説明

情報端末装置

【課題】利便性を向上し得る情報端末装置を提供する。
【解決手段】近赤外光が照射される照射方向に対して直交する方向に偏光軸を有する偏光板27を移動自在に保持するスライド板31が移動され、撮像素子14cの光路上に偏光板27が配されることに応じて、血管を撮像する血管撮像モードと上記血管以外の被写体を撮像する被写体撮像モードとのうちの血管撮像モードに切り替え、近赤外光を照射して撮像素子14cにより撮像される血管と比較すべき情報とを照合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末装置に関し、例えばCCDカメラが搭載された携帯電話機に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体内方の血管をCCDカメラにより撮像し、当該撮像した血管を用いて認証処理を実行する携帯電話機が提案されている(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
実際上、この携帯電話機は、送信指令が操作部から与えられた場合に、血管を撮像すべきことを表示部を介してこのとき操作部を操作する使用者に通知し、当該通知の応答として血管撮像指令が操作部から与えられると、CCDカメラにより血管を撮像する。
【0004】
この後、携帯電話機は、かかる血管を用いて所定の認証処理を実行し、当該認証結果に基づいてこのとき操作部を操作するユーザが正規ユーザであると判定した場合にのみ個人情報の送信を許可するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】特願2004−135609公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところがかかる構成の携帯電話機においては、送信指令に対応する操作をした後に、血管撮像指令に対応する操作を要するのみならず、認証処理後にさらに個人情報を送信するための操作を要するため、ユーザに対して煩雑な操作を強要することとなり、利便性が悪かった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、利便性を向上し得る情報端末装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明は、生体の内方における被写体に吸収特性がある波長を含む光のうち該生体の表面で反射された光を撮像素子の光路から逸らす偏光板を移動自在に保持する保持手段と、生体に内在する被写体を撮像する第1のモードと、生体の内包における被写体以外の被写体を撮像する第2のモードとのうち、撮像素子の光路上に偏光板が移動されることに応じて第1のモードに切り替える切替手段と、第1のモードに切り替えられる場合、光を照射する照射手段と、第1のモードに切り替えられる場合、撮像素子により撮像される生体の内方における被写体と比較すべき情報とを照合する照合手段とを設けるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保持手段により保持される偏光板が撮像素子の光路上に配された場合のみ撮像素子により撮像される生体の内方における被写体と比較すべき情報とを照合するので、ユーザは保持手段を移動させるだけで照合が可能となり、かくして利便性を向上することができ、また撮像の際に、照射手段から照射された光が生体の内方を経由することなく指の表面で反射した光を偏光板により撮像素子から逸らすことができ、照合精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態による携帯電話機の外観構成を示す略線図である。
【図2】閉状態の携帯電話機(1)を示す略線図である。
【図3】閉状態の携帯電話機(2)を示す略線図である。
【図4】撮像部の構成を示す略線図である。
【図5】レンズ移動機構の構成(1)を示す略線図である。
【図6】レンズ移動機構の構成(2)を示す略線図である。
【図7】レンズ移動機構の移動状態と撮像状態との関係(1)を示す略線図である。
【図8】レンズ移動機構の移動状態と撮像状態との関係(2)を示す略線図である。
【図9】本実施の形態による携帯電話機内部の回路構成を示すブロック図である。
【図10】撮像制御部の構成を示すブロック図である。
【図11】CCDの読出タイミングの説明に供する略線図である。
【図12】電子シャッタによる撮像感度調整の説明に供する略線図である。
【図13】モード切替処理手順を示すフローチャートである。
【図14】他の実施の形態によるレンズ移動機構の構成(1)を示す略線図である。
【図15】他の実施の形態によるレンズ移動機構の構成(2)を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面について本発明を適用した実施の形態を詳述する。
【0012】
(1)携帯電話機の構成
(1−1)携帯電話機の外観構成
図1及び図2において、1は本実施の形態による携帯電話機の外観構成を示し、略直方体形状でなる第1の筺体(以下、これを第1筐体と呼ぶ)2及び第2の筺体(以下、これを第2筺体と呼ぶ)3が、当該第2筺体3の一端に設けられた回転軸部4を介して略水平方向へ回転自在に連結されことにより構成される。
【0013】
この第1筺体2の表面中央には表示部11が設けられていると共に、当該表示部11の上方にはスピーカ12、下方にはジョグダイヤルと呼ばれる回転及び押圧自在の操作部(以下、これを回転押圧操作部と呼ぶ)13がそれぞれ設けられている。
【0014】
一方、第2筺体3の表面中央には電源キー、発呼キー及び文字入力キー等の各種操作キーからなる操作部14が設けられていると共に、当該操作部14の下方にはマイクロフォン15が設けられている。
