説明

情報表示パネル

【課題】本発明は、金属光沢性を有した金属層で支持体を挟持する構造であり、数字、図形および文字等に十分な金属光沢性を有し、視認する際に奥行き感を感じ、優れた外観である情報表示パネルを提供することを課題とする。
【解決手段】支持体の片面に金属層が積層されたシートを、一方のシートの支持体と他方のシートの金属層を対向させて貼り合わせてなり、その両方のシートの前記金属層に、それぞれ金属層が存在しない領域を有し、前記一方のシートの前記金属層が存在しない領域と、前記他方のシートの前記金属層が存在しない領域の少なくとも一部が重なり、前記一方のシートの金属層側から観察した場合に前記他方のシートの金属層が観察されるように構成されてなる情報表示パネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属層を備える情報表示パネルに関し、特に表示部に十分な金属光沢性を有し、視認する際に奥行き感を感じ、優れた外観である情報表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のスピードメーター等の計器パネルに、金属調模様を施し、視認性に優れ、外観上もデザイン性が高い、情報表示パネルが提案されていた(特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術は、金属下地層、透明な印刷基材および金属調模様の順に構成することで、模様に立体感を持たせるというものである。すなわち、表側から文字盤を照らした光により、金属調模様層の影が金属下地層に微妙な陰影や濃淡により、模様が立体的に見えることを開示するものである。
他方、視認性、外観上のデザイン性を高めるための要素技術として、金属薄膜を用いた技術が知られている。例えば、美粧性を付与するために紙又はフィルム基材にアルミニウムを蒸着した金属蒸着膜が、包装材、カード、ポスター、シール、ラベル等に広く用いられている。金属蒸着膜は、基材に直接アルミニウムを蒸着する、いわゆるダイレクト蒸着法により主に製造されているが、最近では、接着剤を介して基材に金属蒸着膜を転写して製造する方法がある。金属蒸着膜を転写する方法を用いることで、金属光沢性を有しつつ様々な外観や模様を付与することが提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
特許文献2に開示された技術は、金属光沢性を有しつつ様々な外観や模様を付与することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4192842号公報
【特許文献2】特開2000−355072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、数字、図形および文字等の金属光沢性および奥行き感にさらに優れる情報表示パネルが望まれていた。本発明は、金属光沢性を有した金属層で支持体を挟持する構造であり、数字、図形および文字等に十分な金属光沢性を有し、視認する際に奥行き感を感じ、優れた外観である情報表示パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、支持体の片面に金属層が積層されたシートを、一方のシートの支持体と他方のシートの金属層を対向させて貼り合わせてなり、その両方のシートの前記金属層に、それぞれ金属層が存在しない領域を有し、前記一方のシートの前記金属層が存在しない領域と、前記他方のシートの前記金属層が存在しない領域の少なくとも一部が重なり、前記一方のシートの金属層側から観察した場合に前記他方のシートの金属層が観察されるように構成されてなる情報表示パネルである。
請求項1の解決手段によれば、前記一方のシート側から観察すると、その一方のシートの金属層が存在していない領域と、他方のシートの金属層が存在していない領域が重なる範囲で光が透過し、重ならない範囲で、前記他方のシートの金属層を観察することができるので、金属層間の支持体厚み分の奥行き感を持つ効果が生じる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、支持体の片面に金属層が積層されたシートを、一方のシートの支持体と他方のシートの金属層を対向させて貼り合わせてなり、前記一方のシートの金属層は、金属層が存在しない領域を有し、少なくとも前記他方のシートの金属層の表面抵抗値が1.3Ω/□〜100Ω/□の範囲である情報表示パネルである。
請求項2の解決手段によれば、少なくとも他方の金属層の表面抵抗値を1.3〜100Ω/□の範囲にすることで、光透過性を有する効果が生じ、前記一方のシート側から観察すると前記一方の金属層が存在しない領域から、前記他方のシートの金属層を観察することができるので、金属光沢性および金属層間の支持体厚み分の奥行き感を持つ効果が生じる。また、厚いシート加工ができない機械おいても加工することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、支持体の片面側に金属層が積層されたシートを、一方のシートの支持体と他方のシートの金属層を対向させて貼り合わせてなり、その両面のシートの前記金属層に、それぞれ金属層が存在しない領域を有し、前記一方のシートの金属層が存在しない領域と、前記他方のシートの前記金属層が存在しない領域は重なることがなく、近傍に存在していることを特徴とする情報表示パネルである。
