説明

情報搭載ラベルシート製造装置

【課題】情報搭載ラベルシート製造装置に関し、多列シートから各列シートとしたときの各列シートの同期搬送を確実に行う。
【解決手段】元シートにそれぞれ同期孔が形成され、一体的に回転自在な搬送調整ローラ17に各列シートが搬送されてきたときに同期孔に嵌合するそれぞれ対応の可動ピン及び可動ピンの可動を検知するそれぞれのセンサ44を備えさせ、制御部21において、搬送される列シートの同期孔に搬送調整部の対応の可動ピンが嵌合する度に検知に応じて列搬送ローラ15の対応する列シート搬送を停止させ、当該搬送調整ローラ17の総ての可動ピンが総ての列シートの同期孔に嵌合したときに当該列搬送ローラ15による総ての列シートの搬送を開始させると共に、当該搬送調整ローラ17を回転させて可動ピンの嵌合を解除させる制御を行わせる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDなどの情報搭載部が多数列で形成された元シートから列毎にスリットカットして個片とし、当該個片の情報搭載ラベルを台紙上に所定数貼付させる情報搭載ラベルシート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、ICモジュールとアンテナを備えて非接触でデータ授受可能なRFIDメディアが安価となってICカードの他にラベルとして使用されることも一般化してきている。このようなRFIDをラベルとして多数貼付したシートとして出荷する際に、複数列のRFIDインレットが形成されたインレットロールから列毎にスリットカットして、後に個片のRFIDラベルに断裁するもので、個片とするときに各列の位置状態を同期させる必要がある。
【0003】
従来、例えば、RFIDラベルシートを製造する際に、インレットロールを、生産効率を向上させるためにRFIDインレットを所定間隔で形成させ、これを複数列に形成させることが例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、多重ラベルの製造装置に関して、仮着シート上に第1のラベルを長手方向に列になって並び続くように、複数連続して仮着し、且つ、当該第1のラベルの列を該仮着シートの幅方向に複数列形成し、これをスリッタなどにより第1のラベルの列を一列に断裁した後に個片とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−240302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような製造装置においては、複数列の仮着シートから1列毎に断裁して並列に搬送すると各列が広がりをみせ、このことにより列毎に異なる経路長で進むこととなる。例えば、中の列に対して両側で位置される列が遅く進むこととなり、場合によってはラベル半個分ずれることもあって、その後の断裁加工に影響を及ぼすこととなる。そのために、センサなどにより各列のずれを検知し、個別に引張するニップローラ等の機構を制御することによって同期させることも考えられるが、この場合にセンサで検知した結果を反映して各列の位置を調整しても、制御動作の応答性が悪いために同期させることができなかったり、シート基材の伸びなどが影響して位置合わせしたい加工工程で精度を出すことができないという問題を生じる。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、多列シートから各列シートとしたときの各列シートの同期搬送を確実に行う情報搭載ラベルシート製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、情報搭載部が基体上に所定間隔に形成され、これらが多列に形成された連続状の元シートがスリッタにより列毎の列シートとされ、当該列シート毎に位置同期手段で位置調整させた後に断裁機構で個片毎の情報搭載ラベルとさせて台紙上に貼着させる情報搭載ラベルシート製造装置であって、前記元シートに、後に列シートとなるときの列毎の同じ位置にそれぞれ同期孔が形成されたものであり、前記位置同期手段は、シート搬送順に、列シート毎に対応した弛み吸収部、列シート毎に搬送、停止を行う列搬送部、搬送調整部を有すると共に、少なくとも列搬送部及び搬送調整部を制御する制御部を有し、前記搬送調整部は、一体的に回転自在であり、前記各列シートが搬送されてきたときに前記同期孔に嵌合するそれぞれ対応の可動ピン、及び、当該可動ピンが可動したことを検知するそれぞれのセンサを備え、前記制御部は、搬送される列シートの同期孔に前記搬送調整部の対応の可動ピンが嵌合したことの検知に応じて前記列搬送部の対応する列シート搬送を停止させて前記弛み吸収