説明

情報表示装置

【課題】短時間でタッチパネルボタンの移動を可能にした情報表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】タッチパネルを備え、表示画面に所定の機能を動作させるタッチパネルボタンが表示されるディスプレイ11と、操作者がタッチパネルに触れた2点以上の接触点が、タッチパネルボタンの周囲であるか否かを判定し、判定の結果、接触点がタッチパネルボタンの周囲である場合には、通常の操作モードからタッチパネルボタンの表示位置を移動する移動モードに移行するコントロールユニット12とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ボタンの表示位置をカスタマライズできる情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す文献に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。文献1には、タッチパネルを装備した表示装置において、タッチパネル上に表示されて所定の機能動作を表す表示物に対応したタッチボタンを所定の時間押し続ける(長押しする)ことで、長押ししたタッチボタンの表示位置を移動させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−274538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の表示装置においては、移動させようとするタッチボタンを所定の時間押し続けることで、通常の操作モードからタッチボタンの表示位置を移動させる移動モードに移行させていた。このため、タッチボタンを長押しする分、移動モードに移行させるのに時間がかかるといった不具合を招いていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、短時間でタッチパネルボタンの移動を可能にした情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、タッチパネルボタンの周囲で、操作者がタッチパネルに触れた2点以上の接触点が検出されると、通常の操作モードからタッチパネルボタンを移動する移動モードに移行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、タッチボタンの周囲で操作者がタッチパネルに触れた2点以上の接触点が検出されることで移動モードに移行されるので、タッチボタンの移動操作の時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態1に係る情報表示装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る動作処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】タッチパネルボタンを摘む操作の様子を示す図である。
【図4】ディスプレイ上でのタッチパネルボタンの移動の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施形態を説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る情報表示装置の構成を示す図である。図1に示す実施形態1の情報表示装置は、タッチパネルを搭載したディスプレイ(表示手段)11と、このディスプレイ11の表示を制御して統御するコントロールユニット12(移動変更手段)とを備えて構成されている。
【0011】
ディスプレイ11は、液晶等の表示機器とタッチパッド(タッチパネルボタン)の入力装置とを備え、指先と導電膜との間での静電容量の変化を捉えて位置を検出する静電容量式のタッチパネルを搭載して構成されている。タッチパネルは、平板状のセンサと人体の指で構成されるコンデンサが、センサ表面のどの位置に存在するかを微弱な静電容量の変化として検出することができる。また、タッチパネルは、センサの表面をなぞった指の軌跡を、画面上の動作に関連づけて検出できるものであり、従来公知の確立された技術であるので、ここでは詳しくは触れない。
【0012】
