説明

情報表示装置

【課題】モバイル向けアプリケーションなど、車載対応を前提として設計していないアプリケーションを遠隔実行する場合にも走行強制を実現できる表示装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】情報表示装置は、表示部品の種類ごとに走行強制をかけるか否かを記載した走行強制定義ファイル107と、車両の走行状態を取得する車両センサ200とを備え、車両センサ200より通知された走行状態と走行強制定義ファイル107に基づいて表示部品の表示状態を変更する。これにより、モバイル向けに開発されたアプリケーションなど、車載対応を前提として設計していなくても走行強制を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク接続機能を有する情報表示装置に関するものであって、より詳しくは、少なくとも1台以上の情報処理端末と接続し、情報処理端末が持つアプリケーションをネットワークを経由して受信し、リモート実行できる情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の情報表示装置として、車両の走行/停止を判定して表示内容を変更することで利用者の安全性を高める走行強制機能を有したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、ポータブルAVプレイヤーやスマートフォンなどのモバイル機器を車内で使用したいと言う要望に応えるため、モバイル機器の機能を車内のナビゲーションシステムから操作できるようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−159468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の情報表示装置においては、モバイル向けに開発されたアプリケーションをそのまま実行していたため、車載向け対応がされていないアプリケーションに走行強制をかけることができないという問題があった。
【0006】
また、モバイル向けアプリケーションに走行強制機能を追加しようとした場合でも、車両メーカーや国により基準が異なるため、それぞれに対応する必要があるという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、表示画面を構成する部品をクラス分けし、クラス毎に走行強制をかけるかどうかのルールを情報表示装置に格納しておき、情報表示装置はこのルールに従って走行強制をかけることで、車載対応していないモバイル向けアプリケーションなどでも安全に実行することのできる情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、表示部品の種類ごとに走行強制をかけるか否かを記載した定義ファイルと、車両の走行状態を取得するセンサとを備え、前記センサより通知された走行状態と前記定義ファイルに基づいて前記表示部品の表示状態を変更するという構成を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モバイル向けアプリケーションのように、車載対応を前提として設計していなくても走行強制を実現できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における表示装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における情報表示装置で表示する内容の説明図であって、(a)は走行強制定義ファイルを例示する図、(b)は表示部に表示された表示画面を例示する図
【図3】本発明の実施の形態1における表示装置の動作説明のためのフロー図
【図4】本発明の実施の形態2における表示装置のブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における走行強制定義ファイルを例示する図
【図6】本発明の実施の形態2における表示装置の動作説明のためのフロー図
【図7】本発明の実施の形態3における表示装置のブロック図
【図8】本発明の実施の形態3における表示装置の動作説明のためのフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における情報表示装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態1における情報表示装置のブロック図である。本発明の実施形態1の情報表示装置100は、外部に設けられた車両センサ200と、外部情報処理端末300と接続する。
【0013】
情報表示装置100は、車両に設置され、表示画面を持つものであれば良く、ナビゲーションシステム、DVDプレイヤー、インフォメーションディスプレイなどが該当する。
【0014】
車両センサ200は、情報表示装置が設置された車両が走行中か否か検知できるものであれば良く、車速センサ、加速度センサ、パーキングブレーキセンサ、GPSなどがある。
【0015】
外部情報処理端末300は、情報表示装置100と有線通信または無線通信にて接続可能な機器であり、スマートフォン、ポータブルAVプレイヤーなどのモバイル機器が好適である。これらを車両に持ち込んで情報表示装置100と接続して使用する。
