説明

情報解析装置、ネットワークシステムおよびプログラム

【課題】システムの導入に大きなコストがかかるという課題を解決すること。
【解決手段】情報解析装置は、電気機器の動作情報を利用することを許可したユーザである許可ユーザを識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部と、複数のユーザがそれぞれ使用する複数の電気機器から動作情報をネットワークを介して収集し格納する動作情報サーバから、許可ユーザが使用する電気機器の動作情報を取得する情報取得部と、情報取得部が取得した動作情報を解析する解析部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報解析装置、ネットワークシステムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネット家電機器で構築されるホームネットワークにおいて、ネット家電機器の統括制御を行うネット家電機器コントローラを用いたネットワークシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2006−172416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
家電機器コントローラを導入しかつ家電機器をネットワーク対応させなければ、システムを導入するメリットを享受することができない。したがって、システムの導入に大きなコストがかかるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様における情報解析装置は、電気機器の動作情報を利用することを許可したユーザである許可ユーザを識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部と、複数のユーザがそれぞれ使用する複数の電気機器から動作情報をネットワークを介して収集し格納する動作情報サーバから、許可ユーザが使用する電気機器の動作情報を取得する情報取得部と、情報取得部が取得した動作情報を解析する解析部とを備える。
【0005】
本発明の第2の態様におけるネットワークシステムは、上記情報解析装置と、動作情報サーバとを備える。
【0006】
本発明の第3の態様におけるプログラムは、コンピュータを、電気機器の動作情報を利用することを許可したユーザである許可ユーザを識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部、複数のユーザがそれぞれ使用する複数の電気機器から動作情報をネットワークを介して収集し格納する動作情報サーバから、許可ユーザが使用する電気機器の動作情報を取得する情報取得部、情報取得部が取得した動作情報を解析する解析部として機能させる。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ネットワークシステム100の全体構成を示す。
【図2】電気機器30、動作情報サーバ10及び情報提供サーバ20のブロック構成の一例を示す。
【図3】電気機器30の起動から停止までの動作フローの一例を示す。
【図4】動作情報サーバ10が管理する情報をテーブル形式で示す。
【図5】情報提供サーバ20が管理するテーブルの一例を示す。
【図6】解析部250による解析処理のフローの一例を示す。
【図7】電気機器30aの動作設定値を更新する動作フローの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、ネットワークシステム100の全体構成を示す。ネットワークシステム100は、動作情報サーバ10と、情報提供サーバ20aおよびbと、電気機器30aおよびbと、電気機器32と、電力量計40と、ユーザ端末140とを含む。電気機器30、電気機器32および電力量計40は、住居170に設けられる。住居170には、電力線180を介して電力系統から電力が供給される。
【0011】
本実施形態の説明において、複数の情報提供サーバ20aおよびbを、情報提供サーバ20と総称する場合がある。動作情報サーバ10および情報提供サーバ20は、インターネット等のネットワーク192aに接続される。
【0012】
電気機器30および電気機器32は、電力需要家に設けられた電力負荷機器である。電気機器30および電気機器32は、電力線180を介して供給される電力を消費して動作する。電気機器30および電気機器32は、ユーザによって設定された動作設定値に従って動作する。また、電気機器30および電気機器32は、自身が自動的に設定した動作設定に従って動作する。例えば、空調装置としての電気機器30aは、動作設定値の一部としての室温設定値、風量設定値等に従って動作する。また、ヒータ式の電気温水器としての電気機器30bは、動作設定値の一部としての目標わき上げ温度設定値等に従って動作する。
