説明

情報提示装置

【課題】ユーザに都合のよいタイミングと場所で適切な広告を配信しなければ広告の効果を高めにくい。
【解決手段】情報提示システム10は、主に携帯情報端末12、車内通信装置16、広告サーバ14から構成される。鉄道、バス、タクシーなどの車内で車内広告18を見たユーザが、その広告を手元でゆっくりと見たい場合や、これと関連する情報を取得しようとした場合に、車内通信装置16へアクセスして広告のリストを受信し、これをもとに所望の広告を特定して広告サーバ14からその広告をダウンロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報提示技術に関する。この発明は特に、無線通信を利用して携帯情報端末の画面に広告を提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)をはじめとする携帯端末が急激に普及した。特に、携帯電話に簡易なインターネット機能やメール機能が標準的に搭載されてからは、若い世代を中心に生活に欠かせないコミュニケーションツールとしてその役割を果たしている。これらのツールを利用すれば時間と場所を選ばずに情報取得や他者との情報交換が容易に実現される。こういった機動性の面では、机上に設置されるPC(パーソナルコンピュータ)よりも利便性が高い。
【0003】
一方、インターネットの利用が急激に普及した背景のひとつに、多くの情報やサービスを無料で享受できる点が挙げられる。個人的に発信される情報は当然であるとしても、企業が営業の形で提供するニュース記事やウエブ上のサービスまでもが広告掲載と引き換えに無料で享受できることが多い。その結果、ネット上で公開される情報は無料が基本であるという概念が次第に形成され、有料サービスは余程価値が高くない限り敬遠される傾向にある。そして、企業はもはや広告掲載なしには容易にウエブ上のサービスを運営できない状況にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ネット上に広告が氾濫すると、ユーザは無数の広告から意識的に目を背けてしまい、かえってユーザを広告から遠ざけることにつながる。しかも、ウエブページやメールマガジンなどの媒体に広告が氾濫すると、それらの媒体自体が敬遠されかねないばかりか、結果として無料のサービスが減少してしまえば最終的には一般ユーザの不利益につながる。受け手にとって邪魔とならない場所とタイミングにて広告を配信する有効な手段はなかなか実現されていないのが現状である。
【0005】
本発明者は以上の認識に基づき本発明をなしたもので、その目的は、受け手にとって利便性の高い方法で広告を配信するための技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、情報提示方法に関する。この方法は、ユーザが乗車する車両において車内広告に関連する補足広告を取得するために必要な情報をその車内にてユーザの画面に提示し、その情報に基づいてユーザへ補足広告の選択を要求し、これに対する選択指示をユーザから取得し、その指示に基づいて補足広告を取得してユーザの画面に表示させ、これにより車内広告スペースを実質的に拡張する。
【0007】
「車両」は、鉄道、バス、タクシーなどの交通機関において利用される列車または自動車を示す。「車内広告」としては、例えば車内の壁面や窓ガラスに貼付される広告や中吊り広告などがある。「補足広告」は、車内広告とは別の方法によってユーザに提供する有用な情報であり、車内広告として掲載された広告内容と基本的に同じ内容の広告であってもよいし、これを要約した内容の広告であってもよい。また、車内広告に掲載しきれなかった内容を含んだ広告であってもよいし、車内広告に掲載された商品やサービスとの関連で提供されるクーポンやプレゼントをその内容としてもよい。
【0008】
このように、車内広告の内容と補足広告の内容は必ずしも一致させなくてよいためそれぞれを柔軟に構成でき、これによって自由度が高くより効果的な広告を提供できる。例えば、活字の情報を補足広告に含めさせる一方で、車内広告においては活字を減らしてデザイン重視の構成にすることによって印象やインパクトを強めてもよい。
【0009】
本発明の別の態様は、情報提示装置に関する。この装置は、ユーザが乗車する車両において車内広告に関連する補足広告を取得するために必要な管理情報をその車内に設置された通信装置を介してユーザに提示する情報提示部と、提示した情報に基づいてユーザから補足広告の選択指示を取得する指示受付部と、その指示により選択された補足広告をユーザに提示する広告提示部と、を有する。
【0010】