コントロールユニット12は、本装置の動作を制御する制御中枢として機能し、プログラムに基づいて各種動作処理を制御するコンピュータに必要な、CPU、記憶装置、入出力装置等の資源を備えた例えばマイクロコンピュータ等により実現される。コントロールユニット12は、上記タッチパネルに与えられた操作に対応した信号を入力し、入力した信号ならびに予め内部に保有する制御ロジック(プログラム)に基づいて、図2のフローチャートに示す手順を実行する。このように、コントロールユニット12は、以下に説明する本発明に係るタッチパネルボタンの移動変更の処理を含む、本装置の表示動作のすべてを統括管理して制御する。したがって、上記移動変更の処理は、移動変更手段という、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働した具体的な手段(コントロールユニット12)によって実現されたものである。
【0013】
次に、図2に示すフローチャートを参照して、ディスプレイ11上に表示されたタッチパネルボタンの移動変更処理について説明する。
【0014】
図2において、先ずステップS201では、情報表示装置は、操作の待ちうけ状態にある。
【0015】
ステップS202では、この情報表示装置が搭載された車両の運転者等のユーザ(操作者)による、例えば指先で触れる等のタッチパネルの操作を検出する。
【0016】
ステップS203では、ユーザの指先がタッチパネル上の複数点(例えば少なくとも2点)に触れたか否かを判定する。判定の結果、触れている場合には、ステップS204で示す処理を実行する一方、触れていない場合には、ステップS214で示す処理を実行する。
【0017】
ステップS204では、ユーザの指先が触れている位置がディスプレイ11に表示されている特定のタッチパネルボタンの外形と一致するか否かを判定する。判定の結果、一致している場合には、ステップS207で示す処理を実行する一方、一致していない場合には、ステップS205で示す処理を実行する。
【0018】
ステップS205では、ユーザの指先がタッチパネルに触れている状態で摘む操作をしているか否か検出する。ここで、摘む操作とは、タッチパネルに接触している複数点を内側(お互いに近づける方向)に移動させる操作である。例えばタッチパネルに触れている親指と人差し指の指先をお互いに近づける方向に移動して、親指と人差し指との間隔を狭める操作である。
【0019】
また、この摘む操作は、図3に示すように、いずれの方向であっても検出される。すなわち、図3(a)に示すような摘む操作は、ユーザの2本の指先がタッチパネルボタン31の周囲左右に触れた状態でタッチパネルボタン31を摘む。図3(b)に示すような摘む操作は、ユーザの2本の指先がタッチパネルボタン31の周囲左右両エッジに触れた状態でタッチパネルボタン31を摘む。図3(c)に示すような摘む操作は、ユーザの2本の指先がタッチパネルボタン31の周囲上下に触れた状態でタッチパネルボタン31を摘む。
【0020】
さらに、以下に示す動作でも摘む操作が行われたものとして処理される。ユーザの指先が触れている位置とタッチパネルボタンの外形とが一致していない状態から、上記摘む動作が行われて指先が移動したことにより、移動後の指先が触れている位置とタッチパネルボタンの外形の位置とが一致した場合である。また、図3(d)に示すように、ユーザの指先が触れている位置とタッチパネルボタンの外形とが一致している状態から、上記摘む動作が行われて指先がタッチパネルボタンの表示領域の内側に移動した場合である。
【0021】
図2に戻って、先のステップS205で示す処理での検出の結果、摘む操作が検出された場合には、ステップS206で示す処理を実行する一方、検出されなかった場合には、ステップS214で示す処理を実行する。
【0022】
ステップS206では、ユーザの指先が触れている位置がディスプレイ11に表示されている特定のタッチパネルボタンの外形と一致するか否かを判定する。判定の結果、一致する場合には、ステップS207で示す処理を実行する一方、一致しない場合には、ステップS214で示す処理を実行する。
【0023】
ステップS207では、タッチパネルボタンを操作することでタッチパネルボタンに対応した機能を実現する通常の操作モードから、上記ステップS204、S205、S206で特定されたタッチパネルボタンの表示位置を他の位置に移動させて変更する移動モードへ移行する処理を行う。
【0024】
ステップS208では、ユーザの指先がタッチパネルに触れている状態で指先がパネル上を移動した際に、その移動に連動してタッチパネルボタンを移動させる。
【0025】
ステップS209では、タッチパネルに触れているユーザの指先がタッチパネルから離れたか否かを判定する。すなわち、タッチパネルで複数の接触点が検出されているか否かを判定する。判定の結果、離れた場合には、ステップS210で示す処理を実行する一方、離れていない場合には、ステップS208で示す処理を実行する。
【0026】
ステップS210では、タッチパネルボタンの移動モードの終了処理を行う。
【0027】
