説明

情報提示装置

【課題】精度がより高く、且つ、実施がより容易であるとともに、コスト的な無駄をより抑えることを可能にしながらも、ドライバにとっての快適性をより損ないにくい情報提示装置を提供する。
【解決手段】注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたか否かの判定を行う行動判定部30を備え、情報提示制御部27は、行動判定部30で肯定判定を行ったことをもとに、注意喚起表示や警告表示の減衰表示への変化を表示部21に行わせ、行動判定部30は、表示部21に表示された注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいた場合にドライバが行うスイッチ操作や運転操作によって生じる信号であるドライバ行動確認情報や車両情報をもとに上述の判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援に関わる情報の提示を行う情報提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転支援に関わる情報の提示をドライバに対して行う技術が知られている。また、近年では、多数の運転支援に関わる情報がドライバに対して提示されるようになってきている。
【0003】
しかしながら、提示された情報にドライバが気付いているのにも関わらず多数の情報が提示されるとドライバは煩わしく感じてしまう。また、時間的な余裕のない場合にこれらの多数の情報を提示されるとドライバが混乱してしまい、情報を的確に認識できなくなってしまう可能性がある。つまり、以上の技術には、ドライバにとっての快適性を損なってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、この問題を解決する手段として、例えば特許文献1には、運転者視線方向検出装置によって検出したドライバの視線の方向をもとに、ドライバが障害物を認識しているか否かを判定し、ドライバが障害物を認識している場合には警報信号を出力しないようにして警報装置のお節介感をなくす車両用警報装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−295472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ドライバの視線の方向が障害物の方向を向いている場合であっても、ドライバが障害物を認識しているとは限らず、衝突回避のための行動に移らない場合も考えられる。特許文献1に開示の車両用警報装置では、視線の方向の検出を行うことは出来ても、実際にドライバが障害物を認識しているかどうかまでは判別できないため、出力が必要な警報信号までも取り止めてしまう可能性が高い。つまり、特許文献1に開示の車両用警報装置は、警報の精度が確保できないという問題を有していた。
【0007】
また、特許文献1に開示の車両用警報装置では、運転者視線方向検出装置を車両に搭載する必要があるが、車両の搭載場所には限りがある。よって、車載ナビゲーション装置等の一般的な車載装置に加えて運転者視線方向検出装置を新たに搭載するスペースを確保することが難しく、実施が容易でないという問題点を有している。さらに、ドライバの視線の方向の検出のみにしか用いない運転者視線方向検出装置を車両に新たに搭載することはコスト的な無駄が多いという問題点も有している。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、精度がより高く、且つ、実施がより容易であるとともに、コスト的な無駄をより抑えることを可能にしながらも、ドライバにとっての快適性をより損ないにくい情報提示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の情報提示装置によれば、表示部に表示された安全運転支援情報にドライバが気づいた場合にドライバが行う操作によって生じる信号である車両内情報をもとに、安全運転支援情報にドライバが気づいたか否かの判定を行うため、当該運転操作の有無を判断するための新たな装置を備えずに済むようにすることができる。よって、上述の新たな装置を車両に搭載するスペースを確保しなくてもよく、実施を容易にすることができるとともに、上述の新たな装置を車両に搭載するコスト的な無駄を省くことができる。
【0010】
また、請求項1の構成によれば、安全運転支援情報にドライバが気づいたと判定したことをもとに、安全運転支援情報の表示の停止およびドライバの視界を妨げにくい表示である減衰表示への変化のいずれかを行わせることになる。よって、以上の構成によれば、ドライバが認識している情報にも関わらず表示をそのままの態様で継続してしまうことでドライバに煩わしさを感じさせてしまう状況を回避することができる。従って、請求項1の構成によれば、ドライバにとっての快適性をより損ないにくくすることができる。
【0011】
請求項2のように、表示部に表示された安全運転支援情報にドライバが気づいた場合にドライバが行う運転操作によって生じるセンサ信号を車両内情報として用いる態様としてもよい。
【0012】
また、請求項3の構成によれば、表示部に表示された安全運転支援情報にドライバが気づいた場合にドライバから行われる入力を受け付ける入力部で入力を受け付けた場合には、安全運転支援情報にドライバが気づいたと言える。ここで、請求項3の構成によれば、当該入力を受け付けたことを示す信号を車両内情報として用いるので、安全運転支援情報にドライバが気づいたか否かを確実に判定することができる。
【0013】
なお、ドライバからの入力を受け付ける入力部は、既存の操作スイッチを利用することによって実現することが容易である。また、当該入力部を新たに設ける場合にも、設置スペースを確保することは容易であり、設置コストも高くない。従って、請求項3の構成によっても、実施を容易にすることが可能であるとともに、コスト的な無駄をより抑えることも可能である。
【0014】
また、請求項4のように、表示制御部は、減衰表示への変化として、表示の大きさの縮小化、表示の輝度の低下、表示の色相の寒色系への変化、表示の彩度の低下、表示の明度の低下、および表示の簡略化のうちの少なくともいずれかの表示態様の変化を行わせる態様としてもよい。以上の構成によれば、上記いずれの表示態様の変化によっても、表示をドライバに認識されにくくすることができるので、ドライバの視界を妨げにくくすることができる。
【0015】
また、請求項5の構成によれば、ドライバが安全運転支援情報によってドライバに促される運転操作を行った場合に、車両側からインタラクティブにその運転操作に応じた回答が行われるので、ドライバにとって運転する楽しみが増し、快適性が向上する。
【0016】
また、請求項6のように、表示部を、ドライバの着座する位置よりも前方に複数備える態様としてもよい。
【0017】
また、請求項7のように、表示制御部は、減衰表示への変化として、複数備えられた表示部のうち、よりドライバから視認されにくい位置に存在する表示部での表示に切り替える表示位置の変化を行わせる態様としてもよい。以上の構成によれば、上記表示位置の変化によって、表示をドライバに認識されにくくすることができるので、ドライバの視界を妨げにくくすることができる。
【0018】
また、請求項8のように、車車間通信や路車間通信で得られるインフラ情報をもとに、車両が衝突する危険性のある危険対象を検出し、安全運転支援情報として当該危険対象を示す情報を表示する構成に適用してもよい。
【0019】
詳しくは、請求項9のように、インフラ情報をもとに、車両の前方の交差点において車両が出会い頭に衝突する危険性のある危険対象を検出し、安全運転支援情報として当該危険対象の見た目を示す画像を表示する構成に適用することができる。
【0020】
請求項9の構成によれば、交差点において車両が出会い頭に衝突する可能性が低い場合に、安全運転支援情報の表示の停止および減衰表示への変化のいずれかを行わせ、交差点において車両が出会い頭に衝突する可能性が高い場合に、より目立つ表示への変化を行わせることになる。従って、請求項9の構成によれば、出会い頭事故をより確実に防止することが可能になる。
【0021】
さらに、請求項10のように、インフラ情報をもとに、交差点で車両が右折待ちをしている状況において発進後の車両が衝突する危険性のある直進車両および横断者のうちの少なくともいずれかの危険対象を検出し、安全運転支援情報として当該危険対象を示す情報を表示する構成に適用することができる。
【0022】
請求項10の構成によれば、交差点で右折待ちをしていた車両が発進後に衝突する可能性が低い場合に、安全運転支援情報の表示の停止および減衰表示への変化のいずれかを行わせ、交差点で右折待ちをしていた車両が発進後に衝突する可能性が高い場合に、より目立つ表示への変化を行わせることになる。従って、請求項10の構成によれば、右折待ちをしていた車両の発進後の衝突事故をより確実に防止することが可能になる。
【0023】
