情報表示ボードおよびそれに用いる情報表示用パネル
【課題】a)表示画面領域形状の自由度が高く、b)表示画面領域における非表示領域が小さく、c)情報表示用パネルが備える導電層同士の電気的接続が容易であり、d)表示媒体を配置する装置を大型にする必要がなく、e)表示媒体の配置ムラの発生がない情報表示ボードを提案する。
【解決手段】複数の情報表示用パネルを所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する上記情報表示用パネル同士を、シール材を介して接合してなる情報表示ボードにおいて、互いに隣接する上記背面側パネル基板が備える導電層同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、情報表示ボードの面方向に導通する背面側基板を構成する。
【解決手段】複数の情報表示用パネルを所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する上記情報表示用パネル同士を、シール材を介して接合してなる情報表示ボードにおいて、互いに隣接する上記背面側パネル基板が備える導電層同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、情報表示ボードの面方向に導通する背面側基板を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報表示用パネルを所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する情報表示用パネル同士を接合してなる情報表示ボードおよびそれに用いる情報表示用パネルに関し、特に、複数の情報表示用パネルを組み合わせて情報表示ボードとするに際し、情報表示ボード形状の自由度および表示画面領域レイアウトの自由度を高め、併せて各情報表示用パネルを接合した情報表示ボードの表示画面領域に形成される非表示領域を小さくしようとするものである。
【背景技術】
【0002】
2枚の基板間に封入した表示メモリー性を有する表示媒体を電界の付与により駆動して情報を表示する情報表示用パネルが知られている。
また、表示画面領域の大きさが例えばA3判を超えるような大型の情報表示用パネル、すなわち情報表示ボードとして、例えば特許文献1に記載の情報表示装置が知られている。
特許文献1の情報表示装置は、単純マトリックス駆動方式の情報表示用パネルを複数枚繋ぎ合わせて大画面ディスプレイを構成している。
【0003】
また、べた導電膜を表示用電極として備える情報表示用パネルに対して、表示書換え装置が有するTFT付き画素電極を対向させて、べた導電膜とTFT付き画素電極との間に発生させた電界で情報表示用パネルの表示媒体を駆動して情報を表示する情報表示装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−58665号公報
【特許文献2】国際公開第2010/137342(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の情報表示装置は、複数個の同じ形状の情報表示用パネルを単に並べた配置構成になっており、情報表示ボードの形状や表示形態、表示画面内での表示レイアウトは画一的であった。
【0006】
また、特許文献1の情報表示装置では、各情報表示用パネルの表示用電極同士を接続するためのスペースが表示領域の外側に必要であり、このスペースが、情報表示できない非表示領域となってしまう。このような非表示領域をもつ大画面に、各情報表示用パネルに跨って情報を表示させると、情報表示用パネル同士の繋ぎ目にあたる領域で画像の一部が表示されず、画像によっては情報として読み取れないおそれがあった。
【0007】
さらに、特許文献1の情報表示装置では、複数の情報表示用パネルを接合するに際し、多数の表示用電極同士を接続する必要があり、接続工数の増大やコスト高を招く不都合があった。
【0008】
一方、特許文献2に示されるような、表示書換え装置を用いる情報表示装置の情報表示用パネルを大型にして情報表示ボードとする場合、表示媒体をパネル基板上に均一に配置するためには大型の表示媒体配置装置が必要になり、この場合、表示媒体配置装置を大型にすることに伴う製造コストの増大が問題となっていた。
【0009】
また、例えばA3判を超える大型のパネル基板の所定領域に表示媒体を配置しようとすると、当該所定領域の中央部分と周囲部分とで、配置される表示媒体の量にばらつきができてしまうことを避け難く、均質な表示ができる情報表示ボードが得られ難いという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、
a)表示画面領域形状の自由度が高く、
b)表示画面における非表示領域が小さく、
c)情報表示用パネルが備える導電層同士の電気的接続が容易であり、
d)表示媒体を配置する装置を大型にする必要がなく、
e)表示媒体の配置ムラの発生がない
情報表示ボードを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.複数の情報表示用パネルを所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する上記情報表示用パネル同士を、シール材を介して接合してなる情報表示ボードにおいて、
上記情報表示用パネルは、透明でかつ面方向に導通しない観察側パネル基板と、面方向に導通する背面側パネル基板との間に表示媒体を配置し、表示書換え装置が有する薄膜トランジスタ(TFT)付き電極を、上記観察側パネル基板に対向させて配置することにより形成した電界で、上記表示媒体を駆動して情報表示を行う構造になり、
互いに隣接する上記背面側パネル基板が備える導電層同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする情報表示ボード。
【0012】
2.前記情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、導電性基板自身であり、互いに隣接する上記背面側パネル基板同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする上記1に記載の情報表示ボード。
【0013】
3.前記背面側基板の外側表面全面を、保護用絶縁膜で被覆したことを特徴とする、上記2に記載の情報表示ボード。
【0014】
4.前記情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、絶縁性基板の上に形成された導電層であって、互いに隣接する上記背面側パネル基板の上記導電層同士を、上記絶縁性基板に形成した孔構造を介して、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする上記1に記載の情報表示ボード。
【0015】
5.前記絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内側の側表面に導電膜が形成されたスルーホール構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記スルーホール構造に嵌合する少なくとも2つの凸部を有する接続用シート部材であり、該凸部の先端を、互いに隣接する背面側パネル基板のスルーホール構造に挿入し、上記導電膜を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする、上記4に記載の情報表示ボード。
【0016】
6.前記絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内部に導電部材が埋め込まれた埋め込み型構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記埋め込み型構造の上記導電部材に接合される突起を有する接続用シート部材であり、該突起を、互いに隣接する背面側パネル基板の埋め込み型構造になる上記導電部材に接合し、上記導電部材を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする、上記4に記載の情報表示ボード。
【0017】
7.上記4〜6のいずれかに記載の情報表示ボードに用いる情報表示用パネルであって、
該情報表示用パネルの平面視形状が矩形であり、
背面側パネル基板は、導電層と絶縁層との二層構造の基板であるとともに、
上記背面側パネル基板の四隅の上記絶縁層に孔が設けられ、
上記孔は、その内側に上記導電層から上記絶縁層の外側面に延在する導電部材が形成された接続用の孔構造が設けられていることを特徴とする情報表示用パネル。
【発明の効果】
【0018】
上記1の発明によれば、表示書換え装置を用いて情報表示を行う構造になる複数の情報表示用パネルを接合して情報表示ボードを形成する際に異なる形状・サイズ・表示色の複数の情報表示用パネルを並べ、それぞれの情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層を電気的に接続させて情報表示ボードを構成することができるため、表示画面領域形状の自由度および色分け表示の自由度を高めた情報表示ボードを提供することができる。
【0019】
また、上記構成とすることで、各情報表示用パネルのサイズをA3判以下の小さいサイズとし、各情報表示用パネルのA3判以下の基板個々に表示媒体を配置することができるため、表示媒体を基板に配置する際に大型の表示媒体配置装置を必要としない。従って、製造コストの増加を回避することができ、併せて、表示媒体の配置ムラを解消することができる。
【0020】
さらに、情報表示用パネルの背面側パネル基板を、内側面に導電層が配置された構造の面方向に導通する基板とし、互いに隣接する背面側パネル基板が備える導電層同士を、背面側パネル基板の外側面において、導電性接続部材により導通させる構成としたので、各情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層同士を接続するためのスペースを各情報表示用パネル間に設ける必要がないため、各情報表示用パネルを接合して形成した情報表示ボードの表示画面領域において非表示領域を小さくすることができ、併せて、情報表示用パネル同士の接合および電気的接続を容易に行うことができる。
【0021】
特に、上記2の発明に従い、互いに隣接する背面側パネル基板同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側パネル基板を構成した場合、複数並べた情報表示用パネルの背面側パネル基板自身が導電層であるため、情報表示用パネルの接合および情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続が簡単に行える。そして、この導電層を導電性接続部材で互いに導通させた後、上記3の発明に従い、複数の情報表示用パネルを接合した情報表示ボードの背面側パネル基板の全面に絶縁膜を形成することで導電層である導電性基板に触れても感電する虞がない情報表示ボードが得られる。
【0022】
また、上記4の発明に従い、情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、絶縁性基板の上に形成された導電層であって、互いに隣接する上記背面側パネル基板の上記導電層同士を、上記絶縁性基板に形成した孔構造を介して、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成した場合も、複数並べた情報表示用パネル接合および情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続を簡単に行える。そして、情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続を背面側パネル基板の外側面で行えるため、並べられた情報表示用パネルを接合した後、導電性接続部材を配置することで、情報表示ボードの背面側基板を、面方向に導通した基板とすることができる。
【0023】
また、上記5発明に従い、絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内側の側表面に導電膜が形成されたスルーホール構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記スルーホール構造に嵌合する少なくとも2つの凸部を有する接続用シート部材であり、該凸部の先端を、互いに隣接する背面側パネル基板のスルーホール構造に挿入し、上記導電膜を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成した場合には、情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続をワンタッチで完了できるので、情報表示用パネルの接合および情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続を簡便に行うことができる。
【0024】
さらにまた、上記6発明に従い、絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内部に導電部材が埋め込まれた埋め込み型構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記埋め込み型構造の上記導電部材に接合される突起を有する接続用シート部材であり、該突起を、互いに隣接する背面側パネル基板の埋め込み型構造が備える上記導電部材に接合し、上記導電部材を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成した場合も、情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続をワンタッチで完了できるので、情報表示用パネルの接合および情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続を簡便に行うことができる。
【0025】
上記7の発明に従い、情報表示ボード用の情報表示用パネルとして、平面視形状が矩形であり、背面側パネル基板は、導電層と絶縁層との二層構造の基板であるとともに、上記背面側パネル基板の四隅の上記絶縁層に孔が設けられ、上記孔は、その内側に上記導電層から上記絶縁層の外側面に延在する導電部材が形成された接続用の孔構造が設けられている情報表示用パネルを採用することにより、複数を並べて、互いの導電層同士を導電性接続部材で接続して導通させる際に必要な接続用の孔構造が、少なくとも一組以上隣接するようにレイアウトしやすくなるので、背面側パネル基板の外側面に架設する導電性接続部材を少なくすることができる。さらに、上記7の発明の情報表示用パネルは、情報表示ボードとするときのレイアウトとは無関係に、画一的に製造することができるので、情報表示ボード用の情報表示用パネルとして効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の情報表示ボードに、TFT基板を備えた表示書換え装置を用いて情報を書き換える原理を説明するための図である。
【図2】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の第1実施形態における情報表示ボードの構成の一例を示すための平面図および底面図である。
【図3】図2(b)のA−A断面図である。
【図4】(a)は、本発明の第2実施形態における情報表示ボードの他の構成の一例を示すための底面図である。(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第3実施形態における情報表示ボードのさらに他の構成の一例を示すための底面図である。(b)は、(a)のC−C断面図である。
【図6】(a)は、本発明の第4実施形態における情報表示ボードのさらに他の構成の一例を示すための底面図である。(b)は、(a)のD−D断面図である。
【図7】本発明の情報表示ボードに、表示書換え装置を用いて情報表示を行う様子を示す図である。
【図8】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の情報表示用パネルを複数並べて構成した情報表示ボードにおいて、各情報表示用パネルの接続用の孔構造同士を導電性接続部材で接続した様子を説明するための底面図である。
【図9】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の情報表示ボードを構成する情報表示用パネルの種類、配置レイアウトの一例を説明するための図である。
【図10】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の情報表示ボードの実施例の構成を説明するための平面図および底面図である。
【図11】図10のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、TFT基板を備えた表示書換え装置を用いて、情報表示ボードの表示画面の表示情報を書き換える原理について、図1を用いて説明する。図中、1は情報表示ボード、2は表示書換え装置であり、これら1,2で情報表示ボードシステム3を構成する。また、4はTFT付き画素電極、5は導電層(べた導電膜)、6は観察側基板、7は表示媒体、8は背面側基板である。なお、9は隔壁、10は保護層である。
【0028】
TFT基板を備えた表示書換え装置を用いた情報表示ボードシステム3では、表示書換え装置2のTFT付き画素電極4を情報表示ボード1に対向配置して、表示画面の表示情報の書き換えを行う。その際、導電層5が形成されていない透明でかつ面方向に導通しない観察側基板6に対してTFT付き画素電極4を対向させる。
【0029】
情報表示ボード1の表示画面領域に配置された表示媒体7は、電界で駆動することができ、図1では互いに帯電極性が異なる、白色帯電性粒子を含んだ粒子群および黒色帯電性粒子を含んだ粒子群の組合せにより構成されている。
【0030】
表示書換え装置2のTFT付き画素電極4を情報表示ボード1に対向させた後、情報表示ボード1の導電層5と接続している接続用コネクタ端子部と、表示書換え装置2側の接続用コネクタ端子部とを接続する。そして、情報表示ボード1の導電層5と、表示書換え装置2のTFT付き画素電極4とに印加した電圧でこの対向した電極間に電界を発生させ、この電界により表示媒体7(図1では2種類の粒子群)を駆動する。
