部Bとを有する半導体からなる発光素子である。個々のLED2において、赤系色発光部Rと緑系色発行部Gと青系色発行部Bとが個別若しくは同時に発光制御されることによって、表示装置1の表示面全体に例えば後述する図5又は図9に示されるような文字あるいは図柄等により提供される道路情報が、赤色、緑色、青色の各単色は勿論のこと、これらの各単色を任意の割り合い(混合比)に従って混ぜあわせた所定の色度及び輝度の混合色(白色を含む)により多色表示される。
【0019】
なお、表示装置1に含まれる表示ユニットUあるいは各表示ユニットUに配設されるLED2の、個数や形状さらに配設位置は本実施形態に限られるものではなく適宜に変更可能である。
なお、表示装置1は上記LEDを発光させるタイプのものに限らず、例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等により構成されるタイプの表示装置であってもよい。
【0020】
次に、制御伝送部Cについて図4を用いて説明する。図4は、制御伝送部Cの機能構成を概略的に示す機能ブロック図である。なお、制御伝送部Cとしてはこの図4に示した以外の機能を有する場合もあるが、ここでは必要最小限の機能を有する場合について説明する。
【0021】
本実施形態に示す制御伝送部Cは、情報伝送部11、表示判別部12、表示制御部13、表示色切換制御部14、LED駆動部15、さらには記憶部K及び時間計時部Tを含んでなる。情報伝送部11は、当該装置外部の道路交通管理施設等(図示を省略した情報提供施設)から有線又は無線の通信インタフェースを介して、交通情報や各種指令情報(例えばテスト指令、運用停止指令等)を受信する。他方、外部の道路交通管理施設等に当該装置の稼動状態を監視させるために、当該装置から道路交通管理施設等に対して図示を省略した監視部により随時に発生される前記各部11〜15の動作状況を表す監視情報を送信する。
【0022】
表示判別部12は、前記情報伝送部11により受信された交通情報や各種指令情報に基づいて表示装置1に表示する文字や図柄等の判別を行い、該判別した文字や図柄等を表示装置1に表示するために必要な、前記判別した文字や図柄等のうち各表示ユニットUが受け持つ表示範囲の決定とそれらを表示装置1に表示開始する際の初期表示色(第1の色)の割り当てを行う。該表示判別部12により決定された表示範囲及び初期表示色の割り当ては、表示データとして表示制御部13に出力される。
【0023】
ここで、本実施例における表示判別部12では、前記情報伝送部11により交通情報が受信された場合に、前記判別した文字や図柄等のうち重要な事象に関する情報を示すものを「赤色」(赤系)の表示色及び「黄色」(黄系)の表示色で、前記重要な事象に比べると比較的軽微な事象に関する情報を示すものを「橙色」の表示色で、交通案内等の事象に関する一般的な情報を示すものを「白色」の表示色でそれぞれ表示するように初期表示色の割り当て(第1の色の指定)を行う。表示判別部12は重要な事象に関する情報について「赤色」及び「黄色」を割り当てるが、この際には判別した文字や図柄等を例えば意味を持つ単語毎に分割して該分割単位に同じ色を割り当てるように色分けする。
【0024】
具体例を図5に示す。この図5に示す提供情報例は、表示装置1に「京都南−茨木」の文字表示1aと「事故通行止」の文字表示(1b,1c)とを上下段の2段に分けて表示した例である。この表示例の場合、上段に表示された「京都南−茨木」表示1aが交通案内等の事象に関する一般的な情報に相当し、この「京都南−茨木」表示1aを「白色」で初期表示する。他方、下段に表示された「事故通行止」表示(1b,1c)が重要な事象に関する情報に相当し、この「事故通行止」表示に関してはそれぞれが意味を持つ単語である「事故」表示1bと「通行止」表示1cとの2つに分割したうえで、それぞれで色分けして初期表示する。例えば単語「事故」の表示1bを「黄色」で、単語「通行止」の表示1cを「赤色」で初期表示する。勿論、ここに示した初期表示は一例であって、例えば「京都南−茨木」表示1aを「橙色」で、「事故」表示1bを「赤色」又は「黄色」で、「通行止」表示1cを「黄色」又は「赤色」でそれぞれ初期表示するようにしてよい。
【0025】
図4に戻って、表示制御部13は、表示判別部12から出力される表示データに基づき各表示ユニットU単位に初期表示信号を生成し、これによって複数のLED駆動部15を制御する。LED駆動部15は多数の表示ユニットUに対応する数だけ用意されており、各LED駆動部15は対応する各表示ユニットUにおける複数のLED2による表示制御を実行する。前記初期表示信号には、各表示ユニットUが受け持つ表示範囲(文字や図柄の全体又はそれらの一部)内にある1乃至複数のLED2を制御対象に特定する情報と、それら制御対象の各LED2の赤系色発光部Rと緑系色発光部Gと青系色発光部B(図3参照)を発光させる際の制御信号である色度及び輝度信号などが含まれる。表示制御部13から1乃至複数のLED駆動部15に対して前記初期表示信号が出力されることにより、多数の表示ユニットUからなる表示装置1に図5に示すような初期表示色によって色分けされた提供情報が表示される。
【0026】
なお、本実施例において「赤色」表示を行うにあたり、赤系色発光部Rを単独で発光させた表示色による表示を行うものに限らず、赤系色発光部Rと緑系色発光部Gと青系色発光部Bの各出力を所定の色度の混合色にて発光させるまで制御した、波長をずらした赤系色による表示を行うものであってよい。すなわち、この明細書での「赤色」との記載は、色覚上「赤」と認識され得る色であれば混合色であってもよい。勿論、「黄色」や「青色」についても同様であって、色覚上「黄」、「青」と認識され得る色であれば混合色であってもよい。
【0027】
本実施例においては、上述したように道路情報を初期表示する際に提供情報を複数に分割して、一方を一般色覚者にとって視認し易い「赤色」で表示し、他方を色覚異常者にとって視認し易い「黄色」で表示する(図5参照)。このように、提供情報を「赤色+黄色」や「黄色+赤色」のように表示色を分けて表示するだけでも、一般色覚者及び色覚異常者双方共に視認性の向上が見込まれる。ただし、「黄色」表示される提供情報は元の一部だけであるから、特に色覚異常者にとって「赤色」表示された一部は認識し難いままである。
【0028】
そこで、本発明に係る情報提供装置では、「赤色」と「黄色」とで表示色を分けて表示された提供情報に関し、赤色から黄色へと及び黄色から赤色へと、時間経過に従って色相を変化させながらの情報表示を行うことによって、特に色覚異常者が情報の一部だけでなく全体を認識することのできるようにしている。この実施形態では、図4に示す表示色切換制御部14がLED駆動部15に対して、混合色の色度・輝度の信号を時間的に変化させながら出力することで、上記したような提供情報を分割した部分単位での色相変化を実現するようにしている。この表示色切換制御部14によるLED駆動部15の制御は、表示制御部13から切換開始指示が与えられることによって開始され、表示制御部13から切換終了示が与えられることによって終了される。
【0029】
表示色切換制御部14には、時間計測部Tと記憶部Kとが接続されている。時間計測部Tはクロックを発信しており、表示色切換制御部14は時間計測部Tからのクロックを受信開始することに応じて時間計測を開始する。表示色切換制御部14は時間計測を開始すると、経過時間に従って色度記憶部Kから前記経過時間に応じた所定の混合色の色度及び輝度を読み出す。
【0030】
色度記憶部Kは、例えば図6に示すような色光のxy色度図において、時間経過に応じて図中矢印で示す範囲を繰り返し往復するようにして決められる色度座標(x,y)に応じた混合色を、赤系色発光部Rと緑系色発光部Gと青系色発光部Bとを同時に発光させて発光させるための混合色の色度の時間的変化を記憶する。混合色の色度の時間的変化としては、例えば初期表示として「赤色」表示された情報に関しては「赤色」から「黄色」へと表示色を変化させるよう、図6において色度座標(x,y)を「赤色」(0.70,0.30)から「橙色」(0.61,0.39)を介して「黄色」(0.43,0.50)に至る矢印で示した直線に沿って混合色の色度及び輝度を時間的に変化させる。一方、初期表示として「黄色」表示された情報に関しては「黄色」から「赤色」へと表示色を変化させるよう、図6において色度座標(x,y)が「黄色」(0.43,0.50)から「橙色」(0.61,0.39)を介して「赤色」(0.70,0.30)に至る矢印で示した直線に沿って混合色の色度及び輝度を時間的に変化させる。この時間的に変化させる混合色の色度及び輝度の範囲は、色覚異常者が認識しやすい表示色を逸脱しない範囲に設定される。なお、上記した色度座標(x,y)の各数値は一例でありこれに限られない。
【0031】
