情報機器の入力装置
【課題】情報機器本体の姿勢を変えることにより、情報機器に入力される情報を指定できるユーザインターフェイスを実現し、つまみやボタン類でなく、情報機器全体を操作対象として操作性を向上させる。
【解決手段】情報を表示するディスプレイ3を設けた保持部4と、この保持部4に対して揺動機構部6を介して揺動可能に設けたストラップ取り付け部5と、このストラップ取り付け部5に取り付けられユーザの首に引っ掛けることにより保持部4を懸垂するストラップ2とを有する情報機器1であって、揺動機構部6にストラップ取り付け部5に対する保持部4の姿勢変化を検出する姿勢変化検出手段10〜15を設け、姿勢変化検出手段10〜15で検出されたストラップ2に作用する張力方向に対する保持部4の姿勢変化の情報に基づいて、情報機器1に入力される情報が指定されるように構成した。
【解決手段】情報を表示するディスプレイ3を設けた保持部4と、この保持部4に対して揺動機構部6を介して揺動可能に設けたストラップ取り付け部5と、このストラップ取り付け部5に取り付けられユーザの首に引っ掛けることにより保持部4を懸垂するストラップ2とを有する情報機器1であって、揺動機構部6にストラップ取り付け部5に対する保持部4の姿勢変化を検出する姿勢変化検出手段10〜15を設け、姿勢変化検出手段10〜15で検出されたストラップ2に作用する張力方向に対する保持部4の姿勢変化の情報に基づいて、情報機器1に入力される情報が指定されるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報機器保持部の姿勢を変えることによって情報機器に入力する情報を指定するマルチモーダル・ユーザインターフェイス技術に係り、特に視覚、触覚、聴覚を総合的に利用してユーザ操作を補助する小型で比較的簡単な機構で実現することのできる情報機器の入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の情報機器において、情報機器を身体に装着する技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載のものが公知である。すなわち、特許文献1記載のものは、情報機器に取り付けたストラップをユーザが首に引っ掛けるようにして取り付け、首から懸垂された情報機器のスイッチ類を手指で操作することにより、情報機器に内蔵される音楽情報等のコンテンツをストラップの途中から引き出したイヤホンで聴くことができるように構成されている。また、特許文献2に記載の技術は、手首に情報機器を腕時計のような使用状態で装着するものであり、ベース部と、ベース部にヒンジを介して設けた表示部を備えた保持部とからなり、表示部をベース部に対して第1の回転軸と第2の回転軸の回りに揺動させることにより、表示部の角度を調整して視認性を高め、タッチパネルとしての表示部へのペン入力が行い易くなるようにしている。
【特許文献1】特開2001−117591号公報
【特許文献2】特開2002−229675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の情報機器は、音楽情報の音量調整等の操作をキートップ等のスイッチ類を操作することで行うが、小型化している機器のスイッチは小さく、その小さなスイッチを本体に対して相対的に動かすことは難しく、その操作性が煩わしい。また、特許文献1は音楽情報等の音量調整のためにだけ使用されるもので、例えば、情報機器にディスプレイを設け、これに各種のメニューを表示させたりするような形態の情報機器の場合にあっては、スイッチ類あるいはボタン類といった入力手段の設置数が多くなりがちで、その操作性はますます面倒になる問題がある。また、上記特許文献2にあっては、第1の回転軸と第2の回転軸で構成されるタッチパネルの角度調整機構は、単にタッチパネルの角度を調整することにより表示画面を見やすくし、これによりペン入力の入力操作を行い易くなるようにしだけの構成を有するものに過ぎず、タッチパネルの角度変化に関連づけられた姿勢変化の情報を情報機器に指定して入力される情報とするようにしたものではない。
【0004】
本発明は、上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの首に引っ掛けたストラップで懸垂した音楽情報端末機、タッチパッドやタッチディスプレイ、あるいは折り畳み式の携帯端末機といった情報機器の本体部そのものを操作して、ストラップの張力方向に対する本体部の姿勢の変化に基づいて、細かなスイッチを操作しなくとも正確に多様の指示を情報機器に入力することのできる情報機器の入力装置を提供することを目的とする。また大きな面積を持つ画像やインターネットのページを縮小せずに小さなディスプレイに表示する場合には、画像やページの一部しか表示できないため、全体を把握するためには表示する範囲を上下左右にスクロールして継時的に見て行く必要がある。日常生活の中では、大きな画像を小さな覗き窓で覗く際に、覗き窓を動かしたり捻って視野を変え、覗き窓から見える範囲を変えながら、大きな画像全体を継時的に見て行くが、本発明では、この覗き窓の操作に近い要領で、ディスプレイを備えた本体部を動かしたり捻る操作によって、あたかも外界に静止している広大な画像の一部を覗いているような感覚で画面をスクロールする方式を与え、直感的なスクロール操作を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、次のような手段を講ずることとした。すなわち、本発明に係わる情報機器の入力装置は、必要に応じて情報を表示するディスプレイを設け、手指で持って姿勢を変える保持部と、この保持部に対して揺動機構部を介して揺動可能に設けたストラップ取り付け部と、このストラップ取り付け部に取り付けられユーザの首に引っ掛けることにより前記保持部を懸垂するストラップとを有する情報機器であって、揺動機構部または保持部またはストラップ取り付け部に、ストラップ取り付け部に対する保持部の姿勢変化を検出する姿勢変化検出手段を設け、姿勢変化検出手段で検出されたストラップに作用する張力方向に対する保持部の姿勢変化の情報に基づいて、情報機器に入力される情報が指定されるように構成されたことを特徴とする。
【0006】
これによれば、ユーザが自身の首に引っ掛けたストラップを介して情報機器を懸垂し、この懸垂された情報機器を介してストラップに張力を作用させた状態で、そのときの張力方向と、ストラップ取り付け部に対して揺動される保持部の姿勢変化との関係に基づく保持部の姿勢変化の情報を、情報機器に指定して入力することができる。換言ずれば、ストラップに結合されたストラップ取り付け部に対して揺動機構部を介して保持部の姿勢を変化することで、情報機器への入力情報を指定することができる。そのため、本発明によれば、小さなつまみ、スイッチ、ボタン等のスイッチ類によることなく、ユーザが情報機器をストラップで懸垂した状態で、情報機器全体を操作対象として入力情報を情報機器へインプットでき、操作性に優れた情報機器を得ることができるようになる。
【0007】
この場合、ストラップは、その張力方向に最も効果的に力を及ぼし得ること、ストラップの伸びる方向を回転軸とする回転運動に対しては容易によじれてしまうこと、したがってそのような回転運動に対しては効果的な力を及ぼしえないこと、等を考慮して、保持部に加えられる操作を最適に検出し得るように、揺動機構及び姿勢変化検出手段を構成しなければならない。そのため、本発明では、前記ストラップがストラップ取り付け部の1箇所にだけ取り付けられる場合には、前記揺動機構部は、前記ストラップの張力方向に対して略直交する方向に延びる第1軸と、この第1軸の方向と前記ストラップの張力方向の夫々に対して略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持する構成とした。あるいは、前記ストラップの両端が前記ストラップ取り付け部の2箇所に離れて取り付けられる場合には、前記揺動機構部は、この2箇所を結ぶ直線の方向に対して略直交する方向に延びる第1軸と、この第1軸に略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持する構成とした。
【0008】
さらに前記ストラップの両端が前記ストラップ取り付け部の2箇所に離れて取り付けられる別の構成例の場合には、前記揺動機構部は、この2箇所を結ぶ直線の方向に対して略平行する方向に延びる第1軸と、この第1軸に略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持する構成とした。これらによれば、例えばX軸として形成される第1軸、Y軸として形成される第2軸によりスペースを取らない揺動機構部が形成され、この2軸の周りの回転角度を検出して2次元の姿勢情報を入力することができる。また、ストラップのねじれによって、保持部に与える操作が逃げてしまう問題を回避して、取り付け部に対する保持部の姿勢変更を正確、確実に検出することができる。
【0009】
また、前記姿勢変化検出手段を、ロータリエンコーダで形成するとよい。これにより、姿勢変化検出手段を、ジャイロセンサ、加速度センサー、重力センサー、地磁気センサーといった高価なセンサー類で形成する態様とは異なり、安価なロータリエンコーダを用いて保持部の姿勢変化を検出できる利点がある。あるいは多少コストが増すが、光センサーや磁力センサーを用いてストラップ取り付け部と保持部の間の相対的な姿勢変化を検出することもできる。
【0010】
また、前記ストラップは、伸縮性を有する紐で形成するとよい。これによれば、伸縮しないストラップを用いた場合に比べて、操作中に本体がぶれても張力を安定に維持できるので、情報機器のストラップ取り付け部に対する保持部の揺動操作、つまり、入力操作における操作性が向上できる。なおストラップそのものを伸縮性のある素材で構成することが容易であるが、そうでなくともストラップの一部だけを伸縮性のある別の素材にしても良いし、ストラップの端部にバネとかをつないでバネを介してストラップ取り付け部に取り付けるようにしても良い。
【0011】
