説明

情報記録媒体とそのプログラム、及び、情報処理装置

【課題】不揮発性メモリに対して柔軟かつ迅速に処理を行うことができる情報記録媒体とそのプログラム、及び、情報処理装置を提供する。
【解決手段】ICカード(情報記録媒体)は、不揮発性メモリ15と処理実行手段などとを備える。不揮発性メモリ15は、複数の領域に分割されてブロック化されており、分割された各分割領域には、その各分割領域を識別するための割付情報15aが割り付けられている。割付情報15aは、領域識別子15bと、ブロック識別子15cとによって構成され、領域識別子15bは、分類情報としての「1、2、3」などであり、ブロック識別子15cは、各分割領域の先頭アドレス(0000番地、0800番地など)である。処理実行手段は、割付情報15aに基づいて、不揮発性メモリ15のメモリ検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体とそのプログラム、及び、情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICカード用ICチップの不揮発性メモリは、大容量化(高密度化)が進んでいる。従来、不揮発性メモリは、EEPROMが主流であったが、大容量化を実現するメモリ構造としてFlashメモリが注目され、実際に製品化され始めている。
EEPROMもFlashメモリも、データを記録する際には、「消去」「書込み」の手順を踏む必要があるが、それぞれ数ミリ秒単位の待ち時間が発生してしまう。このため、大容量化したメモリでは、メモリ検査に要する時間が非常に長くなるという問題があった。ここで、メモリ検査とは、正常に「消去」「書込み」が可能であることを確認する検査であり、メモリ検査では、不揮発性メモリの大部分を対象に「消去」「書込み」「読出し」といった処理を繰り返す。
【0003】
メモリ検査の始めに繰返される「消去」という処理だけを高速化するために、不揮発性メモリ全体を消去する機能を有するICチップも存在するが、消去する範囲を任意に選択できないという問題があった。
また、不揮発性メモリに記録するデータには、「1回書込んだら以降は読出すだけ」というデータもあれば、「何度も書換える」というデータもある。にもかかわらず、現状では、不揮発性メモリの全体を対象にメモリ検査を実施している。
【0004】
一方、特許文献1は、ROM内にメモリ検査用のプログラムを格納することなしに、内蔵メモリの検査を行うことができるメモリの検査方法を開示しているが、やはり、待ち時間が発生してしまう可能性があった。
【特許文献1】特開平7−210640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、不揮発性メモリに対して柔軟かつ迅速に処理を行うことができる情報記録媒体とそのプログラム、及び、情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、不揮発性メモリ(15)を有する情報記録媒体(10−2)であって、複数の領域に分割された前記不揮発性メモリ(15)の各分割領域を識別するための割付情報(15a)を記憶する割付情報記憶手段(25a)と、前記割付情報記憶手段(25a)が記憶している割付情報(15a)に基づいて、前記不揮発性メモリ(15)に所定の処理を行う処理実行手段(11a−2)と、を備える情報記録媒体(10−2)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の情報記録媒体において、前記所定の処理は、前記不揮発性メモリ(15)のメモリ消去及び/又は前記不揮発性メモリ(15)のメモリ検査であること、を特徴とする情報記録媒体である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の情報記録媒体において、前記各分割領域における前記所定の処理の実施回数を記憶する実施回数記憶手段(25b)を備え、前記処理実行手段(11a−2)は、前記実施回数記憶手段(25b)が記憶している実施回数に基づいて前記所定の処理を行うこと、を特徴とする情報記録媒体である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の情報記録媒体において、前記各分割領域は、書換えが頻繁に行われる多書換え領域と、書換えが頻繁に行われない少書換え領域とに分類され、前記実施回数記憶手段(25b)は、前記多書換え領域の所定の処理の実施回数が、前記少書換え領域の所定の処理の実施回数よりも多くなるように前記実施回数を記憶