情報漏洩防止信号出力の制御方法及び情報漏洩防止信号出力の制御装置
【課題】 情報機器から放射される電磁波が再生されることによる情報の漏洩を防止する。
【解決手段】 情報漏洩防止装置１と、クロック信号抽出部１１と、クロック信号発生部１２と、防止信号生成部１３と、防止信号生成回路１３１と、出力アンプ部１３２と、防止信号出力部１４と、漏洩信号受信部１５と、漏洩信号受信センサ部１６と、防止信号調整部１７と、情報機器２と、情報機器２のシリアル信号インタフェイス（情報信号インタフェイス）３と、を備え、、情報機器からの漏洩信号強度に応じて、情報漏洩のための防止信号出力レベルを調整し、出力される防止信号が周囲の電磁環境に与える影響を最小限に抑制しつつ、情報機器の電磁波放射特性に応じたレベルで情報漏洩のための防止信号を出力する。
【解決手段】 情報漏洩防止装置１と、クロック信号抽出部１１と、クロック信号発生部１２と、防止信号生成部１３と、防止信号生成回路１３１と、出力アンプ部１３２と、防止信号出力部１４と、漏洩信号受信部１５と、漏洩信号受信センサ部１６と、防止信号調整部１７と、情報機器２と、情報機器２のシリアル信号インタフェイス（情報信号インタフェイス）３と、を備え、、情報機器からの漏洩信号強度に応じて、情報漏洩のための防止信号出力レベルを調整し、出力される防止信号が周囲の電磁環境に与える影響を最小限に抑制しつつ、情報機器の電磁波放射特性に応じたレベルで情報漏洩のための防止信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、情報機器から放射される電磁波が受信されて再生されることによる情報の漏洩を防止するための情報漏洩防止技術に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来において、コンピュータ、通信機器などの情報機器から意図せずに放射される不要電磁波は、情報機器内部又は情報機器を結ぶインタフェイス中の電気信号から生成されており、その不要電磁波は情報機器上の画像情報を含んでいる。既知の情報インタフェイスであれば、その不要電磁波を受信し、再生することで、画像情報そのものを再生することができる。
【０００３】
図１６は、コンピュータの画像信号を伝送するために使われるアナログＲＧＢの信号発生回路例１００である。信号には、図１７に示すように、この回路１００の信号として、垂直同期信号（Ｖ）、水平同期信号（Ｈ）、ＲＧＢ信号（水平ラインのドット輝度信号）が存在し、垂直同期信号（Ｖ）、水平同期信号（Ｈ）、及びＲＧＢ信号の赤成分（Ｒ）緑成分（Ｇ）青成分（Ｇ）がそれぞれ伝送されている。なお、画像情報として表示される信号は、図１７に示すように、ドットの輝度に対応したアナログ信号であり、輝度列の周期がドットクロック信号の周期に対応する。
【０００４】
電気信号は情報を伝えるためにＣＧＡ、ＥＧＡ、ＶＧＡ、ＳＶＧＡ、ＱＶＧＡ、ＸＧＡ、ＷＸＧＡ、ＳＸＧＡ、ＵＸＧＡなどの様々な画像解像度規格に沿った周期性があり、同期信号が送られている。情報を含む不要電波を、図１８に示すような再生装置２００の受信機により受信し、フイルタを通して、ディスプレイのＲＧＢ信号に入力し、水平・垂直同期信号を入力すると、ディスプレイに画像が再生できる。
【０００５】
また、図１９に示すような再生装置２００Ａにおいて、信号をＡ／Ｄ変換し、ソフトウエア上で同期信号を見つけ出し、シリアル信号を水平同期信号の間隔で折り返すことで画像を再生することもできる。
【０００６】
そこで、従来技術としては、対策として虚偽信号を発生させ、情報漏えいを防止する方法が考案されている。例えば、図２２（ａ）に示すように、ＲＧＢ信号のマスク信号をつくる方法や図２３に示すように、ＲＧＢ信号に時間デイレイを乱数的に入れる方法などが知られている（特許文献１参照）。
【特許文献１】特開平６−８３２９６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら上述の従来技術においては、漏洩電磁波による情報漏洩を防止する手段として、図２０に示すように、コンピュータのインタフェイスケーブル（シリアル信号インタフェイス等）にフィルタ回路を挿入することで漏洩電磁波レベルを押さえることも行われている。
【０００８】
しかしこの方法では、そもそもインタフェイスケーブルで接続されるものしか対策できない。たとえば、デスクトップコンピュータとディスプレイではケーブルが存在するが、ノートパソコンなど一体化したものでは対策が施せなかった。また、情報そのものがケーブルを通して伝達しているため、漏洩電磁波から情報を確実に欠落させることも不可能であり、シールドされない筐体にフィルタをつけても漏洩電磁波が減少するとは限らなかった。
【０００９】
また、図２１に示すようにコンピュータの筐体そのものに電磁シールドを施し漏洩電磁波を低減させる方法も知られているが、確実に電磁波を低減させることが可能であるものの、シールドにコストがかかる点や、情報通信機器の場合、情報を伝達するためのインタフェイスケーブルの出入りがあり、確実にシールドすることは非常に難しかった。
【００１０】
また、図２２（ａ）に示すようなマスク信号をつくる方法では、放射される電磁波は、ＲＧＢ信号の電流信号の微分成分（ｄｉ／ｄｔ））あるいは、電圧信号の微分成分（ｄｖ／ｄｔ）に使い信号パターンが放射され、実際の漏洩電磁波の時間波形は、図２２（ｂ）に示すような波形となり、それらが合成された漏洩電磁波は図２２（ｃ）に示すような波形となるため、適切なフィルタ回路又は積分回路を付加することで信号が再生されてしまうものであった。
【００１１】
また図２３に示す方法のように乱数的に虚偽信号を発生させると、受信機のＳ／Ｎ比が悪くなり再生を困難にすることができるが、図２４に示すように、受信信号を外部から垂直同期信号などの同期信号を与え、時間平均をとることや、数画面分の信号列を取り込み自己相関処理することにより、やはりランダム成分を取り除くことが可能となり、信号が再生されてしまっていた。
【００１２】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、情報機器から放射される電磁波が再生されることによる情報の漏洩を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
請求項１に記載の本発明は、情報機器から放射される漏洩電磁波が解読され、そこに含まれるデータ情報が再生されて漏洩することを防止するための出力レベル可変型情報漏洩防止装置において、前記情報機器に設けられた情報信号のインタフェイスに接続され、該情報信号のクロック成分を抽出するクロック信号抽出部と、前記クロック信号抽出部で抽出した該信号変動に同期する第１の擬似クロック信号か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する第２の擬似クロック信号を発生させるクロック信号発生部と、前記クロック信号発生部で生成された該擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、該擬似クロック信号のデューティ比を減少させた信号、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を生成する防止信号生成部と、前記情報機器の内部あるいは周辺部に設置された電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、前記情報機器に接続された各種ケーブル、前記情報機器の内部回路、前記情報機器の金属筐体の１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の手段により、前記防止信号生成部で生成した防止信号を該防止信号として出力する防止信号出力部と、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を受信する漏洩信号受信部と、前記漏洩信号受信部で測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整する防止信号調整部と、を具備する。
【００１４】
また、請求項２に記載の本発明は、請求項１において、前記防止信号出力部は、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を前記漏洩信号受信部に代わって測定し、測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号調整部が、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整する。
【００１５】
また、請求項３に記載の本発明は、請求項１において、前記防止信号調整部は、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定した結果に基づいて、該防止信号の出力前に、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを決定する決定手段、もしくは、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定しながら、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを適応的に決定する決定手段、のうちのいずれか一方を選択する。
【００１６】
また、請求項４に記載の本発明は、請求項１において、前記情報信号は、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号、または、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号であり、前記クロック信号は、該情報機器のドットクロック信号である。
【００１７】
また、請求項５に記載の本発明は、請求項１または４において、前記情報信号が、該情報機器のＲＧＢ及び水平垂直同期信号の場合、前記クロック信号抽出部とクロック信号発生部は、該情報機器のドットクロック信号より擬似クロック信号を生成する代わりに、該情報機器のＲ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれか１つ以上より擬似クロック信号を生成する。
【００１８】
また、請求項６に記載の本発明は、情報機器から放射される漏洩電磁波が解読され、そこに含まれるデータ情報が再生されて漏洩することを防止するための出力レベル可変型情報漏洩防止方法において、前記情報機器に設けられた情報信号のインタフェイスに接続されたクロック信号抽出部において、該情報信号のクロック成分を抽出するステップと、クロック信号発生部において、前記クロック信号抽出部で抽出した該信号変動に同期する第１の擬似クロック信号か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する第２の擬似クロック信号を発生させるステップと、防止信号生成部において、前記クロック信号発生部で生成された該擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、該擬似クロック信号のデューティ比を減少させた信号、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を生成するステップと、防止信号出力部において、前記情報機器の内部あるいは周辺部に設置された電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、前記情報機器に接続された各種ケーブル、前記情報機器の内部回路、前記情報機器の金属筐体の１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の手段により、前記防止信号生成部で生成した防止信号を該防止信号として出力するステップと、漏洩信号受信部において、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を受信するステップと、防止信号調整部において、前記漏洩信号受信部で測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整するステップと、を有する。