また、請求項10の構成によれば、危険対象として直進車両および横断者の両方が検出された場合には、数備えられた表示部のうち、当該直進車両の方向に相当する位置に存在する表示部に直進車両および横断者を点灯表示させることになる。よって、請求項10の構成によれば、ドライバは、危険対象が複数方向に存在した場合であっても、一方向の安全運転支援情報を見て確認するだけで済むようになり、余裕をもって運転を行うことが可能になる。
【0024】
また、請求項11のように、車車間通信や路車間通信で得られるインフラ情報をもとに、車両のドライバが注視する必要のある危険対象を検出し、安全運転支援情報として当該危険対象を示す情報を表示する構成に適用してもよい。
【0025】
詳しくは、請求項12のように、インフラ情報をもとに、車両のドライバが注視する必要のある車両の前方の一時停止標識、一時停止標示、および赤信号のうちの少なくともいずれかの危険対象を検出し、安全運転支援情報として当該危険対象を示す情報を表示する構成に適用することができる。
【0026】
請求項12の構成によれば、車両が停止する可能性が高い場合に、安全運転支援情報の表示の停止および減衰表示への変化のいずれかを行わせ、車両が停止する可能性が低い場合に、より目立つ表示への変化を行わせることになる。従って、請求項12の構成によれば、一時停止や赤信号の見落としによる事故をより確実に防止することが可能になる。
【0027】
なお、安全運転支援情報によって車両のドライバに促される運転操作が車両のドライバによって行わなかった場合には、事故の危険性が増す可能性が高い。請求項13の構成によれば、行動判定部で肯定判定を行わなかった場合に、安全運転支援情報の表示について、より目立つ表示への変化を行わせるので、事故の危険性が増す可能性が高い場合に、安全運転支援情報の表示をドライバに向けて強調することが可能になる。よって、請求項13の構成によれば、車両の事故防止をより確実に行うことが可能になる。
【0028】
また、請求項14のように、インフラ情報の取得に失敗したり、取得したインフラ情報にエラーがあったりなどした場合のように、インフラ情報を正確に取得できず、正確なインフラ情報を利用できない場合に、所定の時間は安全運転支援情報を表示し、所定の時間の経過後に安全運転支援情報の表示の停止および前記減衰表示への変化のいずれかを行わせる処理を優先的に行わせる態様としてもよい。以上の構成によれば、正確なインフラ情報を利用できない場合にも、ドライバが認識している情報にも関わらず表示をそのままの態様で継続してしまうことでドライバに煩わしさを感じさせてしまう状況を回避する効果を期待できる。
【0029】
また、請求項15の構成によれば、車両内情報の取得に失敗したり、取得した車両内情報にエラーがあったりなどした場合のように、車両内情報を正確に取得できず、正確な車両内情報を利用できない場合に、所定の時間は安全運転支援情報を表示し、所定の時間の経過後に安全運転支援情報の表示の停止および前記減衰表示への変化のいずれかを行わせる処理を優先的に行わせる態様としてもよい。以上の構成によれば、正確な車両内情報を利用できない場合にも、ドライバが認識している情報にも関わらず表示をそのままの態様で継続してしまうことでドライバに煩わしさを感じさせてしまう状況を回避する効果を期待できる。
【0030】
また、請求項16の構成によれば、ドライバに認識させる必要性が低くなった安全運転支援情報から順番に、表示の停止や減衰表示への変化を行わせることになる。よって、請求項16の構成によれば、変化する状況に応じて、ドライバに認識される必要性が高い安全運転支援情報のみを随時残しながら、各状況においてドライバに必要な安全運転支援情報のみを的確にドライバに認識させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】安全運転支援システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】情報提示装置2の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】表示場所の一例を示す図である。
【図4】障害物の移動方向に合わせて注意喚起表示や警告表示を表示させる一例を説明する図である。
【図5】エージェント型のアイコンの一例を示す図である。
【図6】情報提示装置2での減衰表示を行うまでの動作フローを示すフローチャートである。
【図7】一時停止見落とし防止アプリを説明するための図である。
【図8】表示部21での表示例を示す図である。
【図9】減衰表示を説明するための図である。
【図10】表示部21での減衰表示の表示例を示す図である。
【図11】出会い頭衝突防止アプリを説明するための図である。
【図12】表示部21での表示例を示す図である。
【図13】右折時衝突防止アプリを説明するための図である。
【図14】表示部21での表示例を示す図である。
【図15】表示部21での表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された安全運転支援システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す安全運転支援システム100は、路側機1、車両Aに搭載されている情報提示装置2、および車両Bに搭載されている車載通信装置3を含んでいる。なお、情報提示装置2を搭載している車両(図1では車両A)を以降では自車両と呼び、車載通信装置3を搭載している車両(図1では車両B)を以降では他車両と呼ぶ。
【0033】
安全運転支援システム100においては、路側機1と自車両に搭載された情報提示装置2との間での路車間通信によって情報をやり取りしたり、他車両に搭載された車載通信装置3と自車両に搭載された情報提示装置2との間での車車間通信によって情報をやり取りしたりすることによって、周辺の交通状況等に応じた安全運転支援を行うことが可能となっている。
【0034】
路側機1は、路側等の所定の場所に固定されて設置され、路車間通信を行う無線通信装置としての機能を備えている。なお、路側機1と情報提示装置2との間での情報の送受信は、例えばVICS(登録商標)(Vehicle Information andCommunication System)を利用して行う構成であってもよいし、DSRC(Dedicate Short RangeCommunication)、無線LANなどによって行う構成としてもよい。また、路側機1から配信されるインフラ情報としては、例えば、自車両の進行を妨げる可能性のある歩行者や他車両などの速度や進行方向や現在位置の情報といった障害物情報、道路標識や道路標示によって規制されている一時停止場所の情報といった規制標識情報、積雪や凍結等の路面情報、事故発生箇所情報、道路規制情報、渋滞情報、信号情報等の自車両の運行方針に関連する情報(以下、運行方針関連情報と呼ぶ)がある。なお、路側機1から配信するインフラ情報は、例えば、インフラ情報を統合的に管理する情報センタから提供される構成としてもよい。
【0035】
車載通信装置3は、他車両に搭載され、車車間通信を行う無線通信装置としての機能を備えている。なお、車載通信装置3と情報提示装置2との間での情報の送受信は、例えば赤外線通信やDSRCによって行う構成とすればよい。また、車載通信装置3から送信されるインフラ情報としては、例えば、他車両の現在位置情報、進行方向情報、制動状態情報、および速度情報等がある。なお、他車両の現在位置情報、進行方向情報、制動状態情報、および速度情報については、他車両に搭載される車載ナビゲーション装置やGPS機能付き携帯電話機、および各種センサ等から車載通信装置3が得る構成とすればよい。
【0036】
情報提示装置2は、自車両に搭載され、路車間通信や車車間通信を行う無線通信装置としての機能を備えている。また、情報提示装置2には、車間通信や車車間通信によって取得したインフラ情報をもとに、周辺の交通状況等に応じた安全運転支援を行うアプリケーションソフトウェア(以下、アプリ)が導入されている。
【0037】
ここで、図2を用いて情報提示装置2の概略的な構成について説明を行う。図2は、情報提示装置2の概略的な構成を示すブロック図である。図2に示すように情報提示装置2は、表示部21、音声出力部22、インフラ情報取得部23、車両情報取得部24、ナビ情報取得部25、支援判定部26、情報提示制御部27、入力スイッチ28、行動取得部29、および行動判定部30を備えている。また、自車両には車載ナビゲーション装置4が搭載されているものとする。
【0038】
表示部21は、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。また、情報提示装置2において、表示部21は複数備えられているものとする。例えば、表示部21は図3に示すように、車載ナビゲーション装置4のディスプレイ(図3のC)であってもよいし、ヘッドアップディスプレイ(HUD)であってもよいし、メータパネルに設けられたディスプレイ(図3のD)であってもよいし、インストルメントパネル正面(図3のE)、右正面(図3のF)、左正面(図3のG、H)等に設けられたディスプレイであってもよいし、右Aピラーに設けられたディスプレイ(図3のI、J)であってもよいし、左Aピラーに設けられたディスプレイ(図3のK、L)であってもよい。また、図3のMは、HUDによってフロントウインドシールドに表示像が投影される領域を示している。HUDについては、この領域も含めて表示部21であるものとする。なお、表示部21は、運転中の確認の容易性の観点からドライバが着座する位置(つまり、ドライバ席)よりも前方に設けられることが好ましい。
