説明

情報表示システム、情報表示端末、情報表示方法、および、コンピュータプログラム

【課題】利用者に対する情報提供技術において、利用者の利便性を向上する。
【解決手段】表示部に情報を表示する情報表示システムは、地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報を記憶する領域特定情報記憶手段と、領域特定情報により特定される各所定領域の特徴を表す領域特徴情報を各所定領域にそれぞれ関連付けて記憶する領域特徴情報記憶手段と、地表上の特定位置を表す特定位置情報を取得する特定位置取得手段と、領域特徴情報が記述された所定の図形である特徴情報図形を表示部に表示する特徴情報図形表示手段と、を備え、特徴情報図形表示手段は、各特徴情報図形に記述された領域特徴情報が関連付けられた所定領域と特定位置との位置関係が認識可能な態様で、複数の特徴情報図形を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで利用可能に電子化された地図データを利用して、車や歩行者に経路案内を行う技術を始めとして、地表上の施設や道路などの情報を電子機器の表示部に表示することは広く行われている。例えば、地図情報とランドマークの位置情報を表示する車両用ナビゲーション装置において、ランドマークの詳細情報の表示順位を決定し、決定した順位に従ってランドマークの詳細情報を順次に表示する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−132777号公報
【特許文献2】特開2003−254761号公報
【特許文献3】特開平6−295397号公報
【特許文献4】特開2000−131087号公報
【特許文献5】特許3850898号公報
【特許文献6】特許3478674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、施設ごとの詳細情報は、施設が密集している地域では、情報が大量になり、利用者にとって煩雑に感じるおそれもあった。このため、電子機器を用いた地表上の施設等の情報提供には、利用者の利便性のさらなる向上が求められていた。
【0005】
本発明は、電子機器を用いた情報提供技術において、利用者の利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]表示部に情報を表示する情報表示システムであって、
地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報を記憶する領域特定情報記憶手段と、
各前記所定領域の特徴を表す複数の領域特徴情報を、複数の前記所定領域にそれぞれ関連付けて記憶する領域特徴情報記憶手段と、
地表上の特定位置を表す特定位置情報を取得する特定位置取得手段と、
前記領域特徴情報が記述された所定の図形である特徴情報図形を前記表示部に表示する特徴情報図形表示手段と、
を備え、
前記特徴情報図形表示手段は、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域と前記特定位置との位置関係が認識可能な態様で、複数の前記特徴情報図形を表示する、情報表示システム。
【0008】
適用例1に係る地図表示システムによれば、複数の所定領域に関する複数の領域特徴情報が記述された図形が、特定位置との位置関係が認識可能な態様で表示される。この結果、利用者は、特定位置と所定の位置関係にある領域の特徴を容易に知ることができる。
【0009】
適用例1に係る地図表示システムは、さらに、前記地表上の経路を案内する経路案内手段を備え、前記特徴情報図形表示手段は、前記複数の前記所定領域のうちの前記経路が通る領域である複数の経路上領域に関連付けられた前記領域特徴情報が記述された複数の前記特徴情報図形を表示しても良い。こうすれば、利用者は、案内経路を含む領域の特徴を容易に知ることができる。
【0010】
適用例1に係る地図表示システムにおいて、前記特徴情報図形表示手段は、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた複数の前記経路上領域の前記経路における前後関係が認識可能な態様で、複数の前記特徴情報図形を表示しても良い。こうすれば、利用者は、案内経路を含む領域の特徴をさらに容易に知ることができる。
【0011】
適用例1に係る地図表示システムにおいて、記特徴情報図形は、前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報に関連する処理の実行指示を受け付けるためのユーザインタフェースを含んでも良い。こうすれば、ユーザインタフェースを利用して、利用者は、領域特徴情報に関連する処理の実行を指示することができる。
【0012】
適用例1に係る地図表示システムにおいて、前記特徴情報図形表示手段は、前記特定位置の移動に応じて、前記特徴情報図形の表示を更新しても良い。この場合において、前記特定位置は、利用者の操作に応じて移動しても良いし、前記特定位置は、全地球測位システムを用いた位置測位結果に応じて移動しても良い。こうすれば、特定位置の移動に応じて、特徴情報図形の表示を更新するので、特定位置を移動させることにより、利用者は、容易に多くの領域特徴情報を知ることができる。
【0013】
適用例1に係る地図表示システムにおいて、前記特定位置は、利用者の現在位置であり、
前記特徴情報図形表示手段は、さらに、前記現在位置から、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域へ、利用者が到達する可能性を考慮して、複数の前記特徴情報図形を表示しても良い。この場合において、前記利用者が到達する可能性は、利用者の移動方向を考慮して決定されていても良いし、前記利用者が到達する可能性は、利用者の移動手段を考慮して決定されていても良い。こうすれば、利用者は、到達する可能性に応じて、必要な領域特徴情報を知ることができる。
【0014】
適用例1に係る地図表示システムは、さらに、地図画像を表す地図画像データを取得する地図画像データ取得手段と、前記地図画像データに基づき前記地図画像のうちの所定の表示範囲を前記表示部に表示する地図画像表示手段と、を備え、前記特定位置は、前記表示範囲に含まれていても良い。こうすれば、地図画像の表示と関連のある領域特徴情報を表示するので、利用者にとってより便利である。
【0015】
適用例1に係る地図表示システムにおいて、前記情報表示システムは、相互に通信可能な情報送信サーバと情報受信端末とを含み、前記情報送信サーバは、前記領域特定情報記憶手段と領域特徴情報記憶手段とを備え、前記情報受信端末は、前記表示部と前記特定位置取得手段と前記特徴情報図形表示手段とを備えても良い。こうすれば、利用者は、情報受信端末を用いて、容易に領域特徴情報を知ることができる。
【0016】