色度記憶部Kから経過時間に従って読み出された混合色の色度及び輝度は、表示色切換制御部14からLED駆動部15へと送られ、表示色切換制御部14は各表示ユニットUに対して前記混合色の色度及び輝度を出力する。表示ユニットUが前記色度の混合色を発光させるよう、赤系色発光部Rと緑系色発光部Gと青系色発光部Bの発光制御を行う。これにより、表示装置1に表示された提供情報は、「赤色から橙色」、「橙色から黄色」、「黄色から橙色」、「橙色から赤色」へと時間経過に従っての色相変化(色変わり)を連続的に繰り返す。「赤色から橙色」、「橙色から黄色」へと変化させることで、一般色覚者にとっては危険と認識し得る危険色である「赤色」が「黄色」へと変化することになるが、色覚異常者にとっては視認性が高まることから色覚異常者に対し危険を及ぼし得る交通情報を適切に提供できる。また、「赤色」から「黄色」へと変化した後には、「黄色から橙色」、「橙色から赤色」へと変化するようにしたことによって、一般色覚者にとって危険と認識し得る危険色である「赤色」に戻ることから、一般色覚者に対して危険を及ぼし得る交通情報を適切に提供できる。
【0032】
なお、表示色切換制御部14は色度記憶部Kから経過時間に従って混合色の色度及び輝度を読み出してLED駆動部15を制御するようにしたがこれに限らず、所定の算出式(図示せず)により時間経過に応じた混合色の色度及び輝度を算出し、これによりLED駆動部15を制御するようにしてもよい。また、LED2の各発光部(R,G,B)により発光されるRGB3原色の各色の混合比を経過時間に従って読み出したり算出したりして、該色の混合比によってLED駆動部15を制御するようにしてよい。
なお、本実施例では、「赤色」と「黄色」との間で時間的な色相変化を行うものを例に示したがこれに限らず、一般色覚者が危険と認識する色(赤系)と、色覚異常者が視認し易い色(黄系や白色など)との間で時間的な色相変化を行えばよい。
【0033】
なお、提供情報の色相を時間的に変化させるための混合色の色度及び輝度の読み出しサイクル(色変わりサイクルとも呼ぶ)は、本情報提供装置を設置する道路の規制速度や、表示装置1に表示する情報量(例えば文字数など)、車両速度に応じた運転者による情報の判読に係る所要時間等の諸条件により適宜設定することができる。
【0034】
また、上記の場合、提供情報は「赤色から橙色」、「橙色から黄色」、「黄色から橙色」、「橙色から赤色」へと時間経過に従っての色相変化を連続的に繰り返すが、一般色覚者や色覚異常者が表示された情報を走行中の車両などから限られた時間内で適切に視認できるようにすることは重要である。すなわち、一般色覚者や色覚異常者それぞれが提供される情報を判読するのに必要な時間だけ「赤色」又は「黄色」の表示色で情報を表示しないと、一般色覚者や色覚異常者が情報を判読するに足りる時間を確保することができずに結局は情報が伝えられない恐れがある。
【0035】
そこで、一般色覚者や色覚異常者が視認しやすい表示色での表示を時間的に長くする、つまりは一般色覚者や色覚異常者が視認しやすい表示色の表示に関しては、一般色覚者や色覚異常者それぞれが提供される情報を判読するのに必要な時間(判読所要時間)を確保するようにして、上記した色変わりサイクルに従ってのLED2の発光制御を行う。具体的には、提供情報を赤色又は黄色の表示色で表示する時間に比較して、徐々に色相を遷移させることによる過渡的な表示色での表示にかかる時間を短くする。
【0036】
すなわち、図6に示すような色光のxy色度図において、色度座標(x,y)を「赤色」(0.70,0.30)と「黄色」(0.43,0.50)との間で読み出す際の時間を短くすると共に、「赤色」(0.70,0.30)と「黄色」(0.43,0.50)それぞれでは所定時間だけ読み出しを一時的に停止するようにするとよい。これにより、赤色又は黄色の表示色で提供情報を表示する時間を、前記色相を時間に応じて遷移させることによる過渡的な表示色で提供情報を表示する時間に比較して長くすることができることから、一般色覚者や色覚異常者が情報を判読する間だけ「赤色」又は「黄色」の表示色による情報提供を行うことができるようになる。
【0037】
次に、上記したような表示装置1に情報を表示する情報表示処理について説明する。図7は、表示制御処理の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、制御伝送部Cが外部の道路交通管理施設等から交通情報や各種指令情報を取得することにより開始する。
【0038】
ステップS1は、交通情報を取得したか否かを判定する。交通情報でなく各種指令情報を取得した場合には(ステップS1のNO)、取得した各種指令情報に応じた表示制御を実行する(ステップS11)。例えば、各種指令情報としてテスト指令を受信した場合には表示装置1に「テスト中」と表示するし、また運用停止指令を受信した場合には表示装置1に「運用停止中」と表示する又は表示装置1に何も表示しない(表示装置1による表示の停止)。なお、このときに、後述する「表示色切換処理」(図8参照)が既に実行中であれば当該処理の終了を指示する。すなわち、表示制御部13から表示色切換制御部14に切換終了指示が与えられる。
【0039】
一方、交通情報を取得した場合には(ステップS1のYES)、表示ユニットU毎に提供情報の決定及び初期表示色の割り当てを行う(ステップS2)。すなわち、受信した交通情報に基づき表示装置1に表示する情報の表示内容(例えば「事故通行止」などの提供情報)を特定し、また各表示ユニットUが表示を受け持つ前記特定した表示内容の部分的な表示範囲に関する提供情報の決定と、それらを表示装置1に初期表示する際の各文字の表示色の割り当て(第1の色の指定)を行う。この処理により、これらを含む表示データが生成される。このとき、重要な事象に関する情報であれば、提供情報を例えば意味を持つ単語毎に分割して分割後の単語単位に表示色を割り当てる。ここで、前記単語単位に割り当てる表示色の少なくとも1つには危険色の「赤色」を割り当て、残りの表示色には特に色覚異常者に視認し易い色を割り当てる(例えば図5に示したように、「事故」に色覚異常者に視認し易い黄色を、「通行止」に危険色である赤色を割り当てる)。なお、このときにも後述する「表示色切換処理」(図8参照)が既に実行中であれば当該処理の終了を指示する。すなわち、表示制御部13から表示色切換制御部14に切換終了指示が与えられる。
【0040】
ステップS3は、前記表示色の割り当てに従って表示ユニットU単位に、当該ユニットUに含まれる個々のLED2に割り当てられた初期表示色の判別を行う。ステップS4は、前記判別に従って個々のLED2に割り当てられた初期表示色が赤色又は黄色かを判定する。初期表示色が赤色又は黄色に割り当てられていると判定した場合には(ステップS4のYES)、それらのLED2を表示色切換対象LED群として「赤色」と「黄色」別に設定する(ステップS5)。ステップS6は、LED2毎に表示色の割り当てがあるか否かを判定する。表示色の割り当てのないLED2である場合には(ステップS6のNO)、ステップS10の処理へジャンプする。すなわち、LED駆動部15に対して初期表示信号を送らず、制御伝送部Cから各表示ユニットUに対して駆動信号が送信されないことからLED2の点灯による情報の表示は行われない。
【0041】
他方、表示色の割り当てのあるLED2である場合には(ステップS6のYES)、表示データに基づく初期表示信号をLED駆動部15に出力する(ステップS7)。このLED駆動部15に対する初期表示信号の出力に従って、制御伝送部Cから各表示ユニットUに対して個々のLED2に対する駆動信号が送信され、各表示ユニットUにおいて初期表示色でのLED2の点灯による情報の表示が行われる。ステップS8は、個々のLED2が表示色切換対象LED群であるか否かを判定する。表示色切換対象LED群に設定されたLED2である場合には(ステップS8のYES)、表示色切換処理の開始を指示する(ステップS9)。すなわち、表示制御部13から表示色切換制御部14に切換開始指示が与えられる。この開始指示に応じて実行開始される「表示色切換処理」については後述する(図8参照)。ステップS10は、全表示ユニットUに関して上記処理の実行を終了したか否かを判定する。全表示ユニットUに関して上記処理の実行を終了していないと判定した場合には(ステップS10のNO)、上記ステップS3の処理に戻ってステップS3〜S9までの処理を繰り返す。全表示ユニットUに関して上記処理の実行を終了したと判定した場合には(ステップS10のYES)、本表示制御処理を終了する。
【0042】
次に、上記した表示色切換処理(図7のステップS9参照)について図8を用いて説明する。当該表示色切換処理は各表示ユニットU単位に実行される。ステップS21は、時間計時の取得を開始する。ステップS22は、赤色のLED群に設定されたLED2か否かを判定する。赤色のLED群に設定されたLED2でないと判定された場合には(ステップS22のNO)、黄色から赤色へと色相を時間的に変化させるために時間経過に応じて混合色の色度及び輝度を決定する(ステップS23)。
