説明

情報表示装置

【課題】室内用の情報表示装置と室外用の情報表示装置を共用化し、かつ軽量化を実現することを目的とする。
【解決手段】本体ケース7には、有効な開口の長手方向が表示部4の所定の一辺とほぼ同等の長さであって、その辺に沿って平行な複数の背面開口部12を設け、この背面開口部12のうち、一つを吹出口12a、一つを吸込口12bとした二つを塞ぐようにして熱交換器11を設け、残りの背面開口部12を通気口カバー24で密閉し、熱交換器11は、吹出口12aから吹き出した本体ケース7内の空気(以降、内気)を外気との熱交換によって冷却した後、吸込口12bから本体ケース7内へと流入させる内気風路と、この内気風路に対して空気を送り込むための循環送風機18を備えた構造にしたことにより、情報表示装置は室内用から簡単に室外用に変更でき、かつ軽量化を実現できるという効果を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば情報表示装置に活用される放熱ユニットおよびこれを組み込んだ情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報表示装置、例えばテレビジョン受像機では、本体ケースの前面側に表示部が設けられ、またこの本体ケースの内部には前記表示部の制御部が設けられ、制御部の背面側は仕切り板で覆われていた。
【0003】
そして、屋内で使用する場合は、機器の上面と下面とに内部の熱を放熱する孔をそれぞれ配置するようにしていた(例えば特許文献1)。
【0004】
また、屋外で使用する場合は、本体ケース内に雨水が浸入しないように密閉構造を有し、背面に設けた放熱板で内部の熱を放熱するようにしていた(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9―284677号公報
【特許文献2】特開平7―322172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年のテレビジョン受像機のような情報表示装置は、その表示部が極めて大きくなってきたので、その表示効果の高さを利用し、これを広告装置として屋外に設置する取り組みも活発化されるようになっている。
【0007】
この場合、屋外で使用するためには、屋内で使用する場合の放熱のための孔を設けることはできないので、本体ケース内に雨水が浸入しないように密閉構造をとることが必要となり、そのためにこの本体ケースの前面開口部は表示部で、また背面開口部は仕切り板で、それぞれ密封する構成としていた。
【0008】
しかしながら、この様な密閉構造をとると、本体ケース内部分となる表示部背面側や、制御部の放熱が十分に行えなくなる。
【0009】
そこで、従来は本体ケースの背面側に設けた前記仕切り板を金属製とし、さらにこの仕切り板の内、外に金属製のフィンを複数設け、この状態で本体ケース内の空気を送風機で攪拌する構成としていた。
【0010】
つまり、本体ケース内の空気を送風機で攪拌することで、先ず、本体ケース内の熱を、本体ケース内のフィンに伝達し、次に、熱伝導によりこのフィンから仕切り板に熱を移動させ、その後、熱伝導により、本体ケース外のフィンに熱を移動させ、その後本体ケース外のフィンから屋外空気に放熱させる構成となっている。
【0011】
しかしながら、このような放熱構造、つまり金属製仕切り板の内、外に金属製のフィンを複数設けた構造は、よく知られているように極めて重くなり、このように放熱構造が重くなると、情報表示装置自体も重くなり、結果として屋外の高所に設置するのに好ましくないものとなる。
【0012】
そして、なにより屋外で使用するための機器と屋内で使用するための機器とで構造が異なる2タイプの機器を用意しなければならなかった。
【0013】
そこで、本発明は室内用から簡単に室外用に変更でき、情報表示装置の軽量化を図り、効率的に熱交換することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そして、この目的を達成するために、本発明は、本体ケースには、有効な開口の長手方向が前記表示部の所定の一辺とほぼ同等の長さであり、その辺に沿って平行な複数の開口部を設け、前記開口部のうち、一つを吹出口、一つを吸込口とした二つを塞ぐようにして熱交換器を設け、残りの前記開口部を開口部遮蔽手段で密閉し、前記熱交換器は、前記吹出口から吹き出した前記本体ケース内の空気(以降、内気)を外気との熱交換によって冷却した後、前記吸込口から前記本体ケース内へと流入させる内気風路と、この内気風路に対して空気を送り込むための循環送風機を備えた情報表示装置であり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0015】