【００１９】
また、請求項７に記載の本発明は、請求項６において、前記防止信号出力部において、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を前記漏洩信号受信部に代わって測定するステップと、測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号調整部が、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整するステップと、を有する。
【００２０】
また、請求項８に記載の本発明は、請求項６において、前記防止信号調整部において、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定した結果に基づいて、該防止信号の出力前に、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを決定するステップ、もしくは、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定しながら、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを適応的に決定するステップ、のうちのいずれか一方を選択するステップを有する。
【００２１】
また、請求項９に記載の本発明は、請求項６において、前記情報信号は、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号、または、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号であり、前記クロック信号は、該情報機器のドットクロック信号である。
【００２２】
また、請求項１０に記載の本発明は、請求項６または９において、前記情報信号が、該情報機器のＲＧＢ及び水平垂直同期信号の場合、前記クロック信号抽出部とクロック信号発生部は、該情報機器のドットクロック信号より擬似クロック信号を生成する代わりに、該情報機器のＲ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれか１つ以上より擬似クロック信号を生成するステップを実行する。
【発明の効果】
【００２３】
本発明によれば、情報機器から放射される電磁波が再生されることによる情報の漏洩を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２４】
＜第１の実施の形態＞
図１は、実施の形態による出力レベル可変型情報漏洩防止装置及び情報漏洩防止信号の出力方法の一例である。図１において、情報漏洩防止装置１と、クロック信号抽出部１１と、クロック信号発生部１２と、防止信号生成部１３と、防止信号生成回路１３１と、出力アンプ部１３２と、防止信号出力部１４（１４１，１４２，…，１４ｎ）、漏洩信号受信部１５と、漏洩信号受信センサ部１６と、防止信号調整部１７と、情報機器２と、情報機器２のシリアル信号インタフェイス（情報信号インタフェイス）３と、が示されている。なお、図１において、シリアル信号インタフェイス３や防止信号出力部１４の接地線・接地端子は省略している。
【００２５】
また、図２は、情報機器２の輝度列、ドット輝度信号列、シリアル信号インタフェイス３などから漏洩したドット輝度信号の漏洩電磁波の測定イメージ例を示す。
【００２６】
図１において、クロック信号抽出部１１は、ノートパソコン等の情報機器２に装備された外部画像信号ポート等のシリアル信号インタフェイス３を介して、ＲＧＢ信号、水平同期信号（Ｈ）、垂直同期信号（Ｖ）を受信すると、シリアル信号の最高周波数であるドットクロック信号を受信信号より抽出する。なお、シリアル信号のドットクロック信号の代わりに、Ｒ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれかの信号列の変動パターンを抽出する方法でもよい。
【００２７】
次にクロック信号発生部１２は、クロック信号抽出部１１で抽出したドットクロック信号に同期する擬似クロック信号（第１の擬似クロック信号）か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する擬似クロック信号（第２の擬似クロック信号）を防止信号生成部１３へ出力する。
【００２８】
防止信号生成部１３の防止信号生成回路１３１は、クロック信号発生部１２からの擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、擬似クロック信号の微分信号に類似した信号、擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を防止信号とて生成し、出力アンプ１３２により出力レベルが調整されて防止信号出力部１４へ送られる。
【００２９】
なお、防止信号生成回路１３１が、擬似クロック信号の微分信号を生成する場合には微分回路、擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）を生成する場合にはＮ倍周期回路、擬似クロック信号のデューティ比を減少させる場合には、デューティ比変換回路などを利用することができる。また、擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号を生成する場合には、Ｎ倍周期回路やデューティ比変換回路に加えて、オフセット回路を併用する方法でもよい。
【００３０】
防止信号出力部１４は、情報機器２の内部あるいは周辺に１つ以上設置され、電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、情報機器２へ接続された各種ケーブル、情報機器２の内部回路、情報機器２の金属筐体、などの１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の方法を単独あるいは併用して利用することが可能であり、情報機器２から多様な方向に放射される漏洩電磁波を効率的に受信解読を困難にすることができる。
【００３１】
ここで、電磁波放射による防止信号出力部１４の例としては、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、３軸直交型ダイポールアンテナ、ループアンテナ、３軸直交型ループアンテナ、バイコニカルアンテナ、電磁波放射が可能なコイル、あるいはこれらアンテナに類似する形態の導体ケーブルや回路パターン等が挙げられ、防止信号を空間へ放射する方法により、情報機器２の漏洩電磁波を外部より受信解読を困難にする効果を奏する。
【００３２】
図３は、情報機器２のディスプレイ部２１の周辺部（ディスプレイ枠部２２の内部又は表面）にループ型アンテナ１４１（図３（ａ））やダイポール型アンテナ１４２（図３（ｂ））に分類可能な導体ケーブルを設置した場合の例であり、情報機器２の周辺や本体内部に防止信号放射用のアンテナを設置してスペースを別に確保することなく、効率的に漏洩電磁波を外部より受信解読困難にできる例である。
【００３３】
また、情報機器２に接続された各種ケーブル、情報機器２の内部回路、情報機器２の金属筐体など、の１つ以上の箇所に防止信号を印加する場合の例としては、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に導体ケーブルを巻き付けて防止信号を印加、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に導体ケーブルを平行配置して防止信号を印加、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に電流プローブを設置して防止信号を印加、情報機器２の内部回路へ直接的に防止信号を印加する、情報機器２の金属筐体へ防止信号を直接的に印加、等の方法が考えられる。
【００３４】
そして、情報機器２の漏洩電磁波放射箇所へ防止信号を電磁結合あるいは静電結合させることで、漏洩電磁波が外部より受信解読困難にする効果を有する。なお、防止信号出力部１４は、別に独立して設置することなく、例えば、防止信号生成部１３内の回路パターンや素子を放射アンテナなどの防止信号の出力手段として兼用利用することで簡易化して構成する方法でもよい。
【００３５】
漏洩信号受信部１５は、漏洩信号受信センサ１６を介して、該情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波（第１の観測信号）、該情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号（第２の観測信号）、該情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号（第３の観測信号）、該情報機器２の金属筐体部で観測される誘導電圧信号（第４の観測信号）のいずれか１つ以上を測定する。
【００３６】
なお、漏洩信号受信センサ１６としては、空間に放射された電磁波を検出する場合には、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、３軸直交型ダイポールアンテナ、ループアンテナ、３軸直交型ループアンテナ、電磁界測定プローブ、バイコニカルアンテナ、コイルやコンデンサ等の電磁波測定が可能な電子素子、あるいはこれらアンテナに類似する形態の導体ケーブルや回路パターン等が利用できる。
【００３７】
さらに、情報機器２に接続された各種ケーブルの上の伝導性信号を検出する場合には電流プローブ、情報機器２の回路基盤や金属筐体に誘導された誘導電圧を検出する場合には電圧プローブ等に準拠したセンサを利用してもよく、１つ以上を同時に設置することも可能である。
【００３８】
防止信号調整部１７は、漏洩信号受信部１５で測定した該観測信号に基づいて、防止信号の強度が、漏洩信号（空間への放射電磁波、各種ケーブル等への伝導性の誘導信号、内部回路基盤等への誘導電圧など）の強度（任意の時間区間の最大絶対強度、任意の時間区間の平均強度、任意の時間区間の平均電力強度など）以上になるように、防止信号出力部１４から出力される防止信号の出力レベルを調整する機能を有する。
【００３９】
またその調整処理は、情報機器２からの漏洩信号の出力レベルを防止信号の出力前段階で測定し、その結果に基づいて、防止信号生成部１３から防止信号出力部１４への防止信号出力レベルを決定する方法（防止信号の第１の出力レベル調整方法）と、情報機器２からの該漏洩信号の出力レベルを測定しながら適応的に防止信号の出力レベルを決定する方法（防止信号の第２の出力レベル調整方法）が選択可能である。
【００４０】
また、防止信号の第２の出力レベル調整方法に際しては、情報機器２からの漏洩信号（空間への放射電磁波、各種ケーブル等への伝導性の誘導信号、内部回路基盤等への誘導電圧等）と防止信号出力部１４からの防止信号の合計値が、漏洩信号受信センサ部１６で検出される。
【００４１】
この処理においては、防止信号の強度が、情報機器２からの漏洩信号の強度（任意の時間区間の最大絶対強度、任意の時間区間の平均強度、任意の時間区間の平均電力強度など）以上になるよう設定することに加えて、空間に放射される電磁波強度が、ＶＣＣＩ等の電界強度規制以下になるように、防止信号調整部１７が防止信号出力部１４からの防止信号の出力レベルを調整することができる。
【００４２】
なお、防止信号の印加手段が、各種ケーブル上の伝導性の誘導信号や回路基盤や金属筐体の誘導電圧とする場合、防止信号の印加強度と放射される電磁波強度の関係を事前に測定しておき、基準点における電磁波強度が電磁界規制以下になるよう調整する方法か、もしくは、漏洩信号受信センサ部１６において、空間に放射される電磁波強度を観測しながら、基準点における電磁波強度が電磁界規制以下になるよう調整する方法のいずれかを採用可能であり、出力アンプ１３２と防止信号調整部１７の連携処理は、オートゲインコントローラなどにより実現できる。
【００４３】
以上に示す構成により、情報機器２から放射される漏洩電磁波を、簡易な装置構成で、外部より受信解読することが困難になるという効果をもたらす。
【００４４】
