説明

情報提供装置及び情報提供方法、無線通信装置及び無線通信方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システム

【課題】オフライン時のクライアント端末が基地局やアクセスポイントを探索する通信動作のための消費電力を低減する。
【解決手段】サーバーは、通信情報予測アルゴリズムを用い、クライアント端末の移動経路上でオフライン状態になる位置又は時間と、オンライン状態に復帰する位置又は時間を予測して、クライアント端末に通知する。クライアント端末は、通知されたオフライン予測位置又は時間に到達すると通信機能を停止させる。オフライン時のクライアント端末は、位置認識、若しくは時刻認識によりオンライン復帰予測位置又は時間に到達したことを判断して、通信機能を復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続されるサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を行なうための情報をクライアント端末に提供する情報提供装置及び情報提供方法、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続してサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を行なう無線通信装置及び無線通信方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムに係り、特に、基地局又はアクセスポイントに接続されないオフライン状態において消費電力を低減しながらサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を行なうための情報をクライアント端末に提供する情報提供装置及び情報提供方法、基地局又はアクセスポイントに接続されないオフライン状態において消費電力を低減しながらサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を行なう無線通信装置及び無線通信方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信は、旧来の有線通信における配線作業の負担を解消し、さらには移動体通信を実現する技術として利用に供されている。例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などの標準的な規格を利用した無線LAN(Local Area Network)は既に広く普及している。さらに最近では、「ホットスポット(登録商標)」に代表される無線LANを用いたブロードバンド・インターネット接続サービスが普及してきている。すなわち、カフェやホテル、ファーストフード、駅、空港などに基地局若しくはアクセスポイントが設置され、インターネットが利用可能なサービス・エリアが提供されている。ユーザーは、外出先でもIP(Internet Protocol)電話やWWW(World Wide Web)情報空間へのアクセスなどのサービスを享受することができる。このため、クライアント端末となる多くの情報機器に無線LAN機能を搭載することが多くなってきている。
【0003】
サーバーとクライアント端末からなる無線通信システムでは、互いに情報転送や同期処理を行なう。ここで、クライアント端末の多くは、携帯電話機やPDA(PersonalDigital Assistant)などのバッテリー駆動の移動端末であることから、不要な時間では送受信機を停止して、省電力化を図ることが好ましい。
【0004】
携帯電話機の場合、地下鉄のような圏外と圏内を繰り返すときには、圏外で通信機能を停止させると省電力の効果が向上する。例えば、通信系の機能のみを手動でオフモードにする機能や、基地局に対するセンシング・インターバルを、段階を追って長くする機能などが知られている。しかしながら、圏外、圏内に突入する度に手動で動作モードの切り替えを行なうのは、ユーザーにとって煩わしい作業であり、実用性に乏しい。
【0005】
また、無線LANでは、現在位置に存在しているネットワークを確認するためのスキャン動作が必要である。スキャン手続には、アクティブ・スキャンとパッシブ・スキャンの2種類がある。アクティブ・スキャンでは、クライアント端末は、定期的にプローブ要求フレームを送信してアクセスポイントをセンシングする、一方、パッシブ・スキャンでは、クライアント端末は、自ら送信を行なうことはなく、アクセスポイントからのビーコン・フレーム受信時のみ受信状態を有効にするアウェイク・モードと、受信状態を無効にするスリープ・モードを繰り返す。パッシブ・スキャンによれば、スリープ・モード下で送受信機を停止させるので、バッテリーの消費を抑えることができる。また、パッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モードでは、ビーコン受信を間引いてアウェイク回数を削減して、さらに消費電力を低減することができる。しかしながら、動作時間が短縮するとしても、ビーコン受信のために定期的に受信回路を動作させる必要があり、送受信機の動作を完全に停止させている訳ではない。また、ユーザーが手動やタイマーなどで無線LAN機能の動作モードの切り替えを行なうのは、上述と同様実用的ではない。
【0006】
また、無線通信において、受信電界強度の値を用いて同期処理を行なうべきか否かを判定し、同期用データの消失や一部のデータのみ同期処理を行なうなどの事態を防止することができる(例えば、特許文献1を参照のこと)。しかしながら、受信電界強度を用いた同期処理判定では、同期処理に備えて受信電界強度を取得する必要があり、オフライン状態においても通信機能を常に動作させておかなければならず、消費電力が増加する。
【0007】
また、無線通信の電波状況により外部装置と記録装置の無線通信の可否を検知する情報配信システムについて提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。しかしながら、電波状況をセンシングするためには、上述と同様にオフライン状態においても通信機能を常に動作させておく必要があり、消費電力が増加する。
【0008】
また、情報端末のタイマーによって定期的に同期タイミングを設ける、情報端末の処理負荷が規定値以下になったら同期処理を開始する(並列して動作するアプリケーションの動作を妨げないようにするため)、情報端末がネットワークの通信負荷を監視して通信負荷が規定値以下になったら同期処理を開始する、あるいはユーザーによる同期開始操作により開始する、といった方法によって同期処理のスケジューリングを行なうネットワークシステムについて提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。しかしながら、情報端末がネットワークの通信負荷を監視するには端末の通信機能を動作させておく必要があるため、消費電力が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−309791号公報
【特許文献2】特開2003−76497号公報
【特許文献3】特開2002−158673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続されるサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を行なうための情報をクライアント端末に好適に提供することができる、優れた情報提供装置及び情報提供方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムを提供することにある。
【0011】
本発明のさらなる目的は、基地局又はアクセスポイントに接続されないオフライン状態において消費電力を低減しながらサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を行なうための情報をクライアント端末に好適に提供することができる、優れた情報提供装置及び情報提供方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムを提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、基地局又はアクセスポイントを介してネットワーク接続してサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を好適に行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【0013】
本発明のさらなる目的は、基地局又はアクセスポイントに接続されないオフライン状態において消費電力を低減しながらサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を好適に行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の発明は、サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてサーバーとして動作する情報提供装置であり、
クライアント端末と接続して通信を行なう通信部と、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析部と、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測部と、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測部と、
を具備することを特徴とする情報提供装置である。
【0015】
本願の請求項2に記載の発明によれば、請求項1に係る情報提供装置は、ユーザーのプライベート・コンテンツを保持するプライベート・コンテンツ・データベースをさらに備えている。そして、前記内容解析部は、前記プライベート・コンテンツ・データベースに保持されているユーザーのプライベート・コンテンツの内容を解析し、得られた行動予定に基づいてユーザーの目的地を推定するように構成されている。
【0016】
ここで言うプライベート・コンテンツは、本願の請求項3に記載の発明によれば、ユーザーが作成又は編集した予定表、電子メール、メモ帳である。
【0017】
また、本願の請求項4に記載の発明によれば、プライベート・コンテンツには、ユーザーの行動履歴が含まれる。行動履歴は、本願の請求項5に記載の発明によれば、ユーザーのログインID、ログイン日時、ログイン場所、ログオフ日時、ログオフ場所、交通系履歴、各種商品の購入履歴、放送番組その他のコンテンツの視聴履歴、各種情報機器の操作履歴などである。
【0018】
本願の請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報提供装置の移動予測部は、前記クライアント端末から取得したセンサー情報に基づいて前記現在位置を推定するように構成されている。
【0019】
ここで言うセンサー情報は、本願の請求項7に記載の発明によれば、前記クライアント端末において測定した、GPS(Global Posiioning System)受信電波情報、WiFi基地局の受信信号強度情報(RSSI:Receiving Signal Strength Indicator)、加速度センサーにより測定された加速度情報などの、クライアント端末の位置情報を推定する際に使用することができるセンサー情報である。
【0020】
あるいは、センサー情報は、本願の請求項8に記載の発明によれば、加速度センサーにより測定された加速度情報、画像認識装置による画像認識結果などの、クライアントの移動状態を推定する際に使用することができるセンサー情報である。
【0021】
そして、本願の請求項9に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報提供装置の移動予測部は、推定された現在位置から目的地までの移動経路を、隠れマルコフ・モデルを用いた学習アルゴリズムによって予測するように構成されている。
【0022】