【0015】
そしてこの携帯電話機1は、第1筺体2の裏面及び第2筺体3の表面を離した開状態において(図1)、第2筺体3を片手で把持しながら通話又は操作部14を操作し、一方、第1筺体2の裏面及び第2筺体3の表面を重ねた閉状態において(図2)、操作部14を保護すると共に誤操作を防止し、かつ携帯電話機1全体の寸法を小型化して携帯性を向上し得るようになされている。
【0016】
かかる構成に加えて、この携帯電話機1では、図3に示すように、第2筺体3の裏面3Aに撮像部20が設けられており、当該撮像部20は血管内の脱酸素化ヘモグロビン(静脈血)又は酸素化ヘモグロビン(動脈血)に近赤外線帯域の光(近赤外光)が特異的に吸収されることを利用して、当該撮像部20の所定位置にあてがうように配置された指内方の血管を撮像し得るようになされている。
【0017】
(2)撮像部の構成
実際上、図3及び図4に示すように、この撮像部20においては、CCDカメラ21が第2筺体3内部に収納されており、当該CCDカメラ21に対応させて撮像部20の表面(第2筺体3)には撮像開口部22が設けられ、当該撮像開口部22には、所定材質でなる無色透明の蓋部23が設けられている。
【0018】
これによりこの撮像部20は、撮像開口部22から第2筺体3内への異物の流入を防止すると共に、指FGをあてがうことに起因するCCDカメラ21の汚れを未然に防止することができるようになされている。
【0019】
また撮像部20の表面には、近赤外光光源24(24a及び24b)が設けられており、当該近赤外光光源24においては、撮像開口部22上にあてがわれた指FGの指腹側面に近赤外光が照射されるようにその照射方向が選定されている。
【0020】
従って撮像部20は、近赤外光光源24から撮像開口部22上にあてがわれた指FGに対して照射され、当該指FG内方の血管組織において内在するヘモグロビンに吸収されると共に血管組織以外の組織において散乱することにより得られる近赤外光を、撮像開口部22及び蓋部23を順次介してCCDカメラ21に入射することができるようになされている。
【0021】
このCCDカメラ21は、撮像開口部22下の光路において、近赤外線帯域の波長(およそ700[nm]〜900[nm])に対応する光のみを透過するマクロレンズ(以下、これを近赤外光透過レンズと呼ぶ)25及びCCD26が順次配されてなり、当該撮像開口部22から入射される各種帯域の光のうち近赤外光をCCD26に導光するようになされている。
【0022】
またこのCCDカメラ21には、撮像開口部22及び近赤外光透過レンズ25間において、近赤外光光源24の照射方向に対して直交する方向(以下、これを照射直交方向と呼ぶ)に偏光軸を有する偏光板27が設けられている。
【0023】
これによりこのCCDカメラ21においては、照射直交方向に対して垂直となる方向から、指FGの内方を経由することなくその指FGの表面を反射した近赤外光(以下、これを指表面反射近赤外光と呼ぶ)を偏向板27により光路から逸らすことができるようになされている。
【0024】
従ってこのCCDカメラ21は、撮像開口部22から入射される近赤外光のうち、指FG内方から得られる近赤外光(以下、これを血管射影光と呼ぶ)を選択的にCCD26に導光することができるようになされている。
【0025】
CCD26は、格子状に配された複数の光電変換素子を有し、これら光電変換素子において血管射影光を光電変換する。そしてCCD26は、この光電変換結果として各光電変換素子それぞれにチャージされる電荷を所定の制御信号に従って血管画像信号S10aとして出力するようになされている。
【0026】
このようにしてこの撮像部20は、指FG内方における血管を撮像対象として撮像することができるようになされている。
【0027】
かかる構成に加えて、この撮像部20においては、CCDカメラ21における近赤外光透過レンズ25及び偏光板27を移動するレンズ移動機構により、指FG内方における血管のみならず背景等の通常の被写体をも撮像し得るようになされている。
【0028】
(3)レンズ移動機構の構成
実際上、図5及び図5のA−A´を断面にとった図6に示すように、レンズ移動機構30は、撮像開口部22及び固体撮像素子14c間(図4)において、第2筺体3の裏面3Aと平行であり、かつ第2筺体3の長手方向LC(LCa及びLCb)にスライド自在に設けられたスライド板31と、当該スライド板31の一端に一体形成され、第2筺体3の側面3Bから突出する把持部32とによって構成される。
【0029】
このスライド板31は、第2筺体3の長手方向に近赤外光透過レンズ25及び偏光板27と、RGBに対応する波長のみを透過するレンズ(以下、これをRGB透過レンズと呼ぶ)33とをそれぞれ保持するようになされている。
【0030】
従ってレンズ移動機構30は、把持部32を介してスライド板31を手動によりスライドさせることにより、撮像開口部22から固体撮像素子14cまでの光路間(以下、これを光路途中位置と呼ぶ)に、当該スライド板31に設けられた近赤外光透過レンズ25及び偏光板27あるいはRGB透過レンズ33を配置することができるようになされている。
【0031】
この結果、撮像部20では、光路途中位置に近赤外光透過レンズ25及び偏光板27が配置されている場合には、撮像開口部22上にあてがわれた指FGを経由して得られる血管射影光がCCD26を介して血管画像信号S10a(図4)として出力され、当該光路途中位置にRGB透過レンズ33が配置されている場合には、撮像開口部22から入射される被写体反射光がCCD26を介して被写体画像信号S10b(図4)として出力されることとなる。
【0032】
このようにしてこの撮像部20においては、レンズ移動機構30により指FG内方における血管又は通常の被写体を撮像対象として撮像することができるようになされている。
