説明

情報提供装置

【課題】同乗者がいる場合の運転者情報の秘匿をより確実に行う。
【解決手段】 運転者情報として生体情報の異常、ナビ情報、運転操作情報、着信情報等の情報を取得する。そして同乗者の有無を検出し、同乗者がいない場合には取得した運転者情報を音声や表示装置の画像表示により運転者に伝達する。一方、同乗者検出された場合には、運転者情報の伝達を禁止し、禁止した運転者情報を記憶する。その後同乗者が車両から降りることで検出されなくなった後に、伝達禁止を解除して、運転者情報を伝達する。運転者情報の伝達を禁止した場合に、運転者情報と共に、車両の現在位置又は/及び現在時刻を付加情報として記憶し、伝達禁止が解除された場合に、運転者情報と共に付加情報を伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置に係り、例えば、運転者の生体情報等の運転者情報を取得してその内容を運転者に伝達する情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者に関する各種情報を取得し、運転者に音声や画像により伝達する技術が種々提案されている。
例えば、自動車の運転者の生体情報や運転操作情報などを車内で検出・分析するシステムでは、運転者の病気や体調不良を検出(特許文献1)したり、運転操作の悪い癖を検出することが可能になっている。
しかし、運転者の生体情報や、メール情報、目的地や走行経路等のナビ情報など各種運転者に関わる運転者情報について無条件に伝達することは、同乗者に知られてしまい、運転者の個人情報の保護上好ましくない。
【0003】
そこで、特許文献2では、ステアリングホイールの隙間から視認するメーター等のメーター類を配置した部分に、センターディスプレイとは別に、小型のメーターディスプレイを配置し、乗員検知センサにより運転者以外の乗員を検知した場合には、秘匿情報をメーターディスプレイに表示する、という技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−95408
【特許文献2】特開2005−22590
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2記載の技術では、同乗者が検出された場合であっても、秘匿情報をメータディスプレイに表示している。
このため、後部座席の同乗者、特に後部座席中央に同乗者がいる場合には、角度的にメータディスプレイを見ることが可能である。また、助手席や他の座席の同乗者であっても、意図的に覗き込むことで、秘匿情報を確認することができる。
【0006】
そこで、本発明は、同乗者がいる場合の運転者情報の秘匿をより確実に行うことが可能な情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1に記載した発明では、運転者に関する情報を取得する運転者情報取得手段と、前記取得した運転者情報を運転者に伝達する伝達手段と、前記運転者以外の同乗者の有無を検出する検出手段と、前記同乗者が検出された場合に、前記伝達手段による前記運転者情報の伝達を禁止し、前記検出した同乗者の不在を検出した場合に前記伝達の禁止を解除する禁止・解除手段と、を情報提供装置に具備させて前記目的を達成する。
(2)請求項2に記載した発明では、請求項1に記載の情報提供装置において、前記運転者情報の伝達が禁止された場合に、検出した車両の現在位置と取得した時刻の少なくとも一方を付加情報として、該禁止した運転者情報と共に記憶する禁止情報記憶手段を備え、前記伝達手段は、前記伝達の禁止が解除された場合、前記禁止情報記憶手段に記憶した運転者情報と付加情報を伝達する、ことを特徴とする。
(3)請求項3に記載した発明では、請求項1又は請求項2に記載の情報提供装置において、前記伝達手段は、音声及び表示の少なくとも一方により運転者情報を伝達する、ことを特徴とする。
(4)請求項4に記載した発明では、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の情報提供装置において、前記運転者情報取得手段は、運転者の生体情報、運転操作情報、運転履歴情報、過去の走行情報のうちの少なくとも1つを取得する、ことを特徴とする。
(5)請求項5に記載した発明では、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の情報提供装置において、前記運転者の生体情報を取得する生体情報検出手段を備え、前記運転者情報取得手段は、前記検出した生体情報、又は異常と判断される生体情報を運転者情報として取得する、ことを特徴とする。