していること、を特徴とする情報記録媒体である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の情報記録媒体において、前記各分割領域は、セキュリティが要求される重要領域と、セキュリティが要求されない通常領域とに分類され、所定のセキュリティ違反を検知する違反検知手段と、前記違反検知手段がセキュリティ違反を検知した場合に、前記重要領域のメモリを消去するメモリ消去手段とを備えること、を特徴とする情報記録媒体である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の情報記録媒体において、前記情報記録媒体は、前記割付情報(15a)を、前記不揮発性メモリ、揮発性メモリ、読出し専用メモリのうち少なくとも1つのメモリに記憶すること、を特徴とする情報記録媒体である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の情報記録媒体に実行させる情報記録媒体のプログラムであって、前記情報記録媒体の各手段の機能を実行するための手順を備える情報記録媒体のプログラムである。
請求項8の発明は、不揮発性メモリ(15)と、前記不揮発性メモリ(15)に所定の処理を行う処理実行手段(11a)とを備える情報記録媒体(10)を取り扱う情報処理装置(20)であって、複数の領域に分割された前記不揮発性メモリ(15)の各分割領域を識別するための割付情報(15a)を記憶する割付情報記憶手段(25a)と、前記割付情報記憶手段(25a)が記憶している割付情報(15a)を前記情報記録媒体(10)に送信する第1の送信制御手段と、を備える情報処理装置である。
請求項9の発明は、請求項8に記載の情報処理装置において、前記処理実行手段(11a)に、前記第1の送信制御手段(21a)が送信した割付情報(15a)に基づいて所定の処理を行わせる実行コマンドを送信する第1の実行コマンド送信手段(21c)を備えること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載の情報処理装置において、前記所定の処理は、前記不揮発性メモリ(15)のメモリ消去及び/又は前記不揮発性メモリ(15)のメモリ検査であること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項11の発明は、請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記各分割領域における前記所定の処理の実施回数を記憶する実施回数記憶手段(25b)と、前記実施回数記憶手段(25b)が記憶している実施回数を前記情報記録媒体(10)に送信する第2の送信制御手段(21b)と、前記処理実行手段(11a)に、前記第2の送信制御手段(21b)が送信した実施回数に基づいて所定の処理を行わせる実行コマンドを送信する第2の実行コマンド送信手段(21d)とを備えること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項12の発明は、請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記第1の実行コマンド送信手段,前記第2の送信制御手段及び前記第2の実行コマンド送信手段は、1つの実行コマンド送信手段として一体化されていること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項13の発明は、請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記各分割領域は、書換えが頻繁に行われる多書換え領域と、書換えが頻繁に行われない少書換え領域とに分類され、前記実施回数記憶手段(25b)は、前記多書換え領域の所定の処理の実施回数が、前記少書換え領域の所定の処理の実施回数よりも多くなるように前記実施回数を記憶していること、を特徴とする情報処理装置である。
請求項14の発明は、請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記情報記録媒体(10)は、前記第1の送信制御手段(21a)から送信されてきた割付情報(15a)を、前記不揮発性メモリ(15)及び/又は揮発性メモリ(13)に記憶すること、を特徴とする情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不揮発性メモリの割付情報に基づいて、不揮発性メモリに対して所定の処理を行うので、不揮発性メモリの用途に合わせた処理が行え、大容量の不揮発性メモリであっても、処理時間を必要最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、不揮発性メモリに対して柔軟かつ迅速に処理を行うことができる情報記録媒体とそのプログラム、及び、情報処理装置を提供するという目的を、不揮発性メモリを分割して管理することにより実現する。
