説明

情報表示媒体

【課題】情報を表示するための電圧が印加される電極を有する情報表示媒体において、大型化した場合でも、表示する情報に制約を生じさせることなく取り扱いを容易にする。
【解決手段】複数の単位電極12がマトリックス状に配列された基板11と、基板11上に積層され、単位電極12に印加される電圧に応じて情報を表示する情報表示層20とを有し、基板11が、単位電極12の外形に沿った凹凸を境界として複数に分割されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示するための電圧が印加される電極を有する情報表示媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報を表示する表示装置として、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等が用いられており、これらは、テレビ受像機に用いられることによりテレビ局から送信されたテレビ映像を表示したり、パソコンのディスプレイとして用いられることにより、パソコンに保存された情報やインターネットを介して配信された情報を表示したりすることができる。これらの表示装置は、それぞれ一長一短を有しており、例えば、CRTディスプレイは、視野角が広いものの奥行きサイズが厚く、また、液晶ディスプレイは、奥行きサイズが薄いものの視野角が比較的狭く、また、プラズマディスプレイは、視野角が広く奥行きサイズが薄いものの消費電力が多い。
【0003】
近年、上述したような表示装置に加えて、デジタル情報を紙のように薄い表示媒体に表示する薄型の情報表示装置が普及しはじめている。
【0004】
図5は、薄型の情報表示装置の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した表示電極層210の表面構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図である。
【0005】
本例は図5に示すように、表示電極層210と情報表示層220と透明導電層230と保護層240とが積層されて構成された情報表示媒体201である。表示電極層210は、基板211上に複数の単位電極212がマトリックス状に配列されて構成されており、これら複数の単位電極212には、外部から電圧を印加するための配線電極(不図示)が接続されている。透明導電層230は、情報表示層220上に積層されており、ガラスや透明フィルム等からなる透明基板(不図示)の一方の面に、例えば、ITO等の透明電極(不図示)が形成されて構成されている。情報表示層220は、表示電極層210上に表示電極層210と透明導電層230とに挟み込まれて積層されており、表示電極層210の単位電極212と透明導電層230の透明電極との間の電位差によってその状態が変化して情報を表示するものである。保護層240は、透明導電層230上に積層された透明な材料からなるものである。
【0006】
上記のように構成された情報表示媒体201においては、透明導電層230の透明電極に所定の電圧を印加した状態で、情報表示層220にて表示する情報に応じて複数の単位電極212に対して、透明電極に印加した電圧とは異なる2種類の電圧を選択的に印加すると、透明電極と単位電極212との間の電位差に応じて情報表示層220の状態が変化する。
【0007】
図6は、図5に示した情報表示層220の状態が変化した情報表示媒体201を保護層240側から見た図である。
【0008】
透明電極と単位電極212との間の電位差に応じて情報表示層220の状態が変化すると、図6に示すように、複数の単位電極212のうち、2種類の電圧の一方の電圧が印加された単位電極に対向する領域と、2種類の電圧の他方の電圧が印加された単位電極に対向する領域とで情報表示層220の色が互いに異なるものとなり、この色の違いが保護層240側から視認されて情報202が表示されることになる。
【0009】
このような情報表示媒体201は、紙のように薄いために取り扱いが容易であるとともに、消費電力が少なく、また視野角が広く、さらには、電極に印加する電圧によって表示される情報を書き換えることができるとともに、電源を切断した場合でも表示内容を保持できることから、今後のさらなる普及が予想され、大型化したものも利用されている。しかしながら、薄型の情報表示媒体を大型化した場合、薄型ではあるものの、大型であるゆえに取り扱いが容易ではなくなってしまうという問題が生じてしまう。
【0010】
ここで、複数のELパネルを電気的に接続させることにより、大面積のEL表示装置を構成可能とする技術が、例えば特許文献1に開示されている。この技術においては、複数のELパネルのそれぞれに突出部を設け、この突出部を用いて複数のELパネルを電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−123153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、特許文献1に開示されたものにおいては、複数のELパネルのそれぞれに突出部を設け、この突出部を用いて複数のELパネルを電気的に接続しているため、複数のELパネルに設けられた電極をこの突出部に応じた形状に設計しなおさなければならず、その形状によっては、複数のELパネルどうしの接続部分において精細な情報を表示できなくなる等、表示する情報に制約が生じてしまう虞れがある。
【0013】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、情報を表示するための電圧が印加される電極を有する情報表示媒体において、大型化した場合でも、表示する情報に制約を生じさせることなく取り扱いを容易にすることができる情報表示媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、
複数の単位電極がマトリックス状に配列された基板と、前記基板上に積層され、前記単位電極に印加される電圧に応じて情報を表示する情報表示層とを有してなる情報表示媒体において、
