情報管理システム及びサーバ
【課題】常時測定することができない体重や血圧といった健康指標を監視することを目的とし、さらに、健康指標の予測に基づいて警告や報知を行う。
【解決手段】常時測定しない第1の測定項目を、常時測定可能な第2の測定項目から予測する情報管理システムにおいて、前記第1の測定項目を第1のタイミングで測定する第1の測定部と、前記第2の測定項目を第2のタイミングで測定する第2の測定部と、前記測定した第1の測定項目と第2の測定項目の値を格納するデータ格納部と、前記データ格納部に格納された前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を演算するための予測式を第3のタイミング生成する予測式生成部と、前記生成された予測式と前記第2の測定項目に基づいて、第1の測定項目の予測値を演算する予測値演算部と、を備え、前記予測式生成部は、所定のタイミングとなる度に前記予測式を生成する。
【解決手段】常時測定しない第1の測定項目を、常時測定可能な第2の測定項目から予測する情報管理システムにおいて、前記第1の測定項目を第1のタイミングで測定する第1の測定部と、前記第2の測定項目を第2のタイミングで測定する第2の測定部と、前記測定した第1の測定項目と第2の測定項目の値を格納するデータ格納部と、前記データ格納部に格納された前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を演算するための予測式を第3のタイミング生成する予測式生成部と、前記生成された予測式と前記第2の測定項目に基づいて、第1の測定項目の予測値を演算する予測値演算部と、を備え、前記予測式生成部は、所定のタイミングとなる度に前記予測式を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離散的にしか測定できない測定項目を、常時測定可能な測定項目から予測する情報管理システムに関し、特に、常時測定することのできない身体状況、精神状況、生産性、安全性などの任意の指標を、常時測定可能な生体情報に基づいて予測し、必要に応じて警告を発する情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサに無線通信機能を有する小型の電子回路を付加して、現実世界の様々な情報をリアルタイムに情報処理装置に取り込むネットワークシステム(以下、センサネットという)が検討されている。センサネットには幅広い応用が考えられており、例えば、無線回路、プロセッサ、センサ、電池を集積した小型電子回路により、脈拍等の生体情報を常時モニタし、モニタ結果は無線通信により診断装置等に送信され、モニタ結果に基づいて健康状態を判定するといったような医療応用も提案されている。
【0003】
生体の状態を監視する技術としては、種々提案されており、センサによって利用者(装着者)の生活行動を監視し、予め設定された生活パターンから逸脱すると警告を発生するものが知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
また、インターネットなどのネットワーク上でユーザの現在の関心事を推測するために、現在のユーザの関心事を示すプロファイルを修正する技術も知られている(例えば、特許文献1)。
【0005】
あるいは、地図情報に不特定の運転者のクラクションやブレーキング情報を重ねて、事故が起こっていないまでも危険な位置を予測し、また、運転者のストレス状態などを検出し、ストレスを感じた地図上の位置を表示するものが知られている(例えば、特許文献3)。
【0006】
さらに、歩数や喫煙などの生活行動と、血圧などの健康情報を入力し、データマイニングにより、生活行動と健康状態との関連付けを予測するルールを自動的に生成し、入力に基づいて健康状態の予測や、警報の発生を行うものも知られている(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特表2004−514217号
【特許文献2】特開2004−133777号
【特許文献3】特開2005−038381号
【特許文献4】特開2005−045696号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来、体重や血圧などの生体の体調を表す健康指標は、専用の測定器によって測定され、これらは常時測定することが出来ないため、定期的(または、間欠的あるいは離散的)に測定してその推移から体調を省みるしかなかった。また血液検査などの臨床検査にいたっては通常は年に数回の健康診断時しか測定されず、日常の健康状態を表す健康指標としてはあまりにも間隔が広すぎた。
【0008】
また、注意力やストレスなど主観的な状態を表す健康指標はまだ十分に確立されているとはいえないが、例えば事務作業であれば処理件数や、機械操作であれば操作ミスの回数など、生産性や安全性の観点から作業者の精神健康状態を反映する指標を見出すことは出来る。これらの指標も一日の作業が終わってから集計することにより状態を知ることは出来るが、作業中に常時計ることは困難である。
【0009】
このような健康や安全に関する指標を常時把握したいという要求があるが、上記特許文献1〜3の従来の技術では、センサで測定可能な状態については健康に関する指標を常時提供することはできるが、常時測定することができない体重や血圧、血糖値、ストレスについては常時指標を提供できなかった。
【0010】
また、上記特許文献4は、一旦予測を行うルールを生成して、このルールに適合するか否かを調べる手法であるため、健康や安全に関する指標は離散的な解析となってしまい、リアルタイムに監視することができないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、センサで測定可能な情報に基づいて、常時測定することができない指標を監視することを目的とし、さらに、予測した指標に基づいて警告や報知を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、常時測定することができない第1の測定項目を、常時測定可能な第2の測定項目から予測する情報管理システムにおいて、前記第1の測定項目を離散的に測定する第1の測定部と、前記第2の測定項目を常時測定する第2の測定部と、前記測定した第1の測定項目と第2の測定項目の値を格納するデータ格納部と、前記データ格納部に格納された前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を演算するための予測式を生成する予測式生成部と、前記生成された予測式と前記第2の測定項目に基づいて、第1の測定項目の予測値を演算する予測値演算部と、を具備して成り、前記予測式生成部は、所定のタイミングとなる度に前記予測式を生成する。
【0013】
また、前記予測式生成部は、前記離散的に測定した第1の測定項目を目的変数とし、前記常時測定する第2の測定項目としての加速度を説明変数として重回帰分析により予測式を生成し、さらに、第2の測定項目としての加速度のスカラー量を演算するスカラー量演算部と、前記スカラー量が0または0近傍の所定値を通過する値をゼロクロス回数として演算するゼロクロス回数演算部と、前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度を演算する頻度演算部と、を具備して成り、前記出現頻度を説明変数に設定する。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明は、常時測定することのできない第1の測定項目でも、第2の測定部から得られる第2の測定項目を常時記録し、この記録したデータをもとに第1の測定項目に対して、相関性の高い予測式を立てることで常時測定することの出来ない第1の測定項目(体重やストレス)の指標に対してリアルタイムに状況を推測し、必要に応じて予測や警告を行うことが可能となる。
【0015】
特に、第2の測定部を身体に装着した加速度センサによって身体情報、行動情報を常時記録するだけで、ユーザが知りたい第1の測定項目に対する動向の予測が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態を示し、センサネットワークシステム(以下、センサネットという)を利用して健康を管理する情報管理システムのブロック図である。本実施形態では、ユーザの人体に装着したセンサから常時測定した生体情報に基づいて、常時測定することができないユーザの健康指標としての体重を予測し、所定の条件で警告を行う情報管理システムを示す。
【0018】
装着型センサ(以下、センサノードとする)1は、人体(例えば、腕など)に装着され、生体情報(脈拍、加速度)を常時測定して基地局3へ送信し、また、基地局3から受信した情報を装着者に伝達する。センサノード1と基地局3は、IEEE802.15.4(ZigBee)等の無線ネットワーク4で接続される。なお、センサノード1の装着者が、以下の説明において、本発明の健康情報管理システムの利用者となる。またセンサノード1は測定可能な測定項目を測定する測定部(第2測定部)として機能する。
【0019】
無線ネットワーク4には、体重計2も接続され、この体重計2は離散的に測定した体重をセンサノード1へ送信する。センサノード1は、体重計2から受信した情報(体重)に当該センサノード1の識別子(ID)を付加して基地局3からデータサーバ6へ送信する。なお、センサノード1及び体重計2は複数存在しても良く、また、基地局3も複数配置しても良い。なお、体重計2は、常時測定することができない測定項目を離散的に測定する測定部(第1測定部)として機能する。
【0020】
基地局3はセンサノード1から受信した生体情報(以下、センシングデータ)をネットワーク5を介してデータサーバ6に送信し、データサーバ6はセンサノード1が常時測定したセンシングデータと、体重計2が測定した離散的な体重データをデータベース61に蓄積する。
【0021】
データサーバ6に蓄積されたセンサノード1の加速度を含むセンシングデータと、体重計2で測定した間欠的または離散的な体重データは、ネットワーク5に接続された分析装置7で後述するように解析され、常時測定したセンサノード1のセンシングデータから、常時測定することの出来ない体重などの健康指標をリアルタイムで推測し、必要に応じて予測や警告を行う。
【0022】
すなわち、本発明のセンサネットでは、センサノード1の装着者が1日毎あるいは任意の間隔で体重計2により体重の測定を離散的に行い、測定した体重の離散的な履歴と、センサノード1の加速度センサ11が常時測定したリアルタイムの行動情報から、後述するようにリアルタイムで体重を推定するのである。
【0023】
センサノード1は、装着者の運動を常時測定する加速度センサ11と、装着者の脈拍を常時測定する脈拍センサ12と、装着者の体温または環境の温度を常時測定する温度センサ13を備え、測定した加速度から後述するゼロクロス回数を求める。センサノード1は、加速度センサ11、脈拍センサ12及び温度センサ13を制御するためマイクロコンピュータ等を含んで構成された制御部15を備え、制御部15は検出した加速度からゼロクロス回数を演算し、無線通信部16から基地局3へゼロクロス回数と脈拍及び温度を含むセンシングデータを送信する。なお、人体(生体)の動きを常時測定するセンサとしては、X(前後)−Y(左右)−Z(上下)の3軸の加速度をそれぞれ測定する加速度センサ11を採用した例を示す。
【0024】
制御部15は、測定した脈拍などの情報を表示する表示部14と、データを格納するメモリ17と各センサの測定周期などを設定するためのリアルタイムクロック(RTC)18を制御する。制御部15は、検出した加速度をスカラー化し、加速度のスカラー量が0Gまたは所定の閾値(例えば、0.05G)となった回数をゼロクロス回数として演算するゼロクロス計算部154を備え、ゼロクロス回数を装着者の行動を示す生体情報として送信する。なお、制御部15は、測定した加速度から求めたゼロクロス回数を一旦メモリ17に格納し、所定の送信周期(例えば、1分)毎にまとめて送信する。このため、送信するゼロクロス回数は所定の送信周期当たりのゼロクロス回数となる。なお、制御部15は、加速度のスカラー量に基づいて、装着者が歩行状態ある場合、歩数を計数してもよい。
【0025】
また、制御部15は、脈拍センサ12が測定した脈拍から脈拍数を計算する脈拍数計算部155を備え、脈拍数を装着者の身体情報を示す生体情報として送信する。なお、センサノード1が基地局3との通信を間欠的に行って電力消費を抑制する場合では、センサノード1で求めたゼロクロス回数や脈拍数などの生体情報は、基地局3との通信時にまとめて送信すればよい。
【0026】
センサノード1が常時測定する生体情報は、脈拍や体温などの装着者の健康に関する情報を示す身体情報と、加速度に基づくゼロクロス回数のように装着者の行動または運動を示す行動情報と、が含まれる。なお、本実施形態では身体情報として脈拍及び温度を測定する例を示すが、センサノード1の測定可能な情報であればよく、上記に限定されるものではない。
【0027】
次に、体重計2は、人体の体重を離散的に測定する重量センサ21と、測定した体重を表示するための表示部22と、測定した体重を送信する無線通信部24と、これら重量センサ21、表示部22、無線通信部24を制御する制御部23から構成される。
【0028】
基地局3は、センサノード1と送受信を行う無線通信部31と、ネットワーク5と送受信を行う通信部32と、これらの通信部を制御する制御部33を備える。制御部33は、CPU、メモリ、ストレージ装置などを含んで構成される。
【0029】
データサーバ6は、センサノード1からのセンシングデータと体重計2で測定した離散的な体重データを格納するデータベース61と、ネットワーク5と送受信を行う通信部65と、データベース61及び通信部65を制御する制御部66と、を備えた計算機である。制御部66は、CPUとメモリを備えてデータベース61を管理するソフトウェア(DBMS)を実行する。また、データベース61はストレージ装置(図示省略)に格納される。
【0030】
データベース61は、体重計2で離散的に測定した体重をセンサノード1のID毎に時系列的に格納した体重テーブル62と、常時測定した行動情報(ゼロクロス回数)と脈拍や体温をセンサノード1のID毎に時系列的に格納したデータテーブル64と、を含む。
【0031】
分析装置7は、データサーバ6のセンシングデータと体重データを解析する計算機であり、CPUとメモリ及びストレージ装置を含む制御部71とネットワーク5と通信を行う通信部72とを備える。制御部71は、データサーバ6のデータテーブル64に格納された加速度のゼロクロス回数と、体重テーブル62に格納された体重から、重回帰分析による予測式を生成して体重の予測データを推定する。
【0032】
このため、制御部71は、データサーバ6のデータテーブル64から取得したゼロクロス回数を説明変数として生成し、重回帰分析テーブル73に格納する説明変数生成部75と、データサーバ6の離散的な体重を目的変数として格納し、加速度のゼロクロス回数を説明変数として格納する重回帰分析テーブル73と、予測式を生成して重回帰分析を実行する重回帰分析処理部74と、生成された予測式に基づいて体重の予測値を求める予測データ生成部76とを含む。また、分析装置7は、体重の予測値やゼロクロス回数、体重の測定値や実測値などを表示するための表示部77と、キーボードやマウスなどを含む入力部78を備える。
【0033】
<センサノードの詳細>
図2、図3は人体に装着するセンサノード1の一例を示し、腕に装着する腕輪型のセンサノード1の外観を示す斜視図で、図2は表面を示し、図3は裏面を示す。
【0034】
図2において、センサノード1は、各センサや制御装置を格納するケース100と、ケース100を人体の腕に装着するバンド101を備える。
【0035】
ケース100の内部には、上述の制御部15や各センサ11〜13が格納される。ケース100の表面には、メッセージなどを表示する表示部14が配置される。この表示部14としては液晶表示装置などを採用することができる。
【0036】
ケース100の側面には、装着者により操作可能なボタンA102とボタンB103が配置される。なお、ボタンA102は、例えば、装着者が緊急時に操作することで外部に緊急を通知し、ボタンB103は、生体情報(脈拍や体重等)を測定する場合や、表示部14からの問いかけ(メッセージ)などに対して装着者が応答する際などに操作されるものである。
【0037】
図3において、センサノード1のケース100の裏面には、発光素子122と受光素子121から構成された脈拍センサ12が配置される。この脈波センサ12は発光素子122として赤外線発光ダイオードを用い、受光素子121としてフォトトランジスタを採用したものである。なお、受光素子としては、フォトトランジスタ以外にもフォトダイオードも使用可能である。ケース100の裏面には、発光素子122と受光素子121が露出しており、腕の皮膚と対向可能となっている。
【0038】
この脈拍センサ12は、発光素子122で発生させた赤外光を皮下の血管に照射し、血流変動による血管からの散乱光の強度変化を受光素子121に検知し、この強度変化の周期から脈拍及び脈波を推定する。
【0039】
図4は、センサノード1のブロック図を示す。図4において、センサノード1には、基地局3と通信を行うアンテナを備えた無線通信部16と、加速度センサ11,脈拍センサ12及び温度センサ13及び表示部14を制御する制御部15と、マイクロコンピュータを含む制御部15を間欠的に起動するためのタイマとして機能するリアルタイムクロック18と、データを格納するメモリ17が配置される。
【0040】
加速度センサ11は、X軸(人体の前後方向)の加速度を検出するX軸センサと、Y軸(人体の左右方向)の加速度を検出するY軸センサと、Z軸(人体の上下方向)の加速度を検出するZ軸センサから構成される。X軸〜Z軸センサの出力は、それぞれ増幅器161で増幅された後、ローパスフィルタ162でノイズを除去してから制御部15のA/Dコンバータ156へ入力される。
【0041】