[適用例2]地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報を記憶すると共に、前記領域特定情報により特定される各前記所定領域の特徴を表す領域特徴情報を各前記所定領域にそれぞれ関連付けて記憶する情報送信サーバと通信し、表示部に情報を表示する情報表示端末であって、
地表上の特定位置を表す特定位置情報を取得する特定位置取得手段と、
前記領域特徴情報が記述された図形である特徴情報図形を前記表示部に表示する特徴情報図形表示手段と、
を備え、
前記特徴情報図形表示手段は、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域と前記特定位置との位置関係が認識可能な態様で、複数の前記特徴情報図形を表示する情報表示端末。
【0017】
[適用例3]表示部に情報を表示する情報表示方法であって、
地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報を記憶し、
前記領域特定情報により特定される各前記所定領域の特徴を表す領域特徴情報を各前記所定領域にそれぞれ関連付けて記憶し、
地表上の特定位置を表す複数特定位置情報を取得し、
前記領域特徴情報が記述された図形である特徴情報図形を前記表示部に複数表示し、
複数の前記特徴情報図形を表示することは、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域と前記特定位置との位置関係が認識可能な態様で行われる、情報表示システム。
【0018】
[適用例4]地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報を記憶すると共に、前記領域特定情報により特定される各前記所定領域の特徴を表す領域特徴情報を各前記所定領域にそれぞれ関連付けて記憶する情報送信サーバと通信可能であり、表示部を有する端末装置のためのコンピュータプログラムであって、
地表上の特定位置を表す特定位置情報を取得する第1の機能と、
前記領域特徴情報が記述された図形である特徴情報図形を前記表示部に表示する第2の機能と、
を前記端末装置が有するコンピュータに実現させ、
前記第2の機能は、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域と前記特定位置との位置関係が認識可能な態様で、複数の前記特徴情報図形を表示する、コンピュータプログラム。
【0019】
上記適用例2に係る情報表示端末、適用例3に係る情報表示方法、適用例4に係るコンピュータプログラムは、それぞれ、適用例1に係る情報表示システムと同様の作用効果を得ることができる。また、上記適用例2に係る情報表示端末、適用例3に係る情報表示方法、適用例4に係るコンピュータプログラムは、それぞれ、適用例1に係る情報表示システムと同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0020】
さらに、本発明は、上記適用例4に係るコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例としての地図表示システムの概略構成を示す説明図。
【図2】サーバシステムに格納されたデータベースの内容を説明する図。
【図3】案内経路の一例を示す概念図。
【図4】経路案内実行時に表示パネルに表示される画面の一例を示す概念図。
【図5】情報表示処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図6】情報提供サーバの制御部104に対して送信される特徴情報ファイルの一例を概念的に示す図。
【図7】経路案内時に情報図形が表示された情報表示部の一例を示す図。
【図8】地図閲覧モード時に表示パネルに表示される画面の一例を示す概念図。
【図9】地図閲覧モード時に情報図形が表示された情報表示部の一例を示す図。
【図10】鉄道を案内経路とする場合に情報図形が表示される矩形領域について説明する図。
【図11】図10に現在位置表示で示す位置が携帯端末の現在位置である場合における情報表示部を示す図。
【図12】利用者の移動方向に応じて情報図形が表示される矩形領域が変動する様子を説明する第1の図。
【図13】利用者の移動方向に応じて情報図形が表示される矩形領域MSが変動する様子を説明する第2の図。
【図14】地表上に設定される所定領域の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、実施例に基づき説明する。
【0023】
A.実施例:
・地図表示システムの構成:
図1は、実施例としての地図表示システム10の概略構成を示す説明図である。図示するように、実施例の地図表示システム10は、情報提供サーバ100と、地図サーバ150と、基地局BSと、携帯端末200とを含んでいる。情報提供サーバ100と、地図サーバ150と、基地局BSは、インターネットINTを介して通信可能に接続されている。携帯端末200は、基地局BSと無線通信することが可能であり、この結果、携帯端末200は、基地局BSを介して、情報提供サーバ100および地図サーバ150と通信を行うことができる。
【0024】
本実施例の携帯端末200は、地図表示端末として機能することができる。また、携帯端末200は、GPS受信機201を備えており、これと地図表示機能とを用いて経路案内を行う機能を備えている。
【0025】
携帯端末200は、GPS受信機201と、表示パネル202と、音声出力部204と、キー入力部205と、無線通信回路206と、通話制御部207と、外部記憶装置208と、主制御部210と、を備えている。
【0026】
GPS受信機201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信する装置である。
【0027】
表示パネル202は、液晶ディスプレイとこれを駆動する駆動回路とを備えている。液晶ディスプレイは、たとえば、480画素×640画素(VGA)の解像度を有する。表示パネル202には、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイなど、種々の表示装置を採用することが可能である。
【0028】
音声出力部204は、経路案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路などから構成される。
【0029】
キー入力部205は、方向入力キー205aや、その他の操作キー205bなどのキー群から構成される。携帯端末200の利用者は、これらのキーを用いることで、各種の操作を行うことができる。
【0030】
無線通信回路206は、基地局BSとの間でデータ通信もしくは音声通信を行うための回路である。無線通信回路206は、基地局BSを介して、情報提供サーバ100や地図サーバ150にアクセスを行うことができる。
