説明

情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示制御プログラムおよび記録媒体

【課題】本発明は、受信した情報態様の異なる複数の映像情報の切替により損失した映像情報の内容を文字情報(字幕情報)に基づいて補完することを可能にした情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示制御プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】12セグメント放送における映像と字幕とを受信するほか、同一放送内容のワンセグ放送における映像と字幕とを受信し、それぞれの字幕情報を記憶しておく。12セグ放送の映像若しくはワンセグ放送の映像を相互に切り替えて表示したときに、記憶してあるワンセグ放送における字幕を、切り替え後の12セグ放送の映像とともに表示するように出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示制御プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体に搭載したデジタル放送受信機では、符号化(デジタル化)した映像情報や音声情報のほかマルチメディア情報等のデジタル放送を受信することができる。
【0003】
このデジタル放送は、6MHzの帯域を複数のセグメント(デジタル放送の規定として策定されたISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial)では13セグメント)に別けてセグメント単位で受信する放送方式であって、このうち、1つのセグメントのみを利用して提供するデジタル放送を「ワンセグ放送」と称し、ワンセグ放送に用いられるセグメント以外のセグメントを用いて提供するデジタル放送を「12セグ放送」と称している。
【0004】
ワンセグ放送と12セグ放送とは相互に切り替えることができ、電波の受信状態に応じて最適な放送形態へと切り替えが行われる。このワンセグ放送と12セグ放送とでは「サイマル放送」によって同じ番組を放送することができる。
【0005】
このワンセグ放送と12セグ放送とでは圧縮形式が異なることから伝送タイミングや解凍に要する時間が異なることから、相互間の切替にタイムラグが生じてしまうことがある。
【0006】
特許文献1では、強階層(ワンセグ放送)の字幕情報に代えてサイマル放送されている弱階層(12セグ放送)の字幕制御情報を、強階層用として表示するための編集字幕情報に変換して強階層の映像情報と同期化させて表示させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−171393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来技術では、強階層(ワンセグ放送)を受信しているときに弱階層(12セグ放送)受信時と同等に情報量の多い高度な字幕情報を表示することができるものの、ワンセグ放送と12セグ放送とを切り替える際に生じる映像音声情報の欠損を補うことができるものではない。
【0009】
そこで、本発明は、受信した情報態様の異なる複数の映像情報の切替により損失した映像情報の表示内容を字幕情報に基づいて補完することを可能にした情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示制御プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、第1映像情報および当該第1映像情報の内容に基づく第1文字情報を受信する第1の情報受信手段と、前記第1映像情報と同種の内容であって前記第1映像情報とは異なる情報態様の第2映像情報および当該第2映像情報の内容に基づく第2文字情報を受信する第2の情報受信手段と、前記第2の情報受信手段によって受信した前記第2文字情報を前記第2映像情報に対応付けて記憶する文字情報記憶手段と、前記第1の情報受信手段によって受信した第1映像情報と前記第2の情報受信手段によって受信した第2映像情報のいずれか一方を表示する表示手段と、前記表示手段によって表示される前記第1映像情報と前記第2映像情報とを相互間で表示切替を行う表示切替手段と、前記表示切替手段によって前記第2映像情報から前記第1映像情報へと表示切替される際に、前記表示切替後に前記文字情報記憶手段で記憶している前記第2映像情報に対応付けられた前記第2文字情報を、表示切替後の前記第1映像情報とともに出力制御する出力制御手段とを具備する。
【0011】
また、請求項8の発明は、情報表示制御装置に用いられる情報表示制御方法であって、
第1映像情報および当該第1映像情報の内容に基づく第1文字情報を受信する第1の情報受信工程と、前記第1映像情報と同種の内容であって前記第1映像情報とは異なる情報態様の第2映像情報および当該第2映像情報の内容に基づく第2文字情報を受信する第2の情報受信工程と、前記第2の情報受信工程によって受信した前記第2文字情報を前記第2映像情報に対応付けて記憶する文字情報記憶工程と、前記第1の情報受信工程によって受信した第1映像情報と前記第2の情報受信工程によって受信した第2映像情報のいずれか一方を表示する表示工程と、前記表示工程によって表示される前記第1映像情報と前記第2映像情報とを相互間で表示切替を行う表示切替工程と、前記表示切替工程によって前記第2映像情報から前記第1映像情報へと表示切替される際に、前記表示切替後に前記文字情報記憶工程で記憶している前記第2映像情報に対応付けられた前記第2文字情報を、表示切替後の前記第1映像情報とともに出力制御する出力制御工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の情報表示制御方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項10の発明は、請求項9に記載の情報表示制御プログラムが、演算手段により読み取り可能にされている、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示制御プログラムおよび記録媒体を適用して構成した情報表示制御装置の詳細な構成を示すブロック図の一例。
【図2】MPEG−2 TSの伝送技術を用いて伝送を行う場合におけるMPEG−2 TSパケットのデータ構造を示す図。
【図3】図1に示す情報制御処理部105の詳細な構成を示すブロック図。
【図4】図1に示す情報解析部103の詳細な構成を示すブロック図。
【図5】映像音声情報の出力状態および字幕情報の出力状態を時系列に表したタイミングチャート。
【図6】映像音声情報の出力状態および字幕情報の出力状態を時系列に表したタイミングチャート。
【図7】字幕情報同士を併合して映像音声情報に重畳させて表示させた状態を示す図。
【図8】映像音声情報の出力状態および字幕情報の出力状態を時系列に表したタイミングチャート。
【図9】映像音声情報の出力状態および字幕情報の出力状態を時系列に表したタイミングチャート。
【図10】本発明の実施の形態における情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示制御プログラムおよび記録媒体を適用して構成した情報表示制御装置において行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図11】図10に示す、デジタル放送情報を出力する表示形態の切替(ワンセグ放送から12セグ放送への切替)イベントが発生した場合における出力制御処理の詳細な流れを示すフローチャート。
