情報表示板および花卉収容容器
【課題】作業者の負担を軽減しつつ花卉を見栄え良く陳列する。
【解決手段】花卉を収容するコンテナ30には、情報表示板10が取り付けられる。情報表示板10には表示板部24および連結板部25を備えた主板14が設けられ、主板14の連結板部25には一対のアーム板15,16が連結されている。また、情報表示板10の表示板部24には、POP広告等の情報を表示可能な表示面24aが設けられる。さらに、コンテナ30の側壁33,35には複数の貫通孔34,36が形成されている。コンテナ30に情報表示板10を取り付ける際には、アーム板15,16が貫通孔34,36に差し込まれる。このように、コンテナ30に情報表示板10を取り付けることにより、花卉の売り場にPOP広告等を簡単に提示することができ、作業者の負担を軽減しつつ花卉を見栄え良く陳列することが可能となる。
【解決手段】花卉を収容するコンテナ30には、情報表示板10が取り付けられる。情報表示板10には表示板部24および連結板部25を備えた主板14が設けられ、主板14の連結板部25には一対のアーム板15,16が連結されている。また、情報表示板10の表示板部24には、POP広告等の情報を表示可能な表示面24aが設けられる。さらに、コンテナ30の側壁33,35には複数の貫通孔34,36が形成されている。コンテナ30に情報表示板10を取り付ける際には、アーム板15,16が貫通孔34,36に差し込まれる。このように、コンテナ30に情報表示板10を取り付けることにより、花卉の売り場にPOP広告等を簡単に提示することができ、作業者の負担を軽減しつつ花卉を見栄え良く陳列することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花卉を収容する収容容器に取り付けられる情報表示板、および花卉を収容する花卉収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
生産者から販売店に花卉を出荷する際には、花卉をプラスチック等の運搬容器に収容することが多い(例えば、特許文献1参照)。このような運搬容器に収容された花卉が販売店に届けられると、花卉は運搬容器から商品陳列用の水揚げバケツ等に入れ替えられ、販売店において花卉は見栄え良く陳列されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−133370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、花卉を運搬容器から水揚げバケツ等に入れ替えることは、作業者の負担を増大させる要因であることから、運搬容器に収容したまま花卉を店頭に陳列することも考えられる。しかしながら、単に店頭に運搬容器を並べるだけでは、花卉を見栄え良く陳列することが困難であった。さらに、花卉を見栄え良く陳列するためには、売り場において、スタンド、プライスカード、タペストリ、のぼり等を配置し、販売促進のための情報を提示することも重要となっている。しかしながら、売り場にスタンドやプライスカードを配置することは、作業者の負担を増大させる要因となっていた。
【0005】
本発明の目的は、作業者の負担を軽減しつつ花卉を見栄え良く陳列することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報表示板は、花卉を収容する収容容器に取り付けて使用される情報表示板であって、情報を表示可能な表示面を備える表示板部と、前記表示板部に連結される第1アーム部と、前記表示板部に連結される第2アーム部とを有し、前記第1アーム部は前記収容容器の側壁に形成される複数の貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記第2アーム部は前記収容容器の側壁に形成される複数の貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記収容容器を貫通する前記第1および第2アーム部によって前記収容容器の開口部が複数に仕切られることを特徴とする。
【0007】
本発明の情報表示板は、前記表示板部、前記第1および第2アーム部は、板材を切断して一体に形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明の情報表示板は、前記板材は、紙製またはプラスチック製の段ボールであることを特徴とする。
【0009】
本発明の情報表示板は、前記段ボールの中空構造の目は、前記第1および第2アーム部の長手方向に平行であることを特徴とする。
【0010】
本発明の情報表示板は、前記表示板部と前記第1および第2アーム部との間に連結板部が設けられ、前記表示板部は前記連結板部に対して折り返し自在に連結されることを特徴とする。
【0011】
本発明の情報表示板は、前記収容容器は、花卉の運搬および販売に用いられる兼用容器であることを特徴とする。
【0012】
本発明の花卉収容容器は、花卉を収容する花卉収容容器であって、一端に開口部を備え、側壁に複数の貫通孔が形成される収容容器部と、情報を表示可能な表示面を備える表示板部と、前記表示板部に連結される第1アーム部と、前記表示板部に連結される第2アーム部とを備え、前記収容容器部に取り付けられる情報表示板とを有し、前記第1アーム部は前記貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記第2アーム部は前記貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記収容容器部を貫通する前記第1および第2アーム部によって前記開口部が複数に仕切られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、情報表示板の第1および第2アーム部を収容容器(収容容器部)の貫通孔に差し込むことにより、花卉が収容される収容容器に表示板部を備えた情報表示板が取り付けられる。これにより、情報表示板を用いて販売促進に資する情報を売り場に簡単に提示することが可能となり、作業者の負担を軽減しつつ花卉を見栄え良く陳列することが可能となる。しかも、第1および第2アーム部によって収容容器の開口部を仕切るようにしたので、収容容器内の花卉が減少した場合であっても、少ない花卉をまとめて見栄え良く陳列することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)および(b)は本発明の一実施の形態である情報表示板を示す斜視図である。
【図2】(a)は情報表示板を示す正面図であり、(b)は情報表示板を示す背面図である。
【図3】(a)は情報表示板を示す平面図であり、(b)は情報表示板を示す底面図であり、(c)は情報表示板を示す左側面図であり、(d)は情報表示板を示す右側面図である。
【図4】(a)はコンテナと情報表示板とを分離した状態で示す斜視図であり、(b)はコンテナに情報表示板を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】(a)は図4(b)のA線に沿って情報表示板およびコンテナを示す断面図であり、(b)は図4(b)のB線に沿って情報表示板およびコンテナを示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は花束加工工場における花束の梱包手順を示す説明図である。
【図7】(a)および(b)は販売店における花束の陳列手順を示す説明図である。
【図8】情報表示板およびコンテナを上方から示す平面図である。