【0033】
かかる構成に加えてこのレンズ移動機構30には、図5に示したように、第2筺体3の側面3Bにおいて、近赤外光撮像スイッチ34Aと、可視光撮像スイッチ34Bとからなるスイッチ部34が設けられている。
【0034】
この近赤外光撮像スイッチ34Aは、図7及び図8に示すように、光路途中位置に近赤外光透過レンズ25及び偏光板27が配置されている状態(以下、これを血管撮像状態と呼ぶ)時における把持部32に対応する位置に有し、当該血管撮像状態時における把持部32によってオン状態となるようになされている。このとき近赤外光撮像スイッチ34Aは、レンズ移動機構30が血管撮像状態にあることを表す信号(以下、これを血管撮像状態通知信号と呼ぶ)を内部回路(図示せず)に送出する。
【0035】
これに対して可視光撮像スイッチ34Bは、光路途中位置にRGB透過レンズ33が配置されている状態(以下、これを被写体撮像状態と呼ぶ)時における把持部32に対応する位置に有し、当該被写体撮像状態時における把持部32によってオン状態となるようになされている。このとき可視光撮像スイッチ34Bは、レンズ移動機構30が被写体撮像状態にあることを表す信号(以下、これを被写体撮像状態通知信号と呼ぶ)を内部回路(図示せず)に送出する。
【0036】
一方、スイッチ部34は、光路途中位置に近赤外光透過レンズ25及び偏光板27と、RGB透過レンズ33との双方がともに配置されていない状態(以下、これを非撮像状態と呼ぶ)時には、通知信号を内部回路(図示せず)に送出しないようにして、レンズ移動機構30が非撮像状態であることを内部回路(図示せず)に通知するようになされている。
【0037】
このようにしてレンズ移動機構30は、スライド板31の位置に応じて撮像状態(血管撮像状態、被写体撮像状態又は非撮像状態)を内部回路に通知することができるようになされている。
【0038】
(4)携帯電話機の回路構成
一方、この携帯電話機1においては、内部の回路構成として、図9に示すように、当該携帯電話機1全体の制御を司る制御部40に対して、表示部11、回転押圧操作部13、操作部14、記憶部41、送受信部42、状態検出部43及び撮像制御部44がそれぞれ接続されることにより構成される。
【0039】
この記憶部41には、各種プログラム、個人データ及びこの携帯電話機1における正規ユーザの血管の形成パターン(以下、これを正規血管形成パターンと呼ぶ)等の各種データが所定のファイル形式でそれぞれ記憶されている。
【0040】
制御部40は、CPU、記憶メモリ、ワークメモリ及びクロック発信機を有し、回転押圧操作部13又は操作部14から入力される操作命令COMに対応するファイルを記憶部41から適宜読み出してワークメモリに展開し、当該展開したファイルに従って各種処理を実行する。この際、制御部40は、かかる処理内容を必要に応じて表示部11に表示するようになされている。
【0041】
送受信部42は、スピーカ12、マイクロフォン15及びこの携帯電話機1に設けられたアンテナANTにそれぞれ接続されており、当該マイクロフォン15又は制御部40から供給される各種信号を変調した後に増幅し、この結果得られるアップリンク波信号をアンテナANTを介して基地局(図示せず)に送信する。
【0042】
一方、送受信部42は、基地局(図示せず)から送信されたダウンリンク波信号をアンテナANTを介して受信し、増幅した後に復調し、この結果得られる各種信号をスピーカ12又は制御部40に送出するようになされている。
【0043】
状態検出部43は、レンズ移動機構30のスイッチ部34(図7及び図8)から供給される血管撮像状態通知信号S1a又は被写体撮像状態通知信号S1bに基づいてレンズ移動機構30の状態(血管撮像状態、被写体撮像状態又は非撮像状態)を検出し、当該検出結果をデータ(以下、これを状態検出データと呼ぶ)D1として制御部40に送出するようになされている。
【0044】
撮像制御部44は、制御部40の制御に応じて、非撮像モード、被写体を撮像するモード(以下、これを被写体撮像モードと呼ぶ)又は血管を撮像するモード(以下、これを血管撮像モードと呼ぶ)を実行するようになされている。
【0045】
実際上、撮像制御部44は、図10に示すように、近赤外光光源24を制御する光源制御部44a、CCD26を制御する電荷調整部44b及び当該CCD26に接続されたA/D(Analog/Digital)変換部44cを有し、非撮像モード時にはバッテリからの電源電圧が制御部40によって遮断されており、この結果、非動作状態となっている。
【0046】
一方、撮像制御部44には、被写体撮像モード時には電荷調整部44b及びA/D変換部44cのみに対してこの携帯電話機1に内蔵されるバッテリから電源電圧が供給され、当該電荷調整部44b及びA/D変換部44cによって被写体撮像モードが実行される。
【0047】
この場合、電荷調整部44bは、図11(A)に示すように、立ち下がり時点から次の立ち下がり時点までの単位期間PTとする所定のデューティー比のパルス信号を生成し、これを電荷読出信号S2としてCCD26に送出する。この結果、CCD26では、単位期間PT(図11(A))において各光電変換素子にチャージされる電荷が、立ち下がり時点を読出開始時点として周期的に読み出され、この読み出された電荷が被写体画像信号S10b(図4)としてA/D変換部44cに出力される。
【0048】
A/D変換部44cは、被写体画像信号S10bに対してA/D変換処理を施し、この結果得られる被写体画像データD10bを制御部40(図9)に送出するようになされている。
【0049】
他方、撮像制御部44では、血管撮像モード時には光源制御部44a、電荷調整部44b及びA/D変換部44cにバッテリから電源電圧が供給され、当該光源制御部44a、電荷調整部44b及びA/D変換部44cによって血管撮像モードが実行される。