【0031】
通話制御部207は、音声通話のための着信や呼出、音声信号と電気信号の変換などを行う回路である。通話制御部207と無線通信回路206とを備えることにより、携帯端末200は、携帯電話として動作することができる。
【0032】
外部記憶装置208は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成され得る。外部記憶装置208には、各種ソフトウエアやデータの格納に用いられる。
【0033】
携帯端末200の主制御部210は、携帯端末200の上述した各部201〜208を制御するためのコントローラである。主制御部210は、図示しない中央演算回路(CPU)と、ROMやRAMなどの内部記憶装置を含んでいる。
【0034】
携帯端末200が地図表示端末として機能するとき、主制御部210の内部記憶装置には、地図表示のためのプログラムが格納されている。このプログラムは、例えば、地図サーバ150や情報提供サーバ100を運用する事業者によりインターネットINTおよび基地局BSを介して配信されても良い。このプログラムは、使用しないときは、外部記憶装置208に格納され、使用時に、外部記憶装置208から読み出されて、主制御部210の内部記憶装置に格納される。主制御部210は、このプログラムを実行することで、後述する様々な処理/機能を実現する。
【0035】
情報提供サーバ100は、通信部102と、制御部104と、記憶部105とを備えている。制御部104は、情報提供サーバ100の上述した通信部102および記憶部105を制御するためのコントローラである。通信部102は、インターネットINTを介して地図サーバ150と、インターネットINTと基地局BSを介して携帯端末200と、それぞれ通信を行うことができる。記憶部105には、経路データベース(DB)106と、施設データベース107と、領域データベース108とが格納されている。各データベース106〜108については後述する。
【0036】
地図サーバ150は、通信部152と、制御部154と、記憶部155とを備えている。記憶部155には、地図データベース156が格納されている。制御部154は、地図サーバ150の上述した通信部152および記憶部155を制御するためのコントローラである。通信部152は、インターネットINTを介して情報提供サーバ100と、インターネットINTと基地局BSを介して携帯端末200と、それぞれ通信を行うことができる。地図データベース156については後述する。
【0037】
情報提供サーバ100の制御部104および地図サーバ150の制御部154は、それぞれ、図示しないCPUと、ROMやRAMなどの内部記憶装置を含んでいる。制御部104および制御部154の内部記憶装置には、携帯端末200と通信し、携帯端末200の地図表示端末としての機能を支援するためのプログラムが格納されている。制御部104および記憶部105は、これらのプログラムを実行することにより、後述する様々な処理/機能を実現する。
【0038】
本実施例における情報提供サーバ100と地図サーバ150とから成るサーバシステム1000と、携帯端末200とを含む地図表示システム10が、請求項における情報表示システムに対応する。本実施例では、地図サーバ150と情報提供サーバ100とは、インターネットを介して接続されるものとしたが、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して接続されるものとしてもよい。また、情報提供サーバ100と地図サーバ150は、一つのサーバ計算機によって構成されることも可能である。
【0039】
図2は、サーバシステム1000に格納されたデータベースの内容を説明する図である。図2には、上述した地図データベース156と、経路データベース106と、施設データベース107と、領域データベース108とが、それぞれ、概念的に示されている。
【0040】
地図データベース156には、携帯端末200に送信する地図画像を表すデータ(地図画像データ)がベクトルデータ形式で格納されている。なお、地図画像データは、ベクトルデータ形式に代えて、ビットマップ形式やJPEGデータ形式などのラスタデータ形式で格納されていても良い。この地図画像データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。
【0041】
経路データベース106には、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する交通経路を表すネットワークデータと、経路属性情報Z1が格納されている。ネットワークデータは、交通経路における要素点(ノード)NDを表すノード情報と、ノード間を結ぶ線分(リンク)LKを表すリンクデータとを含む。ノードNDは、例えば、交差点、分岐点、駅などを表している。リンクLKは、例えば、道路、電車などの線路などの交通経路を表している。経路属性情報Z1は、ノードNDあるいはリンクLKに関連付けられている。経路属性情報Z1は、例えば、関連付けられたリンクLKが表す道路の名称、関連付けられたノードNDが表す交差点の名称を含む。
【0042】
施設データベース107は、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する施設の位置を表す施設ポイントBPと、施設ポイントBPに関連付けられた施設属性情報Z2を含む。施設属性情報Z2は、例えば、関連付けられた施設ポイントBPが表す位置に存在する施設の名称を含む。また、施設属性情報Z2には、さらに、サブ施設属性情報Z21が関連付けられても良い。サブ施設属性情報Z21は、例えば、対応する施設の分類情報、種類、特徴などが記述される。
【0043】
領域データベース108は、地図画像データが表す地図画像に対応した領域上に設定された複数の所定領域(設定領域)を特定する設定領域特定情報と、複数の設定領域にそれぞれ関連付けられた領域属性情報Z3を含む。領域属性情報Z3は、設定領域の特徴を表す特徴情報である。領域属性情報Z3は、例えば、関連付けられている設定領域における特定種類の施設の密集の程度を表す情報、特定種類の施設の存在の有無、設定領域の客観的な評価、口コミによる評価を含む。具体的には、ガソリンスタンドの多さ、公衆トイレの多さ、駐車場の有無、あるいは、観光対象、散策対象、ドライブコースとして評価などが挙げられる。図2に示す例では、設定領域として、地図画像領域をメッシュ状に分割した正方形の矩形領域MSが設定されている。そして、ハッチングで示した図2の右上端の矩形領域MSには、領域属性情報Z3およびサブ領域属性情報Z31〜Z33として、それぞれ「イタリアンの店が多い」「おいしい」「ピザ」「パスタ」という特徴情報が関連付けられている。
【0044】
・地図表示システムの動作:
地図表示システム10は、携帯端末200の利用者に対して、経路案内サービスを提供する。経路案内サービスの利用者は、携帯端末200を操作して、案内開始地と、目的地とを設定する。利用者は、さらに、案内開始地から目的地に向かう途中で経由する経由地を設定しても良い。案内開始地は、GPS受信機201により測位された現在位置であっても良い。携帯端末200は、案内開始地、目的地、必要な場合には経由地をそれぞれ特定する座標情報(緯度および経度)を、情報提供サーバ100に送信する。情報提供サーバ100は、受信した座標情報に基づいて、経路データベース106を照合・検索し、案内経路を決定し、案内経路を表す案内経路情報を生成する。案内経路情報は、例えば、複数の地点の座標情報を、順番を特定可能に記述した情報である。複数の地点を、順番に従って線分で繋いだ線が案内経路を表す。情報提供サーバ100は、生成された経路情報を携帯端末200に送信する。携帯端末200は、経路情報に基づき必要な範囲の地図画像データを地図サーバ150に要求して取得し、地図画像データと経路情報とを用いて経路案内を実行する。
【0045】
図3は、案内経路の一例を示す概念図である。図3に示す例では、左下端近傍から右上端近傍へ向かう案内経路RTが設定されている。図3に示す案内経路RTは、領域データベース108において設定されている矩形領域MSのうち、ハッチングを付した領域を、ハッチングと共に付した番号順に通過する。
【0046】
図4は、経路案内実行時に表示パネルに表示される画面の一例を示す概念図である。本実施例において、経路案内実行時における表示パネル202には、地図画像表示部MWと、情報表示部IWとが表示される。地図画像表示部MWには、地図画像が表示される。地図画像において、案内経路RTが他の経路(道路など)とは区別できる態様で、例えば、他の道路と異なる色で表示される。また、地図画像表示部MWには、利用者の現在位置を表す現在位置表示PP1が、GPS受信機201を用いて所定間隔ごとに測位される現在位置情報に基づいて、重畳表示される。情報表示部IWに表示される内容については後述する。
【0047】
・情報表示処理:
本実施例では、経路案内の実行と並行して、経路案内の進行に応じて、情報表示部IWに情報を表示する情報表示処理が実行される。
【0048】
図5は、情報表示処理の処理ステップを示すフローチャートである。情報表示処理が開始されると、携帯端末200の主制御部210は、GPS受信機201を用いて、現在位置を表す現在位置情報を取得する(ステップS110)。ここで、取得される現在位置情報は、並行して行われる経路案内の処理と共用されても良い。
【0049】
現在位置情報が取得されると、携帯端末200の主制御部210は、現在位置情報を、サーバシステム1000の情報提供サーバ100に送信する(ステップS120)。サーバシステム1000において、情報提供サーバ100が現在位置情報を受信する(ステップS210)と、情報提供サーバ100の制御部104は、現在位置情報に基づいて、携帯端末200に対して特徴情報を提供すべき矩形領域MSを決定する(ステップS220)。
【0050】
ここで、領域データベース108に設定されている複数の矩形領域MSのうち、案内経路RTが通る領域を経路上領域と呼ぶ。例えば、図3において、ハッチングと番号が付された矩形領域MSが経路上領域である。
【0051】
制御部104は、経路上領域のうちの現在領域と、所定数の前方領域と、所定数の後方領域を、携帯端末200に対して特徴情報を提供すべき矩形領域MSに決定する。現在領域は、現在位置情報により特定される現在位置を含む領域である。所定数の前方領域は、現在領域の前方(目的地側)に向かって案内経路RTを辿った場合に通る領域であって、通る順番が1番目から所定数番目までの領域である。所定数の後方領域は、現在領域の後方(案内開始地側)に向かって案内経路RTを辿った場合に通る領域であって、通る順番が1番目から所定数番目までの領域である。本実施例において、前方領域の所定数は、3であり、後方領域の所定数は、2である。例えば、図3における5番の経路上領域が現在領域である場合には、特徴情報を提供すべき矩形領域MSとして決定される前方領域は6番、7番、8番の3つの経路上領域であり、特徴情報を提供すべき矩形領域MSとして決定される後方領域は4番、3番の2つの経路上領域である。すなわち、図3における5番の経路上領域が現在領域である場合には、特徴情報を提供すべき矩形領域MSに決定されるのは、図3における3番〜8番までの6つの経路上領域である。
【0052】
次に、制御部104は、領域データベース108から、ステップS220において決定された矩形領域MSの特徴情報として、決定された各矩形領域MSに関連付けられた領域属性情報Z3およびサブ領域属性情報を取得する(ステップS230)。
【0053】
これらの属性情報を取得すると、制御部104は、取得された矩形領域MSの属性情報を、特徴情報として携帯端末200に対して送信する(ステップS240)。これらの特徴情報(属性情報)は、当該特徴情報が関連付けられた矩形領域MSと現在位置との前後関係が認識可能な態様で、送信される。
【0054】
図6は、情報提供サーバ100の制御部104から携帯端末200に対して送信される特徴情報ファイル50の一例を概念的に示す図である。図6に示す特徴情報ファイル50では、−2〜+3までの番号に、特徴情報としての属性情報が関連付けられている。番号0の属性情報は、現在領域についての情報である。マイナスの番号の属性情報は、後方領域についての情報であり、プラスの番号の属性情報は前方領域についての情報である。
【0055】
携帯端末200において、特徴情報ファイル50が受信される(ステップS130)と、携帯端末200の主制御部210は、受信された特徴情報ファイル50に含まれる特徴情報(属性情報)が記述された情報図形を表示する。情報図形は、図2に示す情報表示部IWに表示される。
【0056】
図7は、経路案内時に情報図形が表示された情報表示部IWの一例を示す図である。情報表示部IWには、複数の長方形の主情報図形MI1〜MI6が表示されている。これらのうち、主情報図形MI3には、現在領域の特徴情報が記述されている。主情報図形MI1およびMI2には、それぞれ、2つ後方および1つ後方の後方領域の特徴情報が記述されている。主情報図形MI4〜MI6には、それぞれ、1つ前方、2つ前方、3つ前方の前方領域の特徴情報が記述されている。
【0057】
現在領域の特徴情報を示す主情報図形MI3は、他の主情報図形より大きく表示される。また、現在領域の特徴情報を示す主情報図形MI3には、現在位置表示PP2が重畳される。そして、前方領域の特徴情報を示す主情報図形MI1、MI2は、現在領域の特徴情報を示す主情報図形MI3の下方に、現在領域に近い領域の情報図形ほど主情報図形MI3の近くに表示される。後方領域の特徴情報を示す主情報図形MI3〜MI6は、現在領域の特徴情報を示す主情報図形MI3の上方に、現在領域に近い領域の情報図形ほど主情報図形MI3の近くに表示される。この結果、利用者は、各主情報図形MI1〜MI6に記述された特徴情報が対応する地域(具体的には矩形領域MS)と現在位置との案内経路RT上における前後関係が容易に認識可能である。
