説明

情報提示装置、その方法及びそのプログラム

【課題】対象物の配列確認が容易に行える情報提示装置を提供する。
【解決手段】配列された複数の対象物の中の基準対象物が予め定めたルールを満たすことを表すか、又は、前記基準対象物が前記ルールを満たさないことを表す判定画像を生成し、前記判定画像を取得した画像に重畳して提示用画像を生成し、前記提示用画像を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報提示装置、その方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルが結線される配電盤に関して、ケーブルの結線状態をチェックするチェック装置が提案されている。このチェック装置は、識別情報を表すバーコードを付けたケーブルが、配電盤の端子台の結線端子に結線された状態をカメラで撮影し、撮影した画像からケーブル、端子台、結線端子の位置と、各識別情報を認識し、その認識結果に基づいてケーブルの結線の正誤状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−130652
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ケーブルに付けたバーコードが、他の部品などにより遮蔽されることにより、バーコードの見逃しが発生する場合がある。この場合に、上記チェック装置により結線全体の正誤判定を行うためには、ケーブルを全て認識できるまで複数回撮影して、その認識結果を操作者がまとめる必要があり、結線確認作業の作業性が煩雑になるという問題点があった。
【0005】
そこで、本実施形態は、上記問題点に鑑み、対象物の配列確認が容易に行える情報提示装置、その方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、配列された複数の対象物が撮影された画像を取得する画像取得部と、前記画像から前記各対象物の識別情報と前記画像中の位置を認識する認識部と、一の前記対象物と並んで配列される他の前記対象物の前記識別情報と、前記一の対象物と前記他の対象物との位置関係とを表すルールを、前記対象物毎に予め格納する格納部と、前記配列が正しいか否かの判定対象となる前記対象物である基準対象物の前記識別情報と、前記基準対象物と並んで配列される前記対象物である目標対象物の前記識別情報と、前記基準対象物と前記目標対象物との位置関係とを含む認識情報を前記画像から認識する認識部と、前記基準対象物に関する前記認識情報と前記ルールを用いて、前記基準対象物が前記ルールを満たすか否かを判定する判定部と、前記基準対象物が前記ルールを満たすことを表すか、又は、前記基準対象物が前記ルールを満たさないことを表す判定画像を生成し、前記判定画像を前記画像に重畳して提示用画像を生成する重畳部と、前記提示用画像を提示する提示部と、を有することを特徴とする情報提示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態1の情報提示装置のブロック図。
【図2】実施形態1の情報提示装置の利用形態の説明図。
【図3】実施形態1のフローチャート。
【図4】実施形態1の認識部による1フレーム中のバーコードの認識結果の例の説明図。
【図5】実施形態1の格納部に格納されるルールの例の説明図。
【図6】実施形態1の判定部のフローチャート。
【図7】実施形態1の統合部のフローチャート。
【図8】実施形態2の情報提示装置の利用形態の説明図。
【図9】実施形態2の格納部に格納されるルールの例の説明図。
【図10】実施形態2の判定部のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の情報提示装置について図面を参照しながら説明する。
【実施形態1】
【0009】
実施形態1の情報提示装置1について図1〜図7を参照して説明する。
【0010】
本実施形態の情報提示装置1は、J本(但しJ>1である)のケーブル202を、配電盤(不図示)に有る端子台201のJ個の結線端子205にそれぞれ結線した場合に、その結線が正しいか否かを判定する装置である。本実施形態の場合は、配列される対象物はケーブル202であり、第2の対象物が端子台201である。
【0011】
情報提示装置1は、例えば、操作者に対して動画像を提示する液晶パネルなどの提示部106と、配電盤200の端子台201、ケーブル202を撮影する撮像部100とを、一つのケースに搭載した携帯型端末(例えば、タブレット型端末、スマートフォンなどである)の形態を有している。また、ケーブル202には、そのケーブル202の識別情報をバーコード203で示したタグが取り付けられている。さらに、端子台201には、その端子台201の識別情報を2次元バーコードで示したバーコード204のタグが取り付けられている。なお、結線されるケーブル202が多数の場合、一つのバーコード204だけでは位置関係が決定にし難いので、1台の端子台201に図2に示すように複数のバーコード204のタグが取り付けられている。
