説明

情報記録システム及び情報記録方法

【課題】現実に旅行をしようとする意欲を増大させる。
【解決手段】観光地等に無線通信部5が設けられ、記録者Mは携帯端末2を所持している。無線通信部5は、近傍の所定エリアAR1に到達した記録者Mからの記録情報を携帯端末2から受け付けてサーバが記録する。記録者Mは後に閲覧することが可能な閲覧許可者の氏名等を指定できる。その後サーバは所定エリアAR2に閲覧者Nが到達したら検知し、閲覧許可者であることを確認した後、その閲覧者Nの携帯端末2に記録情報の閲覧を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録者が所望の情報を記録媒体に記録して利用する情報記録システム及び情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ上に現実世界を模した仮想的な3次元空間である仮想世界を構築し、利用者に提供する仮想世界提供サービスが普及しつつある。仮想世界においては、操作者に対応する仮想キャラクターが仮想的に存在し、他の操作者に対応する仮想キャラクターとコミュニケーションを図ったり、仮想世界に存在する物品の買い物をしたりといったように、仮想的な生活等を行うことが可能となっている。これにより、操作者は、自らが現実の世界で種々の行動や活動をしなくても、仮想キャラクターを仮想世界内で操作者の代わりに動かすことで、現実と同様の感動や達成感など、種々の気持ちを体験できるようになっている。
【0003】
このような仮想世界を提供する仮想世界提供システムの従来技術として、例えば特許文献1に記載のものがある。この従来技術では、パソコン内にアニメキャラクタ出力プログラムを保有しており、例えばアニメキャラクタの「クマさん」を表示画面上に登場(表示)させ、操作者の代わりに種々の動作を行えるようになっている。例えば「クマさん」に、仮想世界の中の自分の家で留守番電話に応答させたり、お友達の部屋へ訪問させたり、さらに自転車や自動車に乗って銀行に行ったりプレゼントを届けたり等のお使いなどもできるようになっている。
【特許文献1】特開2000−207334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、その中の機能の一つとして、サーバから旅行ホームページを取り込み、この旅行ホームページ内に「クマさん」を移動表示させることで、バーチャルトリップを楽しめるようになっている。このバーチャル旅行では、風景、出会い、お土産などが表示画面上に表示させることができるようになっている。さらには、パッケージツアーの擬似体験にも応用できるようになっている。
【0005】
上記のようにして仮想世界の中でバーチャル旅行が可能となると、現実に旅行に行かなくても、同じような体験や感動を得ることができるので、現実に旅行をしようとする意欲が減退する可能性があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、記録者が所有する第1携帯端末の第1位置情報、および前記記録者が記録を希望して前記第1携帯端末に入力した記録情報を受信する第1受信手段と、情報を記録するための記録媒体と、前記記録情報を前記記録媒体に記録させる記録処理手段と、を備え、前記記録処理手段は、前記第1位置情報に基づき、記録を残せる場所として予め登録されたエリアに前記第1携帯端末が存在すると判定した場合に、前記記録情報を前記記録媒体に記録させる。
上記目的を達成するために、請求項6記載の発明は、情報を記録するための記録媒体を備えるサーバにより実行される情報記録方法であって、記録者が所有する第1携帯端末の第1位置情報、および前記記録者が記録を希望して前記第1携帯端末に入力した記録情報を受信する第1受信ステップと、前記記録情報を前記記録媒体に記録させる記録処理ステップと、を有し、前記記録処理ステップは、前記第1位置情報に基づき、記録を残せる場所として予め登録されたエリアに前記第1携帯端末が存在すると判定した場合に、前記記録情報を前記記録媒体に記録させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0009】
<固定端末を用いる基本実施形態>
本実施形態の情報記録システムは、例えば、観光地や景観地などに赴いた人(以下、記録者と称する)が、その場で得た自己の感動や感情や願い事などを、音声・コメント・写真・映像などの記録情報の形で記録し、その記録した記録情報を後日その場に訪れた人(以下、閲覧者と称する)が閲覧可能とするものである。
【0010】
図1(a)は、本実施形態の情報記録システムの一構成例を表す概念的説明図であり、上記の記録者が情報記録を行う状況を表す。
情報記録システムSは、上記した観光地・景観地・名所旧跡・神社仏閣・その他お出かけスポット等(以下、観光地等と称する)に設けられた記録端末1と、記録者Mの所持する携帯端末2とを備えている。記録端末1は、その近傍の第1範囲に相当する所定エリアAR1に記録者Mが到達したら、そのことを検知して、記録者Mからの上記記録情報を携帯端末2から受け付けて記録する。このとき記録者Mは、この記録情報を後に閲覧することが可能な閲覧許可者の氏名等を指定し、記録情報と併せて記録端末1に記録することができる。
【0011】
図1(b)は、上記所定エリアAR1の外に位置する人物M′が、上記同様に記録を行おうとした場合の説明図である。上記のように、記録端末1は、その近傍の所定エリアAR1内に位置する者を検知してその者からのみ記録情報を受け付けるため、この人物M′からの記録情報は受け付けない。なお、上記所定エリアAR1としては、記録端末1を中心とした所定半径範囲内でもよいし、対応する建造物等や名所旧跡の敷地範囲、さらには同一地区町村の範囲などでもよい。
【0012】
図2(a)は、前述の情報記録システムの一構成例において、上記の閲覧者が既に記録された記録情報の閲覧を行う状況を表す。
記録端末1は、その近傍の第2範囲に相当する所定エリアAR2に閲覧者Nが到達したら、そのことを検知する。そして、当該閲覧者Nが上記の閲覧許可者であることを確認した後、その閲覧者Nに対し携帯端末2を用いた上記記録情報の閲覧を許可する。所定エリアAR2は前述の所定エリアAR1と同一でもよいし、異なる範囲でもよい。閲覧者Nの所有する携帯端末2は、この例では記録者Mの所有するものと同等の場合を例にとって示すが、別のものでもよい。
【0013】
図2(b)は、上記所定エリアAR2の外に位置する人物N′と、上記所定エリアAR内に位置するが閲覧許可者ではない人物N″が、上記同様に記録情報の閲覧を行おうとした場合の説明図である。上記のように、記録端末1は、まず、その近傍の所定エリアAR2内に位置する者を検知してその者でないと記録情報の閲覧を許可しないため、上記の人物N′には閲覧を許可しない。また記録端末1は、記録者Mによって記録情報が記録されたときに閲覧許可者として指定された閲覧許可者でないと記録情報の閲覧を許可しないため、上記の人物N″に対しても閲覧を許可しない。
【0014】
記録端末1の機能構成の一例を図3に示す。
記録端末1は、検出部4と、無線通信部5と、記録媒体6と、制御部7とを有している。
【0015】
記録媒体6は、記録者Mが記録を希望する上記記録情報を記憶する機能を備え、例えばEEPROMなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。記録情報としては、映像、写真、音声、テキスト(コメントや後世に残したいメッセージを含む)、生体情報などである。なお、これ以外でも、記録者Mがこの観光地等に残すことに意義を感じるものであれば何でも良く、この場所にちなんだものでもよいし、場所とは無関係なもの(例えば家から持ってきたお弁当の写真など)でもよい。この結果、この記録情報は、記録者Mがこの観光地等にやってきた「足跡」としても機能することとなる。
【0016】
無線通信部5は、第1通信手段及び第2通信手段に相当し、アンテナを介して上記携帯端末2と無線通信により情報送受信を行うためのものである。この例では、記録者Mの所持する携帯端末2(第1記録者端末に相当)との通信時には、上記の所定エリアAR1又はこれと同等の範囲が通信可能範囲となるように予め構成されている。また、閲覧者Nの所持する携帯端末2(第1閲覧者端末に相当)との通信時には、上記の所定エリアAR2又はこれと同等の範囲が通信可能範囲となるように予め構成されている。このように、無線通信部5が限られた範囲での近接通信機能のみを備えることで、この通信により情報送受を行うことが、記録者M又は閲覧者Nがこの観光地等に来たことを証明することとなる。したがって、記録者Mの携帯端末2から無線通信部5を介して記録情報が入力された場合、例えばこの記録端末1の識別情報を場所認証結果情報として記録情報に紐づけて、記録媒体6に登録することができる。