【図9】(a)は情報表示板が取り付けられていないコンテナを示す斜視図であり、(b)は情報表示板が取り付けられたコンテナを示す斜視図である。
【図10】図8のA−A線に沿って情報表示板およびコンテナを示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態である情報表示板の使用状態を示す斜視図である。
【図12】(a)および(b)は本発明の他の実施の形態である情報表示板を示す平面図である。
【図13】プラスチック製の段ボールを用いて形成される情報表示板を示す斜視図である。
【図14】陳列棚の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)および(b)は本発明の一実施の形態である情報表示板10を示す斜視図である。図1(a)には情報表示板10の正面、平面および右側面を表す斜視図が示され、図1(b)には情報表示板10の背面、平面および左側面を表す斜視図が示されている。また、図2(a)は情報表示板10を示す正面図であり、図2(b)は情報表示板10を示す背面図である。さらに、図3(a)は情報表示板10を示す平面図であり、図3(b)は情報表示板10を示す底面図であり、図3(c)は情報表示板10を示す左側面図であり、図3(d)は情報表示板10を示す右側面図である。なお、図1〜図3には展開された状態の情報表示板10が示されている。
【0016】
図1〜図3に示すように、情報表示板10は、板材である紙製の段ボールを裁断することで形成される。図1(a)の拡大部分に示すように、材料となる段ボールは、波形に形成される中芯11と、中芯11の一方面に貼り付けられるライナ12と、中芯11の他方面に貼り付けられるライナ13とを備えている。図1〜図3に示すように、情報表示板10は、略長方形状に形成される主板14と、主板14の下部から横方向の一方に伸びるアーム板(第1アーム部)15と、主板14の下部から横方向の他方に伸びるアーム板(第2アーム部)16とを備えている。アーム板15の幅方向の端部と主板14との境界には、中芯11およびライナ12,13を分断する切り込み線17が形成されている。また、アーム板15の長手方向の端部と主板14との境界には折り曲げ線18が形成されている。これにより、主板14に対してアーム板15は、折り曲げ線18を境に折り曲げ自在となる。同様に、アーム板16の幅方向の端部と主板14との境界には、中芯11およびライナ12,13を分断する切り込み線19が形成されている。また、アーム板16の長手方向の端部と主板14との境界には折り曲げ線20が形成されている。これにより、主板14に対してアーム板16は、折り曲げ線20を境に折り曲げ自在となる。また、アーム板15の先端には、上方に突出する係合爪21が形成されており、アーム板16の先端には、下方に突出する係合爪22が形成されている。
【0017】
また、図1(b)および図2(b)に示すように、主板14には横方向に伸びる切り込み線23が形成されており、主板14には切り込み線23を境に表示板部24と連結板部25とが区画されている。この切り込み線23は、ライナ13のみを切断した切り込み線、もしくはライナ13および中芯11を切断した切り込み線となっている。すなわち、表示板部24と連結板部25とは少なくともライナ12を介して連結された状態であり、図1(b)に矢印αで示すように、表示板部24は連結板部25に対して折り返し自在に連結されている。このように、情報表示板10は段ボールを切断することで形成されており、アーム板15、アーム板16、表示板部24および連結板部25が一体に形成されている。また、表示板部24には連結板部25を介してアーム板15が連結されており、表示板部24には連結板部25を介してアーム板16が連結されている。
【0018】
また、情報表示板10を構成する表示板部24には、文字、数字、模様等からなる情報(例えばPOP(point of purchase)広告)を表示可能な表示面24aが設けられている。この表示面24aには、図1(b)に示すように、情報表示板10の製造段階で文字や模様等を印刷しても良く、後述するように販売店においてラベル等を貼り付けても良い。また、図2(b)に示すように、情報表示板10の製造段階においては表示面24aに何も表示せず、販売店において文字、数字、模様等からなる情報を貼り付けたり、書き込んだりしても良い。
【0019】
続いて、コンテナ30に対する情報表示板10の取付状態について説明する。図4(a)はコンテナ30と情報表示板10とを分離した状態で示す斜視図であり、図4(b)はコンテナ30に情報表示板10を取り付けた状態を示す斜視図である。また、図5(a)は図4(b)のA線に沿って情報表示板10およびコンテナ30を示す断面図であり、図5(b)は図4(b)のB線に沿って情報表示板10およびコンテナ30を示す断面図である。また、図4に示される情報表示板10およびコンテナ30によって、本発明の一実施の形態である花卉収容容器31が構成されている。
【0020】
図4(a)に示すように、花卉を収容するコンテナ(収容容器,収容容器部)30は、上端(一端)に開口部32を有する箱形に形成されている。コンテナ30を構成する側壁33には6個の貫通孔34が形成されており、この側壁33に対向する側壁35には貫通孔34に対向する6個の貫通孔36が形成されている。そして、図4(a)および(b)に示すように、コンテナ30に対して情報表示板10を取り付ける際には、情報表示板10のアーム板15,16が主板14に対してほぼ直角に折り曲げられ、コンテナ30を貫通するようにアーム板15,16が貫通孔34,36に差し込まれる。図5(a)および(b)に示すように、アーム板15,16の先端は係合爪21,22が形成されることから、各アーム板15,16の係合爪21,22は側壁35の外面に係合し、コンテナ30に対して情報表示板10が固定されるようになっている。このように、コンテナ30の貫通孔34,36にアーム板15,16を差し込むだけの簡単な作業で、コンテナ30に情報表示板10を取り付けることが可能となっている。
【0021】
また、アーム板15の係合爪21は上方に突出する一方、アーム板16の係合爪22は下方に突出することから、情報表示板10がコンテナ30から抜け落ち難くなっている。すなわち、図5(a)に矢印αで示すように、情報表示板10に外力が作用してアーム板15,16が上方に傾いた場合には、アーム板15の係合爪21が噛み込む状態となる。一方、図5(b)に矢印βで示すように、情報表示板10に外力が作用してアーム板15,16が下方に傾いた場合には、アーム板16の係合爪22が噛み込む状態となる。このように、各係合爪21,22を逆向きに形成することにより、情報表示板10の脱落を防止することが可能となる。なお、貫通孔34,36に対する係合爪21,22の挿入を容易にするため、アーム板15,16の先端には切り欠き37,38が形成されている。
【0022】
前述した情報表示板10は、花束(花卉)Fの小売段階で使用するものであるが、販売店での作業を軽減するため、花束Fを出荷する花束加工工場等においてコンテナ30に予め情報表示板10が取り付けられる。続いて、花束Fを加工して出荷する花束加工工場での作業について説明し、花束Fを入荷して販売する販売店での作業について説明する。図6(a)〜(c)は花束加工工場における花束Fの梱包手順を示す説明図である。また、図7(a)および(b)は販売店における花束Fの陳列手順を示す説明図である。前述したように、花束加工工場においてコンテナ30に情報表示板10が取り付けられると、図6(a)に示すように、コンテナ30に所定量の水が注入されるとともに花束Fが収容される。続いて、図6(b)に示すように、段ボール等で形成される角筒状の保護カバー40がコンテナ30に取り付けられるとともに、保護カバー40の開口端にコンテナ蓋41が取り付けられる。そして、図6(c)に示すように、コンテナ30、保護カバー40およびコンテナ蓋41は結束バンド42を用いて固定され、1つの梱包ユニット43として構成される。このような梱包ユニット43は販売店に向けて出荷されており、この段階ではコンテナ30は花束Fの運搬に用いられる容器として機能している。
