説明

情報表示装置、経路設定方法およびプログラム

【課題】気象条件に応じた経路探索を行うこと。
【解決手段】設定された出発地から目的地までの経路を探索して表示する情報表示装置1において、気象情報を取得する気象情報取得手段としての気象情報取得部18および制御部25と、気象情報取得手段が取得した気象情報に基づいて既に設定されている出発地から目的地までの経路の一部または全部を変更する経路設定手段としての経路探索部23および制御部25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置、経路設定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)を利用したナビゲーション装置は、自動車や船舶に搭載して利用されるものが広く知られているが、近年では、PND(Potable Navigation Device)が普及しつつある。特に、PNDの可搬性を利用し、自動車や船舶での利用にとどまらず、オートバイ、自転車または歩行者による利用も考慮された製品がある。
【0003】
また、昨今のナビゲーション装置は、単に目的地までの経路を案内するのに留まらず、経路上の渋滞情報または施設の情報など、多様な情報をユーザに提供できるようになっている。さらに、特許文献1のナビゲーション装置は、目的地への案内に際し、経路外であってもユーザが指定した交差点等の渋滞情報を表示できるようになっている。
【0004】
従来のナビゲーション装置における経路探索方法について図10を参照して説明する。図10は、従来のナビゲーション装置における経路探索方法を説明するための図である。図10に示すように、従来のナビゲーション装置で目的地を設定すると(ステップS50)、交通情報(たとえば渋滞情報)を考慮し(ステップS51)、最短経路の探索および所要時間の算出を行う(ステップS52)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−026332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今のナビゲーション装置は、経路上の多様な情報をユーザに提供できるようになっている。また、特許文献1では、経路上に関係なく渋滞情報を案内すべき交差点をユーザが指定できるようになっている。
【0007】
このようなナビゲーション装置をPNDの観点からみると、PNDが歩行者、自転車またはオートバイなどに利用されていることから経路探索の際に考慮すべき点として経路上の気象条件も挙げられる。
【0008】
しかしながら、従来のナビゲーション装置では、目的地の気象情報をユーザに伝えるものは知られているが、気象条件に応じて経路を設定するといったものは知られていない。
【0009】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、気象条件に応じた経路設定を行うことができる情報表示装置、経路設定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの観点は、情報表示装置としての観点である。すなわち、本発明の情報表示装置は、設定された出発地から目的地までの経路を探索して表示する情報表示装置において、気象情報を取得する気象情報取得手段と、気象情報取得手段が取得した気象情報に基づいて既に設定されている出発地から目的地までの経路の一部または全部を変更する経路設定手段と、を備えるものである。
【0011】
たとえば、経路設定手段は、気象情報取得手段が取得した気象情報のうち所定の天候の地域を迂回する経路を設定することができる。
【0012】
また、経路設定手段は、迂回する経路の距離または所要時間が初期経路の距離または所要時間と比較して所定の閾値以上または所定の閾値を超えるときには、迂回する経路の設定が不可能であると判断することが好ましい。
【0013】
たとえば、経路設定手段は、迂回する経路の設定が不可能であると判断したときには、気象情報取得手段が取得した気象情報のうち所定の天候の地域を迂回して出発地に戻る経路を設定することができる。
【0014】
あるいは、経路設定手段は、迂回する経路の設定が不可能であると判断したときには、気象情報取得手段が取得した気象情報のうち所定の天候の地域の近傍にある経路途中の所定の施設までの経路を設定することができる。
【0015】
また、所定の施設が複数有るときには、過去のユーザの立ち寄り頻度の多い施設あるいは過去のユーザの立ち寄り頻度の多いジャンルの施設を選択することができる。
【0016】
