説明

情報提供装置

【課題】ユーザによる情報の入力回数を抑制することができる情報提供装置を提供する。
【解決手段】少なくとも車両100の速度を含む車両情報を検出する車両情報検出手段と、地図データ上でPOI情報を管理するデータベース7と、車両情報検出手段により検出された車両情報に基づいて、車両100が接近した車両接近場所を特定する接近場所特定手段と、車両接近場所に含まれるPOI情報からユーザの要求を推定する要求推定手段と、データベース7に含まれるPOI情報から、要求推定手段により推定されたユーザの要求と関連するPOI情報を検索するPOI情報検索手段と、POI情報検索手段により検索された検索結果をユーザに報知する報知手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用案内装置において、車両の現在位置を検出し、地図データ記憶手段から施設情報を含む地図データを読み出して、地図上に車両の現在位置を重ねて表示手段に表示するとともに、ユーザが設定した検索条件を検索条件規則手段に記憶しつつ、当該検索条件により地図データ上の施設を検索し、条件に合致する施設が見つかった時は、その施設名を音声により案内し、ユーザが次回に施設を検索する際には、前記検索条件記憶手段に記憶された条件を基に検索を実行させる車載用案内装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−74686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザにより施設を検索するための検索条件を予め登録する必要があるため、施設の検索を始めるまでに、ユーザによって情報を入力する回数が多くなる、という問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザによる情報の入力回数を抑制することができる情報提供装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両情報に基づいて車両接近場所を特定し、当該車両接近場所に含まれるPOI情報からユーザの要求を推定し、データベースに含まれるPOI情報から、推定されたユーザの要求と関連するPOI情報を検索することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両情報に基づいてユーザの要求を推定することで、ユーザの要求に沿ったPOI情報を検索する際に、必ずしもユーザからの入力情報を必要としないため、ユーザによる情報の入力回数を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る情報提供装置のブロック図である。
【図2】図1の車両の走行経路を示す概念図である。
【図3】図1のデータベースに含まれるPOI情報の一例を示すデータ構造である。
【図4】図1のディスプレイの表示画面を説明するための概念図である。
【図5】図1の車両の走行経路を示す概念図である。
【図6】図1の車両の走行経路を示す概念図である。
【図7】図1の情報提供装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は情報提供装置のブロック図を示す。図1に示すように、本例の情報提供装置は、車両100側の構成と、サーバ200側の構成により構成されている。車両100は、図示しない通信部によりサーバ200と通信を行うことができる車両であり、車両情報検出部1と、道路状況検出部2と、報知部3と、ナビゲーション装置4と、制御部5とを備えている。サーバ200は、複数の車両と通信をしつつ、また施設情報、各種車両との間で取得した情報等を管理し、データを蓄積するサーバである。
【0011】
まず車両100の構成について説明する。車両情報検出部1は、車速センサ11及びステアリングセンサ12を有し、これらのセンサの検出値から車両100の車両情報を検出する。ここで車両情報は、車両100の走行状態、車両の挙動、又は、車両100の操作状況を示す情報であり、少なくとも車両100の状態を示す情報を含んだ情報である。車速センサ11は車両100の車速を検出するセンサであり、ステアリングセンサ12は車両100のステアリングの操舵角を検出するセンサである。車両情報検出部1は、例えば、車速センサ11により検出される車速の変化から、車両100の減速、停止などを検出し、または、車速センサ11により検出した車速から車両100の速度変化が小さく、ステアリングセンサ12により検出した操舵角からステアリング操作がされたことを検出した場合には、車両100の車線変更が行われたことを検出する。
【0012】