【0039】
図2戻って、音声出力部22は、スピーカ等から構成され、情報提示制御部27の指示に基づいて、案内音声や警告音などを出力する。
【0040】
インフラ情報取得部23は、路側機1や車載通信装置3から送信されてくるインフラ情報を受信し、支援判定部26に送る。車両情報取得部24は、車内LAN5においてやり取りされている信号(以下、車両情報)を取得し、支援判定部26や行動判定部30に送る。なお、車両LAN5としては、例えばCAN(controller area network)、MOST(登録商標)(media oriented systemstransport)、LIN(local interconnect network)等を用いることができる。
【0041】
また、車内LAN5においてやり取りされている信号は、自車両の運転操作によって生じるセンサ信号である。よって、車両情報が請求項の車両内情報に相当する。なお、センサ信号の一例としては、ブレーキスイッチから得られるブレーキのオン/オフについてのセンサ信号、ブレーキストロークセンサから得られるブレーキペダルの踏み込み量についてのセンサ信号、アクセル開度センサから得られるアクセル開度についてのセンサ信号、地磁気センサやジャイロスコープから得られる自車両の進行方向についてのセンサ信号、車速センサや車輪速センサから得られる自車両の速度についてのセンサ信号、車輪速センサから得られる自車両の移動量についてのセンサ信号、加速度センサから得られる自車両の加減速度についてのセンサ信号等がある。
【0042】
ナビ情報取得部25は、車載ナビゲーション装置4から地図情報や自車両の現在位置情報を取得し、支援判定部26に送る。なお、地図情報には、例えば道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれるものとする。なお、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンク方向、リンク方位、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、および制限速度等の各データから構成される。一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、および交差点形状等の各データから構成される。
【0043】
支援判定部26は、インフラ情報取得部23から得たインフラ情報、車両情報取得部24から得た車両情報、ナビ情報取得部25から得た地図情報や自車両の現在位置情報をもとに、周辺の交通状況等に応じた安全運転支援の実行の有無や安全運転支援の段階の判定を行う(以下、支援判定処理)。
【0044】
例えば、二輪車、自動車等の車両や歩行者といった障害物との衝突の危険性の度合いに応じて情報の提示を行うアプリ(以下、衝突防止アプリ)の場合には、支援判定部26は、自車両および障害物の現在位置情報と自車両および障害物の速度の情報をもとに、自車両と障害物との衝突の危険の有無および衝突の危険性の度合いを判定する。なお、ここで言うところの障害物が請求項の危険対象に相当する。また、自車両と障害物との衝突の危険の有無および衝突の危険性の度合いについては、例えば、自車両と障害物との距離を自車両と障害物との相対速度で除算して求められるTTC(time to collision)を利用する周知の方法を用いて判定する構成とすればよい。
【0045】
なお、以降では、衝突の危険性の度合いは、TTC≦αの場合、α<TTC≦βの場合の2段階に分ける場合を例に挙げて説明を行う。また、注意喚起を要するα<TTC≦βの場合、警告を要するTTC≦αの場合の順に衝突の危険性の度合いが高くなるものとする。なお、α、βは予め衝突の危険性の度合いに応じて定められる値であって、任意に設定可能な値であるものとする。
【0046】
また、ここでは、例として注意喚起を要する場合、警告を要する場合の2段階に分ける例を示すが、必ずしもこれに限らない。例えば、危険性の度合いが低い順から情報提供を要する場合、注意喚起を要する場合、警告を要する場合の3段階に分ける構成としてもよい。
【0047】
また、自車両の前方に存在する一時停止標識・標示や赤信号を検出し、検出した一時停止標識・標示や赤信号によって定められる一時停止箇所までの自車両の到達時間に応じて情報の提示を行うアプリ(以下、一時停止忘れ防止アプリ)の場合には、支援判定部26は、規制標識情報や信号情報、地図情報や自車両の現在位置情報をもとに、自車両の前方に存在する一時停止標識・標示や赤信号を検出する。また、支援判定部26は、自車両の現在位置情報および一時停止場所や信号機の場所の情報と自車両の速度の情報をもとに、一時停止箇所までの自車両の到達時間(以下、Ta)を判定する。なお、ここで言うところの一時停止標識・標示や赤信号が請求項の危険対象に相当する
なお、以降では、安全運転支援の段階を、Ta≦T1の場合、T1<Ta≦T2の場合の2段階に分ける場合を例に挙げて説明を行う。また、注意喚起を要するT1<Ta≦T2の場合、警告を要するTa≦T1の場合の順に安全運転支援の度合いが強くなるものとする。なお、T1、T2は車両の速度をもとにした制動距離に応じて定められる値であって、任意に設定可能な値であるものとする。
【0048】
また、ここでは、例として注意喚起を要する場合、警告を要する場合の2段階に分ける例を示すが、必ずしもこれに限らない。例えば、安全運転支援の度合いが低い順から情報提供を要する場合、注意喚起を要する場合、警告を要する場合の3段階に分ける構成としてもよい。
【0049】
情報提示制御部27は、支援判定部26での判定結果に応じた情報の提示を表示部21や音声出力部22に指示する。例えば、衝突防止アプリにおいては、注意喚起を要するα<TTC≦βの場合に、障害物の方向に相当する位置に存在する表示部21に注意喚起表示を行い、警告を要するTTC≦αの場合に、障害物の方向に相当する位置に存在する表示部21に警告表示を行う。なお、注意喚起表示や警告表示とともに、音声出力部22から案内音声や警告音を出力する構成としてもよい。
【0050】
ここで、衝突防止アプリにおける注意喚起表示は、自車両と障害物との衝突の危険性があることをドライバに気付かせ、衝突を回避する運転操作を促す程度の表示であればよい。例えば、衝突防止アプリにおける注意喚起表示は、自車両の前方の交差点形状とともにその交差点に自車両が進入した場合の自車両と障害物との位置関係を示す画像の点灯表示であってもよいし、障害物が自車両に向かってくる方向を示す画像の点灯表示であってもよいし、「前方交差点の右側から車両が近づいています」等のように自車両に対する障害物の状況を説明するテキストの点灯表示であってもよいし、これらを組み合わせたものであってもよい。また画像を表示する場合に、障害物の見た目を示すようにしてもよい。
【0051】
また、衝突防止アプリにおける警告表示は、自車両と障害物との衝突の危険性が高いことをドライバに気付かせ、衝突を回避する運転操作を促す表示であればよい。例えば、衝突防止アプリにおける警告表示は、注意喚起表示の内容を点滅表示にすることによって強調するものであってもよいし、「衝突の危険があります」等のように警告を強めた内容のテキスト表示によって強調するものであってもよい。
【0052】
なお、ここで言うところの障害物の方向に相当する位置に存在する表示部21には、例えば障害物が右側から自車両に向かってくる場合には、図3においてドライバ席から見て右方向に設けられているインストルメントパネル右正面のF、右AピラーのI、Jが該当する。また、例えば対向直進車などの障害物が正面から自車両に向かってくる場合には、図3においてドライバ席から見て正面に設けられているインストルメントパネル正面のE、HUDのMが該当する。なお、車載ナビゲーション装置4のCやメータパネルのDを正面に含めてもよい。さらに、例えば障害物が左側から自車両に向かってくる場合には、図3においてドライバ席から見て左方向に設けられているインストルメントパネル左正面のG、H、左AピラーのK、Lが該当する。なお、ここで述べたのはあくまでも一例であって、障害物の方向に相当する位置に存在する表示部21は、自車両に備えられる表示部21の数や位置に応じて任意に設定することが可能である。
【0053】
また、情報提示制御部27は、障害物の移動方向に合わせて注意喚起表示や警告表示を表示させる表示部21を切り替える構成としてもよい。例えば、障害物が右側から自車両に向かってくる場合には、図4の矢印Nで示すように右AピラーのJ、右AピラーのI、インストルメントパネルの右正面のF、インストルメントパネルの正面のEの順に注意喚起表示や警告表示を表示させる表示部21を切り替えることによって、障害物の動きを表現する構成とすればよい。
