説明

情報案内装置、情報案内方法、情報案内プログラムおよび記録媒体

【課題】矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内すること。
【解決手段】撮像部102によって移動体の前方を撮像する。ついで、認識部103によって、撮像部102によって撮像された撮像画像から矢印信号機の点灯状態を認識する。ついで、認識部103によって認識された矢印信号機の点灯状態、および記憶部101に記憶された地図情報に基づいて、案内部105によって矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内する。このとき、設定部104によって経路が設定されている場合、交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを併せて案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内する情報案内装置、情報案内方法、情報案内プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCDカメラなどによって車両の前方を撮像し、このCCDカメラによって撮像された画像から信号機を認識し、認識された信号機の画像から、点灯している色を判定する走路環境認識装置が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−149195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、信号機に矢印信号機が設置されている場合、たとえば、点灯している矢印が示す方向の道路が通行可能であるにも関わらず、信号機において赤色灯が点灯していると、点灯している矢印が示す方向の道路を通行不可能として判定してしまうという問題がある。これによって、利用者は、点灯している矢印が示す方向の道路を通行してよいか否か困惑して、走行に支障をきたすという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる情報案内装置は、移動体の前方を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像画像から矢印信号機の点灯状態を認識する認識手段と、交差点での前記矢印信号機の有無の情報および当該矢印信号機により通行可能となる道路情報を含む地図情報を記憶する記憶手段と、前記認識手段で認識された前記矢印信号機の点灯状態および前記地図情報に基づいて、当該矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内する案内手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項9の発明にかかる情報案内方法は、移動体の前方を撮像する撮像工程と、前記撮像工程の撮像画像から矢印信号機の点灯状態を認識する認識工程と、前記認識工程で認識された前記矢印信号機の点灯状態と、交差点での前記矢印信号機の有無の情報および当該矢印信号機により通行可能となる道路情報を含む地図情報と、に基づいて、当該矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内する案内工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、請求項10の発明にかかる情報案内プログラムは、請求項9に記載の情報案内方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項11の発明にかかる記録媒体は、請求項10に記載の情報案内プログラムをコンピュータに読み取り可能な状態で記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報案内装置、情報案内方法、情報案内プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
(情報案内装置の機能的構成)
まず、この発明の実施の形態にかかる情報案内装置100の機能的構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる情報案内装置の機能的構成を示すブロック図である。
【0011】
図1において、情報案内装置100は、記憶部101と、撮像部102と、認識部103と、設定部104と、案内部105とを備えている。記憶部101は、交差点での矢印信号機の有無の情報および矢印信号機により通行可能となる道路情報を含む地図情報を記憶する。ここで、地図情報は、ノードおよびリンクからなる道路ネットワークデータと、施設や道路その他地形(山、川、土地)に関するフィーチャを用いて描画される画像データとを含んでいる。地図情報は、文字情報、施設の名称や住所などの情報、道路や施設の画像などを含んでいてもよい。
【0012】
撮像部102は、移動体の前方を撮像する。撮像部102は、たとえば、移動体のダッシュボード付近に搭載されたカメラなどによって、移動体の前方を撮像する。また、撮像部102は、常に移動体の前方を撮像してもよいし、移動体が矢印信号機のある交差点に接近した場合に、移動体の前方の撮像を開始してもよい。具体的には、たとえば、移動体の現在位置が、矢印信号機から所定距離以内の場合に、移動体の前方の撮像を開始する。
【0013】
認識部103は、撮像部102によって撮像された撮像画像から矢印信号機の点灯状態を認識する。認識部103は、たとえば、撮像画像を画像処理することにより、矢印信号機の点灯状態を認識する。認識部103は、たとえば、矢印信号機の矢印が点灯しているか否かの状態を認識する。さらに、認識部103は、矢印信号機のどの方向の矢印が点灯しているかの状態を認識してもよい。この場合、矢印の方向で通行可能な道路または方向を認識してもよい。ここで、矢印信号機の矢印の方向は、たとえば右折を示す矢印のみの場合もあるし、直進・左折・右折を示す矢印のように複数の矢印からなる場合もある。
【0014】
