情報表示装置、及び、情報表示方法
【課題】低コストで実現可能な装置により、潜水中のダイバーが、簡単な操作によって帰路の方向を確実に確認できるようにする。
【解決手段】防水性を有するケース21に収容され、各種情報を表示する液晶表示パネル211を備えた表示部と、ケース21の外部から操作可能なスイッチ23と、を備えたダイブコンピュータ2により、進路の方位を検出し、スイッチ23により方位設定を指示する操作に応じて、検出した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求め、求めた帰路の方位を液晶表示パネル211に表示する。
【解決手段】防水性を有するケース21に収容され、各種情報を表示する液晶表示パネル211を備えた表示部と、ケース21の外部から操作可能なスイッチ23と、を備えたダイブコンピュータ2により、進路の方位を検出し、スイッチ23により方位設定を指示する操作に応じて、検出した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求め、求めた帰路の方位を液晶表示パネル211に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイビング中に情報を表示する情報表示装置、及び、情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイビング中に現在位置や進行方向を把握する手法としては、主に、周囲の海中地形や景色をもとに把握することが一般的である。しかしながら、視界不良の場合や不慣れな場所に潜る際には景色のみを頼りに位置や方向を正確に把握することは難しい。このような場合、従来は、例えば水中用のコンパスを用いて進んでいる方角を把握していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−195827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、目的とする場所に到達した後の帰路の方向は、エントリーしてから目的地まで進んだ方向の逆であるから、往路の方位(方角)を正反対に換算して求めればよい。ところが、水中においては思考能力及び演算能力を妨げる要素が多く、往路の方向を正確に記憶しておき、帰路の方向を正確に導き出すことは、決して容易とはいえず、少なくない負担となっていた。また、多くのダイバーが気軽に使えるようにするためには、大がかりな装置群を用いるような方法は不向きであるという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、低コストで実現可能な装置により、潜水中のダイバーが、簡単な操作によって帰路の方向を確実に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、防水性を有する本体に収容され、各種情報を表示する表示画面と、前記本体の外部から操作可能な操作部と、進路の方位を検出する方位検出部と、前記操作部による方位設定を指示する操作に応じて、前記方位検出部により検出された方位を取得し、取得した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求める方位処理部と、前記方位処理部により求められた帰路の方位を前記表示画面に表示させる方位表示制御部と、を備えることを特徴とする情報表示装置を提供する。
【0005】
上記構成において、前記方位表示制御部は、前記操作部により帰路の方向の表示を指示する操作が行われた場合に、この操作に応じて前記表示画面に帰路の方位を表示させるものとしてもよい。
また、前記方位表示制御部は、前記表示画面に、帰路の方位と、その方位が帰路の方位であることを示す記号または図形とを表示させるものとしてもよい。
さらに、前記方位表示制御部は、前記操作部において帰路の方向の表示を指示する操作が行われている間のみ、帰路の方位を指し示す記号または図形を前記表示画面に表示させるものとしてもよい。
【0006】
上記構成において、前記方位表示制御部は、前記方位検出部により検出された方位を随時取得し、取得した現在の方位を前記表示画面に表示させるものとしてもよい。
さらに、上記構成において、前記方位表示制御部は、前記方位検出部から取得した方位が、前記表示画面に表示中の方位から所定以上の差がある場合にのみ、前記表示画面に表示する方位を新たに取得した方位に変更するものとしてもよい。
また、上記構成において、前記本体が水中にあるか否かを判定する水中判定部をさらに備え、前記方位表示制御部は、前記水中判定部によって前記本体が水中にあると判定された場合にのみ、前記方位処理部により求められた帰路の方位を前記表示画面に表示させるものとしてもよい。
【0007】
また、上記構成において、前記帰路は少なくとも1つの経由点を経由する帰路であり、前記方位処理部は、前記帰路における前記経由点への方位も求め、前記方位表示制御部は、前記方位処理部により求められた前記帰路における前記経由点への方位を前記表示画面に表示させることとしてもよい。
【0008】
また、本発明は、防水性を有する本体に収容され、各種情報を表示する表示画面と、前記本体の外部から操作可能な操作部と、を備えた情報表示装置を制御して、進路の方位を検出し、前記操作部による方位設定を指示する操作に応じて、検出した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求め、求めた帰路の方位を前記表示画面に表示させること、を特徴とする情報表示方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、方位設定を指示する操作に応じて、現在の方位を往路とした場合の帰路の方位が自動的に求められて表示されるので、大がかりな装置群等を用いることなく、潜水中のダイバーが簡単な操作を行うだけで、帰路の方向を確実に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るダイブコンピュータ2の構成及び使用状態を示す図である。図2は、ダイブコンピュータ2の機能的構成を示すブロック図である。
ダイブコンピュータ2の機能としては、潜水中のダイバー(ユーザ)の深度や潜水時間を計算して表示するとともに、潜水中に体内に蓄積される不活性ガス量(主として窒素ガス量)を計測し、この計測結果から潜水後に水からあがった状態で体内に蓄積された窒素が排出されるまでの時間などの安全確保情報を表示する機能等がある。
【0012】
ダイブコンピュータ2は、円盤状のケース21(本体)に各部を収容して構成されるダイブコンピュータ本体20に、ベルト27を取り付けて構成され、このベルト27によりダイバーの腕に装着される。
ケース21は、いわゆる防水構造となっており、完全水密状態となるよう封止される。
【0013】
ダイブコンピュータ本体20の上面には表示面22が設けられており、この表示面22に、後述する液晶表示パネル211(表示画面)によって各種の情報が表示される。また、ダイブコンピュータ本体20の上面には、表示面22とともに、それぞれ水中判定センサ273(図2)に接続された2個の電極24A、24Bが配設されている。水中判定センサ273は、電極24Aと電極24Bとの間の電気抵抗値に基づいて、ダイブコンピュータ2が水中にあるか否かを判定するセンサである。さらに、ダイブコンピュータ本体20の上面には、ダイブコンピュータ2の各種動作モードの選択/切替等の操作を行うためのプッシュボタン式の3個のスイッチ23(操作部)が設けられている。スイッチ23は、ダイブコンピュータ2を腕に装着した状態でも外部から容易に操作可能な大型のスイッチである。
【0014】
ケース21の上面には、スイッチ23を避けるように一部が切り欠かれた円形の表示面22が配置され、表示面22においては、風防の内部に収容された液晶表示パネル211(図2)が視認可能となっている。
また、ケース21の側面には圧力検出穴(図示略)が穿設され、この圧力検出穴の内部には圧力センサ253(図2)が配設されている。圧力検出穴は、圧力センサ253によって周囲の気圧または水圧を正確に検出すべく、周囲の空気または水を圧力センサ253の検出部位まで導く穴である。
【0015】
図2に示すように、ダイブコンピュータ2は、各部を制御してダイブコンピュータとしての機能を実現する制御系200に各部が接続されて構成される。
制御系200は、各種プログラムを実行してデータの処理を行うCPU201、CPU201により実行されるプログラムや処理されるデータ等を記憶するROM202、CPU201により実行されるプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するRAM203、ダイブコンピュータ2が備える各種デバイスを制御する制御回路204を有する。
【0016】
CPU201には、液晶表示パネル211と、液晶表示パネル211を駆動して各種情報を表示させる液晶ドライバ212とからなる表示部210が接続されている。制御系200は、CPU201の制御のもとに液晶ドライバ212を駆動して、液晶表示パネル211に各動作モードに対応した表示を行わせる。
また、CPU201には、ダイバーに対して振動により警報を報知すべく振動を発生させる振動発生部231と、音声により警報を報知するため音声を出力する報音部232とが接続されている。これら振動発生部231、報音部232は、例えば、浮上速度が速すぎる場合、潜水開始からの時間が設定された時間を超過した場合、設定された深度を超えた場合などに、ダイバーに注意を促すために振動やアラーム音を出力する。
また、CPU201には、ダイブコンピュータ2への操作を検出する操作部233と、外部の装置との間で通信を行う通信部234とが接続されている。
【0017】
操作部233は、ダイブコンピュータ本体20の上面に配設されたスイッチ23における操作を検出し、検出した操作に対応する操作信号をCPU201に出力する。
通信部234は、無線電波、赤外線や可視光線を用いた光通信、或いは、可聴音波や超音波を搬送波として利用する通信等の手段により、他の装置との間で無線通信を行うものであり、例えば、赤外光を発するLED等の光源(図示略)と、赤外光を受光するフォトダイオード等の受光部(図示略)とを備え、これらを用いて赤外線通信を実行する。
【0018】
また、ダイブコンピュータ2は、所定周波数の発振信号を出力する発振回路243と、発振回路243が出力した発振信号を分周する分周回路242とを備えている。分周回路242により分周された信号は、CPU201及び制御回路204の制御に従って秒単位で時刻を計時する時刻用カウンタ241に入力される。また、分周回路242の出力信号は、後述するA/D変換回路251、261、271に動作クロック信号として入力される。
【0019】
CPU201には、A/D変換回路251及び増幅回路252を介して圧力センサ253が接続されている。圧力センサ253は上記の圧力検出穴(図示略)の内部に配設されたセンサであり、ダイブコンピュータ2の周囲の気圧または水圧を検出する。圧力センサ253が検出した圧力に対応するアナログ信号を出力すると、このアナログ信号は増幅回路252によって増幅され、A/D変換回路251によってデジタルデータに変換されて、CPU201に入力される。
【0020】
また、ダイブコンピュータ2は、周囲の温度を検出する温度センサ263を備え、温度センサ263が検出した温度に対応するアナログ信号を出力すると、このアナログ信号は増幅回路262によって増幅され、A/D変換回路261によってデジタルデータに変換されて、CPU201に入力される。
【0021】
ダイブコンピュータ2は、電極24A(図1)と電極24B(図1)との間の電気抵抗値を測定することによってダイブコンピュータ2が水中にあるか否かを判定する水中判定センサ273(水中判定部)を有する。水中判定センサ273が出力するアナログ信号は、増幅回路272によって増幅され、A/D変換回路271によってデジタルデータに変換されて、CPU201に入力される。
【0022】
さらに、CPU201には、方位検出部235が接続されている。方位検出部235は、少なくとも直交する2軸、好ましくは互いに直交する3軸の磁気センサを備え、これら複数の磁気センサに出力に基づく演算処理を行うことで、現在の方位(方位角)を求め、求めた方位のデータをCPU201に出力する。ここで方位検出部235が求める方位は、例えば、ダイブコンピュータ2の12時方向が指し示す方位である。これは、潜水中にダイバーが、自分の進行方向とダイブコンピュータ2の12時方向とを一致させやすいためである。従って、方位検出部235が求める方位を、ダイブコンピュータ2に対するどの方位とするかは、スイッチ23の操作等に応じて任意に設定可能としてよい。また、方位検出部235がCPU201に出力するデータは、例えば、北を0度(基準方位)とした場合の方位角である。
【0023】
このように構成されるダイブコンピュータ2は、制御系200の制御のもとに、スイッチ23の操作によって指定された動作モードで動作し、ダイビングモードにおいては、潜水開始が指示されてからの経過時間や、温度センサ263により計測した温度、圧力センサ253の検出値から求めた水深、これらの情報に基づいて算出した体内の蓄積不活性ガス量、現在時刻等を表示するとともに、必要に応じて、振動発生部231、報音部232による報知を行う。これにより、潜水中のダイバーに対して重要な情報を的確に提供し、安全かつ円滑なダイビングの進行を補助する。
【0024】
また、ダイブコンピュータ2は、サーフェスモード(時刻表示モード)においては現在時刻の表示を行い、プランニングモードやログモードにおいては、スイッチ23の操作に従って、過去にダイビングモードで取得・表示した情報を出力する動作や、指定された条件に従ってシミュレーションを行った結果を出力する動作を行う。