もちろん、情報表示ボード1の導電層5と接続している接続用コネクタ端子部と、表示書換え装置2側の接続用コネクタ端子部とを接続した後、表示書換え装置2のTFT付き画素電極4を情報表示ボード1に対向させてもよい。
【0031】
情報表示ボード1の導電層5と接続している接続用コネクタ端子部は、情報表示ボード1を構成する複数の情報表示用パネルのうちの少なくとも一つに設けられていればよいが、複数の情報表示用パネルのいくつかに、あるいは、複数の情報表示用パネルのすべてに設けられていてもよい。接続用コネクタ端子部を情報表示ボード1を構成する複数の情報表示用パネルのうちの複数に設けた場合には、情報表示ボード表示画面のレイアウトに応じて、表示書換え装置2側の接続用コネクタ端子部と接続する接続用コネクタ端子部を使い分けることができる。
【0032】
表示媒体7を駆動して、表示画面に表示させた情報は、表示書換え装置2の電源をオフにして、電圧印加を停止しても、また、表示書換え装置2を表示画面から遠ざけたり、情報表示ボード1の導電層5と接続している接続用コネクタ端子部と、表示書換え装置2側の接続用コネクタ端子部との接続を切り離したりして電界形成を停止しても、そのまま表示画面に残る。これを表示メモリー性という。
【0033】
(本発明に従う情報表示ボードの第1実施形態について)
次に、本発明に従う情報表示ボードの第1実施形態の一例について、図2および図3を参照して説明する。図2(a)および図2(b)はそれぞれ、本実施形態における情報表示ボードの平面図および底面図である。図3は、図2(b)のA−A断面図である。
【0034】
図中、図1と構成が共通する場合は同一の符号を付して示し、1aは情報表示ボード、11は情報表示用パネル、12は孔構造(埋め込み型)、13は導電性接続部材(導電性シート部材)、14は導電部材(導電性材料)、15は互いに隣接する情報表示用パネル同士を接合する接着剤となるシール材(防湿性絶縁材)、16は保護用絶縁膜であり、13−1で導電性接続部材13の突起を示す。5は導電層、8は絶縁性基板(背面側パネル基板)、6は面方向に導通しない透明な基板(観察側パネル基板)である。なお、17は表示媒体が配置された表示媒体層、18は表示媒体層の内部を囲む枠リブの周囲に配置されるシール材、19はTFT付き画素電極4が配置されたTFT基板との接続用コネクタ端子部を示す。
【0035】
本実施形態における情報表示ボード1aは、複数の情報表示用パネル11を所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する情報表示用パネル11同士を、シール材15を介して接合されている。
【0036】
また、情報表示用パネル11は、透明でかつ面方向に導通しない観察側パネル基板6と、面方向に導通する背面側パネル基板8の上に形成された導電層5との間に表示媒体層17を配置し、表示書換え装置が有するTFT付き画素電極を、観察側パネル基板6に対向させて配置することにより形成した電界で、表示媒体層17中の表示媒体を駆動して情報表示を行う構造になっている。
【0037】
ここに、「面方向に導通しない」とは、本明細書において、面内のいずれの方向にも導通しないということを意味する。
また、「面方向に導通する」とは、本明細書において、面内のいずれかの方向に導通するということを意味する。
【0038】
そして、本実施形態における情報表示ボード1aは、面方向に導通する背面側パネル基板を、絶縁性基板8の内側面に面方向に導通する導電層5を形成して構成し、互いに隣接する背面側パネル基板の絶縁性基板8にそれぞれ、その隣接近傍領域において、絶縁性基板を貫通する孔を少なくとも1つ設け、上記の互いに隣接する背面側パネル基板の導電層5同士を、埋め込み型の孔構造12を介して、導電部材14および導電性接続部材13により互いに導通させたところに特徴がある。
【0039】
具体的には、例えば、孔構造12の中を導電部材(導電性材料)14で埋めて、背面側パネル基板の絶縁性基板8の表面に露出した導電部材14同士を、導電性接続部材13を介して互いに導通させることができる。
その際、導電性接続部材13に突起13−1を形成しておけば、この突起13−1を埋め込み型構造になる導電部材14に接合することにより、ワンタッチで電気的接続が完了するので、簡便に情報表示ボードを形成することができる。
なお、この導電性接続部材13は導電性シートや導電性接着剤、導電膜付シートであっても良い。
【0040】
また、孔および中に導電部材が埋め込まれた孔構造(埋め込み型孔構造)12は、各情報表示用パネルごとにコーナー部の4ヶ所に配設し、そのうちの1か所だけを用いて隣接パネル同士を接続しても良い。
例えば、図2に示したように、四隅に埋め込み型孔構造12を備えた4枚の情報表示用パネル11をマトリクス状に配置し、その中央部にある4つの埋め込み型孔構造12を用いて、情報表示用パネル11同士を導通させてもよい。また、情報表示用パネル11を8枚あるいは9枚、マトリクス状に接合して情報表示ボードとする場合も、情報表示用パネルとして同じ構造のものを準備しておけばよいので、効率良く情報表示用パネルを製造することができる。情報表示用パネルが備える導電層5同士の接続に使用しない孔構造12はそのままにしても何ら支障はなく、同じ構成の情報表示用パネルを製造することによる効率向上のメリットは大きい。
【0041】
また、互いに隣接する背面側基板が備える導電層5同士は、1つの孔構造12を介して互いに導通されていれば良いが、導通を確実にするためには複数の孔構造12を用いることが好ましい。例えば、図2に示した例では、それぞれ隣接する孔構造12同士、すなわち、情報表示ボード1aの中央部1か所、周辺部4か所の計5か所を導電性接続部材で導通させる。
【0042】
また、導電性接続部材13として導電性接着剤を用いた場合、導電性接着剤の表面を保護用絶縁膜16で被覆することが、導電性接着剤の劣化を防止し、導通の安定性を高める観点から好ましい。
保護用絶縁膜16で導電性接着剤の表面を被覆する場合は、図示したように導電性接着剤の表面のみを被覆しても良いし、情報表示ボード1aの背面側基板全体を被覆しても良い。
【0043】
また、導電性接続部材13として導電性シートを用いた場合、導電性シートの表面を保護用絶縁膜16で被覆することが、感電防止の観点から好ましい。
保護用絶縁膜16で導電性シートの表面を被覆する場合は、図示したように導電性シートの表面のみを被覆しても良いし、情報表示ボード1aの背面側基板全体を被覆しても良い。
【0044】
(本発明に従う情報表示ボードの第2実施形態について)
次に、本発明に従う情報表示ボードの第2実施形態の一例について、図4を参照して説明する。図4(a)は、本実施形態における情報表示ボードの底面図であり、図4(b)は、図6(a)のB−B断面図である。
図中、1bは情報表示ボード、14’は導電膜(導電性材料)、20は導電性接続部材(接続用シート部材)であり、20−1で導電性接続部材(接続用シート部材)20の凸部を示す。
【0045】
本実施形態における情報表示ボード1bは、図4(b)に示したように、スルーホール型孔構造12’に嵌合する少なくとも2つの凸部20−1を有する導電性接続部材(接続用シート部材)20からなり、これら凸部20−1の先端を互いに隣接する背面側パネル基板のスルーホール型孔構造12’を介して導電層5にそれぞれ接合させて導通を確保したところに特徴がある。
【0046】
具体的には、例えば、孔の内側側面に導電性材料を導電膜14’として形成したスルーホール型孔構造12’を配置して、導電性接続部材(接続用シート部材)20の凸部20−1の先端をスルーホール型孔構造12’に挿入した嵌合構造とすることで、互いに隣接する背面側パネル基板の導電層5同士を導通させることができる。
【0047】
このような接続構造とすることによって、導電性接続部材(接続用シート部材)20の凸部20−1をスルーホール型孔構造12’に嵌合させ、ワンタッチで電気的接続が完了するので、簡便に情報表示ボードを形成することができる。
【0048】
また、スルーホール型孔構造12’も、上述した埋め込み型孔構造12と同様に、各情報表示用パネルごと個別にコーナー部の4ヶ所に配設し、そのうちの1か所だけを用いて隣接パネル同士を接続しても良い。
例えば、図4に示したように、四隅にスルーホール型孔構造12’を備えた4枚の情報表示用パネル11をマトリクス状に配置し、その中央部にある4つのスルーホール型孔構造12’を用いて、情報表示用パネル11同士を導通させてもよい。また、情報表示用パネル11を8枚あるいは9枚、マトリクス状に接合して情報表示ボードとする場合も、情報表示用パネルとして同じ構造のものを準備しておけばよいので、効率良く情報表示用パネルを製造することができる。情報表示用パネルが備える導電層5同士の接続に使用しない孔構造12’はそのままにしても何ら支障はなく、同じ構成の情報表示用パネルを製造することによる効率向上のメリットは大きい。
【0049】
また、導電性接続部材(接続用シート部材)20は導電性材料で構成されているのでその表面を保護用絶縁膜16で被覆することが、導電性接続部材(接続用シート部材)20の劣化を防止し、導通の安定性を高める観点から好ましいこと、感電防止の観点からも好ましいことは前述したとおりである。
【0050】
(本発明に従う情報表示ボードの第3実施形態について)
次に、本発明に従う情報表示ボードの第3実施形態の一例について、図5を参照して説明する。図5(a)は、本実施形態における情報表示ボードの底面図であり、図5(b)は、図7(a)のC−C断面図である。
図中、1cは情報表示ボード、8’は導電性材料からなる背面側パネル基板である。
【0051】
本実施形態の特徴は、背面側パネル基板8’自身が導電性の基板であること、すなわち、背面側パネル基板8’自身が導電層であることにある。そして、情報表示ボード1cは、図5(b)に示したように、互いに隣接する情報表示用パネルを接合し、情報表示用パネルが備える導電性の背面側パネル基板8’(導電層)同士を、これら背面側パネル基板8’の外側面間に架設した導電性接続部材13を介して互いに導通される。
【0052】
この実施形態では、第1実施形態や第2実施形態において情報表示用パネルに設けた孔構造のような接続構造は必要ない。したがって、同じ情報表示用パネルを準備して、自由にレイアウトして互いに接合するとともに、互いの背面側パネル基板を電気的に接続させるだけで情報表示ボードが得られるので効率よく情報表示ボードを製造できる。
この実施形態においても、導電性接続部材13は、隣接パネル間に個別に4ヶ所配設し、隣接パネル同士を接続しても良いし、図5(a)に示すように、4枚の情報表示用パネルに跨るように1ヶ所に配設し、隣接パネル同士を接続しても良い。導電性接続部材13として導電性接着剤を用いる場合には、導電性接着剤を隣接パネル間にドット状に設けても良いし、接続をより確実にするため、これら隣接パネルの辺に沿って長尺状に設けても良い。
【0053】
本実施形態においては、例えば、図5に示したように、4枚の情報表示用パネル11をマトリクス状に配置し、その中央部を導電性接続部材13で覆って、情報表示用パネル11同士を導通させれば、電気的接続を効率的に行うことができ、併せて電気的接続を容易に実現することができるため、このような配設構造とすることが好ましいことは前述した実施形態の場合と同様である。
【0054】
また、導電性基板が背面側パネル基板8’となっているので情報表示ボード背面側の外側面に露出した導電性部分および導電性接続部材13の表面に露出した導電性部分を保護用絶縁膜16で被覆することが、感電を防止する観点から、および導電性接続部材13の導電性接着剤の劣化を防止し、導通の安定性を高める観点から好ましいことも前述した実施形態の場合と同様である。
保護用絶縁膜16の形成は、複数の情報表示用パネルを接合して形成した情報表示ボードの背面側基板全面を被覆するようにすると、この保護用絶縁膜16が、情報表示用パネル同士の接合強度を高めるので好ましい。
【0055】
(本発明に従う情報表示ボードの第4実施形態について)
次に、本発明に従う情報表示ボードの第4実施形態の一例について、図6を参照して説明する。図6(a)は、本実施形態における情報表示ボードの底面図であり、図6(b)は、図6(a)のD−D断面図である。
図中、1dは情報表示ボード、21は保護用絶縁膜16に設けた孔構造(スルーホール)である。
【0056】
本実施形態における情報表示ボード1dは、図6(b)に示したように、外側面が保護用絶縁膜16で覆われた導電性基板8’を背面側パネル基板とした情報表示用パネルを接合して、その導電性基板8’同士を電気的に接続する。そして、情報表示用パネルが互いに隣接する隣接近傍領域において、背面側パネル基板が備える保護用絶縁膜16にそれぞれ、その保護用絶縁膜16を貫通する少なくとも1つの孔構造(スルーホール)21を設け、これら背面側パネル基板の導電性基板8’同士を、孔構造(スルーホール)21を介して、導電性接続部材(導電性接着剤)13により導通させたところに特徴がある。
【0057】
また、前述したように、孔構造(スルーホール)12および導電性接続部材(導電性接着剤)13は、隣接する情報表示用パネル間の1ヶ所に配設し、隣接する情報表示用パネル同士を接続すれば良いが、図6(a)に示すように、各情報表示用パネルの四隅に予め孔構造21は設けておき、必要に応じて、複数個所の孔構造21に導電性接続部材13を形成して、隣接する情報表示用パネル同士の電気的接続をより確実にすることもできる。
孔構造21も、上述した埋め込み型孔構造12やスルーホール型孔構造12’と同様に、各情報表示用パネルごとにコーナー部の4ヶ所に配設し、そのうちの1か所だけを、あるいは、必要な個所だけを用いて隣接パネル同士を接続しても良い。
【0058】
例えば、図6(a)に示したように、四隅に孔構造21を備えた4枚の情報表示用パネル11をマトリクス状に配置し、その中央部にある4つの孔構造21を用いて、情報表示用パネル11同士を導通させてもよい。また、情報表示用パネル11を8枚あるいは9枚、マトリクス状に接合して情報表示ボードとする場合も、情報表示用パネルとして同じ構造のものを準備しておけばよいので、効率良く情報表示用パネルを製造することができる。情報表示用パネルが備える導電性基板8’同士の接続に使用しない孔構造21はそのままにしても何ら支障はなく、同じ構成の情報表示用パネルを製造することによる効率向上のメリットは大きい。
【0059】
しかしながら、導電性接続部材(導電性接着剤)13の表面に露出している導電性部分および導電性接続部材を形成しないでスルーホールのままとなっている孔構造21に露出している導電性部分を保護用絶縁膜16で被覆することが、感電を防止する観点から、および、導電性接続部材(導電性接着剤)13の劣化を防止し、導通の安定性を高める観点から好ましい。
【0060】
以上説明した第1〜4実施形態における情報表示ボードによれば、図7(a)、(b)に示すように、表示書換え装置2の接続用ケーブルを情報表示ボードの背面側基板が備える導電層5と接続されている接続用コネクタ端子部19に接続し、図7(a)に示すように、情報表示ボード1の表示画面領域を構成している各観察側パネル基板6の表示画面領域それぞれに対し、表示書換え装置2のTFT基板を順次対向させて情報表示を行ったり、図7(b)に示すように、隣接する観察側パネル基板6の表示画面領域に跨って表示書換え装置2のTFT基板を配置し、情報表示を行ったりすることができる。
【0061】
また、第1〜4実施形態における情報表示ボードによれば、各情報表示用パネル11の背面側パネル基板が備える導電層5同士を接続するためのスペースを各情報表示用パネル間に設ける必要がないため、情報表示ボードの表示画面領域の非表示領域を小さくすることができ、併せて、情報表示用パネル11同士の電気的接続を容易に行うことができる。
すなわち、特許文献1で示された電気的接続では、接続のために500μm〜1000μm程度のスペースを必要としたのであるが、この発明では、かようなスペースすなわち各パネル間の隙間を、100μm以下まで低減することができる。
【0062】
また、この発明で採用する情報表示用パネルは、観察側パネル基板の周囲側面および背面側パネル基板の周囲側面と、表示媒体を配置するために枠状に設ける枠リブの側面とが面一に形成されるので、従来の情報表示用パネルのような広い額縁部分を形成しない。したがって、かような情報表示用パネルを複数ならべて構成した表示画面領域においては、非表示領域を従来の情報表示用パネルを複数ならべて構成した場合よりも小さくできる。
【0063】
(本発明に従う情報表示ボード用の情報表示用パネルについて)
次に、本発明に従う情報表示ボード用の情報表示用パネルについて、図2、図4、図6、図8を参照して説明する。図2、図4、図6、図8に示す情報表示用パネルは、いずれも平面視矩形であり、四隅に接続用の孔構造を備えている。
【0064】
そして、この接続用の孔構造は、背面側パネル基板を構成する絶縁層に設けた孔を含んで形成されている。図2(図3も参照)に示す例では、絶縁層(絶縁性基板8)と導電層5との二層構造の基板の絶縁性基板8に孔を形成し、孔の内部に導電部材を埋め込んだ接続用の孔構造を示しており、図4(b)に示す例では、絶縁層(絶縁性基板8)と導電層5との二層構造の基板の絶縁性基板8に孔を形成し、孔の内側面に形成した導電膜を導電部材とした接続用の孔構造を示しており、図6(b)に示す例では、絶縁層(絶縁膜21)と導電層(導電性基板8’)との二層構造の基板の絶縁膜21に孔を形成して導電性基板8’との接続を可能にした接続用の孔構造を示しており、本発明の情報表示用パネルはいずれの孔構造をも採用できる。これらの接続用の孔構造を利用して、隣接して並べられた情報表示用パネルの導電層5同士を電気的に接続する方法については前述した通りである。
【0065】
また、本発明の情報表示用パネルを並べて情報表示ボードとするときのレイアウトは図2(b)、図4(a)、図6(a)に示した例のほか、図8(a)、(b)のような例がある。図8(a)および図8(b)において、楕円Sで囲まれた隣接する接続用孔構造22同士が導電性接続部材により接続される。図8(a)は、矩形(A4判サイズ)で四隅に上記いずれか一つの同じ接続用孔構造22を備えた情報表示用パネル4枚を並べて構成した情報表示ボードの裏側で、互いの接続用孔構造22を、導電性接続部材で接続して、情報表示ボードの背面側基板全体を、面方向に導通するようにした例を示している。また、図8(b)は、矩形(A4判サイズ)で四隅に上記いずれか一つの同じ接続用孔構造22を備えた情報表示用パネル5枚を並べて構成した情報表示ボードの裏側で、互いの接続用孔構造22を、導電性接続部材で接続して、情報表示ボードの背面側基板全体を、面方向に導通するようにした例を示している。図8(a)および図8(b)ではそれぞれ、必要最小限の数の導電性接続部材を配置して電気的に接続する場合の一例を示している。