本発明の他の観点は、経路設定方法としての観点である。すなわち、本発明の経路設定方法は、設定された出発地から目的地までの経路を探索して表示する情報表示装置が行う経路設定方法において、気象情報を取得する気象情報取得ステップと、気象情報取得ステップの処理により取得した気象情報に基づいて既に設定されている出発地から目的地までの経路の一部または全部を変更する経路設定ステップと、を有するものである。
【0017】
本発明のさらに他の観点は、プログラムとしの観点である。すなわち、本発明のプログラムは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の情報表示装置の機能を実現するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、気象条件に応じた経路設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報表示装置のブロック構成図である。
【図2】図1の気象情報取得部、経路探索部および制御部による経路案内の動作手順を示すフローチャートである。
【図3】図1の経路探索部および制御部における経路気象情報の生成手順を説明するための図である。
【図4】図1の経路探索部および制御部における迂回経路の設定手順を説明するための図である。
【図5】経路上に雨宿り施設が1つ存在する例を示す図である。
【図6】経路上に雨宿り施設が複数存在する例を示す図である。
【図7】図1の経路探索部および制御部における出発地へ戻る経路の設定例を示す図である。
【図8】図2のフローチャートにおけるステップS3の判断手順を示すフローチャートである。
【図9】図2のフローチャートにおけるステップS6の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】従来の経路探索手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(本発明の実施の形態に係る情報表示装置1の構成について)
本発明の実施の形態に係る情報表示装置1の構成について図1を参照して説明する。図1は、情報表示装置1のブロック構成図である。
【0021】
情報表示装置1は、マイクロフォン10、A/Dコンバータ11、D/Aコンバータ12、スピーカ13、表示部14、タッチパネル15、外部I/F(インタフェース)16、外部I/F用アンテナ17、気象情報取得部18(請求項でいう気象情報取得手段)、GPS受信機用アンテナ19、GPS受信機20、ジャイロセンサ21、加速度センサ22、経路探索部23(請求項でいう経路設定手段の一部)、メモリ24、制御部25(請求項でいう気象情報取得手段の一部請求項でいう経路設定手段の一部)から構成される。
【0022】
マイクロフォン10は、各種の設定情報を音声入力するためのものである。たとえば制御部25は、マイクロフォン10から入力される音声によって出発地または目的地などの設定情報を認識できる。
【0023】
A/Dコンバータ11は、マイクロフォン10から入力されたアナログ信号としての音声をデジタル信号に変換して制御部25へ入力する。
【0024】
D/Aコンバータ12は、制御部25から出力されるデジタル信号としての音声信号をアナログ信号に変換してスピーカ13へ出力する。
【0025】
スピーカ13は、D/Aコンバータ12から出力されたアナログ信号に基づいて音声を出力する。
【0026】
表示部14は、制御部25に駆動されて各種の情報を表示する。また、表示部14にはタッチパネル15が重畳して設けられている。
【0027】
タッチパネル15は、ユーザの操作によって制御部25へ入力を行うためのものである。また、タッチパネル15は透明であり表示部14に重畳されている。これにより、表示部14に表示されるアイコンに対応するタッチパネル15の部位をユーザが指などで押圧することにより、当該アイコンに対応する入力操作を行うことができる。なお、タッチパネル15の方式は、超音波表面弾性波方式、画像認識方式、抵抗膜方式、または静電容量方式などが知られているが、これらの如何なる方式でもよい。
【0028】
外部I/F16は、無線LAN(Local Area Network)(不図示)などの無線通信機能を含み、制御部25の制御にしたがって、たとえば外部の気象情報を提供する情報提供装置(不図示)などに無線LANなどを介して接続可能である。
【0029】
外部I/F用アンテナ17は、外部I/F16の無線通信機能に付随して備えられているアンテナである。
【0030】