【0043】
一方、赤色のLED群に設定されたLED2であると判定された場合には(ステップS22のYES)、赤色から黄色へと色相を時間的に変化させるために時間経過に応じて混合色の色度及び輝度を決定する(ステップS24)。すなわち、時間計時部Tから取得した時間計時に基づく時間経過に従って、色度記憶部Kに記憶された混合色の色度及び輝度を順次に読み出す(図6参照)。ステップS25は、該読み出した混合色の色度及び輝度に応じた輝度信号を、当該LED2を制御する該当のLED駆動部15に対し出力する。
【0044】
ステップS26は、終了指示がなされたか否か、つまりは新規の交通情報や各種指令情報の取得が行われたか否かを判定する。終了指示がなされていないと判定した場合には(ステップS26のNO)、上記ステップS22の処理に戻ってステップS22〜S25の処理を繰り返す。この繰り返しによって、判別された提供情報を分割した単語単位などにおいて、「赤色から橙色」、「橙色から黄色」、「黄色から橙色」、「橙色から赤色」へと時間経過に従う表示色の色相変化(色変わり)の連続的な繰り返しを伴う情報の表示が実現される。終了指示がなされたと判定した場合には(ステップS26のYES)、時計計時の取得を終了し(ステップS27)、当該表示色切換処理を終了する。
【0045】
以上のようにして、本実施形態においては、行列状に多数配設されてなる複数のLED2を発光制御することによって、表示装置1に表示されている文字や図柄等のうち、表示色が赤系のものと色覚異常者が認識しやすい黄系のものとに関し、当該表示色を赤系と黄系との間で時間に応じて切り換えて表示させるようにした(上記ステップS22〜S25参照)。赤系の表示色と黄系の表示色(色覚異常者が視認し易い前記赤系以外の第2の色である)との間で表示色を切り換えることによって、一般色覚者に対し危険色である「赤系」の表示色による提供情報の表示により危険性の高い重要な事象に関する情報を伝えることができる一方で、「赤系」の表示色によっては表示された提供情報を認識し得ない色覚異常者に対しても危険性の高い重要な事象に関する情報を伝えることができるようになる。
【0046】
また、こうした赤系の表示色と黄系の表示色との切り換えを交互に行うことで、一般色覚者及び色覚異常者双方に対する提供情報の視認性をどちらかを犠牲にすることなく向上させることができ、もって一般色覚者又は色覚異常者のどちらか一方だけでなく、一般色覚者及び色覚異常者双方に色によっての事象の重大性を認識させながらの情報提供が適切にできるようになる。
【0047】
以上、図面に基づいて実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態が可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施例においては、図5に示すような文字の羅列からなる提供情報による表示例を例に説明したが、時間経過に従う表示色の変化は図形情報板における図柄等の提供情報においても実現させるとよい。
【0048】
図形情報板の一例を図9に示す。図9(a)は車両の進行方向にある複数の経路情報を示す図形情報板であるが、こうした図形情報板では一般的に車両速度が極めて低い渋滞中の道路範囲を帯状の道路図形1a(提供情報)を危険色である「赤色」の表示色で表示する一方で、車両速度が遅くなり始めている渋滞手前の道路範囲を帯状の道路図形1b(提供情報)を「橙色」の表示色で表示する。そこで、この例では、「赤色」の道路図形1aについて上記したように「赤色」と「黄色」との間での時間的な表示色の色相変化(色変わり制御)を繰り返し行うことで、一般色覚者及び色覚異常者双方に対する提供情報の視認性を向上させることができ、これにより一般色覚者及び色覚異常者双方に色によっての事象の重大性を認識させながらの情報提供が適切に行われる。
【0049】
また、図9(b)は車両の火災事故の発生に関する情報を提供する道路表示板の例であるが、この場合には火災であることを示す複数の火災図形表示のうち外側に表示された炎をかたどった火災図形1a(提供情報)を「赤色」で、その内側に表示された炎をかたどった火災図形1b(提供情報)を「黄色」で表示する。そこで、この例では、各火災図形1a,1bについて上記したように「赤色」と「黄色」との間での時間的な表示色の色相変化を繰り返し行うことで、一般色覚者及び色覚異常者双方に対する提供情報の視認性を向上させることができ、これにより一般色覚者及び色覚異常者双方に色によっての事象の重大性を認識させながらの情報提供が適切に行われる。
【0050】
なお、道路情報板に表示した全ての提供情報について時間的に色を変化させることに限らず、特に運転者等に伝えたい重要な情報を意味する一部の提供情報のみに限定して色を変化させるようにしてもよい。例えば、図5に示すような道路情報板において「事故通行止」表示の「通行止」1c部分のみに限定して色相を変化させる、あるいは図9(a)に示すような図形情報板において車両の走行速度が遅い渋滞区間の道路図形1aのみに限定して色相を変化させるようにする。こうすることによれば、限定的な情報の表示色の変化によってより重要な情報を強調することができ、運転者に対し情報提供側が運転者に対して提供したい重要な情報への喚起を促して認識を高める効果がある。
【0051】
なお、上述した実施例では、時間経過に従う混合色の色度に従って徐々に色相を変化させる例を示したがこれに限らず、単に所定時間毎に「赤色」表示と「黄色」表示とを切り換えて提供情報を表示させるようにしてもよい。
また、表示する情報を分割して分割範囲毎に分けて時間的に色を変化させるものに限らず、表示する提供情報全体を一括に色変化させてもよい。例えば、図5に示すように提供情報が「事故通行止」である場合には、「事故」表示と「通行止」表示とに分割してそれぞれの表示色を変化させるのではなく「事故通行止」表示全体を一括して同じ表示色で変化させるようにしてもよい。
【0052】
さらに、時間経過に応じて表示色を変化させる範囲を変更させるようにしてもよい。例えば図10に示すように、初期表示として「事故通行止」表示の全てを「赤色」で表示しておき、時間経過に応じて例えば左から右へと「赤色」表示を「黄色」表示へと変化させることにより「黄色」表示の文字範囲を拡げ、最終的には「事故通行止」表示全てを「黄色」で表示する。図10では、位置Zの範囲まで表示色が「赤色」から「黄色」に変化した状態を示している。また、「事故通行止」表示の全が「黄色」表示された後には、さらなる時間経過に応じて例えば再度左から右へと「黄色」表示を「赤色」表示へと変化させることにより「赤色」表示の文字範囲を拡げ、最終的には「事故通行止」表示全てを「赤色」表示に戻す。このようにして、「赤色」表示と「黄色」表示の色変え(表示色の切換)を繰り返すとよい。
【0053】
なお、上述した実施例では、「赤色」の表示色と「黄色」の表示色との間で表示色の切換を行う例を示したがこれに限らない。特に、「黄色」の表示色については色覚異常者が視認し易い色であれば「黄色」に限らず他の色であってよい。
なお、上述した実施例では、道路情報を表示する情報提供装置である道路情報板を例に示したがこれに限らず、例えば駅構内や街頭などに設置されて列車や飛行機さらにはバスや船などの公共の乗り物の運行状況等の情報、あるいはガスや電気などの工事箇所や災害に伴う危険箇所を示す情報を提供する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…表示装置
2…LED(発光素子)
11…情報伝送部
12…表示判別部
13…表示制御部
14…表示色切換制御部
15…LED駆動部
C…制御伝送部
U…表示ユニット
B…青系色発光部
G…緑系色発光部
R…赤系色発光部
K…記憶部
T…時間計測部
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に文字や図形等を色分け表示することによって、一般公衆に対し事象の重大性を認識させての情報提供を行う情報提供装置及びプログラムに関する。特に、一般色覚者及び色覚異常者双方に対し、色分けした際における前記文字や図形等の視認性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば駅構内や街頭などに設置されて列車運行状況などの交通情報を提供する、あるいは自動車専用道路の道路脇や架橋等に配設されて高速道路をはじめとする主要な幹線道路の交通状況などの道路情報を提供する情報提供装置が知られている。例えば道路情報を表示する情報提供装置(道路情報板などと呼ばれる)においては、赤系と黄緑系の発光色を発光するそれぞれの発光ダイオード(以下、LED)が組み合わされてなる発光ユニットが行列状(ドットマトリクス状)に多数配置された表示装置に、それら多数のLEDの発光の組み合わせによる赤色と黄緑色さらにはそれらの混合色である橙色とを含めた3色の色を使って文字や図柄(又は図形)等のイメージ(便宜的に提供情報とも呼ぶ)を表示することで、車両の運転者に対し情報提供者によって提供される道路情報の表示を行っている。また、最近では、3原色(赤色、緑色、青色)の色それぞれを発光可能な複数のLEDからの発光色を組み合わせることで、単色だけでなく白色を含む多様な色(混合色)での提供情報の表示が可能な情報提供装置が開発されており、駅構内や高速道路などで導入が進んでいる。