また、前記情報機器に入力される情報は、前記ストラップに作用する張力の大きさに関連づけるとよい。このような構成とすることで、例えば、ストラップを伸ばして張力を増すようにすることにより、実行スイッチ8が入ったり、張力の大きさを圧電素子や伸縮量を計測するセンサーで計測し、Z軸方向の情報を指定したりできる。そして、この場合には、上記の2つの軸周りの回転方向と角度によって、X軸、Y軸方向へカーソルが移動する方向や量、あるいはスクロールする方向や量を指定するのに加え、Z軸情報により表示画像の拡大・縮小量を指定することができ、多様な情報を指定可能となる。
【0012】
また、前記ストラップは、好ましくは、前記ストラップ取り付け部の一箇所のみに取り付けるのではなく、2箇所に離れて取り付けると良い。この際、ストラップ取り付け部も2箇所に分離して設けられても構わない。こうするとストラップ取り付け部の離れた2点にストラップの張力が作用するので、操作中にもストラップ取り付け部の姿勢を安定に維持でき、ストラップがよじれたり、屈曲したりすることなく、揺動機構部に大きな揺動モーメントを安定に作用させることができ、揺動操作における操作性が向上する。やむなくストラップをストラップ取り付け部の一箇所のみに取り付ける場合には、ストラップ取り付け部から柱を立てて、その柱の先端にストラップを接続すると良い。そうすればストラップの張力方向に柱は向こうとし、その際にストラップから柱の先端に加わる力(ストラップが折れ曲がる位置でモーメント力は働くが、この場合に折れ曲がるのは柱の先端となるので柱の先端にモーメント力が働く)は、柱の長さが長いほど、より強いモーメントとなって揺動機構部に作用することになる。
【0013】
また、前記保持部に振動源を設け、前記保持部の前記ストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、前記振動源を振動させるようにしてもよい。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、情報機器を把持する手指に伝えて触覚で感得できる。
【0014】
また、前記保持部に発声部を設け、前記保持部の前記ストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、前記発声部を発声させることも可能である。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、情報機器の発声部から発声する音を聴覚に伝えて感得することができる。
【0015】
さらに、前記ストラップに作用する張力方向に対する前記保持部の姿勢変化に関連づけて、前記ディスプレイで表示される画面をスクロールさせたり、カーソルを移動させたりする機能を設けるようにすることもできる。これにより、メニュー操作やコンテンツの閲覧操作を行うことができ、また情報機器が音楽機器の場合には、簡単な操作でユーザの好みの音楽を選択できて便利である。
【0016】
なお、スクロールさせたり、カーソルを移動させたりして、画面上のカーソルの位置、フォーカスの当たっているところ、あるいはハイライト表示される部位が、所定の項目に到達する度に、振動や音を発生して、操作者の触覚や聴覚に通知することが望ましい。
【0017】
また、本発明では、指で保持しながら操作する保持部そのものが本体となり、本体にはディスプレイを設ける場合が多い。その場合、上記によればディスプレイを本体と共に動かして、画面をスクロールすることになる。このようにディスプレイそのものを動かしながらクロールする際には、ディスプレイを、あたかも手で持って動かす覗き窓のようにみなし、またそこに表示する画像については、仮想的に外界に静止しているように設定された、広大な画像の一部を、覗き窓を通して覗いた結果がディスプレイに映っているかのように想定して、本体の動きと共に画像の映る範囲を変えると良い。この際にスクロールする方向を本体の動く方向と反対にして、本体の動きの量に関連付けてスクロールする量を定めれば、表示される画像はあたかも外界中に静止しているように感じさせることができる。日常生活の中で、大きな画像を小さな覗き窓で覗く際に、覗き窓を動かしたり捻って視野を変え、覗き窓から見える範囲を変えながら、大きな画像全体の部分部分を継時的に見て行くことで全体を把握するが、本発明では、この覗き窓の操作に近い要領で、ディスプレイを備えた本体部を覗き窓のように動かしたり捻る操作によって、あたかも外界に静止している広大な画像の一部を覗き窓で覗いているような感覚で画面をスクロールする方式を与え、広大な画像全体を把握しやすくすると共に直感的なスクロール操作を可能とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、小さなつまみ、ボタン、あるいはスイッチを本体に対して相対的に動かして操作するのではなく、情報機器の保持部の姿勢を、ストラップで結合されたストラップ取り付け部に対して、変化させる操作により、情報機器に入力する情報を指定できるので、大きな操作部全体を自由空間の中で動かして操作する簡易なユーザインターフェイスを実現することができる。またディスプレイを備えた本体を保持して捻ったり動かしたりして表示内容をスクロールする操作を、小さな覗き窓を動かしながら広い画像全体を捕らえる日常的な作業に対応させて、スクロールを直感的に行い、全体像を容易に把握できるようにする。この際に本体(ディスプレイ)の動きと反対方向に表示画像をスクロールさせることで表示画像が外界中に静止しているようにして、表示画像を見やすくすることができる。さらにこの操作の最中に振動で触覚に通知する機構を持つので、自由空間中の操作であるにも関わらず、操作状況を触覚的に確認しながら操作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1(a)は、本発明の実施の形態による情報機器1をユーザがストラップ2を介して首に引っ掛けて使用する状態を説明する使用説明図、図1(b)は情報機器1の外観体裁を示す平面図である。この情報機器1は、例えば、情報機器1に格納された音楽情報を選択して聴取する携帯式の音楽プレーヤーの構成例であるが、もちろん、音楽情報端末機以外でも、タッチパッドやタッチディスプレイ、折り畳み式の携帯端末機、携帯電話等種々の情報機器に適用できる。
【0020】
上記の情報機器1は、好ましくは手の平サイズの大きさに形成され、ディスプレイ3を備えた保持部4と、ストラップ取り付け部5と、保持部4とストラップ取り付け部5とをリンク結合する揺動機構部6との主構成要素で構成される。保持部4とストラップ取り付け部5とをリンク結合する揺動機構部6は、図2(a)に示すように、十字継ぎ手の一形態を有する揺動機構部6で形成され、これによりストラップ取り付け部5に対して保持部4が揺動可能に結合される。この場合、保持部4とストラップ取り付け部5との間には、両者が干渉しないように揺動変位を許容する隙間G1が設けられる(図2(b)参照)。なお、揺動機構部6の構成については、後述する。
【0021】
一方、保持部5の側面には、実行スイッチ8とジョグダイヤル7が設けられ、これらおよび後述する保持部5の揺動操作によりディスプレイ3で画像コンテンツを閲覧し、音楽メニューや動画等の画像を見ながらイヤホン9を耳に差し込んで音楽を聴けるようにしている。
【0022】
なお、この情報機器1は、例えば、ブルートゥース(登録商標)といった近距離無線規格の通信機能等を内蔵し、外部のパーソナルコンピュータ、音楽情報端末機等の電子機器との間で通信ネットワークを利用するなどして電子データの送受信が行える形態のものである。もちろん、情報機器1には、SDカード、メモリースティック等の半導体メモリカードが適宜に差し込める構成とすることができる。また、当然ながら、上記情報機器1には、自体公知の記憶部、CPU、各種メモリ部等のコンピュータ構成要素が実装されることとなる。
【0023】
次に、揺動機構部6を説明する。揺動機構部6は、略直方体の形状を備えたストラップ取り付け部5の中央部に円柱形状の第1軸10が設けられる。この第1軸10はストラップ取り付け部5に略直交する方向に延びていて、その中間部位に直方体形状をなす軸受け部11が回転自在に嵌め込まれている。また、軸受け部11の両側には、第1軸10の軸線Xに直交するように第1軸10と同様の円柱形状で形成した一対の第2軸12が一体かつ対象な位置に取り付けられている。これにより、第1軸10がX軸に、また、第2軸12がY軸になり、X軸とY軸とが直交配置されることとなる。
【0024】
また、ストラップ取り付け部5に対向する保持部4側には、軸受け部11を収納する矩形状の凹部13が形成され、この凹部13の側面13aに第1軸10が、側面13b、13cに第2軸12がそれぞれ回転自在に差し込まれてストラップ取り付け部5を保持部4に対して揺動自在に支持する。この場合、側面13bおよび側面13cと、軸受け部11との間には遊びがないようにして接触していて、保持部4が第1軸(X軸)10回りに揺動するとき、軸受け部11が保持部4と一体に揺動することができる。また、軸受け部11は凹部13の側面13aとの間に図1(b)に示すように、隙間G2を存して保持部4に支持される。これにより、保持部4が第2軸(Y軸)12回りに揺動するときに、軸受け部11が保持部4に干渉しないで揺動できるようにしている。こうして、軸受け部11が凹部13に収容されることで、軸受け部11は保持部4を揺動できるように凹部13に取り付けられる。これにより、ストラップ取り付け部5は揺動機構部6を介して保持部4と一体的に組み込まれた状態を保持し、情報機器1としてのユニット体が構成されることとなる。
【0025】
したがって、揺動機構部6は自在継ぎ手としての機能を有することとなり、このため、図3(a)のように、保持部4とストラップ取り付け部5とが揺動変位しない状態から、保持部4を第1軸10回りに揺動されると、図3(b)のように保持部5と軸受け部11とが一体となってストラップ取り付け部5に対して姿勢が変化する。また、図3(a)の状態から、保持部4が第2軸12を回転軸としてY軸回りに揺動されると、図3(c)に示すように保持部4だけが軸受け部11およびストラップ取り付け部5に対して揺動して姿勢が変化する。すなわち、保持部4は自在継ぎ手として形成された揺動機構部6を中心にして自在に揺動運動することができ、ストラップ取り付け部5に対して自在に姿勢を変化させていくことができる。
【0026】
