説明

情報検知装置および方法

【課題】
この発明は、基材に磁性材を付与し、該基材に励磁コイルから磁界を与えることにより磁性材による磁界変化を検知コイルで検知して、該磁性材に対応した基材の情報を検知する際に、励磁コイルの磁束方向と磁性材の長手方向とが略平行になるように励磁コイルを配置するとともに基材に磁性材を付与することにより、情報の検知精度を向上させた情報検知装置および方法を提供する。
【解決手段】
基材に磁性材を付与し、該基材に励磁コイルから磁界を与えることにより磁性材による磁界変化を検知コイルで検知して、磁性材に対応した基材の情報を検知する情報検知装置において、励磁コイルの磁束方向と磁性材の長手方向とが略平行になるように励磁コイルを配置するとともに基材に磁性材を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基材に磁性材を付与し、該基材に励磁コイルから磁界を与えることにより磁性材による磁界変化を検知コイルで検知して、該磁性材に対応した基材の情報を検知する情報検知装置および方法に関し、特に、励磁コイルの磁束方向と磁性材の長手方向とが略平行になるように励磁コイルを配置するとともに基材に磁性材を付与することにより、情報の検知精度を向上させた情報検知装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機密情報や個人情報等の漏洩防止、有価証券等の不正複写による偽造防止等、セキュリティ強化を目的とする種々の方法や装置が提供されている。
【0003】
有価証券等の偽造防止を目的として、例えば特定のパターンや赤外線吸収剤を含有する特殊インク等が潜像された特殊用紙を用いて有価証券等を作成することで、有価証券等の偽造を防止する方法が提案されている。
【0004】
この方法は、特殊用紙で作成された有価証券等がスキャナ(画像読取装置)や複写機等により複写された場合、特殊用紙に潜像された特定のパターン、特殊インク等が目視可能な状態で印刷され、複写物であることが識別されることで偽造が防止できるように構成されている。
【0005】
また、例えば、特許文献1には、カラーコピー機等による偽造や有価証券用紙自体の偽造を極めて困難にする偽造防止用紙およびそれを用いた有価証券の提案がなされており、特許文献2には、特定原稿の複写行為が行われても、必ず特定のパターンを付加できる画像処理装置及び方法が提案されている。
【0006】
上記特許文献1による提案は、パルプ繊維でなる紙基材に、メタメリックな色料を含有するインキが塗布された紙小片もしくは繊維片と、該メタメリックな色料を含有するインキと太陽光等通常光の下で同色相に見える通常色インキで着色された紙小片もしくは繊維片とが略同量漉き込まれた偽造防止用紙とすることで、カラーコピーされた有価証券類に色相が異なる2種の斑点状が現れ、偽造防止ができるように構成されている。
【0007】
また、上記特許文献2による提案は、原稿からの画像と転写材からの画像とを合わせて原稿の特定性を判定することで、特定性のある原稿の出力画像を必ず加工して出力し、本来複写されるべきでない特定原稿(例えば紙幣)が複写された場合に、複写した装置の所在地を限定する手がかりとすることができるように構成されている。
【特許文献1】特開2001−159094号公報
【特許文献2】特開平05−219351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1及び特許文献2に示される提案は、いずれも原稿や転写材、有価証券等の画像情報をスキャンする等の動作が必要であり、これらの動作を行うことなく有価証券等の不正複写を不可とする、もしくは特定原稿であるか否かを判定する方法や装置、偽造防止用紙等の提案が望まれる。
【0009】
そこで、本発明は、基材に磁性材を付与し、該基材に励磁コイルから磁界を与えることにより磁性材による磁界変化を検知コイルで検知して、該磁性材に対応した基材の情報を検知する際に、励磁コイルの磁束方向と磁性材の長手方向とが略平行になるように励磁コイルを配置するとともに基材に磁性材を付与することにより、情報の検知精度を向上させた情報検知装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、基材に磁性材を付与し、該基材に励磁コイルから磁界を与えることにより前記磁性材による磁界変化を検知コイルで検知して、前記磁性材に対応した基材の情報を検知する情報検知装置において、前記励磁コイルの磁束方向と前記磁性材の長手方向とが略平行になるように前記励磁コイルを配置するとともに前記基材に前記磁性材を付与したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記基材は、プリンタで所望の画像が印刷される印刷用紙若しくは複写機で所望の画像が複写される複写用紙であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記磁性材は、磁性材ワイヤーであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記検知コイルは、前記磁性材の磁化反転時の磁界変化を検出することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記検知コイルは、前記磁性材の磁歪振動による磁界変化を検出することを特徴とする。
【0015】
また、請求項6の発明は、基材に磁性材を付与し、該基材に励磁コイルから磁界を与えることにより前記磁性材による磁界変化を検知コイルで検知して、前記磁性材に対応した基材の情報を検知する情報検知方法において、前記励磁コイルの磁束方向と前記磁性材の長手方向とが略平行になるように前記励磁コイルを配置するとともに前記基材に前記磁性材を付与したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の情報検知装置および方法によれば、基材に磁性材を付与し、該基材に励磁コイルから磁界を与えることにより磁性材による磁界変化を検知コイルで検知して、磁性材に対応した基材の情報を検知する情報検知装置において、励磁コイルの磁束方向と磁性材の長手方向とが略平行になるように励磁コイルを配置するとともに基材に磁性材を付与したので、情報検知装置が基材に付与された磁性材を検知する際の基材の方向による誤検知が低減されると共に、磁性材に対応した基材の情報の検知精度が向上する。
【0017】
また、最小限の数の磁性材を基材に付与しても基材に付与された磁性材が高精度で検知されるので、磁性材が付与された基材の作製コストが低減できると共に、基材に付与された磁性材の存在確認を困難としてセキュリティー効果を高め、基材上に印刷された画像情報が磁性材の存在により劣化することを防止できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係わる情報検知装置および方法を複写機に適用した一例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明に係わる情報検知装置および方法は、機密情報や個人情報等の情報漏洩防止、あるいは文書管理等を目的として、例えば印刷装置や複写機、盗難防止装置等に適用され、機密情報等を印刷出力する場合は、予め磁性材が付与された基材(例えば印刷用紙)に印刷出力して文書管理を行い、あるいは機密情報等が印刷された用紙(例えば磁性材が付与された原稿や印刷物)が複写されようとした場合は、用紙に付与された磁性材を複写機に備えられた本発明に係わる情報検知装置が検知することで複写機の複写処理動作を禁止する制御を行う、あるいは機密情報等が印刷された用紙が不正に持ち出されようとした際には、盗難防止装置に備えられた本発明に係わる情報検知装置が検知して警報を発する等の不正持出し防止処理等を行うことで機密情報等が不正複写、もしくは不正持出しされることを防止し、機密情報の漏洩防止を可能とする。
【0020】
図1は、本発明に係わる情報検知装置100を備えた複写機10の概略図であり、図1(a)は複写機10を概略的に示したブロック図、図1(b)は、複写機10の概略的な斜視図である。
【0021】