【0050】
この場合、光源制御部44aは、電源電圧を予め設定された電圧値となるように昇圧するようになされている。この電圧値は、撮像時に生体に到来する雰囲気中の光(以下、これを通常光と呼ぶ)による近赤外光への影響を低減させるため、当該通常光よりも大きい強度の近赤外光が近赤外光光源24(24a及び24b)から照射される値に選定されている。
【0051】
そして光源制御部44aは、昇圧した電源電圧を光源駆動信号S1として近赤外光光源24に印加するようにして当該近赤外光光源24を駆動する。
【0052】
この結果、近赤外光光源24(24a及び24b)が点灯し、撮像開口部22上にあてがわれた指FG(図4)には、通常光よりも大きい強度の近赤外光が照射されることとなる。
【0053】
このようにして光源制御部44aは、通常光よりも大きい強度の近赤外光が照射されるように近赤外光光源24を制御することができるようになされている。
【0054】
電荷調整部44bにおいては、電荷読出信号S2をCCD26に送出するだけでは、図12(A)に示すように、近赤外光光源24から照射される近赤外光の強度が通常光よりも大きいことに起因して、CCD26では単位期間PT(図11(A))の途中で各光電変換素子にチャージされる電荷が飽和するといった事態が起こることとなる。
【0055】
そこでこの電荷量調整部34bは、電子シャッタと呼ばれる露光時間制御処理を実行し、CCD26(各光電変換素子)にチャージされる単位期間PT(図11(A))当たりの電荷量を制限するようになされている。
【0056】
すなわち電荷量調整部34bは、図11(B)に示すように、CCD26(各光電変換素子)にチャージされている電荷のリセット時点として、予め設定された例えば単位期間PTの中間時点となるように、電荷読出信号S2に基づいて電荷リセット信号S3を生成する。
【0057】
このリセット時点は、近赤外光光源24に印加する光源駆動信号S1の電圧値(即ち近赤外光の強度)に応じて各光電変換素子にチャージされる電荷の飽和期間が変化するため、単位期間PTのうちの当該電圧値に対応する時点に選定されている。
【0058】
そして電荷量調整部34bは、かかる電荷リセット信号S3を電荷読出信号S2と共にCCD26に送出する。この結果、CCD26では、図11(C)に示すように、単位期間PTにチャージされる電荷が、電荷リセット信号S3のリセット時点から電荷読出信号S2の立ち下がり時点までの期間ESTのみに制限されることとなる。
【0059】
そして図12(B)に示すように、CCD26では、血管射影光と共に通常光が入射した場合であっても、当該血管射影光及び通常光に対する光電変換結果として各光電変換素子にチャージされる電荷量が相対的に減少することになるため、当該CCD26における血管射影光に対する撮像感度は通常光による実質的な影響のない状態となる。
【0060】
このようにして電荷量調整部34bは、CCD26(各光電変換素子)にチャージされる電荷量を制限することにより、通常光による実質的な影響のない状態となるように血管射影光に対するCCD26での撮像感度を調整することができるようになされている。
【0061】
A/D変換部44cは、CCD26から出力される血管画像信号S10aに対してA/D変換処理を施し、この結果得られる血管画像データD10aを制御部40(図9)に送出する。
【0062】
このようにして撮像制御部44は、非撮像モード、被写体撮像モード又は血管撮像モードを実行することができるようになされている。
【0063】
(5)モード切替機能
ここで、この携帯電話機1には、レンズ移動機構30の状態(図7及び図8)に連動して対応するモードを実行するモード切替機能が搭載されている。
【0064】
このモード切替機能は、血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))に連動して対応する処理を実行するモード(以下、これを血管撮像対応処理モードと呼ぶ)と、被写体撮像状態(図7(B)及び図8(B))に連動して対応する処理を実行するモード(以下、これを被写体撮像対応処理モードと呼ぶ)と、非撮像状態(図7(C)及び図8(C))に連動して対応する処理を実行するモード(以下、これを非撮像対応処理モードと呼ぶ)とを有しており、これら各処理モードを制御部40が実行することによりこのモード切替機能が実現される。
【0065】
なお、この携帯電話機1では、当該携帯電話機1に対して外部の装置に情報を送信する際に、当該情報送信に関する操作するユーザ自らがレンズ移動機構30を血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))とするようになされている。
【0066】
以下、かかる非撮像対応処理モード、被写体撮像対応処理モード及び血管撮像対応処理モードについて詳細に説明する。
【0067】
(5−1)非撮像対応処理モード
制御部40は、レンズ移動機構30が非撮像状態であることを内容とする状態検出データD1が状態検出部43から供給される場合には非撮像対応処理モードとして、この携帯電話機1に有する諸機能にそれぞれ対応する処理(以下、これを機能対応処理と呼ぶ)を実行し、又は実行可能な状態とする。
【0068】
この際、制御部40は、バッテリから撮像制御部44への電源電圧の流入を遮断すると共に撮像制御部44を非撮像モードとするようにして、当該撮像制御部44での撮像制御処理を停止するようになされている。
【0069】
このようにして制御部40は、非撮像対応処理モードにおいて、機能対応処理のうち撮像制御部44での撮像制御処理だけを停止することにより、当該撮像制御部44における消費電力を喪失させる分だけこの携帯電話機1全体の処理負荷を低減することができるようになされている。
【0070】