脈拍センサ12は、受光素子121の出力を増幅器163で増幅した後、ローパスフィルタ164でノイズを除去してから制御部15のA/Dコンバータ157へ入力する。また、温度センサ13、リアルタイムクロック18、メモリ17、表示部14は、それぞれ制御部15のシリアルI/F158に接続されてデータやコマンドの送受信を行う
制御部15は、各センサ11〜13の測定を実行する周期を決定する測定タイマ151と、測定したセンシングデータ(加速度、脈波、温度)からノイズ分を除去するデジタルフィルタ153と、脈拍センサ12の出力から脈拍数を演算する脈拍数計算部155と、加速度センサ11の出力からゼロクロス回数を演算するゼロクロス計数部と154、測定結果に基づくセンシングデータ(ゼロクロス回数、脈拍数、温度)を送信する周期を決定する送信タイマ152と、を備える。ここで、本実施形態では、測定タイマ151と送信タイマ152がそれぞれ制御部15のCPU(マイクロコンピュータ)にそれぞれ所定の周期で割り込みをかけることで、センサ11〜13による測定と、送信をそれぞれ行う。
【0042】
例えば、測定タイマ151は、50msec毎にCPUへ割り込みをかけて、加速度センサ11、脈拍センサ12、温度センサ13による測定を制御部15のCPUに実行させる。また、送信タイマ152は、1分毎にCPUへ割り込みをかけて、ゼロクロス計数部154と、脈拍数計算部155の出力及び温度を基地局3へ送信する。
【0043】
なお、制御部15はデジタルI/O159を介して無線通信部16と、ボタンA102、ボタンB103に接続される。
【0044】
以上により、センサノード1は、50msec毎に各センサの出力を取得し、これらセンサの出力からゼロクロス回数や脈拍数、温度を求め、1分ごとに基地局3からデータサーバ6へ送信することになる。したがって、データサーバ6のデータテーブル64には、装着者の行動情報であるゼロクロス回数が毎分当たりのゼロクロス回数として格納される。
【0045】
次に、図5は測定タイマ151が制御部15のマイクロコンピュータに割り込みをかけたときに実行される脈拍の測定処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、S1では制御部15は、測定タイマ151からの割り込み受けると、脈拍センサ12と加速度センサ11を起動する。次に、S2では、制御部15が加速度センサ11の出力を取得し、装着者が安静状態にあるか否かを判定する。
【0047】
脈拍センサ12は腕に装着されているが、装着者が動いている状態、例えば、走っている状態では、受光素子121が皮膚と接離するため、乱れた波形しか取得できずに正常な脈拍は検知できない。これは、脈拍センサ12が腕に密着されずに、脈拍周期よりもずっと短い時間間隔で、外乱光にさらされるためである。このように、信頼できる脈拍を検知するためには、ユーザが安静状態にある間に、センシングを行なう必要がある。
【0048】
制御部15は、検出した加速度の大きさ、つまり、加速度の絶対値を算出し、この絶対値と予め設定したしきい値とを比較して、絶対値がしきい値未満であれば静止状態(=安静状態)と判定する。より正確には、センサノード1を装着したユーザの腕が、静止状態にある場合は、脈拍の測定開始が可能と判定し、S3へ進む。一方、装着者が静止状態にない場合には、処理を終了して次回の測定タイミングまでに安静状態になるのを待つ。
【0049】
S3では、制御部15が脈拍センサ12からの出力を取得し、脈波形データとして取り込む。S4では、デジタルフィルタ153によって所定の周波数帯域(例えば、0.6Hz〜4Hz)のみを抽出する。次に、S5ではフィルタ処理を加えた脈波形データからピークを抽出する(S5)。そして、S6では1分間当たりの脈波形データのピークの数から脈拍数を求めて出力する。なお、制御部15は、算出した脈拍数を無線通信部16から基地局3へ送信したり、表示部14に出力して装着者に測定結果を報知することができる。
【0050】
次に、図6は測定タイマ151が制御部15のマイクロコンピュータに割り込みをかけたときに実行される加速度の測定処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、S11で制御部15は、測定タイマ151からの割り込み受けると、加速度センサ11を起動する。次に、S12では、制御部15が加速度センサ11の各軸の出力(X、Y、Z)を取得し、加速度の波形を取得する。そして、S13では各軸の加速度からスカラー量を演算する。このスカラー化は、X軸、Y軸、Z軸の各加速度をそれぞれ2乗した値を合計し、この合計値の平方根をスカラー量とする。S14では、スカラー化したスカラー量をデジタルフィルタ153で処理し、所定の周波数帯域(例えば、0.1Hz〜5Hz)のみを抽出し、ノイズ成分を除去する。
【0052】
次に、S15では、フィルタ処理を加えた加速度のスカラー量からゼロクロス回数を計数する。ゼロクロス回数の計数は、図7で示すようにスカラー化した加速度が0G近傍の閾値を通過した単位時間当たりの回数を計数する。本実施形態では、送信タイマ152の周期(1分間)当たりにスカラー化した加速度が閾値を通過した回数をゼロクロス回数として計数して送信する。
【0053】
ここで、ゼロクロス回数の計数は、閾値を0Gよりも若干大きい0.05G等に設定売ることで、誤検出を防止できる。すなわち、人体は睡眠中などの休止状態でも微少な体動や、振動などの外部の影響により、閾値を0Gに設定した場合では、睡眠中などの休止状態にあるにもかかわらず、ゼロクロス回数が発生して運動していると誤判定を招く恐れがある。このため、閾値を0Gよりも若干大きい0.05G等とすることにより、人体が休止状態にあるときの微少な動きを運動状態と誤判定するのを防ぐことができ、行動情報の検出精度を向上させることができる。
【0054】
次に、図8は装着者がセンサノード1のボタンB103を押したときに制御部15で実行される体重の測定処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
S21では、装着者がセンサノード1のボタンB103を押したことを検知し、体重計2からのセンシングデータを取得する処理を開始する。 S22では、センサノード1が体重計2と通信可能か否かを判定する。この処理は、例えば、通信部16が体重計2の電波強度を測定し、電波強度が所定値を超えていれば通信可能と判定することができる。あるいは、センサノード1の通信部16が所定の信号を体重計2へ送信し、体重計2から所定の応答が得られたときには通信可能と判定すればよい。このとき、センサノード1の装着者は体重計2に乗って体重測定が可能な状態と判定し、S23へ進む。一方、通信が不能な場合は、センサノード1の装着者が体重計2の近傍にはいない状態などで、体重の測定はできないと判定し、S27の処理へ進み、制御部15は表示部14に体重計2と通信ができないことを表示して処理を終了する。
【0056】
S23では、体重計2から装着者の体重のセンシングデータを受信する。制御部15は、S24で取得したセンシングデータから表示部14に体重の測定値を表示させる。また、制御部15は、体重測定の完了を装着者へ確認させるため、ボタンB103を押す指示を表示部14に出力する。この表示は、例えば、図9で示すように、体重計2から受信した体重を表示部14に表示し、センシングデータをメモリ17に記録する場合(はい)にはボタンB103を操作させ、センシングデータを記録しない場合(いいえ)にはボタンA102を操作させるようにしてもよい。
【0057】
S25では、装着者がボタンB103を押したことを判定すると、S26に進んで、体重計2のセンシングデータにセンサノード1の識別子(つまり、装着者を特定する識別子)と、体重計2からセンシングデータを受信した日時(タイムスタンプ)を加えてメモリ17に格納する。
【0058】
以上の処理により、センサノード1の装着者が体重計2に乗ってからボタンB103を操作することで、体重のセンシングデータが体重計2からセンサノード1に転送され、センサノード1のメモリ17に格納される。メモリ17に格納された体重のセンシングデータは、所定の送信タイミングになると、他のセンシングデータと共にセンサノード1から基地局3を介してデータサーバ6に送信される。
【0059】
次に、図10は送信タイマ152が制御部15のマイクロコンピュータに割り込みをかけたときに実行される送信処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
まず、S31で制御部15は、送信タイマ152からの割り込み受けると、通信部16を起動する。次に、S32では、制御部15は通信部16が基地局3と通信可能な状態であるか否かを判定する。この処理は、例えば、通信部16が基地局3の電波強度を測定し、電波強度が所定値を超えていれば通信可能と判定することができる。あるいは、通信部16が基地局3へ所定の信号を送信し、基地局3から所定の応答を受信した場合に制御部15は通信可能と判定することができる。
【0061】
通信可能と判定されたS33では、メモリ17に記録されたセンシングデータを基地局3へ送信する。S34では、制御部15がメモリ17に未送信のセンシングデータが存在するか否かを判定し、未送信のセンシングデータがあれば、S35でメモリ17から読み込んだ未送信のセンシングデータを基地局3へ送信し、S36では送信したセンシングデータをメモリ17から削除する。さらにセンシングはS37で、メモリ17に未送信のセンシングデータの有無を判定し、未送信のセンシングデータがあればS35へ戻って処理を繰り返す。一方、未送信のセンシングデータが無くなると、制御部15は送信処理を終了する。
【0062】
なお、上記S32の判定で、センサノード1が基地局3と通信できない状態の場合には、S38へ進んでメモリ17に記録されたセンシングデータを保持して処理を終了する。
【0063】
以上の処理により、送信タイマ152に設定された所定の周期(例えば、1分)毎に、基地局3と通信を行ってメモリ17に蓄積されたセンシングデータをまとめて送信することになる。この送信処理では、センサノード1のセンサが測定した加速度のゼロクロス回数、脈拍数、温度に加えて体重計2から取得した体重もセンサノード1のセンシングデータとして基地局3へ送信されることになる。
【0064】
図11は、センサノード1が送信タイマ152の所定の周期(例えば、1分)毎に送信するセンシングデータの送信フレームのフォーマットの一例を示す。
【0065】
センサノード1は、メモリ17に蓄積されたセンシングデータ(脈拍数、ゼロクロス回数、温度、体重)に、予め設定された識別子(個体識別コード)と送信日時を付加して送信する。図中、08(16進数)バイトの脈拍数は、50msec毎のセンシングデータのうち最新のものを送信するものとする。また。09バイトの脈拍数信頼度は、脈拍数を測定したときに検出した加速度または加速度に基づく値であり、加速度が大きいほど測定された脈拍数の信頼度は低下する。また、0C、0Dバイトの歩行数は、加速度のスカラー量に基づいて制御部15が求めた装着者の歩数である。この歩数の演算は、上記脈拍数の計数と同様に、加速度のスカラー量のピークを抽出し、ピークの回数を歩数として求めることができる。また、10、11バイトの体重は、体重計2から体重を受信したときにのみセンシングデータが格納される。また14バイトの電源電圧は、センサノード1を駆動する図示しない電池の電圧を示す。
【0066】
<データベース>
次に、データサーバ6のデータベース61に格納されるセンシングデータについて、図2、図13を参照しながら説明する。図12は、体重計2が測定した体重を格納する体重テーブル62の内容の一例を示し、図13は、センサノード1が測定した脈拍数、ゼロクロス回数、温度、歩数を格納するデータテーブル64の内容の一例を示す。
【0067】
図12において、体重テーブル62には、体重計2が測定した体重データを受信したセンサノード1の識別子(図中、固体識別ID)と測定した日時を付加したセンシングデータが格納される。体重テーブル62の各レコードには、センサノード1の識別子(固体識別ID)と、測定日時及び体重値が格納される。分析装置7は、この体重テーブル62を、後述するように各固体識別ID毎に時系列的に参照する。
【0068】
図13において、データテーブル64には、固体識別IDを先頭にして、センサノード1が測定したセンシングデータの測定日時と脈拍数、ゼロクロス回数、歩数、温度、電源電圧、電波強度が格納される。分析装置7は、このデータテーブル64を、後述するように各固体識別ID毎に時系列的に参照する。
【0069】
<体重計>
図14は、体重計2の詳細な構成を示すブロック図である。体重計2は、人体などの重量を測定する重量センサ21と、重量等の表示を行う表示部22と、センサノード1または基地局3と通信を行う無線通信部24と、体重計2を利用するユーザ毎に予め割り当てられたユーザ選択ボタンA25〜D28が、CPUとメモリを備えた制御部23により制御される。
【0070】
重量センサ21は、増幅器29を介して制御部23のA/Dコンバータ231に信号を入力する。増幅器29で増幅した信号は、制御部23のA/Dコンバータ231でデジタル値に変換し、制御部23は変換されたデジタル値から体重データを演算する。無線通信部24とユーザ選択ボタンA25〜D28はそれぞれ制御部23のデジタルI/O232に接続される。
【0071】
制御部23は、重量センサ21を駆動してユーザの体重を測定し、無線通信部24からセンサノード1へセンシングデータを送信するため、所定の測定処理を実行する。制御部23の測定処理は、ユーザ(センサノード1の装着者)がユーザ選択ボタンA25〜D28のいずれかを操作することにより開始される。
【0072】
ユーザ選択ボタンA25〜D28が押されると、制御部23は重量センサ21のキャリブレーションを行った後、表示部22へユーザが体重計2に乗るよう促す表示を行う。
【0073】
ユーザが体重計2に乗ると、重量センサ21の出力であるアナログ信号が増幅器29を通して制御部のA/Dコンバータ231で数値化される。
【0074】
体重の測定が終了すると、制御部23は表示部22に測定した体重値を表示し、無線通信部24を介してセンサノード1に体重データ(センシングデータ)と測定日時を送信する。制御部23はセンシングデータの送信が終了すると、再びユーザ選択ボタンが押されるまでスタンバイ状態に移行する。なお、体重の測定が終了した後に、制御部23はユーザ選択ボタンA25〜D28で設定されたユーザの情報に今回の測定値を記憶することができる。
【0075】
<システム全体の処理>
次に、センサノード1がリアルタイムで測定した生体情報(センシングデータ)と、体重計2で離散的に測定した健康指標(体重)から、リアルタイムで現在の健康指標を予測するセンサネットにおけるデータ処理の概要を図15に示す。
【0076】
人体に装着したセンサノード1からはリアルタイム(50msec毎など)で測定したセンシングデータ(ゼロクロス回数、脈拍数)が1分ごとに基地局3へ送信され、基地局3を介してデータサーバ6のデータテーブル64に格納されていく。データテーブル64には、毎分新たな生体情報が蓄積されていく。
【0077】
一方、体重計2で離散的に測定された体重データは、測定があったときにセンサノード1に送信され、センサノード1のセンシングデータと共にデータサーバ6へ送信され体重テーブル62へ格納されていく。体重テーブル62には、離散的に体重データが蓄積されていく。
【0078】
分析装置7では、データベース61に蓄積されたリアルタイムの生体情報と離散的な健康指標(体重)を監視して、体重の予測値を算出し、体重の予測値が急増するなど所定の条件を満たしたときにはセンサノード1へ警告を送信する分析ソフトウェアが分析装置7の制御部71で実行される。
【0079】
この制御部71が実行する処理の一例は、図15において、まず、データサーバ6の体重テーブル62から過去の所定期間(例えば、1週間)内の体重データを取得する(S41)。そして、制御部71は体重テーブル62から取得した所定期間(第1の所定期間)内の体重データを目的変数として重回帰分析テーブル73に格納する(S42)。
【0080】
また、制御部71は、データサーバ6のデータテーブル64から過去の第2の所定期間(例えば、2週間)内のゼロクロス回数を取得する(S43)。そして、制御部71は、取得したゼロクロス回数をゼロクロス周波数に変換する。データテーブル64に格納されたゼロクロス回数は、センサノード1の送信タイマ152の周期(1分間)のゼロクロス回数を示しているので、
ゼロクロス周波数=ゼロクロス回数/60(sec)
となる。
【0081】
次に、制御部71は、S44において1日ごとに各時間当たりのゼロクロス周波数の出現率(出現頻度)と連続指標を算出する。
【0082】
ゼロクロス周波数の出現率は、図16に示すように、1日のうちの各時間帯毎のゼロクロス周波数の平均値(または最大値、あるいは標準偏差)を求める。例えば、図16において、時間帯=1は、0時1分〜1時までのゼロクロス周波数の平均値が1Hzであることを示す。各時間帯毎にゼロクロス周波数の平均値を求めてから、図17で示すように、周波数帯域毎に1日の出現率を演算する。この例では、1〜5Hzの周波数帯域を5つの区分に区分けし、各周波数帯域毎に1日に出現回数と出現率を演算する。この例では、1Hz以下を周波数帯域(区分)=1Hzとし、1Hzを超え2Hz以下の周波数帯域を2Hzとし、他の周波数帯域も同様に区分けする。
【0083】
周波数帯域の出現率は、1日の全時間帯で、各周波数帯域の出現回数を除した値として求めることができる。例えば、周波数帯域=5Hzの場合、時間帯=15時,17時で2回出現しているため、出現回数=2となり、出現率は8.3%となる。この出現率は周波数帯域(区分)が高いほど、装着者の行動が強い(活発)ことが判定でき、逆に周波数帯域が低いほど装着者の行動が弱い(安静)ことが判定できる。
【0084】
次に制御部71は、同一の周波数帯域が隣り合う時間帯で連続する回数を計数し、計数した連続回数を求め、この連続回数を出現回数で除したものを連続指標として求める。すなわち、
連続指標=連続回数/出現回数