前記基板と前記情報表示層のうち少なくとも前記基板は、前記単位電極の外形に沿った凹凸を境界として複数に分割されていることを特徴とする。
【0015】
上記のように構成された本発明においては、情報表示層にて情報を表示するための電圧が印加される複数の単位電極が基板上にマトリックス状に配列されており、この基板と情報表示層のうち少なくとも基板が複数に分割されているので、情報表示媒体が大型化した場合、例えば、基板を分割した状態で搬送し、その後、分割した複数の基板を組み合わせることによって情報表示媒体を構成することで、取り扱いが容易となる。この際、基板は、単位電極の外形に沿った凹凸を境界として複数に分割されており、すなわち、基板の分割を単位電極のマトリックス状の配列に従って行っているので、基板を複数に分割するために単位電極には何ら影響はなく、それにより、表示する情報に制約が生じることがない。また、凹凸を境界として複数に分割されているので、複数の基板を組み合わせる際に位置合わせが容易となるとともに位置ずれが生じることがない。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明においては、複数の単位電極がマトリックス状に配列された基板と、基板上に積層され、単位電極に印加される電圧に応じて情報を表示する情報表示層とのうち少なくとも基板が、単位電極の外形に沿った凹凸を境界として複数に分割されている構成としたため、情報表示媒体が大型化した場合であっても、複数に分割した状態で搬送等して利用する際に組み合わせることにより取り扱いが容易となり、かつ、基板を複数に分割するために単位電極には何ら影響はなく、表示する情報に制約が生じることがなく、さらに、複数の基板を組み合わせる際に位置合わせが容易となるとともに位置ずれが生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の情報表示媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した表示電極層の表面構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図である。
【図2】図1に示した情報表示層の状態が変化した情報表示媒体を保護層側から見た図である。
【図3】図1に示した情報表示媒体の取り扱い方を説明するための図である。
【図4】本発明の情報表示媒体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した透明導電層上から見た図である。
【図5】薄型の情報表示装置の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した表示電極層の表面構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図である。
【図6】図5に示した情報表示層の状態が変化した情報表示媒体を保護層側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の情報表示媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した表示電極層10の表面構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図である。
【0020】
本形態は図1に示すように、表示電極層10と情報表示層20と透明導電層30と保護層40とが積層されて構成されている。
【0021】
表示電極層10は、ガラエポやPET等からなる基板11上に複数の単位電極12がマトリックス状に配列されて構成されている。これら複数の単位電極12のそれぞれには、例えば、基板11に形成されたスルーホール(不図示)を介して、基板11の裏面に形成された配線電極(不図示)が接続されており、この配線電極を介して外部から電圧が印加される。基板11は分離部13にて2つに分割されており、それにより、表示電極層10は2つの表示電極部10a,10bからなっている。分離部13は、基板11の面方向に凹凸となり、その凸部に単位電極12を少なくとも1つ含む凹凸部14を有しており、この凹凸部14は、その凹凸の形状が、単位電極12の外形に沿ったものとなっている。すなわち、基板11は、単位電極12の外形に沿った凹凸を境界として2つに分割されている。単位電極12のそれぞれには、上述したように、単位電極12に外部から電圧を印加するための配線電極が接続されているが、この配線電極は、表示電極部10a,10bのそれぞれについて外部から電圧が印加される構成となっている。
【0022】
透明導電層30は、情報表示層20上に積層されており、ガラスや透明フィルム等からなる透明基板(不図示)の一方の面に、例えば、ITO等の透明電極(不図示)が形成されて構成されている。
【0023】
情報表示層20は、表示電極層10上に表示電極層10と透明導電層30とに挟み込まれて積層されており、表示電極層10の単位電極12と透明導電層30の透明電極との間の電位差によってその状態が変化して情報を表示するものである。すなわち、表示電極層10の単位電極12に印加される電圧に応じて情報を表示するものであって、例えば、電気泳動タイプや電子粉粒タイプ、あるいは有機EL素子を用いたもの等が考えられる。
【0024】
保護層40は、透明導電層30上に積層されたフィルム等の透明な材料からなるものである。
【0025】
以下に、上記のように構成された情報表示媒体1の動作について説明する。
【0026】
上記のように構成された情報表示媒体1においては、透明導電層30の透明電極に所定の電圧を印加した状態で、情報表示層20にて表示する情報に応じて複数の単位電極12に対して、透明電極に印加した電圧とは異なる2種類の電圧を選択的に印加すると、透明電極と単位電極12との間の電位差に応じて情報表示層20の状態が変化する。
【0027】
図2は、図1に示した情報表示層20の状態が変化した情報表示媒体1を保護層40側から見た図である。
【0028】