部で弛みを吸収させ、当該搬送調整部の総ての可動ピンが総ての列シートの同期孔に嵌合したときに当該列搬送部による総ての列シートの搬送を開始させると共に、当該搬送調整部を回転させて可動ピンの嵌合を解除させる制御を行う構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、元シートにそれぞれ同期孔が形成され、一体的に回転自在な搬送調整部に各列シートが搬送されてきたときに同期孔に嵌合するそれぞれ対応の可動ピン、及び、当該可動ピンが可動したことを検知するそれぞれのセンサを備えさせ、制御部において、搬送される列シートの同期孔に搬送調整部の対応の可動ピンが嵌合したことの検知に応じて列搬送部の対応する列シート搬送を停止させて弛み吸収部で弛みを吸収させ、当該搬送調整部の総ての可動ピンが総ての列シートの同期孔に嵌合したときに当該列搬送部による総ての列シートの搬送を開始させると共に、当該搬送調整部を回転させて可動ピンの嵌合を解除させる制御を行わせる構成とすることにより、各列シートの同期孔に対応の可動ピンが嵌合する度に当該列シートの搬送を停止させ、総ての可動ピンが嵌合したときに搬送を開始させることで総ての列シートを同期させることとなって、多列シートから各列シートとしたときの各列シートの同期搬送を確実に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るRFIDラベルシート製造装置の概略構成図である。
【図2】図1のインレットロールに関する説明図である。
【図3】図1の搬送調整ローラとインレットロールと関係の説明図である。
【図4】図1の搬送調整ローラによる搬送調整動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。本実施形態では、情報搭載部をインレットとすると共に、情報搭載ラベルをRFIDラベルとし、一例として6列のインレットロールから同じ配列のRFIDラベルシートを作製する場合として示す。なお、情報搭載ラベルとして、RFIDラベルであることに限らず、例えばバーコードや多次元コード(情報搭載部)が形成されたラベルを製造する場合においても適用することができるものである。また、本実施形態の図示は、理解を容易とするために実際寸法を無視して示している。
【0011】
図1に、本発明に係るRFIDラベルシート製造装置の概略構成図を示す。図1(A)において、RFIDラベルシート製造装置11は、図2で説明するロール形態の連続状のインレットロール12が繰り出しローラ12Aによって送り出される。繰り出しローラ12Aの下流にはスリッタ13、第1送りローラ14、弛み吸収部であるダンサローラ15、列搬送部である列搬送ローラ16、搬送調整部である搬送調整ローラ17及び第2送りローラ17Aが配置される。少なくとも、ダンサローラ15、列搬送ローラ16、搬送調整ローラ17及び第2送りローラ17Aと、後述の制御手段(21)とにより位置同期手段が構成される。
【0012】
また、第2送りローラ17Aの下流には、個片インレット断裁部18及びラベル貼付部19が配置されて、単一のRFIDラベルを順次接着剤が塗布された台紙22上に貼付させる。そして、繰り出しローラ12Aとスリッタ13との間にRFID読取検査部20が配置されるものであり、また、制御部21を備える。
【0013】
上記スリッタ13は、図2で説明する情報搭載部であるインレットが基体上に所定間隔に形成され、これらが多列(本実施形態では6列)に形成されたインレットロールを列毎に断裁して列シート(図3(A)参照)とする。上記第1送りローラ14は、各列シートをダンサローラ15側に搬送するもので、総ての列シートをそのまま搬送し、常時回転状態とされる。
【0014】
上記列搬送ローラ16は、列シート毎に対応したものであり、個別に搬送、停止を行う。上記ダンサローラ15は、列搬送ローラ16での列シートに対応した搬送、停止を行わせるときの弛みを吸収させるためのものである。上記搬送調整ローラ17は、図1(B)に示すように、回転シャフト41により一体的に回転自在であり、上記断裁された列シート毎にそれぞれ対応してローラ外周上で軸方向に設けられたした可動ピン17−1〜17−6を備える。
【0015】
具体的には、図1(C)の断面図に示されるように、ローラ胴部42内にピン可動領域43が形成され、当該ピン可動領域43内にセンサ44−1(44−2〜44−6)が設けられ、コイルバネ45を介在させて可動ピン17−1(17−2〜17−6)が設けられる。例えば、可動ピン17−1が内部に押し込まれている状態のときにセンサ44−1は非検知状態とする。このような搬送調整ローラ17は、例えばローラ胴部42を6分割してそれぞれにピン可動領域を形成して可動ピン、コイルバネ及びセンサを設けた後に接着して組み立てることにより作製することができる。