【0012】
本実施形態の情報提示装置1の構成について図1に基づいて説明する。図1は、情報提示装置1のブロック図である。
【0013】
情報提示装置1は、撮像部100、画像取得部101、認識部102、判定部103、統合部104、重畳部105、提示部106、格納部107を有する。
【0014】
撮像部100は、CCDカメラなどよりなり、バーコード203が付けられたケーブル202と、バーコード204が付けられた端子台201と、そのケーブル202を端子台201の結線端子205に結線した状態とを動画像で撮像する。
【0015】
画像取得部101は、撮像部100で撮影した動画像の各フレームを取得する。
【0016】
認識部102は、画像取得部101により取得された各フレームからバーコード203,204で示された識別情報と、そのバーコード203,204に関する位置をフレーム毎に認識する。
【0017】
格納部107は、複数のバーコード203間の位置関係及びバーコード204の位置関係をルールとして格納している。
【0018】
判定部103は、格納部107からルールを読み出して、認識部102で認識されたバーコード203,204の位置関係に基づいて、1つのフレームに写っているケーブル202に関してルールを満たすか否かをフレーム毎に判定する。
【0019】
統合部104は、複数のフレームを用いて、端子台201に結線された全てのケーブル202に関してルールを満たすか否かを判定する。
【0020】
重畳部105は、各フレームに写っているケーブル202に、判定画像を重畳して提示用画像を提示する。
【0021】
提示部106は、重畳部105から出力された提示用画像を提示する。
【0022】
情報提示装置1の利用形態を図2に基づいて説明する。図2は情報提示装置1の利用形態の説明図である。
【0023】
図2に示すように、配電盤200の端子台201の各結線端子205には、バーコード203a〜dが示されたタグを付けたケーブル202a〜dが結線されている。また、端子台201には、結線端子205の位置を示す2次元バーコード204a〜cを表すタグがそれぞれ取り付けられている。
【0024】
操作者が、情報提示装置1のケースの裏面にある撮像部100を端子台201の方向に向けると、情報提示装置1のケースの表面にある提示部106には、撮影された端子台201付近の動画像と共に、端子台201に結線されたケーブル202a〜202dが正しい位置に結線されているか否かの判定結果が各ケーブル202a〜202dの上に重ねて表示されると共に、誤った位置に結線され接続ミスがある場合には、その旨が言葉として表示される。図2の場合には、結線が正しい場合には白丸、誤っている場合には×でケーブル202と重ねて表示されていると共に、「接続ミス」と表示される。
【0025】
情報提示装置1の処理内容について図3に基づいて説明する。図3は、情報提示装置1の処理を示すフローチャートである。
【0026】
ステップS301において、撮像部100が、配電盤200の端子台201に結線されたケーブル202を撮影し、画像取得部101が、その動画像を取得して、ステップS302に進む。
【0027】
ステップS302において、認識部102が、取得された動画像の各フレームからバーコード203,204の識別情報と、バーコード203,204に関する位置をフレーム毎に認識し、ステップS303に進む。
【0028】
ステップS303において、判定部103が、格納部107に格納されたルールに基づいて、認識部102で認識されたバーコード203,204の位置関係がルールを満たすか否かをフレーム毎に判定する。
【0029】
ステップS304において、統合部104は、取得した動画像の複数のフレームを用いて、端子台201に結線された全てのケーブル202に関してルールを満たすか否かを判定する。
【0030】
ステップS305において、重畳部105は、各フレームに写っているケーブル202に、判定画像を重畳して提示用画像を提示する。
【0031】
ステップS306において、提示部106が、提示用画像を提示する。
【0032】
ここで、ステップS302、ステップS303、ステップS304と、ステップS305は一連の処理であるが、必ずしも全てが同期して動作する必要はない。例えば、ステップS302は一秒間に1回動作し、ステップS303、ステップS304、ステップS305は、ステップS302の結果を利用しながら一秒間に10回動作してもよい。
【0033】
以下、情報提示装置1の各部100〜106の処理内容をさらに詳しく順番に説明する。
【0034】
画像取得部101は、動画像を撮影できる撮像部100を有し、この撮像部100から動画像を取得する。撮像部100は、情報提示装置1のケースの裏面に取り付けられ、端子台201を撮影できる。撮像部100は、例えば30フレーム/秒の動画像を撮影でき、また、水平方向640ピクセル、垂直方向480ピクセルの画素数で1フレームを撮影でき、さらに、焦点距離を自動的に合わせられる機構を有し、レンズなどの光学系によって撮影像にひずみが発生することを補正するひずみ補正処理を行う。
