説明

情報表示方法および小型無線通信端末

【課題】表示スペースの確保が難しい小型無線通信端末が取り扱う情報を、その小型無線通信端末と異なる情報端末で簡便に表示することができる情報表示方法および小型無線通信端末を提供する。
【解決手段】小型無線通信端末の制御手段101は情報を記憶手段102から読み出し、赤外線データ通信手段104へ出力する。赤外線データ通信手段104は情報を情報端末へ送信する。情報端末では、赤外線データ通信手段が情報を受信し、表示手段が、人が前記情報の内容を識別することが可能な形式で情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線タグ(ICタグ、小型無線ICタグ)等の小型無線通信端末に関すると共に、その小型無線通信端末が取り扱う情報を表示する情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特定小電力方式等を応用したアクティブ型の小型無線ICタグが開発されている。これを、例えばセンサと組み合わせて、センサネットワークノードとして機能させることにより、応用領域が拡大しつつある(例えば非特許文献1参照)。また、公衆無線端末としても、組込用途向けに小型端末が開発され、ワイヤレスM2M分野において、応用領域が拡大しつつある(例えば非特許文献2参照)。
【非特許文献1】特定小電力無線小型・薄型アクティブセンシングタグ「SecureTAG WT−100」発売,[online],2005年2月28日,セイコープレシジョン株式会社,[2005年12月27日検索],インターネット<URL:http://www.seiko-p.co.jp/news/news-2005/news_wt-100.html>
【非特許文献2】ユビキタスモジュール−製品紹介−DoPaユビキタスモジュール,[online],株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ,[2005年12月27日検索],インターネット<URL: http://www.docomo.biz/module/product/dopa.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、小型無線通信端末が小型であることが必須条件であるため、一般的にスペースの都合から、端末に表示装置(ディスプレイ)が設けられない。しかしながら、このような端末が扱う情報を、人間が読み取り可能な形で表示する機能は多くの場面で必要とされる。また、このような端末の設定に関する情報や、端末が通信する情報そのものを、外部機器から人間が目視しながら編集や確認等した上で、端末にダウンロードする機能も同様に必要とされる。
【0004】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、表示スペースの確保が難しい小型無線通信端末が取り扱う情報を、その小型無線通信端末と異なる情報端末で簡便に表示することができる情報表示方法および小型無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、人が情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する手段を有していない小型無線通信端末が記憶する前記情報を、前記小型無線通信端末と異なる情報端末が表示する情報表示方法であって、前記小型無線通信端末の狭域通信手段が、記憶手段によって記憶された前記情報を前記情報端末へ送信し、前記情報端末の狭域通信手段が前記情報を受信し、前記情報端末の表示手段が、人が前記情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示することを特徴とする情報表示方法である。
【0006】
また、本発明は、人が情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する手段を有していない小型無線通信端末が記憶する前記情報を、前記小型無線通信端末と異なる情報端末が表示する情報表示方法であって、前記情報端末の表示手段が、人が前記情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示し、前記情報端末の狭域通信手段が前記情報を前記小型無線通信端末へ送信し、前記小型無線通信端末の狭域通信手段が前記情報を受信し、前記小型無線通信端末の記憶手段が、受信された前記情報を記憶することを特徴とする情報表示方法である。
【0007】