【0003】
ところで、情報提供装置においては提供情報の表示の際に、提供する情報の種類・内容等に従って色分け表示を行っている。この提供情報の表示色の色分けについては特に規定はないものの、一般的には事象の重大性によって異なる色を用いて表示するようになっている。例えば道路情報板においては、通行止めや渋滞等の特に危険性の高い重要な事象に関する提供情報を表示する場合には車両の運転者の注意を引きやすくかつ一般的に危険を表す「赤色」(赤系)の表示色を、交通規制や落下物の注意等の比較的軽微な事象に関する提供情報を表示する場合には「橙色」の表示色を、高速出口や各都市までの残距離等の一般的な交通案内の事象に関する提供情報を表示する場合には「白色」の表示色をそれぞれ使用することで、車両の運転者に対して色による事象の重大性を認識させながらの情報提供を行うようにしている。
【0004】
表示の色分けによる情報提供が行われる場合、色覚異常でない一般色覚者はどの色で表示されたとしても、表示された提供情報をほぼ認識できるので特に問題は生じない。しかし、目の視細胞における赤色錐体又は緑色錐体が欠損している殆どの色覚異常者においては、赤系の色を非常に暗い色として視認することが知られており、そのため色覚異常者は「赤色」により表示された提供情報を認識しない可能性がある。上記したように「赤色」により表示される提供情報は特に危険を伴う重要な事象に関する情報であるので、一般色覚者は勿論のこと色覚異常者にも必ず認識してもらわない安全性が損なわれる可能性がある。そこで、この問題を解決するために、一般色覚者と色覚異常者の双方に対して色分けされた提供情報の視認性を高める技術が知られている。一例を挙げると、下記に示す特許文献1に記載の装置がある。
【0005】
特許文献1に記載の装置では色覚異常者の視認性を改善させるために、赤色単独でなく黄緑系と混合した混合色である赤系の色にて提供情報の表示を行っている。ただし、こうした場合には、一般色覚者がその混合色を夜間に黄色みがかかった赤色として視認するという不都合が生じることから、従来ではそれを解決するために、所定のドミナント波長を持つ混合色の混合比を昼夜別に記憶しておき、昼夜の時間帯によって前記昼夜別の混合比に基づく異なる色合い(色相)の混合色(ただしどちらも赤系)を使い分けて提供情報の表示を行うようにしている。
【0006】
こうした色を使い分けての表示を行うために、従来装置では使用するLEDの種別によって特性が異なることに鑑みて、事前にピーク波長とドミナント波長のバランスを調整して混合比を設定しておく必要がある。また、ピーク波長とドミナント波長との関係は一様でなく、同じ元素の半導体から構成されるLEDであってもピーク波長とドミナント波長が異なるため、ピーク波長を調整して混合色に対する混合比を設定するに際して、ドミナント波長とのバランスを考慮して設定を行う必要がある。さらに、ピーク波長とドミナント波長とは同じ元素からなる半導体を収容したLEDであってもメーカや型式によって異なるために、上記のピーク波長及びドミナント波長の設定に際しては、LEDの計測装置を用いて両波長に対してバランスの良い混合比を事前に求めておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−284977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、例えば道路情報板において危険色である「赤色」(赤系)により提供情報を表示するのは、事象の重大性を運転者に伝えることが目的である。しかし、特許文献1に記載の従来装置のように、色覚異常者の視認性を改善させるために例え混合色の赤系の色を用いて情報の表示を行ったとしても赤系であることには変わらないことから、色覚異常者にとってはやはり認識しづらく場合によっては色覚異常者にまったく認識してもらえない恐れがある、という問題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、表示装置に表示される文字や図柄(図形)等のイメージへの視認性を一般色覚者及び色覚異常者双方において向上させて、色による事象の重大性を認識させての情報提供を行うことのできるようにした情報提供装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る情報提供装置は、文字・図形等のイメージを複数の色を用いて表示することが可能な表示装置と、指定されたイメージを指定された第1の色で表示するよう前記表示装置を制御する表示制御手段と、前記指定された第1の色が赤系の色である場合に、前記表示装置で表示する前記指定されたイメージの赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色に時間的に切り換えるよう前記表示制御手段を制御する表示切換手段とを備える。
【0011】
本発明によれば、表示装置に表示された文字・図形等のイメージの色が赤系の色である場合に、当該文字・図形等の赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色に時間的に切り換えるようにした。赤系の表示色と前記赤系以外の第2の表示色との間で色を切り換えて文字・図形等を表示することによって、危険性の高い重要な事象に関する情報を一般的に危険を知らせ得る「赤系の色」によって一般色覚者に対し伝えることができる一方で、「赤系の色」によっては表示された文字・図形等を認識し得ない色覚異常者に対しても、前記「赤系の色」を「色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色」に切り換えることで表示された文字・図形等を認識させることができ、これにより危険性の高い重要な事象に関する情報を伝えることができるようになる。また、こうした「赤系の表示色」と前記「赤系以外の第2の表示色」とを切り換え表示するので、表示された文字・図形等の視認性を一般色覚者及び色覚異常者のどちらかを犠牲にすることなく双方において向上させることができ、もって一般色覚者又は色覚異常者のどちらか一方だけでなく、一般色覚者及び色覚異常者双方に対して色による事象の重大性を認識させての情報提供が適切にできるようになる。
【0012】
本発明は装置の発明として構成し実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示装置に表示された文字・図形等のイメージの色が赤系の色である場合に、当該文字・図形等の赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の表示色に時間的に切り換えるようにしたことから、一般色覚者及び色覚異常者双方において色分け表示したイメージの視認性を向上させることができ、もって一般色覚者及び色覚異常者双方に対し色による事象の重大性を認識させての情報提供を行うことが適切にできるようになる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る情報提供装置の一実施例を示す概念図である。
【図2】表示ユニットを示す概念図である。
【図3】表示ユニットの内部構成を便宜的に示す概念図である。
【図4】制御伝送部の機能構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図5】提供情報の一実施例である。
【図6】LED制御による表示色の遷移範囲を色光のxy色度図上に示した図である。
【図7】表示制御処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図8】表示色切換処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】提供情報の別の実施例である。
【図10】表示色切換の別の実施態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る情報提供装置の一実施例を示す概念図である。以下では、説明を理解しやすくするために、情報提供装置として道路情報を提供する道路情報板を例に説明する。本発明に係る情報提供装置(道路情報板)は、大きく分けて多数のLED(発光素子)がドットマトリクス状に配設されてなる表示装置1と、当該表示装置1の表示制御を行う制御伝送部Cとからなる。
