説明

情報機器用端末

【課題】
カード自体の強度を保持して回路基板等の破壊を防止できると共に、情報機器に装着された状態でSIMカードが抜き取られるという誤操作を防止できる情報機器用カードを提供する。
【解決手段】
本発明のPCカード1は、カード本体部3と、カード拡張部4とからなる。
カード拡張部4の内部には、差し込まれたSIMカード2を装着するチップスロット7が設けられている。チップスロット7は、一端が開口した薄型ケース状に形成されたチップケース部7aを有し、このチップケース部7aが、その挿入口が基準対向面4a上になるように配置され、SIMカード2の抜き差しに伴って、挿入方向A−又は抜取方向A+に往復移動するように構成されている。チップスロット7の口元部分には、SIMカード2の一部を露出するための切り欠き部8が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯型コンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の情報機器に差し込まれるPCカードや、USB通信端末等の情報機器用端末に関し、特に、SIM(Subscriber Identity Module)カード、UIM(User Identity Module)カード又はUSIM(Universal Subscriber Identity Module)カード等のように、識別情報が記録されたチップカードを、PCカード又はUSB通信端末(情報機器用端末)に接続保持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のPCカードには、情報機器(携帯型コンピュータ、以下「PC」ともいう。)の機能を拡張し、無線通信用の送受信端末として用いられるものがある。
このようなPCカードの一つを複数の者で使用する場合には、加入者ごとの使用を管理するため、個人データや契約電話番号等の識別情報が記録されたSIMカードをPCカードに装着した状態で、そのPCカードをPCのカードスロットから挿入して電気的接続をし、SIMカードの識別情報をPCカードを介して送信するようにしている。
【0003】
ところで、PCカードは、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)の規格に従い、例えばType2の場合、その大きさが幅:54mm×長さ:86.5mm×厚さ:5mmに規定されている。
このような極薄のPCカードに、厚さが0.8mm程度のSIMカードを装着する場合、設置スペース等の観点から、種々の設計上の困難を伴う(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
そのため、従来技術においては、PCカードの内部にSIMカードをスライドして挿入するだけの機構を採用し、取り外しの際、SIMカードの露出部分を掴むためその操作性が悪く、また、掴んだ部分に曲げ応力等が発生するため内部破壊を招くおそれがあった。
【0005】
近年、上述した操作性や接続信頼性等の問題を解決するため、イジェクト機構を採用したPCカードが提案されている。
このPCカードにおいては、PCカードの中腹部分を切り欠き、その部分に取り付けたイジェクト機構により、SIMカードをPCカードの挿入方向と直交する方向に抜き差しするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“JIシステムズ”、[平成16年7月6日検索]、インターネット<http://www.jisystems.co.jp/jisys/icsys/icsys.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のPCカードにおいては、その動作中にSIMカードが誤って抜き取られた場合、PCカードの回路基板等が破壊するおそれがあるため、PCカードがPCに装着された状態では、SIMカードが抜き取られるような誤操作からPCカードを保護する必要がある。
【0008】
一方、上記イジェクト機構採用のPCカードにおいては、PCカードの中腹部分にイジェクト機構用の切り欠きが形成されいるため、PCカード自体の強度が弱くなり、これを補強してもPCカードの捩れ等により、この回路基板等を破壊するおそれがあった。
また、PCカードの切り欠きやイジェクト機構の挿入口は、SIMカード又はPCカードの回路基板等を、PC内部の電気的ノイズの影響下におくことになり、これによって生じるノイズはシールドによっても十分に対策しきれないという問題もあった。
【0009】