さらに、ダイブコンピュータ2は、方位検出部235によって検出した方位を液晶表示パネル211により表示し、ダイバーに対して進行方向を案内する。
【0025】
図3は、ダイブコンピュータ2の表示面22の構成例を示す平面図である。
上述のように、表示面22においては液晶表示パネル211が視認可能となっており、液晶表示パネル211が表示する各種情報を見ることができる。
【0026】
液晶表示パネル211には、各種情報を表示する複数の表示領域が配されている。図3中上部左側に位置する第1の表示領域221は、各表示領域のうちで最も大きく構成されている。第1の表示領域221には、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモード等のダイブコンピュータ2の各動作モードにおいて、それぞれ、現在の水深、現在の日時、水深ランク、潜水日時(ログ番号)が表示される。
【0027】
第2の表示領域222は、第1の表示領域221の図中右側に配置されている。第2の表示領域222には、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモードの各動作モードにおいて、それぞれ潜水時間、現在時刻、無減圧潜水可能時間、潜水開始時刻(潜水時間)が表示される。
【0028】
第3の表示領域223は、図中で第1の表示領域221の下側に配置され、この第3の表示領域223には、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモードの各動作モードにおいて、それぞれ、最大水深、体内窒素排出時間、セーフティレベル、最大水深(平均水深)が表示される。
【0029】
第4の表示領域224は、図中で第3の表示領域223の右側に配置される。第4の表示領域224には、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモードの各動作モードにおいて、それぞれ無減圧潜水可能時間、水面休止時間、温度、潜水終了時刻(最大水深時水温)が表示される。
【0030】
第5の表示領域225は、図中で第3の表示領域223の下側に配置され、電源容量切れを表示する電源容量切れ警告を表示する。第6の表示領域226は、図中の下部左側に配置され、体内に残存する窒素ガス(不活性ガス)の量をグラフ表示する。第7の表示領域227は、図中で第6の表示領域226の右側に配置され、ダイビングモードで減圧潜水状態になった場合に、窒素ガス(不活性ガス)が吸収傾向にあるのか、排出傾向にあるかを示す領域(図中、上下方向矢印が図示されている)と、浮上速度が高すぎる場合に浮上速度違反警告のひとつとして減速を指示するための「SLOW」を表示する領域と、潜水中に減圧潜水を行わなければならない旨を警告するための「DECO」を表示する領域と、を備えて構成されている。
【0031】
そして、液晶表示パネル211の上部には方位表示部229が配置されている。方位表示部229には、方位検出部235(図2)によって検出された方位が表示される。
【0032】
図4は、方位表示部229における表示態様を詳細に示す図である。
この図4に示すように、方位表示部229には、方位検出部235により検出された方位角を表示する方位角表示229A、円環状の方位環表示229B、方位環表示229Bの円環上に並べられた基礎方位表示229Cが配置されている。
【0033】
方位角表示229Aは方位検出部235により検出された方位角を数値として表示する。方位環表示229Bは、図4に破線で示す仮想方位環229Dの一部である。仮想方位環229Dは360度の回転が可能な仮想の円であって、円周上には北(N)、東(E)、南(S)、西(W)の基本方位からなる基礎方位表示229Cが配置されている。仮想方位環229Dは基礎方位表示229Cとともに、方位検出部235によって検出された方位角に応じて回転し、その一部が方位環表示229Bとして方位表示部229に表示される。
【0034】
そして、方位表示部229には、往路方位記号28A、及び、帰路方位記号28Bが表示される。
往路方位記号28Aは往路の方位を示す記号であり、帰路方位記号28Bは帰路(復路)の方位を示す記号である。この往路は、ダイバーがスイッチ23を操作して指定する方位であり、具体的には、ダイバーがダイブコンピュータ2の12時方向を、進行方向に合わせた状態で、往路指定用に割り当てられた一つのスイッチ23を押下すると、この押下時に方位角表示229Aに表示された方位が、往路の方位として設定される。
【0035】
これに対し、帰路方位記号28Bが示す帰路の方位は、ダイバーが指定した往路の方位、すなわち往路方位記号28Aが示す方位に基づいて、CPU201が自動計算した方位である。本第1の実施形態では、帰路は往路の正反対の方向であるから、CPU201は、往路として指定された方位の方位角に180度加算或いは減算することで帰路の方位角を求める。図4に示す状態では帰路方位記号28Bは方位表示部229から外れた位置にあるが、ダイブコンピュータ2の12時方向が北向きとなった場合には、仮想方位環229Dとともに回転して、帰路方位記号28Bが方位表示部229の表示範囲内に入り、視認可能となる。
【0036】
また、図4に示す例では、往路方位記号28Aは白抜き三角の記号であり、帰路方位記号28Bは黒塗り三角の記号である。このように往路の方位を示す記号と帰路の方位を示す記号とが明瞭に区別できるようになっていることにより、ダイバーは、方位表示部229に表示されている記号が往路と帰路のどちらを示しているかを間違えることがなく、利便性が高い。往路方位記号28A及び帰路方位記号28Bは、それぞれ分かりやすい記号であって、明瞭に区別可能であればよいので、例えば、色の違う矢印としてもよいし、文字をデフォルメした絵柄等を用いてもよく、記号や図形、絵柄、文字のいずれを用いることができ、具体的形態は何ら限定されない。
【0037】
図5は、ダイブコンピュータ2の動作を示すフローチャートであり、特に、方位の検出と表示に係る動作を示す。
この図5に示す動作は、方位検出部235により検出した現在の方位を方位表示部229に表示する動作であり、例えば、方位の表示開始を指示する操作に応答して、開始される。図5に示す動作中、CPU201は、方位処理部及び方位表示制御部として機能する。
【0038】
CPU201は、方位検出部235から入力されるデータに基づいて、方位検出部235によって検出された現在の方位を取得し(ステップS11)、続いて、取得した方位と、方位表示部229に表示されている方位とを比較する(ステップS12)。ステップS12では、例えば、ステップS11で取得した方位角と、現在表示中の方位角との数値を比較する。ここで、方位表示部229において表示中の方位角は、RAM203に記憶されているものとする。
【0039】
CPU201は、方位表示部229に表示中の方位と、新たにステップS11で取得した方位との間に、予め設定された値を超える差があるか否かを判別し(ステップS13)、設定値を超える差がある場合(ステップS13;Yes)、CPU201は、方位表示部229に表示中の方位を、ステップS11で新たに取得した方位に更新するとともに、更新後の方位をRAM203に記憶する(ステップS14)。
【0040】
ここで、図5の動作を開始してから最初に方位検出部235が検出した現在の方位を取得した場合には、表示中の方位角をデフォルト値の0度としてステップS12〜S13の処理を行うか、或いは、ステップS12〜S13の処理を行わずにステップS14に移行してもよい。
また、ステップS13の判別の基準となる設定値は、予めスイッチ23やその他の操作によりダイバーが任意に設定し、或いは、出荷時に既にROM202に記憶されている値である。
【0041】
ステップS11〜S14の処理によって、方位検出部235が検出した方位が、現在表示中の方位と設定値以上の差を生じていない場合は方位表示部229の表示が更新されないので、わずかな方位の変化によって頻繁に表示が更新されるといった事態を避けることができる。つまり、方位表示部229の表示が高頻度で変化することによる煩雑さと視認性の低下を避けることができ、ダイビング中においても視認しやすく、方位を確認しやすい表示を保つことができる。
また、ステップS13において、方位表示部229に表示中の方位とステップS11で取得した方位との差が設定値を超えない場合は、ステップS14の処理を行わずに、以後の処理に移行する。
【0042】
続いて、CPU201は、往路の方位を指定する操作が行われたか否かを判別し(ステップS15)、往路の方位を指定する操作が行われた場合は、ステップS16以後の往路を設定する処理に移行する。ここで、往路を指定する操作とは、現在の方位を「往路の方位」として設定するよう指示する操作であり、具体的には、ダイブコンピュータ2が備える複数のスイッチ23のうち、往路指定用に割り当てられた特定のスイッチ23を押下する操作である。
CPU201は、往路の方位を指定する操作が行われた場合はステップS16に移行して、その操作が行われた時点で方位表示部229に表示中の方位を、往路の方位として設定し、RAM203に記憶する。
【0043】
CPU201は、設定した往路の方位を、その方位が往路の方位であることを示す記号や図形等と共に方位表示部229に表示する(ステップS17)。この表示は、例えば、図4に示す往路方位記号28Aである。次にCPU201は、設定された往路の方位に基づいて帰路の方位を自動的に算出してRAM203に一時的に記憶し(ステップS18)、帰路の方位を表示するよう指示する操作が行われたか否かを判別する(ステップS19)。ここで、帰路の方位を表示するよう指示する操作とは、具体的には、ダイブコンピュータ2が備える複数のスイッチ23のうち、帰路方位の表示用に割り当てられた特定のスイッチ23を押下する操作である。ここで操作されるスイッチ23は、往路方位指定用に割り当てられたスイッチ23、すなわちステップS15で操作されるスイッチ23とは別のスイッチである。これらスイッチ23には、往路方位指定用であるものと、帰路の方位の表示を指示するものとを区別可能なように、記号や図形等の装飾や案内が付された構成としてもよい。
【0044】
また、ステップS15において往路を指定する操作が行われていなかった場合(ステップS15;No)、CPU201は、ステップS19にそのまま移行して上記の判別を行う。
【0045】
CPU201は、帰路の方位の表示を指示する操作が行われていない場合は(ステップS19;No)、ステップS11に戻り、帰路の方位の表示を指示する操作が行われた場合は(ステップS19;Yes)、RAM203に記憶されている帰路の方位を方位表示部229に表示する(ステップS20)。この表示は、算出した帰路の方位を、その方位が帰路の方位であることを示す記号や図形等と共に方位表示部229に表示するものであり、例えば、図4に示す帰路方位記号28Bである。
【0046】
その後、CPU201は、方位の表示を終了する操作等が行われていなければ(ステップS21;No)、ステップS11に戻って処理を継続し、方位の表示を終了する操作等が行われた場合は(ステップS21;Yes)、本処理を終了する。
【0047】
以上のように、本発明を適用した第1の実施形態に係るダイブコンピュータ2は、防水性のケース21の外から操作可能なスイッチ23を備え、このスイッチ23の操作に応じて、CPU201によって方位検出部235が検出した方位を往路の方位として設定し、設定した往路の方位に基づいて帰路の方位を算出し、算出した帰路の方位を、ケース21に収容した液晶表示パネル211に表示するので、スイッチ23を操作するだけで自動的に現在の方位が往路の方位として設定され、帰路の方位が求められ、この帰路の方位が表示される。これにより、大がかりな装置群等を用いることなく、潜水中のダイバーが簡単な操作を行うだけで、帰路の方向を確実に確認できる。
【0048】
また、帰路の方位は、スイッチ23により帰路の方位の表示を指示する操作が行われた場合に、この操作に応じて液晶表示パネル211に表示されるので、ダイバーが必要とする場合のみ表示するようにすることで、液晶表示パネル211に同時に表示される情報量の増加を抑えて誤認を防止し、良好な視認性を確保できる。
さらに、往路と帰路とが、往路方位記号28A及び帰路方位記号28Bのように、直感的に理解しやすい記号や図形等により表示されるので、ダイバーは、容易に、かつ速やかに帰路を確認できる。
【0049】
また、CPU201は、方位検出部235により検出された方位を随時取得し、取得した現在の方位を液晶表示パネル211の方位表示部229に表示させるので、現在の方位をダイバーが容易に知ることができる。加えて、CPU201は、方位検出部235から取得した方位が、液晶表示パネル211に表示中の方位から設定値以上の差がある場合にのみ、液晶表示パネル211に表示する方位を、新たに取得した方位に変更するので、方位表示部229に表示される方位の更新頻度を適正な程度に抑えることができ、方位表示部229の視認性を損なうことなく、最新の方位を表示して、ダイバーに適切な情報を提供できる。
【0050】
[第2の実施形態]
図6は、本発明を適用した第2の実施形態におけるダイブコンピュータ2の動作を示すフローチャートである。なお、この第2の実施形態において上記第1の実施形態と同様に構成される構成部については、同符号を付して図示及び説明を省略する。
図6のフローチャートに示す動作は、図6のフローチャートに示した動作に代えて行われる。図6の動作では、上述したステップS11〜S21の処理に加え、ステップS15で往路の方位を指定するスイッチ23の操作の有無を判別する前に、新たにステップS22の処理を行う。