【図12】図10に示す、デジタル放送情報を出力する表示形態の切替(12セグ放送からワンセグ放送への切替)イベントが発生した場合における出力制御処理の詳細な流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係わる情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示制御プログラムおよび記録媒体の一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施の形態における情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示制御プログラムおよび記録媒体を適用して構成した情報表示制御装置の詳細な構成を示すブロック図の一例である。
【0017】
図1において、情報表示制御装置100は、「デジタル(ディジタル)放送受信装置」とも称され、同調処理部101、受信データ処理部102、情報解析部(ソースデコーダ部)103、記憶部104、情報制御処理部105を具備して構成されている。
【0018】
この情報表示制御装置100の情報解析部103で解析処理が行われた情報が、音声出力装置(スピーカ)を備える表示ディスプレイ110に表示される。
【0019】
同調処理部101は、「チューナー」とも称され、放送局等において撮像、作成された映像情報(「表示情報」ともいう)、音声情報、文字情報(以下、「字幕情報」という)等(以下、これらを総称して「デジタル放送情報」という)を、離散的に変化させたデジタル信号のデジタル放送を同調受信する。
【0020】
このデジタル放送の同調受信に際して、放送局等において撮像、作成されたデジタル放送情報は、デジタル信号へとデジタル化(符号化)され、デジタル放送情報を構成する各情報に最適な圧縮形式によって圧縮処理される(圧縮符号化処理)。そして、この圧縮符号化の処理がされたデジタル放送情報は多重化され、電波塔や衛星等を介して送られてくる。
【0021】
この圧縮符号化技術として、映像情報に対しては、「MPEG−2(Moving Picture Experts Group-2)」や、「H.264/AVC(Advanced Video Coding)」などの圧縮符号化技術を用い、また、音声情報に対しては、「MPEG−2 AAC(Advanced Audio Coding)」等の音声符号化方式を用い、字幕情報に対しては、BML(Broadcast Markup Language)などのデータ放送用記述言語を用いることができる。
【0022】
このようにして圧縮符号化されたデジタル放送情報は、MPEG−2 TS(トランスポート・ストリーム)等の伝送技術を用いることによってストリームにより多重化して伝送される。
【0023】
同調処理部101では、このようにして多重化されたデジタル放送情報を受信して復調する。
【0024】
MPEG−2 TS伝送技術等に基づいて伝送されたデジタル放送情報は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式等の変調方式によって変調され、伝送制御されることにより同調処理部101において受信することができる。
【0025】
このOFDMによる変調方式は、放送に用いる周波数帯を13個のセグメントに分割して利用する13セグメント構造を有していることからセグメント単位での変調(復調)が可能であって、このうち、所定の周波数帯の1つのセグメントのみを利用してデジタル放送情報を受信する方式を「ワンセグ放送」と称し、このワンセグで利用されるセグメント以外の他のセグメントを用いてデジタル放送を受信する方式を「12セグ放送」と称する。
【0026】
すなわち、異なる2つの情報態様(以下、「表示態様」ともいう)において同種の内容(番組内容)を受信することができる。このときのワンセグ放送は、12セグ放送に用いられる圧縮処理の圧縮率よりも高い圧縮率の圧縮符号化技術を用いて圧縮処理が行われている。
【0027】
この同調処理部101で受信したデジタル放送情報のデータ形式を図2に示している。
【0028】
図2は、MPEG−2 TSの伝送技術を用いて伝送を行う場合におけるMPEG−2 TSパケットのデータ構造を示す図である。
【0029】
図2において、図2(a)は、MPEG−2 TSパケットの全体構造を示しており、全188バイトによって構成されている。このMPEG−2 TSパケットは、MPEG−2 TSヘッダ部201、MPEG−2 TSデータ部202を具備して構成されている。
【0030】
さらに、図2(b)には、図2(a)に示すMPEG−2 TSヘッダ部201における詳細なデータ構造、および、MPEG−2 TSデータ部202における詳細なデータ構造を示している。
【0031】
図2(b)のMPEG−2 TSヘッダ部201は、少なくとも同期信号203、TSエラー表示204、ペイロードユニットスタート表示信号205、優先度表示信号206、PID207、スクランブル制御信号208、アダプテーションフィールド制御信号209、連続性カウンタ210によって構成されている。
【0032】
PID207は、MPEG−2 TSパケットの種類を識別する情報であって、MPEG−2 TSパケットがどのような情報であるかを示している情報である。
【0033】
このPID207には、デジタル放送情報のいずれかの情報(映像情報、音声情報、字幕情報)であるかを識別する種別情報や、表示形態(情報態様)に関する情報、どのチャンネルに関する情報であるかを示す情報などが指定されている。
【0034】
このようなパケット構造からなるデジタル放送情報を受信した図1に示す同調処理部101では、このデジタル放送情報を受信データ処理部102へと送出する。デジタル放送情報が送出されてきた受信データ処理部102は、図2に示すようなパケット構造のPID207を用いて多重化されたデジタル放送情報を解析することによって、指定された(設定された)チャンネルごとに、圧縮符号化されたデータを復号するデコード処理を行う。
【0035】
ワンセグ放送の場合、上述するように、12セグ放送に比べて高圧縮率にて圧縮されていることから12セグ放送におけるデジタル放送情報をデコード処理するよりも多くの時間が必要となる。このため、ワンセグ放送におけるデジタル放送情報の表示は12セグ放送におけるデジタル放送情報の表示よりも遅延することがある。
【0036】
このようにしてデコード処理した受信データ処理部102では、デコード処理後のデジタル放送情報を情報解析部103へと送出する。
【0037】
また、この受信データ処理部102は、情報制御処理部105に対してその情報制御処理部105において受信状態の情報(以下、「受信状態情報」という)として取り扱う元となる情報を送出する。この「受信状態の情報として取り扱う元となる情報」として、例えば、受信したMPEG−2 TSパケットの単位時間あたりのパケット量や誤り訂正の処理数に基づく伝送損失率などの情報のほか、電界強度の情報がある。
【0038】
この電界強度の情報は、電波塔から離れた距離や電波状態に基づいて決定される強度情報であって、一般的に距離に応じて電界強度が低下することとなる。