また、本発明の情報表示方法において、前記小型無線通信端末の狭域通信手段と前記情報端末の狭域通信手段が赤外線通信を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の情報表示方法において、前記小型無線通信端末の狭域通信手段は、前記情報に基づいた2次元コードを生成する手段と、前記2次元コードを表示する手段とを備え、前記情報端末の狭域通信手段は、表示された前記2次元コードを光学的に読み取る手段と、読み取った前記2次元コードを復号して前記情報を復元する手段とを備え、前記情報端末の表示手段が、復元された前記情報を表示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の情報表示方法において、前記情報端末が携帯電話端末であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、人が情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する手段を有していない小型無線通信端末において、前記情報を記憶する記憶手段と、人が前記情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する表示手段を備えた情報端末へ、前記記憶手段によって記憶された前記情報を送信する狭域通信手段とを備えたことを特徴とする小型無線通信端末である。
【0011】
また、本発明は、人が情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する手段を有していない小型無線通信端末において、人が前記情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する表示手段を備えた情報端末から前記情報を受信する狭域通信手段と、前記狭域通信手段によって受信された前記情報を記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とする小型無線通信端末である。
【0012】
また、本発明の小型無線通信端末において、前記狭域通信手段が前記情報端末と赤外線通信を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の小型無線通信端末において、前記狭域通信手段は、前記情報に基づいた2次元コードを生成する手段と、前記2次元コードを表示する手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示スペースの確保が難しい小型無線通信端末と、表示手段を有する情報端末との間で情報通信が行われ、情報が情報端末で表示されるので、小型無線通信端末が取り扱う情報を簡便に表示することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は小型無線通信端末100の構成を示しており、図2は情報端末200の構成を示している。小型無線通信端末100は、前述した無線タグ(ICタグ、小型無線ICタグ)等であり、人が情報の内容を識別することが可能な形式(文字や記号、図形等)でその情報を表示する手段を有していない。情報端末200は本実施形態では携帯電話端末である。図3は、小型無線通信端末100と情報端末200が通信を行う様子を示している。このように、小型無線通信端末100と情報端末200が近接して配置された状態で、両端末間の通信が行われる。
【0016】
小型無線通信端末100は、何らかの機能(アプリケーション)を有する部分と組み合わされて構成される。アプリケーションとは例えば、気温センサから取得した気温情報を、小型無線通信端末100を介して遠隔サーバへ転送するシステムや、小型無線通信端末100を介して取得した情報に基づいて遠隔地の状態(後述する錠前状態等)を監視してそれを表示するシステム等である。
【0017】
図1に示される小型無線通信端末100において、制御手段101はCPU(Central Processing Unit)等で構成され、小型無線通信端末100内の各手段を制御する。記憶手段102は、単に情報を転送する際に一時的に情報を保持するため、あるいは長期的に情報を保持するためのSRAM(Static Random Access Memory)や、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の中の少なくとも1つで構成され、各種の情報を記憶する。
【0018】
送受信手段103はアンテナや送受信回路等で構成され、特定小電力方式やPDC−P方式等の無線通信によって外部と通信を行う。狭域通信手段たる赤外線データ通信手段104は赤外線通信用の発光素子や受光素子等で構成され、IrDA(Infrared Data Association)方式による赤外線通信を情報端末200と行う。電源供給手段105は電池等で構成され、小型無線通信端末100内の各部へ電力を供給する。
【0019】
小型無線通信端末100の主たる通信手段は送受信手段103である。本実施形態による小型無線通信端末100は、人同士のコミュニケーション用途ではなく、物と物との通信(例えば、自動販売機が釣り銭や在庫状況に関する情報を遠隔の監視センタへ送信する場合等)が主たる適用領域である。このようなシステムを運用する場合、小型無線通信端末100が取り付けられる対象物の数は、概ね人口と同程度の携帯電話端末の数をはるかに超えることになる。そのため、送受信手段103が通信を行う無線ネットワークは、人口の数倍〜数百倍の端末を収容できることが必要となる。
【0020】