また、認識部103は、撮像画像から矢印信号機および矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態を認識する。矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態の認識は、青色灯、黄色灯、赤色灯のいずれかが点灯しているかの状態を認識する。さらに、認識部103は、撮像部102によって撮像された撮像画像から、交差点での矢印信号機の有無の情報を取得してもよい。
【0015】
設定部104は、経路を設定する。設定部104は、たとえば、移動体の利用者によって選択された目的地点の位置情報と、移動体の現在位置を示す位置情報と、に基づいて、移動体の現在位置から目的地点までの経路を設定する。
【0016】
案内部105は、たとえば、地図情報を表示する表示画面や音声を出力するスピーカを備えている。案内部105は、認識部103で認識された矢印信号機の点灯状態および地図情報に基づいて、矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内する。また、案内部105は、音声のみによって案内してもよい。
【0017】
案内部105は、認識部103で認識された矢印信号機および矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態および地図情報に基づいて、矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内する。具体的には、たとえば、信号機が青色灯の状態で、矢印信号機のいずれの矢印も点灯していない場合、信号機によって通行可能なすべての道路または方向を案内する。なお、この場合、一方通行により進入禁止の道路または方向は除くこととする。また、たとえば、信号機が赤色灯の状態で、矢印信号機において右折を示す方向の矢印が点灯している場合、矢印信号機のある交差点における右折先の道路または方向のみを案内する。
【0018】
案内部105は、矢印信号機が存在する交差点周辺の地図を表示するとともに、地図に含まれる道路のうちの通行可能な道路を区別可能に表示する。具体的には、たとえば、表示画面に、地図に含まれる道路のうちの通行可能な道路のみを、他の道路とは異なる色で表示したり、異なる太さで表示したりする。また、案内部105は、地図における矢印信号機が存在する交差点の地点近傍に矢印信号機の点灯状態を示すマークを表示してもよい。具体的には、たとえば、表示画面に、地図における矢印信号機が存在する交差点の地点近傍に、矢印信号機の点灯している矢印の方向を示すアイコンなどを適時表示する。さらに、案内部105は、矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を、音声で案内してもよい。この場合、たとえば、表示画面に地図を表示してもよいし、表示しなくてもよい。
【0019】
また、案内部105は、設定部104によって経路が設定されている場合、矢印信号機により、矢印信号機が存在する経路上の交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを案内する。通行予定道路は、たとえば、設定部104によって設定された経路における、移動体の現在位置よりも先の道路である。なお、案内部105は、矢印信号機により交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを案内するとともに、矢印信号機が存在する経路上の交差点での通行可能な道路または方向を案内してもよい。この場合、進行予定道路または方向と、通行可能な道路または方向とは、表示方法が異なっていてもよい。また、たとえば、進行予定道路が右折先の道路の場合で、矢印信号機の右折を示す方向の矢印が点灯していない場合でも、矢印信号機が設置されている信号機が青色灯の場合は、右折先の道路が進行可能であると案内してもよい。
【0020】
(情報案内装置の情報案内処理手順)
つぎに、情報案内装置100の情報案内処理手順について説明する。図2は、情報案内装置の情報案内処理手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、まず、撮像部102によって移動体の前方を撮像する(ステップS201)。ステップS201においては、たとえば、移動体の現在位置が矢印信号機のある交差点から所定距離以内の場合に、撮像部102によって移動体の前方の撮像を開始する。
【0021】
ついで、認識部103によって、撮像部102によって撮像された撮像画像から矢印信号機の点灯状態を認識する(ステップS202)。ステップS202においては、矢印信号機とともに、矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態を認識してもよい。
【0022】
ついで、認識部103によって認識された矢印信号機の点灯状態および地図情報に基づいて、案内部105によって矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内して(ステップS203)、一連の処理を終了する。ステップS203において地図情報は、記憶部101に記憶されており、交差点での矢印信号機の有無の情報および矢印信号機により通行可能となる道路情報を含んでいる。また、交差点での矢印信号機の有無の情報は、ステップS201において撮像された撮像画像から取得してもよい。
【0023】
なお、ステップS203においては、ステップS202において矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態を認識した場合、矢印信号機および矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態および地図情報に基づいて、案内部105によって矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内する。
【0024】