本願の請求項10に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報提供装置は、各地点における基地局又はアクセスポイントの通信情報を保持する通信情報データベースをさらに備えている。そして、通信予測部は、前記通信情報データベースに基づいて、前記移動経路上における前記クライアント端末と基地局又はアクセスポイントとの接続状態を予測するように構成されている。
【0023】
ここで言う通信情報は、本願の請求項11に記載の発明によれば、各地点における基地局又はアクセスポイントの転送レート又は受信電波強度などである。
【0024】
本願の請求項12に記載の発明によれば、請求項1に記載の情報提供装置の通信予測部は、前記移動経路上で前記クライアント端末がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアが存在することを予測すると、前記クライアント端末の接続不能状態、及び、前記クライアント端末の基地局又はアクセスポイントとの接続可能条件を含んだ通信予測情報を事前に送信するように構成されている。
【0025】
ここで言う通信予測情報は、本願の請求項13に記載の発明によれば、接続不能状態の情報として、前記クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間を含み、また、接続可能条件の情報として、前記クライアント端末がオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を含む。
【0026】
本願の請求項14に記載の発明によれば、請求項12に記載の情報提供装置の通信部は、前記通信予測部が前記接続不能状態を予測したクライアント端末とは、前記接続可能条件を満たすまでは、接続を停止するように構成されている。
【0027】
本願の請求項15に記載の発明によれば、請求項14に記載の情報提供装置の通信部は、接続可能条件を満たさない場合であっても、他の所定の条件を満たすときには、クライアント端末との接続の停止を解除して接続を試みるように構成されている。
【0028】
また、本願の請求項16に記載の発明は、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析ステップと、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測ステップと、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測ステップと、
を有することを特徴とする情報提供方法である。
【0029】
また、本願の請求項17に記載の発明は、サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてサーバーとして動作するための処理をコンピューター上で実行するためのコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
クライアント端末と接続して通信を行なう通信部、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析部、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測部、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測部、
として機能させるためのコンピューター・プログラムである。
【0030】
本願の請求項17に係るコンピューター・プログラムは、コンピューター上で所定の処理を実現するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムを定義したものである。換言すれば、本願の請求項17に係るコンピューター・プログラムをコンピューターにインストールすることによって、コンピューター上では協働的作用が発揮され、本願の請求項1に係る情報提供装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0031】
本願の請求項18に記載の発明は、サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてクライアント端末として動作する無線通信装置であり、
基地局又はアクセスポイントと無線通信を行なう通信部と、
基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作、及び、前記通信部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、予測された自分の移動経路上の通信状況に基づいて、前記サーバーとの接続動作及び前記通信部の動作を制御する、
ことを特徴とする無線通信装置である。
【0032】
本願の請求項19に記載の発明によれば、請求項18に記載の無線通信装置は、移動経路上で基地局又はアクセスポイントとの接続不能状態、及び、基地局又はアクセスポイントとの接続可能条件を含んだ通信予測情報を前記サーバーから事前に受信するように構成されている。
【0033】
ここで言う通信予測情報は、本願の請求項20に記載の発明によれば、接続不能状態の情報として、前記クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間を含み、また、接続可能条件の情報として、前記クライアント端末がオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を含む(同上)。
【0034】
本願の請求項21によれば、請求項19の記載の無線通信装置の制御部は、前記接続不能状態では、前記接続可能条件を満たすまでは、前記通信部を停止するように構成されている。
【0035】
本願の請求項22によれば、請求項21の記載の無線通信装置の制御部は、接続可能条件を満たさない場合であっても、他の所定の条件を満たすときには、前記通信部の停止を解除して、前記サーバーとの接続を試みるように構成されている。
【0036】
本願の請求項23に記載の発明によれば、請求項18に記載の無線通信装置は、各地点における基地局又はアクセスポイントの通信情報を保持する通信情報データベースをさらに備えている。そして、制御部は、前記通信情報データベースに基づいて、自分の移動経路上における基地局又はアクセスポイントとの接続状態を予測するように構成されている。
【0037】
本願の請求項24に記載の発明は、
予測された自分の移動経路上の通信状況を取得するステップと、
前記通信状況に基づいて、基地局又はアクセスポイントとの無線通信動作、及び、基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作を制御するステップと、
を有することを特徴とする無線通信方法である。
【0038】
本願の請求項25に記載の発明は、サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてクライアント端末として動作するための処理をコンピューター上で実行するためのコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
基地局又はアクセスポイントと無線通信を行なう通信部、
基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作、及び、前記通信部の動作を制御する制御部、
として機能させ、
前記制御部は、予測された自分の移動経路上の通信状況に基づいて、前記サーバーとの接続動作及び前記通信部の動作を制御する、
ことを特徴とするコンピューター・プログラムである。
【0039】
本願の請求項25に係るコンピューター・プログラムは、コンピューター上で所定の処理を実現するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムを定義したものである。換言すれば、本願の請求項25に係るコンピューター・プログラムをコンピューターにインストールすることによって、コンピューター上では協働的作用が発揮され、本願の請求項18に係る無線通信装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
本願の請求項26に記載の発明は、
クライアント端末を所持するユーザーのプライベート・コンテンツに基づいてユーザーの目的地を推定し、前記クライアント端末の現在位置から前記目的地までの移動経路を予測し、予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知するサーバーと、
予測された前記移動経路上の通信状況に基づいて、前記サーバーとの接続動作及び前記通信動作を制御する前記クライアント端末と、
で構成され、前記サーバーと前記クライアント端末間で情報転送、同期処理を行なう、
ことを特徴とする無線通信システムである。
【0041】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、基地局又はアクセスポイントに接続されないオフライン状態において消費電力を低減しながらサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を行なうための情報をクライアント端末に好適に提供することができる、優れた情報提供装置及び情報提供方法、コンピューター・プログラム、並びに無線通信システムを提供することができる。
【0043】
また、本発明によれば、基地局又はアクセスポイントに接続されないオフライン状態において消費電力を低減しながらサーバーとの間で情報転送並びに同期処理を好適に行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法、並びにコンピューター・プログラムを提供することができる。
【0044】
本願の請求項1、16、17、18、24、25、26に記載の発明によれば、クライアント端末がこれから移動する目的地を予測し、クライアント端末の現在位置から目的地への移動経路を予測し、この移動経路上においてクライアント端末がオフライン状態になる位置又は時間、並びに、オンライン状態に復帰する位置又は時間を予測することができる。そして、このような通信予測情報をクライアント端末へ通知することで、クライアント端末は、オフライン時に基地局やアクセスポイントを探索する通信機能を動作させることに伴う消費電力を低減させることが可能となる。また。クライアント端末は、オンライン復帰予測位置又は時間に到達したときに通信機能を復帰させて、サーバーとの情報転送や同期処理を再開することができる。
【0045】
本願の請求項2乃至5に記載の発明によれば、ユーザーのプライベート・コンテンツに書かれている内容を解析して、例えば移動中のクライアント端末の目的地を予測することができる。
【0046】
本願の請求項6乃至8に記載の発明によれば、クライアント端末のセンサー情報を基に、クライアント端末の現在位置を特定又は推定することができる。
【0047】
本願の請求項9に記載の発明によれば、現在位置から目的地までの移動経路を、隠れマルコフ・モデルを用いた学習アルゴリズムによって予測することができる。
【0048】
本願の請求項10、11に記載の発明によれば、予測された移動経路と、通信情報データベースに保存されている各地点の通信情報を比較することによって、時間又は場所に対する複数の無線システムの通信状態することができる。すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリア内における転送レートや電波強度などを把握して、移動経路上におけるクライアント端末の基地局又はアクセスポイントとの接続状態を予測し、この通信予測情報をクライアント端末へ通知することができる。
【0049】
本願の請求項12、13、19に記載の発明によれば、クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間などの接続不能状態と、クライアント端末がオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間などの接続可能条件を含んだ通信予測情報をクライアントに提供することができる。
【0050】