有線ネットワークと違い、帯域リソースの制限が大きい無線ネットワークにおいて、多数の端末を収容するためには、通信トラヒックをいかに効率よく収容できるのかが重要となる。例えば、通信相手を固定とすることにより、ヘッダ内の送信先端末IDフィールドを省略できる。また、本実施形態のような物と物の通信の場合、人と人の通信と比較して、主情報トラヒックが少なく、制御情報トラヒックの比率が相対的に大きい特徴がある。この特徴を利用して、無線MAC(Media Access Control)レイヤにおいて、帯域割当て単位を最適化することによって、フレーム利用効率の向上を図ることができる。以上は、従来の携帯電話網やPHS網にはない特徴である。ただし、多数の小型無線通信端末100を収容できるのであれば、送受信手段103が通信を行う無線ネットワークは携帯電話網やPHS網であってもよい。
【0021】
図2に示される情報端末200において、制御手段201はCPU等で構成され、情報端末200内の各手段を制御する。記憶手段202は、情報端末200の電源がONである間の一時的に情報を保持するため、あるいは情報端末200の電源がOFFである間も長期的に情報を保持するためのSRAMや、SDRAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ等の中の少なくとも1つで構成され、各種の情報を記憶する。送受信手段203はアンテナや送受信回路等で構成され、PDC−P方式等の無線通信によって外部と通信を行う。
【0022】
狭域通信手段たる赤外線データ通信手段204は赤外線通信用の発光素子や受光素子等で構成され、IrDA方式による赤外線通信を小型無線通信端末100と行う。表示手段205は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等で構成され、人が情報の内容を識別することが可能な形式(文字や記号、図形等)で各種の情報を表示する。図2において、情報端末200が有するその他の構成である電源供給手段や操作手段等の図示は省略されているものとする。
【0023】
次に、本実施形態による小型無線通信端末100と情報端末200が通信を行う際の動作を説明する。小型無線通信端末100から情報端末200へ情報が送信され、その情報が情報端末200の表示手段205によって表示される場合には以下のようになる。小型無線通信端末100の記憶手段102には、製品出荷時に予め格納された情報、または送受信手段103によって外部から受信され、制御手段101によって格納された情報が存在している。制御手段101はその情報を記憶手段102から読み出し、赤外線データ通信手段104へ出力する。赤外線データ通信手段104は、小型無線通信端末100の近傍に置かれた情報端末200へ、赤外線通信によって情報を送信する。
【0024】
情報端末200の赤外線データ通信手段204は情報を受信し、制御手段201へ出力する。制御手段201は記憶手段202に情報を格納した後、情報を表示するタイミングでその情報を記憶手段202から読み出し、表示に適するように情報の形式を変換する等の処理を行った後、情報を表示手段205へ出力する。表示手段205はその情報を表示する。これによって、小型無線通信端末100に記憶されていた情報をユーザが確認することができる。
【0025】
また、情報端末200の表示手段205によって表示された情報が情報端末200から小型無線通信端末100へ送信される場合には以下のようになる。情報端末200の送受信手段203は外部から情報を受信し、制御手段201へ出力する。制御手段201は記憶手段202に情報を格納した後、情報を表示するタイミングでその情報を記憶手段202から読み出し、表示に適するように情報の形式を変換する等の処理を行った後、情報を表示手段205へ出力する。表示手段205はその情報を表示する。これによって、小型無線通信端末100へ送信される情報をユーザが確認することができる。この情報は、適宜ユーザによって内容に変更が施される。
【0026】
続いて、制御手段201は記憶手段202からその情報を読み出し、赤外線データ通信手段204へ出力する。赤外線データ通信手段204は、赤外線通信によって小型無線通信端末100へ情報を送信する。小型無線通信端末100の赤外線データ通信手段104は情報を受信し、制御手段101へ出力する。制御手段101は記憶手段102に情報を格納する。この情報をさらに外部へ転送する場合には、情報が制御手段101によって記憶手段102から読み出され、送受信手段103によって送信される。
【0027】
本実施形態では、情報端末200として携帯電話端末を想定している。多くの携帯電話端末は、IrDA方式による狭域通信手段を具備しているので、これと小型無線通信端末100の赤外線データ通信手段104との間でデータ通信を行うことができる。これにより、小型無線通信端末100の主たる通信手段である送受信手段103で受信した情報を情報端末200へ転送し、その内容を情報端末200の表示手段205に表示させることができる。
【0028】