【0023】
梱包ユニット43が販売店に到着すると、図7(a)に示すように、コンテナ30から保護カバー40およびコンテナ蓋41が取り外される。そして、情報表示板10の表示板部24が矢印α方向に折り返され、図7(b)に示すように、露わになった表示面24aに対して価格や品名等を記載したラベル44が貼り付けられる。このように、販売店においては、梱包ユニット43を解いて表示板部24を折り返すだけの作業で、POP広告等を表示可能な表示面24aをコンテナ30の前面に設置することが可能となる。これにより、情報表示板10を利用して売り場にPOP広告等を簡単に提示することができ、作業者の負担を軽減しつつ花束Fを見栄え良く陳列することが可能となる。また、コンテナ30の前面に情報表示板10を設置することにより、見栄えを損なうことなく運搬に用いられるコンテナ30を店頭に並べることが可能となる。すなわち、コンテナ30に情報表示板10を取り付けることにより、コンテナ30を花束Fの運搬および販売に用いられる兼用容器として機能させることが可能となる。これにより、販売店における花束Fの入れ替え作業が不要となり、この点からも、作業者の負担を大幅に軽減することが可能となる。なお、梱包ユニット43の状態では、表示板部24の表示面24aが保護カバー40に対向することから、運搬中に表示面24aを汚してしまうことが無く、この点からも花束Fを見栄え良く陳列することが可能となる。
【0024】
また、図8は情報表示板10およびコンテナ30を上方から示す平面図である。図8に示すように、コンテナ30に装着される情報表示板10のアーム板15,16は、コンテナ30を貫通するように掛け渡されている。すなわち、コンテナ30の開口部32は、2つのアーム板15,16によって3つに仕切られた状態となっている。ここで、図9(a)は情報表示板10が取り付けられていないコンテナ30を示す斜視図であり、図9(b)は情報表示板10が取り付けられたコンテナ30を示す斜視図である。図9(a)に示すように、情報表示板10が装着されていない場合には、販売に伴ってコンテナ30内の花束Fが閑散とした状態になり、花束Fの見栄えを損なうおそれがある。これに対し、図9(b)に示すように、情報表示板10を装着してコンテナ30の開口部32を仕切ることにより、販売に伴ってコンテナ30内の花束Fが減少した場合であっても、少ない花束Fをまとめて見栄え良く配置することが可能となる。また、情報表示板10によってコンテナ30の開口部32を仕切ることにより、異なる種類の花束Fを1つのコンテナ30に綺麗に陳列することも可能となる。
【0025】
また、図1(a)に一点鎖線Lで示すように、情報表示板10の材料となる段ボールの中空構造の目は、アーム板15,16の長手方向と平行となっている。すなわち、中芯11とライナ12,13との間に区画される筋状の空洞部分が、アーム板15,16を長手方向に貫くようになっている。換言すれば、ライナ12,13と中芯11とを接着する筋状の接着面が、アーム板15,16を長手方向に貫くようになっている。なお、図1(a)には、段ボールの中空構造の目を示す線として3本の一点鎖線Lを記載しているが、段ボールにおいては多数の目が平行に伸びていることはいうまでもない。
【0026】
このように、段ボールの中空構造の目とアーム板15,16の長手方向とを平行に配置した上で段ボールを裁断することにより、情報表示板10の強度が確保されるとともに、表示板部24を容易かつ綺麗に折り返すことが可能となる。ここで、図10は図8のA−A線に沿って情報表示板10およびコンテナ30を示す断面図である。図10に示すように、情報表示板10の主板14には、切り込み線23と平行に段ボールの中空構造の目が並んでいる。これにより、ライナ13を切断する切り込み線23を形成するだけで、表示板部24を容易かつ綺麗に折り返すことができるとともに、ライナ12や中芯11の反発力により、連結板部25に対して表示板部24を適度に傾斜させることが可能となる。このように、表示板部24を傾斜させることにより、コンテナ30が床に配置されていた場合であっても、購入者に対して表示板部24を見易く向けることが可能となる。また、アーム板15,16の長手方向と平行に段ボールの中空構造の目が並んでいる。これにより、図8に矢印αで示すように、アーム板15,16に厚み方向の外力が作用した場合であっても、アーム板15,16を折れ曲がり難く構成することが可能となる。
【0027】
また、前述の説明では、主板14に切り込み線23を形成することにより、主板14に表示板部24と連結板部25とを形成しているが、これに限られることはなく、切り込み線23を省いて主板14の全てを表示板部24として機能させても良い。ここで、図11は本発明の他の実施の形態である情報表示板50の使用状態を示す斜視図である。図11に示すように、主板14のライナ12側を表示面51aとすることにより、主板14の全てを表示板部51として機能させても良い。この場合には、表示面51aを露出させるために主板14が折り返されることはなく、表示面51aが始めから露出した状態となっている。
【0028】
また、図12(a)および(b)は本発明の他の実施の形態である情報表示板52,53を示す平面図である。なお、図12において図8に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。前述の説明では、情報表示板10のアーム板15,16をほぼ平行に伸ばしているが、これに限られることはなく、情報表示板10のアーム板15,16を互いに傾斜させても良い。例えば、図12(a)に示すように、情報表示板52が備えるアーム板(第1アーム部,第2アーム部)54,55を傾斜させて交差させることにより、コンテナ30の開口部32を4つに仕切っても良い。この場合には、アーム板54,55は前述したアーム板15,16よりも長く形成され、アーム板54,55のほぼ中央に干渉を回避するための切り込みが形成されている。また、前述の説明では、アーム板15,16の係合爪21,22を貫通孔36に係合させることにより、コンテナ30に情報表示板10を固定しているが、これに限られることはない。例えば、図12(b)に示すように、情報表示板53が備えるアーム板(第1アーム部,第2アーム部)56,57の先端に切り込みや面ファスナーを設けることにより、アーム板56,57の先端同士を連結して情報表示板53を固定しても良い。この場合にも、アーム板56,57は、前述したアーム板15,16よりも長く形成されている。
【0029】