【0039】
情報制御処理部105は、このような情報(受信状態の情報として取り扱う元となる情報)を、「受信状態情報」として登録する。
【0040】
受信データ処理部102からデコード処理したデジタル放送情報を受信した情報解析部103では、記憶部104を作業領域として、このデジタル放送情報の受信状態に応じた表示形態に切り替えて最適な表示形態でそのデジタル放送情報を表示ディスプレイ110に出力する。すなわち、デジタル放送情報の映像情報の場合には表示ディスプレイ110に表示出力し、音声情報の場合には音声出力し、字幕情報の場合には表示出力する。
【0041】
この情報解析部103によって行われる表示形態の切替処理および字幕情報の表示/非表示の切替処理は、情報制御処理部105からの通知信号を受けることによって、その通知信号で指定された表示形態や字幕情報の表示有無に基づいて行われる。
【0042】
図3は、図1に示す情報制御処理部105の詳細な構成を示すブロック図である。
【0043】
図3において、情報制御処理部105は、情報登録制御部50、受信状態情報記憶部51、表示形態切替判断制御部52、情報記憶部53、字幕表示指示制御部54を具備して構成される。
【0044】
図1に示す受信データ処理部102から「受信状態の情報として取り扱う元となる情報」が送出されてくると、情報登録制御部50がこの情報を受信し、情報登録制御部50は、この「受信状態の情報として取り扱う元となる情報」を受信状態情報記憶部51に受信状態情報として登録する処理を行う。
【0045】
これによって、受信状態情報記憶部51は、情報登録制御部50による登録処理により受信状態情報を記憶した状態となる。
【0046】
続いて、表示形態切替判断制御部52では、受信状態情報記憶部51を監視しており、受信状態情報の登録が新たに開始されたことを検知すると、すなわち、情報表示制御装置100がデジタル放送情報を新たに受信したことを検知すると、情報記憶部53で記憶している「表示形態切替判定情報」を作業領域に展開してその「表示形態切替判定情報」に基づく表示形態の切替制御を行う。
【0047】
この情報記憶部53は、「表示形態切替判定情報」および「字幕表示設定情報」を記憶している。
【0048】
この「表示形態切替判定情報」は、表示形態をワンセグ放送と12セグ放送とで相互に切り替える判定処理を行う元となる情報であって、例えば、切替判定を行う閾値の伝送損失率や電界強度が設定されている。また、「字幕表示設定情報」は、初期設定として映像情報とともに字幕情報を表示するか否かが設定されているほか、表示形態をワンセグ放送と12セグ放送とで相互に切り替えたときにどの表示形態における字幕情報をどのように表示するかが設定されている。
【0049】
切替制御によって表示形態の切り替えを行うと判断する場合、表示形態切替判断制御部52は、情報解析部103(後述する「映像音声出力状態切替制御部33」)に対して表示形態の切替を指示し、字幕表示指示制御部54に対して表示形態の切替を行ったことおよび切替前の表示形態と切替後の表示形態とを通知する。
【0050】
例えば、伝送損失率や電界強度が、表示形態切替判定情報で設定されている閾値を超えた場合、ワンセグ放送の表示形態から12セグ放送の表示形態へと切り替えられるほか、12セグ放送の表示形態からワンセグ放送の表示形態へと切り替えられる。
【0051】
具体的には、伝送損失率が閾値を超えて増加したとき、電界強度が閾値を超えて減少したときに、12セグ放送の表示形態からワンセグ放送の表示形態へと切り替え、伝送損失率が閾値を超えて減少したとき、電界強度が閾値を超えて増加したときに、ワンセグ放送の表示形態から12セグ放送の表示形態へと切り替える。
【0052】
そして、この通知を受け付けた字幕表示指示制御部54は、情報記憶部53で記憶している「字幕表示設定情報」を読み出して字幕情報の表示制御を行う。
【0053】
この字幕表示指示制御部54によって行われる字幕情報の表示制御では、ワンセグ放送の表示形態から12セグ放送の表示形態へと切り替えられたか、若しくは、12セグ放送の表示形態からワンセグ放送の表示形態へと切り替えられたかを判断する。
【0054】
まず、ワンセグ放送の表示形態から12セグ放送の表示形態へと切り替えられたと判断する場合には、続いて、「字幕表示設定情報」を元に初期設定として字幕情報の表示を行うことが有効となっているかまたは無効となっているかを判断する。
【0055】
この判断処理によって、「無効」となっていると判断する場合、すなわち、初期設定として映像情報に字幕情報が表示される設定でない場合には、切り替えられた表示形態に対応する字幕情報の表示を有効とする。
【0056】
このように、字幕情報の表示を無効から有効へと切り替えられると、続いて、切り替えられた表示形態とともに表示する字幕情報を一定時間連続して表示するとした設定がされているかを「字幕表示設定情報」を元に判断する。字幕情報を一定時間連続して表示するとした設定が「字幕表示設定情報」に設定されている場合には、設定された一定時間、切り替えられる前の表示形態であるワンセグ放送の映像情報に対応するワンセグ放送用の字幕情報(以下、「ワンセグ放送用字幕情報」という)の表示指示を情報解析部103に行う。なお、一定時間経過後は、字幕情報の表示を有効から無効へと切り替える。
【0057】
それに対して、字幕情報を一定時間連続して表示するとした設定が「字幕表示設定情報」に設定されていない場合には、切り替えられた表示形態であるワンセグ放送の映像情報に対応する字幕情報を、ワンセグ放送と12セグ放送と受信する際に生じる遅延時間分だけ表示する指示を情報解析部103に行う。
【0058】
このときの「遅延時間」は、デジタル放送の放送内容に応じて設定する。
【0059】
例えば、デジタル放送の放送内容が、生放送かあらかじめ作成されて録画されている放送であるかをMPEG−2 TSパケットから判断し、生放送であると判断される場合には、識別したチャンネルの放送元から受信した生放送における過去の受信状態等を考慮して字幕情報を出力する時間を計算し、その時間を遅延時間とする。
【0060】
さらに、「字幕表示設定情報」を元に初期設定として字幕情報の表示を行うことが有効となっているかまたは無効となっているかの判断処理によって字幕情報の表示を行うことが「有効」となっていると判断する場合、すなわち、初期設定として字幕情報が映像情報とともに表示することが設定されている場合には、さらに、「字幕表示設定情報」によって字幕情報の併合表示を行うことが指定されているかを判断する。
【0061】
併合表示を行うことが設定されている場合には、表示形態の切り替え後の12セグ放送の映像情報に対応する字幕情報(以下、「12セグ放送用字幕情報」という)と、12セグ放送の表示形態に切り替えたときに受信しているワンセグ放送の映像情報に対応するワンセグ放送用字幕情報とを併合して、12セグ放送の映像情報を受信してからワンセグ放送の映像情報を受信するまでの遅延時間分、表示する指示を情報解析部103に行う。この遅延時間の併合表示後は切り替え後の表示形態である12セグ放送の映像情報に対応する12セグ放送用字幕情報を表示する指示を情報解析部103へと行う。
【0062】
これとは反対に、併合表示を行うことが設定されていない場合には、「字幕表示設定情報」に字幕情報と映像情報とを一定時間内で同期して調整する調整制御を行うことが設定されているかを判断する。