【0054】
一方、障害物が左側から自車両に向かってくる場合には、図4の矢印Oで示すように左AピラーのK、左AピラーのL、インストルメントパネルの左正面のG、インストルメントパネルの左正面のHの順に注意喚起表示や警告表示を表示させる表示部21を切り替えることによって、障害物の動きを表現する構成とすればよい。これによれば、障害物の動きと似たような表示を行うことができるので、よりドライバが注意喚起表示や警告表示を認識しやすくなる。
【0055】
また、例えば、一時停止忘れ防止アプリにおいては、注意喚起を要するT1<Ta≦T2の場合に、一時停止標識・標示や赤信号の方向に相当する位置に存在する表示部21に注意喚起表示を行い、警告を要するTa≦T1の場合に、一時停止標識・標示や赤信号の方向に相当する位置に存在する表示部21に警告表示を行う。なお、注意喚起表示や警告表示とともに、音声出力部22から案内音声や警告音を出力する構成としてもよい。
【0056】
ここで、一時停止忘れ防止アプリにおける注意喚起表示は、自車両の前方に一時停止箇所があることをドライバに気付かせ、一時停止に向けた運転操作を促す程度の表示であればよい。例えば、一時停止忘れ防止アプリにおける注意喚起表示は、自車両の前方の一時停止標識・標示や赤信号を示す画像の点灯表示であってもよいし、「この先、一時停止があります」等のように一時停止の必要性を知らせるテキストの点灯表示であってもよいし、これらを組み合わせたものであってもよい。また画像を表示する場合に、障害物の見た目を示すようにしてもよい。
【0057】
また、一時停止忘れ防止アプリにおける警告表示は、自車両がブレーキ操作を行わないと一時停止箇所で停止できない可能性が高いことをドライバに気付かせ、一時停止に向けた運転操作を促す表示であればよい。例えば、一時停止忘れ防止アプリにおける警告表示は、注意喚起表示の内容を点滅表示にすることによって強調するものであってもよいし、「一時停止です」等のように警告を強めた内容のテキスト表示によって強調するものであってもよい。
【0058】
なお、ここで言うところの一時停止標識・標示や赤信号の方向に相当する位置に存在する表示部21には、基本的には、図3においてドライバ席から見て正面に設けられているインストルメントパネル正面のE、HUDのMが該当する。なお、車載ナビゲーション装置4のCやメータパネルのDを正面に含めてもよい。また、カーブの先に一時停止標識・標示や赤信号がある場合には、ドライバ席から見て右方向や左方向に設けられている表示部21を用いてもよい。なお、ここで述べたのもあくまでも一例であって、障害物の方向に相当する位置に存在する表示部21は、自車両に備えられる表示部21の数や位置に応じて任意に設定することが可能である。
【0059】
よって、情報提示制御部27が請求項の表示制御部に相当する。また、前述した注意喚起表示や警告表示が請求項の安全運転支援情報に相当する。なお、注意喚起表示や警告表示においてテキスト表示する内容を音声出力部22から出力する構成であってもよい。
【0060】
また、前述したインフラ情報取得部23、車両情報取得部24、ナビ情報取得部25、支援判定部26、情報提示制御部27、表示部21、音声出力部22での一連の処理は、前述のアプリで定められており、アプリは安全運転支援の種類ごとに備えられている。そして、ドライバは、図示しない操作スイッチ群等を介して、利用するアプリを選択可能となっている。なお、操作スイッチ群等としては、車載ナビゲーション装置4の操作スイッチ群や音声入力装置やリモコン等を利用する構成としてもよい。
【0061】
入力スイッチ28は、表示部21に表示された注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいた場合に入力を行うためのスイッチであって、当該ドライバから行われる入力を受け付け、当該入力を受け付けたことを示す信号(以下、ドライバ行動確認情報)を出力する。よって、入力スイッチ28が請求項の入力部に相当する。また、ドライバ行動確認情報が請求項の車両内情報に相当する。なお、入力スイッチ28は、ステアリングスイッチとして設けるなどすればよい。また、入力スイッチ28としては、車両内の既存のスイッチを利用する構成としてもよい。
【0062】
行動取得部29は、入力スイッチ28から出力されたドライバ行動確認情報を取得し、
なお、入力スイッチ28からドライバ行動確認情報が車内LAN5に出力される場合には、行動取得部29は、車内LAN5からドライバ行動確認情報を取得する。また、入力スイッチ28からドライバ行動確認情報がジカ線によって出力される場合には、行動取得部29は、このジカ線からドライバ行動確認情報を取得する。
【0063】
行動判定部30は、車両情報取得部24で取得した車両情報や行動取得部29で取得したドライバ行動確認情報をもとに、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたか否かの判定を行う(以下、行動判定処理)。例えば、行動判定部30は、表示部21に表示された注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいた場合にドライバが行う運転操作によって生じるセンサ信号を検出した場合に、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたものと判定する。
【0064】
具体例としては、アプリにおいてブレーキ操作を行うことが促された場合には、車両情報としてブレーキがオンになったことを示すセンサ信号が車両情報取得部24から送られてきた場合に、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたものと判定する。
【0065】
さらに、行動判定部30は、行動取得部29からドライバ行動確認情報が送られてきた場合にも、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたものと判定する。
【0066】
また、情報提示制御部27は、行動判定部30で肯定判定を行ったことをもとに、注意喚起表示や警告表示を、ドライバの視界を妨げにくい表示(以下、減衰表示)へ変化させる。
【0067】
例えば、衝突防止アプリにおいては、行動判定部30で注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいた旨の判定を行うととともに、注意喚起表示や警告表示を行わせる必要がないと支援判定部26がインフラ情報をもとに判定した場合(つまり、衝突の危険性がない場合)に、減衰表示を行わせる決定を情報提示制御部27が行い、注意喚起表示や警告表示を減衰表示へ変化させる。また、一時停止忘れ防止アプリにおいては、行動判定部30で注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいた旨の判定を行った場合に、減衰表示を行わせる決定を情報提示制御部27が行い、注意喚起表示や警告表示を減衰表示へ変化させる。
【0068】
なお、減衰表示は、当初の表示よりも目立たない表示になりさえすればよく、一例としては、当初の表示の大きさよりも小さい表示に変化させる表示の大きさの縮小化、当初の表示の輝度よりも低い輝度に変化させる表示の輝度の低下、当初の表示の彩度よりも低い彩度に変化させる表示の彩度の低下、当初の表示の明度よりも低い明度に変化させる表示の明度の低下などの表示態様の変化がある。
【0069】
また、注意喚起表示を黄色や橙色で表示したり、警告表示を赤で表示したりするなど、当初の表示の色相が暖色系であった場合に、緑色や青色といった寒色系の色相に変化させることによって目立たなくする表示の色相の寒色系への変化などの表示態様の変化もある。さらに、当初の表示が複雑な図柄であった場合に、簡略化したアイコンに変化させたり、当初の表示がアイコンとテキストとを組み合わせたものであった場合に、アイコンのみの表示に変化させたり、当初の表示がテキストであった場合に、アイコンに変化させたりなどする表示の簡略化などの表示態様の変化もある。
【0070】
なお、表示の簡略化として、行動判定部30での判定結果が肯定判定のときに、「ありがとう」などの返答を行うエージェント型のアイコン(図5参照)の表示への変化を行わせる構成としてもよい。これによれば、ドライバが注意喚起表示や警告表示によってドライバに促される運転操作を行った場合に、車両側からインタラクティブにその運転操作に応じた回答が行われるので、ドライバにとって運転する楽しみが増し、快適性が向上する。
【0071】
さらに減衰表示としては、複数備えられた表示部21のうち、よりドライバから視認されにくい位置に存在する表示部21での表示に切り替える表示位置の変化を行わせてもよい。具体的には、ドライバの正面からより遠ざかる位置に存在する表示部21での表示に切り替えればよい。一例を挙げると、図3においてドライバ席から見て正面に設けられているインストルメントパネル正面のEに当初の表示が行われていた場合には、左AピラーのK、Lや右AピラーのI、Jなどでの表示に切り替えればよい。
【0072】