【0013】
電気機器30は、消費した電力量である消費電力量を測定する機能を有する。電気機器30は、ネットワーク192aとの間で通信する通信機能を有し、測定した消費電力量および動作設定値を含む動作情報を、ネットワーク192aに送出する。例えば、電気機器30は、電力線通信によりルータ等の通信機器172と通信して、通信機器172を介してネットワーク192aに動作情報を送出する。電気機器30は、XML形式等の予め定められたデータ形式で動作情報を送出する。電気機器30は、宛先を指定して動作情報を送信してもよく、ブロードキャストのように宛先を限定せずに動作情報を発信してもよい。電気機器32は、電気機器30とは異なり、消費電力量を測定せず、動作情報も送出しない。
【0014】
電力量計40は、住居170で消費される電力量を測定する。具体的には、電力量計40は、電気機器30および電気機器32に供給した電力量を測定する。例えば、電力量計40は、電気機器30および電気機器32に供給した電力を積算した電力積算値を計量する。電力量計40は、計量した電力積算値をネットワーク192bに送信する。具体的には、電力量計40は、電柱等に設けられた通信機器90と無線通信して、通信機器90を介してネットワーク192bに電力積算値を送信する。電力量計40は、XML形式等の予め定められたデータ形式で電力積算値を送信してよい。電力積算値としては、電気機器32に供給電力を30分間積算値した30分積算値を例示することができる。ネットワーク192bに送信された電力積算値は、例えば電力会社において利用される。
【0015】
ネットワーク192bは、ネットワーク192aとは異なるネットワークであってよい。ネットワーク192bは、例えば電力会社専用のネットワークであり、比較的に高セキュリティな専用回線で構成されてよい。電力量計40から送信された電力積算値は、ネットワーク192aとネットワーク192bとの間に介在する中継装置194を介して、ネットワーク192aに提供されてよい。本実施形態の説明において、ネットワーク192a、中継装置194およびネットワーク192bの全体を、ネットワーク190と総称する場合がある。なお、ネットワーク192aとネットワーク192bとは、同一のネットワークであってもよい。
【0016】
動作情報サーバ10は、ネットワーク190を介して、電気機器30および情報提供サーバ20と通信可能に設けられる。動作情報サーバ10は、電気機器30から送出された動作情報をネットワーク190を介して収集する。動作情報サーバ10は、電気機器30と直接通信して、電気機器30が送信した動作情報を電気機器30から受信してよい。また、動作情報サーバ10は、電気機器30がブロードキャストで発信した動作情報を受信することにより、動作情報を収集してもよい。動作情報サーバ10は、ネットワーク192b、中継装置194およびネットワーク192aを介して、電力量計40が送信した電力積算値を取得する。
【0017】
情報提供サーバ20は、電気機器30のユーザによって許可された場合に、電気機器30の動作情報を動作情報サーバ10から取得する。また、情報提供サーバ20は、電気機器30のユーザによって許可された場合に、動作情報サーバ10が格納している電力積算値を動作情報サーバ10から取得する。そして、情報提供サーバ20は、動作情報および電力積算値を解析して、解析結果を電気機器30のユーザに提供する。例えば、情報提供サーバ20は、動作情報を解析して、電力の利用効率を高めるために推奨される動作設定値をユーザに提示する。
【0018】
例えば、情報提供サーバ20aは、住居170の床面積等の住戸情報に基づいて、電気機器30a用の推奨される動作設定値を算出してよい。例えば、情報提供サーバ20aは、住居170の床面積が比較的に狭い場合、低い風量設定値をユーザに提示する。このように、情報提供サーバ20aは、省エネを目的としたアドバイスを行うことができる。一方、情報提供サーバ20bは、電気機器30等の動作状態を解析して、住居170に居住している居住者の生活状態を判別してユーザに提供してよい。例えば、電気機器30aが安定的に動作し、かつ、電気機器30bが安定的に動作している場合、居住者が安定した生活を送っていると判断することができる。情報提供サーバ20bによれば、高齢者の生活状況をモニタするサービスを提供できる。ユーザは、情報提供サーバ20aおよびbのいずれからサービス提供を受けるかを自由に選択することができる。
【0019】