ところで、ストラップ取り付け部5の両側には、第1軸10を中間に挟む態様でストラップ2の端部が結合される。ストラップ2は、好ましくは、伸縮性を有する合成樹脂製素材、ゴム、天然または剛性繊維素材を用いる。情報機器1には、情報機器1を心持ち下方へ引っ張る力を作用させることにより、ストラップ2に張力が惹起されるようになっている。こうして、ユーザがストラップ2を首に引っ掛けて情報機器1を操作する場合、ストラップ2を首とストラップ取り付け部5との間で引っ張るようにして行うと、ストラップ取り付け部5に作用するストラップ2の張力を安定した状態に保持でき、操作性を増すことができるようになる。
【0027】
次に、上記揺動機構部6に組み込まれる姿勢変化検出手段を説明する。この姿勢変化検出手段は、第1軸10に設けた第1ロータリエンコーダ14と、第2軸12に設けた第2ロータリエンコーダ15とで形成される。各ロータリエンコーダ14,15は、多数の光透過用のスリットを等間隔に形成した円盤状のスリット部材と、このスリット部材を透過する光を受発光させる受発光部とで形成した態様のもの、円盤状のスリット部材の代わりに、抵抗部材を貼り付け円盤状部材で形成し、その抵抗値を測定する可変抵抗方式のもの、電極を複数設けて接触子との導通状態をカウントする電極方式、あるいは反射部材を貼り付けて光の反射によってパルスをカウントする反射方式等種々の態様のものが適宜採用可能である。こうして、第1ロータリエンコーダ14と第2ロータリエンコーダ15とにより、第1軸10と第2軸12の回転方向と回転角度が検出されるので、ストラップ2に作用する張力方向を基準にして、保持部4の姿勢変化を検出することができ、その検出された情報を情報機器1に指定して入力することが可能となる。このように、揺動機構部6と、それに設けた姿勢変化検出手段とがあたかも、トラックボールマウスのような機能を発揮するので、検出された姿勢変化の情報により、ディスプレイ3の表示画面をスクロールさせたり、カーソルを動かしたりできる情報機器の入力装置が形成される。
【0028】
なお、図2(a)の符号12aは、第2軸12を差し込んで支持するための支持孔を示す。
【0029】
本実施の形態の情報機器1の使用方法を説明する。ユーザは、図1に示すように、ストラップ2を首に回して情報機器1を垂下させ、情報機器1の本体を手で保持して、ディスプレイに表示される画像やウェッブのコンテンツを閲覧し、イヤホン9で音楽情報を聴取して楽しむことができる。音量の調整、カーソルの移動方向、スクロールする方向等のコントロールを行う場合には、情報機器1に片手を添えて把持しながらストラップ2を下方へ引っ張る方向に力を加える。すなわち、ストラップ2に引っ張り力が作用した状態を維持しながら、保持部4に対して揺動モーメントを作用させ、所望する方向へ揺動させ、ストラップ取り付け部5に対して姿勢を変える。これにより、姿勢変化検出手段における第1、第2ロータリエンコーダ14,15により、ストラップ2に作用する張力方向に対する保持部4の姿勢変化が計測され、この計測された情報が指定されて情報機器1に入力される。
【0030】
上記のように、本実施の形態によれば、ユーザが自身の首に引っ掛けたストラップに張力を作用させた状態で、ストラップ取り付け部5に対する保持部4の姿勢変化を検出することができ、こうして得られた姿勢変化の情報を、情報機器に指定して入力することができる。これにより、例えば、図4(a)のように、ポインタ20を移動させたり、同図(b)のようにメニュー項目を反転表示したカーソル21を移動させたり、図5(a)に示すようにカーソルをスクロールしたり、図5図(b)のようにポップアップメニューの項目を反転表示したりできる。これにより、情報機器1が情報を指定して入力でき、好みの音楽を選択して、好みの画像を選んで見ながら聴くことができる情報機器の入力装置を得ることができる。
【0031】
また、上記実施の形態によれば、小さなつまみ、スイッチ、ボタン等のスイッチ類によることなく、入力情報を指定して情報機器1へインプットでき、操作性に優れた情報機器の入力装置を得ることができる。また、従来のようなジャイロ、加速度センサー、重力センサー、地磁気センサー等を使用して検出していた形態のものと異なり、第1、第2ロータリエンコーダ14,15等でなる姿勢変化検出手段を安価に製作できるので、コスト安価な情報機器の入力装置を得ることができる。また、ストラップ2は、伸縮性を有する紐で形成されていて、張力を安定に維持できるので、入力操作における操作性を向上できる。
【0032】
また、ストラップ2のストラップ取り付け部5に対する結合部の中間部位に、第1軸10が存在するので、揺動機構部6の第1、第2ロータリエンコーダ14,15等の作用部位に加わる揺動モーメントを大きくでき、それだけ揺動操作を安定的に行える。また、保持部4に振動源を設け、前記保持部の前記ストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、前記振動源を振動させるようにしてもよい。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、情報機器を把持する手指に伝えて触覚で感得できる。
【0033】
以上、本発明を実施形態およびその変形例により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態および変形例に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明の範囲に含まれるものである。
【0034】
たとえば、上記実施形態の揺動機構部6の代わりに、図6に示す第1変形例の揺動機構部6aの構成とすることもできる。この第1変形例において、ストラップ2は縦長方向に長い形状を備えたストラップ取り付け部5aに結びつけられ、このストラップ取り付け部5aに一体に第2軸12aが取り付けられるとともに、第2軸12aの両端がコ字状の軸受け部11aを貫通して保持部4aに突き出させ、その突出端を保持部4aに対して第2軸12a、すなわち、Y軸回りに揺動可能に支持する。一方、軸受け部11aと保持部4aとの間に第1軸10aを介在させ、ストラップ取り付け部5aと第2軸12aと軸受け部11aとが第1軸10a、すなわち、X軸回りに一体に揺動できるように支持した構造である。そして、姿勢変化検出手段としての第1ロータリエンコーダ(図示されない)を軸10aの近傍に、また、第2ロータリエンコーダ(図示されない)を第2軸12aの自由端部に設置するように構成する。このような構成の第1変形例によっても、上記の実施形態と略同様の作用効果を有する。
【0035】
なお、上記第1変形例の揺動機構部6aによると、首から単に垂らしている状態(非操作時)にX軸は張力方向Fと平行しており、この状態ではX軸の周りに本体をひねっても紐がよじれてしまい、軸受け部11a と保持部4a の間に相対的な回転が生じず、回転を正しく検出できない場合が考えられる。
【0036】
このため、操作時には、第2軸12aの図7に示す第2変形例のように、保持部を第2軸12aの周りに90度回転させてから操作するようにし、ストラップ取り付け部5aを軸受け部11aの作るXY平面に対して角度を持たせるように(好ましくは、略直角になるように)してから操作すると良い。こうすれば第1軸、第2軸はストラップの張力方向に略直交し、操作時にストラップがよじれることなく、保持部の姿勢変化を確実に検出できるようになる。
【0037】
すなわち、操作時に本体を図7のように曲げて持ち、X軸,Y軸が張力方向Fと略直行するようにすると、X軸、Y軸の周りに本体をひねったときに紐がよじれることなく、これらの回転を検出することができるのである。
【0038】
さらに、図8(a)に示す第3変形例のように、横方向に細長い形状を備えた情報機器1a本体の左側にロータリエンコーダ22を設け、このロータリエンコーダ22でストラップ2に対する情報機器本体の回転を検出するように形成する。他方、情報機器本体の右側にストラップ2の引張りを検出するセンサー23を設ける。このため、このような構成を有する第3変形例によっても、上記実施形態と略同様の作用効果を有する。
【0039】
また、図8(b)の第4変形例のように、上記第3変形例の構成を基礎として、さらに保持部を左右に動かして、ストラップからの張力の方向が左右に傾斜したときの傾斜方向を、検出するようにしても良い。そのためには、情報機器1aの左右両側にストラップ2の張力に応じて揺動するレバー部材24、25を設け、左方のレバー部材24の揺動によりロータリエンコーダを作動させ,右方のレバー部材25の揺動によりレバー部材25の傾斜を検出する構成とする。この第4変形例では、ストラップの張力方向に対して、情報機器保持部の回転軸は略直交し、またレバー部材24の回転軸も略直交するのでストラップがよじれることなく、確実に姿勢変化(保持部の回転と左右への振れ)を検出することができり、上記実施形態とほぼ同様の作用効果を有する。
【0040】
また、ストラップに作用する張力を圧電素子やストラップ自身あるいはストラップと本体の間に介在するバネの伸縮の程度を計測するセンサーを用いて検出し、その大きさに関連づけて情報機器1に入力する情報を決定することもできる。このような構成とすることで、例えば、ストラップを伸ばして張力を増すようにすることにより、電源スイッチが入ったり、Z軸方向の情報を指定したりできる。しかも、この場合には、上記の方法と組み合わせ、カーソルが移動する方向、あるいはスクロールする方向を同じストラップに対する本体の姿勢変化の操作で指定することができ、本体の姿勢を変える操作だけで多様な情報を同時に指定できる利点がある。
【0041】
また、図2(b)の符号16で示すように、保持部4に振動源を設けてもよい。この場合、保持部4のストラップ取り付け部5に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、振動源16が振動するようにするとよい。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、情報機器を把持する手指に伝えて触覚で感得できる。例えば、手指に伝わる振動の数をカウントすることにより、どのメニュー項目が選択されたかを触覚的に知覚できる点で効果がある。
【0042】