請求項3の解決手段によれば、金属層が存在しない領域が重なることがないので、前記一方のシート側から観察すると、前記一方のシートの金属層が存在しない領域から、前記他方の金属層が観察することができ、金属光沢性および金属層間の支持体厚み分の奥行き感を持つ効果が生じ、また、近傍に存在していることにより光が間接的にも目視することができるので、美観性が向上する効果が生じる。また、厚いシートが加工できない機械においても加工することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記貼り合わせが、透明な接着剤によっておこなわれていることを特徴とする請求項1乃至3記載の情報表示パネルである。
請求項4の解決手段によれば、前記貼り合わせが、透明な接着剤によっておこなわれているため、透明な接着剤を通して観察しても金属層の金属光沢性が失われない効果が生じる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記一方のシートの金属層上に加飾層が積層され、前記他方のシートの支持体上に絵柄層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4記載の情報表示パネルである。
請求項5記載の解決手段によれば、加飾層が積層されているため、金属光沢性上に意匠効果を発揮することになり、美観性が向上する。加飾層はインキや樹脂等によって構成することが可能であり、エンボス模様、マット模様等が施すことも可能である。また、エンボス模様やマット模様は艶消し模様であり、金属光沢性の強度の度合いが適宜調整できる効果が生じる。また、絵柄層が遮光性を持つインキや樹脂によって構成されることで、前記絵柄層が存在しない箇所では、光を透過し、透過光を観察者が視認することが出来る。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記一方のシートの金属層上に酸化防止層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至4記載の情報表示パネルである。
請求項6記載の解決手段によれば、前記金属層上に酸化防止層があることにより、金属層が酸化されることなく金属光沢を保つことができる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記一方のシートの酸化防止層上に加飾層が積層され、前記他方のシートの支持体上に絵柄層が設けられていることを特徴とする請求項6記載の情報表示パネルである。
請求項7の解決手段によれば、加飾層が積層されているため、金属光沢性上に意匠効果を発揮することになり、美観性が向上する。加飾層はインキや樹脂等によって構成することが可能であり、エンボス模様、マット模様等が施すことも可能である。また、エンボス模様やマット模様は艶消し模様であり、金属光沢性の強度の度合いが適宜調整できる効果が生じる。また、絵柄層が遮光性を持つインキや樹脂によって構成されることで、前記絵柄層が存在しない箇所では、光を透過し、透過光を観察者が視認することが出来る。
【0013】
請求項8に記載の発明は、前記金属層の表面に、微細な凹凸が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至7記載の情報表示パネルである。
請求項8の解決手段によれば、微細な凹凸を設けることで、ヘアライン模様、エンボス模様、マット模様、又はホログラム模様等を表現でき、金属層の美観性を向上する効果が生じる。
【0014】
請求項9の発明は、前記支持体が0.1mm厚以上の支持体であることを特徴とする請求項1乃至8記載の情報表示パネルである。
請求項9の解決手段によれば、支持体の厚さを調整することで、奥行き感を調整できる効果を生じる。
【発明の効果】
【0015】
本願の発明に係る情報表示パネルによれば、数字、図形および文字等に金属光沢性および十分な奥行き感を持つ、視認性に優れ、美しい表示が可能な情報表示パネルを得ることができる。

【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例である。
【図2】本発明の一実施例である。
【図3】本発明の一実施例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して、本発明に係る情報表示パネルの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1に示すように、一方のシートとして支持体4の一方の面に金属層3と酸化防止層2と加飾層1が順に積層され、他方のシートである支持体6の一方の面に金属層5、他方の面に絵柄層7が積層されている。情報表示パネルの他方のシート側には、光源8が配置され、一方のシート側から、すなわち観察者9が目視を行なうこととなっている。
【0019】
支持体4および支持体6は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂等一般的な樹脂が利用できるが、本発明においてはポリカーボネート、ポリプロピレンまたは、発泡ポリプロピレンのいずれかが好ましい。特にポリカーボネートはエンジニアリングプラスチックスの中でも高い物性(耐衝撃性・耐熱性・難燃性等)を示す樹脂であるために屋外などの過酷な環境でも長期間使用することが出来、かつ透明性をもつために本願発明のような光学用途に好適に使用することができる。
【0020】
支持体4および支持体6の一方の面に金属層3および金属層5が積層されている。
金属層3および金属層5は、アルミニウム、亜鉛、金、銀、プラチナ、ニッケル、錫等が利用できる。なお、金属層3および金属層5は通常、金属光沢性を有しており、その金属光沢性が本願発明においても、そのまま生かされることになる。金属層3および金属層5に同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。本発明においては、アルミニウムが好ましい。アルミニウムは金属光沢性が非常に高く、美しい表示を実現することが可能になるためである。