本体ケースにほぼ長方形の表示部と制御部とを内蔵した情報表示装置であって、前記本体ケースには、有効な開口の長手方向が前記表示部の所定の一辺とほぼ同等の長さであって、その辺に沿って平行な複数の開口部を設け、前記開口部のうち、一つを吹出口、一つを吸込口とした二つを塞ぐようにして熱交換器を設け、残りの前記開口部を開口部遮蔽手段で密閉し、前記熱交換器は、前記吹出口から吹き出した前記本体ケース内の空気(以降、内気)を外気との熱交換によって冷却した後、前記吸込口から前記本体ケース内へと流入させる内気風路と、この内気風路に対して空気を送り込むための循環送風機を備えた情報表示装置であって、本発明によれば、情報表示装置は室内用から簡単に室外用に変更でき、かつ軽量化を実現できるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1の情報表示装置の設置例を示す斜視図
【図2】同情報表示装置の前面側斜視図
【図3】同情報表示装置の背面側斜視図
【図4】同情報表示装置の背面側分解斜視図
【図5】同情報表示装置の熱交換器を装着した背面斜視図
【図6】同情報表示装置の熱交換器を装着する背面側分解斜視図
【図7】同熱交換体の斜視図
【図8】同熱交換体の分解斜視図
【図9】同情報表示装置の上面断面図(内気の通風経路を説明する図)
【図10】同情報表示装置の上面断面図(外気の通風経路を説明する図)
【図11】同情報表示装置の上面側を切断した斜視図(内気の通風経路を説明する図)
【図12】同情報表示装置の上面側を切断した斜視図(外気の通風経路を説明する図)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の請求項1記載の情報表示装置は、本体ケースにほぼ長方形の表示部と制御部とを内蔵し、前記本体ケースには、有効な開口の長手方向が前記表示部の所定の一辺とほぼ同等の長さであって、その辺に沿って平行な複数の開口部を設け、前記開口部のうち、一つを吹出口、一つを吸込口とした二つを塞ぐようにして熱交換器を設け、残りの前記開口部を開口部遮蔽手段で密閉し、前記熱交換器は、前記吹出口から吹き出した前記本体ケース内の空気(以降、内気)を外気との熱交換によって冷却した後、前記吸込口から前記本体ケース内へと流入させる内気風路と、この内気風路に対して空気を送り込むための循環送風機を備えたものであり、熱交換器で冷却された空気を本体ケース内部全体に通して情報表示装置内部を効率的に冷却できるという効果を奏する。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1において、情報表示装置1は、テレビジョン受像機としての機能以外に、屋外における広告用の表示も行えるようになった電子機器である。したがって、この図1では、情報表示装置1は商店2の軒下3、つまり屋外に設置され、この屋外において横長、長方形状(四角形の一例)の表示部4が、前面側に表出した状態となっている。
【0020】
まず、屋内用の情報表示装置1について説明する。
【0021】
情報表示装置1の外殻は、図2、図3に示すように、横長、長方形状の枠状に形成された本体ケース7と、その前面開口部5を覆った透明板8と、背面側を塞ぐ背面板9で構成されている。本体ケース7には、図4で示すように、制御部10、およびパネル状の表示部4が内蔵される。背面板9には、実質的に表示部4の一辺に沿って平行に背面開口部12が複数個設けられている。ここで、ひとつの背面開口部12は、形態として大きなひとつの開口だけではなく、複数の開口の集合体であってもよく、その集合体の状態で表示部4の一辺に平行であればよい。例えば、パンチングメタルのように丸孔を多数空け、複数の丸孔全体で表示部4の辺に沿って長細い長方形状であればよい。
【0022】
そして、このような情報表示装置1を、設置された場所の雰囲気の空気を本体ケース7内に導入しても良い環境、すなわち、例えば屋内に設置した場合に、その背面における制御部10、表示部4の冷却作用について説明する。図3(a)に示すように、情報表示装置1の設置状態により、縦方向に長手方向を向けた背面開口部12においては、背面開口部12の下方より冷たい外気空気が侵入し、本体ケース7内で暖められて上昇し、背面開口部12の上方より排出される。このような作用が繰り返されることにより、本体ケース7内の温度が所定の温度以下に保たれるのである。
【0023】
一方、図3(b)に示すように、情報表示装置1の設置状態により、背面開口部12が横方向に長手方向を向けた場合について説明する。背面開口部12は、本体ケース7背面に複数個設けられている。すなわち、下側の背面開口部12から流入した空気は、暖められて上側の背面開口部12から排出されるのである。このようにして絶えず冷たい外気空気が本体ケース7内に供給されて、本体ケース7内部の温度が所定の値以下に抑えられるのである。また、このとき、背面開口部12は、平行な表示部4の辺とほぼ同じ長さに形成されているので、流入した外気は、表示部4全体に接触しながら上方へと移動する。従って、表示部4の効率的な冷却が可能になるのである。