【0063】
「字幕表示設定情報」に字幕情報と映像情報とを一定時間内で調整する調整制御を行うことが設定されていない場合には、表示形態が12セグ放送へと切り替えられたときにワンセグ放送の表示形態で受信する映像情報に対応するワンセグ放送用字幕情報を、12セグ放送の映像情報を受信してからワンセグ放送の映像情報を受信するまでの遅延時間分、表示する指示を情報解析部103に行う。この遅延時間の併合表示後は切り替え後の表示形態である12セグ放送の映像情報に対応する12セグ放送用字幕情報を表示する指示を情報解析部103へと行う。
【0064】
それに対して、「字幕表示設定情報」に字幕情報と映像情報とを一定時間内で調整する調整制御を行うことが設定されている場合には、切り替え後の表示形態の12セグ放送の映像情報が表示される一定時間内の当該映像情報に対応する12セグ放送用字幕情報と、12セグ放送に切り替え後に受信するワンセグ放送の表示形態の映像情報に対応するワンセグ放送用字幕情報とを用いて一定時間内で同期させる調整制御を行って字幕情報を表示する指示を情報解析部103に行う。
【0065】
次に、12セグ放送の表示形態からワンセグ放送の表示形態へと切り替えられたと判断する場合には、続いて、「字幕表示設定情報」を元に初期設定として字幕情報の表示を行うことが有効となっているかまたは無効となっているかを判断する。
【0066】
この判断処理によって、「無効」となっていると判断する場合、すなわち、初期設定として映像情報に字幕情報が表示される設定でない場合には、切り替えられた表示形態に対応する字幕情報の表示を有効とする。
【0067】
このように、字幕情報の表示を無効から有効へと切り替えられると、切り替えられた表示形態とともに表示する字幕情報を一定時間連続して表示するとした設定がされているかを「字幕表示設定情報」を元に判断する。字幕情報を一定時間連続して表示するとした設定が「字幕表示設定情報」に設定されている場合には、設定された一定時間、切り替えられた後の表示形態であるワンセグ放送の映像情報に対応するワンセグ放送用の字幕情報(以下、「ワンセグ放送用字幕情報」という)の表示指示を情報解析部103に行う。なお、一定時間経過後は、字幕情報の表示を有効から無効へと切り替える。
【0068】
それに対して、字幕情報を一定時間連続して表示するとした設定が「字幕表示設定情報」に設定されていない場合には、切り替えられた表示形態であるワンセグ放送の映像情報に対応するワンセグ放送用字幕情報を、ワンセグ放送と12セグ放送と受信する際に生じる遅延時間分だけ表示する指示を情報解析部103に行う。
【0069】
「字幕表示設定情報」を元に初期設定として字幕情報の表示を行うことが有効となっているかまたは無効となっているかの判断処理によって字幕情報の表示を行うことが「有効」となっていると判断する場合、すなわち、初期設定として字幕情報が映像情報とともに表示することが設定されている場合には、切替後の表示形態であるワンセグ放送用の映像情報に対応するワンセグ放送用字幕情報を表示する指示を情報解析部103に行う。
【0070】
図4は、図1に示す情報解析部103の詳細な構成を示すブロック図である。
【0071】
図4において、情報解析部103は、信号分離処理部(DEMUX)30、ワンセグ用映像音声デコーダ31、12セグ用映像音声デコーダ32、映像音声出力状態切替制御部33、字幕非表示機能34、ワンセグ用字幕デコーダ35、12セグ用字幕デコーダ36、字幕出力状態切替制御部37、字幕情報併合制御部38、出力制御部39、字幕情報記憶部40を具備して構成される。
【0072】
図1に示す受信データ処理部102から送出されてきたデジタル放送情報を信号分離処理部30で受信する。この信号分離処理部30は、多重化されて送出されてきたデジタル放送情報を映像情報および音声情報(「映像音声情報」という)と字幕情報とに分離する処理を行い、さらに、映像音声情報と字幕情報それぞれを表示形態(ワンセグ放送、12セグ放送)ごとに分離する処理を行う。この信号分離処理部30では、MPEG−2 TSパケットのPIDによってそのパケットの種類を識別してそれぞれ分離する。
【0073】
信号分離処理部30では、ワンセグ放送の表示形態における映像音声情報をワンセグ用映像音声デコーダ31へと送出し、12セグ放送の表示形態における映像音声情報を12セグ用映像音声デコーダ32へと送出し、ワンセグ放送の表示形態における字幕情報をワンセグ用字幕デコーダ35へと送出し、12セグ放送の表示形態における字幕情報を12セグ用字幕デコーダ36へと送出する。
【0074】
ワンセグ用映像音声デコーダ31は、ワンセグ放送に応じたデータへと映像音声情報を復号するデコード処理を行い、12セグ用映像音声デコーダ32では、12セグ放送に応じたデータへと映像音声情報を復号するデコード処理を行う。また、ワンセグ用字幕デコーダ35は、ワンセグ放送に応じたデータへと字幕情報を復号するデコード処理を行い、12セグ用字幕デコーダ36は、12セグ放送に応じたデータへと字幕情報を復号するデコード処理を行う。
【0075】
映像音声出力状態切替制御部33は、図1に示す情報制御処理部105から表示形態の切替表示指示を受信し、その切替表示指示に応じた表示形態へと表示切替制御を行う。すなわち、この映像音声出力状態切替制御部33では、ワンセグ用映像音声デコーダ31若しくは12セグ用映像音声デコーダ32のいずれかでデコード処理が行われた映像音声情報を出力制御部39へと送出できるように切り替えを行う。
【0076】
例えば、映像音声出力状態切替制御部33が、ワンセグ用映像音声デコーダ31へと切り替えられると(ワンセグ用映像音声デコーダ31を有効とすると)、ワンセグ用映像音声デコーダ31からのワンセグ放送用の映像音声情報が出力制御部39へと送出される。また、映像音声出力状態切替制御部33が、12セグ用映像音声デコーダ32へと切り替えられると(12セグ用映像音声デコーダ32を有効とすると)、12セグ用映像音声デコーダ32からの12セグ放送用の映像音声情報が出力制御部39へと送出される。
【0077】
字幕出力状態切替制御部37は、図1に示す情報制御処理部105から字幕表示状態の切替表示指示を受信し、その切替表示指示に応じた字幕表示状態へと表示切替制御を行う。すなわち、この字幕出力状態切替制御部37では、ワンセグ用字幕デコーダ35、12セグ用字幕デコーダ36のいずれかでデコード処理が行われた字幕情報を出力制御部39へと送出できるように切り替えを行う。
【0078】
例えば、字幕出力状態切替制御部37が、ワンセグ用字幕デコーダ35へと切り替えられると(ワンセグ用字幕デコーダ35を有効とすると)、ワンセグ用字幕デコーダ35からのワンセグ放送用の字幕情報が出力制御部39へと送出される。また、字幕出力状態切替制御部37が、12セグ用字幕デコーダ36へと切り替えられると(12セグ用字幕デコーダ36を有効とすると)、12セグ用字幕デコーダ36からの12セグ放送用の字幕情報が出力制御部39へと送出される。
【0079】
また、ワンセグ用字幕デコーダ35、12セグ用字幕デコーダ36によってデコード処理された字幕情報は、表示形態に応じた映像情報(ワンセグ放送、12セグ放送)に対応付けて字幕情報記憶部40に記憶される。この字幕情報記憶部40は、図1に示す情報制御処理部105で実現するような構成であってもよい。
【0080】