【0017】
検出部4は、記録者検出部8と、閲覧者検出部9とを備えている。
【0018】
記録者検出部8は記録者検出手段及び第1通信検出手段に相当し、上述したように、無線通信部5を介し記録者Mの所持する携帯端末2と通信アクセスできた場合、そのことによって記録者Mが上記所定エリアAR1に存在していることを検出する。
【0019】
閲覧者検出部9は閲覧者検出手段及び第2通信検出手段に相当し、上述したように、無線通信部5を介し閲覧者Nの所持する携帯端末2と通信アクセスできた場合、そのことによって閲覧者Mが上記所定エリアAR2に存在していることを検出する。
【0020】
制御部7は、判定部10と、入力部11と、出力処理部12と、記録処理部13とを有する。
【0021】
入力部11は、許可情報入力部14を備えている。
【0022】
許可情報入力部14は許可情報入力手段に相当し、先に図2(a)を用いて説明したように、記録者検出部7で所定エリアAR1内に記録者Mを検出したときに、記録者Mが指定する閲覧許可者の氏名、年齢、性別、住所等の閲覧許可情報を取得して入力する。すなわち、閲覧許可情報とは、記録者Mが記録媒体6に記録した情報を閲覧できる閲覧権限を持つ者を特定する情報である。閲覧者Nを限定したい場合には、記録者Mの知人や特定のグループに属する人のみを閲覧許可者としてもよいし、閲覧許可者に記録者M自身を含められるようにしてもよい。さらに、記録者Mの子孫、親戚のみを閲覧許可者とする等でもよい。さらに閲覧できる場所を指定できるようにしても良い。またこのようにして閲覧者Nを限定する手法だけでなく、記録者Mが閲覧許可者を不特定とする、すなわち誰にでも閲覧可能とできるようにしてもよい。例えば記録者Mが特定の有名人や芸能人等である場合、記録情報の閲覧許可者を不特定とすれば、この観光地等に来たファンは誰でも当該記録情報を閲覧でき当該有名人の気持ちを共有することが可能となる。
【0023】
記録処理部13は記録処理手段に相当し、記録者検出部8で記録者Mの存在が確認された後、当該記録者Mの携帯端末2より無線通信部5を介し無線通信により取得された上記記録情報を、許可情報入力部14で取得された上記閲覧許可情報とともに記録媒体6に書き込み、記録する。
【0024】
判定部10は、閲覧者判定部17を有する。
閲覧者判定部17は、閲覧者検出部9で所定エリアAR2内に閲覧者Nを検出したときに、上記閲覧許可情報に基づき当該閲覧者Nが上記の閲覧許可者に該当するかどうかを判定する。
【0025】
出力処理部12は出力処理手段に相当し、閲覧者判定部17で閲覧者Nが閲覧許可者であると判定された場合、閲覧権限のある記録情報を記録媒体6から読み出し、無線通信部5を介し無線通信により当該閲覧者Nの携帯端末2へと送信する。
【0026】
携帯端末2の機能構成の一例を図4に示す。
携帯端末2は、表示部21と、記憶部22と、無線通信部23と、制御部24とを有している。
【0027】
無線通信部23は、無線通信を介し、記録者Mが記録を希望する記録情報を記録端末1の無線通信部5へ送信したり、閲覧者Nが閲覧を認められた場合に記録媒体6から読み出された記録情報を記録端末1の無線通信部5から受信する。
【0028】
表示部21は、記録者Mに対し上記送信する記録情報を表示したり、閲覧者Nに対し閲覧対象の記録情報を表示する。なお、記録情報が音声である場合に聞くことができるように再生スピーカーを別途設けてもよい。また、他のデバイスに閲覧対象の記録情報を転送し、表示・再生するようにしてもよい。
【0029】
記憶部22は、記録者Mが送信する上記記録情報を一時的に保存する機能を持つ。これにより、記録者Mは、例えばデジタルカメラや携帯電話機等により取得した映像や画像、録音機器により録音した音声など、他のデバイスから転送したデータを記録情報として記録端末1に送信する際、一時的にそのデータを記憶部22に保管しておくことができる。なお、音声録音可能なマイクや、操作入力可能な操作キーを設けることで、この携帯端末2自身が記録情報を生成する機能を持っていても良い。
【0030】
本実施形態の情報記録システムSは以上のような一構成例であり、次に図5及び図6を参照しつつ当該一構成例による情報記録処理及び情報閲覧処理の一例について説明する。
【0031】
図5は、記録者Mに対して記録端末1が実行する情報記録処理の手順を表している。まずステップS110において、上記の所定エリアAR1において記録者Mが検出されたかどうかを判定する。この例では、前述したように、無線通信部5の通信可能範囲が限られていることを利用して、記録者Mの所持する携帯端末2から送信された情報記録要求が受信された場合に、記録者Mが上記所定エリアAR1に存在しているとみなされ、判定が満たされてステップS120に移る。
【0032】
ステップS120では、記録者Mの携帯端末2から送信された記録情報と上記閲覧許可情報とを取得する。このとき、上記情報記録要求の受信に応じて記録端末1側から承諾の旨の返答を携帯端末2へ送信し、これに応じて携帯端末2から上記記録情報及び閲覧許可情報を送信するようにしてもよい。また、このとき、記録者Mを特定する情報、例えば名前や、IDや、携帯端末2の機器番号等を併せて携帯端末2から送信し、記録端末1で受信するようにしてもよい。
【0033】
なお、上記ステップS110において、記録者Mの携帯端末2から情報記録要求とともに記録情報等を送信するようにしてもよい。この場合ステップS120は省略することができる。さらに、ステップS110において上記のように記録者M側から情報記録要求を行うのではなく、記録端末1側から、記録者Mが所定エリアAR1内に存在するかどうかを常時探索するようにしてもよい。この場合、記録者Mが所定エリアAR1内に到達すると、記録端末1側から自動的に携帯端末2へ問い合わせ信号が送信され、それに応じて携帯端末2の記憶部22に予め記憶された種々の情報の中からその所定エリアAR1に関連する情報を記録情報として自動的に記録端末1側へ送信するようにしてもよい。
【0034】
その後、ステップS130に移り、上記ステップS120で取得した記録情報と閲覧許可情報とを互いに関連付けた形で記録媒体6に書き込み、記録する。その後、このフローを終了する。
【0035】
図6は、閲覧者Nに対して記録端末1が実行する情報閲覧処理の手順を表している。まずステップS210において、上記の所定エリアAR2において閲覧者Nが検出されたかどうかを判定する。この例では、上記ステップS110と同様、無線通信部5の通信可能範囲が限られていることを利用して、閲覧者Nの携帯端末2からの記録情報の閲覧要求信号が受信され、閲覧者Nが上記所定エリアAR2に存在しているとみなせる場合に、判定が満たされる。このとき、閲覧者Nが円滑に閲覧要求信号を送信できるように、所定エリアAR2内又はその近くに閲覧者Nが来ると記録端末1内に閲覧可能な記録情報が残されていることを告知するようにしてもよい。あるいは、所定エリアAR2に到達する前に、メール等の何らかの手法で閲覧者Nに閲覧可能な記録情報があることを予告できるようにしても良い。ステップS210の判定が満たされたら、ステップS220に移る。
【0036】
ステップS220では、上記ステップS210で受信した閲覧要求信号の中に含まれる、閲覧者Nを特定する情報に基づき、閲覧者Nが誰であるかを認証する。その後、ステップS230に移り、上記ステップS220での認証結果に基づき、記録媒体6に記録された記録情報を検索し、当該閲覧者Nがいずれかの記録情報の閲覧許可者に該当するかを判定する。閲覧者Nがいずれの記録情報の閲覧許可者にも該当しなかったら判定が満たされず、ステップS210に戻って同様の手順を繰り返す。いずれかの記録情報の閲覧許可者に該当したらステップS230の判定が満たされ、ステップS240に移る。
【0037】
ステップS240では、上記ステップS230での判定結果に該当した記録情報を記録媒体6から読み出して無線通信により閲覧者Nの携帯端末2に送信し、これによって当該記録情報を開示する。なお、閲覧許可者に該当するかどうかに加え、所定の集団の会員であるかどうかを判定し、会員であったときのみ送信するようにしてもよい。
【0038】
なお、ステップS210において、上記のような閲覧者N側からの閲覧要求を行うのではなく、記録端末1側から、閲覧者Nが所定エリアAR2内に存在するかどうかを常時探索するようにしてもよい。この場合、閲覧者Nが所定エリアAR2内に到達したことが検出されたら、自動的に上記ステップS220の認証と記録情報の検索が行われ、閲覧許可者に該当する記録情報があったらステップS230で当該記録情報が閲覧者Nの携帯端末2へ送信される。
【0039】