例えば、家などの鍵に通信機能を持たせ(本実施形態による小型無線通信端末100を柄の部分などに作り込むことにより実現される)、これと対になる錠前と通信することにより、錠前状態を遠隔監視するシステムがある(特願2004−339397)。これは、所有者だけに錠前状態の遠隔監視を許すことによって、悪意の第三者による盗み見を防止するシステムである。錠前状態だけであれば、開か閉かの2状態を表現できれば十分なので、表示手段としてはLED等でもよく、その場合、鍵の柄という小さいスペースに表示手段を作り込むことは可能である。
【0029】
しかし、同システムの発展形として、各種のホームセキュリティ情報(ガス元栓状態、ガラス窓の施錠状態など)も表示させたい場合には、LED等での対応は困難である。テキスト情報を表示することができる液晶ディスプレイ等を表示手段として採用することが望ましいが、そのような表示手段を鍵の柄に実装するのは困難である。このような場合、ホームセキュリティ情報を各種機器等の外部装置から取得した本実施形態の小型無線通信端末100がホームセキュリティ情報を携帯電話等の情報端末200へ転送し、その液晶ディスプレイ等の表示手段上で表示させることにより、問題を解決することが可能である。
【0030】
また逆に、情報端末200が作成したテキストデータを小型無線通信端末100に送信し、小型無線通信端末100の送受信手段103を経由して外部へ送信させることができる。このテキストデータは、前述した各種のアプリケーションに用いられるデータである。例えば、主たる通信手段である送受信手段103は、物と物との通信に用いられるので、狭域であることがあるため、センサの校正データなどのデータサイズが、送受信手段103で送信するには大きすぎる場合がある。このような場合に、携帯電話網経由で情報端末200が校正データをダウンロード(受信)し、狭域通信手段たる赤外線データ通信手段204で小型無線通信端末100へ転送することにより、ネットワークの負荷やコストを低減することができる。
【0031】
上記のように、情報端末200として携帯電話端末を想定したのは、小型無線通信端末100が様々な物、特に移動体等に埋め込まれることが多いことから、表示手段としての情報端末200も携帯型である方が好都合な場合が多いからである。これと同様の考え方によれば、情報端末200がPDA(Personal Digital Assistance)等の携帯型情報端末であっても問題はない。また、小型無線通信端末100がユーザの意思により自由に持ち運び可能な場合は、情報端末200がPC(Personal Computer)等の据え置き型の情報端末であってもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、狭域通信手段として赤外線データ通信手段が小型無線通信端末および情報端末に設けられているが、狭域通信手段はこれに限定されない。例えば、電源を持たないパッシブタグとリーダ間での通信に用いられる電磁誘導方式やBluetooth(登録商標)等による通信手段が狭域通信手段として考えられる。その一方で、携帯電話端末やPDA等の代表的な携帯情報端末において最も普及が進んでいるのは、赤外線データ通信のIrDA方式である。したがって、ユーザの利便性を考慮した場合は、狭域通信手段を、IrDA方式による赤外線データ通信手段とすることが望ましい。
【0033】
上述したように、本実施形態では、表示スペースの確保が難しい小型無線通信端末と、表示手段を有する情報端末との間で情報通信が行われ、小型無線通信端末が取り扱う情報が情報端末で表示される。これによって、小型無線通信端末が取り扱う情報を、その小型無線通信端末と異なる情報端末で簡便に表示することができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図4は小型無線通信端末300の構成を示しており、図5は情報端末400の構成を示している。小型無線通信端末300も第1の実施形態と同様に、前述した無線タグ(ICタグ、小型無線ICタグ)等であり、人が情報の内容を識別することが可能な形式(文字や記号、図形等)でその情報を表示する手段を有していない。情報端末400は本実施形態でも携帯電話端末である。図6は、小型無線通信端末300と情報端末400が通信を行う様子を示している。このように、小型無線通信端末300と情報端末400が近接して配置された状態で、両端末間の通信が行われる。また、この通信は、小型無線通信端末300が表示した2次元コードを情報端末400が光学的に読み取ることによって行われる。
【0035】
図4に示される小型無線通信端末300において、制御手段301、記憶手段302、送受信手段303、および電源供給手段305はそれぞれ、第1の実施形態による小型無線通信端末100が備える制御手段101、記憶手段102、送受信手段103、および電源供給手段105と同様である。第1の実施形態と異なる点は、図1の赤外線データ通信手段104のように、キャリアとなる電磁波を変調してデータを送る(以下、この方法を電波方式と称す)のではなく、光学的にデータを転送する方法を実現する2次元コード表示手段304が設けられている点である。この2次元コード表示手段304は液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等で構成され、小型無線通信端末300が所持する情報に基づいた2次元コードを表示する。本実施携帯では、情報の転送方向は小型無線通信端末300から情報端末400への一方向である。