そして、映像音声出力状態切替制御部33では、字幕表示映像音声の表示切替処理が行われると、切替前の表示形態と切替後の表示形態とを字幕情報併合制御部38へと送出する。さらに、字幕出力状態切替制御部37では、情報制御処理部105から字幕情報の併合表示が指示されると、この指示に基づく情報および切替前の字幕情報の表示形態と切替後の表示形態とを字幕情報併合制御部38へと送出する。
【0081】
字幕情報併合制御部38は、字幕出力状態切替制御部37から字幕情報の併合表示指示に基づく情報および切替前の字幕情報の表示形態と切替後の表示形態とを受信すると、字幕情報記憶部40で記憶している字幕情報を読み出して、その指示の情報に基づいて字幕情報の併合処理を行い、併合した字幕情報を出力制御部39へと送出する。
【0082】
なお、字幕出力状態切替制御部37では、情報制御処理部105から字幕情報を表示しないことが指示されている場合に、字幕非表示機能34へと切り替えてワンセグ用字幕デコーダ35および12セグ用字幕デコーダ36から字幕情報が出力制御部39へと送出されない状態とする。
【0083】
出力制御部39では、ワンセグ用映像音声デコーダ31、12セグ用映像音声デコーダ32から送出されてきた映像音声情報を出力する処理を行うとともに、ワンセグ用字幕デコーダ35、12セグ用字幕デコーダ36から送出されてきた字幕情報を重畳して出力する処理を行う。このとき、字幕情報併合制御部38より字幕情報の併合表示が指示されている場合にはその字幕情報併合制御部38から受信した併合された字幕情報を受け付け、ワンセグ用字幕デコーダ35および12セグ用字幕デコーダ36から送出されてくる字幕情報を廃棄する。
【0084】
このようにして、送出されてきた映像音声情報と字幕情報とを同期させて表示ディスプレイ110に出力する。
【0085】
図5、図6、図8、図9は、映像音声情報の出力状態および字幕情報の出力状態を時系列に表したタイミングチャートである。
【0086】
図5、図6、図8、図9では、所定のタイミングにおける12セグ放送用映像音声情報の受信状態と、12セグ放送用映像音声情報の受信状態のタイミングにおけるワンセグ放送用映像音声情報の受信状態とを示すほか、この12セグ放送用映像音声情報とワンセグ放送用映像音声情報の一方を表示した表示状態を示している。さらに、12セグ放送用映像音声情報に対応する12セグ放送用字幕情報とワンセグ放送用映像音声情報に対応するワンセグ放送用字幕情報の出力状態を示している。
【0087】
これらの図(図5、図6、図8、図9)では、映像音声情報を任意の情報容量(サイズ)である「映像音声情報単位」に区切って表したものであって、この映像音声情報単位を四角形のブロックで表している。また、字幕情報を任意の情報容量(サイズ)である「字幕情報単位」に区切って表したものであって、この字幕情報単位を四つ角が丸みを帯びた丸角四角形のブロックで表している。
【0088】
この映像音声情報と字幕情報とはリンクされて受信することから、映像音声情報単位での映像音声情報の出力間隔(幅)と字幕情報単位での字幕情報の出力間隔(幅)は等しいまたは限りなく近似している状態にあることを示している。さらに、ワンセグ放送用映像音声情報と12セグ放送用映像音声情報とはサイマル放送であることから各映像音声情報の出力間隔(幅)は等しいまたは限りなく近似しており、これらの映像音声情報に対応する各字幕情報の出力間隔(幅)も等しいまたは限りなく近似している。
【0089】
なお、映像音声情報単位での映像音声情報とこの映像音声情報に対応する字幕情報とは同じ間隔で同じタイミングで出力されるものとしている。
【0090】
そして、図5、図6、図8、図9では、出力間隔(幅)を、12セグ放送用のデジタル放送情報を受信してからワンセグ放送用のデジタル放送情報を受信するまでの遅延時間とした場合を表している。すなわち、12セグ放送用映像音声情報とワンセグ放送用映像音声情報とは1ブロック分遅れて受信することとなる。
【0091】
この1ブロック分遅れて受信している状態を、図5、図6、図8、図9においてそれぞれ「12セグ放送用映像音声情報受信状態」におけるタイミングチャートと「ワンセグ放送用映像音声情報受信状態」におけるタイミングチャートで表している。
【0092】
このような受信状態において、12セグ放送用映像音声情報の「ブロック99」を受信したときであってワンセグ放送用映像音声情報の「ブロック98」を受信したときに表示形態の変更が行われたとした場合の地点を「切り替え地点A」と、12セグ放送用映像音声情報の「ブロック250」を受信したときであってワンセグ放送用映像音声情報の「2ブロック49」を受信したときに表示形態の変更が行われたとした場合の地点を「切り替え地点B」と示している。
【0093】
このような場合において、映像音声情報の出力状態は12セグ放送用映像音声情報が出力されている状態が「ブロック1」から「ブロック99」まで継続し、「切り替え地点A」となったときに、表示形態が12セグ放送からワンセグ放送へと切り替えられると、12セグ放送用映像音声情報の「ブロック99」を出力した後、ワンセグ放送用映像音声情報の「ブロック99」を出力する。
【0094】
また、表示形態が12セグ放送からワンセグ放送へと切り替えられた状態でワンセグ放送用映像音声情報の「ブロック99」から「ブロック249」まで出力した後、「切り替え地点B」となったとき、表示形態がワンセグ放送から12セグ放送へと切り替えられると、ワンセグ放送用映像音声情報の「ブロック249」を出力した後、12セグ放送用映像音声情報の「ブロック251」を出力する。
【0095】
このような状態において、図5では、まず、「字幕表示設定情報」を元に初期設定として字幕情報の表示を行うことが有効となっているかまたは無効となっているかの判断により「無効」となっていると判断する場合、すなわち、初期設定として映像情報に字幕情報が表示されない設定である場合における映像音声情報の出力状態および字幕情報の出力状態を示している。
【0096】
上記のような映像音声情報の出力状態によって、字幕情報の出力状態1として、字幕情報は、切り替え地点Aで表示形態が切り替えられた後のワンセグ放送用映像音声情報に対応する字幕情報を1ブロック分(「ブロック99」)、すなわち、12セグ放送用のデジタル放送情報を受信してからワンセグ放送用のデジタル放送情報を受信するまでの遅延時間だけ出力している状態を示している。また、切り替え地点Bで表示形態が切り替えられた後の12セグ放送用映像音声情報に対応する字幕情報を1ブロック分(「ブロック250」)出力している状態を示している。
【0097】
この字幕情報の出力状態1に対する字幕情報の出力状態2として、字幕情報は、予め字幕情報を一定時間連続して表示する設定がされている場合に、切り替え地点Aで表示形態が切り替えられた後のワンセグ放送用映像音声情報に対応する字幕情報を一定時間に対応するブロック数分出力している状態を示し、切り替え地点Bで表示形態が切り替えられた後の12セグ放送用映像音声情報に対応する字幕情報をその一定時間に対応するブロック数分出力している状態を示している。図5に示す例では、一定時間に対応するブロック数として3ブロック(「ブロック99」、「ブロック100」、「ブロック101」)若しくは4ブロック(「ブロック250」、「ブロック251」、「ブロック252」、「ブロック253」)を示している。すなわち、表示形態の切替内容に応じて異なる一定時間を設定することができ、各表示形態の切替内容に応じた一定時間に対応するブロック数分を出力することができる。