【0058】
さらに、現在領域の特徴情報を示す主情報図形MI3の周囲には、現在領域の他の特徴情報、すなわち、上述したサブ領域属性情報に対応する特徴情報を記述したサブ情報図形MI31〜MI33が表示される。本実施例では、サブ情報図形MI31〜MI33は菱形である。
【0059】
さらに、現在領域の特徴情報を示す主情報図形MI3は、利用者からの検索処理の実行指示を受け付けるためのユーザインタフェースSBが含まれている。利用者が、ユーザインタフェースSBを操作して検索処理を指示すると、主情報図形MI3に示されている特徴情報に関連する検索処理が実行される。図7に示す例では、主情報図形MI3に示されている特徴情報は、「イタリア料理店の多い地域です」となっているので、例えば、検索処理の指示が受け付けられると、現在位置が含まれる矩形領域MSに存在するイタリア料理店の検索結果として、イタリア料理店の一覧表が情報表示部IWに表示される。具体的には、携帯端末200の制御部210は、検索処理の指示を受け付けると、情報提供サーバ100にその検索指示を送信する。情報提供サーバ100の制御部104は、その検索指示に応じて、施設データベース107を検索することにより、現在位置が含まれる矩形領域MSに存在するイタリア料理店の情報を抽出し、抽出された情報を携帯端末200に対して返信する。返信された情報を、携帯端末200の主制御部210が情報表示部IWに表示することにより、例えば、イタリア料理店の一覧表が表示される。
【0060】
図5に戻って説明を続ける。情報図形が表示されると、携帯端末200の主制御部210は、一定時間が経過したか否かを判断する(ステップS150)。主制御部210は、一定時間が経過していない場合には(ステップS150:NO)、一定時間の経過を待つ。主制御部210は、一定時間が経過すると、ステップS110に戻って上述した処理を繰り返す。
【0061】
この結果、情報表示部IWに表示される情報図形の内容は、利用者(携帯端末200)の現在位置の移動に応じて、すなわち、携帯端末200のGPS受信機201による位置測位結果に応じて、更新される。例えば、図7における状態から利用者の現在位置が主情報図形MI4に対応する矩形領域MSの内部に移動すると、図7の主情報図形MI4の内容が、図7の主情報図形MI3の位置および態様で表示され、主情報図形MI4に対応する矩形領域MSにサブ領域属性情報があれば、サブ情報図形として表示される。すなわち、利用者が案内経路RTに沿って移動していくと、情報表示部IWに表示される情報図形の内容は、図7における矢印の方向にスクロールするイメージで更新され、現在位置に対応する情報図形が大きくなり、詳しい特徴情報が示されることになる。
【0062】
以上説明した実施例によれば、案内経路RTが通る経路上領域の特徴を表す情報が、現在位置との経路上における前後関係が認識できる態様で表示されるので、利用者は地図画像とは無関係に容易に、案内経路が通る領域について情報を得ることができる。この結果、例えば、寄り道をする場所や、休憩する場所を探すための負担が軽減できる。また、利用者に対して、より付加価値の高い経路案内サービスを提供することができる。
【0063】
B.変形例:
・第1変形例:
上記実施例では、経路案内処理の最中に、情報表示処理が行われるが、これに限られない。情報表示処理は、経路案内とは無関係に行われても良い。また、上記実施例では、現在位置との経路上の前後関係が認識できるように情報図形を情報表示部IWに表示しているが、現在位置に限らず、地表上の特定位置との位置関係が認識できるように情報図形が表示されればよい。これらの一例を第1変形例として、図8および図9を参照して、説明する。
【0064】
図8は、地図閲覧モード時に表示パネルに表示される画面の一例を示す概念図である。本変形例における地図閲覧モードにおいて、地図画像表示部MWには、表示パネル202の上下方向を地図の南北方向に、表示パネル202の左右方向を地図の東西方向にして、地図画像が表示される。最初に表示される地図画像において、中心マークCMに対応する地図画像の中心位置は、ユーザによる住所入力、電話番号入力により定められても良いし、GPS受信機201を用いて測位された現在位置を中心位置としても良い。
【0065】
地図閲覧モードでは、利用者による方向入力キー205aの操作に応じて、図8においてハッチングした矢印で示すように、地図画像表示部MWに表示される地図画像が、東西南北方向にスクロールする。スクロールに応じて、中心マークCMに対応する地図画像の中心位置は移動することになる。
【0066】
図9は、地図閲覧モード時に情報図形が表示された情報表示部IWの一例を示す図である。情報表示部IWには、複数の長方形の情報図形MI1〜MI9が表示されている。これらのうち、情報図形MI3には、中心マークCMに対応する中心位置が存在する矩形領域MSの特徴情報が記述されている。情報図形MI1およびMI2には、それぞれ、中心位置が存在する矩形領域MSの2つ南方および1つ南方の矩形領域MSの特徴情報が記述されている。情報図形MI4〜MI5には、それぞれ、中心位置が存在する矩形領域MSの1つ北方および2つ北方の矩形領域MSの特徴情報が記述されている。情報図形MI6およびMI7には、それぞれ、中心位置が存在する矩形領域MSの2つ西方および1つ西方の矩形領域MSの特徴情報が記述されている。情報図形MI8〜MI9には、それぞれ、中心位置が存在する矩形領域MSの1つ東方および2つ東方の矩形領域MSの特徴情報が記述されている。
【0067】
中心マークCMに対応する中心位置が存在する矩形領域MSの特徴情報を示す情報図形MI3は、他の情報図形より大きく表示される。また、情報図形MI3には、中心マークCMが重畳される。そして、中心位置が存在する矩形領域MSより南方の矩形領域MSの特徴情報を示す情報図形MI1、MI2は、中心位置が存在する矩形領域MSの特徴情報を示す情報図形MI3の下方に、中心位置が存在する矩形領域MSに近い領域の情報図形ほど情報図形MI3の近くに表示される。中心位置が存在する矩形領域MSより北方、西方、東方の矩形領域MSの特徴情報を示す情報図形は、それぞれ、中心位置が存在する矩形領域MSの上方、左方、右方に同様に表示される。この結果、利用者は、各情報図形MI1〜MI9に記述された特徴情報が対応する地域と、地図画像の中心位置との東西南北の位置関係が容易に認識可能である。
【0068】
さらに、中心位置が存在する矩形領域MSの特徴情報を示す情報図形MI3には、利用者からの検索処理の実行指示を受け付けるためのユーザインタフェースSBが含まれている。利用者が、ユーザインタフェースSBを操作して検索処理を指示すると、上記実施例と同様に、情報図形MI3に示されている特徴情報に関連する検索処理が実行される。