図1(a)、(b)に示すように、複写機10は、複写機10のプラテンガラス14上に置かれた原稿1に複数の磁性材111、112、113、114が付与されている場合は、原稿1に付与された複数の磁性材111、112、113、114の少なくとも1つ以上を検知し、検知結果の信号を出力する情報検知装置100と、複写機10の全体を統括制御し、情報検知装置100の検知結果に基づき複写機10による原稿1の画像情報を複写する動作を禁止する複写動作禁止制御、もしくは複写動作の制御を行う制御部11と、プラテンガラス14上に置かれた原稿1に対して光を投光し、該投光した光が原稿1で反射した反射光を図示せぬ光電変換素子(例えば、CCD=Charge Cuople Device等)で受光して電気信号に変換し、光電変換素子で変換された電気信号に基づき原稿1に記録された画像を読み取る画像読取処理部12と、画像読取処理部12で読み取られた画像情報を用紙トレイ16から給紙された図示せぬ用紙へ印刷出力して排紙トレイ17へ排紙する画像生成処理部13を備えている。
【0022】
また、複写機10のプラテンカバー15の内部には、プラテンガラス14上に置かれた原稿1に付与された磁性材111、112、113、114の少なくとも1つ以上を検知するための情報検知装置100の励磁コイル101と検知コイル102とが配置されており、励磁コイル101からは所定の交番磁界が発信され、検知コイル102は、交番磁界や磁性材111、112、113、114から発せられる磁気パルス、電磁波等を受信する。
【0023】
なお、励磁コイル101及び検知コイル102は、円形状に形成されており、プラテンカバー15を閉じることでプラテンガラス14上に載置された原稿1の紙面と励磁コイル101及び検知コイル102がそれぞれ形成する各面とが対面するように配設されている。
【0024】
このように構成された複写機10で原稿1の画像を複写する際には、複写機10がプラテンガラス14上に縦もしくは横向き(用紙の方向)で置かれる原稿1が複写可または複写不可の何れの原稿であるかを識別し、複写可の原稿であれば複写指示を受けることで複写動作を行い、複写不可の原稿であれば複写禁止動作を行う。
【0025】
具体的には、複写機10のプラテンガラス14上に原稿1が例えば縦向き(複写機10が原稿1を走査する走査方向に対して)に置かれ、プラテンカバー15が閉じられて(図中の矢印方向)、図示せぬ複写開始ボタンが押下されると、複写機10の制御部11は、原稿1の複写動作に先立ち、情報検知装置100を起動させ動作させる。
【0026】
情報検知装置100が動作すると、励磁コイル101から所定の交番磁界が発信され、当該交番磁界をプラテンガラス14上の原稿1が受けることで、原稿1に付与された磁性材111、112、113、114が磁化反転時に急峻な磁気パルス、もしくは磁歪振動による電磁波を発する。
【0027】
各磁性材から発せられる磁気パルス、もしくは電磁波は、検知コイル102で受信され情報検知装置100により検知される。
【0028】
複写機10の制御部11は、情報検知装置100による原稿1の磁性材111、112、113、114の少なくとも1つ以上から発せられた磁気パルス、もしくは電磁波を検出することで原稿1が複写不可の原稿であることを認識し、「この原稿は複写不可です」等の複写禁止を示すメッセージまたは警告音等を出力するとともに複写処理動作の禁止制御を行う。
【0029】
また、交番磁界を受けた原稿1からの磁気パルス、もしくは電磁波が情報検知装置100により検知されない場合は、原稿1が複写可の原稿であると識別し、プラテンガラス14上に置かれた原稿1の画像情報を画像読取処理部12で読み取り、読み取った画像情報を用紙トレイ16から給紙される用紙上に印刷して排紙トレイ17へ排紙する。
【0030】
このように、複写機10は、プラテンガラス14上に置かれた原稿1の複写処理動作を行う前に、原稿1が複写可または複写不可のいずれの原稿であるかを識別し、識別結果に応じて複写動作、もしくは複写禁止動作の制御を行うので機密情報等の複写不可とする原稿が不用意に複写されることを防止すると共に、不要な複写処理動作を抑えて複写機10の省電力化を図ることができる。
【0031】
なお、情報検知装置100による原稿1の複写処理動作を行うか否かの判断は、原稿1がプラテンガラス14上に置かれた後、複写機10に対して複写開始指示後、もしくは複写開始指示前のどちらでもよく、特に限定されるものではない。
【0032】
また、複写不可とするような原稿に付与される磁性材の数や配置位置については本発明の要部であるので、詳細説明は、後述する。
【0033】
ここで、情報検知装置100の構成について図2を参照し説明する。
【0034】
図2は、本発明に係わる情報検知装置100の要部の構成を示すブロック図であり、情報検知装置100は、原稿に付与された磁性材に交番磁界を与え、当該交番磁界を磁性材が受けることで磁性材が磁化反転時に発する磁気パルスを検出するように構成されている。
【0035】
図2に示すように、情報検知装置100は、交流正弦波を生成し、所定の交番磁界を励磁コイル101を介して発信させる制御を行う励磁回路103と、励磁回路103で生成された交流正弦波に基づき所定の交番磁界を発信する励磁コイル101と、励磁コイル101から発信された所定の交番磁界と、当該交番磁界を原稿1が受けることで原稿1に付与された磁性材111、112、113、114がそれぞれ磁化され、これら磁性材が磁化反転により発する急峻な磁気パルスの少なくとも1つ以上を検知コイル102を介して検出する検知回路104と、検知回路104で検出された交番磁界の検出信号や各磁性材が発した磁気パルスの少なくとも1つ以上の検出信号を信号処理する信号処理部106と、信号処理部106で信号処理された情報に基づき原稿1に付与された磁性材の有無情報をビット出力するビット出力部107と、交番磁界の周期に応じたタイミングで交番磁界や磁気パルスを検知回路104が検知できるように励磁回路103と検知回路104とのタイミング制御を行うタイミング制御部105を備えている。
【0036】
このように構成された情報検知装置100は、例えば励磁回路103が周波数1kHzの交流正弦波の電流を励磁コイル101へ流す制御を行うことにより、周波数1kHzの交番磁界が励磁コイル101の形状(例えば円形状)に対応した所定の空間に発生する。
【0037】
タイミング制御部105は、励磁回路103で生成された周波数1kHzの電流の立ち上がり方向で電流値が0になる時間、すなわち電流の向きが負から正へ逆転する時の時間を検出し、この検出した時間に交番磁界の一周期に一回のタイミングで検知回路104へ基準信号を出力する。
【0038】
検知回路104は、タイミング制御部105から出力された基準信号のタイミングに基づき検知コイル102で受信された検出信号を検出する。
【0039】
信号処理部106は、例えば、検知回路104が検出した検出信号から交番磁界成分を除去し、交番磁界成分除去後の信号のうちの正の信号成分を増幅し、ノイズ成分を除去して磁性材が磁化反転時に発した磁気パルスに対応したパルス信号を検出する。
【0040】
信号処理部106で検出された検出パルス信号は、ビット出力部107へ出力され、ビット出力部107が検出パルス信号に基づき「1」または「0」の値で表現された磁性材の有無情報に変換し、複写機10の制御部11へ出力する。
【0041】
このように、情報検知装置100は、原稿1に対して交番磁界を与え、原稿1に付与された複数の磁性材が磁化反転時に発する磁気パルスの少なくとも1つ以上を検出することで原稿1に磁性材が付与されていることを検知し、検知結果を出力するように構成されている。
【0042】
しかしながら、原稿に交番磁界を与え、当該交番磁界を原稿に付与された磁性材が受けることで磁性材が磁化反転時に発する磁気パルスを検出する場合は、励磁コイルから発信された交番磁界の磁束方向と磁性材の磁化容易軸方向とに応じて磁性材が磁化反転時に発する磁気パルスの検出出力に差異があることから、原稿に付与された磁性材の検知精度をより向上させるためには励磁コイル及び検知コイルの形状や各コイルと磁性材との配置関係が重要な要素となる。
【0043】
図3は、情報検知装置100の励磁コイル101及び検知コイル102の形状と、各コイル101、102と原稿に付与される磁性材との配置位置による磁性材の磁気特性について示したものである。
【0044】