【0017】
前記表示装置1は、複数行複数列(ここでは一例として6行12列のものを示した)に配設された多数の表示ユニットUからなり、当該表示ユニットUを使用して所定の道路情報を文字・図形等のイメージ(後述する図5や図9参照)により表示することが可能になっている。ここで、前記イメージはそれを見た一般公衆がそのイメージが意味する情報(情報提供者が提供しようとする情報)の内容を理解することのできるものであれば、文字や図形(図柄)等に限られない。
【0018】
図2に示すように、前記表示ユニットUには、複数個のLED2がN行N列の行列状(例えば、図中N=16)に配設されている。そして、各LED2は1個または2個の素子で赤・緑・青(RGB)の3原色の発光が同時に可能なフルカラーLEDであって、図3に示すように、赤色の単色を発光する赤系色発光部Rと、緑色の単色を発光する緑系色発行部Gと、青色の単色を発光する青系色発行部Bとを有する半導体からなる発光素子である。個々のLED2において、赤系色発光部Rと緑系色発行部Gと青系色発行部Bとが個別若しくは同時に発光制御されることによって、表示装置1の表示面全体に例えば後述する図5又は図9に示されるような文字あるいは図柄等により提供される道路情報が、赤色、緑色、青色の各単色は勿論のこと、これらの各単色を任意の割り合い(混合比)に従って混ぜあわせた所定の色度及び輝度の混合色(白色を含む)により多色表示される。
【0019】
なお、表示装置1に含まれる表示ユニットUあるいは各表示ユニットUに配設されるLED2の、個数や形状さらに配設位置は本実施形態に限られるものではなく適宜に変更可能である。
なお、表示装置1は上記LEDを発光させるタイプのものに限らず、例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等により構成されるタイプの表示装置であってもよい。
【0020】
次に、制御伝送部Cについて図4を用いて説明する。図4は、制御伝送部Cの機能構成を概略的に示す機能ブロック図である。なお、制御伝送部Cとしてはこの図4に示した以外の機能を有する場合もあるが、ここでは必要最小限の機能を有する場合について説明する。
【0021】
本実施形態に示す制御伝送部Cは、情報伝送部11、表示判別部12、表示制御部13、表示色切換制御部14、LED駆動部15、さらには記憶部K及び時間計時部Tを含んでなる。情報伝送部11は、当該装置外部の道路交通管理施設等(図示を省略した情報提供施設)から有線又は無線の通信インタフェースを介して、交通情報や各種指令情報(例えばテスト指令、運用停止指令等)を受信する。他方、外部の道路交通管理施設等に当該装置の稼動状態を監視させるために、当該装置から道路交通管理施設等に対して図示を省略した監視部により随時に発生される前記各部11〜15の動作状況を表す監視情報を送信する。
【0022】
表示判別部12は、前記情報伝送部11により受信された交通情報や各種指令情報に基づいて表示装置1に表示する文字や図柄等の判別を行い、該判別した文字や図柄等を表示装置1に表示するために必要な、前記判別した文字や図柄等のうち各表示ユニットUが受け持つ表示範囲の決定とそれらを表示装置1に表示開始する際の初期表示色(第1の色)の割り当てを行う。該表示判別部12により決定された表示範囲及び初期表示色の割り当ては、表示データとして表示制御部13に出力される。
【0023】
ここで、本実施例における表示判別部12では、前記情報伝送部11により交通情報が受信された場合に、前記判別した文字や図柄等のうち重要な事象に関する情報を示すものを「赤色」(赤系)の表示色及び「黄色」(黄系)の表示色で、前記重要な事象に比べると比較的軽微な事象に関する情報を示すものを「橙色」の表示色で、交通案内等の事象に関する一般的な情報を示すものを「白色」の表示色でそれぞれ表示するように初期表示色の割り当て(第1の色の指定)を行う。表示判別部12は重要な事象に関する情報について「赤色」及び「黄色」を割り当てるが、この際には判別した文字や図柄等を例えば意味を持つ単語毎に分割して該分割単位に同じ色を割り当てるように色分けする。
【0024】
具体例を図5に示す。この図5に示す提供情報例は、表示装置1に「京都南−茨木」の文字表示1aと「事故通行止」の文字表示(1b,1c)とを上下段の2段に分けて表示した例である。この表示例の場合、上段に表示された「京都南−茨木」表示1aが交通案内等の事象に関する一般的な情報に相当し、この「京都南−茨木」表示1aを「白色」で初期表示する。他方、下段に表示された「事故通行止」表示(1b,1c)が重要な事象に関する情報に相当し、この「事故通行止」表示に関してはそれぞれが意味を持つ単語である「事故」表示1bと「通行止」表示1cとの2つに分割したうえで、それぞれで色分けして初期表示する。例えば単語「事故」の表示1bを「黄色」で、単語「通行止」の表示1cを「赤色」で初期表示する。勿論、ここに示した初期表示は一例であって、例えば「京都南−茨木」表示1aを「橙色」で、「事故」表示1bを「赤色」又は「黄色」で、「通行止」表示1cを「黄色」又は「赤色」でそれぞれ初期表示するようにしてよい。
【0025】
図4に戻って、表示制御部13は、表示判別部12から出力される表示データに基づき各表示ユニットU単位に初期表示信号を生成し、これによって複数のLED駆動部15を制御する。LED駆動部15は多数の表示ユニットUに対応する数だけ用意されており、各LED駆動部15は対応する各表示ユニットUにおける複数のLED2による表示制御を実行する。前記初期表示信号には、各表示ユニットUが受け持つ表示範囲(文字や図柄の全体又はそれらの一部)内にある1乃至複数のLED2を制御対象に特定する情報と、それら制御対象の各LED2の赤系色発光部Rと緑系色発光部Gと青系色発光部B(図3参照)を発光させる際の制御信号である色度及び輝度信号などが含まれる。表示制御部13から1乃至複数のLED駆動部15に対して前記初期表示信号が出力されることにより、多数の表示ユニットUからなる表示装置1に図5に示すような初期表示色によって色分けされた提供情報が表示される。
【0026】
なお、本実施例において「赤色」表示を行うにあたり、赤系色発光部Rを単独で発光させた表示色による表示を行うものに限らず、赤系色発光部Rと緑系色発光部Gと青系色発光部Bの各出力を所定の色度の混合色にて発光させるまで制御した、波長をずらした赤系色による表示を行うものであってよい。すなわち、この明細書での「赤色」との記載は、色覚上「赤」と認識され得る色であれば混合色であってもよい。勿論、「黄色」や「青色」についても同様であって、色覚上「黄」、「青」と認識され得る色であれば混合色であってもよい。
【0027】
本実施例においては、上述したように道路情報を初期表示する際に提供情報を複数に分割して、一方を一般色覚者にとって視認し易い「赤色」で表示し、他方を色覚異常者にとって視認し易い「黄色」で表示する(図5参照)。このように、提供情報を「赤色+黄色」や「黄色+赤色」のように表示色を分けて表示するだけでも、一般色覚者及び色覚異常者双方共に視認性の向上が見込まれる。ただし、「黄色」表示される提供情報は元の一部だけであるから、特に色覚異常者にとって「赤色」表示された一部は認識し難いままである。
【0028】
そこで、本発明に係る情報提供装置では、「赤色」と「黄色」とで表示色を分けて表示された提供情報に関し、赤色から黄色へと及び黄色から赤色へと、時間経過に従って色相を変化させながらの情報表示を行うことによって、特に色覚異常者が情報の一部だけでなく全体を認識することのできるようにしている。この実施形態では、図4に示す表示色切換制御部14がLED駆動部15に対して、混合色の色度・輝度の信号を時間的に変化させながら出力することで、上記したような提供情報を分割した部分単位での色相変化を実現するようにしている。この表示色切換制御部14によるLED駆動部15の制御は、表示制御部13から切換開始指示が与えられることによって開始され、表示制御部13から切換終了示が与えられることによって終了される。
【0029】
表示色切換制御部14には、時間計測部Tと記憶部Kとが接続されている。時間計測部Tはクロックを発信しており、表示色切換制御部14は時間計測部Tからのクロックを受信開始することに応じて時間計測を開始する。表示色切換制御部14は時間計測を開始すると、経過時間に従って色度記憶部Kから前記経過時間に応じた所定の混合色の色度及び輝度を読み出す。
【0030】