本願の請求項14、21に記載の発明によれば、クライアント端末は、位置認識若しくは時刻認識に基づいて、オンライン復帰予測位置又は時間に到達して接続可能条件が満たされたときに、通信機能を復帰させて、消費電力を低減させることが可能となる。また、本願の請求項15、22に記載の発明によれば、接続可能条件を満たさない場合であっても、他の所定の条件を満たすときには、サーバー並びにクライアント端末は、それぞれ接続の停止を解除して、接続を試みることができる。
【0051】
本願の請求項23に記載の発明によれば、クライアント端末は、基地局やアクセスポイントの地図データ(若しくは、各アクセスポイントの通信情報)を自ら保持し、位置認識手段で取得した位置情報と合わせることにより、現在位置がオンライン又はオフラインのいずれの状態であるかを判別することができ、サーバーからの通信予測情報の通知なしで通信機能のオンオフを制御させることが可能となる。
【0052】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順を説明するための図である。
【図3】図3は、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順を説明するための図である。
【図4】図4は、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順を説明するための図である。
【図5】図5は、クライアント端末が、サーバーから通知されるオフライン予測位置及びオンライン復帰予測位置に基づいて通信機能を制御する動作例を示した図である。
【図6】図6は、クライアント端末が、サーバーから通知されるオフライン予測時間及びオンライン復帰予測時間に基づいて通信機能を制御する動作例を示した図である。
【図7】図7は、クライアント端末がサーバーからの通信情報の通知なしに通信機能を制御する動作例を示した図である。
【図8A】図8Aは、図5並びに図6に示した動作を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順を示したフローチャート(前半)である。
【図8B】図8Bは、図5並びに図6に示した動作を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順を示したフローチャート(後半)である。
【図9A】図9Aは、図5並びに図6に示した動作を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順を示したフローチャート(前半)である。
【図9B】図9Bは、図5並びに図6に示した動作を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順を示したフローチャート(後半)である。
【図10】図10は、ユーザーのクライアント端末として動作する情報機器の構成例を示した図である。
【図11】図11は、クライアント端末がプライベート・コンテンツやセンサー情報を送信するための機能的構成を模式的に示した図である。
【図12】図12は、サーバーとして動作する情報機器の構成例を示した図である。
【図13】図13は、サーバーとして動作する情報機器の構成例を示した図である。
【図14】図14は、移動予測アルゴリズム演算部1305によるクライアント端末の移動経路の予測結果の一例を示した図である。
【図15】図15は、図14に示したクライアント端末の移動経路上で判定したオフライン・エリアを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0055】
図1には、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成を模式的に示している。図示の通信システムでは、サーバーとクライアント端末間で互いに情報転送、同期が行なわれる。
【0056】
図示の通信システムのネットワークは、有線ケーブルを用いて接続される有線通信部と、電波通信により接続される無線通信部からなる。有線通信部は、例えば、光ファイバーやADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称ディジタル加入者回線)などの有線ネットワークで構成される。また、無線通信部は、WiFi、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)、LTE(Long Term Evolution)、WiMAX(Worldwide interoperability for Microwave Access)などの無線ネットワークで構成される。無線通信部には、基地局若しくはアクセスポイントを介して接続することができる。
【0057】
有線通信部にはサーバーが設置されている。図1では、図面の簡素化のため1台のサーバーしか描いていないが、複数台のサーバーを設置することが可能である。サーバーは、複数のユーザーのすべてのデータを保持し、複数のクライアント端末との間で情報転送、同期などの処理を行なう。
【0058】
クライアント端末は、有線通信部又は無線通信部のいずれかを用いて通信システムに接続される。図1に示す例では、ユーザーBが所有するクライアント端末B、並びに、ユーザーCが所有するクライアント端末Cは、それぞれ有線通信部で通信システムに接続される。
【0059】
また、ユーザーAが所有するクライアント端末A、並びに、ユーザーDが所有するクライアント端末Dは、それぞれ最寄りの基地局若しくはアクセスポイント(AP)を介して無線通信部に接続されている。各基地局若しくはアクセスポイントのサービス・エリアは、クライアント端末A、Dがオンライン状態となる「オンライン・エリア」である。また、いずれの基地局若しくはアクセスポイントのサービス・エリアでもないエリアでは、クライアント端末A、Dはオフライン状態となり、「オフライン・エリア」に相当する。
【0060】
各クライアント端末A〜Dには、サーバーから新たな情報が転送される。又は、各クライアント端末A〜Dは、サーバーとの間で同期処理を行なって、必要なデータを自分のローカル・ディスクなどの記憶装置に保存する。本実施形態では、ユーザーのすべてのデータがサーバーに保存されていることから、ユーザーはどのクライアント端末にログインしても、同様に所持するデータを確認することができる。
【0061】
クライアント端末A、Dは、バッテリー駆動の移動端末であり、いずれのサービス・エリアにも収容されないオフライン状態などの不要な時間では送受信機を停止して、省電力化を図ることが好ましい。
【0062】
続いて、図1に示した通信システムにおける、サーバーとクライアント端末間でのデータ交換の手順について、図2〜図4を参照しながら説明する。但し、サーバーに接続されるクライアント端末は、基地局又はアクセスポイント経由で無線通信部に接続されるものとする。
【0063】
ユーザーがクライアント端末にログインすると、クライアント端末は、搭載しているセンサーから抽出した位置認識に使用するセンサー情報を、サーバーに送信する(図2を参照のこと)。センサー情報として、GPS(Global Posiioning System)受信電波に基づいて測定された位置情報、WiFi基地局の受信信号強度情報(RSSI:Receiving Signal Strength Indicator)、加速度センサーにより測定された加速度情報など、クライアント端末の位置情報を推定するためのセンサー情報、あるいは、加速度センサーや画像認識装置などクライアント端末の移動状態を推定するためのセンサー情報を挙げることができる。
【0064】
サーバーは、過去に複数クライアント端末から送信された通信情報を保存する通信情報データベースを持ち、時間、場所に対する、複数の無線システムの通信状態、すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリアの位置登録マップや、各サービス・エリア内における転送レートや電波強度などを通信情報として把握している。また、サーバーは、内容解析アルゴリズムと、移動予測アルゴリズムと、通信予測アルゴリズムを備えている。
【0065】
サーバーは、クライアント端末から受け取ったセンサー情報に基づいてクライアント端末の現在位置若しくは移動状態を推定する。続いて、サーバーは、データベースとして内部で保存しているクライアント端末のプライベート・コンテンツ(予定表、メール、メモ帳などのテキスト情報や、撮影した画像情報など)の内容を内容解析アルゴリズムに基づいて解析すると、この解析結果を推定したクライアント端末の現在位置若しくは移動状態と比較することにより、クライアント端末の行動予測、すなわち、クライアント端末がこれから移動する目的地の予測を行なう。次いで、サーバーは、移動予測アルゴリズムに基づいて、現在位置から目的地までのクライアント端末の移動経路を算出する。
【0066】
そして、サーバーは、通信予測アルゴリズムに基づいて、予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報を比較することにより、クライアント端末の今後の通信情報、すなわち、移動経路上におけるクライアント端末の接続不能状態及び接続条件を判定する。接続不能状態は、クライアント端末がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続できないオフライン・エリアにいることに相当する。また、接続条件は、クライアント端末がいずれかの基地局又はアクセスポイントと接続することができるオンライン・エリアに移動することに相当する。
【0067】
サーバーは、クライアント端末の移動経路上に接続不能状態すなわちオフライン・エリアが存在すると判定した場合には、クライアント端末の接続不能状態並びに接続可能条件を予測し、これらの情報含んだ通信予測情報を、クライアント端末が接続不能状態になる前に送信する(図3を参照のこと)。具体的には、サーバーは、接続不能状態として、クライアント端末がオフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間を算出する。また、サーバーは、接続可能条件として、クライアント端末がオフライン・エリアを通り抜けてオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を算出する。また、サーバーは、接続不能状態にあると予測したクライアント端末とは、接続条件を満たすまでは、接続を停止する。但し、接続条件を満たさない場合であっても、他の所定の条件を満たすときには、クライアント端末との接続の停止を解除し、クライアント端末との接続を試みるようにしてもよい(後述)。
【0068】
クライアント端末は、これら予測位置又は予測時間を含んだ通信予測情報を受信すると、自身が保持するGPS、WiFi、加速度センサーなどの自らの位置認識手段によって認識した現在位置、又は、自らの時間認識手段によって認識した現在時刻と、サーバーから通知されたオフライン予測位置又は予測時間を比較する。そして、クライアント端末は、接続不能状態すなわちオフライン・エリアに到達したら、通信機能を停止する。
【0069】
クライアント端末は、オフライン・エリアにて通信機能を自律的に停止している期間中は、本システムによって通信機能を停止させていることが分かる表記をする。図4には、クライアント端末のGUI(Graphical User Interface)画面の右上に、オフライン状態(OFF)であることを示すアイコンを表示している様子を示している。
【0070】
そして、クライアント端末は、接続可能条件が満たされると、停止中の通信機能を復帰させる。具体的には、クライアント端末は、自身が保持する位置認識手段による現在位置又は時間認識手段による現在時刻と、サーバーから通知されたオンライン復帰予測位置又は予測時間を比較し、オンライン・エリアに到達したら停止中の通信機能を復帰させる。また、クライアントは、通信可能条件が満たされない場合であっても、他の所定の条件を満たすときには、通信機能の停止を解除し、サーバーとの接続を試みるようにしてもよい(後述)。
【0071】