気象情報取得部18は、制御部25の制御にしたがって、外部I/F16を介して気象情報を提供する情報提供装置(不図示)などに接続し、当該情報提供装置から気象情報を取得する。
【0031】
GPS受信機用アンテナ19は、GPS受信機20がGPS衛星(不図示)からの信号を受信するためのアンテナである。
【0032】
GPS受信機20は、GPS受信機用アンテナ19を介してGPS衛星からの信号を受信することにより情報表示装置1の現在位置を認識して制御部25に情報表示装置1の現在位置情報を出力することができる。
【0033】
ジャイロセンサ21は、情報表示装置1の移動中における方向転換を検出するためのセンサである。ジャイロセンサ21の検出出力は、制御部25に取り込まれてGPS受信機20の出力と共に情報表示装置1の移動状態を認識するために用いられる。
【0034】
加速度センサ22は、情報表示装置1の傾きなど、情報表示装置1の姿勢を検出するためのセンサである。制御部25は、加速度センサ22の検出出力により表示部14の表示形態(縦方向表示または横方向表示)を変更するなどの制御を行うことができる。
【0035】
経路探索部23は、制御部25の制御にしたがって、設定された出発地および目的地にしたがって経路を探索するためのものである。また、経路探索部23は、GPS受信機20からの現在位置情報を参照し、経路上における現在位置の特定を行い、その特定結果を制御部25に出力することができる。
【0036】
メモリ24は、制御部25の動作に必要となる各種の情報および設定された経路の情報などを記憶するためのものである。メモリ24は、たとえばROM(Read Only Memory)および/またはRAM(Random Access Memory)および/またはHDD(Hard Disc
Drive)あるいはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどを備えている。また、メモリ24は、メモリカードまたはUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの可搬型記憶媒体を収容するための収容部(不図示)を備えるものであってもよい。
【0037】
制御部25は、情報表示装置1の各部を制御するための中央演算装置(CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)など)である。制御部25は、気象情報取得部18および経路探索部23などを用いることによって、気象情報の取得および経路探索または経路設定を行うことができる。また、制御部25は、これらの情報をメモリ24に記憶させる。
【0038】
(情報表示装置1の動作について)
次に、情報表示装置1の動作について図2のフローチャートを参照して説明する。図2は、情報表示装置1の制御部25の動作を示すフローチャートである。
【0039】
START:制御部25は、経路探索部23を用いて従来どおりの手順により経路の探索および設定が完了したらステップS1の処理へ移行する。あるいは、制御部25は、既に経路案内中であっても一定の周期毎に気象情報取得部18を用いて気象情報を取得するようにし、気象情報を取得したらステップS1の処理へ移行するようにしてもよい。あるいは、制御部25は、既に経路案内中であっても一定の周期毎に気象情報取得部18を用いて気象情報を取得するようにし、取得した気象情報に変化が確認されたらステップS1の処理へ移行するようにしてもよい。
【0040】
ステップS1:制御部25は、気象情報取得部18を用いて経路探索部23によって設定された経路上の気象情報を取得し、ステップS2の処理へ移行する。
【0041】
ステップS2:制御部25は、経路上の悪天候情報の有無を判断する。すなわち、制御部25は、経路上に悪天候の情報が有る場合(ステップS2でYes)、ステップS3の処理へ移行する。一方、制御部25は、経路上に悪天候の情報が無い場合(ステップS2でNo)、ステップS4の処理へ移行する。なお、悪天候とは、たとえば雨天である。
【0042】
ステップS3:制御部25は、経路上の悪天候について回避可能か否か判断する。すなわち、制御部25は、経路上の悪天候について回避可能の場合(ステップS3でYes)、ステップS5の処理へ移行する。一方、制御部25は、経路上の悪天候について回避不可能の場合(ステップS3でNo)、ステップS6の処理へ移行する。
【0043】
ステップS4:制御部25は、初期の探索経路をメモリ24に設定して案内を開始し、処理を終了する(END)。
【0044】
ステップS5:制御部25は、経路探索部23を用いて迂回経路の探索を行い、探索された迂回経路をメモリ24に設定して案内を開始し、処理を終了する(END)。