【0035】
認識部102について図4を参照しながら説明する。
【0036】
認識部102は、画像取得部101により取得されたフレームからバーコード203,204の識別情報、位置関係をフレーム毎に認識する。
【0037】
認識部102が認識するバーコードは、ケーブル202に付けられた1次元のバーコード203と、端子台201に付けられた2次元のバーコード204の両方である。認識部102は、バーコード203,204の認識に関して、画像取得部101が取得した動画像のフレーム単位で行う。図4に示すように、認識結果は、認識を行ったフレームのフレーム番号、ケーブルバーコードに関する表と、端子台バーコードに関する表よりなる。
【0038】
ケーブルバーコードの表は、ケーブル202のバーコード203の識別情報(ケーブルバーコードID)と、バーコード203の画像座標値(X,Y)の組み合わせからなる。なお、ケーブル202の「認識情報」とは、バーコード203の識別情報と画像座標値が対になったものである。
【0039】
端子台バーコードの表は、端子台201のバーコード204の識別情報(端子台バーコードID)と、バーコード204の画像座標値(X,Y)の組み合わせからなる。なお、端子台201の「認識情報」とは、バーコード204の識別情報と画像座標値が対になったものである。
【0040】
なお、画像座標値(X,Y)は、画像取得部101で取得したフレームの画素数を基準とするものであり、例えばフレームの左上を原点(0,0)とし、右方向にX軸の正方向、鉛直下方向にY軸の正方向を配置した画像座標系上の位置であり、例えば認識できた各バーコード203,204のそれぞれの領域の重心位置を示す。
【0041】
格納部107について図5を参照しながら説明する。
【0042】
格納部107には、図5に示すように、端子台201の端子台番号(例えば、番号A01)毎に、ケーブルルールに関する表と、端子台ルールに関する表とが、一つのルールとしてまとめて格納されている。
【0043】
「ケーブルルール」は、端子台番号A01の端子台201に結線しているケーブル202が正しい状態で結線されている場合の、隣接するケーブル202のバーコード203同士の正しい位置関係を示すルールである。「ケーブルルールID」とは、ケーブルルールを識別するIDである。「ケーブル基準バーコード」とは、判定の基準となるケーブル202のバーコード203の識別情報を意味し、「ケーブル目標バーコード」とは、ケーブル基準バーコード203とは異なる判定の対象となるケーブル202のバーコード203の識別情報を意味する。「検出座標系」とは、判定部103でバーコード203間の位置関係を判定するときに利用される座標系であり、バーコード204とバーコード203に基づき定義され、画像座標系とは異なる座標系である。詳しくは後から説明する。「検出座標系ID」とは、ケーブル202が結線されるバーコード204によって表される検出座標系のIDを意味する。「相対位置」とは、ケーブル基準バーコード203とケーブル目標バーコード203の位置関係を意味し、検出座標系IDで示される検出座標系上で、ケーブル基準バーコード203を原点とした場合に、ケーブル目標バーコード203が検出されるべき正しい位置及び方向を2次元座標位置で示したものである。
【0044】
「端子台ルール」は、例えば、端子台番号A01の端子台201に取り付けられたバーコード204であって、かつ、隣接するバーコード204,204の位置関係を示すルールである。「端子台基準バーコード」とは、判定の基準となるバーコード204の識別情報を意味し、端子台番号A01にバーコード204の識別番号(例えば、01)を付加したものである。「端子台目標バーコード」とは、端子台基準バーコード204とは異なる判定の対象となるバーコード204の識別情報を意味し、端子台番号A01にバーコード204の識別番号(例えば、02)を付加したものである。「方向ベクトル」とは、検出座標系上で、端子台基準バーコード204を原点とした場合に、端子台目標バーコード204が検出されるべき正しい位置及び方向を2次元座標位置(すなわち、位置関係)で示したものである。
【0045】
また、格納部107は、バッファと画像バッファを別途有する。
【0046】
判定部103について図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0047】
ステップS600において、判定部103は、まず、取得した動画像のフレーム毎に、端子台基準バーコード204を検出したか否かを判定する。判定部103は、端子台基準バーコード204を検出した場合にはステップS601に遷移し(Yの場合)、検出しない場合には処理を終了する(Nの場合)。
【0048】