ここで、オフライン・エリアは、クライアント端末がいずれのサービス・エリアからも圏外であるなどの原因により、クライアント端末とサーバーが通信することが不可能なエリアである。オフライン予測位置は、クライアント端末の移動経路上でオフライン・エリアに到達すると予測される位置のことであり、予測したクライアント端末の移動経路と、通信情報データベースに保存されている基地局又はアクセスポイントの位置登録マップを比較した結果から算出される。オフライン予測時間は、移動経路に従って移動中のクライアント端末がオフライン・エリアに到達すると予測される時刻のことであり、オフライン予測位置と現在位置からの移動経路から算出される距離及びクライアント端末の移動速度から算出される。
【0072】
また、オンライン・エリアは、クライアント端末がいずれかのサービス・エリアの圏内に存在して、クライアント端末とサーバーが通信可能なエリアである。オンライン復帰予測位置は、クライアント端末の移動経路上で再びオンライン・エリアに到達すると予測される位置のことであり、予測したクライアント端末の移動経路と、通信情報データベースに保存されている基地局又はアクセスポイントの位置登録マップを比較した結果から算出される。オンライン復帰予測時間は、移動経路に従って移動中のクライアント端末がオンライン・エリアに到達すると予測される時刻のことであり、オンライン復帰予測位置と現在位置からの移動経路から算出される距離及びクライアント端末の移動速度から算出される。
【0073】
また、クライアント端末の通信機能を停止させるとは、通常のパッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モードでは行なう間欠受信さえも行なわず、送受信機への電力の供給を停止させることである。したがって、本実施形態では、クライアント端末はオフライン・エリアでは間欠受信することなく、消費電力を低減させることが可能である。
【0074】
なお、以下の説明では、現実のオフライン・エリアと区別する場合に、サーバーの予測結果に基づくオフライン・エリア並びにオンライン・エリアのことをそれぞれ「オフライン予測エリア」、「オンライン予測エリア」、オフライン予測エリアに到達する位置、時刻のことをそれぞれ「オフライン予測位置」、「オフライン予測時刻」、オンライン予測エリアに到達する位置、時刻のことをそれぞれ「オンライン復帰予測位置」、「オンライン復帰予測時間」と呼ぶことにする。
【0075】
図5並びに図6には、クライアント端末が、サーバーから通知される通信予測情報に基づいて自らの通信機能を制御する動作例をそれぞれ示している。また、図7には、図5並びに図6との対比として、クライアント端末がサーバーからの通信情報の通知なしに通信機能を制御する動作例を示しておく。
【0076】
図5に示す例では、サーバーは、クライアント端末に対し、通信予測情報としてオフライン予測位置及びオンライン復帰予測位置を通知している。
【0077】
クライアント端末は、これらの通信予測情報を受信すると、自身が所持する位置認識手段が認識した現在位置と、通知されたオフライン予測位置とを比較する。そして、クライアント端末は、現在位置がオフライン予測位置に到達したら、通信機能を停止する。通信機能が停止した状態では、図示のように送受信機への電力の供給を停止する。
【0078】
通常のパッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モードでは、通信を行なっていない状態でも、ビーコンの間欠受信を行なう。これに対し、本実施形態では、クライアント端末は、通信機能を停止すると間欠受信さえも行なわないことから、省電力の効果が高い。
【0079】
また、クライアント端末は、オフライン状態において、自身が所持する位置認識手段が認識した現在位置と、通知されたオンライン復帰予測位置とを比較する。そして、クライアント端末は、現在位置がオンライン復帰予測位置に到達したら、通信機能を復帰する。
【0080】
ここで、クライアント端末が所持する位置認識手段は、例えば、GPS受信電波、WiFi基地局の受信電波強度(RSSI)、加速度センサーの加速度情報の積分結果などに基づいて現在の位置情報を測定することができる。例えば、周囲にあるWiFiアクセスポイントからの電測情報を得て、現在位置をリアルタイムに測定する技術として“PlaceEngine(登録商標)”が知られている。あるいは、加速度センサーにより測定された加速度情報、画像認識装置による画像認識結果などに基づいて、クライアント端末の移動状態を推定することもできる。
【0081】
クライアント端末は、位置認識手段を用いて細かく位置情報を取得すれば、より正確な通信機能の制御が可能になる。図5に示す例では、現実のオフライン・エリアよりも先にオフライン予測位置に到達し、現実のオンライン復帰位置よりも先にオンライン復帰予測位置に到達している。
【0082】
図6に示す例では、サーバーは、クライアント端末に対し、通信予測情報として、オフライン予測時間及びオンライン復帰予測時間を通知している。
【0083】
クライアント端末は、これらの通信予測情報を受信すると、自身が所持する時間認識手段が認識した現在時刻と、通知されたオフライン予測時間とを比較する。そして、現在時刻がオフライン予測時間に到達したら、通信機能を停止する。通信機能が停止した状態では、図示のように送受信機への電力の供給を停止する。本実施形態では、クライアント端末は、通信機能を停止すると間欠受信さえも行なわないことから、通常のパッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モードなどと比較しても、省電力の効果が高い(同上)。
【0084】
また、クライアント端末は、オフライン状態において、自身が所持する時間認識手段が認識した現在時刻と、オンライン復帰予測時間とを比較する。そして、クライアント端末は、現在時刻がオンライン復帰予測時間に到達したら、通信機能を復帰する。
【0085】
他方、図7に示す例では、サーバーは、クライアント端末に対し、オフライン・エリアへの到達及びオンライン・エリアへの復帰に関する予測位置、予測時間に関する通信予測情報を一切通知しない。クライアント端末は、パッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モードにおいて、送信動作を停止しつつも、間欠的なビーコン受信動作を引き続き行なう。すなわち、オフライン・エリアに到達しても、クライアント端末の消費電力が格別に低減することはない。
【0086】
なお、通信機能の制御を位置情報又は時間情報のいずれを用いて行なうかはシステム毎に相違する。例えば、位置認識を一定時間毎に行なうと、先に予測時間に到達する可能性がある。また、クライアント端末が位置認識手段を備えていない場合には、時間認識手段のみを用い、図6に示したように制御を行なうようにすればよい。
【0087】
図8A及び図8Bには、図5並びに図6に示した動作を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順をフローチャートの形式で示している。図示の処理手順では、クライアント端末は、基本的に、サーバーから受信する通信予測情報に依って自らのオフライン状態/オンライン状態の判定を行なうものとする。
【0088】
ユーザーがクライアント端末にログインすると(ステップS11)、クライアント端末は、搭載しているセンサーから抽出した位置認識に使用するセンサー情報を、サーバーに送信する(ステップS12)。この処理手順では、クライアント端末は、比較的高い頻度でセンサー情報をサーバーに送信するものとする。
【0089】
サーバーは、クライアント端末から上記のセンサー情報を受信すると、センサー情報データベースに保存されているセンサー情報を基に、各クライアント端末の現在位置を特定又は推定する(ステップS1)。
【0090】
次いで、サーバーは、プライベート・コンテンツ・データベース(後述)に保存しているクライアント端末のプライベート・コンテンツ(予定表、メール、メモ帳などのテキスト情報や、撮影した画像情報など)の内容を内容解析アルゴリズムに基づいて解析して、クライアント端末がこれから移動する目的地の予測を行なう(ステップS2)。
【0091】
次いで、サーバーは、移動予測アルゴリズムに基づいて、センサー情報から特定又は推定される現在位置から上記の予測した目的地までのクライアント端末の移動経路を算出する(ステップS3)。
【0092】
サーバーは、過去に複数クライアント端末から送信された通信情報を保存する通信情報データベースを持ち、時間、場所に対する、複数の無線システムの通信状態、すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリア内における転送レートや電波強度などを把握している(前述)。サーバーは、ステップS3によりクライアント端末の移動経路を得ると、さらに通信予測アルゴリズムに基づいて、クライアント端末の今後の通信情報を予測する。すなわち、サーバーは、予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報を比較することにより、予測された移動経路上にオフライン・エリアがあるか否かを判定する(ステップS4)。
【0093】
クライアント端末がオフライン・エリアにあると判定した場合には(ステップS4のYes)、サーバーは、クライアント端末のオフライン予測位置又はオフライン予測時間、並びに、オンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を算出して(ステップS5)、これら算出した情報を通信予測情報としてクライアント端末へ送信する(ステップS6)。
【0094】
ここで、オフライン予測位置は、サーバーが予測したクライアント端末の移動経路と、サーバーが保持する基地局又はアクセスポイントの位置登録マップを比較した結果から算出される。オフライン予測時間は、オフライン予測位置と現在地からの移動経路から算出される距離及びクライアント端末の移動速度から算出される。
【0095】
この処理手順では、クライアント端末は位置認識に使用するセンサー情報を比較的高い頻度でサーバーに送信しており(前述)、サーバーからも高い頻度で通信予測情報が送信されるものとする(ステップS6)。このような場合、クライアント端末は、サーバーから通信予測情報を受信した時点で、現在位置がオフライン予測位置に到達したこと、若しくは、現在時刻がオフライン予測時刻であると推定することができる。したがって、クライアント端末は、サーバーから通信予測情報を受信したことに応答して、通信機能を停止する(ステップS13)。このとき、サーバー側でも、オフライン状態にあると予測したクライアント端末との接続を停止するようにしてもよい。
【0096】
クライアント端末が通信機能を停止させると、通常のパッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モードでは行なう間欠受信さえも行なわないので、消費電力を低減させることが可能である(図5、図6を参照のこと)。
【0097】
クライアント端末は、オフライン状態では、自身が保持する位置認識手段による現在位置又は時間認識手段による現在時刻と、サーバーから通知されたオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を比較し(ステップS14)、オンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間に到達するまでオフライン状態を保持し、通信機能を停止し続ける。
【0098】
その後、オンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間に到達したら(ステップS14のYes)、クライアント端末は、停止中の通信機能を復帰させる(ステップS16)。このとき、サーバー側でも、クライアント端末がオンライン状態に復帰すると予測したら、クライアントとの接続を再開する。
【0099】
オンライン復帰予測位置は、サーバーが予測したクライアント端末の移動経路と、サーバーが保持する基地局又はアクセスポイントの位置登録マップを比較した結果から算出される。オンライン復帰予測時間は、オンライン復帰予測位置と現在地からの移動経路から算出される距離及びクライアント端末の移動速度から算出される。
【0100】
また、クライアント端末は、オンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間に到達しない、すなわち通信機能を復帰させる条件が満たされない場合であっても(ステップS14のNo)、事前に定めた特別の条件を満たす場合には(ステップS15のYes)、停止中の通信機能を復帰させる(ステップS16)。