(6)請求項6に記載した発明では、請求項5に記載の情報提供装置において、前記禁止・解除手段は、前記取得した生体情報が所定の閾値を越える場合に、禁止を行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、同乗者が検出された場合に運転者情報の伝達を禁止し、検出した同乗者の不在を検出した場合に伝達の禁止を解除するようにしたので、同乗者がいる場合の運転者情報の秘匿をより確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の情報提供装置における好適な実施の形態について、図1から図3を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の情報提供装置では、運転者情報として、生体情報、生体情報の異常、過去の目的地や走行経路に関するナビ情報、運転操作に関する運転操作情報、電話や電子メールの着信、履歴等の着信情報、電話番号や住所等のアドレス情報、等の各種運転者に関連する情報を検出、読み出し等により取得する。
【0010】
そして、同乗者の有無を検出し、同乗者がいない場合には取得した運転者情報を音声や表示装置の画像表示(テキスト表示を含む)により運転者に伝達する。
【0011】
一方、同乗者が検出された場合には、運転者情報の伝達を禁止し、禁止した運転者情報を記憶する。その後同乗者が車両から降りることで検出されなくなった後に、伝達禁止を解除して、運転者情報を伝達する。
運転者情報の伝達を禁止した場合に、運転者情報と共に、車両の現在位置又は/及び現在時刻を付加情報として記憶し、伝達禁止が解除された場合に、運転者情報と共に付加情報を伝達するようにしてもよい。
なお、付加情報は、運転者情報を取得した際、及び禁止した際のいずれでもよい。
【0012】
本実施形態では、生体情報の異常を運転者情報として取得した場合、異常と判断された生体情報が所定の閾値Hを越える場合、すなわち、緊急を要する異常である場合には、同乗者の有無にかかわらず、伝達の禁止をすることなく直ちに伝達を行う。
本実施形態では生体情報として心拍数、発汗量を検出するが、その他、瞳孔が開いている状態(瞳孔の大きさ)、血圧、脳波等の自律神経系の情報が生体情報に該当し、これらのうちの少なくとも1つを検出するようにしてもよい。
【0013】
このように本実施形態では、取得した運転者情報の運転者への伝達時期を、同乗者の有無によって変更することで個人情報の秘匿性を高めることができる。
【0014】
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施形態における情報提供装置の構成を表したものである。
この図1に示すように、情報提供装置は、各種プログラムやデータに従って情報提供装置全体を制御するECU(電子制御装置)10を備えている。
ECU10は、内部に時計を備えており、運転者情報の付加情報として日付と時刻を取得するようになっている。
【0015】
ECU10には、現在位置検出装置11、生体情報センサ12、搭乗者情報検出部13、運転操作検出部14、外部情報装置15、データ記憶部16、プログラム記憶部17、警告部18、車両制御部19、アドバイスシステム部20、ナビゲーション部21、その他の装置(通信手段として外部の情報センタやインターネットと接続するための通信制御装置等)が接続されている。
【0016】
現在位置検出装置11は、情報提供装置が搭載される車両の現在位置(緯度、経度からなる絶対座標値)を検出するためのものであり、人工衛星を利用して車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)受信装置111、地磁気を検出して車両の方位を求める地磁気センサ112、ジャイロセンサ113、車速センサ114等の1又は複数が使用される。
【0017】
現在位置検出装置11で検出した現在位置は、走行記録としてデータ記憶部16に記憶され、また、運転者情報の付加情報としてECU10で取得される。
【0018】
生体情報センサ12は、運転者の生体情報を取得するセンサとして、心拍センサ121と、発汗センサ122、カメラ123、及び視線センサ124を備えている。
車両が走行を開始すると、心拍数と発汗量を所定時間間隔で検出し、また継続的に運転者の撮像と視線検出をし、ECU10に供給するようになっている。
【0019】
心拍センサ121は、運転者の心拍数を検出するセンサで、運転者の脈拍数から心拍数を検出する。本実施形態における心拍センサ121は、ステアリングに配置された電極により、運転中の運転者の手から心拍信号を採取することで心拍数を検出するようになっている。なお、心拍センサ121は、専用のセンサを手首等の運転者の身体に配置するようにしてもよい。
【0020】
発汗センサ122は、ステアリングに配置され、発汗状態によって流れる電流値の変化から発汗状態を検出する。
カメラ123は、運転者を撮像する。撮像した運転者の画像は、例えば瞳孔の変化を画像処理により判定するために使用される。本実施形態においてカメラ123は、CCDカメラで構成されている。