【0066】
なお、第1〜4実施形態の情報表示ボード1としては、例えば、A4判サイズの情報表示用パネル11を4枚、いずれも縦向きでマトリクス状に並べた構成の表示画面に、A6判サイズのTFT基板(図示省略)を対面させて表示書き込みを実行するものとすることができる。
しかしながら、情報表示ボード1を構成する情報表示用パネル11の種類(サイズ、形状、表示色など)、枚数、配置レイアウトおよびTFT基板のサイズは上述した形態に限られず、所望の画面レイアウトや、所望の画面サイズで、所望の情報表示を行なえる情報表示ボード1とすることができる。
【0067】
例えば、情報表示用パネル11の種類、配置レイアウトについては、図9(a)に示すように、右上および左上にそれぞれ、A4判縦向き白黒表示型の情報表示用パネル11−1,11−2を配置すると共に、右下および左下にそれぞれ、A5判横向き青白表示型の情報表示用パネル11−3、A5判横向き赤白表示型の情報表示用パネル11−4を配置したり、図9(b)に示すように、右上および左下にそれぞれ、A4判横向きの白黒表示型の情報表示用パネル11−5,11−8、左上および右下にそれぞれ、A4判縦向きの白黒表示型の情報表示用パネル11−6,11−7を配置したり、その構成は自由である。
【0068】
なお、各情報表示用パネル11は、表示書換え装置のTFT基板1画面サイズの整数倍サイズの表示画面を備えるサイズとすることが好ましい。
また、TFT基板サイズはA7判〜A4判程度とすることが表示書換え装置の携帯性の点から好ましい。
情報表示用パネル11の表示画面サイズは生産の容易性を鑑みて、A5判〜A4判が好ましい。
【0069】
(情報表示ボードの一般的な構成要素について)
以下、本発明の情報表示ボードの一般的な構成要素について説明する。
情報表示ボードを構成する複数の情報表示用パネルは、厚さが同じになっていることが好ましい。複数枚の情報表示用パネルを並べて形成した情報表示ボードの観察側の表面ができるだけ平坦になっていることが好ましいからである。
情報表示ボードを構成する複数の情報表示用パネルは、その基板間ギャップが同じになっていることが好ましい。複数枚の情報表示用パネルを並べて形成した情報表示ボードの基板間に配置された表示媒体(粒子群)に対してできるだけ均等に電界を付与することが好ましいからである。もちろん、異なる種類の表示媒体が配置された情報表示用パネルにおいては、それぞれの情報表示用パネルに配置した表示媒体の駆動に適した基板間ギャップが形成される。
したがって、配置した表示媒体の種類が異なる情報表示用パネルを用いる場合には、情報表示用パネルの厚さは同じに構成して、複数の情報表示用パネルを並べて形成した情報表示ボードの厚さは均一になるようにすることが肝要である。各情報表示用パネルの厚さを同じにするには、背面側パネル基板の厚さで調整する。観察側パネル基板の厚さを変えると視認性に影響が出るため好ましくないが、背面側パネル基板の厚さを変えても視認性に影響がないからである。
【0070】
観察側パネル基板は、透明で、面方向に導通しない、絶縁性(すなわち、表面抵抗率が1.0×108Ω/sq〜1.0×1016Ω/sq)基板とする。基板の外側面に、1.0×105Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqの表面抵抗率を有する帯電防止層を設けることもできる。表示書換え装置のTFT付き画素電極が形成されたTFT基板と、情報表示ボードの背面側基板を構成する背面側パネル基板が備える導電層(べた導電膜)との間に、好適な電界を形成することができるからである。
【0071】
背面側パネル基板は、絶縁性基板の上に導電層として導電性べた膜を形成したり、基板自体を導電性基板とし、導電性基板自身を導電層としたりすることができる。背面側パネル基板自体を導電性基板とする場合は、この基板の外側に絶縁膜を形成して保護膜とすることが好ましい。表示画像を書換える際の万が一の感電防止となるからである。
【0072】
表示媒体としては、負帯電性白色粒子および正帯電性黒色粒子のように、互いに帯電極性が異なるとともに、互いに光学的反射率が大きく異なる2色2種類を組合せることが好ましい。帯電性粒子を気体中や真空中で駆動する構成にしたり、絶縁液体中で駆動する構成にしたりできる。後者は電気泳動方式と呼ばれ、帯電性粒子と絶縁液体とをカプセルに封止した構造にして用いることもできる。
上記帯電性粒子のほかに、小球を、互いに帯電極性が異なるとともに、互いに光学的反射率が大きく異なる2色2種類の半球で構成したツイストボール方式を用いることもできる。
【0073】
情報表示ボードの背面側基板を構成する情報表示用パネルの背面側パネル基板に設ける面方向に導通する導電層(共通電極)は、べた状とするほかにも、ストライプ状にしたり、網目状にしたり、ドット状に形成したものを電気的に連続して接続させたりすることができる。また、背面側パネル基板全体を導電性材料基板とする構成にすることもできる。
情報表示ボードの観察側基板を構成する情報表示用パネルの観察側パネル基板は、面方向に導通させない構造とする必要があり、基板全体を絶縁性材料だけで構成したり、絶縁性材料で構成した基板表面に複数のドット状電極をそれぞれが電気的に接続されないように独立に設けて構成したりして、面方向に導通させない構造とすることができる。
【0074】
本発明では、情報表示ボードの背面側に設ける面方向に導通する背面側パネル基板と、表示書換え装置のTFT付き画素電極とが対向して形成する電極対間に形成した電界によって、情報表示ボードの表示画面領域に配置された表示媒体を駆動させる方式をとるため、対向電極対の一方となる背面側の基板は面方向に導通して共通電極として機能する必要があり、対向電極対の間に入り込むことになる観察側の基板は、面方向に導通しないようにして、対向電極対間に発生させた電界をシールドしてしまうことがないようにする。
情報表示ボードの観察側の基板にもドット状の導電膜を設けることもできる。基板を絶縁性材料で構成してあればその表面に導電膜が設けられていても、その導電膜が電気的に接続されていなければ面方向に導通しない構成とすることができ、電界をシールドすることはなく、情報の書換え、言い換えれば、表示媒体駆動の妨げになることがない。
【0075】
情報表示ボードの観察側の絶縁性基板の外側に、帯電防止層として、表面抵抗率が1.0×105Ω/sq 〜1.0×1012Ω/sqの導電膜を設けることができる。帯電防止層を設けることで、情報を表示させた後情報表示ボードに電気的外乱が加わった場合でも、その外乱の影響をなくし、表示させた情報を良好に維持することができる。帯電防止層としては、ポリチオフェン(例えばPoly(3,4-ethylenedioxythiophene)-Poly(Styrenesulfonate);PEDOT-PSS)の様な透明な導電性高分子を塗布した後の透明な膜や、酸化インジウム錫(ITO)や酸化錫(SnOx)などの透明導電性酸化物の粒子を透明樹脂バインダーに分散して構成した透明膜などがある。帯電防止層は、情報表示ボードの観察側となる透明な基板側に設けるため、透明なものとする必要がある。
【0076】
表面抵抗率が、1.0×105Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqである帯電防止層としての膜は、情報表示ボード観察側の基板の外側面をすべて被覆したり、断続させて面方向の導通性をより少なくしたりするように配置する。なお、帯電防止層の膜は、島状では帯電防止機能が不充分であるが、ストライプ状であれば一面コートでなくてもよい。これによって帯電防止効果が得られる。
表面抵抗率が、1.0×105Ω/sqより小さいと、言い換えれば導電性が高いと、観察側の基板全体が面方向に導通しない基板でなくなってしまう不都合があり、1.0×1012Ω/sqを超えると帯電防止機能を得られなくなる不都合がある。
表面抵抗率は、二重リング法と呼ばれる方式で測定した。二重リング法では、二重リング電極(内極φ16mm、外極内径φ30mm、外極外径φ40mm)を用い、5Nの負荷、印加電圧10Vで測定した。測定器としては、シシド電気製「Megaresta Model HT-301」表面抵抗計を用いた。
【0077】
共通電極としては、べた導電膜の代わりに、導電性材料基板を用いて、面方向に導通する導電性基板を用いることもできる。導電性基板材料としては導電性があるものであれば制限はないが、基板の内側表面が共通電極として機能しやすいように電気抵抗の低い、言い換えれば導電性が高い材料であることが好ましく、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金等の導電性金属が好ましい。べた導電膜の代わりに導電性基板を用いる場合には、面方向に導通する共通電極を備える背面側パネル基板を簡単かつ安価に構成することができる。この場合、表示した情報を書換える時には導電性基板の内側面に電圧が印加されるので、この基板の外側面に絶縁膜をコートしておくと手に触れた際に感電するような危険がないので好ましい。
【0078】
導電性基板の保護層とする際に、表面抵抗率が1.0×108Ω/sq未満であると、情報表示ボードに表示書換え装置のTFT基板を対向させて表示した情報を書換える際に万が一情報表示ボードの裏側に触れた際に感電するおそれがある。また、保護層とする場合の絶縁膜の膜厚は、100nm〜5μmとすることが好ましい。
【0079】
絶縁性の膜材料としては、絶縁性(すなわち、表面抵抗率が1.0×108Ω/sq〜1.0×1016Ω/sqの範囲)であれば特に制限されないが、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂などの樹脂が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、黒色系の有色層や白色層を絶縁性膜材で構成とする場合には、着色剤の色を発現しやすい、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂が好適である。これらの樹脂に荷電制御剤を添加して表面抵抗率を調整することもできる。膜の形成方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコーター法、刷毛塗り法等いずれの方法を用いてもよい。また、膜を形成する代わりに、上記絶縁性材料のフィルムを貼り合せてもよい。
【0080】
情報表示用パネルの少なくとも一方の観察側パネル基板は、外側から表示媒体が確認できるように、少なくとも表示画面領域が透明な基板であり、透明部分では、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。もう一方の背面側パネル基板は透明でも不透明でもかまわない。情報表示用パネルの基板に適用可能な材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルフィン(PES)、アクリル等のプラスチックや、ガラス、石英、金属等を用いることができる。表示書換え装置のTFT基板面と対向させる観察側の基板は面方向に導通しない構成とする。その厚さは、2μm〜2000μmが好ましく、さらに5μm〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、2000μmより厚いと、情報表示ボードの背面側にある導電層(共通電極)と、表示書換え装置のTFT基板の画素用電極とが離れすぎてしまい、電極間の電圧を大きくしないと表示媒体を駆動できる電界強度が得られない不都合がある。
【0081】
なお、表示書換え装置のTFT基板と対向させない背面側の導電層を備えた基板の厚さは、特に制限がないが、厚くしすぎると薄型の情報表示ボードでなくなったり、軽量の情報表示ボードでなくなったりして設置しにくくなるので、25μm〜2000μmの範囲にする。また、基板の厚さが25μmより薄いと、複数の情報表示用パネルを互いに接合して情報表示ボードを作製する時の接合が十分でなくなる不都合がある。
【0082】
TFT基板が備える画素用電極と対向配置させる情報表示ボード側の導電層を構成する情報表示用パネルの共通電極(例えば、べた導電膜)としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電性金属酸化物類やポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン(例えば、
Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)-Poly(Styrenesulfonate) (PEDOT:PSS))などの導電性高分子類などに加えて、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を用いることができる。
【0083】
導電層とする導電膜の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布する方法などが用いられる。面方向に導通するパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。導電膜の厚さは、導電性が確保できれば良く、0.01μm〜10μmが好ましく、0.05μm〜5μmがより好ましい。
【0084】
ITO等の金属酸化物系材料は、金属材料に比べて可撓性が小さい。ITO等の金属酸化物系材料で導電膜を構成する場合には、導電膜中での断線防止のため、金属細線と併用することが好ましい。この金属細線の幅を1μm〜10μmとして、互いに100μm程度以上離して配置したり、100μm程度以上の開口となる網目状に配置したりする。また、背面側基板に設ける導電膜の厚さは電気抵抗および生産性、コストの観点から、0.01μm〜10μmに設計される。
【0085】
情報表示用パネルを接合する際に、シール材および接着材として機能する防湿性絶縁材の物性における好ましい範囲を示すと下記の通りである。観察側から配置するので硬化した後、はみ出しが見えない透明なものが好ましい。
・粘度(硬化前):0.1Pa・s〜10Pa・s (25℃)
・硬化条件:紫外線硬化タイプ、または、湿度硬化タイプ、または、溶剤除去タイプ
・絶縁性(硬化後):体積抵抗率が、1.0×1013Ω・cm〜1.0×1016Ω・cmの範囲
・透湿度(硬化後):1000g/m2以下(40℃、90%RH、24h)
・イオン濃度(硬化後):Naイオン、Clイオン共に10ppm 以下
【0086】
情報表示用パネルには、2枚のパネル基板(観察側パネル基板と背面側パネル基板)の間隔を確保するとともに、表示媒体を収納するセルを形成するために隔壁(リブ)を形成する。本発明に係る情報表示用パネルでは、2枚のパネル基板の周囲側面とシール材配置スペースを残してほぼ面一になるように枠状の隔壁(枠リブ)を形成し、その枠リブで囲まれた内側領域をさらに隔壁(リブ)で区切ってセルが形成される。表示媒体を粒子群とし、その粒子の平均粒子径が、1μm〜20μm程度の場合、情報表示用パネルにおけるセル開口の大きさは、長方形であれば、1辺の長さが50μm〜100μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度であり、ハニカム(六角形)形状の場合は、向かい合う頂点の距離が100μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度が好ましい。このような構成にすれば、セル内で移動を繰り返した粒子が、凝集したり、偏在したりする不都合が発生しにくい。
セルは隔壁で囲んで構成する他にもマイクロカプセルとすることもできる。いずれの場合も、セル内を気体(真空を含む)で満たした空間としたり、絶縁液体で満たした空間としたりする。
【0087】
2枚のパネル基板の周囲側面とシール材配置スペースを残してほぼ面一になるように形成した枠リブの内側をセルに仕切るための隔壁の配置は格子状、ハニカム状、網目状などにすることができる。
セルの横断面形状は、四角形、三角形、六角形、階段型八角形等の多角形や、円形、楕円形、レーストラック形等いずれでも良いし、複数の形状を組み合わせても良い。
非表示領域となる隔壁の占める割合を小さくできる点からは四角形、階段型八角形や六角形が好ましく、表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有する形状が好ましい。前記二つの点から角丸付きの四角形や角丸付きの六角形、角丸付きの階段型八角形が好ましく用いられる。
【0088】
隔壁(リブ)の形成材料としては、レジスト材が好適であり、液状レジスト材やドライフィルムレジスト材が用いられる。ドライフィルムレジスト材の一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。
上記したレジスト材に顔料を配合せずにフォトリソグラフィーを実行して透明な隔壁とすることがある。この場合には、この透明隔壁を介して、観察側から見て透明隔壁の裏側にある色を視認することができるので、この裏側部分にある基板の色または電極の色を利用してブラックマトリックス効果やホワイトマトリックス効果のほか、透明隔壁の裏側にある色による不揮発情報を得られるようにすることもできる。複数の情報表示用パネルを並べて接合した情報表示ボードの大画面を形成するとき、透明隔壁を介して、背面側の基板に形成された不揮発情報を見ることができる。
【0089】
帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として、気体中空間(真空中を含む)で駆動させる方式の情報表示ボードとする場合には、表示画面を構成する基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、対向する2枚の基板に挟まれる部分から、電極、表示媒体の占有部分、隔壁の占有部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるようにパネル基板間に封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿分浸入を防ぐためのシール材を配置することが肝要である。本発明の情報表示ボードを作製する際に、複数の情報表示用パネルを接合する接合材として接着機能およびシール機能を有する防湿性絶縁材を用いることで、枠リブの内側領域に、外から湿分が浸入するのを防ぐことができる。