【実施例1】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例について、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による情報記録媒体の実施例1を示す図であり、図2は、不揮発性メモリ15の詳細を説明する図である。
実施例1のICカード(情報記録媒体)10は、CPU11と、通信機能12と、RAM13と、ROM14と、不揮発性メモリ15と、暗号装置16などとを備える。
【0010】
CPU11は、ICカード10を統括制御する中央処理装置であり、処理実行手段11aを備える。処理実行手段11aは、後述する検査装置から送信されてきたコマンドに応じて、ROM14及び不揮発性メモリ15に記憶されている実行コード(情報記録媒体のプログラム)を実行し、不揮発性メモリ15のメモリ検査を行う部分である。
通信機能12は、非接触式や接触式で検査装置と通信を行うI/Oインターフェースである。
RAM13は、揮発性メモリであり、CPU11が処理を行う作業領域や、検査装置とデータをやり取りするための送受信用のバッファなどとして使用される。
ROM14は、不揮発性の読出し専用のメモリであり、実行コードや、各種パラメータなどが記憶される。
不揮発性メモリ15は、随時書換え可能なメモリであり、例えば、EEPROM、Flashメモリなどである。
【0011】
図2(A)に示すように、不揮発性メモリ15は、複数の領域に分割されてブロック化されており、分割された各分割領域には、その各分割領域を識別するための割付情報15aが割り付けられている。なお、不揮発性メモリ15は、EEPROMの場合には、128byteごとに、Flashメモリの場合には、2Kbyteごとに分割される。
割付情報15aは、領域識別子15bと、ブロック識別子15cとによって構成され、領域識別子15bは、分類情報としての「1、2、3」などであり、ブロック識別子15cは、各分割領域の先頭アドレス(0000番地、0800番地など)である。
また、各分割領域は、書換えが頻繁に行われる多書換え領域と、書換えが頻繁に行われない少書換え領域とに分類され、本実施例では、1番,2番の領域が少書換え領域であり、3番の領域が多書換え領域である。
1番,2番の領域には、カード所有者の手元にICカード10が届いてからも、書換える必要のない情報(認証鍵、暗号鍵、個人識別番号など)が記録され、3番の領域には、何回も書換える情報(電子マネー情報など)が記録される。
なお、図2(B)に示すように、割付情報15a−1は、各ブロックに対して、上から順番に、領域識別子15bを付加したものであってもよい。
図1に示すように、暗号装置16は、主要なデータを暗号鍵などで暗号化する部分である。
【0012】
図3は、本発明による情報処理装置の実施例1を示す図である。
実施例1の検査装置(情報処理装置)20は、CPU21と、通信機能22と、RAM23と、ROM24と、不揮発性メモリ25などとを備える。
各機能部は、上述したICカード10と同様の機能を果たすが、検査装置20の不揮発性メモリ25は、割付情報15aを記憶する割付情報記憶手段25aと、各分割領域におけるメモリ検査の実施回数を記憶する実施回数記憶手段25bとを備える。
実施回数記憶手段25bは、多書換え領域のメモリ検査の実施回数が、少書換え領域のメモリ検査の実施回数よりも多くなるように実施回数を記憶しており、本実施例では、少書換え領域としての1番,2番の領域には(図2参照)、「10回」の実施回数が記憶され、多書換え領域としての3番の領域には、「100回」の実施回数が記憶されている。
【0013】
また、検査装置20のCPU21は、第1の送信制御手段21aと、第2の送信制御手段21bと、第1の実行コマンド送信手段21cと、第2の実行コマンド送信手段21dとを備える。
第1の送信制御手段21aは、割付情報記憶手段25aが記憶している割付情報15aを、ICカード10に送信する部分である。
第2の送信制御手段21bは、実施回数記憶手段25bが記憶している実施回数を、ICカード10に送信する部分である。