となる。なお、連続回数は、ゼロクロス周波数の区分が同値となる時間帯の数を示す。連続回数の計数は、図18で示すように、隣り合う時間帯の周波数帯域を調べ、同一の周波数帯域であれば連続回数を1とする。これを、各周波数帯域毎に時間帯=1〜24について順次行うことで、1日の連続回数を求め、各周波数帯域毎に1日の連続指標を求める。例えば、図18において、時間帯=1時と2時では出現した周波数帯域が1Hzで等しいため、連続回数は1となる。同様に周波数帯域=1Hzが連続する時間帯は5時と6時及び12時と13時であるため、1日の連続回数は3となる。そして、1日の周波数帯域=1Hzの出現回数は8回であるため、この日の周波数帯域=1Hzの連続指標は、上記より0.38となる。連続指標は装着者の行動の変化の度合いを示し、低い周波数帯域で連続指標が高ければ、安静な状態が長いと推定でき、高い周波数帯域で連続指標が高ければ活発な行動を継続したと推定できる。
【0085】
なお、上記では周波数帯域を1Hzとしたが、これに限定されるものではなく、0.1Hz単位で周波数帯域を細かく区切ることで、連続回数や連続指標の演算精度を高めることができる。また、時間帯についても、上記では24の時間帯に区切った例を示したが、これに限定されるものではなく、1分ごとの時間帯として1日の時間帯を1〜1440に区分けすることで、連続回数や連続指標の演算精度を高めることができる。
【0086】
次に、図15のS45では、上記S44で求めた出現率と連続指標を説明変数として重回帰分析テーブル73に格納する(S45)。こうして、S42,S45の処理が終わると重回帰分析テーブル73は分析の準備が完了する(S46)。このとき、分析装置7の重回帰分析テーブル73は、例えば、図19に示すように装着者の身体情報と行動情報が格納される。すなわち、各レコードには、日付をキーとして、目的変数に体重データが設定され、説明変数として各周波数帯域毎の出現率と連続指標が格納される。
【0087】
ここで、目的変数に設定する体重データは、ゼロクロス回数を測定した当日寝る前、もしくは次の日の朝の体重データであり、加速度に基づくゼロクロス周波数が捉えた行動の結果が反映された結果としての体重値である(実際の測定は次の日の朝が望ましい)。
【0088】
次に、図15のS47では、制御部71の重回帰分析処理部74が、重回帰分析テーブル73に設定された目的変数と説明変数に基づいて、重回帰分析により予測式を生成する。
【0089】
【数1】
【0090】
ただし、y:目的変数
x1〜xn:説明変数
n:説明変数個数
a1〜an:係数
a0:定数項
である。
【0091】
なお、上記S47における予測式の生成は、すべての説明変数を用いて予測式を作るのではなく、ステップワイズ法などの周知の手法により、意味のある説明変数のみを抽出したり、説明変数同士に多重共線性のある変数を取り除くなどの処理を行う。ここでは、重回帰分析処理については公知乃至周知の手法を用いるので、説明は省略する。なお、これら説明変数の抽出は、図1の説明変数生成部75で行うものとする。上記説明変数の生成を、目的変数(体重データ)の更新時、あるいは、説明変数(加速度)の更新時に実行することで、予測式は生体情報の変化を反映した新たな予測式として更新され、過去(第2の所定期間)の生体情報の変化を学習した予測式を生成することになる。つまり、ゼロクロス回数を過去の第2所定期間から求めるため、生体情報の変化に応じて予測式も変化することができるのである。
【0092】
次に、図15のS48では、重回帰分析処理部74が現時点から過去の所定期間(例えば、24時間)内の説明変数を上記の生成した予測式に代入し、目的変数yである現在の体重予測値を重回帰分析により算出する。
【0093】
そして、図15のS48では、重回帰分析処理部74が求めた目的変数yの解、すなわち、現時点での体重の予測値と、過去の重回帰分析結果及び体重データの実測値を、分析装置7の表示部77に表示する。この表示は、例えば、図20で示すように日時と体重を予測値の演算結果と実測値をグラフにすることができる。図20において、体重の実測値は常時測定することができず離散的に分布することになるが、予測式による体重の予測値は連続的に生成することが可能となり、センサノード1の装着者の日常の行動に対する健康指標の変化を実測することなく明示することができる。
【0094】
なお、目的変数yの演算結果は、分析装置7の図示しないストレージ装置などに格納しておいても良いし、データベース61に格納しても良い。目的変数yの予測値は、現時点だけではなく、次回の目的変数の測定時の予測値を求めても良い。
【0095】
こうして、図15のS41〜S49をセンシングデータがデータベース61に格納される度、あるいは目的変数である体重データがデータベース61に格納される度または所定の周期で実行することで、装着者の行動情報に基づいて常時測定することのできない身体情報(体重)をリアルタイムで予測することが可能となるのである。
【0096】
さらに、制御部71の重回帰分析処理部74で、体重の予測値の変化率を予測値の演算の度に求め、体重の予測値の変化率が所定値を超えたときには、図21に示すようにセンサノード1に対して警告を送信することができる。あるいは、体重の予測値の変化率が第2の所定値を下回ったときにも、減量が過度にならないように警告することができる。
【0097】
図22は、説明変数生成部75と重回帰分析処理部74で行われる説明変数の生成と、予測式の生成処理の一例を示すフローチャートである。以下の例では、過去1週間分の体重データと説明変数(ゼロクロス回数)を用いて重回帰分析を行う場合を示す。なお、S471からS475が説明変数生成部75に相当し、S476〜S47が重回帰分析処理部74に相当する。
【0098】
まず、説明変数生成部75はS471において、変数N(以下、N日)に重回帰分析処理を行う日付を設定する。ここでは、現在の日付を設定する。次に、S472では、N日の体重データを目的変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。
【0099】
次に、S473では、N日のゼロクロス回数をデータベース61のデータテーブル64から取得して、上述のS44と同様にしてゼロクロス周波数に変換し、出現率と連続指標を求めて、これらの出現率と連続指標を説明変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。
【0100】
次に、S474では、N日を前日の値に減算し、S475ではN日が6日前に達したか否かを判定し、達していなければS472へ戻って目的変数と説明変数の代入を繰り返し、7日分の値(ゼロクロス周波数の出現率と連続指標)重回帰分析テーブル73へ代入するとS476に進む。
【0101】
S476では、重回帰分析処理部74が、重回帰分析テーブル73に設定された各変数に基づいて重回帰分析を実行する。そして、重回帰分析の結果に基づいて予測式を生成する(S47)。
【0102】
なお、上記の例では、体重は一日一回量ることを想定して、予測式の生成を新しい目的変数(体重データ)がデータサーバ6に登録されるたびに行う例を示したが、新たなセンシングデータ(ゼロクロス回数、脈拍数)がデータベース61に登録される度に、予測式の生成を実行しても良い。また、上記の例では7日分のセンシングデータに基づいて予測式を生成する例を示したが、特に、目的変数となる体重データが1週間分の場合には、説明変数となるセンシングデータに基づく値(ゼロクロス回数)を2週間分用意するのが望ましい。
【0103】
図23は、図1の分析装置7の予測データ生成部76で行われる処理の一例を示すフローチャートで、上記図15のS48の処理に相当する。予測データ生成部76は、ます、S481でデータサーバ6のデータテーブル64に格納されたセンシングデータから過去の所定期間(例えば、24時間)以内のゼロクロス回数を取得し、上述したようにゼロクロス周波数を求め、出現率と連続指標を演算する。
【0104】
そして、図22の処理で求めた予測式に出現率と連続指標を代入して、体重の予測値を算出する。
【0105】
以上のように、常時計ることのできない健康指標でも、加速度センサから得られる身体情報、行動情報を常時記録していれば、これらのデータをもとに体重などの任意の健康指標に対して、相関性の高い予測式が立てられることを本願発明者は発見した。
【0106】
これは常時記録する身体情報、行動情報はユーザ(装着者)の身体状態や行動状況を網羅的に反映した記録であり、体重はその結果であるという関係があるためである。例えば、行動情報としてのゼロクロス周波数は、ゼロクロス周波数が高い頻度が多ければ、装着者は活発に活動していたことを示し、ゼロクロス周波数が低い頻度が多ければ、装着者は安静していたことを示す。すなわち、人の行動が活発であればエネルギーの消費が大きくなるため、体重の減少が予測でき、逆に行動が低調であればエネルギーの消費は少ないため、体重の維持または増大を予測できる。
【0107】
すなわち、常時測定できない体重を目標変数とし、基準値として離散的に設定し、ユーザの身体状態(脈拍)や行動を常時測定した結果(加速度)を説明変数として記録し、重回帰分析を主体とする統計分析により目的変数と説明変数の相関性から予測式を自動的に生成し、ユーザの日頃の行動から目標に対する明日の達成度を予測したり目標達成に著しく貢献する、あるいは阻害する行動をリアルタイムに検知してアラームを出すことができる。また、常時測定できない体重を連続的に保管することで、健康指標の推移を観察することが可能となる。
【0108】
これにより、ユーザはセンサノード1によって身体状況、行動状況を常時記録するだけで、知りたい任意の項目に対する動向の予測が可能となり、また目的の達成に大きく寄与する状況の変化が起きたことをリアルタイムで知ることが出来る。
【0109】
したがって、常時利用者(装着者)に予測した健康指標をフィードバックし、日常の何気ない行動が目的とする変数(体重)に対してどういう影響を与えうるかということを日常の生活の中で利用者が認識し、適切な生活行動を行うことができるように注意喚起することが可能となる。
【0110】
すなわち、常時測定することの出来ない測定項目(健康指標)、または測定頻度の低い測定項目(あるいは離散的にしか測定できない測定項目)を、常時測定可能な変数(加速度、脈拍数)より重回帰分析により補間(予測)して求め、補間(予測)により求めた値を測定項目の値としてセンサノード1の表示部17や分析装置7の表示部77にフィードバックすることができる。また、重回帰分析による予測により、常時測定することの出来ない測定項目(健康指標)の値を予測することができる。
【0111】
また、健康指標が更新される度、または、常時観測する生体情報が更新される度に、予測式は更新され、説明変数とする生体情報の変化を学習することができる。
【0112】
また、上記第1実施形態において、体重計2は体重を測定するセンサノード1へ送信できればよいので、体重計2と基地局3が直接通信できなくとも、センサノード1が基地局3と通信可能であればよい。つまり、体重計2の送信出力は小さくすることができ、体重計2の電源の寿命を延長することができる。
【0113】
なお、上記第1実施形態においては、センサノード1が加速度などの生体情報を50msec毎に測定することで、センサノード1の装着者の生体情報の変化をほぼ連続的に監視する例を示したが、センサノード1が加速度センサ11や脈拍センサ12で生体情報を測定するタイミングは装着者の生体情報の変化をほぼ連続的に監視することが可能な間隔であればよく、例えば、100msecや1sec等の測定間隔でもよい。
【0114】
また、センサノード1の装着者が体重を測定する間隔は、好ましくは毎日測定することであるが、装着者が体重を測定する周期(タイミング)は離散的またはランダムであり、体重データが測定できなかった日については、分析装置7において前後の体重データから推定値を求めればよい。
【0115】
また、センサノード1で生体情報を測定する第1のタイミング(測定間隔)と、体重計2で体重を測定する第2のタイミング(測定間隔)の関係は、体重を測定する第2のタイミングを第1のタイミングの100倍以上に設定するのが好ましい。
【0116】
また、上記第1実施形態ではセンサノード1で各センサで測定を行う間隔を50msec毎とした例を示したが、全てのセンサを同じ周期で測定する必要はなく、センサの種類に応じて適宜変更することができる。例えば、加速度センサ11を50msec毎に測定し、脈拍センサ12を5分毎に測定し、温度センサ13を10分ごとに測定するなど、センサから得られる情報の種類に応じて各センサの測定周期を異なるようにしても良い。
【0117】
また、上記第1実施形態では、人体に装着するセンサノード1で加速度を行動情報として測定する例を示したが、上記に限定されるものはなく、加速度センサや温度センサを含む携帯機器であればよく、例えば、携帯電話や携帯音楽プレーヤなどの携帯機器でもよい。
【0118】
また、上記第1実施形態では、リアルタイムクロック18は、センサノード1の制御部15を構成するマイクロコンピュータの外部に設置されることが望ましい。リアルタイムクロック18をマイクロコンピュータの外部へ設定することで、測定行っていない期間はマイクロコンピュータをスリープ状態に移行させて電力消費の低減を推進することができる。
【0119】
また、上記第1実施形態においては、予測式は目的変数となる体重>データや、説明変数となるセンシングデータが更新される度などの所定のタイミングで繰り返し実行することができる。なお、予測式の生成を所定の周期毎とすることも可能である。
【0120】
<第2実施形態>
図24は、第2の実施形態を示す情報管理システムのブロック図で、前記第1実施形態のセンサノード1に備えた脈拍数計算部154とゼロクロス回数計数部155をデータサーバ6に移動し、センサノード1の演算負荷を低減するようにしたものである。
【0121】
また、体重計2は測定した体重データを基地局3へ直接送信し、センサノード1が体重データを転送する際の電力消費を抑制する。
【0122】
センサノード1は、前記第1実施形態の図3に示した脈拍数計算部154とゼロクロス回数計数部155を削除し、各センサの測定値をA/Dコンバータ156、157でデジタル値に変換したものを基地局3へ送信し、データサーバ6のデータベース61に設けた波形テーブル63に格納する。
【0123】
データサーバ6は、データベース61に波形テーブル63を設け、制御部66にゼロクロス回数計数部67と脈拍数計算部68を設けた点が前記第1実施形態と相違する。その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
【0124】
図3において、センサノード1は、測定タイマ151の測定周期(例えば、50msec)で測定した加速度センサ11のX軸センサ、Y軸センサ、Z軸センサの出力と、脈拍センサ12の出力とをメモリ17に格納しておき、送信タイマ152の周期(例えば、1sec)でメモリ17に格納された加速度センサ11の出力と脈拍センサ12の出力をまとめて送信する。なお、温度センサ13の出力は、この送信時点のものを基地局3へ送信すればよい。
【0125】
体重計2が基地局3へ測定した体重を送信する場合、体重を測定したセンサノード1の装着者と、体重計2の体重データの関連付けはデータサーバ6の制御部66で行う。この関連付けは、体重計2が通信を行う基地局3から受信したセンサノード1のセンシングデータのうち、体重データを測定した時刻の加速度が安静を示すセンサノード1を、体重データを測定したセンサノード1として関連付けることができる。あるいは、複数の基地局3が存在する場合では、複数の基地局3によりセンサノード1の位置を測定し、体重計2の位置に存在したセンサノード1を特定し、当該センサノード1の識別子に測定した体重データを関連付けることができる。また、体重データの測定時刻は、基地局3やデータサーバ6のタイムスタンプを利用すればよい。
【0126】
センサノード1の測定周期を上記のように50msec、送信周期を1secとした場合、1回の送信で、加速度センサ11のX軸、Y軸、Z軸及び脈拍センサ12の出力を20個まとめて送信する。センサノード1が基地局3へセンシングデータを送信するフレームのフォーマットの一例を図25に示す。
【0127】
図25において、センサノード1は、前記第1実施形態と同様に、予め設定された識別子(個体識別コード)と送信日時に加え、加速度センサ11のX軸、Y軸、Z軸及び脈拍センサ12の出力を、測定時刻の順で送信する。つまり、図中加速度センサ11の出力X1は1sec前の最も古いデータを示し、図中X20は最新のデータを示す。また、体重計2から体重の体重データを受信したときには、図中61バイトの電波強度以降の62バイトに体重を格納する。
【0128】
基地局3から上記図25に示すセンシングデータを受信したデータサーバ6の制御部66は、加速度センサ11の出力(X1、Y1、Z1〜X20,Y20、Z20)と脈拍センサ12の出力(脈1〜脈20)を、送信フレームに含まれる送信時刻と既知の測定周期(50msec)から、20個の各センシングデータの測定時刻を逆算する。
【0129】
そして、データサーバ6の制御部66は、図26に示すように、逆算した測定時刻毎に、センサノード1の識別子と、加速度センサ11のX軸、Y軸、Z軸の測定値と脈拍センサ12の測定値を1レコードとして、データベース61の波形テーブル63に格納する。また、センサノード1からのセンシングデータに体重が含まれる場合は、前記第1実施形態と同様にして体重テーブル62に体重を格納する。
【0130】
制御部66は、波形テーブル63に基地局3から受信したセンシングデータを格納すると、ゼロクロス回数計数部67と脈拍数計算部68が前記第1実施形態と同様にゼロクロス回数と脈拍数及び歩数などを演算し、データテーブル64へ前記第1実施形態と同様に格納していく。
【0131】
分析装置7は前記第1実施形態と同様であり、データサーバ6のデータベース61から読み込んだ、ゼロクロス回数と体重に基づいて予測式を生成し、体重の予測値を求める。
【0132】
以上のように、本第2実施形態では、センサノード1は測定した波形(センシングデータ)に加工(ゼロクロス回数、脈拍数)を施すことなくそのまま送信し、データサーバ6がデータベース61へセンシングデータを格納する時にゼロクロス回数や脈拍数を計算するため、センサノード1はセンシングデータを加工する演算負荷を低減でき、消費電力の低減を図ることができる。