また、本発明の情報表示ボードを作製する際に、複数の情報表示用パネルを接合した継ぎ目から、外部の湿分が浸入することをより確実に防止するために、接合後の情報表示ボードの観察側面および背面側面の全面に湿分バリヤ層を形成することもできる。観察側には透明な湿分バリヤ層を形成するが、背面側の湿分バリヤ層は透明でなくてもよい。
【0090】
本発明の情報表示ボードを構成する情報表示用パネルの観察側パネル基板と背面側パネル基板との間隔は、表示媒体が駆動できて、表示コントラストを維持できればよく、2μm〜500μm、好ましくは5μm〜200μmに、表示媒体の種類に合わせて調整される。
帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として、気体中空間(真空中を含む)で駆動させる方式とする場合には、基板と基板との間隔は10μm〜200μm、好ましくは10μm〜100μmの範囲で調整される。
さらに、この場合に、基板間の気体中空間(真空中を含む)における表示媒体の体積占有率は5%〜70%が好ましく、さらに好ましくは5%〜60%である。70%を超える場合には表示媒体としての粒子の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【0091】
情報表示ボードにおいて、例えば以下に説明するものを表示媒体として用いることができる。この表示媒体は、帯電性粒子を含んだ粒子群として構成され、表示メモリー性を有する表示媒体である。
正帯電性黒色表示媒体として例えば、メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60質量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40質量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3質量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5質量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5質量部を溶解させた後、さらに2質量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径9.2μmの正帯電性黒色粒子群を得ることができる。この正帯電性黒色粒子群に、シリカ微小粒子(Wacker社製 H3050VP)を外添して粒子表面に付着させることによって、正帯電性黒色表示媒体とすることができる。
【0092】
負帯電性白色表示媒体として例えば、ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18;三井化学社製)100質量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)100質量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5質量部とを二軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、さらに、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、平均粒子径が、9.5μmの負帯電性白色粒子群を得ることができる。この負帯電性白色粒子群にシリカ微小粒子(Wacker社製 H3004)を外添して、粒子表面に付着させることによって、白色表示媒体とすることができる。
【0093】
正帯電性赤色表示媒体として例えば、ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18;三井化学社製)100質量部と、着色剤として赤色顔料(C.I.ピグメントレッド2)5質量部と、二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)90質量部と、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3質量部、とを二軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、さらに、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、平均粒子径が、9.0μmの正帯電性赤色粒子群を得ることができる。この正帯電性赤色粒子群に、シリカ微小粒子(Wacker社製 H3050VP)を外添して粒子表面に付着させることによって、正帯電性赤色表示媒体とすることができる。
【0094】
帯電性粒子だけで構成した粒子群を表示媒体としたり、このようにして帯電性粒子に外添した微小粒子を付着させた構成の粒子群を表示媒体としたりする。帯電性粒子と外添付着させる微小粒子とのサイズの関係は、帯電性粒子の平均粒子径が1μm〜20μmの範囲であるのに対して、微小粒子の平均粒子径は10nm〜500nmの範囲である。このような粒子群で構成した表示媒体を、対向する電極間に形成した電界で駆動させることができる。
【0095】
表示書換え装置のTFT付き画素電極は、ドット電極をマトリックスに配置したり、個別に設計された形状の電極にして配置したりできるが、本発明の情報表示ボードと組み合わせて情報表示システムとして用いる場合には、マトリックス配置することが好ましい。
TFT基板のサイズは、表示書換え装置の取り扱い易さや携帯性を鑑みて、A7判程度〜B4判程度とすることが好ましい。
TFT基板の形状と情報表示ボ−ドの画面を構成する情報表示用パネルの画面形状とは相似とし、TFT基板の面積S1に対する情報表示用パネルの画面面積S2の比を、S2/S1=1、2、3、・・・(この比は整数)とすることが好ましい。
表示書換え装置において、駆動回路は、TFT基板の画素電極と接続されているが、その他に、情報表示ボードの共通電極(導電性接続部材によって互いに導通した情報表示用パネル背面側パネル基板が備える導電層)と接続するための接続線が引き出されており、この接続線の先端部は、情報表示ボードに設けられた接続用コネクタ端子部と接続できる接続用コネクタ端子部となっている。表示書換え装置側の接続用コネクタ端子部に、中継用コードが接続され、この中継用コードの先端を、情報表示ボードに設けられた接続用コネクタ端子部と接続するようにしてもよい。取っ手を設け、表示書換え装置または表示書換え装置と繋がったTFT基板を、取ってを介して手で持って、情報表示ボード画面に対向配置できるようにすることが好ましい。
【0096】
表示書換え装置は、薄膜トランジスタ(TFT)付きの画素用電極を備えるTFT基板を備える。また、表示書換え装置が備えるTFT基板に形成された画素用電極の表面には、保護用の絶縁膜を配置する。この保護用の絶縁膜は配置しなくても良いが、情報表示ボードの表示画面領域に表示書換え装置のTFT基板面を対向させて表示書換えを行う時などに、TFT基板の画素用電極を機械的に傷つけてしまうことを防いだり、万が一、TFT基板の画素用電極を傷つけてしまっても断線につながることを抑制したりすることできるので、保護用の絶縁膜は設けることが好ましい。
【0097】
また、情報表示ボード画面に表示書換え装置のTFT基板面を対向させて表示書換えを行う時に、導電性の異物などを挟んでしまった場合に、保護用の絶縁膜が無いと、TFTの画素用電極間が電気的にショートしてしまい、表示に影響を与える可能性が考えられるが、この場合も保護用の絶縁膜があれば、画素用電極間のショートを起こす心配が無い。
【0098】
表示書換え装置には、表示書換え装置の駆動回路側と情報表示ボードの接続用コネクタ端子部とを電気的に接続するための接続用ケーブル、または、中継接続用ケーブルを介して、表示書換え装置の駆動回路側と情報表示ボードの接続用コネクタ端子部とを電気的に接続するための接続用コネクタ端子部が設けられる。
【0099】
接続用ケーブルや中継接続用ケーブルは従来のコード線の両端に、それぞれの接続先に合せた構造の接続用コネクタ端子部が設けられる。この接続用コネクタ端子部は着脱ができるように構成する。
【実施例】
【0100】
以下、本発明の実施例について説明する。この例は、2色2種類の互いに帯電極性が異なる粒子群を表示媒体として用いた場合である。2色2種類の表示媒体としては、前述したものを組合せて用いた。
情報表示用パネルの観察側パネル基板としては、全面透明なA4判サイズのポリエチレンテレフタレート(PET)基板(厚さ 50μm)を用いた。
情報表示用パネルの背面側パネル基板としては、A4判サイズの銅基板(厚さ 100μm)を用いた。
【0101】
枠リブおよび枠リブの内側領域にセルを形成するリブ(いずれも基板間ギャップを確保する)は、ドライフィルムレジスト(アルフォNIT2 ニチゴーモートン社製)を用い、フォトリソグラフィーで格子状(内側スペース300μm×300μm)に、リブ幅30μm、リブ高50μmで、前述したA4判サイズのPET基板(観察側パネル基板)に対して形成した。枠リブは、PET基板に対して、シール材配置スペースを残してほぼ面一に形成した。
【0102】
格子状に配置されたセルに、前述の白色粒子群および黒色粒子群または前述の白色粒子群および赤色粒子群を充填した後、銅基板を貼り合わせ情報表示用パネル(A4判)とした。基板同士を貼り合わせる際には、リブ上に接着剤を、枠リブ(最外周リブ)の外側にシール材を、それぞれ配置してから貼り合せた。
【0103】
図10に示したレイアウトで4枚の情報表示用パネルを、それぞれの観察側パネル基板端部および背面側パネル基板端部が接するように並べた後、図10(b)に示す位置に導電性接続部材(銀ペースト)13を配置した。
情報表示用パネル11の種類、配置レイアウトについては、図10(a)に示すように、右上、左上および左下にそれぞれ、A4判縦向き白黒表示型の情報表示用パネル11−1,11−2および11−4を配置すると共に、右下にA4判縦向き白赤表示型の情報表示用パネル11−3を配置した。
【0104】
その後、図11に示すように、4枚の情報表示用パネルの繋ぎ目の隙間に、防湿性絶縁材15(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス社製SA3220 紫外線硬化タイプ)を配置した。防湿性絶縁材15の配置は、ディスペンサーを用いて観察側から、隙間に流し込むようにして行なった後、紫外線で硬化させた。硬化後は透明となり、観察側から見てもその視認性には問題はなかった。
また、硬化後の隙間は約30μmであった。
【0105】
実施例では、さらに、導電性接続部材13として銀ペーストが配置された銅基板8’の上に、絶縁性ポリウレタンシート23(厚さ1mm)を粘着剤24で貼り合せた。この絶縁性ポリウレタンシート23は、感電防止となるとともに、表示書換え装置のTFT基板を表示画面に押し当てた時に画面をTFT基板面に押し返す弾性部材にもなり、対向する電極間距離を均一にして、電極間に形成する電界を均一にして、表示媒体の駆動性を均一にする効果があるので、良好な表示画像が得られるようになる。
また、実施例では、表示書換え装置との接続用コネクタ端子部19は、白赤表示画面となる情報表示用パネルの銅基板8’に実装したが、A4判縦向き白赤表示型の情報表示用パネル11−3に予め接続用コネクタ端子部を形成しておいても実施例と同様の情報表示ボードを得ることができる。
【0106】
実施例の情報表示ボードは、4枚のA4判サイズの情報表示用パネル11を2×2の配列で並べて形成したA2判サイズの表示画面を有する。この情報表示ボードに対して、A4判サイズのTFT付画素電極(300μm×300μm)がマトリクス配置されたTFT基板面を有する表示書換え装置で表示を実行する情報表示ボードシステム3とした。
【0107】
TFT基板面と、TFT基板面と対向した表示画面側の導電層(銅基板面)との間にある粒子群(表示媒体)を、TFT基板の配列画素に対応して移動させて表示を実行した。
情報表示ボードの表示画面(4個の情報表示用パネルの表示画面で構成された表示画面)において、4個の情報表示用パネルそれぞれの表示画面領域内に収まる位置でTFT基板面を押し当てて表示させたところ良好な表示が行なえた。
白黒表示画面には白地に黒で文字情報が表示され、白赤表示画面には白地に赤で文字情報が表示され、表示画面全体を使って、目を引き付けるような工夫を凝らした表示ができた。
【0108】
また、情報表示ボードの表示画面中央部に、すなわち、4個の情報表示用パネルの表示画面それぞれに跨る位置にTFT基板面を押し当てて連続した図形画像を表示させたところ、白黒表示画面には白地に黒で図形の一部が表示され、白赤表示画面には白地に赤で図形の残り部分が表示された。表示された図形画像は、画面の繋ぎ目部分にあたる、粒子群(表示媒体)が配置されていない部分が欠落したものの、画像全体として認識するには十分なものであった。
【0109】
このように、本発明の情報表示ボードは情報表示形態において多様性がある表示画面を提供できることが確認された。
また、本発明の情報表示ボードは上述したような製造方法で容易に製造できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の情報表示ボードを用いる情報表示ボードシステムは、大画面を備えた薄型の情報表示ボードと、コンパクトで携帯性に優れた表示書換え装置とで構成することができ、情報表示ボードの画面に対して、表示書換え装置のTFT基板部分を対面対向させるとともに、表示書換え装置側の接続用コネクタ端子部と、情報表示ボードの接続用コネクタ端子部とを電気的に接続した後、表示書換え装置を作動させて、情報表示ボードの画面の任意の場所に表示したい情報を表示することができる。また、情報表示ボードの画面レイアウトを表示する情報の内容や表示する目的に応じて設計でき、表示画面を構成する情報表示用パネルのサイズを変えることによって、あるいは、表示画面を構成する情報表示用パネルの並べ方を変えることによって、バリエーションに富んだ表示ができる情報表示ボードとなる。したがって、この情報表示ボードは、情報表示板、情報掲示板、電子黒板(白板)、電子広告板、説明用展示板等の用途に好適に使用することができるほか、搭載内容を示すための表示ボードとしてコンテナの外側に取り付けたり、ウェルカム・ボードとしてホテルの玄関先や客室ドアに設置したりするような使い方もできる。
【符号の説明】
【0111】
1,1a,1b,1c,1d 情報表示ボード
2 表示書換え装置
3 情報表示ボードシステム
4 TFT付き画素電極
5 導電層(共通電極)
6 観察側パネル基板
7 表示媒体
8 背面側パネル基板
9 隔壁
10 保護層
11 情報表示用パネル
12, 12’背面側パネル基板に設けた接続用の孔構造
13 導電性接続部材(導電性接着剤などの部材)
13−1 突起
14 導電部材(導電性材料)
15 互いに隣接する情報表示用パネル同士を接合するシール材(防湿性絶縁材)
16 保護用絶縁膜
17 表示媒体層
18 枠リブ周囲に配置したシール材
19 接続用コネクタ端子部
20 導電性接続部材(接続用シート部材)
20−1 凸部
21 保護用絶縁膜に設けた接続用の孔構造(スルーホール)
22 接続用孔構造
23 絶縁性ポリウレタンシート
24 粘着剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報表示用パネルを所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する情報表示用パネル同士を接合してなる情報表示ボードおよびそれに用いる情報表示用パネルに関し、特に、複数の情報表示用パネルを組み合わせて情報表示ボードとするに際し、情報表示ボード形状の自由度および表示画面領域レイアウトの自由度を高め、併せて各情報表示用パネルを接合した情報表示ボードの表示画面領域に形成される非表示領域を小さくしようとするものである。
【背景技術】
【0002】
2枚の基板間に封入した表示メモリー性を有する表示媒体を電界の付与により駆動して情報を表示する情報表示用パネルが知られている。
また、表示画面領域の大きさが例えばA3判を超えるような大型の情報表示用パネル、すなわち情報表示ボードとして、例えば特許文献1に記載の情報表示装置が知られている。
特許文献1の情報表示装置は、単純マトリックス駆動方式の情報表示用パネルを複数枚繋ぎ合わせて大画面ディスプレイを構成している。
【0003】
また、べた導電膜を表示用電極として備える情報表示用パネルに対して、表示書換え装置が有するTFT付き画素電極を対向させて、べた導電膜とTFT付き画素電極との間に発生させた電界で情報表示用パネルの表示媒体を駆動して情報を表示する情報表示装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−58665号公報
【特許文献2】国際公開第2010/137342(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の情報表示装置は、複数個の同じ形状の情報表示用パネルを単に並べた配置構成になっており、情報表示ボードの形状や表示形態、表示画面内での表示レイアウトは画一的であった。
【0006】
また、特許文献1の情報表示装置では、各情報表示用パネルの表示用電極同士を接続するためのスペースが表示領域の外側に必要であり、このスペースが、情報表示できない非表示領域となってしまう。このような非表示領域をもつ大画面に、各情報表示用パネルに跨って情報を表示させると、情報表示用パネル同士の繋ぎ目にあたる領域で画像の一部が表示されず、画像によっては情報として読み取れないおそれがあった。
【0007】
さらに、特許文献1の情報表示装置では、複数の情報表示用パネルを接合するに際し、多数の表示用電極同士を接続する必要があり、接続工数の増大やコスト高を招く不都合があった。
【0008】
一方、特許文献2に示されるような、表示書換え装置を用いる情報表示装置の情報表示用パネルを大型にして情報表示ボードとする場合、表示媒体をパネル基板上に均一に配置するためには大型の表示媒体配置装置が必要になり、この場合、表示媒体配置装置を大型にすることに伴う製造コストの増大が問題となっていた。
【0009】
また、例えばA3判を超える大型のパネル基板の所定領域に表示媒体を配置しようとすると、当該所定領域の中央部分と周囲部分とで、配置される表示媒体の量にばらつきができてしまうことを避け難く、均質な表示ができる情報表示ボードが得られ難いという問題もあった。