また、情報提示制御部27は、行動判定部30で肯定判定を行わなかった場合に、注意喚起表示や警告表示を、ドライバにより目立つ表示へ変化させる。なお、ドライバにより目立つ表示は、当初の表示よりも目立たつ表示になりさえすればよく、例えば、当初の表示の大きさよりも大きい表示に変化させたり、点滅表示に切り替えたりするなどの構成とすればよい。
【0073】
次に、図6を用いて、情報提示装置2での減衰表示を行うまでの動作フローについての説明を行う。図6は、情報提示装置2での減衰表示を行うまでの動作フローを示すフローチャートである。なお、本フローは、例えば自車両のイグニッションスイッチがオンされたときに開始される。
【0074】
まず、ステップS1では、インフラ情報を受信することが可能か否かをインフラ情報取得部23が判定する。なお、インフラ情報取得部23は、路側機1や車載通信装置3と通信が確立できた場合に、インフラ情報を受信することが可能と判定する構成とすればよい。そして、インフラ情報を受信することが可能と判定した場合(ステップS1でYes)には、ステップS2に移る。また、インフラ情報を受信することが可能と判定しなかった場合(ステップS1でNo)には、ステップS1のフローを繰り返す。
【0075】
ステップS2では、情報提示制御部27が表示部21にサービスイン表示を行わせるとともに、インフラ情報取得部23がインフラ情報を取得し、ステップS3に移る。なお、ここで言うところのサービスイン表示とは、インフラ情報を利用可能なエリアに入ったことを示す表示である。
【0076】
ステップS3では、インフラ情報取得部23が取得したインフラ情報をもとに、支援判定部26が利用可能なアプリを選択して、実行するアプリを決定し、ステップS4に移る。なお、ドライバによって予め利用するアプリが選択されている場合には、選択されているアプリの中から、利用可能なアプリを選択して決定を行う構成とすればよい。
【0077】
ステップS4では、決定したアプリについて支援判定部26が前述の支援判定処理を行い、ステップS5に移る。ステップS5では、支援判定処理の結果、情報提示制御部27が注意喚起表示や警告表示が必要でないと判定した場合(ステップS4で「不要」)には、表示部21での表示を行わずにフローを終了する。なお、前述の衝突防止アプリにおいては、β<TTCの場合に注意喚起表示や警告表示が必要でないと情報提示制御部27が判定する。一方、前述の一時停止忘れ防止アプリにおいては、T2<Taの場合に注意喚起表示や警告表示が必要でないと情報提示制御部27が判定する。
【0078】
また、注意喚起表示が必要と情報提示制御部27が判定した場合(ステップS4で「注意」)には、ステップS6に移る。なお、前述の衝突防止アプリにおいてはα<TTC≦βの場合に注意喚起表示が必要であると情報提示制御部27が判定する。一方、前述の衝突防止アプリにおいてはT1<Ta≦T2の場合に注意喚起表示が必要であると情報提示制御部27が判定する。
【0079】
さらに、警告表示が必要と情報提示制御部27が判定した場合(ステップS4で「警告」)には、ステップS7に移る。なお、前述の衝突防止アプリにおいてはTTC≦αの場合に警告表示が必要であると情報提示制御部27が判定する。一方、前述の衝突防止アプリにおいてはTa≦T1の場合に警告表示が必要であると情報提示制御部27が判定する。
【0080】
ステップS6では、情報提示制御部27が表示部21に前述の注意喚起表示を行わせ、ステップS8に移る。また、ステップS7では、情報提示制御部27が表示部21に前述の警告表示を行わせ、ステップS8に移る。
【0081】
ステップS8では、行動判定部30が前述の行動判定処理を行い、ステップS9に移る。ステップS9では、行動判定部30で肯定判定が行われた場合(ステップS9でYes)にステップS10に移る。また、行動判定部30で肯定判定が行われなかった場合(ステップS9でNo)にステップS12に移る。
【0082】
ステップS10では、情報提示制御部27が減衰表示を行う決定を行った場合(ステップS10でYes)には、ステップS11に移る。また、情報提示制御部27が減衰表示を行う決定を行わなかった場合(ステップS10でNo)には、表示部21での表示をそのままの態様で継続させ、フローを終了する。そして、ステップS11では、表示部21で表示している注意喚起表示や警告表示を情報提示制御部27が減衰表示に変化させ、フローを終了する。
【0083】
また、ステップS12では、注意喚起表示や警告表示を行ってから一定期間が経過したか否かを情報提示制御部27が判定する。なお、ここで言うところの一定期間とは、注意喚起表示や警告表示を行ってから一般的なドライバがこれらの表示に気付いてこれらの表示が促す操作を行うまでに十分と考えられる時間であって、例えば数秒程度の任意に設定可能な時間であるものとする。そして、一定期間が経過したと判定した場合(ステップS12でYes)には、ステップS13に移る。また、一定期間が経過したと判定しなかった場合(ステップS12でNo)には、ステップS9に戻ってフローを繰り返す。ステップS13では、情報提示制御部27が、表示部21で表示している注意喚起表示や警告表示をドライバにより目立つ表示へ変化させ、フローを終了する。
【0084】
なお、図6のフローにおける以後の処理としては、注意喚起表示を減衰表示に変化させた場合には、警告表示のタイミングに達したところでステップS7に戻ってフローを繰り返す構成としてもよい。また、一時停止忘れ防止アプリの場合のように、危険対象(ここでは、一時停止標識・標示や赤信号)が移動せず、周辺情況が変化しにくい例においては、既に検出済みの危険対象を越えた後に、ステップS1に戻ってフローを繰り返す構成としてもよい。一方、衝突防止アプリの場合のように、危険対象(ここでは、車両や歩行者)が移動し、周辺情況が変化しやすい例においては、ステップS4に戻ってフローを繰り返すことによって変化しやすい周辺状況に細かく対応する構成としてもよい。
【0085】
以上の構成によれば、表示部21に表示された注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいた場合にドライバが行う入力スイッチ28の操作や運転操作によって生じるドライバ行動確認情報や車両情報をもとに、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたか否かの判定を行うため、当該運転操作の有無を判断するための運転者視線方向検出装置のような新たな装置を備えずに済むようにすることができる。よって、上述の新たな装置を車両に搭載するスペースを確保しなくてもよく、実施を容易にすることができるとともに、上述の新たな装置を車両に搭載するコスト的な無駄を省くことができる。
【0086】
また、以上の構成によれば、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたと判定したことをもとに、注意喚起表示や警告表示の減衰表示への変化を行わせるので、ドライバが認識している情報にも関わらず表示をそのままの態様で継続してしまうことでドライバに煩わしさを感じさせてしまう状況を回避することができる。従って、以上の構成によれば、ドライバにとっての快適性をより損ないにくくすることができる。
【0087】
なお、注意喚起表示や警告表示によってドライバに促される運転操作がドライバによって行わなかった場合には、事故の危険性が増す可能性が高い。以上の構成によれば、行動判定部30で肯定判定を行わなかった場合に、注意喚起表示や警告表示の表示について、より目立つ表示への変化を行わせるので、事故の危険性が増す可能性が高い場合に、安全注意喚起表示や警告表示の表示をドライバに向けて強調することが可能になる。よって、以上の構成によれば、車両の事故防止をより確実に行うことが可能になる。
【0088】
なお、本発明の情報提示装置2は、車両の安全運転支援に関する様々なアプリケーションに適用することが可能である。以下では、そのうちのいくつかの例を示す。
【0089】
まず、情報提示装置2は、インフラ情報をもとに、自車両のドライバが注視する必要のある車両の前方の一時停止標識・標示を検出し、検出した一時停止標識・標示によって定められる一時停止箇所までの自車両の到達時間に応じて注意喚起表示や警告表示を行う一時停止見落とし防止アプリに適用することができる。なお、一時停止見落とし防止アプリは、前述の一時停止忘れ防止アプリに属する。
【0090】
ここで、図7を用いて、一時停止見落とし防止アプリについての説明を行う。なお、図7では、車両Aの前方に一時停止標識Pと一時停止ラインQが存在している。また、図7のRで示す位置を車両Aが走行している時点では、一時停止箇所(つまり、一時停止ラインQ)までの車両Aの到達時間Taは、T1<Ta≦T2の関係にあるものとする。さらに、図7のSで示す位置を車両Aが走行している時点では、Taは、Ta≦T1の関係にあるものとする。
【0091】