【0016】
また、外部情報処理端末300として、車両にあらかじめ設置されたTVチューナ、リアエンターテイメントシステムなどとの接続に適用することも可能である。
【0017】
情報処理端末300のプログラムは情報表示装置100に送信され、情報表示装置100上で実行、表示される。
【0018】
情報表示装置100は、情報表示装置100上で動作するプログラムから、情報処理端末300内のデータを取得したり、情報処理端末300にしかない機能、例えばAV再生機能やインターネット接続機能を利用することが可能である。
【0019】
情報表示装置100と外部情報処理端末300とを別体にすることにより、車両外から持ち込んだ機器の様々な機能を車両内のディスプレイに表示して使用すると事ができるという利点がある。
【0020】
本実施の形態において、情報表示装置100が外部情報処理端末300からデータを取得して情報表示装置100で動作させるプログラムについて説明する。
【0021】
プログラムを別の機器に送信して遠隔実行する場合、プログラム形式として、送信先機器のCPUが直接理解できる言語データ(機械語)に変換したデータを送信する場合と、CPUに依存しない言語形式で記述したデータを送信する場合がある。
【0022】
後者の場合、送信先機器にあらかじめ組み込まれたインタープリタが言語を解釈し、機械語に変換して実行する。
【0023】
また、後者の方式の場合、送信先機器のCPUやOSによらず実行可能なため、本実施の形態ではこの方式を使用する。インタープリタ型の言語形式としては、Java(登録商標)など様々あるが、本実施の形態ではスクリプト言語を使用する。
【0024】
スクリプトは例えばECMAスクリプトで記述され、少なくとも情報表示装置100に表示する画面を構成する表示部品の記述と、その配置、操作、アニメーション動作に関する記述、及び有効・無効の切り換えに関する記述を含む。
【0025】
表示部品とは、表示画面を成すための情報であり、例えばボタン、リストボックス、スクロールバー、その他の画像、文字列などのオブジェクトデータを指す。その他、画面表示と直接関係ない動作に関してもスクリプトで記述可能である。
【0026】
スクリプトは、XML、HTML等のマークアップ言語、Perl等の他のスクリプト言語で記述した場合も同様に実施可能である。
【0027】
情報表示装置100は、通信部101と保存部102と処理部103と表示部104とセンサ判断部105から構成される。
【0028】
通信部101は外部情報処理端末300とのデータ通信をおこなうブロックで、例えばIEEE802.11コントローラーである。データを送受信することができれば他の方式でも良く、イーサーネットやUSBなどの有線通信方式、Bluetoothや赤外線通信などの無線方式でも構わない。
【0029】
保存部102は外部情報処理端末300から受信したスクリプト106および走行強制定義ファイル107を格納するブロックで、例えば、HDDやフラッシュメモリなどの不揮発メディアが好適である。保存部102は情報処理装置100の動作プログラムやデータの格納場所として兼用することも可能である。
【0030】
処理部103は、CPUやBIOS、ROM、RAMから構成されるブロックであり、ROMに保存されたプログラムを解釈して実行する。
【0031】
すなわち、ROMから読み出したプログラムをRAM上に展開して実行し、通信部101や表示部104に指示を出しながら動作する。
【0032】
また、処理部103では外部情報処理端末300から受信したプログラムを解釈し、表示すべき画面データを構成して表示部104で表示させる機能を持つ。
【0033】
表示部104は処理部103が構成した画面データを表示するものであって、例えば、液晶ディスプレイなどの表示デバイスが好適である。
【0034】
センサ判断部105は車両に設置されている車両センサ200から入力された信号に基づいて車両の走行状態を判断し、処理部103へ通知する。
【0035】
本実施の形態で使用する表示形式について説明する。通常表示とは車両が停止しているときの表示方法であり、走行強制表示とは車両が走行中の表示方法を指す。
【0036】
例えば、通常表示は操作者による操作が可能であることを示す表示を行い、走行強制表示は操作者による操作が一部不可能になる表示である。
【0037】
また、通常表示として表示部品の濃色化、走行強制表示として表示部品の淡色化等を行ってもよい。
【0038】
車両が走行中であることを検知した場合、すなわち、センサ判断部105が車両は走行中であると判断した場合に走行強制表示する必要がある表示部品を操作不可能とする(操作者による操作を受け付けない)設定に切替えるとともに、操作不可能であることを操作者に報知するために、例えば色を変更するなどの表示状態の変更の処理をおこなうこともできる。
【0039】
ただし、全ての表示部品について、通常表示と走行強制表示が異なる必要はなく、例えば同時に表示するボタンの数が少ないような場合は、通常表示と走行強制表示がまったく同じ表示としてもよい。
【0040】
すなわち、表示部品のうち、車両の停止中においては操作可能であり車両の走行中においては操作不可能とすべきものがある。これらの基準は自動車メーカーや国により異なる場合がある。