視線センサ124は、視線の動きを検出するセンサである。
【0021】
なお、運転者の一分間あたりの加速度の変化(0.01G以上)が何回みられたかをアクティグラフで生体情報として取得し、加速度の変化状態から、健康状態や、眠気の状態を調べるようにしてもよい。
【0022】
搭乗者情報検出部13は、同乗者の有無を検出するためのセンサとして、カメラ131、シート圧センサ132、及びシートベルトセンサ133、マイク134、及びタッチパネル135を備えている。
カメラ131は、搭乗者、助手席及び後部座席を撮像する。カメラ131で撮像された画像は、画像認識処理により運転者が誰かを特定し、また同乗者の有無を判定するために使用される。例えば、各運転者の顔部分の画像を予め登録しておき、撮像画像から抽出した同乗者の顔部分と比較することで同乗者を特定する。
また、助手席及び後部座席の撮像画像から、同乗者の有無が判定される。
本実施形態においてカメラ131は、CCDカメラで構成されている。なお、カメラ131は、助手席及び後部座席に加えて運転席も含めた車両内全体を撮像することで、生体情報センサとしてのカメラ123を共有するようにしてもよい。
【0023】
シート圧センサ132は、助手席及び後部の各座席に配置された感圧センサで構成され、各座席位置の同乗者を検出する。
また、シートベルトセンサ133は、シートベルトが着用されているか否かを検出するセンサで、シートベルトが着用されている座席には同乗者がいると判定する。
【0024】
マイク134は、各座席毎に配置されており、各座席の同乗者の声を集音する。集音した音声は、例えば、運転者との会話が断続的に行われているか否かの判断に使用される。
またマイク134は、運転席にも配置されており、運転者の音声から運転者を特定するようにしてもい。
【0025】
タッチパネル135は、図示しない表示装置の表面に配置され、運転者を特定するために、表示装置に表示された運転者リスト(各運転者によって予め登録されている)の中から運転者が自己を特定したり、また、運転者が自己のIDを入力する場合に使用される。
なお、タッチパネル135に変えて、キーボード、マウス、ライトペン、ジョイスティック、赤外線等によるリモコン等の各種入力装置を使用して、運転者が自己を特定するようにしてもよい。
【0026】
運転操作検出部14は、距離センサ141、アクセルセンサ142、及びブレーキセンサ143を備えている。
距離センサ141は、車両前方に配置されたミリ波レーダやレーザレーダ等で構成され、前方車両との車間距離を検出する。
アクセルセンサ142は、アクセルを踏み込む速度や、踏力、踏む回数等を検出する。
ブレーキセンサ143は、ブレーキを踏み込む速度や、踏力、踏む回数等を検出する。
【0027】
なお、運転操作検出部14としては明示していないが、情報提供装置は平均速度検出部を備えており、車速センサ114で検出した車速から平均車速が検出されるようになっている。
【0028】
外部情報装置15は、PDA、携帯電話等の個人情報端末、または、通信モジュールを介して接続されるサーバー、個人情報を特定するID送信装置等が対象となる。
ここで、外部情報装置15を介して取得する運転者情報としての個人情報は、運転時の安全性に直接関係しない情報であり、例えば、緊急を要さない病気(持病)、体調、走行経路の履歴、良く行く店・好みの店、よく使う道、運転者・知人の電話番号、住所、年齢、誕生日、スケジュール、等が存在する。
【0029】
データ記憶部16と、プログラム記憶部17は、ROM、RAMの他、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、メモリチップやICカード等の半導体記録媒体、CD−ROMやMO、PD(相変化書換型光ディスク)等の光学的に情報が読み取られる記録媒体、その他各種方法でデータやコンピュータプログラムが記録される記録媒体が含まれる。
記録媒体には、記録内容に応じて異なる媒体を使用するようにしてもよい。
【0030】
データ記憶部16は、道路地図データベース161、搭乗者判定データ162、生体情報判定データ163、走行経路履歴データ164、運転操作履歴データ165、個人情報履歴データ166、等の本実施形態において使用される各種データが格納されている。
【0031】
道路地図データベース161は、ナビゲーション機能で使用されるデータが使用され、車両の現在地周辺や目的地周辺等の各種地図や道路を表示装置に表示するための地図情報や、目的地までの経路探索に使用される道路情報、各施設に対する情報が格納された施設情報(POI情報)等の各種地図や道路に関するデータが格納されたデータベースである。
【0032】
本実施形態において道路地図データベース161は、現在位置検出装置11で検出した車両の現在位置と、道路データとのマップマッチングにより、現在走行している道路上の位置を検出するために使用される。