【0133】
また、センシングデータの加工をデータサーバ6側で行うようにしたので、ゼロクロス回数の演算ロジックや脈拍数の演算ロジックを容易に変更して健康指標の予測に役立てることが可能となる。
【0134】
<第3実施形態>
図27、図28は第3の実施形態を示し、前記第1実施形態の説明変数として、ゼロクロス回数に脈拍数を加えた例である。
【0135】
図27は、前記第1実施形態の図22に示したフローチャートのうち、説明変数生成部75で行われる説明変数の生成処理の一部を変更した例を示すフローチャートである。以下の例では、過去の体重データを学習するため、過去7日分の体重データと説明変数(ゼロクロス回数と脈拍数)を用いて重回帰分析を行うための重回帰分析テーブル73を生成する例を示す。この場合では、1週間分の目的変数と、1週間分の説明変数で予測を行う例を示し、前記第1実施形態に比して説明変数となるゼロクロス回数のサンプル期間を縮小することができる。
【0136】
図27において、まず、説明変数生成部75はS471において、変数N(以下、N日)に重回帰分析処理を行う日付を設定する。ここでは、現在の日付を設定する。次に、S472では、N日の体重データを目的変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。ここで、体重データに欠損がある場合には、欠損データ代入法などに基づき擬似データを生成して目的変数に格納することができる。
【0137】
次に、S4731では、N日〜(N−6)日のゼロクロス回数をデータベース61のデータテーブル64から取得して、前記第1実施形態の図15に示したS44と同様にしてゼロクロス回数をゼロクロス周波数に変換し、出現率と連続指標を求めて、これらの出現率と連続指標を説明変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。
【0138】
次に、S4732では、N日〜(N−6)日の脈拍数をデータベース61のデータテーブル64から取得して、前記第1実施形態の図15に示したS44と同様にして脈拍数の出現率と連続指標を求めて、これらの出現率と連続指標を説明変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。ここで、脈拍数の出現率と連続指標は、センシングデータとしてデータテーブル64に格納した脈拍数を、脈拍数=50以下、50〜69、70〜89、90〜109、110〜129、130以上の6区分に分けて出現率と連続指標をゼロクロス周波数と同様に算出し、重回帰分析テーブル73に代入する。
【0139】
次に、S474、S475では、前記第1実施形態の図22と同様に、N日を前日の値に減算し、N日が6日前に達したか否かを判定し、達していなければS472へ戻って目的変数と説明変数の代入を繰り返し、7日分の値(ゼロクロス周波数及び脈拍数の出現率と連続指標)重回帰分析テーブル73へ代入する。
【0140】
以上の処理により、重回帰分析テーブル73は図28に示すように、ひとつの目的変数(体重データ)に対して7日分の説明変数(ゼロクロス周波数と脈拍数の出現率と連続指標)が設定される。
【0141】
この後、重回帰分析処理部74により、前記第1実施形態の図22に示したS476及びS47を実行することで、説明変数としてゼロクロス周波数と脈拍数を用いた予測式を生成することができる。
【0142】
この例では、健康指標(体重)を予測するために、行動情報として一週間分のゼロクロス周波数を説明変数とし、さらに身体情報として一週間分の脈拍数を説明変数とすることで、日常の行動に加えて、脈拍数の変化による緊張状態やストレスなどによる健康指標の変化を装着者へフィードバックすることが可能となる。
【0143】
また、本第3実施形態において、本願発明者らは、目的変数となる体重データと、説明変数となるセンシングデータに基づく値(ゼロクロス回数、脈拍数)は、2日分でも十分な予測精度を有することを確認した。
【0144】
<第4実施形態>
図29は、第4の実施形態を示し、前記第2実施形態のセンサノード1として、加速度センサ11の出力をそのまま基地局3へ送信するのではなく、スカラー化した加速度を基地局3へ送信するようにしたもので、その他の構成は前記第2実施形態と同様である。
【0145】
図29において、センサノード1は、加速度センサ11のX軸、Y軸、Z軸の各軸の加速度をスカラー化するスカラー化部1510を備える。
【0146】
スカラー化部1510により、基地局3へ送信する加速度のセンシングデータを、3軸の測定値からひとつのスカラー量にすることで、送信するフレームの容量を低減し、センサノード1の送信負荷を低減できる。また、センサノード1のセンシングデータを蓄積するデータサーバ6では、加速度のスカラー化を省略することができ、演算負荷を低減することが可能となる。これは、特に、データサーバ6が多数のセンサノード1のセンシングデータを蓄積し、加工する場合に有効となる。
【0147】
<第5実施形態>
図30は、第5の実施形態を示し、前記第1ないし第4実施形態の体重に代わって、センサノード1の装着者のストレスを目的変数とする例を示す。
【0148】
図30、図31は、分析装置7の表示部77に出力されたストレス調査の画面を示す。情報管理システムの利用者(センサノード1の装着者)は、毎日など定期的に自身の身体状態や行動状態について、分析装置7の表示部77に表示された設問に回答する。図30は、利用者の健康状態に関する設問であり、利用者は入力部78を介して該当する項目にチェックを行う。分析装置7は、入力された設問の数と全ての設問の数から、
ストレス指標=チャックした設問の数/設問数
によりストレス指標を求める。このストレス指標を前記第1〜第4実施形態の目的変数として設定し、また、行動情報(加速度)や身体情報(脈拍)などセンサノード1で測定可能な値を説明変数として予測式を生成してストレス指標の予測値を演算する。
【0149】
あるいは、図31に示すように各項目を5段階評価として、該当する数値を利用者に選択させて、利用者が選択した項目の値を取得する。この場合、各項目の値を目的変数として設定し、上記と同様に行動情報(加速度)や身体情報(脈拍)などのセンサノード1で測定可能な値を説明変数として予測式を生成してストレス指標の予測値を演算する。
【0150】
この例では、常時測定できないストレスを目標変数とし、ユーザの身体状態や行動状態を測定した結果を説明変数として記録し、重回帰分析を主体とする統計分析により目的変数と説明変数の相関性から予測式を自動的に生成し、ユーザの日頃の行動から目標に対する明日の達成度を予測したり目標達成に著しく貢献する、あるいは阻害する行動をリアルタイムに検知してアラームを出すことができる。
【0151】
なお、目的変数としては、体脂肪、血圧値(最高血圧、最低血圧)、血糖値、疲労度、健康診断結果(年一回しか行わない健康診断の結果の毎日の推移予測)などの健康状態を示す値を設定することができる。体脂肪、血圧値(最高血圧、最低血圧)、血糖値は、上記体重データと同様に定期的に測定した結果をデータサーバ6へ入力し、疲労度、健康診断結果などは、上記ストレス指標のように設問から入力するようにすればよい。特に、離散的にしか測定することができない健康指標(例えば、血糖値など)を目的変数に設定すれば、常時測定可能な日常の身体情報と行動情報からリアルタイムで測定項目の予測値を連続的に生成することが可能となる。
【0152】
この他、目的変数として設定しうる指標としては、生産性向上や安全管理のための値を設定することができ、例えば、ソフトウェアの生産現場では、バグ発生頻度を目的変数とすることで、従業員のストレスや疲労などによる生産性低下を予測することができる。
【0153】
ここで重要なことは本発明の情報管理システムで予測した目的変数の値が正確であるということより、常時利用者に予測値をフィードバックし、日常の何気ない行動が目的とする変数に対してどういう影響を与えうるかということを、日常の生活の中で利用者が認識させることである。
【産業上の利用可能性】
【0154】
以上のように、本発明は、体重や血圧などの健康指標をモニタするライフマネージメント(健康情報管理)システムに適用することができ、特に、センサネットを利用することでリアルタイムで健康指標の予測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】第1の実施形態を示し、情報管理システムのブロック図。
【図2】同じく、腕輪型のセンサノードの表面の斜視図である。
【図3】同じく、腕輪型のセンサノードの裏面の斜視図である。
【図4】同じく、センサノードの構成を示すブロック図。
【図5】同じく、センサノードで実行される脈拍の測定処理の一例を示すフローチャート。
【図6】同じく、センサノードで実行される加速度の測定処理の一例を示すフローチャート。
【図7】同じく、センサノードが測定した加速度のスカラー量とゼロクロス回数の関係を示すグラフ。
【図8】同じく、センサノードで実行される体重測定時の処理の一例を示すフローチャート。
【図9】同じく、センサノードの表示部に表示される体重測定時のメッセージの一例を示す説明図。
【図10】同じく、センサノードで実行されるセンシングデータの送信処理の一例を示すフローチャート。
【図11】同じく、センサノードからの送信フレームを示す説明図。
【図12】同じく、データサーバの体重テーブルの一例を示す説明図。
【図13】同じく、データサーバのデータテーブルの一例を示す説明図。
【図14】同じく、体重計の構成を示すブロック図。
【図15】同じく、情報管理システムのデータ処理の流れを示すブロック図。
【図16】同じく、ゼロクロス周波数と時間の関係を示すグラフ。
【図17】同じく、ゼロクロス周波数の出現頻度と時間の関係と、周波数区分毎の出現率の関係を示すグラフ。
【図18】同じく、ゼロクロス周波数の出現頻度と時間の関係と、周波数区分毎の連続指標の関係を示すグラフ。
【図19】同じく、分析装置の重回帰分析テーブルの一例を示す説明図。
【図20】同じく、体重の予測値及び実測値と日時の関係を示すグラフ。
【図21】同じく、体重の予測値の変化率が所定値を超えたときにセンサノードの表示部に出力されるメッセージの一例を示す説明図。
【図22】同じく、分析装置の説明変数生成部と重回帰分析処理部で行われる説明変数の生成と、予測式の生成処理の一例を示すフローチャート
【図23】同じく、分析装置の予測データ生成部で行われる予測処理の一例を示すフローチャート。
【図24】第2の実施形態を示し、第2の実施形態を示す情報管理システムのブロック図。
【図25】同じく、センサノードからの送信フレームを示す説明図。
【図26】同じく、データサーバの波形テーブルの一例を示す説明図。
【図27】第3の実施形態を示し、分析装置の説明変数生成部で行われる説明変数の生成処理の一例を示すフローチャート。
【図28】同じく、分析装置の重回帰分析テーブルの一例を示す説明図。
【図29】第4の実施形態を示し、センサノードの加速度処理の他の一例を示すブロック図。
【図30】第5の実施形態を示し、分析装置の表示部に出力されるストレス指標の入力画面の一例を示す説明図。
【図31】同じく、分析装置の表示部に出力されるストレス指標の入力画面の他の例を示す説明図。
【符号の説明】
【0156】
1 センサノード
2 体重計
3 基地局
6 データサーバ
7 分析装置
62 体重テーブル
64 データテーブル
73 重回帰分析テーブル
74 重回帰分析処理部
75 説明変数生成部
76 予測データ生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、離散的にしか測定できない測定項目を、常時測定可能な測定項目から予測する情報管理システムに関し、特に、常時測定することのできない身体状況、精神状況、生産性、安全性などの任意の指標を、常時測定可能な生体情報に基づいて予測し、必要に応じて警告を発する情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサに無線通信機能を有する小型の電子回路を付加して、現実世界の様々な情報をリアルタイムに情報処理装置に取り込むネットワークシステム(以下、センサネットという)が検討されている。センサネットには幅広い応用が考えられており、例えば、無線回路、プロセッサ、センサ、電池を集積した小型電子回路により、脈拍等の生体情報を常時モニタし、モニタ結果は無線通信により診断装置等に送信され、モニタ結果に基づいて健康状態を判定するといったような医療応用も提案されている。
【0003】
生体の状態を監視する技術としては、種々提案されており、センサによって利用者(装着者)の生活行動を監視し、予め設定された生活パターンから逸脱すると警告を発生するものが知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
また、インターネットなどのネットワーク上でユーザの現在の関心事を推測するために、現在のユーザの関心事を示すプロファイルを修正する技術も知られている(例えば、特許文献1)。
【0005】
あるいは、地図情報に不特定の運転者のクラクションやブレーキング情報を重ねて、事故が起こっていないまでも危険な位置を予測し、また、運転者のストレス状態などを検出し、ストレスを感じた地図上の位置を表示するものが知られている(例えば、特許文献3)。
【0006】
さらに、歩数や喫煙などの生活行動と、血圧などの健康情報を入力し、データマイニングにより、生活行動と健康状態との関連付けを予測するルールを自動的に生成し、入力に基づいて健康状態の予測や、警報の発生を行うものも知られている(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特表2004−514217号
【特許文献2】特開2004−133777号
【特許文献3】特開2005−038381号
【特許文献4】特開2005−045696号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来、体重や血圧などの生体の体調を表す健康指標は、専用の測定器によって測定され、これらは常時測定することが出来ないため、定期的(または、間欠的あるいは離散的)に測定してその推移から体調を省みるしかなかった。また血液検査などの臨床検査にいたっては通常は年に数回の健康診断時しか測定されず、日常の健康状態を表す健康指標としてはあまりにも間隔が広すぎた。
【0008】
また、注意力やストレスなど主観的な状態を表す健康指標はまだ十分に確立されているとはいえないが、例えば事務作業であれば処理件数や、機械操作であれば操作ミスの回数など、生産性や安全性の観点から作業者の精神健康状態を反映する指標を見出すことは出来る。これらの指標も一日の作業が終わってから集計することにより状態を知ることは出来るが、作業中に常時計ることは困難である。
【0009】
このような健康や安全に関する指標を常時把握したいという要求があるが、上記特許文献1〜3の従来の技術では、センサで測定可能な状態については健康に関する指標を常時提供することはできるが、常時測定することができない体重や血圧、血糖値、ストレスについては常時指標を提供できなかった。
【0010】
また、上記特許文献4は、一旦予測を行うルールを生成して、このルールに適合するか否かを調べる手法であるため、健康や安全に関する指標は離散的な解析となってしまい、リアルタイムに監視することができないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、センサで測定可能な情報に基づいて、常時測定することができない指標を監視することを目的とし、さらに、予測した指標に基づいて警告や報知を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、常時測定することができない第1の測定項目を、常時測定可能な第2の測定項目から予測する情報管理システムにおいて、前記第1の測定項目を離散的に測定する第1の測定部と、前記第2の測定項目を常時測定する第2の測定部と、前記測定した第1の測定項目と第2の測定項目の値を格納するデータ格納部と、前記データ格納部に格納された前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を演算するための予測式を生成する予測式生成部と、前記生成された予測式と前記第2の測定項目に基づいて、第1の測定項目の予測値を演算する予測値演算部と、を具備して成り、前記予測式生成部は、所定のタイミングとなる度に前記予測式を生成する。
【0013】
また、前記予測式生成部は、前記離散的に測定した第1の測定項目を目的変数とし、前記常時測定する第2の測定項目としての加速度を説明変数として重回帰分析により予測式を生成し、さらに、第2の測定項目としての加速度のスカラー量を演算するスカラー量演算部と、前記スカラー量が0または0近傍の所定値を通過する値をゼロクロス回数として演算するゼロクロス回数演算部と、前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度を演算する頻度演算部と、を具備して成り、前記出現頻度を説明変数に設定する。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明は、常時測定することのできない第1の測定項目でも、第2の測定部から得られる第2の測定項目を常時記録し、この記録したデータをもとに第1の測定項目に対して、相関性の高い予測式を立てることで常時測定することの出来ない第1の測定項目(体重やストレス)の指標に対してリアルタイムに状況を推測し、必要に応じて予測や警告を行うことが可能となる。
【0015】
特に、第2の測定部を身体に装着した加速度センサによって身体情報、行動情報を常時記録するだけで、ユーザが知りたい第1の測定項目に対する動向の予測が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態を示し、センサネットワークシステム(以下、センサネットという)を利用して健康を管理する情報管理システムのブロック図である。本実施形態では、ユーザの人体に装着したセンサから常時測定した生体情報に基づいて、常時測定することができないユーザの健康指標としての体重を予測し、所定の条件で警告を行う情報管理システムを示す。