第1の実行コマンド送信手段21cは、ICカード10の処理実行手段11aに、第1の送信制御手段21aが送信した割付情報15aに基づいてメモリ検査を行わせる実行コマンドを送信する部分である。
第2の実行コマンド送信手段21dは、ICカード10の処理実行手段11aに、第2の送信制御手段21bが送信した実施回数に基づいてメモリ検査を行わせる実行コマンドを送信する部分である。
【0014】
次に、図4,図5及び図6を参照しながら、本実施例のICカード10及び検査装置20の制御の流れについて説明する。
図4は、ICチップ10a及び検査装置20の相互のやり取りを示す図であり、図5及び図6は、ICチップ10a及び検査装置20の制御の流れを示すフローチャートである。なお、メモリ検査は、「ICチップ」の状態で実施するので、ここでは、ICチップ10aとして表現しており、メモリ検査に合格したICチップ10aは、ICカード10に搭載されてカード化される。
図4に示すように、まず、検査装置20は、ICチップ10aに割付情報15aを送信する(S101)。メモリ検査実施前に、ICチップ10aに割付情報15aを記録させておくためである。
ICチップ10aは、送信されてきた割付情報15aをRAM13に記録し(S102)、記録結果を検査装置20に送信する(S103)。なお、送信されてきた割付情報15aは、不揮発性メモリ15に記録してもよい。
検査装置20は、領域識別子15b及び検査回数を含むメモリ検査実行コマンドをICチップ10aに送信する(S104)。
ICチップ10aは、領域識別子15b及び検査回数に基づいて、メモリ検査を実施し(S105;メモリ検査の詳細は後述する)、検査装置20に検査結果を送信する(S106)。
次のICチップ10aがある場合には、検査装置20は、処理を継続する(S107)。
【0015】
次に、メモリ検査の詳細について説明する。メモリ検査は、「消去」「書込み」「読出し」の3つの処理が1セットになって行われる。
図5は、「消去」の処理の流れを示す図であり、図6は、「書込み」及び「読出し」の処理の流れを示す図である。
(消去)
図5に示すように、ICチップ10aのCPU11は、まず、割付情報15a(図2(A)参照)の一番上のブロックを参照する(S201)。
そして、検査装置20から送信されてきた領域識別子と、割付情報15aの一番上のブロックの領域識別子15bとが一致するか否かを判断し(S202)、一致している場合には、ブロック識別子15cが示す先頭アドレスから所定領域分(EEPROMでは、128byte,Flashメモリでは、2Kbyte)のメモリを消去する(S203)。
そして、残ブロックがなくなるまで(割付情報15aの一番上のブロックから一番下のブロックまで)、同様の処理を繰返し、消去対象となる領域だけを一括消去(連続消去)する(S204)。
【0016】
例えば、3番の領域を「消去対象」として、メモリ検査を指示した場合には、3番の領域を対象にICチップ10aは「消去」することに専念する。その後に続く書込み処理は、Flashメモリでは、最小単位が128byteなどに制限されるが、「消去」の処理は2Kbyteを一気に行うことができる。領域識別子15bに3番の領域が複数記録されている場合には、ソフトウェアで指示を繰返さなくても、消去対象となっている3番の領域を連続して消去することができる。
【0017】
(書込み)
図6に示すように、上述した「消去」の処理が終了したら(図中A部分)、ICチップ10aのCPU11は、「書込み」の処理を行う。
「書込み」の処理も、「消去」の処理と同様に、割付情報15aを参照し(S301)、領域識別子15bを判断し(S302)、一致している場合には、テストパターンの書込みを行い(S303)、残ブロックがなくなるまで、処理を繰返す(S304)。
【0018】
(読出し)
「書込み」の処理が終了したら、ICチップ10aのCPU11は、「読出し」の処理を行う。
「読出し」の処理も、「消去」の処理と同様に、割付情報15aを参照し(S401)、領域識別子15bを判断し(S402)、一致している場合には、読出した値と書込んだ値とを比較する読出しチェックを行い(S403,S404)、残ブロックがなくなるまで、処理を繰返す(S405)。
一連の処理が問題なく終了すれば、良品と判断され(S406)、読出しチェック時に、読出した値と書込んだ値とが一致していなければ、その時点で不良品と判断される(S407)。
【0019】
このように、本実施例によれば、割付情報15aに基づいて、不揮発性メモリ15のメモリ検査を行うので、不揮発性メモリ15の用途に合わせた処理が行え、大容量の不揮発性メモリ15を搭載したICチップ10aであっても、処理時間を必要最小限に抑えることができる。