マップマッチングにより検出した、現在走行中の道路データは、走行時刻データと共に、走行経路履歴データ164に蓄積される。
【0033】
また、特定した現在走行中の道路データは、蓄積した走行経路履歴と比較され、以前走行したことがある道路か否かの判定に使用される。
【0034】
搭乗者判定データ162は、カメラ131の撮像画像の画像認識、シート圧センサ132で検出される体重、マイク134で集音した音声の認識等から、運転者を特定するためのデータである。
すなわち、各運転者の画像(顔の部分)と、体重、基準音声の波形等が搭乗者判定データ162に予め登録されている。
そして、カメラ131の撮像画像から抽出した同乗者の顔部分の画像や、検出した体重、音声を、搭乗者判定データ162の各データと比較することで運転者が特定される。
なお、運転者を特定するために、予め各運転者毎の指紋を搭乗者判定データ162に保存しておき、各運転者の指紋と比較することで運転者を特定するようにしてもよい。この場合、指紋検出センサをハンドルに配置することでハンドルを握った状態で運転者の指紋を検出するようにする。
【0035】
生体情報判定データ163には、心拍数や発汗量が交感神経系優位の状態であると判断するための閾値、及び、変化量が格納されている。
この閾値は、運転支援を行うか否かを判断するための、生体情報の閾値であり、同乗者がいない場合の閾値(この閾値を通常時閾値という)がデフォルト値として規定されている。
【0036】
そして、生体情報判定データ163には、通常時閾値として例えば、心拍数100が規定されていると共に、各種運転操作や、同乗者に関する車内環境(同乗者数、会話の状態等)に応じた、閾値をどのように変更するかについて規定されている。
【0037】
また、生体情報としてアクティグラフによる運転者の加速度の変化から、健康状態や覚醒状態を判定する場合には、そのための判定データが生体情報判定データ163に格納される。
【0038】
走行経路履歴データ164は、過去に走行した経路の履歴データが運転者情報として格納される。
走行経路履歴データ164には、経路探索に基づいて経路案内が行われた走行経路だけでなく、経路案内なしに走行した経路も履歴データとして格納される。
走行経路履歴データ164には、走行した経路が格納されるようになっているが、道路地図データベース161に格納されている各道路の道路番号を格納するようにしてもよい。
【0039】
運転操作履歴データ165には、運転操作検出部14で検出される運転者の各種運転操作が格納される。
運転操作履歴データ165は、運転操作が正常か否かを判断するために使用され、異常な運転操作や危険な運転操作と判定された場合に、運転者情報として運転者への伝達対象とされる。
運転操作履歴データ165は、RAMの所定領域に格納される。
運転操作履歴データ165には、距離センサ141、アクセルセンサ142、ブレーキセンサ143、からの出力信号が格納される。
【0040】
個人情報履歴データ166には、伝達禁止処理において、運転者情報と付加情報が格納されるようになっている。
この個人情報履歴データ166に格納される運転者情報と付加情報は、伝達禁止が解除された際に読み出され、その内容が伝達され、伝達後に削除されるようになっている。
【0041】
プログラム記憶部17には、本実施形態における情報表示プログラム171、伝達禁止プログラム172、生体情報分析プログラム173、個人情報分析プログラム174、車両制御プログラム175、走行経路履歴収集プログラム176、音声認識プログラム177、画像処理プログラム178、運転操作履歴収集プログラム179、その他の各種プログラムが格納されている。
【0042】
情報表示プログラム171は、後述するように、運転者情報の運転者への伝達と、伝達の禁止、解除を同乗者の有無によって行うプログラムである。
伝達禁止プログラム172は、情報表示プログラム171のサブルーチンプログラムで、同乗者がいる場合に運転者情報の伝達を行わず(禁止し)、同乗者が降車して禁止が解除された際に伝達するために、禁止した運転者情報と付加情報の記憶と、伝達を行うプログラムである。
【0043】
生体情報分析プログラム173は、生体情報センサ12で検出した生体情報(心拍数、発汗状態、視線、撮像画像等)が正常状態か、異常状態か、所定の閾値Hを越える緊急状態かを、生体情報判定データ163に従って分析、判断するプログラムである。
生体情報分析プログラム173は、生体情報について、所定時間間隔毎に、また継続的に取得し、RAMの所定領域に格納する。
取得した生体情報は、所定時間、例えば、2分間分保存され、最も古い情報が削除されて最新の情報が保存されるようになっている。なお、生体情報は、所定時間分ではなくて所定数だけ保存するようにしてもよく、また、後日運転者が個人的に確認したり病院での検査等を行うような場合のために全生体情報(又は、指定された期間分)を保存するようにしてもよい。
