説明

情報表示装置、その動作モード変更方法及びプログラム

【課題】ユーザの操作中における機器(情報表示装置)の消費電力を低減し、バッテリによる動作時間を長くする。
【解決手段】情報表示装置は、機器各部を制御する第1の処理部と、前記機器各部のうち記憶済みのコンテンツのディスプレイへの表示制御に必要な部分を制御する第2の処理部とを備える。さらに、情報表示装置は、前記第1の処理部を動作状態にした第1の動作モードと、前記第1の処理部を非動作状態またはスリープ状態にし、前記第2の処理部を動作状態にして、記憶済みのコンテンツを用いてユーザの操作に応じた表示制御を行なう第2の動作モードと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置、その動作モード変更方法及びプログラムに関し、特に、電力消費の少ない省電力動作モードを有する情報表示装置、その動作モード変更方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、必要時以外は表示器部分への電源供給を停止することにより、さらに消費電力を節約し、連続使用時間を長くできるという携帯電話機が開示されている。より具体的には、同文献によると、この携帯電話機は、任意のキー入力又はフラップ(蓋)を開ける操作または着信によって、電源スイッチをONにして表示器への電源供給を開始し、特定時間キー入力が行われない場合又は、フラップを閉じる操作によって電源スイッチをOFFにして表示器への電源供給を停止する、と記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、待機中(スリープ状態)の省電力表示モードにおいて、LCDだけではなく、制御部などの低消費電力化も行うことができるようにした情報処理装置が開示されている。より具体的には、同文献によると、この情報処理装置は、通常表示モードを制御する主制御部と、省電力表示モードを制御する省電力表示制御部とを備え、前記通常表示モード時には、前記主制御部がアクティブ状態となって前記通常表示モードを制御し、前記省電力表示モード時には、前記主制御部がスリープ状態になり、前記省電力表示制御部がアクティブ状態となって前記省電力表示モードを制御すると、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−112622号公報
【特許文献2】特開2004−288087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。特許文献1に代表されるように、必要時以外は表示器部分への電源供給を停止する省電力動作モード(以下、「省電力モード」ともいう。)を備えた機器が知られている。特許文献2では、LCD(Liquid Crystal Display)の消灯動作に代えて、表示画面の一部を使ったパーシャル表示をなしうる専用表示処理部を設けた構成が開示されている。これら特許文献1、2の機器は、所定期間無操作状態になると、省電力動作モードに遷移し、省電力動作モードにおいてキー操作等が行われると、通常の動作モードに復帰する。
【0006】
近年の携帯型機器では、多機能化、高機能化が進展しているため、通常の動作モードにおいても更なる消費電力の低減が要請されている。しかしながら、特許文献1、2のいずれにも、ユーザの操作中における携帯型機器(情報表示装置)の消費電力の低減策は開示されてない。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ユーザによる操作中における情報表示装置の消費電力をさらに低減し、また、バッテリによる動作時間を長くすることのできる情報表示装置、その動作モード変更方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点によれば、機器各部を制御する第1の処理部と、前記機器各部のうち記憶済みのコンテンツのディスプレイへの表示制御に必要な部分を制御する第2の処理部とを備え、前記第1の処理部を動作状態にした第1の動作モードと、前記第1の処理部を非動作状態またはスリープ状態にし、前記第2の処理部を動作状態にして、記憶済みのコンテンツを用いてユーザの操作に応じた表示制御を行なう第2の動作モードと、を有する情報表示装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の視点によれば、機器各部を制御する第1の処理部と、前記機器各部のうち記憶済みのコンテンツのディスプレイへの表示制御に必要な部分を制御する第2の処理部とを備え、
前記第1の処理部を動作状態にした第1の動作モードと、前記第1の処理部を非動作状態またはスリープ状態にし、前記第2の処理部を動作状態にして、記憶済みのコンテンツを用いてユーザの操作に応じた表示制御を行なう第2の動作モードと、を有する情報表示装置の動作モード変更方法であって、少なくとも、ユーザの操作に応じた表示中のコンテンツの記憶が完了すると、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに遷移し、前記第2の動作モードにおいて、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作を受け付けるまで、前記第2の動作モードで動作し、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作を受け付けると、前記第1の動作モードに復帰する動作モード変更方法が提供される。本方法は、コンテンツを表示する情報表示装置という、特定の機械に結びつけられている。