【0024】
なお、図3に示された背面開口部12には、網状、あるいはパンチングメタル状のカバーを設けて、異物の侵入を防止することができる。
【0025】
次に、情報表示装置1を屋外など、雰囲気の空気を本体ケース7内に供給すると装置に不具合がある場合について説明する。
【0026】
図5に示すように、屋外設置するときの情報表示装置1は、少なくとも2つの背面開口部12を塞ぐように熱交換器11を背面板9に取り付けている。そして、残りの背面開口部12は、通気口カバー24で塞ぐ。熱交換器11は、図6で示すように、熱交換体13と送風機21とそれらを覆うカバー22とで構成されている。
【0027】
熱交換体13は図7、図8に示すように板体14、15、16、17を、下方から上方に数十枚、順番に、所定間隔をおいて積層した構成となっている。この内、板体14、16は図8のごとく、左後方に開口部14a、16aを有し、右側方に開口部14b、16bを有し、かつ開口部14a、16aと、開口部14b、16b間を三レーンに仕切るリブ14c、16cを有する。また、板体15、17は図8のごとく、左前方に開口部15a、17aを有し、右前方に開口部15b、17bを有し、かつ開口部15a、17aと、開口部15b、17b間を三レーンに仕切るリブ15c、17cを有する。そして、板体15、16間の開口部15a、15bを背面板9の背面開口部12に連結することで、温風空気路としている。
【0028】
また、この温風空気路において、背面板9の背面開口部12内側には、図6のごとく循環送風機18が連結されている。この循環送風機18は背面板9の背面開口部12内側に装着されたものであるが、その外周はダクト19の後端部内に配置されており、またダクト19の前端は、透明板8背面側と表示部4の前面側に設けた送風路20に連結されている。つまり、循環送風機18を駆動すれば、図9のごとく、循環送風機18、ダクト19、送風路20(表示部4の前面側)、制御部10、熱交換体13の温風空気路、循環送風機18と温風が流れるようになっている。
【0029】
また、板体14、15間の開口部14a、14bを背面板9の後方で、大気に開放することで、冷却空気路としている。そして、この冷却空気路において、開口部14b側には、図10のごとく送風機21が連結されている。
【0030】
つまり、送風機21を駆動すれば、図10のごとく熱交換体13の冷却空気路、送風機21と冷却風が流れるようになっている。
【0031】
この結果、上述した本体ケース7内の温風は、熱交換体13において、冷却風と熱交換され、冷却され、その後、上述した循環送風機18、ダクト19、送風路20(表示部4の前面側)、制御部10、熱交換体13の温風空気路、循環送風機18と温風が流れることで、表示部4、制御部10の冷却をすることになる。
【0032】
なお、熱交換体13における熱交換は、板体14、15、16、17を挟んで、温風と冷却風が対向して流れることで、その板体14、15、16、17の熱伝導を介して行われるようになっている。
【0033】
この時、板体14、15、16、17は極めて薄いものであるので、これを金属のような熱伝導性の良い材料で形成しなくとも、軽量化が図りやすい合成樹脂で形成しても良い。
【0034】
なお、本体ケース7内において、表示部4は図9、図10から理解されるように、右側に寄せて配置することで、この本体ケース7内の左側部分には、循環送風機18とダクト19を収納する空間を形成するとともに、上述したように表示部4の前面側に冷却用空気を送風することが出来るようにしている。
【0035】
また、熱交換体13は背面板9の背面側に設置しているが、その状態において、カバー22で覆っている。
【0036】
このような熱交換器11を取り付けた場合においては、背面開口部12のうち、本体ケース7内の空気が吹き出す側(吹出口12a)から吹き出した空気を内気送風経路に通して、外気との熱交換を行った後、背面開口部12の吸込口12bから本体ケース7内へ冷たい空気を送り込むのである。このようにして、本体ケース7内に冷やされた空気を送り込んで表示部4、制御部10の冷却を行っている。
【0037】
なお、送風機21については、背面開口部12から挿入する形式でもよい。このような構成によれば、熱交換器11を取り付ける場合に、後付けで内気用の送風機21を設けることができる。また、室内用として情報表示装置1を用いる場合にも、内気用の送風機21を取り付けることによって、本体ケース7内と外気の空気入れ替えを促進し、冷却効果を高くすることができるのである。
【0038】