次に、ステップS601において、判定部103は、ケーブルルールを全てポイントするためのインデックスとしてi(但し、1<=i<=I)を用い、ケーブルルールインデックスiを初期値1で初期化する。なお、上限値Iは、判定しようとしているフレームに写っているケーブル202の総数を意味し、端子台201に結線される全てのケーブル202の本数Jと比べた場合に、1<=I<=Jとなる。すなわち、あるフレームにケーブル202が全て写っていない場合は、1<=I<Jとなる。そして、この上限値Iは、あるフレームに写っているバーコード204の識別情報の中で最もコードIDの値が高い数に対応して決定する。
【0049】
次に、ステップS602において、判定部103は、端子台基準バーコード204を使って、ケーブルルールiを格納部107から読み出し、ケーブルルールiに含まれているケーブル基準バーコード203とケーブル目標バーコード203を、現在のフレームで検出しているか否かを判定する。判定部103が、両バーコード203を検出していればステップS603に遷移し(Yの場合)、検出していなければステップS606に遷移する(Nの場合)。
【0050】
次に、ステップS603において、判定部103は、ケーブル基準バーコード203とケーブル目標バーコード203の位置関係が、ケーブルルールiを満たすか否かを判定する。この判定方法については後述する。判定部103が、ケーブルルールiを満たすと判定した場合にはステップS604に遷移し(Yの場合)、満たさないと判定した場合にはステップS605に遷移する(Nの場合)。
【0051】
次に、ステップS604において、判定部103は、ケーブルルールiを満たすと判定したので、ケーブルルールiの判定結果を「正常」として、フレーム番号を、格納部107の一時記憶部(例えば、バッファ)に格納し、ステップS606に遷移する。
【0052】
次に、ステップS605において、判定部103は、ケーブルルールiを満たさないと判定したので、ケーブルルールiの判定結果を「異常」として、フレーム番号を、バッファに格納し、ステップS606に遷移する。
【0053】
次に、ステップS606において、判定部103は、iが上限値Iであるか否かを判定する。上限値Iでない場合にはステップS607に遷移し(Nの場合)、iが上限値Iのときは全てのケーブルルールの判定が終わったものとして処理を終了する(Yの場合)。
【0054】
次に、ステップS607において、判定部103は、ケーブルルールインデックスiに1を加えて、ステップS602に戻る。
【0055】
以上の処理により、入力された1枚のフレームに対して、バーコード203の認識を行った結果について、ケーブルルールを満たすか否かの判定が行われ、満足するケーブル基準バーコード203は「正常」とそのフレーム番号が、そのケーブル基準バーコード203の識別情報と共にバッファに格納され、満足しないケーブル基準バーコード203は「異常」とそのフレーム番号が、そのケーブル基準バーコード203の識別情報と共にバッファに判定結果として格納される。
【0056】
なお、あるケーブルルールiに関するバーコード203が認識されなかった場合には、そのケーブルルールiに関するバッファの内容は更新されない。
【0057】
次に、判定部103が行うステップS603の処理内容について具体的に説明する。
【0058】
まず、判定部103に入力されるバーコード203の認識情報は、図4に示すようなバーコード203と画像座標値が対になったものである。なお、この画像座標値は画像座標系で示されている。
【0059】
まず、判定部103は、画像座標系で表現された画像座標値を、検出座標系で表現される検出座標値に変換する。この座標変換処理は、端子台201毎のバーコード204の位置関係により処理される。
【0060】
例えば、図5の端子台番号A01の端子台201のケーブルルール「1」で用いられる検出座標系ID「1」は、端子台ルールを参照すると次のようになる。検出座標系ID「1」は、端子台ルールでは、A0101の端子台基準バーコード204の検出位置と、A0102の端子台目標バーコード204の検出位置を用いて定義される座標系である。具体的には、A0101の端子台基準バーコード204の検出位置を新たな原点とし、A0102の端子台目標バーコード204の検出位置が座標(3,0)となるようにX軸を配置し、X軸から反時計回りに90度回転させた方向にY軸を配置した座標系が、検出座標系ID「1」である。これにより、A0101の端子台基準バーコード204の検出位置とA0102の端子台目標バーコード204の検出位置が、検出座標系ID「1」において、(0,0)及び(3,0)になる。この処理は、3行3列のアフィン変換行列で表現できる。この変換処理が、画像座標系から検出座標系への変換処理である。
【0061】