【0010】
本発明の第3の視点によれば、機器各部を制御する第1の処理部と、前記機器各部のうち記憶済みのコンテンツのディスプレイへの表示制御に必要な部分を制御する第2の処理部とを備え、前記第1の処理部を動作状態にした第1の動作モードと、前記第1の処理部を非動作状態またはスリープ状態にし、前記第2の処理部を動作状態にして、記憶済みのコンテンツを用いてユーザの操作に応じた表示制御を行なう第2の動作モードと、を有する情報表示装置に実行させるプログラムであって、少なくとも、ユーザの操作に応じた表示中のコンテンツの記憶が完了すると、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに遷移する処理と、前記第2の動作モードにおいて、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作を受け付けるまで、前記第2の動作モードで動作し、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作を受け付けると、前記第1の動作モードに復帰する処理を前記情報表示装置に搭載されたコンピュータに実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザによる機器(情報表示装置)の操作中における消費電力を低減し、バッテリによる動作時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態における動作モードの遷移を示す図である。
【図3】図2の続図である。
【図4】図3の続図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の情報表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図5において第1の動作モードのときにアクティブ状態となる部位を示す図である。
【図7】図5において第2の動作モードのときにアクティブ状態となる部位を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の情報表示装置の動作を表した流れ図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の情報表示装置においてある画面の表示が完了した段階を示す図である。
【図10】図9の画面において設定される復帰領域を示す図である。
【図11】図8のステップS005〜S006における具体的な処理の例を説明するための流れ図である。
【図12】本発明の第1の実施形態における画面表示範囲と、メモリ22に記憶される範囲との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。本発明は、その一実施形態において、図1に示すように、機器各部を制御するとともに外部からコンテンツを取得する第1処理部10Aと、第2処理部20Aと、ディスプレイ(表示部)30と、操作部40と、を含む情報表示装置にて実現できる。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0014】
第2処理部20Aは、CPU21と、メモリ22と、ディスプレイへの表示を行う表示制御部23とを備え、前記機器各部のうち、メモリ22に記憶済みのコンテンツのディスプレイ30への表示制御に必要な部分を制御する。
【0015】
この情報表示装置は、第1処理部10Aを動作状態にした第1の動作モードと、第1処理部10Aを非動作状態またはスリープ状態にし、第2処理部20Aを動作状態にして、記憶済みのコンテンツを用いてユーザの操作に応じた表示制御(オフライン表示制御)を行なう第2の動作モードと、を有する。
【0016】
上記のような構成を持つ情報表示装置の具体例としては、携帯電話端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、電子書籍リーダー、電子辞書、デジタルカメラのほか、各種情報家電などが挙げられる。
【0017】
続いて、上記した情報表示装置の動作について説明する。この情報表示装置は、図2に示すように、メニュー画面から任意の機能が選択されると、第1の動作モードにて動作し、ユーザより選択された機能の画面を表示する(図2の符号100A〜100B参照)。この際に第1処理部10Aは、必要に応じて、補助記憶装置や外部ネットワークからディスプレイ30に表示する画面のデータ、即ち、コンテンツを取得する。
【0018】