ネットワークシステム100によれば、電気機器30が単独で動作情報を動作情報サーバ10に提供する。このため、ユーザが全ての電気機器をネットワーク化していなくても、電気機器30の電力効率を高めるための情報をユーザに提供することができる。したがって、ユーザに大きな費用負担を課すことなく、ユーザにとって付加価値の高いサービスを提供できる。また、複数の情報提供サーバ20が提供するサービスの中から、好みのサービスを選択することができる。例えば、省エネを目的としたサービスだけでなく、電気機器の動作状態から高齢者の生活状況をモニタするサービス、単身者向けに電気機器の運転状況を遠隔で監視するサービス等、ユーザ個々の事情に適した必要なサービスを選択することができる。また、ネットワークシステム100によれば、複数のサービス提供者がサービス内容を競う環境を提供することができ、結果として電気機器の製品レベルが向上することを期待することもできる。
【0020】
図2は、電気機器30、動作情報サーバ10及び情報提供サーバ20のブロック構成の一例を示す。
【0021】
電気機器30は、通信部270と、機器制御部280と、メモリ部290とを有する。メモリ部290は、動作設定値を記憶する。機器制御部280は、メモリ部290に記憶されている動作設定値に従って、電気機器30の各部を制御する。機器制御部280は、動作設定値を変更する場合、変更後の動作設定値をメモリ部290に記憶する。メモリ部290は不揮発性の記憶領域を有し、動作設定値は不揮発性の記憶領域に記憶されてよい。動作設定値としては、運転モードを設定するための運転モード設定値、風量を設定するための風量設定値、温度を設定するための温度設定値等を例示することができる。
【0022】
機器制御部280は、電気機器30が消費している電力を測定する。また、機器制御部280は、日時等の時刻情報を管理し、時刻情報に基づき、電気機器30が稼働した時間を測定する。機器制御部280は、消費電力の情報、稼働時間等の運転情報を、通信部270から動作情報サーバ10へ送信させる。
【0023】
動作情報サーバ10は、通信部210と、データ格納部220とを有する。通信部210は、ネットワーク192aを介して電気機器30から動作情報を受信する。また、通信部210は、ネットワーク192aを介して電力積算値を受信する。通信部210は、ユーザ識別情報の一例としての顧客IDに対応づけて、電力積算値を受信する。顧客IDとしては、電気供給の契約を結んだユーザに割り当てられた番号を例示することができるが、これに限られない。ユーザを識別することができる情報であれば、ユーザ識別情報としてどのようなものも使用することができる。
【0024】
データ格納部220は、通信部210が受信した動作情報および電力積算値を格納する。通信部210は、情報提供サーバ20からの要求に従って、データ格納部220に格納されているデータを、情報提供サーバ20に送信する。
【0025】
動作情報サーバ10は、コンピュータ等の情報処理装置で実現することができる。動作情報サーバ10は、複数の情報処理装置で実現されてもよい。例えば、動作情報等のデータが、複数の情報処理装置に分散して格納されてもよい。
【0026】
情報提供サーバ20は、動作情報サーバ10から動作情報および電力積算値を受信する。情報提供サーバ20は、通信部230と、ユーザ情報格納部240と、解析部250とを有する。通信部230は、この発明における情報取得部および情報提供部として機能することができる。解析部250は、通信部230が受信した動作情報および電力積算値を解析する。通信部230は、解析部250が解析した解析結果をユーザに送信する。例えば、通信部230は、解析結果を電気機器30に送信する。
【0027】
図3は、電気機器30の起動から停止までの動作フローの一例を示す。本フローは、例えば電気機器30の電源イッチがオンされた場合に、開始される。
【0028】
ステップS402において、機器制御部280は、消費電力の測定を開始する。
【0029】
続いて、ステップS404において、機器制御部280は、メモリ部290から動作設定値を読み出す。例えば機器制御部280は、メモリ部290の不揮発性の記憶領域に記憶されている動作設定値を読み出す。ステップS406において、機器制御部280は、読み出した動作設定値で動作を開始する。
【0030】
続いてステップS408において、動作情報を送信するイベントが生じたか否かを判断する。例えば、ユーザによって動作設定値が変更された場合に、本イベントが生じる。例えば、風量設定が「弱」から「強」に変更された場合、本イベントが生じる。また、電気機器30の電源スイッチがオフされた場合にも、本イベントが生じる。また、起動直後に本イベントが生じるようにしてもよく、予め定められた時間が経過する毎に本イベントが生じるようにしてもよい。
【0031】
本イベントが生じた場合、ステップS410において、機器制御部280は、現在の日時を示す時刻情報、現在までの総稼働時間、電源がオンされてからの消費電力の積算値、積算した稼働時間、前回動作情報を送信してから現在までの期間の消費電力の平均値、当該期間の時間長さを示す情報等を、動作情報として算出する。
【0032】