道路状況検出部2は、カメラ21を有し、カメラ21の撮影画像から車両100の前方の道路状況を検出する。カメラ21は、車両100の前方を撮像可能な位置に設けられている。道路状況検出部2は、カメラ21の撮像画像から、車両100の前方への他車両の割り込み、車両100の前方を走行する他車両の急停止、路上駐車等の道路状況を検出する。
【0013】
報知部3はディスプレイ31及びスピーカ32を有しており、車両100のユーザに対して情報を通知する。ディスプレイ31は画像データを表示する表示部であり、スピーカ32は音声等を発する。
【0014】
ナビゲーション装置4は、GPS機能を有しており、図示しないGPSアンテナを介して、測位衛星から発信される電波を受信することで、車両100の現在位置を取得する。またナビゲーション装置4は、ディスプレイ31により現在地を表示し、ユーザからの入力情報に基づく目的地の設定、ルート検索、ルート案内などのナビゲーション機能を有している。
【0015】
制御部5は、接近場所特定部51及び要求推定部52を有している。制御部5は、車両情報検出部1、道路状況検出部2、報知部3及びナビゲーション装置4などを制御するコントローラであり、また図示しない通信部を介して、サーバ200と情報の送受信を行う。
【0016】
接近場所特定部51は、車両情報検出部1により検出された車両情報、道路状況検出部2により検出された道路状況、及び、ナビゲーション装置4により検出された車両100の現在地に基づいて、車両100が特定の施設に近づいたことを示す車両100の接近場所(以下、「車両接近場所」と称する。)及び、車両100が特定の施設に近づかなかったことを示す場所(以下、「車両非接近場所」と称す)を特定する。車両接近場所について、レストラン、市役所またはホテルなどの施設に対して、車両100が接近した場合には、車両100が近づいた施設、言い換えると、車両100の行き先にある施設場所が車両接近場所となる。また、車両非接近場所について、同様の施設に対して、車両100は接近することなく通り過ぎていった場合には、通り過ぎた施設の場所が車両非接近場所となる。
【0017】
ここで、図2を用いて、車両接近場所及び車両非接近場所について、説明する。図2は車両100の走行経路を示す概念図である。図2の点線Xは車両100の走行経路を示している。図2に示すように、車両100が、例えば、レストランA及びレストランBに面した道路を走行しており、車両100のユーザが、レストランAの付近で車速を減速させて、かつ、ステアリングを操作し、一方、レストランBの付近でステアリングを維持した状態で、かつ、車速を減速することなく通過させるよう、運転したと仮定する。まず、車速情報検出部1は、車速センサ11により検出された車速と、現在走行している道路の法定速度とを比較しつつ、ステアリングセンサ12により検出された操舵角が所定の角度以上に変化したか否かを検出する。また道路状況検出部2は、カメラ21により所定の周期で撮影された画像から車両100の前方の道路状況を検出する。
【0018】
車両100がレストランAの付近を走行すると、車速情報検出部1は、車速センサ11による検出速度が上記の法定速度より低い閾値速度以下になり、車速が減速したことを検出する。また車速情報検出部1は、ステアリングセンサ12の検出操舵角から走行道路の外側(対向車線と反対側)に向かってステアリング操作がなされたことを検出する。そして、道路状況検出部2はカメラ21の撮像画像から車両100の前方には、他車の割り込みなど、車両100が減速する必要があるような道路状況ではないことを検出する。そして、接近場所特定部51は、車両情報検出部1により検出された車両情報と、道路状況検出部2により検出された道路状況から、通常の走行時の車両100の走行状態とは異なる状態になったことを検出する。接近場所特定部51はナビゲーション装置4により管理されている地図データから、車両接近場所にレストランAがあることを特定し、車両100の車両接近場所をレストランAの場所として特定する。
【0019】
一方、車両100がレストランBの付近を走行すると、車速情報検出部1は、車速センサ11による検出速度が当該閾値速度より高くになり、車速が減速していないことを検出する。また車速情報検出部1は、ステアリングセンサ12の検出操舵角からステアリング操作に変化がないことを検出する。そして、接近場所特定部51は、車両情報検出部1により検出された車両情報から、車両100が通常の走行状態であることを検出する。接近場所特定部51はナビゲーション装置4により管理されている地図データから、車両100が通常の走行状態を維持し、通り過ぎた場所にレストランBがあることを特定し、レストランBを車両非接近場所として特定する。
【0020】
図1に戻り、要求推定部52は、接近場所特定部51により特定された車両接近場所及び車両非接近場所と、ナビゲーション装置4で管理されている地図データとを用いて、車両100のユーザの要求を推定する。なお、要求推定部52によるユーザの要求の具体的制御は後述する。制御部5は要求推定部52により推定されたユーザ推定情報をサーバ200に送信する。