生体情報分析プログラム173は、走行経路の案内中に常時実行されるプログラムで、情報表示プログラム171とは独立して実行されるようになっている。
【0044】
個人情報分析プログラム174は、後述する音声認識プログラム177と画像処理プログラム178による認識結果や、運転操作情報、生体情報、ID情報などから運転者の特定を行うためのプログラムである。
また、個人情報分析プログラム174は、特定した個別の運転者の好み、特性などを分析し、データ記憶部16に運転者別に保存する。
【0045】
車両制御プログラム175は、運転支援処理において、生体情報が所定の閾値Hを越える緊急状態で、運転者に対して行う注意喚起等の警告を警告部18で行い、更に危険な状態の場合に、アクセル、ブレーキ、ハンドル等の制御処理を車両制御部19で行うプログラムである。
【0046】
走行経路履歴収集プログラム176は、現在位置検出装置11で検出された車両の現在位置と道路地図データベース161とから、車両が走行している経路(道路)を特定し、走行経路履歴データ164に保存するプログラムである。
この走行経路履歴収集プログラム176は、車両が走行している間実行されることで走行履歴が収集され、情報表示プログラム171とは独立して実行されるようになっている。
【0047】
音声認識プログラム177と画像処理プログラム178は、マイク134で集音した車内の会話等の音声を認識し、またカメラ131の撮像画像から運転者を特定し、また同乗者の有無を認識するプログラムである。
【0048】
運転操作履歴収集プログラム179は、運転操作検出部14で検出した各種運転操作を所定時間間隔毎に取得し、運転操作履歴データ165に格納するプログラムである。
運転操作履歴データ165に格納した運転操作に関するデータは、所定時間、例えば、2分間分保存され、最も古い情報が削除されて最新の情報が保存されるようになっているが、走行後に運転の評価を行うアドバイスシステム等で使用される場合には所定期間保存される。
運転操作履歴データ165も、生体情報分析プログラム173と同様に、車両走行中において常時独立して実行されるプログラムである。
【0049】
警告部18は、車両制御プログラム175に従って、音声や画像によって運転者に対して各種警告を行い、本実施形態では、生体の異常が検出された場合の警告(同乗者がいない場合には異常の判断時、いる場合には同乗者がいなくなった後)や、生体の緊急状態が検出された場合の警告(同乗者の有無にかかわらず緊急の判断時)を行う。
【0050】
車両制御部19は、車両制御プログラム175に従って、緊急時において減速や車両の誘導と停止を行う。
【0051】
アドバイスシステム部20は、エージェントの画像及び音声を出力することで、車両の各種操作や、運転操作履歴に基づいて運転のアドバイス等を行う。
アドバイスシステム部20によるアドバイスは、運転者の好み、特性に合わせたアドバイスが、特定容姿のエージェントによって行われる。
【0052】
ナビゲーション部21は、指定された目的地までの走行経路の探索と、探索した走行経路の案内、車両現在地周辺の表示による現在地周辺の案内などの、車両の走行に関する各種案内を行う。案内は音声案内、及び表示装置に地図や走行経路、各種施設、車両現在地等を表示することで行われる。
ナビゲーション部21により指定された目的地や探索した走行経路は走行経路履歴データ164に格納され、運転者情報として使用されるようになっている。
【0053】
次に、以上のように構成された情報提供装置における運転支援処理の処理動作について説明する。
図2は、運転支援処理の処理内容を表したフローチャートである。
この運転支援処理は、車両の走行開始により実行され走行中実行が継続されるが、イグニッションオンにより実行され、イグニッションオフにより終了するようにしてもよい。
【0054】
まずECU10は、運転者情報を取得する(ステップ10)。
すなわち、ECU10は、運転者情報として、生体情報、生体の異常情報、ナビ情報、運転操作情報等、電話の受信情報、メールの受信情報、外部情報、個人情報等のうちの少なくとも1つ以上について、存在する場合に取得する。
【0055】
ECU10は、運転者情報の生体情報として、例えば、運転者の呼吸数、体温、瞬き、心電図、発汗量、心拍数、アクティグラフ、脳波等を生体情報センサ12から取得する。
また、検出した生体情報について、生体情報判定データ163に格納された判定基準に従って生体が正常状態か、異常状態かの判定を行い、異常と判定された生体異常情報(不整脈、極度な疲労、うつ症状、パニック症状、注意力散漫状態等の、生体情報の異常情報を運転者情報として取得するようにしてもよい。
【0056】
ECU10は、運転者情報のナビ情報として、過去の走行経路や、目的地、店、道路の利用頻度等の運転履歴を取得する。