図3において、図3(a)は、励磁コイル101及び検知コイル102の形状と、各コイル101、102と原稿30に付与された複数の磁性材301、302、303、304、305、306との配置位置の一例を示す図であり、図3(b)は、励磁コイル101から発せられた磁界を受けることによる磁性材301、306の磁気特性を示す図、図3(c)は、励磁コイル101から発せられた磁界を受けることによる磁性材303、304の磁気特性を示す図、図3(d)は、励磁コイル101から発せられた磁界を受けることによる磁性材302、305の磁気特性を示す図である。
【0045】
図3(a)に示すように、原稿30に付与された磁性材301、302、303、304、305、306は、例えば、Fe−Co系アモルファス材の磁性材ワイヤーであり、プラテンカバー15を閉じてプラテンガラス14上に載置された原稿30の紙面と励磁コイル101及び検知コイル102が形成する各面とが対面した状態において、各磁性材が原稿30の短手方向もしくは長手方向の何れかと平行になるように配置されている。
【0046】
なお、磁性材ワイヤーは、磁性材ワイヤーの長さ方向に磁化容易軸を有しており、各磁性材301、302、303、304、305、306は、長さ及び線径が等しく、同一の保磁力H1を有する磁性材ワイヤーである。
【0047】
磁性材301と306は、励磁コイル101及び検知コイル102を原稿30の紙面上に垂直投影した励磁コイル101及び検知コイル102で形成される円(一点鎖線で示される円101、102。以下、「コイル投影円」と呼ぶ)上で、かつ当該コイル投影円の直径方向が原稿30の長手方向と平行となる位置に長手方向と平行に配置されている。
【0048】
このように配置された磁性材301と306は、励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と各磁性材301、306の磁化容易軸方向とがそれぞれ平行であり、かつ磁性材301と306が配置された位置での励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁界強度が大きいので、磁性材301と306は、励磁コイル101から発せられる交番磁界を受けて図3(b)に示されるような磁気履歴曲線310の磁気特性を示し、磁気履歴曲線310に対応した保磁力H1での磁束電圧が計測される。
【0049】
また、磁性材303と304は、コイル投影円の中心近傍に原稿30の長手方向もしくは短手方向と平行に配置されており、各磁性材303、304が配置された位置では励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と各磁性材301、306の磁化容易軸方向及び励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁界強度に対応して図3(c)に示されるような磁気履歴曲線320の磁気特性を示し、磁気履歴曲線320に対応した保磁力H1での磁束電圧が計測される。
【0050】
なお、磁気履歴曲線320は、磁気履歴曲線310と比べて保磁力H1での磁束電圧が小さく計測される。
【0051】
また、磁性材302と305は、コイル投影円上で、かつ当該コイル投影円の直径方向が原稿30の短手方向と平行となる位置に長手方向と平行に配置されている。
【0052】
各磁性材302と305が配置された位置での励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁界強度は大きいが、励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と各磁性材302、305の磁化容易軸方向とがそれぞれ垂直となるので、磁性材302と305は、励磁コイル101から発せられる交番磁界を受けて図3(d)に示されるような磁気履歴曲線330の磁気特性を示し、磁気履歴曲線330に示されるように保磁力H1での磁束電圧の計測は困難となる。
【0053】
次に、励磁コイル101から交番磁界を与えることで各磁性材301、302、303、304、305、306が付与された原稿30から検出される検出信号波形に基づく磁性材の検知方法について図4乃至図6を参照しながら詳細に説明する。
図4は、前述の図3で示した原稿30において、磁性材301、306が交番磁界を受けることで発する磁気パルスが検知されるまでを検出信号波形に対応させて示した図である。
【0054】
図4(a)は、原稿30に付与された磁性材301、306と励磁コイル101及び検知コイル102との配置位置を示す図、図4(b)は、励磁コイル101から発せられた交番磁界を受けることによる磁性材301、306の磁気特性を示す図、図4(c)は、検知コイル102を介して検知回路104で検出される検出信号波形400を示す図、図4(d)は、検知回路104で検出された検出信号波形400から信号処理部106による信号処理により検出された磁気パルスに対応したパルス信号を示す図である。
【0055】
前述の図3でも示したように、図4(a)に示される原稿30に付与された磁性材301と306は、励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と各磁性材301、306の磁化容易軸方向とがそれぞれ平行で、かつ励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁界強度が大きく与えられるように配置されているので、磁性材301と306は、励磁コイル101から発せられる交番磁界を受けて図4(b)に示すような磁気履歴曲線310の磁気特性を示し、保磁力H1を有する磁性材301、306は、磁界強度が略H1もしくは−H1になった交番磁界を受けることで磁化反転し、その際に急峻な磁気パルスをそれぞれ発する。
【0056】
交番磁界と、磁性材301、306が発する磁気パルスは、検知コイル102で受信され、検知回路104において、図4(c)に示すような検出信号波形400で検出される。
【0057】
検出信号波形400に示されるように、検出信号波形400には、交番磁界に対応して検出される交番磁界波形401と、保磁力H1を有する磁性材301、306が交番磁界の磁界強度が略H1もしくは−H1になった磁界を受けた際に磁化反転し、その時に発した急峻な磁気パルスと、その磁界強度に対応した検出出力のパルス信号A、Bが検出される。
【0058】
なお、パルス信号Aは、タイミング制御部105から出力された基準信号に基づき検出信号波形400の交番磁界の磁界強度が略H1になる時間t1の時に検出され、パルス信号Bは、検出信号波形400の交番磁界の磁界強度が略−H1になる時間t2の時に検出される。
【0059】
検知回路104で検出された検出信号波形400は、信号処理部106へ出力され、検出信号波形400のうちの交番磁界成分の信号波形401が除去されてパルス信号A、Bのうちの正の信号成分であるパルス信号Aが検出され、更に増幅されてノイズ成分除去後、図4(d)に示すような検出出力がV1の検出パルス信号Aが検出される。
【0060】
信号処理部106で検出された検出パルス信号Aは、ビット出力部107へ出力され、ビット出力部107が検出パルス信号Aに基づきビット情報に対応付けされて磁性材301、306の検知情報として出力される。
【0061】
なお、検出パルス信号Aが検出された場合は、原稿30に磁性材が付与されている旨を示す「1」、検出パルス信号Aが検出されなかった場合は、原稿30に磁性材が付与されていない旨を示す「0」のビット情報が出力される。
【0062】
図5は、原稿30に付与された磁性材303、304が交番磁界を受けることで発する磁気パルスが検知されるまでを検出信号波形に対応させて示した図である。
【0063】
図5(a)は、原稿30に付与された磁性材303、304と各コイル101、102との配置位置を示す図、図5(b)は、励磁コイル101から発せられた交番磁界を受けることによる磁性材303、304の磁気特性を示す図、図5(c)は、検知コイル102を介して検知回路104で検出される検出信号波形500を示す図、図5(d)は、検知回路104で検出された検出信号波形500から信号処理部106による信号処理により検出された磁気パルスに対応したパルス信号を示す図である。
【0064】