以上のようにしてステップS230が完了すると、このフローを終了する。
【0040】
上記実施形態における情報記録システムSにおいては、記録者Mが記録を希望する記録情報を記憶するための記録媒体6と、前記記録媒体6の近傍の第1範囲AR1(所定エリアに相当)に、前記記録者Mが存在することを検出する記録者検出手段8(記録者検出部に相当)と、前記記録情報の閲覧が許可される者(以下、閲覧許可者と称する)を指定する閲覧許可情報を入力する許可情報入力手段14(許可情報入力部に相当)と、前記記録者検出手段8が前記第1範囲AR1における前記記録者Mの存在を検出した場合に、前記許可情報入力手段14で入力された前記閲覧許可情報と前記記録情報とを、前記記録媒体6に記録処理する記録処理手段13(記録処理部に相当)と、前記記録媒体6の近傍の第2範囲AR2(所定エリアに相当)に、前記記録情報の閲覧を希望する閲覧者Nが存在することを検出する閲覧者検出手段9(閲覧者検出部に相当)と、前記閲覧許可情報に基づき、前記閲覧者検出手段9で検出した前記閲覧者Nが、前記閲覧許可者であるかどうかを判定する閲覧者判定手段17(閲覧者判定部に相当)と、前記閲覧者判定手段17で、前記閲覧者Nが前記閲覧許可者であると判定された場合に、前記記録情報を前記記録媒体6から出力処理するための出力処理手段12(出力処理部に相当)と、を有する。
【0041】
本実施形態においては、例えば景観地・観光地・名所旧跡・神社仏閣等の所定の場所に配置された記録媒体5に対し、その所定の場所に行った記録者Mが、その場で得た自己の感動・感激や爽快感・開放感・達成感・安息感等の気持ち・感情・願い事を音声・コメント・写真・映像・生体情報等の記録情報の形で記録することができる。すなわち、記録者Mが記録媒体6近傍の第1範囲AR1に到達するとそのことが記録者検出手段8によって検出され、これにより、記録者Mは記録処理手段8により上記記録情報を記録媒体6に記録することができる。このとき、記録者Mは、その記録媒体6に記録された記録情報を、これ以降に同じ場所に到達した他の者(閲覧者N。但し後日再訪した記録者M自身であってもよい。以下同様)に対し閲覧させることができる。そして、その閲覧を許可する閲覧許可者を指定するための閲覧許可情報を、上記記録情報とともに記録媒体6に記録することができる。
【0042】
その後、閲覧者が記録媒体6近傍の第2範囲AR2(第1範囲AR1と同一でもよい)に到達すると、そのことが閲覧者検出手段9によって検出され、その閲覧者Nが記録者Mの記録時に指定された閲覧許可者に該当するかどうかが閲覧者判定手段17によって判定される。そして、閲覧者Nが、記録者Mが閲覧許可者として指定した者であった場合には判定が満たされ、記録者が記録した記録情報が出力処理手段12によって記録媒体6から出力処理され、これによって閲覧者Nは記録情報を取得することができる。この結果、閲覧者Nは、取得した記録情報の音声・コメント・写真・映像・生体情報等を再生・再現することができる。記録者Mが残した記録情報は何らかの「残したい」というトリガーがあったからこそ残すものであり、それは記録者Mが体験した気持ち・感情・感動等と結びついていることが多い。したがって、閲覧者Nが、記録者Mの残した記録情報に触れることで、記録者Mが以前同じ場所で体験した気持ち・感情・願い事等を、記録者Mと同一の場所で味わうことができる。なお、携帯端末2は再生を要求する機能のみを備え、再生そのものは記録端末1や別の再生機器によって行われるようにしても良い。
【0043】
このようにして、バーチャル旅行では味わうことのできない、景観地・観光地・名所旧跡・神社仏閣等の同一の場所に現実に赴いた者のみが味わえる感動・感激や爽快感・開放感・達成感・安息感等を、複数の者(同一人物の再訪を含む)で時間を超えて共有することができる。また、今自分がそこにいて体験している感覚と過去の他人の間隔とを重ね合わせることで、感動などが増幅するという効果も期待できる。
【0044】
また、その場所に行かなければ入手できない記録情報が存在することによって、旅行の楽しみを高めることができる。また、行った先々で自分が情報を残したいと思う場所に自らの記録情報を足跡として残しておくことができ、例えば、新婚旅行、初デート、修学旅行等においても、その場でその場所に紐づけて情報を残すことができる。これらの結果、現実に旅行に出かけることが楽しくなり、人々の旅行意欲を向上することができる。
【0045】
上記実施形態における情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記記録者Mに所持される第1記録者端末2(携帯端末に相当)と、前記第1範囲AR1又はこれと同等の範囲を通信可能範囲とする第1通信手段5(無線通信部に相当)と、を有し、前記記録者検出手段8は、前記第1記録者端末2より前記第1通信手段5へ通信アクセスがあったことを検出する第1通信検出手段8である。
【0046】
このようにすると、通信範囲を第1範囲AR1相当に限定した第1通信手段5に対するアクセスの有無により、別途センサーを設けて接近検知する等を行うことなく、記録者Mが記録媒体6の近傍に存在していることを検出することができる。
【0047】
上記実施形態における情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記閲覧者Nに所持される第1閲覧者端末2(携帯端末に相当)と、前記第2範囲AR2又はこれと同等の範囲を通信可能範囲とする第2通信手段5(無線通信部に相当)と、を有し、前記閲覧者検出手段9は、前記第1閲覧者端末2より前記第2通信手段5へ通信アクセスがあったことを検出する第2通信検出手段9である。
【0048】
このようにすると、通信範囲を第2範囲AR2相当に限定した第2通信手段9に対するアクセスの有無により、別途センサーを設けて接近検知する等を行うことなく、閲覧者Nが記録媒体6の近傍に存在していることを検出することができる。
【0049】
また、上記実施形態において、記録情報を閲覧できる閲覧許可者に加え、記録者Mが、閲覧できる日時や期間範囲を定めるようにしてもよい。本変形例における記録端末1の機能構成の一例を図7に示す。
【0050】
本変形例の記録端末1では、入力部11は、許可情報入力部14に加え、期限情報入力部15を備えている。
期限情報入力部15は期限情報入力手段に相当し、記録者Mの携帯端末2より、記録者Mが閲覧できる日時や期間範囲に関する情報を入力する。閲覧できる期間としては、具体的に何月何日何時というように日時情報を詳細に指定してもよいし、大ざっぱに指定してもよい。特定の日(記念日等)の期日のみ指定してもよいし、何月何日から何日までというように特定の期間範囲を指定しても良い。記録日から5年間の間というように閲覧可能期間の終わりのみ指定してもよいし、記録日より100年経過以降というように閲覧可能期間の始まりのみ指定してもよい。
【0051】
また判定部10は、閲覧者判定部17に加え、期限判定部18を備えている。期限判定部18は期限判定手段に相当し、閲覧者Nが閲覧を希望した日時が、上記閲覧可能期間に該当しているかどうかを判定する。出力処理部12は、上記閲覧可能期間に該当して期限判定部18の判定が満たされる場合のみ、記録情報を記録媒体6から読み出し、無線通信部5を介し無線通信により当該閲覧者Nの携帯端末2へと送信する。
【0052】
上記変形例における情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記閲覧許可者が前記記録情報の閲覧が可能な期限情報を入力する期限情報入力手段15(期限情報入力部に相当)と、前記期限情報に基づき、前記閲覧者検出手段9で前記閲覧者を検出した日時が、閲覧が可能な期限内であるかどうかを判定する期限判定手段18(期限判定部に相当)と、を有し、前記出力処理手段12は、前記期限判定手段18が前記期限内であると判定した場合に、前記記録情報を前記記録媒体6から出力処理する。
【0053】
このようにすると、記録者Mは、記録媒体6に記録された記録情報を、これ以降に同じ場所に到達した所望の者(閲覧許可者)に対してのみ、かつ期限を限って閲覧させることができる。
【0054】
また、上記実施形態において、記録端末1を記録者Mや閲覧者Nが操作することによって、記録者Mや閲覧者Nが上記所定エリアAR1,AR2に存在することを検出するようにしてもよい。本変形例における記録端末1の機能構成の一例を図8に示す。
【0055】
本変形例の記録端末1は第1操作端末及び第2操作端末に相当し、新たに操作部3が設けられるとともに、無線通信部5に代えてメディア接続部51が設けられる。すなわち、本変形例では、上記実施形態のように無線通信部5を介した記録者M又は閲覧者Nの携帯端末2との無線通信により記録情報等の情報送受を行うのではなく、記録者M又は閲覧者Nがカードやディスクなどの適宜の記憶メディアをメディア接続部51に装着することで情報送受を行う。