【0021】
また、金属層3および金属層5には金属を蒸着することで形成された金属蒸着層を用いることが、薄膜を高品質で形成でき、その表面に凹凸等を設けることも行いやすいことから好ましい。形成方法としては、支持体4および支持体6に対して直接真空蒸着する方法や、転写用フィルムに真空蒸着して形成した金属蒸着層を、接着剤を塗布した支持体へ転写する転写蒸着法が利用できる。
【0022】
金属層を支持体に転写する際に使用する接着剤としては、例えばドライラミネートに用いられる各種の二液硬化型接着剤や光硬化型接着剤を挙げることができる。二液硬化型接着剤は、時間経過とともに硬化するものであり、更には、加熱により一層短時間で硬化させることができ、例えばウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤を用いることができる。また光硬化型接着剤は、電子線や紫外線などを照射して硬化するタイプのものである。例えばウレタン系樹脂接着剤やアクリル系樹脂接着剤を用いることができる。接着剤は、観察した際に、光学的な影響を受けないように、透明な接着剤が好ましい。
【0023】
本発明においては、転写蒸着法を用いて、微細な凹凸をつけた転写フィルムを利用することによって転写後の金属層3および金属層5の表面に微細な凹凸設けた。この微細な凹凸は、ヘアライン模様、エンボス模様、マット模様、又はホログラム模様等を表現することができる。
【0024】
転写フィルムに微細な凹凸を設ける方法としては、研磨剤を用いることができる。研磨剤は、砥粒と接着剤と合成繊維の三大要素から構成されている。砥粒は、酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させたものを用いることができ、粒の硬度や大きさによって、微細な凹凸を調整することができる。
微細な凹凸は、ヘアライン調やマット模様などデザイン性を持たせることができ、特にマット模様は艶消し模様であり、金属光沢性の強度の度合いが適宜調整できる。
【0025】
金属層3上に酸化防止層2を形成する。酸化防止層2は、例えば、アクリレート系共重合樹脂および所望によりその他添加剤を、水、有機溶剤等の溶媒に溶解又は分解せしめてなるインキを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の通常のコーティング方法に従い塗布し、乾燥することにより形成される。酸化防止層2の厚みは、通常0.1〜5μm程度、好ましくは0.5〜3μm程度である。
【0026】
酸化防止層2は、透明又は半透明の樹脂から構成することが好ましい。酸化防止層2を設けることにより、印刷適性を付与することができ、かつ、金属層3の酸化を防ぐことができる。
【0027】
酸化防止層2を、例えば、プライマー層、アンカー層およびインク受容層の三層構造にすることも可能である。
この場合、プライマー層は、金属層3上に積層され、金属層3と後述するアンカー層との密着性を向上させる。
アンカー層は、後述するインク受容層を通過した水分を吸収して、金属層3への水分の浸透を防止するとともに、インク受容層と金属層3との密着性を向上させ、印刷適性の改善及び金属層3とインク受容層の剥離を防止できる。
アンカー層としては、ポリエステル変性樹脂を主成分とした樹脂を用いることができ、また、アンカー層の厚みは1〜5μmである。
インク受容層は、インクのにじみが少ないものであればよく、例えばポリエステル樹脂水分散体の加工剤を用いることができる。厚みは10〜20μmである。
【0028】
よって酸化防止層2を積層することで、印刷適性を付与することも可能であり、金属層3の酸化を防ぐことができるので、金属光沢性を維持することができる。
【0029】
金属層3および酸化防止層2を所望の意匠に合わせてレーザおよびエッチング等で除去する。これにより、レーザ等で除去された領域が光透過性を有することになる。同様に金属層5をレーザ等で除去する。
レーザ加工は一般的な加工法を用いることができ、レーザの種類として、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ等を用いることができる。本発明で使用されるレーザは、金属層を加工することができ、支持体が加工される影響はない。薄膜金属を加工するのに適しているYAGレーザがより好ましい。レーザ加工は、加工の精度や仕上がり形状が他の加工法より優れている。
なお、ここで意匠とは絵柄等の装飾に関するものだけではなく、数字、文字および図形等の情報も含むものである。
【0030】
酸化防止層2を積層した場合は、酸化防止層2上に加飾層1を積層する。酸化防止層2上に酸化防止層を積層しない場合は、金属層3上に直接、加飾層1を積層する。
加飾層1および絵柄層7は、文字や図形等をスクリーン印刷によって設けることができる。特にスクリーン印刷に限定することになく、凸版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット等を用いることができる。
【0031】
加飾層1は、観察者9から直接観察され、金属光沢性や模様等の意匠効果が発揮されうるために設けられ、印刷をする際に一般的に使われるインキを使用することができる。
【0032】
絵柄層7は、光源8の光が観察者側へ透過しないように隠蔽力を高めるために設けられる。また、光源8の透過光に色をつけて意匠性を高めてもよい。隠蔽されていない箇所が、数字、図形および文字等になる。
【0033】