【0021】
サーバ200は検索エンジン6とデータベース7とを有している。検索エンジン6は、ユーザの要求と合致する検索条件を設定し、設定した条件でデータベース7により管理されるデータを検索し、検索結果を制御部5に送信する。なお、検索エンジン6の検索方法は後述する。
【0022】
データベース7には、地図データに加えて、図3に示すようなPOI情報が格納されている。図3はデータベース7に含まれるPOI情報の一例を示すデータ構造である。POI情報には複数の属性情報が割り当てられており、例えば図3に示すように、1つのPOI情報に対して、店の名前、位置、カテゴリー(大分類及び小分類)、業種及び駐車場の空き状態が属性情報として割当てられている。例えば店名「A」のレストランは、カテゴリー(大分類)に「イタリアン」、カテゴリー(小分類)に「イタリアン全般」、業種に「ファミリーレストラン」、駐車場の空き状態「満車」として、レストランAのPOI情報がそれぞれ格納されている。なお、ナビゲーション装置4で管理されるPOI情報のデータ構造も図3に示すデータ構造と同様である。制御部5はナビゲーション装置4に含まれ、図3に示すPOI情報を取得する。
【0023】
次に、図1〜図4を用いて、本例の情報提供装置の制御内容を説明する。図4はディスプレイ31の表示画面を説明するための概念図である。以下に説明するように、本例の情報提供装置は、接近場所特定部51により特定された車両接近場所のPOI情報から、車両100のユーザの要求を推定し、ユーザの要求と関連したPOI情報を検索し報知する。まず、図2に示すように、車両AがレストランAに接近した場合における、ユーザの要求の推定及びPOI情報の検索について説明する。なお、図2に示すレストランAのPOI情報と図3の店名「A」のPOI情報とが対応している。
【0024】
接近場所特定部51によりレストランAの場所が車両接近場所に特定されると、要求推定部52は、ナビゲーション装置4で管理される地図データから、車両接近場所に割当てられているPOI情報を抽出する。そして要求推定部52は、車両接近場所(レストランA)のPOI情報に含まれる属性情報から、ユーザの要求を推定する。図3に示すように、レストランAのPOI情報の中には、大分類のカテゴリーとして「イタリアン」が含まれている。すなわち、車両100がイタリアンのレストランに接近していることから、要求推定部52は、車両100のユーザがイタリアンレストランを探したいという要求を持っている、と推定する。なお、この時点では、接近場所特定部51は車両接近情報としてレストランAの場所を特定しただけなので、要求推定部52は、POI情報の属性情報の中から上位の概念に順位づけられているカテゴリー(大分類)の情報から、ユーザ要求を推定している。
【0025】
制御部5は、要求推定部52によりユーザ要求が推定されると、ユーザ要求を示す制御信号をサーバ200に送信すると共に、ユーザ要求に関連するPOI情報を入手したい旨の信号を送信する。検索エンジン6は、制御部5により送信された信号から、ユーザ要求と関連するPOI情報を検索するための検索条件を設定する。上記の例では、ユーザ要求は、レストランAの「イタリアン」を示す属性情報から、「イタリアンレストランを探したい」と推定されているため、検索エンジン6は、カテゴリー(大分類)に「イタリアン」を含むことを検索条件に設定する。当該検索条件の下、検索エンジン6は、データベース7に格納されたPOI情報(図3を参照)を検索する。図3に示すように、レストランC及びレストランFのPOI情報がカテゴリー(大分類)に「イタリアン」を含んでいるため、検索エンジン6は、検索結果として、レストランC及びレストランFのPOI情報を抽出する。すなわち、検索エンジン6は、車両接近場所に含まれるPOIの属性情報と同一の属性情報をもつPOI情報を、ユーザの要求と関連するPOI情報として、検索条件に設定し検索を行う。
【0026】
なお、検索エンジン6はPOI情報を検索する際に、検索条件として、車両100の現在地から所定の範囲内に限った上で検索してもよい。また、ナビゲーション装置4により車両100の走行ルートが決まっている場合には、制御部5から当該走行ルートの情報を検索エンジン6に送信した上で、検索エンジン6は検索条件として当該走行ルート上のPOI情報に限った上で検索してもよい。
【0027】
そして、検索エンジン6は、検索結果を制御部5に送信する。制御部5は、図4に示すように、走行ルート上に、報知手段3のディスプレイ31にレストランC及びレストランFの位置を、例えばエクスクラメーションマークによって表示する。なお、制御部5は、スピーカ32を制御して、検索の結果を音声により報知してもよい。
【0028】