【0045】
ステップS6:制御部25は、経路探索部23を用いて雨宿り施設立ち寄りを含めた経路を探索し、探索された経路をメモリ24に設定して案内を開始し、処理を終了する(END)。
【0046】
このように、情報表示装置1は、従来どおり探索された経路に対し、気象情報を考慮して経路の一部または全部の変更を行うことができる。これにより、情報表示装置1は、歩行者、自転車またはオートバイで利用するPNDに適した経路案内を行うことができる。
【0047】
次に、図2のフローチャートにおけるステップS1の「経路上の気象情報取得」の具体的な方法について図3を参照して説明する。図3の上段左図は、経路探索部23によって探索された出発地(S)から目的地(G)までの経路案内情報である。図3の上段右図は、気象情報取得部18によって取得した出発地および目的地を含む地域の気象情報である。図3上段右図の例では地域のほぼ中央部が雨になっている。制御部25は、図3上段左図の経路案内情報と図3上段右図の気象情報とを合成することにより、図3下段のような経路気象情報を生成する。制御部25は、この経路気象情報に基づいて経路上に悪天候情報が有るか否かの判断(ステップS2)を行う。
【0048】
次に、図2のフローチャートにおけるステップS3の「悪天候を回避可能か否かの判断」の具体的な方法について図4を参照して説明する。図4は、迂回経路の一例を示す図である。制御部25は、図3の下段に示すように、初期の探索経路上に悪天候情報が有る場合、図4に示すように、経路探索部23を用いて悪天候地域を回避する迂回経路を探索する。
【0049】
続いて制御部25は、図3の下段に示す初期の探索経路と図4に示す迂回経路とを比較する。そして制御部25は、初期の探索経路と迂回経路との距離の差が所定の閾値を超える場合(または所定の閾値以上の場合)、回避不可能と判断する。ここで所定の閾値とは、たとえば10kmである。
【0050】
あるいは、制御部25は、初期の探索経路と迂回経路との所要時間の差が所定の閾値を超える場合(または所定の閾値以上の場合)、回避不可能と判断する。ここで所定の閾値とは、たとえば1時間である。
【0051】
次に、図2のフローチャートにおけるステップS6の「雨宿り施設立ち寄りを含めた経路案内」の具体的な方法について図5を参照して説明する。図5は、雨宿り施設aを含む経路の一例を示す図である。
【0052】
制御部25は、図4に示す迂回経路が上述した所定の閾値を超える場合(または所定の閾値以上の場合)、図5に示すように、立ち寄り可能な雨宿り施設aが存在する場合は、その施設aに対する経路案内を行う。
【0053】
また、図6に示すように、複数の立ち寄り可能な雨宿り施設a,b,cが存在する場合は、制御部25は、施設a,b,cのいずれかに経路案内を行う。この際、制御部25がいずれの施設a,b,cを選択するかについては、以下のような方法がある。
【0054】
(1)施設a,b,cの中からランダムに選択する。
(2)過去におけるユーザの施設a,b,cへの立ち寄り頻度をメモリ24に記憶しておき、頻度の高い施設を優先的に設定する。
(3)過去におけるユーザが立ち寄った施設のジャンルをメモリ24に記憶しておき、そのジャンルに該当する施設が施設a,b,cの中に存在する場合には、その施設を優先的に設定する。たとえば、ユーザは書店への立ち寄りが多いので、施設a,b,cの中に書店が存在する場合には、これを選択する。さらに、複数の施設が書店であれば、ユーザがこれまでに立ち寄ったことの無い方の施設を選択するようにしてもよい。
【0055】
すなわち、ユーザは、過去に立ち寄ったことのある書店よりも未だ立ち寄ったことの無い書店の方により強い興味を示すであろうとの推測から、このような処理を実施する。しかしながら、ユーザによっては、未だ立ち寄ったことの無い書店よりも過去に立ち寄ったことのある書店の方が安心できるといった場合もある。そこで、このようなユーザの嗜好については、ユーザ自身が予め設定できるようにしてもよい。
【0056】
また、制御部25は、図4に示す迂回経路が上述した所定の閾値を超える(または所定の閾値以上)と共に、立ち寄り可能な雨宿り施設が存在しない場合は、図7に示すように、出発地に戻るような経路案内を行うようにしてもよい。あるいは、制御部25は、図4に示す迂回経路が上述した所定の閾値を超える(または所定の閾値以上)であると共に、立ち寄り可能な雨宿り施設が存在したとしても早期(たとえば1時間以内)の天候回復が望めないときには、出発地に戻るような経路案内を行ってもよい。
【0057】