ステップS211では、タッチパネルボタンの移動した移動先の位置に他のタッチパネルボタンが配置されて表示されているか否かを判定する。判定の結果、配置されている場合には、ステップS212で示す処理を実行する一方、配置されていない場合には、ステップS213で示す処理を実行する。
【0028】
ステップS212では、先のステップS201〜S209で示すの一連の処理を実行することで移動されたタッチパネルボタンの移動前の表示位置に、移動後の位置に表示されていたタッチパネルボタンを移動させて表示位置を変更する。すなわち、双方のタッチパネルボタンの表示位置を入れ替える。
【0029】
ステップS213では、ボタンの移動結果の表示処理を行う。
【0030】
ステップS214では、ディスプレイ11において、通常の操作モードへ移行する。
【0031】
なお、上記摘む操作によってタッチパネルが移動した後、タッチパネルを摘んだ状態の指先間の距離を拡げることで、移動先の表示位置を確定して移動モードの終了処理を行うようにしてもよい。
【0032】
ここで、ディスプレイ11は、例えば経路案内等を行う従来公知の車載ナビゲーションシステムを構成するものとする。ナビゲーションシステムが機能しているときに、ディスプレイ11の表示画面には、例えば図4に示すように、「オペレータ」、「状態表示」、「ルート」、「目的地」、「情報・W」、「設定」、「現在地」などのそれぞれ所定の機能を有するタッチパネルボタンが配置されて表示されているものとする。
【0033】
このようなタッチパネルボタンにおいて、通常の操作モードでは、これらのタッチパネルボタンの内側の領域に例えばユーザの少なくとも1本の指先が触れることでタッチパネルに対応して設定されている機能が動作する。
【0034】
一方、タッチパネルボタンの移動モードにおいて、図4(a)に示すように、ユーザが例えば「状態表示」のタッチパネルボタンの表示位置を移動しようとして、「状態表示」のタッチパネルボタンの周囲を複数の指先で摘む操作を行ったとする。このような操作は、図2に示すステップS205の処理によって検出される。また、同図ステップS206に示す処理によってユーザの指先がタッチパネルに触れている位置が「状態表示」のタッチパネルボタンの周囲と一致していることが判定されたとする。これにより、コントロールユニット12は、図2のステップS207に示す処理によって通常の操作モードから「状態表示」のタッチパネルボタンを移動させる移動モードに移行する。
【0035】
移動モードに移行した後、図4(b)に示すように、ユーザの指先が「状態表示」のタッチパネルボタンを摘んだ状態で、その指先がタッチパネルに触れたままタッチパネル上を移動する。この移動により図2のステップS208で示す処理によってその移動に合わせて同方向に「状態表示」のタッチパネルボタンが移動する。このとき、「状態表示」のタッチパネルボタンの移動の様子がタッチパネルの表示画面上に表示される。
【0036】
その後、図4(c)に示すように、図2に示すステップS209に示す処理によってユーザの指先が「状態表示」のタッチパネルボタンを摘んだ状態でタッチパネルから離れたことが検出される。この状態が検出されると、ユーザの指先がタッチパネルから離れた位置に、「状態表示」のタッチパネルボタンが配置されて表示されて、移動モードの処理が終了する。
【0037】
その後、図4(c)に示すように、「状態表示」のタッチパネルボタンが移動した移動先の位置に、既に他のタッチパネルボタン、例えば図4(c)では「現在地」というタッチパネルボタンが配置されて表示されていた場合には、これを移動させる。すなわち、図2のステップS212に示す処理により、「状態表示」のタッチパネルボタンが移動前に表示されていた位置に「現在地」のタッチパネルボタンを移動して表示する。
【0038】
一方、表示位置が移動した「状態表示」のタッチパネルボタンの移動先において、その周囲の他のタッチパネルボタン、例えば図4(c)では「目的地」や「ルート」といったタッチパネルボタンと干渉する場合がある。すなわち「状態表示」と「目的地」や「ルート」とに重なりが生じたり、両者間の距離が予め設定した間隔よりも接近しすぎたりしている場合である。このような場合には、それぞれのタッチパネルボタンの表示位置が予め設定された適正な間隔となるように調整される。その後、図2のステップS213で示す処理によってタッチパネルボタンの移動後の表示処理がなされる。なお、適正な間隔でタッチパネルの表示位置を調整する処理は、例えば図2のステップS213で示す処理に含まれる。
【0039】