次に、図1、図3及び図5を用いて、車両100がレストランA及びレストランCに接近した場合における、ユーザの要求の推定及びPOI情報の検索について説明する。図5は車両100の走行経路を示す概念図である。なお、図5に示すレストランA〜CのPOI情報と図3の店名「A」〜「C」のPOI情報とが対応している。また図5の点線Xは車両100の走行経路を示している。
【0029】
図5に示すように、車両100が、例えば、イタリアンレストランA、和食レストランB及びイタリアンレストランCに面した道路を走行しており、車両100のユーザが、イタリアンレストランA及びCの付近で車速を減速させて、かつ、ステアリングを操作し、一方、和食レストランBの付近でステアリングを維持した状態で、かつ、車速を減速することなく通過するよう、運転したと仮定する。
【0030】
接近場所特定部51によりレストランA及びCの場所が車両接近場所に特定されると、要求推定部52は車両接近場所に割り当てられているPOI情報を抽出する。要求推定部52は、車両接近場所が複数、特定されている場合は、車両接近場所のそれぞれのPOI情報のうち共通する属性情報からユーザの要求を推定する。図3に示すようにレストランA及びCのPOI情報では、大分類のカテゴリーである「イタリアン」の属性情報と、業種である「ファミリーレストラン」の属性情報とが共通している。すなわち、車両Aは、イタリアンレストランでありファミリーレストランに接近していることから、要求推定部52は、車両100のユーザがイタリアンのファミリーレストランを探したいという要求を持っている、と推定する。
【0031】
制御部5は、要求推定部52によりユーザ要求が推定されると、サーバ200にユーザ要求を含む信号を送信し、検索エンジン6は、当該ユーザ要求に基づいて、カテゴリー(大分類)に「イタリアン」及び業種に「ファミリーレストラン」を含むことを検索条件に設定する。そして、検索エンジン6はデータベース7に格納されたPOI情報を検索し、図3に示す例では、検索結果として、レストランFのPOI情報を抽出し、検索結果を制御部5に送信する。制御部5は、検索エンジン6から送信された検索結果に基づいて報知部3を制御して、検索結果に含まれるPOI情報をユーザに通知する。
【0032】
次に、図1、図3及び図6を用いて、車両100がレストランAに接近し、レストランCに接近することなく通過した場合における、ユーザの要求の推定及びPOI情報の検索について説明する。図6は車両100の走行経路を示す概念図である。なお、図5に示すレストランA、CのPOI情報と図3の店名「A」、「C」のPOI情報とが対応している。また図6の点線Xは車両100の走行経路を示している。
【0033】
図6に示すように、車両100が、例えば、イタリアンレストランA及びイタリアンレストランCに面した道路を走行しており、車両100のユーザが、イタリアンレストランAの付近で車速を減速させて、かつ、ステアリングを操作し、一方、イタリアンレストランCの付近でステアリングを維持した状態で、かつ、車速を減速することなく通過させるよう、運転したと仮定する。
【0034】
まず車両100がレストランAに接近した時点では、上記のように、車両接近場所特定部51はレストランAの場所を車両接近場所として特定し、要求推定部52は、レストランAのPOI情報から、ユーザ要求を、ユーザがイタリアンレストランを探したい、と推定する。そして検索エンジン6は、ユーザ要求に沿って検索条件を設定した上で検索し、レストランC及びレストランFを検索結果として抽出している。
【0035】
そして、車両100がレストランAに接近した後、車両100はレストランCを通過しているため、接近場所特定部51はレストランCを車両非接近場所として特定する。要求推定部52は、車両接近場所のPOI情報と車両非接近場所のPOI情報から、ユーザの要求を推定する。すなわち、要求推定部52は、車両接近場所のPOI情報と車両非接近場所のPOI情報のうち、上位に順位づけられている属性情報が共通し、下位の属性情報が異なる場合には、車両非接近場所のPOI情報のうち、車両接近場所の属性を異なる属性情報を除いた上で、ユーザの要求を推定する。なお、属性情報の概念の順位付けは予め設定されていてもよく、あるいは、ユーザにより設定してもよい。図3の例では、カテゴリー(大分類)の概念が、カテゴリー(小分類)、業種及び駐車場の概念より上位である。
【0036】