図5(a)に示される原稿30に付与された磁性材303と304は、各磁性材303、304が配置された位置での励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と各磁性材303、304の磁化容易軸方向と、励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁界強度に対応して図5(b)に示されるような磁気履歴曲線320の磁気特性を示し、保磁力H1を有する磁性材303、304は、磁界強度が略H1もしくは−H1になった交番磁界を受けることで磁化反転し、その際に急峻な磁気パルスをそれぞれ発する。
【0065】
交番磁界と、磁性材303、304が発する磁気パルスは、検知コイル102で受信され、検知回路104において、図5(c)に示すような検出信号波形500で検出される。
【0066】
検出信号波形500に示されるように、検出信号波形500には、交番磁界に対応して検出される交番磁界波形501と、保磁力H1を有する磁性材303、304が交番磁界の磁界強度が略H1もしくは−H1になった交番磁界を受けた際に磁化反転し、その時に発した急峻な磁気パルスと、その磁界強度に対応した検出出力のパルス信号C、Dが検出される。
【0067】
なお、パルス信号Cは、前述に示したパルス信号A(図4(c)参照)と同様にタイミング制御部105から出力された基準信号に基づき検出信号波形500の交番磁界の磁界強度が略H1になる時間t1の時に検出され、パルス信号Dは、検出信号波形500の交番磁界の磁界強度が略−H1になる時間t2の時に検出される。
【0068】
検知回路104で検出された検出信号波形500は、信号処理部106へ出力され、検出信号波形500のうちの交番磁界成分の信号波形501が除去されてパルス信号C、Dのうちの正の信号成分であるパルス信号Cが検出され、更に増幅されてノイズ成分除去後、図5(d)に示すような検出出力がV2の検出パルス信号Cが検出される。
【0069】
なお、検出パルス信号Cの検出出力V2は、検出パルス信号Aの検出出力V1と比べて小さな値で検出される。
【0070】
信号処理部106で検出された検出パルス信号Cは、ビット出力部107へ出力され、ビット出力部107が検出パルス信号Cに基づきビット情報に対応付けされて磁性材が検知された旨を示す「1」のビット情報に対応付けされて出力される。
【0071】
図6は、原稿30に付与された磁性材302、305が交番磁界を受けることで発する磁気パルスが検知されるまでを検出信号波形に対応させて示した図である。
【0072】
図6(a)は、原稿30に付与された磁性材302、305と各コイル101、102との配置位置を示す図、図6(b)は、励磁コイル101から発せられた磁界を受けることによる磁性材302、305の磁気特性を示す図、図6(c)は、検知コイル102を介して検知回路104で検出される検出信号波形600を示す図、図6(d)は、検知回路104で検出された検出信号波形600から信号処理部106による信号処理により検出された磁気パルスに対応したパルス信号を示す図である。
【0073】
図6(a)に示される原稿30に付与された磁性材323と305は、励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁界強度が大きく与えられるように配置されているが、励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と各磁性材302、305の磁化容易軸方向とがそれぞれ垂直となるので、磁性材302と305は、励磁コイル101から発せられる交番磁界を受けて図6(b)に示すような磁気履歴曲線330の磁気特性を示し、磁性材302、305は殆ど磁化されないので磁化反転時に発する磁気パルスも殆ど検出されない。
【0074】
したがって、検知回路104において検出される検出信号は、図6(c)に示すような検出信号波形600で検出され、殆ど交番磁界の波形信号601で検出される。
【0075】
検知回路104で検出された検出信号波形600は、信号処理部106へ出力され、検出信号波形600のうちの交番磁界成分の信号波形601が除去され、更に増幅されてノイズ成分除去後は、図6(d)に示すような検出出力が殆ど零の値で検出される。
【0076】
信号処理部106で検出結果は、ビット出力部107へ出力され、ビット出力部107が検出結果に基づき原稿30に磁性材が付与されていない旨を示す「0」のビット情報に対応付けされて出力される。
【0077】
このように、原稿に磁性材が付与されている場合であっても磁性材を検知する情報検知装置100の励磁コイル101及び検知コイル102の形状と、原稿に付与された磁性材と励磁コイル101及び検知コイル102との配置位置により情報検知装置100で検知される磁性材の検知精度が異なる。
【0078】
そこで、本発明に係わる磁性材が付与された基材および情報検知装置100においては、複写機10のプラテンガラス14上に縦もしくは横向き(用紙の方向)で置かれる原稿(基材)に対して機密情報等の原稿に付与された磁性材の有無を確実に検知できるように、情報検知装置100の励磁コイル101及び検知コイル102の形状と、原稿に付与された磁性材と励磁コイル101及び検知コイル102との配置位置との組み合わせにより原稿に付与された磁性材の検知精度をより向上させるような構成とした。
【0079】
図7は、複写機10のプラテンガラス14上に原稿が縦、横、表、裏の何れの方向で載置された場合であっても原稿に付与された磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大で検出されるように配置された複数の磁性材が付与された原稿31と、情報検知装置100の励磁コイル101及び検知コイル102との形状とその配置の一例を示す図である。
【0080】
なお、励磁コイル101及び検知コイル102を説明の便宜上、1本の一点鎖線で示す。
【0081】
図7に示すように、原稿31は、原稿31の短手方向の長さがa、長手方向の長さがbの大きさの用紙であり、情報検知装置100の励磁コイル101及び検知コイル102(一点鎖線で示される円)は、それぞれ直径がDの円形状のコイルである。
【0082】
励磁コイル101及び検知コイル102の配設位置は、原稿31を複写機10のプラテンガラス14上に横置き(図7に示した状態)に載置し、プラテンカバー15を閉じた際の各コイル101、102の中心位置が原稿31の紙面上に垂直投影した場合に原稿31の(a/2、a/2)の位置となるように配置されている。
【0083】
原稿31には、保磁力Hcを有する磁性材311、312、313、314、315、316、317、318が原稿31上の基準点(0、0)からの配置位置(X、Y)がそれぞれ磁性材311が((a−D)/2、a/2)、磁性材312が(a/2、(a−D)/2)、磁性材313が(a/2、(a+D)/2)、磁性材314が((a+D)/2、a/2)、磁性材315が(b−(a+D)/2、a/2)、磁性材316が(b−a/2、(a−D)/2)、磁性材317が(b−a/2、(a+D)/2)、磁性材318が(b−(a−D)/2、a/2)で算出される位置に配置され付与されている。
【0084】
各磁性材の配置位置は、各コイル101、102を原稿31の紙面上に垂直投影した円(一点鎖線で示されるコイル投影円101、102)上に磁性材311、312、313、314のうちの少なくとも1つ以上と、原稿31の長手方向を2等分する2等分線321を軸としてコイル投影円101、102を180度回転させて対称となるように紙面上に形成される仮想の円103、104(破線で示される円103、104。以下、「仮想円」と呼ぶ)上に配置された磁性材315、316、317、318のうちの少なくとも1つ以上とが配置付与されていることで、原稿31が複写機10のプラテンガラス14上に縦、横、表、裏の何れの方向で載置された場合であっても原稿31に付与された各磁性材のうちの何れかの磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大となるような磁気パルスを励磁コイル101からの交番磁界を受けることで発する。
【0085】