ここでいう「情報提示装置」は、例えば補足広告を提供するサーバである。「情報提示部」、「指示受付部」、および「広告提示部」のうちすべてが車内に設置された「通信装置」を介してユーザの携帯情報端末との間でデータを送受信してもよいし、「指示受付部」または「広告提示部」がユーザの携帯情報端末と直接データ送受信をしてもよい。
【0011】
本発明のさらに別の態様もまた、情報提示装置に関する。この装置は、ユーザが乗車する車両において車内広告に関連する補足広告を取得するために必要な管理情報をその車内にてユーザに発信する情報提示部と、発信した情報に基づいてユーザから補足広告の選択指示を受信する指示受付部と、その指示により選択された補足広告をユーザに発信する広告提示部と、を有する。
【0012】
ここでいう「情報提示装置」は、例えば車内に設置される通信装置である。この装置が「管理情報」および「補足広告」のうち少なくともいずれかを予め保持しておき、これをユーザの携帯情報端末へ送信する形で構成してもよいし、「情報提示部」または「広告提示部」のうち少なくともいずれかが、補足広告を提供するサーバから「管理情報」および「補足広告」のうち少なくともいずれかを取得してこれをユーザの携帯情報端末へ転送する形で構成してもよい。例えば、「情報提示部」は、補足広告を提供するサーバから管理情報を取得してこれをユーザに転送し、「指示受付部」は、ユーザから受信した選択指示をサーバに転送し、「広告提示部」は、補足広告をサーバから取得してユーザに転送する形でもよい。
【0013】
この通信装置に含まれる「情報提示部」は、補足広告を提供するサーバのアドレスおよびその車両を特定する車両識別情報を管理情報としてユーザに発信してもよい。この場合、ユーザがそのアドレスに基づいてサーバへアクセスし、そのサーバがユーザの情報携帯端末から車両識別情報を取得し、その車両識別情報に基づいてその車両に対応する補足広告のリストをユーザへ送信してもよい。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、携帯情報端末に関する。この端末は、ユーザが乗車する車両において車内広告に関連する補足広告を取得するために必要な管理情報をその車内に設置された通信装置から受信する情報受付部と、管理情報に基づいてユーザから補足広告の選択指示を取得する指示受付部と、その指示に基づいて補足広告を取得する処理をなす取得処理部と、を有する。
【0015】
「携帯情報端末」は、携帯電話やPDAなど、通信を介して情報を取得して画面に表示させる機能をもった携帯型の端末である。「管理情報」は、例えば補足広告のリスト、補足広告を特定するためのID、補足広告を配信するサーバのURL、ユーザが乗車する車両を特定するためのIDなど、補足広告を取得するために携帯情報端末へ提供される情報である。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、コンピュータプログラムに関する。このプログラムは、ユーザが乗車する車両において車内広告に関連する補足広告を取得するために必要な管理情報をその車内に設置された通信装置を介してユーザに提示する処理と、提示した情報に基づいてユーザから補足広告の選択指示を取得する処理と、その指示により選択された補足広告をユーザに提示する処理と、をコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、コンピュータプログラムに関する。このプログラムは、ユーザが乗車する車両において車内広告に関連する補足広告を取得するために必要な管理情報をその車内にてユーザに発信する処理と、発信した情報に基づいてユーザから補足広告の選択指示を受信する処理と、その指示により選択された補足広告をユーザに発信する処理と、をコンピュータに実行させる。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、コンピュータプログラムに関する。このプログラムは、ユーザが乗車する車両において車内広告に関連する補足広告を取得するために必要な管理情報をその車内に設置された通信装置から受信する処理と、管理情報に基づいてユーザから補足広告の選択指示を取得する処理と、その指示に基づいて補足広告を取得する処理をなす処理と、をコンピュータに実行させる。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザにとって利便性の高い方法で広告を配信できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、情報提示システムの基本的な構成を示す。情報提示システム10は携帯情報端末12、広告サーバ14、車内通信装置16で構成される。車内広告18を見たユーザがその広告内容を手元で見たい場合や、その広告と関連する情報を取得したい場合に、携帯情報端末12を操作して広告取得を開始する。