ステップS22では、CPU201が、水中判定センサ273の出力値に基づいて、ダイブコンピュータ2が水中にあるか否かを判別する。ここで、ダイブコンピュータ2が水中にない場合(ステップS22;No)、CPU201はステップS11に戻り、ダイブコンピュータ2が水中にある場合には(ステップS22;Yes)、ステップS15に移行して、往路の方位を指定する操作の有無を判別する。
【0051】
つまり、本第2の実施形態においては、ダイブコンピュータ2が水中にある場合にのみ、往路の方位を設定し、この設定した往路の方位に基づいて帰路の方位を自動的に算出し、算出した帰路の方位を表示する機能を利用できる。
ダイブコンピュータ2は、水中に限らず陸上においても勿論使用可能であり、時間の経過や現在時刻を表示する装置として使用できる。陸上を歩行または車両等により移動している間は、道路や地形と関係なく進むことはできないから、進行方向と帰路の方位は、磁石(コンパス)により得た方位と地図とを照合しながら確認すれば足りる。
【0052】
これに対し、水中においては、進行方向が地形によって制限されることが比較的少ない上に、濁りや光量不足による視界不良が発生しやすく、地形を頼りに方向を判別することが容易ではなく、さらに、地図を参照しながら進むことが難しいという、ダイビングに特有の条件がある。このような条件のもとでは、ダイバーが簡単に往路の方位を設定することができ、この設定された往路に基づいて自動的に帰路の方位を算出して、明瞭に表示するという構成は、非常に有用である。陸上においても上記の構成は有効であるものの、水中における有用性が格段に勝っている上、陸上においては代替手段が数多い。
【0053】
そこで、本第2の実施形態においては、陸上においては方位表示部229に現在の方位を表示する機能を提供するにとどめ、より重要性が高まる水中においては往路の方位の設定と帰路の方位の自動算出及び表示を行うようにしている。これにより、より重要性の高い水中における機能を優先することで、ダイブコンピュータ2の電源となるバッテリ(図示略)の消費を抑えて効率化を図ることができる。また、陸上においては、方位に関する機能を現在の方位を表示する機能に絞ることで、操作を簡略化し、操作性の向上を図ることができる。
【0054】
なお、陸上において使用可能な機能は、現在の方位を表示する機能のみに限定する必要はなく、水中と同様に重要性の高い機能であれば、その機能を陸上でも提供するようにしてよい。例えば、ダイブコンピュータ2が、現在の方位を記憶する機能や方位と時刻或いは高度とを対応づけて記憶する機能等を実行可能な場合、これらの機能は水中か陸上かを問わず有用であるから、陸上で上記機能を実行可能としてよい。
【0055】
ここで、本第2の実施形態においては、ダイブコンピュータ2が水中にない場合はスイッチ23の操作による往路の設定、設定された往路の記憶、帰路の算出、表示のいずれも行わないものとしたが、例えば、帰路の表示のみを行わないようにしてもよい。
【0056】
[第3の実施形態]
図7は、本発明を適用した第3の実施形態における表示面22の構成例を示す平面図である。なお、この第2の実施形態において上記第1及び第2の実施形態と同様に構成される構成部については、同符号を付して図示及び説明を省略する。
この図7に示す液晶表示パネル211には、上記第1の実施形態で図3に例示した状態とは異なり、第1〜第7の表示領域221〜227の表示が省略され、代わって帰路指示矢印28Cが表示されている。帰路指示矢印28Cは、図5及び図6のステップS18で説明したようにCPU201によって自動的に算出された帰路の方位を示す記号であり、方位表示部229を除く液晶表示パネル211の表示領域のほぼ全面を占めるように、大きく表示されている。
【0057】
上記第1及び第2の実施形態で、ダイブコンピュータ2は、帰路の方位の表示を指示する操作が行われた場合は方位表示部229に帰路の方位を表示するものとしたが、本第3の実施形態において、ダイブコンピュータ2は、特定の操作の間のみ、液晶表示パネル211における表示状態を、図3に示す状態から、図7に示すように方位表示部229と帰路指示矢印28Cのみの表示に切り替える。ここで、特定の操作とは、スイッチ23のうち帰路方位の表示用に割り当てられた特定のスイッチ23を押下する操作であり、ダイブコンピュータ2は、このスイッチ23が押下されている間のみ、帰路指示矢印28Cを表示する。そして、スイッチ23の押下が解除されると、ダイブコンピュータ2は、液晶表示パネル211における表示を元の状態、すなわち図3に示した状態に戻す。従って、ダイバーが特定のスイッチ23を押している間のみ、液晶表示パネル211の表示が図7に示す状態に切り替わる。
【0058】
本第3の実施形態では、ダイバーが帰路の方を知りたいと考えて特定のスイッチ23を押している間だけ、帰路の方位が表示されるので、液晶表示パネル211に同時に表示する情報を少なくすることができるので、視認性および利便性の向上を図ることができる。特に、スイッチ23を押している間だけであれば、第1〜第7の表示領域221〜227等の情報を表示しなくても利便性や有用性が損なわれることはないので、スイッチ23を押している間、図7に例示する帰路指示矢印28Cのように液晶表示パネル211のほぼ全面を使って、帰路の方位を表示することができ、極めて視認性が高く、誤認のおそれが全くない表示を行うことができる。
【0059】
このように、第3の実施形態によれば、スイッチ23において帰路の方位の表示を指示する操作が行われている間のみ、帰路の方位を指し示す記号または図形を液晶表示パネル211に表示させるので、通常動作中は液晶表示パネル211に表示する情報の数を抑えるとともに、ダイバーの意図に応じて速やかに、かつ極めて視認性の高い態様で帰路の方位を表示することが可能となる。
【0060】
なお、本第3の実施形態において、特定のスイッチ23の操作中に液晶表示パネル211の表示を切り替えている間に、この表示の切り替えと連動して表示面22を照明するライト(図示略)を点灯させてもよい。この場合、ダイバーの意図に沿って帰路指示矢印28Cを見やすくすることで、水中や暗所における視認性をより向上させることができ、確実に、帰路の方向を知ることができる。
【0061】
[第4の実施形態]
図8A及び図8Bは、本発明を適用した第4の実施形態における方位表示部229の構成例を示す図である。なお、この第4の実施形態において上記第1から第3の実施形態と同様に構成される構成部については、同符号を付して図示及び説明を省略する。
この図8A及び図8Bに示す方位表示部229には、上記第1の実施形態で図4に例示した方位表示部229とは異なり、往路の方位を示す往路指示矢印28Dと、帰路の方位を示す帰路指示矢印28Eとが、方位環表示229Bから離れた位置に、並べて表示されている。往路指示矢印28D及び帰路指示矢印28Eは、方位環表示229Bの表示状態とは関係なく常に方位表示部229に表示されているので、ダイバーが、往路の方向及び帰路の方向を、常に視認できる。
図8Aに例示する往路指示矢印28Dと帰路指示矢印28Eとは、白矢印と黒塗り矢印となっている。また、図8Bに例示する帰路指示矢印28Eは、帰路であることが明瞭に理解できるように、往路指示矢印28Dとは異なる形状の矢印となっている。このように、往路指示矢印28Dと帰路指示矢印28Eとは、どちらが往路と帰路であるかを容易に見分けられるようになっているので、ダイバーが方向を誤認することはなく、容易に、往路と帰路の方向を知ることができる。
【0062】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記第1〜第4の実施形態で、表示面22及び液晶表示パネル211は、スイッチ23を避けて一部が欠けた円形に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示面22の形状は真円、楕円、トラック形状、多角形状など他の形状であってもかまわない。
【0063】
さらに、方位検出部235は2軸または3軸の磁気センサを備え、これら磁気センサの出力に基づいて方位を求めるものとしたが、磁気センサの数、方位を求めるための処理方法、出力する信号の形式、この信号をアナログ信号として出力するかデジタル信号として出力するか等の方位検出部235の具体的仕様は任意である。
【0064】
また、液晶表示パネル211に表示される往路方位記号28A、帰路方位記号28B、帰路指示矢印28C、往路指示矢印28D、及び帰路指示矢印28Eの態様はあくまで一例であり、その形状や色は任意であり、文字や別の記号が付加されていてもよい。さらに、液晶表示パネル211がカラー表示可能な液晶表示パネルである場合には、往路方位記号28A、帰路方位記号28B、帰路指示矢印28C、往路指示矢印28D、帰路指示矢印28E、及び、第1〜第7の表示領域221〜227を含む各種表示を、様々に色を変えて表示してもよく、その場合の表示色は任意である。さらにまた、液晶表示パネル211に代えて、有機ELパネル等を用いるようにしてもよい。
【0065】
また、上記第1〜第4の実施形態において、ベルト27を構成する材料は合成樹脂や合成ゴム、或いは合成または天然繊維のいずれであってもよく、ベルト27をケース21に取り付けるベルト通しの形状や材料も任意であって、単にベルト27を孔に通すような形態だけでなく、ベルト27にケース21を着脱可能な形状であれば限定されない。
【0066】
さらに、上記各実施形態では、ダイブコンピュータ2を制御するための制御プログラムが予めROM202に記憶されている場合について説明したが、各種磁気ディスク、光ディスク、メモリカードなどの記録媒体に制御用プログラムをあらかじめ記録し、これらの記録媒体から読み込み、ダイブコンピュータ2にインストールするように構成することも可能である。また、通信インターフェースを設け、インターネット、LANなどのネットワークを介してダイブコンピュータ2が制御用プログラムをダウンロードし、インストールして実行するように構成することも可能である。このように構成することにより、ソフトウェア的により高機能としたり、より信頼性の高いダイブコンピュータを構成したりすることが可能となる。
【0067】
[第5の実施形態]
前述の実施形態におけるダイブコンピュータ2は、帰路の方角は往路に対して180°折り返した方向を示すモード(以下、往復経路モードという)を有するものであった。第5の実施形態では、さらに、帰路において複数の経由点を経由して起点に戻れるような進行方向を示すこととしている。
【0068】
図9Aは、第5の実施形態における四角経路モードの経路を説明するための図である。図には、往路と帰路とが四角形で構成されるときの経路が示されている。四角経路モードのときにおいてダイブコンピュータ2は、往路における方位と、目的点から第1経由点に向かうとき(帰路1)の方位と、第1経由点から第2経由点に向かうとき(帰路2)の方位と、第2経由点から起点に向かうとき(帰路3)の方位と、を示すことができるようになっている。
【0069】
図9Bは、第5の実施形態における三角経路モードのときの経路を説明するための図である。図には、往路と帰路とが三角形で構成されるときの経路が示されている。三角経路モードのときにおいてダイブコンピュータ2は、往路における方位と、目的点から第1経由点に向かうとき(帰路1)の方位と、第1経由点から起点に向かうときの方位(帰路2)と、を示すことができるようになっている。
【0070】
以下、上記各モードにおける表示と操作について説明する。
図10は、第5の実施形態に係るダイブコンピュータの構成を示す図である。第5の実施形態では、表示面22における表示が前述の実施形態と若干異なっている。また、よりボタンの使用手順を詳細に示すために、Aスイッチ23A、Bスイッチ23B、及び、Cスイッチ23Cが示されている。なお、この第5の実施形態において上記実施形態と同様に構成される構成部については、同符号を付して説明を省略する。
【0071】
表示面22には、第8の表示領域288と、第9の表示領域289と、第10の表示領域の左部290Aと、第10の表示領域の右部290Bと、が設けられている。第8の表示領域288は、方位検出部235が検出した方位を表示する。すなわち、第8の表示領域288は、ダイバーの現在の方位角を示す。
【0072】
第9の表示領域289は、第1方向表示289A〜第7方向表示289Gを表示可能とする。そして、これらのうちのいくつかを表示することによって、上記のいずれのモードが選択されているのかを表示する。また、これらのうちのいずれかが点滅して、往路であるか、又は、複数の帰路のうちのいずれかであるかを示す。第10の表示領域の左部290Aは、起点となる方位角、すなわち往路の方位角を示す。第10の表示領域の右部290Bは、第9表示領域289において点滅して示す経路の方位角、すなわちダイバーが進むべき方位角を示す。
【0073】
Aスイッチ23Aは、起点となる方位角を設定するためのスイッチである。Bスイッチ23Bは、往復経路モード、三角経路モード、及び、四角経路モードのいずれかを選択するモード選択のためのスイッチである。このBスイッチ23Bを押す毎に、帰路に経由点を含まない往復経路モードと、帰路に1つの経由点を含む三角経路モードと、帰路に2つの経由点を含む四角経路モードを選択可能となっている。Cスイッチ23Cは、第9の表示領域289における進行方向を選択するためのスイッチである。このCスイッチ23Cを押す毎に、第9の表示領域289において点滅して示す方向表示(往路であるか、又は、帰路であればいずれの帰路であるか)が切り替えられるようになっている。
【0074】
図11は、四角経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。前述のように、ダイブコンピュータ2では、Bスイッチ23Bを押す毎にモードが切り替わる。現在のモードは、第9の表示領域289に表示される。
【0075】