また制御部40は、この非撮像対応処理モードにおいて、血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))を表す状態検出データD1を受けた場合には血管撮像対応処理モードに遷移し、一方、被写体撮像状態(図7(B)及び図8(B))を表す状態検出データD1を受けた場合には被写体撮像対応処理モードに遷移する。
【0071】
従って、この制御部40においては、ユーザに対して操作部13又は14を介してモード切り替えるといった煩雑な操作を行う又は当該操作内容を記憶するといったことを強要させることなく、レンズ移動機構30のスライド板31をスライドするといった簡易な操作だけで自動的に血管撮像対応処理モード又は被写体撮像対応処理モードに切り替えることができるようになされている。
【0072】
(5−2)被写体撮像対応処理モード
一方、制御部40は、被写体撮像対応処理モードに遷移すると、機能対応処理のうち一部の処理(以下、これを対象処理と呼ぶ)を制限する。
【0073】
この実施の形態の場合、制御部40は、状態検出データD1、被写体撮像命令及び送受信部34で受信した着信通知の応答としての通話命令だけを受け付けると共に、表示処理を停止するように表示部11を制御する。
【0074】
従って、この携帯電話機1では、一定の操作に対応する操作命令COMを生成する操作部13及び14での操作命令生成処理、送受信部34での受信処理及び状態検出部35での状態検出処理以外の処理が対象処理として制限されることとなる。
【0075】
この状態において制御部40は、バッテリの電源電圧を電荷量調整部34b及びA/D変換部44cに供給すると共に、撮像制御部44を被写体撮像モードとなるように制御する。
【0076】
そして制御部40は、この撮像制御部44から与えられる被写体画像データD10bを操作部13又は14からの被写体撮像命令に応じて記憶部41に所定の圧縮形式で記憶するようになされている。
【0077】
また制御部40は、この被写体撮像対応処理モードにおいて、血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))を表す状態検出データD1を受けた場合及び非撮像状態(図7(C)及び図8(C))を表す状態検出データD1を受けた場合には、対象処理の制限を解除すると共に、撮像制御部44を対応する撮像モードとなるように制御するようにして、血管撮像対応処理モード又は非撮像対応処理モードに遷移する。
【0078】
従って、この制御部40は、被写体撮像対応処理モードにおいても、ユーザに対して煩雑な操作及び操作内容の記憶を強要させることなく、レンズ移動機構30のスライド板31をスライドするといった簡易な操作だけで自動的に血管撮像対応処理モード又は非撮像対応処理モードに切り替えることができるようになされている。
【0079】
なお、制御部40は、この被写体撮像対応処理モードにおいて、操作部13又は14から着信応答としての通話命令を受けた場合には、対象処理の制限を解除すると共に、撮像制御部44を非撮像モードとなるように制御した後に、非撮像対応処理モードに遷移するようになされている。
【0080】
このようにして制御部40は、レンズ移動機構30の被写体撮像状態(図7(B)及び図8(B))に連動して自動的に撮像制御部44を被写体撮像モードとなるように制御することにより、当該被写体撮像状態とするまでのユーザによる物理的な操作負担を低減させることができるようになされている。
【0081】
この場合、制御部40は、この携帯電話機1の機能対応処理のうち被写体撮像時に不必要な対象処理を停止することにより、当該被写体撮像時におけるこの携帯電話機1全体の処理負荷を必要最小限に抑えることができるようになされている。
【0082】
(5−3)血管撮像対応処理モード
他方、制御部40は、血管撮像対応処理モードに遷移すると、送信相手及び送信対象データ等の通信関連情報を入力するように表示部11を介して通知するようになされており、当該通信関連情報が操作部13又は14を介して入力された場合には、被写体撮像対応処理モード時と同様に機能対応処理のうち対象処理を制限する。
【0083】
因みに、このとき制限される対象処理は、被写体撮像命令を生成する操作部13及び14での操作命令生成処理も対象処理として含まれる点で、当該処理が対象処理から除かれていた被写体撮像対応処理モード時とは相違している。
【0084】
この状態において制御部40は、バッテリの電源電圧を光源制御部44a、電荷量調整部34b及びA/D変換部44cに供給すると共に、撮像制御部44を血管撮像モードとなるように制御する。
【0085】
そして制御部40は、撮像制御部44から供給される血管画像データD10aに対して2値化処理を施し、この結果得られた2値血管画像における血管の例えば分岐点の組み合わせを血管形成パターンとして抽出した後、この血管形成パターンを、記憶部32に予め登録された正規血管形成パターンと照合する。
【0086】
ここで、制御部40は、この照合結果として所定の閾値未満となる合致率となった場合には、その後撮像制御部44から与えられる血管画像データD10aを用いて規定回数だけリトライするようになされており、当該規定回数だけリトライしても照合結果が閾値未満の合致率となる場合には、対象処理の制限を解除すると共に、撮像制御部44を非撮像モードとなるように制御した後、非撮像対応処理モードに遷移する。このとき制御部40は、血管認証が失敗した旨を表示部11を介して通知するようになされている。
【0087】
これに対して制御部40は、照合結果が閾値以上の合致率となる場合には、正規血管形成パターンと一致する血管形成パターンであると判定し、この場合、撮像制御部44を非撮像モードとなるように制御した後に、この血管撮像対応処理モードの遷移時に入力された通信関連情報に従って通信処理を実行するように送受信部42を制御するようになされている。