【0101】
ここで言う特別の条件の一例として、サーバーが予測したオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間と、実際にクライアント端末で計測される現在位置又は現在時刻との差が規定値以上となったときを挙げることができる。このような事象が発生した場合、サーバーによるクライアント端末の移動予測又は通信予測が誤りであった可能性が高く、クライアント端末は既にオンライン・エリアに突入していることも想定され、オンライン状態への早期復帰を試みるべきだからである。
【0102】
また、特別の条件として、ユーザーがマニュアル操作によってオンライン状態への復帰を指示したことを含めてもよい。サーバーとクライアント端末の協働的動作によりクライアント端末がオフライン・エリアにいると予測されているとしても、ユーザーは現在位置がオンライン・エリアであることを検知できる場合もあり、ユーザーの判断を尊重すべきだからである。
【0103】
クライアント端末が、自身のセンサー情報ではなくサーバーからの通信予測情報のみに依存して通信機能の制御を行なう場合、クライアント端末によるセンサー情報の通知並びにサーバーからの通信予測情報の通知が比較的高い頻度で行なわれるとしても、現実の位置又は時間と通信予測情報の間に誤差があることが懸念される。したがって、ステップS15のような、クライアント端末側でオフライン状態からオンライン状態に復帰できる仕組みを持つことが好ましいと思料される。
【0104】
クライアント端末は、通信機能を復帰させた後(ステップS16)、オンライン状態に復帰できたか否か、すなわち、最寄りの基地局若しくはアクセスポイントに接続することができたか否かをチェックする(ステップS17)。
【0105】
クライアント端末が、自身のセンサー情報ではなく、サーバーからの通信予測情報に依存してオンライン状態にあるか否かを判断する場合、現実にはまだオフライン・エリアには到達しておらず、オンライン状態に復帰できない場合がある。そこで、まだオンライン状態に復帰できないときには(ステップS17のNo)、クライアント端末は、通信機能を一時的に停止させて(ステップS18)、無駄な電力の消費を回避するようにする。なお、サーバー側でも、オフライン状態にあると予測したクライアント端末とは、接続を停止するようにしてもよい。
【0106】
また、クライアント端末は、オンライン状態に復帰することができたときには(ステップS17のYes)、サーバーとの接続を再開させる(ステップS19)。そして、クライアント端末は、サーバーに接続して、情報転送、同期などの処理を行なう。サーバー側でも、クライアント端末がオンライン状態に復帰すると予測したら、クライアントとの接続を再開する。
【0107】
その後、クライアント端末は、ステップS12に復帰して、所定の頻度でサーバーにセンサー情報を送信する。
【0108】
図9A及び図9Bには、図5並びに図6に示した動作を実現するためのサーバー並びにクライアント端末がそれぞれ実行する処理手順の他の例をフローチャートの形式で示している。図示の処理手順では、クライアント端末は、サーバーから通信予測情報を受信するが、自らも通信情報データベースを備え、自らの位置認識手段に基づいてオフライン・エリア並びにオンライン・エリアの位置情報を正確に認識することができるものとする。
【0109】
ユーザーがクライアント端末にログインすると(ステップS31)、クライアント端末は、搭載しているセンサーから位置認識に使用するセンサー情報を取得し、サーバーには比較的低い頻度で送信する(ステップS32)。
【0110】
サーバーは、クライアント端末から上記のセンサー情報を受信すると、センサー情報データベースに保存されているセンサー情報を基に、各クライアント端末の現在位置を特定又は推定する(ステップS21)。
【0111】
次いで、サーバーは、プライベート・コンテンツ・データベースに保存しているクライアント端末のプライベート・コンテンツ(予定表、メール、メモ帳などのテキスト情報や、撮影した画像情報など)の内容を内容解析アルゴリズムに基づいて解析して、クライアント端末がこれから移動する目的地の予測を行なう(ステップS22)。
【0112】
次いで、サーバーは、移動予測アルゴリズムに基づいて、センサー情報から特定又は推定される現在位置から上記の予測した目的地までのクライアント端末の移動経路を算出する(ステップS23)。
【0113】
サーバーは、過去に複数クライアント端末から送信された通信情報を保存する通信情報データベースを持ち、時間、場所に対する、複数の無線システムの通信状態、すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリア内における転送レートや電波強度などを把握している(前述)。サーバーは、ステップS23によりクライアント端末の移動経路を得ると、さらに通信予測アルゴリズムに基づいて、クライアント端末の今後の通信情報を予測する。すなわち、サーバーは、予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報を比較することにより、予測された移動経路上にオフライン・エリアがあるか否かを判定する(ステップS24)。
【0114】
クライアント端末がオフライン・エリアにあると判定した場合には(ステップS24のYes)、サーバーは、クライアント端末のオフライン予測位置又はオフライン予測時間、並びに、オンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を算出して(ステップS25)、これら算出した情報を通信予測情報としてクライアント端末へ送信する(ステップS26)。
【0115】
この処理手順では、クライアント端末は位置認識に使用するセンサー情報を比較的低い頻度でサーバーに送信しており(前述)、サーバーからも低い頻度で通信予測情報が送信されることになる(ステップS26)。
【0116】
クライアント端末は、サーバーから、これら予測位置又は予測時間を含んだ通信予測情報を受信すると、自身が保持するGPS、WiFi、加速度センサーなどの位置認識手段によって認識した現在位置、又は、時間認識手段によって認識した現在時刻と、サーバーから通知されたオフライン予測位置又は予測時間を比較する。そして、クライアント端末は、オフライン予測エリアに到達したら、通信機能を停止する(ステップS33)。
【0117】
クライアント端末は、オフライン状態では、自身が保持する位置認識手段による現在位置を、自らの通信情報データベースに照会して(ステップS34)、オフライン・エリアに接近したか否かをチェックする(ステップS35)。そして、オフライン・エリアに接近したら、クライアント端末は、通信機能を停止する(ステップS36)。このとき、サーバー側でも、オフライン状態にあると予測したクライアント端末との接続を停止するようにしてもよい。
【0118】
クライアント端末が通信機能を停止させると、通常のパッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モードでは行なう間欠受信さえも行なわないので、消費電力を低減させることが可能である(図5、図6を参照のこと)。
【0119】
クライアント端末は、オフライン状態では、自身が保持する位置認識手段による現在位置を、自らの通信情報データベースに照会して、オンライン・エリアに接近したか否かをチェックする(ステップS37)。そして、オンライン・エリアに接近したら(ステップS37のYes)、クライアント端末は、停止中の通信機能を復帰させる(ステップS38)。このとき、サーバー側でも、クライアント端末がオンライン状態に復帰すると予測したら、クライアントとの接続を再開する。
【0120】
なお、図9A及び図9Bに示す処理手順では、クライアント端末は、自らの位置認識手段に基づいてオフライン・エリア並びにオンライン・エリアの位置情報を正確に認識することができることから(前述)、図8A及び図8Bに示した処理手順とは相違し、特別な条件を満たすことによって通信機能を復帰させたり、通信機能を復帰させた後にオフライン状態を認識し、通信機能を一時停止させたりする必要はない。
【0121】
クライアント端末は、通信機能を復帰させると、サーバーに接続して、情報転送、同期などの処理を行なう。その後、クライアント端末は、ステップS32に復帰して、所定の頻度でサーバーにセンサー情報を送信する。
【0122】
図10には、携帯電話機など、ユーザーのクライアント端末として動作する情報機器の構成例を示している。同図では、バッテリーなど機器内の電源系統の構成を省略しているが、当該クライアント端末はバッテリー駆動であるとする。
【0123】
CPU(Central Processing Unit)1001は、ROM(Read Only Memory)1002に記憶されているプログラム、又は記憶部1004からRAM(Random Access Memory)1003にロードされたプログラムに従って、各部の動作を制御し、各種の処理を実行する。RAM1003には、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0124】
CPU1001、ROM1002、及びRAM1003は、バス1005を介して相互に接続されている。また、バス1005には、記憶部1004、携帯電話送受信部1006、無線LAN通信部1007、操作部1008、LED1009、バイブレーター1010−1、1010−2、センサー群1010、音声入出力制御部1011、マイクロフォン1012音声入出力制御部1013、ディスプレイ1014、撮像部1015、センサー群1016、内部時計部1017、及び、非接触ICモジュール1018が接続されている。当該情報機器では、撮像部1011を用いて動画や静止画を撮影することができる。
【0125】
携帯電話送受信部1006は、完全に機能するセルラー無線送受信機として、例えばW−CDMA、LTEなどの標準規格を含む任意の既知の標準規格に従って動作することができる。
【0126】
無線LAN通信部1007は、WiFi、WiMAXなどの標準的な無線LAN規格に従って動作することができる。本実施形態では、無線LAN通信部1007は、パッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モード下で間欠受信動作を行なう他、CPU1001からの指令に従って通信機能を完全に停止させることができるものとする。
【0127】
操作部1008は、ボタン類やジョグダイヤルなどにより構成され、ユーザーからの操作を受け付ける。ユーザー操作としては、電話番号入力や各種設定の他、メール作成やスケジュール記入などの文字入力を挙げることができる。LED1009は、例えば、ユーザーに情報を提示する際、当該情報機器にユーザーの注意を向けさせるために発光する。また、バイブレーター1010−1、1010−2は、例えば着信時などにユーザーの注意を向けさせるための振動を当該機器本体に加える。
【0128】
マイクロフォン1012は、ユーザーの音声を電気オーディオ信号に変換し、スピーカー1013は、オーディオ信号を、ユーザーが聴くことのできる可聴信号に変換する。音声入出力制御部1011は、基本的なアナログ出力信号をスピーカー1013に供給するとともに、マイクロフォン1012からアナログ・オーディオ入力を受け入れる。
【0129】
ディスプレイ1014は、通常の携帯電話として使用するときには、オペレータがダイヤルされた数字やイメージ、呼出し状況、メニュー・オプション、及び他のサービス情報を見ることを可能にする。また、撮像部1015による撮影時には、スルー画像や撮影画像の表示再生出力に利用することができる。
【0130】
撮像部1015は、光学系と、イメージ・センサと、イメージ・プロセッサ(いずれも図示しない)を備えている。光学系は単一レンズ又は複数のレンズからなり、イメージ・センサは、光学系によって結像されたイメージを取り込む。イメージ・プロセッサは、イメージ・センサによって取り込まれた圧縮画像データ又はRAW画像データを、記憶部1004への保管、ディスプレイ1014の出力、又は携帯電話送受信部1006、無線LAN通信部1007による送信のために処理する。撮像部1015による撮像画像は、プライベート・コンテンツである。また、撮像部1015による撮像画像を画像認識して、当該クライアント端末の移動状態を推定するためのセンサー情報にもなり得る。