従って、本発明の目的は、カード自体の強度を保持して回路基板等の破壊を防止できると共に、情報機器に装着された状態でSIMカードが抜き取られるという誤操作を防止できる情報機器用端末を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、情報機器の内部で生じる電気的ノイズの影響を受けにくい情報機器用端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、PCカード等のカード型端末、又はUSB通信端末等のボックス型端末に適用されるもので、前者の場合、情報機器と電気的接続するカード端子部が一端に形成され該情報機器のカードスロット内に装着されるカード本体部と、該カード本体部が装着された状態で該カードスロットから張り出したカード拡張部とを備え、チップカードを接続保持する情報機器用端末において、前記カード拡張部には、前記チップカードを装着するチップスロットが設けられており、該チップスロットの挿入口は、前記カード本体部が前記カードスロット内に装着された場合に該カードスロットと対向する側面に配置されることを特徴とする情報機器用端末を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0012】
また、本発明は、ボックス型端末の場合、情報機器のUSBスロット内に装着され該情報機器と電気的接続するUSBプラグと、該USBプラグが装着された状態で該USBスロットから張り出した端末本体部とを備え、チップカードを接続保持する情報機器用端末において、前記端末本体部には、前記チップカードを装着するチップスロットが設けられており、該チップスロットの挿入口は、前記USBプラグが前記USBスロット内に装着された場合に該USBスロットと対向する側面に配置されることを特徴とする情報機器用端末を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0013】
本出願において、「回路基板」の面は、接続端子の面を含めたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明がカード型端末である場合、この発明によれば、カード拡張部にチップスロットを設け、これにチップカードを装着することにより、チップカードを、情報機器の外部で接続保持し、情報機器の内部で生じる電気的ノイズの影響下から外すことができる。
【0015】
また、本発明によれば、チップスロットの挿入口を、情報機器のカードスロットと対向する側面に配置することにより、情報機器用カードが情報機器のカードスロット内に装着された状態で、この情報機器用カードからチップカードが抜き取られるという誤操作を防止できる。
【0016】
本発明がボックス型端末である場合も、上記同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は第1実施形態のPCカードの概略構成を示す平面図、(b)は同PCカードの右面図、(c)は同PCカードの正面断面図である。
【図2】(a)は第1実施形態のPCカードがPCに装着された状態を示す平面図、(b)は同PCカード及びPCの正面図である。
【図3】(a)は第2実施形態のPCカードの概略構成を示す平面図、(b)は(a)におけるP部分の拡大図である。
【図4】(a)は図3(a)の線分X−Xに沿った右側面断面図、(b)は図3(a)の線分Y−Yに沿った正面断面図である。
【図5】(a)は第3実施形態のUSB通信端末の概略構成を示す平面図、(b)は同USB通信端末の右側面図、(c)は同USB通信端末がPCに装着された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の情報機器用端末の好ましい一実施形態(第1実施形態)を図1及び図2を参照して説明する。
【0019】
図1(a)は、本実施形態(第1実施形態)のPCカード(情報機器用端末)の概略構成を示す平面図、図1(b)は、同PCカードの右側面図、図1(c)は同PCカードの正面断面図である。
【0020】
図2(a)は、本実施形態のPCカードがPC(情報機器)に装着された状態を示す平面図、図2(b)は同PCカード及びPCの正面図である。
【0021】
図1又は図2に示すように、本実施形態のPCカード1は、カード型通信端末であり、SIMカード(チップカード)2を接続保持し、PC10のPCスロット(カードスロット)11に装着された状態で、このPC10を無線通信端末としてその機能を拡張するものである。
SIMカード2は、識別情報が記録された回路基板(図示しない)を内蔵し、裏面に接続端子2aが形成された矩形カード状のものである。
以下、このようなPCカード1の構成を具体的に述べる。