加飾層1の模様として、エンボス模様、マット模様等が用いられる。エンボス模様やマット模様は艶消し模様であり、金属光沢性の強度の度合いが適宜調整できる効果が生じる。
【0034】
なお、図1に示す実施形態においては、金属層3が設けられた支持体4および金属層5が設けられた支持体6を、支持体4と金属層5を対向させて接着剤を用いて接着した構造となっている。この方法に限定されることはなく、厚い支持体の両面に金属層を設ける方法でもよいが、上記のように貼り合わせる方法によれば、取り扱いが行いやすい薄い支持体の材料を用いても、厚い支持体を有する情報表示パネルを形成することが可能になる点で優れている。
その貼り合わせに用いられる接着剤は、前述する接着剤を用いることができる。また粘着剤も用いることができ、例えば両面テープである。さらに熱接着剤も用いることができ、例えばポリオレフィン系である。接着剤は、観察した際に、光学的な影響を受けないように、透明な接着剤が好ましい。
なお、この貼り合わせ工程を、さらに前工程で行うことも可能である。例えば、上述した酸化防止層形成工程の前の工程や次の工程、あるいは、レーザ加工工程の次の工程として行うことも可能である。
【0035】
図示してはいないが、加飾層1および絵柄層7上に帯電防止層を積層することもできる。
帯電防止層は、加飾層1の全面に積層され、透明又は半透明の樹脂から構成されている。これにより、汚れや傷等を防ぐことができるので、金属光沢性や光透過性を維持することができる。
帯電防止層は、導電性粉末や界面活性剤などを樹脂中に分散させてシート状に成形する方法、フィルム表面に帯電防止剤を塗布する方法、及びカルボキシル基を持つ帯電防止ポリマーを使用する方法等が採用することができる。
【0036】
なお、以下の実施例に代表的な例を示したが、情報表示パネルを視認する際に感じられる「奥行き感」は、表示に奥行きがあるように感じられることを指すもので、立体感を感じるものである。以下実施例のように、情報表示パネルを作成し、評価したところ「奥行き感」は、支持体の厚さに大きく依存することが明らかになった。そこで、支持体4の材料としてポリカーボネートを用い、厚さによって奥行き感を感じられるかをまとめたものを表1に示す。
その結果、400μm以上の厚さが好ましいことが明らかになった。表1から得た「奥行き感」を考慮したためである。表1の測定は、本発明の情報表示パネルの他方シート側に1,000cd/mのLED光源を置き、支持体4の材料のポリカーボネートの厚みを変化させて、20cmおよび1mの距離から目視を行い、奥行き感の有無を評価した。
【表1】

【実施例1】
【0037】
本発明の実施例について図1を参照して、さらに具体的に説明する。図1は本発明の情報表示パネルの実施例1を示したものである。
支持体4の一方の面に、金属層3、酸化防止層2及び加飾層1を、上述した方法で、順に積層したシートを作製する。
酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させた研磨剤に研磨によって、微細な凹凸をつけた二軸延伸ポリプロピレン製の転写用フィルムの表面に真空蒸着法によって、表面抵抗値が2.6Ω/□になるようにアルミニウム蒸着層を形成した後、この上に接着剤である二液重合型ポリウレタンを4μm程度の厚みになるように塗布した。
【0038】
ここで、アルミニウム蒸着層である金属層3の表面抵抗値が2.6Ω/□以下を採用したのは、表2から得た光透過性(遮光性)と金属光沢性のバランスを考慮したためであり、金属光沢性を重視したためである。なお、金属層3の表面抵抗値により金属光沢性と光透過性を適宜選択することができる。表2から明らかなように、金属層が厚い、すなわち表面抵抗値が高い場合には金属層を透過する光量が減少してしまう。金属層が薄すぎる、すなわち表面抵抗値が低い場合には金属層の金属光沢感が失われてしまう。そのため、金属層3の表面抵抗値は1.3Ω/□から100Ω/□が好ましい。その下限は、光透過性を考慮する場合には2.6Ω/□以上であり、その上限は、金属光沢性を重視する場合には60Ω/□、より好ましくは30Ω/□以下である。金属光沢性をさらに重視すると、7.8Ω/□以下である。
表2の測定は、本発明の情報表示パネルの他方のシート側に1,000cd/mのLED光源を置き、情報表示パネルの表面抵抗値の値を変化させて、1mの距離から観察し、金属光沢性と光透過性を評価した。アルミニウム蒸着フィルムの場合、蒸着層の厚みが大きくなると表面抵抗値が下がる。
【0039】
表面抵抗値は蒸着加工中にインラインで測定された値であり、膜厚測定に比べ測定方法が容易である。また、膜厚が非常に薄い場合でも測定することができる。
【0040】
表面抵抗値に変えて、金属層の厚さを制御する方法も考えられるが、厚さには、厚さムラもあり、適切な測定が難しいという問題を有している。そのため、表面抵抗値を制御する方法によることが好ましく、表2に示すように、光の透過性や金属光沢性と相関関係があることも確認されている。
【表2】

【0041】
上記接着剤の上に支持体4である400μmのポリカーボネート(商品名FE−2000B;三菱瓦斯化学株式会社)を重ね、全体を熱圧着して接着剤を硬化させた。
そして転写用フィルムをアルミニウム蒸着層から剥離し、接着剤を介してアルミニウム転写蒸着層である金属層3とポリカーボネートからなる支持体4が一体化したものを得た。
【0042】
ここで、支持体4の厚みを400μmとしたのは、表1から得た「奥行き感」を考慮し「奥行き感」を感じられる最も薄い厚さとしたためである。
【0043】