そして、ステップS412において、通信部210は、算出された動作情報をネットワーク190に送信する。ここで、通信部210は、顧客ID等のユーザ識別情報、機器を識別する機器識別情報等を、動作情報に含めて送信する。
【0033】
ステップS414において、機器制御部280は動作を停止するか否かを判断する。例えば、電気機器30の電源スイッチがオフされた場合に、動作を停止する旨を判断する。動作を停止しない場合、ステップS408に処理を移す。動作を停止する場合、ステップS416において、電気機器30の各部への電力供給を遮断して、処理を終了する。
【0034】
なお、ステップS412において、通信部210は、動作情報に含まれる各値を、XML形式で表されたデータを送信してよい。例えば、ユーザ識別情報、機器識別情報、消費電力等のそれぞれの項目を要素とするXMLデータを送信してよい。具体的には、それぞれの項目を示す文字列を要素名とし、各項目の値を内容として持つXMLデータを送信してよい。XML形式のデータを送信することで、動作情報を広く利用することが容易となる。
【0035】
なお、データ形式は、XML形式に限られない。異なるサービス提供者が自由に各値を読み出すことができる形式であれば、XML形式に限られず、SGML等の他のマークアップ言語や、他の標準化されたデータ形式を適用することができる。
【0036】
図4は、動作情報サーバ10が管理する情報をテーブル形式で示す。動作情報サーバ10のデータ格納部220は、受信した動作情報および電力積算値を格納したXML形式の電子ファイルを、テーブル510として格納する。
【0037】
具体的には、テーブル510は、ユーザ識別情報とXML形式の電子ファイル名とを対応づける。データ格納部220は、予め定められた期間のデータを、ユーザ毎に1つの電子ファイルにまとめて格納してよい。例えば、データ格納部220は、新たなXMLデータを受信する毎に新たな要素を作成して、作成した要素の内容として、受信したXMLデータを格納してよい。そして、データ格納部220は、予め定められた期間が経過すると新たな電子ファイルを作成して、次の期間のデータを当該電子ファイルに格納してよい。
【0038】
図5は、情報提供サーバ20が管理するテーブルの一例を示す。ユーザ情報格納部240は、ユーザ属性テーブル610と、許可ユーザテーブル620とを格納する。
【0039】
ユーザ属性テーブル610は、ユーザ識別情報と、住戸情報と、住人情報とを対応づけて格納する。ユーザ識別情報は、動作情報を利用することを許可したユーザである許可ユーザを識別する情報である。
【0040】
例えば、ユーザは、ユーザ端末140を用いて動作情報の利用を許可するか否かを情報提供サーバ20に送信してよい。例えば、ユーザは、情報提供サーバ20が提供するウェブサイトにユーザ端末140を用いてアクセスして、ユーザ端末140を通じてユーザ識別情報等を入力する。これにより、ユーザは、許可ユーザとして情報提供サーバ20に登録を依頼する。情報提供サーバ20は、許可ユーザとして登録する依頼を受け付けると、入力されたユーザ識別情報をユーザ情報格納部240に格納する。
【0041】
また、情報提供サーバ20は、電気機器30が設けられた住居170の情報である住戸情報の登録を受け付ける。住戸情報としては、住戸の種別、総床面積、住居170の断熱性能を表す指標としての熱損失係数(Q値)、築年数等を例示することができる。住戸の種別としては、集合住宅か戸建てかを識別する情報を例示することができる。
【0042】
また、情報提供サーバ20は、住居170に居住している住人の情報である住人情報を受け付ける。住人情報としては、住居170に居住する家族の家族構成を示す情報を例示することができる。例えば、住人情報として、住人の人数、住人の年齢等を例示することができる。より具体的には、住人情報としては、年齢の範囲を示す年代区分と、当該年代区分に属する住人の人数を例示することができる。年代区分としては、例えば5歳毎に区分けした年代区分を適用してよい。
【0043】
許可ユーザテーブル620は、住戸情報および住人情報の利用を許可したユーザのユーザ識別情報のリストを格納する。解析部250は、本リストのユーザ識別情報に対応づけてユーザ属性テーブル610に格納されている住戸情報および住人情報を、他ユーザが利用する電気機器の動作情報を解析する場合に利用する。ユーザは、自身の住戸情報および住人情報が利用されることを許可するか否かを、例えばユーザ端末140を用いて情報提供サーバ20にアクセスして登録することができる。
【0044】
図6は、解析部250による解析処理のフローの一例を示す。本フローは、例えばユーザがユーザ端末140を用いて情報提供サーバ20にアクセスして、動作情報の解析を情報提供サーバ20に依頼した場合に、開始される。ここでは、解析を依頼したユーザを、依頼ユーザと呼ぶ。
【0045】