次に、図４を用いて、上述した情報漏洩防止装置１の作用を説明する。図４は、防止信号生成部１３１が１次の微分回路を利用している例であり、情報漏洩防止装置１は、情報機器２から取得したドット輝度信号ａ１よりドットクロック信号列ｂ１を抽出して擬似クロック信号を生成すると同時に、擬似クロック信号を微分する方法により、防止信号ｄ１を生成する。
【００４５】
情報機器２からは、シリアル信号インタフェイス３や電源線などを介して、ドット輝度信号ａ１の微分波形に特性が成分に近いドット輝度信号漏洩電磁波ｃ１が放射されているが、情報機器２の周辺において、漏洩電磁波ｃ１より高い強度になるように防止信号ｄ１を出力すると、合成された際に、防止信号ｄ１が漏洩電磁波ｅ１として観測されることになるため、漏洩電磁波ｃ１を受信解読することが不可能となる。
【００４６】
なお、本例では、１次の微分回路の例を示したが、ｎが２以上の場合でも同様の操作を簡易に実施することができ、ドットクロック信号の代わりに、Ｒ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれかの信号列の変動パターンを抽出する方法でもよい。
【００４７】
図５は、防止信号生成回路１３１が、Ｎ倍周期回路を利用した場合に漏洩電磁波を防止する例であり、抽出したドットクロック信号ｂ１より生成した擬似クロック信号の倍周期化された防止信号ｄ２を生成して出力する。情報機器２の周辺において、漏洩電磁波ｃ１より高い強度になるように防止信号ｄ２を出力すると、合成された際に、防止信号ｄ２の電磁波が漏洩電磁波ｅ２として受信されるため、情報機器２から漏れる電磁波ｃ１を受信解読することが困難となる。
【００４８】
また、防止信号ｄ２の振幅方向のオフセット位置をずらして、正負の両方の振幅を有する信号を生成して出力する方法（図５（ｄ’２）はオフセット位置をずらした防止信号例）、オフセット位置をずらした信号の振幅変動が必ずしも正負の交互にならないように乱数処理を加えた信号を生成して出力する方法等でもよい。
【００４９】
なお、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に導体ケーブルを巻き付ける、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に導体ケーブルを平行配置する、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に電流プローブを設置する等の手段により防止信号を出力する場合、すなわち、ドット輝度信号を空間放射される前段階で抑圧する場合には、防止対象信号は、元のドット輝度信号の微分成分ではなく、元信号により近い特性の信号成分が対象となる。
【００５０】
従って、空間的なアンテナ放射で防止信号を印加しない場合については、ドットクロック信号そのもの、あるいは、２倍以上に倍周期化されたクロック信号を印加する方法が、情報機器２の設置場所等の電磁波漏洩による条件次第では、より効果的である。
【００５１】
図６は防止信号生成回路１３１が、デューティ比変換回路を利用して漏洩電磁波を防止する例であり、抽出したドットクロック信号ｂ１より生成した擬似クロック信号のデューティ比を小さくした防止信号ｄ３を生成して出力すると、図４の微分回路に近い効果を有する信号、すなわち、情報機器２から放射される漏洩電磁波に変動パターンが類似した波形を生成できるため、同様の効果を容易な電子回路で実現することができる。
【００５２】
また、防止信号ｄ３の振幅方向のオフセット位置をずらして、正負の両方の振幅を有する信号を生成して出力する方法、オフセット位置をずらした信号の振幅変動が正負の交互にかならずしもならないようにさらに乱数処理を加えた信号を生成して出力する方法等でもよい。
【００５３】
なお、ランダム信号発生回路などを用いる方法により、図４、５、６で示した防止信号にランダムな変動パターンの信号（ホワイトノイズ）を印加して防止信号を生成する方法も可能であり、情報機器２から放射される漏洩電磁波をよりかく乱し、遠隔地から受信解読困難とする方法でもよい。
【００５４】
また、ランダムな信号を印加するだけでなく、変調回路を用いて周波数変調を施すことで、外部からの受信解読をより困難にすることができる。さらに、擬似クロック信号については、元の輝度信号ａ１に完全に同期させるのではなく、事前に指定した位相差を設定して擬似クロック信号とすることもでき、例えば、クロック信号抽出部１１で抽出したドットクロック信号に対して、位相差１８０度の擬似クロック信号を防止信号発生部１２で発生させることで、空間に放射させた漏洩電磁波を抑制させる効果をもたせることも可能である。
【００５５】
図７は、本実施の形態を適用した際に、図１９で示した再生装置２００Ａにより、輝度信号列を再生した例であり、（ａ）は防止信号の出力レベル調整無時、（ｂ）は防止信号の出力レベル調整有時であり、いずれも輝度信号列の強度変化がほぼ一定となり、情報再生が困難なっていることが確認できる。また、本例では、出力レベル調整を実施した後者の方が信号強度が小さくなっており、より効率的に、外部からの情報再生を困難にしていることも確認できる。
【００５６】
従って、実施の形態の情報漏洩防止装置によれば、情報機器２のシリアル信号出力ポートを介して、ドットクロックを抽出し、擬似クロックの微分成分等の防止信号を生成し、多様な形態で防止信号を出力すると同時に情報機器からの漏洩信号の出力強度に応じて防止信号のレベルを調整する方法により、コンピュータや通信機器などの情報通信装置から放射される不要電磁波を元に、第３者が遠隔より情報を傍受再生して、不正に利用することを確実に防止することができる。
【００５７】
特に本実施の形態では、インタフェイスを持たず、コンピュータ本体とディスプレイが一体のノートパソコン等において効果を発揮することができる。また、簡単な回路構成で実現できるため、電磁シールドを利用する際のようなコスト上昇を防ぐこともできる。
【００５８】
ところで一般に不要電磁波は、通信や放送で使用される無線周波数に影響を与えないように、例えば、図８に示すような電磁強度の規制が実施されているが、上述したように、情報機器２からの漏洩信号を観測し、その結果をフィードバックして、防止信号の出力を決定することで、防止信号の強度が規制の範囲内に収まるように調整することが可能となる（図９は、防止信号を印加した際に、防止信号電磁波が規制内に収まっている様子を示す）。
【００５９】
＜第２の実施の形態＞
図１０は、実施の形態の情報漏洩防止装置１の別の一例である。図１０において、１８は方向性結合器、である。本例では、情報漏洩防止装置１が防止信号の出力手段と、情報機器２より漏洩する漏洩信号の受信強度を把握する手段を兼用するもので、方向性結合器１８により、防止信号出力部１３からの出力信号（防止信号）と漏洩信号受信部１５への入力信号を防止信号出力部１４で入出力できるため、情報漏洩防止装置１の構成を簡易化するという効果を有する。
【００６０】
＜第３の実施の形態＞
図１１は、実施の形態の情報漏洩防止装置の別の一例である。図１１において、シリアル信号の分配回路１９が示されている。図１１の一例では、デスクトップコンピュータのように、コンピュータ本体と画像表示部（ディスプレイ）が一体化されていない場合に適用されるもので、情報漏洩防止装置１に分配回路１９を付加して、ディスプレイに画像信号をスルーする機能を設けた例である。従って、図１１の構成例を採用することにより、ディスプレイが本体と一体でない場合でも、情報機器２から放射される漏洩電磁波を、外部より受信解読を困難にするという効果をもたらす。
【００６１】
＜第４の実施の形態＞
図１２は、実施の形態の情報漏洩防止装置の別の一例である。本例では、情報漏洩防止装置１の機能を情報機器２に内蔵した例であり、情報機器２の画像信号発生回路３０よりドットクロック信号を取得することができ、情報機器２に情報漏洩防止装置１を外付けすることなく、情報機器２内に内蔵されている場合でも同様の効果を得ることができる。
【００６２】
＜第５の実施の形態＞
図１３は、実施の形態による情報漏洩防止装置の別の一例である。図１３では、情報漏洩防止装置１の機能を情報機器２内部に内蔵した例であり、情報機器２のドットクロック信号発生部よりドットクロック信号を直接取得することができるため、情報漏洩防止装置１は、クロック信号抽出部とクロック発生部を備える必要がない。
【００６３】
従って、本実施の形態による情報漏洩防止装置によれば、コンピュータ等の情報機器より直接ドットクロック信号を取得し、擬似クロック信号の微分信号、クロック信号の倍周期信号、クロック信号のデューティ比を減少させる方法により生成した信号、クロック信号の倍周期信号あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、の１つ以上を生成し、情報機器２が漏洩電磁波の防止信号を出力できるため、情報機器２内に内蔵されている場合でも同様の効果を得ることができる。
【００６４】
＜第６の実施の形態＞
図１４は、実施の形態による情報漏洩防止装置の別の一例である。図１４において、ＲＧＢ信号以外も対象とするシリアル信号分配回路Ｂ２０が示されている。図１４に示す情報漏洩防止装置では、情報機器２のＲＧＢ信号だけでなく、画像情報を伝送する（＝含む）シリアル信号一般に対して適用できるようにしたものであり、これにより、例えば、情報機器２のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号（コンポーネット映像信号、コンポジット映像信号、セパレート映像信号など）、画像情報を含むＵＳＢ信号、画像情報を含むイーサネット（登録商標）信号などにでも対応できるものである。
【００６５】
ここで、シリアル信号分配回路Ｂ２０は、情報機器２のシリアル信号を情報漏洩防止装置１と外部周辺機器（プリンタ、ＦＡＸ、ビデオ装置など）に分配できるようになっており、情報漏洩防止装置１のクロック信号抽出部１１は、分配回路を介して受信したシリアル信号のクロック信号成分を抽出できるようになっている。また、クロック発生部１２は、抽出されたクロック成分の信号（最高クロック信号等）を発生させるようになっており、防止信号生成部１３や防止信号出力部１４を備える。
【００６６】
従って、本実施の形態における情報漏洩防止装置１Ａによれば、画像情報を伝送するあらゆるシリアル信号に対して、同様に効果を得ることができるため、漏洩電磁波による情報漏洩対策として、汎用性高く利用することができる。
【００６７】
以上説明した実施の形態によれば、コンピュータ、通信機器、映像表示用プロジェクタなどの情報通信装置から放射される不要電磁波から第三者が遠隔において画像情報を入力することを防止することが可能であり、画像情報が不正利用されるのを防ぐことができる。
【００６８】
また画像情報用インタフェイスケーブルを持たずディスプレイと一体のノートパソコンにおいても効果を発揮することが可能で、簡単な回路構成で実現できるため、シールドのようなコストの大幅な上昇を防ぐことができる。
【００６９】
また実施の形態は、あらゆるシリアル信号形式に適応可能であるため漏洩電磁波による情報漏洩対策として、汎用性が高く、あらかじめコンピュータなどの情報通信装置に組み込むことも可能であると同時に、多様な方向に放射される漏洩電磁波を効果的に遠隔地から受信できないようにできるという効果を有する。
【００７０】
さらに、該情報機器からの漏洩信号強度に応じて、情報漏洩のための防止信号出力レベルを調整できるため、出力される防止信号が周囲の電磁環境に与える影響を最小限に抑制できるばかりでなく、情報機器の電磁波放射特性に応じたレベルで防止信号を出力できるという効果を有する。
【００７１】
なお、本実施の形態の技術的要旨を逸脱しない範囲において、本実施の形態に対して、種々の変形や変更を施すことができる。例えば、図１４の例を除き、ＲＧＢ及び水平垂直信号同期信号としていたが、特にＲＧＢ画像信号に限定されるものではなく、画像情報を伝送するシリアル信号全てに適用できるものである。
【００７２】