アルミニウム蒸着層の表面に、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層を形成した。プライマー層上に、樹脂(商品名:WAC−10、高松油脂(株)社製)を厚み約1.5μmのアンカー層を形成した。 アンカー層上に、ポリエステル樹脂(商品名:NS−141LX、高松油脂(株)社製)の水分散体を固形分厚み15μmとなるよう塗布し、インク受容層を形成して酸化防止層2を積層した。
後述する図形や文字等の部分のアルミニウム蒸着層および酸化防止層2をYAGレーザで除去した。
【0044】
酸化防止層2の上に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いてスクリーン印刷によりマット模様である加飾層1を形成した。
【0045】
よって、支持体4の一方の面に金属層3、酸化防止層2および加飾層1の順で積層したシートが作製された。
また、酸化防止層2を形成せず、支持体4の一方の面の金属層3上に加飾層1を積層したシートを作製してもよい。
【0046】
続いて支持体6の一方の面に金属層5、及び他方の面に絵柄層7を、上述した方法を用いながら、順に積層したシートを作製する。
まず、酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させた研磨剤によって、微細な凹凸をつけた二軸延伸ポリプロピレン製の転写用フィルムの表面に真空蒸着法によって、表面抵抗値が10Ω/□以下になるようにアルミニウム蒸着層を形成した後、この上に接着剤である二液重合型ポリウレタンを4μm程度の厚みになるように塗布した。
【0047】
ここで、アルミニウム蒸着層である金属層5の表面抵抗値が10Ω/□以下を採用したのは、表2から得た金属光沢性と光透過性(遮光性)を考慮したためである。
【0048】
金属層5の表面抵抗値により金属光沢性と光透過性を適宜選択することができる。たとえば金属光沢性を重視すると、表面抵抗値が10Ω/□以下が好ましい。
【0049】
この接着剤の上に支持体6である200μmのポリカーボネート(商品名FE−2000B;三菱瓦斯化学株式会社)を重ね、全体を熱圧着して接着剤を硬化させた。
そして転写用フィルムをアルミニウム蒸着層から剥離し、接着剤を介してアルミニウム転写蒸着層である金属層5とポリカーボネートからなる支持体6が一体化したものを得た。
【0050】
数字、図形および文字等の部分にアルミニウム蒸着層をYAGレーザで除去した。このときに除去した領域は、図1に示すように、金属層3および酸化防止層2を除去した領域と少なくとも一部は重なっている。
観察者9が情報表示パネルを観察すると、除去した領域が重なっている箇所から光源の光を直接観察することができる。後述する遮光されていない箇所、すなわち、絵柄層7が形成されている箇所を光が透過することになる。
支持体6の上に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いてスクリーン印刷により遮光したい箇所に絵柄層7を形成した。絵柄によって遮光されていない箇所が、数字、図形および文字等になる。
ここで、さらに図1を用いて説明すると、金属層5が除去された領域より絵柄層7の存在しない領域が大きくなっている。このように構成することで、所望の表示を実現することができる。例えば、数字、図形および文字等の部分の金属層5を除去し、その周囲に相当する部分は絵柄層7を形成しないことにより数字等の周囲に絵柄層7によって遮光されないが、金属層5を透過する一定の光量の光によって形成される表示、例えば、ぼやかしたような表示の領域を設けることができ、より多様な表示を行なうことが可能となる。
【0051】
よって、支持体6の一方の面に金属層5、他方の面に絵柄層7を積層したシートが作製された。
【0052】
このようにして得られた支持体4および支持体6を含む、それぞれのシートを、支持体4と金属層5を対向させて貼り合わせた。
貼り合わせは接着剤を使用することが出来る。接着剤は、例えばドライラミネートに用いられる各種の二液硬化型接着剤や光硬化型接着剤を挙げることができる。二液硬化型接着剤は、時間経過とともに硬化するものであり、更には、加熱により一層短時間で硬化させることができ、例えばウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤を用いることができる。また光硬化型接着剤は、電子線や紫外線などを照射して硬化するタイプのものである。例えばウレタン系樹脂接着剤やアクリル系樹脂接着剤を用いることができる。接着剤は、観察した際に、光学的な影響を受けないように、透明な接着剤が好ましい。また粘着剤も用いることができ、例えば両面テープである。さらに熱接着剤も用いることができ、例えばポリオレフィン系である。接着剤は、観察した際に、光学的な影響を受けないように、透明な接着剤が好ましい。
なお、この貼り合わせ工程を、さらに前工程で行うことも可能である。例えば、上述した酸化防止層形成工程の前の工程や次の工程、あるいは、レーザ加工工程の次の工程として行うことも可能である。
【0053】
シートの両方の全面上に、導電性粉末や界面活性剤などを樹脂中に分散させて層状に成形する方法を用いて、帯電防止層(図示せず)を設けた。
光源の点灯時に観察者9が情報表示パネルを観察すると、除去した領域が重なっている範囲から光源の光を直接観察することができるので、数字、図形および文字等の部分に光の透過性を有する。また、一方のシートの金属層3も同時に観察することができ、金属層3が存在せず、他方のシートの金属層5が存在する領域では、さらに金属層5を同時に観察できるので、支持体4の厚み分の奥行き感をもった数字、図形および文字等を観察することができた。さらに、絵柄層7が存在せず、金属層5が存在する部分は、金属層5の表面抵抗値を高くした場合には、金属層5が薄くなり、一定量の光が透過する。そのため、数字、図形または文字等の周囲にその一定量の光によって表示される部分が作り出され、美しい数字等の表示を観察することができた。そして、光源8を点灯させた場合には、光源8からの光が金属層5を透過するため、その非点灯時とは異なった表示が観察され、多様性のある美しい表示が可能となる。すなわち、非点灯時は、金属層5を透過する光は非常に少なくなるため、点灯時とはかなり異なった表示となるのである。
