説明

情報表示装置

【課題】表示電極とこれに電圧を印加するための配線電極とが絶縁層を介して形成され、これら表示電極と配線電極とが絶縁層の貫通孔内に形成された導通部を介して接続された構成とすることによって表示電極が窪んだ形状となった場合であっても、情報表示層にて情報を正しく表示する。
【解決手段】表示電極21が、レジスト層30に貫通孔31が設けられていることにより、貫通孔31に対向する領域にてベース基材10側に窪んだ形状を具備している構成において、情報表示層30が、貫通孔31に対向する領域が表示電極21の窪んだ形状に追随することにより空間を介さずに表示電極21と接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極に選択的に電圧が印加されることにより所望の情報を表示する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報を表示する表示装置として、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等が用いられており、これらは、テレビ受像機に用いられることによりテレビ局から送信されたテレビ映像を表示したり、パソコンのディスプレイとして用いられることにより、パソコンに保存された情報やインターネットを介して配信された情報を表示したりすることができる。これらの表示装置は、それぞれ一長一短を有しており、例えば、CRTディスプレイは、視野角が広いものの奥行きサイズが厚く、また、液晶ディスプレイは、奥行きサイズが薄いものの視野角が狭く、また、プラズマディスプレイは、視野角が広く奥行きサイズが薄いものの消費電力が多い。
【0003】
近年、上述したような表示装置に加えて、デジタル情報を紙のように薄い表示媒体に表示する薄型の情報表示装置が普及しはじめている。このような薄型の情報表示装置としては、例えば、対向配置された2つの電極層間に、帯電性粒子が液体内に分散した情報表示層を挟み込み、2つの電極層間の電位差に応じて帯電性粒子が液体内を移動することにより、情報を表示する電気泳動ディスプレイがある(例えば、特許文献1参照。)。このような薄型の情報表示装置は、紙のように薄いために携帯がしやすいとともに、消費電力が少なく、また視野角が広く、さらには、電極に印加する電圧によって表示される情報を書き換えることができるとともに、電源を切断した場合でも表示内容を保持できることから、今後のさらなる普及が予想される。
【0004】
図5は、一般的な電気泳動ディスプレイの一例を示す図であり、(a)は断面図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【0005】
本例は図5に示すように、PET等からなるベース基材110の一方の面に表示電極121、配線電極141及びレジスト層130が形成されてなる表示装置用電極基板101上に、情報表示層170が粘着層102によって接着され、さらに、情報表示層170上に、ガラスや透明フィルム等からなる透明基板161の一方の面に透明電極(例えば、ITO:Indium Tin Oxide)162が形成されてなる透明導電膜基板160が積層されて構成されている。また、透明導電膜基板160上には、その周囲にマスク印刷103が施されている。
【0006】
表示装置用電極基板101は、ベース基材110の一方の面に、表示電極121に電圧を印加するための配線電極141が形成され、この配線電極141が形成されたベース基材110上にレジスト層130が形成され、このレジスト層130上に、表示される情報に応じたパターンで複数の表示電極121が形成されている。レジスト層130には、配線電極141に対向する領域に微細な径を有する貫通孔131が形成されており、表示電極121は、この貫通孔131内に形成された導通部150を介して配線電極141と接続されている。また、表示電極121は、貫通孔131に対向する領域が、ベース基材110側に窪んでおり、それにより、表示電極121と粘着層102との間に空間109が生じている。
【0007】
情報表示層170は、隔壁171とシール層174とで囲まれた領域に、帯電性粒子173が分散した隔壁内液体172が収容されて構成されている。そして、表示装置用電極基板101、情報表示層170及び透明導電膜基板160は、透明電極162と表示電極121とが、隔壁171とシール層174とで囲まれた領域に収容された隔壁内液体172を介して対向するように積層されている。なお、隔壁171は、底部と、情報表示層170の外周部となる側部と、側部で囲まれた領域を複数の領域に区画するための壁部とからなり、底部とは反対側の面が開口した形状となっている。そして、底部側が透明導電膜基板160に対向するように積層されており、開口した側にシール層174が積層されている。
【0008】
上記のように構成された電気泳動ディスプレイ104においては、例えば、透明電極162を0Vとした状態で、複数の表示電極121にプラスあるいはマイナスの電圧が選択的に印加されると、表示電極121と透明電極162との間の電位差によって、隔壁内液体172内にて帯電性粒子173がクーロン力で移動し、表示電極121と透明電極162のいずれか一方の側に引き寄せられる。そして、隔壁内液体172が染料または顔料で黒色に着色されており、帯電性粒子173が高屈折率の光散乱成分を含むため、透明導電膜基板160側から見た場合、表示電極121側に帯電性粒子173が引き寄せられた領域が黒色に見え、また、透明電極162側に帯電性粒子173が引き寄せられた領域が白色に見え、これら見える色の違いによって所望の情報が認識されることになる。