また、前述の説明では、紙製の段ボールを材料に用いて情報表示板10を形成しているが、これに限られることはなく、プラスチック製の段ボールを材料に用いて情報表示板60を形成しても良い。ここで、図13はプラスチック製の段ボールを用いて形成される情報表示板60を示す斜視図である。なお、図13において図1(a)に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。図13に示すように、情報表示板10は、板材であるプラスチック製の段ボールを裁断することで形成される。図13の拡大部分に示すように、材料となる段ボールは、細長い板状に形成される複数の中芯61と、中芯61の幅方向の一方の側面に貼り付けられるライナ62と、中芯61の幅方向の他方の側面に貼り付けられるライナ63とを備えている。このようにプラスチック製の段ボールを用いて情報表示板60を形成することにより、情報表示板60の耐水性や耐久性を飛躍的に向上させることが可能となる。また、プラスチック製の段ボールを用いて情報表示板60を形成する場合であっても、前述した紙製の段ボールと同様に、段ボールの中空構造の目をアーム板15,16の長手方向と平行にすることが望ましい。すなわち、中芯61とライナ62,63との間に区画される筋状の空洞部分が、アーム板15,16を長手方向に貫通することが望ましい。換言すれば、ライナ62,63と中芯61とを接着する筋状の接着面が、アーム板15,16を長手方向に貫通することが望ましい。
【0030】
また、販売店においてコンテナ30を並べる際には、床に対してコンテナ30を直に置いても良いが、見栄えを向上させるために陳列棚にコンテナ30を置いても良い。ここで、図14は陳列棚64の一例を示す斜視図である。図14に示すように、陳列棚64の前面には化粧板65が取り付けられており、この化粧板65によってコンテナ30の前面が覆われている。これにより、黒に着色されることの多いコンテナ30を覆うことができ、売り場の雰囲気を明るくすることができるため、更に花束Fを見栄え良く陳列することが可能となる。
【0031】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する場合には、情報表示板10,50,52,53,60の材料になる板材として、紙製やプラスチック製の段ボールを挙げているが、これに限られることはなく、厚紙やプラスチック板等を板材として用いるようにしても良い。さらに、製造時の低コスト化や保管時のコンパクト化を達成するためには板材を裁断することが望ましいが、プラスチック等を材料に用いて情報表示板10を図9(b)等の所定形状に成型しても良い。すなわち、射出成形等によって情報表示板10を一体に成型することにより、アーム板15,16や表示板部24を予め折り曲げた状態に成型しても良い。なお、プラスチック素材としては、例えば、ポリプロピレンやポリカーボネートを用いることが可能であるが、これらのプラスチック素材に限られるものではない。
【0032】
また、前述の説明では、主板14に形成される切り込み線23として、ライナ13のみを切断した切り込み線、もしくはライナ13および中芯11を切断した切り込み線を挙げているが、これに限られることはなく、ミシン目や折り曲げ線によって表示板部24と連結板部25とを区画しても良い。また、前述の説明では、主板14の下部からアーム板15,16を伸ばしているが、これに限られることはなく、主板14の上部からアーム板15,16を伸ばしても良く、主板14の中央部からアーム板15,16を伸ばしても良い。また、図示する場合には、真っ直ぐ帯状に伸びるアーム板15,16を形成しているが、これに限られることはなく、例えば、湾曲しながら帯状に伸びるアーム板を形成しても良く、蛇行しながら帯状に伸びるアーム板を形成しても良い。また、図示する場合には、表示板部24を長方形状に形成しているが、これに限られることはなく、円形、楕円形、扇形、菱形等の他の如何なる形状であっても良いことはいうまでもない。
【0033】
また、前述の説明では、コンテナ30に収容する花卉として花束Fを挙げているが、このような花物に限られることはなく、葉物や実物の植物であっても良いことはいうまでもない。また、前述の説明では、コンテナ30に対する情報表示板10の取付作業を説明する際に、取付作業の実施する場所の一例として花束加工工場を挙げているが、これに限られることはない。例えば、花束加工工場等の生産者側だけでなく、各販売店においてコンテナ30に情報表示板10を取り付けても良い。また、図示する場合には、それぞれのアーム板15,16が異なる貫通孔34,36に差し込まれているが、これに限られることはなく、同一の貫通孔34,36にアーム板15,16を差し込んでも良い。また、図示する場合には、コンテナ30に12個の貫通孔34,36が形成されているが、これに限られることはなく、コンテナ30に13個以上の貫通孔を形成しても良く、コンテナ30に11個以下の貫通孔を形成しても良い。また、図示する場合には、箱形に形成されたコンテナ30を用いているが、この形状に限られることはなく、円筒形や円錐形等に形成されたコンテナであっても良い。
【符号の説明】
【0034】
10…情報表示板、11…中芯、12…ライナ、13…ライナ、14…主板、15…アーム板(第1アーム部)、16…アーム板(第2アーム部)、17…切り込み線、18…折り曲げ線、19…切り込み線、20…折り曲げ線、21…係合爪、22…係合爪、23…切り込み線、24…表示板部、24a…表示面、25…連結板部、30…コンテナ(収容容器,兼用容器,収容容器部)、31…花卉収容容器、32…開口部、33…側壁、34…貫通孔、35…側壁、36…貫通孔、37…切り欠き、38…切り欠き、40…保護カバー、41…コンテナ蓋、42…結束バンド、43…梱包ユニット、44…ラベル、50…情報表示板、51…表示板部、51a…表示面、52…情報表示板、53…情報表示板、54…アーム板(第1アーム部)、55…アーム板(第2アーム部)、56…アーム板(第1アーム部)、57…アーム板(第2アーム部)、60…情報表示板、61…中芯、62…ライナ、63…ライナ、64…陳列棚、F…花束(花卉)
【技術分野】
【0001】
本発明は、花卉を収容する収容容器に取り付けられる情報表示板、および花卉を収容する花卉収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
生産者から販売店に花卉を出荷する際には、花卉をプラスチック等の運搬容器に収容することが多い(例えば、特許文献1参照)。このような運搬容器に収容された花卉が販売店に届けられると、花卉は運搬容器から商品陳列用の水揚げバケツ等に入れ替えられ、販売店において花卉は見栄え良く陳列されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−133370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、花卉を運搬容器から水揚げバケツ等に入れ替えることは、作業者の負担を増大させる要因であることから、運搬容器に収容したまま花卉を店頭に陳列することも考えられる。しかしながら、単に店頭に運搬容器を並べるだけでは、花卉を見栄え良く陳列することが困難であった。さらに、花卉を見栄え良く陳列するためには、売り場において、スタンド、プライスカード、タペストリ、のぼり等を配置し、販売促進のための情報を提示することも重要となっている。しかしながら、売り場にスタンドやプライスカードを配置することは、作業者の負担を増大させる要因となっていた。
【0005】
本発明の目的は、作業者の負担を軽減しつつ花卉を見栄え良く陳列することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報表示板は、花卉を収容する収容容器に取り付けて使用される情報表示板であって、情報を表示可能な表示面を備える表示板部と、前記表示板部に連結される第1アーム部と、前記表示板部に連結される第2アーム部とを有し、前記第1アーム部は前記収容容器の側壁に形成される複数の貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記第2アーム部は前記収容容器の側壁に形成される複数の貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記収容容器を貫通する前記第1および第2アーム部によって前記収容容器の開口部が複数に仕切られることを特徴とする。