【0022】
まず、ユーザの操作に基づき、携帯情報端末12は車内通信装置16から補足広告のリストを取得する。ユーザがそのリストから所望の広告を選択すると、その補足広告がダウンロードされる。補足広告が車内通信装置16からダウンロードされる構成としてもよいし、広告サーバ14から直接ダウンロードされる構成としてもよい。車内通信装置16を経由して広告サーバ14からダウンロードされる構成としてもよい。
【0023】
携帯情報端末12と車内通信装置16の間における通信方式は、例えば短距離無線通信である。携帯情報端末12および車内通信装置16は、電波により基地局15と通信し、基地局15から先は通信網13を経由して広告サーバ14にアクセスする。通信網13は、携帯電話網またはインターネットなどである。
【0024】
携帯情報端末12、広告サーバ14、および車内通信装置16は、ハードウエア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子で実現でき、ソフトウエア的にはデータ送受信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、以下の図ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できる。以下、いくつかの実施形態に分けて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
本実施形態においては、車内通信装置16が補足広告を保持し、携帯情報端末12は車内通信装置16からその補足広告をダウンロードする。したがって、図1における広告サーバ14は本実施形態の構成に含まれない。
【0026】
図2は、第1実施形態における車内通信装置の構成を示す機能ブロック図である。車内通信装置16は、情報提示部21、指示受付部23、広告提示部25、補足広告保持部22、リスト保持部24、メールアドレス保持部19、アドレス登録部31、および通信部20を有する。補足広告保持部22は補足広告を格納し、リスト保持部24は補足広告のリストを格納する。各部は、通信部20を介して携帯情報端末12との間でデータを送受信する。通信部20は、アンテナ26を介して通信を処理する。この車内通信装置16は、車両内の壁面や天井などに複数設置される。また、それらの通信範囲が相補的に車両全体をカバーするように所定の間隔で設置される。
【0027】
情報提示部21は、補足広告を取得するために必要な管理情報をその車内にてユーザに発信する機能を有し、リスト提示部27を含む。リスト提示部27は、管理情報として補足広告のリストをリスト保持部24から読み出してユーザに提示する。指示受付部23は、管理情報に基づいてユーザから補足広告の選択指示を受信する。具体的には、指示受付部23は補足広告のリストから選択する指示を携帯情報端末12から取得する。
【0028】
広告提示部25は、ユーザの指示により選択された補足広告をそのユーザの携帯情報端末12に発信する機能を有し、広告選択部28および広告送信部29を含む。広告選択部28は補足広告保持部22から補足広告を選択し、広告送信部29は選択された補足広告を携帯情報端末12に送信する。
【0029】
メールアドレス保持部19は、ユーザの電子メールアドレスを予め記憶する。アドレス登録部31は、そのユーザの電子メールアドレスを携帯情報端末12から受信した場合にこれをメールアドレス保持部19へ格納する。広告送信部29は、ユーザによって選択された補足広告またはこれを特定するための広告IDを含んだ電子メールを、そのユーザの電子メールアドレスを宛先として送信してもよい。ユーザは、広告IDを含んだ電子メールを受け取った場合は、広告サーバ14へアクセスしてこのIDをもとに補足広告を閲覧する。
【0030】
これにより、ユーザが車両を下車した後であっても、PCを利用して補足広告を取得して画面上で見ることができる。この場合、PCの画面上で見ることを前提として補足広告を作成できるので、デザインの自由度が向上する。
【0031】
図3は、第1実施形態における携帯情報端末の構成を示す機能ブロック図である。携帯情報端末12は、通信部30、情報受付部34、指示受付部36、取得処理部38、および登録処理部72を有する。各部は通信部30を介して車内通信装置16とデータを送受信する。通信部30は、アンテナ32を介して通信を処理する。
【0032】