【0009】
以下に、上述した電気泳動ディスプレイ104の製造方法について説明する。
【0010】
図6は、図5に示した電気泳動ディスプレイ104の製造方法を説明するための図である。なお、図6においては、説明をわかりやすくするために図5に示した電気泳動ディスプレイ104の一部の断面図を示している。
【0011】
まず、ベース基材110上に導電性材料を印刷製法で塗布することにより配線電極141を形成する(図6(a))。
【0012】
次に、配線電極141が形成されたベース基材110上に、配線電極141に対向する領域に貫通孔131が設けられるように絶縁性材料を印刷製法で塗布することによりレジスト層130を形成する(図6(b))。
【0013】
次に、レジスト層130上において、貫通孔131が設けられた領域を含み、表示される情報に応じたパターンの形状に導電性材料を印刷製法で塗布することにより複数の表示電極121を形成するととともに、この導電性材料を貫通孔131に入り込ませることにより導通部150を形成し、表示装置用電極基板101を完成させる(図6(c))。この際、表示電極121を形成するための導電性材料が貫通孔131に入り込むことにより、表示電極121の貫通孔131に対向する領域は、ベース基材110側に窪んだ状態となる。
【0014】
その後、表示装置用電極基板101の表示電極121が形成された面側に、透明電極162と表示電極121とが、隔壁171で囲まれた領域に収容された隔壁内液体172を介して対向するように情報表示層170及び透明導電膜基板160を積層し、これらを粘着層102によって接着して電気泳動ディスプレイ104を完成させる(図6(d))。この際、表示電極121がベース基材110側に窪んだ部分においては、貫通孔131が微細な径を有するものであることにより、粘着層102及び情報表示層170が表示電極121の窪んだ形状に追随することがなく、それにより、表示電極121と粘着層102との間に空間109が生じることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−114302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、表示電極121と粘着層102及び情報表示層170との間に空間109が生じた場合、その領域においては、表示電極121と透明電極162との間に、帯電性粒子173が分散した隔壁内液体172の他に、空間109内の空気が介在することとなるが、空気は誘電率が小さいため、空気が介在した領域においては、表示電極121と透明電極162にそれぞれ印加された電圧による電位差が生じにくくなる。
【0017】
図7は、図5に示した電気泳動ディスプレイ104にて表示電極121と粘着層102との間に生じた空間109による弊害を説明するための図である。
【0018】
図7(a)に示すように、表示電極121に対向する領域においては、貫通孔131に対向する領域において上記のように空間109が生じている。
【0019】
この状態で、例えば、透明電極162を0Vとするとともに、表示電極121にプラスの電圧を印加すると、図5に示した電気泳動ディスプレイ104を透明導電膜基板160側から見た場合、表示電極121に対向する領域は帯電性粒子173が透明電極162側に引き寄せられることによって白色に見えるはずが、空間109が生じている領域においては、表示電極121と透明電極162にそれぞれ印加された電圧による電位差が生じにくくなっていることにより、帯電性粒子173が透明電極162側に引き寄せられず、図(b)に示すように白色と黒色との中間色108が表示されてしまう。
【0020】
このように、表示電極121と粘着層102及び情報表示層170との間に空間109が生じた場合、その領域においては、情報表示層170にて情報が正しく表示されないことになってしまうという問題点がある。
【0021】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、表示電極とこれに電圧を印加するための配線電極とが絶縁層を介して形成され、これら表示電極と配線電極とが絶縁層の貫通孔内に形成された導通部を介して接続された構成とすることによって表示電極が窪んだ形状となった場合であっても、情報表示層にて情報を正しく表示することができる情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材上に形成された配線電極と、前記ベース基材の前記配線電極が形成された面上に前記配線電極が表出する貫通孔を具備して形成された絶縁層と、前記絶縁層上に前記貫通孔内に形成された導通部を介して前記配線電極と接続されて形成され、前記貫通孔に対向する領域が前記ベース基材側に窪んだ形状を具備する表示電極と、前記ベース基材の前記表示電極が形成された側に積層された情報表示層と、前記情報表示層の前記ベース基材とは反対側に積層された電極層とを有し、前記情報表示層が、前記電極層と前記配線電極を介して電圧が印加された前記表示電極との間の電位差に応じて情報を表示する情報表示装置において、