なお、コイル投影円101、102(一点鎖線で示される円)上に配置された磁性材311、312、313、314と、仮想円103、104(破線で示される円)上に配置された磁性材315、316、317、318は、原稿31の縦置き、横置きに対応して磁性材311、314、315、318が原稿31の長手方向に平行に配置され、磁性材312、313、316、317が原稿31の短手方向に平行にそれぞれ配置されており各磁性材は同じ長さである。
【0086】
原稿31に付与された各磁性材の配置位置に基づき原稿が複写機10のプラテンガラス14上に縦、横、表、裏の何れの方向で載置された場合であっても、原稿に付与された複数の磁性材のうちの何れかの磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大となる具体例を図8乃至図10を参照しながら詳細に説明する。
【0087】
図8は、前述の図7で示したコイル投影円101、102(一点鎖線で示される円)上に配置された磁性材311、312と、仮想円103、104(破線で示される円)上に配置された磁性材317、318とが付与された原稿32の一例を示す図である。
【0088】
なお、図8において、原稿32は、複写機10のプラテンガラス14上に横置された場合の基準となる表面、横置きの状態を示す図である。
【0089】
図8に示すように、各磁性材311、312、317、318は、前述の図7でも示したように、磁性材311が((a−D)/2、a/2)、磁性材312が(a/2、(a−D)/2)、磁性材317が(b−a/2、(a−D)/2)、磁性材318が(b−(a−D)/2、a/2)で示される原稿32上の所定の位置に配置付与されており、情報検知装置100の各コイル101、102の中心位置が原稿32の(a/2、a/2)の位置となるように配置されている。
【0090】
原稿32を例えばA4サイズの用紙とし、励磁コイル101及び検知コイル102の直径Dが「180」mmとすると、原稿32の短手方向の長さaが「210」mm、長手方向の長さbが「297」mm、原稿32の紙面上の磁性材311の配置位置(X、Y)が(15、105)、磁性材312が(105、15)、磁性材317が(192、195)、磁性材318が(282、105)で算出される。
【0091】
この原稿32を、複写機10のプラテンガラス14上に縦、横、表、裏のそれぞれの用紙方向で載置すると、図9に示すような励磁コイル101及び検知コイル102と各磁性材312、313、317、318の配置関係となる。
【0092】
図9は、磁性材311、312、317、318が付与された原稿32が複写機10のプラテンガラス14上に横向き、かつ表裏の各紙面の状態で置かれた場合の各磁性材と励磁コイル101及び検知コイル102との配置位置を示す図である。
【0093】
図9(a)は、図8で示した原稿32がプラテンガラス14上に横置された場合の基準となる表面、横置きの原稿32を示す図であり、図9(b)は、図9(a)で示した表面、横置きの原稿32(基準紙面)を180度回転させて長手方向と短手方向とのそれぞれが天地転倒した表面、横置きの原稿32を示す図、図9(c)は、図9(a)で示した表面、横置き(基準紙面)の原稿32を長手方向を軸として180度回転させて紙面を反転させた裏面、横置きの原稿32を示す図、図9(d)は、図9(a)で示した表面、横置きの原稿32(基準紙面)を短手方向を軸として180度回転させて紙面を反転させた裏面、横置きの原稿32を示す図である。
【0094】
また、図10(a)は、原稿32がプラテンガラス14上に縦置された場合の基準となる表面、縦置きの原稿32を示す図であり、図10(b)は、図10(a)で示した表面、縦置きの原稿32(基準紙面)を180度回転させて長手方向と短手方向とのそれぞれが天地転倒した表面、縦置きの原稿32を示す図、図10(c)は、図10(a)で示した表面、縦置き(基準紙面)の原稿32を長手方向を軸として180度回転させて紙面を反転させた裏面、縦置きの原稿32を示す図、図10(d)は、図10(a)で示した表面、縦置きの原稿32(基準紙面)を短手方向を軸として180度回転させて紙面を反転させた裏面、縦置きの原稿32を示す図である。
【0095】
図9(a)、(c)に示すように、表面、横置きの原稿32(基準紙面)(図9(a)参照)と、裏面、横置きの原稿32(図9(c)参照)とは、磁性材311、312が励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と磁性材311、312の磁性材の磁化容易軸方向とが平行で、かつ励磁コイル101から発せられる磁界強度が大きな交番磁界を受けるので、磁性材311、312が受けた交番磁界の磁界強度が略Hcもしくは−Hcになった時に磁性材311、312が磁化反転し、その際に検出出力が大きな急峻な磁気パルスを発し、その磁気パルスが情報検知装置100で検知される。
【0096】
また、図9(b)、(d)に示すように、表面、横置きの原稿32(図9(b)参照)と、裏面、横置きの原稿32(図9(d)参照)とは、磁性材317、318が励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と磁性材317、318の磁性材の磁化容易軸方向とが平行で、かつ励磁コイル101から発せられる磁界強度が大きな交番磁界を受けるので、磁性材317、318が受けた交番磁界の磁界強度が略Hcもしくは−Hcになった時に磁性材317、318が磁化反転し、その際に検出出力が大きな急峻な磁気パルスを発し、その磁気パルスが情報検知装置100で検知される。
【0097】
また、図10(a)、(c)に示すように、表面、縦置きの原稿32(基準紙面)(図10(a)参照)と、裏面、横置きの原稿32(図10(c)参照)とは、磁性材311、312が励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と磁性材311、312の磁性材の磁化容易軸方向とが平行で、かつ励磁コイル101から発せられる磁界強度が大きな交番磁界を受けるので、磁性材311、312が受けた交番磁界の磁界強度が略Hcもしくは−Hcになった時に磁性材311、312が磁化反転し、その際に検出出力が大きな急峻な磁気パルスを発し、その磁気パルスが情報検知装置100で検知される。
【0098】
また、図10(b)、(d)に示すように、表面、縦置きの原稿32(図10(b)参照)と、裏面、縦置きの原稿32(図10(d)参照)とは、磁性材317、318が励磁コイル101から発せられる交番磁界の磁束方向と磁性材317、318の磁性材の磁化容易軸方向とが平行で、かつ励磁コイル101から発せられる磁界強度が大きな交番磁界を受けるので、磁性材317、318が受けた交番磁界の磁界強度が略Hcもしくは−Hcになった時に磁性材317、318が磁化反転し、その際に検出出力が大きな急峻な磁気パルスを発し、その磁気パルスが情報検知装置100で検知される。
【0099】
このように、情報検知装置100の励磁コイル101及び検知コイル102が円形状の場合においては、原稿の長手方向と、短手方向の各長さと、励磁コイル及び検知コイルの各直径と、各コイルの原稿上の中心位置とに基づき特定される配置位置に複数の磁性材が付与された原稿を用いることで、原稿に付与された磁性材の検出出力が大きく検出され、磁性材の検知精度がより向上する。
【0100】
なお、前述の図8で示した原稿32では、4本の磁性材311、312、317、318が原稿32の所定の配置位置に付与されていることで、原稿32を表裏、縦横のいずれの用紙方向で載置されても磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大となる磁性材が常に2本存在するような構成例を示したが、原稿32の所定の位置に配置された磁性材311及び312の何れか1本と、磁性材317及び318の何れか1本が付与された原稿でも前述で示した原稿を表裏、縦横の何れの用紙方向で載置されても磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大となる磁性材が1本存在し、原稿に付与された磁性材を確実に検知することが可能である。
【0101】
また、図7で示した原稿31のように、8本の磁性材311、312、313、314、315、316、317、318の全てが付与されている場合は、原稿31を表裏、縦横のいずれの用紙方向で載置されても磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大となる磁性材が常に4本存在するので、原稿に付与された磁性材の検知精度がより向上する。