四角経路モードが選択されたときには、図に示されるように第9の表示領域289に四角形の経路を表す4つの矢印(第1方向表示289A、第2方向表示289B、第3方向表示289C、第4方向表示289D)が表示される。このように四角経路モードが表示された後、Aスイッチ23Aが長押しされると、第10の表示領域の左部290Aに進行方向の起点となる方位角(すなわち往路の方位角)が設定される。ここでは、ダイバーが180°の方位を向いているときにAスイッチ23Aが長押しされたため、第10の表示領域の左部290Aには起点となる方位角として180°が示されている。ここで、Aスイッチ23Aの長押しは前述の図5及び図6におけるステップS15の往路指定の操作、及び、ステップS16における往路の方位の設定に相当する。
【0076】
次に、Aスイッチ23Aを離し、再度Aスイッチ23Aを押すと、第10の表示領域の左部290Aにおける表示は消える。そして、往路であることを示すように、第1方向表示289Aが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには進行するべき方向の方位角(180°)が表示される(但し、図11では、表示のバリエーションを増やし理解を容易にするべく、後述する帰路1のときの方位角270°が示されている)。このような表示は、ステップS17における往路の方位の表示に相当する。
【0077】
このように、往路の表示がなされると、次に帰路1、帰路2、及び、帰路3(図9A)の方位角が求められる。帰路1の方位角は、往路の方位角に90°を加算するようにして求められる。また、帰路2の方位角は、帰路1の方位角に90°を加算するようにして求められる。また、帰路3の方位角も、帰路2の方位角に90°を加算するようにして求められる。このような動作はステップS18の帰路の方位の自動算出に相当する。
【0078】
尚、ここで求められた方位角が360°以上であった場合には、計算結果から360°を減算して帰路の方位角とされる。本ダイブコンピュータでは、このようにして360°以上の角度表示を行わないようにして、ダイバーが方向を容易に確認することができるようにしている。
【0079】
次に、Cスイッチ23Cが押される(S19)と、次の進行方向を示す第2方向表示289Bが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには、帰路1の方位角(270°)が表示される(S20)。
【0080】
第5の実施形態における四角経路モードでは、ステップ19及びステップ20が繰り返し行われる。よって、さらに、Cスイッチ23Cが押されると、次の進行方向を示す第3方向表示289Cが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには、帰路2の方位角(0°)が表示される。さらに、Cスイッチ23Cが押されると、次の進行方向を示す第4方向表示289Dが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには、帰路3の方位角(90°)が表示される。
【0081】
このようにすることで、四角形の経路で往路及び帰路が構成される場合であっても、潜水中のダイバーが簡単な操作を行うだけで、帰路の方向を確実に確認できる。
【0082】
図12は、三角経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。前述のように、ダイブコンピュータ2では、Bスイッチ23Bを押す毎にモードが切り替わる。
【0083】
三角経路モードが選択されたときには、図に示されるように第9の表示領域289に三角形の経路を示す3つの矢印(第2方向表示289B、第5方向表示289E、第6方向表示289F)が表示される。このように三角経路モードが表示された後、Aスイッチ23Aが長押しされると、第10の表示領域の左部290Aに進行方向の起点となる方位角(すなわち往路の方位角)が設定される。ここで、Aスイッチ23Aの長押しは、ステップS15の往路指定の操作、及び、ステップS16における往路の方位の設定に相当する。
【0084】
Aスイッチ23Aを離し、再度Aスイッチ23Aを押すと、第10の表示領域の左部290Aにおける表示が消える。そして、現在の進行方向を示すように、第2方向表示289Bが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには往路の方位角(180°)が表示される。(但し、図12では、表示のバリエーションを増やし理解を容易にするべく、後述する帰路2のときの方位角45°が示されている)このような表示は、ステップS17における往路の方位の表示に相当する。
【0085】
このように、往路の表示がなされると、次に帰路1及び帰路2(図9B)の方位角が求められる。帰路1の方位角は、往路の方位角に90°を加算するようにして求められる。また、帰路2の方位角は、帰路1の方位角に135°を加算するようにして求められる。このような動作はステップS18の帰路の方位の自動算出に相当する。
【0086】
次に、Cスイッチ23Cを押すと、次の進行方向を示す第5方向表示289Eが点滅し、第10表示領域の右部290Bには、帰路1の方位角(270°)が表示される(S20)。
【0087】
第5の実施形態における三角経路モードでは、ステップS19及びステップ20がもう一度だけ繰り返して行われる。よって、さらに、Cスイッチ23Cが押されると、次の進行方向を示す第6方向表示289Fが点滅し、第10表示領域の右部290Bには、帰路2の方位角(45°)が表示される。
【0088】
このようにすることで、三角形路で往路及び帰路が構成される場合であっても、潜水中のダイバーが簡単な操作を行うだけで帰路の方向を確実に確認できる。
【0089】
図13は、往復経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。前述のように、ダイブコンピュータ2では、Bスイッチ23Bを押す毎にモードが切り替わる。
【0090】
往復経路モードが選択されたときには、図に示されるように第9の表示領域289に往復の経路を表すための2つの矢印(第1方向表示289A、第7方向表示289G)が表示される。このように往復経路モードが表示された後、Aスイッチ23Aが長押しされると、第10表示領域の左部290Aに進行方向の起点となる方位角(すなわち往路の方位角)が設定される。ここで、Aスイッチ23Aの長押しは、ステップS15の往路指定の操作、及び、ステップS16における往路の方位の設定に相当する。
【0091】
次に、Aスイッチ23Aを離し、再度Aスイッチ23Aを押すと、第10の表示領域の左部290Aにおける表示は消える。そして、往路であることを示すように、第1方向表示289Aが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには往路の方位角(180°)が表示される(但し、図13では、表示のバリエーションを増やし理解を容易にするべく、後述する帰路の方位角0°が示されている)。このような操作及び表示は、ステップS17における往路の方位の表示に相当する。
【0092】
このように往路の表示がなされると、次に帰路の方位角が求められる。帰路の方位角は、往路の方位角に180°を加算するようにして求められる。このような動作は、ステップS18の帰路の方位の自動算出に相当する。
【0093】
次に、Cスイッチ23Cが押される(S19)と、次の進行方向を示す第7方向表示289Gが点滅し、第10表示領域の右部290Bには、帰路の方位角(0°)が表示される(S20)。
【0094】
このようにすることで、起点と目的点とを往復移動するときにおいて、簡単な操作によって帰路の方向を確実に確認できるようになる。
【0095】
尚、第5の実施形態における往復経路モードの各ボタンの操作手順は、第1〜第4の実施形態における各ボタンの操作手順をより詳細に示すものである。
【0096】
また、上述のような往復経路モードについて説明を行ったが、前述の四角経路モードにおいて、第1方向表示289Aが点滅しているときにおける往路の方位角と、第3方向表示289Cが点滅しているときにおける帰路2の方位角とを用いることとして、往復経路モードを実現することとしてもよい。
【0097】
また、第5の実施形態において、往路及び帰路を含めた経路が三角形又は四角形の形状となるような経路となっていた。しかしながら、より多角形の形状となるような経路としてもよい。また、三角経路モードのときにおける経路の形状が直角三角形の形状となるようにされていたが、正三角形の形状となるような構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1の実施形態に係るダイブコンピュータの構成を示す図である。
【図2】ダイブコンピュータの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】ダイブコンピュータ本体の表示画面の構成例を示す平面図である。
【図4】方位表示部における表示態様を詳細に示す図である。
【図5】ダイブコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態における表示部の構成例を示す平面図である。
【図8】第4の実施形態における方位表示部の構成例を示す図である。
【図9】図9Aは、第5の実施形態における四角経路モードのときの経路を説明するための図であり、図9Bは、第5の実施形態における三角経路モードのときの経路を説明するための図である。
【図10】第5の実施形態に係るダイブコンピュータの構成を示す図である。
【図11】四角経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。
【図12】三角形路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。
【図13】往復経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。
【符号の説明】
【0099】
2…ダイブコンピュータ(情報表示装置)、20…ダイブコンピュータ本体、21…ケース(本体)、22…表示面、23…スイッチ(操作部)、24A、24B…電極、28A…往路方位記号、28B…帰路方位記号、28C、28E…帰路指示矢印、28D…往路指示矢印、200…制御系、201…CPU(方位処理部、方位表示制御部)、202…ROM、203…RAM、210…表示部、211…液晶表示パネル(表示画面)、212…液晶ドライバ、221〜227…第1〜第7の表示領域、229…方位表示部、229A…方位角表示、229B…方位環表示、229C…基礎方位表示、229D…仮想方位環、233…操作部、235…方位検出部、273…水中判定センサ(水中判定部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイビング中に情報を表示する情報表示装置、及び、情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイビング中に現在位置や進行方向を把握する手法としては、主に、周囲の海中地形や景色をもとに把握することが一般的である。しかしながら、視界不良の場合や不慣れな場所に潜る際には景色のみを頼りに位置や方向を正確に把握することは難しい。このような場合、従来は、例えば水中用のコンパスを用いて進んでいる方角を把握していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−195827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、目的とする場所に到達した後の帰路の方向は、エントリーしてから目的地まで進んだ方向の逆であるから、往路の方位(方角)を正反対に換算して求めればよい。ところが、水中においては思考能力及び演算能力を妨げる要素が多く、往路の方向を正確に記憶しておき、帰路の方向を正確に導き出すことは、決して容易とはいえず、少なくない負担となっていた。また、多くのダイバーが気軽に使えるようにするためには、大がかりな装置群を用いるような方法は不向きであるという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、低コストで実現可能な装置により、潜水中のダイバーが、簡単な操作によって帰路の方向を確実に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、防水性を有する本体に収容され、各種情報を表示する表示画面と、前記本体の外部から操作可能な操作部と、進路の方位を検出する方位検出部と、前記操作部による方位設定を指示する操作に応じて、前記方位検出部により検出された方位を取得し、取得した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求める方位処理部と、前記方位処理部により求められた帰路の方位を前記表示画面に表示させる方位表示制御部と、を備えることを特徴とする情報表示装置を提供する。
【0005】
上記構成において、前記方位表示制御部は、前記操作部により帰路の方向の表示を指示する操作が行われた場合に、この操作に応じて前記表示画面に帰路の方位を表示させるものとしてもよい。
また、前記方位表示制御部は、前記表示画面に、帰路の方位と、その方位が帰路の方位であることを示す記号または図形とを表示させるものとしてもよい。
さらに、前記方位表示制御部は、前記操作部において帰路の方向の表示を指示する操作が行われている間のみ、帰路の方位を指し示す記号または図形を前記表示画面に表示させるものとしてもよい。
【0006】
上記構成において、前記方位表示制御部は、前記方位検出部により検出された方位を随時取得し、取得した現在の方位を前記表示画面に表示させるものとしてもよい。