前記画面の表示の完了あるいは、前記画面の表示と並行して、情報表示装置は、前記表示した画面のデータをその第2処理部20Aのメモリ22に記憶する。また、情報表示装置は、画面の表示完了、あるいは、画面表示後から所定時間の経過といった情報表示装置の種類や用途毎に定められたタイミングで、第2の動作モードに遷移する(図2の符号100B参照)。第2の動作モードに遷移すると、少なくとも第1処理部10Aが非動作状態またはスリープ状態になるため、第1の動作モードで動作している状態と比較して消費電力が低減する。
【0019】
その後、情報表示装置は、ユーザから受け付けた操作内容がスクロール操作等(拡大・縮小も可)のメモリ22に記憶済みの内容を用いて表示できる内容である限りにおいて、第2の動作モードで動作を続ける(図2の符号100C参照)。この第2の動作モードにおいて、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作、例えば、他のサイトのジャンプ(移動)操作を受け付けると、この情報表示装置は、前記第1の動作モードに復帰して、次画面データの読み出し(必要なネットワーク経由での情報取得)を行って次画面を表示する(図2の符号100D参照)。
【0020】
前記次画面の表示の完了あるいは、前記次画面の表示と並行して、情報表示装置は、前記表示した次画面のデータ、即ち、表示コンテンツをその第2処理部20Aのメモリ22に記憶する。また、情報表示装置は、次画面の表示完了、あるいは、次画面表示後から所定時間の経過といった任意のタイミングで、第2の動作モードに遷移する(図3の符号100D参照)。第2の動作モードに遷移すると、少なくとも第1処理部10Aが非動作状態またはスリープ状態になるため、第1の動作モードと比較して消費電力が低減する。
【0021】
その後、情報表示装置は、ユーザから受け付けた操作内容が拡大・縮小操作等(スクロールも可)のメモリ22に記憶済みの内容を用いて表示できる内容である限りにおいて、第2の動作モードで動作を続ける(図3の符号100E参照)。一方、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作、例えば、他のサイトのジャンプ(移動)操作を受け付けると、この情報表示装置は、前記第1の動作モードに復帰して、次画面データの読み出し(必要なネットワーク経由での情報取得)を行って次画面を表示する(図3の符号100F参照)。
【0022】
以上のように、本発明の一実施形態によれば、情報表示装置の種類や用途毎に定めた所定のタイミングで、第2の動作モードに遷移するよう構成することで、情報表示機器の消費電力を低減させることができる。もちろん、図5に示したように、所定時間の無操作等、所定の条件が成立すると、前記第1、第2処理部10A、20Aをともに非動作状態またはスリープ状態にして、ディスプレイを消灯状態にした省電力モードに遷移するようにしてもよい。また、この省電力モードにおいて、入力イベントの発生等、所定の条件が成立すると、前記第1、第2の動作モードのいずれかに復帰し、上述した動作モードの遷移を継続するようにしてもよい。
【0023】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図5は、本発明の第1の実施形態の情報表示装置の構成を表したブロック図である。図5を参照すると、第1処理部10と、第2処理部20と、ディスプレイ30と、操作部40と、外部周辺回路50とを備えた構成が示されている。
【0024】
第1処理部10は、演算処理を行なうCPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、CPU11の指示に従ってディスプレイ30への画面表示処理を行なう表示制御部(ビデオコントローラ)13、その他の周辺回路14を含み、表示装置の各部を制御するユニットである。
【0025】
外部周辺回路50は、第1処理部10に含まれていない、その他の機能を実現するための回路である。例えば、情報表示装置が携帯電話端末である場合、外部周辺回路50には、ユーザから要求されたコンテンツを受信するための無線通信ユニット等が該当する。同様に、情報表示装置が電子ブックリーダーである場合、フラッシュメモリ等に格納された電子ブックコンテンツを読み出すユニットが外部周辺回路50に該当する。
【0026】
ディスプレイ30は、LCD(Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。操作部40は、ハードウェアキーやポインティングデバイスあるいはディスプレイに重畳されたタッチパネル等によって構成される。
【0027】
第2処理部20は、ディスプレイ30に表示されている表示画面データ221および復帰領域データ222を記憶するためのメモリ22と、CPU21の指示に従ってディスプレイ30への画面表示処理を行なう第2の表示制御部(ビデオコントローラ)23と、メモリ22への表示画面データ221および復帰領域データ222の保存や、操作部40から受け付けたユーザの操作内容に応じてメモリ22に保存したデータを用いてディスプレイ30への表示を行うCPU21とを含んで構成される。このような第2処理部20は、いわゆるオフライン表示を実現するものであるため、オフライン表示処理部と呼ぶこともできる。
【0028】