【0018】
装着型センサ(以下、センサノードとする)1は、人体(例えば、腕など)に装着され、生体情報(脈拍、加速度)を常時測定して基地局3へ送信し、また、基地局3から受信した情報を装着者に伝達する。センサノード1と基地局3は、IEEE802.15.4(ZigBee)等の無線ネットワーク4で接続される。なお、センサノード1の装着者が、以下の説明において、本発明の健康情報管理システムの利用者となる。またセンサノード1は測定可能な測定項目を測定する測定部(第2測定部)として機能する。
【0019】
無線ネットワーク4には、体重計2も接続され、この体重計2は離散的に測定した体重をセンサノード1へ送信する。センサノード1は、体重計2から受信した情報(体重)に当該センサノード1の識別子(ID)を付加して基地局3からデータサーバ6へ送信する。なお、センサノード1及び体重計2は複数存在しても良く、また、基地局3も複数配置しても良い。なお、体重計2は、常時測定することができない測定項目を離散的に測定する測定部(第1測定部)として機能する。
【0020】
基地局3はセンサノード1から受信した生体情報(以下、センシングデータ)をネットワーク5を介してデータサーバ6に送信し、データサーバ6はセンサノード1が常時測定したセンシングデータと、体重計2が測定した離散的な体重データをデータベース61に蓄積する。
【0021】
データサーバ6に蓄積されたセンサノード1の加速度を含むセンシングデータと、体重計2で測定した間欠的または離散的な体重データは、ネットワーク5に接続された分析装置7で後述するように解析され、常時測定したセンサノード1のセンシングデータから、常時測定することの出来ない体重などの健康指標をリアルタイムで推測し、必要に応じて予測や警告を行う。
【0022】
すなわち、本発明のセンサネットでは、センサノード1の装着者が1日毎あるいは任意の間隔で体重計2により体重の測定を離散的に行い、測定した体重の離散的な履歴と、センサノード1の加速度センサ11が常時測定したリアルタイムの行動情報から、後述するようにリアルタイムで体重を推定するのである。
【0023】
センサノード1は、装着者の運動を常時測定する加速度センサ11と、装着者の脈拍を常時測定する脈拍センサ12と、装着者の体温または環境の温度を常時測定する温度センサ13を備え、測定した加速度から後述するゼロクロス回数を求める。センサノード1は、加速度センサ11、脈拍センサ12及び温度センサ13を制御するためマイクロコンピュータ等を含んで構成された制御部15を備え、制御部15は検出した加速度からゼロクロス回数を演算し、無線通信部16から基地局3へゼロクロス回数と脈拍及び温度を含むセンシングデータを送信する。なお、人体(生体)の動きを常時測定するセンサとしては、X(前後)−Y(左右)−Z(上下)の3軸の加速度をそれぞれ測定する加速度センサ11を採用した例を示す。
【0024】
制御部15は、測定した脈拍などの情報を表示する表示部14と、データを格納するメモリ17と各センサの測定周期などを設定するためのリアルタイムクロック(RTC)18を制御する。制御部15は、検出した加速度をスカラー化し、加速度のスカラー量が0Gまたは所定の閾値(例えば、0.05G)となった回数をゼロクロス回数として演算するゼロクロス計算部154を備え、ゼロクロス回数を装着者の行動を示す生体情報として送信する。なお、制御部15は、測定した加速度から求めたゼロクロス回数を一旦メモリ17に格納し、所定の送信周期(例えば、1分)毎にまとめて送信する。このため、送信するゼロクロス回数は所定の送信周期当たりのゼロクロス回数となる。なお、制御部15は、加速度のスカラー量に基づいて、装着者が歩行状態ある場合、歩数を計数してもよい。
【0025】
また、制御部15は、脈拍センサ12が測定した脈拍から脈拍数を計算する脈拍数計算部155を備え、脈拍数を装着者の身体情報を示す生体情報として送信する。なお、センサノード1が基地局3との通信を間欠的に行って電力消費を抑制する場合では、センサノード1で求めたゼロクロス回数や脈拍数などの生体情報は、基地局3との通信時にまとめて送信すればよい。
【0026】
センサノード1が常時測定する生体情報は、脈拍や体温などの装着者の健康に関する情報を示す身体情報と、加速度に基づくゼロクロス回数のように装着者の行動または運動を示す行動情報と、が含まれる。なお、本実施形態では身体情報として脈拍及び温度を測定する例を示すが、センサノード1の測定可能な情報であればよく、上記に限定されるものではない。
【0027】
次に、体重計2は、人体の体重を離散的に測定する重量センサ21と、測定した体重を表示するための表示部22と、測定した体重を送信する無線通信部24と、これら重量センサ21、表示部22、無線通信部24を制御する制御部23から構成される。
【0028】
基地局3は、センサノード1と送受信を行う無線通信部31と、ネットワーク5と送受信を行う通信部32と、これらの通信部を制御する制御部33を備える。制御部33は、CPU、メモリ、ストレージ装置などを含んで構成される。
【0029】
データサーバ6は、センサノード1からのセンシングデータと体重計2で測定した離散的な体重データを格納するデータベース61と、ネットワーク5と送受信を行う通信部65と、データベース61及び通信部65を制御する制御部66と、を備えた計算機である。制御部66は、CPUとメモリを備えてデータベース61を管理するソフトウェア(DBMS)を実行する。また、データベース61はストレージ装置(図示省略)に格納される。
【0030】
データベース61は、体重計2で離散的に測定した体重をセンサノード1のID毎に時系列的に格納した体重テーブル62と、常時測定した行動情報(ゼロクロス回数)と脈拍や体温をセンサノード1のID毎に時系列的に格納したデータテーブル64と、を含む。
【0031】
分析装置7は、データサーバ6のセンシングデータと体重データを解析する計算機であり、CPUとメモリ及びストレージ装置を含む制御部71とネットワーク5と通信を行う通信部72とを備える。制御部71は、データサーバ6のデータテーブル64に格納された加速度のゼロクロス回数と、体重テーブル62に格納された体重から、重回帰分析による予測式を生成して体重の予測データを推定する。
【0032】
このため、制御部71は、データサーバ6のデータテーブル64から取得したゼロクロス回数を説明変数として生成し、重回帰分析テーブル73に格納する説明変数生成部75と、データサーバ6の離散的な体重を目的変数として格納し、加速度のゼロクロス回数を説明変数として格納する重回帰分析テーブル73と、予測式を生成して重回帰分析を実行する重回帰分析処理部74と、生成された予測式に基づいて体重の予測値を求める予測データ生成部76とを含む。また、分析装置7は、体重の予測値やゼロクロス回数、体重の測定値や実測値などを表示するための表示部77と、キーボードやマウスなどを含む入力部78を備える。
【0033】
<センサノードの詳細>
図2、図3は人体に装着するセンサノード1の一例を示し、腕に装着する腕輪型のセンサノード1の外観を示す斜視図で、図2は表面を示し、図3は裏面を示す。
【0034】
図2において、センサノード1は、各センサや制御装置を格納するケース100と、ケース100を人体の腕に装着するバンド101を備える。
【0035】
ケース100の内部には、上述の制御部15や各センサ11〜13が格納される。ケース100の表面には、メッセージなどを表示する表示部14が配置される。この表示部14としては液晶表示装置などを採用することができる。
【0036】
ケース100の側面には、装着者により操作可能なボタンA102とボタンB103が配置される。なお、ボタンA102は、例えば、装着者が緊急時に操作することで外部に緊急を通知し、ボタンB103は、生体情報(脈拍や体重等)を測定する場合や、表示部14からの問いかけ(メッセージ)などに対して装着者が応答する際などに操作されるものである。
【0037】
図3において、センサノード1のケース100の裏面には、発光素子122と受光素子121から構成された脈拍センサ12が配置される。この脈波センサ12は発光素子122として赤外線発光ダイオードを用い、受光素子121としてフォトトランジスタを採用したものである。なお、受光素子としては、フォトトランジスタ以外にもフォトダイオードも使用可能である。ケース100の裏面には、発光素子122と受光素子121が露出しており、腕の皮膚と対向可能となっている。
【0038】
この脈拍センサ12は、発光素子122で発生させた赤外光を皮下の血管に照射し、血流変動による血管からの散乱光の強度変化を受光素子121に検知し、この強度変化の周期から脈拍及び脈波を推定する。
【0039】
図4は、センサノード1のブロック図を示す。図4において、センサノード1には、基地局3と通信を行うアンテナを備えた無線通信部16と、加速度センサ11,脈拍センサ12及び温度センサ13及び表示部14を制御する制御部15と、マイクロコンピュータを含む制御部15を間欠的に起動するためのタイマとして機能するリアルタイムクロック18と、データを格納するメモリ17が配置される。
【0040】
加速度センサ11は、X軸(人体の前後方向)の加速度を検出するX軸センサと、Y軸(人体の左右方向)の加速度を検出するY軸センサと、Z軸(人体の上下方向)の加速度を検出するZ軸センサから構成される。X軸〜Z軸センサの出力は、それぞれ増幅器161で増幅された後、ローパスフィルタ162でノイズを除去してから制御部15のA/Dコンバータ156へ入力される。
【0041】
脈拍センサ12は、受光素子121の出力を増幅器163で増幅した後、ローパスフィルタ164でノイズを除去してから制御部15のA/Dコンバータ157へ入力する。また、温度センサ13、リアルタイムクロック18、メモリ17、表示部14は、それぞれ制御部15のシリアルI/F158に接続されてデータやコマンドの送受信を行う
制御部15は、各センサ11〜13の測定を実行する周期を決定する測定タイマ151と、測定したセンシングデータ(加速度、脈波、温度)からノイズ分を除去するデジタルフィルタ153と、脈拍センサ12の出力から脈拍数を演算する脈拍数計算部155と、加速度センサ11の出力からゼロクロス回数を演算するゼロクロス計数部と154、測定結果に基づくセンシングデータ(ゼロクロス回数、脈拍数、温度)を送信する周期を決定する送信タイマ152と、を備える。ここで、本実施形態では、測定タイマ151と送信タイマ152がそれぞれ制御部15のCPU(マイクロコンピュータ)にそれぞれ所定の周期で割り込みをかけることで、センサ11〜13による測定と、送信をそれぞれ行う。
【0042】
例えば、測定タイマ151は、50msec毎にCPUへ割り込みをかけて、加速度センサ11、脈拍センサ12、温度センサ13による測定を制御部15のCPUに実行させる。また、送信タイマ152は、1分毎にCPUへ割り込みをかけて、ゼロクロス計数部154と、脈拍数計算部155の出力及び温度を基地局3へ送信する。
【0043】
なお、制御部15はデジタルI/O159を介して無線通信部16と、ボタンA102、ボタンB103に接続される。
【0044】
以上により、センサノード1は、50msec毎に各センサの出力を取得し、これらセンサの出力からゼロクロス回数や脈拍数、温度を求め、1分ごとに基地局3からデータサーバ6へ送信することになる。したがって、データサーバ6のデータテーブル64には、装着者の行動情報であるゼロクロス回数が毎分当たりのゼロクロス回数として格納される。
【0045】
次に、図5は測定タイマ151が制御部15のマイクロコンピュータに割り込みをかけたときに実行される脈拍の測定処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、S1では制御部15は、測定タイマ151からの割り込み受けると、脈拍センサ12と加速度センサ11を起動する。次に、S2では、制御部15が加速度センサ11の出力を取得し、装着者が安静状態にあるか否かを判定する。
【0047】
脈拍センサ12は腕に装着されているが、装着者が動いている状態、例えば、走っている状態では、受光素子121が皮膚と接離するため、乱れた波形しか取得できずに正常な脈拍は検知できない。これは、脈拍センサ12が腕に密着されずに、脈拍周期よりもずっと短い時間間隔で、外乱光にさらされるためである。このように、信頼できる脈拍を検知するためには、ユーザが安静状態にある間に、センシングを行なう必要がある。
【0048】
制御部15は、検出した加速度の大きさ、つまり、加速度の絶対値を算出し、この絶対値と予め設定したしきい値とを比較して、絶対値がしきい値未満であれば静止状態(=安静状態)と判定する。より正確には、センサノード1を装着したユーザの腕が、静止状態にある場合は、脈拍の測定開始が可能と判定し、S3へ進む。一方、装着者が静止状態にない場合には、処理を終了して次回の測定タイミングまでに安静状態になるのを待つ。
【0049】
S3では、制御部15が脈拍センサ12からの出力を取得し、脈波形データとして取り込む。S4では、デジタルフィルタ153によって所定の周波数帯域(例えば、0.6Hz〜4Hz)のみを抽出する。次に、S5ではフィルタ処理を加えた脈波形データからピークを抽出する(S5)。そして、S6では1分間当たりの脈波形データのピークの数から脈拍数を求めて出力する。なお、制御部15は、算出した脈拍数を無線通信部16から基地局3へ送信したり、表示部14に出力して装着者に測定結果を報知することができる。
【0050】
次に、図6は測定タイマ151が制御部15のマイクロコンピュータに割り込みをかけたときに実行される加速度の測定処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、S11で制御部15は、測定タイマ151からの割り込み受けると、加速度センサ11を起動する。次に、S12では、制御部15が加速度センサ11の各軸の出力(X、Y、Z)を取得し、加速度の波形を取得する。そして、S13では各軸の加速度からスカラー量を演算する。このスカラー化は、X軸、Y軸、Z軸の各加速度をそれぞれ2乗した値を合計し、この合計値の平方根をスカラー量とする。S14では、スカラー化したスカラー量をデジタルフィルタ153で処理し、所定の周波数帯域(例えば、0.1Hz〜5Hz)のみを抽出し、ノイズ成分を除去する。
【0052】
次に、S15では、フィルタ処理を加えた加速度のスカラー量からゼロクロス回数を計数する。ゼロクロス回数の計数は、図7で示すようにスカラー化した加速度が0G近傍の閾値を通過した単位時間当たりの回数を計数する。本実施形態では、送信タイマ152の周期(1分間)当たりにスカラー化した加速度が閾値を通過した回数をゼロクロス回数として計数して送信する。
【0053】
ここで、ゼロクロス回数の計数は、閾値を0Gよりも若干大きい0.05G等に設定売ることで、誤検出を防止できる。すなわち、人体は睡眠中などの休止状態でも微少な体動や、振動などの外部の影響により、閾値を0Gに設定した場合では、睡眠中などの休止状態にあるにもかかわらず、ゼロクロス回数が発生して運動していると誤判定を招く恐れがある。このため、閾値を0Gよりも若干大きい0.05G等とすることにより、人体が休止状態にあるときの微少な動きを運動状態と誤判定するのを防ぐことができ、行動情報の検出精度を向上させることができる。
【0054】
次に、図8は装着者がセンサノード1のボタンB103を押したときに制御部15で実行される体重の測定処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
S21では、装着者がセンサノード1のボタンB103を押したことを検知し、体重計2からのセンシングデータを取得する処理を開始する。 S22では、センサノード1が体重計2と通信可能か否かを判定する。この処理は、例えば、通信部16が体重計2の電波強度を測定し、電波強度が所定値を超えていれば通信可能と判定することができる。あるいは、センサノード1の通信部16が所定の信号を体重計2へ送信し、体重計2から所定の応答が得られたときには通信可能と判定すればよい。このとき、センサノード1の装着者は体重計2に乗って体重測定が可能な状態と判定し、S23へ進む。一方、通信が不能な場合は、センサノード1の装着者が体重計2の近傍にはいない状態などで、体重の測定はできないと判定し、S27の処理へ進み、制御部15は表示部14に体重計2と通信ができないことを表示して処理を終了する。
【0056】
S23では、体重計2から装着者の体重のセンシングデータを受信する。制御部15は、S24で取得したセンシングデータから表示部14に体重の測定値を表示させる。また、制御部15は、体重測定の完了を装着者へ確認させるため、ボタンB103を押す指示を表示部14に出力する。この表示は、例えば、図9で示すように、体重計2から受信した体重を表示部14に表示し、センシングデータをメモリ17に記録する場合(はい)にはボタンB103を操作させ、センシングデータを記録しない場合(いいえ)にはボタンA102を操作させるようにしてもよい。
【0057】
S25では、装着者がボタンB103を押したことを判定すると、S26に進んで、体重計2のセンシングデータにセンサノード1の識別子(つまり、装着者を特定する識別子)と、体重計2からセンシングデータを受信した日時(タイムスタンプ)を加えてメモリ17に格納する。
【0058】
以上の処理により、センサノード1の装着者が体重計2に乗ってからボタンB103を操作することで、体重のセンシングデータが体重計2からセンサノード1に転送され、センサノード1のメモリ17に格納される。メモリ17に格納された体重のセンシングデータは、所定の送信タイミングになると、他のセンシングデータと共にセンサノード1から基地局3を介してデータサーバ6に送信される。
【0059】
次に、図10は送信タイマ152が制御部15のマイクロコンピュータに割り込みをかけたときに実行される送信処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