【0131】
本実施形態では、センサー群1016には、位置認識に使用することができるセンサー情報を取得することができるセンサーを1以上含んでいるものとする。この種のセンサーとして、GPSモジュール、加速度センサー・モジュール、地磁気センサー・モジュールを挙げることができる。
【0132】
内部時計部1017は、現在時刻などの時刻情報をシステムに供給する。内部時計部1017で計時する時刻情報に基づいて、オフライン予測時間並びにオンライン復帰予測時間の到来を推定することができる。
【0133】
非接触ICモジュール1018は、例えばFeliCa(フェリカ)(登録商標)などのISO/IEC14443に準拠する近接型のICモジュールであり、認証処理や課金処理に使用することができる。非接触ICモジュール1018からは、交通履歴や購入履歴を取得することができる。
【0134】
本実施形態では、情報機器(図10を参照のこと)がクライアント端末として動作する際に、図5並びに図6に示したようなサーバーとの協働的動作を実現するために、サーバーに対して、プライベート・コンテンツやセンサー情報を送信する機能を備えている。図11には、クライアント端末がプライベート・コンテンツやセンサー情報を送信するための機能的構成を模式的に示している。
【0135】
プライベート・コンテンツは、例えば、CPU1001で実行するメール・ソフト、スケジューラー、メモ帳などのアプリケーションを通じて処理された、メール履歴、スケジュール履歴、メモ履歴などである。その他、ユーザーのログインID、ログイン日時、ログイン場所、ログオフ日時、ログオフ場所、交通系履歴、撮像部1015で撮影した画像情報や、非接触ICモジュール1018によって行なわれた購入履歴や交通系履歴などの課金情報、各種機器の操作履歴といった行動履歴をプライベート・コンテンツに含めることもできる。これらのプライベート・コンテンツは、記憶部1004内で保管され、クライアント端末のオンライン状態となる任意のタイミングでサーバーへ転送される。
【0136】
センサー情報は、センサー群1016で計測されるセンサー情報であり、位置認識に使用することができる情報を1以上含むものとする。例えば、GPSモジュールで取得される位置情報、加速度センサー・モジュールで取得される加速度情報、地磁気センサー・モジュールで取得される地磁気情報などである。さらに、ユーザーが操作部1008に対して行なった操作履歴や、内部時計部1017で計時した時刻情報をセンサー情報に含めることができる。また、あるいは、加速度センサーや撮像部1015による撮像画像の画像認識結果などクライアント端末の移動状態を推定するためのセンサー情報を含めることができる。
【0137】
また、転送レートや受信電波強度などの通信情報を位置認識に使用できることが当業界で知られている。そこで、携帯電話送受信部1006や無線LAN通信部1007などからなるアンテナ・モジュールで取得された転送レートや、基地局又はアクセスポイントの受信電波強度を、センサー情報に含めてもよい。
【0138】
これらのセンサー情報は、記憶部1004内で保管され、ユーザーがクライアント端末にログインした後、オンライン状態において所定の頻度でサーバーへ転送される。
【0139】
図12には、サーバーとして動作する情報機器の構成例を示している。サーバーは、例えば、パーソナル・コンピューターのような一般的な計算機システム上で所定のサーバー・アプリケーションを起動するという形態で構築することができる。
【0140】
CPU1201は、オペレーティング・システムが提供する実行環境下で、各種のアプリケーション・プログラムを実行する。オペレーティング・システム(OS:Operating System))は、例えば、マイクロソフト社のいわゆるウィンドウズ(登録商標)XP、又はアップルコンピュータ社のいわゆるMac OS(登録商標)などに代表される、コンピューターの基本的な動作を制御するプログラムである。
【0141】
CPU1201はフロント・サイド・バス(FSB)1202に接続され、FSB1202はさらにノース・ブリッジ1203が接続されている。ノース・ブリッジ1203は、AGP(Accelerated Graphics Port)1204、並びに、ハブ・インターフェース1210を有している。
【0142】
ノース・ブリッジ1203は、キャッシュ・メモリ1208や、メインメモリであるRAM1209に接続されこれらのメモリ・デバイスへのアクセス動作を制御する。RAM1209は、例えばDRAM(Dynamic RAM)で構成され、CPU1201が実行するプログラム、又はCPU1201の動作に必要な作業データを記憶する。キャッシュメモリ1208は、SRAM(Static RAM)など、より高速な書き込み又は読み出しの動作を実行できるメモリ・デバイスで構成され、CPU1201が使用するプログラム又はデータをキャッシュすなわち一時的に記憶する。
【0143】
また、ノース・ブリッジ1203は、AGP1204を介して、ビデオ・コントローラー205を接続している。ビデオコントローラー1205は、CPU1201から受信したデータに対応するイメージ・データを生成するか、又は、CPU1201から受信したイメージ・データをそのまま内蔵するビデオメモリ(図示しない)に記憶するとともに、ビデオメモリ内のイメージ・データに対応する画像をLCD1206又はVGAコントローラー1207に表示させる。LCD1206又はVGAコントローラー1207は、ビデオ・コントローラー1205から供給されたデータを基に、画像又は文字などを表示する。ここで、VGAコントローラー1207は、VGA(Video Graphics Array)方式のディスプレイのことである。
【0144】
また、ノース・ブリッジ1203は、ハブ・インターフェース210を介して、サウス・ブリッジ1211と相互接続されている。サウス・ブリッジ1211は、ACリンク・インターフェース1211A、USB(Universal Serial Bus)インターフェース1211B、IDE(Integrated Drive Electronics)インターフェース1211C、PCI(Peripheral Component Interconnect)インターフェース1211D、LPC(Low Pin Count)インターフェース1211E、及び、LANインターフェース1211Fなどを内蔵し、ACリンクバス1212、USBバス1217、IDEバス1222に接続されるデバイスを介して接続される各種デバイスの入出力動作などを制御する。
【0145】
ACリンクバス1212には、モデム1213、サウンド・コントローラー1214などが接続される。サウンド・コントローラー1214は、マイクロフォン1215から音声を取り込み、その音声に対応するデータを生成して、RAM1209に出力する。またサウンド・コントローラー1214は、スピーカー1216を駆動して、スピーカー1216に音声を出力させる。
【0146】
USBバス1217には、USBコネクタ1218が接続され、各種USBデバイスが接続可能である。USBインターフェース1221Bは、USBバス1217を介して接続されているUSBデバイス(図示しない)にデータを送信するとともにデバイスからデータを受信する。
【0147】
IDEインターフェース1211Cは、プライマリーIDEコントローラーとセカンダリーIDEコントローラーとの2つのIDEコントローラー、及び、コンフィギュレーション・レジスタ(configuration register)などから構成されている(いずれも図示しない)。プライマリーIDEコントローラーには、IDEバス1222を介して、HDD(Hard Disk Drive)1223が接続されている。また、セカンダリーIDEコントローラーには、CD−ROMドライブ1224又はHDD(図示しない)などのIDEデバイスが装着される。
【0148】
HDD1223には、CPU1201で実行する各種アプリケーション・プログラムがインストールされている。また、さまざまなデータやコンテンツをHDD1223に保存することができる。本実施形態では、通信情報データベースや、センサー情報データベース、プライベート・コンテンツ・データベースがHDD1223を用いて構築される。
【0149】
無線LAN通信部1225は、例えばIEEE802.11a/bなどの無線LAN通信により、ネットワークに接続される。LANインターフェース211Fは、無線LAN通信部1225に接続されたネットワークにデータを送信するとともに、データを受信する。サーバーとして動作する当該計算機システムは、無線LAN経由でクライアント端末との情報転送、同期などの処理を行なうようにしてもよい。
【0150】
LPCバス1251には、ROM1252、I/O(Input/Output)インターフェース1253、コントローラー1256が接続されている。ROM(Read Only Memory)1252には、BIOS(Basic Input Output System)などが記憶されている。ここで、BIOSは、基本入出力命令群からなり、OS又はアプリケーション・プログラムと周辺機器との間でのデータの入出力を制御する。
【0151】
I/Oインターフェース1253には、シリアル端子1254とパラレル端子1255が接続されており、それぞれの端子に接続された機器とのデータのシリアル入出力並びにパラレル入出力を行なう。コントローラー1256には、キーボード1258、マウス1257などのユーザー入力装置が接続可能である。
【0152】
PCIバス1226には、カード・インターフェース1229、IEEE1394インターフェース1227、その他の図示しないPCIデバイスが接続されている。カード・インターフェース1229は、カード・スロット(図示しない)に接続された拡張カードから供給されたデータをCPU1201又はRAM1209に供給するとともに、CPU1201から供給されたデータを上記スロットに接続されている拡張カードに出力する。拡張カードの一例は、有線LANカード1230である。図示の情報機器がサーバーとして動作している場合、有線LANカード1230を介してクライアント端末との情報転送、同期などの処理が行なわれる。また、IEEE1394インターフェース1227は、IEEE1394ポート1228を介して、IEEE1394の規格に準拠するデータ(パケットに格納されているデータ)を送受信する。
【0153】
本実施形態では、情報機器(図12を参照のこと)がサーバーとして動作する際に、クライアント端末から通信情報、プライベート・コンテンツ、並びに、センサー情報を受け取り、移動中のクライアント端末に対して通信予測情報を送信する。図13には、サーバーが、クライアント端末との協働的動作によって通信予測情報を提供するための機能的構成を模式的に示している。
【0154】
サーバーは、通信情報データベース1301と、センサー情報データベース1302と、プライベート・コンテンツ・データベース1303を備えている。これらのデータベースは、HDD1223を用いて構築されている。
【0155】
通信情報データベース1301は、過去に複数クライアント端末から送信された、転送レートや受信電波強度などの通信情報を保存している。但し、本発明の要旨は、複数のクライアント端末から収集した通信情報に基づいて通信情報データベースを構築する方法に限定されるものではなく、他の方法によって通信情報データベースを構築するようにしてもよい。サーバーは、通信情報データベース1301を基に、時間、場所に対する、複数の無線システムの通信状態、すなわち、散在する各アクセスポイントのサービス・エリア内における転送レートや電波強度などを把握することができる。
【0156】
センサー情報データベース1302は、過去に複数クライアント端末から送信されたセンサー情報を保存している。ここでいうセンサー情報には、クライアント端末が搭載する、GPS)受信電波に基づいて測定された位置情報、WiFi基地局の受信信号強度情報(RSSI)、加速度センサーにより測定された加速度情報など、位置認識に使用することができるセンサー情報が含まれる。サーバーは、センサー情報データベース1302に保存されているセンサー情報を基に、各クライアント端末の現在位置を特定又は推定することができる。