図１５は具体的な適用例であり、（ａ）は情報機器単体への利用（例えば、ノートＰＣ、携帯電話機、ＰＤＡ端末など）、（ｂ）は情報機器２と情報機器２のディスプレイ２１の接続時の利用（例えば、コンピュータと映像モニタ間、コンピュータと映像プロジェクタ間）、（ｃ）は情報機器間どうしの接続時の利用（コンピュータ等の情報機器とプリンタ間、コンピュータ等の情報機器とＦＡＸ間、コンピュータ等の情報機器とコピー機関、コンピュータ等の情報機器とビデオ装置間、ＴＶ会議システムの端末間、コンピュータ等の情報機器と通信装置間など）、を示す。これら各種の接続形態時に送信される情報が、本実施の形態による情報漏洩防止装置によれば、第３者により受信解読されることを未然に効率的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【００７３】
【図１】第１の実施の形態に係る、情報漏洩防止装置及び情報漏洩防止信号の出力方法の一例を示す。
【図２】第１の実施の形態に係る、情報機器から漏洩したドット輝度信号の漏洩電磁波の測定イメージ例を示す。
【図３】第１の実施の形態に係る、情報機器のディスプレイ部の周辺部にアンテナに分類可能な導体ケーブルを設置した場合を示す。
【図４】第１の実施の形態に係る、情報漏洩防止装置の防止信号生成部が１次の微分回路を利用している例を示す。
【図５】第１の実施の形態に係る、防止信号生成回路がＮ倍周期回路を利用した場合に漏洩電磁波を防止する例を示す。
【図６】第１の実施の形態に係る、防止信号生成回路がデューティ比変換回路を利用して漏洩電磁波を防止する例を示す。
【図７】第１の実施の形態を適用して、従来の再生装置により漏洩電磁波の輝度信号列を再生した例を示す。
【図８】電磁強度の規制の例を示す。
【図９】第１の実施の形態において、防止信号を印加した際に防止信号電磁波が規制内に収まっている様子を示す。
【図１０】第２の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１１】第３の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１２】第４の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１３】第５の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１４】第６の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１５】実施の形態の他の変形例を示す。
【図１６】従来のコンピュータの画像信号を伝送するために使われるアナログＲＧＢの信号発生回路例を示す。
【図１７】従来のコンピュータの画像信号を伝送するために使われるアナログＲＧＢの信号例を示す。
【図１８】従来の再生装置の受信機を示す。
【図１９】従来の再生装置を示す。
【図２０】従来の漏洩電磁波による情報漏洩を防止する手段として、コンピュータのインタフェイスケーブルにフィルタ回路を挿入した例を示す。
【図２１】従来のコンピュータの筐体そのものに電磁シールドを施し漏洩電磁波を低減させる方法を示す。
【図２２】従来のマスク信号（ａ）と、その漏洩電磁波の時間波形（ｂ）と、それらが合成された漏洩電磁波（ｃ）を示す。
【図２３】乱数的な虚偽信号を示す。
【図２４】情報機器から放射される電磁波を再生して情報を再生可能な構成例を示す。
【符号の説明】
【００７４】
１ 情報漏洩防止装置
２ 情報機器
３ シリアル信号インタフェイス
１１ クロック信号抽出部
１２ クロック信号発生部
１３ 防止信号生成部
１４ 防止信号出力部
１５ 漏洩信号受信部
１６ 漏洩信号受信センサ部
１７ 防止信号調整部
１３１ 防止信号生成回路
１３２ 出力アンプ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、情報機器から放射される電磁波が受信されて再生されることによる情報の漏洩を防止するための情報漏洩防止技術に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来において、コンピュータ、通信機器などの情報機器から意図せずに放射される不要電磁波は、情報機器内部又は情報機器を結ぶインタフェイス中の電気信号から生成されており、その不要電磁波は情報機器上の画像情報を含んでいる。既知の情報インタフェイスであれば、その不要電磁波を受信し、再生することで、画像情報そのものを再生することができる。
【０００３】
図１６は、コンピュータの画像信号を伝送するために使われるアナログＲＧＢの信号発生回路例１００である。信号には、図１７に示すように、この回路１００の信号として、垂直同期信号（Ｖ）、水平同期信号（Ｈ）、ＲＧＢ信号（水平ラインのドット輝度信号）が存在し、垂直同期信号（Ｖ）、水平同期信号（Ｈ）、及びＲＧＢ信号の赤成分（Ｒ）緑成分（Ｇ）青成分（Ｇ）がそれぞれ伝送されている。なお、画像情報として表示される信号は、図１７に示すように、ドットの輝度に対応したアナログ信号であり、輝度列の周期がドットクロック信号の周期に対応する。
【０００４】
電気信号は情報を伝えるためにＣＧＡ、ＥＧＡ、ＶＧＡ、ＳＶＧＡ、ＱＶＧＡ、ＸＧＡ、ＷＸＧＡ、ＳＸＧＡ、ＵＸＧＡなどの様々な画像解像度規格に沿った周期性があり、同期信号が送られている。情報を含む不要電波を、図１８に示すような再生装置２００の受信機により受信し、フイルタを通して、ディスプレイのＲＧＢ信号に入力し、水平・垂直同期信号を入力すると、ディスプレイに画像が再生できる。
【０００５】
また、図１９に示すような再生装置２００Ａにおいて、信号をＡ／Ｄ変換し、ソフトウエア上で同期信号を見つけ出し、シリアル信号を水平同期信号の間隔で折り返すことで画像を再生することもできる。
【０００６】
そこで、従来技術としては、対策として虚偽信号を発生させ、情報漏えいを防止する方法が考案されている。例えば、図２２（ａ）に示すように、ＲＧＢ信号のマスク信号をつくる方法や図２３に示すように、ＲＧＢ信号に時間デイレイを乱数的に入れる方法などが知られている（特許文献１参照）。
【特許文献１】特開平６−８３２９６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら上述の従来技術においては、漏洩電磁波による情報漏洩を防止する手段として、図２０に示すように、コンピュータのインタフェイスケーブル（シリアル信号インタフェイス等）にフィルタ回路を挿入することで漏洩電磁波レベルを押さえることも行われている。
【０００８】
しかしこの方法では、そもそもインタフェイスケーブルで接続されるものしか対策できない。たとえば、デスクトップコンピュータとディスプレイではケーブルが存在するが、ノートパソコンなど一体化したものでは対策が施せなかった。また、情報そのものがケーブルを通して伝達しているため、漏洩電磁波から情報を確実に欠落させることも不可能であり、シールドされない筐体にフィルタをつけても漏洩電磁波が減少するとは限らなかった。
【０００９】
また、図２１に示すようにコンピュータの筐体そのものに電磁シールドを施し漏洩電磁波を低減させる方法も知られているが、確実に電磁波を低減させることが可能であるものの、シールドにコストがかかる点や、情報通信機器の場合、情報を伝達するためのインタフェイスケーブルの出入りがあり、確実にシールドすることは非常に難しかった。
【００１０】
また、図２２（ａ）に示すようなマスク信号をつくる方法では、放射される電磁波は、ＲＧＢ信号の電流信号の微分成分（ｄｉ／ｄｔ））あるいは、電圧信号の微分成分（ｄｖ／ｄｔ）に使い信号パターンが放射され、実際の漏洩電磁波の時間波形は、図２２（ｂ）に示すような波形となり、それらが合成された漏洩電磁波は図２２（ｃ）に示すような波形となるため、適切なフィルタ回路又は積分回路を付加することで信号が再生されてしまうものであった。
【００１１】
また図２３に示す方法のように乱数的に虚偽信号を発生させると、受信機のＳ／Ｎ比が悪くなり再生を困難にすることができるが、図２４に示すように、受信信号を外部から垂直同期信号などの同期信号を与え、時間平均をとることや、数画面分の信号列を取り込み自己相関処理することにより、やはりランダム成分を取り除くことが可能となり、信号が再生されてしまっていた。
【００１２】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、情報機器から放射される電磁波が再生されることによる情報の漏洩を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
請求項１に記載の本発明は、情報機器から放射される漏洩電磁波が解読され、そこに含まれるデータ情報が再生されて漏洩することを防止するための出力レベル可変型情報漏洩防止装置において、前記情報機器に設けられた情報信号のインタフェイスに接続され、該情報信号のクロック成分を抽出するクロック信号抽出部と、前記クロック信号抽出部で抽出した該信号変動に同期する第１の擬似クロック信号か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する第２の擬似クロック信号を発生させるクロック信号発生部と、前記クロック信号発生部で生成された該擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、該擬似クロック信号のデューティ比を減少させた信号、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を生成する防止信号生成部と、前記情報機器の内部あるいは周辺部に設置された電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、前記情報機器に接続された各種ケーブル、前記情報機器の内部回路、前記情報機器の金属筐体の１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の手段により、前記防止信号生成部で生成した防止信号を該防止信号として出力する防止信号出力部と、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を受信する漏洩信号受信部と、前記漏洩信号受信部で測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整する防止信号調整部と、を具備する。
【００１４】
また、請求項２に記載の本発明は、請求項１において、前記防止信号出力部は、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を前記漏洩信号受信部に代わって測定し、測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号調整部が、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整する。
【００１５】
また、請求項３に記載の本発明は、請求項１において、前記防止信号調整部は、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定した結果に基づいて、該防止信号の出力前に、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを決定する決定手段、もしくは、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定しながら、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを適応的に決定する決定手段、のうちのいずれか一方を選択する。
【００１６】
また、請求項４に記載の本発明は、請求項１において、前記情報信号は、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号、または、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号であり、前記クロック信号は、該情報機器のドットクロック信号である。
【００１７】
また、請求項５に記載の本発明は、請求項１または４において、前記情報信号が、該情報機器のＲＧＢ及び水平垂直同期信号の場合、前記クロック信号抽出部とクロック信号発生部は、該情報機器のドットクロック信号より擬似クロック信号を生成する代わりに、該情報機器のＲ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれか１つ以上より擬似クロック信号を生成する。