図4のケーブルルール「1」では、この変換処理を用いて、ケーブルコードID「001」のケーブル基準バーコード203とケーブルコードID「002」のケーブル目標バーコード203を画像座標系から検出座標系に変換し、ケーブルコードID「001」のケーブル基準バーコード203に対するケーブルコードID「002」のケーブル目標バーコード203の相対位置が、X軸について0.9以上、かつ、1.1以下、Y軸について−0.1以上、かつ、0.1以下の範囲に収まっていればケーブルルール1が満たされたと、判定部103は判定する。
【0062】
判定部103は、以上の処理をケーブルルール毎に適用していく。
【0063】
統合部104の処理内容を図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0064】
まず、統合部104は、ケーブルルールを全てポイントするためのインデックスとしてj(但し、1<=j<=J)を用い、ケーブルルールインデックスjを初期値1で初期化する。ここで用いるインデックスjは、判定部103で利用したインデックスiとは独立であり、また、上限値Jは、端子台番号A01の端子台201に結線されるケーブル202の総数を意味する。
【0065】
ステップS701において、統合部104は、端子台201全体に対して接続ミス又は接続不足であるという判定結果の一時格納に用いるための「接続ミスフラグ」と「接続不足フラグ」をOFFに初期化する。
【0066】
次に、ステップS702において、統合部104は、ケーブルルールインデックスjに含まれるケーブル基準バーコード203とケーブル目標バーコード203を両方とも検出しているフレームがバッファに存在し、そのフレームの撮影時刻(検出時刻)が現在時刻を基準に一定時間以内であるか否かを判定する。統合部104は、そのフレームが存在していればステップS703に遷移し(Yの場合)、存在していなればステップS704に遷移する(Nの場合)。
【0067】
次に、ステップS703において、統合部104は、前記存在しているフレームの判定結果をバッファから取り出し、ステップS705に遷移する。この判定結果とは、判定部103で判定した前記存在しているフレームに対応するフレーム番号、ケーブル基準バーコード203の識別情報、「正常」/「異常」である。
【0068】
次に、ステップS704において、統合部104は、前記フレームが存在していないので、前記フレームに撮影されているはずのケーブル基準バーコード203に関して、接続不足フラグをONにしてバッファに格納して、ステップS707に遷移する。
【0069】
次に、ステップS705において、統合部104は、バッファから取り出した判定結果に基づいて、ケーブル基準バーコード203が「正常」又は「異常」であるかを判定する。統合部104は、「正常」である場合にはケーブルルールjを満たしてるとしてステップS707に遷移し(Yの場合)、そのケーブル基準バーコード203が「異常」であればステップS706に遷移する(Nの場合)。
【0070】
次に、ステップS706において、統合部104は、そのケーブル基準バーコード203がケーブルルールjを満たしていないので、そのケーブル基準バーコード203に関して接続ミスフラグをONにしてバッファに格納して、ステップS707に遷移する。
【0071】
次に、ステップS707において、統合部104は、全てのケーブルルール(ケーブルルール1〜Jまで)について判定が完了しているか否かを判断する。全てのケーブルルールについて判定が完了している場合にはステップS709に遷移し(Yの場合)、完了していない場合にはステップS708に遷移する(Nの場合)。
【0072】
次に、ステップS708において、統合部104は、ケーブルルールインデックスjに1を加えてステップS702に戻る。
【0073】
次に、ステップS709において、統合部104は、接続ミスフラグと接続不足フラグのON/OFFを元に、全てのケーブルルール(ケーブルルール1〜Jまで)に関する統合結果を出力する。
【0074】
重畳部105と提示部106について説明する。
【0075】
まず、重畳部105は、画像取得部101が取得したあるフレーム(例えば、フレーム番号mのフレーム)を、格納部104の画像一時格納部(例えば、画像バッファ)にコピーする。
【0076】
次に、重畳部105は、フレーム番号mのフレームに関するバッファに格納されたケーブルルールについて、ケーブルルール毎に検出座標系で表現されたケーブル基準バーコード203の検出座標値と、そのケーブル基準バーコード203の統合結果(接続ミスフラグのON/OFFと接続不足フラグのON/OFF)を読み出す。
【0077】
次に、重畳部105は、フレーム番号mのフレームに関するケーブル基準バーコード203の検出座標値を、検出座標系から画像座標系に変換した位置を求める。
【0078】
次に、重畳部105は、読み出した統合結果を用いて、「接続ミスフラグ」がON、「接続不足フラグ」がON、両フラグがOFFか否かをケーブル基準バーコード203毎に判定する。重畳部105は、「接続ミスフラグ」がONの場合は×と「接続ミス」を表示した判定画像を生成し、「接続不足フラグ」がONの場合は×と「接続不足」を表示した判定画像を生成し、両フラグがOFFの場合は白丸を表示した判定画像を生成する。