色度記憶部Kは、例えば図6に示すような色光のxy色度図において、時間経過に応じて図中矢印で示す範囲を繰り返し往復するようにして決められる色度座標(x,y)に応じた混合色を、赤系色発光部Rと緑系色発光部Gと青系色発光部Bとを同時に発光させて発光させるための混合色の色度の時間的変化を記憶する。混合色の色度の時間的変化としては、例えば初期表示として「赤色」表示された情報に関しては「赤色」から「黄色」へと表示色を変化させるよう、図6において色度座標(x,y)を「赤色」(0.70,0.30)から「橙色」(0.61,0.39)を介して「黄色」(0.43,0.50)に至る矢印で示した直線に沿って混合色の色度及び輝度を時間的に変化させる。一方、初期表示として「黄色」表示された情報に関しては「黄色」から「赤色」へと表示色を変化させるよう、図6において色度座標(x,y)が「黄色」(0.43,0.50)から「橙色」(0.61,0.39)を介して「赤色」(0.70,0.30)に至る矢印で示した直線に沿って混合色の色度及び輝度を時間的に変化させる。この時間的に変化させる混合色の色度及び輝度の範囲は、色覚異常者が認識しやすい表示色を逸脱しない範囲に設定される。なお、上記した色度座標(x,y)の各数値は一例でありこれに限られない。
【0031】
色度記憶部Kから経過時間に従って読み出された混合色の色度及び輝度は、表示色切換制御部14からLED駆動部15へと送られ、表示色切換制御部14は各表示ユニットUに対して前記混合色の色度及び輝度を出力する。表示ユニットUが前記色度の混合色を発光させるよう、赤系色発光部Rと緑系色発光部Gと青系色発光部Bの発光制御を行う。これにより、表示装置1に表示された提供情報は、「赤色から橙色」、「橙色から黄色」、「黄色から橙色」、「橙色から赤色」へと時間経過に従っての色相変化(色変わり)を連続的に繰り返す。「赤色から橙色」、「橙色から黄色」へと変化させることで、一般色覚者にとっては危険と認識し得る危険色である「赤色」が「黄色」へと変化することになるが、色覚異常者にとっては視認性が高まることから色覚異常者に対し危険を及ぼし得る交通情報を適切に提供できる。また、「赤色」から「黄色」へと変化した後には、「黄色から橙色」、「橙色から赤色」へと変化するようにしたことによって、一般色覚者にとって危険と認識し得る危険色である「赤色」に戻ることから、一般色覚者に対して危険を及ぼし得る交通情報を適切に提供できる。
【0032】
なお、表示色切換制御部14は色度記憶部Kから経過時間に従って混合色の色度及び輝度を読み出してLED駆動部15を制御するようにしたがこれに限らず、所定の算出式(図示せず)により時間経過に応じた混合色の色度及び輝度を算出し、これによりLED駆動部15を制御するようにしてもよい。また、LED2の各発光部(R,G,B)により発光されるRGB3原色の各色の混合比を経過時間に従って読み出したり算出したりして、該色の混合比によってLED駆動部15を制御するようにしてよい。
なお、本実施例では、「赤色」と「黄色」との間で時間的な色相変化を行うものを例に示したがこれに限らず、一般色覚者が危険と認識する色(赤系)と、色覚異常者が視認し易い色(黄系や白色など)との間で時間的な色相変化を行えばよい。
【0033】
なお、提供情報の色相を時間的に変化させるための混合色の色度及び輝度の読み出しサイクル(色変わりサイクルとも呼ぶ)は、本情報提供装置を設置する道路の規制速度や、表示装置1に表示する情報量(例えば文字数など)、車両速度に応じた運転者による情報の判読に係る所要時間等の諸条件により適宜設定することができる。
【0034】
また、上記の場合、提供情報は「赤色から橙色」、「橙色から黄色」、「黄色から橙色」、「橙色から赤色」へと時間経過に従っての色相変化を連続的に繰り返すが、一般色覚者や色覚異常者が表示された情報を走行中の車両などから限られた時間内で適切に視認できるようにすることは重要である。すなわち、一般色覚者や色覚異常者それぞれが提供される情報を判読するのに必要な時間だけ「赤色」又は「黄色」の表示色で情報を表示しないと、一般色覚者や色覚異常者が情報を判読するに足りる時間を確保することができずに結局は情報が伝えられない恐れがある。
【0035】
そこで、一般色覚者や色覚異常者が視認しやすい表示色での表示を時間的に長くする、つまりは一般色覚者や色覚異常者が視認しやすい表示色の表示に関しては、一般色覚者や色覚異常者それぞれが提供される情報を判読するのに必要な時間(判読所要時間)を確保するようにして、上記した色変わりサイクルに従ってのLED2の発光制御を行う。具体的には、提供情報を赤色又は黄色の表示色で表示する時間に比較して、徐々に色相を遷移させることによる過渡的な表示色での表示にかかる時間を短くする。
【0036】
すなわち、図6に示すような色光のxy色度図において、色度座標(x,y)を「赤色」(0.70,0.30)と「黄色」(0.43,0.50)との間で読み出す際の時間を短くすると共に、「赤色」(0.70,0.30)と「黄色」(0.43,0.50)それぞれでは所定時間だけ読み出しを一時的に停止するようにするとよい。これにより、赤色又は黄色の表示色で提供情報を表示する時間を、前記色相を時間に応じて遷移させることによる過渡的な表示色で提供情報を表示する時間に比較して長くすることができることから、一般色覚者や色覚異常者が情報を判読する間だけ「赤色」又は「黄色」の表示色による情報提供を行うことができるようになる。
【0037】
次に、上記したような表示装置1に情報を表示する情報表示処理について説明する。図7は、表示制御処理の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、制御伝送部Cが外部の道路交通管理施設等から交通情報や各種指令情報を取得することにより開始する。
【0038】
ステップS1は、交通情報を取得したか否かを判定する。交通情報でなく各種指令情報を取得した場合には(ステップS1のNO)、取得した各種指令情報に応じた表示制御を実行する(ステップS11)。例えば、各種指令情報としてテスト指令を受信した場合には表示装置1に「テスト中」と表示するし、また運用停止指令を受信した場合には表示装置1に「運用停止中」と表示する又は表示装置1に何も表示しない(表示装置1による表示の停止)。なお、このときに、後述する「表示色切換処理」(図8参照)が既に実行中であれば当該処理の終了を指示する。すなわち、表示制御部13から表示色切換制御部14に切換終了指示が与えられる。
【0039】
一方、交通情報を取得した場合には(ステップS1のYES)、表示ユニットU毎に提供情報の決定及び初期表示色の割り当てを行う(ステップS2)。すなわち、受信した交通情報に基づき表示装置1に表示する情報の表示内容(例えば「事故通行止」などの提供情報)を特定し、また各表示ユニットUが表示を受け持つ前記特定した表示内容の部分的な表示範囲に関する提供情報の決定と、それらを表示装置1に初期表示する際の各文字の表示色の割り当て(第1の色の指定)を行う。この処理により、これらを含む表示データが生成される。このとき、重要な事象に関する情報であれば、提供情報を例えば意味を持つ単語毎に分割して分割後の単語単位に表示色を割り当てる。ここで、前記単語単位に割り当てる表示色の少なくとも1つには危険色の「赤色」を割り当て、残りの表示色には特に色覚異常者に視認し易い色を割り当てる(例えば図5に示したように、「事故」に色覚異常者に視認し易い黄色を、「通行止」に危険色である赤色を割り当てる)。なお、このときにも後述する「表示色切換処理」(図8参照)が既に実行中であれば当該処理の終了を指示する。すなわち、表示制御部13から表示色切換制御部14に切換終了指示が与えられる。
【0040】
ステップS3は、前記表示色の割り当てに従って表示ユニットU単位に、当該ユニットUに含まれる個々のLED2に割り当てられた初期表示色の判別を行う。ステップS4は、前記判別に従って個々のLED2に割り当てられた初期表示色が赤色又は黄色かを判定する。初期表示色が赤色又は黄色に割り当てられていると判定した場合には(ステップS4のYES)、それらのLED2を表示色切換対象LED群として「赤色」と「黄色」別に設定する(ステップS5)。ステップS6は、LED2毎に表示色の割り当てがあるか否かを判定する。表示色の割り当てのないLED2である場合には(ステップS6のNO)、ステップS10の処理へジャンプする。すなわち、LED駆動部15に対して初期表示信号を送らず、制御伝送部Cから各表示ユニットUに対して駆動信号が送信されないことからLED2の点灯による情報の表示は行われない。
【0041】