また、ステップS203においては、案内部105によって矢印信号機が存在する交差点周辺の地図を表示するとともに、地図に含まれる道路のうち通行可能な道路を区別可能に表示してもよい。また、ステップS203においては、地図における矢印信号機が存在する交差点の地点近傍に矢印信号機の点灯状態を示すマークを表示してもよい。また、ステップS203においては、通行可能な道路または方向を音声で案内してもよい。
【0025】
さらに、ステップS203においては、設定部104において経路が設定されている場合、案内部105によって矢印信号機により交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを案内してもよい。また、矢印信号機により交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを案内するとともに、矢印信号機が存在する経路上の交差点での通行可能な道路または方向を案内してもよい。この場合、通行予定道路または方向と、通行可能な道路または方向とを、異なる表示方法で表示してもよい。
【0026】
上述したように、本実施の形態にかかる情報案内装置100によれば、認識部103で認識された矢印信号機の点灯状態、および記憶部101に記憶された地図情報に基づいて、案内部105によって矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内することができる。したがって、矢印信号機が存在する交差点において、矢印が点灯していることにより通行可能となった道路または方向を適時案内することができる。これによって、利用者は、たとえば、5差路などの分岐が多く分かりづらい交差点や、夜間や雨天時など視界が悪い場合でも、矢印信号機によって通行可能となった道路または方向を案内されるため、通行可能な道路または方向を間違えることなく、安全に交差点を通行することができる。
【0027】
また、本実施の形態にかかる情報案内装置100によれば、認識部103によって認識された矢印信号機および矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態および地図情報に基づいて、案内部105によって矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内することができる。したがって、矢印信号機のみでなく、矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態を認識することができる。これによって、利用者は、矢印信号機の存在する交差点における通行可能な道路または方向をすべて案内されることができるため、さらに通行可能な道路または方向を間違えることなく、より安全に交差点を通行することができる。
【0028】
また、本実施の形態にかかる情報案内装置100によれば、移動体が矢印信号機のある交差点に接近した場合に、撮像部102によって移動体の前方の撮像を開始することができる。したがって、たとえば、交差点から所定距離以内になるまでは、カメラを起動しないことができる。これによって、利用者は、交差点から所定距離以内になるまでは、カメラの有する他の機能をさせておくことができる。
【0029】
また、本実施の形態にかかる情報案内装置100によれば、案内部105によって、矢印信号機が存在する交差点周辺の地図を表示するとともに、地図に含まれる道路のうちの通行可能な道路を区別可能に表示することができる。これによって、利用者は、矢印信号機によって通行可能な道路または方向を、確実に確認することができる。したがって、利用者は、表示画面を注視する必要がないため、安全に走行をおこなうことができる。
【0030】
また、本実施の形態にかかる情報案内装置100によれば、案内部105によって、地図における矢印信号機が存在する交差点の地点近傍に矢印信号機の点灯状態を示すマークを表示することができる。これによって、利用者は、次の交差点が矢印信号機の存在する交差点か否か、矢印信号機によって通行可能な道路または方向がどの方向かを確認することができる。したがって、利用者は、表示画面を注視する必要がないため、安全に走行をおこなうことができる。
【0031】
また、本実施の形態にかかる情報案内装置100によれば、設定部104によって設定された経路上の矢印信号機により交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを案内することができる。したがって、矢印信号機が存在する交差点において、目的地点までの経路が通行可能か否かを利用者に案内することができる。これによって、利用者は、通行予定道路または方向が通行可能か否かの情報を、正確に確認することができるため、安全に経路を走行することができる。
【0032】
また、本実施の形態にかかる情報案内装置100によれば、案内部105によって、矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向、もしくは、矢印信号機により交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを、音声で案内することができる。これによって、利用者は、たとえば運転中など、表示画面を視認できない場合でも、音声によって通行予定道路または方向が通行可能か否かの情報を、正確に確認することができるため、安全に経路を走行することができる。
【実施例】
【0033】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、たとえば、車両(四輪車、二輪車を含む)などの移動体に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明の情報案内装置を実施した場合の一例について説明する。
【0034】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