ここで、図2のフローチャートにおけるステップS3の経路上の悪天候について回避可能か否か判断する際の制御部25の判断手順を図8のフローチャートに示す。
【0058】
START:制御部25は、ステップS3の処理が開始されるとステップS30の処理へ移行する。
【0059】
ステップS30:制御部25は、迂回経路の距離または所要時間と初期経路の距離または所要時間との差は閾値以下か否かを判断する。すなわち、制御部25は、迂回経路の距離または所要時間と初期経路の距離または所要時間との差が閾値以下の場合(ステップS30でYes)、ステップS31の処理へ移行する。一方、制御部25は、迂回経路の距離または所要時間と初期経路の距離または所要時間との差は閾値を超える場合(ステップS30でNo)、ステップS32の処理へ移行する。なお、上述の「以下」を「未満」とし、上述の「超える」を「以上」としてもよい。
【0060】
ステップS31:制御部25は、回避可能と判断して処理を終了し(END)、ステップS5の処理へ移行する。
【0061】
ステップS32:制御部25は、回避不可能と判断して処理を終了し(END)、ステップS6の処理へ移行する。
【0062】
ここで、図2のフローチャートにおけるステップS6の経路探索部23を用いて雨宿り施設立ち寄りを含めた経路を探索し、探索された経路をメモリ24に設定して案内を開始する際の制御部25の処理手順を図9のフローチャートに示す。
【0063】
START:制御部25は、ステップS6の処理が開始されるとステップS40の処理へ移行する。
【0064】
ステップS40:制御部25は、立ち寄り可能な雨宿り施設の有無を判断する。すなわち、制御部25は、立ち寄り可能な雨宿り施設が有る場合(ステップS40でYes)、ステップS41の処理へ移行する。一方、制御部25は、立ち寄り可能な雨宿り施設が無い場合(ステップS40でNo)、ステップS45の処理へ移行する。
【0065】
ステップS41:制御部25は、立ち寄り可能な雨宿り施設が1つか複数かを判断する。すなわち、制御部25は、立ち寄り可能な雨宿り施設が1つである場合(ステップS41でYes)、ステップS42の処理へ移行する。一方、制御部25は、立ち寄り可能な雨宿り施設が複数である場合(ステップS41でNo)、ステップS44の処理へ移行する。
【0066】
ステップS42:制御部25は、雨宿り施設に立ち寄った場合、早期の天候回復が見込めるか否かを判断する。なお、早期の天候回復が見込める場合とは、たとえば気象情報によって1時間程度または1時間以内で天候が回復すると伝えられているような場合である。すなわち、制御部25は、雨宿り施設に立ち寄った場合、早期の天候回復が見込める場合(ステップS42でYes)、ステップS43の処理へ移行する。一方、制御部25は、雨宿り施設に立ち寄ってもその後、早期の天候回復が見込めない場合(ステップS42でNo)、ステップS45の処理へ移行する。
【0067】
ステップS43:制御部45は、施設の設定を行って処理を終了し(END)、ステップS6の処理へ戻って経路案内を行う。
【0068】
ステップS44:制御部45は、上述したように、複数の施設の中からいずれかの施設を(1)ランダムに選択する、(2)立ち寄り頻度優先で選択する、(3)ジャンル優先で選択する、のいずれかによって選択し、ステップS42の処理へ移行する。なお、この選択方法(1),(2),(3)のいずれを適用するかは、予めユーザが設定できるようにすることが好ましい。
【0069】
ステップS45:制御部45は、出発地へ戻る経路の設定を行って処理を終了し(END)、ステップS6の処理へ戻って経路案内を行う。
【0070】
(効果の説明)
以上説明したように、情報表示装置1は、気象情報を取得し、取得した気象情報に基づいて出発地から目的地までの経路を設定するので、歩行者、自転車またはオートバイで利用するPNDには気象条件を加味した適切な経路設定を行うことができる。
【0071】
また、情報表示装置1は、取得した気象情報に基づいて既に設定されている経路の一部または全部を変更することにより、経路上を移動中に気象条件が変化した場合でも適切な経路設定を行うことができる。
【0072】
たとえば、情報表示装置1は、取得した気象情報のうち所定の天候の地域を迂回する経路を設定することができるので、歩行者、自転車またはオートバイにとって快適な移動経路を案内することができる。
【0073】
また、情報表示装置1は、迂回する経路の距離または所要時間が初期経路の距離または所要時間と比較して所定の閾値以上または所定の閾値を超えるときには、迂回する経路の設定が不可能であると判断するので、実際には利用困難な迂回経路を設定しまうことがない。