ステップS702において、解析部250は、依頼ユーザのユーザ識別情報に対応する動作情報および電力積算値を、通信部230を介して動作情報サーバ10から取得する。
【0046】
続いて、ステップS704において、ユーザ情報格納部240から住戸情報のデータを読み出す。そして、ステップS706において、住人情報のデータを読み出す。
【0047】
続いて、ステップS708において、住戸情報および住人情報の利用を許可した他のユーザの中から、依頼ユーザと住環境が類似するユーザを特定する。具体的には、住戸情報および住人情報の利用を許可した他のユーザの中から、登録されている住戸情報および住人情報が、依頼ユーザの住戸情報および住人情報と類似するユーザを特定する。特定したユーザを、類似ユーザと呼ぶ。
【0048】
続いて、ステップS710において、解析部250は、類似ユーザのユーザ識別情報に対応する動作情報および電力積算値を、通信部230を介して動作情報サーバ10から取得する。
【0049】
解析部250は、ステップS712において、ステップS702で取得したデータと、ステップS710で取得したデータとを比較して、依頼ユーザへのアドバイス情報を生成する。
【0050】
例えば、解析部250は、類似ユーザの中から、依頼ユーザよりも、同種の電気機器を低い消費電力量で稼働させているユーザを選択する。そして解析部250は、選択したユーザと依頼ユーザとの間で電気機器の動作設定値を比較する。解析部250は、異なる動作設定値で動作していると判断された場合に、選択したユーザに対応する動作設定値で電気機器30を動作させるよう推奨するアドバイス情報を生成する。例えば、空調装置である電気機器30aについて、選択したユーザの空調装置が依頼ユーザの電気機器30aよりも低い風量で稼働している場合、依頼ユーザには低い風量で電気機器30aを動作させるよう推奨するアドバイス情報を生成する。また、解析部250は、例えば工場出荷時の標準値よりも低い風量で電気機器30aを動作させる新たな制御値としての動作設定値を電気機器30aのメモリ部290に組み込むことを提案するアドバイス情報を生成してもよい。
【0051】
また、解析部250は、類似ユーザの中から、依頼ユーザに対応する電力積算値よりも、低い電力積算値しているユーザを選択する。例えば依頼ユーザがヒータ式電気温水器である電気機器30bを使用しており、選択したユーザがヒートポンプ式の給湯器を使用している場合、依頼ユーザにはヒートポンプ式の給湯器を導入することを提案するアドバイス情報を生成する。
【0052】
ステップS714において、解析部250は、生成したアドバイス情報を表示するためのHTMLデータを生成して、通信部230を介してユーザ端末140に送信する。本HTMLデータは、上述したように電気機器30aに新たな動作設定値を組み込む提案をユーザが受け入れるボタンを表示するためのボタン要素を含んでよい。
【0053】
図7は、電気機器30aの動作設定値を更新する動作フローの一例を示す。本フローは、情報提供サーバ20がユーザ端末140から電気機器30の動作設定値を更新する要求を受け付けた場合に、開始される。例えば、ユーザがユーザ端末140を操作して上述したボタン要素が選択された場合に、本フローが開始される。
【0054】
ボタン要素が選択されることにより、ユーザ端末140から情報提供サーバ20へ、動作設定値の更新を依頼する情報が送信される(ステップS802)。
【0055】
ステップS804において、通信部230は、電気機器30の通信部270との間で通信を確立する。続いてステップS806において、通信部230は、新たな制御値としての動作設定値のデータを送信する。
【0056】
ステップS808において、機器制御部280は、受信した動作設定値を用いて更新を行う。具体的には、機器制御部280は、通信部270を介して受信した動作設定値のデータを、メモリ部290の対応する記憶領域に書き込む。
【0057】
更新が完了すると、ステップS810において通信部270は、更新が完了した旨を情報提供サーバ20に送信する。更新が完了した旨を情報提供サーバ20が受信すると、ステップS812において、通信部230は、動作設定値の更新が完了した旨をユーザ端末140に送信する。更新が完了した旨をユーザ端末140が受信すると、ステップS814において、ユーザ端末140は、更新が完了した旨をディスプレイに表示する。
【0058】
以上に説明したネットワークシステム100によれば、電気機器30を高い電力効率で稼働させるためのアドバイスをユーザに提供することができる。また、ユーザは、簡単な操作で電気機器30の動作設定値を更新することができる。したがって、ネットワークシステム100によれば、動作情報を送信する機能を持つ電気機器30を導入するだけで、ユーザの住環境等に適した動作設定値で電気機器30を稼働させることが可能になる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0061】