【0098】
次に、図6は、「字幕表示設定情報」を元に初期設定として字幕情報の表示を行うことが有効となっているかまたは無効となっているかの判断により「有効」となっていると判断する場合であって、字幕情報を併合させて表示する設定がされているときの出力状態を示している。
【0099】
上記のような映像音声情報の出力状態によって、字幕情報の出力状態として、字幕情報は、12セグ放送用映像音声情報の「ブロック1」から「切り替え地点A」の直前である「ブロック99」まで出力している状態を示し、切り替え地点Aで表示形態が切り替えられた後は、切り替え後の表示形態におけるワンセグ放送用映像音声情報に対応する字幕情報を「ブロック99」から「ブロック249」まで出力している状態を示している。このとき、「切り替え地点A」の前後に出力される字幕情報は12セグ放送用字幕情報の「ブロック99」とワンセグ放送用字幕情報の「ブロック99」とが連続して出力されている状態を示している。
【0100】
また、切り替え地点Bで表示形態が切り替えられることによって、切替後の12セグ放送用映像音声情報に対応する12セグ放送用字幕情報(「ブロック251」)と切替後に受信しているワンセグ放送用映像音声情報に対応するワンセグ放送用字幕情報(「ブロック250」)とを12セグ放送用映像音声情報(「ブロック251」)に併合して1ブロック分、すなわち、12セグ放送用のデジタル放送情報を受信してからワンセグ放送用のデジタル放送情報を受信するまでの遅延時間だけ出力し、その後は切り替えられた12セグ放送用映像音声情報に対応する字幕情報を出力している状態にある。
【0101】
この併合によって字幕情報が表示された状態を図7に示している。
【0102】
図7において、図7(a)は、表示形態を切り替える前の「ブロック249」のワンセグ放送用映像音声情報とともにそのワンセグ放送用映像音声情報に対応する「ブロック249」の字幕情報を表示した状態を示している。
【0103】
図7(b)は、表示形態の切替後の12セグ放送用映像音声情報に対応する12セグ放送用字幕情報(「ブロック251」)と切替後に受信しているワンセグ放送用映像音声情報に対応するワンセグ放送用字幕情報(「ブロック250」)とを、上下として12セグ放送用字幕情報(「ブロック251」)を左側にずらし、ワンセグ放送用字幕情報(「ブロック250」)を右側にずらして併合している状態を示している。
【0104】
図7(c)は、表示形態の切替後の12セグ放送用映像音声情報に対応する12セグ放送用字幕情報(「ブロック251」)と切替後に受信しているワンセグ放送用映像音声情報に対応するワンセグ放送用字幕情報(「ブロック250」)とを、上下として画面中央に表示されるように併合している状態を示している。
【0105】
図7(d)は、図7(b)若しくは図7(c)のような字幕情報が重畳された映像音声情報を表示後に、12セグ放送用映像音声情報とともにその12セグ放送用映像音声情報に対応するワンセグ放送用字幕情報を表示している。
【0106】
次に、図8は、「字幕表示設定情報」を元に初期設定として字幕情報の表示を行うことが有効となっているかまたは無効となっているかの判断により「有効」となっていると判断する場合であって、字幕情報を併合させて表示する設定がされておらず、出力時間の調整制御を行う設定がされているときの出力状態を示している。
【0107】
上記のような映像音声情報の出力状態によって、字幕情報は、12セグ放送用映像音声情報の「ブロック1」から「切り替え地点A」の直前である「ブロック99」まで出力している状態を示し、切り替え地点Aで表示形態が切り替えられた後は、切り替え後の表示形態におけるワンセグ放送用映像音声情報に対応する字幕情報を「ブロック99」から「ブロック249」まで出力している状態を示している。このとき、「切り替え地点A」の前後に出力される字幕情報は12セグ放送用字幕情報の「ブロック99」とワンセグ放送用字幕情報の「ブロック99」とが連続して出力されている状態を示している。
【0108】
また、切り替え地点Bで表示形態が切り替えられることによって、字幕情報の出力状態として、表示形態が切り替えられた後に受信しているワンセグ放送用字幕情報(「ブロック250」)を切替後の12セグ放送用映像音声情報とともに出力し、切替後の12セグ放送用映像音声情報に対応する12セグ放送用字幕情報(「ブロック251」)からその出力時間におけるブロック数(図8では4ブロック分(「ブロック251」、「ブロック252」、「ブロック253」、「ブロック254」))の出力間隔(幅)を調整して調整後の字幕情報を12セグ放送用映像音声情報とともに出力する。
【0109】
この調整処理として、その出力時間に出力される12セグ放送用映像音声情報のブロック数が「3」であるとき、この4ブロック分の各字幕情報(「ブロック251」、「ブロック252」、「ブロック253」、「ブロック254」)は、出力時間に出力される字幕情報のブロック数を出力時間に出力される映像音声情報のブロック数で割った出力間隔(幅)へと調整されて出力される。本例では、出力時間に出力される字幕情報のブロック数が「4」であって、出力時間に出力される映像音声情報のブロック数が「3」であることから、「4分の3」の出力間隔(幅)へと調整されて出力される。
【0110】
次に、図9は、「字幕表示設定情報」を元に初期設定として字幕情報の表示を行うことが有効となっているかまたは無効となっているかの判断により「有効」となっていると判断する場合であって、字幕情報を併合させて表示する設定がされておらず、出力時間の調整制御を行う設定がされていないときの出力状態を示している。
【0111】
上記のような映像音声情報の出力状態によって、字幕情報は、切り替え地点Aで表示形態が切り替えられた後のワンセグ放送用映像音声情報に対応する字幕情報を1ブロック分(「ブロック99」)、すなわち、12セグ放送用のデジタル放送情報を受信してからワンセグ放送用のデジタル放送情報を受信するまでの遅延時間だけ出力している状態を示している。また、切り替え地点Bで表示形態が切り替えられた後の12セグ放送用映像音声情報に対応する字幕情報を1ブロック分(「ブロック250」)出力している状態を示している。
【0112】
図10は、本発明の実施の形態における情報表示制御装置、情報表示制御方法、情報表示制御プログラムおよび記録媒体を適用して構成した情報表示制御装置において行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0113】
送局等において撮像、作成された映像情報、音声情報、字幕情報等の「デジタル放送情報」をチューナーで受信したかを判断し(S1001)、デジタル放送情報を受信するまでは処理が開始されない。また、デジタル放送情報をチューナーで受信したと判断する場合(S1001でYES)には、受信した圧縮符号化されたデジタル放送情報の各情報(映像情報、音声情報、字幕情報等)に対して復号処理を行う(S1002)。
【0114】
デジタル放送情報の復号処理を行うと、続いて、復号したデジタル放送情報に対してチャンネルデコード処理を行い(S1003)、チューナーで受信したデジタル放送情報の受信状態に関する情報(「受信状態情報」)として管理する元となる情報の登録処理を行う(S1004)。
【0115】