【0056】
検出部4の記録者検出部8は第1操作検出手段に相当し、記録者Mが操作部3を操作することを検出して、これによって記録者Mの存在確認、すなわち記録者Mが上述の所定エリアAR1に存在することを検出する。この場合、前述の情報記録処理において、図5に示すフローのステップS110では、この操作部3における記録者Mの操作が検出されたかどうかを判定する。そして、ステップS120では、記録者Mが上記メディア接続部51に装着した記憶メディアから記録情報及び閲覧許可情報を取得する。
【0057】
また検出部4の閲覧者検出部9は第2操作検出手段に相当し、閲覧者Nが操作部3を操作することを検出して、これによって閲覧者Nの存在確認、すなわち閲覧者Nが上述の所定エリアAR2に存在することを検出する。この場合、前述の情報閲覧処理において、図6に示すフローのステップS210では、この操作部3における閲覧者Nの操作が検出されたかどうかを判定し、ステップS220では、操作部3において閲覧者Nに入力させた氏名等に基づき、閲覧者Nが誰であるかを認証する。なお、この際、指紋認証インターフェースなどで認証するようにしてもよい。そして、ステップS230の記録媒体6の検索を経てステップS240で、閲覧者Nが上記メディア接続部51に装着した記憶メディアに対し、対応する記録情報を書き込み、当該記録情報を開示する。
【0058】
なお、上記ステップS220の閲覧者Nの認証において、カメラによる撮像での閲覧者Nの顔認証を行うようにしてもよい。この顔認証を行う場合にはステップS210の操作検出を省略し、レーダーで閲覧者Nの存在を感知するようにしてもよい。レーダー検知を行う場合には、前述したように再生そのものを記録端末1や別の再生機器によって行うようにして、記録端末1の近くを人が通っただけで、閲覧者Nの認証が行われ閲覧許可者に該当する場合には自動的に記録情報の再生が始まるようにしてもよい。
【0059】
本変形例における情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記第1範囲AR1に設置された第1操作端末1(記録端末に相当)を有し、前記記録者検出手段8は、前記記録者Mにより前記第1操作端末1が操作されたことを検出する第1操作検出手段8である。
【0060】
このようにすると、センサーによる接近検知や無線通信による検出等の複雑な手法を行うことなく、単純な操作端末1の操作の有無のみによって、記録者Mが記録媒体6の近傍に存在していることを検出することができる。
【0061】
本変形例における情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記第2範囲AR2に設置された第2操作端末1(記録端末に相当)を有し、前記閲覧者検出手段9は、前記閲覧者Nにより前記第2操作端末1が操作されたことを検出する第2操作検出手段9である。
【0062】
このようにすると、センサーによる接近検知や無線通信による検出等の複雑な手法を行うことなく、単純な操作端末1の操作の有無のみによって、閲覧者Nが記録媒体6の近傍に存在していることを検出することができる。
【0063】
また、上記実施形態において、GPS(Global Positioning System)を備えた携帯端末2からの位置検出信号に基づき、記録者Mや閲覧者Nが上記所定エリアAR1,AR2に存在することを検出するようにしてもよい。本変形例における携帯端末2の機能構成の一例を図9に示す。
【0064】
本変形例の携帯端末2は第2記録者端末及び第2閲覧者端末に相当し、GPS27を新たに備えている。GPS27は、複数のGPS衛星からの電波を受信して演算を行い、測位を行う機能を有する。このGPS27は、例えば緯度、経度、高度及び進行方位のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせの測位データを生成する。具体的には、このGPS27は、例えば同時に観測した4機の衛星までの疑似距離を測定し、これら4機の衛星までの疑似距離の差に基づいて、現在地の測位を行う機能を有する。そして、測位結果を位置検出信号として記録端末1へと送信する。
【0065】
本変形例における記録端末1の機能構成の一例を図10に示す。
本変形例の記録端末1では、入力部11に新たに位置情報取得部16が設けられる。位置情報取得部16は第1位置情報取得手段及び第2位置情報取得手段に相当し、無線通信部5を介し記録者M又は閲覧者Nの携帯端末2との無線通信により記録情報等の情報送受を行う前に、携帯端末2の上記GPS27からそれぞれの自己位置情報を取得する。
【0066】
検出部4の記録者検出部8は、記録者Mの携帯端末2からの自己位置情報に基づき、記録者Mの存在確認、すなわち記録者Mが上述の所定エリアAR1に存在することを検出する。この場合、前述の情報記録処理において、図5に示すフローのステップS110では、上記自己位置情報の示す携帯端末2の位置が所定エリアAR1内であるかどうかを判定する。
【0067】
検出部4の閲覧者検出部9は、閲覧者Nの携帯端末2からの自己位置情報に基づき、閲覧者Nの存在確認、すなわち閲覧者Nが上述の所定エリアAR2に存在することを検出する。この場合、前述の情報閲覧処理において、図6に示すフローのステップS210では、上記自己位置情報の示す携帯端末2の位置が所定エリアAR2内であるかどうかを判定する。
【0068】
なお、上記ステップS110又はステップS210の検出は、記録端末1側から、記録者M又は閲覧者Nが所定エリアAR1,AR2内に存在するかどうかを常時又は定期的に探索し、自己位置情報を取得継続するようにしてもよい。
【0069】
本変形例における情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記記録者Mに所持され、自己位置情報の出力機能を備えた第2記録者端末2(携帯端末に相当)と、前記第2記録者端末2より前記自己位置情報を取得する第1位置情報取得手段16(位置情報取得部に相当)と、を有し、前記記録者検出手段8は、前記第1位置情報取得手段16で取得された自己位置情報に基づき、前記記録者Mが前記第1範囲ARに存在することを検出する。
【0070】
このようにすると、記録者M自身の位置情報に基づき、記録者Mが記録媒体6の近傍に存在していることを精度よく検出することができる。
【0071】
本変形例における情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記閲覧者Nに所持され、自己位置情報の出力機能を備えた第2閲覧者端末2(携帯端末に相当)と、前記第2閲覧者端末2より前記自己位置情報を取得する第2位置情報取得手段16(位置情報取得部に相当)と、を有し、前記閲覧者検出手段9は、前記第2位置情報取得手段16で取得された自己位置情報に基づき、前記閲覧者Nが前記第2範囲AR2に存在することを検出する。
【0072】
このようにすると、閲覧者N自身の位置情報に基づき、閲覧者Nが記録媒体6の近傍に存在していることを精度よく検出することができる。
【0073】
なお、以上は、記録端末1が、携帯端末2との情報送受信と、記録情報の記録処理・出力処理との両方を行ったが、これに限られない。すなわち、記録端末1に接続されたサーバを設け、記録端末1は携帯端末2との情報送受信を行い、サーバが記録情報の記録処理・出力処理を行うようにしてもよい。この場合、サーバは上記観光地等とは関係のない場所に設置されていても良く、複数の記録端末1に接続され、それぞれから入力する記録情報を管理するようにしてもよい。
【0074】
さらに、記録端末1を省略し、1つのサーバが、多数の携帯端末2と直接情報を送受信し、併せて記録情報の記録処理・出力処理を行うようにしてもよい。この場合、記録者Mが記録情報を残せる場所の数を簡単に増やすことができるというメリットがある。なお、サーバは、予め記録者Mが記録情報を残せる場所として登録された場所に存在する携帯端末2の記録情報のみ受け付ける、すなわち非登録地からのアップを拒否するようにしても良い。あるいは、場所登録は行わず、すなわち存在する場所に関係なくすべての携帯端末2から記録情報を受け付けておき、サーバへのアップ要求時の各携帯端末2の位置情報によって記録情報を整理区分して管理するようにしてもよい。この場合、アップした後に記録拒否をすることも可能である。
【0075】