【0041】
外部情報処理端末300からスクリプトを受信して通常表示するまでの処理の流れは以下の通りである。まず、処理部103が通信部101にスクリプト受信を指示する。
【0042】
通信部101は外部情報端末300と接続し、スクリプトを受信する。受信したスクリプトは随時、処理部103に送られ、処理部103は保存部102にスクリプトを格納する。
【0043】
処理部103は、保存部102からスクリプトを読み出し、最初に表示すべき画面のデータを解釈する。解釈された内容をもとに画面を作成し、表示部104に表示する。以降、利用者が操作をおこない、画面の変更が発生すると、保存部102からスクリプトを読み出し、次に表示すべき画面のデータを作成して、表示部104に表示する。
【0044】
以上のように構成された情報表示装置100について、以下にその処理動作を説明する。
【0045】
図2は本発明の実施の形態1における情報表示装置100で使用する走行強制定義ファイル107を例示する図である。
【0046】
図2(a)に示すように、走行強制定義ファイル107には、表示部品の種別ごとに走行強制をかけるか否かが定義されている。
【0047】
走行強制定義ファイル107には、走行強制をかける表示部品のが記載される構成としても良い。表示部品の構成が異なるアプリケーションが存在するため、表示部品のグループごとに定義を記載しておく。
【0048】
図2(a)のApplication Group Aに属するプログラムの画面例を図2(b)に示す。画面には表示部品のうち、Listbox、Next、Prev、Back、Returnが使われている。
【0049】
図3は本発明の実施の形態1における情報表示装置100の処理部103が行う処理の
フロー図である。
【0050】
まず、ステップS101で走行状態を確認する。停止中であれば処理を終了する。走行中であれば、ステップS102に進み、画面を構成する表示部品の数だけ、ステップS103からステップS105までの処理をおこなう。
【0051】
ステップS103では表示部品の種別を確認する。次にステップS104で、走行強制定義を確認する。
【0052】
ここではステップS103で確認した表示部品種別に走行強制定義ファイルの情報を確認し、走行強制をかけるか否かの定義を確認する。走行強制なしの場合は当該表示部品の処理を終了し、次の表示部品の処理に移る。
【0053】
走行強制ありの場合、ステップS105で表示部品を走行強制状態に変更する。一般にボタンやリストボックスなどの操作可能な表示部品には、操作可能な状態(有効状態)と操作不可能な状態(無効状態)を持つものが多いため、当該表示部品を無効状態に変更することにより、走行強制状態とする。
【0054】
以上、表示部品の数だけステップS103からステップS105までの処理をおこなった後、ステップS106に進み、表示画面を更新する。
【0055】
以上のように本実施の形態によれば、表示部品の種類ごとに走行強制をかけるか否かを記載した定義ファイルと、車両の走行状態を取得するセンサとを備えることにより、情報表示装置100は、センサより通知された走行状態と定義ファイルに基づいて表示部品の表示状態を変更することができるため、モバイル機器向けアプリケーションなど、車載対応を前提として設計されていないアプリケーションを遠隔実行する場合にも走行強制を実現することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における情報表示装置について図面を参照しながら説明する。
【0056】
図4は本発明の実施の形態2における情報表示装置のブロック図である。
【0057】
本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。実施の形態2と実施の形態1との相違点は、情報表示装置100の保存部102に、機器情報ファイル108をあらかじめ格納してあるところである。
【0058】
機器情報ファイル108には、車両メーカー、使用国、機器種別などの情報を含む。機器種別とはナビゲーションシステム、リアエンターテイメントシステムなどである。
【0059】
また、実施の形態2の走行強制定義ファイル107は図5に示すように、車両メーカー、使用国、機器種別ごとに走行強制定義が記載されている。
【0060】
以上のように構成された情報表示装置について、以下にその処理動作を説明する。
【0061】
図6は本発明の実施の形態2における情報表示装置のフロー図である。
【0062】
本実施の形態において、実施の形態1と同様の処理については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0063】
実施の形態2と実施の形態1との相違点は、ステップ201にて、機器情報ファイル108から機器情報を取得する点である。また、ステップS204では、ステップS103で確認した表示部品種別に加え、ステップ201で確認した機器情報で走行強制定義ファイルの情報を確認し、走行強制をかけるか否かの定義を確認する。
【0064】
以上のように本実施の形態によれば、情報表示装置を搭載する車両のメーカー、使用国、機器種別により異なる走行強制ルールを保持した定義ファイルを用いることにより、異なる走行強制ルールに対応できる。これにより、車載対応アプリケーションの場合であっても、メーカー毎、機器毎に画面を別々に開発する必要がなく、1つのプログラムで実現できる。