【0022】
図1(a)〜(c)に示すように、PCカード1は、カード本体部3と、カード拡張部4とからなる。
【0023】
カード本体部3は、樹脂製フレーム枠に金属薄板が重ね合わせて組み込まれた薄型の矩形ケース状のものであり、プリント基板9等が内蔵されている。
プリント基板9の一端には、PCカードバス(32ビット)用のカード端子部3aが形成されている。
このカード端子部3aは、カード本体部の一端側(PCカードの挿入側)から露出し、PCスロット11の奥部に取り付けられたPC端子部12と電気的接続するようになっている(図2(b)参照)。
【0024】
カード拡張部4は、カード本体部3の他端からその長手方向(PCカードの抜取方向)A−に延出した肉厚のケース体であり、カード本体部3から跨ったプリント基板9の他端部分や、内部アンテナ(図示しない)が内蔵されている。
このようなカード拡張部4は、カード本体部3がPCスロット11内に装着された状態で、このPCスロット11の挿入口から張り出して配置されるようになっている(図2(a)(b)参照)。
ここに、カード拡張部4は、当該装着状態では、PC10の側面10a(PCスロット11の端面とほぼ同一面)に対し、操作者の指を挿入できない程度の小さい隙間をおいて配置され、以下、カード拡張部4の側面につき、PC10の側面10aと対向する面を「基準対向面」4aとする。
【0025】
なお、カード拡張部4には、通信状態のON/OFFを示すインジケータ5や、回転収納式の外部アンテナ6等が取り付けられている。
【0026】
本実施形態の場合、カード拡張部4の内部には、差し込まれたSIMカード2を装着するチップスロット7が設けられている。
チップスロット7は、一端が開口した薄型ケース状のチップケース部7aを有し、このチップケース部7aが、プリント基板9の上方でこれと平行になり、その挿入口が基準対向面4a上になるように配置されている。
チップケース部7aは、SIMカード2の接続端子2aを下面側に露出し、これをプリント基板9上のバネ性端子9aと電気的接続させるようになっている。
【0027】
このようなチップケース部7aは、SIMカード2の抜き差しに伴って、SIMカード2の挿入方向A−又は抜取方向A+に往復移動するように構成されている。
すなわち、チップスロット7は、チップケース部7aが、SIMカード2の挿入に伴ってこの挿入方向A−に移動し、カード拡張部4の内部での係合によりSIMカード2の後端縁部分(挿入口側部分)を基準対向面4a上又はこれより内側に配置させるようになっている。
また、チップスロット7は、チップケース部7aの挿入口部分の押下により当該係合を解除し、チップケース部7aが、SIMカード2の抜取方向A+に移動してSIMカード2の後端縁部分を露出させるようになっている。
【0028】
カード拡張部4には、SIMカード2の装着性を向上させる観点から、切り欠き部8が形成されている。
この切り欠き部8は、基準対向面4aからSIMカード2の挿入方向A−に、指の外形に合わせた凹曲面状にへこんで、チップスロット7の口元部分と重なっており、チップスロット7に装着されたSIMカード2の後端部を露出するようになっている。
【0029】
次に、本実施形態のPCカード1の使用態様又は作用を説明する。
【0030】
図2(a)(b)に示すように、SIMカード2をカード拡張部4のチップスロット7に装着し、このPCカード1を、PCスロット11内に装着した場合、カード端子部3とPC端子部12との電気的接続により、PC10は、PCカード1に電源を供給して無線通信可能な状態になる。
【0031】
このような状況下では、カード拡張部4は、この基準対向面4aが、PCスロット11の端面上のPC10の側面10aに対し、指が挿入できない程度の小さい隙間をおいて配置され、チップスロット7の挿入口が基準対向面4a上にあるため、操作者は、PC10が無線通信を行っている間、チップスロット7内に装着されているSIMカード2を抜き取ることができない。
【0032】
以上述べたように、本実施形態によれば、カード拡張部4にチップスロット7を設け、これにSIMカード2を装着するようにしたことから、SIMカード2を、PC10の外部で接続保持し、PC10の内部で生じる電気的ノイズの影響下から外すことができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、カード拡張部4内でチップケース部7aの往復移動によりSIMカード2を抜き差しするようにしたことから、カード本体部に切り欠きを設けなくて済むため、カード自体の強度を保持して回路基板等の破壊を防止できる。
【0034】