【0016】
上記第2送りローラ17Aは各列シートを個片インレット断裁部18に送り出すための搬送ローラであり、各列シート全部を一体的に搬送駆動されるものであってもよく、列シート毎に搬送、停止を後述の制御部21でされて駆動させるものであってもよい。搬送停止された列シートに無用な引張力を加えないためには列搬送ローラ16と同じ制御することが望ましい。
【0017】
上記個片インレット断裁部18は、インレット断裁上刃23とインレット断裁下刃24とにより構成され、6列1段で同時に回転断裁によって個片インレットとさせる。当該インレット断裁下刃24はRFIDラベルを個々に吸引保持する機構である。
【0018】
断裁後の個片インレットは、良品であるか、不良品であるかの情報に基づいて制御部(21)がインレット断裁下刃24の吸引が制御され、良品の個片インレットのみが吸引保持され、不良品と判定されたRFIDラベルの場合には吸引保持されずに不良インレット回収部25に回収させる。
【0019】
インレット断裁下刃24に吸引保持された個片インレットは、当該インレット断裁下刃24の回転でインレット貼付部19の反転機構31を介してラベル貼付機構32に移送され、当該ラベル貼付機構32によって台紙22に仮着されることでRFIDラベルとなる。当該台紙22は、剥離剤と接着剤とが順に塗布されたものである。
【0020】
上記RFID読取検査部20は、インレットロール12上の各RFIDのインレットを6列1段で同時に読み取り検査を行って良品か不良品かの判定を行い、判定結果を後述の制御部(21)に送出する。上記制御部21は、当該装置全体を統括的に制御するもので、そのうち、本発明に係る位置同期手段を構成する列搬送ローラ16及び搬送調整ローラ17を駆動調整する。
【0021】
具体的には、搬送される列シートの同期孔に搬送調整ローラ17の対応の可動ピン17−Xが嵌合する度に、センサ検知に応じて列搬送ローラ15−Xの対応する列シート搬送を停止させて弛み吸収部15で弛みを吸収させ、当該搬送調整ローラ17の総ての可動ピン17−1〜17−6が総ての列シートの同期孔に嵌合したときに当該列搬送ローラ16(各図番は図示されていないが16−1〜16−6となる)による総ての列シートの搬送を開始させると共に、当該搬送調整ローラ17を回転させて可動ピン17−1〜17−6の嵌合を解除させる制御を行うものである。
【0022】
ここで、図2に図1のインレットロールに関する説明図を示すと共に、図3に図1の搬送調整ローラとインレットロールと関係の説明図を示す。図2(A)において、インレットロール12は、6列でRFIDであるインレット51が所定間隔で形成されたものであり、また、後に列シート52−1〜52−6となるときの列毎の同じ位置にそれぞれ同期孔53が形成されたものである。
【0023】
上記インレットロール12は、図2(B)及び図3(A)に示すように、スリッタ13により各列シート52−1〜52−6とされ、第1送りローラ14、ダンサローラ15、列搬送ローラ16(16−1〜16−6)を介して搬送調整ローラ17と当接された状態で搬送される。
【0024】
すなわち、図3(B)に示すように、可動ピン17−1を例として、当該可動ピン17−1が搬送されてくる列シート52−1と当接し、同期孔53が存在しないところでは当該可動ピン17−1はピン可動領域43の内部に押し込まれた状態となる。このときにはセンサ44−1は非検知である。そして、図3(C)に示すように、列シート52−1の搬送で可動ピン17−1の位置に同期孔53が位置したときには当該可動ピン17−1が同期孔53に嵌合し、この状態をセンサ44−1が検知して検知信号を制御部21に送出するものである。
【0025】
そこで、図4に、図1の搬送調整ローラによる搬送調整動作の説明図を示す。まず、上記図3(A)に示すようにスリッタ13で各列シート52−1〜52−6とされて搬送されると当該各列シートが広がりをみせ、中の列に対して両側で位置される列が遅く進むこととなる。このような状態で、各列シートの搬送位置の同期をとるもので、搬送調整ローラ17は、制御部21の回転制御により、各可動ピン17−1〜17−6が下向きの位置、すなわち各列シート52−1〜52−6にそれぞれ当接した状態とされ、各可動ピン17−1〜17−6はそれぞれローラ胴部42内に押し込まれた状態とされる。
【0026】
この状態で、図4(A)に示すように、図3(A)の列シート52−3が他より先んじて進み、当該列シート52−3に形成された同期孔53が可動ピン17−3の位置に搬送されたときに当該可動ピン17−3が同期孔53にコイルバネ45の付勢力で嵌合する。この可動ピン17−3の動作がセンサ44−3で検知され、その検知信号が制御部21に送出される。