20 情報提供サーバ、30、32 電気機器、40 電力量計、90 通信機器、100 ネットワークシステム、140 ユーザ端末、170 住居、172 通信機器、180 電力線、190 ネットワーク、192 ネットワーク、194 中継装置、210 通信部、220 データ格納部、230 通信部、240 ユーザ情報格納部、250 解析部、270 通信部、280 機器制御部、290 メモリ部、610 ユーザ属性テーブル、620 許可ユーザテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の動作情報を利用することを許可したユーザである許可ユーザを識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
複数のユーザがそれぞれ使用する複数の電気機器から動作情報をネットワークを介して収集し格納する動作情報サーバから、前記許可ユーザが使用する電気機器の動作情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した動作情報を解析する解析部と
を備える情報解析装置。
【請求項2】
前記解析部による解析結果を、前記許可ユーザに提供する情報提供部
をさらに備える請求項1に記載の情報解析装置。
【請求項3】
前記解析部は、前記情報取得部が取得した動作情報を解析して、前記許可ユーザが使用する電気機器を推奨動作させるための推奨動作情報を生成し、
前記情報提供部は、前記推奨動作情報を、前記ユーザに提供する
を備える請求項2に記載の情報解析装置。
【請求項4】
前記情報取得部は更に、前記電気機器の動作環境を示す動作環境情報をネットワークを介して取得し、
前記解析部は、前記動作環境情報に基づいて、前記電気機器の動作環境に適した動作設定値を、前記推奨動作情報として生成する
請求項3に記載の情報解析装置。
【請求項5】
前記情報取得部は、前記電気機器が設けられた住戸の情報の情報である住戸情報を、前記動作環境情報として取得し、
前記解析部は、前記住戸情報に基づいて、前記住戸に適した動作設定値を生成する
請求項4に記載の情報解析装置。
【請求項6】
前記住戸情報は、住戸を構成する建物の総床面積、Q値および築年数のうちの少なくとも一つを含む
請求項5に記載の情報解析装置。
【請求項7】
前記住戸情報は、前記電気機器が設けられた住戸が、集合住宅に含まれる住戸であるか否かを示す情報を含み、
前記解析部は、前記電気機器が設けられた住戸が前記集合住宅に含まれる住戸である場合に、前記動作情報を、他の住戸の電気機器の動作情報と比較して、前記動作設定値を生成する
請求項5または6に記載の情報解析装置。
【請求項8】
前記情報取得部は、前記電気機器が設けられた住戸に居住する住人構成を示す情報を、前記動作環境情報として取得し、
前記解析部は、前記動作情報を、前記住人構成が類似する住戸の電気機器の動作情報と比較して、前記動作設定値を生成する
請求項4から7のいずれか一項に記載の情報解析装置。
【請求項9】
前記解析部は、前記電気機器を推奨動作させるための制御値を生成し、
前記情報提供部は、前記制御値を前記電気機器に提供する
請求項3に記載の情報解析装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報解析装置と、
前記動作情報サーバと
を備えるネットワークシステム。
【請求項11】
前記電気機器の動作情報を利用することを許可するか否かを前記情報解析装置に送信するユーザ端末
をさらに備える請求項10に記載のネットワークシステム。
【請求項12】
前記ユーザ端末は、前記情報解析装置からネットワークを介して前記解析部による解析結果を取得して、前記許可ユーザに提示する
請求項11に記載のネットワークシステム。
【請求項13】
プログラムであって、コンピュータを、
電気機器の動作情報を利用することを許可したユーザである許可ユーザを識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部、
複数のユーザがそれぞれ使用する複数の電気機器から動作情報をネットワークを介して収集して格納する動作情報サーバから、前記許可ユーザが使用する電気機器の動作情報を取得する情報取得部、
前記情報取得部が取得した動作情報を解析する解析部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−208546(P2012−208546A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71434(P2011−71434)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)