【0074】
たとえば、情報表示装置1は、迂回する経路の設定が不可能であると判断したときには、取得した気象情報のうち所定の天候の地域を迂回して出発地に戻る経路を設定するので、悪天候であっても無理に目的地までの経路を案内するなどにより、ユーザが不快な思いをするような事態を避けることができる。
【0075】
あるいは、情報表示装置1は、迂回する経路の設定が不可能であると判断したときには、取得した気象情報のうち所定の天候の地域の近傍(たとえば直前)にある経路途中の所定の施設までの経路を設定するので、ユーザが雨宿りする場所を含めた経路案内を行い、悪天候であってもユーザの要望に沿った経路案内を行うことができる。
【0076】
また、このときに、所定の施設が複数有るときには、過去のユーザの立ち寄り頻度の多い施設を選択することもできるので、雨宿りの際にユーザが退屈な時間を過ごすといった状態を避けることができる。
【0077】
あるいは、所定の施設が複数有るときには、過去のユーザの立ち寄り頻度の多いジャンルの施設を選択することもできるので、雨宿りの際にユーザの嗜好に合わせた施設を選択することができる。
【0078】
(プログラムを用いた実施の形態)
情報表示装置1の各部は、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置(CPU、DSP、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)など)によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、情報表示装置1の各部の機能が実現される。
【0079】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、情報表示装置1の出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、情報表示装置1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、情報表示装置1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。情報表示装置1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0080】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0081】
このように、汎用の情報処理装置とプログラムによって情報表示装置1の機能を実現することにより、大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
【0082】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。たとえば、気象情報取得部18は、外部I/F16を介して外部の気象情報の情報提供装置から気象情報を取得すると説明した。これに対し、図示しないパーソナル・コンピュータ装置などによってインターネットなどから気象情報を取得し、この気象情報をメモリカードなどの可搬型記憶媒体に記録し、これを情報表示装置1のメモリ24が有する外部記憶媒体の収容部(不図示)などに挿入することによって、気象情報取得部18は、このメモリカードに記憶された気象情報を取得するようにしてもよい。
【0083】
上述した実施の形態では、気象情報取得部18が取得した気象情報は、経路探索部25が経路探索を行う際に利用すると説明した。これに対し、気象情報取得部18が取得した気象情報を表示部14に表示できるようにしてもよい。
【0084】
上述した実施の形態では、説明を分り易くするために、気象情報取得部18および経路探索部23の機能ブロックを図示したが、これらの機能ブロックは、全て制御部25の機能に含まれるようにしてもよい。
【0085】
上述した実施の形態では、情報表示装置1をPNDであるとして説明した。これに対し、情報表示装置1は携帯電話端末であり、その携帯電話端末の1つの機能としてPNDに相当する機能も含まれるということでもよい。
【0086】
また、図1の構成におけるマイクロフォン10、A/Dコンバータ11、D/Aコンバータ12、スピーカ13は備えなくてもよい。この場合は、各種設定はタッチパネル15で行い、各種表示は表示部14で視覚的に表示する。
【0087】