なお図9のようにストラップの張力方向に対して、保持部(本体)4aを捻る運動を検出し、その捻りの方向と量に基づいてカーソルを動かしたり、表示内容をスクロールさせたりできるが、その際にカーソルが動いて所定の項目の位置に来るとき、またはスクロールするにつれて画面中のフォーカス(ハイライト表示される項目)が動き、所定の項目が選ばれる度に、振動や音声を発生して、操作者に通知するようにしても良い。なおその際にカーソル位置やスクロール量は姿勢の絶対位置で定めても良いが、カーソル位置の相対変化量やスクロールの相対変化量だけを姿勢の変化量で定めるようにしても良く、相対量を入力する場合には、実行スイッチ8を押しながら本体の姿勢を変える場合の姿勢変化量だけをカーソルやスクロールの動きに関連付け、実行スイッチ8を押さないで本体の姿勢を戻す場合には、カーソルもスクロールも動かないようにすると良い。
【0043】
また、保持部に発声部を設け、保持部のストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、発声部を発声させることも可能である。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、聴覚により知覚できる効果がある。
【0044】
また、ストラップ取り付け部5と保持部4および軸受け部11との間に隙間G1を、また、保持部4と軸受け部11との間に隙間G2をそれぞれ設けたが、隙間を設ける代わりに相互の対面する側の面形状を丸みを帯びた形状を形成することで揺動変位を許容するように構成することもできる。
【0045】
次に、他の実施の形態として、ディスプレイ表示の応用例について説明する。
一般に、ウェッブのコンテンツや画像コンテンツは、小型の携帯端末の画面に収まらないくらい広い場合が多い。この広いコンテンツを小さな画面で閲覧する際には、単に画面に収まるように縮小したのでは判読不可能となってしまう。判別できる程度のサイズで表示しながら、全体を見るために画面をスクロールする方式が有用である。しかしながら、従来のマウスのスクロールホイールのような入力デバイスでスクロールすると、直感と合うように画面の表示範囲をコントロールできずに、スクロールしながらコンテンツの全体像を把握することが困難であった。またスクロール中に画像が流れるので大変見づらかった。
【0046】
このため、図9に示すようにディスプレイを全体のコンテンツの一部を表示する覗き窓として機能させ、この覗き窓を、左右前後に捻って窓の角度を変えることによって、全体像の中で覗き窓から見える範囲を左右前後に移動させる。
【0047】
具体的には、覗き窓の操作と同じ感覚で、携帯端末本体を前後に捻ると覗き窓を通して見える範囲が前後に動きように表示範囲をスクロールする(図10(a))。また、本体を左右に捻ると覗き窓を通して見える範囲が左右に動くように表示範囲をスクロールする(図10(b))。この他、本体を前方に押し出して紐の張力を高めると覗き窓を通して見えるコンテンツの範囲を狭くしたり(図10(c))、逆に、本体を手前に引いて紐の張力を緩めると覗き窓を通して見えるコンテンツの範囲を広くしたりする機能を設けると良い(図10(d))。ただし操作者にとって張力を一定に維持することが困難な場合もあるので、その場合には、ジョグダイヤル7を使って、表示するコンテンツの範囲を調整しても良い。
【0048】
なお以上の操作において、携帯端末本体を捻ったり動かしたりするときにディスプレイの動く方向と、表示される画像がスクロールする方向を逆にして、ディスプレイを動かしても外界に対する画像の位置が静止しているように感じられるようにすれば、ディスプレイを動かしても、表示画像は外界中に静止しているので、視線は動かさずに外界中の静止している点を見続けることで、画像の同じ位置を見続けられるので、目の疲れを抑え、全体像を把握しやすくなる。
【0049】
以上、本実施の形態による機能を有する入力デバイスを用いることにより、実世界で覗き窓を動かして外界中に静止している大きな対象の全体像を把握する場合と直感的に一致する操作によって、表示範囲をスクロールすることができ、ディスプレイが動いても、そこに表示される画像はディスプレイと反対方向に動いて、仮想的に外界中に静止しているように感じられるので、狭いディスプレイの範囲でもコンテンツの全体像を把握することが容易になる。
図11は、本発明の姿勢変化検出手段を、光センサーまたは磁気センサーで構成した例を示している。図11(a)において、マーカ表示板31は、ストラップ取り付け部5aと一体化した板であり、その下面には、カメラ33で撮影するマーカ32が描かれている。このマーカは暗いところでも写るように光源で構成しても良いし、別に設けられた照明光源からの光を反射する反射板で構成しても良い。この例ではマーカ32はスリットで構成されており、上方からの光を通過させるので、カメラから見ると明るく見える。ストラップの張力方向に対して、保持部(この場合は本体)4が姿勢を変えると、カメラに写るマーカが動くので、その動きに基づいて本体の姿勢変化を検出することができる。ここで、図11(b)に示すように、カメラの代わりにホール素子のような磁気センサー35を用い、マーカの代わりに磁石34を用いると、磁力の変化を検出して保持部4の姿勢変化を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態による情報機器の入力装置に係り、(a)は情報機器の使用状態を示す説明図、(b)は情報機器の外観図である。
【図2】本発明の実施の形態による情報機器の入力装置に係り、(a)は揺動機構部の分解して示した要部拡大外観斜視図、(b)は揺動機構部の構成を透視して示した情報機器本体の平面図である。
【図3】情報機器の姿勢変化の状態を示し、(a)は保持部を第1軸の回りに揺動させた状態を、(b)は第2軸の回りに揺動させた状態を示す外観図である。
【図4】(a)はポインタの移動を、(b)はメニュー項目を反転表示したカーソルの移動をそれぞれ示すディスプレイの説明図である。
【図5】図4と同じく、(a)はカーソルがスクロールする状態を、(b)はポップアップメニューをカーソルが反転表示した状態をそれぞれ示すディスプレイの説明図である。
【図6】実施形態の第1変形例に係り、(a)は概要構成を示す平面図、(b)は揺動機構部を拡大して示す構成図である。
【図7】実施形態の第2変形例に係り、(a)は概要構成を示す斜視図、(b)は揺動機構部の説明図である。
【図8】実施形態の変形例に係り、(a)は第3変形例の概要構成図、(b)は第4変形例の概要構成図である。
【図9】本発明の他の実施形態によるディスプレイの機能の説明図である。
【図10】図9の詳細説明図である。
【図11】姿勢変化検出手段の構成例の説明図であり、(a)は光センサーを使用した構成例、(b)は磁気センサーを使用した構成例である。
【符号の説明】
【0051】
1,1a、1b 情報機器
2 ストラップ
3 ディスプレイ
4,4a 保持部
5,5a ストラップ取り付け部
6,6a 揺動機構部
7 ジョグダイヤル
8 実行スイッチ
9 イヤホン
10,10a 第1軸
11,11a 軸受け部
12,12a 第2軸
13 凹部
14 第1ロータリエンコーダ
15 第2ロータリエンコーダ
16 振動源
G1,G2 隙間
31 マーカ表示板
32 マーカ
33 カメラ
34 磁石
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報機器保持部の姿勢を変えることによって情報機器に入力する情報を指定するマルチモーダル・ユーザインターフェイス技術に係り、特に視覚、触覚、聴覚を総合的に利用してユーザ操作を補助する小型で比較的簡単な機構で実現することのできる情報機器の入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の情報機器において、情報機器を身体に装着する技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載のものが公知である。すなわち、特許文献1記載のものは、情報機器に取り付けたストラップをユーザが首に引っ掛けるようにして取り付け、首から懸垂された情報機器のスイッチ類を手指で操作することにより、情報機器に内蔵される音楽情報等のコンテンツをストラップの途中から引き出したイヤホンで聴くことができるように構成されている。また、特許文献2に記載の技術は、手首に情報機器を腕時計のような使用状態で装着するものであり、ベース部と、ベース部にヒンジを介して設けた表示部を備えた保持部とからなり、表示部をベース部に対して第1の回転軸と第2の回転軸の回りに揺動させることにより、表示部の角度を調整して視認性を高め、タッチパネルとしての表示部へのペン入力が行い易くなるようにしている。
【特許文献1】特開2001−117591号公報
【特許文献2】特開2002−229675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の情報機器は、音楽情報の音量調整等の操作をキートップ等のスイッチ類を操作することで行うが、小型化している機器のスイッチは小さく、その小さなスイッチを本体に対して相対的に動かすことは難しく、その操作性が煩わしい。また、特許文献1は音楽情報等の音量調整のためにだけ使用されるもので、例えば、情報機器にディスプレイを設け、これに各種のメニューを表示させたりするような形態の情報機器の場合にあっては、スイッチ類あるいはボタン類といった入力手段の設置数が多くなりがちで、その操作性はますます面倒になる問題がある。また、上記特許文献2にあっては、第1の回転軸と第2の回転軸で構成されるタッチパネルの角度調整機構は、単にタッチパネルの角度を調整することにより表示画面を見やすくし、これによりペン入力の入力操作を行い易くなるようにしだけの構成を有するものに過ぎず、タッチパネルの角度変化に関連づけられた姿勢変化の情報を情報機器に指定して入力される情報とするようにしたものではない。
【0004】