特に、この点について、カード拡張部4の基準対向面4a(チップスロット7の口元)に切り欠き部8を設けて、装着されたSIMカード2の後端部を露出するようにしたことから、SIMカード2を抜き差しする際に、このSIMカード2に過度の応力を生じさせずにこれを扱うことができ、このような切り欠き部8は、PCカード1が装着された状態で、SIMカード2が装着されているか否かを認知させるという利点を有する。
【0035】
さらに、本実施形態によれば、チップスロット7の挿入口を、PC10の側面と近接する位置でこれに対向配置したことから、PCカード1がPC10に装着された状態で、このPCカード1からSIMカード2が抜き取られるという誤操作を防止できる。
【0036】
次に、本発明の情報機器用端末の好ましい他の一実施形態(第2実施形態)を図3及び図4を参照して説明する。
【0037】
図3(a)は、第2実施形態のPCカード(情報機器用端末)の概略構成を示す平面図、図3(b)は、図3(a)におけるP部分の拡大図である。
図4(a)は、図3(a)の線分X−Xに沿った右側面断面図、図4(b)は、図3(a)の線分Y−Yに沿った正面断面図である。
【0038】
図3(a)に示すように、本実施形態(第2実施形態)のPCカード1Aは、主に、カード本体部3にスライド用凹部30を設けた点、これに伴って、カード拡張部4等の構成が上記第1実施形態と異なっている。
以下、この点について詳述し、その他の構成等については、上記第1実施形態と同符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図3(a)(b)又は図4(a)(b)に示すように、本実施形態の場合、カード本体部3には、スライド用凹部30が設けられている。
スライド用凹部30は、SIMカード2をカード拡張部4のチップスロット7に導くためのもので、カード拡張部4とカード本体部3の境界部分(基準対向面4aの部分)からカード端子部3a側にわたり、SIMカード2の外形より若干大きめの領域を占めてSIMカード2がカード本体部3に埋め込まれるように配設されている。
【0040】
スライド用凹部30は、カード本体部3に設けられた矩形の貫通孔33を有し、この貫通孔33の両側に配設された一対のサイドスライド部31、31と、その貫通孔33の後方側(カード端子側)に配設されたエンドスロープ部32とから構成されている。
ここに、本実施形態において、スライド用凹部30の「凹部」の意義は、カード本体部3の表面が部分的にくぼんで底がある場合のほか、カード本体部3が貫通して底が無い場合をも含めたものであり、後者の方が、カード本体部3を構成する部材の厚さや、プリント基板9の厚さに影響されずに、チップスロット7の挿入口への導入位置を調整できる点で有利である。
【0041】
サイドスライド部31は、カード本体部3の上面から段差状に下がったブロック片状に形成され、SIMカード2の側縁部分と当接するように、そのブロック片の長さがSIMカード2の長さより大きく、他方のサイドスライド部31との間隔がSIMカード2の幅より小さく設定されている。
【0042】
サイドスライド部31の厚さ(高さ)は、この上面が、プリント基板9の上面とほぼ同一面上になるように設定されている。
これに対し、チップスロット7は、チップケース部7aの導入面(底部分の上面)が、サイドスライド部31の上面と略同一面上になるように、配置されている。
【0043】
エンドスロープ部32は、カード本体部3の上面からサイドスライド部31の上面に向かって斜め下方に傾斜したスロープ状に形成され、SIMカード2の後端部分と当接しこれをサイドスライド部31上に滑らせるようになっている。
【0044】
なお、本実施形態のチップケース部7aは、上記第1実施形態の場合よりも低い位置(プリント基板により近い位置)に配置され、これに対応して、カード拡張部4の厚さ(高さ)も、上記第1実施形態の場合よりも小さく設定されている。
また、プリント基板9には、逃げ孔9bが、スライド用凹部30と干渉しない大きさで形成されている(図3(a)(b)参照)。
【0045】
このような構成を有する本実施形態においては、SIMカード2を装着する際、SIMカード2をスライド用凹部30内に落としてから、SIMカード2を指で軽く押さえながらカード拡張部4側に向けて滑らせると、SIMカード2は、サイドスライド部31及びエンドスロープ部32の案内により、チップスロット7内に滑り込み、そのまま、SIMカード2の接続端子2aがプリント基板9の接続端子9a上に配置されこれと電気的接続する。
【0046】