第2処理部20のCPU21は、ユーザの操作に応じたディスプレイ30への表示を行うに足りる性能を持っていればよいため、第1処理部10のCPU11よりも、消費電力の低いものを採用できる。また、第2処理部20は、外部周辺回路50との通信や周辺回路14の制御も不要である。このため、第2処理部20は、第1処理部10より低い消費電力で動作することが可能である。
【0029】
上記のような構成は、既存の情報表示装置に、上述した第2処理部20を追加した構成にて実現することもできる。また、図5の例では、ディスプレイ30および操作部40と、外部周辺回路50との間に、第1処理部10および第2処理部20を直列に配設したレイアウトとしているが、ディスプレイ30および操作部40に対し、第1処理部10および第2処理部20を並列に接続した構成であってもよい。
【0030】
ここで、本実施形態の情報表示装置が有する動作モードについて説明する。第1の動作モードは、図6に示すように、第1処理部10がアクティブ状態(動作状態)、第2処理部20がスリープ状態(非アクティブ状態)となって、第1処理部10が直接ディスプレイ30および操作部40を制御している状態である。また、この第1の動作モードでは、外部周辺回路50との通信も可能であるため、必要に応じて、補助記憶装置やネットワークから表示コンテンツを取得することができる。
【0031】
また、この第1の動作モードは、従来の情報処理装置がディスプレイ30をオンにして動作している状態に相当し、周辺回路14や外部周辺回路50によって達成される画面表示以外の機能が同時に動作している状態に相当する。
【0032】
一方、第2の動作モードは、図7に示すように、第1処理部10がスリープ状態(非アクティブ状態)、第2処理部20がアクティブ状態(動作状態)となって、第2処理部20がディスプレイ30および操作部40を制御している状態である。また、この第2の動作モードでは、周辺回路14の制御や外部周辺回路50との通信は不可能であるが、第1の動作モードと比較して低消費電力で動作することができる。
【0033】
なお、図1に示した情報表示装置における動作モードの遷移は、情報表示装置を構成するコンピュータに、そのハードウェアを用いて、上記した動作モードの遷移を実行させるファームウェア等のコンピュータプログラムにより実現することもできる。
【0034】
本実施形態の情報表示装置は、ディスプレイを表示した状態においても、以上の2つの動作モードを切り替えることによって、消費電力を低減する。もちろん、本実施形態の情報表示装置においても、所定時間の無操作状態が継続したことなどを条件に、ディスプレイ30のバックライト等を消灯する省電力モードを設けてもよい(図4参照)。
【0035】
続いて、本実施形態の情報表示装置の動作について図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、第1の動作モードでディスプレイ30への画面表示が完了したタイミングで第2の動作モードに遷移し、第2の動作モードにおいて、メモリ22に格納されたデータを用いた表示操作(スクロール、拡大・縮小、表示テキスト中の範囲選択等)以外の所定の操作(図9のリンク103、ボタン104、ハードウェアキー105の操作)が行われたことを条件に第1の動作モードに遷移するという条件が定められているものとする。
【0036】
図8は、本発明の第1の実施形態の情報表示装置の動作を表した流れ図である。図8を参照すると、本実施形態の情報表示装置は、電源投入操作、ユーザ入力、外部からデータ受信等のイベントが発生すると、第1処理部10がアクティブ状態になった第1の動作モードにて動作し(図6参照)、発生したイベントに応じた内容をディスプレイ30に表示する(ステップS001)。
【0037】
ここでは、あるサイトへの接続操作がなされ、図9に示すような画面が表示されたものとする。図9に示す画面の表示が完了するまでは、情報表示装置100は、第1の動作モードにて動作を継続する(ステップS002のNO)。図9に示す画面の表示が完了すると(ステップS002のYES)、情報表示装置の第2処理部20が起動し図9に示す表示画面イメージをメモリ22に表示画面データ221として保存する(ステップS003)。
【0038】
次に、情報表示装置の第2処理部20は、メモリ22に保存した表示画面データ221を解析し、第2のモードから第1のモードへの復帰条件となる復帰領域データ222を生成し、メモリ22に保存する。この復帰領域データ222は、例えば、図10に示すように、表示画面中のリンク103の領域や、ボタン104の領域を示す座標データである。復帰領域データ222は、表示画面中のリンク103や、ボタン104の選択操作、起動操作がなされたか否かを判別するために使用される。
【0039】
前記表示画面データ221と復帰領域データ222の保存が完了すると、情報表示装置は、第1処理部10をスリープ状態にし(図7参照)、第2の動作モードで動作を開始する(ステップS005)。第2の動作モードでは、図7に示すように、第1処理部10と外部周辺回路50は、スリープ状態(非アクティブ状態)にあるため、消費電力量が低下する。または、第2の動作モードでは、第2処理部20がアクティブ状態となり、メモリ22に保存された表示画面データ221を用いて対応可能な範囲で、ユーザからのスクロール操作等に応じた表示制御を行なう(ステップS006のNO)。