また、背面板9に設けられる熱交換器11、あるいは、通気口カバー24の取付用ボルト孔については、シールドポップナットを取り付けておくと良い。このシールドポップナットによれば、ボルト孔からの水の浸入を防ぐことが可能になる。
【0039】
また、熱交換器11の内気送風経路の出入り口となる部分には、背面板9と密着するように、その周りにパッキンを施すと良い。
【0040】
また、本実施の形態では、熱交換体13は、内気送風経路、外気送風経路を形成した複数の伝熱板を交互に積層したものを用いたが、内気送風経路を複数の管体で形成し、この管体の間を外気が通過できるように形成したものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のごとく本発明は、内部前面側に表示部を収納した本体ケースと、この本体ケース内に配置した制御部と、前記本体ケースの非前面に設けた開口部に装着され、前記本体ケースの内部と外部を仕切る仕切り板と、この仕切り板に装着した熱交換体とを備え、前記熱交換体は、前記仕切り板の前記本体ケース内部側の温風空気を流す温風空気路と、この温風空気路内に前記本体ケース内部側の温風空気を流す第一の送風機と、前記本体ケース外部側の冷却空気を流す冷却空気路と、この冷却空気路内に前記仕切り板の前記本体ケース外部側の冷却空気を流す第二の送風機とを有する構成としたものであるので、軽量化を図ることができる。
【0042】
すなわち、本発明においては、従来のように情報表示装置の反対ケース内部にまで放熱用のフィンを設けなくても、第一の送風機により、熱交換体の温風空気路内に情報表示装置内部側の温風空気を流し、また第二の送風機により、熱交換体の冷却空気路内に情報表示装置外部側の冷却空気を流すことで、この本体ケース内の効果的な冷却を行うことが出来、その結果として軽量化を図ることができるのである。
【0043】
したがって、屋外設置タイプの情報表示装置にも、広く活用されることが期待される。
【符号の説明】
【0044】
1 情報表示装置
2 商店
3 軒下
4 表示部
5 前面開口部
6 電源部
7 本体ケース
8 透明板
9 背面板
10 制御部
11 熱交換器
12 背面開口部
12a 吹出口
12b 吸込口
13 熱交換体
14、15,16,17 板体
18 循環送風機
19 ダクト
20 送風路
21 送風機
22 カバー
24 通気口カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースにほぼ長方形の表示部と制御部とを内蔵した情報表示装置であって、
前記本体ケースには、有効な開口の長手方向が前記表示部の所定の一辺とほぼ同等の長さであって、その辺に沿って平行な複数の開口部を設け、
前記開口部のうち、一つを吹出口、一つを吸込口とした二つを塞ぐようにして熱交換器を設け、
残りの前記開口部を開口部遮蔽手段で密閉し、
前記熱交換器は、前記吹出口から吹き出した前記本体ケース内の空気(以降、内気)を外気との熱交換によって冷却した後、前記吸込口から前記本体ケース内へと流入させる内気風路と、
この内気風路に対して空気を送り込むための循環送風機を備えた情報表示装置。
【請求項2】
前記循環送風機は、前記吹出口から前記本体ケース内へ挿入して設置する請求項1記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記熱交換器は、内気風路を複数の管体で形成した請求項1または2記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記熱交換器は、内気風路を形成する複数の伝熱板と、外気風路を形成する複数の伝熱板とを交互に積層して形成し、
前記本体ケース外の空気を取り入れる外気送風機を有し、
前記内気風路は、U字状の送風路である請求項1記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記熱交換器は、前記本体ケースの背面に設けたシールドポップナットで固定する請求項1〜4いずれかひとつに記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記熱交換器は、前記吸込口、前記吹出口に対応する内気送風路の出入り口の周囲にパッキンを施した請求項1〜5いずれかひとつに記載の情報表示装置。
【請求項7】
前記熱交換器と前記開口部遮蔽手段を前記本体ケースの背面から取り外して前記開口部を露出し、屋内に設置する請求項1〜6いずれかひとつに記載の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−98207(P2013−98207A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236905(P2011−236905)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】