【0007】
本発明の情報表示板は、前記表示板部、前記第1および第2アーム部は、板材を切断して一体に形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明の情報表示板は、前記板材は、紙製またはプラスチック製の段ボールであることを特徴とする。
【0009】
本発明の情報表示板は、前記段ボールの中空構造の目は、前記第1および第2アーム部の長手方向に平行であることを特徴とする。
【0010】
本発明の情報表示板は、前記表示板部と前記第1および第2アーム部との間に連結板部が設けられ、前記表示板部は前記連結板部に対して折り返し自在に連結されることを特徴とする。
【0011】
本発明の情報表示板は、前記収容容器は、花卉の運搬および販売に用いられる兼用容器であることを特徴とする。
【0012】
本発明の花卉収容容器は、花卉を収容する花卉収容容器であって、一端に開口部を備え、側壁に複数の貫通孔が形成される収容容器部と、情報を表示可能な表示面を備える表示板部と、前記表示板部に連結される第1アーム部と、前記表示板部に連結される第2アーム部とを備え、前記収容容器部に取り付けられる情報表示板とを有し、前記第1アーム部は前記貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記第2アーム部は前記貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記収容容器部を貫通する前記第1および第2アーム部によって前記開口部が複数に仕切られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、情報表示板の第1および第2アーム部を収容容器(収容容器部)の貫通孔に差し込むことにより、花卉が収容される収容容器に表示板部を備えた情報表示板が取り付けられる。これにより、情報表示板を用いて販売促進に資する情報を売り場に簡単に提示することが可能となり、作業者の負担を軽減しつつ花卉を見栄え良く陳列することが可能となる。しかも、第1および第2アーム部によって収容容器の開口部を仕切るようにしたので、収容容器内の花卉が減少した場合であっても、少ない花卉をまとめて見栄え良く陳列することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)および(b)は本発明の一実施の形態である情報表示板を示す斜視図である。
【図2】(a)は情報表示板を示す正面図であり、(b)は情報表示板を示す背面図である。
【図3】(a)は情報表示板を示す平面図であり、(b)は情報表示板を示す底面図であり、(c)は情報表示板を示す左側面図であり、(d)は情報表示板を示す右側面図である。
【図4】(a)はコンテナと情報表示板とを分離した状態で示す斜視図であり、(b)はコンテナに情報表示板を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】(a)は図4(b)のA線に沿って情報表示板およびコンテナを示す断面図であり、(b)は図4(b)のB線に沿って情報表示板およびコンテナを示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は花束加工工場における花束の梱包手順を示す説明図である。
【図7】(a)および(b)は販売店における花束の陳列手順を示す説明図である。
【図8】情報表示板およびコンテナを上方から示す平面図である。
【図9】(a)は情報表示板が取り付けられていないコンテナを示す斜視図であり、(b)は情報表示板が取り付けられたコンテナを示す斜視図である。
【図10】図8のA−A線に沿って情報表示板およびコンテナを示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態である情報表示板の使用状態を示す斜視図である。
【図12】(a)および(b)は本発明の他の実施の形態である情報表示板を示す平面図である。
【図13】プラスチック製の段ボールを用いて形成される情報表示板を示す斜視図である。
【図14】陳列棚の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)および(b)は本発明の一実施の形態である情報表示板10を示す斜視図である。図1(a)には情報表示板10の正面、平面および右側面を表す斜視図が示され、図1(b)には情報表示板10の背面、平面および左側面を表す斜視図が示されている。また、図2(a)は情報表示板10を示す正面図であり、図2(b)は情報表示板10を示す背面図である。さらに、図3(a)は情報表示板10を示す平面図であり、図3(b)は情報表示板10を示す底面図であり、図3(c)は情報表示板10を示す左側面図であり、図3(d)は情報表示板10を示す右側面図である。なお、図1〜図3には展開された状態の情報表示板10が示されている。
【0016】
図1〜図3に示すように、情報表示板10は、板材である紙製の段ボールを裁断することで形成される。図1(a)の拡大部分に示すように、材料となる段ボールは、波形に形成される中芯11と、中芯11の一方面に貼り付けられるライナ12と、中芯11の他方面に貼り付けられるライナ13とを備えている。図1〜図3に示すように、情報表示板10は、略長方形状に形成される主板14と、主板14の下部から横方向の一方に伸びるアーム板(第1アーム部)15と、主板14の下部から横方向の他方に伸びるアーム板(第2アーム部)16とを備えている。アーム板15の幅方向の端部と主板14との境界には、中芯11およびライナ12,13を分断する切り込み線17が形成されている。また、アーム板15の長手方向の端部と主板14との境界には折り曲げ線18が形成されている。これにより、主板14に対してアーム板15は、折り曲げ線18を境に折り曲げ自在となる。同様に、アーム板16の幅方向の端部と主板14との境界には、中芯11およびライナ12,13を分断する切り込み線19が形成されている。また、アーム板16の長手方向の端部と主板14との境界には折り曲げ線20が形成されている。これにより、主板14に対してアーム板16は、折り曲げ線20を境に折り曲げ自在となる。また、アーム板15の先端には、上方に突出する係合爪21が形成されており、アーム板16の先端には、下方に突出する係合爪22が形成されている。
【0017】
また、図1(b)および図2(b)に示すように、主板14には横方向に伸びる切り込み線23が形成されており、主板14には切り込み線23を境に表示板部24と連結板部25とが区画されている。この切り込み線23は、ライナ13のみを切断した切り込み線、もしくはライナ13および中芯11を切断した切り込み線となっている。すなわち、表示板部24と連結板部25とは少なくともライナ12を介して連結された状態であり、図1(b)に矢印αで示すように、表示板部24は連結板部25に対して折り返し自在に連結されている。このように、情報表示板10は段ボールを切断することで形成されており、アーム板15、アーム板16、表示板部24および連結板部25が一体に形成されている。また、表示板部24には連結板部25を介してアーム板15が連結されており、表示板部24には連結板部25を介してアーム板16が連結されている。
【0018】