つぎに、本実施例にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、音声I/F(インターフェース)308と、マイク309と、スピーカ310と、入力デバイス311と、映像I/F312と、ディスプレイ313と、通信I/F314と、GPSユニット315と、各種センサ316と、カメラ317と、を備えている。各構成部301〜317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0035】
まず、CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、データ更新プログラム、点灯状態認識プログラム、通行可能道路・方向判断プログラム、経路探索プログラム、通行可能経路案内プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
【0036】
点灯状態認識プログラムは、カメラ317によって撮像された車両の前方の撮像画像を解析して、車両の前方の交差点に矢印信号機があるか否かを認識させる。そして、矢印信号機において矢印が点灯しているか否か、点灯している矢印の方向がどの方向かを認識させる。また、矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態を認識させてもよい。なお、点灯状態認識プログラムは、磁気ディスク305および光ディスク307などの記録媒体に記録された地図データに基づいて、車両の前方の交差点に矢印信号機があるか否かを認識させてもよい。
【0037】
通行可能道路・方向判断プログラムは、点灯状態認識プログラムによって認識された点灯状態と、磁気ディスク305および光ディスク307などの記録媒体に記録された地図データと、に基づいて、矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を判断させる。たとえば、信号機において青色灯が点灯していて、矢印信号機の矢印が点灯していない場合、交差点におけるすべての道路または方向が通行可能であると判断させる。また、信号機において赤色灯が点灯していて、矢印信号機の右方向の矢印が点灯している場合、交差点における右折先の道路または右方向が通行可能であると判断させる。
【0038】
経路探索プログラムは、車両の利用者が所望する目的地点までの経路を探索させる。経路探索プログラムは、利用者によって指定された目的地点の位置情報と、後述するGPSユニット315などの情報から算出される車両の現在位置を示す情報と、に基づいて、車両の現在位置から目的地点までの経路を探索させる。
【0039】
通行可能経路案内プログラムは、経路探索プログラムによって探索された経路上に、矢印信号機が存在する場合、この交差点からの通行予定道路または方向が、通行可能道路・方向判断プログラムによって判断された通行可能な道路または方向か否かを判断させる。そして、通行予定道路または方向が、通行可能な道路または方向か否かの情報をスピーカ310やディスプレイ313から出力させる。具体的には、たとえば、「100m先に交差点があります。現在、右折可能です。右折してください。」といった音声情報などを出力させる。
【0040】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0041】
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0042】
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データや機能データが挙げられる。地図データは、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを含んでおり、地区ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。なお、地図データや機能データは、フラッシュROMや持ち運び可能なメモリーカードなどの記録媒体に記録されていてもよいし、たとえば後述する通信I/F314によって接続されるネットワーク上の、たとえばサーバなどに記録されていてもよい。
【0043】
道路形状データは、さらに交通条件データを有する。交通条件データには、たとえば、各ノードについて、信号や横断歩道などの有無、高速道路の出入り口やジャンクションの有無、各リンクについての長さ(距離)、道幅、進行方向、道路種別(高速道路、有料道路、一般道路など)などの情報が含まれている。
【0044】
機能データは、地図上の施設の形状をあらわす3次元データ、当該施設の説明をあらわす文字データ、その他地図データ以外の各種のデータである。地図データや機能データは、地区ごとあるいは機能ごとにブロック分けされた状態で記録されている。具体的には、たとえば、地図データは、各々が、表示画面に表示された地図において所定の地区をあらわすように、地区ごとにブロック分けすることができる状態で記録されている。また、たとえば、機能データは、各々が、1つの機能を実現するように、機能ごとに複数にブロック分けすることができる状態で記録されている。
【0045】
また、機能データは、上述した3次元データや文字データに加えて、経路探索、所要時間の算出、経路誘導などを実現するプログラムデータなどの機能を実現するためのデータである。地図データおよび機能データは、それぞれ、地区ごとあるいは機能ごとに分けられた複数のデータファイルによって構成されている。
【0046】
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、たとえば、車両のサンバイザー付近に設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。なお、マイク309から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク305あるいは光ディスク307に記録可能である。
【0047】
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
【0048】