【0010】
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、
a)表示画面領域形状の自由度が高く、
b)表示画面における非表示領域が小さく、
c)情報表示用パネルが備える導電層同士の電気的接続が容易であり、
d)表示媒体を配置する装置を大型にする必要がなく、
e)表示媒体の配置ムラの発生がない
情報表示ボードを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.複数の情報表示用パネルを所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する上記情報表示用パネル同士を、シール材を介して接合してなる情報表示ボードにおいて、
上記情報表示用パネルは、透明でかつ面方向に導通しない観察側パネル基板と、面方向に導通する背面側パネル基板との間に表示媒体を配置し、表示書換え装置が有する薄膜トランジスタ(TFT)付き電極を、上記観察側パネル基板に対向させて配置することにより形成した電界で、上記表示媒体を駆動して情報表示を行う構造になり、
互いに隣接する上記背面側パネル基板が備える導電層同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする情報表示ボード。
【0012】
2.前記情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、導電性基板自身であり、互いに隣接する上記背面側パネル基板同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする上記1に記載の情報表示ボード。
【0013】
3.前記背面側基板の外側表面全面を、保護用絶縁膜で被覆したことを特徴とする、上記2に記載の情報表示ボード。
【0014】
4.前記情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、絶縁性基板の上に形成された導電層であって、互いに隣接する上記背面側パネル基板の上記導電層同士を、上記絶縁性基板に形成した孔構造を介して、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする上記1に記載の情報表示ボード。
【0015】
5.前記絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内側の側表面に導電膜が形成されたスルーホール構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記スルーホール構造に嵌合する少なくとも2つの凸部を有する接続用シート部材であり、該凸部の先端を、互いに隣接する背面側パネル基板のスルーホール構造に挿入し、上記導電膜を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする、上記4に記載の情報表示ボード。
【0016】
6.前記絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内部に導電部材が埋め込まれた埋め込み型構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記埋め込み型構造の上記導電部材に接合される突起を有する接続用シート部材であり、該突起を、互いに隣接する背面側パネル基板の埋め込み型構造になる上記導電部材に接合し、上記導電部材を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする、上記4に記載の情報表示ボード。
【0017】
7.上記4〜6のいずれかに記載の情報表示ボードに用いる情報表示用パネルであって、
該情報表示用パネルの平面視形状が矩形であり、
背面側パネル基板は、導電層と絶縁層との二層構造の基板であるとともに、
上記背面側パネル基板の四隅の上記絶縁層に孔が設けられ、
上記孔は、その内側に上記導電層から上記絶縁層の外側面に延在する導電部材が形成された接続用の孔構造が設けられていることを特徴とする情報表示用パネル。
【発明の効果】
【0018】
上記1の発明によれば、表示書換え装置を用いて情報表示を行う構造になる複数の情報表示用パネルを接合して情報表示ボードを形成する際に異なる形状・サイズ・表示色の複数の情報表示用パネルを並べ、それぞれの情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層を電気的に接続させて情報表示ボードを構成することができるため、表示画面領域形状の自由度および色分け表示の自由度を高めた情報表示ボードを提供することができる。
【0019】
また、上記構成とすることで、各情報表示用パネルのサイズをA3判以下の小さいサイズとし、各情報表示用パネルのA3判以下の基板個々に表示媒体を配置することができるため、表示媒体を基板に配置する際に大型の表示媒体配置装置を必要としない。従って、製造コストの増加を回避することができ、併せて、表示媒体の配置ムラを解消することができる。
【0020】
さらに、情報表示用パネルの背面側パネル基板を、内側面に導電層が配置された構造の面方向に導通する基板とし、互いに隣接する背面側パネル基板が備える導電層同士を、背面側パネル基板の外側面において、導電性接続部材により導通させる構成としたので、各情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層同士を接続するためのスペースを各情報表示用パネル間に設ける必要がないため、各情報表示用パネルを接合して形成した情報表示ボードの表示画面領域において非表示領域を小さくすることができ、併せて、情報表示用パネル同士の接合および電気的接続を容易に行うことができる。
【0021】
特に、上記2の発明に従い、互いに隣接する背面側パネル基板同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側パネル基板を構成した場合、複数並べた情報表示用パネルの背面側パネル基板自身が導電層であるため、情報表示用パネルの接合および情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続が簡単に行える。そして、この導電層を導電性接続部材で互いに導通させた後、上記3の発明に従い、複数の情報表示用パネルを接合した情報表示ボードの背面側パネル基板の全面に絶縁膜を形成することで導電層である導電性基板に触れても感電する虞がない情報表示ボードが得られる。
【0022】
また、上記4の発明に従い、情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、絶縁性基板の上に形成された導電層であって、互いに隣接する上記背面側パネル基板の上記導電層同士を、上記絶縁性基板に形成した孔構造を介して、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成した場合も、複数並べた情報表示用パネル接合および情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続を簡単に行える。そして、情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続を背面側パネル基板の外側面で行えるため、並べられた情報表示用パネルを接合した後、導電性接続部材を配置することで、情報表示ボードの背面側基板を、面方向に導通した基板とすることができる。
【0023】
また、上記5発明に従い、絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内側の側表面に導電膜が形成されたスルーホール構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記スルーホール構造に嵌合する少なくとも2つの凸部を有する接続用シート部材であり、該凸部の先端を、互いに隣接する背面側パネル基板のスルーホール構造に挿入し、上記導電膜を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成した場合には、情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続をワンタッチで完了できるので、情報表示用パネルの接合および情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続を簡便に行うことができる。
【0024】
さらにまた、上記6発明に従い、絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内部に導電部材が埋め込まれた埋め込み型構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記埋め込み型構造の上記導電部材に接合される突起を有する接続用シート部材であり、該突起を、互いに隣接する背面側パネル基板の埋め込み型構造が備える上記導電部材に接合し、上記導電部材を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成した場合も、情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続をワンタッチで完了できるので、情報表示用パネルの接合および情報表示用パネルの背面側パネル基板が備える導電層の電気的接続を簡便に行うことができる。
【0025】
上記7の発明に従い、情報表示ボード用の情報表示用パネルとして、平面視形状が矩形であり、背面側パネル基板は、導電層と絶縁層との二層構造の基板であるとともに、上記背面側パネル基板の四隅の上記絶縁層に孔が設けられ、上記孔は、その内側に上記導電層から上記絶縁層の外側面に延在する導電部材が形成された接続用の孔構造が設けられている情報表示用パネルを採用することにより、複数を並べて、互いの導電層同士を導電性接続部材で接続して導通させる際に必要な接続用の孔構造が、少なくとも一組以上隣接するようにレイアウトしやすくなるので、背面側パネル基板の外側面に架設する導電性接続部材を少なくすることができる。さらに、上記7の発明の情報表示用パネルは、情報表示ボードとするときのレイアウトとは無関係に、画一的に製造することができるので、情報表示ボード用の情報表示用パネルとして効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の情報表示ボードに、TFT基板を備えた表示書換え装置を用いて情報を書き換える原理を説明するための図である。
【図2】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の第1実施形態における情報表示ボードの構成の一例を示すための平面図および底面図である。
【図3】図2(b)のA−A断面図である。
【図4】(a)は、本発明の第2実施形態における情報表示ボードの他の構成の一例を示すための底面図である。(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第3実施形態における情報表示ボードのさらに他の構成の一例を示すための底面図である。(b)は、(a)のC−C断面図である。
【図6】(a)は、本発明の第4実施形態における情報表示ボードのさらに他の構成の一例を示すための底面図である。(b)は、(a)のD−D断面図である。
【図7】本発明の情報表示ボードに、表示書換え装置を用いて情報表示を行う様子を示す図である。
【図8】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の情報表示用パネルを複数並べて構成した情報表示ボードにおいて、各情報表示用パネルの接続用の孔構造同士を導電性接続部材で接続した様子を説明するための底面図である。
【図9】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の情報表示ボードを構成する情報表示用パネルの種類、配置レイアウトの一例を説明するための図である。
【図10】(a)および(b)はそれぞれ、本発明の情報表示ボードの実施例の構成を説明するための平面図および底面図である。
【図11】図10のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、TFT基板を備えた表示書換え装置を用いて、情報表示ボードの表示画面の表示情報を書き換える原理について、図1を用いて説明する。図中、1は情報表示ボード、2は表示書換え装置であり、これら1,2で情報表示ボードシステム3を構成する。また、4はTFT付き画素電極、5は導電層(べた導電膜)、6は観察側基板、7は表示媒体、8は背面側基板である。なお、9は隔壁、10は保護層である。
【0028】
TFT基板を備えた表示書換え装置を用いた情報表示ボードシステム3では、表示書換え装置2のTFT付き画素電極4を情報表示ボード1に対向配置して、表示画面の表示情報の書き換えを行う。その際、導電層5が形成されていない透明でかつ面方向に導通しない観察側基板6に対してTFT付き画素電極4を対向させる。
【0029】
情報表示ボード1の表示画面領域に配置された表示媒体7は、電界で駆動することができ、図1では互いに帯電極性が異なる、白色帯電性粒子を含んだ粒子群および黒色帯電性粒子を含んだ粒子群の組合せにより構成されている。
【0030】
表示書換え装置2のTFT付き画素電極4を情報表示ボード1に対向させた後、情報表示ボード1の導電層5と接続している接続用コネクタ端子部と、表示書換え装置2側の接続用コネクタ端子部とを接続する。そして、情報表示ボード1の導電層5と、表示書換え装置2のTFT付き画素電極4とに印加した電圧でこの対向した電極間に電界を発生させ、この電界により表示媒体7(図1では2種類の粒子群)を駆動する。
もちろん、情報表示ボード1の導電層5と接続している接続用コネクタ端子部と、表示書換え装置2側の接続用コネクタ端子部とを接続した後、表示書換え装置2のTFT付き画素電極4を情報表示ボード1に対向させてもよい。
【0031】
情報表示ボード1の導電層5と接続している接続用コネクタ端子部は、情報表示ボード1を構成する複数の情報表示用パネルのうちの少なくとも一つに設けられていればよいが、複数の情報表示用パネルのいくつかに、あるいは、複数の情報表示用パネルのすべてに設けられていてもよい。接続用コネクタ端子部を情報表示ボード1を構成する複数の情報表示用パネルのうちの複数に設けた場合には、情報表示ボード表示画面のレイアウトに応じて、表示書換え装置2側の接続用コネクタ端子部と接続する接続用コネクタ端子部を使い分けることができる。
【0032】
表示媒体7を駆動して、表示画面に表示させた情報は、表示書換え装置2の電源をオフにして、電圧印加を停止しても、また、表示書換え装置2を表示画面から遠ざけたり、情報表示ボード1の導電層5と接続している接続用コネクタ端子部と、表示書換え装置2側の接続用コネクタ端子部との接続を切り離したりして電界形成を停止しても、そのまま表示画面に残る。これを表示メモリー性という。
【0033】
(本発明に従う情報表示ボードの第1実施形態について)
次に、本発明に従う情報表示ボードの第1実施形態の一例について、図2および図3を参照して説明する。図2(a)および図2(b)はそれぞれ、本実施形態における情報表示ボードの平面図および底面図である。図3は、図2(b)のA−A断面図である。
【0034】
図中、図1と構成が共通する場合は同一の符号を付して示し、1aは情報表示ボード、11は情報表示用パネル、12は孔構造(埋め込み型)、13は導電性接続部材(導電性シート部材)、14は導電部材(導電性材料)、15は互いに隣接する情報表示用パネル同士を接合する接着剤となるシール材(防湿性絶縁材)、16は保護用絶縁膜であり、13−1で導電性接続部材13の突起を示す。5は導電層、8は絶縁性基板(背面側パネル基板)、6は面方向に導通しない透明な基板(観察側パネル基板)である。なお、17は表示媒体が配置された表示媒体層、18は表示媒体層の内部を囲む枠リブの周囲に配置されるシール材、19はTFT付き画素電極4が配置されたTFT基板との接続用コネクタ端子部を示す。
【0035】
本実施形態における情報表示ボード1aは、複数の情報表示用パネル11を所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する情報表示用パネル11同士を、シール材15を介して接合されている。
【0036】
また、情報表示用パネル11は、透明でかつ面方向に導通しない観察側パネル基板6と、面方向に導通する背面側パネル基板8の上に形成された導電層5との間に表示媒体層17を配置し、表示書換え装置が有するTFT付き画素電極を、観察側パネル基板6に対向させて配置することにより形成した電界で、表示媒体層17中の表示媒体を駆動して情報表示を行う構造になっている。
【0037】
ここに、「面方向に導通しない」とは、本明細書において、面内のいずれの方向にも導通しないということを意味する。
また、「面方向に導通する」とは、本明細書において、面内のいずれかの方向に導通するということを意味する。
【0038】
そして、本実施形態における情報表示ボード1aは、面方向に導通する背面側パネル基板を、絶縁性基板8の内側面に面方向に導通する導電層5を形成して構成し、互いに隣接する背面側パネル基板の絶縁性基板8にそれぞれ、その隣接近傍領域において、絶縁性基板を貫通する孔を少なくとも1つ設け、上記の互いに隣接する背面側パネル基板の導電層5同士を、埋め込み型の孔構造12を介して、導電部材14および導電性接続部材13により互いに導通させたところに特徴がある。
【0039】
具体的には、例えば、孔構造12の中を導電部材(導電性材料)14で埋めて、背面側パネル基板の絶縁性基板8の表面に露出した導電部材14同士を、導電性接続部材13を介して互いに導通させることができる。
その際、導電性接続部材13に突起13−1を形成しておけば、この突起13−1を埋め込み型構造になる導電部材14に接合することにより、ワンタッチで電気的接続が完了するので、簡便に情報表示ボードを形成することができる。
なお、この導電性接続部材13は導電性シートや導電性接着剤、導電膜付シートであっても良い。
【0040】
また、孔および中に導電部材が埋め込まれた孔構造(埋め込み型孔構造)12は、各情報表示用パネルごとにコーナー部の4ヶ所に配設し、そのうちの1か所だけを用いて隣接パネル同士を接続しても良い。