また、情報表示板10を構成する表示板部24には、文字、数字、模様等からなる情報(例えばPOP(point of purchase)広告)を表示可能な表示面24aが設けられている。この表示面24aには、図1(b)に示すように、情報表示板10の製造段階で文字や模様等を印刷しても良く、後述するように販売店においてラベル等を貼り付けても良い。また、図2(b)に示すように、情報表示板10の製造段階においては表示面24aに何も表示せず、販売店において文字、数字、模様等からなる情報を貼り付けたり、書き込んだりしても良い。
【0019】
続いて、コンテナ30に対する情報表示板10の取付状態について説明する。図4(a)はコンテナ30と情報表示板10とを分離した状態で示す斜視図であり、図4(b)はコンテナ30に情報表示板10を取り付けた状態を示す斜視図である。また、図5(a)は図4(b)のA線に沿って情報表示板10およびコンテナ30を示す断面図であり、図5(b)は図4(b)のB線に沿って情報表示板10およびコンテナ30を示す断面図である。また、図4に示される情報表示板10およびコンテナ30によって、本発明の一実施の形態である花卉収容容器31が構成されている。
【0020】
図4(a)に示すように、花卉を収容するコンテナ(収容容器,収容容器部)30は、上端(一端)に開口部32を有する箱形に形成されている。コンテナ30を構成する側壁33には6個の貫通孔34が形成されており、この側壁33に対向する側壁35には貫通孔34に対向する6個の貫通孔36が形成されている。そして、図4(a)および(b)に示すように、コンテナ30に対して情報表示板10を取り付ける際には、情報表示板10のアーム板15,16が主板14に対してほぼ直角に折り曲げられ、コンテナ30を貫通するようにアーム板15,16が貫通孔34,36に差し込まれる。図5(a)および(b)に示すように、アーム板15,16の先端は係合爪21,22が形成されることから、各アーム板15,16の係合爪21,22は側壁35の外面に係合し、コンテナ30に対して情報表示板10が固定されるようになっている。このように、コンテナ30の貫通孔34,36にアーム板15,16を差し込むだけの簡単な作業で、コンテナ30に情報表示板10を取り付けることが可能となっている。
【0021】
また、アーム板15の係合爪21は上方に突出する一方、アーム板16の係合爪22は下方に突出することから、情報表示板10がコンテナ30から抜け落ち難くなっている。すなわち、図5(a)に矢印αで示すように、情報表示板10に外力が作用してアーム板15,16が上方に傾いた場合には、アーム板15の係合爪21が噛み込む状態となる。一方、図5(b)に矢印βで示すように、情報表示板10に外力が作用してアーム板15,16が下方に傾いた場合には、アーム板16の係合爪22が噛み込む状態となる。このように、各係合爪21,22を逆向きに形成することにより、情報表示板10の脱落を防止することが可能となる。なお、貫通孔34,36に対する係合爪21,22の挿入を容易にするため、アーム板15,16の先端には切り欠き37,38が形成されている。
【0022】
前述した情報表示板10は、花束(花卉)Fの小売段階で使用するものであるが、販売店での作業を軽減するため、花束Fを出荷する花束加工工場等においてコンテナ30に予め情報表示板10が取り付けられる。続いて、花束Fを加工して出荷する花束加工工場での作業について説明し、花束Fを入荷して販売する販売店での作業について説明する。図6(a)〜(c)は花束加工工場における花束Fの梱包手順を示す説明図である。また、図7(a)および(b)は販売店における花束Fの陳列手順を示す説明図である。前述したように、花束加工工場においてコンテナ30に情報表示板10が取り付けられると、図6(a)に示すように、コンテナ30に所定量の水が注入されるとともに花束Fが収容される。続いて、図6(b)に示すように、段ボール等で形成される角筒状の保護カバー40がコンテナ30に取り付けられるとともに、保護カバー40の開口端にコンテナ蓋41が取り付けられる。そして、図6(c)に示すように、コンテナ30、保護カバー40およびコンテナ蓋41は結束バンド42を用いて固定され、1つの梱包ユニット43として構成される。このような梱包ユニット43は販売店に向けて出荷されており、この段階ではコンテナ30は花束Fの運搬に用いられる容器として機能している。
【0023】
梱包ユニット43が販売店に到着すると、図7(a)に示すように、コンテナ30から保護カバー40およびコンテナ蓋41が取り外される。そして、情報表示板10の表示板部24が矢印α方向に折り返され、図7(b)に示すように、露わになった表示面24aに対して価格や品名等を記載したラベル44が貼り付けられる。このように、販売店においては、梱包ユニット43を解いて表示板部24を折り返すだけの作業で、POP広告等を表示可能な表示面24aをコンテナ30の前面に設置することが可能となる。これにより、情報表示板10を利用して売り場にPOP広告等を簡単に提示することができ、作業者の負担を軽減しつつ花束Fを見栄え良く陳列することが可能となる。また、コンテナ30の前面に情報表示板10を設置することにより、見栄えを損なうことなく運搬に用いられるコンテナ30を店頭に並べることが可能となる。すなわち、コンテナ30に情報表示板10を取り付けることにより、コンテナ30を花束Fの運搬および販売に用いられる兼用容器として機能させることが可能となる。これにより、販売店における花束Fの入れ替え作業が不要となり、この点からも、作業者の負担を大幅に軽減することが可能となる。なお、梱包ユニット43の状態では、表示板部24の表示面24aが保護カバー40に対向することから、運搬中に表示面24aを汚してしまうことが無く、この点からも花束Fを見栄え良く陳列することが可能となる。
【0024】
また、図8は情報表示板10およびコンテナ30を上方から示す平面図である。図8に示すように、コンテナ30に装着される情報表示板10のアーム板15,16は、コンテナ30を貫通するように掛け渡されている。すなわち、コンテナ30の開口部32は、2つのアーム板15,16によって3つに仕切られた状態となっている。ここで、図9(a)は情報表示板10が取り付けられていないコンテナ30を示す斜視図であり、図9(b)は情報表示板10が取り付けられたコンテナ30を示す斜視図である。図9(a)に示すように、情報表示板10が装着されていない場合には、販売に伴ってコンテナ30内の花束Fが閑散とした状態になり、花束Fの見栄えを損なうおそれがある。これに対し、図9(b)に示すように、情報表示板10を装着してコンテナ30の開口部32を仕切ることにより、販売に伴ってコンテナ30内の花束Fが減少した場合であっても、少ない花束Fをまとめて見栄え良く配置することが可能となる。また、情報表示板10によってコンテナ30の開口部32を仕切ることにより、異なる種類の花束Fを1つのコンテナ30に綺麗に陳列することも可能となる。
【0025】
また、図1(a)に一点鎖線Lで示すように、情報表示板10の材料となる段ボールの中空構造の目は、アーム板15,16の長手方向と平行となっている。すなわち、中芯11とライナ12,13との間に区画される筋状の空洞部分が、アーム板15,16を長手方向に貫くようになっている。換言すれば、ライナ12,13と中芯11とを接着する筋状の接着面が、アーム板15,16を長手方向に貫くようになっている。なお、図1(a)には、段ボールの中空構造の目を示す線として3本の一点鎖線Lを記載しているが、段ボールにおいては多数の目が平行に伸びていることはいうまでもない。
【0026】