【0102】
このように各コイル101、102を原稿31の紙面上に垂直投影したコイル投影円(一点鎖線で示される円)101、102上に配置された磁性材311、312、313、314のうちの少なくとも1つ以上と、原稿31の長手方向を2等分する2等分線321を軸としてコイル投影円101、102を180度回転させた仮想円(破線で示される円)103、104上に配置された磁性材315、316、317、318のうちの少なくとも1つ以上とが配置付与されていることで、原稿31が複写機10のプラテンガラス14上に縦、横、表、裏の何れの方向で載置された場合であっても原稿31に付与された各磁性材のうちの何れかの磁性材が磁気パルスの検出出力が最大となるような磁気パルスを励磁コイル101からの交番磁界を受けることで発するので原稿に付与された磁性材を確実に検知することができる。
【0103】
また、情報検知装置100の励磁コイル101及び検知コイル102が円形状の場合においては、コイル投影円(一点鎖線で示される円)101、102上に当該円の直径方向と平行に磁性材を少なくとも1つ以上と、原稿上の仮想円(破線線で示される円)103、104上に当該円の直径方向と平行に磁性材を少なくとも1つ以上配置付与することで、原稿が複写機10のプラテンガラス14上に縦、横、表、裏の何れの方向で載置された場合であっても原稿に付与された各磁性材のうちの何れかの磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大となるような磁気パルスを励磁コイル101からの交番磁界を受けることで発するので原稿に付与された磁性材を確実に検知することができる。
【0104】
これまでは、本発明に係わる情報検知装置の励磁コイル及び検知コイルの形状が円形状の場合を想定して説明した。
【0105】
次に、長方形の形状をした励磁コイル及び検知コイルが2組配置された情報検知装置を想定して説明する。
【0106】
図11は、複写機10のプラテンガラス14上に原稿が縦、横、表、裏の何れの方向で載置された場合であっても原稿に付与された磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大で検出されるように配置された複数の磁性材が付与された原稿33と、情報検知装置200の励磁コイル121及び検知コイル122と、励磁コイル123及び検知コイル124との各形状の一例を示す図である。
【0107】
なお、図11においては、情報検知装置200及びその構成は、示されていないが、情報検知装置200は、図1で示した情報検知装置100の励磁コイル101及び検知コイル102を励磁コイル121及び検知コイル122と、励磁コイル123及び検知コイル124とに置き換え、励磁コイル121と励磁コイル123とが近接する各コイル側には同方向の磁界が形成されるような制御を行うように構成されており、その他の構成及び動作については磁性材検知100の動作と同様であるので情報検知装置200の構成及び動作の詳細は省略する。
図11に示すように、情報検知装置200の励磁コイル121、123及び検知コイル122、124(一点鎖線で示される長方形)は、長方形の形状をしており、励磁コイル121と検知コイル122及び励磁コイル123と検知コイル124とでそれぞれ組みを成して2組の励磁コイルと検知コイルとが複写機10のプラテンカバー15の内部に配置されている。
【0108】
なお、長方形状に形成された励磁コイル121、123及び検知コイル122、124は、プラテンカバー15を閉じることでプラテンガラス14上に載置された原稿33の紙面と各コイルが形成する各面とが対面するように配設されている。
【0109】
原稿33は、原稿33の長手方向を2等分する2等分線341と、原稿33の短手方向を2等分する2等分線342との交点Cの位置に磁性材332が原稿33の長手方向と平行で、かつ2等分線341が磁性材332を2等分するように配置されて付与され、磁性材331と333とが原稿33の短手方向とそれぞれ平行で、かつ2等分線341上に磁性材332を挟んで対向するように磁性材332の近傍に配置されて付与されている。
【0110】
なお、各磁性材の長さは同じであり、その長さは、励磁コイル121と励磁コイル123とが近接する各コイル側の励磁コイル121と励磁コイル123との離間距離よりも大きい。
【0111】
また、励磁コイル121と励磁コイル123、検知コイル122と検知コイル124とは、それぞれ各コイルを原稿33の紙面上に垂直投影した形状(一点鎖線で示される長方形)が2等分線341を軸としてそれぞれ対称となるように配置されて付与されている。
【0112】
図12は、前述の図11で示した磁性材331、332、333が付与された原稿33が複写機10のプラテンガラス14上に横向き、かつ表裏の各紙面の状態で置かれた場合の各磁性材と、励磁コイル121及び検知コイル122と励磁コイル123及び検知コイル124との配置位置を示す図である。
【0113】
図12(a)は、原稿33がプラテンガラス14上に横置された場合の基準となる表面、横置きの原稿33を示す図であり、図12(b)は、図12(a)で示した表面、横置きの原稿33(基準紙面)を180度回転させて長手方向と短手方向とのそれぞれが天地転倒した表面、横置きの原稿33を示す図、図12(c)は、図12(a)で示した表面、横置き(基準紙面)の原稿33を長手方向を軸として180度回転させて紙面を反転させた裏面、横置きの原稿33を示す図、図12(d)は、図12(a)で示した表面、横置きの原稿33(基準紙面)を短手方向を軸として180度回転させて紙面を反転させた裏面、横置きの原稿33を示す図である。
【0114】
また、図13(a)は、原稿33がプラテンガラス14上に縦置された場合の基準となる表面、縦置きの原稿33を示す図であり、図13(b)は、図13(a)で示した表面、縦置きの原稿33(基準紙面)を180度回転させて長手方向と短手方向とのそれぞれが天地転倒した表面、縦置きの原稿33を示す図、図13(c)は、図13(a)で示した表面、縦置き(基準紙面)の原稿33を長手方向を軸として180度回転させて紙面を反転させた裏面、縦置きの原稿33を示す図、図13(d)は、図13(a)で示した表面、縦置きの原稿33(基準紙面)を短手方向を軸として180度回転させて紙面を反転させた裏面、縦置きの原稿33を示す図である。
【0115】
図12(a)乃至(d)に示すように、原稿33が横置された場合は、原稿33の同一紙面において、180度回転させて原稿33の長手方向と短手方向とのそれぞれが天地転倒されて載置された場合もしくは原稿33の紙面が表裏の何れであっても、磁性材332が励磁コイル121、123から発せられる交番磁界の磁束方向と磁性材332の磁性材の磁化容易軸方向とが平行で、かつ励磁コイル121、123から発せられる磁界強度が大きな交番磁界を受けるので、磁性材332が受けた交番磁界の磁界強度が略Hcもしくは−Hcになった時に磁性材332が磁化反転し、その際に検出出力が大きな急峻な磁気パルスを発し、その磁気パルスが情報検知装置200で検知される。
【0116】
また、図13(a)、(d)に示すように、表面、縦置きの原稿33(基準紙面)(図13(a)参照)と、裏面、縦置きの原稿33(図13(d)参照)とは、各コイルに対する各磁性材の配置が同様となり、磁性材331が励磁コイル121、123から発せられる交番磁界の磁束方向と磁性材331の磁化容易軸方向とが平行で、かつ励磁コイル121、123から発せられる磁界強度が大きな交番磁界を受けるので、磁性材331が受けた交番磁界の磁界強度が略Hcもしくは−Hcになった時に磁性材331が磁化反転し、その際に検出出力が大きな急峻な磁気パルスを発し、その磁気パルスが情報検知装置200で検知される。
【0117】
また、また、図13(b)、(c)に示すように、表面、縦置きの原稿33(図13(b)参照)と、裏面、縦置きの原稿33(図13(c)参照)とは、各コイルに対する各磁性材の配置が同様となり、磁性材333が励磁コイル121、123から発せられる交番磁界の磁束方向と磁性材333の磁化容易軸方向とが平行で、かつ励磁コイル121、123から発せられる磁界強度が大きな交番磁界を受けるので、磁性材333が受けた交番磁界の磁界強度が略Hcもしくは−Hcになった時に磁性材333が磁化反転し、その際に検出出力が大きな急峻な磁気パルスを発し、その磁気パルスが情報検知装置200で検知される。