例えば、図2に示したように、四隅に埋め込み型孔構造12を備えた4枚の情報表示用パネル11をマトリクス状に配置し、その中央部にある4つの埋め込み型孔構造12を用いて、情報表示用パネル11同士を導通させてもよい。また、情報表示用パネル11を8枚あるいは9枚、マトリクス状に接合して情報表示ボードとする場合も、情報表示用パネルとして同じ構造のものを準備しておけばよいので、効率良く情報表示用パネルを製造することができる。情報表示用パネルが備える導電層5同士の接続に使用しない孔構造12はそのままにしても何ら支障はなく、同じ構成の情報表示用パネルを製造することによる効率向上のメリットは大きい。
【0041】
また、互いに隣接する背面側基板が備える導電層5同士は、1つの孔構造12を介して互いに導通されていれば良いが、導通を確実にするためには複数の孔構造12を用いることが好ましい。例えば、図2に示した例では、それぞれ隣接する孔構造12同士、すなわち、情報表示ボード1aの中央部1か所、周辺部4か所の計5か所を導電性接続部材で導通させる。
【0042】
また、導電性接続部材13として導電性接着剤を用いた場合、導電性接着剤の表面を保護用絶縁膜16で被覆することが、導電性接着剤の劣化を防止し、導通の安定性を高める観点から好ましい。
保護用絶縁膜16で導電性接着剤の表面を被覆する場合は、図示したように導電性接着剤の表面のみを被覆しても良いし、情報表示ボード1aの背面側基板全体を被覆しても良い。
【0043】
また、導電性接続部材13として導電性シートを用いた場合、導電性シートの表面を保護用絶縁膜16で被覆することが、感電防止の観点から好ましい。
保護用絶縁膜16で導電性シートの表面を被覆する場合は、図示したように導電性シートの表面のみを被覆しても良いし、情報表示ボード1aの背面側基板全体を被覆しても良い。
【0044】
(本発明に従う情報表示ボードの第2実施形態について)
次に、本発明に従う情報表示ボードの第2実施形態の一例について、図4を参照して説明する。図4(a)は、本実施形態における情報表示ボードの底面図であり、図4(b)は、図6(a)のB−B断面図である。
図中、1bは情報表示ボード、14’は導電膜(導電性材料)、20は導電性接続部材(接続用シート部材)であり、20−1で導電性接続部材(接続用シート部材)20の凸部を示す。
【0045】
本実施形態における情報表示ボード1bは、図4(b)に示したように、スルーホール型孔構造12’に嵌合する少なくとも2つの凸部20−1を有する導電性接続部材(接続用シート部材)20からなり、これら凸部20−1の先端を互いに隣接する背面側パネル基板のスルーホール型孔構造12’を介して導電層5にそれぞれ接合させて導通を確保したところに特徴がある。
【0046】
具体的には、例えば、孔の内側側面に導電性材料を導電膜14’として形成したスルーホール型孔構造12’を配置して、導電性接続部材(接続用シート部材)20の凸部20−1の先端をスルーホール型孔構造12’に挿入した嵌合構造とすることで、互いに隣接する背面側パネル基板の導電層5同士を導通させることができる。
【0047】
このような接続構造とすることによって、導電性接続部材(接続用シート部材)20の凸部20−1をスルーホール型孔構造12’に嵌合させ、ワンタッチで電気的接続が完了するので、簡便に情報表示ボードを形成することができる。
【0048】
また、スルーホール型孔構造12’も、上述した埋め込み型孔構造12と同様に、各情報表示用パネルごと個別にコーナー部の4ヶ所に配設し、そのうちの1か所だけを用いて隣接パネル同士を接続しても良い。
例えば、図4に示したように、四隅にスルーホール型孔構造12’を備えた4枚の情報表示用パネル11をマトリクス状に配置し、その中央部にある4つのスルーホール型孔構造12’を用いて、情報表示用パネル11同士を導通させてもよい。また、情報表示用パネル11を8枚あるいは9枚、マトリクス状に接合して情報表示ボードとする場合も、情報表示用パネルとして同じ構造のものを準備しておけばよいので、効率良く情報表示用パネルを製造することができる。情報表示用パネルが備える導電層5同士の接続に使用しない孔構造12’はそのままにしても何ら支障はなく、同じ構成の情報表示用パネルを製造することによる効率向上のメリットは大きい。
【0049】
また、導電性接続部材(接続用シート部材)20は導電性材料で構成されているのでその表面を保護用絶縁膜16で被覆することが、導電性接続部材(接続用シート部材)20の劣化を防止し、導通の安定性を高める観点から好ましいこと、感電防止の観点からも好ましいことは前述したとおりである。
【0050】
(本発明に従う情報表示ボードの第3実施形態について)
次に、本発明に従う情報表示ボードの第3実施形態の一例について、図5を参照して説明する。図5(a)は、本実施形態における情報表示ボードの底面図であり、図5(b)は、図7(a)のC−C断面図である。
図中、1cは情報表示ボード、8’は導電性材料からなる背面側パネル基板である。
【0051】
本実施形態の特徴は、背面側パネル基板8’自身が導電性の基板であること、すなわち、背面側パネル基板8’自身が導電層であることにある。そして、情報表示ボード1cは、図5(b)に示したように、互いに隣接する情報表示用パネルを接合し、情報表示用パネルが備える導電性の背面側パネル基板8’(導電層)同士を、これら背面側パネル基板8’の外側面間に架設した導電性接続部材13を介して互いに導通される。
【0052】
この実施形態では、第1実施形態や第2実施形態において情報表示用パネルに設けた孔構造のような接続構造は必要ない。したがって、同じ情報表示用パネルを準備して、自由にレイアウトして互いに接合するとともに、互いの背面側パネル基板を電気的に接続させるだけで情報表示ボードが得られるので効率よく情報表示ボードを製造できる。
この実施形態においても、導電性接続部材13は、隣接パネル間に個別に4ヶ所配設し、隣接パネル同士を接続しても良いし、図5(a)に示すように、4枚の情報表示用パネルに跨るように1ヶ所に配設し、隣接パネル同士を接続しても良い。導電性接続部材13として導電性接着剤を用いる場合には、導電性接着剤を隣接パネル間にドット状に設けても良いし、接続をより確実にするため、これら隣接パネルの辺に沿って長尺状に設けても良い。
【0053】
本実施形態においては、例えば、図5に示したように、4枚の情報表示用パネル11をマトリクス状に配置し、その中央部を導電性接続部材13で覆って、情報表示用パネル11同士を導通させれば、電気的接続を効率的に行うことができ、併せて電気的接続を容易に実現することができるため、このような配設構造とすることが好ましいことは前述した実施形態の場合と同様である。
【0054】
また、導電性基板が背面側パネル基板8’となっているので情報表示ボード背面側の外側面に露出した導電性部分および導電性接続部材13の表面に露出した導電性部分を保護用絶縁膜16で被覆することが、感電を防止する観点から、および導電性接続部材13の導電性接着剤の劣化を防止し、導通の安定性を高める観点から好ましいことも前述した実施形態の場合と同様である。
保護用絶縁膜16の形成は、複数の情報表示用パネルを接合して形成した情報表示ボードの背面側基板全面を被覆するようにすると、この保護用絶縁膜16が、情報表示用パネル同士の接合強度を高めるので好ましい。
【0055】
(本発明に従う情報表示ボードの第4実施形態について)
次に、本発明に従う情報表示ボードの第4実施形態の一例について、図6を参照して説明する。図6(a)は、本実施形態における情報表示ボードの底面図であり、図6(b)は、図6(a)のD−D断面図である。
図中、1dは情報表示ボード、21は保護用絶縁膜16に設けた孔構造(スルーホール)である。
【0056】
本実施形態における情報表示ボード1dは、図6(b)に示したように、外側面が保護用絶縁膜16で覆われた導電性基板8’を背面側パネル基板とした情報表示用パネルを接合して、その導電性基板8’同士を電気的に接続する。そして、情報表示用パネルが互いに隣接する隣接近傍領域において、背面側パネル基板が備える保護用絶縁膜16にそれぞれ、その保護用絶縁膜16を貫通する少なくとも1つの孔構造(スルーホール)21を設け、これら背面側パネル基板の導電性基板8’同士を、孔構造(スルーホール)21を介して、導電性接続部材(導電性接着剤)13により導通させたところに特徴がある。
【0057】
また、前述したように、孔構造(スルーホール)12および導電性接続部材(導電性接着剤)13は、隣接する情報表示用パネル間の1ヶ所に配設し、隣接する情報表示用パネル同士を接続すれば良いが、図6(a)に示すように、各情報表示用パネルの四隅に予め孔構造21は設けておき、必要に応じて、複数個所の孔構造21に導電性接続部材13を形成して、隣接する情報表示用パネル同士の電気的接続をより確実にすることもできる。
孔構造21も、上述した埋め込み型孔構造12やスルーホール型孔構造12’と同様に、各情報表示用パネルごとにコーナー部の4ヶ所に配設し、そのうちの1か所だけを、あるいは、必要な個所だけを用いて隣接パネル同士を接続しても良い。
【0058】
例えば、図6(a)に示したように、四隅に孔構造21を備えた4枚の情報表示用パネル11をマトリクス状に配置し、その中央部にある4つの孔構造21を用いて、情報表示用パネル11同士を導通させてもよい。また、情報表示用パネル11を8枚あるいは9枚、マトリクス状に接合して情報表示ボードとする場合も、情報表示用パネルとして同じ構造のものを準備しておけばよいので、効率良く情報表示用パネルを製造することができる。情報表示用パネルが備える導電性基板8’同士の接続に使用しない孔構造21はそのままにしても何ら支障はなく、同じ構成の情報表示用パネルを製造することによる効率向上のメリットは大きい。
【0059】
しかしながら、導電性接続部材(導電性接着剤)13の表面に露出している導電性部分および導電性接続部材を形成しないでスルーホールのままとなっている孔構造21に露出している導電性部分を保護用絶縁膜16で被覆することが、感電を防止する観点から、および、導電性接続部材(導電性接着剤)13の劣化を防止し、導通の安定性を高める観点から好ましい。
【0060】
以上説明した第1〜4実施形態における情報表示ボードによれば、図7(a)、(b)に示すように、表示書換え装置2の接続用ケーブルを情報表示ボードの背面側基板が備える導電層5と接続されている接続用コネクタ端子部19に接続し、図7(a)に示すように、情報表示ボード1の表示画面領域を構成している各観察側パネル基板6の表示画面領域それぞれに対し、表示書換え装置2のTFT基板を順次対向させて情報表示を行ったり、図7(b)に示すように、隣接する観察側パネル基板6の表示画面領域に跨って表示書換え装置2のTFT基板を配置し、情報表示を行ったりすることができる。
【0061】
また、第1〜4実施形態における情報表示ボードによれば、各情報表示用パネル11の背面側パネル基板が備える導電層5同士を接続するためのスペースを各情報表示用パネル間に設ける必要がないため、情報表示ボードの表示画面領域の非表示領域を小さくすることができ、併せて、情報表示用パネル11同士の電気的接続を容易に行うことができる。
すなわち、特許文献1で示された電気的接続では、接続のために500μm〜1000μm程度のスペースを必要としたのであるが、この発明では、かようなスペースすなわち各パネル間の隙間を、100μm以下まで低減することができる。
【0062】
また、この発明で採用する情報表示用パネルは、観察側パネル基板の周囲側面および背面側パネル基板の周囲側面と、表示媒体を配置するために枠状に設ける枠リブの側面とが面一に形成されるので、従来の情報表示用パネルのような広い額縁部分を形成しない。したがって、かような情報表示用パネルを複数ならべて構成した表示画面領域においては、非表示領域を従来の情報表示用パネルを複数ならべて構成した場合よりも小さくできる。
【0063】
(本発明に従う情報表示ボード用の情報表示用パネルについて)
次に、本発明に従う情報表示ボード用の情報表示用パネルについて、図2、図4、図6、図8を参照して説明する。図2、図4、図6、図8に示す情報表示用パネルは、いずれも平面視矩形であり、四隅に接続用の孔構造を備えている。
【0064】
そして、この接続用の孔構造は、背面側パネル基板を構成する絶縁層に設けた孔を含んで形成されている。図2(図3も参照)に示す例では、絶縁層(絶縁性基板8)と導電層5との二層構造の基板の絶縁性基板8に孔を形成し、孔の内部に導電部材を埋め込んだ接続用の孔構造を示しており、図4(b)に示す例では、絶縁層(絶縁性基板8)と導電層5との二層構造の基板の絶縁性基板8に孔を形成し、孔の内側面に形成した導電膜を導電部材とした接続用の孔構造を示しており、図6(b)に示す例では、絶縁層(絶縁膜21)と導電層(導電性基板8’)との二層構造の基板の絶縁膜21に孔を形成して導電性基板8’との接続を可能にした接続用の孔構造を示しており、本発明の情報表示用パネルはいずれの孔構造をも採用できる。これらの接続用の孔構造を利用して、隣接して並べられた情報表示用パネルの導電層5同士を電気的に接続する方法については前述した通りである。
【0065】
また、本発明の情報表示用パネルを並べて情報表示ボードとするときのレイアウトは図2(b)、図4(a)、図6(a)に示した例のほか、図8(a)、(b)のような例がある。図8(a)および図8(b)において、楕円Sで囲まれた隣接する接続用孔構造22同士が導電性接続部材により接続される。図8(a)は、矩形(A4判サイズ)で四隅に上記いずれか一つの同じ接続用孔構造22を備えた情報表示用パネル4枚を並べて構成した情報表示ボードの裏側で、互いの接続用孔構造22を、導電性接続部材で接続して、情報表示ボードの背面側基板全体を、面方向に導通するようにした例を示している。また、図8(b)は、矩形(A4判サイズ)で四隅に上記いずれか一つの同じ接続用孔構造22を備えた情報表示用パネル5枚を並べて構成した情報表示ボードの裏側で、互いの接続用孔構造22を、導電性接続部材で接続して、情報表示ボードの背面側基板全体を、面方向に導通するようにした例を示している。図8(a)および図8(b)ではそれぞれ、必要最小限の数の導電性接続部材を配置して電気的に接続する場合の一例を示している。
【0066】
なお、第1〜4実施形態の情報表示ボード1としては、例えば、A4判サイズの情報表示用パネル11を4枚、いずれも縦向きでマトリクス状に並べた構成の表示画面に、A6判サイズのTFT基板(図示省略)を対面させて表示書き込みを実行するものとすることができる。
しかしながら、情報表示ボード1を構成する情報表示用パネル11の種類(サイズ、形状、表示色など)、枚数、配置レイアウトおよびTFT基板のサイズは上述した形態に限られず、所望の画面レイアウトや、所望の画面サイズで、所望の情報表示を行なえる情報表示ボード1とすることができる。
【0067】
例えば、情報表示用パネル11の種類、配置レイアウトについては、図9(a)に示すように、右上および左上にそれぞれ、A4判縦向き白黒表示型の情報表示用パネル11−1,11−2を配置すると共に、右下および左下にそれぞれ、A5判横向き青白表示型の情報表示用パネル11−3、A5判横向き赤白表示型の情報表示用パネル11−4を配置したり、図9(b)に示すように、右上および左下にそれぞれ、A4判横向きの白黒表示型の情報表示用パネル11−5,11−8、左上および右下にそれぞれ、A4判縦向きの白黒表示型の情報表示用パネル11−6,11−7を配置したり、その構成は自由である。
【0068】
なお、各情報表示用パネル11は、表示書換え装置のTFT基板1画面サイズの整数倍サイズの表示画面を備えるサイズとすることが好ましい。
また、TFT基板サイズはA7判〜A4判程度とすることが表示書換え装置の携帯性の点から好ましい。
情報表示用パネル11の表示画面サイズは生産の容易性を鑑みて、A5判〜A4判が好ましい。
【0069】
(情報表示ボードの一般的な構成要素について)
以下、本発明の情報表示ボードの一般的な構成要素について説明する。
情報表示ボードを構成する複数の情報表示用パネルは、厚さが同じになっていることが好ましい。複数枚の情報表示用パネルを並べて形成した情報表示ボードの観察側の表面ができるだけ平坦になっていることが好ましいからである。
情報表示ボードを構成する複数の情報表示用パネルは、その基板間ギャップが同じになっていることが好ましい。複数枚の情報表示用パネルを並べて形成した情報表示ボードの基板間に配置された表示媒体(粒子群)に対してできるだけ均等に電界を付与することが好ましいからである。もちろん、異なる種類の表示媒体が配置された情報表示用パネルにおいては、それぞれの情報表示用パネルに配置した表示媒体の駆動に適した基板間ギャップが形成される。
したがって、配置した表示媒体の種類が異なる情報表示用パネルを用いる場合には、情報表示用パネルの厚さは同じに構成して、複数の情報表示用パネルを並べて形成した情報表示ボードの厚さは均一になるようにすることが肝要である。各情報表示用パネルの厚さを同じにするには、背面側パネル基板の厚さで調整する。観察側パネル基板の厚さを変えると視認性に影響が出るため好ましくないが、背面側パネル基板の厚さを変えても視認性に影響がないからである。
【0070】
観察側パネル基板は、透明で、面方向に導通しない、絶縁性(すなわち、表面抵抗率が1.0×108Ω/sq〜1.0×1016Ω/sq)基板とする。基板の外側面に、1.0×105Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqの表面抵抗率を有する帯電防止層を設けることもできる。表示書換え装置のTFT付き画素電極が形成されたTFT基板と、情報表示ボードの背面側基板を構成する背面側パネル基板が備える導電層(べた導電膜)との間に、好適な電界を形成することができるからである。
【0071】
背面側パネル基板は、絶縁性基板の上に導電層として導電性べた膜を形成したり、基板自体を導電性基板とし、導電性基板自身を導電層としたりすることができる。背面側パネル基板自体を導電性基板とする場合は、この基板の外側に絶縁膜を形成して保護膜とすることが好ましい。表示画像を書換える際の万が一の感電防止となるからである。
【0072】
表示媒体としては、負帯電性白色粒子および正帯電性黒色粒子のように、互いに帯電極性が異なるとともに、互いに光学的反射率が大きく異なる2色2種類を組合せることが好ましい。帯電性粒子を気体中や真空中で駆動する構成にしたり、絶縁液体中で駆動する構成にしたりできる。後者は電気泳動方式と呼ばれ、帯電性粒子と絶縁液体とをカプセルに封止した構造にして用いることもできる。