この場合、携帯端末2から記録情報がサーバへ送信されると、サーバはその記録情報を受け付ける前に、当該記録情報が、どの場所に存在する携帯端末2から送信されたかを位置認証する。認証ができなければ受付を拒否する。このとき同時に、ユーザとして許可された記録者Mの携帯端末2からの記録情報であるかを認証しても良く、認証ができなければ受付を拒否してもよい。また、以上は記録者Mによるアクセス時を例に説明したが、閲覧者Nに関しても同様に携帯端末2とサーバとの直接アクセスによって行うことができる。なおこの場合に、記録者Mが所持する携帯端末2が各請求項記載の第1携帯端末に相当し、記録者Mの携帯端末2が送信する自己位置情報が各請求項記載の第1位置情報に相当し、観光地等に設置される無線通信部5が各請求項記載の第1受信手段及び第2受信手段に相当し、記録媒体はサーバの内部に備えられ、サーバが備える記録処理部13が各請求項記載の記録処理手段に相当し、所定エリアAR1、AR2が各請求項記載のエリアに相当し、閲覧者Nが所持する携帯端末2が各請求項記載の第2携帯端末に相当し、閲覧者Nの携帯端末2が送信する自己位置情報が各請求項記載の第2位置情報に相当し、サーバが備える出力処理部12が各請求項記載の出力処理手段に相当し、上述した閲覧要求信号の中に含まれる閲覧者Nを特定する情報が各請求項記載の閲覧者情報に相当し、記録者Mが入力する閲覧可能な日時や期間範囲に関する情報が各請求項記載の期限情報に相当し、サーバが実行する上記ステップS110、S120の手順が各請求項記載の第1受信ステップに相当し、サーバが実行する上記ステップS130の手順が各請求項記載の記録処理ステップに相当する。
【0076】
<可搬型の端末を用いる実施形態>
上述したようにして、例えば景観地・観光地等の所定の場所において、記録者Mが記録情報を後から来る閲覧者Nのために記録媒体6に記録する場合、その場所は、他の多数の者も同じような感激・感動等を得られる可能性が高い。この場合、記録媒体6を備えた多数の記録端末1が当該場所に設置されることとなるため、そのような多数の記録端末1を設置するための専用の設置スペースが設けられる可能性がある。この場合、記録者Mが自らその設置スペースに端末を持って行って設置しなければならない。またそれ以外にも、記録者Mが自分の所望の場所に記録端末1を設置できればなにかと便利である。
【0077】
本実施形態は、このような場合に対応するものであり、可搬型の記録端末1を用いて記録情報の記録を行う。そして、このような可搬型の記録端末1を用いる場合には、自在に設置可能である結果、閲覧者Nが自分が見たい記録情報を備えた記録端末1がどこにあるのか分からず、その設置場所を探さなければならない可能性がある。そのため、本実施形態では、可搬型の記録端末1の探索を容易に行えるようにしている。
【0078】
図11に、本実施形態の情報記録システムの一構成例において使用する可搬型の記録端末1(以下、可搬型記録端末と称する)の外観を示す。図示のように、この例では、可搬型記録端末1は小型で略人形型の外観形状をしており、その内部に、前述の制御部7や、図示を省略するが前述の無線通信部5、検出部4、記録媒体6等が収納配置されている。なお、上記形状以外にも、ロケット型やペンダント型としてもよい。
【0079】
この可搬型記録端末1は、図示しない取付具によって、任意の箇所の物体や自然物等に取り付け可能となっている。図12(a)には、前述の観光地等に存在する森林の樹木WDに取り付けた例を示し、図12(b)には、前述の観光地等に存在する神社の取付板BDに、いわゆる絵馬のようにして取り付けた例を示している。
【0080】
上記のようにして記録者Mが所望の箇所に取り付けた可搬型記録端末1を、その記録情報を閲覧しようとする閲覧者Nが探索し、位置の特定を行う。本実施形態では、位置特定用の信号を可搬型記録端末1が継続的に発信しており、閲覧者Nは、その発信信号を利用して可搬型記録端末1の位置特定を行う。
【0081】
図13は、そのような位置特定の手法の一例を表す説明図である。この例では、閲覧者Nが携帯端末2を持ったまま、可搬型記録端末1が設けられていると思われる樹木WDの近くを移動しつつ、位置と高さを変えて、上記可搬型記録端末1から発信時刻を含む発信信号を3回受信する。そして、携帯端末2において、それら3箇所で信号を受信したときの各受信時刻とそれぞれの発信時刻とを用いて各回の信号伝搬時間を求め、距離に換算する。これにより、上記3箇所から可搬型記録端末1までの距離値がそれぞれ求まるので、前述したGPSと同様の原理で位置を特定することができる。この場合、1つの携帯端末2を所持して歩きながら位置を探索できるので、記録者Mが可搬型記録端末1をどこに置いたとしても、その近くに行けば容易に位置を特定することができる。なお、3回の各信号の区別は、例えば、各信号を、次に発せられる信号とは区別できる十分な間隔を持った間欠信号とすればよい。あるいは、各回の信号自体に、ユニークな情報を含むようにしてもよい。
【0082】
図14は、位置特定の手法の別の例を表す説明図である。この例では、可搬型記録端末1は、発信時刻付きかつ指向性のある発信信号を発信し、閲覧者Nの所持する携帯端末2では、その発信信号を1回受信する。例えば可搬型記録端末1に光発信のような発信手段を設ければよい。上記同様、発信信号に含まれる発信時刻と携帯端末2で計測した受信時刻とから信号伝搬時間を求め、距離に換算する。この例では発信信号に指向性があり、信号が進む方向が一意的に定まるので、携帯端末2で発信信号を受信できたときにその発信信号の発せられた方位を計測することで、位置を特定することができる。
【0083】
図15は、位置特定のさらに別の手法を表す説明図である。この例では、可搬型記録端末1を配置した樹木WDの周囲に、予め3箇所以上の受信アンテナATを配置しておく。そして、これら3つの受信アンテナATで可搬型記録端末1からの同一信号(発信時刻を含む)をそれぞれ受信する。各受信アンテナATは基地局等を介して直接閲覧者Nの携帯端末2と接続されているか、あるいはサーバを介して閲覧者Nの携帯端末2と接続されている。そして、前述と同様、各受信アンテナATでの受信時刻と、発信信号に含まれる発信時刻から、各受信アンテナATで受信した信号の信号伝搬時間を携帯端末2又はサーバで求めて距離に換算する。これにより、各受信アンテナATから可搬型記録端末1までの距離がそれぞれ分かるので、これらを用いてGPSと同様の原理で位置を特定することができる。なお、各受信アンテナATでの信号が同一であることの保証は、例えば、次に発せられる信号とは区別できる十分な間隔を持った間欠信号を用いるようにしたり、間欠発信される各回の信号自体に、ユニークな情報を含むようにしてもよい。
【0084】
なお、発信信号の発信の態様としては、上述したように間欠的に継続して発信するのではなく、問い合わせを受信すると発信するようにしてもよい。この場合、携帯端末2からは特定の可搬型記録端末1を特定した問い合わせ受信し、可搬型記録端末1では自らを指定した問い合わせであれば返信する。この問い合わせは双方向通信に拠って行うようにしてもよい。
【0085】
本実施形態における記録端末1の機能構成の一例を図16に示す。
本実施形態では、記録端末1の制御部7には、上記判定部10、入力部11、出力処理部12、記録処理部13に加え、信号生成部52が新たに設けられる。信号生成部52は、上記した発信時刻を含む発信信号を生成し、無線通信部5を介し送信する。
【0086】
本実施形態における携帯端末2の機能構成の一例を図17に示す。
携帯端末2は、前述の表示部21、記憶部22、無線通信部23、及び制御部24に加え、新たに位置特定部25を有している。
【0087】
位置特定部25は位置特定手段に相当し、閲覧者Nが記録情報の閲覧を希望する可搬型記録端末1の位置を特定するためのものである。この位置特定部25には測位部26が備えられている。この測位部26は測位手段に相当し、前述した可搬型記録端末1からの発信信号に基づき、可搬型記録端末1の存在位置を測位することができる。
【0088】
また本実施形態では表示部21は表示手段に相当し、上記位置特定部25で特定した可搬型記録端末1の位置を例えば画面上に表示する。
【0089】
なお、上記携帯端末2を新たに用意せず、携帯電話機や電子手帳等、通常の携帯機器に携帯端末2と同等の機能を付加し、可搬型記録端末1の位置を特定するようにしも良い。
【0090】
本実施形態の情報記録システムSは以上のような一構成例であり、次に図18を参照しつつ当該一構成例による可搬型記録端末1の探索処理の一例について説明する。
【0091】
図18は、閲覧者Nの携帯端末2が実行する可搬型記録端末1の探索処理の手順を表している。まずステップS310において、図示しない操作部等により閲覧者Nから可搬型記録端末1の探索を開始する指示があったかどうかを判定する。探索指示があるまでループ待機し、探索指示があったら判定が満たされ、ステップS320に移る。
【0092】