透明電極と単位電極12との間の電位差に応じて情報表示層20の状態が変化すると、図2に示すように、複数の単位電極12のうち、2種類の電圧の一方の電圧が印加された単位電極に対向する領域と、2種類の電圧の他方の電圧が印加された単位電極に対向する領域とで情報表示層20の色が互いに異なるものとなり、この色の違いが保護層40側から視認されて情報2が表示されることになる。
【0029】
以下に、上述した情報表示媒体1の取り扱い方について説明する。
【0030】
図3は、図1に示した情報表示媒体1の取り扱い方を説明するための図である。
【0031】
図1に示した情報表示媒体1は、基板11が分離部13にて2つに分割されているため、表示電極層10に情報表示層20を積層する前に、図3(a)に示すように2つの表示電極部10a,10bに分割された状態で、搬送等を行う。そのため、情報表示媒体1の外形が大型化しても、搬送等にて取り扱いが困難になることが回避される。
【0032】
その後、図3(b)に示すように、分割された2つの表示電極部10a,10bを組み合わせることによって表示電極層10を構成する。この際、2つの表示電極部10a,10bは、凹凸となった凹凸部14を有する分離部13によって分割されているので、この凹凸部14による凸部と凹部とを嵌合させることで、2つの表示電極部10a,10bの位置合わせが容易となるとともに、位置ずれが生じることがない。
【0033】
そして、2つの表示電極部10a,10bを組み合わせることによって構成された表示電極層10上に、情報表示層20、透明導電層30及び保護層40を積層することにより、情報表示媒体1が構成される。
【0034】
このようにして構成された情報表示媒体1においては、上述したように、透明導電層30の透明電極に所定の電圧を印加した状態で、情報表示層20にて表示する情報に応じて複数の単位電極12に対して、透明電極に印加した電圧とは異なる2種類の電圧を選択的に印加することにより、透明電極と単位電極12との間の電位差に応じて情報表示層20の状態が変化して情報が表示されることになるが、基板11の分割が単位電極12のマトリックス状の配列に従って行われているので、基板11を複数に分割するために単位電極12には何ら影響はなく、それにより、表示する情報に制約が生じることがない。
【0035】
(他の実施の形態)
図4は、本発明の情報表示媒体の他の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した透明導電層130上から見た図である。
【0036】
本形態は図4に示すように、上述した実施の形態にて示したものに対して、表示電極層110のみではなく、表示電極層110、情報表示層120及び透明導電層130が分離部113にて2つに分割され、2つの表示部110a,110bとなっている点が異なるものである。
【0037】
本形態においては、表示電極層110、情報表示層120及び透明導電層130が積層された2つの表示部110a,110bを分割した状態で、搬送等を行い、その後、分割された2つの表示部110a,110bを組み合わせ、保護層140を積層することによって情報表示媒体101を構成する。
【0038】
本形態においても、表示電極層110、情報表示層120及び透明導電層130が分離部113にて2つの表示部110a,110bに分割されているため、この状態で搬送等を行えば、取り扱いが困難になることが回避される。また、2つの表示部110a,110bは、凹凸となった凹凸部114を有する分離部113によって分割されているので、この凹凸部114による凸部と凹部とを嵌合させることで、2つの表示部110a,110bの位置合わせが容易となるとともに、位置ずれが生じることがない。さらに、表示電極層110、情報表示層120及び透明導電層130の分割が単位電極112のマトリックス状の配列に従って行われているので、表示電極層110、情報表示層120及び透明導電層130を複数の表示部110a,110bに分割するために単位電極112には何ら影響はなく、それにより、表示する情報に制約が生じることがない。
【0039】
なお、本形態においては、表示電極層110、情報表示層120及び透明導電層130が、凹凸部114を有する分離部113によって2つに分割されたものを例に挙げて説明したが、表示電極層110及び情報表示層120のみが凹凸部114を有する分離部113によって2つに分割された構成であってもよいし、表示電極層110、情報表示層120、透明導電層130及び保護層140が、凹凸部114を有する分離部113によって2つに分割された構成であってもよい。
【0040】
また、上述した実施の形態においては、基板11または、表示電極層110、情報表示層120及び透明導電層130が、凹凸部14,114を有する1つの分離部13,113によって2つに分割されたものを例に挙げて説明したが、分割される数は2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1,101 情報表示媒体
2 情報
10,110 表示電極層
10a,10b 表示電極部
11,111 基板
12,112 単位電極
13,113 分離部
14,114 凹凸部
20,120情報表示層
30,130 透明導電層
40,140 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位電極がマトリックス状に配列された基板と、前記基板上に積層され、前記単位電極に印加される電圧に応じて情報を表示する情報表示層とを有してなる情報表示媒体において、
前記基板と前記情報表示層のうち少なくとも前記基板は、前記単位電極の外形に沿った凹凸を境界として複数に分割されていることを特徴とする情報表示媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−25152(P2013−25152A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160805(P2011−160805)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】