続いて、この「表示形態切換判定情報」を元に受信状態(電界強度または伝送損失率)を監視している状態でデジタル放送情報の受信状態が閾値を超えて低下した若しくは上昇した等を検出することにより表示形態の切替イベントが発生したかを判断する(S1005)。
【0116】
デジタル放送情報を受信する電界強度が低下する等による切替イベントが発生したと判断する場合(S1005でYES)には、ワンセグ放送用の字幕情報の表示指示に基づいたワンセグ放送用字幕情報を出力するとともに、切替後の表示形態における映像音声情報を出力する出力制御処理を行う(S1006)。
【0117】
この出力制御処理の詳細な流れを示すフローチャートを図11および図12に示し、後述する。
【0118】
それに対して、切替イベントが発生したと判断しない場合(S1005でNO)には、チューナーで受信しているデジタル放送情報の出力制御処理を継続して行う(S1007)。
【0119】
このようにして、表示形態に応じたデジタル放送情報の出力制御処理が行われると、続いて、デジタル放送情報の受信が終了したかを判断する(S1008)。デジタル放送情報の受信が終了したと判断する場合(S1008でYES)には、本フローチャートにおける処理を終了し、デジタル放送情報の受信が終了したと判断しない場合(S1008でNO)には、受信しているデジタル放送情報に対して復号処理を行うS1002の処理から繰り返し行う。
【0120】
図11は、図10に示す、デジタル放送情報を出力する表示形態の切替イベントが発生した場合における出力制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0121】
図11において、発生した切替イベントが、表示形態をワンセグ放送から12セグ放送へと切り替えるイベントであるかを判断する(S1101)。
【0122】
まず、ワンセグ放送から12セグ放送へと切り替えるイベントであると判断する場合(S1101でYES)、デジタル放送情報を受信する際の電界強度が高い状態へと移行したことによりイベントが発生した場合には、映像音声情報の表示形態をワンセグ放送の映像音声情報から12セグ放送の映像音声情報へと切り替える(S1102)。
【0123】
このとき、設定されている字幕情報が非表示状態(OFF)となっているかを判断する(S1103)。
【0124】
字幕情報が非表示状態(OFF)となっている場合(S1103でYES)には、続いて、字幕情報を一定時間連続して表示する表示設定がされているかを判断する(S1104)。一定時間連続して表示する表示設定がされている場合(S1104でYES)には、その設定されている一定時間、ワンセグ放送用字幕情報を表示出力する指示を行う(S1105)。
【0125】
また、一定時間連続して表示する表示設定がされていない場合(S1104でNO)には、ワンセグ放送用字幕情報を、ワンセグ放送と12セグ放送との遅延時間(タイムラグ)分だけ表示出力する指示を行う(S1106)。
【0126】
このようにして、字幕情報の表示出力が指示されると、指示された表示出力に基づき字幕情報を表示し(S1107)、初期に設定されている字幕情報が非表示状態(OFF)へと表示状態を元に戻す(S1108)。
【0127】
これに対して、字幕情報が非表示状態(OFF)となっていない場合であって字幕情報が表示された状態(ON)となっている場合(S1103でNO)には、続いて、「字幕表示設定情報」に基づく字幕情報の表示設定に、字幕情報を併合させて表示する設定がされているかを判断する(S1109)。
【0128】
「字幕表示設定情報」に基づく字幕情報の表示設定に、字幕情報を併合させて表示する設定がされている場合(S1109でYES)には、ワンセグ放送と12セグ放送の遅延時間分の「ワンセグ放送用字幕情報」と「12セグ放送用字幕情報」とを切替後の12セグ放送用映像音声情報に併合する(S1110)。そして、その字幕情報の表示出力を指示する(S1111)。
【0129】
また、「字幕表示設定情報」に基づく字幕情報の表示設定に、字幕情報を併合させて表示する設定がされていない場合(S1109でNO)には、続いて、出力時間の調整制御を行う設定がされているかを判断する(S1112)。
【0130】
出力時間の調整制御を行う設定がされている場合(S1112でYES)には、予め指定された一定時間内で同期するような字幕情報の表示間隔で12セグ放送用字幕情報を、同期に必要な字幕情報分、表示出力する指示を行う(S1113)。また、出力時間の調整制御を行う設定がされていない場合(S1112でNO)には、ワンセグ放送用字幕情報を、ワンセグ放送と12セグ放送との遅延時間分だけ表示出力する指示を行う(S1114)。
【0131】
そして、指示された表示出力に基づいた字幕情報を映像音声情報に重畳して表示する(S1115)。
【0132】
以上のように構成することにより、本実施例に記載の情報表示制御装置は、ワンセグ放送から12セグ放送に切り替わった場合に、放送の受信が遅延することにより発生する映像情報及び音声情報の欠落部分を、ワンセグ放送に対応する字幕情報を表示することにより補完することができるようになる。
【0133】
これにより、視聴者は映像情報と音声情報の欠落部分が、補完された字幕情報により理解することが可能となる。また、利用者が、字幕表示設定を非表示と設定(オフ設定)していた場合であっても、ワンセグ放送と12セグ放送との切り替え時に、欠落時間に対応する所定の時間だけ字幕情報を表示する設定(オン設定)とする構成としたので、字幕情報の表示を本来の利用者の意図に沿うように必要最低限にとどめることが可能である。
【0134】
次に、ワンセグ放送から12セグ放送へと切り替えるイベントが発生した場合ではなく、12セグ放送からワンセグ放送へと切り替えるイベントが発生した場合(S1101でNO)の詳細な処理の流れを示すフローチャートを図12に示している。
【0135】
図12において、デジタル放送情報を受信する際の電波強度が高い状態へと移行したことによりイベントが発生すると、12セグ放送からワンセグ放送へと切り替えるイベントが発生すると、映像音声情報の表示形態を12セグ放送からワンセグ放送へと切り替える(S1201)。
【0136】
このとき、設定されている字幕情報が非表示状態(OFF)となっているかを判断する(S1202)。字幕情報が非表示状態(OFF)となっている場合(S1202でYES)には、続いて、一定時間継続して字幕情報を表示する設定がされているかを判断する(S1203)。
【0137】
一定時間継続して字幕情報を表示する設定がされている場合(S1203でYES)には、ワンセグ放送用字幕情報を予め指定された一定時間、継続して表示する(S1204)。
【0138】
また、字幕情報が非表示状態(OFF)となっていない場合(S1202でNO)、および、一定時間継続して字幕情報を表示する設定がされていない場合(S1203でNO)には、ワンセグ放送用字幕情報を、ワンセグ放送と12セグ放送との遅延時間分だけ表示出力する指示を行う(S1205)。
【0139】
そして、図11に示す遷移先Bの位置へと移行して、指示された表示出力に基づいた字幕情報を映像音声情報に重畳して表示する(S1115)。
【0140】
以上に示す実施の形態は、本発明の実施の一形態であって、これらの実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0141】