【0088】
また制御部40は、この血管撮像対応処理モードにおいて、被写体撮像状態(図7(B)及び図8(B))を表す状態検出データD1を受けた場合及び非撮像状態(図7(C)及び図8(C))を表す状態検出データD1を受けた場合には、対象処理の制限を解除すると共に、撮像制御部44を対応する撮像モードとなるように制御するようにして、被写体撮像対応処理モード又は非撮像対応処理モードに遷移する。
【0089】
従って、この制御部40は、血管撮像対応処理モードにおいても、ユーザに対して煩雑な操作及び操作内容の記憶を強要させることなく、レンズ移動機構30のスライド板31をスライドするといった簡易な操作だけで自動的に被写体撮像対応処理モード又は非撮像対応処理モードに切り替えることができるようになされている。
【0090】
なお、制御部40は、この血管体撮像対応処理モードにおいて、操作部13又は14から着信応答としての通話命令を受けた場合には、被写体撮像対応処理モードと同様に、対象処理の制限を解除すると共に撮像制御部44を非撮像モードとなるように制御した後に、非撮像対応処理モードに遷移するようになされている。
【0091】
このようにして制御部40は、レンズ移動機構30の血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))に連動して通信関連情報を入力させ、この入力後には自動的に、撮像制御部44を血管撮像モードとなるように制御すると共に認証処理を実行することにより、当該血管撮像状態としてから通信するまでのユーザによる物理的な操作負担を大幅に低減させることができることから、ユーザの意図にかかわらずこの携帯電話機1内の情報を第三者から保護することができるようになされている。
【0092】
この場合、制御部40は、生体内方における血管形成パターンを用いた認証処理を実行することにより、第三者による直接的な不正使用を防止するのみならず、生体表面に有する指紋等に比して第三者による登録者への成りすまし使用をより強固に防止することができるため、この携帯電話機1内の情報に対する第三者からの保護を強化することができるようになされている。
【0093】
さらにこの場合、制御部40は、この携帯電話機1の機能対応処理のうち血管撮像時、認証時及び通信時において不必要な対象処理を適宜停止することにより、これら血管撮像時、認証時及び通信時に応じてこの携帯電話機1全体の処理負荷を必要最小限に抑えることができるようになされている。
【0094】
(5−4)モード切替処理手順
上述の制御部40による非撮像対応処理モード、被写体撮像対応処理モード及び血管撮像対応処理モードのモード切替処理は、図13に示すモード切替処理手順に従って実行される。
【0095】
すなわち制御部40は、この携帯電話機1の主電源が投入されると、このモード切替処理手順RTをステップSP0から開始し、続くステップSP1に進んで、機能対応処理のうち撮像制御部44による撮像処理以外の処理を実行する又は実行可能な状態とするようにして非撮像対応処理モードに遷移した後、次のステップSP2に進んでレンズ移動機構30が血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))又は被写体撮像状態(図7(B)及び図8(B))となったか否かを判定する。
【0096】
ここで否定結果を得た場合、このことは、スイッチ部34(図7及び図8)から血管撮像状態通知信号及び被写体撮像状態通知信号の双方の信号が状態検出部43において未だ検出されておらず、この携帯電話機1における撮像機能の使用をユーザが意図していないことを意味し、このとき制御部40は、非撮像対応処理モードを実行し続ける。
【0097】
これに対して肯定結果を得た場合、このことは、スイッチ部34(図7及び図8)から血管撮像状態通知信号及び被写体撮像状態通知信号のいずれか信号が状態検出部43において検出されており、この携帯電話機1における撮像機能の使用をユーザが意図していることを意味し、このとき制御部40は、次のステップSP3に進んで血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))であるか否かを判定する。
【0098】
ここで、制御部40は、このステップSP3において血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))でないと判定した場合には、続くステップSP4に進んで機能対応処理のうち対象処理を制限すると共に、撮像制御部44を被写体撮像モードとなるように制御して被写体撮像対応処理モードに遷移し、次のステップSP5においてレンズ移動機構30の状態が変化したと判定するまで、この被写体撮像対応処理モードを維持する。
【0099】
この状態においてユーザは、被写体を撮像することができ、またこの携帯電話機1の諸機能の使用を意図する場合には、レンズ移動機構30の状態を血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))又は非撮像状態(図7(C)及び図8(C))に変えることができる。
【0100】
そして制御部40は、ステップSP5においてレンズ移動機構30の状態が変化したと判定すると、続くステップSP6に進んで、当該変化が血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))でなはないと判定した場合には、ステップSP1に戻って非撮像対応処理モードに遷移するようになされている。
【0101】