上記帯電性粒子のほかに、小球を、互いに帯電極性が異なるとともに、互いに光学的反射率が大きく異なる2色2種類の半球で構成したツイストボール方式を用いることもできる。
【0073】
情報表示ボードの背面側基板を構成する情報表示用パネルの背面側パネル基板に設ける面方向に導通する導電層(共通電極)は、べた状とするほかにも、ストライプ状にしたり、網目状にしたり、ドット状に形成したものを電気的に連続して接続させたりすることができる。また、背面側パネル基板全体を導電性材料基板とする構成にすることもできる。
情報表示ボードの観察側基板を構成する情報表示用パネルの観察側パネル基板は、面方向に導通させない構造とする必要があり、基板全体を絶縁性材料だけで構成したり、絶縁性材料で構成した基板表面に複数のドット状電極をそれぞれが電気的に接続されないように独立に設けて構成したりして、面方向に導通させない構造とすることができる。
【0074】
本発明では、情報表示ボードの背面側に設ける面方向に導通する背面側パネル基板と、表示書換え装置のTFT付き画素電極とが対向して形成する電極対間に形成した電界によって、情報表示ボードの表示画面領域に配置された表示媒体を駆動させる方式をとるため、対向電極対の一方となる背面側の基板は面方向に導通して共通電極として機能する必要があり、対向電極対の間に入り込むことになる観察側の基板は、面方向に導通しないようにして、対向電極対間に発生させた電界をシールドしてしまうことがないようにする。
情報表示ボードの観察側の基板にもドット状の導電膜を設けることもできる。基板を絶縁性材料で構成してあればその表面に導電膜が設けられていても、その導電膜が電気的に接続されていなければ面方向に導通しない構成とすることができ、電界をシールドすることはなく、情報の書換え、言い換えれば、表示媒体駆動の妨げになることがない。
【0075】
情報表示ボードの観察側の絶縁性基板の外側に、帯電防止層として、表面抵抗率が1.0×105Ω/sq 〜1.0×1012Ω/sqの導電膜を設けることができる。帯電防止層を設けることで、情報を表示させた後情報表示ボードに電気的外乱が加わった場合でも、その外乱の影響をなくし、表示させた情報を良好に維持することができる。帯電防止層としては、ポリチオフェン(例えばPoly(3,4-ethylenedioxythiophene)-Poly(Styrenesulfonate);PEDOT-PSS)の様な透明な導電性高分子を塗布した後の透明な膜や、酸化インジウム錫(ITO)や酸化錫(SnOx)などの透明導電性酸化物の粒子を透明樹脂バインダーに分散して構成した透明膜などがある。帯電防止層は、情報表示ボードの観察側となる透明な基板側に設けるため、透明なものとする必要がある。
【0076】
表面抵抗率が、1.0×105Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqである帯電防止層としての膜は、情報表示ボード観察側の基板の外側面をすべて被覆したり、断続させて面方向の導通性をより少なくしたりするように配置する。なお、帯電防止層の膜は、島状では帯電防止機能が不充分であるが、ストライプ状であれば一面コートでなくてもよい。これによって帯電防止効果が得られる。
表面抵抗率が、1.0×105Ω/sqより小さいと、言い換えれば導電性が高いと、観察側の基板全体が面方向に導通しない基板でなくなってしまう不都合があり、1.0×1012Ω/sqを超えると帯電防止機能を得られなくなる不都合がある。
表面抵抗率は、二重リング法と呼ばれる方式で測定した。二重リング法では、二重リング電極(内極φ16mm、外極内径φ30mm、外極外径φ40mm)を用い、5Nの負荷、印加電圧10Vで測定した。測定器としては、シシド電気製「Megaresta Model HT-301」表面抵抗計を用いた。
【0077】
共通電極としては、べた導電膜の代わりに、導電性材料基板を用いて、面方向に導通する導電性基板を用いることもできる。導電性基板材料としては導電性があるものであれば制限はないが、基板の内側表面が共通電極として機能しやすいように電気抵抗の低い、言い換えれば導電性が高い材料であることが好ましく、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金等の導電性金属が好ましい。べた導電膜の代わりに導電性基板を用いる場合には、面方向に導通する共通電極を備える背面側パネル基板を簡単かつ安価に構成することができる。この場合、表示した情報を書換える時には導電性基板の内側面に電圧が印加されるので、この基板の外側面に絶縁膜をコートしておくと手に触れた際に感電するような危険がないので好ましい。
【0078】
導電性基板の保護層とする際に、表面抵抗率が1.0×108Ω/sq未満であると、情報表示ボードに表示書換え装置のTFT基板を対向させて表示した情報を書換える際に万が一情報表示ボードの裏側に触れた際に感電するおそれがある。また、保護層とする場合の絶縁膜の膜厚は、100nm〜5μmとすることが好ましい。
【0079】
絶縁性の膜材料としては、絶縁性(すなわち、表面抵抗率が1.0×108Ω/sq〜1.0×1016Ω/sqの範囲)であれば特に制限されないが、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂などの樹脂が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、黒色系の有色層や白色層を絶縁性膜材で構成とする場合には、着色剤の色を発現しやすい、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂が好適である。これらの樹脂に荷電制御剤を添加して表面抵抗率を調整することもできる。膜の形成方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコーター法、刷毛塗り法等いずれの方法を用いてもよい。また、膜を形成する代わりに、上記絶縁性材料のフィルムを貼り合せてもよい。
【0080】
情報表示用パネルの少なくとも一方の観察側パネル基板は、外側から表示媒体が確認できるように、少なくとも表示画面領域が透明な基板であり、透明部分では、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。もう一方の背面側パネル基板は透明でも不透明でもかまわない。情報表示用パネルの基板に適用可能な材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルフィン(PES)、アクリル等のプラスチックや、ガラス、石英、金属等を用いることができる。表示書換え装置のTFT基板面と対向させる観察側の基板は面方向に導通しない構成とする。その厚さは、2μm〜2000μmが好ましく、さらに5μm〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、2000μmより厚いと、情報表示ボードの背面側にある導電層(共通電極)と、表示書換え装置のTFT基板の画素用電極とが離れすぎてしまい、電極間の電圧を大きくしないと表示媒体を駆動できる電界強度が得られない不都合がある。
【0081】
なお、表示書換え装置のTFT基板と対向させない背面側の導電層を備えた基板の厚さは、特に制限がないが、厚くしすぎると薄型の情報表示ボードでなくなったり、軽量の情報表示ボードでなくなったりして設置しにくくなるので、25μm〜2000μmの範囲にする。また、基板の厚さが25μmより薄いと、複数の情報表示用パネルを互いに接合して情報表示ボードを作製する時の接合が十分でなくなる不都合がある。
【0082】
TFT基板が備える画素用電極と対向配置させる情報表示ボード側の導電層を構成する情報表示用パネルの共通電極(例えば、べた導電膜)としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電性金属酸化物類やポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン(例えば、
Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)-Poly(Styrenesulfonate) (PEDOT:PSS))などの導電性高分子類などに加えて、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を用いることができる。
【0083】
導電層とする導電膜の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布する方法などが用いられる。面方向に導通するパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。導電膜の厚さは、導電性が確保できれば良く、0.01μm〜10μmが好ましく、0.05μm〜5μmがより好ましい。
【0084】
ITO等の金属酸化物系材料は、金属材料に比べて可撓性が小さい。ITO等の金属酸化物系材料で導電膜を構成する場合には、導電膜中での断線防止のため、金属細線と併用することが好ましい。この金属細線の幅を1μm〜10μmとして、互いに100μm程度以上離して配置したり、100μm程度以上の開口となる網目状に配置したりする。また、背面側基板に設ける導電膜の厚さは電気抵抗および生産性、コストの観点から、0.01μm〜10μmに設計される。
【0085】
情報表示用パネルを接合する際に、シール材および接着材として機能する防湿性絶縁材の物性における好ましい範囲を示すと下記の通りである。観察側から配置するので硬化した後、はみ出しが見えない透明なものが好ましい。
・粘度(硬化前):0.1Pa・s〜10Pa・s (25℃)
・硬化条件:紫外線硬化タイプ、または、湿度硬化タイプ、または、溶剤除去タイプ
・絶縁性(硬化後):体積抵抗率が、1.0×1013Ω・cm〜1.0×1016Ω・cmの範囲
・透湿度(硬化後):1000g/m2以下(40℃、90%RH、24h)
・イオン濃度(硬化後):Naイオン、Clイオン共に10ppm 以下
【0086】
情報表示用パネルには、2枚のパネル基板(観察側パネル基板と背面側パネル基板)の間隔を確保するとともに、表示媒体を収納するセルを形成するために隔壁(リブ)を形成する。本発明に係る情報表示用パネルでは、2枚のパネル基板の周囲側面とシール材配置スペースを残してほぼ面一になるように枠状の隔壁(枠リブ)を形成し、その枠リブで囲まれた内側領域をさらに隔壁(リブ)で区切ってセルが形成される。表示媒体を粒子群とし、その粒子の平均粒子径が、1μm〜20μm程度の場合、情報表示用パネルにおけるセル開口の大きさは、長方形であれば、1辺の長さが50μm〜100μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度であり、ハニカム(六角形)形状の場合は、向かい合う頂点の距離が100μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度が好ましい。このような構成にすれば、セル内で移動を繰り返した粒子が、凝集したり、偏在したりする不都合が発生しにくい。
セルは隔壁で囲んで構成する他にもマイクロカプセルとすることもできる。いずれの場合も、セル内を気体(真空を含む)で満たした空間としたり、絶縁液体で満たした空間としたりする。
【0087】
2枚のパネル基板の周囲側面とシール材配置スペースを残してほぼ面一になるように形成した枠リブの内側をセルに仕切るための隔壁の配置は格子状、ハニカム状、網目状などにすることができる。
セルの横断面形状は、四角形、三角形、六角形、階段型八角形等の多角形や、円形、楕円形、レーストラック形等いずれでも良いし、複数の形状を組み合わせても良い。
非表示領域となる隔壁の占める割合を小さくできる点からは四角形、階段型八角形や六角形が好ましく、表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有する形状が好ましい。前記二つの点から角丸付きの四角形や角丸付きの六角形、角丸付きの階段型八角形が好ましく用いられる。
【0088】
隔壁(リブ)の形成材料としては、レジスト材が好適であり、液状レジスト材やドライフィルムレジスト材が用いられる。ドライフィルムレジスト材の一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。
上記したレジスト材に顔料を配合せずにフォトリソグラフィーを実行して透明な隔壁とすることがある。この場合には、この透明隔壁を介して、観察側から見て透明隔壁の裏側にある色を視認することができるので、この裏側部分にある基板の色または電極の色を利用してブラックマトリックス効果やホワイトマトリックス効果のほか、透明隔壁の裏側にある色による不揮発情報を得られるようにすることもできる。複数の情報表示用パネルを並べて接合した情報表示ボードの大画面を形成するとき、透明隔壁を介して、背面側の基板に形成された不揮発情報を見ることができる。
【0089】
帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として、気体中空間(真空中を含む)で駆動させる方式の情報表示ボードとする場合には、表示画面を構成する基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、対向する2枚の基板に挟まれる部分から、電極、表示媒体の占有部分、隔壁の占有部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるようにパネル基板間に封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿分浸入を防ぐためのシール材を配置することが肝要である。本発明の情報表示ボードを作製する際に、複数の情報表示用パネルを接合する接合材として接着機能およびシール機能を有する防湿性絶縁材を用いることで、枠リブの内側領域に、外から湿分が浸入するのを防ぐことができる。
また、本発明の情報表示ボードを作製する際に、複数の情報表示用パネルを接合した継ぎ目から、外部の湿分が浸入することをより確実に防止するために、接合後の情報表示ボードの観察側面および背面側面の全面に湿分バリヤ層を形成することもできる。観察側には透明な湿分バリヤ層を形成するが、背面側の湿分バリヤ層は透明でなくてもよい。
【0090】
本発明の情報表示ボードを構成する情報表示用パネルの観察側パネル基板と背面側パネル基板との間隔は、表示媒体が駆動できて、表示コントラストを維持できればよく、2μm〜500μm、好ましくは5μm〜200μmに、表示媒体の種類に合わせて調整される。
帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として、気体中空間(真空中を含む)で駆動させる方式とする場合には、基板と基板との間隔は10μm〜200μm、好ましくは10μm〜100μmの範囲で調整される。
さらに、この場合に、基板間の気体中空間(真空中を含む)における表示媒体の体積占有率は5%〜70%が好ましく、さらに好ましくは5%〜60%である。70%を超える場合には表示媒体としての粒子の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【0091】
情報表示ボードにおいて、例えば以下に説明するものを表示媒体として用いることができる。この表示媒体は、帯電性粒子を含んだ粒子群として構成され、表示メモリー性を有する表示媒体である。
正帯電性黒色表示媒体として例えば、メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60質量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40質量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3質量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5質量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5質量部を溶解させた後、さらに2質量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径9.2μmの正帯電性黒色粒子群を得ることができる。この正帯電性黒色粒子群に、シリカ微小粒子(Wacker社製 H3050VP)を外添して粒子表面に付着させることによって、正帯電性黒色表示媒体とすることができる。
【0092】
負帯電性白色表示媒体として例えば、ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18;三井化学社製)100質量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)100質量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5質量部とを二軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、さらに、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、平均粒子径が、9.5μmの負帯電性白色粒子群を得ることができる。この負帯電性白色粒子群にシリカ微小粒子(Wacker社製 H3004)を外添して、粒子表面に付着させることによって、白色表示媒体とすることができる。
【0093】
正帯電性赤色表示媒体として例えば、ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18;三井化学社製)100質量部と、着色剤として赤色顔料(C.I.ピグメントレッド2)5質量部と、二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)90質量部と、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3質量部、とを二軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化し、さらに、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、平均粒子径が、9.0μmの正帯電性赤色粒子群を得ることができる。この正帯電性赤色粒子群に、シリカ微小粒子(Wacker社製 H3050VP)を外添して粒子表面に付着させることによって、正帯電性赤色表示媒体とすることができる。