【0040】
具体的には、図9のテキスト表示「Example Page」や「Example text」は、ユーザがタップ(クリック)操作しても画面表示の切り替えを必要としないため、第2の動作モードでの動作が継続される。また、ユーザが図9のスクロールボタン102をタップ(クリック)操作した場合、ページ表示範囲が移動するが、メモリ22に保存した表示画面データ221を用いて表示可能であるので、第2の動作モードでの動作が継続される。
【0041】
その後、ユーザにより前記復帰領域データ222への操作等(図9のリンク103、ボタン104、ハードウェアキー105の操作)がなされるなど、第1の動作モードへの復帰条件が成立した場合(ステップS006のYES)、情報表示装置は、第1の動作モードにて動作を開始する(ステップS001へ)。
【0042】
ここで、操作部40としてタッチパネルが備えられている場合を例に挙げて、図8のステップS005、S006の詳細動作(第2の動作モード)について、図11を参照して詳細に説明する。
【0043】
図11は、図8のステップS005〜S006における具体的な処理の例を説明するための流れ図である。図11を参照すると、まず、第2処理部20は、状態変数[IsDOWN]を初期化する(ステップS100)。この変数は、ユーザがスクロール操作をしているか否かの状態を示すためのものであり、スクロール中であれば“True”、スクロール中でなければ“False”値が設定される。
【0044】
その後、第2の動作モードで動作中に(ステップS101〜S102のNO)、ユーザ入力イベントが検出されると(ステップS102のYES)、第2処理部20は、タッチダウンイベントであるか否かを判定する(ステップS103)。タッチダウンイベントは、ユーザの指等によるタッチパネルの押下が検出された場合に発生するイベントである。
【0045】
タッチダウンイベントが発生した場合(ステップS103のYES)、第2処理部20は、スクロール操作である否かを判定する(ステップS104)。ここで、スクロール操作でないと判定した場合(ステップS104のNO)、第2処理部20は、検出された座標を初期座標として保存し、状態変数[IsDOWN]を“True”に設定する(ステップS105)。ここで保存された初期座標を“PointA”とする。
【0046】
一方、タッチダウンイベントの発生が継続しており(ステップS103のYES)、かつ、スクロール操作である(状態変数[IsDOWN]=“True”)と判定した場合(ステップS104のYES)、第2処理部20は、検出された座標“PointB”を保存し、ステップS105で保存した初期座標PointAとの距離(ΔL)を算出する(ステップS106)。
【0047】
次に、第2処理部20は、メモリ22から前記算出した距離(ΔL)の分だけスクロールさせた表示画面イメージを取得する(ステップS107)。そして、第2処理部20は、前記取得した表示画面イメージを用いてディスプレイ30の表示内容を更新する(ステップS108)。以上により、第1処理部10を起動することなく、第2処理部20にてユーザのスクロール操作に対応する表示画面の更新が行われる。
【0048】
一方、ユーザ入力イベントが検出され(ステップS102のYES)、かつ、タッチアップイベントが検出されると(ステップS109のYES)、第2処理部20は、状態変数[IsDOWN]を“False”にリセットする(ステップS110)。
【0049】
次に、第2処理部20は、タッチアップが検出された座標をPointCとして保存し(ステップS111)、ステップS105で保存した初期座標PointAとタッチアップ座標PointCが一致するか否かを確認する(ステップS112)。ここで、初期座標PointAとタッチアップ座標PointCが一致しない場合は、ユーザのスクロール操作が終わったことを示すので、第2処理部20は、復帰不要と判定し、ステップS101に戻る(ステップS112のNO)。
【0050】
一方、初期座標PointAとタッチアップ座標PointCが一致する場合は、いわゆるタップ操作が行われたことになる。この場合、第2処理部20は、メモリ22から復帰領域データ222を取得して(ステップS113)、復帰領域データ222に示す領域内でタップが行われたか否かを確認する(ステップS114)。ここで、タッチアップ座標PointCが復帰領域データ222に示す領域外である場合、第2処理部20は、復帰不要と判定し、ステップS101に戻る(ステップS114のNO)。
【0051】
一方、タッチアップ座標PointCが復帰領域データ222に示す領域内である場合(ステップS114のNO)、第2処理部20は、復帰条件成立と判定する(ステップS115)。その後は、図8のステップS001に戻って、リンク103起動、ボタン104起動といったユーザの指示に応じた処理が開始される。
【0052】