【0118】
以上の説明では、原稿に付与された磁性材に対して交番磁界を与え、磁性材が磁化反転時に発する磁気パルスの検出結果に基づき原稿に付与された磁性材を検知する情報検知装置100もしくは情報検知装置200を備えた複写機10の例について説明した。
【0119】
ここでは、原稿に付与された磁性材に対して交番磁界を与え、磁性材が磁歪振動することで発する電磁波の検出結果に基づき原稿に付与された磁性材を検知する情報検知装置300を複写機10に適用した場合について説明する。
【0120】
なお、複写機10の情報検知装置100もしくは200を情報検知装置300と置き換え、情報検知装置300で検知可能な磁性材が磁界を受けることで磁歪振動するような磁気特性を有する磁性材が原稿に付与されている他は、前述で説明した複写記10の構成及び動作と同様であるので、ここでは、情報検知装置300の構成及び情報検知装置300が原稿に付与された磁性材を検知する動作について詳細に説明する。
【0121】
図14は、情報検知装置300の要部の構成を示すブロック図である。
【0122】
図14に示すように、情報検知装置300は、原稿34に付与された磁性材411、412、413、414に所定の交番磁界を与え、各磁性材が磁歪振動により発する電磁波を検出することで、原稿34に付与された磁性材の存在有無を検知するように構成されている。
【0123】
なお、励磁コイル125から発信される交番磁界は、所定の低周波から所定の高周波へ順次変化し、所定の高周波に達したら再び所定の低周波から所定の高周波へ順次変化するような動作を繰り返すように構成されている。
【0124】
情報検知装置300の構成は、具体的には、励磁コイル125を介して低周波から高周波へ順次変化する所定の交番磁界を発信させるための制御を行う励磁回路203と、励磁コイル125から発信される所定の交番磁界を受けることで、原稿34に付与された磁性材が磁歪振動し、その際に発せられる電磁波を検知コイル126を介して電圧信号で検出する検知回路204と、検知回路204で検出された検出信号に基づき原稿34に付与された磁性材の有無情報をビット出力するビット出力部207と、励磁回路203及び検知回路204との周波数制御を行う周波数制御回路205を備えている。
【0125】
なお、周波数制御回路205は、励磁回路203で生成した交番磁界の周波数に対応して検知回路205の図示せぬバンドパスフィルター回路等の設定周波数を帯域制限等の制御動作を行う。
【0126】
このように構成された情報検知装置300は、例えば励磁回路203において、図示せぬ電圧制御発振回路(例えば、VCO=Voltage Controlled Oscillator等)に電圧を供与し、電圧制御発振回路で制御された電圧に応じた波形信号を生成し、生成された波形信号を電力増幅して励磁コイル125を介して低周波から高周波へ、もしくは高周波から低周波へ連続して直線的に変化する交番磁界を発信するような制御を行う。
【0127】
なお、ここでは、所定の低周波から所定の高周波へ連続して直線的に変化する交番磁界を間欠的に発信する。
【0128】
具体的には、所定の低周波の交番磁界を一定時間発信後、一定時間発信を停止し、次に高い所定周波数の交番磁界を一定時間発信後、一定時間発信を停止して順次同様な発信と発信停止を所定の高周波に達するまで繰り返す。
【0129】
そして、交番磁界の周波数が所定の高周波に達したら、再び所定の低周波から所定の高周波へ連続して直線的に変化する交番磁界の発信と発信停止の動作を繰り返す。
【0130】
このように励磁コイル125からは所定の低周波から所定の高周波へ連続して直線的に変化する交番磁界が間欠的に励磁コイル125から発信され、検知回路204は、各磁性材が交番磁界を受けて磁歪振動することで、原稿34に付与された磁性材が発する電磁波を検知コイル126を介して検出し、検出信号に基づき原稿34の磁性材の有無情報を「1」または「0」の値でビット出力する。
【0131】
具体的には、検知コイル126を介して検出された各磁性材のうちの少なくとも1つ以上の磁性材の磁歪振動により発せられる電磁波は、電圧信号の受信信号として検出され、検知回路204内の図示せぬバンドパスフィルター回路等で濾波され、図示せぬ増幅回路等で増幅されて原稿34に付与された磁性材の存在が検出信号としてビット出力部207へ出力される。
【0132】
ビット出力部207は、入力された検出信号に基づき「1」または「0」の値で表現されたビットの情報に変換し、複写機10の制御部11へ出力される。
【0133】
なお、ビット出力部207からは、原稿34に付与された磁性材が発した電磁波が検出された場合は、例えば「1」の値、検出されなかった場合は、例えば「0」の値で表現されて出力される。
【0134】
このように構成された情報検知装置300が原稿34に付与された各磁性材のうちの少なくとも1つ以上の磁性材を検知する動作について図15を参照しながら詳細に説明する。
【0135】
図15において、図15(a)は、磁性材411、412、413、414が付与された原稿34を示す図であり、図15(b)は、情報検知装置300の検知回路204で検出された原稿34に付与された各磁性材のうちの少なくとも1つ以上の磁性材が発する電磁波の検出信号の一例を示す図である。
図15(a)に示すように、原稿34には前述の図8で示した原稿32の各磁性材311、312、313、314の配置に対応した位置に磁性材411、412、413、414が付与されている。
【0136】
各磁性材411、412、413、414は、フェライトやアモルファス等の細い薄箔の磁性材で、外部から磁界を受けることで寸法変化を起こす、いわゆる磁歪特性を有している。
【0137】
各磁性材は、長さが等しく同一の共振周波数(例えばf1、詳細は後述する)を有している。
【0138】
このような各磁性材に対して低周波から高周波へ、もしくは高周波から低周波へ順次変化する所定の交番磁界を与えると、各磁性材は、特定の周波数の交番磁界を受けた時に最も大きく磁歪振動する。
【0139】
また、各磁性材が最も大きく磁歪振動する交番磁界の周波数は、各磁性材の大きさや形状等に対応した保磁力よって異なり、各磁性材の大きさや形状等に応じてそれぞれ固有の周波数(以下、「共振周波数」という。)を有する。
【0140】
また、逆に各磁性材が磁歪振動することで、各磁性材が寸法変化を起こし、各磁性材から電磁波が発せられる。
【0141】
このようなことから、各磁性材が付与された原稿34に対して磁性材固有の共振周波数に対応した交番磁界を与えると、交番磁界の磁束の向きと、磁性材の磁化容易軸方向とが平行に配置されている磁性材が最も大きく磁歪振動し、当該磁性材が発する電磁波を検出することで原稿34に付与された各磁性材のうちの何れかの磁性材の存在を検出することができる。
【0142】
具体的には、交番磁界を受けて最も大きく磁歪振動する共振周波数がf1の磁性材が励磁コイル125を介して発せられる所定の低周波から所定の高周波へ順次変化する交番磁界を受けると、交番磁界の周波数がf1近傍の時に、当該磁性材が磁歪振動し、電磁波を発する。
【0143】
当該磁性材から発せられた電磁波は、検知コイル126を介して受信され、検知回路204により図15(b)に示すような検出信号Lで検出される。
【0144】
ビット出力部207は、検知回路204により検出された検出信号Lに基づき、例えば交番磁界の周波数がf1近傍での検出信号の有無の情報をビット情報に対応付けを行い、図15(b)に示すような検出信号Lが原稿34から検出された場合は、検出信号に基づきビット出力部207が交番磁界の周波数がf1近傍での検出信号が「有」で「1」の情報に対応付けを行い、原稿34に付与された磁性材の存在有無の検知結果を「1」のビット情報として出力する。
【0145】
なお、情報検知装置300は、所定の低周波から所定の高周波へ連続して直線的に変化する交番磁界を励磁コイル125を介して間欠的に発信し、交番磁界の発信が一時停止された一定時間内で磁性材411、412、413、414の磁歪振動により発する電磁波を検知コイル126を介して受信するので、励磁コイル125が検知コイル126を兼ねるような構成としてもよい。