【0094】
帯電性粒子だけで構成した粒子群を表示媒体としたり、このようにして帯電性粒子に外添した微小粒子を付着させた構成の粒子群を表示媒体としたりする。帯電性粒子と外添付着させる微小粒子とのサイズの関係は、帯電性粒子の平均粒子径が1μm〜20μmの範囲であるのに対して、微小粒子の平均粒子径は10nm〜500nmの範囲である。このような粒子群で構成した表示媒体を、対向する電極間に形成した電界で駆動させることができる。
【0095】
表示書換え装置のTFT付き画素電極は、ドット電極をマトリックスに配置したり、個別に設計された形状の電極にして配置したりできるが、本発明の情報表示ボードと組み合わせて情報表示システムとして用いる場合には、マトリックス配置することが好ましい。
TFT基板のサイズは、表示書換え装置の取り扱い易さや携帯性を鑑みて、A7判程度〜B4判程度とすることが好ましい。
TFT基板の形状と情報表示ボ−ドの画面を構成する情報表示用パネルの画面形状とは相似とし、TFT基板の面積S1に対する情報表示用パネルの画面面積S2の比を、S2/S1=1、2、3、・・・(この比は整数)とすることが好ましい。
表示書換え装置において、駆動回路は、TFT基板の画素電極と接続されているが、その他に、情報表示ボードの共通電極(導電性接続部材によって互いに導通した情報表示用パネル背面側パネル基板が備える導電層)と接続するための接続線が引き出されており、この接続線の先端部は、情報表示ボードに設けられた接続用コネクタ端子部と接続できる接続用コネクタ端子部となっている。表示書換え装置側の接続用コネクタ端子部に、中継用コードが接続され、この中継用コードの先端を、情報表示ボードに設けられた接続用コネクタ端子部と接続するようにしてもよい。取っ手を設け、表示書換え装置または表示書換え装置と繋がったTFT基板を、取ってを介して手で持って、情報表示ボード画面に対向配置できるようにすることが好ましい。
【0096】
表示書換え装置は、薄膜トランジスタ(TFT)付きの画素用電極を備えるTFT基板を備える。また、表示書換え装置が備えるTFT基板に形成された画素用電極の表面には、保護用の絶縁膜を配置する。この保護用の絶縁膜は配置しなくても良いが、情報表示ボードの表示画面領域に表示書換え装置のTFT基板面を対向させて表示書換えを行う時などに、TFT基板の画素用電極を機械的に傷つけてしまうことを防いだり、万が一、TFT基板の画素用電極を傷つけてしまっても断線につながることを抑制したりすることできるので、保護用の絶縁膜は設けることが好ましい。
【0097】
また、情報表示ボード画面に表示書換え装置のTFT基板面を対向させて表示書換えを行う時に、導電性の異物などを挟んでしまった場合に、保護用の絶縁膜が無いと、TFTの画素用電極間が電気的にショートしてしまい、表示に影響を与える可能性が考えられるが、この場合も保護用の絶縁膜があれば、画素用電極間のショートを起こす心配が無い。
【0098】
表示書換え装置には、表示書換え装置の駆動回路側と情報表示ボードの接続用コネクタ端子部とを電気的に接続するための接続用ケーブル、または、中継接続用ケーブルを介して、表示書換え装置の駆動回路側と情報表示ボードの接続用コネクタ端子部とを電気的に接続するための接続用コネクタ端子部が設けられる。
【0099】
接続用ケーブルや中継接続用ケーブルは従来のコード線の両端に、それぞれの接続先に合せた構造の接続用コネクタ端子部が設けられる。この接続用コネクタ端子部は着脱ができるように構成する。
【実施例】
【0100】
以下、本発明の実施例について説明する。この例は、2色2種類の互いに帯電極性が異なる粒子群を表示媒体として用いた場合である。2色2種類の表示媒体としては、前述したものを組合せて用いた。
情報表示用パネルの観察側パネル基板としては、全面透明なA4判サイズのポリエチレンテレフタレート(PET)基板(厚さ 50μm)を用いた。
情報表示用パネルの背面側パネル基板としては、A4判サイズの銅基板(厚さ 100μm)を用いた。
【0101】
枠リブおよび枠リブの内側領域にセルを形成するリブ(いずれも基板間ギャップを確保する)は、ドライフィルムレジスト(アルフォNIT2 ニチゴーモートン社製)を用い、フォトリソグラフィーで格子状(内側スペース300μm×300μm)に、リブ幅30μm、リブ高50μmで、前述したA4判サイズのPET基板(観察側パネル基板)に対して形成した。枠リブは、PET基板に対して、シール材配置スペースを残してほぼ面一に形成した。
【0102】
格子状に配置されたセルに、前述の白色粒子群および黒色粒子群または前述の白色粒子群および赤色粒子群を充填した後、銅基板を貼り合わせ情報表示用パネル(A4判)とした。基板同士を貼り合わせる際には、リブ上に接着剤を、枠リブ(最外周リブ)の外側にシール材を、それぞれ配置してから貼り合せた。
【0103】
図10に示したレイアウトで4枚の情報表示用パネルを、それぞれの観察側パネル基板端部および背面側パネル基板端部が接するように並べた後、図10(b)に示す位置に導電性接続部材(銀ペースト)13を配置した。
情報表示用パネル11の種類、配置レイアウトについては、図10(a)に示すように、右上、左上および左下にそれぞれ、A4判縦向き白黒表示型の情報表示用パネル11−1,11−2および11−4を配置すると共に、右下にA4判縦向き白赤表示型の情報表示用パネル11−3を配置した。
【0104】
その後、図11に示すように、4枚の情報表示用パネルの繋ぎ目の隙間に、防湿性絶縁材15(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス社製SA3220 紫外線硬化タイプ)を配置した。防湿性絶縁材15の配置は、ディスペンサーを用いて観察側から、隙間に流し込むようにして行なった後、紫外線で硬化させた。硬化後は透明となり、観察側から見てもその視認性には問題はなかった。
また、硬化後の隙間は約30μmであった。
【0105】
実施例では、さらに、導電性接続部材13として銀ペーストが配置された銅基板8’の上に、絶縁性ポリウレタンシート23(厚さ1mm)を粘着剤24で貼り合せた。この絶縁性ポリウレタンシート23は、感電防止となるとともに、表示書換え装置のTFT基板を表示画面に押し当てた時に画面をTFT基板面に押し返す弾性部材にもなり、対向する電極間距離を均一にして、電極間に形成する電界を均一にして、表示媒体の駆動性を均一にする効果があるので、良好な表示画像が得られるようになる。
また、実施例では、表示書換え装置との接続用コネクタ端子部19は、白赤表示画面となる情報表示用パネルの銅基板8’に実装したが、A4判縦向き白赤表示型の情報表示用パネル11−3に予め接続用コネクタ端子部を形成しておいても実施例と同様の情報表示ボードを得ることができる。
【0106】
実施例の情報表示ボードは、4枚のA4判サイズの情報表示用パネル11を2×2の配列で並べて形成したA2判サイズの表示画面を有する。この情報表示ボードに対して、A4判サイズのTFT付画素電極(300μm×300μm)がマトリクス配置されたTFT基板面を有する表示書換え装置で表示を実行する情報表示ボードシステム3とした。
【0107】
TFT基板面と、TFT基板面と対向した表示画面側の導電層(銅基板面)との間にある粒子群(表示媒体)を、TFT基板の配列画素に対応して移動させて表示を実行した。
情報表示ボードの表示画面(4個の情報表示用パネルの表示画面で構成された表示画面)において、4個の情報表示用パネルそれぞれの表示画面領域内に収まる位置でTFT基板面を押し当てて表示させたところ良好な表示が行なえた。
白黒表示画面には白地に黒で文字情報が表示され、白赤表示画面には白地に赤で文字情報が表示され、表示画面全体を使って、目を引き付けるような工夫を凝らした表示ができた。
【0108】
また、情報表示ボードの表示画面中央部に、すなわち、4個の情報表示用パネルの表示画面それぞれに跨る位置にTFT基板面を押し当てて連続した図形画像を表示させたところ、白黒表示画面には白地に黒で図形の一部が表示され、白赤表示画面には白地に赤で図形の残り部分が表示された。表示された図形画像は、画面の繋ぎ目部分にあたる、粒子群(表示媒体)が配置されていない部分が欠落したものの、画像全体として認識するには十分なものであった。
【0109】
このように、本発明の情報表示ボードは情報表示形態において多様性がある表示画面を提供できることが確認された。
また、本発明の情報表示ボードは上述したような製造方法で容易に製造できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の情報表示ボードを用いる情報表示ボードシステムは、大画面を備えた薄型の情報表示ボードと、コンパクトで携帯性に優れた表示書換え装置とで構成することができ、情報表示ボードの画面に対して、表示書換え装置のTFT基板部分を対面対向させるとともに、表示書換え装置側の接続用コネクタ端子部と、情報表示ボードの接続用コネクタ端子部とを電気的に接続した後、表示書換え装置を作動させて、情報表示ボードの画面の任意の場所に表示したい情報を表示することができる。また、情報表示ボードの画面レイアウトを表示する情報の内容や表示する目的に応じて設計でき、表示画面を構成する情報表示用パネルのサイズを変えることによって、あるいは、表示画面を構成する情報表示用パネルの並べ方を変えることによって、バリエーションに富んだ表示ができる情報表示ボードとなる。したがって、この情報表示ボードは、情報表示板、情報掲示板、電子黒板(白板)、電子広告板、説明用展示板等の用途に好適に使用することができるほか、搭載内容を示すための表示ボードとしてコンテナの外側に取り付けたり、ウェルカム・ボードとしてホテルの玄関先や客室ドアに設置したりするような使い方もできる。
【符号の説明】
【0111】
1,1a,1b,1c,1d 情報表示ボード
2 表示書換え装置
3 情報表示ボードシステム
4 TFT付き画素電極
5 導電層(共通電極)
6 観察側パネル基板
7 表示媒体
8 背面側パネル基板
9 隔壁
10 保護層
11 情報表示用パネル
12, 12’背面側パネル基板に設けた接続用の孔構造
13 導電性接続部材(導電性接着剤などの部材)
13−1 突起
14 導電部材(導電性材料)
15 互いに隣接する情報表示用パネル同士を接合するシール材(防湿性絶縁材)
16 保護用絶縁膜
17 表示媒体層
18 枠リブ周囲に配置したシール材
19 接続用コネクタ端子部
20 導電性接続部材(接続用シート部材)
20−1 凸部
21 保護用絶縁膜に設けた接続用の孔構造(スルーホール)
22 接続用孔構造
23 絶縁性ポリウレタンシート
24 粘着剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報表示用パネルを所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する上記情報表示用パネル同士を、シール材を介して接合してなる情報表示ボードにおいて、
上記情報表示用パネルは、透明でかつ面方向に導通しない観察側パネル基板と、面方向に導通する背面側パネル基板との間に表示媒体を配置し、表示書換え装置が有する薄膜トランジスタ(TFT)付き電極を、上記観察側パネル基板に対向させて配置することにより形成した電界で、上記表示媒体を駆動して情報表示を行う構造になり、
互いに隣接する上記背面側パネル基板が備える導電層同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする情報表示ボード。
【請求項2】
前記情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、導電性基板自身であり、
互いに隣接する上記背面側パネル基板同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示ボード。
【請求項3】
前記背面側基板の外側表面全面を、保護用絶縁膜で被覆したことを特徴とする、請求項2に記載の情報表示ボード。
【請求項4】
前記情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、絶縁性基板の上に形成された導電層であって、
互いに隣接する上記背面側パネル基板の上記導電層同士を、上記絶縁性基板に形成した孔構造を介して、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示ボード。
【請求項5】
前記絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内側の側表面に導電膜が形成されたスルーホール構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記スルーホール構造に嵌合する少なくとも2つの凸部を有する接続用シート部材であり、該凸部の先端を、互いに隣接する背面側パネル基板のスルーホール構造に挿入し、上記導電膜を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする、請求項4に記載の情報表示ボード。
【請求項6】
前記絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内部に導電部材が埋め込まれた埋め込み型構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記埋め込み型構造の上記導電部材に接合される突起を有する接続用シート部材であり、該突起を、互いに隣接する背面側パネル基板の埋め込み型構造になる上記導電部材に接合し、上記導電部材を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする、請求項4に記載の情報表示ボード。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の情報表示ボードに用いる情報表示用パネルであって、
該情報表示用パネルの平面視形状が矩形であり、
背面側パネル基板は、導電層と絶縁層との二層構造の基板であるとともに、
上記背面側パネル基板の四隅の上記絶縁層に孔が設けられ、
上記孔は、その内側に上記導電層から上記絶縁層の外側面に延在する導電部材が形成された接続用の孔構造が設けられていることを特徴とする情報表示用パネル。
【請求項1】
複数の情報表示用パネルを所定の表示画面レイアウトに従って配置し、互いに隣接する上記情報表示用パネル同士を、シール材を介して接合してなる情報表示ボードにおいて、
上記情報表示用パネルは、透明でかつ面方向に導通しない観察側パネル基板と、面方向に導通する背面側パネル基板との間に表示媒体を配置し、表示書換え装置が有する薄膜トランジスタ(TFT)付き電極を、上記観察側パネル基板に対向させて配置することにより形成した電界で、上記表示媒体を駆動して情報表示を行う構造になり、
互いに隣接する上記背面側パネル基板が備える導電層同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする情報表示ボード。
【請求項2】
前記情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、導電性基板自身であり、
互いに隣接する上記背面側パネル基板同士を、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示ボード。
【請求項3】
前記背面側基板の外側表面全面を、保護用絶縁膜で被覆したことを特徴とする、請求項2に記載の情報表示ボード。
【請求項4】
前記情報表示用パネルの背面側パネル基板の導電層が、絶縁性基板の上に形成された導電層であって、
互いに隣接する上記背面側パネル基板の上記導電層同士を、上記絶縁性基板に形成した孔構造を介して、これら背面側パネル基板の外側面間に架設した導電性接続部材により互いに導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示ボード。
【請求項5】
前記絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内側の側表面に導電膜が形成されたスルーホール構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記スルーホール構造に嵌合する少なくとも2つの凸部を有する接続用シート部材であり、該凸部の先端を、互いに隣接する背面側パネル基板のスルーホール構造に挿入し、上記導電膜を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする、請求項4に記載の情報表示ボード。
【請求項6】
前記絶縁性基板に形成した孔構造が、当該絶縁性基板に形成された導電層と導通するように、孔内部に導電部材が埋め込まれた埋め込み型構造であるとともに、前記導電性接続部材が、上記埋め込み型構造の上記導電部材に接合される突起を有する接続用シート部材であり、該突起を、互いに隣接する背面側パネル基板の埋め込み型構造になる上記導電部材に接合し、上記導電部材を介して、互いの導電層を導通させて、面方向に導通する背面側基板を構成したことを特徴とする、請求項4に記載の情報表示ボード。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の情報表示ボードに用いる情報表示用パネルであって、
該情報表示用パネルの平面視形状が矩形であり、
背面側パネル基板は、導電層と絶縁層との二層構造の基板であるとともに、
上記背面側パネル基板の四隅の上記絶縁層に孔が設けられ、
上記孔は、その内側に上記導電層から上記絶縁層の外側面に延在する導電部材が形成された接続用の孔構造が設けられていることを特徴とする情報表示用パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−29773(P2013−29773A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167381(P2011−167381)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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