【0036】
図5に示される情報端末400において、制御手段401、記憶手段402、送受信手段403、および表示手段405はそれぞれ、第1の実施形態による情報端末200が備える制御手段201、記憶手段202、送受信手段203、および表示手段205と同様である。第1の実施形態と異なる点は、図2の赤外線データ通信手段204のように、電波方式によってデータを転送するのではなく、光学的にデータを転送する方法を実現する撮像手段404が設けられている点である。
【0037】
この撮像手段404は、2次元コードを光学的に読み取るため、光電変換によって光学像を電気信号に変換する撮像素子や、小型無線通信端末300の2次元コード表示手段304によって表示された2次元コードを光学像として撮像素子の撮像面に結像する光学レンズを有するカメラ等で構成されている。撮像手段404は2次元コードを撮像し、画像データを生成する。図5において、情報端末400が有するその他の構成である電源供給手段や操作手段等の図示は省略されているものとする。
【0038】
次に、本実施形態による小型無線通信端末300と情報端末400が通信を行う際の動作を説明する。小型無線通信端末300の記憶手段302には、製品出荷時に予め格納された情報、または送受信手段303によって外部から受信され、制御手段301によって格納された情報が存在している。制御手段301はその情報を記憶手段302から読み出し、その情報に基づいて2次元コードを生成して2次元コード表示手段304へ出力する。2次元コード表示手段304は2次元コードを表示する。
【0039】
小型無線通信端末300の近傍に置かれた情報端末200の撮像手段404は2次元コードを撮像し、画像データを生成して制御手段401へ出力する。制御手段401は、画像データに基づいて2次元コードを復元し、その2次元コードをデコード(復号)して元の情報を復元する。制御手段401は記憶手段402にその情報を格納した後、情報を表示するタイミングでその情報を記憶手段402から読み出し、表示に適するように情報の形式を変換する等の処理を行った後、情報を表示手段405へ出力する。表示手段405はその情報を表示する。これによって、小型無線通信端末300に記憶されていた情報をユーザが確認することができる。
【0040】
情報端末400のようなカメラ付き携帯電話端末で復元できる2次元コードとしてはQRコードが一般的である。QRコードの場合、21セル×21セルで英数字25文字を表示することが可能である。一般的な携帯電話端末のカメラで識別可能なセルサイズが0.28mmであることを考えると、QRコードの表示に必要なスペースは約6mm×6mmである。この領域に英数字25文字を表示する場合には、人間の目で読める条件の下でディスプレイに直接英数字を表示する場合と比べて、所定面積当たりの情報量は多いと言える。
【0041】
情報端末400として、本実施形態ではカメラ付き携帯電話を想定したが、QRコードを撮影するためのカメラと、得られたQRコードをデコードするためのソフトウェアが搭載されていれば、PDA等を情報端末400として利用することも可能である。また、第1の実施形態で説明したように、小型無線通信端末300が自由に移動することが可能な場合には、情報端末400が、カメラの接続されたPC等の据え置き型の情報端末であってもよい。
【0042】
第1の実施形態において、小型無線通信端末と情報端末の間の通信方式として採用されている赤外線データ通信、Bluetooth(登録商標)、パッシブタグ方式等の電波方式では、悪意の第三者が遠隔から読み取り信号を送信することにより、情報を盗み取られる、いわゆるスキミングのリスクがある。一方、本実施形態のように、小型無線通信端末が表示した2次元コードを情報端末が光学的に読み取る方式では、表示された2次元コードのすぐ傍、すなわちQRコードであればそのパターンを認識できるほど情報端末のカメラを近くに寄せなければ、情報を得ることは困難である。
【0043】
また、小型無線通信端末がかばん等に入れられていて、肉眼で見えない場合も、情報を取得することは困難である。すなわち、光学的に情報を転送する方式の場合、電波方式と比較して、表示された2次元コードを見通せること、表示された2次元コードに十分接近していることの2条件が加わるため、スキミングのリスクを大幅に低減することができる。
【0044】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態による小型無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による情報端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による小型無線通信端末と情報端末が通信を行う様子を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による小型無線通信端末の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による情報端末の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による小型無線通信端末と情報端末が通信を行う様子を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0046】