図3の例では、車両接近場所であるレストランCのPOI情報には、カテゴリー(大分類)に「イタリアン」、カテゴリー(小分類)に「パスタ」、業種に「ファミリーレストラン」、駐車場の空き状態「無し」の各属性情報が格納されている。レストランAのPOI情報と比較すると、カテゴリー(大分類)の「イタリアン」及び業種の「ファミリーレストラン」は共通しているが、カテゴリー(小分類)と駐車場の空き状態の属性情報が異なっている。すなわち、車両100のユーザは、イタリアンレストランを探しているが、レストランCには駐車場がなく、ユーザはイタリアンの中でもパスタは食べたくないため、レストランCの場所では車両100を接近させなかったと、推定される。そのため、要求推定部52は、車両接近場所のPOI情報と車両非接近場所のPOI情報の中から、車両非接近場所のうち共通していない情報を除いた上で、「イタリアン」、「パスタは除く」及び「駐車場は必要」の3つの情報から、ユーザはパスタを除いたイタリアンレストランで、かつ、駐車場があるレストランを探している、と推定する。
【0037】
制御部5は、要求推定部52によりユーザ要求が推定されると、サーバ200にユーザ要求を含む信号を送信し、検索エンジン6は、当該ユーザ要求に基づいて、カテゴリー(大分類)に「イタリアン」及び業種に「ファミリーレストラン」を含みつつ、カテゴリー(小分類)に「パスタ」及び駐車場に「無し」を含めないことを検索条件に設定する。そして、検索エンジン6はデータベース7に格納されたPOI情報を検索し、図3に示す例では、検索結果として、レストランFのPOI情報を抽出し、検索結果を制御部5に送信する。制御部5は、検索エンジン6から送信された検索結果に基づいて報知部3を制御して、検索結果に含まれるPOI情報をユーザに通知する。
【0038】
次に、図7を用いて、本例の情報提供装置の制御手順を説明する。図7は本例の情報提供装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0039】
ステップS1にて、車両情報検出部1は、車速センサ11及びステアリングセンサ12を用いて車両情報を検出する。ステップS2にて、道路状況検出部2は、カメラ21を用いて、車両100の前方の道路状況を検出する。ステップS3にて制御部5は、ナビゲーション装置4に含まれる地図データ及びPOI情報と、車両100の現在地とから、車両100がPOI情報を付した場所の付近を走行しているか否かを検出する。すなわち、制御部5は、ナビゲーション装置4により管理されている地図データから、車両100の現在地から所定の範囲内にPOI情報が付された施設があるか否かを判定する。ここで、当該所定の範囲内とは、検索対象の範囲を決めるために予め設定された範囲であり、車両の周囲に相当する。そして、制御部5は、当該所定の範囲内にPOI情報が付された場所がある場合には、ステップS4に遷り、当該所定の範囲内にPOI情報が付された場所がない場合には、ステップS1に戻る。
【0040】
ステップS4にて、接近場所特定部51は、ステップS1で検出された車両情報から、車両100がステップS3で検出された場所に接近したか否かを判定する。車両100が施設等の場所に接近したことを検出した場合にはステップS5に遷り、車両100が施設等の場所に接近していない場合にはステップS71に遷る。ステップS5にて、接近場所特定部51は、ステップS2で検出された道路状況から、ステップS4で検出した車両100の接近が、車両100の前方の道路状況の変化によるものか否かを判定する。車両100の接近が、車両100の前方の道路状況の変化によるものではないと判定された場合には、ステップS61に遷る。一方、車両100の接近が、車両100の前方の道路状況の変化によるものと判定された場合には、ステップS4の車両接近は、ユーザの要求によるものではないため、ステップS71に遷る。
【0041】
ステップS61にて、接近場所特定部51は、ステップS3で検出された場所を、車両接近場所として特定する。ステップ62にて、要求推定部52は、ステップS61で特定された車両接近場所に含まれるPOI情報を、ナビゲーション装置4のデータから取得し、ステップS8に遷る。
【0042】
ステップS4に戻り、車両100が施設等の場所に接近していない場合、及び、ステップS5に戻り、車両100の接近が、車両100の前方の道路状況の変化によるものと判定された場合には、ステップS71にて、接近場所特定部51は、ステップS3で検出された場所を、車両非接近場所として特定する。ステップ72にて、要求推定部52は、ステップS71で特定された車両非接近場所に含まれるPOI情報を、ナビゲーション装置4のデータから取得し、ステップS8に遷る。
【0043】
ステップS8にて、要求推定部52は、ステップS62で取得されたPOI情報及びステップS72で取得されたPOI情報を用いて、車両100のユーザの要求を推定する。すなわち、要求推定部52は、既にユーザの要求の推定の際に用いたPOI情報の属性情報と、新たにステップS62で取得したPOI情報の属性情報とが共通する場合には、共通した属性情報の優先度を上げた上で、ユーザの要求を推定する。一方、要求推定部52は、既にユーザの要求の推定の際に用いたPOI情報の属性情報と、新たにステップS72で取得したPOI情報の属性情報とが共通する場合には、共通していない、ステップS72で取得した属性情報を、推定対象とする属性情報から除外した上で、ユーザの要求を推定する。そして、要求推定部52は、推定したユーザの要求を検索エンジン6に送信する。