一方、制御部40は、ステップSP3又はステップSP6において血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))であると判定した場合には、続くステップSP7に進んで通信関連情報を入力させ、続くステップSP8に進んで機能対応処理のうち対象処理を制限すると共に、撮像制御部44を血管撮像モードとなるように制御して血管撮像対応処理モードに遷移した後、次のステップSP9において、撮像制御部44から供給される血管画像データD10aを用いてこのとき携帯電話機1を使用するユーザが正規ユーザであるか否かを判定し、当該正規ユーザではないと判定した場合には、ステップSP1に戻って非撮像対応処理モードに遷移する。
【0102】
これに対して制御部40は、正規ユーザであると判断した場合には、続くステップSP10に進んで、ステップSP6で入力された通信関連情報に従って通信処理を実行するように送受信部42を制御し、次のステップSP11においてレンズ移動機構30の状態が変化したと判定するまで、この血管撮像対応処理モードでの通信処理を維持する。
【0103】
この状態においてユーザは、ステップSP3で入力した通信関連情報とは異なる通信関連情報を適宜操作部13又は14から入力することができ、またこの携帯電話機1の諸機能の使用を意図する場合には、レンズ移動機構30の状態を被写体撮像状態(図7(B)及び図8(B))又は非撮像状態(図7(C)及び図8(C))に変えることができる。
【0104】
そして制御部40は、ステップSP11においてレンズ移動機構30の状態が変化したと判定すると、続くステップSP6に進んで、当該変化が非撮像状態(図7(C)及び図8(C))でなはないと判定した場合には、ステップSP4に進んで被写体撮像対応処理モードに遷移し、これに対して当該変化が非撮像状態(図7(C)及び図8(C))であると判定した場合には、ステップSP1に戻って非撮像対応処理モードに遷移するようになされている。
【0105】
なお、制御部40は、被写体撮像対応処理モード時(ステップSP4)又は血管撮像対応処理モード時(ステップSP9)において、操作部13又は14から着信応答としての通話命令を受けた場合には、ステップSP1に戻って非撮像対応処理モードに遷移するようになされている。
【0106】
(6)動作及び効果
以上の構成において、この携帯電話機1は、スライド板31に保持される光学系(近赤外光透過レンズ25及び偏光板27、RGB透過レンズ33)の位置が撮像部20の光路途中位置に配置されている旨の通知をスイッチ部34及び状態検出部44を順次介して待ち受ける。
【0107】
そして携帯電話機1は、かかる通知を受けた場合には、撮像制御部44に電源電圧を供給するようにして撮像部20を起動すると共に、当該撮像部20により撮像された血管を用いて認証処理を実行し、当該認証結果に基づいて正規ユーザであるとの判定結果に応じてこの携帯電話機1に対して外部との通信を許可する。
【0108】
従ってこの携帯電話機1では、血管撮像から通信許可までの一連の処理を、ユーザの操作を要することなくスライド板31の移動状態に連動して実行できるため、通信を希望する正規ユーザはスライド板31を所望位置に移動するだけで通信することができる。
【0109】
また携帯電話機1は、上述の通知を受けた場合には、この携帯電話機1の機能対応処理のうち不必要な対象処理を適宜停止することにより、ユーザの意図を反映して処理負荷を調整できるとともに、この携帯電話機1全体の処理負荷を必要最小限に抑えることができる。
【0110】
以上の構成によれば、スライド板31により保持される光学系の位置が撮像部20の光路途中位置に配置されている旨の通知を受けた場合にのみ撮像部20を起動すると共に、当該撮像部20により撮像された血管に基づく認証処理結果に応じて外部の通信相手との通信を許可するようにしたことにより、血管撮像から通信許可までの一連の処理を、ユーザの操作を要することなくスライド板31の移動に連動して実行できるため、通信を希望する正規ユーザはスライド板31を移動するだけで通信することができ、かくして利便性を向上することができる。
【0111】
(7)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、生体の固有構造物として、生体の内方における指FGの血管を撮像するようにしたが、本発明はこれに限らず、当該生体の表面における指紋又は生体内方における上皮層と顆粒層との間の境界(皮紋と呼ばれている)等を撮像するようにしても良い。特に、指紋を適用するようにすれば、近赤外光を照射しなくても撮像することができるため、近赤外光光源24を省ける分だけ小型化できる。
【0112】
また、かかる生体の固有構造物の撮像部位として指FGを撮像するようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば眼球部分、掌部分又は腕部分等を撮像するようにしても良い。
【0113】
また上述の実施の形態においては、撮像手段の構成として、図5に示した構成のものを適用するようにしたが、これに限らず、撮像対象とする固有構造物の種類やその他の条件に応じてこの他種々の構成のものを適用することができる。さらに撮像手段に含まれる固体撮像素子としてCCD26を用いるようにしたが、これに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等、この他種々の固体撮像素子を用いることができる。
【0114】
さらに上述の実施の形態においては、生体における固有構造物から得られる光を選択的に透過する光学系を移動自在に保持する保持手段として、近赤外光透過レンズ25及び偏光板27と、RGB透過レンズ33とを移動自在に保持するスライド板31(図5及び図6)を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図14に示すように、RGB透過レンズ33を省いてなるスライド板51を適用するようにしても良い。この場合にも上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0115】