さらに、上記構成において、前記方位表示制御部は、前記方位検出部から取得した方位が、前記表示画面に表示中の方位から所定以上の差がある場合にのみ、前記表示画面に表示する方位を新たに取得した方位に変更するものとしてもよい。
また、上記構成において、前記本体が水中にあるか否かを判定する水中判定部をさらに備え、前記方位表示制御部は、前記水中判定部によって前記本体が水中にあると判定された場合にのみ、前記方位処理部により求められた帰路の方位を前記表示画面に表示させるものとしてもよい。
【0007】
また、上記構成において、前記帰路は少なくとも1つの経由点を経由する帰路であり、前記方位処理部は、前記帰路における前記経由点への方位も求め、前記方位表示制御部は、前記方位処理部により求められた前記帰路における前記経由点への方位を前記表示画面に表示させることとしてもよい。
【0008】
また、本発明は、防水性を有する本体に収容され、各種情報を表示する表示画面と、前記本体の外部から操作可能な操作部と、を備えた情報表示装置を制御して、進路の方位を検出し、前記操作部による方位設定を指示する操作に応じて、検出した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求め、求めた帰路の方位を前記表示画面に表示させること、を特徴とする情報表示方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、方位設定を指示する操作に応じて、現在の方位を往路とした場合の帰路の方位が自動的に求められて表示されるので、大がかりな装置群等を用いることなく、潜水中のダイバーが簡単な操作を行うだけで、帰路の方向を確実に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るダイブコンピュータ2の構成及び使用状態を示す図である。図2は、ダイブコンピュータ2の機能的構成を示すブロック図である。
ダイブコンピュータ2の機能としては、潜水中のダイバー(ユーザ)の深度や潜水時間を計算して表示するとともに、潜水中に体内に蓄積される不活性ガス量(主として窒素ガス量)を計測し、この計測結果から潜水後に水からあがった状態で体内に蓄積された窒素が排出されるまでの時間などの安全確保情報を表示する機能等がある。
【0012】
ダイブコンピュータ2は、円盤状のケース21(本体)に各部を収容して構成されるダイブコンピュータ本体20に、ベルト27を取り付けて構成され、このベルト27によりダイバーの腕に装着される。
ケース21は、いわゆる防水構造となっており、完全水密状態となるよう封止される。
【0013】
ダイブコンピュータ本体20の上面には表示面22が設けられており、この表示面22に、後述する液晶表示パネル211(表示画面)によって各種の情報が表示される。また、ダイブコンピュータ本体20の上面には、表示面22とともに、それぞれ水中判定センサ273(図2)に接続された2個の電極24A、24Bが配設されている。水中判定センサ273は、電極24Aと電極24Bとの間の電気抵抗値に基づいて、ダイブコンピュータ2が水中にあるか否かを判定するセンサである。さらに、ダイブコンピュータ本体20の上面には、ダイブコンピュータ2の各種動作モードの選択/切替等の操作を行うためのプッシュボタン式の3個のスイッチ23(操作部)が設けられている。スイッチ23は、ダイブコンピュータ2を腕に装着した状態でも外部から容易に操作可能な大型のスイッチである。
【0014】
ケース21の上面には、スイッチ23を避けるように一部が切り欠かれた円形の表示面22が配置され、表示面22においては、風防の内部に収容された液晶表示パネル211(図2)が視認可能となっている。
また、ケース21の側面には圧力検出穴(図示略)が穿設され、この圧力検出穴の内部には圧力センサ253(図2)が配設されている。圧力検出穴は、圧力センサ253によって周囲の気圧または水圧を正確に検出すべく、周囲の空気または水を圧力センサ253の検出部位まで導く穴である。
【0015】
図2に示すように、ダイブコンピュータ2は、各部を制御してダイブコンピュータとしての機能を実現する制御系200に各部が接続されて構成される。
制御系200は、各種プログラムを実行してデータの処理を行うCPU201、CPU201により実行されるプログラムや処理されるデータ等を記憶するROM202、CPU201により実行されるプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するRAM203、ダイブコンピュータ2が備える各種デバイスを制御する制御回路204を有する。
【0016】
CPU201には、液晶表示パネル211と、液晶表示パネル211を駆動して各種情報を表示させる液晶ドライバ212とからなる表示部210が接続されている。制御系200は、CPU201の制御のもとに液晶ドライバ212を駆動して、液晶表示パネル211に各動作モードに対応した表示を行わせる。
また、CPU201には、ダイバーに対して振動により警報を報知すべく振動を発生させる振動発生部231と、音声により警報を報知するため音声を出力する報音部232とが接続されている。これら振動発生部231、報音部232は、例えば、浮上速度が速すぎる場合、潜水開始からの時間が設定された時間を超過した場合、設定された深度を超えた場合などに、ダイバーに注意を促すために振動やアラーム音を出力する。
また、CPU201には、ダイブコンピュータ2への操作を検出する操作部233と、外部の装置との間で通信を行う通信部234とが接続されている。
【0017】
操作部233は、ダイブコンピュータ本体20の上面に配設されたスイッチ23における操作を検出し、検出した操作に対応する操作信号をCPU201に出力する。
通信部234は、無線電波、赤外線や可視光線を用いた光通信、或いは、可聴音波や超音波を搬送波として利用する通信等の手段により、他の装置との間で無線通信を行うものであり、例えば、赤外光を発するLED等の光源(図示略)と、赤外光を受光するフォトダイオード等の受光部(図示略)とを備え、これらを用いて赤外線通信を実行する。
【0018】
また、ダイブコンピュータ2は、所定周波数の発振信号を出力する発振回路243と、発振回路243が出力した発振信号を分周する分周回路242とを備えている。分周回路242により分周された信号は、CPU201及び制御回路204の制御に従って秒単位で時刻を計時する時刻用カウンタ241に入力される。また、分周回路242の出力信号は、後述するA/D変換回路251、261、271に動作クロック信号として入力される。
【0019】
CPU201には、A/D変換回路251及び増幅回路252を介して圧力センサ253が接続されている。圧力センサ253は上記の圧力検出穴(図示略)の内部に配設されたセンサであり、ダイブコンピュータ2の周囲の気圧または水圧を検出する。圧力センサ253が検出した圧力に対応するアナログ信号を出力すると、このアナログ信号は増幅回路252によって増幅され、A/D変換回路251によってデジタルデータに変換されて、CPU201に入力される。
【0020】
また、ダイブコンピュータ2は、周囲の温度を検出する温度センサ263を備え、温度センサ263が検出した温度に対応するアナログ信号を出力すると、このアナログ信号は増幅回路262によって増幅され、A/D変換回路261によってデジタルデータに変換されて、CPU201に入力される。
【0021】
ダイブコンピュータ2は、電極24A(図1)と電極24B(図1)との間の電気抵抗値を測定することによってダイブコンピュータ2が水中にあるか否かを判定する水中判定センサ273(水中判定部)を有する。水中判定センサ273が出力するアナログ信号は、増幅回路272によって増幅され、A/D変換回路271によってデジタルデータに変換されて、CPU201に入力される。
【0022】
さらに、CPU201には、方位検出部235が接続されている。方位検出部235は、少なくとも直交する2軸、好ましくは互いに直交する3軸の磁気センサを備え、これら複数の磁気センサに出力に基づく演算処理を行うことで、現在の方位(方位角)を求め、求めた方位のデータをCPU201に出力する。ここで方位検出部235が求める方位は、例えば、ダイブコンピュータ2の12時方向が指し示す方位である。これは、潜水中にダイバーが、自分の進行方向とダイブコンピュータ2の12時方向とを一致させやすいためである。従って、方位検出部235が求める方位を、ダイブコンピュータ2に対するどの方位とするかは、スイッチ23の操作等に応じて任意に設定可能としてよい。また、方位検出部235がCPU201に出力するデータは、例えば、北を0度(基準方位)とした場合の方位角である。
【0023】
このように構成されるダイブコンピュータ2は、制御系200の制御のもとに、スイッチ23の操作によって指定された動作モードで動作し、ダイビングモードにおいては、潜水開始が指示されてからの経過時間や、温度センサ263により計測した温度、圧力センサ253の検出値から求めた水深、これらの情報に基づいて算出した体内の蓄積不活性ガス量、現在時刻等を表示するとともに、必要に応じて、振動発生部231、報音部232による報知を行う。これにより、潜水中のダイバーに対して重要な情報を的確に提供し、安全かつ円滑なダイビングの進行を補助する。
【0024】
また、ダイブコンピュータ2は、サーフェスモード(時刻表示モード)においては現在時刻の表示を行い、プランニングモードやログモードにおいては、スイッチ23の操作に従って、過去にダイビングモードで取得・表示した情報を出力する動作や、指定された条件に従ってシミュレーションを行った結果を出力する動作を行う。
さらに、ダイブコンピュータ2は、方位検出部235によって検出した方位を液晶表示パネル211により表示し、ダイバーに対して進行方向を案内する。
【0025】
図3は、ダイブコンピュータ2の表示面22の構成例を示す平面図である。
上述のように、表示面22においては液晶表示パネル211が視認可能となっており、液晶表示パネル211が表示する各種情報を見ることができる。
【0026】
液晶表示パネル211には、各種情報を表示する複数の表示領域が配されている。図3中上部左側に位置する第1の表示領域221は、各表示領域のうちで最も大きく構成されている。第1の表示領域221には、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモード等のダイブコンピュータ2の各動作モードにおいて、それぞれ、現在の水深、現在の日時、水深ランク、潜水日時(ログ番号)が表示される。
【0027】
第2の表示領域222は、第1の表示領域221の図中右側に配置されている。第2の表示領域222には、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモードの各動作モードにおいて、それぞれ潜水時間、現在時刻、無減圧潜水可能時間、潜水開始時刻(潜水時間)が表示される。
【0028】
第3の表示領域223は、図中で第1の表示領域221の下側に配置され、この第3の表示領域223には、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモードの各動作モードにおいて、それぞれ、最大水深、体内窒素排出時間、セーフティレベル、最大水深(平均水深)が表示される。
【0029】
第4の表示領域224は、図中で第3の表示領域223の右側に配置される。第4の表示領域224には、ダイビングモード、サーフェスモード(時刻表示モード)、プランニングモード、ログモードの各動作モードにおいて、それぞれ無減圧潜水可能時間、水面休止時間、温度、潜水終了時刻(最大水深時水温)が表示される。
【0030】
第5の表示領域225は、図中で第3の表示領域223の下側に配置され、電源容量切れを表示する電源容量切れ警告を表示する。第6の表示領域226は、図中の下部左側に配置され、体内に残存する窒素ガス(不活性ガス)の量をグラフ表示する。第7の表示領域227は、図中で第6の表示領域226の右側に配置され、ダイビングモードで減圧潜水状態になった場合に、窒素ガス(不活性ガス)が吸収傾向にあるのか、排出傾向にあるかを示す領域(図中、上下方向矢印が図示されている)と、浮上速度が高すぎる場合に浮上速度違反警告のひとつとして減速を指示するための「SLOW」を表示する領域と、潜水中に減圧潜水を行わなければならない旨を警告するための「DECO」を表示する領域と、を備えて構成されている。
【0031】
そして、液晶表示パネル211の上部には方位表示部229が配置されている。方位表示部229には、方位検出部235(図2)によって検出された方位が表示される。
【0032】
図4は、方位表示部229における表示態様を詳細に示す図である。
この図4に示すように、方位表示部229には、方位検出部235により検出された方位角を表示する方位角表示229A、円環状の方位環表示229B、方位環表示229Bの円環上に並べられた基礎方位表示229Cが配置されている。
【0033】
方位角表示229Aは方位検出部235により検出された方位角を数値として表示する。方位環表示229Bは、図4に破線で示す仮想方位環229Dの一部である。仮想方位環229Dは360度の回転が可能な仮想の円であって、円周上には北(N)、東(E)、南(S)、西(W)の基本方位からなる基礎方位表示229Cが配置されている。仮想方位環229Dは基礎方位表示229Cとともに、方位検出部235によって検出された方位角に応じて回転し、その一部が方位環表示229Bとして方位表示部229に表示される。
【0034】
そして、方位表示部229には、往路方位記号28A、及び、帰路方位記号28Bが表示される。