100,300・・・小型無線通信端末、101,201,301,401・・・制御手段、102,202,302,402・・・記憶手段、103,203,303,403・・・送受信手段、104,204・・・赤外線データ通信手段、105,305・・・電源供給手段、200,400・・・情報端末、205,405・・・表示手段、304・・・2次元コード表示手段、404・・・撮像手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する手段を有していない小型無線通信端末が記憶する前記情報を、前記小型無線通信端末と異なる情報端末が表示する情報表示方法であって、
前記小型無線通信端末の狭域通信手段が、記憶手段によって記憶された前記情報を前記情報端末へ送信し、
前記情報端末の狭域通信手段が前記情報を受信し、
前記情報端末の表示手段が、人が前記情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する
ことを特徴とする情報表示方法。
【請求項2】
人が情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する手段を有していない小型無線通信端末が記憶する前記情報を、前記小型無線通信端末と異なる情報端末が表示する情報表示方法であって、
前記情報端末の表示手段が、人が前記情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示し、
前記情報端末の狭域通信手段が前記情報を前記小型無線通信端末へ送信し、
前記小型無線通信端末の狭域通信手段が前記情報を受信し、
前記小型無線通信端末の記憶手段が、受信された前記情報を記憶する
ことを特徴とする情報表示方法。
【請求項3】
前記小型無線通信端末の狭域通信手段と前記情報端末の狭域通信手段が赤外線通信を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報表示方法。
【請求項4】
前記小型無線通信端末の狭域通信手段は、前記情報に基づいた2次元コードを生成する手段と、前記2次元コードを表示する手段とを備え、
前記情報端末の狭域通信手段は、表示された前記2次元コードを光学的に読み取る手段と、読み取った前記2次元コードを復号して前記情報を復元する手段とを備え、
前記情報端末の表示手段が、復元された前記情報を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示方法。
【請求項5】
前記情報端末が携帯電話端末であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の情報表示方法。
【請求項6】
人が情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する手段を有していない小型無線通信端末において、
前記情報を記憶する記憶手段と、
人が前記情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する表示手段を備えた情報端末へ、前記記憶手段によって記憶された前記情報を送信する狭域通信手段と、
を備えたことを特徴とする小型無線通信端末。
【請求項7】
人が情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する手段を有していない小型無線通信端末において、
人が前記情報の内容を識別することが可能な形式で前記情報を表示する表示手段を備えた情報端末から前記情報を受信する狭域通信手段と、
前記狭域通信手段によって受信された前記情報を記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とする小型無線通信端末。
【請求項8】
前記狭域通信手段が前記情報端末と赤外線通信を行うことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の小型無線通信端末。
【請求項9】
前記狭域通信手段は、前記情報に基づいた2次元コードを生成する手段と、前記2次元コードを表示する手段とを備えたことを特徴とする請求項6に記載の小型無線通信端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−193559(P2007−193559A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10779(P2006−10779)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】