本発明は、上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの首に引っ掛けたストラップで懸垂した音楽情報端末機、タッチパッドやタッチディスプレイ、あるいは折り畳み式の携帯端末機といった情報機器の本体部そのものを操作して、ストラップの張力方向に対する本体部の姿勢の変化に基づいて、細かなスイッチを操作しなくとも正確に多様の指示を情報機器に入力することのできる情報機器の入力装置を提供することを目的とする。また大きな面積を持つ画像やインターネットのページを縮小せずに小さなディスプレイに表示する場合には、画像やページの一部しか表示できないため、全体を把握するためには表示する範囲を上下左右にスクロールして継時的に見て行く必要がある。日常生活の中では、大きな画像を小さな覗き窓で覗く際に、覗き窓を動かしたり捻って視野を変え、覗き窓から見える範囲を変えながら、大きな画像全体を継時的に見て行くが、本発明では、この覗き窓の操作に近い要領で、ディスプレイを備えた本体部を動かしたり捻る操作によって、あたかも外界に静止している広大な画像の一部を覗いているような感覚で画面をスクロールする方式を与え、直感的なスクロール操作を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、次のような手段を講ずることとした。すなわち、本発明に係わる情報機器の入力装置は、必要に応じて情報を表示するディスプレイを設け、手指で持って姿勢を変える保持部と、この保持部に対して揺動機構部を介して揺動可能に設けたストラップ取り付け部と、このストラップ取り付け部に取り付けられユーザの首に引っ掛けることにより前記保持部を懸垂するストラップとを有する情報機器であって、揺動機構部または保持部またはストラップ取り付け部に、ストラップ取り付け部に対する保持部の姿勢変化を検出する姿勢変化検出手段を設け、姿勢変化検出手段で検出されたストラップに作用する張力方向に対する保持部の姿勢変化の情報に基づいて、情報機器に入力される情報が指定されるように構成されたことを特徴とする。
【0006】
これによれば、ユーザが自身の首に引っ掛けたストラップを介して情報機器を懸垂し、この懸垂された情報機器を介してストラップに張力を作用させた状態で、そのときの張力方向と、ストラップ取り付け部に対して揺動される保持部の姿勢変化との関係に基づく保持部の姿勢変化の情報を、情報機器に指定して入力することができる。換言ずれば、ストラップに結合されたストラップ取り付け部に対して揺動機構部を介して保持部の姿勢を変化することで、情報機器への入力情報を指定することができる。そのため、本発明によれば、小さなつまみ、スイッチ、ボタン等のスイッチ類によることなく、ユーザが情報機器をストラップで懸垂した状態で、情報機器全体を操作対象として入力情報を情報機器へインプットでき、操作性に優れた情報機器を得ることができるようになる。
【0007】
この場合、ストラップは、その張力方向に最も効果的に力を及ぼし得ること、ストラップの伸びる方向を回転軸とする回転運動に対しては容易によじれてしまうこと、したがってそのような回転運動に対しては効果的な力を及ぼしえないこと、等を考慮して、保持部に加えられる操作を最適に検出し得るように、揺動機構及び姿勢変化検出手段を構成しなければならない。そのため、本発明では、前記ストラップがストラップ取り付け部の1箇所にだけ取り付けられる場合には、前記揺動機構部は、前記ストラップの張力方向に対して略直交する方向に延びる第1軸と、この第1軸の方向と前記ストラップの張力方向の夫々に対して略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持する構成とした。あるいは、前記ストラップの両端が前記ストラップ取り付け部の2箇所に離れて取り付けられる場合には、前記揺動機構部は、この2箇所を結ぶ直線の方向に対して略直交する方向に延びる第1軸と、この第1軸に略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持する構成とした。
【0008】
さらに前記ストラップの両端が前記ストラップ取り付け部の2箇所に離れて取り付けられる別の構成例の場合には、前記揺動機構部は、この2箇所を結ぶ直線の方向に対して略平行する方向に延びる第1軸と、この第1軸に略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持する構成とした。これらによれば、例えばX軸として形成される第1軸、Y軸として形成される第2軸によりスペースを取らない揺動機構部が形成され、この2軸の周りの回転角度を検出して2次元の姿勢情報を入力することができる。また、ストラップのねじれによって、保持部に与える操作が逃げてしまう問題を回避して、取り付け部に対する保持部の姿勢変更を正確、確実に検出することができる。
【0009】
また、前記姿勢変化検出手段を、ロータリエンコーダで形成するとよい。これにより、姿勢変化検出手段を、ジャイロセンサ、加速度センサー、重力センサー、地磁気センサーといった高価なセンサー類で形成する態様とは異なり、安価なロータリエンコーダを用いて保持部の姿勢変化を検出できる利点がある。あるいは多少コストが増すが、光センサーや磁力センサーを用いてストラップ取り付け部と保持部の間の相対的な姿勢変化を検出することもできる。
【0010】
また、前記ストラップは、伸縮性を有する紐で形成するとよい。これによれば、伸縮しないストラップを用いた場合に比べて、操作中に本体がぶれても張力を安定に維持できるので、情報機器のストラップ取り付け部に対する保持部の揺動操作、つまり、入力操作における操作性が向上できる。なおストラップそのものを伸縮性のある素材で構成することが容易であるが、そうでなくともストラップの一部だけを伸縮性のある別の素材にしても良いし、ストラップの端部にバネとかをつないでバネを介してストラップ取り付け部に取り付けるようにしても良い。
【0011】
また、前記情報機器に入力される情報は、前記ストラップに作用する張力の大きさに関連づけるとよい。このような構成とすることで、例えば、ストラップを伸ばして張力を増すようにすることにより、実行スイッチ8が入ったり、張力の大きさを圧電素子や伸縮量を計測するセンサーで計測し、Z軸方向の情報を指定したりできる。そして、この場合には、上記の2つの軸周りの回転方向と角度によって、X軸、Y軸方向へカーソルが移動する方向や量、あるいはスクロールする方向や量を指定するのに加え、Z軸情報により表示画像の拡大・縮小量を指定することができ、多様な情報を指定可能となる。
【0012】
また、前記ストラップは、好ましくは、前記ストラップ取り付け部の一箇所のみに取り付けるのではなく、2箇所に離れて取り付けると良い。この際、ストラップ取り付け部も2箇所に分離して設けられても構わない。こうするとストラップ取り付け部の離れた2点にストラップの張力が作用するので、操作中にもストラップ取り付け部の姿勢を安定に維持でき、ストラップがよじれたり、屈曲したりすることなく、揺動機構部に大きな揺動モーメントを安定に作用させることができ、揺動操作における操作性が向上する。やむなくストラップをストラップ取り付け部の一箇所のみに取り付ける場合には、ストラップ取り付け部から柱を立てて、その柱の先端にストラップを接続すると良い。そうすればストラップの張力方向に柱は向こうとし、その際にストラップから柱の先端に加わる力(ストラップが折れ曲がる位置でモーメント力は働くが、この場合に折れ曲がるのは柱の先端となるので柱の先端にモーメント力が働く)は、柱の長さが長いほど、より強いモーメントとなって揺動機構部に作用することになる。
【0013】
また、前記保持部に振動源を設け、前記保持部の前記ストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、前記振動源を振動させるようにしてもよい。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、情報機器を把持する手指に伝えて触覚で感得できる。
【0014】
また、前記保持部に発声部を設け、前記保持部の前記ストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、前記発声部を発声させることも可能である。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、情報機器の発声部から発声する音を聴覚に伝えて感得することができる。
【0015】
さらに、前記ストラップに作用する張力方向に対する前記保持部の姿勢変化に関連づけて、前記ディスプレイで表示される画面をスクロールさせたり、カーソルを移動させたりする機能を設けるようにすることもできる。これにより、メニュー操作やコンテンツの閲覧操作を行うことができ、また情報機器が音楽機器の場合には、簡単な操作でユーザの好みの音楽を選択できて便利である。
【0016】
なお、スクロールさせたり、カーソルを移動させたりして、画面上のカーソルの位置、フォーカスの当たっているところ、あるいはハイライト表示される部位が、所定の項目に到達する度に、振動や音を発生して、操作者の触覚や聴覚に通知することが望ましい。
【0017】
また、本発明では、指で保持しながら操作する保持部そのものが本体となり、本体にはディスプレイを設ける場合が多い。その場合、上記によればディスプレイを本体と共に動かして、画面をスクロールすることになる。このようにディスプレイそのものを動かしながらクロールする際には、ディスプレイを、あたかも手で持って動かす覗き窓のようにみなし、またそこに表示する画像については、仮想的に外界に静止しているように設定された、広大な画像の一部を、覗き窓を通して覗いた結果がディスプレイに映っているかのように想定して、本体の動きと共に画像の映る範囲を変えると良い。この際にスクロールする方向を本体の動く方向と反対にして、本体の動きの量に関連付けてスクロールする量を定めれば、表示される画像はあたかも外界中に静止しているように感じさせることができる。日常生活の中で、大きな画像を小さな覗き窓で覗く際に、覗き窓を動かしたり捻って視野を変え、覗き窓から見える範囲を変えながら、大きな画像全体の部分部分を継時的に見て行くことで全体を把握するが、本発明では、この覗き窓の操作に近い要領で、ディスプレイを備えた本体部を覗き窓のように動かしたり捻る操作によって、あたかも外界に静止している広大な画像の一部を覗き窓で覗いているような感覚で画面をスクロールする方式を与え、広大な画像全体を把握しやすくすると共に直感的なスクロール操作を可能とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、小さなつまみ、ボタン、あるいはスイッチを本体に対して相対的に動かして操作するのではなく、情報機器の保持部の姿勢を、ストラップで結合されたストラップ取り付け部に対して、変化させる操作により、情報機器に入力する情報を指定できるので、大きな操作部全体を自由空間の中で動かして操作する簡易なユーザインターフェイスを実現することができる。またディスプレイを備えた本体を保持して捻ったり動かしたりして表示内容をスクロールする操作を、小さな覗き窓を動かしながら広い画像全体を捕らえる日常的な作業に対応させて、スクロールを直感的に行い、全体像を容易に把握できるようにする。この際に本体(ディスプレイ)の動きと反対方向に表示画像をスクロールさせることで表示画像が外界中に静止しているようにして、表示画像を見やすくすることができる。さらにこの操作の最中に振動で触覚に通知する機構を持つので、自由空間中の操作であるにも関わらず、操作状況を触覚的に確認しながら操作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1(a)は、本発明の実施の形態による情報機器1をユーザがストラップ2を介して首に引っ掛けて使用する状態を説明する使用説明図、図1(b)は情報機器1の外観体裁を示す平面図である。この情報機器1は、例えば、情報機器1に格納された音楽情報を選択して聴取する携帯式の音楽プレーヤーの構成例であるが、もちろん、音楽情報端末機以外でも、タッチパッドやタッチディスプレイ、折り畳み式の携帯端末機、携帯電話等種々の情報機器に適用できる。