情報受付部34は、補足広告のリストを車内通信装置16から受信するリスト取得部40を含む。リストは、例えば複数の広告のタイトルを列挙したものであってもよいし、複数の広告主の会社名を列挙したものであってもよい。
【0033】
指示受付部36は、リストをユーザに提示するリスト提示部42と、そのリストから選択する指示をユーザから取得する選択処理部44を含む。リスト提示部42は、リストに含まれる各項目をボタンの形で画面に表示させてもよい。ユーザがいずれかのボタンを押すと、選択処理部44への選択指示となる。
【0034】
取得処理部38は、ユーザの指示によって選択された補足広告を車内通信装置16から取得する広告取得部46と、取得した補足広告を画面に表示させる表示処理部48を含む。広告取得部46は、選択された補足広告を特定するIDを車内通信装置16へ送信し、そのIDに対応する補足広告をダウンロードする構成としてもよい。
【0035】
登録処理部72は、ユーザの電子メールアドレスを予め車内通信装置16に登録する。車内通信装置16に電子メールアドレスを登録した場合、そのアドレス宛の電子メールの形で補足広告または広告IDを受け取ることができる。これにより、その電子メールを保持する限り携帯情報端末12またはPCを利用して何度でも補足広告を見ることができる。
【0036】
図4は、補足広告のリストが表示された画面を例示する。画面50には複数の広告リンク52がボタン形式で表示される。ユーザはいずれかを押すことにより補足広告を選択する。例えば、「週刊J」、「AB出版新刊」、「BC鉄道で行く旅」などの項目が表示され、ユーザが「週刊J」を押すと、図示しない別の画面構成にて「週刊J」の目次を含んだ補足広告が表示される。
【0037】
以上の構成に基づいて、車内広告の内容またはこれと関連する情報をユーザの手元で見せることができる。車両が混雑して車内広告が見えにくい場合でも、ユーザはこれを携帯情報端末12に保存しておき、その時点または後でじっくりと見ることができる。また、広告主にとっては、車内広告に掲載しきれない情報を補足広告として付加的に提供でき、自由度の高い方法にて広告を提供できる。すなわち、紙媒体の広告と電子的な広告をあわせて利用できるので効率よく広告を作成でき、いずれか一方のときと比べてその情報量も増やすことができる。
【0038】
(第2実施形態)
本実施形態においては、携帯情報端末12は補足広告を広告サーバ14からダウンロードする点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と同じ機能を提供するブロックに関してはその説明を省略または簡略化する。
【0039】
図5は、第2実施形態における車内通信装置の構成を示す機能ブロック図である。車内通信装置16は、車両ID保持部60、サーバURL保持部62、通信部20、および情報提示部21を有する。車両ID保持部60はユーザが乗車する車両を特定する車両IDを格納し、サーバURL保持部62は補足広告を提供するサーバのURLを格納する。情報提示部21は、車両IDとサーバURLをユーザの携帯情報端末12に送信する。情報提示部21は、通信部20を介して携帯情報端末12との間でデータを送受信する。通信部20は、アンテナ26を介して通信を処理する。
【0040】
ここで、車両IDとして必ずしも車両ひとつひとつにユニークなIDを付与する必要はなく、例えば鉄道であれば列車ごとまたは路線ごとにユニークなIDを付与してもよい。鉄道の場合、一般には車両ごとに車内広告の構成が異なるのではなく、路線全体で構成が共通であることが多い。
【0041】
図6は、第2実施形態における携帯情報端末の構成を示す機能ブロック図である。携帯情報端末12は、通信部30、情報受付部34、指示受付部36、取得処理部38、登録処理部72、および広告ID記憶部74を有する。各部は通信部30を介して車内通信装置16または広告サーバ14との間でデータを送受信する。通信部30はアンテナ32を介して通信を処理する。
【0042】
情報受付部34は、サーバURLおよび車両IDを車内通信装置16から受信する車両ID取得部70と、そのサーバURLに基づいて広告サーバ14へアクセスし、車両IDに基づいて広告サーバ14から補足広告のリストを取得するリスト取得部40を含む。このリストには、補足広告を特定するための広告IDが含まれている。
【0043】