情報提示装置2は、図7のRで示す位置を車両Aが走行している時点では、T1<Ta≦T2なので、注意喚起を行うことになる。なお、この場合の注意喚起の例としては、図8に示すような一時停止標示の図を注意喚起表示として、インストルメントパネル正面のEまたはHUDのM(図3参照)の表示部21で点灯表示させるとともに、「この先、一時停止があります」等の音声案内を行う構成とすればよい。
【0092】
また、図7のSで示す位置を車両Aが走行している時点では、Ta≦T1なので、警告を行うことになる。なお、この場合の警告の例としては、図8に示すような一時停止標識の図を警告表示として、インストルメントパネル正面のEまたはHUDのM(図3参照)の表示部21で点灯表示させるとともに、「一時停止です」等の警告を行う構成とすればよい。
【0093】
さらに、情報提示装置2は、車両情報として、ブレーキがオンになったことを示す情報やアクセル開度が0になったことを示す情報を取得した場合に、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたと判定して、注意喚起表示や警告表示を減衰表示に変化させる。なお、この場合の減衰表示の例としては、図9に示すように一時停止標識の図の輝度を段階的に低下させることによって行う構成とすればよい。また、一時停止標識の図を、図10に示すように、注意して欲しいことを伝えるだけの、より簡略化されたアイコンに変化させることによって行う構成としてもよい。
【0094】
一方、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたと判定しなかった場合には、注意喚起表示や警告表示を点滅表示させることによって、より目立つ表示への変化を行わせる構成とすればよい。
【0095】
また、インフラ情報をもとに、自車両のドライバが注視する必要のある車両の前方の赤信号を検出し、検出した赤信号によって定められる一時停止箇所までの自車両の到達時間に応じて注意喚起表示や警告表示を行う赤信号見落とし防止アプリにも同様に適用することができる。なお、赤信号見落とし防止アプリは、前述の一時停止忘れ防止アプリに属する。また、赤信号見落とし防止アプリでは、注意喚起表示や警告表示として赤信号の図を表示させる構成とすればよい。
【0096】
さらに、インフラ情報をもとに、自車両のドライバが注視する必要のある車両の前方の事故発生箇所までの自車両の到達時間に応じて注意喚起表示や警告表示を行うアプリや片側交互通行箇所までの自車両の到達時間に応じて注意喚起表示や警告表示を行うアプリにも同様に適用することができる。なお、これらのアプリでは、注意喚起表示や警告表示として、前方に事故発生箇所や片側交互通行箇所が存在することを示す図やテキストを表示させる構成とすればよい。また、これらのアプリでは、例えばブレーキがオンになったことを示す情報や減速したことを示す車両情報を取得した場合に、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたと判定して、注意喚起表示や警告表示を減衰表示に変化させる構成とすればよい。
【0097】
また、情報提示装置2は、インフラ情報をもとに、自車両の前方の交差点において自車両が出会い頭に衝突する危険性のある障害物を検出し、検出した障害物との衝突の危険性の度合いに応じて注意喚起表示や警告表示を行う出会い頭衝突防止アプリに適用することができる。なお、出会い頭衝突防止アプリは、前述の衝突防止アプリに属する。ここでは、図11に示すように、自車両である車両Aの右方向から車両Bが近づいている場合を例に挙げて説明を行う。
【0098】
情報提示装置2は、車両Aと車両BとについてのTTCが、α<TTC≦βの場合に、注意喚起を行うことになる。なお、この場合の注意喚起の例としては、図12に示すような車両Bの見た目を示す車両型のアイコンを注意喚起表示として、右AピラーのI、J、インストルメントパネルの右正面のF(図3参照)のいずれかの表示部21に橙色で点灯表示させるとともに、「右方向から車両が近づいています」等の音声案内を行う構成とすればよい。
【0099】
また、情報提示装置2は、車両Aと車両BとについてのTTCが、TTC≦αの場合に、警告を行うことになる。なお、この場合の警告の例としては、図12に示すような車両Bの見た目を示す車両型のアイコンを警告表示として、右AピラーのI、J、インストルメントパネルの右正面のF(図3参照)のいずれかの表示部21に赤色で点灯表示させるとともに、「衝突の危険があります」等の警告を行う構成とすればよい。
【0100】
なお、右AピラーのJ、右AピラーのI、インストルメントパネルの右正面のF、インストルメントパネルの正面のEの順に注意喚起表示や警告表示を表示させる表示部21を切り替えることによって、自車両に近づいてくる車両Bの動きを表現する構成とすればよい。
【0101】
また、表示部21がドライバ席から見て正面方向にしか備えられていない場合には、正面方向に備えられた表示部21に注意喚起表示や警告表示を行う構成であってもよい。
【0102】
さらに、情報提示装置2は、車両情報として、ブレーキがオンになったことを示す情報を取得した場合に、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたと判定する。また、情報提示装置2は、注意喚起表示や警告表示を行わせる必要がないか否かを、インフラ情報をもとに判定する。そして、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたと判定するとともに、注意喚起表示や警告表示を行わせる必要がないと判定した場合に、注意喚起表示や警告表示を減衰表示に変化させる。
【0103】
なお、この場合の減衰表示の例としては、例えば、注意して欲しいことを伝えるだけのアイコン(図10参照)に変化させるとともに、右AピラーのIまたはJでの表示のみに変化させることによって行う構成としてもよい。
【0104】
一方、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたと判定しなかった場合には、注意喚起表示や警告表示を点滅表示させることによって、より目立つ表示への変化を行わせる構成とすればよい。
【0105】
さらに、情報提示装置2は、インフラ情報をもとに、交差点で自車両が右折待ちをしている状況において、発進後の自車両が衝突する危険性のある直進車両(例えば、道路交通法上の自動車や二輪車)および横断者(例えば、歩行者や道路交通法上の軽車両)のうちの少なくともいずれかの障害物を検出し、検出した障害物との衝突の危険性の度合いに応じて注意喚起表示や警告表示を行う右折時衝突防止アプリに適用することができる。なお、右折時衝突防止アプリは、前述の衝突防止アプリに属する。
【0106】
ここでは、図13に示すように、車両Aは右折待ちをしており、車両Aの対向車両の位置に車両Bが存在するものとする。また、車両Aの正面方向の車両Bの死角に二輪車Tが存在するものとする。また、車両Aの右方向の横断歩道には歩行者Uが存在するものとする。
【0107】
情報提示装置2は、車両Aと車両BとについてのTTC、車両Aと二輪車TとについてのTTC、車両Aと歩行者UとについてのTTCをもとに、α<TTC≦βの場合には、該当する障害物についての注意喚起を行うことになる。なお、この場合の注意喚起の例としては、障害物が車両Bである場合には、図12に示すような車両Bの見た目を示す車両型のアイコンを注意喚起表示として、HUDのM(図3参照)の表示部21に橙色で点灯表示させるとともに、「直進車が近づいています」等の音声案内を行う構成とすればよい。
【0108】
また、障害物が二輪車Tである場合には、図14に示すような二輪車Tの見た目を示す二輪車型のアイコンを注意喚起表示として、インストルメントパネル正面のE(図3参照)の表示部21に橙色で点灯表示させるとともに、「直進二輪車が近づいています」等の音声案内を行う構成とすればよい。さらに、障害物が歩行者Uである場合には、図15に示すような歩行者Uの見た目を示す歩行者型のアイコンを注意喚起表示として、インストルメントパネル右正面のF、右AピラーのI、J(図3参照)のいずれかの表示部21に橙色で点灯表示させるとともに、「歩行者が横断中です」等の音声案内を行う構成とすればよい。なお、注意喚起表示を要する障害物が複数存在する場合には、複数の障害物について同時に注意喚起表示を行わせることになる。
【0109】
また、情報提示装置2は、車両Aと車両BとについてのTTC、車両Aと二輪車TとについてのTTC、車両Aと歩行者UとについてのTTCが、TTC≦αの場合に、警告を行うことになる。なお、この場合の警告の例としては、これまで説明した警告表示と同様の主旨に基づいて行う構成とすればよい。
【0110】
なお、障害物として直進車両および横断者の両方が検出された場合には、当該直進車両の方向に相当する位置に存在する表示部21に、直進車両についての表示と横断者についての表示をともに表示させることが好ましい。一例としては、HUDのMの表示部21に直進車両についての注意喚起表示や警告表示を行わせるととともに、インストルメントパネル正面のEの表示部に横断者についての注意喚起表示や警告表示を行わせる構成とすればよい。これによれば、ドライバは、障害物が複数方向に存在した場合であっても、一方向(ここではドライバ席から見て正面方向)の注意喚起表示や警告表示を見て確認するだけで済むようになり、余裕をもって運転を行うことが可能になる。