【0020】
上記の情報機器1は、好ましくは手の平サイズの大きさに形成され、ディスプレイ3を備えた保持部4と、ストラップ取り付け部5と、保持部4とストラップ取り付け部5とをリンク結合する揺動機構部6との主構成要素で構成される。保持部4とストラップ取り付け部5とをリンク結合する揺動機構部6は、図2(a)に示すように、十字継ぎ手の一形態を有する揺動機構部6で形成され、これによりストラップ取り付け部5に対して保持部4が揺動可能に結合される。この場合、保持部4とストラップ取り付け部5との間には、両者が干渉しないように揺動変位を許容する隙間G1が設けられる(図2(b)参照)。なお、揺動機構部6の構成については、後述する。
【0021】
一方、保持部5の側面には、実行スイッチ8とジョグダイヤル7が設けられ、これらおよび後述する保持部5の揺動操作によりディスプレイ3で画像コンテンツを閲覧し、音楽メニューや動画等の画像を見ながらイヤホン9を耳に差し込んで音楽を聴けるようにしている。
【0022】
なお、この情報機器1は、例えば、ブルートゥース(登録商標)といった近距離無線規格の通信機能等を内蔵し、外部のパーソナルコンピュータ、音楽情報端末機等の電子機器との間で通信ネットワークを利用するなどして電子データの送受信が行える形態のものである。もちろん、情報機器1には、SDカード、メモリースティック等の半導体メモリカードが適宜に差し込める構成とすることができる。また、当然ながら、上記情報機器1には、自体公知の記憶部、CPU、各種メモリ部等のコンピュータ構成要素が実装されることとなる。
【0023】
次に、揺動機構部6を説明する。揺動機構部6は、略直方体の形状を備えたストラップ取り付け部5の中央部に円柱形状の第1軸10が設けられる。この第1軸10はストラップ取り付け部5に略直交する方向に延びていて、その中間部位に直方体形状をなす軸受け部11が回転自在に嵌め込まれている。また、軸受け部11の両側には、第1軸10の軸線Xに直交するように第1軸10と同様の円柱形状で形成した一対の第2軸12が一体かつ対象な位置に取り付けられている。これにより、第1軸10がX軸に、また、第2軸12がY軸になり、X軸とY軸とが直交配置されることとなる。
【0024】
また、ストラップ取り付け部5に対向する保持部4側には、軸受け部11を収納する矩形状の凹部13が形成され、この凹部13の側面13aに第1軸10が、側面13b、13cに第2軸12がそれぞれ回転自在に差し込まれてストラップ取り付け部5を保持部4に対して揺動自在に支持する。この場合、側面13bおよび側面13cと、軸受け部11との間には遊びがないようにして接触していて、保持部4が第1軸(X軸)10回りに揺動するとき、軸受け部11が保持部4と一体に揺動することができる。また、軸受け部11は凹部13の側面13aとの間に図1(b)に示すように、隙間G2を存して保持部4に支持される。これにより、保持部4が第2軸(Y軸)12回りに揺動するときに、軸受け部11が保持部4に干渉しないで揺動できるようにしている。こうして、軸受け部11が凹部13に収容されることで、軸受け部11は保持部4を揺動できるように凹部13に取り付けられる。これにより、ストラップ取り付け部5は揺動機構部6を介して保持部4と一体的に組み込まれた状態を保持し、情報機器1としてのユニット体が構成されることとなる。
【0025】
したがって、揺動機構部6は自在継ぎ手としての機能を有することとなり、このため、図3(a)のように、保持部4とストラップ取り付け部5とが揺動変位しない状態から、保持部4を第1軸10回りに揺動されると、図3(b)のように保持部5と軸受け部11とが一体となってストラップ取り付け部5に対して姿勢が変化する。また、図3(a)の状態から、保持部4が第2軸12を回転軸としてY軸回りに揺動されると、図3(c)に示すように保持部4だけが軸受け部11およびストラップ取り付け部5に対して揺動して姿勢が変化する。すなわち、保持部4は自在継ぎ手として形成された揺動機構部6を中心にして自在に揺動運動することができ、ストラップ取り付け部5に対して自在に姿勢を変化させていくことができる。
【0026】
ところで、ストラップ取り付け部5の両側には、第1軸10を中間に挟む態様でストラップ2の端部が結合される。ストラップ2は、好ましくは、伸縮性を有する合成樹脂製素材、ゴム、天然または剛性繊維素材を用いる。情報機器1には、情報機器1を心持ち下方へ引っ張る力を作用させることにより、ストラップ2に張力が惹起されるようになっている。こうして、ユーザがストラップ2を首に引っ掛けて情報機器1を操作する場合、ストラップ2を首とストラップ取り付け部5との間で引っ張るようにして行うと、ストラップ取り付け部5に作用するストラップ2の張力を安定した状態に保持でき、操作性を増すことができるようになる。
【0027】
次に、上記揺動機構部6に組み込まれる姿勢変化検出手段を説明する。この姿勢変化検出手段は、第1軸10に設けた第1ロータリエンコーダ14と、第2軸12に設けた第2ロータリエンコーダ15とで形成される。各ロータリエンコーダ14,15は、多数の光透過用のスリットを等間隔に形成した円盤状のスリット部材と、このスリット部材を透過する光を受発光させる受発光部とで形成した態様のもの、円盤状のスリット部材の代わりに、抵抗部材を貼り付け円盤状部材で形成し、その抵抗値を測定する可変抵抗方式のもの、電極を複数設けて接触子との導通状態をカウントする電極方式、あるいは反射部材を貼り付けて光の反射によってパルスをカウントする反射方式等種々の態様のものが適宜採用可能である。こうして、第1ロータリエンコーダ14と第2ロータリエンコーダ15とにより、第1軸10と第2軸12の回転方向と回転角度が検出されるので、ストラップ2に作用する張力方向を基準にして、保持部4の姿勢変化を検出することができ、その検出された情報を情報機器1に指定して入力することが可能となる。このように、揺動機構部6と、それに設けた姿勢変化検出手段とがあたかも、トラックボールマウスのような機能を発揮するので、検出された姿勢変化の情報により、ディスプレイ3の表示画面をスクロールさせたり、カーソルを動かしたりできる情報機器の入力装置が形成される。
【0028】
なお、図2(a)の符号12aは、第2軸12を差し込んで支持するための支持孔を示す。
【0029】
本実施の形態の情報機器1の使用方法を説明する。ユーザは、図1に示すように、ストラップ2を首に回して情報機器1を垂下させ、情報機器1の本体を手で保持して、ディスプレイに表示される画像やウェッブのコンテンツを閲覧し、イヤホン9で音楽情報を聴取して楽しむことができる。音量の調整、カーソルの移動方向、スクロールする方向等のコントロールを行う場合には、情報機器1に片手を添えて把持しながらストラップ2を下方へ引っ張る方向に力を加える。すなわち、ストラップ2に引っ張り力が作用した状態を維持しながら、保持部4に対して揺動モーメントを作用させ、所望する方向へ揺動させ、ストラップ取り付け部5に対して姿勢を変える。これにより、姿勢変化検出手段における第1、第2ロータリエンコーダ14,15により、ストラップ2に作用する張力方向に対する保持部4の姿勢変化が計測され、この計測された情報が指定されて情報機器1に入力される。
【0030】
上記のように、本実施の形態によれば、ユーザが自身の首に引っ掛けたストラップに張力を作用させた状態で、ストラップ取り付け部5に対する保持部4の姿勢変化を検出することができ、こうして得られた姿勢変化の情報を、情報機器に指定して入力することができる。これにより、例えば、図4(a)のように、ポインタ20を移動させたり、同図(b)のようにメニュー項目を反転表示したカーソル21を移動させたり、図5(a)に示すようにカーソルをスクロールしたり、図5図(b)のようにポップアップメニューの項目を反転表示したりできる。これにより、情報機器1が情報を指定して入力でき、好みの音楽を選択して、好みの画像を選んで見ながら聴くことができる情報機器の入力装置を得ることができる。
【0031】
また、上記実施の形態によれば、小さなつまみ、スイッチ、ボタン等のスイッチ類によることなく、入力情報を指定して情報機器1へインプットでき、操作性に優れた情報機器の入力装置を得ることができる。また、従来のようなジャイロ、加速度センサー、重力センサー、地磁気センサー等を使用して検出していた形態のものと異なり、第1、第2ロータリエンコーダ14,15等でなる姿勢変化検出手段を安価に製作できるので、コスト安価な情報機器の入力装置を得ることができる。また、ストラップ2は、伸縮性を有する紐で形成されていて、張力を安定に維持できるので、入力操作における操作性を向上できる。
【0032】
また、ストラップ2のストラップ取り付け部5に対する結合部の中間部位に、第1軸10が存在するので、揺動機構部6の第1、第2ロータリエンコーダ14,15等の作用部位に加わる揺動モーメントを大きくでき、それだけ揺動操作を安定的に行える。また、保持部4に振動源を設け、前記保持部の前記ストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、前記振動源を振動させるようにしてもよい。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、情報機器を把持する手指に伝えて触覚で感得できる。
【0033】