指示受付部36は、リスト提示部42と選択処理部44を含む。選択処理部44によって選択がなされた補足広告のIDはいったん広告ID記憶部74に保存される。取得処理部38は、選択がなされた補足広告を広告サーバ14から取得する広告取得部46と、表示処理部48を含む。広告取得部46は、ユーザから補足広告の閲覧指示があったときに、広告ID記憶部74に保存された広告IDを広告サーバ14へ送信し、そのIDに対応する補足広告をダウンロードする。これによりユーザは所望のタイミングで補足広告を閲覧できる。
【0044】
登録処理部72は、ユーザの電子メールアドレスを予め広告サーバ14に登録する。広告サーバ14に電子メールアドレスを登録した場合、そのアドレス宛の電子メールの形で補足広告または広告IDを受け取ることができる。
【0045】
図7は、第2実施形態における広告サーバの構成を示す機能ブロック図である。広告サーバ14は、通信部82、リスト保持部86、補足広告保持部88、メールアドレス保持部90、情報提示部81、指示受付部83、広告提示部85、およびアドレス登録部92を有する。各部は、図2に示される第1実施形態の車内通信装置16に含まれる各機能ブロックとほぼ同様の機能を有するので、その説明を省略または簡略化する。第1実施形態の車内通信装置16は車両ごとに設置されるのに対して、本実施形態の広告サーバ14はインターネット上のコンテンツサーバと同様に単一の構成であってもよい。ユーザは、車内通信装置16から広告サーバ14のURLを取得し、これをもとに広告サーバ14へアクセスして所望の補足広告を取得する。
【0046】
以上の構成によれば、補足広告およびそのリストを車内通信装置16ではなく広告サーバ14に保持させるので、車内広告の内容が変わるときにその路線の全車両にわたって車内通信装置16のデータ更新をする必要がない。すなわち、広告サーバ14上におけるデータ更新で足りるため、統括的な広告管理が可能である。また、車内通信装置16内のデータと車内広告に変化を与えなくても広告サーバ14上で何度もデータ更新できるため、広告としての情報量をさらに高めることができる。
【0047】
(第3実施形態)
本実施形態においては、携帯情報端末12は車内通信装置16を経由して広告サーバ14から補足広告をダウンロードする点で第1および第2実施形態と異なる。車内通信装置16は補足広告やそのリストを保持せず、広告サーバ14から取得してこれを携帯情報端末12へ転送する形で構成する。以下、第1または第2実施形態と同じ機能を提供するブロックに関してはその説明を省略または簡略化する。
【0048】
図8は、本実施形態における車内通信装置の構成を示す機能ブロック図である。車内通信装置16は、情報提示部21、指示受付部23、広告提示部25、および通信部20を有する。情報提示部21は、リスト提示部27を含む。リスト提示部27は、広告サーバ14から補足広告を取得するとともに、これを携帯情報端末12へ転送する。指示受付部23は、携帯情報端末12から補足広告の選択指示を取得するとともに、これを広告サーバ14へ転送する。広告提示部25は、広告送信部29を含む。広告送信部29は、ユーザによって選択された補足広告を広告サーバ14から取得して、これを携帯情報端末12へ転送する。以上の構成によっても、第1または第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0049】
(第4実施形態)
本実施形態においては、現在の時間帯に応じた最適な優待情報を補足広告としてユーザに配信する点で他の実施形態と異なる。本実施形態の情報提示システム10は、第1実施形態のように携帯情報端末12と車内通信装置16からなる構成であってもよいし、第2または第3実施形態のように携帯情報端末12、広告サーバ14、車内通信装置16からなる構成であってもよい。以下、第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態の各実施形態との相違点を中心に説明する。それらの実施形態と同じ機能を提供するブロックに関してはその説明を省略または簡略化する。
【0050】
図2における指示受付部23に相当する本実施形態の機能ブロックは、補足広告として車両広告と関連のあるサービスの優待情報を現在の時間帯に応じて選択して提供する用意がある旨をユーザに提示するとともに、これに対する同意をユーザから取得する。その同意があった場合、広告選択部28に相当する機能ブロックが現在の時間帯を取得するとともに、その時間帯に応じて補足広告保持部22に相当する機能ブロックから優待情報を選択し、これを広告送信部29に相当する機能ブロックが補足広告としてユーザに送信する。現在の時間帯は、携帯情報端末12、広告サーバ14、車内通信装置16のうち少なくともいずれかが内蔵するクロックから取得してもよい。
【0051】