また、例えば、図9のハードウェアキー105の押下等、タッチダウンでもタッチアップでもないユーザ入力イベントが発生している場合(ステップS109のNO)、第2処理部20は、その他のイベントが発生したものとして判断し(ステップS116)、第2処理部20は、復帰条件成立と判定する(ステップS117)。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、表示中の画面に対するユーザの操作に応じた更新表示を行いうる第2処理部20を設け、必要のないときには、電力消費の大きい第1処理部を極力動作させないようにしたため、情報表示装置の消費電力の低減を実現し、バッテリによる動作時間を長くすることができる。
【0054】
また、上記のような動作モードの遷移は、既存のディスプレイのバックライトのオンオフ等を主体とした省電力モードへの遷移やスタンバイモードへの遷移とは異なり、ユーザに動作モードの遷移を意識させないという使いやすさを実現するものとなっている。
【0055】
なお、上記した実施形態では、図9、図10の画面サンプルを用いて説明したが、表示画面データ221として保存するデータは、ディスプレイ30の表示範囲のデータに限られない。例えば、図12に示すように、ディスプレイ領域101の表示可能範囲106ではなく、スクロールボタン102にてスクロール可能な範囲107を表示画面データ221として保存するようにしてもよい。
【0056】
また、上記した実施形態では、第2処理部20の負荷を低減し第2の動作モードにおける消費電力が少なくなるよう、表示画面データ221から座標を取得して、リンク103やボタン104の押下を検出する方式を採用したが、第2処理部20に第1処理部10と同様のコンテンツ表示処理を行わせて、表示中のコンテンツから、リンク103押下イベントやボタン104の押下イベントを検出した場合に、第1の動作モードに復帰するようにしてもよい。
【0057】
また、上記した実施形態では、スクロール操作に対し第2の動作モードにて動作を続ける例を挙げて説明したが、拡大・縮小操作(ピンチ操作)に対応できるように、表示画面データ221を保存しておけば、図3に示したように、拡大・縮小操作に対しても第2の動作モードにて動作を続けることが可能である。また、表示中のアプリケーション等によって、ダブルタップ(ダブルクリック)やスワイプ操作等によって特定の表示更新操作がなされる場合にも同様に適用することが可能である。
【0058】
また、上記した実施形態では、リンク103がタップされた場合に第1の動作モードに復帰するものとして説明したが、予め第1処理部10にてリンク先のコンテンツを読み込んでおき、これを表示画面データ221として保存しておくことも可能である。このような先読み処理を行うことにより、リンク先の表示操作に対してもユーザが求める表示を行いつつ第2の動作モードにて動作を続けることが可能である。
【0059】
また、上記した実施形態では、操作部40としてタッチパネルが備えられている例を挙げて説明したが、マウス、キーボード、ボタンなど、一般的な入力装置を用いる場合にも適用することが可能である。
【0060】
また、上記した実施形態では、第1処理部10に、CPU11、メモリ12、表示制御部13、周辺回路14が備えられているものとして説明したが、第1処理部10の構成要素は限定されず、情報表示装置の種類や用途によって適宜変更しうる。同様に、第2処理部20の構成も上述した第2動作モードと同様のユーザの操作に対応する表示を行いうる構成であればよい。また、情報表示装置の種類や用途によっては、図1に示したように、外部周辺回路50を省略した形態もありうる。
【0061】
また、上記した実施形態では、画面の表示が完了したタイミングで第1の動作モードから第2の動作モードに遷移するものとして説明したが、情報表示装置の種類や用途、あるいは、ユーザが利用中の機能やアプリケーションプログラムの種類によっては、画面の表示後、ユーザが、直ちに表示関連以外の操作を行うことが多いことも考えられる。この場合には、画面表示後から所定時間の経過を条件に第1の動作モードから第2の動作モードに遷移するようにしてもよい。また、すべての画面表示に適用するのではなく、適用対象とする機能やアプリケーションプログラムの種類を限定することもできる。
【0062】
また、上記した実施形態では、第2処理部20が画面表示イメージをメモリ22に保存するものとして説明したが、第1の動作モードにおいて、第1処理部10が逐次メモリ22に画面表示イメージを保存するようにしてもよい。また、上記した実施形態では、第1処理部10および第2処理部20が、それぞれ独立したメモリを有するものとして説明したが、第1処理部10および第2処理部20がメモリを共有する構成や、一方が他方のメモリを参照する構成も採用可能である。
【0063】
また、上記した実施形態では、情報表示装置は1つのディスプレイ30を備えるものとして説明したが、複数のディスプレイを備える場合には、第1の動作モードと、第2の動作モードで使用するディスプレイを切り替えてもよい。
【0064】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
10、10A 第1処理部
11 CPU
12 メモリ
13 表示制御部
14 周辺回路
20、20A 第2処理部
21 CPU
22 メモリ
23 表示制御部
30 ディスプレイ
40 操作部
50 外部周辺回路
100、100A〜100G 情報表示装置
101 ディスプレイ領域
102 スクロールボタン