【００１８】
また、請求項６に記載の本発明は、情報機器から放射される漏洩電磁波が解読され、そこに含まれるデータ情報が再生されて漏洩することを防止するための出力レベル可変型情報漏洩防止方法において、前記情報機器に設けられた情報信号のインタフェイスに接続されたクロック信号抽出部において、該情報信号のクロック成分を抽出するステップと、クロック信号発生部において、前記クロック信号抽出部で抽出した該信号変動に同期する第１の擬似クロック信号か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する第２の擬似クロック信号を発生させるステップと、防止信号生成部において、前記クロック信号発生部で生成された該擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、該擬似クロック信号のデューティ比を減少させた信号、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を生成するステップと、防止信号出力部において、前記情報機器の内部あるいは周辺部に設置された電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、前記情報機器に接続された各種ケーブル、前記情報機器の内部回路、前記情報機器の金属筐体の１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の手段により、前記防止信号生成部で生成した防止信号を該防止信号として出力するステップと、漏洩信号受信部において、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を受信するステップと、防止信号調整部において、前記漏洩信号受信部で測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整するステップと、を有する。
【００１９】
また、請求項７に記載の本発明は、請求項６において、前記防止信号出力部において、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を前記漏洩信号受信部に代わって測定するステップと、測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号調整部が、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整するステップと、を有する。
【００２０】
また、請求項８に記載の本発明は、請求項６において、前記防止信号調整部において、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定した結果に基づいて、該防止信号の出力前に、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを決定するステップ、もしくは、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定しながら、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを適応的に決定するステップ、のうちのいずれか一方を選択するステップを有する。
【００２１】
また、請求項９に記載の本発明は、請求項６において、前記情報信号は、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号、または、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号であり、前記クロック信号は、該情報機器のドットクロック信号である。
【００２２】
また、請求項１０に記載の本発明は、請求項６または９において、前記情報信号が、該情報機器のＲＧＢ及び水平垂直同期信号の場合、前記クロック信号抽出部とクロック信号発生部は、該情報機器のドットクロック信号より擬似クロック信号を生成する代わりに、該情報機器のＲ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれか１つ以上より擬似クロック信号を生成するステップを実行する。
【発明の効果】
【００２３】
本発明によれば、情報機器から放射される電磁波が再生されることによる情報の漏洩を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２４】
＜第１の実施の形態＞
図１は、実施の形態による出力レベル可変型情報漏洩防止装置及び情報漏洩防止信号の出力方法の一例である。図１において、情報漏洩防止装置１と、クロック信号抽出部１１と、クロック信号発生部１２と、防止信号生成部１３と、防止信号生成回路１３１と、出力アンプ部１３２と、防止信号出力部１４（１４１，１４２，…，１４ｎ）、漏洩信号受信部１５と、漏洩信号受信センサ部１６と、防止信号調整部１７と、情報機器２と、情報機器２のシリアル信号インタフェイス（情報信号インタフェイス）３と、が示されている。なお、図１において、シリアル信号インタフェイス３や防止信号出力部１４の接地線・接地端子は省略している。
【００２５】
また、図２は、情報機器２の輝度列、ドット輝度信号列、シリアル信号インタフェイス３などから漏洩したドット輝度信号の漏洩電磁波の測定イメージ例を示す。
【００２６】
図１において、クロック信号抽出部１１は、ノートパソコン等の情報機器２に装備された外部画像信号ポート等のシリアル信号インタフェイス３を介して、ＲＧＢ信号、水平同期信号（Ｈ）、垂直同期信号（Ｖ）を受信すると、シリアル信号の最高周波数であるドットクロック信号を受信信号より抽出する。なお、シリアル信号のドットクロック信号の代わりに、Ｒ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれかの信号列の変動パターンを抽出する方法でもよい。
【００２７】
次にクロック信号発生部１２は、クロック信号抽出部１１で抽出したドットクロック信号に同期する擬似クロック信号（第１の擬似クロック信号）か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する擬似クロック信号（第２の擬似クロック信号）を防止信号生成部１３へ出力する。
【００２８】
防止信号生成部１３の防止信号生成回路１３１は、クロック信号発生部１２からの擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、擬似クロック信号の微分信号に類似した信号、擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を防止信号とて生成し、出力アンプ１３２により出力レベルが調整されて防止信号出力部１４へ送られる。
【００２９】
なお、防止信号生成回路１３１が、擬似クロック信号の微分信号を生成する場合には微分回路、擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）を生成する場合にはＮ倍周期回路、擬似クロック信号のデューティ比を減少させる場合には、デューティ比変換回路などを利用することができる。また、擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号を生成する場合には、Ｎ倍周期回路やデューティ比変換回路に加えて、オフセット回路を併用する方法でもよい。
【００３０】
防止信号出力部１４は、情報機器２の内部あるいは周辺に１つ以上設置され、電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、情報機器２へ接続された各種ケーブル、情報機器２の内部回路、情報機器２の金属筐体、などの１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の方法を単独あるいは併用して利用することが可能であり、情報機器２から多様な方向に放射される漏洩電磁波を効率的に受信解読を困難にすることができる。
【００３１】
ここで、電磁波放射による防止信号出力部１４の例としては、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、３軸直交型ダイポールアンテナ、ループアンテナ、３軸直交型ループアンテナ、バイコニカルアンテナ、電磁波放射が可能なコイル、あるいはこれらアンテナに類似する形態の導体ケーブルや回路パターン等が挙げられ、防止信号を空間へ放射する方法により、情報機器２の漏洩電磁波を外部より受信解読を困難にする効果を奏する。
【００３２】
図３は、情報機器２のディスプレイ部２１の周辺部（ディスプレイ枠部２２の内部又は表面）にループ型アンテナ１４１（図３（ａ））やダイポール型アンテナ１４２（図３（ｂ））に分類可能な導体ケーブルを設置した場合の例であり、情報機器２の周辺や本体内部に防止信号放射用のアンテナを設置してスペースを別に確保することなく、効率的に漏洩電磁波を外部より受信解読困難にできる例である。
【００３３】
また、情報機器２に接続された各種ケーブル、情報機器２の内部回路、情報機器２の金属筐体など、の１つ以上の箇所に防止信号を印加する場合の例としては、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に導体ケーブルを巻き付けて防止信号を印加、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に導体ケーブルを平行配置して防止信号を印加、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に電流プローブを設置して防止信号を印加、情報機器２の内部回路へ直接的に防止信号を印加する、情報機器２の金属筐体へ防止信号を直接的に印加、等の方法が考えられる。
【００３４】
そして、情報機器２の漏洩電磁波放射箇所へ防止信号を電磁結合あるいは静電結合させることで、漏洩電磁波が外部より受信解読困難にする効果を有する。なお、防止信号出力部１４は、別に独立して設置することなく、例えば、防止信号生成部１３内の回路パターンや素子を放射アンテナなどの防止信号の出力手段として兼用利用することで簡易化して構成する方法でもよい。
【００３５】
漏洩信号受信部１５は、漏洩信号受信センサ１６を介して、該情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波（第１の観測信号）、該情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号（第２の観測信号）、該情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号（第３の観測信号）、該情報機器２の金属筐体部で観測される誘導電圧信号（第４の観測信号）のいずれか１つ以上を測定する。
【００３６】
なお、漏洩信号受信センサ１６としては、空間に放射された電磁波を検出する場合には、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、３軸直交型ダイポールアンテナ、ループアンテナ、３軸直交型ループアンテナ、電磁界測定プローブ、バイコニカルアンテナ、コイルやコンデンサ等の電磁波測定が可能な電子素子、あるいはこれらアンテナに類似する形態の導体ケーブルや回路パターン等が利用できる。
【００３７】
さらに、情報機器２に接続された各種ケーブルの上の伝導性信号を検出する場合には電流プローブ、情報機器２の回路基盤や金属筐体に誘導された誘導電圧を検出する場合には電圧プローブ等に準拠したセンサを利用してもよく、１つ以上を同時に設置することも可能である。
【００３８】
防止信号調整部１７は、漏洩信号受信部１５で測定した該観測信号に基づいて、防止信号の強度が、漏洩信号（空間への放射電磁波、各種ケーブル等への伝導性の誘導信号、内部回路基盤等への誘導電圧など）の強度（任意の時間区間の最大絶対強度、任意の時間区間の平均強度、任意の時間区間の平均電力強度など）以上になるように、防止信号出力部１４から出力される防止信号の出力レベルを調整する機能を有する。
【００３９】