まず、S31で制御部15は、送信タイマ152からの割り込み受けると、通信部16を起動する。次に、S32では、制御部15は通信部16が基地局3と通信可能な状態であるか否かを判定する。この処理は、例えば、通信部16が基地局3の電波強度を測定し、電波強度が所定値を超えていれば通信可能と判定することができる。あるいは、通信部16が基地局3へ所定の信号を送信し、基地局3から所定の応答を受信した場合に制御部15は通信可能と判定することができる。
【0061】
通信可能と判定されたS33では、メモリ17に記録されたセンシングデータを基地局3へ送信する。S34では、制御部15がメモリ17に未送信のセンシングデータが存在するか否かを判定し、未送信のセンシングデータがあれば、S35でメモリ17から読み込んだ未送信のセンシングデータを基地局3へ送信し、S36では送信したセンシングデータをメモリ17から削除する。さらにセンシングはS37で、メモリ17に未送信のセンシングデータの有無を判定し、未送信のセンシングデータがあればS35へ戻って処理を繰り返す。一方、未送信のセンシングデータが無くなると、制御部15は送信処理を終了する。
【0062】
なお、上記S32の判定で、センサノード1が基地局3と通信できない状態の場合には、S38へ進んでメモリ17に記録されたセンシングデータを保持して処理を終了する。
【0063】
以上の処理により、送信タイマ152に設定された所定の周期(例えば、1分)毎に、基地局3と通信を行ってメモリ17に蓄積されたセンシングデータをまとめて送信することになる。この送信処理では、センサノード1のセンサが測定した加速度のゼロクロス回数、脈拍数、温度に加えて体重計2から取得した体重もセンサノード1のセンシングデータとして基地局3へ送信されることになる。
【0064】
図11は、センサノード1が送信タイマ152の所定の周期(例えば、1分)毎に送信するセンシングデータの送信フレームのフォーマットの一例を示す。
【0065】
センサノード1は、メモリ17に蓄積されたセンシングデータ(脈拍数、ゼロクロス回数、温度、体重)に、予め設定された識別子(個体識別コード)と送信日時を付加して送信する。図中、08(16進数)バイトの脈拍数は、50msec毎のセンシングデータのうち最新のものを送信するものとする。また。09バイトの脈拍数信頼度は、脈拍数を測定したときに検出した加速度または加速度に基づく値であり、加速度が大きいほど測定された脈拍数の信頼度は低下する。また、0C、0Dバイトの歩行数は、加速度のスカラー量に基づいて制御部15が求めた装着者の歩数である。この歩数の演算は、上記脈拍数の計数と同様に、加速度のスカラー量のピークを抽出し、ピークの回数を歩数として求めることができる。また、10、11バイトの体重は、体重計2から体重を受信したときにのみセンシングデータが格納される。また14バイトの電源電圧は、センサノード1を駆動する図示しない電池の電圧を示す。
【0066】
<データベース>
次に、データサーバ6のデータベース61に格納されるセンシングデータについて、図2、図13を参照しながら説明する。図12は、体重計2が測定した体重を格納する体重テーブル62の内容の一例を示し、図13は、センサノード1が測定した脈拍数、ゼロクロス回数、温度、歩数を格納するデータテーブル64の内容の一例を示す。
【0067】
図12において、体重テーブル62には、体重計2が測定した体重データを受信したセンサノード1の識別子(図中、固体識別ID)と測定した日時を付加したセンシングデータが格納される。体重テーブル62の各レコードには、センサノード1の識別子(固体識別ID)と、測定日時及び体重値が格納される。分析装置7は、この体重テーブル62を、後述するように各固体識別ID毎に時系列的に参照する。
【0068】
図13において、データテーブル64には、固体識別IDを先頭にして、センサノード1が測定したセンシングデータの測定日時と脈拍数、ゼロクロス回数、歩数、温度、電源電圧、電波強度が格納される。分析装置7は、このデータテーブル64を、後述するように各固体識別ID毎に時系列的に参照する。
【0069】
<体重計>
図14は、体重計2の詳細な構成を示すブロック図である。体重計2は、人体などの重量を測定する重量センサ21と、重量等の表示を行う表示部22と、センサノード1または基地局3と通信を行う無線通信部24と、体重計2を利用するユーザ毎に予め割り当てられたユーザ選択ボタンA25〜D28が、CPUとメモリを備えた制御部23により制御される。
【0070】
重量センサ21は、増幅器29を介して制御部23のA/Dコンバータ231に信号を入力する。増幅器29で増幅した信号は、制御部23のA/Dコンバータ231でデジタル値に変換し、制御部23は変換されたデジタル値から体重データを演算する。無線通信部24とユーザ選択ボタンA25〜D28はそれぞれ制御部23のデジタルI/O232に接続される。
【0071】
制御部23は、重量センサ21を駆動してユーザの体重を測定し、無線通信部24からセンサノード1へセンシングデータを送信するため、所定の測定処理を実行する。制御部23の測定処理は、ユーザ(センサノード1の装着者)がユーザ選択ボタンA25〜D28のいずれかを操作することにより開始される。
【0072】
ユーザ選択ボタンA25〜D28が押されると、制御部23は重量センサ21のキャリブレーションを行った後、表示部22へユーザが体重計2に乗るよう促す表示を行う。
【0073】
ユーザが体重計2に乗ると、重量センサ21の出力であるアナログ信号が増幅器29を通して制御部のA/Dコンバータ231で数値化される。
【0074】
体重の測定が終了すると、制御部23は表示部22に測定した体重値を表示し、無線通信部24を介してセンサノード1に体重データ(センシングデータ)と測定日時を送信する。制御部23はセンシングデータの送信が終了すると、再びユーザ選択ボタンが押されるまでスタンバイ状態に移行する。なお、体重の測定が終了した後に、制御部23はユーザ選択ボタンA25〜D28で設定されたユーザの情報に今回の測定値を記憶することができる。
【0075】
<システム全体の処理>
次に、センサノード1がリアルタイムで測定した生体情報(センシングデータ)と、体重計2で離散的に測定した健康指標(体重)から、リアルタイムで現在の健康指標を予測するセンサネットにおけるデータ処理の概要を図15に示す。
【0076】
人体に装着したセンサノード1からはリアルタイム(50msec毎など)で測定したセンシングデータ(ゼロクロス回数、脈拍数)が1分ごとに基地局3へ送信され、基地局3を介してデータサーバ6のデータテーブル64に格納されていく。データテーブル64には、毎分新たな生体情報が蓄積されていく。
【0077】
一方、体重計2で離散的に測定された体重データは、測定があったときにセンサノード1に送信され、センサノード1のセンシングデータと共にデータサーバ6へ送信され体重テーブル62へ格納されていく。体重テーブル62には、離散的に体重データが蓄積されていく。
【0078】
分析装置7では、データベース61に蓄積されたリアルタイムの生体情報と離散的な健康指標(体重)を監視して、体重の予測値を算出し、体重の予測値が急増するなど所定の条件を満たしたときにはセンサノード1へ警告を送信する分析ソフトウェアが分析装置7の制御部71で実行される。
【0079】
この制御部71が実行する処理の一例は、図15において、まず、データサーバ6の体重テーブル62から過去の所定期間(例えば、1週間)内の体重データを取得する(S41)。そして、制御部71は体重テーブル62から取得した所定期間(第1の所定期間)内の体重データを目的変数として重回帰分析テーブル73に格納する(S42)。
【0080】
また、制御部71は、データサーバ6のデータテーブル64から過去の第2の所定期間(例えば、2週間)内のゼロクロス回数を取得する(S43)。そして、制御部71は、取得したゼロクロス回数をゼロクロス周波数に変換する。データテーブル64に格納されたゼロクロス回数は、センサノード1の送信タイマ152の周期(1分間)のゼロクロス回数を示しているので、
ゼロクロス周波数=ゼロクロス回数/60(sec)
となる。
【0081】
次に、制御部71は、S44において1日ごとに各時間当たりのゼロクロス周波数の出現率(出現頻度)と連続指標を算出する。
【0082】
ゼロクロス周波数の出現率は、図16に示すように、1日のうちの各時間帯毎のゼロクロス周波数の平均値(または最大値、あるいは標準偏差)を求める。例えば、図16において、時間帯=1は、0時1分〜1時までのゼロクロス周波数の平均値が1Hzであることを示す。各時間帯毎にゼロクロス周波数の平均値を求めてから、図17で示すように、周波数帯域毎に1日の出現率を演算する。この例では、1〜5Hzの周波数帯域を5つの区分に区分けし、各周波数帯域毎に1日に出現回数と出現率を演算する。この例では、1Hz以下を周波数帯域(区分)=1Hzとし、1Hzを超え2Hz以下の周波数帯域を2Hzとし、他の周波数帯域も同様に区分けする。
【0083】
周波数帯域の出現率は、1日の全時間帯で、各周波数帯域の出現回数を除した値として求めることができる。例えば、周波数帯域=5Hzの場合、時間帯=15時,17時で2回出現しているため、出現回数=2となり、出現率は8.3%となる。この出現率は周波数帯域(区分)が高いほど、装着者の行動が強い(活発)ことが判定でき、逆に周波数帯域が低いほど装着者の行動が弱い(安静)ことが判定できる。
【0084】
次に制御部71は、同一の周波数帯域が隣り合う時間帯で連続する回数を計数し、計数した連続回数を求め、この連続回数を出現回数で除したものを連続指標として求める。すなわち、
連続指標=連続回数/出現回数
となる。なお、連続回数は、ゼロクロス周波数の区分が同値となる時間帯の数を示す。連続回数の計数は、図18で示すように、隣り合う時間帯の周波数帯域を調べ、同一の周波数帯域であれば連続回数を1とする。これを、各周波数帯域毎に時間帯=1〜24について順次行うことで、1日の連続回数を求め、各周波数帯域毎に1日の連続指標を求める。例えば、図18において、時間帯=1時と2時では出現した周波数帯域が1Hzで等しいため、連続回数は1となる。同様に周波数帯域=1Hzが連続する時間帯は5時と6時及び12時と13時であるため、1日の連続回数は3となる。そして、1日の周波数帯域=1Hzの出現回数は8回であるため、この日の周波数帯域=1Hzの連続指標は、上記より0.38となる。連続指標は装着者の行動の変化の度合いを示し、低い周波数帯域で連続指標が高ければ、安静な状態が長いと推定でき、高い周波数帯域で連続指標が高ければ活発な行動を継続したと推定できる。
【0085】
なお、上記では周波数帯域を1Hzとしたが、これに限定されるものではなく、0.1Hz単位で周波数帯域を細かく区切ることで、連続回数や連続指標の演算精度を高めることができる。また、時間帯についても、上記では24の時間帯に区切った例を示したが、これに限定されるものではなく、1分ごとの時間帯として1日の時間帯を1〜1440に区分けすることで、連続回数や連続指標の演算精度を高めることができる。
【0086】
次に、図15のS45では、上記S44で求めた出現率と連続指標を説明変数として重回帰分析テーブル73に格納する(S45)。こうして、S42,S45の処理が終わると重回帰分析テーブル73は分析の準備が完了する(S46)。このとき、分析装置7の重回帰分析テーブル73は、例えば、図19に示すように装着者の身体情報と行動情報が格納される。すなわち、各レコードには、日付をキーとして、目的変数に体重データが設定され、説明変数として各周波数帯域毎の出現率と連続指標が格納される。
【0087】
ここで、目的変数に設定する体重データは、ゼロクロス回数を測定した当日寝る前、もしくは次の日の朝の体重データであり、加速度に基づくゼロクロス周波数が捉えた行動の結果が反映された結果としての体重値である(実際の測定は次の日の朝が望ましい)。
【0088】
次に、図15のS47では、制御部71の重回帰分析処理部74が、重回帰分析テーブル73に設定された目的変数と説明変数に基づいて、重回帰分析により予測式を生成する。
【0089】
【数1】
【0090】
ただし、y:目的変数
x1〜xn:説明変数
n:説明変数個数
a1〜an:係数
a0:定数項
である。
【0091】
なお、上記S47における予測式の生成は、すべての説明変数を用いて予測式を作るのではなく、ステップワイズ法などの周知の手法により、意味のある説明変数のみを抽出したり、説明変数同士に多重共線性のある変数を取り除くなどの処理を行う。ここでは、重回帰分析処理については公知乃至周知の手法を用いるので、説明は省略する。なお、これら説明変数の抽出は、図1の説明変数生成部75で行うものとする。上記説明変数の生成を、目的変数(体重データ)の更新時、あるいは、説明変数(加速度)の更新時に実行することで、予測式は生体情報の変化を反映した新たな予測式として更新され、過去(第2の所定期間)の生体情報の変化を学習した予測式を生成することになる。つまり、ゼロクロス回数を過去の第2所定期間から求めるため、生体情報の変化に応じて予測式も変化することができるのである。
【0092】
次に、図15のS48では、重回帰分析処理部74が現時点から過去の所定期間(例えば、24時間)内の説明変数を上記の生成した予測式に代入し、目的変数yである現在の体重予測値を重回帰分析により算出する。
【0093】
そして、図15のS48では、重回帰分析処理部74が求めた目的変数yの解、すなわち、現時点での体重の予測値と、過去の重回帰分析結果及び体重データの実測値を、分析装置7の表示部77に表示する。この表示は、例えば、図20で示すように日時と体重を予測値の演算結果と実測値をグラフにすることができる。図20において、体重の実測値は常時測定することができず離散的に分布することになるが、予測式による体重の予測値は連続的に生成することが可能となり、センサノード1の装着者の日常の行動に対する健康指標の変化を実測することなく明示することができる。
【0094】
なお、目的変数yの演算結果は、分析装置7の図示しないストレージ装置などに格納しておいても良いし、データベース61に格納しても良い。目的変数yの予測値は、現時点だけではなく、次回の目的変数の測定時の予測値を求めても良い。
【0095】
こうして、図15のS41〜S49をセンシングデータがデータベース61に格納される度、あるいは目的変数である体重データがデータベース61に格納される度または所定の周期で実行することで、装着者の行動情報に基づいて常時測定することのできない身体情報(体重)をリアルタイムで予測することが可能となるのである。
【0096】
さらに、制御部71の重回帰分析処理部74で、体重の予測値の変化率を予測値の演算の度に求め、体重の予測値の変化率が所定値を超えたときには、図21に示すようにセンサノード1に対して警告を送信することができる。あるいは、体重の予測値の変化率が第2の所定値を下回ったときにも、減量が過度にならないように警告することができる。
【0097】
図22は、説明変数生成部75と重回帰分析処理部74で行われる説明変数の生成と、予測式の生成処理の一例を示すフローチャートである。以下の例では、過去1週間分の体重データと説明変数(ゼロクロス回数)を用いて重回帰分析を行う場合を示す。なお、S471からS475が説明変数生成部75に相当し、S476〜S47が重回帰分析処理部74に相当する。
【0098】
まず、説明変数生成部75はS471において、変数N(以下、N日)に重回帰分析処理を行う日付を設定する。ここでは、現在の日付を設定する。次に、S472では、N日の体重データを目的変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。
【0099】
次に、S473では、N日のゼロクロス回数をデータベース61のデータテーブル64から取得して、上述のS44と同様にしてゼロクロス周波数に変換し、出現率と連続指標を求めて、これらの出現率と連続指標を説明変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。
【0100】
次に、S474では、N日を前日の値に減算し、S475ではN日が6日前に達したか否かを判定し、達していなければS472へ戻って目的変数と説明変数の代入を繰り返し、7日分の値(ゼロクロス周波数の出現率と連続指標)重回帰分析テーブル73へ代入するとS476に進む。
【0101】
S476では、重回帰分析処理部74が、重回帰分析テーブル73に設定された各変数に基づいて重回帰分析を実行する。そして、重回帰分析の結果に基づいて予測式を生成する(S47)。
【0102】
なお、上記の例では、体重は一日一回量ることを想定して、予測式の生成を新しい目的変数(体重データ)がデータサーバ6に登録されるたびに行う例を示したが、新たなセンシングデータ(ゼロクロス回数、脈拍数)がデータベース61に登録される度に、予測式の生成を実行しても良い。また、上記の例では7日分のセンシングデータに基づいて予測式を生成する例を示したが、特に、目的変数となる体重データが1週間分の場合には、説明変数となるセンシングデータに基づく値(ゼロクロス回数)を2週間分用意するのが望ましい。
【0103】
図23は、図1の分析装置7の予測データ生成部76で行われる処理の一例を示すフローチャートで、上記図15のS48の処理に相当する。予測データ生成部76は、ます、S481でデータサーバ6のデータテーブル64に格納されたセンシングデータから過去の所定期間(例えば、24時間)以内のゼロクロス回数を取得し、上述したようにゼロクロス周波数を求め、出現率と連続指標を演算する。
【0104】
そして、図22の処理で求めた予測式に出現率と連続指標を代入して、体重の予測値を算出する。
【0105】
以上のように、常時計ることのできない健康指標でも、加速度センサから得られる身体情報、行動情報を常時記録していれば、これらのデータをもとに体重などの任意の健康指標に対して、相関性の高い予測式が立てられることを本願発明者は発見した。
【0106】
これは常時記録する身体情報、行動情報はユーザ(装着者)の身体状態や行動状況を網羅的に反映した記録であり、体重はその結果であるという関係があるためである。例えば、行動情報としてのゼロクロス周波数は、ゼロクロス周波数が高い頻度が多ければ、装着者は活発に活動していたことを示し、ゼロクロス周波数が低い頻度が多ければ、装着者は安静していたことを示す。すなわち、人の行動が活発であればエネルギーの消費が大きくなるため、体重の減少が予測でき、逆に行動が低調であればエネルギーの消費は少ないため、体重の維持または増大を予測できる。