【0146】
これまでは、情報検知装置100、200、300の励磁コイル101、121、123、125及び検知コイル102、122、124、126を複写機10のプラテンカバー15の内部に配置し、複写機10のプラテンガラス14上に置かれた原稿に付与された磁性材の検出出力が最大で検出できるような場合を想定して説明したが、励磁コイル及び検知コイルの配置位置は、情報検知装置100、200、300が適用される装置と用途に応じて励磁コイル及び検知コイルを最適位置に配設することで原稿に付与された磁性材の検出出力が最大で検出できるようになる。
【0147】
具体的には、図16の複合機20の場合を例に説明すると、図16に示すように図16(a)は、複合機20の概略の斜視図を示す図、図16(b)、(c)は、図16(a)に示した複合機20での励磁コイル127及び検知コイル128が配設される配置位置の拡大図をそれぞれ示しており、複合機20は、印刷装置と複写機の機能を備えている。
【0148】
この複合機20は、原稿の画像を読み取る際には、複合機20のプラテンガラス204上(図16(b)参照)に原稿を載置して複写する方法と、原稿挿入口202(図16(a)参照)から挿入された原稿を原稿移動経路に沿って移動させながら原稿の画像を読み取り、複写する方法とが可能なように構成されており、複合機20のプラテンカバー内に情報検知装置100、200、300の励磁コイル127及び検知コイル128を配設し、プラテンガラス204上に置かれた原稿、もしくは原稿挿入口202から挿入された原稿に付与された磁性材の検出出力が最大で検出できるような構成としてもよい。
【0149】
原稿に付与された磁性材が励磁コイル127からの交番磁界を受けて磁化反転時に発する磁気パルスもしくは磁歪振動により発する電磁波は、検知コイル128で受信され、前述で説明した情報検知装置100、200、300の検知動作と同様に検知される。
【0150】
また、複合機20の排紙トレイ204の下面に励磁コイル127及び検知コイル128を配設し(図16(c)参照)、機密情報等を磁性材が付与された用紙に印刷し、複合機20により印刷出力された印刷物が排紙トレイ204に排紙されることで印刷物に付与された磁性材の検出出力を最大で検出できるような構成としてもよい。
【0151】
この場合は、排紙トレイ204上に蓄積されていた印刷物のうちの磁性材が検知されていた印刷物が排紙トレイ204から取り出されることで、磁性材が検知されなくなり、その際に通知音を発して機密情報等が印刷された印刷物が排紙トレイ204から取り出されたことを通知することで不用意に許可されてない者によって機密情報の印刷物が持ち出されることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明に係わる情報検知装置100を備えた複写機10の概略図
【図2】情報検知装置100の要部の構成を示すブロック図
【図3】原稿に付与された磁性材と励磁コイル101及び検知コイル102との配置位置による磁性材の磁気特性を示す図
【図4】磁性材301、306が発する磁気パルスの検出信号波形を示す図
【図5】磁性材303、304が発する磁気パルスの検出信号波形を示す図
【図6】磁性材302、305が発する磁気パルスの検出信号波形を示す図
【図7】原稿に付与された磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大で検出されるように原稿に付与される磁性材の配置位置と、各コイルの形状及び配置位置を示す図
【図8】原稿に付与された磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大で検出されるように4本の磁性材が付与された原稿32示す図である。
【図9】原稿32を横置きした場合の紙面(表裏)に対応した各コイルと4本の磁性材との位置関係を示す図
【図10】原稿32を縦置きした場合の紙面(表裏)に対応した各コイルと4本の磁性材との位置関係を示す図
【図11】各コイル形状が長方形で2組配置されている場合での磁性材が発する磁気パルスの検出出力が最大で検出される原稿33に付与された磁性材の配置位置を示す図
【図12】原稿33を横置きした場合の紙面(表裏)に対応した各コイルと3本の磁性材との位置関係を示す図
【図13】原稿33を縦置きした場合の紙面(表裏)に対応した各コイルと3本の磁性材との位置関係を示す図
【図14】情報検知装置100とは他の磁歪振動する磁気特性を有する磁性材を検知する情報検知装置200の要部の構成を示すブロック図
【図15】磁歪振動する磁性材411、412、413、414が発する電磁波の検出信号波形を示す図
【図16】複合機20に適用された情報検知装置100、200の各コイルの配置位置の一例を示す図
【符号の説明】
【0153】
1、30、31、32、33、34 原稿
10 複写機
11 制御部
12 画像読取処理部
13 画像生成処理部
14 プラテンガラス
15、201 プラテンカバー
16 用紙トレイ
17、204 排紙トレイ
20 複合機
100、200、300 情報検知装置
202 原稿挿入口
203 原稿排紙トレイ
101、121、123、125、127 励磁コイル
102、122、124、126、128 検知コイル
111、112、113、114、301、302、303、304、305、306、311、312、313、314、315、316、317、318、331、332、333 磁性材(大バルグハウゼン効果の磁気特性を有する)
103、203 励磁回路
104、204 検知回路
105 タイミング制御部
106 信号処理部
310 磁気履歴曲線(磁性材301、306)
320 磁気履歴曲線(磁性材303、304)
330 磁気履歴曲線(磁性材302、305)
341 原稿33の長手方向の垂直2等分線
342 原稿33の短手方向の垂直2等分線
401、501、601 交番磁界信号波形
400 検出信号波形(磁性材301、306)
500 検出信号波形(磁性材303、304)
600 検出信号波形(磁性材302、305)
411、412、413、414 磁性材(磁歪振動の磁気特性を有する)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に磁性材を付与し、該基材に励磁コイルから磁界を与えることにより前記磁性材による磁界変化を検知コイルで検知して、前記磁性材に対応した基材の情報を検知する情報検知装置において、
前記励磁コイルの磁束方向と前記磁性材の長手方向とが略平行になるように前記励磁コイルを配置するとともに前記基材に前記磁性材を付与した
ことを特徴とする情報検知装置。
【請求項2】
前記基材は、
プリンタで所望の画像が印刷される印刷用紙若しくは複写機で所望の画像が複写される複写用紙である
ことを特徴とする請求項1記載の情報検知装置。
【請求項3】
前記磁性材は、
磁性材ワイヤーである
ことを特徴とする請求項1または2記載の情報検知装置。
【請求項4】
前記検知コイルは、
前記磁性材の磁化反転時の磁界変化を検出する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報検知装置。
【請求項5】
前記検知コイルは、
前記磁性材の磁歪振動による磁界変化を検出する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報検知装置。
【請求項6】
基材に磁性材を付与し、該基材に励磁コイルから磁界を与えることにより前記磁性材による磁界変化を検知コイルで検知して、前記磁性材に対応した基材の情報を検知する情報検知方法において、
前記励磁コイルの磁束方向と前記磁性材の長手方向とが略平行になるように前記励磁コイルを配置するとともに前記基材に前記磁性材を付与した
ことを特徴とする情報検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−195891(P2006−195891A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9143(P2005−9143)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】