またその調整処理は、情報機器２からの漏洩信号の出力レベルを防止信号の出力前段階で測定し、その結果に基づいて、防止信号生成部１３から防止信号出力部１４への防止信号出力レベルを決定する方法（防止信号の第１の出力レベル調整方法）と、情報機器２からの該漏洩信号の出力レベルを測定しながら適応的に防止信号の出力レベルを決定する方法（防止信号の第２の出力レベル調整方法）が選択可能である。
【００４０】
また、防止信号の第２の出力レベル調整方法に際しては、情報機器２からの漏洩信号（空間への放射電磁波、各種ケーブル等への伝導性の誘導信号、内部回路基盤等への誘導電圧等）と防止信号出力部１４からの防止信号の合計値が、漏洩信号受信センサ部１６で検出される。
【００４１】
この処理においては、防止信号の強度が、情報機器２からの漏洩信号の強度（任意の時間区間の最大絶対強度、任意の時間区間の平均強度、任意の時間区間の平均電力強度など）以上になるよう設定することに加えて、空間に放射される電磁波強度が、ＶＣＣＩ等の電界強度規制以下になるように、防止信号調整部１７が防止信号出力部１４からの防止信号の出力レベルを調整することができる。
【００４２】
なお、防止信号の印加手段が、各種ケーブル上の伝導性の誘導信号や回路基盤や金属筐体の誘導電圧とする場合、防止信号の印加強度と放射される電磁波強度の関係を事前に測定しておき、基準点における電磁波強度が電磁界規制以下になるよう調整する方法か、もしくは、漏洩信号受信センサ部１６において、空間に放射される電磁波強度を観測しながら、基準点における電磁波強度が電磁界規制以下になるよう調整する方法のいずれかを採用可能であり、出力アンプ１３２と防止信号調整部１７の連携処理は、オートゲインコントローラなどにより実現できる。
【００４３】
以上に示す構成により、情報機器２から放射される漏洩電磁波を、簡易な装置構成で、外部より受信解読することが困難になるという効果をもたらす。
【００４４】
次に、図４を用いて、上述した情報漏洩防止装置１の作用を説明する。図４は、防止信号生成部１３１が１次の微分回路を利用している例であり、情報漏洩防止装置１は、情報機器２から取得したドット輝度信号ａ１よりドットクロック信号列ｂ１を抽出して擬似クロック信号を生成すると同時に、擬似クロック信号を微分する方法により、防止信号ｄ１を生成する。
【００４５】
情報機器２からは、シリアル信号インタフェイス３や電源線などを介して、ドット輝度信号ａ１の微分波形に特性が成分に近いドット輝度信号漏洩電磁波ｃ１が放射されているが、情報機器２の周辺において、漏洩電磁波ｃ１より高い強度になるように防止信号ｄ１を出力すると、合成された際に、防止信号ｄ１が漏洩電磁波ｅ１として観測されることになるため、漏洩電磁波ｃ１を受信解読することが不可能となる。
【００４６】
なお、本例では、１次の微分回路の例を示したが、ｎが２以上の場合でも同様の操作を簡易に実施することができ、ドットクロック信号の代わりに、Ｒ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれかの信号列の変動パターンを抽出する方法でもよい。
【００４７】
図５は、防止信号生成回路１３１が、Ｎ倍周期回路を利用した場合に漏洩電磁波を防止する例であり、抽出したドットクロック信号ｂ１より生成した擬似クロック信号の倍周期化された防止信号ｄ２を生成して出力する。情報機器２の周辺において、漏洩電磁波ｃ１より高い強度になるように防止信号ｄ２を出力すると、合成された際に、防止信号ｄ２の電磁波が漏洩電磁波ｅ２として受信されるため、情報機器２から漏れる電磁波ｃ１を受信解読することが困難となる。
【００４８】
また、防止信号ｄ２の振幅方向のオフセット位置をずらして、正負の両方の振幅を有する信号を生成して出力する方法（図５（ｄ’２）はオフセット位置をずらした防止信号例）、オフセット位置をずらした信号の振幅変動が必ずしも正負の交互にならないように乱数処理を加えた信号を生成して出力する方法等でもよい。
【００４９】
なお、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に導体ケーブルを巻き付ける、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に導体ケーブルを平行配置する、情報機器２のシリアル信号インタフェイス３や電源線等に電流プローブを設置する等の手段により防止信号を出力する場合、すなわち、ドット輝度信号を空間放射される前段階で抑圧する場合には、防止対象信号は、元のドット輝度信号の微分成分ではなく、元信号により近い特性の信号成分が対象となる。
【００５０】
従って、空間的なアンテナ放射で防止信号を印加しない場合については、ドットクロック信号そのもの、あるいは、２倍以上に倍周期化されたクロック信号を印加する方法が、情報機器２の設置場所等の電磁波漏洩による条件次第では、より効果的である。
【００５１】
図６は防止信号生成回路１３１が、デューティ比変換回路を利用して漏洩電磁波を防止する例であり、抽出したドットクロック信号ｂ１より生成した擬似クロック信号のデューティ比を小さくした防止信号ｄ３を生成して出力すると、図４の微分回路に近い効果を有する信号、すなわち、情報機器２から放射される漏洩電磁波に変動パターンが類似した波形を生成できるため、同様の効果を容易な電子回路で実現することができる。
【００５２】
また、防止信号ｄ３の振幅方向のオフセット位置をずらして、正負の両方の振幅を有する信号を生成して出力する方法、オフセット位置をずらした信号の振幅変動が正負の交互にかならずしもならないようにさらに乱数処理を加えた信号を生成して出力する方法等でもよい。
【００５３】
なお、ランダム信号発生回路などを用いる方法により、図４、５、６で示した防止信号にランダムな変動パターンの信号（ホワイトノイズ）を印加して防止信号を生成する方法も可能であり、情報機器２から放射される漏洩電磁波をよりかく乱し、遠隔地から受信解読困難とする方法でもよい。
【００５４】
また、ランダムな信号を印加するだけでなく、変調回路を用いて周波数変調を施すことで、外部からの受信解読をより困難にすることができる。さらに、擬似クロック信号については、元の輝度信号ａ１に完全に同期させるのではなく、事前に指定した位相差を設定して擬似クロック信号とすることもでき、例えば、クロック信号抽出部１１で抽出したドットクロック信号に対して、位相差１８０度の擬似クロック信号を防止信号発生部１２で発生させることで、空間に放射させた漏洩電磁波を抑制させる効果をもたせることも可能である。
【００５５】
図７は、本実施の形態を適用した際に、図１９で示した再生装置２００Ａにより、輝度信号列を再生した例であり、（ａ）は防止信号の出力レベル調整無時、（ｂ）は防止信号の出力レベル調整有時であり、いずれも輝度信号列の強度変化がほぼ一定となり、情報再生が困難なっていることが確認できる。また、本例では、出力レベル調整を実施した後者の方が信号強度が小さくなっており、より効率的に、外部からの情報再生を困難にしていることも確認できる。
【００５６】
従って、実施の形態の情報漏洩防止装置によれば、情報機器２のシリアル信号出力ポートを介して、ドットクロックを抽出し、擬似クロックの微分成分等の防止信号を生成し、多様な形態で防止信号を出力すると同時に情報機器からの漏洩信号の出力強度に応じて防止信号のレベルを調整する方法により、コンピュータや通信機器などの情報通信装置から放射される不要電磁波を元に、第３者が遠隔より情報を傍受再生して、不正に利用することを確実に防止することができる。
【００５７】
特に本実施の形態では、インタフェイスを持たず、コンピュータ本体とディスプレイが一体のノートパソコン等において効果を発揮することができる。また、簡単な回路構成で実現できるため、電磁シールドを利用する際のようなコスト上昇を防ぐこともできる。
【００５８】
ところで一般に不要電磁波は、通信や放送で使用される無線周波数に影響を与えないように、例えば、図８に示すような電磁強度の規制が実施されているが、上述したように、情報機器２からの漏洩信号を観測し、その結果をフィードバックして、防止信号の出力を決定することで、防止信号の強度が規制の範囲内に収まるように調整することが可能となる（図９は、防止信号を印加した際に、防止信号電磁波が規制内に収まっている様子を示す）。
【００５９】
＜第２の実施の形態＞
図１０は、実施の形態の情報漏洩防止装置１の別の一例である。図１０において、１８は方向性結合器、である。本例では、情報漏洩防止装置１が防止信号の出力手段と、情報機器２より漏洩する漏洩信号の受信強度を把握する手段を兼用するもので、方向性結合器１８により、防止信号出力部１３からの出力信号（防止信号）と漏洩信号受信部１５への入力信号を防止信号出力部１４で入出力できるため、情報漏洩防止装置１の構成を簡易化するという効果を有する。
【００６０】
＜第３の実施の形態＞
図１１は、実施の形態の情報漏洩防止装置の別の一例である。図１１において、シリアル信号の分配回路１９が示されている。図１１の一例では、デスクトップコンピュータのように、コンピュータ本体と画像表示部（ディスプレイ）が一体化されていない場合に適用されるもので、情報漏洩防止装置１に分配回路１９を付加して、ディスプレイに画像信号をスルーする機能を設けた例である。従って、図１１の構成例を採用することにより、ディスプレイが本体と一体でない場合でも、情報機器２から放射される漏洩電磁波を、外部より受信解読を困難にするという効果をもたらす。
【００６１】
＜第４の実施の形態＞
図１２は、実施の形態の情報漏洩防止装置の別の一例である。本例では、情報漏洩防止装置１の機能を情報機器２に内蔵した例であり、情報機器２の画像信号発生回路３０よりドットクロック信号を取得することができ、情報機器２に情報漏洩防止装置１を外付けすることなく、情報機器２内に内蔵されている場合でも同様の効果を得ることができる。
【００６２】
＜第５の実施の形態＞
図１３は、実施の形態による情報漏洩防止装置の別の一例である。図１３では、情報漏洩防止装置１の機能を情報機器２内部に内蔵した例であり、情報機器２のドットクロック信号発生部よりドットクロック信号を直接取得することができるため、情報漏洩防止装置１は、クロック信号抽出部とクロック発生部を備える必要がない。
【００６３】
従って、本実施の形態による情報漏洩防止装置によれば、コンピュータ等の情報機器より直接ドットクロック信号を取得し、擬似クロック信号の微分信号、クロック信号の倍周期信号、クロック信号のデューティ比を減少させる方法により生成した信号、クロック信号の倍周期信号あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、の１つ以上を生成し、情報機器２が漏洩電磁波の防止信号を出力できるため、情報機器２内に内蔵されている場合でも同様の効果を得ることができる。
【００６４】
＜第６の実施の形態＞
図１４は、実施の形態による情報漏洩防止装置の別の一例である。図１４において、ＲＧＢ信号以外も対象とするシリアル信号分配回路Ｂ２０が示されている。図１４に示す情報漏洩防止装置では、情報機器２のＲＧＢ信号だけでなく、画像情報を伝送する（＝含む）シリアル信号一般に対して適用できるようにしたものであり、これにより、例えば、情報機器２のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号（コンポーネット映像信号、コンポジット映像信号、セパレート映像信号など）、画像情報を含むＵＳＢ信号、画像情報を含むイーサネット（登録商標）信号などにでも対応できるものである。
【００６５】
ここで、シリアル信号分配回路Ｂ２０は、情報機器２のシリアル信号を情報漏洩防止装置１と外部周辺機器（プリンタ、ＦＡＸ、ビデオ装置など）に分配できるようになっており、情報漏洩防止装置１のクロック信号抽出部１１は、分配回路を介して受信したシリアル信号のクロック信号成分を抽出できるようになっている。また、クロック発生部１２は、抽出されたクロック成分の信号（最高クロック信号等）を発生させるようになっており、防止信号生成部１３や防止信号出力部１４を備える。
【００６６】
従って、本実施の形態における情報漏洩防止装置１Ａによれば、画像情報を伝送するあらゆるシリアル信号に対して、同様に効果を得ることができるため、漏洩電磁波による情報漏洩対策として、汎用性高く利用することができる。