【0054】
このように、数字、図形および文字等の箇所から光が透過する構成になっている。また、加飾層1によって、意匠効果に優れた模様等を表示することができた。
【実施例2】
【0055】
本発明の実施例について具体的に説明する。図2は本発明の情報表示パネルの実施例2を示したものである。
支持体4の一方の面に、金属層3、酸化防止層2及び加飾層1を上述した方法で、順に積層したシートを作製する。
酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させた研磨剤によって、微細な凹凸をつけた二軸延伸ポリプロピレン製の転写用フィルムの表面に真空蒸着法によって、表面抵抗値が10Ω/□以下になるようにアルミニウム蒸着層を形成した後、この上に接着剤である二液重合型ポリウレタンを4μm程度の厚みになるように塗布した。
【0056】
ここで、アルミニウム蒸着層である金属層3の表面抵抗値が10Ω/□以下を採用したのは、実施例1と同じ理由である。
【0057】
この接着剤の上に支持体4である400μmのポリカーボネート(商品名FE−2000B;三菱瓦斯化学株式会社)を重ね、全体を熱圧着して接着剤を硬化させた。
そして転写用フィルムをアルミニウム蒸着層から剥離し、接着剤を介してアルミニウム転写蒸着層である金属層3とポリカーボネートからなる支持体4が一体化したものを得た。
【0058】
ここで、支持体4の厚みを400μmと採用したのは、表1から得た「奥行き感」を考慮したためである。
【0059】
アルミニウム蒸着層の表面に、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層を形成した。プライマー層上に、樹脂(商品名:WAC−10、高松油脂(株)社製)を厚み約1.5μmのアンカー層を形成した。 アンカー層上に、ポリエステル樹脂(商品名:NS−141LX、高松油脂(株)社製)の水分散体を固形分厚み15μmとなるよう塗布し、インク受容層を形成して酸化防止層2を積層した。
後述する図形や文字等にアルミニウム蒸着層および酸化防止層2をYAGレーザで除去した。
【0060】
酸化防止層2の上に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いてスクリーン印刷によりマット模様である加飾層1を形成した。
【0061】
よって、支持体4の一方の面に金属層3、酸化防止層2および加飾層1の順で積層したシートが作製された。
また、酸化防止層2を形成せず、支持体4の一方の面の金属層3上に加飾層1を積層したシートを作製してもよい。
【0062】
続いて支持体6の一方の面に、金属層5、他方の面に絵柄層7を上述した方法で、順に積層したシートを作製する。
酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させた研磨剤によって、微細な凹凸をつけた二軸延伸ポリプロピレン製の転写用フィルムの表面に真空蒸着法によって、表面抵抗値が1.3〜60Ω/□になるようにアルミニウム蒸着層を形成した後、この上に接着剤である二液重合型ポリウレタンを4μm程度の厚みになるように塗布した。
【0063】
ここで、アルミニウム蒸着層である金属層5の表面抵抗値が1.3Ω/□〜60Ω/□の範囲になるようしたのは、実施例1で上述した理由と同じ理由からである。
【0064】
この接着剤の上に支持体6である200μmのポリカーボネート(商品名FE−2000B;三菱瓦斯化学株式会社)を重ね、全体を熱圧着して接着剤を硬化させた。
そして転写用フィルムをアルミニウム蒸着層から剥離し、接着剤を介してアルミニウム転写蒸着層とポリカーボネートが一体化したものを得た。
【0065】
支持体6の上に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いてスクリーン印刷によりマット模様である絵柄層7を形成した。この絵柄層は、遮光したい箇所に形成するもので、遮光されていない箇所が、数字、図形および文字等になる。
【0066】
よって、支持体6の一方の面に金属層5、他方の面に絵柄層7を積層したシートが作製された。
【0067】
そして、支持体4と金属層5を対向させて貼り合わせた。
貼り合わせは接着剤を使用することが出来る。接着剤は、例えばドライラミネートに用いられる各種の二液硬化型接着剤や光硬化型接着剤を挙げることができる。二液硬化型接着剤は、時間経過とともに硬化するものであり、更には、加熱により一層短時間で硬化させることができ、例えばウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤を用いることができる。また光硬化型接着剤は、電子線や紫外線などを照射して硬化するタイプのものである。例えばウレタン系樹脂接着剤やアクリル系樹脂接着剤を用いることができる。
また粘着剤も用いることができ、例えば両面テープである。さらに熱接着剤も用いることができ、例えばポリオレフィン系である。接着剤は、観察した際に、光学的な影響を受けないように、透明な接着剤が好ましい。
なお、この貼り合わせ工程を、さらに前工程で行うことも可能である。例えば、上述した酸化防止層形成工程の前の工程や次の工程、あるいは、レーザ加工工程の次の工程として行うことも可能である。