【0107】
すなわち、常時測定できない体重を目標変数とし、基準値として離散的に設定し、ユーザの身体状態(脈拍)や行動を常時測定した結果(加速度)を説明変数として記録し、重回帰分析を主体とする統計分析により目的変数と説明変数の相関性から予測式を自動的に生成し、ユーザの日頃の行動から目標に対する明日の達成度を予測したり目標達成に著しく貢献する、あるいは阻害する行動をリアルタイムに検知してアラームを出すことができる。また、常時測定できない体重を連続的に保管することで、健康指標の推移を観察することが可能となる。
【0108】
これにより、ユーザはセンサノード1によって身体状況、行動状況を常時記録するだけで、知りたい任意の項目に対する動向の予測が可能となり、また目的の達成に大きく寄与する状況の変化が起きたことをリアルタイムで知ることが出来る。
【0109】
したがって、常時利用者(装着者)に予測した健康指標をフィードバックし、日常の何気ない行動が目的とする変数(体重)に対してどういう影響を与えうるかということを日常の生活の中で利用者が認識し、適切な生活行動を行うことができるように注意喚起することが可能となる。
【0110】
すなわち、常時測定することの出来ない測定項目(健康指標)、または測定頻度の低い測定項目(あるいは離散的にしか測定できない測定項目)を、常時測定可能な変数(加速度、脈拍数)より重回帰分析により補間(予測)して求め、補間(予測)により求めた値を測定項目の値としてセンサノード1の表示部17や分析装置7の表示部77にフィードバックすることができる。また、重回帰分析による予測により、常時測定することの出来ない測定項目(健康指標)の値を予測することができる。
【0111】
また、健康指標が更新される度、または、常時観測する生体情報が更新される度に、予測式は更新され、説明変数とする生体情報の変化を学習することができる。
【0112】
また、上記第1実施形態において、体重計2は体重を測定するセンサノード1へ送信できればよいので、体重計2と基地局3が直接通信できなくとも、センサノード1が基地局3と通信可能であればよい。つまり、体重計2の送信出力は小さくすることができ、体重計2の電源の寿命を延長することができる。
【0113】
なお、上記第1実施形態においては、センサノード1が加速度などの生体情報を50msec毎に測定することで、センサノード1の装着者の生体情報の変化をほぼ連続的に監視する例を示したが、センサノード1が加速度センサ11や脈拍センサ12で生体情報を測定するタイミングは装着者の生体情報の変化をほぼ連続的に監視することが可能な間隔であればよく、例えば、100msecや1sec等の測定間隔でもよい。
【0114】
また、センサノード1の装着者が体重を測定する間隔は、好ましくは毎日測定することであるが、装着者が体重を測定する周期(タイミング)は離散的またはランダムであり、体重データが測定できなかった日については、分析装置7において前後の体重データから推定値を求めればよい。
【0115】
また、センサノード1で生体情報を測定する第1のタイミング(測定間隔)と、体重計2で体重を測定する第2のタイミング(測定間隔)の関係は、体重を測定する第2のタイミングを第1のタイミングの100倍以上に設定するのが好ましい。
【0116】
また、上記第1実施形態ではセンサノード1で各センサで測定を行う間隔を50msec毎とした例を示したが、全てのセンサを同じ周期で測定する必要はなく、センサの種類に応じて適宜変更することができる。例えば、加速度センサ11を50msec毎に測定し、脈拍センサ12を5分毎に測定し、温度センサ13を10分ごとに測定するなど、センサから得られる情報の種類に応じて各センサの測定周期を異なるようにしても良い。
【0117】
また、上記第1実施形態では、人体に装着するセンサノード1で加速度を行動情報として測定する例を示したが、上記に限定されるものはなく、加速度センサや温度センサを含む携帯機器であればよく、例えば、携帯電話や携帯音楽プレーヤなどの携帯機器でもよい。
【0118】
また、上記第1実施形態では、リアルタイムクロック18は、センサノード1の制御部15を構成するマイクロコンピュータの外部に設置されることが望ましい。リアルタイムクロック18をマイクロコンピュータの外部へ設定することで、測定行っていない期間はマイクロコンピュータをスリープ状態に移行させて電力消費の低減を推進することができる。
【0119】
また、上記第1実施形態においては、予測式は目的変数となる体重>データや、説明変数となるセンシングデータが更新される度などの所定のタイミングで繰り返し実行することができる。なお、予測式の生成を所定の周期毎とすることも可能である。
【0120】
<第2実施形態>
図24は、第2の実施形態を示す情報管理システムのブロック図で、前記第1実施形態のセンサノード1に備えた脈拍数計算部154とゼロクロス回数計数部155をデータサーバ6に移動し、センサノード1の演算負荷を低減するようにしたものである。
【0121】
また、体重計2は測定した体重データを基地局3へ直接送信し、センサノード1が体重データを転送する際の電力消費を抑制する。
【0122】
センサノード1は、前記第1実施形態の図3に示した脈拍数計算部154とゼロクロス回数計数部155を削除し、各センサの測定値をA/Dコンバータ156、157でデジタル値に変換したものを基地局3へ送信し、データサーバ6のデータベース61に設けた波形テーブル63に格納する。
【0123】
データサーバ6は、データベース61に波形テーブル63を設け、制御部66にゼロクロス回数計数部67と脈拍数計算部68を設けた点が前記第1実施形態と相違する。その他の構成は前記第1実施形態と同様である。
【0124】
図3において、センサノード1は、測定タイマ151の測定周期(例えば、50msec)で測定した加速度センサ11のX軸センサ、Y軸センサ、Z軸センサの出力と、脈拍センサ12の出力とをメモリ17に格納しておき、送信タイマ152の周期(例えば、1sec)でメモリ17に格納された加速度センサ11の出力と脈拍センサ12の出力をまとめて送信する。なお、温度センサ13の出力は、この送信時点のものを基地局3へ送信すればよい。
【0125】
体重計2が基地局3へ測定した体重を送信する場合、体重を測定したセンサノード1の装着者と、体重計2の体重データの関連付けはデータサーバ6の制御部66で行う。この関連付けは、体重計2が通信を行う基地局3から受信したセンサノード1のセンシングデータのうち、体重データを測定した時刻の加速度が安静を示すセンサノード1を、体重データを測定したセンサノード1として関連付けることができる。あるいは、複数の基地局3が存在する場合では、複数の基地局3によりセンサノード1の位置を測定し、体重計2の位置に存在したセンサノード1を特定し、当該センサノード1の識別子に測定した体重データを関連付けることができる。また、体重データの測定時刻は、基地局3やデータサーバ6のタイムスタンプを利用すればよい。
【0126】
センサノード1の測定周期を上記のように50msec、送信周期を1secとした場合、1回の送信で、加速度センサ11のX軸、Y軸、Z軸及び脈拍センサ12の出力を20個まとめて送信する。センサノード1が基地局3へセンシングデータを送信するフレームのフォーマットの一例を図25に示す。
【0127】
図25において、センサノード1は、前記第1実施形態と同様に、予め設定された識別子(個体識別コード)と送信日時に加え、加速度センサ11のX軸、Y軸、Z軸及び脈拍センサ12の出力を、測定時刻の順で送信する。つまり、図中加速度センサ11の出力X1は1sec前の最も古いデータを示し、図中X20は最新のデータを示す。また、体重計2から体重の体重データを受信したときには、図中61バイトの電波強度以降の62バイトに体重を格納する。
【0128】
基地局3から上記図25に示すセンシングデータを受信したデータサーバ6の制御部66は、加速度センサ11の出力(X1、Y1、Z1〜X20,Y20、Z20)と脈拍センサ12の出力(脈1〜脈20)を、送信フレームに含まれる送信時刻と既知の測定周期(50msec)から、20個の各センシングデータの測定時刻を逆算する。
【0129】
そして、データサーバ6の制御部66は、図26に示すように、逆算した測定時刻毎に、センサノード1の識別子と、加速度センサ11のX軸、Y軸、Z軸の測定値と脈拍センサ12の測定値を1レコードとして、データベース61の波形テーブル63に格納する。また、センサノード1からのセンシングデータに体重が含まれる場合は、前記第1実施形態と同様にして体重テーブル62に体重を格納する。
【0130】
制御部66は、波形テーブル63に基地局3から受信したセンシングデータを格納すると、ゼロクロス回数計数部67と脈拍数計算部68が前記第1実施形態と同様にゼロクロス回数と脈拍数及び歩数などを演算し、データテーブル64へ前記第1実施形態と同様に格納していく。
【0131】
分析装置7は前記第1実施形態と同様であり、データサーバ6のデータベース61から読み込んだ、ゼロクロス回数と体重に基づいて予測式を生成し、体重の予測値を求める。
【0132】
以上のように、本第2実施形態では、センサノード1は測定した波形(センシングデータ)に加工(ゼロクロス回数、脈拍数)を施すことなくそのまま送信し、データサーバ6がデータベース61へセンシングデータを格納する時にゼロクロス回数や脈拍数を計算するため、センサノード1はセンシングデータを加工する演算負荷を低減でき、消費電力の低減を図ることができる。
【0133】
また、センシングデータの加工をデータサーバ6側で行うようにしたので、ゼロクロス回数の演算ロジックや脈拍数の演算ロジックを容易に変更して健康指標の予測に役立てることが可能となる。
【0134】
<第3実施形態>
図27、図28は第3の実施形態を示し、前記第1実施形態の説明変数として、ゼロクロス回数に脈拍数を加えた例である。
【0135】
図27は、前記第1実施形態の図22に示したフローチャートのうち、説明変数生成部75で行われる説明変数の生成処理の一部を変更した例を示すフローチャートである。以下の例では、過去の体重データを学習するため、過去7日分の体重データと説明変数(ゼロクロス回数と脈拍数)を用いて重回帰分析を行うための重回帰分析テーブル73を生成する例を示す。この場合では、1週間分の目的変数と、1週間分の説明変数で予測を行う例を示し、前記第1実施形態に比して説明変数となるゼロクロス回数のサンプル期間を縮小することができる。
【0136】
図27において、まず、説明変数生成部75はS471において、変数N(以下、N日)に重回帰分析処理を行う日付を設定する。ここでは、現在の日付を設定する。次に、S472では、N日の体重データを目的変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。ここで、体重データに欠損がある場合には、欠損データ代入法などに基づき擬似データを生成して目的変数に格納することができる。
【0137】
次に、S4731では、N日〜(N−6)日のゼロクロス回数をデータベース61のデータテーブル64から取得して、前記第1実施形態の図15に示したS44と同様にしてゼロクロス回数をゼロクロス周波数に変換し、出現率と連続指標を求めて、これらの出現率と連続指標を説明変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。
【0138】
次に、S4732では、N日〜(N−6)日の脈拍数をデータベース61のデータテーブル64から取得して、前記第1実施形態の図15に示したS44と同様にして脈拍数の出現率と連続指標を求めて、これらの出現率と連続指標を説明変数として重回帰分析テーブル73へ代入する。ここで、脈拍数の出現率と連続指標は、センシングデータとしてデータテーブル64に格納した脈拍数を、脈拍数=50以下、50〜69、70〜89、90〜109、110〜129、130以上の6区分に分けて出現率と連続指標をゼロクロス周波数と同様に算出し、重回帰分析テーブル73に代入する。
【0139】
次に、S474、S475では、前記第1実施形態の図22と同様に、N日を前日の値に減算し、N日が6日前に達したか否かを判定し、達していなければS472へ戻って目的変数と説明変数の代入を繰り返し、7日分の値(ゼロクロス周波数及び脈拍数の出現率と連続指標)重回帰分析テーブル73へ代入する。
【0140】
以上の処理により、重回帰分析テーブル73は図28に示すように、ひとつの目的変数(体重データ)に対して7日分の説明変数(ゼロクロス周波数と脈拍数の出現率と連続指標)が設定される。
【0141】
この後、重回帰分析処理部74により、前記第1実施形態の図22に示したS476及びS47を実行することで、説明変数としてゼロクロス周波数と脈拍数を用いた予測式を生成することができる。
【0142】
この例では、健康指標(体重)を予測するために、行動情報として一週間分のゼロクロス周波数を説明変数とし、さらに身体情報として一週間分の脈拍数を説明変数とすることで、日常の行動に加えて、脈拍数の変化による緊張状態やストレスなどによる健康指標の変化を装着者へフィードバックすることが可能となる。
【0143】
また、本第3実施形態において、本願発明者らは、目的変数となる体重データと、説明変数となるセンシングデータに基づく値(ゼロクロス回数、脈拍数)は、2日分でも十分な予測精度を有することを確認した。
【0144】
<第4実施形態>
図29は、第4の実施形態を示し、前記第2実施形態のセンサノード1として、加速度センサ11の出力をそのまま基地局3へ送信するのではなく、スカラー化した加速度を基地局3へ送信するようにしたもので、その他の構成は前記第2実施形態と同様である。
【0145】
図29において、センサノード1は、加速度センサ11のX軸、Y軸、Z軸の各軸の加速度をスカラー化するスカラー化部1510を備える。
【0146】
スカラー化部1510により、基地局3へ送信する加速度のセンシングデータを、3軸の測定値からひとつのスカラー量にすることで、送信するフレームの容量を低減し、センサノード1の送信負荷を低減できる。また、センサノード1のセンシングデータを蓄積するデータサーバ6では、加速度のスカラー化を省略することができ、演算負荷を低減することが可能となる。これは、特に、データサーバ6が多数のセンサノード1のセンシングデータを蓄積し、加工する場合に有効となる。
【0147】
<第5実施形態>
図30は、第5の実施形態を示し、前記第1ないし第4実施形態の体重に代わって、センサノード1の装着者のストレスを目的変数とする例を示す。
【0148】
図30、図31は、分析装置7の表示部77に出力されたストレス調査の画面を示す。情報管理システムの利用者(センサノード1の装着者)は、毎日など定期的に自身の身体状態や行動状態について、分析装置7の表示部77に表示された設問に回答する。図30は、利用者の健康状態に関する設問であり、利用者は入力部78を介して該当する項目にチェックを行う。分析装置7は、入力された設問の数と全ての設問の数から、
ストレス指標=チャックした設問の数/設問数
によりストレス指標を求める。このストレス指標を前記第1〜第4実施形態の目的変数として設定し、また、行動情報(加速度)や身体情報(脈拍)などセンサノード1で測定可能な値を説明変数として予測式を生成してストレス指標の予測値を演算する。
【0149】
あるいは、図31に示すように各項目を5段階評価として、該当する数値を利用者に選択させて、利用者が選択した項目の値を取得する。この場合、各項目の値を目的変数として設定し、上記と同様に行動情報(加速度)や身体情報(脈拍)などのセンサノード1で測定可能な値を説明変数として予測式を生成してストレス指標の予測値を演算する。
【0150】
この例では、常時測定できないストレスを目標変数とし、ユーザの身体状態や行動状態を測定した結果を説明変数として記録し、重回帰分析を主体とする統計分析により目的変数と説明変数の相関性から予測式を自動的に生成し、ユーザの日頃の行動から目標に対する明日の達成度を予測したり目標達成に著しく貢献する、あるいは阻害する行動をリアルタイムに検知してアラームを出すことができる。
【0151】
なお、目的変数としては、体脂肪、血圧値(最高血圧、最低血圧)、血糖値、疲労度、健康診断結果(年一回しか行わない健康診断の結果の毎日の推移予測)などの健康状態を示す値を設定することができる。体脂肪、血圧値(最高血圧、最低血圧)、血糖値は、上記体重データと同様に定期的に測定した結果をデータサーバ6へ入力し、疲労度、健康診断結果などは、上記ストレス指標のように設問から入力するようにすればよい。特に、離散的にしか測定することができない健康指標(例えば、血糖値など)を目的変数に設定すれば、常時測定可能な日常の身体情報と行動情報からリアルタイムで測定項目の予測値を連続的に生成することが可能となる。
【0152】
この他、目的変数として設定しうる指標としては、生産性向上や安全管理のための値を設定することができ、例えば、ソフトウェアの生産現場では、バグ発生頻度を目的変数とすることで、従業員のストレスや疲労などによる生産性低下を予測することができる。
【0153】
ここで重要なことは本発明の情報管理システムで予測した目的変数の値が正確であるということより、常時利用者に予測値をフィードバックし、日常の何気ない行動が目的とする変数に対してどういう影響を与えうるかということを、日常の生活の中で利用者が認識させることである。
【産業上の利用可能性】
【0154】
以上のように、本発明は、体重や血圧などの健康指標をモニタするライフマネージメント(健康情報管理)システムに適用することができ、特に、センサネットを利用することでリアルタイムで健康指標の予測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】第1の実施形態を示し、情報管理システムのブロック図。
【図2】同じく、腕輪型のセンサノードの表面の斜視図である。
【図3】同じく、腕輪型のセンサノードの裏面の斜視図である。
【図4】同じく、センサノードの構成を示すブロック図。