【００６７】
以上説明した実施の形態によれば、コンピュータ、通信機器、映像表示用プロジェクタなどの情報通信装置から放射される不要電磁波から第三者が遠隔において画像情報を入力することを防止することが可能であり、画像情報が不正利用されるのを防ぐことができる。
【００６８】
また画像情報用インタフェイスケーブルを持たずディスプレイと一体のノートパソコンにおいても効果を発揮することが可能で、簡単な回路構成で実現できるため、シールドのようなコストの大幅な上昇を防ぐことができる。
【００６９】
また実施の形態は、あらゆるシリアル信号形式に適応可能であるため漏洩電磁波による情報漏洩対策として、汎用性が高く、あらかじめコンピュータなどの情報通信装置に組み込むことも可能であると同時に、多様な方向に放射される漏洩電磁波を効果的に遠隔地から受信できないようにできるという効果を有する。
【００７０】
さらに、該情報機器からの漏洩信号強度に応じて、情報漏洩のための防止信号出力レベルを調整できるため、出力される防止信号が周囲の電磁環境に与える影響を最小限に抑制できるばかりでなく、情報機器の電磁波放射特性に応じたレベルで防止信号を出力できるという効果を有する。
【００７１】
なお、本実施の形態の技術的要旨を逸脱しない範囲において、本実施の形態に対して、種々の変形や変更を施すことができる。例えば、図１４の例を除き、ＲＧＢ及び水平垂直信号同期信号としていたが、特にＲＧＢ画像信号に限定されるものではなく、画像情報を伝送するシリアル信号全てに適用できるものである。
【００７２】
図１５は具体的な適用例であり、（ａ）は情報機器単体への利用（例えば、ノートＰＣ、携帯電話機、ＰＤＡ端末など）、（ｂ）は情報機器２と情報機器２のディスプレイ２１の接続時の利用（例えば、コンピュータと映像モニタ間、コンピュータと映像プロジェクタ間）、（ｃ）は情報機器間どうしの接続時の利用（コンピュータ等の情報機器とプリンタ間、コンピュータ等の情報機器とＦＡＸ間、コンピュータ等の情報機器とコピー機関、コンピュータ等の情報機器とビデオ装置間、ＴＶ会議システムの端末間、コンピュータ等の情報機器と通信装置間など）、を示す。これら各種の接続形態時に送信される情報が、本実施の形態による情報漏洩防止装置によれば、第３者により受信解読されることを未然に効率的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【００７３】
【図１】第１の実施の形態に係る、情報漏洩防止装置及び情報漏洩防止信号の出力方法の一例を示す。
【図２】第１の実施の形態に係る、情報機器から漏洩したドット輝度信号の漏洩電磁波の測定イメージ例を示す。
【図３】第１の実施の形態に係る、情報機器のディスプレイ部の周辺部にアンテナに分類可能な導体ケーブルを設置した場合を示す。
【図４】第１の実施の形態に係る、情報漏洩防止装置の防止信号生成部が１次の微分回路を利用している例を示す。
【図５】第１の実施の形態に係る、防止信号生成回路がＮ倍周期回路を利用した場合に漏洩電磁波を防止する例を示す。
【図６】第１の実施の形態に係る、防止信号生成回路がデューティ比変換回路を利用して漏洩電磁波を防止する例を示す。
【図７】第１の実施の形態を適用して、従来の再生装置により漏洩電磁波の輝度信号列を再生した例を示す。
【図８】電磁強度の規制の例を示す。
【図９】第１の実施の形態において、防止信号を印加した際に防止信号電磁波が規制内に収まっている様子を示す。
【図１０】第２の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１１】第３の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１２】第４の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１３】第５の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１４】第６の実施の形態に係る、一例を示す。
【図１５】実施の形態の他の変形例を示す。
【図１６】従来のコンピュータの画像信号を伝送するために使われるアナログＲＧＢの信号発生回路例を示す。
【図１７】従来のコンピュータの画像信号を伝送するために使われるアナログＲＧＢの信号例を示す。
【図１８】従来の再生装置の受信機を示す。
【図１９】従来の再生装置を示す。
【図２０】従来の漏洩電磁波による情報漏洩を防止する手段として、コンピュータのインタフェイスケーブルにフィルタ回路を挿入した例を示す。
【図２１】従来のコンピュータの筐体そのものに電磁シールドを施し漏洩電磁波を低減させる方法を示す。
【図２２】従来のマスク信号（ａ）と、その漏洩電磁波の時間波形（ｂ）と、それらが合成された漏洩電磁波（ｃ）を示す。
【図２３】乱数的な虚偽信号を示す。
【図２４】情報機器から放射される電磁波を再生して情報を再生可能な構成例を示す。
【符号の説明】
【００７４】
１ 情報漏洩防止装置
２ 情報機器
３ シリアル信号インタフェイス
１１ クロック信号抽出部
１２ クロック信号発生部
１３ 防止信号生成部
１４ 防止信号出力部
１５ 漏洩信号受信部
１６ 漏洩信号受信センサ部
１７ 防止信号調整部
１３１ 防止信号生成回路
１３２ 出力アンプ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
情報機器から放射される漏洩電磁波が解読され、そこに含まれるデータ情報が再生されて漏洩することを防止するための出力レベル可変型情報漏洩防止装置において、
前記情報機器に設けられた情報信号のインタフェイスに接続され、該情報信号のクロック成分を抽出するクロック信号抽出部と、
前記クロック信号抽出部で抽出した該信号変動に同期する第１の擬似クロック信号か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する第２の擬似クロック信号を発生させるクロック信号発生部と、
前記クロック信号発生部で生成された該擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、該擬似クロック信号のデューティ比を減少させた信号、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を生成する防止信号生成部と、
前記情報機器の内部あるいは周辺部に設置された電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、前記情報機器に接続された各種ケーブル、前記情報機器の内部回路、前記情報機器の金属筐体の１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の手段により、前記防止信号生成部で生成した防止信号を該防止信号として出力する防止信号出力部と、
前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を受信する漏洩信号受信部と、
前記漏洩信号受信部で測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整する防止信号調整部と、
を具備することを特徴とする出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項２】
前記防止信号出力部は、
前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を前記漏洩信号受信部に代わって測定し、
測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号調整部が、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整することを特徴とする請求項１に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項３】
前記防止信号調整部は、
前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定した結果に基づいて、該防止信号の出力前に、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを決定する決定手段、
もしくは、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定しながら、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを適応的に決定する決定手段、のうちのいずれか一方を選択することを特徴とする請求項１に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項４】
前記情報信号は、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号、または、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号であり、前記クロック信号は、該情報機器のドットクロック信号である、
ことを特徴とする請求項１に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項５】
前記情報信号が、該情報機器のＲＧＢ及び水平垂直同期信号の場合、前記クロック信号抽出部とクロック信号発生部は、該情報機器のドットクロック信号より擬似クロック信号を生成する代わりに、該情報機器のＲ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれか１つ以上より擬似クロック信号を生成する、
ことを特徴とする請求項１または４に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項６】
情報機器から放射される漏洩電磁波が解読され、そこに含まれるデータ情報が再生されて漏洩することを防止するための出力レベル可変型情報漏洩防止方法において、
前記情報機器に設けられた情報信号のインタフェイスに接続されたクロック信号抽出部において、該情報信号のクロック成分を抽出するステップと、
クロック信号発生部において、前記クロック信号抽出部で抽出した該信号変動に同期する第１の擬似クロック信号か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する第２の擬似クロック信号を発生させるステップと、
防止信号生成部において、前記クロック信号発生部で生成された該擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、該擬似クロック信号のデューティ比を減少させた信号、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を生成するステップと、
防止信号出力部において、前記情報機器の内部あるいは周辺部に設置された電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、前記情報機器に接続された各種ケーブル、前記情報機器の内部回路、前記情報機器の金属筐体の１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の手段により、前記防止信号生成部で生成した防止信号を該防止信号として出力するステップと、
漏洩信号受信部において、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を受信するステップと、
防止信号調整部において、前記漏洩信号受信部で測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整するステップと、
を有することを特徴とする出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【請求項７】
前記防止信号出力部において、
前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を前記漏洩信号受信部に代わって測定するステップと、