【0157】
プライベート・コンテンツ・データベース1303は、過去に複数クライアント端末から送信されたプライベート・コンテンツ(予定表、メール、メモ帳などのテキスト情報や、撮影した画像情報、購入履歴、交通系履歴など)を保存している。サーバーは、当該データベースに保存されているプライベート・コンテンツの内容を解析して、例えば移動中のクライアント端末の目的地を予測することができる。但し、プライベート・コンテンツ・データベースの用途は、目的地予測に限定されるものではない。
【0158】
クライアント端末側で記憶部1004内にセンサー情報並びにプライベート・コンテンツが保存されることは既に述べた通りである。アップロード・コントローラー1310は、例えばCPU1001が所定のアプリケーション・プログラムを実行することにより実現される機能モジュールである。アップロード・コントローラー1310は、受信電波強度や転送レートなどの通信情報をサーバー側の通信情報データベース1301にアップロードし、位置情報、加速度情報、地磁気情報、購入履歴/交通系履歴などのセンサー情報をセンサー情報データベース1302にアップロードし、メール履歴、スケジュール履歴、メモ履歴、購入履歴/交通系履歴などのプライベート・コンテンツをプライベート・コンテンツ・データベース1303にアップロードする。
【0159】
また、サーバーは、各クライアント端末に対し通信予測サービスを提供するために、内容解析アルゴリズム演算部1304と、移動予測アルゴリズム演算部1305と、通信予測アルゴリズム演算部1306を備えている。
【0160】
内容解析アルゴリズム演算部1304は、プライベート・コンテンツ・データベース1303で保存しているクライアント端末のプライベート・コンテンツに書かれている内容を解析して、クライアント端末がこれから移動する目的地を、内容解析アルゴリズムを用いて予測し、この目的地予測情報を移動予測アルゴリズム演算部1305に供給する。
【0161】
移動予測アルゴリズム演算部1305は、センサー情報に基づいて特定又は推定されるクライアント端末の現在位置から、内容解析アルゴリズム演算部1304で予測された目的地への移動ルートを、移動予測アルゴリズムを用いて予測し、この移動予測情報を通信予測アルゴリズム演算部1306に供給する。
【0162】
移動予測アルゴリズム演算部1305は、当該クライアント端末を使用しているユーザーのこれまでの移動履歴、若しくは該当するユーザーだけでなく他のユーザの移動履歴を用いて、現在地と現在時刻の場合に、今後どのように移動するかを予測する。予測方法としては、移動履歴を用いて、この時刻、この曜日の場合の移動ルートの確率を求めて、最も高い移動経路を選び出す。あるいは、隠れマルコフ・モデル(Hidden Markov Model:HMM)を用いた学習アルゴリズムを用いて、移動履歴から求められる移動経路の候補の中から、移動経路を予測する。隠れマルコフ・モデルによれば、移動経路すなわち地点間のつながりを標準的な確率状態遷移機械で表現される。センサー情報から抽出されるユーザーの移動履歴に基づいて確率状態遷移機械を事前学習しておき、通信予測サービスを行なう際には、ユーザーの現在の位置情報をこの確率状態遷移機械に投入することで、移動経路予測を得ることができる。
【0163】
また、移動予測アルゴリズム演算部1305は、移動履歴のみ用いて移動経路並びに目的地を予測する方法の他に、予定表、メール、メモ帳のようなプライベート・コンテンツを解析することで、これからの予定を割り出し、目的地を予測する方法も用いる。これにより、現在位置及び現在時刻に対して、今後どのように移動していくかを予測することができる。
【0164】
通信予測アルゴリズム演算部1306は、移動予測アルゴリズム演算部1305によって予測された移動予測情報(目的地、移動ルート)と、通信情報データベース1301に保存されている通信情報を比較することにより、クライアント端末の今後の通信情報を予測する。通信予測アルゴリズム演算部1306は、通信予測アルゴリズムを用いることにより、クライアント端末の移動経路上において、クライアント端末がオフライン状態になるオフライン予測位置又はオフライン予測時間、並びに、オンラインに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を予測し、この通信予測情報をクライアント端末へ通知する。
【0165】
通信情報データベース1301に保存されている通信情報は、上述したように、各ユーザーの通信履歴や電波強度測定履歴、複数のユーザーから集めた通信履歴や電波強度履歴、携帯電話のキャリア会社やWiFiのアクセスポイントを管理する会社が持つ基地局の配置情報や位置に対する電波環境の情報などである。通信予測アルゴリズム演算部1306は、これらの通信情報に基づいて、WiFiや携帯電話の通信エリア、通信速度などの電波環境情報を知ることができる。そして、通信予測アルゴリズム演算部1306は、この電波環境情報と移動経路の予測を照らし合わせることで、予測されたクライアント端末の移動経路上において、いつ、どの位置で、何の通信キャリアがオフラインになるのか、すなわち通信キャリア毎のオフライン・エリアを判定する。
【0166】
クライアント端末は、サーバーの通信予測アルゴリズム演算部1306から通信予測情報に基づいて、自分の通信機能の制御を行なう。すなわち、クライアント端末は、通信予測情報として通知されたオフライン予測位置又はオフライン予測時間に到達したら、携帯電話送受信部1006又は無線LAN通信部1007などの通信機能を停止させる。また、オフライン時のクライアント端末は、GPS、WiFi、あるいは加速度センサーなどを用いた位置認識、若しくは、クライアント端末が所持する内部時計部1017などの時刻認識手段を用いて判断した時間に基づいて、オンライン復帰予測位置又は時間に到達したと判断したときに、通信機能を復帰させる。
【0167】
したがって、クライアント端末は、オフライン時に基地局やアクセスポイントを探索する通信機能を動作させることに伴う消費電力を低減させることが可能となる。また。クライアント端末は、携帯電話送受信部1006、無線LAN通信部1007を始め、複数の無線通信機能を備える場合、オフライン状態が長く続く無線通信機能だけを停止させて、消費電力を低減させることも可能である。
【0168】
図13に示したシステム構成例では、通信情報データベースはサーバー側で一元的に管理されている。このような場合、クライアント端末は、基本的に、サーバーから受信する通信予測情報に依って自らのオフライン状態/オンライン状態の判定を行なうことになる。したがって、図8に示した処理手順に従ってクライアント端末の通信予測サービスを実現することができる。
【0169】
また、システム構成の変形例として、クライアント端末側でも基地局やアクセスポイントの地図データ(若しくは、各アクセスポイントの受信電波強度などの通信情報)を自ら保持するようにしてもよい。この場合、クライアント端末は、位置認識手段で取得した位置情報と合わせることにより、現在位置がオンライン又はオフラインのいずれの状態であるかを正確に判別することができる。クライアント端末は、図9A及び図9Bにフローチャートの形式で示した処理手順に従って、サーバーからの通信予測情報の通知なしで通信機能のオンオフを制御させることが可能となる。
【0170】
図14には、移動予測アルゴリズム演算部1305によるクライアント端末の移動経路の予測結果の一例を示している。
【0171】
クライアント端末のセンサー情報がサーバーにアップロードされることで、サーバー内の移動予測アルゴリズム演算部1305は、まず、クライアント端末の現在地と現在時刻を把握する。そして、移動予測アルゴリズム演算部1305は、このクライアント端末を使用しているユーザーのこれまでの移動履歴、若しくは当該ユーザーだけでなく他のユーザーの移動履歴に基づいて、現在位置及び現在時刻から、今後どのように移動するかを予測する。
【0172】
移動予測アルゴリズム演算部1305は、移動予測アルゴリズムとして、移動履歴を用いて、この時刻、この曜日の場合の移動ルートの確率を求めて、最も高い移動ルートを選び出す。若しくは、移動予測アルゴリズム演算部1305は、移動予測アルゴリズムとして、隠れマルコフ・モデルを適用した学習アルゴリズムを用い、移動履歴から算出される1以上の移動経路の候補の中から、移動経路を予測する。
【0173】
また、移動予測アルゴリズム演算部1305は、クライアント端末の移動経路を予測する際に、移動履歴のみ用いてクライアント端末の目的地、並びに、目的地までの移動経路を予測する。あるいは、移動予測アルゴリズム演算部1305は、予定表、メール、メモ帳といった、プライベート・コンテンツ・データベース1303に保存されているユーザーのプライベート・コンテンツを解析することで、該当するユーザーの予定を割り出し、目的地を予測するようにしてもよい。
【0174】
図15には、通信予測アルゴリズム演算部1306が、図14に示したクライアント端末の移動経路上で判定したオフライン・エリアを例示している。同図は、通信キャリアとしてWiFiのオフライン・エリアの判定結果であり、移動経路上で、WiFi_1、WiFi_2、…、WiFi_10という10箇所のオンライン・エリアが予測されている。したがって、移動経路上で、各オンライン・エリアから外れる場所が、オフライン・エリアということになる。通信予測アルゴリズム演算部1306は、各オフライン・エリアについてのオフライン予測位置又はオフライン予測時間、並びに、オンライン復帰予測位置又は時間を含んだ通信予測情報を、例えばクライアント端末がオフライン・エリアに接近したときに通知する。
【0175】
本実施形態に係る通信システムによれば、サーバーは、クライアント端末の移動経路を予測し、さらに予測した移動経路上における(通信キャリア毎の)オフライン・エリアを予測し、クライアント端末に対して通信予測情報を通知することができる。一方、クライアント端末は、通知された通信予測情報に基づいて、自分の移動経路上におけるオフライン・エリアの存在、すなわち、通信機能を停止することができる位置又は時刻、並びに、通信機能を復帰すべき位置又は時刻をはあくすることができる。そして、クライアント端末は、通信機能を停止すると間欠受信さえも行なわないことから、通常のパッシブ・スキャン時のパワーセーブ・モードなどと比較して高い省電力効果を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0176】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳細に説明してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0177】
本明細書では、無線通信部としてWiFi、W−CDMA、LTE、WiMAXを有する通信システムに関する実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。さまざまな通信キャリアが提供する無線通信サービスを無線通信部に含めても、同様に本発明を適用することができる。
【0178】
また、本明細書では、内容解析アルゴリズム、移動予測アルゴリズム、通信予測アルゴリズム、プライベート・コンテンツ・データベース、センサー情報データベース、通信情報データベースをすべてサーバー側に装備した実施形態を中心に説明してきたが、これらのアルゴリズム並びにデータベースのうち少なくとも一部をクライアント側に装備しても、同様に本発明を実現することが可能である。
【0179】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0180】
1001…CPU
1002…ROM
1003…RAM
1004…記憶部
1005…バス
1006…携帯電話送受信部
1007…無線LAN通信部
1008…操作部
1009…LED
1010…バイブレーター
1011…音声入出力制御部
1012…マイクロフォン
1013…音声入出力制御部
1014…ディスプレイ
1015…撮像部
1016…センサー群
1017…内部時計部