また運転操作情報としては、ブレーキやアクセルの操作、ステアリング操作から判定されるアドバイス情報を取得する。このアドバイス情報に基づいて、アドバイスシステム部20により、燃費が悪くなる運転方法を指摘したり、燃費悪化を防ぐための情報を取得する。
【0057】
またECU10は、電話の受信情報として、着信を伝える着信情報、過去の発信者番号、着信先番号、発信者、着信者の氏名等の発着履歴情報、を取得する。
また、メールの受信情報として、新規メールの着信を伝える着信情報、受信メールの内容情報、過去のメール発信、受信に関するアドレスや氏名等のメール履歴情報、を取得する。
【0058】
またECU10は、外部情報として、外部情報装置15から運転者の個人情報等の各種運転者情報を取得する。
個人情報は、外部情報装置15以外に、運転者によって入力された各種情報も含まれ、例えば、運転者やその知人の電話番号、住所、年齢、性別、誕生日、スケジュール、持病の内容等の運転時の安全性に直接関係しない情報が該当する。
【0059】
以上の運転者情報のうちの1つ以上の運転者情報を取得すると、ECU10は、同乗者がいるか否かについて判定する(ステップ20)。
すなわち、ECU10は、シート圧センサ132及びシートベルトセンサ133の検出値、カメラ131やマイク134による画像や音声の認識結果等から、同乗者がいる否かを判定する。
【0060】
判定の結果、同乗者がいない場合(ステップ20;N)、ECU10は、取得した運転者情報を運転者に伝達して(ステップ30)、メインルーチンにリターンする。
運転者情報の伝達は、取得した運転者情報の内容に応じて、音声により、また表示装置への画像表示により、行う。
また、運転者情報の伝達と合わせて、アドバイスシステム部20により、運転者情報に対応したアドバイスを行うようにしてもよい。例えば、生体異常情報として緊張状態が継続していると判定された場合、休憩のアドバイスをしたり、休憩可能な場所を案内したりする。
【0061】
一方、同乗者がいると判定した場合(ステップ20;Y)、ECU10は、伝達禁止処理を行い(ステップ40)、メインルーチンにリターンする。
図3は、伝達禁止処理の内容を表したフローチャートである。
この伝達禁止処理において、ECU10は、取得した運転者情報の伝達を行わずに一時保留しておき、その際に運転者情報と付加情報を記憶し、同乗者が降車した後に付加情報を含めて伝達する。
【0062】
ECU10は、まず付加情報を取得する(ステップ401)。
すなわち、ECU10は、現在位置検出装置11で検出される車両の現在位置と、内部の時計から現在の日時を取得する。
【0063】
そしてECU10は、伝達を禁止した運転者情報(ステップ10で取得した運転者情報)に付加情報を関連付けて、個人情報履歴データ166に記憶する(ステップ420)。
なお、本実施形態では、付加情報として現在位置と、日時を保存するが、いずれか一方でもよい。
また、保存する運転者情報に応じて現在位置、日時の一方又は双方を保存するようにしてもよく、この場合には、各運転者情報毎に何を付加情報とするかについて予め決めておきデータ記憶部16に保存しておく。例えば、目的地情報については日時を付加情報とし、生体異常については現在位置と日時の両方を付加情報とする、というように予め規定される。
また、どのような状況において生体異常となったかをより明確にするために、現在位置や時間に加えて/代えて、車両周辺の状況(例えば、登坂路、降坂路、カーブ等の走行路の状態、気温、天候、周辺の障害物(人、車)の有無等についても検出して付加情報として保存するようにしてもよい。
【0064】
ECU10は、その後、同乗者がいなくなったか否か、すなわち、同乗者が降車したか否かについて監視する(ステップ430)。この監視は、搭乗者情報検出部13の検出結果から判定する。
【0065】
同乗者がいないと判定された場合(ステップ430;Y)、ECU10は、個人情報履歴データ166に記憶されている運転者情報と付加情報を読み出し、運転者に伝達し(ステップ440)、メインルーチンにリターンする。
伝達の方法については、音声や画像表示等ステップ30と同様の方法による。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の情報提供装置によれば、取得した運転者情報について、同乗者がいない場合には直ちに運転者に伝達し、同乗者がいる場合には伝達をせずに(伝達禁止)、同乗者が降車した後に伝達禁止を解除して、運転者に伝達するようにしたので、個人情報の秘匿をより確実に行うことができる。
【0067】
また、本実施形態では、伝達を禁止した場合に、運転者情報だけでなく付加情報も保存しておき、同乗者がいなくなってから付加情報も合わせて伝達するようにしたので、運転者は、運転者情報がどのような状況で取得されたものかも合わせて知ることが可能となる。