【図5】同じく、センサノードで実行される脈拍の測定処理の一例を示すフローチャート。
【図6】同じく、センサノードで実行される加速度の測定処理の一例を示すフローチャート。
【図7】同じく、センサノードが測定した加速度のスカラー量とゼロクロス回数の関係を示すグラフ。
【図8】同じく、センサノードで実行される体重測定時の処理の一例を示すフローチャート。
【図9】同じく、センサノードの表示部に表示される体重測定時のメッセージの一例を示す説明図。
【図10】同じく、センサノードで実行されるセンシングデータの送信処理の一例を示すフローチャート。
【図11】同じく、センサノードからの送信フレームを示す説明図。
【図12】同じく、データサーバの体重テーブルの一例を示す説明図。
【図13】同じく、データサーバのデータテーブルの一例を示す説明図。
【図14】同じく、体重計の構成を示すブロック図。
【図15】同じく、情報管理システムのデータ処理の流れを示すブロック図。
【図16】同じく、ゼロクロス周波数と時間の関係を示すグラフ。
【図17】同じく、ゼロクロス周波数の出現頻度と時間の関係と、周波数区分毎の出現率の関係を示すグラフ。
【図18】同じく、ゼロクロス周波数の出現頻度と時間の関係と、周波数区分毎の連続指標の関係を示すグラフ。
【図19】同じく、分析装置の重回帰分析テーブルの一例を示す説明図。
【図20】同じく、体重の予測値及び実測値と日時の関係を示すグラフ。
【図21】同じく、体重の予測値の変化率が所定値を超えたときにセンサノードの表示部に出力されるメッセージの一例を示す説明図。
【図22】同じく、分析装置の説明変数生成部と重回帰分析処理部で行われる説明変数の生成と、予測式の生成処理の一例を示すフローチャート
【図23】同じく、分析装置の予測データ生成部で行われる予測処理の一例を示すフローチャート。
【図24】第2の実施形態を示し、第2の実施形態を示す情報管理システムのブロック図。
【図25】同じく、センサノードからの送信フレームを示す説明図。
【図26】同じく、データサーバの波形テーブルの一例を示す説明図。
【図27】第3の実施形態を示し、分析装置の説明変数生成部で行われる説明変数の生成処理の一例を示すフローチャート。
【図28】同じく、分析装置の重回帰分析テーブルの一例を示す説明図。
【図29】第4の実施形態を示し、センサノードの加速度処理の他の一例を示すブロック図。
【図30】第5の実施形態を示し、分析装置の表示部に出力されるストレス指標の入力画面の一例を示す説明図。
【図31】同じく、分析装置の表示部に出力されるストレス指標の入力画面の他の例を示す説明図。
【符号の説明】
【0156】
1 センサノード
2 体重計
3 基地局
6 データサーバ
7 分析装置
62 体重テーブル
64 データテーブル
73 重回帰分析テーブル
74 重回帰分析処理部
75 説明変数生成部
76 予測データ生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時測定しない第1の測定項目を、常時測定可能な第2の測定項目から予測する情報管理システムにおいて、
前記第1の測定項目を第1のタイミングで測定する第1の測定部と、
前記第2の測定項目を第2のタイミングで測定する第2の測定部と、
前記測定した第1の測定項目と第2の測定項目の値を格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納された前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を第3のタイミングで演算するための予測式を生成する予測式生成部と、
前記生成された予測式と前記第2の測定項目に基づいて、第1の測定項目の予測値を演算する予測値演算部と、を具備して成り、
前記予測式生成部は、所定のタイミングとなる度に前記予測式を生成することを特徴とする情報管理システム。
【請求項2】
前記予測式生成部は、
前記第1の測定項目が前記データ格納部へ新たに格納されたとき、または前記第2の測定項目が前記データ格納部へ新たに格納されたときを前記第3のタイミングとして前記予測式を生成し、
前記予測値演算部は、前記予測式が生成される度に前記第2の測定項目の予測値を演算することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記第2の測定項目の予測値が、所定の条件となったときに警告を発生する警告発生部をさらに具備して成ることを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記予測式生成部は、
前記第2の測定項目の変化を学習して前記予測式を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記第2の測定部は、
生体に装着されて所定の生体の情報を第2の測定項目として測定することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記第2の測定部は、
加速度センサを含んで構成され、前記所定の生体の情報として加速度を測定することを特徴とする請求項5に記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記予測式生成部は、
前記第1のタイミングで測定した第1の測定項目を目的変数とし、前記第2のタイミングで測定する第2の測定項目を説明変数として重回帰分析により予測式を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項8】
前記予測式生成部は、
前記第1のタイミングで測定した第1の測定項目を目的変数とし、前記第2のタイミングで測定する第2の測定項目としての加速度を説明変数として重回帰分析により予測式を生成することを特徴とする請求項5に記載の情報管理システム。
【請求項9】
前記予測式生成部は、
前記加速度のスカラー量を演算するスカラー量演算部と、
前記スカラー量が0または0近傍の所定値を通過する値をゼロクロス回数として演算するゼロクロス回数演算部と、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度を演算する頻度演算部と、を具備して成り、
前記出現頻度を説明変数に設定することを特徴とする請求項8に記載の情報管理システム。
【請求項10】
前記予測式生成部は、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度が同一となる連続指標を演算する連続指標演算部をさらに具備して成り、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度と、前記連続指標を説明変数として設定することを特徴とする請求項9に記載の情報管理システム。
【請求項11】
常時測定しない第1の測定項目と、常時測定可能な第2の測定項目とを受信する通信部と、
前記第1の測定項目と第2の測定項目を格納するデータ格納部と、
前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を演算する情報管理サーバにおいて、
前記データ格納部に格納された前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を演算するための予測式を生成する予測式生成部と、
前記生成された予測式と前記第2の測定項目に基づいて、第1の測定項目の予測値を演算する予測値演算部と、を具備して成り、
前記予測式生成部は、所定のタイミングとなる度に前記予測式を生成することを特徴とする情報管理サーバ。
【請求項12】
前記予測式生成部は、
前記第1の測定項目が前記データ格納部へ新たに格納されたとき、または前記第2の測定項目が前記データ格納部へ新たに格納されたときに、前記予測式を生成し、
前記予測値演算部は、前記予測式が生成される度に前記第2の測定項目の予測値を演算することを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項13】
前記第2の測定項目の予測値が、所定の条件となったときに警告を発生する警告発生部をさらに具備して成ることを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項14】
前記予測式生成部は、
前記第2の測定項目の変化を学習して前記予測式を生成することを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項15】
前記予測式生成部は、
前記第1の測定項目を目的変数とし、前記第2の測定項目を説明変数として重回帰分析により予測式を生成することを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項16】
前記予測式生成部は、
前記離散的に測定した第1の測定項目を目的変数とし、前記常時測定する第2の測定項目としての加速度を説明変数として重回帰分析により予測式を生成することを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項17】
前記予測式生成部は、
前記加速度のスカラー量を演算するスカラー量演算部と、
前記スカラー量が0または0近傍の所定値を通過する値をゼロクロス回数として演算するゼロクロス回数演算部と、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度を演算する頻度演算部と、を具備して成り、
前記出現頻度を説明変数に設定することを特徴とする請求項16に記載の情報管理サーバ。
【請求項18】
前記予測式生成部は、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度が同一となる連続指標を演算する連続指標演算部をさらに具備して成り、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度と、前記連続指標を説明変数として設定することを特徴とする請求項17に記載の情報管理サーバ。
【請求項19】
前記第1のタイミングは、離散的な測定間隔であって、
前記第2のタイミングは、前記生体情報の変化を連続的に監視可能な値に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項20】
前記第2の測定部は、携帯機器を構成することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項1】
常時測定しない第1の測定項目を、常時測定可能な第2の測定項目から予測する情報管理システムにおいて、
前記第1の測定項目を第1のタイミングで測定する第1の測定部と、
前記第2の測定項目を第2のタイミングで測定する第2の測定部と、
前記測定した第1の測定項目と第2の測定項目の値を格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納された前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を第3のタイミングで演算するための予測式を生成する予測式生成部と、
前記生成された予測式と前記第2の測定項目に基づいて、第1の測定項目の予測値を演算する予測値演算部と、を具備して成り、
前記予測式生成部は、所定のタイミングとなる度に前記予測式を生成することを特徴とする情報管理システム。
【請求項2】
前記予測式生成部は、
前記第1の測定項目が前記データ格納部へ新たに格納されたとき、または前記第2の測定項目が前記データ格納部へ新たに格納されたときを前記第3のタイミングとして前記予測式を生成し、
前記予測値演算部は、前記予測式が生成される度に前記第2の測定項目の予測値を演算することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記第2の測定項目の予測値が、所定の条件となったときに警告を発生する警告発生部をさらに具備して成ることを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記予測式生成部は、
前記第2の測定項目の変化を学習して前記予測式を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記第2の測定部は、
生体に装着されて所定の生体の情報を第2の測定項目として測定することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記第2の測定部は、
加速度センサを含んで構成され、前記所定の生体の情報として加速度を測定することを特徴とする請求項5に記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記予測式生成部は、
前記第1のタイミングで測定した第1の測定項目を目的変数とし、前記第2のタイミングで測定する第2の測定項目を説明変数として重回帰分析により予測式を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項8】
前記予測式生成部は、
前記第1のタイミングで測定した第1の測定項目を目的変数とし、前記第2のタイミングで測定する第2の測定項目としての加速度を説明変数として重回帰分析により予測式を生成することを特徴とする請求項5に記載の情報管理システム。
【請求項9】
前記予測式生成部は、
前記加速度のスカラー量を演算するスカラー量演算部と、
前記スカラー量が0または0近傍の所定値を通過する値をゼロクロス回数として演算するゼロクロス回数演算部と、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度を演算する頻度演算部と、を具備して成り、
前記出現頻度を説明変数に設定することを特徴とする請求項8に記載の情報管理システム。
【請求項10】
前記予測式生成部は、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度が同一となる連続指標を演算する連続指標演算部をさらに具備して成り、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度と、前記連続指標を説明変数として設定することを特徴とする請求項9に記載の情報管理システム。
【請求項11】
常時測定しない第1の測定項目と、常時測定可能な第2の測定項目とを受信する通信部と、
前記第1の測定項目と第2の測定項目を格納するデータ格納部と、
前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を演算する情報管理サーバにおいて、
前記データ格納部に格納された前記第1の測定項目と第2の測定項目から第1の測定項目の予測値を演算するための予測式を生成する予測式生成部と、
前記生成された予測式と前記第2の測定項目に基づいて、第1の測定項目の予測値を演算する予測値演算部と、を具備して成り、
前記予測式生成部は、所定のタイミングとなる度に前記予測式を生成することを特徴とする情報管理サーバ。
【請求項12】
前記予測式生成部は、
前記第1の測定項目が前記データ格納部へ新たに格納されたとき、または前記第2の測定項目が前記データ格納部へ新たに格納されたときに、前記予測式を生成し、
前記予測値演算部は、前記予測式が生成される度に前記第2の測定項目の予測値を演算することを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項13】
前記第2の測定項目の予測値が、所定の条件となったときに警告を発生する警告発生部をさらに具備して成ることを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項14】
前記予測式生成部は、
前記第2の測定項目の変化を学習して前記予測式を生成することを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項15】
前記予測式生成部は、
前記第1の測定項目を目的変数とし、前記第2の測定項目を説明変数として重回帰分析により予測式を生成することを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項16】
前記予測式生成部は、
前記離散的に測定した第1の測定項目を目的変数とし、前記常時測定する第2の測定項目としての加速度を説明変数として重回帰分析により予測式を生成することを特徴とする請求項11に記載の情報管理サーバ。
【請求項17】
前記予測式生成部は、
前記加速度のスカラー量を演算するスカラー量演算部と、
前記スカラー量が0または0近傍の所定値を通過する値をゼロクロス回数として演算するゼロクロス回数演算部と、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度を演算する頻度演算部と、を具備して成り、
前記出現頻度を説明変数に設定することを特徴とする請求項16に記載の情報管理サーバ。
【請求項18】
前記予測式生成部は、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度が同一となる連続指標を演算する連続指標演算部をさらに具備して成り、
前記ゼロクロス回数の所定期間内の出現頻度と、前記連続指標を説明変数として設定することを特徴とする請求項17に記載の情報管理サーバ。
【請求項19】
前記第1のタイミングは、離散的な測定間隔であって、
前記第2のタイミングは、前記生体情報の変化を連続的に監視可能な値に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項20】
前記第2の測定部は、携帯機器を構成することを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−206575(P2008−206575A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44161(P2007−44161)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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