【0068】
そして、図示しないが、その両面の全面上に、導電性粉末や界面活性剤などを樹脂中に分散させて層状に成形する方法を用いて、帯電防止層を設けた。
【0069】
光源の点灯時に観察者9が観察すると、一方のシートの金属層3が除去された部分の数字、図形および文字等が観察でき、金属層3が除去された領域から、他方のシートの金属層6を観察することができるので、遠近感で数字、図形および文字等を立体的に感じた。
また、加飾層1によって、意匠効果に優れた模様等を印刷することができた。
【実施例3】
【0070】
本発明の実施例について具体的に説明する。図3は本発明の情報表示パネルの実施例3を示したものである。
支持体4の一方の面に、金属層3、酸化防止層2及び加飾層1を上述した方法で、順に積層したシートを作製する。
酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させた研磨剤によって、微細な凹凸をつけた二軸延伸ポリプロピレン製の転写用フィルムの表面に真空蒸着法によって、表面抵抗値が10Ω/□以下になるようにアルミニウム蒸着層を形成した後、この上に接着剤である二液重合型ポリウレタンを4μm程度の厚みになるように塗布した。
【0071】
ここで、アルミニウム蒸着層である金属層3の表面抵抗値が10Ω/□以下を採用したのは、実施例1と同じ理由である。
【0072】
この接着剤の上に支持体4である400μmのポリカーボネート(商品名FE−2000B;三菱瓦斯化学株式会社)を重ね、全体を熱圧着して接着剤を硬化させた。
そして転写用フィルムをアルミニウム蒸着層から剥離し、接着剤を介してアルミニウム転写蒸着層である金属層3とポリカーボネートからなる支持体4が一体化したものを得た。
【0073】
ここで、支持体4の厚みを400μmと採用したのは、表1から得た「奥行き感」を考慮したためである。
【0074】
アルミニウム蒸着層の表面に、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層を形成した。プライマー層上に、樹脂(商品名:WAC−10、高松油脂(株)社製)を厚み約1.5μmのアンカー層を形成した。 アンカー層上に、ポリエステル樹脂(商品名:NS−141LX、高松油脂(株)社製)の水分散体を固形分厚み15μmとなるよう塗布し、インク受容層を形成して酸化防止層2を積層した。
後述する図形や文字等にアルミニウム蒸着層および酸化防止層2をYAGレーザで除去した。
【0075】
酸化防止層2の上に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いてスクリーン印刷によりマット模様である加飾層1を形成した。
【0076】
よって、支持体4の一方の面に金属層3、酸化防止層2および加飾層1の順で積層したシートが作製された。
また、酸化防止層を形成せず、支持体4の一方の面の金属層3上に加飾層1を積層したシートを作製してもよい。
【0077】
続いて支持体6の一方の面に、金属層5、他方の面に絵柄層7を上述した方法で、順に積層したシートを作製する。
酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させた研磨剤によって、微細な凹凸をつけた二軸延伸ポリプロピレン製の転写用フィルムの表面に真空蒸着法によって、表面抵抗値が10Ω/□以下になるようにアルミニウム蒸着層を形成した後、この上に接着剤である二液重合型ポリウレタンを4μm程度の厚みになるように塗布した。
【0078】
ここで、アルミニウム蒸着層である金属層5の表面抵抗値が10Ω/□以下を採用したのは、実施例1で上述した理由と同じ理由からである。
【0079】
この接着剤の上に支持体6である200μmのポリカーボネート(商品名FE−2000B;三菱瓦斯化学株式会社)を重ね、全体を熱圧着して接着剤を硬化させた。
そして転写用フィルムをアルミニウム蒸着層から剥離し、接着剤を介してアルミニウム転写蒸着層である金属層5とポリカーボネートからなる支持体6が一体化したものを得た。
【0080】
後述する図形や文字等にアルミニウム蒸着層である金属層5をYAGレーザで除去した。このように、金属層3および酸化防止層2および金属層5をYAGレーザで除去したが、このときに金属層5を除去した領域は、金属層3で除去した範囲の近傍に存在するように行う。近傍とは、光源からの光が、目視方向から直接は観察できないが、間接的に観察できる範囲のことである。例えば、除去された範囲の間隔が1cm以内である。
【0081】
支持体6の上に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いてスクリーン印刷によりマット模様である絵柄層7を形成した。この絵柄層は、遮光したい箇所に形成するもので、遮光されていない箇所が、数字、図形および文字等になる。
【0082】
よって、支持体6の一方の面に金属層5、他方の面に絵柄層7を積層したシートが作製された。
【0083】
そして、支持体4と金属層5を対向させて貼り合わせた。
貼り合わせは接着剤を使用することが出来る。接着剤は、例えばドライラミネートに用いられる各種の二液硬化型接着剤や光硬化型接着剤を挙げることができる。二液硬化型接着剤は、時間経過とともに硬化するものであり、更には、加熱により一層短時間で硬化させることができ、例えばウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤を用いることができる。また光硬化型接着剤は、電子線や紫外線などを照射して硬化するタイプのものである。例えばウレタン系樹脂接着剤やアクリル系樹脂接着剤を用いることができる。接着剤は、観察した際に、光学的な影響を受けないように、透明な接着剤が好ましい。