以上、本発明を実施形態およびその変形例により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態および変形例に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明の範囲に含まれるものである。
【0034】
たとえば、上記実施形態の揺動機構部6の代わりに、図6に示す第1変形例の揺動機構部6aの構成とすることもできる。この第1変形例において、ストラップ2は縦長方向に長い形状を備えたストラップ取り付け部5aに結びつけられ、このストラップ取り付け部5aに一体に第2軸12aが取り付けられるとともに、第2軸12aの両端がコ字状の軸受け部11aを貫通して保持部4aに突き出させ、その突出端を保持部4aに対して第2軸12a、すなわち、Y軸回りに揺動可能に支持する。一方、軸受け部11aと保持部4aとの間に第1軸10aを介在させ、ストラップ取り付け部5aと第2軸12aと軸受け部11aとが第1軸10a、すなわち、X軸回りに一体に揺動できるように支持した構造である。そして、姿勢変化検出手段としての第1ロータリエンコーダ(図示されない)を軸10aの近傍に、また、第2ロータリエンコーダ(図示されない)を第2軸12aの自由端部に設置するように構成する。このような構成の第1変形例によっても、上記の実施形態と略同様の作用効果を有する。
【0035】
なお、上記第1変形例の揺動機構部6aによると、首から単に垂らしている状態(非操作時)にX軸は張力方向Fと平行しており、この状態ではX軸の周りに本体をひねっても紐がよじれてしまい、軸受け部11a と保持部4a の間に相対的な回転が生じず、回転を正しく検出できない場合が考えられる。
【0036】
このため、操作時には、第2軸12aの図7に示す第2変形例のように、保持部を第2軸12aの周りに90度回転させてから操作するようにし、ストラップ取り付け部5aを軸受け部11aの作るXY平面に対して角度を持たせるように(好ましくは、略直角になるように)してから操作すると良い。こうすれば第1軸、第2軸はストラップの張力方向に略直交し、操作時にストラップがよじれることなく、保持部の姿勢変化を確実に検出できるようになる。
【0037】
すなわち、操作時に本体を図7のように曲げて持ち、X軸,Y軸が張力方向Fと略直行するようにすると、X軸、Y軸の周りに本体をひねったときに紐がよじれることなく、これらの回転を検出することができるのである。
【0038】
さらに、図8(a)に示す第3変形例のように、横方向に細長い形状を備えた情報機器1a本体の左側にロータリエンコーダ22を設け、このロータリエンコーダ22でストラップ2に対する情報機器本体の回転を検出するように形成する。他方、情報機器本体の右側にストラップ2の引張りを検出するセンサー23を設ける。このため、このような構成を有する第3変形例によっても、上記実施形態と略同様の作用効果を有する。
【0039】
また、図8(b)の第4変形例のように、上記第3変形例の構成を基礎として、さらに保持部を左右に動かして、ストラップからの張力の方向が左右に傾斜したときの傾斜方向を、検出するようにしても良い。そのためには、情報機器1aの左右両側にストラップ2の張力に応じて揺動するレバー部材24、25を設け、左方のレバー部材24の揺動によりロータリエンコーダを作動させ,右方のレバー部材25の揺動によりレバー部材25の傾斜を検出する構成とする。この第4変形例では、ストラップの張力方向に対して、情報機器保持部の回転軸は略直交し、またレバー部材24の回転軸も略直交するのでストラップがよじれることなく、確実に姿勢変化(保持部の回転と左右への振れ)を検出することができり、上記実施形態とほぼ同様の作用効果を有する。
【0040】
また、ストラップに作用する張力を圧電素子やストラップ自身あるいはストラップと本体の間に介在するバネの伸縮の程度を計測するセンサーを用いて検出し、その大きさに関連づけて情報機器1に入力する情報を決定することもできる。このような構成とすることで、例えば、ストラップを伸ばして張力を増すようにすることにより、電源スイッチが入ったり、Z軸方向の情報を指定したりできる。しかも、この場合には、上記の方法と組み合わせ、カーソルが移動する方向、あるいはスクロールする方向を同じストラップに対する本体の姿勢変化の操作で指定することができ、本体の姿勢を変える操作だけで多様な情報を同時に指定できる利点がある。
【0041】
また、図2(b)の符号16で示すように、保持部4に振動源を設けてもよい。この場合、保持部4のストラップ取り付け部5に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、振動源16が振動するようにするとよい。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、情報機器を把持する手指に伝えて触覚で感得できる。例えば、手指に伝わる振動の数をカウントすることにより、どのメニュー項目が選択されたかを触覚的に知覚できる点で効果がある。
【0042】
なお図9のようにストラップの張力方向に対して、保持部(本体)4aを捻る運動を検出し、その捻りの方向と量に基づいてカーソルを動かしたり、表示内容をスクロールさせたりできるが、その際にカーソルが動いて所定の項目の位置に来るとき、またはスクロールするにつれて画面中のフォーカス(ハイライト表示される項目)が動き、所定の項目が選ばれる度に、振動や音声を発生して、操作者に通知するようにしても良い。なおその際にカーソル位置やスクロール量は姿勢の絶対位置で定めても良いが、カーソル位置の相対変化量やスクロールの相対変化量だけを姿勢の変化量で定めるようにしても良く、相対量を入力する場合には、実行スイッチ8を押しながら本体の姿勢を変える場合の姿勢変化量だけをカーソルやスクロールの動きに関連付け、実行スイッチ8を押さないで本体の姿勢を戻す場合には、カーソルもスクロールも動かないようにすると良い。
【0043】
また、保持部に発声部を設け、保持部のストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値以上に変化したとき、発声部を発声させることも可能である。これにより、ストラップの張力方向に対する保持部の方向の角度変化を、聴覚により知覚できる効果がある。
【0044】
また、ストラップ取り付け部5と保持部4および軸受け部11との間に隙間G1を、また、保持部4と軸受け部11との間に隙間G2をそれぞれ設けたが、隙間を設ける代わりに相互の対面する側の面形状を丸みを帯びた形状を形成することで揺動変位を許容するように構成することもできる。
【0045】
次に、他の実施の形態として、ディスプレイ表示の応用例について説明する。
一般に、ウェッブのコンテンツや画像コンテンツは、小型の携帯端末の画面に収まらないくらい広い場合が多い。この広いコンテンツを小さな画面で閲覧する際には、単に画面に収まるように縮小したのでは判読不可能となってしまう。判別できる程度のサイズで表示しながら、全体を見るために画面をスクロールする方式が有用である。しかしながら、従来のマウスのスクロールホイールのような入力デバイスでスクロールすると、直感と合うように画面の表示範囲をコントロールできずに、スクロールしながらコンテンツの全体像を把握することが困難であった。またスクロール中に画像が流れるので大変見づらかった。
【0046】
このため、図9に示すようにディスプレイを全体のコンテンツの一部を表示する覗き窓として機能させ、この覗き窓を、左右前後に捻って窓の角度を変えることによって、全体像の中で覗き窓から見える範囲を左右前後に移動させる。
【0047】
具体的には、覗き窓の操作と同じ感覚で、携帯端末本体を前後に捻ると覗き窓を通して見える範囲が前後に動きように表示範囲をスクロールする(図10(a))。また、本体を左右に捻ると覗き窓を通して見える範囲が左右に動くように表示範囲をスクロールする(図10(b))。この他、本体を前方に押し出して紐の張力を高めると覗き窓を通して見えるコンテンツの範囲を狭くしたり(図10(c))、逆に、本体を手前に引いて紐の張力を緩めると覗き窓を通して見えるコンテンツの範囲を広くしたりする機能を設けると良い(図10(d))。ただし操作者にとって張力を一定に維持することが困難な場合もあるので、その場合には、ジョグダイヤル7を使って、表示するコンテンツの範囲を調整しても良い。
【0048】
なお以上の操作において、携帯端末本体を捻ったり動かしたりするときにディスプレイの動く方向と、表示される画像がスクロールする方向を逆にして、ディスプレイを動かしても外界に対する画像の位置が静止しているように感じられるようにすれば、ディスプレイを動かしても、表示画像は外界中に静止しているので、視線は動かさずに外界中の静止している点を見続けることで、画像の同じ位置を見続けられるので、目の疲れを抑え、全体像を把握しやすくなる。
【0049】
以上、本実施の形態による機能を有する入力デバイスを用いることにより、実世界で覗き窓を動かして外界中に静止している大きな対象の全体像を把握する場合と直感的に一致する操作によって、表示範囲をスクロールすることができ、ディスプレイが動いても、そこに表示される画像はディスプレイと反対方向に動いて、仮想的に外界中に静止しているように感じられるので、狭いディスプレイの範囲でもコンテンツの全体像を把握することが容易になる。
図11は、本発明の姿勢変化検出手段を、光センサーまたは磁気センサーで構成した例を示している。図11(a)において、マーカ表示板31は、ストラップ取り付け部5aと一体化した板であり、その下面には、カメラ33で撮影するマーカ32が描かれている。このマーカは暗いところでも写るように光源で構成しても良いし、別に設けられた照明光源からの光を反射する反射板で構成しても良い。この例ではマーカ32はスリットで構成されており、上方からの光を通過させるので、カメラから見ると明るく見える。ストラップの張力方向に対して、保持部(この場合は本体)4が姿勢を変えると、カメラに写るマーカが動くので、その動きに基づいて本体の姿勢変化を検出することができる。ここで、図11(b)に示すように、カメラの代わりにホール素子のような磁気センサー35を用い、マーカの代わりに磁石34を用いると、磁力の変化を検出して保持部4の姿勢変化を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態による情報機器の入力装置に係り、(a)は情報機器の使用状態を示す説明図、(b)は情報機器の外観図である。