【0044】
ステップS9にて、検索エンジン6は、ステップS8で推定されたユーザの要求から検索条件を設定する。ステップS10にて、検索エンジン6は、設定した検索条件の下、データベース7に含まれるPOI情報から、ユーザの要求と関連するPOI情報を検索する。ステップS11にて、検索エンジン6は検索結果を制御部5に送信し、制御部5は報知部3を制御して、検索結果を報知する。
【0045】
ステップS12にて、制御部5は、車両100の現在地から、検索結果に係るPOI情報を付した場所に到着したか否かを判定する。POI情報を付した場所に到着していない場合には、ステップS1に戻り、POI情報を付した場所に到着した場合には、本例の制御処理を終了する。
【0046】
上記のように、本例は、車両情報に基づいて車両接近場所を特定する接近場所特定部51と、車両接近場所に含まれるPOI情報からユーザの要求を推定する要求推定部52と、データベース7のPOI情報から、推定されたユーザの要求に関連するPOI情報を検索する検索エンジン6と、検索結果をユーザに報知する報知部3とを備える。これにより、例えば、ディスプレイ31のタッチパネル等を利用して、ユーザにより直接的に情報を入力するような操作をしなくても、ユーザの要求を推定し、ユーザの要求に関連したPOI情報を検索するため、ユーザによる情報の入力回数を抑制することができ、ユーザにとって利便性の高いシステムを実現することができる。また本例は車両情報に基づいて車両接近場所を特定した上で、ユーザの要求を推定するため、ユーザの関心のある施設情報を検索キーに用いることができ、ユーザ要求の推定精度を高めることができる。
【0047】
また本例は要求推定部52により、車両接近場所に含まれるPOI情報の属性情報と同一の属性情報をもつPOI情報を、ユーザの要求と関連するPOI情報として検索する。これにより、ユーザが関心する共通項目を検索キーに用いることができ、ユーザ要求の推定精度を高めることができる。
【0048】
また本例は要求推定部52により、最初に特定された車両接近場所に含まれるPOI情報と、その後に特定された車両接近場所に含まれるPOI情報との間で共通する属性情報から、ユーザの要求を推定する。これにより、複数の車両接近場所が特定された場合に、共通する属性情報を検索キーに用いることができるため、ユーザ要求の推定精度を高めることができる。
【0049】
また本例は要求推定部52により、車両非接触場所に含まれるPOI情報の属性情報のうち、車両接近場所に含まれるPOI属性情報と共通していない属性情報を除いた属性情報を除いた属性情報から、ユーザの要求を推定する。これにより、ユーザが関心のない情報を検索キーから除くことができるため、ユーザ要求の推定精度を高めることができる。
【0050】
また本例は、ステアリングセンサで検出された操舵角に基づいて車両接近場所を特定する。これにより、ユーザが特定の場所に関心を示したことを原因として発生する車両状態の変化に基づいて、車両接近場所を特定することができるため、ユーザ要求の推定精度を高めることができる。
【0051】
また本例は、車速センサ11で検出された車速に基づいて車両接近場所を特定する。これにより、ユーザが特定の場所に関心を示したことを原因として発生する車両状態の変化に基づいて、車両接近場所を特定することができるため、ユーザ要求の推定精度を高めることができる。
【0052】
また本例は、道路状況検出部2により検出された道路状況に基づいて、車両接近場所及び車両非接近場所を特定する。これにより、道路の周囲の施設とは関係のない事象により発生した車両の状態変化を特定することができるため、ユーザ要求の推定精度を高めることができる。
【0053】
なお、本例は、検索エンジン6により設定された検索条件を制御部5に送信し、報知部3により当該検索条件をユーザに報知してもよい。これにより、ユーザに対して、ユーザの意図に沿った検索を行っているか否かを、判断させることができるため、ユーザにとって利便性の高いシステムを実現することができる。また、報知された検索条件をユーザにより訂正させることで、ユーザ要求に沿った情報検索をすることができる。
【0054】
なお、本例では、車両情報及び道路状況に基づいて、車両接近場所及び車両非接近場所を特定したが、少なくとも車両情報に基づいて、車両接近場所及び車両非接近場所を特定してもよい。また本例は、車両情報のうち、車速センサ11の検出車速及びステアリングセンサ12の検出操舵角に基づいて車両接近場所及び車両非接近場所を特定したが、車両情報として少なくとも車両速度に基づいて車両接近場所及び車両非接近場所を特定してもよい。