また粘着剤も用いることができ、例えば両面テープである。さらに熱接着剤も用いることができ、例えばポリオレフィン系である。接着剤は、観察した際に、光学的な影響を受けないように、透明な接着剤が好ましい。
なお、この貼り合わせ工程を、さらに前工程で行うことも可能である。例えば、上述した酸化防止層形成工程の前の工程や次の工程、あるいは、レーザ加工工程の次の工程として行うことも可能である。
【0084】
そして、図示しないが、その両面の全面上に、導電性粉末や界面活性剤などを樹脂中に分散させて層状に成形する方法を用いて、帯電防止層を設けた。
光源の点灯時に観察者9が情報表示パネルを観察すると、金属層5が除去された領域を通過した光が、屈折や金属層5の側面等での反射によって、金属層3が除去された部分に漏れ、漏れた間接光で、金属層5が除去された部分や金属層3が除去された部分の数字、図形および文字等が観察される。そして、金属層5と金属層3が支持体4を挟んでいるため、支持体4の厚み分の奥行き感をもった数字、図形および文字等を観察することができる。そのような間接光により美観性を向上させることができる。
【0085】
また、加飾層1が存在しない部分からは、金属層3が直接観察され、金属層3が存在しない部分からは、金属層5が直接観察される。そのため、それらからは、十分な金属光沢性が観察される。
そして、光源が非点灯時には、加飾層1が存在しない部分からは、金属層3が直接観察され、金属層3が存在しない部分からは、金属層5が直接観察される。そのため、金属層3が除去された部分や、加飾層1が除去された部分で形成される、数字、図形および文字等は、金属光沢性を有して観察される。
【0086】
さらに、加飾層1によって、意匠効果に優れた模様等を印刷することができた。
【0087】
本願発明においては、観察者9から観察した場合に、上述した一方のシートの金属層が観察できる。そして、一方のシートの金属層が存在しない領域から、上述した他方のシートの金属層が観察できる。そして、他方のシート側に光源8を配置して点灯した場合、金属層が薄い場合には、金属層を光が半透過し、観察者が観察することが可能となる。したがって、観察者にとっては金属層が存在しない部分を透過する光と合わせて観察することにより、情報表示パネルを美しく観察することができる。光源8の非点灯時には、光源からの光は観察されないため、点灯時とは異なった表示が観察され、多様性のある美しい表示が可能となる、優れた表示パネルを得ることができる。

【符号の説明】
【0088】
1 加飾層
2 酸化防止層
3 金属層
4 支持体
5 金属層
6 支持体
7 絵柄層
8 光源
9 観察者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の片面に金属層が積層されたシートを、一方のシートの支持体と他方のシートの金属層を対向させて貼り合わせてなり、その両方のシートの前記金属層に、それぞれ金属層が存在しない領域を有し、前記一方のシートの前記金属層が存在しない領域と、前記他方のシートの前記金属層が存在しない領域の少なくとも一部が重なり、前記一方のシートの金属層側から観察した場合に前記他方のシートの金属層が観察されるように構成されてなる情報表示パネル。
【請求項2】
支持体の片面に金属層が積層されたシートを、一方のシートの支持体と他方のシートの金属層を対向させて貼り合わせてなり、前記一方のシートの金属層は、金属層が存在しない領域を有し、少なくとも前記他方のシートの金属層の表面抵抗値が1.3Ω/□〜100Ω/□の範囲である情報表示パネル。
【請求項3】
支持体の片面側に金属層が積層されたシートを、一方のシートの支持体と他方のシートの金属層を対向させて貼り合わせてなり、その両面のシートの前記金属層に、それぞれ金属層が存在しない領域を有し、前記一方のシートの金属層が存在しない領域と、前記他方のシートの前記金属層が存在しない領域は重なることがなく、近傍に存在していることを特徴とする情報表示パネル。
【請求項4】
前記貼り合わせが、透明な接着剤によっておこなわれていることを特徴とする請求項1乃至3記載の情報表示パネル。
【請求項5】
前記一方のシートの金属層上に加飾層が積層され、前記他方のシートの支持体上に絵柄層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4記載の情報表示パネル。
【請求項6】
前記一方のシートの金属層上に酸化防止層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至4記載の情報表示パネル。
【請求項7】
前記一方のシートの酸化防止層上に加飾層が積層され、前記他方のシートの支持体上に絵柄層が設けられていることを特徴とする請求項6記載の情報表示パネル。
【請求項8】
前記金属層の表面に、微細な凹凸が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至7記載の情報表示パネル。
【請求項9】
前記支持体が0.1mm厚以上の支持体であることを特徴とする請求項1乃至8記載の情報表示パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−198010(P2010−198010A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15379(P2010−15379)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】