1018…非接触ICモジュール
1201…CPU
1202…フロント・サイド・バス(FSB)
1203…ノース・ブリッジ
1204…AGPバス、
1205…ビデオ・コントローラー
1206…LCD
1207…VGAコントローラー
1208…キャッシュ・メモリ
1209…RAM
1210…ハブ・インターフェース
1211…サウス・ブリッジ
1211A…ACリンク・インターフェース
1211B…USBインターフェース
1211C…IDEインターフェース
1211D…PCIインターフェース
1211E…LPCBインターフェース
1211F…LANインターフェース
1212…ACリンク・バス
1213…モデム
1214…サウンド・コントローラー
1216…スピーカー
1221…USBインターナショナル
1222…IDEバス
1223…HDD
1224…CD−ROMドライブ
1225…無線LAN通信部
1226…PCIバス
1229…カード・インターフェース
1230…有線LANカード
1251…LPCバス
1252…ROM
1253…I/Oインターフェース
1254…コントローラー
1260…バッテリー
1301…通信情報データベース
1302…センサー情報データベース
1303…プライベート・コンテンツ・データベース
1304…内容解析アルゴリズム演算部
1305…移動予測アルゴリズム演算部
1306…通信予測アルゴリズム演算部
1310…アップロード・コントローラー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と接続して通信を行なう通信部と、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析部と、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測部と、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測部と、
を具備することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
ユーザーのプライベート・コンテンツを保持するプライベート・コンテンツ・データベースを備え、
前記内容解析部は、前記プライベート・コンテンツ・データベースに保持されているユーザーのプライベート・コンテンツの内容を解析し、得られた行動予定に基づいてユーザーの目的地を推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記プライベート・コンテンツ・データベースに保持されるプライベート・コンテンツは、ユーザーが作成又は編集した予定表、電子メール、メモ帳のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記プライベート・コンテンツ・データベースに保持されるプライベート・コンテンツは、ユーザーの行動履歴を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記行動履歴は、ユーザーのログインID、ログイン日時、ログイン場所、ログオフ日時、ログオフ場所、交通系履歴、各種商品の購入履歴、放送番組その他のコンテンツの視聴履歴、各種情報機器の操作履歴のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記移動予測部は、前記クライアント端末から取得したセンサー情報に基づいて前記現在位置を推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記センサー情報は、前記クライアント端末において測定した、GPS(Global Posiioning System)受信電波情報、WiFi基地局の受信信号強度情報(RSSI:Receiving Signal Strength Indicator)、加速度センサーにより測定された加速度情報、又は、前記クライアント端末の位置情報を推定するためのその他のセンサー情報のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記センサー情報は、加速度センサーにより測定された加速度情報、又は、画像認識装置による画像認識結果、前記クライアントの移動状態を推定するためのその他のセンサー情報のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記移動予測部は、推定された現在位置から目的地までの移動経路を、隠れマルコフ・モデルを用いた学習アルゴリズムによって予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項10】
各地点における基地局又はアクセスポイントの通信情報を保持する通信情報データベースを備え、
前記通信予測部は、前記通信情報データベースに基づいて、前記移動経路上における前記クライアント端末と基地局又はアクセスポイントとの接続状態を予測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記通信情報は、各地点における基地局又はアクセスポイントの伝送レート又は受信電波強度のうち少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報提供装置。
【請求項12】
前記通信予測部は、前記移動経路上で前記クライアント端末がいずれの基地局又はアクセスポイントとも接続不能なオフライン・エリアが存在することを予測すると、前記クライアント端末の接続不能状態、及び、前記クライアント端末の基地局又はアクセスポイントとの接続可能条件を含んだ通信予測情報を事前に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項13】
前記通信予測情報は、前記接続不能状態の情報として、前記クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間を含み、前記接続可能条件の情報として、前記クライアント端末がオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の情報提供装置。
【請求項14】
前記通信部は、前記通信予測部が前記接続不能状態を予測したクライアント端末とは、前記接続可能条件を満たすまでは、接続を停止する、
ことを特徴とする請求項12に記載の情報提供装置。
【請求項15】
前記通信部は、前記接続可能条件を満たさない場合であっても、他の所定の条件を満たすときには、クライアント端末との接続の停止を解除して接続を試みる、
ことを特徴とする請求項14に記載の情報提供装置。
【請求項16】
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析ステップと、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測ステップと、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測ステップと、
を有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項17】
サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてサーバーとして動作するための処理をコンピューター上で実行するためのコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
クライアント端末と接続して通信を行なう通信部、
クライアント端末を所持するユーザーの目的地を推定する内容解析部、
前記クライアント端末の現在位置を推定するとともに、前記現在位置から前記目的地までの移動経路を予測する移動予測部、
予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知する通信予測部、
として機能させるためのコンピューター・プログラム。
【請求項18】
基地局又はアクセスポイントと無線通信を行なう通信部と、
基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作、及び、前記通信部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、予測された自分の移動経路上の通信状況に基づいて、前記サーバーとの接続動作及び前記通信部の動作を制御する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項19】
前記移動経路上で基地局又はアクセスポイントとの接続不能状態、及び、基地局又はアクセスポイントとの接続可能条件を含んだ通信予測情報を前記サーバーから事前に受信する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項20】
前記通信予測情報は、前記接続不能状態の情報として、前記クライアント端末が前記オフライン・エリアに到達するオフライン予測位置又はオフライン予測時間を含み、前記接続可能条件の情報として、前記クライアント端末がオンライン・エリアに復帰するオンライン復帰予測位置又はオンライン復帰予測時間を含む、
ことを特徴とする請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記接続不能状態では、前記接続可能条件を満たすまでは、前記通信部を停止する、
ことを特徴とする請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項22】
前記制御部は、前記接続可能条件を満たさない場合であっても、他の所定の条件を満たすときには、前記通信部の停止を解除して、前記サーバーとの接続を試みる、
ことを特徴とする請求項21に記載の無線通信装置。
【請求項23】
各地点における基地局又はアクセスポイントの通信情報を保持する通信情報データベースを備え、
前記制御部は、前記通信情報データベースに基づいて、自分の移動経路上における基地局又はアクセスポイントとの接続状態を予測する、
ことを特徴とする請求項18に記載の無線通信装置。
【請求項24】
予測された自分の移動経路上の通信状況を取得するステップと、
前記通信状況に基づいて、基地局又はアクセスポイントとの無線通信動作、及び、基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作を制御するステップと、
を有することを特徴とする無線通信方法。
【請求項25】
サーバーとクライアント端末が無線通信により互いに情報転送、同期をする無線通信システムにおいてクライアント端末として動作するための処理をコンピューター上で実行するためのコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
基地局又はアクセスポイントと無線通信を行なう通信部、
基地局又はアクセスポイントを経由したサーバーとの接続動作、及び、前記通信部の動作を制御する制御部、
として機能させ、
前記制御部は、予測された自分の移動経路上の通信状況に基づいて、前記サーバーとの接続動作及び前記通信部の動作を制御する、
ことを特徴とするコンピューター・プログラム。
【請求項26】
クライアント端末を所持するユーザーのプライベート・コンテンツに基づいてユーザーの目的地を推定し、前記クライアント端末の現在位置から前記目的地までの移動経路を予測し、予測された前記移動経路上における前記クライアント端末の通信状況を予測して、前記クライアント端末に通知するサーバーと、
予測された前記移動経路上の通信状況に基づいて、前記サーバーとの接続動作及び前記通信動作を制御する前記クライアント端末と、
で構成され、前記サーバーと前記クライアント端末間で情報転送、同期処理を行なう、
ことを特徴とする無線通信システム。


【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−61713(P2011−61713A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212082(P2009−212082)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】