前記情報表示層は、前記貫通孔に対向する領域が前記表示電極の前記窪んだ形状に追随することにより空間を介さずに前記表示電極と接着されていることを特徴とする。
【0023】
上記のように構成された本発明においては、電極層と配線電極を介して電圧が印加された表示電極との間の電位差に応じて情報表示層にて情報が表示されることになる。ここで、表示電極は、絶縁層に設けられた貫通孔内に形成された導通部を介して配線電極と接続されているが、絶縁層に貫通孔が設けられていることにより、貫通孔に対向する領域にてベース基材側に窪んだ形状を具備している。また、情報表示層においては、貫通孔に対向する領域が表示電極の窪んだ形状に追随することにより空間を介さずに表示電極と接着されている。そのため、表示電極が窪んだ形状を具備するものの、その領域において表示電極と電極層にそれぞれ印加された電圧による電位差が生じにくくなることはなく、情報表示層において、表示電極と電極層との間の電位差に応じた情報が正しく表示されることになる。
【0024】
また、このように、情報表示層の貫通孔に対向する領域が表示電極の窪んだ形状に追随するようにするためには、例えば、情報表示装置が、ベース基材上に配線電極を形成し、配線電極が形成されたベース基材上に絶縁層を形成し、絶縁層上に表示電極を形成するとともに導通部を形成した後、情報表示層及び電極層を積層することによって製造されるものである場合、貫通孔の径を、ベース基材に情報表示層が積層された際に情報表示層が表示電極の窪んだ形状に追随が可能となるものとすることが考えられる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明においては、表示電極が、絶縁層に貫通孔が設けられていることにより、貫通孔に対向する領域にてベース基材側に窪んだ形状を具備している構成において、情報表示層が、貫通孔に対向する領域が表示電極の窪んだ形状に追随することにより空間を介さずに表示電極と接着されているものとしたため、表示電極が窪んだ領域において表示電極と電極層にそれぞれ印加された電圧による電位差が生じにくくなることはなく、情報表示層において、表示電極と電極層との間の電位差に応じた情報を正しく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の情報表示装置に用いられる表示装置用電極基板の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA部における断面図、(c)は(a)に示したA部における裏面図である。
【図2】本発明の情報表示装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【図3】図2に示した電気泳動ディスプレイによる二次元コードの表示動作を説明するための図であり、(a)はセル電極と透明電極との間における電位差による帯電性粒子の移動を示す図、(b)は電気泳動ディスプレイを透明導電膜基板側から見た場合の見え方を示す図である。
【図4】図2に示した電気泳動ディスプレイの製造方法を説明するための図である。
【図5】一般的な電気泳動ディスプレイの一例を示す図であり、(a)は断面図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【図6】図5に示した電気泳動ディスプレイの製造方法を説明するための図である。
【図7】図5に示した電気泳動ディスプレイにて表示電極と粘着層との間に生じた空間による弊害を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の情報表示装置に用いられる表示装置用電極基板の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA部における断面図、(c)は(a)に示したA部における裏面図である。
【0029】
本形態は図1に示すように、PET等からなるベース基板10の一方の面上に、配線パターン42及びこれに接続された配線電極41が形成されており、これら配線パターン42及び配線電極41が形成された面上に、貫通孔31を具備する絶縁層となるレジスト層30が形成されている。また、レジスト層30上に、セル電極21がマトリックス状に形成されているとともに、電極22が形成されており、これら表示電極となるセル電極21及び電極22は、貫通孔31内に形成された導通部50を介して配線電極41と接続されている。
【0030】
セル電極21及び電極22は、貫通孔31が設けられた領域において、絶縁層30に貫通孔31が設けられることにより、ベース基材10側に窪んだ形状となっている。配線電極41は、一辺の長さW1が500μmの正方形からなり、また、貫通孔31は、配線電極41側の径W2が最も短く250μmとなっており、セル電極21や電極22側に向かってその径が広がっている。
【0031】
また、本形態の表示装置用電極基板1は、後述するように二次元バーコードを表示するためのものであるため、マトリックス状に形成されたセル電極21は、二次元コードを構成する黒色や白色のドットで表される1つのセルドットと同一の形状を有しており、また、電極22は、表示される二次元コードの向きや位置を正しく認識するための固定パターンを表示するための形状となっている。
【0032】