本実施形態の場合、カード本体部3にスライド用凹部30を設け、これによりSIMカード2をチップスロット7に導入するようにしたため、SIMカード2を指で摘まなくてもこれを指で滑らせるだけでチップスロープ7内に簡便に装着でき、また、SIMカード2に過度の応力を生じさせずに安全に装着できる。
【0047】
特に、サイドスライド部31の案内により、SIMカード2をプリント基板9上に導いてこれに載置するようにしたことから、プリント基板9の接続端子の厚さを小さくでき、これに伴って、カード拡張部4の厚さをも小さくできる。
【0048】
また、本実施形態の場合、カード拡張部4の切り欠き部8でSIMカード2の後端部部を露出させると共に、その露出したSIMカード2の後端部分を、スライド用凹部30の貫通孔33により、指で摘みやすくしたため、SIMカード2を簡便且つ安全に抜き取ることができる。
【0049】
その他のPCカード1Aの構成及び作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0050】
次に、本発明の情報機器用端末の好ましい他の一実施形態(第3実施形態)を図5を参照して説明する。
【0051】
図5(a)は、第3実施形態のUSB通信端末(情報機器用端末)の概略構成を示す平面図、図5(b)は、同USB通信端末の右側面図、図5(c)は、同USB通信端末がPCに装着された状態を示す平面図である。
【0052】
図5(a)〜(c)に示すように、本実施形態(第3実施形態)のUSB通信端末1Bは、ボックス型端末であり、端末本体部15と、USBプラグ17とからなる。
【0053】
端末本体部15は、上記第1、第2実施形態と同様、プリント基板、内部アンテナ等(以上、図示しない)が内蔵され、インジケータ5が外表面に形成されている。
USBプラグ17は、USB(Universal Serial Bus)方式のPC10のUSBスロット(図示しない)内に装着され、この奥部のUSBポートと電気的接続するものである。
【0054】
端末本体部15の一側面には、段差部16を介してUSBプラグ17が取り付けられている。
この端末本体部15の当該一側面は、上記第1、第2実施形態の「基準対向面4a」に相当し、本実施形態において、「基準対向面15a」とする。
段差部16は、USBプラグ17がUSBスロットに装着された場合、端末本体部15の基準対向面15aと、USBスロットの挿入口と同一面上のPC10の側面10aとの間隔を、指を挿入できない程度の小さい隙間にしている。
【0055】
本実施形態の場合、端末本体部の基準対向面15aには、上記第1、第2実施形態と同様のチップスロット7が設けられており、また、チップスロット7の挿入口と同一面上(基準対向面15a)には、SIMカード2をチップスロット7から排出するためのイジェクトボタン(操作部)18が設けられている。
【0056】
このイジェクトボタン18は、基準対向面15aから出没するもので、SIMカード2の装着に伴ってチップカード部7a(図1(a)参照)がSIMカード2の挿入方向A−に移動した場合、イジェクトボタン18が突出して配置される。
一方、このイジェクトボタン18は、押下により内部に入り込んだ場合、チップカード部7aをSIMカード2の抜取方向A+に移動させ、チップスロットの挿入口から突出させるようになっている。
【0057】
以上述べたように、本実施形態によれば、端末本体部15に、チップスロット7を設けてこの挿入口を基準対向面15上になるようにし、このチップスロット7にSIMカード2を装着するようにしたことから、ボックス型端末であっても、上記PCカード1、1Aと同様に、USBプラグ17がUSBポートに装着されてUSB通信端末1Bが動作している間、この端末本体部15からSIMカード2が抜き取られるという誤操作を防止できる。
【0058】
特に、本実施形態の場合、イジェクトボタン18をチップスロット7の挿入口と共に基準対向面15aに設けたことから、USBプラグ17がUSBポートに装着された状態では、操作者がイジェクトボタン18を触れることができないため、USB通信端末1Bの動作中、SIMカード2の排出を防止できる。
【0059】
その他のUSB通信端末1Bの主要な点についての構成及び作用効果は、上記第1、第2実施形態と同様である。
【0060】
本発明は、上記第1〜第3実施形態に限られることなく、種々の変更等を行うことができる。
【0061】
本発明は、チップスロットの口元部分における切り欠き部を、上記第1、第2実施形態のPCカードに設けたが、上記第3実施形態のUSB通信端末に設けてもよい。
この切り欠き部は、SIMカード(チップカード)が装着された状態でこの後端部分(挿入口側部分)を露出させる機能を有しているが、このような機能は、さらに、露出したSIMカードの後端部分を摘んで抜き取りやすくさせるという機能と、SIMカードの後端部分を露出してPCカード等がPCに装着された状態でSIMカードが装着されているか否か認知させる機能とに分けられる。