ステップS320では、前述したいずれかの手法を用いて、可搬型記録端末1から発信される発信信号の受信時刻と発信信号に含まれる発信時刻とに基づき、探索対象とする可搬型記録端末1の存在位置を特定する。
【0093】
ステップS330では、ステップS320において可搬型記録端末1の位置特定ができたかどうかを判定する。位置特定ができなかった場合には判定が満たされず、ステップS320に戻り同様の手順を繰り返す。位置特定ができた場合にはステップS330の判定が満たされ、ステップS340に移る。
【0094】
ステップS340では、上記ステップS320での位置特定結果に基づき、表示部21に対応する位置表示を行う。
【0095】
その後、ステップS350において、上記ステップS310と同様、図示しない操作部等により閲覧者Nから可搬型記録端末1の探索を終了する指示があったかどうかを判定する。探索終了指示がなければ判定が満たされずステップS320に戻り同様の手順を繰り返す。探索終了指示があれば判定が満たされ、このフローを終了する。
【0096】
上記実施形態における情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記閲覧者Nが前記記録情報の閲覧を希望する前記記録媒体6の位置を特定する位置特定手段25(位置特定部に相当)と、前記位置特定手段25で特定した前記記録媒体の位置を表示する表示手段21(表示部に相当)と、を有する。
【0097】
特定の記録者Mによる記録情報を閲覧しようとする閲覧者Nは、自己が閲覧すべき記録媒体6を備えた可搬型記録端末1がどれであるかを探さなければならない。あるいは、可搬型記録端末1は1つしかないが、その設置位置が大ざっぱにしか分からない場合も、閲覧者Nは当該可搬型記録端末1がどこにあるかを探す必要がある。記録者M自身が別の機会に閲覧者Nとして再訪し自己の記録した記録情報の場所を忘れてしまった場合もそうであるし、記録者Mとは異なる閲覧者Nが訪れたときはなおさらである。
【0098】
本実施形態においては、閲覧者Nは、携帯端末2の位置特定手段25により、閲覧を希望する可搬型記録端末1の位置を特定し、その位置を表示手段21に表示させることができる。これにより、閲覧者Nは目的とする可搬型記録端末1の記録媒体6を確実に見つけ出すことができる。
【0099】
上記実施形態の情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記位置特定手段25は、前記記録媒体6から出力される出力信号に基づき、前記記録媒体6の存在位置を測位する測位手段26(測位部に相当)を備える。
【0100】
このようにすると、測位手段26の測位により、閲覧者Nの目的とする記録媒体6を備えた可搬型記録端末1の位置を精度よく特定することができる。
【0101】
なお、前述のようにサーバを用いる方式の場合は、上記発信信号を記録者Mによる設置時に活用してもよい。すなわち、記録者Mによる可搬型記録端末1の移動が終了して静止したら(又は記録者Mのボタン操作などで位置を定めたと判断されたら)、1回又は数回可搬型記録端末1から発信信号を発信し、サーバで位置を特定してその位置を記録媒体6に登録し、以後は移動のたびにこの作業を行う。そして、定期的に各可搬型記録端末1と交信して位置を特定して保存更新し、その情報を閲覧者N側に提供するようにしてもよい。
【0102】
なお、上記実施形態において、位置特定部25に前述のように測位部26を設けて可搬型記録端末1の存在位置を測位するのではなく、例えば図12(b)に示した取付板BDや取付台のような可搬型記録端末1を設置する場所(以下、取付板BD等と称する)がいくつか決まっている場合は、それら取付板BD等を経由して発信信号を取得し、その取付板BD等を特定することで可搬型記録端末1の場所を特定しても良い。
【0103】
この場合、取付板BD等には可搬型記録端末1を取り付ける位置ごとに接続金具のような導通手段が設けてあり、導通手段はケーブルや無線によってサーバへ接続されているか、あるいは直接閲覧者Nの携帯端末2へ接続されるようにしてもよい。そして、可搬型記録端末1を取付板BD等に取り付けると、導通手段を介して可搬型記録端末1の制御部7が導通し、これによってサーバや携帯端末2との情報送受が可能となる。この結果、本変形例の携帯端末2の位置特定部25は入力検出手段に相当し、このような取付板Dの導通によって可搬型記録端末1の位置検出を行う。なお、前述のように、この場合も、図示しないサーバ等を介した携帯端末2からの問い合わせを受信すると可搬型記録端末1が発信するようにしてもよい。問い合わせは双方向通信に拠っても良いし、あるいは取付板等との通信によっても良い。
【0104】
本変形例の情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記記録媒体6の配置時に信号受信可能に接続導通される導通手段を有し、前記位置特定手段25は、前記記録媒体6から出力される出力信号が前記導通手段を介し入力されたことを検出する入力検出手段25(位置特定部に相当)である。
【0105】
このようにすると、測位手段による測位や無線通信による検出等の複雑な手法を行うことなく、単純な導通による出力信号の存在のみによって、記録媒体6を備えた可搬型記録端末1の位置を特定することができる。
【0106】
また、既知の位置に、通信可能範囲が限られ近接通信機能のみを備えた通信アンテナ等(信号受信手段に相当する)を予め設けておき、この通信アンテナにおいて上記可搬型記録端末1からの送信信号が受信されたことをもって当該通信アンテナの近傍に位置するとして位置特定を行うようにしてもよい。
【0107】
なお、この変形例では、可搬型記録端末1は、ICチップさえ備えておけば、既存の規格に沿って近接無線通信を行うことができるので、可搬型記録端末1を安価に製造することが可能となる。また、上記した取付台DB等に上記通信アンテナ等を設けるようにしてもよい。さらに、可搬型記録端末1型のICチップへの充電を行うサービスを併用するようにし、これに対し課金をするようにしてもよい。
【0108】
本変形例の情報記録システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、自己位置から所定の近接範囲を無線通信可能範囲とする信号受信手段を有し、前記位置特定手段25は、前記記録媒体6から出力される出力信号が無線通信を介し前記信号受信手段で受信されたことを検出する受信検出手段25である。
【0109】
このようにすると、近接した無線通信可能範囲を備えた信号受信手段での出力信号の受信により、別途測位手段を設けて測位する等を行うことなく、閲覧者Nの目的とする記録媒体6を備えた可搬型記録端末1の位置を精度よく特定することができる。
【0110】
<記録端末の移動に対応した実施形態>
上記実施形態のように可搬型記録端末1とした場合、悪意又はうっかりと当該可搬型記録端末1をもともとの設置場所から移動させたり、持ち出したりするおそれがあり得る。しかしながら、可搬型記録端末1の記録媒体6に記録される記録情報は、その場所ならではの記録者Mの気持ち・感情・願い事である。したがって、もし記録媒体6が他の場所に移動したり持ち運ばれた後にも記録情報の内容が取得可能であった場合には、記録情報の意義や価値が低下する。また例えば、絵馬のように願い事を記録した場合は、その願い事を残しておきたい場所、例えば特定の神社以外の場所に持っていっては全く意味がなくなる。
【0111】
本実施形態は、このような場合に対応するものであり、可搬型記録端末1の移動検知を行い、大きく移動していた場合には、記録媒体6内に記憶された記録情報を読み取れないように、記録媒体6からの出力制限処理を行うものである。
【0112】
図19に、本実施形態の情報記録システムの一構成例における上記移動検知の例を示す。図示のように、この例では、可搬型記録端末1はもともと本来の配置領域である、所定の観光地等の第1領域RE1の樹木WDに取り付けられている。この可搬型記録端末1が人物Pによって移動され、第1領域RE1外に持ち出されてしまった状態を示している。なお、人物Pは悪意の第三者の可能性もあるが、記録者Mや閲覧者Nがうっかりして移動させてしまう可能性もある。本実施形態では、第1領域RE1全域を通信領域とする送信アンテナAN1から常時あるいは所定周期で当該第1領域REを表す場所信号を出力しており、可搬型記録端末1はこれを受信している間は自らが第1領域RE内に位置すると認識して、記録媒体6内の記録情報を出力可能な状態に保持しておく。一方、可搬型記録端末1が第1領域RE1から外に持ち出されると上記送信アンテナAN1からの場所信号が可搬型記録端末1で受信されなくなり、これによって可搬型記録端末1は第1領域RE1から持ち出されたと認識して記録媒体6内の記録情報を読み出しできないように制限する。この場合、ある所定期間、場所信号を取得できない状態が続いたら、制限をかけるようにしてもよい。