往路方位記号28Aは往路の方位を示す記号であり、帰路方位記号28Bは帰路(復路)の方位を示す記号である。この往路は、ダイバーがスイッチ23を操作して指定する方位であり、具体的には、ダイバーがダイブコンピュータ2の12時方向を、進行方向に合わせた状態で、往路指定用に割り当てられた一つのスイッチ23を押下すると、この押下時に方位角表示229Aに表示された方位が、往路の方位として設定される。
【0035】
これに対し、帰路方位記号28Bが示す帰路の方位は、ダイバーが指定した往路の方位、すなわち往路方位記号28Aが示す方位に基づいて、CPU201が自動計算した方位である。本第1の実施形態では、帰路は往路の正反対の方向であるから、CPU201は、往路として指定された方位の方位角に180度加算或いは減算することで帰路の方位角を求める。図4に示す状態では帰路方位記号28Bは方位表示部229から外れた位置にあるが、ダイブコンピュータ2の12時方向が北向きとなった場合には、仮想方位環229Dとともに回転して、帰路方位記号28Bが方位表示部229の表示範囲内に入り、視認可能となる。
【0036】
また、図4に示す例では、往路方位記号28Aは白抜き三角の記号であり、帰路方位記号28Bは黒塗り三角の記号である。このように往路の方位を示す記号と帰路の方位を示す記号とが明瞭に区別できるようになっていることにより、ダイバーは、方位表示部229に表示されている記号が往路と帰路のどちらを示しているかを間違えることがなく、利便性が高い。往路方位記号28A及び帰路方位記号28Bは、それぞれ分かりやすい記号であって、明瞭に区別可能であればよいので、例えば、色の違う矢印としてもよいし、文字をデフォルメした絵柄等を用いてもよく、記号や図形、絵柄、文字のいずれを用いることができ、具体的形態は何ら限定されない。
【0037】
図5は、ダイブコンピュータ2の動作を示すフローチャートであり、特に、方位の検出と表示に係る動作を示す。
この図5に示す動作は、方位検出部235により検出した現在の方位を方位表示部229に表示する動作であり、例えば、方位の表示開始を指示する操作に応答して、開始される。図5に示す動作中、CPU201は、方位処理部及び方位表示制御部として機能する。
【0038】
CPU201は、方位検出部235から入力されるデータに基づいて、方位検出部235によって検出された現在の方位を取得し(ステップS11)、続いて、取得した方位と、方位表示部229に表示されている方位とを比較する(ステップS12)。ステップS12では、例えば、ステップS11で取得した方位角と、現在表示中の方位角との数値を比較する。ここで、方位表示部229において表示中の方位角は、RAM203に記憶されているものとする。
【0039】
CPU201は、方位表示部229に表示中の方位と、新たにステップS11で取得した方位との間に、予め設定された値を超える差があるか否かを判別し(ステップS13)、設定値を超える差がある場合(ステップS13;Yes)、CPU201は、方位表示部229に表示中の方位を、ステップS11で新たに取得した方位に更新するとともに、更新後の方位をRAM203に記憶する(ステップS14)。
【0040】
ここで、図5の動作を開始してから最初に方位検出部235が検出した現在の方位を取得した場合には、表示中の方位角をデフォルト値の0度としてステップS12〜S13の処理を行うか、或いは、ステップS12〜S13の処理を行わずにステップS14に移行してもよい。
また、ステップS13の判別の基準となる設定値は、予めスイッチ23やその他の操作によりダイバーが任意に設定し、或いは、出荷時に既にROM202に記憶されている値である。
【0041】
ステップS11〜S14の処理によって、方位検出部235が検出した方位が、現在表示中の方位と設定値以上の差を生じていない場合は方位表示部229の表示が更新されないので、わずかな方位の変化によって頻繁に表示が更新されるといった事態を避けることができる。つまり、方位表示部229の表示が高頻度で変化することによる煩雑さと視認性の低下を避けることができ、ダイビング中においても視認しやすく、方位を確認しやすい表示を保つことができる。
また、ステップS13において、方位表示部229に表示中の方位とステップS11で取得した方位との差が設定値を超えない場合は、ステップS14の処理を行わずに、以後の処理に移行する。
【0042】
続いて、CPU201は、往路の方位を指定する操作が行われたか否かを判別し(ステップS15)、往路の方位を指定する操作が行われた場合は、ステップS16以後の往路を設定する処理に移行する。ここで、往路を指定する操作とは、現在の方位を「往路の方位」として設定するよう指示する操作であり、具体的には、ダイブコンピュータ2が備える複数のスイッチ23のうち、往路指定用に割り当てられた特定のスイッチ23を押下する操作である。
CPU201は、往路の方位を指定する操作が行われた場合はステップS16に移行して、その操作が行われた時点で方位表示部229に表示中の方位を、往路の方位として設定し、RAM203に記憶する。
【0043】
CPU201は、設定した往路の方位を、その方位が往路の方位であることを示す記号や図形等と共に方位表示部229に表示する(ステップS17)。この表示は、例えば、図4に示す往路方位記号28Aである。次にCPU201は、設定された往路の方位に基づいて帰路の方位を自動的に算出してRAM203に一時的に記憶し(ステップS18)、帰路の方位を表示するよう指示する操作が行われたか否かを判別する(ステップS19)。ここで、帰路の方位を表示するよう指示する操作とは、具体的には、ダイブコンピュータ2が備える複数のスイッチ23のうち、帰路方位の表示用に割り当てられた特定のスイッチ23を押下する操作である。ここで操作されるスイッチ23は、往路方位指定用に割り当てられたスイッチ23、すなわちステップS15で操作されるスイッチ23とは別のスイッチである。これらスイッチ23には、往路方位指定用であるものと、帰路の方位の表示を指示するものとを区別可能なように、記号や図形等の装飾や案内が付された構成としてもよい。
【0044】
また、ステップS15において往路を指定する操作が行われていなかった場合(ステップS15;No)、CPU201は、ステップS19にそのまま移行して上記の判別を行う。
【0045】
CPU201は、帰路の方位の表示を指示する操作が行われていない場合は(ステップS19;No)、ステップS11に戻り、帰路の方位の表示を指示する操作が行われた場合は(ステップS19;Yes)、RAM203に記憶されている帰路の方位を方位表示部229に表示する(ステップS20)。この表示は、算出した帰路の方位を、その方位が帰路の方位であることを示す記号や図形等と共に方位表示部229に表示するものであり、例えば、図4に示す帰路方位記号28Bである。
【0046】
その後、CPU201は、方位の表示を終了する操作等が行われていなければ(ステップS21;No)、ステップS11に戻って処理を継続し、方位の表示を終了する操作等が行われた場合は(ステップS21;Yes)、本処理を終了する。
【0047】
以上のように、本発明を適用した第1の実施形態に係るダイブコンピュータ2は、防水性のケース21の外から操作可能なスイッチ23を備え、このスイッチ23の操作に応じて、CPU201によって方位検出部235が検出した方位を往路の方位として設定し、設定した往路の方位に基づいて帰路の方位を算出し、算出した帰路の方位を、ケース21に収容した液晶表示パネル211に表示するので、スイッチ23を操作するだけで自動的に現在の方位が往路の方位として設定され、帰路の方位が求められ、この帰路の方位が表示される。これにより、大がかりな装置群等を用いることなく、潜水中のダイバーが簡単な操作を行うだけで、帰路の方向を確実に確認できる。
【0048】
また、帰路の方位は、スイッチ23により帰路の方位の表示を指示する操作が行われた場合に、この操作に応じて液晶表示パネル211に表示されるので、ダイバーが必要とする場合のみ表示するようにすることで、液晶表示パネル211に同時に表示される情報量の増加を抑えて誤認を防止し、良好な視認性を確保できる。
さらに、往路と帰路とが、往路方位記号28A及び帰路方位記号28Bのように、直感的に理解しやすい記号や図形等により表示されるので、ダイバーは、容易に、かつ速やかに帰路を確認できる。
【0049】
また、CPU201は、方位検出部235により検出された方位を随時取得し、取得した現在の方位を液晶表示パネル211の方位表示部229に表示させるので、現在の方位をダイバーが容易に知ることができる。加えて、CPU201は、方位検出部235から取得した方位が、液晶表示パネル211に表示中の方位から設定値以上の差がある場合にのみ、液晶表示パネル211に表示する方位を、新たに取得した方位に変更するので、方位表示部229に表示される方位の更新頻度を適正な程度に抑えることができ、方位表示部229の視認性を損なうことなく、最新の方位を表示して、ダイバーに適切な情報を提供できる。
【0050】
[第2の実施形態]
図6は、本発明を適用した第2の実施形態におけるダイブコンピュータ2の動作を示すフローチャートである。なお、この第2の実施形態において上記第1の実施形態と同様に構成される構成部については、同符号を付して図示及び説明を省略する。
図6のフローチャートに示す動作は、図6のフローチャートに示した動作に代えて行われる。図6の動作では、上述したステップS11〜S21の処理に加え、ステップS15で往路の方位を指定するスイッチ23の操作の有無を判別する前に、新たにステップS22の処理を行う。
ステップS22では、CPU201が、水中判定センサ273の出力値に基づいて、ダイブコンピュータ2が水中にあるか否かを判別する。ここで、ダイブコンピュータ2が水中にない場合(ステップS22;No)、CPU201はステップS11に戻り、ダイブコンピュータ2が水中にある場合には(ステップS22;Yes)、ステップS15に移行して、往路の方位を指定する操作の有無を判別する。
【0051】
つまり、本第2の実施形態においては、ダイブコンピュータ2が水中にある場合にのみ、往路の方位を設定し、この設定した往路の方位に基づいて帰路の方位を自動的に算出し、算出した帰路の方位を表示する機能を利用できる。
ダイブコンピュータ2は、水中に限らず陸上においても勿論使用可能であり、時間の経過や現在時刻を表示する装置として使用できる。陸上を歩行または車両等により移動している間は、道路や地形と関係なく進むことはできないから、進行方向と帰路の方位は、磁石(コンパス)により得た方位と地図とを照合しながら確認すれば足りる。
【0052】
これに対し、水中においては、進行方向が地形によって制限されることが比較的少ない上に、濁りや光量不足による視界不良が発生しやすく、地形を頼りに方向を判別することが容易ではなく、さらに、地図を参照しながら進むことが難しいという、ダイビングに特有の条件がある。このような条件のもとでは、ダイバーが簡単に往路の方位を設定することができ、この設定された往路に基づいて自動的に帰路の方位を算出して、明瞭に表示するという構成は、非常に有用である。陸上においても上記の構成は有効であるものの、水中における有用性が格段に勝っている上、陸上においては代替手段が数多い。
【0053】
そこで、本第2の実施形態においては、陸上においては方位表示部229に現在の方位を表示する機能を提供するにとどめ、より重要性が高まる水中においては往路の方位の設定と帰路の方位の自動算出及び表示を行うようにしている。これにより、より重要性の高い水中における機能を優先することで、ダイブコンピュータ2の電源となるバッテリ(図示略)の消費を抑えて効率化を図ることができる。また、陸上においては、方位に関する機能を現在の方位を表示する機能に絞ることで、操作を簡略化し、操作性の向上を図ることができる。
【0054】
なお、陸上において使用可能な機能は、現在の方位を表示する機能のみに限定する必要はなく、水中と同様に重要性の高い機能であれば、その機能を陸上でも提供するようにしてよい。例えば、ダイブコンピュータ2が、現在の方位を記憶する機能や方位と時刻或いは高度とを対応づけて記憶する機能等を実行可能な場合、これらの機能は水中か陸上かを問わず有用であるから、陸上で上記機能を実行可能としてよい。
【0055】
ここで、本第2の実施形態においては、ダイブコンピュータ2が水中にない場合はスイッチ23の操作による往路の設定、設定された往路の記憶、帰路の算出、表示のいずれも行わないものとしたが、例えば、帰路の表示のみを行わないようにしてもよい。
【0056】
[第3の実施形態]
図7は、本発明を適用した第3の実施形態における表示面22の構成例を示す平面図である。なお、この第2の実施形態において上記第1及び第2の実施形態と同様に構成される構成部については、同符号を付して図示及び説明を省略する。
この図7に示す液晶表示パネル211には、上記第1の実施形態で図3に例示した状態とは異なり、第1〜第7の表示領域221〜227の表示が省略され、代わって帰路指示矢印28Cが表示されている。帰路指示矢印28Cは、図5及び図6のステップS18で説明したようにCPU201によって自動的に算出された帰路の方位を示す記号であり、方位表示部229を除く液晶表示パネル211の表示領域のほぼ全面を占めるように、大きく表示されている。
【0057】
上記第1及び第2の実施形態で、ダイブコンピュータ2は、帰路の方位の表示を指示する操作が行われた場合は方位表示部229に帰路の方位を表示するものとしたが、本第3の実施形態において、ダイブコンピュータ2は、特定の操作の間のみ、液晶表示パネル211における表示状態を、図3に示す状態から、図7に示すように方位表示部229と帰路指示矢印28Cのみの表示に切り替える。ここで、特定の操作とは、スイッチ23のうち帰路方位の表示用に割り当てられた特定のスイッチ23を押下する操作であり、ダイブコンピュータ2は、このスイッチ23が押下されている間のみ、帰路指示矢印28Cを表示する。そして、スイッチ23の押下が解除されると、ダイブコンピュータ2は、液晶表示パネル211における表示を元の状態、すなわち図3に示した状態に戻す。従って、ダイバーが特定のスイッチ23を押している間のみ、液晶表示パネル211の表示が図7に示す状態に切り替わる。