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、たとえば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
【0049】
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313には、上述した地図データが、2次元または3次元に描画される。ディスプレイ313に表示された地図データには、ナビゲーション装置300を搭載した車両の現在位置をあらわすマークなどを重ねて表示することができる。車両の現在位置は、CPU301によって算出される。
【0050】
ディスプレイ313としては、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを用いることができる。ディスプレイ313は、たとえば、車両のダッシュボード付近に設置される。ディスプレイ313は、車両のダッシュボード付近のほか、車両の後部座席周辺などに設置するなどして、車両において複数設置されていてもよい。
【0051】
通信I/F314は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU301とのインターフェースとして機能する。通信I/F314は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU301とのインターフェースとしても機能する。
【0052】
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F314は、たとえば、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置、およびその他のナビゲーション装置によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。また、通信I/F314は、たとえば、DSRC(Dedicated Short Range Communication)を用いた場合は、路側に設置された無線装置と双方向の無線通信をおこなう車載無線装置によって構成され、交通情報や地図情報など各種情報を取得する。なお、DSRCの具体例としては、ETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)が挙げられる。
【0053】
GPSユニット315は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット315の出力情報は、後述する各種センサ316の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0054】
各種センサ316は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ316の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0055】
カメラ317は、車両内部あるいは外部の映像を撮像する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ317によって車両内部の搭乗者の挙動を撮像し、撮像した映像を映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力する。また、カメラ317によって車両外部の状況を撮像し、撮像した映像を映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力する。また、カメラ317は、赤外線カメラ機能を有しており、赤外線カメラ機能を用いて撮像された映像情報に基づいて車両内部に存在する物体の表面温度の分布を相対的に比較することができる。また、記録媒体に出力された映像は、上書き記録や保存がおこなわれる。
【0056】
図1に示した情報案内装置100が備える記憶部101、撮像部102、認識部103、設定部104、案内部105は、図3に示したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0057】
すなわち、実施例のナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300における記録媒体としてのROM302に記録されている情報案内プログラムを実行することにより、図1に示した情報案内装置が備える機能を、図2に示した情報案内処理手順で実行することができる。
【0058】
(ナビゲーション装置の処理の内容)
つぎに、ナビゲーション装置300の処理の内容について説明する。図4は、ナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、まず、目的地点までの経路を設定する(ステップS401)。そして、GPSユニット315などから車両の現在位置を示す情報を取得する(ステップS402)。
【0059】
ついで、ステップS402において取得された車両の現在位置が、矢印信号機のある交差点から所定距離以内になるまで待って(ステップS403:Noのループ)、矢印信号機のある交差点から所定距離以内になった場合(ステップS403:Yes)、カメラ317によって車両の前方の撮像を開始する(ステップS404)。
【0060】
ついで、ステップS404において撮像された撮像画像から、矢印信号機および矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態を認識する(ステップS405)。そして、信号機の青色灯が点灯しているか否かを判断して(ステップS406)、青色灯が点灯していると判断された場合(ステップS406:Yes)、交差点におけるすべての道路または方向を通行可能と判断する(ステップS407)。
【0061】
ステップS406において青色灯が点灯していないと判断された場合(ステップS406:No)、矢印信号機の矢印が点灯しているか否かを判断する(ステップS408)。