すなわち、運転者情報を一時保留した後伝達することになるが、運転者は付加情報から、保留せずに(禁止せずに)直ちに伝達した場合と同じように運転者情報を確認することができる。
【0068】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲で種々の変形が可能である。
例えば、説明した実施形態では、運転者を特定する場合について説明したが、特定の運転者以外は運転しない場合等に合わせて、運転者の特定を省略するようにしてもよい。この場合、運転者特定モードと、固定モードの選択により変更するようにしてもよい。
【0069】
また、説明した実施形態では、運転者情報として生体異常を取得した場合も、他の運転者情報と同様に、同乗者の有無により禁止処理を行う場合について説明した。
これに対して、生体異常を取得した場合、生体異常と判断した生体情報が所定の閾値Hを越えているか否かを判断し、越えている場合には緊急を要する状態であると判断し、伝達禁止処理を行わず直ちに伝達を行うようにしてもよい。
この場合には、緊急と判断された異常状態(病状等)を、運転者に告知する。
そして、更に閾値J(J>H)を越えた場合には危険状態として車両制御を行うようにしてもよい。
また、危険状態では車両制御に加えて、同乗者への状態説明と、病院等の緊急連絡先への連絡を行うようにしてもよい。
【0070】
また、実施形態及び変形例では、伝達禁止処理において、一律に運転者情報の伝達を禁止したが、運転者の手動により禁止解除を行うようにしてもよい。
この場合、運転者が伝達禁止処理に有ることを知るために、ECU10は、運転者に対して運転者情報の内容とは無関係に運転者情報の存在に限定した報知(例えば、ランプの点滅)を行う。
運転者により、手動解除キーがONに操作されると、ECU10は、取得した運転者情報を伝達する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の1実施形態における情報提供装置の構成図である。
【図2】情報表示処理の内容を表したフローチャートである。
【図3】伝達禁止処理の内容を表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
10 ECU
11 現在位置検出装置
12 生体情報センサ
13 搭乗者情報検出部
14 運転操作検出部
15 外部情報装置
16 データ記憶部
17 プログラム記憶部
18 警告部
19 車両制御部
20 アドバイスシステム部
21 ナビゲーション部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者に関する情報を取得する運転者情報取得手段と、
前記取得した運転者情報を運転者に伝達する伝達手段と、
前記運転者以外の同乗者の有無を検出する検出手段と、
前記同乗者が検出された場合に、前記伝達手段による前記運転者情報の伝達を禁止し、前記検出した同乗者の不在を検出した場合に前記伝達の禁止を解除する禁止・解除手段と、
を具備したことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記運転者情報の伝達が禁止された場合に、検出した車両の現在位置と取得した時刻の少なくとも一方を付加情報として、該禁止した運転者情報と共に記憶する禁止情報記憶手段を備え、
前記伝達手段は、前記伝達の禁止が解除された場合、前記禁止情報記憶手段に記憶した運転者情報と付加情報を伝達する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記伝達手段は、音声及び表示の少なくとも一方により運転者情報を伝達する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記運転者情報取得手段は、運転者の生体情報、運転操作情報、運転履歴情報、過去の走行情報のうちの少なくとも1つを取得する、
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記運転者の生体情報を取得する生体情報検出手段を備え、
前記運転者情報取得手段は、前記検出した生体情報、又は異常と判断される生体情報を運転者情報として取得する、ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記禁止・解除手段は、前記取得した生体情報が所定の閾値を越える場合に、禁止を行わないことを特徴とする請求項5に記載の情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−29728(P2008−29728A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208714(P2006−208714)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】