図2は、本発明の情報表示装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【0033】
本形態は図2に示すように、図1に示した表示装置用電極基板1上に、情報表示層70がホットメルトフィルムからなる粘着層2によって接着され、さらに、情報表示層70上に、ガラスや透明フィルム等からなる透明基板61の一方の面に電極層となる透明電極(例えば、ITO)62が形成されてなる透明導電膜基板60が積層されて構成された電気泳動ディスプレイ4である。また、透明導電膜基板60上には、その周囲にマスク印刷3が施されている。
【0034】
情報表示層70は、隔壁71とシール層74とで囲まれた領域に、帯電性粒子73が分散した隔壁内液体72が収容されて構成されている。そして、表示装置用電極基板1、情報表示層70及び透明導電膜基板60は、透明電極62とセル電極21及び電極22とが、隔壁71とシール層74とで囲まれた領域に収容された隔壁内液体72を介して対向するように積層されている。なお、隔壁71は、底部と、情報表示層70の外周部となる側部と、側部で囲まれた領域を複数の領域に区画するための壁部とからなり、底部とは反対側の面が開口した形状となっている。そして、底部側が透明導電膜基板60に対向するように積層されており、開口した側にシール層74が積層されている。
【0035】
また、情報表示層70及び粘着層2は、貫通孔31に対向する領域において、セル電極21及び電極22の形状に追随してベース基材10側に窪んだ形状となっている。それにより、情報表示層70及び粘着剤2とセル電極21及び電極22とは、空間を介さずに接着されている。
【0036】
以下に、上述した電気泳動ディスプレイ4による二次元コードの表示動作について説明する。
【0037】
図3は、図2に示した電気泳動ディスプレイ4による二次元コードの表示動作を説明するための図であり、(a)はセル電極21と透明電極62との間における電位差による帯電性粒子73の移動を示す図、(b)は電気泳動ディスプレイ4を透明導電膜基板60側から見た場合の見え方を示す図である。
【0038】
図2に示した電気泳動ディスプレイ4によって二次元コードを表示する場合、例えば、透明電極62を0Vとし、ベース基板10に形成されたセル電極21のうち、表現したい情報に応じて黒色のセルドットを表示するためのセル電極21に配線電極41を介してマイナスの電圧を印加とするとともに、白色のセルドットを表示するためのセル電極21に配線電極41を介してプラスの電圧を印加する。また、二次元コードの固定パターンを表示するための電極22に対しても、表示する色に応じて黒色を表示する部分に配線電極41を介してマイナスの電圧を印加するとともに、白色を表示するための部分に配線電極41を介してプラスの電圧を印加する。
【0039】
このように、透明電極62が0Vとされた状態で、セル電極21や電極22にマイナスあるいはプラスの電圧が選択的に印加されると、マイナスの電圧が印加されたセル電極21や電極22に対向する領域においては、セル電極21や電極22に対して透明電極62側がプラスとなる電位差が生じ、また、プラスの電圧が印加されたセル電極21や電極22に対向する領域においては、セル電極21や電極22に対して透明電極62側がマイナスとなる電位差が生じる。すると、隔壁71及びシール層74で囲まれた領域に収容された隔壁内液体72が誘電性物質からなり、帯電性粒子73がプラス電位に帯電しているものであることから、図3(a)に示すように、マイナスの電圧が印加されたセル電極21や電極22に対向する領域においては、帯電性粒子73がセル電極21や電極22側に引き寄せられていき、また、プラスの電圧が印加されたセル電極21や電極22に対向する領域においては、帯電性粒子73が透明電極62側に引き寄せられていく。
【0040】
そして、隔壁内液体72が染料または顔料で黒色に着色されており、帯電性粒子73が高屈折率の光散乱成分を含むため、この電気泳動ディスプレイ4を透明導電膜基板60側から見た場合、マイナスの電圧が印加されたセル電極21や電極22に対向する領域においては、情報表示層70による黒色が透明導電膜基板60を介して認識され、また、プラスの電圧が印加されたセル電極21や電極22に対向する領域においては、情報表示層70による白色が透明導電膜基板60を介して認識されるようになり、それにより、図3(b)に示すように、黒色のセルドット5aと白色のセルドット5bとが、表現する情報に応じたパターンで分布して表示されるとともに、黒色で固定パターン5cが表示された二次元コードが表現されることになる。
【0041】
以下に、上述した電気泳動ディスプレイ4の製造方法について説明する。
【0042】
図4は、図2に示した電気泳動ディスプレイ4の製造方法を説明するための図である。なお、図4においては、説明をわかりやすくするために図2に示した電気泳動ディスプレイ4の一部の断面図を示している。
【0043】
まず、ベース基材10上に導電性材料を印刷製法で塗布することにより配線電極41及び配線パターン42を形成する(図4(a))。
【0044】
次に、配線電極41及び配線パターン42が形成されたベース基材10上に、配線電極41に対向する領域に貫通孔31が設けられるように絶縁性材料を印刷製法で塗布することによりレジスト層30を形成する(図4(b))。なおこの際、貫通孔31の径を上述したようなものとする。