【0058】
本第3の実施形態では、ダイバーが帰路の方を知りたいと考えて特定のスイッチ23を押している間だけ、帰路の方位が表示されるので、液晶表示パネル211に同時に表示する情報を少なくすることができるので、視認性および利便性の向上を図ることができる。特に、スイッチ23を押している間だけであれば、第1〜第7の表示領域221〜227等の情報を表示しなくても利便性や有用性が損なわれることはないので、スイッチ23を押している間、図7に例示する帰路指示矢印28Cのように液晶表示パネル211のほぼ全面を使って、帰路の方位を表示することができ、極めて視認性が高く、誤認のおそれが全くない表示を行うことができる。
【0059】
このように、第3の実施形態によれば、スイッチ23において帰路の方位の表示を指示する操作が行われている間のみ、帰路の方位を指し示す記号または図形を液晶表示パネル211に表示させるので、通常動作中は液晶表示パネル211に表示する情報の数を抑えるとともに、ダイバーの意図に応じて速やかに、かつ極めて視認性の高い態様で帰路の方位を表示することが可能となる。
【0060】
なお、本第3の実施形態において、特定のスイッチ23の操作中に液晶表示パネル211の表示を切り替えている間に、この表示の切り替えと連動して表示面22を照明するライト(図示略)を点灯させてもよい。この場合、ダイバーの意図に沿って帰路指示矢印28Cを見やすくすることで、水中や暗所における視認性をより向上させることができ、確実に、帰路の方向を知ることができる。
【0061】
[第4の実施形態]
図8A及び図8Bは、本発明を適用した第4の実施形態における方位表示部229の構成例を示す図である。なお、この第4の実施形態において上記第1から第3の実施形態と同様に構成される構成部については、同符号を付して図示及び説明を省略する。
この図8A及び図8Bに示す方位表示部229には、上記第1の実施形態で図4に例示した方位表示部229とは異なり、往路の方位を示す往路指示矢印28Dと、帰路の方位を示す帰路指示矢印28Eとが、方位環表示229Bから離れた位置に、並べて表示されている。往路指示矢印28D及び帰路指示矢印28Eは、方位環表示229Bの表示状態とは関係なく常に方位表示部229に表示されているので、ダイバーが、往路の方向及び帰路の方向を、常に視認できる。
図8Aに例示する往路指示矢印28Dと帰路指示矢印28Eとは、白矢印と黒塗り矢印となっている。また、図8Bに例示する帰路指示矢印28Eは、帰路であることが明瞭に理解できるように、往路指示矢印28Dとは異なる形状の矢印となっている。このように、往路指示矢印28Dと帰路指示矢印28Eとは、どちらが往路と帰路であるかを容易に見分けられるようになっているので、ダイバーが方向を誤認することはなく、容易に、往路と帰路の方向を知ることができる。
【0062】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記第1〜第4の実施形態で、表示面22及び液晶表示パネル211は、スイッチ23を避けて一部が欠けた円形に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示面22の形状は真円、楕円、トラック形状、多角形状など他の形状であってもかまわない。
【0063】
さらに、方位検出部235は2軸または3軸の磁気センサを備え、これら磁気センサの出力に基づいて方位を求めるものとしたが、磁気センサの数、方位を求めるための処理方法、出力する信号の形式、この信号をアナログ信号として出力するかデジタル信号として出力するか等の方位検出部235の具体的仕様は任意である。
【0064】
また、液晶表示パネル211に表示される往路方位記号28A、帰路方位記号28B、帰路指示矢印28C、往路指示矢印28D、及び帰路指示矢印28Eの態様はあくまで一例であり、その形状や色は任意であり、文字や別の記号が付加されていてもよい。さらに、液晶表示パネル211がカラー表示可能な液晶表示パネルである場合には、往路方位記号28A、帰路方位記号28B、帰路指示矢印28C、往路指示矢印28D、帰路指示矢印28E、及び、第1〜第7の表示領域221〜227を含む各種表示を、様々に色を変えて表示してもよく、その場合の表示色は任意である。さらにまた、液晶表示パネル211に代えて、有機ELパネル等を用いるようにしてもよい。
【0065】
また、上記第1〜第4の実施形態において、ベルト27を構成する材料は合成樹脂や合成ゴム、或いは合成または天然繊維のいずれであってもよく、ベルト27をケース21に取り付けるベルト通しの形状や材料も任意であって、単にベルト27を孔に通すような形態だけでなく、ベルト27にケース21を着脱可能な形状であれば限定されない。
【0066】
さらに、上記各実施形態では、ダイブコンピュータ2を制御するための制御プログラムが予めROM202に記憶されている場合について説明したが、各種磁気ディスク、光ディスク、メモリカードなどの記録媒体に制御用プログラムをあらかじめ記録し、これらの記録媒体から読み込み、ダイブコンピュータ2にインストールするように構成することも可能である。また、通信インターフェースを設け、インターネット、LANなどのネットワークを介してダイブコンピュータ2が制御用プログラムをダウンロードし、インストールして実行するように構成することも可能である。このように構成することにより、ソフトウェア的により高機能としたり、より信頼性の高いダイブコンピュータを構成したりすることが可能となる。
【0067】
[第5の実施形態]
前述の実施形態におけるダイブコンピュータ2は、帰路の方角は往路に対して180°折り返した方向を示すモード(以下、往復経路モードという)を有するものであった。第5の実施形態では、さらに、帰路において複数の経由点を経由して起点に戻れるような進行方向を示すこととしている。
【0068】
図9Aは、第5の実施形態における四角経路モードの経路を説明するための図である。図には、往路と帰路とが四角形で構成されるときの経路が示されている。四角経路モードのときにおいてダイブコンピュータ2は、往路における方位と、目的点から第1経由点に向かうとき(帰路1)の方位と、第1経由点から第2経由点に向かうとき(帰路2)の方位と、第2経由点から起点に向かうとき(帰路3)の方位と、を示すことができるようになっている。
【0069】
図9Bは、第5の実施形態における三角経路モードのときの経路を説明するための図である。図には、往路と帰路とが三角形で構成されるときの経路が示されている。三角経路モードのときにおいてダイブコンピュータ2は、往路における方位と、目的点から第1経由点に向かうとき(帰路1)の方位と、第1経由点から起点に向かうときの方位(帰路2)と、を示すことができるようになっている。
【0070】
以下、上記各モードにおける表示と操作について説明する。
図10は、第5の実施形態に係るダイブコンピュータの構成を示す図である。第5の実施形態では、表示面22における表示が前述の実施形態と若干異なっている。また、よりボタンの使用手順を詳細に示すために、Aスイッチ23A、Bスイッチ23B、及び、Cスイッチ23Cが示されている。なお、この第5の実施形態において上記実施形態と同様に構成される構成部については、同符号を付して説明を省略する。
【0071】
表示面22には、第8の表示領域288と、第9の表示領域289と、第10の表示領域の左部290Aと、第10の表示領域の右部290Bと、が設けられている。第8の表示領域288は、方位検出部235が検出した方位を表示する。すなわち、第8の表示領域288は、ダイバーの現在の方位角を示す。
【0072】
第9の表示領域289は、第1方向表示289A〜第7方向表示289Gを表示可能とする。そして、これらのうちのいくつかを表示することによって、上記のいずれのモードが選択されているのかを表示する。また、これらのうちのいずれかが点滅して、往路であるか、又は、複数の帰路のうちのいずれかであるかを示す。第10の表示領域の左部290Aは、起点となる方位角、すなわち往路の方位角を示す。第10の表示領域の右部290Bは、第9表示領域289において点滅して示す経路の方位角、すなわちダイバーが進むべき方位角を示す。
【0073】
Aスイッチ23Aは、起点となる方位角を設定するためのスイッチである。Bスイッチ23Bは、往復経路モード、三角経路モード、及び、四角経路モードのいずれかを選択するモード選択のためのスイッチである。このBスイッチ23Bを押す毎に、帰路に経由点を含まない往復経路モードと、帰路に1つの経由点を含む三角経路モードと、帰路に2つの経由点を含む四角経路モードを選択可能となっている。Cスイッチ23Cは、第9の表示領域289における進行方向を選択するためのスイッチである。このCスイッチ23Cを押す毎に、第9の表示領域289において点滅して示す方向表示(往路であるか、又は、帰路であればいずれの帰路であるか)が切り替えられるようになっている。
【0074】
図11は、四角経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。前述のように、ダイブコンピュータ2では、Bスイッチ23Bを押す毎にモードが切り替わる。現在のモードは、第9の表示領域289に表示される。
【0075】
四角経路モードが選択されたときには、図に示されるように第9の表示領域289に四角形の経路を表す4つの矢印(第1方向表示289A、第2方向表示289B、第3方向表示289C、第4方向表示289D)が表示される。このように四角経路モードが表示された後、Aスイッチ23Aが長押しされると、第10の表示領域の左部290Aに進行方向の起点となる方位角(すなわち往路の方位角)が設定される。ここでは、ダイバーが180°の方位を向いているときにAスイッチ23Aが長押しされたため、第10の表示領域の左部290Aには起点となる方位角として180°が示されている。ここで、Aスイッチ23Aの長押しは前述の図5及び図6におけるステップS15の往路指定の操作、及び、ステップS16における往路の方位の設定に相当する。
【0076】
次に、Aスイッチ23Aを離し、再度Aスイッチ23Aを押すと、第10の表示領域の左部290Aにおける表示は消える。そして、往路であることを示すように、第1方向表示289Aが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには進行するべき方向の方位角(180°)が表示される(但し、図11では、表示のバリエーションを増やし理解を容易にするべく、後述する帰路1のときの方位角270°が示されている)。このような表示は、ステップS17における往路の方位の表示に相当する。
【0077】
このように、往路の表示がなされると、次に帰路1、帰路2、及び、帰路3(図9A)の方位角が求められる。帰路1の方位角は、往路の方位角に90°を加算するようにして求められる。また、帰路2の方位角は、帰路1の方位角に90°を加算するようにして求められる。また、帰路3の方位角も、帰路2の方位角に90°を加算するようにして求められる。このような動作はステップS18の帰路の方位の自動算出に相当する。
【0078】
尚、ここで求められた方位角が360°以上であった場合には、計算結果から360°を減算して帰路の方位角とされる。本ダイブコンピュータでは、このようにして360°以上の角度表示を行わないようにして、ダイバーが方向を容易に確認することができるようにしている。
【0079】
次に、Cスイッチ23Cが押される(S19)と、次の進行方向を示す第2方向表示289Bが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには、帰路1の方位角(270°)が表示される(S20)。
【0080】
第5の実施形態における四角経路モードでは、ステップ19及びステップ20が繰り返し行われる。よって、さらに、Cスイッチ23Cが押されると、次の進行方向を示す第3方向表示289Cが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには、帰路2の方位角(0°)が表示される。さらに、Cスイッチ23Cが押されると、次の進行方向を示す第4方向表示289Dが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには、帰路3の方位角(90°)が表示される。
【0081】
このようにすることで、四角形の経路で往路及び帰路が構成される場合であっても、潜水中のダイバーが簡単な操作を行うだけで、帰路の方向を確実に確認できる。
【0082】
図12は、三角経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。前述のように、ダイブコンピュータ2では、Bスイッチ23Bを押す毎にモードが切り替わる。
【0083】
三角経路モードが選択されたときには、図に示されるように第9の表示領域289に三角形の経路を示す3つの矢印(第2方向表示289B、第5方向表示289E、第6方向表示289F)が表示される。このように三角経路モードが表示された後、Aスイッチ23Aが長押しされると、第10の表示領域の左部290Aに進行方向の起点となる方位角(すなわち往路の方位角)が設定される。ここで、Aスイッチ23Aの長押しは、ステップS15の往路指定の操作、及び、ステップS16における往路の方位の設定に相当する。
【0084】