他方、表示色の割り当てのあるLED2である場合には(ステップS6のYES)、表示データに基づく初期表示信号をLED駆動部15に出力する(ステップS7)。このLED駆動部15に対する初期表示信号の出力に従って、制御伝送部Cから各表示ユニットUに対して個々のLED2に対する駆動信号が送信され、各表示ユニットUにおいて初期表示色でのLED2の点灯による情報の表示が行われる。ステップS8は、個々のLED2が表示色切換対象LED群であるか否かを判定する。表示色切換対象LED群に設定されたLED2である場合には(ステップS8のYES)、表示色切換処理の開始を指示する(ステップS9)。すなわち、表示制御部13から表示色切換制御部14に切換開始指示が与えられる。この開始指示に応じて実行開始される「表示色切換処理」については後述する(図8参照)。ステップS10は、全表示ユニットUに関して上記処理の実行を終了したか否かを判定する。全表示ユニットUに関して上記処理の実行を終了していないと判定した場合には(ステップS10のNO)、上記ステップS3の処理に戻ってステップS3〜S9までの処理を繰り返す。全表示ユニットUに関して上記処理の実行を終了したと判定した場合には(ステップS10のYES)、本表示制御処理を終了する。
【0042】
次に、上記した表示色切換処理(図7のステップS9参照)について図8を用いて説明する。当該表示色切換処理は各表示ユニットU単位に実行される。ステップS21は、時間計時の取得を開始する。ステップS22は、赤色のLED群に設定されたLED2か否かを判定する。赤色のLED群に設定されたLED2でないと判定された場合には(ステップS22のNO)、黄色から赤色へと色相を時間的に変化させるために時間経過に応じて混合色の色度及び輝度を決定する(ステップS23)。
【0043】
一方、赤色のLED群に設定されたLED2であると判定された場合には(ステップS22のYES)、赤色から黄色へと色相を時間的に変化させるために時間経過に応じて混合色の色度及び輝度を決定する(ステップS24)。すなわち、時間計時部Tから取得した時間計時に基づく時間経過に従って、色度記憶部Kに記憶された混合色の色度及び輝度を順次に読み出す(図6参照)。ステップS25は、該読み出した混合色の色度及び輝度に応じた輝度信号を、当該LED2を制御する該当のLED駆動部15に対し出力する。
【0044】
ステップS26は、終了指示がなされたか否か、つまりは新規の交通情報や各種指令情報の取得が行われたか否かを判定する。終了指示がなされていないと判定した場合には(ステップS26のNO)、上記ステップS22の処理に戻ってステップS22〜S25の処理を繰り返す。この繰り返しによって、判別された提供情報を分割した単語単位などにおいて、「赤色から橙色」、「橙色から黄色」、「黄色から橙色」、「橙色から赤色」へと時間経過に従う表示色の色相変化(色変わり)の連続的な繰り返しを伴う情報の表示が実現される。終了指示がなされたと判定した場合には(ステップS26のYES)、時計計時の取得を終了し(ステップS27)、当該表示色切換処理を終了する。
【0045】
以上のようにして、本実施形態においては、行列状に多数配設されてなる複数のLED2を発光制御することによって、表示装置1に表示されている文字や図柄等のうち、表示色が赤系のものと色覚異常者が認識しやすい黄系のものとに関し、当該表示色を赤系と黄系との間で時間に応じて切り換えて表示させるようにした(上記ステップS22〜S25参照)。赤系の表示色と黄系の表示色(色覚異常者が視認し易い前記赤系以外の第2の色である)との間で表示色を切り換えることによって、一般色覚者に対し危険色である「赤系」の表示色による提供情報の表示により危険性の高い重要な事象に関する情報を伝えることができる一方で、「赤系」の表示色によっては表示された提供情報を認識し得ない色覚異常者に対しても危険性の高い重要な事象に関する情報を伝えることができるようになる。
【0046】
また、こうした赤系の表示色と黄系の表示色との切り換えを交互に行うことで、一般色覚者及び色覚異常者双方に対する提供情報の視認性をどちらかを犠牲にすることなく向上させることができ、もって一般色覚者又は色覚異常者のどちらか一方だけでなく、一般色覚者及び色覚異常者双方に色によっての事象の重大性を認識させながらの情報提供が適切にできるようになる。
【0047】
以上、図面に基づいて実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態が可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施例においては、図5に示すような文字の羅列からなる提供情報による表示例を例に説明したが、時間経過に従う表示色の変化は図形情報板における図柄等の提供情報においても実現させるとよい。
【0048】
図形情報板の一例を図9に示す。図9(a)は車両の進行方向にある複数の経路情報を示す図形情報板であるが、こうした図形情報板では一般的に車両速度が極めて低い渋滞中の道路範囲を帯状の道路図形1a(提供情報)を危険色である「赤色」の表示色で表示する一方で、車両速度が遅くなり始めている渋滞手前の道路範囲を帯状の道路図形1b(提供情報)を「橙色」の表示色で表示する。そこで、この例では、「赤色」の道路図形1aについて上記したように「赤色」と「黄色」との間での時間的な表示色の色相変化(色変わり制御)を繰り返し行うことで、一般色覚者及び色覚異常者双方に対する提供情報の視認性を向上させることができ、これにより一般色覚者及び色覚異常者双方に色によっての事象の重大性を認識させながらの情報提供が適切に行われる。
【0049】
また、図9(b)は車両の火災事故の発生に関する情報を提供する道路表示板の例であるが、この場合には火災であることを示す複数の火災図形表示のうち外側に表示された炎をかたどった火災図形1a(提供情報)を「赤色」で、その内側に表示された炎をかたどった火災図形1b(提供情報)を「黄色」で表示する。そこで、この例では、各火災図形1a,1bについて上記したように「赤色」と「黄色」との間での時間的な表示色の色相変化を繰り返し行うことで、一般色覚者及び色覚異常者双方に対する提供情報の視認性を向上させることができ、これにより一般色覚者及び色覚異常者双方に色によっての事象の重大性を認識させながらの情報提供が適切に行われる。
【0050】
なお、道路情報板に表示した全ての提供情報について時間的に色を変化させることに限らず、特に運転者等に伝えたい重要な情報を意味する一部の提供情報のみに限定して色を変化させるようにしてもよい。例えば、図5に示すような道路情報板において「事故通行止」表示の「通行止」1c部分のみに限定して色相を変化させる、あるいは図9(a)に示すような図形情報板において車両の走行速度が遅い渋滞区間の道路図形1aのみに限定して色相を変化させるようにする。こうすることによれば、限定的な情報の表示色の変化によってより重要な情報を強調することができ、運転者に対し情報提供側が運転者に対して提供したい重要な情報への喚起を促して認識を高める効果がある。
【0051】
なお、上述した実施例では、時間経過に従う混合色の色度に従って徐々に色相を変化させる例を示したがこれに限らず、単に所定時間毎に「赤色」表示と「黄色」表示とを切り換えて提供情報を表示させるようにしてもよい。
また、表示する情報を分割して分割範囲毎に分けて時間的に色を変化させるものに限らず、表示する提供情報全体を一括に色変化させてもよい。例えば、図5に示すように提供情報が「事故通行止」である場合には、「事故」表示と「通行止」表示とに分割してそれぞれの表示色を変化させるのではなく「事故通行止」表示全体を一括して同じ表示色で変化させるようにしてもよい。
【0052】
さらに、時間経過に応じて表示色を変化させる範囲を変更させるようにしてもよい。例えば図10に示すように、初期表示として「事故通行止」表示の全てを「赤色」で表示しておき、時間経過に応じて例えば左から右へと「赤色」表示を「黄色」表示へと変化させることにより「黄色」表示の文字範囲を拡げ、最終的には「事故通行止」表示全てを「黄色」で表示する。図10では、位置Zの範囲まで表示色が「赤色」から「黄色」に変化した状態を示している。また、「事故通行止」表示の全が「黄色」表示された後には、さらなる時間経過に応じて例えば再度左から右へと「黄色」表示を「赤色」表示へと変化させることにより「赤色」表示の文字範囲を拡げ、最終的には「事故通行止」表示全てを「赤色」表示に戻す。このようにして、「赤色」表示と「黄色」表示の色変え(表示色の切換)を繰り返すとよい。
【0053】
なお、上述した実施例では、「赤色」の表示色と「黄色」の表示色との間で表示色の切換を行う例を示したがこれに限らない。特に、「黄色」の表示色については色覚異常者が視認し易い色であれば「黄色」に限らず他の色であってよい。
なお、上述した実施例では、道路情報を表示する情報提供装置である道路情報板を例に示したがこれに限らず、例えば駅構内や街頭などに設置されて列車や飛行機さらにはバスや船などの公共の乗り物の運行状況等の情報、あるいはガスや電気などの工事箇所や災害に伴う危険箇所を示す情報を提供する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…表示装置
2…LED(発光素子)
11…情報伝送部
12…表示判別部
13…表示制御部
14…表示色切換制御部
15…LED駆動部