このように、段ボールの中空構造の目とアーム板15,16の長手方向とを平行に配置した上で段ボールを裁断することにより、情報表示板10の強度が確保されるとともに、表示板部24を容易かつ綺麗に折り返すことが可能となる。ここで、図10は図8のA−A線に沿って情報表示板10およびコンテナ30を示す断面図である。図10に示すように、情報表示板10の主板14には、切り込み線23と平行に段ボールの中空構造の目が並んでいる。これにより、ライナ13を切断する切り込み線23を形成するだけで、表示板部24を容易かつ綺麗に折り返すことができるとともに、ライナ12や中芯11の反発力により、連結板部25に対して表示板部24を適度に傾斜させることが可能となる。このように、表示板部24を傾斜させることにより、コンテナ30が床に配置されていた場合であっても、購入者に対して表示板部24を見易く向けることが可能となる。また、アーム板15,16の長手方向と平行に段ボールの中空構造の目が並んでいる。これにより、図8に矢印αで示すように、アーム板15,16に厚み方向の外力が作用した場合であっても、アーム板15,16を折れ曲がり難く構成することが可能となる。
【0027】
また、前述の説明では、主板14に切り込み線23を形成することにより、主板14に表示板部24と連結板部25とを形成しているが、これに限られることはなく、切り込み線23を省いて主板14の全てを表示板部24として機能させても良い。ここで、図11は本発明の他の実施の形態である情報表示板50の使用状態を示す斜視図である。図11に示すように、主板14のライナ12側を表示面51aとすることにより、主板14の全てを表示板部51として機能させても良い。この場合には、表示面51aを露出させるために主板14が折り返されることはなく、表示面51aが始めから露出した状態となっている。
【0028】
また、図12(a)および(b)は本発明の他の実施の形態である情報表示板52,53を示す平面図である。なお、図12において図8に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。前述の説明では、情報表示板10のアーム板15,16をほぼ平行に伸ばしているが、これに限られることはなく、情報表示板10のアーム板15,16を互いに傾斜させても良い。例えば、図12(a)に示すように、情報表示板52が備えるアーム板(第1アーム部,第2アーム部)54,55を傾斜させて交差させることにより、コンテナ30の開口部32を4つに仕切っても良い。この場合には、アーム板54,55は前述したアーム板15,16よりも長く形成され、アーム板54,55のほぼ中央に干渉を回避するための切り込みが形成されている。また、前述の説明では、アーム板15,16の係合爪21,22を貫通孔36に係合させることにより、コンテナ30に情報表示板10を固定しているが、これに限られることはない。例えば、図12(b)に示すように、情報表示板53が備えるアーム板(第1アーム部,第2アーム部)56,57の先端に切り込みや面ファスナーを設けることにより、アーム板56,57の先端同士を連結して情報表示板53を固定しても良い。この場合にも、アーム板56,57は、前述したアーム板15,16よりも長く形成されている。
【0029】
また、前述の説明では、紙製の段ボールを材料に用いて情報表示板10を形成しているが、これに限られることはなく、プラスチック製の段ボールを材料に用いて情報表示板60を形成しても良い。ここで、図13はプラスチック製の段ボールを用いて形成される情報表示板60を示す斜視図である。なお、図13において図1(a)に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。図13に示すように、情報表示板10は、板材であるプラスチック製の段ボールを裁断することで形成される。図13の拡大部分に示すように、材料となる段ボールは、細長い板状に形成される複数の中芯61と、中芯61の幅方向の一方の側面に貼り付けられるライナ62と、中芯61の幅方向の他方の側面に貼り付けられるライナ63とを備えている。このようにプラスチック製の段ボールを用いて情報表示板60を形成することにより、情報表示板60の耐水性や耐久性を飛躍的に向上させることが可能となる。また、プラスチック製の段ボールを用いて情報表示板60を形成する場合であっても、前述した紙製の段ボールと同様に、段ボールの中空構造の目をアーム板15,16の長手方向と平行にすることが望ましい。すなわち、中芯61とライナ62,63との間に区画される筋状の空洞部分が、アーム板15,16を長手方向に貫通することが望ましい。換言すれば、ライナ62,63と中芯61とを接着する筋状の接着面が、アーム板15,16を長手方向に貫通することが望ましい。
【0030】
また、販売店においてコンテナ30を並べる際には、床に対してコンテナ30を直に置いても良いが、見栄えを向上させるために陳列棚にコンテナ30を置いても良い。ここで、図14は陳列棚64の一例を示す斜視図である。図14に示すように、陳列棚64の前面には化粧板65が取り付けられており、この化粧板65によってコンテナ30の前面が覆われている。これにより、黒に着色されることの多いコンテナ30を覆うことができ、売り場の雰囲気を明るくすることができるため、更に花束Fを見栄え良く陳列することが可能となる。
【0031】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する場合には、情報表示板10,50,52,53,60の材料になる板材として、紙製やプラスチック製の段ボールを挙げているが、これに限られることはなく、厚紙やプラスチック板等を板材として用いるようにしても良い。さらに、製造時の低コスト化や保管時のコンパクト化を達成するためには板材を裁断することが望ましいが、プラスチック等を材料に用いて情報表示板10を図9(b)等の所定形状に成型しても良い。すなわち、射出成形等によって情報表示板10を一体に成型することにより、アーム板15,16や表示板部24を予め折り曲げた状態に成型しても良い。なお、プラスチック素材としては、例えば、ポリプロピレンやポリカーボネートを用いることが可能であるが、これらのプラスチック素材に限られるものではない。
【0032】
また、前述の説明では、主板14に形成される切り込み線23として、ライナ13のみを切断した切り込み線、もしくはライナ13および中芯11を切断した切り込み線を挙げているが、これに限られることはなく、ミシン目や折り曲げ線によって表示板部24と連結板部25とを区画しても良い。また、前述の説明では、主板14の下部からアーム板15,16を伸ばしているが、これに限られることはなく、主板14の上部からアーム板15,16を伸ばしても良く、主板14の中央部からアーム板15,16を伸ばしても良い。また、図示する場合には、真っ直ぐ帯状に伸びるアーム板15,16を形成しているが、これに限られることはなく、例えば、湾曲しながら帯状に伸びるアーム板を形成しても良く、蛇行しながら帯状に伸びるアーム板を形成しても良い。また、図示する場合には、表示板部24を長方形状に形成しているが、これに限られることはなく、円形、楕円形、扇形、菱形等の他の如何なる形状であっても良いことはいうまでもない。
【0033】