図9は、現在の時間帯に応じた優待情報を受け取るか否かの同意を求める画面を例示する。画面100において「アフター5の一杯に居酒屋チェーン「ABC」のクーポンを受け取りますか?」というメッセージとともに、「はい」「いいえ」のボタンが表示される。ユーザが「はい」のボタンを押して同意すると、その時間帯の優待情報が携帯情報端末12へ送信される。このように、夜であれば居酒屋の優待情報を提供し、昼であれば喫茶店の優待情報を提供するなど、その時間帯に相応しい優待情報を選択する。これにより、同じ路線であってもユーザは時間帯によって異なる情報を得ることができる。例えば、通勤の行きと帰りでは異なる優待情報を取得できる。
【0052】
(第5実施形態)
本実施形態においては、ユーザが乗車する車両の現在位置と関連のある補足広告をユーザに配信する点で他の実施形態と異なる。本実施形態の情報提示システム10は、第1実施形態のように携帯情報端末12と車内通信装置16からなる構成であってもよいし、第2または第3実施形態のように携帯情報端末12、広告サーバ14、車内通信装置16からなる構成であってもよい。以下、第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態の各実施形態との相違点を中心に説明する。それらの実施形態と同じ機能を提供するブロックに関してはその説明を省略または簡略化する。
【0053】
図2における指示受付部23に相当する本実施形態の機能ブロックは、その車両の現在位置と関連のある補足広告を提供する用意がある旨をユーザの携帯情報端末12に提示するとともに、これに対する同意を携帯情報端末12から取得してもよい。その同意があった場合、広告選択部28に相当する機能ブロックはその車両の現在位置を取得するとともに、その位置と関連のある補足広告を補足広告保持部22に相当する機能ブロックから選択し、これを広告送信部29に相当する機能ブロックが携帯情報端末12に送信する。
【0054】
現在位置の情報は、携帯情報端末12または車内通信装置16が取得する。位置情報として、例えば車内通信装置16または広告サーバ14がその路線の時刻表データと時間をもとに現在位置を把握してもよいし、携帯情報端末12または車内通信装置16に搭載されたGPS(Global Positioning System)によって現在位置を割り出してもよい。
【0055】
補足広告保持部22に保持される広告のうち、その路線沿線に店舗をもつ広告主によって提供される広告に関しては、例えばその店舗と競合する他店が存在する地域に近づいたときに選定されるよう設定してもよい。
【0056】
図10は、現在位置近辺と関連のある広告を受け取るか否かの同意を求める画面を例示する。画面100において「次の駅前コーヒー店「Jコーヒー」のクーポンを受け取りますか?」というメッセージとともに、「はい」「いいえ」のボタンが表示される。ユーザが「はい」のボタンを押して同意すると、そのコーヒー店のクーポンが携帯情報端末12へ送信される。このように、現在位置近辺にある店舗などと関連のある広告が携帯情報端末12へ送信される。これにより、配信される広告の有用性をさらに高めることができる。
【0057】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を挙げる。
【0058】
上記の実施形態における携帯情報端末12は、車内通信装置16との間で無線通信によりデータを送受信する。変形例においては、これを有線通信に置き換える構成としてもよい。例えば、車内の吊革ベルトに接続アダプタを設けておき、このアダプタを介して車内通信装置16と通信させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態における情報提示システムの構成を示す図である。
【図2】第1実施形態における車内通信装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態における携帯情報端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】補足広告のリストが表示された画面を例示する図である。
【図5】第2実施形態における車内通信装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】第2実施形態における携帯情報端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】第2実施形態における広告サーバの構成を示す機能ブロック図である。
【図8】第3実施形態における車内通信装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図9】現在の時間帯に応じた優待情報を受け取るか否かの同意を求める画面を例示する図である。