また、第2筺体3の裏面3Aと平行であり、かつ第2筺体3の長手方向LCにスライド自在に移動するスライド板31に代えて、図7との対応部分に同一符号を付した図15に示すように、第2筺体3の裏面3Aと平行であり、かつ所定位置を回転軸として回転自在に移動するスライド板61を設けるようにしても良い。この場合、非撮像状態時には、撮像開口部(図示せず)を覆うことができるため、蓋部23(図4)における破損等を回避できる。
【0116】
さらに上述の実施の形態においては、保持手段により保持される光学系の位置を通知する通知手段として、スイッチ部34及び状態検出部43を順次介して状態検出信号を制御部40に送出する構成を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該スイッチ部34又は回転軸のロータリスイッチ(図15)から直接状態検出信号を制御部40に送出する構成を適用するようにしても良い。
【0117】
さらに上述の実施の形態においては、制御部40が非撮像対応処理モード、被写体撮像対応処理モード及び血管撮像対応処理モードを適宜実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、制御部40が非撮像対応処理モード及び血管撮像対応処理モードだけを実行するようにしても良い。この場合、図14に示す構成のスライド板51を有するレンズ移動機構30を適用するようにすれば、撮像部20を認証処理時専用のものとして使用でき、例えば所定の情報を管理する管理サーバに対してネットワークを介して血管画像を送信する血管画像読取専用装置に適用する場合等に有効である。
【0118】
さらに上述の実施の形態においては、レンズ移動機構30の血管撮像状態(図7(A)及び図8(A))に連動して通信関連情報を入力させ、この入力後には自動的に、撮像制御部44を血管撮像モードとなるように制御すると共に認証処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該通信関連情報の入力時期を変更するようにしても良い。この場合であっても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
さらに上述の実施の形態においては、血管撮像機能を搭載する装置として携帯電話機1を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばPDAやノート型のパーソナルコンピュータ、家庭用電子機器又は上述の血管画像読取専用装置等、この他種々の撮像手段及び通信手段を有する情報端末装置を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、撮像手段及び通信手段を有する情報端末装置であって、当該情報端末装置から情報を送信する場合に利用可能である。
【符号の説明】
【0121】
1……携帯電話機、2……第1筺体、3……第2筺体、4……回転軸部、13……回転押圧操作部、14……操作部、20……撮像部、21……CCDカメラ、24A、24B……近赤外光光源、25……近赤外光透過レンズ、26……CCD、27……偏光板、30……レンズ移動機構、31、51、61……スライド板、32……把持部、33……RGB透過レンズ、34……スイッチ部、34A……近赤外光撮像スイッチ、34B……可視光撮像スイッチ、40……制御部、41……記憶部、42……送受信部、43……状態検出部、44……撮像制御部、44a……光源制御部、44b……電荷制御部、44c……A/D変換部、COM……操作命令、D1……状態検出データ、D10a……血管画像データ、D10b……被写体画像データ、S2……電荷読出信号、S3……電荷リセット信号、S10a……血管画像信号、S10b……被写体画像信号、RT……モード切替処理手順。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の内方における被写体に吸収特性がある波長を含む光のうち該生体の表面で反射された光を撮像素子の光路から逸らす偏光板を移動自在に保持する保持手段と、
生体に内在する被写体を撮像する第1のモードと、上記生体の内包における被写体以外の被写体を撮像する第2のモードとのうち、上記撮像素子の光路上に上記偏光板が移動されることに応じて上記第1のモードに切り替える切替手段と、
上記第1のモードに切り替えられる場合、上記光を照射する照射手段と、
上記第1のモードに切り替えられる場合、上記撮像素子により撮像される生体の内方における被写体と比較すべき情報とを照合する照合手段と
を具える情報端末装置。
【請求項2】
上記偏光板は、上記光が照射される照射方向に対して直交する方向に偏光軸を有する
請求項1に記載の情報端末装置。
【請求項3】
上記照射手段と上記偏光板及び上記撮像素子とは、上記生体の内方における被写体の撮像対象となる面に対して同一方向側に配される
請求項2に記載の情報端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−154684(P2011−154684A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8090(P2011−8090)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【分割の表示】特願2004−203805(P2004−203805)の分割
【原出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】