【0113】
図20に、本実施形態の情報記録システムの一構成例における上記移動検知の他の例を示す。図示のように、この例では、可搬型記録端末1が本来の第1領域RE1から別の第2領域RE2へと移動された状態を表している。第2領域RE2には、第1領域RE1の送信アンテナAN1と同様、第2領域RE2全域を通信領域とする送信アンテナAN2から常時あるいは所定周期で当該第2領域REを表す場所信号を出力している。この結果、可搬型記録端末1は、前述のように送信アンテナAN1から第1領域RE1を表す場所信号を受信していた当初の状態から、移動後は、送信アンテナAN1から第1領域RE1を表す場所信号を受信している状態である。
【0114】
可搬型記録端末1は、自らの内部に本来配置されるべき場所の場所情報、この例では第1領域RE1の識別情報を保持しており、送信アンテナから受信される場所信号と常時又は継続的に照合している。前述のように送信アンテナRE1より第1領域RE1の場所信号を受信している間は照合結果が一致するため、記録媒体6内の記録情報を出力可能な状態に保持しておく。一方、可搬型記録端末1が第2領域RE2内へ移動すると上記送信アンテナAN2から第2領域RE2を表す場所信号が受信されるため、上記の照合結果が不一致となり、これによって可搬型記録端末1は記録媒体6内の記録情報を読み出しできないように制限する。この場合、ある所定期間、照合結果が不一致の状態が続いたら、制限をかけるようにしてもよい。
【0115】
なお、上記の例では、例えば観光地等にある土産物屋や社務所で売っているキーホルダー等に可搬型記録端末1の機能を持たせ、予め当該観光地等又はその中の特定領域を表す情報が当該土産物屋か社務所等で書き込まれ、バインドするようにしてもよい。バインドとは、記録媒体6に改ざんできない形で場所情報が保存され、可搬型記録端末1の起動ないしは機能を実行するにあたってこの情報を参照することをいう。
【0116】
また、例えば本来可搬型記録端末1が配置されるべき第1領域RE1が広い場所である場合、送信アンテナAN1を複数設け、これらから同じ場所信号を出して隅々までカバーするようにしても良い。また第1領域RE1自体が分散した複数の小領域の集合として構成されている場合、各小領域それぞれに送信アンテナAN1を設けて同じ場所信号を出しても良い。この場合、照合結果不一致かどうかを判断する前述の所定期間を、分散したすべての小領域を巡るのに十分な時間に設定しても良い。
【0117】
さらに、可搬型記録端末1の記憶する場所情報として、1つではなく複数の場所情報を記憶させておいてもよい。これにより、本来配置されるべき第1領域RE1ではないがこれに準ずる領域での存在が検出された場合は、持ち出しや他領域移動と判定されないようにしてもよい。この場合、例えば近隣の系列会社が経営管理する複数の領域で可搬型記録端末1が有効に使えるようにすることができる。さらにその場合に、系列会社が経営管理する複数の領域であっても、すべてに共通に使える可搬型記録端末1と、その中でも特定の場所でのみ有効になる可搬型記録端末1の両方を区別して設定することもできる。
【0118】
本実施形態における可搬型記録端末1の機能構成の一例を図21に示す。
【0119】
本実施形態の可搬型記録端末1では、検出部4は、記録者検出部8及び閲覧者検出部9に加え、新たに持出・別領域検出部61を備えている。
持出・別領域検出部61は持ち出し検出手段及び別領域検出手段に相当し、無線通信部5を介し受信された上記場所信号の挙動に基づき、可搬型記録端末1が、本来配置される領域から持ち出されたか、若しくは、本来配置される領域とは別の領域に移動したことを検出する。
【0120】
制御部7は、前述の判定部10、入力部11、出力処理部12、記録処理部13、及び信号生成部52に加え、新たに制限部62を有している。なお、本実施形態では出力処理部12は情報出力手段にも相当している。
【0121】
制限部62は制限手段に相当し、持出・別領域検出部61で、可搬型記録端末1が、本来配置される領域から持ち出されたか、若しくは、本来配置される領域とは別の領域に移動したことが検出された場合には、出力処理部12による記録情報の出力処理を制限する。この制限部62の実行する出力制限の態様としては、記録媒体6にアクセスして記録情報自体を破壊したり、読み出し不可能にロックするようにすればよい。このとき、破壊やロックを期限付きで行う、すなわち上記持ち出しや移動が一度検出された後、所定期間内に本来の配置領域に復帰しないと破壊やロックを実行するようにしてもよい。また破壊やロックに代えて、記録情報を消去するようにしてもよいし、可搬型記録端末1が起動操作や情報表示操作を受け付けないようにしてもよいし、さらには可搬型記録端末1の電源が落ちるようにしたり、信号生成部52からの発信信号による場所を知らせる機能が働かないようにしてもよい。なお、これらの制限は、上記の情報破壊の場合を除き、所定の管理者によって制限前の状態に復帰可能としてもよい。
【0122】
なお、本実施形態の可搬型記録端末1に備えられる記録媒体6は、可搬型記録媒体に相当している。
【0123】
本実施形態の情報記録システムSは以上のような一構成例であり、次に図22を参照しつつ当該一構成例による記録情報の制限処理の一例について説明する。
【0124】
図22は、可搬型記録端末1が実行する記録情報の制限処理の手順を表している。まずステップS410において、前述のようにしてアンテナAN1,AN2等から入力される場所信号に基づき、現在の自己の存在位置がどの領域であるかを検出する。この検出には場所信号が入力されないことによる検出不能、すなわち自己の存在位置がどの領域であるか不明であることの検出も含まれる。
【0125】
その後、ステップS420に移り、ステップS410の検出結果に基づき、前述したようにして本来配置されるべき領域から持ち出されたか、若しくは、別の領域に移動されたかを判定する。ステップS410において本来配置される領域に配置されていることが検出された場合には判定が満たされず、ステップS410に戻って同様の手順を繰り返す。ステップS410において持ち出し又は別領域への移動が検出された場合には判定が満たされ、ステップS430に移る。
【0126】
ステップS430では、前述したようにして、出力処理部12による記録情報の出力処理を制限し、このフローを終了する。
【0127】
上記実施形態における情報記録処理システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記出力処理手段12による前記記録媒体6からの前記記録情報の出力処理を、制限可能な制限手段62(制限部に相当)を有する。
【0128】
制限手段62を設け、出力処理手段12による記録媒体6の記録情報の出力処理を制限可能とすることにより、記録媒体6が本来配置される領域から大きく移動された等には記録情報を閲覧者Nが見ることができないようにすることができる。また、この結果、個人情報である記録者Mの気持ち・感情・願い事を保護しつつ、後に閲覧可能となるように記録媒体6に記録することが可能となる。特に、記録情報に名前等が含まれる場合は個人情報保護の意義が高い。
【0129】
上記実施形態における情報記録処理システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記制限手段62は、前記記録情報を前記記録媒体6から出力不能にロックする。
このようにすると、記録媒体6が移動したり持ち運ばれたときには、記録情報がロックされることで閲覧者Nから見ることができないようにすることができる。また、情報自体は不変のまま記録媒体6からの出力のみを不可能とすることにより、情報自体を破壊する場合よりも簡易な手法で閲覧不可能とすることができ、さらに後で閲覧可能に復帰させることも可能となる。
【0130】
上記実施形態における情報記録処理システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記制限手段62は、前記記録媒体6内の前記記録情報をデータ破壊する。
このようにすると、記録媒体6が移動したり持ち運ばれたときには、データが破壊されることで記録情報を閲覧者Nから見ることができないようにすることができる。また、情報自体を破壊してしまうことにより、情報自体は不変のまま記録媒体6からの出力のみを不可能とする場合よりも、高いセキュリティーで確実に閲覧不可能とすることができる。
【0131】