Aスイッチ23Aを離し、再度Aスイッチ23Aを押すと、第10の表示領域の左部290Aにおける表示が消える。そして、現在の進行方向を示すように、第2方向表示289Bが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには往路の方位角(180°)が表示される。(但し、図12では、表示のバリエーションを増やし理解を容易にするべく、後述する帰路2のときの方位角45°が示されている)このような表示は、ステップS17における往路の方位の表示に相当する。
【0085】
このように、往路の表示がなされると、次に帰路1及び帰路2(図9B)の方位角が求められる。帰路1の方位角は、往路の方位角に90°を加算するようにして求められる。また、帰路2の方位角は、帰路1の方位角に135°を加算するようにして求められる。このような動作はステップS18の帰路の方位の自動算出に相当する。
【0086】
次に、Cスイッチ23Cを押すと、次の進行方向を示す第5方向表示289Eが点滅し、第10表示領域の右部290Bには、帰路1の方位角(270°)が表示される(S20)。
【0087】
第5の実施形態における三角経路モードでは、ステップS19及びステップ20がもう一度だけ繰り返して行われる。よって、さらに、Cスイッチ23Cが押されると、次の進行方向を示す第6方向表示289Fが点滅し、第10表示領域の右部290Bには、帰路2の方位角(45°)が表示される。
【0088】
このようにすることで、三角形路で往路及び帰路が構成される場合であっても、潜水中のダイバーが簡単な操作を行うだけで帰路の方向を確実に確認できる。
【0089】
図13は、往復経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。前述のように、ダイブコンピュータ2では、Bスイッチ23Bを押す毎にモードが切り替わる。
【0090】
往復経路モードが選択されたときには、図に示されるように第9の表示領域289に往復の経路を表すための2つの矢印(第1方向表示289A、第7方向表示289G)が表示される。このように往復経路モードが表示された後、Aスイッチ23Aが長押しされると、第10表示領域の左部290Aに進行方向の起点となる方位角(すなわち往路の方位角)が設定される。ここで、Aスイッチ23Aの長押しは、ステップS15の往路指定の操作、及び、ステップS16における往路の方位の設定に相当する。
【0091】
次に、Aスイッチ23Aを離し、再度Aスイッチ23Aを押すと、第10の表示領域の左部290Aにおける表示は消える。そして、往路であることを示すように、第1方向表示289Aが点滅し、第10の表示領域の右部290Bには往路の方位角(180°)が表示される(但し、図13では、表示のバリエーションを増やし理解を容易にするべく、後述する帰路の方位角0°が示されている)。このような操作及び表示は、ステップS17における往路の方位の表示に相当する。
【0092】
このように往路の表示がなされると、次に帰路の方位角が求められる。帰路の方位角は、往路の方位角に180°を加算するようにして求められる。このような動作は、ステップS18の帰路の方位の自動算出に相当する。
【0093】
次に、Cスイッチ23Cが押される(S19)と、次の進行方向を示す第7方向表示289Gが点滅し、第10表示領域の右部290Bには、帰路の方位角(0°)が表示される(S20)。
【0094】
このようにすることで、起点と目的点とを往復移動するときにおいて、簡単な操作によって帰路の方向を確実に確認できるようになる。
【0095】
尚、第5の実施形態における往復経路モードの各ボタンの操作手順は、第1〜第4の実施形態における各ボタンの操作手順をより詳細に示すものである。
【0096】
また、上述のような往復経路モードについて説明を行ったが、前述の四角経路モードにおいて、第1方向表示289Aが点滅しているときにおける往路の方位角と、第3方向表示289Cが点滅しているときにおける帰路2の方位角とを用いることとして、往復経路モードを実現することとしてもよい。
【0097】
また、第5の実施形態において、往路及び帰路を含めた経路が三角形又は四角形の形状となるような経路となっていた。しかしながら、より多角形の形状となるような経路としてもよい。また、三角経路モードのときにおける経路の形状が直角三角形の形状となるようにされていたが、正三角形の形状となるような構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1の実施形態に係るダイブコンピュータの構成を示す図である。
【図2】ダイブコンピュータの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】ダイブコンピュータ本体の表示画面の構成例を示す平面図である。
【図4】方位表示部における表示態様を詳細に示す図である。
【図5】ダイブコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態における表示部の構成例を示す平面図である。
【図8】第4の実施形態における方位表示部の構成例を示す図である。
【図9】図9Aは、第5の実施形態における四角経路モードのときの経路を説明するための図であり、図9Bは、第5の実施形態における三角経路モードのときの経路を説明するための図である。
【図10】第5の実施形態に係るダイブコンピュータの構成を示す図である。
【図11】四角経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。
【図12】三角形路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。
【図13】往復経路モードが選択されたときの表示面22における表示を説明するための図である。
【符号の説明】
【0099】
2…ダイブコンピュータ(情報表示装置)、20…ダイブコンピュータ本体、21…ケース(本体)、22…表示面、23…スイッチ(操作部)、24A、24B…電極、28A…往路方位記号、28B…帰路方位記号、28C、28E…帰路指示矢印、28D…往路指示矢印、200…制御系、201…CPU(方位処理部、方位表示制御部)、202…ROM、203…RAM、210…表示部、211…液晶表示パネル(表示画面)、212…液晶ドライバ、221〜227…第1〜第7の表示領域、229…方位表示部、229A…方位角表示、229B…方位環表示、229C…基礎方位表示、229D…仮想方位環、233…操作部、235…方位検出部、273…水中判定センサ(水中判定部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性を有する本体に収容され、各種情報を表示する表示画面と、
前記本体の外部から操作可能な操作部と、
進路の方位を検出する方位検出部と、
前記操作部による方位設定を指示する操作に応じて、前記方位検出部により検出された方位を取得し、取得した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求める方位処理部と、
前記方位処理部により求められた帰路の方位を前記表示画面に表示させる方位表示制御部と、
を備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記方位表示制御部は、前記操作部により帰路の方向の表示を指示する操作が行われた場合に、この操作に応じて前記表示画面に帰路の方位を表示させること、
を特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記方位表示制御部は、前記表示画面に、帰路の方位と、その方位が帰路の方位であることを示す記号または図形とを表示させること、
を特徴とする請求項1または2記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記方位表示制御部は、前記操作部において帰路の方向の表示を指示する操作が行われている間のみ、帰路の方位を指し示す記号または図形を前記表示画面に表示させること、
を特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記方位表示制御部は、前記方位検出部により検出された方位を随時取得し、取得した現在の方位を前記表示画面に表示させること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記方位表示制御部は、前記方位検出部から取得した方位が、前記表示画面に表示中の方位から所定以上の差がある場合にのみ、前記表示画面に表示する方位を新たに取得した方位に変更すること、
を特徴とする請求項5記載の情報表示装置。
【請求項7】
前記本体が水中にあるか否かを判定する水中判定部をさらに備え、
前記方位表示制御部は、前記水中判定部によって前記本体が水中にあると判定された場合にのみ、前記方位処理部により求められた帰路の方位を前記表示画面に表示させること、
を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の情報表示装置。
【請求項8】
前記帰路は少なくとも1つの経由点を経由する帰路であり、
前記方位処理部は、前記帰路における前記経由点への方位も求め、
前記方位表示制御部は、前記方位処理部により求められた前記帰路における前記経由点への方位を前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の情報表示装置。
【請求項9】
防水性を有する本体に収容され、各種情報を表示する表示画面と、前記本体の外部から操作可能な操作部と、を備えた情報表示装置を制御して、
進路の方位を検出し、
前記操作部による方位設定を指示する操作に応じて、検出した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求め、
求めた帰路の方位を前記表示画面に表示させること、
を特徴とする情報表示方法。
【請求項1】
防水性を有する本体に収容され、各種情報を表示する表示画面と、
前記本体の外部から操作可能な操作部と、
進路の方位を検出する方位検出部と、
前記操作部による方位設定を指示する操作に応じて、前記方位検出部により検出された方位を取得し、取得した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求める方位処理部と、
前記方位処理部により求められた帰路の方位を前記表示画面に表示させる方位表示制御部と、
を備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記方位表示制御部は、前記操作部により帰路の方向の表示を指示する操作が行われた場合に、この操作に応じて前記表示画面に帰路の方位を表示させること、
を特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記方位表示制御部は、前記表示画面に、帰路の方位と、その方位が帰路の方位であることを示す記号または図形とを表示させること、
を特徴とする請求項1または2記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記方位表示制御部は、前記操作部において帰路の方向の表示を指示する操作が行われている間のみ、帰路の方位を指し示す記号または図形を前記表示画面に表示させること、
を特徴とする請求項1記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記方位表示制御部は、前記方位検出部により検出された方位を随時取得し、取得した現在の方位を前記表示画面に表示させること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記方位表示制御部は、前記方位検出部から取得した方位が、前記表示画面に表示中の方位から所定以上の差がある場合にのみ、前記表示画面に表示する方位を新たに取得した方位に変更すること、
を特徴とする請求項5記載の情報表示装置。
【請求項7】
前記本体が水中にあるか否かを判定する水中判定部をさらに備え、
前記方位表示制御部は、前記水中判定部によって前記本体が水中にあると判定された場合にのみ、前記方位処理部により求められた帰路の方位を前記表示画面に表示させること、
を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の情報表示装置。
【請求項8】
前記帰路は少なくとも1つの経由点を経由する帰路であり、
前記方位処理部は、前記帰路における前記経由点への方位も求め、
前記方位表示制御部は、前記方位処理部により求められた前記帰路における前記経由点への方位を前記表示画面に表示させる、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の情報表示装置。
【請求項9】
防水性を有する本体に収容され、各種情報を表示する表示画面と、前記本体の外部から操作可能な操作部と、を備えた情報表示装置を制御して、
進路の方位を検出し、
前記操作部による方位設定を指示する操作に応じて、検出した方位を往路の方位として設定し、この往路の方位に基づいて帰路の方位を求め、
求めた帰路の方位を前記表示画面に表示させること、
を特徴とする情報表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−210561(P2009−210561A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329365(P2008−329365)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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