なお、本発明は、上述の手段を構成させるためのプログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをコンピュータにインストールし、これを実行させることにより、上述の処理を実行するコンピュータを構成することも可能である。このときのコンピュータには、システムバスを介してCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクが接続され、CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているプログラムに従い、RAMを作業領域にして処理を行う。
【0142】
また、プログラムを供給するための媒体は、記録媒体(通信回線、通信システムのように一時的または流動的にプログラムを保持する媒体)でもよい。例えば、通信ネットワークの電子掲示板(BBS:Bulletin Board Service)に該プログラムを掲示し、これを通信回線を介して配信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0143】
30 信号分離処理部(DEMUX)
31 ワンセグ用映像音声デコーダ
32 12セグ用映像音声デコーダ
33 映像音声出力状態切替制御部
34 字幕非表示機能
35 ワンセグ用字幕デコーダ
36 12セグ用字幕デコーダ
37 字幕出力状態切替制御部
38 字幕情報併合制御部
39 出力制御部
40 字幕情報記憶部
50 情報登録制御部
51 受信状態情報記憶部
52 表示形態切替判断制御部
53 情報記憶部
54 字幕表示指示制御部
100 情報表示制御装置
101 同調処理部
102 受信データ処理部
103 情報解析部
104 記憶部
105 情報制御処理部
110 表示ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1映像情報および当該第1映像情報の内容に基づく第1文字情報を受信する第1の情報受信手段と、
前記第1映像情報と同種の内容であって前記第1映像情報とは異なる情報態様の第2映像情報および当該第2映像情報の内容に基づく第2文字情報を受信する第2の情報受信手段と、
前記第2の情報受信手段によって受信した前記第2文字情報を前記第2映像情報に対応付けて記憶する文字情報記憶手段と、
前記第1の情報受信手段によって受信した第1映像情報と前記第2の情報受信手段によって受信した第2映像情報のいずれか一方を表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示される前記第1映像情報と前記第2映像情報とを相互間で表示切替を行う表示切替手段と、
前記表示切替手段によって前記第2映像情報から前記第1映像情報へと表示切替される際に、前記表示切替後に前記文字情報記憶手段で記憶している前記第2映像情報に対応付けられた前記第2文字情報を、表示切替後の前記第1映像情報とともに出力制御する出力制御手段と
を具備する情報表示制御装置。
【請求項2】
前記出力制御手段は、
前記文字情報記憶手段で記憶している前記第2文字情報を、切替後の前記第1映像情報とともに予め指定された指定期間、継続して出力する請求項1記載の情報表示制御装置。
【請求項3】
前記表示切替手段により前記第2映像情報から表示切替が行われた切替後の前記第1映像情報に対応する前記第1文字情報と、当該表示切替後に前記第2の情報受信手段によって受信する前記第2映像情報に対応する第2文字情報とを併合する併合手段
をさらに具備し、
前記出力制御手段は、
前記併合手段によって併合された前記第2文字情報と前記第1文字情報とを切替後の前記第1映像情報に重畳して該第1映像情報の出力制御を行う請求項1または2に記載の情報表示制御装置。
【請求項4】
前記出力制御手段は、
切替前の前記第2映像情報に対応付けて前記文字情報記憶手段で記憶している前記第2文字情報を前記表示切替手段による切替後の前記第1映像情報とともに出力した後に、該切替後の第1映像情報に続いて表示される前記第1の情報受信手段によって受信した次第1映像情報とともに該次第1映像情報に対応する次第1文字情報を出力する請求項1または2に記載の情報表示制御装置。
【請求項5】
切替前の前記第2映像情報に対応付けて前記文字情報記憶手段で記憶している前記第2文字情報と切替後の前記第1映像情報に対応する前記第1文字情報とを用いて、一定時間内に当該第1映像情報と出力状態を同期させる調整制御を行う調整制御手段をさらに具備する請求項1または2に記載の情報表示制御装置。
【請求項6】
前記第1映像情報とともに前記第1文字情報若しくは前記第2映像情報とともに前記第2文字情報を前記表示手段で表示するか否かの文字表示設定の有無を判断する表示設定判断手段
をさらに具備する請求項3乃至5のいずれかに記載の情報表示制御装置。
【請求項7】
前記表示切替手段は、
予め指定した閾値を用いて前記第1の情報受信手段および前記第2の情報受信手段の受信状態を判別する受信状態判別手段と、
前記受信状態判別手段により判別した受信状態と前記閾値との関係によって前記第1映像情報と前記第2映像情報の相互間での表示切替の有無を判断する表示切替有無判断手段と
を具備し、
前記表示切替有無判断手段によって表示切替を行うと判断された場合に前記第1映像情報と前記第2映像情報の相互間で表示切替を行う請求項1乃至6のいずれかに記載の情報表示制御装置。
【請求項8】
情報表示制御装置に用いられる情報表示制御方法であって、
第1映像情報および当該第1映像情報の内容に基づく第1文字情報を受信する第1の情報受信工程と、
前記第1映像情報と同種の内容であって前記第1映像情報とは異なる情報態様の第2映像情報および当該第2映像情報の内容に基づく第2文字情報を受信する第2の情報受信工程と、
前記第2の情報受信工程によって受信した前記第2文字情報を前記第2映像情報に対応付けて記憶する文字情報記憶工程と、
前記第1の情報受信工程によって受信した第1映像情報と前記第2の情報受信工程によって受信した第2映像情報のいずれか一方を表示する表示工程と、
前記表示工程によって表示される前記第1映像情報と前記第2映像情報とを相互間で表示切替を行う表示切替工程と、
前記表示切替工程によって前記第2映像情報から前記第1映像情報へと表示切替される際に、前記表示切替後に前記文字情報記憶工程で記憶している前記第2映像情報に対応付けられた前記第2文字情報を、表示切替後の前記第1映像情報とともに出力制御する出力制御工程と
を含むことを特徴とする情報表示制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報表示制御方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする情報表示制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の情報表示制御プログラムが、演算手段により読み取り可能にされている、ことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−134900(P2012−134900A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287007(P2010−287007)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】