【0079】
次に、重畳部105は、画像座標系に変換したケーブル基準バーコード203の位置に判定画像を重畳して提示用画像を生成する。また、ケーブル基準バーコード203の番号を文字列で表現した画像(001,002など)を重畳してもよい。
【0080】
次に、重畳部105は、mフレーム目の提示用画像を提示部106に出力する。
【0081】
提示部106は、mフレーム目の提示用画像を提示する。すなわち、上記処理をフレーム毎に行い、操作者には提示用画像が重畳された動画像を提示する。
【0082】
本実施形態では、端子台201が写った動画像に、結線されたケーブル202の結線判定を示した提示用画像を重畳して提示するため、バーコード203の見逃しが発生しやすい環境でも結線の正誤判定ができる。また、結線の正誤判定結果を重畳表示することで目視での対応づけが可能となり、作業性が向上する。
【0083】
また、ケーブル202が密集している場所など、タグの遮蔽によりバーコード203の見逃しが発生しやすい環境でも正誤判定を行えるようになり、作業性が向上する。
【0084】
また、暗所などでセンサのノイズが発生しやすく、バーコード203の見逃しが発生しやすい環境での可用性も高まる。
【実施形態2】
【0085】
実施形態2の情報提示装置2について図8〜図10を参照して説明する。
【0086】
本実施形態の情報提示装置2は、対象物として本や物などの物品を並べる場合など、位置の基準となるマーカーがなく物品にのみマーカーが付けられている場合の配列の正しさを確認する。例えば、本棚での本の配列、倉庫での物(例えば、商品が収納された段ボール箱など)の配列を確認する作業に利用できる。
【0087】
情報提示装置2は、操作者に対して動画像を撮影する撮像部100、提示用画像を提示する液晶パネルなどの提示部106を搭載した携帯型端末の形態を有する。
【0088】
物品801a〜dには、識別情報をバーコード203a〜dで示したタグが付けられている。
【0089】
なお、本実施形態の情報提示装置2の構成は、実施形態1の情報提示装置1と同様であるので説明は省略する(図1参照)。
【0090】
本実施形態の情報提示装置2の利用形態について図8を参照して説明する。
【0091】
操作者が情報提示装置2の撮像部100を物品801a〜dの方向に向けると、情報提示装置1の提示部106には撮影された物品801a〜dの動画像と共に、物品801a〜dが正しい順序で配列されているかどうかの判定結果が各物品の上に重ねて表示されると共に、配列ミスがある場合には、その旨が言葉として表示される。
【0092】
以下、実施形態1と異なる部分の構成及び機能について説明する。
【0093】
格納部107には、物品が正しい状態で配列されている場合の物品同士の位置関係を表すルールが格納されている。格納されている内容の例を図9に示す。
【0094】
「ルールID」とは、ルールのIDを示している。
【0095】
「基準バーコード」とは、基準となるバーコード203の識別情報を示すものである。
【0096】
「目標バーコード」とは、基準バーコード203とは異なるバーコード203の識別情報を示すものである。
【0097】
「方向ベクトル」とは、基準バーコード203を基準位置とした場合に、目標バーコード203が検出される位置と方向を、画像座標系上で2次元座標値で示したものである。
【0098】
判定部103の処理内容を図10を参照しながら説明する。
【0099】
まず、ステップS1001において、判定部103は、ルールを全てポイントするためのインデックスとしてk(但し、1<=k<=Kである)を用いる。ケーブルルールインデックスkを初期値1で初期化する。
【0100】
次に、ステップS1002において、判定部103は、ルールkを格納部107から読み出し、ルールkに含まれている基準バーコード203と目標バーコード203を、現在のフレームで検出しているか否かを判定する。判定部103は、検出していればS1003に遷移し(Yの場合)、検出していなければステップS1006に遷移する(Nの場合)。
【0101】
次に、ステップS1003において、判定部103は、基準バーコード203と目標バーコード203の位置関係がルールkを満たすか否かを判定する。この判定方法については後述する。判定部103は、ルールkを満たすと判定した場合にはステップS1004に遷移し(Yの場合)、ルールkを満たさないと判定した場合にはステップS1005に遷移する(Nの場合)。
【0102】
次に、ステップS1004において、判定部103は、ルールkを満たすので、基準バーコード203に関する判定結果を「正常」としてフレーム番号と共に、基準バーコード203の識別情報をバッファに格納し、ステップS1006に遷移する。
【0103】
次に、ステップS1005において、判定部103は、ルールkを満たさないので、基準バーコード203に関する判定結果を「異常」としてフレーム番号と共に、基準バーコード203の識別情報をバッファに格納し、ステップS1006に遷移する。