ステップS408において矢印信号機が点灯していない場合(ステップS408:No)、ステップS405に戻り、以降の処理を繰り返しおこなう。
【0062】
一方、ステップS408において矢印が点灯していると判断された場合(ステップS408:Yes)、どの方向の矢印が点灯しているか認識する(ステップS409)。そして、ステップS409において認識された矢印が示す道路または方向のみを通行可能と判断する(ステップS410)。
【0063】
ついで、ディスプレイ313に表示された地図上に、ステップS407またはステップS410において判断された通行可能な道路を区別可能に表示する(ステップS411)。さらに、地図における矢印信号機が存在する交差点の地点近傍に、ステップS405において認識された点灯状態を示すマークを表示する(ステップS412)。さらに、ステップS401において設定された経路上の、進行予定道路または方向が通行可能か否かを案内して(ステップS413)、一連の処理を終了する。
【0064】
なお、図4のフローチャートにおいては、ステップS403:Yesにおいて矢印信号機のある交差点から所定距離以内の場合に、ステップS404において車両の前方の撮像を開始するとしているが、これに限るものではない。具体的には、たとえば、常に車両の前方の撮像をおこなっていてもよい。すなわち、矢印信号機のある交差点から所定距離以内より前でも、車両の前方の撮像をおこなってもよい。
【0065】
また、図4のフローチャートにおいては、ステップS401において目的地点までの経路を設定するとしているが、これに限るものではない。具体的には、たとえば、ステップS401を省略し、経路を設定せずに処理を進めてもよい。また、この場合、さらに、ステップS413を省略することとする。
【0066】
また、図4のフローチャートにおいては、ステップS411において通行可能な道路を区別可能に表示し、ステップS412において点灯状態を示すマークを表示するとしているが、これに限るものではない。具体的には、たとえば、ステップS412およびステップS412の少なくともいずれかの処理をおこなえばよい。なお、ステップS412においては、マークを表示せず、点灯状態に応じて、地図上の道路の色を変更したり道路に付す色の幅を変更してもよい。すなわち、利用者が、通行可能な道路または方向と、矢印信号機の点灯状態と、通行予定道路または方向とを、区別可能な表示方法であればよい。
【0067】
さらに、図4のフローチャートにおいて示すナビゲーション装置300の処理は、たとえば、利用者からの操作によって、処理をおこなう指示が入力された場合のみ、実行する構成としてもよい。
【0068】
(表示の一例)
図5は、ディスプレイへの表示の一例について示す説明図である。図5においては、図4のフローチャートのステップS411において、通行可能な道路を区別可能に表示する表示の一例について説明する。図5に示すように、ディスプレイ313には、車両の現在位置を示すマーク501と、通行可能な道路502、503、504と、が表示されている。図5においては、たとえば、図4のステップS406:Yesにおいて、信号機の青色灯が点灯している場合、もしくはステップS408:Yesにおいて、直進、左折および右折を示す矢印が点灯している場合について示している。この場合、ディスプレイ313の地図上に、交差点から直進先の道路502、左折先の道路503、右折先の道路504が表示されることとなる。
【0069】
(表示の他の一例)
図6は、ディスプレイへの表示の他の一例について示す説明図である。図6においては、図4のフローチャートのステップS412において、点灯状態を示すマークを表示する表示の一例について説明する。図6に示すように、ディスプレイ313に、車両の現在位置を示すマーク601と、矢印信号機の点灯状態を示すマーク602と、通行可能な道路603と、が表示されている。図6においては、図4のステップS409において右折を示す矢印が点灯していると認識された場合について示している。この場合、ディスプレイ313の地図上における矢印信号機が存在する交差点の近傍に、矢印信号機の右折を示すマーク602が表示されることとなる。さらに、矢印信号機の点灯状態によって通行可能となる道路603を他の道路と区別可能に表示してもよい。さらに、進行予定道路が右折先の道路603の場合、たとえば、「次の交差点で右折してください。現在、右折可能です。」などの音声案内をスピーカ310から出力してもよい。
【0070】
以上説明したように、本発明の情報案内装置、情報案内方法、情報案内プログラム、および記録媒体によれば、ナビゲーション装置300において、矢印信号機および矢印信号機が設置された信号機の点灯状態を認識して、たとえば通行可能な道路をディスプレイ313の地図上に表示するなどして、利用者に案内することができる。これによって、利用者は、具体的には、5差路などの分岐が多く分かりづらい交差点や、夜間や雨天時など視界が悪い場合でも、矢印信号機によって通行可能な道路または方向を案内されるため、通行可能な道路または方向を間違えることなく、安全に交差点を通行することができる。
【0071】
また、たとえば、ナビゲーション装置300において、車両の現在位置が矢印信号機のある交差点から所定距離以内の場合に、カメラ317によって車両の前方の撮像を開始して、この撮像画像を解析して、矢印信号機および矢印信号機が設置された信号機の点灯状態を認識することができる。この場合、矢印信号機のある交差点から所定距離以内になるまでは、カメラ317を起動しないことができる。これによって、利用者は、矢印信号機のある交差点から所定距離以内になるまでは、カメラ317の有する他の機能、たとえばドライブレコーダ機能などをさせておくことができる。
【0072】
また、ディスプレイ313に通行可能道路502〜504、603を他の道路と区別可能に表示したり、矢印信号機の点灯状態を示すマーク602を表示することができる。このため、利用者は、表示画面を注視せずに、矢印信号機がある交差点における通行可能な道路を適時確認することができる。このため、利用者は、安全に走行をおこなうことができる。さらに、経路上の矢印信号機が存在する交差点において、適時、目的地点までの経路が通行可能か否かを利用者に案内することができる。これによって、利用者は、通行予定道路または方向が通行可能か否かの情報を、正確に確認することができるため、安全に経路を走行することができる。