103 リンク
104 ボタン
105 ハードウェアキー
106 表示可能範囲
107 スクロール可能な範囲
221 表示画面データ
222 復帰領域データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器各部を制御する第1の処理部と、前記機器各部のうち記憶済みのコンテンツのディスプレイへの表示制御に必要な部分を制御する第2の処理部とを備え、
前記第1の処理部を動作状態にした第1の動作モードと、
前記第1の処理部を非動作状態またはスリープ状態にし、前記第2の処理部を動作状態にして、記憶済みのコンテンツを用いてユーザの操作に応じた表示制御を行なう第2の動作モードと、
を有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記第2の動作モードにおいて、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作を受け付けるまで、前記第2の動作モードで動作する請求項1の情報表示装置。
【請求項3】
前記第2の処理部は、前記第1の処理部とは独立したメモリを有し、前記メモリにコンテンツを記憶して、前記ユーザの操作に応じた表示制御を行なう請求項1または2の情報表示装置。
【請求項4】
ユーザの操作に応じた表示中のコンテンツの記憶が完了すると、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに遷移する請求項1から3いずれか一の情報表示装置。
【請求項5】
前記所定の操作は、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの要求操作である請求項2の情報表示装置。
【請求項6】
前記所定の操作は、前記記憶済みのコンテンツを用いて前記ディスプレイに表示されているリンクの選択、または、ボタンオブジェクトの押下を含む請求項2の情報表示装置。
【請求項7】
前記第2の処理部は、前記記憶済みのコンテンツから、前記第1の動作モードへ遷移する画面上の領域を抽出し、
ユーザにより選択操作が行われた画面上の位置が、前記画面上の領域に含まれる場合に第1の動作モードへ遷移する請求項1から6いずれか一の情報表示装置。
【請求項8】
前記第1の動作モードまたは第2の動作モードにおいて、所定の期間、無操作状態が継続すると、前記第1、第2の処理部の双方を非動作状態またはスリープ状態にした省電力動作モードに遷移する請求項1から7いずれか一の情報表示装置。
【請求項9】
機器各部を制御する第1の処理部と、前記機器各部のうち記憶済みのコンテンツのディスプレイへの表示制御に必要な部分を制御する第2の処理部とを備え、
前記第1の処理部を動作状態にした第1の動作モードと、
前記第1の処理部を非動作状態またはスリープ状態にし、前記第2の処理部を動作状態にして、記憶済みのコンテンツを用いてユーザの操作に応じた表示制御を行なう第2の動作モードと、を有する情報表示装置の動作モード変更方法であって、
少なくとも、ユーザの操作に応じた表示中のコンテンツの記憶が完了すると、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに遷移し、
前記第2の動作モードにおいて、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作を受け付けるまで、前記第2の動作モードで動作し、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作を受け付けると、前記第1の動作モードに復帰すること、を特徴とする動作モード変更方法。
【請求項10】
機器各部を制御する第1の処理部と、前記機器各部のうち記憶済みのコンテンツのディスプレイへの表示制御に必要な部分を制御する第2の処理部とを備え、
前記第1の処理部を動作状態にした第1の動作モードと、
前記第1の処理部を非動作状態またはスリープ状態にし、前記第2の処理部を動作状態にして、記憶済みのコンテンツを用いてユーザの操作に応じた表示制御を行なう第2の動作モードと、を有する情報表示装置に実行させるプログラムであって、
少なくとも、ユーザの操作に応じた表示中のコンテンツの記憶が完了すると、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに遷移する処理と、
前記第2の動作モードにおいて、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作を受け付けるまで、前記第2の動作モードで動作し、前記記憶済みのコンテンツ以外のコンテンツの表示を要求する所定の操作を受け付けると、前記第1の動作モードに復帰する処理を前記情報表示装置に搭載されたコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−114452(P2013−114452A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260107(P2011−260107)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】