【図2】本発明の実施の形態による情報機器の入力装置に係り、(a)は揺動機構部の分解して示した要部拡大外観斜視図、(b)は揺動機構部の構成を透視して示した情報機器本体の平面図である。
【図3】情報機器の姿勢変化の状態を示し、(a)は保持部を第1軸の回りに揺動させた状態を、(b)は第2軸の回りに揺動させた状態を示す外観図である。
【図4】(a)はポインタの移動を、(b)はメニュー項目を反転表示したカーソルの移動をそれぞれ示すディスプレイの説明図である。
【図5】図4と同じく、(a)はカーソルがスクロールする状態を、(b)はポップアップメニューをカーソルが反転表示した状態をそれぞれ示すディスプレイの説明図である。
【図6】実施形態の第1変形例に係り、(a)は概要構成を示す平面図、(b)は揺動機構部を拡大して示す構成図である。
【図7】実施形態の第2変形例に係り、(a)は概要構成を示す斜視図、(b)は揺動機構部の説明図である。
【図8】実施形態の変形例に係り、(a)は第3変形例の概要構成図、(b)は第4変形例の概要構成図である。
【図9】本発明の他の実施形態によるディスプレイの機能の説明図である。
【図10】図9の詳細説明図である。
【図11】姿勢変化検出手段の構成例の説明図であり、(a)は光センサーを使用した構成例、(b)は磁気センサーを使用した構成例である。
【符号の説明】
【0051】
1,1a、1b 情報機器
2 ストラップ
3 ディスプレイ
4,4a 保持部
5,5a ストラップ取り付け部
6,6a 揺動機構部
7 ジョグダイヤル
8 実行スイッチ
9 イヤホン
10,10a 第1軸
11,11a 軸受け部
12,12a 第2軸
13 凹部
14 第1ロータリエンコーダ
15 第2ロータリエンコーダ
16 振動源
G1,G2 隙間
31 マーカ表示板
32 マーカ
33 カメラ
34 磁石
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で保持する保持部と、この保持部に対して揺動機構部を介して揺動可能に設けたストラップ取り付け部と、このストラップ取り付け部に取り付けられユーザの首に引っ掛けることにより前記保持部を懸垂するストラップとを有する情報機器であって、前記ストラップ取り付け部に対する前記保持部の姿勢変化を検出する姿勢変化検出手段を備え、前記姿勢変化検出手段で検出された前記ストラップに作用する張力方向に対する前記保持部の姿勢変化の情報に基づいて、前記情報機器に入力される情報が指定されるように構成されたことを特徴とする情報機器の入力装置。
【請求項2】
前記ストラップがストラップ取り付け部の1箇所にだけ取り付けられ、前記揺動機構部は、前記ストラップの張力方向に対して略直交する方向に延びる第1軸と、この第1軸の方向と前記ストラップの張力方向の夫々に対して略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の情報機器の入力装置。
【請求項3】
前記ストラップの両端が前記ストラップ取り付け部の2箇所に離れて取り付けられ、前記揺動機構部は、この2箇所を結ぶ直線の方向に対して略直交する方向に延びる第1軸と、この第1軸に略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の情報機器の入力装置。
【請求項4】
前記ストラップの両端が前記ストラップ取り付け部の2箇所に離れて取り付けられ、前記揺動機構部は、この2箇所を結ぶ直線の方向に対して略平行する方向に延びる第1軸と、この第1軸に略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の情報機器の入力装置。
【請求項5】
前記姿勢変化検出手段は、ロータリエンコーダで形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項6】
前記姿勢変化検出手段は、光センサーまたは磁気センサーで構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項7】
前記ストラップは、その一部または全体を伸縮性を有する素材で構成し、保持部が揺動している最中にストラップの張力が維持されるように構成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項8】
前記情報機器に入力される情報は、前記ストラップに作用する張力の大きさに関連づけたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項9】
前記保持部に振動源を設け、前記保持部の前記ストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値に到達したときに、前記振動源が振動し、聴覚または触覚に作用することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項10】
前記ストラップに作用する張力方向に対する前記保持部の姿勢変化に関連づけて、前記ディスプレイで表示される画面をスクロールするか、またはカーソルを移動する機能を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項11】
前記ディスプレイに表示される画面がスクロールして、あるいは、カーソルが移動して、フォーカスが画面上の所定の情報に移動したときに、前記振動源が振動して、聴覚または触覚に作用することを特徴とする請求項10に記載の情報機器の入力装置。
【請求項1】
手で保持する保持部と、この保持部に対して揺動機構部を介して揺動可能に設けたストラップ取り付け部と、このストラップ取り付け部に取り付けられユーザの首に引っ掛けることにより前記保持部を懸垂するストラップとを有する情報機器であって、前記ストラップ取り付け部に対する前記保持部の姿勢変化を検出する姿勢変化検出手段を備え、前記姿勢変化検出手段で検出された前記ストラップに作用する張力方向に対する前記保持部の姿勢変化の情報に基づいて、前記情報機器に入力される情報が指定されるように構成されたことを特徴とする情報機器の入力装置。
【請求項2】
前記ストラップがストラップ取り付け部の1箇所にだけ取り付けられ、前記揺動機構部は、前記ストラップの張力方向に対して略直交する方向に延びる第1軸と、この第1軸の方向と前記ストラップの張力方向の夫々に対して略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の情報機器の入力装置。
【請求項3】
前記ストラップの両端が前記ストラップ取り付け部の2箇所に離れて取り付けられ、前記揺動機構部は、この2箇所を結ぶ直線の方向に対して略直交する方向に延びる第1軸と、この第1軸に略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の情報機器の入力装置。
【請求項4】
前記ストラップの両端が前記ストラップ取り付け部の2箇所に離れて取り付けられ、前記揺動機構部は、この2箇所を結ぶ直線の方向に対して略平行する方向に延びる第1軸と、この第1軸に略直交する第2軸とで形成され、前記第1軸および前記第2軸を介して前記ストラップ取り付け部を前記保持部に揺動可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の情報機器の入力装置。
【請求項5】
前記姿勢変化検出手段は、ロータリエンコーダで形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項6】
前記姿勢変化検出手段は、光センサーまたは磁気センサーで構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項7】
前記ストラップは、その一部または全体を伸縮性を有する素材で構成し、保持部が揺動している最中にストラップの張力が維持されるように構成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項8】
前記情報機器に入力される情報は、前記ストラップに作用する張力の大きさに関連づけたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項9】
前記保持部に振動源を設け、前記保持部の前記ストラップ取り付け部に対する姿勢変化が所定値に到達したときに、前記振動源が振動し、聴覚または触覚に作用することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項10】
前記ストラップに作用する張力方向に対する前記保持部の姿勢変化に関連づけて、前記ディスプレイで表示される画面をスクロールするか、またはカーソルを移動する機能を設けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の情報機器の入力装置。
【請求項11】
前記ディスプレイに表示される画面がスクロールして、あるいは、カーソルが移動して、フォーカスが画面上の所定の情報に移動したときに、前記振動源が振動して、聴覚または触覚に作用することを特徴とする請求項10に記載の情報機器の入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−97057(P2008−97057A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274443(P2006−274443)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人科学技術振興機構、独創的シーズ展開事業大学発ベンチャー創出推進「機器の簡単確実な操作を実現するハプティックユーザインターフェースの研究開発」にかかる委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人科学技術振興機構、独創的シーズ展開事業大学発ベンチャー創出推進「機器の簡単確実な操作を実現するハプティックユーザインターフェースの研究開発」にかかる委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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