【0073】
なお、本実施の形態で説明した情報案内方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータ、ワークステーション、携帯端末装置(携帯電話)などのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施の形態にかかる情報案内装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】情報案内装置の情報案内処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】ナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】ディスプレイへの表示の一例について示す説明図である。
【図6】ディスプレイへの表示の他の一例について示す説明図である。
【符号の説明】
【0075】
100 情報案内装置
101 記憶部
102 撮像部
103 認識部
104 設定部
105 案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の前方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像画像から矢印信号機の点灯状態を認識する認識手段と、
交差点での前記矢印信号機の有無の情報および当該矢印信号機により通行可能となる道路情報を含む地図情報を記憶する記憶手段と、
前記認識手段で認識された前記矢印信号機の点灯状態および前記地図情報に基づいて、当該矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内する案内手段と、
を備えることを特徴とする情報案内装置。
【請求項2】
前記認識手段は、前記撮像画像から前記矢印信号機および当該矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態を認識し、
前記案内手段は、前記認識手段で認識された前記矢印信号機および当該矢印信号機が設置されている信号機の点灯状態および前記地図情報に基づいて、当該矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内することを特徴とする請求項1に記載の情報案内装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記移動体が矢印信号機のある交差点に接近した場合に、前記移動体の前方の撮像を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の情報案内装置。
【請求項4】
経路を設定する設定手段をさらに備え、
前記案内手段は、前記矢印信号機により当該矢印信号機が存在する前記経路上の交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを案内することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報案内装置。
【請求項5】
前記案内手段は、前記矢印信号機により当該矢印信号機が存在する前記経路上の交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを案内するとともに、当該交差点での通行可能な道路または方向を案内することを特徴とする請求項4に記載の情報案内装置。
【請求項6】
前記案内手段は、前記矢印信号機が存在する交差点周辺の地図を表示するとともに、当該地図に含まれる道路のうちの前記通行可能な道路を区別可能に表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の情報案内装置。
【請求項7】
前記案内手段は、前記矢印信号機が存在する交差点周辺の地図を表示するとともに、当該地図における前記矢印信号機が存在する交差点の地点近傍に当該矢印信号機の点灯状態を示すマークを表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の情報案内装置。
【請求項8】
前記案内手段は、前記矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向、もしくは、当該矢印信号機により当該交差点からの進行予定道路または方向が通行可能であるか否かを、音声で案内することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の情報案内装置。
【請求項9】
移動体の前方を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程の撮像画像から矢印信号機の点灯状態を認識する認識工程と、
前記認識工程で認識された前記矢印信号機の点灯状態と、交差点での前記矢印信号機の有無の情報および当該矢印信号機により通行可能となる道路情報を含む地図情報と、に基づいて、当該矢印信号機が存在する交差点での通行可能な道路または方向を案内する案内工程と、
を含むことを特徴とする情報案内方法。
【請求項10】
請求項9に記載の情報案内方法をコンピュータに実行させることを特徴とする情報案内プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の情報案内プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−288179(P2009−288179A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143442(P2008−143442)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】