【0104】
次に、ステップS1006において、判定部103は、kはルールインデックスの上限値Kか否かを判定する。判定部103は、上限値Kでない場合にはステップS1007に遷移し(Nの場合)、上限値Kである場合には(Yの場合)、全てのルールの判定が終わったものとして処理を終了する。
【0105】
次に、ステップS1007において、判定部103は、ルールインデックスkに1を加えて、ステップS1002に戻る。
【0106】
以上の処理により、判定部103は、入力された1枚のフレームに対しバーコード203の認識を行った結果について、ルールを満足する場合は「正常」が、満足しない場合は「異常」がフレーム番号と共に、基準バーコード203の識別情報をバッファに格納する。
【0107】
なお、あるルールに関するバーコード203が認識されなかった場合には、当該のバッファの内容は更新されない。
【0108】
次に、ステップS1003の処理内容について具体的に説明する。
【0109】
判定部103に入力されるバーコード203の認識情報は、図9に示すようなバーコード203の識別情報と画像座標値が対になったものである。この画像座標値は画像座標系で示される。本実施形態では、画像座標系のまま処理を行う。
【0110】
判定部103は、現在のフレームで検出している001の基準バーコード203に対する002の目標バーコード203の検出した方向ベクトルと、ルール「1」に格納された方向ベクトルの成す角が閾値以内であればルール1が満たされたと判定する。
【0111】
以上の処理を各ルールについて適用していく。
【0112】
本実施形態により、物品の配列が正しいか否かをチェックすることができ、バーコード203の見逃しが発生しやすい環境でも正誤判定ができる。
【0113】
また、物品の配列の正誤判定結果を重畳表示することで目視での対応づけができ、作業性が向上する。
【変更例】
【0114】
上記実施形態では、情報提示装置として携帯型端末で説明したが、これに限らず次世代のパーソナルコンピュータや携帯型情報端末へ搭載し、工業プラントや流通設備へに適用してもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、識別情報として1次元バーコードと2次元バーコードを用いたが、これに限らず、例えば、色、文字、数字で示してもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、取得した画像は動画像であって、フレーム毎に判定を行い、後から全てのケーブルについて結線状態の判定結果がでるように各フレームの結果を統合したが、これに代えて取得した画像が静止画像であって、この静止画像に写っているケーブルのみ結線状態を判定してもよい。
【0117】
また、上記実施形態における位置関係は、相対位置又は方向ベクトルであったが、相対方向を用いてもよい。
【0118】
なお、この情報提示装置1は、例えば、汎用のコンピュータを基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、撮像部100、画像取得部101、認識部102、判定部103、統合部104、重畳部105、提示部106、格納部107は、上記のコンピュータに搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、情報提示装置1は、上記のプログラムをコンピュータに予めインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータに適宜インストールすることで実現してもよい。例えば、情報提示装置1が、スマートフォンであって、このスマートフォンに上記プログラムを配信してもよい。
【0119】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1、2・・・情報提示装置、101・・・画像取得部、102・・・認識部、103・・・判定部、104・・・統合部、105・・・重畳部、106・・・提示部、107・・・格納部、201・・・端子台、202a〜d・・・ケーブル、203a〜d・・・バーコード、204a〜c・・・バーコード、205a〜c・・・結線端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列された複数の対象物が撮影された画像を取得する画像取得部と、
前記画像から前記各対象物の識別情報と前記画像中の位置を認識する認識部と、
一の前記対象物と並んで配列される他の前記対象物の前記識別情報と、前記一の対象物と前記他の対象物との位置関係とを表すルールを、前記対象物毎に予め格納する格納部と、
前記配列が正しいか否かの判定対象となる前記対象物である基準対象物の前記識別情報と、前記基準対象物と並んで配列される前記対象物である目標対象物の前記識別情報と、前記基準対象物と前記目標対象物との位置関係とを含む認識情報を前記画像から認識する認識部と、