【0055】
また、道路状況検出部2は、赤外線センサ等のレーダを車両100の前方に照射し、レーダの信号強度から、道路状況を検出してもよい。
【0056】
また本例は、サーバ200に検索エンジン6及びデータベース7を設けたが、車両100に検索エンジン6及びデータベース7を設けてもよい。また、本例は、ナビゲーション装置4に格納されるデータを用いて、ユーザ要求に関連した検索条件の設定及び検索を実行してもよい。これにより、本例は車両100側の構成のみも、本例を実現させることができる。
【0057】
上記車両情報検出部は本発明に係る「車両情報検出手段」に相当し、接近場所特定部51が「接近場所特性手段」に、要求推定部52が「要求推定手段」に、検索エンジン6が「POI情報検出手段」に、報知部3が「報知手段」に、道路状況検出部2が「道路状況検出手段」に、車両接近場所が「第1の車両接近場所」及び「第2の車両接近場所」に相当する。
【符号の説明】
【0058】
100…車両
1…車両情報検出部
11…車速センサ
12…ステアリングセンサ
2…道路状況検出部
21…カメラ
3…報知部
31…ディスプレイ
32…スピーカ
4…ナビゲーション装置
5…制御部
51…接近場所特定部
52…要求推定部
200…サーバ
6…検索エンジン
7…データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両の速度を含む車両情報を検出する車両情報検出手段と、
地図データ上でPOI情報を管理するデータベースと、
前記車両情報検出手段により検出された車両情報に基づいて、前記車両が接近した車両接近場所を特定する接近場所特定手段と、
前記車両接近場所に含まれるPOI情報からユーザの要求を推定する要求推定手段と、
前記データベースに含まれるPOI情報から、前記要求推定手段により推定されたユーザの要求と関連するPOI情報を検索するPOI情報検索手段と、
前記POI情報検索手段により検索された検索結果を前記ユーザに報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記POI情報検索手段は、
前記車両接近場所に含まれるPOI情報の属性情報と同一の属性情報をもつPOI情報を、前記ユーザの要求と関連するPOI情報として検索する
ことを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記接近場所特定手段は、
前記車両情報検出手段により検出された複数の車両情報から、前記車両が接近した第1の車両接近場所及び第2の車両接近場所を特定し、
前記要求推定手段は、
前記第1の車両接近場所に含まれる前記POI情報と、前記第2の車両接近場所に含まれる前記POI情報との間で共通する属性情報から前記ユーザの要求を推定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記接近場所特定手段は、
前記車両情報検出手段により検出された複数の車両情報から、前記車両が接近した第1の車両接近場所及び前記車両が接近しなかった車両非接近場所を特定し、
前記要求推定手段は、
前記車両非接触場所に含まれるPOI情報の属性情報のうち、前記車両接近場所に含まれるPOI属性情報と共通していない属性情報を除いた属性情報から前記ユーザの要求を推定する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記報知手段は、
前記POI情報検索手段による検索条件を前記ユーザに報知する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記車両情報検出手段は、前記車両のステアリング操舵角を検出し、
前記接近場所特定手段は、前記ステアリング操舵角に基づいて前記車両接近場所を特定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記接近場所特定手段は、
前記車両速度が所定の閾値速度より小さい場合に、前記車両の現在地を含めた所定の範囲を前記車両接近場所として特定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記車両の前方の道路状況を検出する道路状況検出手段をさらに備え、
前記接近場所特定手段は、
前記道路状況検出手段により検出された道路状況に基づいて、前記車両接近場所を検出する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−24681(P2013−24681A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158767(P2011−158767)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】