また、上述した実施の形態では、雨天を悪天候としたが、悪天候とは、どのような天候の場合をいうかをユーザが任意に設定できるようにしてもよい。たとえば、ユーザが雨具の用意をしており、雨が降っても移動に支障が無いのであれば、雨が降っていても無風または弱風である限り、悪天候に含めないような設定としてもよい。あるいは、ユーザがハイキングなどで景色を楽しみたい場合、雨が降っていなくても曇天であれば悪天候とする設定としてもよい。
【0088】
さらには、同じ悪天候であっても雪の地域と雨の地域とが混在する場合、雪は雨よりも滑るので雪の方を雨よりも悪天候としたり、あるいは、雨は濡れるが雪は濡れないので雨の方を雪よりも悪天候とするなど、悪天候に順位を設けて設定できるようにしてもよい。
【0089】
この他にも悪天候の要因として、猛暑、極寒、濃霧、吹雪などを設定できるようにしてもよい。
【0090】
また、上述した実施の形態では、悪天候を回避することについて説明した。しかしながら、タクシーなどでは、悪天候の地域に出向いた方が乗客の確保が行い易い場合がある。このような場合には、上述した実施の形態における悪天候が好天候となり、上述した実施の形態における好天候が悪天候となるように設定できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…情報表示装置、18…気象情報取得部(気象情報取得手段の一部)、23…経路探索部(経路設定手段の一部)、25…制御部(気象情報取得手段の一部、経路設定手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された出発地から目的地までの経路を探索して表示する情報表示装置において、
気象情報を取得する気象情報取得手段と、
上記気象情報取得手段が取得した気象情報に基づいて既に設定されている出発地から目的地までの経路の一部または全部を変更する経路設定手段と、
を備える、
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報表示装置において、
前記経路設定手段は、前記気象情報取得手段が取得した気象情報のうち所定の天候の地域を迂回する経路を設定する、
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の情報表示装置において、
前記経路設定手段は、前記迂回する経路の距離または所要時間が初期経路の距離または所要時間と比較して所定の閾値以上または所定の閾値を超えるときには、前記迂回する経路の設定が不可能であると判断する、
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の情報表示装置において、
前記経路設定手段は、前記迂回する経路の設定が不可能であると判断したときには、前記気象情報取得手段が取得した気象情報のうち所定の天候の地域を迂回して出発地に戻る経路を設定する、
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項記載の情報表示装置において、
前記経路設定手段は、前記迂回する経路の設定が不可能であると判断したときには、前記気象情報取得手段が取得した気象情報のうち所定の天候の地域の近傍にある経路途中の所定の施設までの経路を設定する、
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項6】
請求項5記載の情報表示装置において、
前記所定の施設が複数有るときには、過去のユーザの立ち寄り頻度の多い施設あるいは過去のユーザの立ち寄り頻度の多いジャンルの施設を選択する、
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項7】
設定された出発地から目的地までの経路を探索して表示する情報表示装置が行う経路設定方法において、
気象情報を取得する気象情報取得ステップと、
上記気象情報取得ステップの処理により取得した気象情報に基づいて既に設定されている出発地から目的地までの経路の一部または全部を変更する経路設定ステップと、
を有する、
ことを特徴とする経路設定方法。
【請求項8】
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、
請求項1から6のいずれか1項記載の情報表示装置の機能を実現する、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−22106(P2011−22106A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169764(P2009−169764)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】