【0027】
制御部21は、当該列シート52−3に対応する列搬送ローラ16(16−3)の搬送を停止させる。他の列シートに対応する列搬送ローラは搬送が持続され、他の列シートにおいて可動ピンが同期孔53に嵌合する度に、順次対応の列搬送ローラ16による搬送を停止させる。
【0028】
そして、図4(B)に示すように、総ての可動ピン17−1〜17−6が対応の同期孔53に嵌合したときに、総ての列に対応する列搬送ローラ16の搬送を開始すると共に、搬送調整ローラ17を、列シートの搬送方向に回転させることで各可動ピン17−1〜17−6の対応の同期孔53に対する嵌合を解除させる。このように搬送停止、搬送開始を行わせることでスリッタ13で断裁された各列シート52−1〜52−6を同期搬送させることで位置調整を行うものである。
【0029】
なお、搬送調整ローラ17の解除のための回転は、可動ピン17−1〜17−6の位置を上向きの位置(各列シート52−1〜52−6と当接しない位置)までとしてもよく、別に、ちょうど1回転させて各可動ピン17−1〜17−6を各列シート52−1〜52−6に当接させた状態として次の同期を行う位置(同期孔53が形成された位置)まで維持させてもよいものである。
【0030】
このように、各列シート52−1〜52−6のそれぞれに形成された同期孔53に対応の可動ピン17−1〜17−6が嵌合したときに、嵌合した順に当該列シートの搬送を停止させ、総ての可動ピン17−1〜17−6が嵌合したときに搬送を開始させることで総ての列シート52−1〜52−6が同期された状態となり、多列シートから各列シートとしたときの各列シートの同期搬送を確実に行うことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の情報搭載ラベルシート製造装置は、多列に情報搭載部が形成された元シートから各列シートにスリットカットして搬送させる製造装置の産業分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
11 RFIDラベルシート製造装置
12 インレットロール
12A 繰り出しローラ
13 スリッタ
14 第1送りローラ
15 ダンサローラ
16 列搬送ローラ
17 搬送調整ローラ
17−1〜17−6 可動ピン
17A 第2送りローラ
18 個片インレット断裁部
19 ラベル貼付部
20 RFID読取検査部
21 制御部
22 台紙
23 インレット断裁上刃
24 インレット断裁下刃
25 不良インレット回収部
31 反転機構
32 ラベル貼付機構
41 回転シャフト
42 ローラ胴部
43 ピン可動領域
44 検出部
45 コイルバネ
51 インレット
53 同期孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報搭載部が基体上に所定間隔に形成され、これらが多列に形成された連続状の元シートがスリッタにより列毎の列シートとされ、当該列シート毎に位置同期手段で位置調整させた後に断裁機構で個片毎の情報搭載ラベルとさせて台紙上に貼着させる情報搭載ラベルシート製造装置であって、
前記元シートに、後に列シートとなるときの列毎の同じ位置にそれぞれ同期孔が形成されたものであり、
前記位置同期手段は、シート搬送順に、列シート毎に対応した弛み吸収部、列シート毎に搬送、停止を行う列搬送部、搬送調整部を有すると共に、少なくとも列搬送部及び搬送調整部を制御する制御部を有し、
前記搬送調整部は、一体的に回転自在であり、前記各列シートが搬送されてきたときに前記同期孔に嵌合するそれぞれ対応の可動ピン、及び、当該可動ピンが可動したことを検知するそれぞれのセンサを備え、
前記制御部は、搬送される列シートの同期孔に前記搬送調整部の対応の可動ピンが嵌合したことの検知に応じて前記列搬送部の対応する列シート搬送を停止させて前記弛み吸収部で弛みを吸収させ、当該搬送調整部の総ての可動ピンが総ての列シートの同期孔に嵌合したときに当該列搬送部による総ての列シートの搬送を開始させると共に、当該搬送調整部を回転させて可動ピンの嵌合を解除させる制御を行うことを特徴とする情報搭載ラベルシート製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71333(P2013−71333A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212511(P2011−212511)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】