このように、上記実施形態1においては、ユーザの指先がタッチパネルボタンの周囲の少なくとも2点に触れことで、通常の操作モードからタッチパネルボタンを移動させる移動モードに移行することが可能となる。また、ユーザが摘む操作を行って、ユーザの指先がタッチパネルボタンの周囲の少なくとも2点に触れことで、通常の操作モードから移動モードに移行することが可能となる。これにより、従来に比べて短時間でタッチパネルボタンを移動させることが可能となる。
【0040】
また、通常の操作モードにおいて、誤ってタッチパネルボタンに触れている時間が長くなり長押し状態となった場合でも、移動モードに移行することは回避され、誤作動を防止することが可能となる。
【0041】
さらに、タッチパネルボタンを長押しする操作により実現できる機能を新たに設定することができる。これにより、誤作動を招くことなく、本実施形態1の移動モードに移行する操作と長押し操作とを両立させることが可能となる。
【0042】
また、タッチパネルボタンを摘むといった直感的な操作で移動モードに移行することが可能となるので、ユーザに分かり易い機能を提供することができる。さらに、タッチパネルボタンを摘んだ後その指先を離すもしくは指先間を拡げるといった直感的な操作で移動モードを終了することが可能となるので、ユーザに分かり易い機能を提供することができる。
【0043】
また、タッチパネルボタンの移動先に既に他のタッチパネルボタンが表示されていた場合には、既に表示されていた他のタッチパネルボタンを移動前のタッチパネルボタンが表示されていた位置に移動して表示することが可能となる。これにより、一のタッチパネルボタンの移動による他のタッチパネルボタンの表示位置の変更を容易に行うことができる。
【0044】
なお、上記ディスプレイ11は、2次元の平面表示を行う表示装置の他に、3次元の立体表示を行う表示装置として構成することも可能である。これにより、立体表示が可能なディスプレイにおいても、本実施形態1で採用した特徴的な技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0045】
11…ディスプレイ
12…コントロールユニット
31…タッチパネルボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備え、表示画面に所定の機能を動作させるタッチパネルボタンが表示される表示手段と、
操作者が前記タッチパネルに触れた2点以上の接触点が、前記タッチパネルボタンの周囲であるか否かを判定し、前記接触点が前記タッチパネルの周囲である場合には、通常の操作モードから前記タッチパネルボタンの表示位置を移動する移動モードに移行する移動変更手段と
を有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
タッチパネルを備え、表示画面に所定の機能を動作させるタッチパネルボタンが表示される表示手段と、
操作者が前記タッチパネルに触れた2点以上の接触点が相互に近づく方向に移動する摘む操作が行われ、前記接触点が前記タッチパネルの周囲であるか否かを判定し、前記接触点が前記タッチパネルの周囲である場合には、通常の操作モードから前記タッチパネルボタンの表示位置を移動する移動モードに移行する移動変更手段と
を有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項3】
前記移動変更手段は、移動モードに移行した後、前記タッチパネル上における前記接触点の移動に連動して前記タッチパネルボタンの表示位置を移動し、前記接触点を非検出した位置に前記タッチパネルボタンを表示し、前記移動モードを終了する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記移動変更手段は、移動モードに移行した後、前記タッチパネル上における前記接触点の移動に連動して前記タッチパネルボタンの表示位置を移動し、前記接触点の間隔を拡げる操作を検出した位置に前記タッチパネルボタンを表示し、前記移動モードを終了することを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記移動変更手段は、前記タッチパネルボタンが移動されて表示された位置に、既に他のタッチパネルボタンが表示されていた場合には、移動した前記タッチパネルボタンが移動される前に表示されていた位置に前記他のタッチパネルボタンを移動して表示する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は、3次元の立体表示を行う
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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