前記基準対象物に関する前記認識情報と前記ルールを用いて、前記基準対象物が前記ルールを満たすか否かを判定する判定部と、
前記基準対象物が前記ルールを満たすことを表すか、又は、前記基準対象物が前記ルールを満たさないことを表す判定画像を生成し、前記判定画像を前記画像に重畳して提示用画像を生成する重畳部と、
前記提示用画像を提示する提示部と、
を有することを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
前記画像取得部が取得する前記画像が動画像であり、
前記判定部は、前記動画像のフレーム毎に前記判定を行い、
前記フレーム毎の前記判定を一つの判定に統合する統合部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提示装置。
【請求項3】
前記画像取得部が取得した画像には、前記対象物の位置を特定する第2の対象物が前記取得した画像に撮像され、
前記格納部は、前記第2の対象物の識別情報と、前記対象物と前記第2の対象物との位置関係とを表す第2のルールを格納し、
前記判定部は、前記基準対象物に関する前記認識情報、前記ルール及び前記第2のルールを用いて、前記基準対象物が前記ルールを満たすか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報提示装置。
【請求項4】
前記位置関係が、前記基準対象物と前記目標対象物との相対位置、相対方向、又は、方向ベクトルである、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報提示装置。
【請求項5】
前記対象物が、ケーブルである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報提示装置。
【請求項6】
前記第2の対象物が、前記ケーブルが接続される端子台である、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報提示装置。
【請求項7】
配列された複数の対象物が撮影された画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像から前記各対象物の識別情報と前記画像中の位置を認識する認識ステップと、
一の前記対象物と並んで配列される他の前記対象物の前記識別情報と、前記一の対象物と前記他の対象物との位置関係とを表すルールを、前記対象物毎に予め格納する格納ステップと、
前記配列が正しいか否かの判定対象となる前記対象物である基準対象物の前記識別情報と、前記基準対象物と並んで配列される前記対象物である目標対象物の前記識別情報と、前記基準対象物と前記目標対象物との位置関係とを含む認識情報を前記画像から認識する認識ステップと、
前記基準対象物に関する前記認識情報と前記ルールを用いて、前記基準対象物が前記ルールを満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記基準対象物が前記ルールを満たすことを表すか、又は、前記基準対象物が前記ルールを満たさないことを表す判定画像を生成し、前記判定画像を前記画像に重畳して提示用画像を生成する重畳ステップと、
前記提示用画像を提示する提示ステップと、
を有することを特徴とする情報提示方法。
【請求項8】
配列された複数の対象物が撮影された画像を取得する画像取得機能と、
前記画像から前記各対象物の識別情報と前記画像中の位置を認識する認識機能と、
一の前記対象物と並んで配列される他の前記対象物の前記識別情報と、前記一の対象物と前記他の対象物との位置関係とを表すルールを、前記対象物毎に予め格納する格納機能と、
前記配列が正しいか否かの判定対象となる前記対象物である基準対象物の前記識別情報と、前記基準対象物と並んで配列される前記対象物である目標対象物の前記識別情報と、前記基準対象物と前記目標対象物との位置関係とを含む認識情報を前記画像から認識する認識機能と、
前記基準対象物に関する前記認識情報と前記ルールを用いて、前記基準対象物が前記ルールを満たすか否かを判定する判定機能と、
前記基準対象物が前記ルールを満たすことを表すか、又は、前記基準対象物が前記ルールを満たさないことを表す判定画像を生成し、前記判定画像を前記画像に重畳して提示用画像を生成する重畳機能と、
前記提示用画像を提示する提示機能と、
をコンピュータに実現させるための情報提示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−105258(P2013−105258A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247697(P2011−247697)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】