上記実施形態における情報記録処理システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記記録媒体6が、本来の配置領域である第1領域RE1の外へ持ち出されたことを検出する持ち出し検出手段61(持出・別領域検出部に相当)を有し、前記制限手段62は、前記持ち出し検出手段61が前記第1領域RE1外への前記持ち出しを検出した場合に、前記出力処理手段12による前記記録媒体6からの前記記録情報の出力処理を、制限する。
【0132】
このようにすると、記録媒体6が第1領域RE1の外に移動したり持ち運ばれたときに、記録情報の出力処理を制限することで、本来の第1領域RE1内でのみ閲覧者が閲覧可能とすることができる。
【0133】
上記実施形態における情報記録処理システムSにおいては、上述した構成に加えてさらに、前記記録媒体6が、本来の配置領域である第1領域RE1とは異なる第2領域RE2に存在することを検出する別領域検出手段61(持出・別領域検出部に相当)を有し、前記制限手段62は、前記別領域検出手段61が前記第2領域RE2において前記記録媒体6を検出した場合に、前記出力処理手段12による前記記録媒体6からの前記記録情報の出力処理を、制限する。
【0134】
このようにすると、記録媒体6が第1領域RE1以外の第2領域RE2に移動したり持ち運ばれたときに、記録情報の出力処理を制限することで、本来の第1領域内RE1でのみ閲覧者Nが閲覧可能とすることができる。
【0135】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の第1実施形態の情報記録システムの一構成例を表す概念的説明図である。
【図2】既に記録された記録情報の閲覧を行おうとする状況を表す説明図である。
【図3】記録端末の機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図4】携帯端末の機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図5】記録者に対して記録端末が実行する情報記録処理の手順を表すフローチャートである。
【図6】閲覧者に対して記録端末が実行する情報閲覧処理の手順を表すフローチャートである。
【図7】閲覧できる日時や期間範囲を定める変形例における記録端末の機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図8】記録者や閲覧者の操作検出を行う変形例における記録端末の機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図9】GPSによる位置検出を行う変形例における携帯端末の機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図10】記録端末の機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態において使用する可搬型の記録端末の外観を示す図である。
【図12】取付具による可搬型記録端末の取付状態を表す図である。
【図13】発信信号を利用した可搬型記録端末の位置特定の手法の一例を表す説明図である。
【図14】発信信号を利用した可搬型記録端末の位置特定の手法の他の例を表す説明図である。
【図15】発信信号を利用した可搬型記録端末の位置特定の手法のさらに他の例を表す説明図である。
【図16】記録端末の機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図17】携帯端末の機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図18】閲覧者の携帯端末が実行する可搬型記録端末の探索処理の手順を表すフローチャートである。
【図19】本発明の第3実施形態の情報記録システムにおける可搬型記録端末の移動検知の例を表す説明図である。
【図20】本発明の第3実施形態の情報記録システムにおける可搬型記録端末の移動検知の他の例を表す説明図である。
【図21】記録端末の機能構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図22】可搬型記録端末が実行する記録情報の制限処理の手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0137】
1 記録端末
2 携帯端末(第1携帯端末、第2携帯端末に相当)
4 許可情報入力部
5 無線通信部(第1受信手段、第2受信手段に相当)
8 記録者検出部
9 閲覧者検出部
12 出力処理部(出力処理手段に相当)
13 記録処理部(記録処理手段に相当)
15 期限情報入力部
16 位置情報取得部
18 期限判定部
21 表示部
25 位置特定部
26 測位部
61 持出・別領域検出部
62 制限部
S 情報記録システム
AR1 所定エリア(エリアに相当)
AR2 所定エリア(エリアに相当)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録者が所有する第1携帯端末の第1位置情報、および前記記録者が記録を希望して前記第1携帯端末に入力した記録情報を受信する第1受信手段と、
情報を記録するための記録媒体と、
前記記録情報を前記記録媒体に記録させる記録処理手段と、
を備え、
前記記録処理手段は、前記第1位置情報に基づき、記録を残せる場所として予め登録されたエリアに前記第1携帯端末が存在すると判定した場合に、前記記録情報を前記記録媒体に記録させることを特徴とする情報記録システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記録システムにおいて、
閲覧者が所有する第2携帯端末の第2位置情報を受信する第2受信手段と、
前記第2位置情報に基づき、前記エリアに前記第2携帯端末が存在すると判定した場合に、前記記録情報を前記記録媒体から前記第2携帯端末に出力処理するための出力処理手段を備えることを特徴とする情報記録システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報記録システムにおいて、
前記第1受信手段は、さらに前記第1携帯端末から前記記録情報の閲覧が許可される者(以下、閲覧許可者と称する)を指定する閲覧許可情報を受信し、
前記記録処理手段は、前記第1位置情報に基づき、前記エリアに前記第1携帯端末が存在すると判定した場合に、前記記録情報および前記閲覧許可情報を関連付けて前記記録媒体に記録させることを特徴とする情報記録システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報記録システムにおいて、
前記第2受信手段は、さらに前記第2携帯端末から前記閲覧者に関する閲覧者情報を受信し、
前記出力処理手段は、前記第2位置情報および前記閲覧者情報に基づき、前記エリアに前記第2携帯端末が存在し、かつ、前記閲覧者が前記閲覧許可者であると判定した場合に、前記記録情報を前記記録媒体から前記第2携帯端末に出力処理することを特徴とする情報記録システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報記録システムにおいて、
前記第1受信手段はさらに前記第1携帯端末から前記閲覧許可者が前記記録情報の閲覧が可能な期限情報を受信し、
前記出力処理手段は、前記期限情報に基づき、前記第2位置情報を受信した日時が、閲覧が可能な期限内であると判定した場合に、前記記録情報を前記記録媒体から前記第2携帯端末に出力処理することを特徴とする情報記録システム。
【請求項6】
情報を記録するための記録媒体を備えるサーバにより実行される情報記録方法であって、
記録者が所有する第1携帯端末の第1位置情報、および前記記録者が記録を希望して前記第1携帯端末に入力した記録情報を受信する第1受信ステップと、
前記記録情報を前記記録媒体に記録させる記録処理ステップと、
を有し、
前記記録処理ステップは、前記第1位置情報に基づき、記録を残せる場所として予め登録されたエリアに前記第1携帯端末が存在すると判定した場合に、前記記録情報を前記記録媒体に記録させることを特徴とする情報記録方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−69342(P2013−69342A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−2970(P2013−2970)
【出願日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【分割の表示】特願2008−300452(P2008−300452)の分割
【原出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】