【0069】
また、情報表示部IWに表示される情報図形の内容は、利用者による方向入力キー205aの操作に応じて移動する地図画像の中心位置の移動に応じて、更新される。例えば、図9における状態から利用者が上方キーを操作することにより、地図画像の中心位置が情報図形MI4に対応する矩形領域MSの内部に移動すると、図9の情報図形MI4の内容が、図9の情報図形MI3の位置および態様で表示される。すなわち、利用者が地図画像をスクロールさせると、情報表示部IWに表示される情報図形の内容は、図9における矢印の方向にスクロールするイメージで更新され、地図画像の中心位置に対応する情報図形が大きく表示される。
【0070】
以上説明した第1変形例によれば、地図閲覧モードにおいて、表示されている地図画像の中心位置との位置関係が認識できる態様で、中心位置の周囲の領域の特徴を表す情報が表示される。この結果、利用者は、地図を見たい領域が表示されるように、容易に地図画像をスクロールできる。この結果、利用者は容易に、当初表示されていた地図画像の周囲の領域について情報を得ることができる。したがって、地図閲覧の利便性が向上する。また、特徴情報に基づいて、施設等の検索処理が行えるので、所望の施設を探すための負担が軽減できる。これにより、利用者に対して、より付加価値の高い地図閲覧サービスを提供することができる。
【0071】
・第2変形例:
情報表示部IWに情報図形が表示される矩形領域MSは、利用者による到達の可能性を考慮して決定されても良い。この結果、利用者による到達の可能性がより高い領域の特徴情報が、情報表示部IWに表示される。この一例を第2変形例として、図10および図11を参照して、説明する。
【0072】
図10は、鉄道を案内経路とする場合に情報図形が表示される矩形領域について説明する図である。第2変形例では、鉄道を利用する経路を経路案内する場合における情報表示部IWの表示について説明する。図10に示す例では、案内経路RTに示すように、駅A、B、C、D、E、Fを順次に通る経路を案内する経路案内が実行されている。図10における携帯端末200(利用者)の現在位置は、図10において現在位置表示PPで示すように、駅Bと駅Cとの間の線路上である。
【0073】
このような状況で利用者は、通常、駅以外の位置で電車を降りることはできない。したがって、食堂、観光などの施設で利用者が到達する可能性が高いのは、駅の周辺に存在する施設である。一方、駅から遠い場所に存在する施設は、たとえ線路沿いであっても利用者が到達する可能性は低いと考えられる。
【0074】
このため、第2変形例では、矩形領域MSは、駅を中心とした矩形状に設定されている。図10には、駅A〜Fを中心とした矩形領域MSが、それぞれ、符号MSA〜MSFで示されている。
【0075】
図11は、図10に現在位置表示PPで示す位置が携帯端末200(利用者)の現在位置である場合における情報表示部IWを示す図である。情報表示部IWには、次の停車駅である駅Cを中心とする矩形領域MSCの特徴情報が記述された情報図形MICが、情報表示部IWの中心近傍に、他の情報図形より大きく表示されている。
【0076】
そして、既に通過した駅A、Bを中心とする矩形領域MSA、MSBの特徴情報が記述された情報図形MIA、MIBが、情報図形MICの下方に、下側から対応する駅を通過した順番に表示されている。駅Cに続いて停車する駅D、E、Fを中心とする矩形領域MSD、MSE、MSFの特徴情報が記述された情報図形MID、MIE、MIFが、情報図形MICの情報に、下側から対応する駅に停車する順番に表示されている。
【0077】
つまり、利用者の移動手段が鉄道であることを考慮し、経路案内中に途中下車してアクセスが容易な領域に関する情報が、情報表示部IWに、現在位置との位置関係が認識可能な態様で表示される。したがって、利用者は地図画像とは無関係に容易に、案内経路中にアクセスが比較的容易な領域について情報を得ることができる。この結果、例えば、途中下車して食事をする場所や、休憩する場所を探すための利用者の負担が軽減できる。また、利用者に対して、より付加価値の高い経路案内サービスを提供することができる。
【0078】
なお、利用者が定期を持っている区間を予め経路探索サーバ100に登録しておいても良い。この場合には、定期を利用できる区間では途中下車が自由であるので、当該定期区間内の駅周辺は、当該定期区間外の駅周辺より、利用者にとって到達する可能性が高いと考えられる。この場合には、例えば、定期区間内の駅周辺については駅構内および駅構外を含む領域の特徴情報を表示し、定期区間外の駅周辺については駅構内の特徴情報を表示しても良い。
【0079】
また、本変形例のように、特定地点の周辺領域について特徴情報を表示する例は、鉄道を用いた移動区間の案内には限られない。例えば、同様な特徴情報の表示を、高速道路の案内に用いても良い。高速道路では、利用者は、通常、インタチェンジ以外の場所では高速道路から降りることはできない。したがって、高速道路の移動の途中で立ち寄れる可能性の高い場所は、インタチェンジ周辺の領域と、サービスエリア等の休憩場所である。この場合には、例えば、インタチェンジ周辺の領域の特徴情報と、サービスエリア等の休憩場所の特徴情報については駅構内および駅構外を含む領域の特徴情報を表示し、定期区間外の駅周辺については駅構内の特徴情報を表示しても良い。
【0080】
・第3変形例:
利用者による到達の可能性を考慮して、情報図形が表示される矩形領域MSが決定される他の例として、利用者の移動方向に応じて情報図形が表示される矩形領域MSが決定される場合を、第3変形例として、図12および図13を参照して説明する。
【0081】
図12は、利用者の移動方向に応じて、情報図形が表示される矩形領域MSが変動する様子を説明する第1の図である。図13は、利用者の移動方向に応じて、情報図形が表示される矩形領域MSが変動する様子を説明する第2の図である。図12において、携帯端末200(利用者)は黒丸が示す位置に存在するとする。利用者が図12における黒丸の位置に存在し、利用者の移動方向が図12における方向D1である場合における情報表示部IWの表示内容が、図13(A)に示されている。利用者が図12における黒丸の位置に存在し、利用者の移動方向が図12における方向D2である場合における情報表示部IWの表示内容が、図13(B)に示されている。利用者が図12における黒丸の位置に存在し、利用者の移動方向が図12における方向D3である場合における情報表示部IWの表示内容が、図13(C)に示されている。
【0082】