測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号調整部が、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整するステップと、
を有することを特徴とする請求項６に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【請求項８】
前記防止信号調整部において、
前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定した結果に基づいて、該防止信号の出力前に、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを決定するステップ、
もしくは、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定しながら、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを適応的に決定するステップ、のうちのいずれか一方を選択するステップを有することを特徴とする請求項６に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【請求項９】
前記情報信号は、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号、または、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号であり、前記クロック信号は、該情報機器のドットクロック信号である、
ことを特徴とする請求項６に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【請求項１０】
前記情報信号が、該情報機器のＲＧＢ及び水平垂直同期信号の場合、前記クロック信号抽出部とクロック信号発生部は、該情報機器のドットクロック信号より擬似クロック信号を生成する代わりに、該情報機器のＲ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれか１つ以上より擬似クロック信号を生成するステップを実行することを特徴とする請求項６または９に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【請求項１】
情報機器から放射される漏洩電磁波が解読され、そこに含まれるデータ情報が再生されて漏洩することを防止するための出力レベル可変型情報漏洩防止装置において、
前記情報機器に設けられた情報信号のインタフェイスに接続され、該情報信号のクロック成分を抽出するクロック信号抽出部と、
前記クロック信号抽出部で抽出した該信号変動に同期する第１の擬似クロック信号か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する第２の擬似クロック信号を発生させるクロック信号発生部と、
前記クロック信号発生部で生成された該擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、該擬似クロック信号のデューティ比を減少させた信号、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を生成する防止信号生成部と、
前記情報機器の内部あるいは周辺部に設置された電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、前記情報機器に接続された各種ケーブル、前記情報機器の内部回路、前記情報機器の金属筐体の１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の手段により、前記防止信号生成部で生成した防止信号を該防止信号として出力する防止信号出力部と、
前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を受信する漏洩信号受信部と、
前記漏洩信号受信部で測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整する防止信号調整部と、
を具備することを特徴とする出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項２】
前記防止信号出力部は、
前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を前記漏洩信号受信部に代わって測定し、
測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号調整部が、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整することを特徴とする請求項１に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項３】
前記防止信号調整部は、
前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定した結果に基づいて、該防止信号の出力前に、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを決定する決定手段、
もしくは、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定しながら、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを適応的に決定する決定手段、のうちのいずれか一方を選択することを特徴とする請求項１に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項４】
前記情報信号は、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号、または、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号であり、前記クロック信号は、該情報機器のドットクロック信号である、
ことを特徴とする請求項１に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項５】
前記情報信号が、該情報機器のＲＧＢ及び水平垂直同期信号の場合、前記クロック信号抽出部とクロック信号発生部は、該情報機器のドットクロック信号より擬似クロック信号を生成する代わりに、該情報機器のＲ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれか１つ以上より擬似クロック信号を生成する、
ことを特徴とする請求項１または４に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止装置。
【請求項６】
情報機器から放射される漏洩電磁波が解読され、そこに含まれるデータ情報が再生されて漏洩することを防止するための出力レベル可変型情報漏洩防止方法において、
前記情報機器に設けられた情報信号のインタフェイスに接続されたクロック信号抽出部において、該情報信号のクロック成分を抽出するステップと、
クロック信号発生部において、前記クロック信号抽出部で抽出した該信号変動に同期する第１の擬似クロック信号か、または、前記第１の擬似クロック信号に対して事前に指定した位相差を有する第２の擬似クロック信号を発生させるステップと、
防止信号生成部において、前記クロック信号発生部で生成された該擬似クロック信号のｎ次の微分信号（ｎ：整数）、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）、該擬似クロック信号のデューティ比を減少させた信号、該擬似クロック信号のＮ倍周期信号（Ｎ：２以上の整数）あるいはデューティ比を減少させた信号の振幅方向のオフセット位置を変更した信号、のいずれか１つ以上を生成するステップと、
防止信号出力部において、前記情報機器の内部あるいは周辺部に設置された電磁波放射が可能なアンテナや回路パターンへの信号印加、前記情報機器に接続された各種ケーブル、前記情報機器の内部回路、前記情報機器の金属筐体の１つ以上の箇所への信号印加、のいずれか１つ以上の手段により、前記防止信号生成部で生成した防止信号を該防止信号として出力するステップと、
漏洩信号受信部において、前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を受信するステップと、
防止信号調整部において、前記漏洩信号受信部で測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整するステップと、
を有することを特徴とする出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【請求項７】
前記防止信号出力部において、
前記情報機器の内部あるいは周辺における放射電磁波、前記情報機器に接続された各種ケーブル上で観測される伝導性信号、前記情報機器の内部回路基盤上の誘導電圧信号、前記情報機器の金属筐体部で観測される誘導電圧信号のいずれか１つ以上を前記漏洩信号受信部に代わって測定するステップと、
測定した該観測信号に基づいて、前記防止信号調整部が、前記防止信号出力部から出力される該防止信号の出力レベルを調整するステップと、
を有することを特徴とする請求項６に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【請求項８】
前記防止信号調整部において、
前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定した結果に基づいて、該防止信号の出力前に、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを決定するステップ、
もしくは、前記漏洩信号受信部が該観測信号を測定しながら、前記防止信号生成から前記防止信号出力部への該防止信号の出力レベルを適応的に決定するステップ、のうちのいずれか一方を選択するステップを有することを特徴とする請求項６に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【請求項９】
前記情報信号は、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号、または、該情報機器のＲＧＢ信号及び水平垂直同期信号より生成されるビデオ映像信号であり、前記クロック信号は、該情報機器のドットクロック信号である、
ことを特徴とする請求項６に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【請求項１０】
前記情報信号が、該情報機器のＲＧＢ及び水平垂直同期信号の場合、前記クロック信号抽出部とクロック信号発生部は、該情報機器のドットクロック信号より擬似クロック信号を生成する代わりに、該情報機器のＲ信号、Ｇ信号、Ｂ信号のいずれか１つ以上より擬似クロック信号を生成するステップを実行することを特徴とする請求項６または９に記載の出力レベル可変型情報漏洩防止方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【公開番号】特開２００７−６２７６（Ｐ２００７−６２７６Ａ）
【公開日】平成１９年１月１１日（２００７．１．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１８５５１４（Ｐ２００５−１８５５１４）
【出願日】平成１７年６月２４日（２００５．６．２４）
【出願人】（０００００４２２６）日本電信電話株式会社 (13,992)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１月１１日（２００７．１．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年６月２４日（２００５．６．２４）
【出願人】（０００００４２２６）日本電信電話株式会社 (13,992)
【Ｆターム（参考）】
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