また、前述の説明では、コンテナ30に収容する花卉として花束Fを挙げているが、このような花物に限られることはなく、葉物や実物の植物であっても良いことはいうまでもない。また、前述の説明では、コンテナ30に対する情報表示板10の取付作業を説明する際に、取付作業の実施する場所の一例として花束加工工場を挙げているが、これに限られることはない。例えば、花束加工工場等の生産者側だけでなく、各販売店においてコンテナ30に情報表示板10を取り付けても良い。また、図示する場合には、それぞれのアーム板15,16が異なる貫通孔34,36に差し込まれているが、これに限られることはなく、同一の貫通孔34,36にアーム板15,16を差し込んでも良い。また、図示する場合には、コンテナ30に12個の貫通孔34,36が形成されているが、これに限られることはなく、コンテナ30に13個以上の貫通孔を形成しても良く、コンテナ30に11個以下の貫通孔を形成しても良い。また、図示する場合には、箱形に形成されたコンテナ30を用いているが、この形状に限られることはなく、円筒形や円錐形等に形成されたコンテナであっても良い。
【符号の説明】
【0034】
10…情報表示板、11…中芯、12…ライナ、13…ライナ、14…主板、15…アーム板(第1アーム部)、16…アーム板(第2アーム部)、17…切り込み線、18…折り曲げ線、19…切り込み線、20…折り曲げ線、21…係合爪、22…係合爪、23…切り込み線、24…表示板部、24a…表示面、25…連結板部、30…コンテナ(収容容器,兼用容器,収容容器部)、31…花卉収容容器、32…開口部、33…側壁、34…貫通孔、35…側壁、36…貫通孔、37…切り欠き、38…切り欠き、40…保護カバー、41…コンテナ蓋、42…結束バンド、43…梱包ユニット、44…ラベル、50…情報表示板、51…表示板部、51a…表示面、52…情報表示板、53…情報表示板、54…アーム板(第1アーム部)、55…アーム板(第2アーム部)、56…アーム板(第1アーム部)、57…アーム板(第2アーム部)、60…情報表示板、61…中芯、62…ライナ、63…ライナ、64…陳列棚、F…花束(花卉)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
花卉を収容する収容容器に取り付けて使用される情報表示板であって、
情報を表示可能な表示面を備える表示板部と、前記表示板部に連結される第1アーム部と、前記表示板部に連結される第2アーム部とを有し、
前記第1アーム部は前記収容容器の側壁に形成される複数の貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記第2アーム部は前記収容容器の側壁に形成される複数の貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記収容容器を貫通する前記第1および第2アーム部によって前記収容容器の開口部が複数に仕切られることを特徴とする情報表示板。
【請求項2】
請求項1記載の情報表示板において、
前記表示板部、前記第1および第2アーム部は、板材を切断して一体に形成されることを特徴とする情報表示板。
【請求項3】
請求項2記載の情報表示板において、
前記板材は、紙製またはプラスチック製の段ボールであることを特徴とする情報表示板。
【請求項4】
請求項3記載の情報表示板において、
前記段ボールの中空構造の目は、前記第1および第2アーム部の長手方向に平行であることを特徴とする情報表示板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報表示板において、
前記表示板部と前記第1および第2アーム部との間に連結板部が設けられ、前記表示板部は前記連結板部に対して折り返し自在に連結されることを特徴とする情報表示板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報表示板において、
前記収容容器は、花卉の運搬および販売に用いられる兼用容器であることを特徴とする情報表示板。
【請求項7】
花卉を収容する花卉収容容器であって、
一端に開口部を備え、側壁に複数の貫通孔が形成される収容容器部と、
情報を表示可能な表示面を備える表示板部と、前記表示板部に連結される第1アーム部と、前記表示板部に連結される第2アーム部とを備え、前記収容容器部に取り付けられる情報表示板とを有し、
前記第1アーム部は前記貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記第2アーム部は前記貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記収容容器部を貫通する前記第1および第2アーム部によって前記開口部が複数に仕切られることを特徴とする花卉収容容器。
【請求項1】
花卉を収容する収容容器に取り付けて使用される情報表示板であって、
情報を表示可能な表示面を備える表示板部と、前記表示板部に連結される第1アーム部と、前記表示板部に連結される第2アーム部とを有し、
前記第1アーム部は前記収容容器の側壁に形成される複数の貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記第2アーム部は前記収容容器の側壁に形成される複数の貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記収容容器を貫通する前記第1および第2アーム部によって前記収容容器の開口部が複数に仕切られることを特徴とする情報表示板。
【請求項2】
請求項1記載の情報表示板において、
前記表示板部、前記第1および第2アーム部は、板材を切断して一体に形成されることを特徴とする情報表示板。
【請求項3】
請求項2記載の情報表示板において、
前記板材は、紙製またはプラスチック製の段ボールであることを特徴とする情報表示板。
【請求項4】
請求項3記載の情報表示板において、
前記段ボールの中空構造の目は、前記第1および第2アーム部の長手方向に平行であることを特徴とする情報表示板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報表示板において、
前記表示板部と前記第1および第2アーム部との間に連結板部が設けられ、前記表示板部は前記連結板部に対して折り返し自在に連結されることを特徴とする情報表示板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報表示板において、
前記収容容器は、花卉の運搬および販売に用いられる兼用容器であることを特徴とする情報表示板。
【請求項7】
花卉を収容する花卉収容容器であって、
一端に開口部を備え、側壁に複数の貫通孔が形成される収容容器部と、
情報を表示可能な表示面を備える表示板部と、前記表示板部に連結される第1アーム部と、前記表示板部に連結される第2アーム部とを備え、前記収容容器部に取り付けられる情報表示板とを有し、
前記第1アーム部は前記貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記第2アーム部は前記貫通孔の少なくとも2つに差し込まれ、前記収容容器部を貫通する前記第1および第2アーム部によって前記開口部が複数に仕切られることを特徴とする花卉収容容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−82486(P2013−82486A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224224(P2011−224224)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(593038930)インパック株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(593038930)インパック株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]