【0111】
さらに、情報提示装置2は、車両情報として、ブレーキがオフになったことを示す情報を取得した場合に、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づき、障害物の確認を行った上で発進したと判定する。また、情報提示装置2は、注意喚起表示や警告表示を行わせる必要がないか否かを、インフラ情報をもとに判定する。そして、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたと判定するとともに、注意喚起表示や警告表示を行わせる必要がないと判定した場合に、注意喚起表示や警告表示を減衰表示に変化させる。なお、この場合の減衰表示の例としては、例えば、注意して欲しいことを伝えるだけのアイコン(図10参照)に変化させることによって行う構成としてもよい。
【0112】
一方、注意喚起表示や警告表示を行わせる必要があると判定した場合に、注意喚起表示や警告表示を点滅表示させることによって、より目立つ表示への変化を行わせる構成としてもよい。
【0113】
また、複数の表示部21にわたって複数種類の注意喚起表示や警告表示が表示される場合には、各表示について、行動判定部30で減衰表示を行わせることにつながる判定が行われるごとに、該当した表示から順番に減衰表示を行わせる構成としてもよい。例えば、前述の二輪車Tと歩行者Uとが存在する場合を一例に挙げて説明を行う。なお、この場合には、インストルメントパネル正面のEの表示部21に二輪車型のアイコンを表示する注意喚起表示と、インストルメントパネル右正面のFの表示部21に歩行者型のアイコンを表示する注意喚起表示とが同時に行われているものとする。
【0114】
まず、車両Aのドライバが、直進してくる二輪車Tが通り過ぎていくのを確認してブレーキをオフにして緩やかに発進したときに、二輪車Tについての注意喚起表示は減衰表示に変化する。続いて、横断歩道を歩行者Uがまだ通過中であった場合には、歩行者Uについての注意喚起表示(または警告表示)が継続する。なお、このときに車両Aは再度停止する。そして、横断歩道を歩行者が通過し終わるのを確認してブレーキをオフにして緩やかに再度発進したときに、歩行者Uについての注意喚起表示が減衰表示に変化する。
【0115】
これによれば、ドライバに認識させる必要性が低くなった注意喚起表示や警告表示から順番に、減衰表示への変化を行わせることになる。よって、以上の構成によれば、変化する状況に応じて、ドライバに認識される必要性が高い注意喚起表示や警告表示のみを随時残しながら、各状況においてドライバに必要な注意喚起表示や警告表示のみを的確にドライバに認識させることが可能になる。
【0116】
また、情報提示装置2は、インフラ情報をもとに、交差点で自車両が左折をする状況において、自車両が巻き込む危険性のある左側直進二輪車を障害物として検出し、検出した障害物との衝突の危険性の度合いに応じて注意喚起表示や警告表示を行う左折時巻き込み防止アプリに適用することができる。また、左折時巻き込み防止アプリでは、注意喚起表示や警告表示として、例えば図14に示すような二輪車型のアイコンを左AピラーのK、L、(図3参照)のいずれかの表示部21に表示させる構成とすればよい。なお、左折時巻き込み防止アプリは、前述の衝突防止アプリに属する。
【0117】
さらに、情報提示装置2は、インフラ情報をもとに、自車両が車線変更や合流する状況において、自車両が衝突する危険性のある後側方車両を障害物として検出し、検出した障害物との衝突の危険性の度合いに応じて注意喚起表示や警告表示を行う車線変更時・合流時衝突防止アプリに適用することができる。また、車線変更時・合流時衝突防止アプリでは、注意喚起表示や警告表示として、例えば図12に示すような車両型のアイコンを車線変更や合流する方向に存在する表示部21に表示させる構成とすればよい。なお、このアプリは、前述の衝突防止アプリに属する。
【0118】
また、情報提示装置2は、インフラ情報をもとに、自車両と先行する他車両との車間距離を検出し、検出した車間距離に応じて注意喚起表示や警告表示を行うアプリに適用することができる。また、このアプリでは、注意喚起表示や警告表示として、車間距離を開けることを促す画像やテキストを表示部21に表示させる構成とすればよい。また、このアプリにおいては、ブレーキがオンになったことを示す情報や減速したことを示す車両情報を取得した場合に、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたと判定して、注意喚起表示や警告表示を減衰表示に変化させる構成とすればよい。
【0119】
なお、インフラ情報取得部23でのインフラ情報の受信を行うことができなかった場合や受信したインフラ情報にエラーがあったりした場合のように、インフラ情報を正確に取得できず、正確な支援判定処理や減衰表示の要否の判定を行うことが期待できない場合に、所定の時間は注意喚起表示や警告表示を表示し、所定の時間の経過後に注意喚起表示や警告表示の減衰表示への変化を行わせる処理を優先的に行わせる構成としてもよい。
【0120】
また、車両情報取得部24での車両情報の取得を行うことができなかった場合や取得した車両情報にエラーがあったりした場合のように、車両情報を正確に取得できず、正確な支援判定処理や行動判定処理や減衰表示の要否の判定を行うことが期待できない場合に、所定の時間は注意喚起表示や警告表示を表示し、所定の時間の経過後に注意喚起表示や警告表示の減衰表示への変化を行わせる処理を優先的に行わせる構成としてもよい。
【0121】
なお、ここで言うところの所定の時間とは、注意喚起表示や警告表示を行ってから一般的なドライバがこれらの表示に気付くまでに十分と考えられる時間であって、例えば数秒程度の任意に設定可能な時間であるものとする。
【0122】
以上の構成によれば、正確なインフラ情報や車両情報を利用できない場合にも、ドライバが認識している情報にも関わらず表示をそのままの態様で継続してしまうことでドライバに煩わしさを感じさせてしまう状況を回避する効果を期待できる。
【0123】
また、前述の実施形態では、表示部21を複数備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、表示部21を1つだけ備える構成としてもよい。また、この場合に、表示部21の表示画面上のエリアを複数に分割し、分割された各エリアを用いて複数の表示部21を備える場合と同様に障害物の存在する方向や障害物の動きを表現する構成としてもよい。
【0124】
なお、前述の実施形態では、路車間通信と車車間通信とのいずれによっても情報提示装置2がインフラ情報を取得可能な構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、路車間通信のみによって情報提示装置2がインフラ情報を取得可能な構成であってもよいし、車車間通信のみによって情報提示装置2がインフラ情報を取得可能な構成であってもよい。
【0125】
また、前述の実施形態では、入力スイッチ28にドライバから行われる入力をもとに、注意喚起表示や警告表示にドライバが気づいたか否かを判定することも可能な構成を示したが必ずしもこれに限らない。例えば、入力スイッチ28および行動取得部29を情報提示装置2に備えずに、車両情報取得部24で取得した車両情報のみをもとに、注意喚起表示や警告表示に自車両のドライバが気づいたか否かを判定する構成としてもよい。
【0126】
さらに、前述の実施形態では、減衰表示を行わせる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、減衰表示の代わりに、表示を停止する(つまり、注意喚起表示や警告表示をやめる)ことによって、ドライバの視界を妨げないようにする構成としてもよい。また、減衰表示の後に表示を停止することによって、ドライバの視界を妨げないようにする構成としてもよい。
【0127】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 路側機、2 情報提示装置、3 車載通信装置、4 車載ナビゲーション装置、5 車内LAN、21 表示部、22 音声出力部、23 インフラ情報取得部、24 車両情報取得部、25 ナビ情報取得部、26 支援判定部、27 情報提示制御部(表示制御部)、29 入力スイッチ(入力部)、29 行動取得部、30 行動判定部、100 安全運転支援システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるとともに、
前記車両の安全運転支援に関するアプリケーションにおける処理の結果に応じた運転操作を前記車両のドライバに促す安全運転支援情報の表示を表示部に行わせる表示制御部を備える情報提示装置であって、
前記安全運転支援情報に前記ドライバが気づいたか否かの判定を行う行動判定部を備え、