【0045】
次に、レジスト層30上において、貫通孔31が設けられた領域を含んで導電性材料を印刷製法で塗布することにより複数のセル電極21及び電極22を形成するととともに、この導電性材料を貫通孔31に入り込ませることにより導通部50を形成し、表示装置用電極基板1を完成させる(図4(c))。この際、セル電極21及び電極22を形成するための導電性材料が貫通孔31に入り込むことにより、セル電極21及び電極22の貫通孔31に対向する領域は、ベース基材10側に窪んだ状態となる。
【0046】
その後、表示装置用電極基板1のセル電極21及び電極22が形成された面側に、透明電極62とセル電極21及び電極22とが、隔壁71で囲まれた領域に収容された隔壁内液体72を介して対向するように情報表示層70及び透明導電膜基板60を積層し、これらを粘着層2によって接着して電気泳動ディスプレイ4を完成させる(図4(d))。この際、貫通孔31が、配線電極41側の径W2が最も短く250μmであり、セル電極21や電極22側に向かってその径が広がっている形状であることにより、情報表示層70及び粘着層2は、貫通孔31に対向する領域において、セル電極21及び電極22の形状に追随してベース基材10側に窪んだ形状となり、それにより、情報表示層70及び粘着剤2とセル電極21及び電極22とが空間を介さずに接着された状態となる。すなわち、貫通孔31の径を、表示装置用電極基板1上に情報表示層70を積層した際に、情報表示層70がセル電極21及び電極22がベース基材10側に窪んだ形状に追随可能なものとすることにより、情報表示層70及び粘着剤2とセル電極21及び電極22とが空間を介さずに接着された状態とすることができる。
【0047】
これにより、セル電極21及び電極22からなる表示電極と配線電極41とがレジスト層30の貫通孔31内に形成された導通部50を介して接続された構成とすることによってセル電極21及び電極22が窪んだ形状となった場合であっても、情報表示層70のうち、セル電極21及び電極22が窪んだ領域に対向する領域において、セル電極21及び電極22と透明電極62にそれぞれ印加された電圧による電位差が生じにくくなることがなく、それにより、情報表示層70にて二次元コードを正しく表示することができる。
【0048】
なお、表示装置用電極基板1上に情報表示層70を積層した際に、情報表示層70がセル電極21及び電極22がベース基材10側に窪んだ形状に追随可能となる径としては、上述した250μmに限らず、また、その形状としても、上述したようにその径が配線電極41側からセル電極21及び電極22側に向かって広がるものに限らない。すなわち、貫通孔31は、その径が、表示装置用電極基板1上に情報表示層70を積層した際に、情報表示層70がセル電極21及び電極22がベース基材10側に窪んだ形状に追随可能なものであれば、いかなる径、形状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 表示装置用電極基板
2 粘着層
3 マスク印刷
4 電気泳動ディスプレイ
5a,5b セルドット
5c 固定パターン
10 ベース基材
21 セル電極
22 電極
30 レジスト層
31 貫通孔
41 配線電極
42 配線パターン
50 導通部
60 透明導電膜基板
61 透明基板
62 透明電極
70 情報表示層
71 隔壁
72 隔壁内液体
73 帯電性粒子
74 シール層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材上に形成された配線電極と、前記ベース基材の前記配線電極が形成された面上に前記配線電極が表出する貫通孔を具備して形成された絶縁層と、前記絶縁層上に前記貫通孔内に形成された導通部を介して前記配線電極と接続されて形成され、前記貫通孔に対向する領域が前記ベース基材側に窪んだ形状を具備する表示電極と、前記ベース基材の前記表示電極が形成された側に積層された情報表示層と、前記情報表示層の前記ベース基材とは反対側に積層された電極層とを有し、前記情報表示層が、前記電極層と前記配線電極を介して電圧が印加された前記表示電極との間の電位差に応じて情報を表示する情報表示装置において、
前記情報表示層は、前記貫通孔に対向する領域が前記表示電極の前記窪んだ形状に追随することにより空間を介さずに前記表示電極と接着されていることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示装置において、
前記ベース基材上に前記配線電極を形成し、前記配線電極が形成された前記ベース基材上に前記絶縁層を形成し、前記絶縁層上に前記表示電極を形成するとともに前記導通部を形成した後、前記情報表示層及び前記電極層を積層することによって製造され、
前記貫通孔は、前記ベース基材に前記情報表示層が積層された際に該情報表示層が前記表示電極の窪んだ形状に追随が可能となる径を有する情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−93432(P2012−93432A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238656(P2010−238656)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】