利用者が所定の移動方向に移動している場合、その移動方向にある領域に到達する可能性が高いと考えられる。利用者が存在する位置を含む矩形領域CTの特徴情報が記述された情報図形は、図13(A)(B)(C)のいずれにも表示される。そして、利用者の移動方向が方向D1である場合には、利用者が存在する矩形領域CTから見て方向D1に存在する矩形領域MS1〜MS4(図12:実線のシングルハッチングが付された領域)の特徴情報が記述された情報図形が情報表示部IWに表示される(図13(A))。利用者の移動方向が方向D2である場合には、利用者が存在する矩形領域CTから見て方向D2に存在する矩形領域MSA〜MSD(図12:破線のシングルハッチングが付された領域)の特徴情報が記述された情報図形が情報表示部IWに表示される(図13(B))。利用者の移動方向が方向D3である場合には、利用者が存在する矩形領域CTから見て方向D3に存在する矩形領域MSa〜MSd(図12:実線のクロスハッチングが付された領域)の特徴情報が記述された情報図形が情報表示部IWに表示される(図13(C))。
【0083】
利用者の移動方向は、GPS受信機201を用いた現在位置の測位を複数回行い、その測位結果に基づいて判断される。あるいは、携帯端末200にジャイロセンサを設け、ジャイロセンサによって移動方向を測定しても良い。利用者が、方向D1方向に向かって移動している状態から方向転換して方向D2に向かって移動を始めると、情報表示部IWの内容は、図13(A)に示す状態から図13(B)に示す状態に切り替わる。
【0084】
以上説明した第3変形例によれば、利用者が移動している方向に存在する領域の特徴情報が利用者に提示されるので、利用者は、自分が移動している方向に移動を継続すれば到達する領域の情報が容易に得られる。この結果、例えば、移動中に食事をする場所や、休憩する場所を探すための利用者の負担が軽減できる。また、利用者に対して、より付加価値の高い地図閲覧サービスを提供することができる。
【0085】
・第4変形例:
上記実施例では、メッシュ状に分割された正方形の矩形領域MSが地表上に設定されているが、地表上の座標空間(緯度および経度)に設定される所定領域の設定態様や形状は、これに限られない。他の形状の例を、図14を参照して、説明する。
【0086】
図14は、地表上に設定される所定領域の他の例を示す図である。図14における所定領域MS1およびMS2は、道路などの交通経路に沿って、所定の巾で設定された帯状形状を有している。このような形状に所定領域を設定すれば、所定領域が設定された交通経路を移動している利用者にとって有意義な特徴情報を、利用者に提供することができる。
【0087】
図14における所定領域MS3〜MS5は、任意の形状に設定されている。このような任意形状の所定領域は、多数の要素点と要素点間を結ぶ線分による多角形であるクローズドポリゴンデータとして記録される。また、このような所定領域は、地図画像に対応する地表を全て覆う必要はなく、所定領域が設定されていない部分があっても良い。このような所定領域が未設定の領域については、特徴情報が得られないだけである。また、任意形状の所定領域は、図14においてクロスハッチングで示すように、複数の所定領域が重なっている部分があっても良い。このような所定領域が重なり合った領域については複数の特徴情報が得られる。
【0088】
まあ、矩形領域は、正方形である必要はなく、図14における所定領域MS6、MS7のように、長方形であっても良い。
【0089】
・その他の変形例:
携帯端末200において、移動手段情報を受け付けても良い。例えば、携帯端末200の表示パネル202に、GUI(Graphical User Interface)を表示することにより、利用者の移動手段の入力を、利用者から受け付ける。利用者の移動手段は、例えば、車、電車、徒歩、自転車などが考えられる。このようにして得られた利用者の移動手段により、利用者の到達可能性のある領域を判断し、到達可能性の高い領域についての特徴情報を利用者に提供することとしても良い。また、利用者の移動手段により矩形領域MSの大きさを変更しても良い。具体的には、徒歩や自転車のように比較的移動速度が遅い移動手段である場合には、矩形領域MSの大きさを小さく設定し、車のように比較的移動速度が速い移動手段である場合には、矩形領域MSの大きさを大きく設定しても良い。
【0090】
上記実施例では、経路案内の途中に、随時に、サーバシステム1000において、特徴情報を表示すべき矩形領域MSを決定して、決定された矩形領域MSについての特徴情報を随時に携帯端末200に送信しているが、これに限られない。例えば、経路案内の開始時に、サーバシステム1000において全ての経路上領域を決定して、全ての経路上領域についての特徴情報を記述した情報ファイルを作成して、経路案内の開始時に作成した情報ファイルを携帯端末200に送信しても良い。例えば、経路案内の開始時に経路情報を携帯端末200に送ると同時に、上述した情報ファイルを携帯端末200に送信しても良い。
【0091】
上記実施例は、サーバシステム1000と携帯端末200が分離した携帯型の経路案内システム10であるが、本発明は経路データベース106、施設データベース107、領域データベース108となどのサーバシステム1000が有する構成と、表示パネル202、キー入力部205などの携帯端末200が有する構成とが一体になった経路案内システム、例えば、車載型のナビゲーション装置にも適用可能である。
【0092】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
【0093】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【符号の説明】
【0094】
10…地図表示システム
50…特徴情報ファイル
100…情報提供サーバ
102…通信部
104…制御部
105…記憶部
106…経路データベース
107…施設データベース
108…領域データベース
150…地図サーバ
152…通信部
154…制御部
155…記憶部
156…地図データベース
200…携帯端末
201…GPS受信機
202…表示パネル
204…音声出力部
205…キー入力部
205a…方向入力キー
205b…操作キー
206…無線通信回路
207…通話制御部
208…外部記憶装置
210…主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に情報を表示する情報表示システムであって、
地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報を記憶する領域特定情報記憶手段と、
前記領域特定情報により特定される各前記所定領域の特徴を表す領域特徴情報を各前記所定領域にそれぞれ関連付けて記憶する領域特徴情報記憶手段と、
地表上の特定位置を表す特定位置情報を取得する特定位置取得手段と、
前記領域特徴情報が記述された図形である特徴情報図形を前記表示部に表示する特徴情報図形表示手段と、
を備え、