【図10】現在位置近辺と関連のある広告を受け取るか否かの同意を求める画面を例示する図である。
【符号の説明】
【0060】
10 情報提示システム、 12 携帯情報端末、 14 広告サーバ、 16 車内通信装置、 18 車内広告、 21 情報提示部、 23 指示受付部、 25 広告提示部、 34 情報受付部、 36 指示受付部、 38 取得処理部、 50 画面、 81 情報提示部、 83 指示受付部、 85 広告提示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが乗車する車両において車内広告に関連する補足広告を取得するために必要な管理情報を、その車内に設置された通信装置を介しその車内の携帯情報端末に発信する情報提示部と、
前記通信装置を介し発信された情報を受信して前記ユーザに提示する前記携帯情報端末および前記通信装置を介し、前記ユーザから補足広告の選択指示を取得する指示受付部と、
前記指示受付部によって取得される前記指示により選択された補足広告を前記通信装置を介して前記携帯情報端末に発信する広告提示部と、を有し、
前記指示受付部は、前記車両の現在位置と関連のある補足広告を受信するか否かの選択を前記携帯情報端末を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザによる当該選択の結果を前記携帯情報端末を介して取得し、
前記広告提示部は、前記指示受付部によって取得された前記選択の結果に応じた補足広告を発信し、前記指示受付部によって取得された前記選択の結果が前記車両の現在位置と関連のある補足広告を受信する旨の選択である場合には、時間と予め記憶した路線の時刻表データとをもとに前記車両の現在位置を取得し、取得した現在位置と関連のある情報を地域に応じて分類された情報の中から選択して補足広告として発信することを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
ユーザが乗車する車両において車内広告に関連する補足広告を取得するために必要な管理情報を、その車内の携帯情報端末に発信する情報提示部と、
前記情報提示部から発信された情報を受信して前記ユーザに提示する前記携帯情報端末を介し、前記ユーザから補足広告の選択指示を受信する指示受付部と、
前記指示受付部によって受信される前記指示により選択された補足広告を前記携帯情報端末に発信する広告提示部と、を有し、
前記指示受付部は、前記車両の現在位置と関連のある補足広告を受信するか否かの選択を前記携帯情報端末を介して前記ユーザに提示し、前記ユーザによる当該選択の結果を前記携帯情報端末を介して取得し、
前記広告提示部は、前記指示受付部によって取得された前記選択の結果に応じた補足広告を発信し、前記指示受付部によって取得された前記選択の結果が前記車両の現在位置と関連のある補足広告を受信する旨の選択である場合には、時間と予め記憶した路線の時刻表データとをもとに前記車両の現在位置を取得し、取得した現在位置と関連のある情報を地域に応じて分類された情報の中から選択して補足広告として発信することを特徴とする情報提示装置。
【請求項3】
前記情報提示部は、前記管理情報としてボタン形式で表示された前記補足広告のリストを前記ユーザに提示し、
前記指示受付部は、前記リストから選択する指示を前記ユーザから取得することを特徴とする請求項1または2に記載の情報提示装置。
【請求項4】
アドレス保持部と、
前記指示とともに前記ユーザの電子メールアドレスを受信して前記アドレス保持部に格納するアドレス登録部と、を更に有し、
前記広告提示部は、前記指示により選択された補足広告またはこれを特定するための広告識別情報を含んだ電子メールを、前記ユーザの電子メールアドレスを宛先として送信することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−106742(P2006−106742A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288425(P2005−288425)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【分割の表示】特願2001−335249(P2001−335249)の分割
【原出願日】平成13年10月31日(2001.10.31)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)
【Fターム(参考)】