【0065】
すなわち、車載対応アプリケーションの場合でも、メーカー毎、機器毎に走行強制のルールが異なる場合に、画面を別々に開発する必要がなく、開発費を削減できる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3における情報表示装置について図面を参照しながら説明する。
【0066】
本発明の実施の形態3における情報表示装置のブロック図は、実施の形態1と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0067】
以上のように構成された情報表示装置について、以下にその処理動作を説明する。
【0068】
図7は本発明の実施の形態3における情報表示装置のフロー図である。
【0069】
本実施の形態において、実施の形態1と同様の処理については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0070】
実施の形態3と実施の形態1との相違点は、ステップ104で走行強制定義ファイルを確認した際に、当該表示部品に該当する走行強制定義が記載されていない場合にもステップS105に進み、表示部品を走行強制状態に変更することである。
【0071】
図7のフロー図の代わりに、図8に示すフロー図を用いて処理を行っても良い。図8のフロー図において、実施の形態3と実施の形態1との相違点は、ステップ104で走行強制定義ファイルを確認した際に、ステップS305に進むことである。ステップS305では、全画面を走行強制状態に変更する。
【0072】
全画面走行強制の実現方法は、全ての表示部品を走行強制状態に変更しても良いし、画面全体をグレーアウトして操作ができないようにしても良い。
【0073】
以上のように本実施の形態によれば、定められた表示部品以外を使用したアプリケーションの場合でも走行強制をかけることができるので、運転者が走行中に危険な操作をおこなうことを回避できる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の情報表示装置は、車両の走行/停止を判定して表示内容を変更することで利用者の安全性を高める走行強制機能を有したカーナビゲーションシステムやカーAV等の車載表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0075】
100 情報表示装置
101 通信部
102 保存部
103 処理部
104 表示部
105 センサ判断部
106 スクリプト
107 走行強制定義ファイル
200 車両センサ
300 外部情報処理端末


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、表示部品の集合から構成されるプログラムを外部機器から受信して実行する情報表示装置であって、
前記プログラムを処理する処理部と、前記表示部品の種類ごとに走行強制をかけるか否かを記載した定義ファイルと、前記車両の走行状態を取得して前記処理部へ通知するセンサとを備え、
前記処理部は、前記センサより通知された走行状態と前記定義ファイルに基づいて前記表示部品の表示状態を変更することを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記センサから前記車両が走行中であることが通知された場合に、表示部品の表示状態を走行強制表示へ変更することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記定義ファイルがあらかじめ格納された保存部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記定義ファイルを前記外部機器から受信して実行することを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項5】
車両メーカー、機器種別、搭載位置の少なくとも1つ以上を格納した機器情報ファイルを更に備え、前記定義ファイルは、車両メーカー、機器種別ごとに定義が記載され、前記処理部が前記センサより通知された走行状態と前記機器情報ファイルの情報に基づいて前記表示部品の表示状態を変更することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記プログラム内に前記定義ファイルに記載のない表示部品が存在する場合、当該表示部品の表示状態を走行強制表示とすることを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記プログラム内に前記定義ファイルに記載のない表示部品が存在する場合、当該表示部品を含む全画面を走行強制表示とすることを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−69038(P2012−69038A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214876(P2010−214876)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】