前記特徴情報図形表示手段は、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域と前記特定位置との位置関係が認識可能な態様で、複数の前記特徴情報図形を表示する、情報表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示システムは、さらに、
前記地表上の経路を案内する経路案内手段を備え、
前記特徴情報図形表示手段は、前記所定領域のうちの前記経路が通る領域である複数の経路上領域に関連付けられた前記領域特徴情報が、それぞれ記述された複数の前記特徴情報図形を表示する、情報表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報表示システムにおいて、
前記特徴情報図形表示手段は、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた複数の前記経路上領域の前記経路における前後関係が認識可能な態様で、複数の前記特徴情報図形を表示する、情報表示システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれに記載の情報表示システムにおいて、
前記特徴情報図形は、前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報に関連する処理の実行指示を受け付けるためのユーザインタフェースを含む、情報表示システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の情報表示システムにおいて、
前記特徴情報図形表示手段は、前記特定位置の移動に応じて、前記特徴情報図形の表示を更新する、情報表示システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報表示システムにおいて、
前記特定位置は、利用者の操作に応じて移動する、情報表示システム。
【請求項7】
請求項5に記載の情報表示システムにおいて、
前記特定位置は、全地球測位システムを用いた位置測位結果に応じて移動する、情報表示システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7に記載の情報表示システムにおいて、
前記特定位置は、利用者の現在位置であり、
前記特徴情報図形表示手段は、さらに、前記現在位置から、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域へ、利用者が到達する可能性を考慮して、複数の前記特徴情報図形を表示する、情報表示システム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報表示システムにおいて、
前記利用者が到達する可能性は、利用者の移動方向を考慮して決定されている、情報表示システム。
【請求項10】
請求項8に記載の情報表示システムにおいて、
前記利用者が到達する可能性は、利用者の移動手段を考慮して決定されている、情報表示システム。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10に記載の情報表示システムは、さらに、
地図画像を表す地図画像データを取得する地図画像データ取得手段と、
前記地図画像データに基づき前記地図画像のうちの所定の表示範囲を前記表示部に表示する地図画像表示手段と、
を備え、
前記特定位置は、前記表示範囲に含まれている、情報表示システム。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11に記載の情報表示システムにおいて、
前記情報表示システムは、相互に通信可能な情報送信サーバと情報受信端末とを含み、
前記情報送信サーバは、前記領域特定情報記憶手段と領域特徴情報記憶手段とを備え、
前記情報受信端末は、前記表示部と前記特定位置取得手段と前記特徴情報図形表示手段とを備える、情報表示システム。
【請求項13】
地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報を記憶すると共に、前記領域特定情報により特定される各前記所定領域の特徴を表す領域特徴情報を各前記所定領域にそれぞれ関連付けて記憶する情報送信サーバと通信し、表示部に情報を表示する情報表示端末であって、
地表上の特定位置を表す特定位置情報を取得する特定位置取得手段と、
前記領域特徴情報が記述された図形である特徴情報図形を前記表示部に表示する特徴情報図形表示手段と、
を備え、
前記特徴情報図形表示手段は、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域と前記特定位置との位置関係が認識可能な態様で、複数の前記特徴情報図形を表示する情報表示端末。
【請求項14】
表示部に情報を表示する情報表示方法であって、
地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報を記憶し、
前記領域特定情報により特定される各前記所定領域の特徴を表す領域特徴情報を各前記所定領域にそれぞれ関連付けて記憶し、
地表上の特定位置を表す複数特定位置情報を取得し、
前記領域特徴情報が記述された図形である特徴情報図形を前記表示部に複数表示し、
複数の前記特徴情報図形を表示することは、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域と前記特定位置との位置関係が認識可能な態様で行われる、情報表示システム。
【請求項15】
地表上の複数の所定領域を特定する領域特定情報を記憶すると共に、前記領域特定情報により特定される各前記所定領域の特徴を表す領域特徴情報を各前記所定領域にそれぞれ関連付けて記憶する情報送信サーバと通信可能であり、表示部を有する端末装置のためのコンピュータプログラムであって、
地表上の特定位置を表す特定位置情報を取得する第1の機能と、
前記領域特徴情報が記述された図形である特徴情報図形を前記表示部に表示する第2の機能と、
を前記端末装置が有するコンピュータに実現させ、
前記第2の機能は、各前記特徴情報図形に記述された前記領域特徴情報が関連付けられた前記所定領域と前記特定位置との位置関係が認識可能な態様で、複数の前記特徴情報図形を表示する、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−101127(P2013−101127A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−277520(P2012−277520)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2008−5656(P2008−5656)の分割
【原出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】