C…制御伝送部
U…表示ユニット
B…青系色発光部
G…緑系色発光部
R…赤系色発光部
K…記憶部
T…時間計測部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字・図形等のイメージを複数の色を用いて表示することが可能な表示装置と、
指定されたイメージを指定された第1の色で表示するよう前記表示装置を制御する表示制御手段と、
前記指定された第1の色が赤系の色である場合に、前記表示装置で表示する前記指定されたイメージの赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色に時間的に切り換えるよう前記表示制御手段を制御する表示切換手段と
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記表示切換手段は、前記赤系の色と前記第2の色とを時間経過に従って徐々に色相を遷移させながら交互に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記表示切換手段は、前記赤系の色を用いての前記イメージの表示時間及び前記第2の色を用いての前記イメージの表示時間の少なくともいずれかに比較して、時間経過に従って徐々に色相を遷移させることに伴い過渡的に生じる前記赤系の色及び前記第2の色とは異なる色を用いての前記イメージの表示時間を短くして、時間経過に従って徐々に色相を遷移させることを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記表示切換手段は、色覚異常者が認識しやすい色を逸脱することなしに時間経過に従って徐々に色相を遷移させることを特徴とする請求項2又は3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記表示切換手段は、時間経過に従ってイメージ全体で色相を均一的に徐々に遷移させながら色を切り換える、又は時間経過に従ってイメージ内の色相を徐々に遷移させる範囲を増減しながら色を切り換えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記表示切換手段は、前記赤系の色から前記第2の色へと色相を遷移させるタイミングにあわせて、前記指定された第1の色が前記色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色であるイメージの色を、前記第2の色から前記赤系の色へと色相を逆に遷移させながら切り換えることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色は黄系の色であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記表示装置は複数の発光素子が行列状に多数配設されてなり、前記各発光素子が1乃至複数組み合わされて発光制御されることによって文字・図柄等のイメージを指定された色によって表示することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記発光素子の発光制御によって発光可能な混合色の色度、あるいは前記混合色を生成するための色の混合比の時間的変化を記憶する記憶手段をさらに備えてなり、
前記表示切換手段は時間経過に応じて前記記憶手段から混合色の色度あるいは色の混合比を読み出し、該読み出した混合色の色度あるいは色の混合比に基づいて前記発光素子を発光制御することにより時間経過に従って徐々に色相を遷移させることを特徴とする請求項8に記載の情報提供装置。
【請求項10】
コンピュータに、
文字・図形等のイメージを複数の色を用いて表示することが可能な表示装置に、指定されたイメージを指定された第1の色で表示するよう制御する手順と、
前記指定された第1の色が赤系の色である場合に、前記表示装置で表示する前記指定されたイメージの赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色に時間的に切り換えるよう制御する手順と
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
文字・図形等のイメージを複数の色を用いて表示することが可能な表示装置と、
指定されたイメージを指定された第1の色で表示するよう前記表示装置を制御する表示制御手段と、
前記指定された第1の色が赤系の色である場合に、前記表示装置で表示する前記指定されたイメージの赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色に時間的に切り換えるよう前記表示制御手段を制御する表示切換手段と
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記表示切換手段は、前記赤系の色と前記第2の色とを時間経過に従って徐々に色相を遷移させながら交互に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記表示切換手段は、前記赤系の色を用いての前記イメージの表示時間及び前記第2の色を用いての前記イメージの表示時間の少なくともいずれかに比較して、時間経過に従って徐々に色相を遷移させることに伴い過渡的に生じる前記赤系の色及び前記第2の色とは異なる色を用いての前記イメージの表示時間を短くして、時間経過に従って徐々に色相を遷移させることを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記表示切換手段は、色覚異常者が認識しやすい色を逸脱することなしに時間経過に従って徐々に色相を遷移させることを特徴とする請求項2又は3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記表示切換手段は、時間経過に従ってイメージ全体で色相を均一的に徐々に遷移させながら色を切り換える、又は時間経過に従ってイメージ内の色相を徐々に遷移させる範囲を増減しながら色を切り換えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記表示切換手段は、前記赤系の色から前記第2の色へと色相を遷移させるタイミングにあわせて、前記指定された第1の色が前記色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色であるイメージの色を、前記第2の色から前記赤系の色へと色相を逆に遷移させながら切り換えることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色は黄系の色であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記表示装置は複数の発光素子が行列状に多数配設されてなり、前記各発光素子が1乃至複数組み合わされて発光制御されることによって文字・図柄等のイメージを指定された色によって表示することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記発光素子の発光制御によって発光可能な混合色の色度、あるいは前記混合色を生成するための色の混合比の時間的変化を記憶する記憶手段をさらに備えてなり、
前記表示切換手段は時間経過に応じて前記記憶手段から混合色の色度あるいは色の混合比を読み出し、該読み出した混合色の色度あるいは色の混合比に基づいて前記発光素子を発光制御することにより時間経過に従って徐々に色相を遷移させることを特徴とする請求項8に記載の情報提供装置。
【請求項10】
コンピュータに、
文字・図形等のイメージを複数の色を用いて表示することが可能な表示装置に、指定されたイメージを指定された第1の色で表示するよう制御する手順と、
前記指定された第1の色が赤系の色である場合に、前記表示装置で表示する前記指定されたイメージの赤系の色を少なくとも色覚異常者が認識しやすい赤系以外の第2の色に時間的に切り換えるよう制御する手順と
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−212355(P2012−212355A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78197(P2011−78197)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【出願人】(507194017)株式会社高速道路総合技術研究所 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【出願人】(507194017)株式会社高速道路総合技術研究所 (33)
【Fターム(参考)】
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