【0062】
そして、前者の機能(SIMカードの抜取性)をさらに向上させるために、本発明では、イジェクトボタン(操作部)を、上記第3実施形態のUSB通信端末(情報機器用端末)に設け、SIMカードを装着した場合に、イジェクトボタンを突出させ、この突出したイジェクトボタンの操作によりSIMカードを排出させるようにしたが、このようなイジェクトボタンを、上記第1、第2実施形態のPCカード(情報機器用端末)に設けてもよい。
本発明は、これに限られず、別の観点から、例えば上記第3実施形態においては、SIMカードが装着されていない状態で、イジェクトボタンを段差部からはみ出て突出させ、このようなイジェクトボタンを、USBプラグの装着の際にPC(情報機器)の端面に当接させて、SIMカードの未装着を操作者に認知させるようにしてもよい。
この点は、上記第1、第2実施形態についても同様である。
【0063】
一方、上記のSIMカードの一部を露出させる機能のうち、後者の機能(SIMカードの認知性)をさらに向上させるために、SIMカードが装着される上側の部分(上記第1、第2実施形態では、チップケース部の天面部分、及びこれに対応したカード本体部の天面部分)を透明又は半透明にしてもよい。
【0064】
また、本発明は、チップスロットを、上記第1〜第3実施形態のように、SIMカードの後端部分を基準対向面上又はこれより内側に配置させるように構成することが好ましいが、これに限られず、SIMカードの後端部分を基準対向面からはみ出させるように構成してもよい。
この場合、SIMカードの上記抜取性及び認知性をさらに向上させるという利点がある。
ただし、SIMカードのはみ出し量は、PCの端面に当接しない範囲に限られる。
【0065】
本発明は、PCカードのようにカード型端末、又はUSB通信端末のようにボックス型端末に適用されるものであるが、これに限られず、情報機器内でこれと電気的接続する接続部と、この接続部が電気的接続された状態で情報機器の側面から張り出したボックス部とを備えた情報機器用端末であれば、これに適用されるものである。
【符号の説明】
【0066】
2 SIMカード(チップカード)
3 カード本体部
3a カード端子部
4 カード拡張部
7 チップスロット
8 切り欠き部
9 プリント基板(回路基板)
10 PC(情報機器)
11 PCスロット(カードスロット)
15 端末本体部
17 USBプラグ
18 イジェクトボタン(操作部)
30 スライド用凹部
31 サイドスライド部
32 エンドスロープ部
33 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報機器と電気的接続するカード端子部が一端に形成され該情報機器のカードスロット内に装着されるカード本体部と、該カード本体部が装着された状態で該カードスロットから張り出したカード拡張部とを備え、チップカードを接続保持する情報機器用端末において、
前記カード拡張部には、前記チップカードを装着するチップスロットが設けられており、該チップスロットの挿入口は、前記カード本体部が前記カードスロット内に装着された場合に該カードスロットと対向する側面に配置され、
前記カード拡張部には、インジケータが取り付けられている
ことを特徴とする情報機器用端末。
【請求項2】
情報機器のUSBスロット内に装着され該情報機器と電気的接続するUSBプラグと、該USBプラグが装着された状態で該USBスロットから張り出した端末本体部とを備え、チップカードを接続保持する情報機器用端末において、
前記端末本体部には、前記チップカードを装着するチップスロットが設けられており、該チップスロットの挿入口は、前記USBプラグが前記USBスロット内に装着された場合に該USBスロットと対向する側面に配置され、
前記端末本体部には、インジケータが形成されている
ことを特徴とする情報機器用端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−14171(P2011−14171A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233837(P2010−233837)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【分割の表示】特願2004−255647(P2004−255647)の分割
【原出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】