前記表示制御部は、前記行動判定部で肯定判定を行ったことをもとに、前記安全運転支援情報の表示の停止および前記ドライバの視界を妨げにくい表示である減衰表示への変化のいずれかを前記表示部に行わせ、
前記行動判定部は、前記表示部に表示された前記安全運転支援情報に前記ドライバが気づいた場合に前記ドライバが行う操作によって生じる信号である車両内情報をもとに前記判定を行うことを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記行動判定部は、前記車両内情報として、前記表示部に表示された前記安全運転支援情報に前記ドライバが気づいた場合に前記ドライバが行う運転操作によって生じるセンサ信号を用いることを特徴とする情報提示装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記表示部に表示された前記安全運転支援情報に前記ドライバが気づいた場合に前記ドライバから行われる入力を受け付ける入力部を備え、
前記行動判定部は、前記車両内情報として、当該入力を受け付けたことを示す信号を用いることを特徴とする情報提示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記表示制御部は、前記減衰表示への変化として、表示の大きさの縮小化、表示の輝度の低下、表示の色相の寒色系への変化、表示の彩度の低下、表示の明度の低下、および表示の簡略化のうちの少なくともいずれかの表示態様の変化を行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記表示制御部は、前記減衰表示への変化として前記表示の簡略化を少なくとも行うものであって、前記表示の簡略化として、前記行動判定部での判定結果が肯定判定のときに返答を行うアイコンの表示への変化を行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
前記表示部を、前記ドライバの着座する位置よりも前方に複数備えることを特徴とする情報提示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記表示制御部は、前記減衰表示への変化として、複数備えられた前記表示部のうち、よりドライバから視認されにくい位置に存在する表示部での表示に切り替える表示位置の変化を行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項8】
請求項6または7において、
車車間通信および路車間通信のうちの少なくともいずれかによってインフラ情報を取得するインフラ情報取得部をさらに備え、
前記アプリケーションは、前記インフラ情報をもとに、前記車両が衝突する危険性のある危険対象を検出するものであって、
前記安全運転支援情報は、当該危険対象を示す情報であり、
前記表示制御部は、
複数備えられた前記表示部のうち、前記危険対象の方向に相当する位置に存在する表示部に前記安全運転支援情報を表示させ、
前記行動判定部での判定結果に加え、前記インフラ情報をもとに、前記安全運転支援情報の表示の停止および前記減衰表示への変化のいずれかを行わせるか否かを決定することを特徴とする情報提示装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記アプリケーションは、前記インフラ情報をもとに、前記車両の前方の交差点において前記車両が出会い頭に衝突する危険性のある危険対象を検出するものであって、
前記安全運転支援情報は、当該危険対象の見た目を示す画像であり、
前記行動判定部は、前記車両内情報として前記車両のブレーキがオンになったことを示す情報が得られたときに肯定判定を行い、
前記表示制御部は、
複数備えられた前記表示部のうち、前記危険対象の方向に相当する位置に存在する表示部に前記安全運転支援情報を点灯表示させるとともに、前記危険対象の移動方向に合わせて前記安全運転支援情報を表示させる表示部を切り替え、
前記行動判定部で肯定判定を行ったことに加え、前記インフラ情報をもとに前記危険対象が存在しなくなったと判定した場合に、前記安全運転支援情報の表示の停止および前記減衰表示への変化のいずれかを行わせる一方、
前記行動判定部で肯定判定を行わなかった場合に、前記安全運転支援情報の表示について、より目立つ表示への変化を行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項10】
請求項8において、
前記アプリケーションは、前記インフラ情報をもとに、交差点で前記車両が右折待ちをしている状況において発進後の前記車両が衝突する危険性のある直進車両および横断者のうちの少なくともいずれかの危険対象を検出するものであって、
前記行動判定部は、前記車両内情報として前記車両のブレーキがオフになったことを示す情報が得られたときに肯定判定を行い、
前記表示制御部は、
複数備えられた前記表示部のうち、前記危険対象の方向に相当する位置に存在する表示部に前記安全運転支援情報を点灯表示させる一方、前記危険対象として直進車両および横断者の両方が検出された場合には、当該直進車両の方向に相当する位置に存在する表示部に前記安全運転支援情報を点灯表示させ、
前記インフラ情報をもとに前記危険対象の存在の有無も判断し、
前記行動判定部で肯定判定を行ったことに加え、前記危険対象が存在しないと判断した場合に、前記安全運転支援情報の表示の停止および前記減衰表示への変化のいずれかを行わせる一方、
前記危険対象が存在すると判断した場合に、前記安全運転支援情報の表示について、より目立つ表示への変化を行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項において、
車車間通信および路車間通信のうちの少なくともいずれかによってインフラ情報を取得するインフラ情報取得部をさらに備え、
前記アプリケーションは、前記インフラ情報をもとに、前記車両のドライバが注視する必要のある前記車両の前方の危険対象を検出するものであって、
前記表示制御部は、
前記行動判定部で肯定判定を行った場合に、前記安全運転支援情報の表示の停止および前記減衰表示への変化のいずれかを行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記アプリケーションは、前記インフラ情報をもとに、前記車両のドライバが注視する必要のある前記車両の前方の一時停止標識、一時停止標示、および赤信号のうちの少なくともいずれかの危険対象を検出するものであって、
前記行動判定部は、前記車両内情報として前記車両のブレーキがオンになったことを示す情報および前記車両のアクセル開度が0になったことを示す情報のうちの少なくともいずれかが得られたときに肯定判定を行い、
前記表示制御部は、
前記表示部に前記安全運転支援情報を点灯表示させ、
前記行動判定部で肯定判定を行った場合に、前記安全運転支援情報の表示の停止および前記減衰表示への変化のいずれかを行わせる一方、
前記行動判定部で肯定判定を行わなかった場合に、前記安全運転支援情報の表示について、より目立つ表示への変化を行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項において、
前記行動判定部で肯定判定を行わなかった場合に、前記安全運転支援情報の表示について、より目立つ表示への変化を行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項14】
請求項8〜12のいずれか1項において、
前記表示制御部は、前記インフラ情報取得部で前記インフラ情報を正確に取得できなかった場合に、所定の時間は前記安全運転支援情報を表示し、前記所定の時間の経過後に前記安全運転支援情報の表示の停止および前記減衰表示への変化のいずれかを行わせる処理を優先的に行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項において、
前記表示制御部は、前記行動判定部で前記車両内情報が正確に得られなかった場合に、所定の時間は前記安全運転支援情報を表示し、前記所定の時間の経過後に前記安全運転支援情報の表示の停止および前記減衰表示への変化のいずれかを行わせる処理を優先的に行わせることを特徴とする情報提示装置。
【請求項16】
請求項6〜10のいずれか1項において、
複数の前記表示部にわたって複数種類の前記安全運転支援情報が表示される場合に、
前記表示制御部は、複数種類の前記安全運転支援情報の個々について前記行動判定部で表示の停止および前記減衰表示のいずれかを行わせることにつながる判定が行われるごとに、該当した安全運転支援情報から順番に表示の停止および前記減衰表示のいずれかを行わせることを特徴とする情報提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−113385(P2011−113385A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270440(P2009−270440)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】