また、メモリ検査中は、大部分のメモリを消去してよいので、「消去」という処理が短縮されることにより、全体的なメモリ検査時間も短縮され、検査時間の最適化を図ることができる。
【0020】
さらに、不揮発性メモリ15を複数の領域に分割して管理し、領域毎にメモリ検査の実施回数を変更することができるので、重要なメモリ領域に関しては入念にメモリ検査を行ったり、それほど重要でないメモリ領域に関しては最低限のメモリ検査にとどめたりすることができ、メモリ検査のバランスを柔軟に変更することができる。したがって、従来と同様の検査時間を費やした場合には、より効率のよいメモリ検査を行うことがでる。
【0021】
一方、不揮発性メモリ15は、故障率がバスタブ曲線を示す傾向にあり、初期不良が多い。初期不良がどの程度でなくなるかということは、経験やICチップの性能によって変化する。しかし、本実施例の構成であれば、最新のICチップであれば、十分に検査を行ってみたり、旧型のICチップであれば、少ない検査で終わらせたりすることができ、バランスのよい検査を行うことができる。
【実施例2】
【0022】
図7は、本発明による情報記録媒体の実施例2を示す図である。
なお、前述した実施例1と同様な機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
実施例2のICカード(情報記録媒体)10−2は、実施例1の検査装置20側の主な機能が、ICカード10−2側に移行されたものである。
ICカード10−2は、不揮発性メモリ15−2が、割付情報記憶手段25aと、実施回数記憶手段25bとを備える。
【0023】
そして、メモリ検査を実施する場合には、所定の外部装置(実施例1のような検査装置や、リーダライタなど)からICカード10−2に対してメモリ検査を実行させるための実行コマンドを送信する。そうすると、ICカード10−2のCPU11−2の処理実行手段11a−2は、実施例1の流れと同様に、割付情報記憶手段25aが記憶している割付情報15a、及び、実施回数記憶手段25bが記憶している実施回数に基づいて、メモリ検査を行う。検査結果は、ICカード10−2から所定の外部装置に送信するようにしてもよい。
このように、本実施例によれば、専用の検査装置がなくても、メモリ検査を行うことができる。
【0024】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)情報記録媒体は、ICカードやICチップの例で説明したが、不揮発性メモリを有する媒体であれば、携帯電話機や小型情報端末などであってもよい。
(2)情報処理装置は、検査装置の例で説明したが、ICカード発行装置であってもよい。
(3)実施回数は、あらかじめ記憶している例で説明したが、キーボードなどの入力装置から随時入力できるようにしてもよい。
【0025】
(4)上述した実施例で示した各機能は、ソフトウェアで実現する例で説明したが、ハードウェアで実現してもよい。
(5)不揮発性メモリに割付情報を書込む場合は、検査装置などから書込んでもよいが、不揮発性メモリの製造メーカ側であらかじめ書込んでおいてもよい。
(6)所定の処理は、メモリ検査の例で説明したが、メモリ消去であってもよい。このようにすれば、処理前に指定した割付情報に基づいて「消去対象」を特定し、対象となる領域だけを一括消去することができる。
【0026】
(7)実施例1では、検査装置20に、送信したメモリ検査実行コマンドのログを残すようにしてもよい。このようにすれば、ICチップ10aに対して、どのような処理を行ったのかを把握することができる。検査装置20の不揮発性メモリ25は、脱着可能なメモリスティックなどであってもよく、また、検査装置20では、外部記憶装置として、HDD、FDD、MOドライブなどの各種ディスクドライブを利用して割付情報や実施回数などを記憶してもよい。
(8)実施例2では、割付情報記憶手段25a及び実施回数記憶手段25bを不揮発性メモリ15−2に設ける例で説明したが、RAM13に設けたり、ROM14に設けたりしてもよい。
(9)例えば、各分割領域を、セキュリティが要求される重要領域と、セキュリティが要求されない通常領域とに分類し、ICカードに、所定のセキュリティ違反を検知する違反検知手段と、違反検知手段がセキュリティ違反を検知した場合に、重要領域のメモリを消去するメモリ消去手段とを備えさせてもよい。そして、出荷前に、ICカード所有者やICカード発行者にとって重要なデータ(認証鍵など)を「消去対象」として重要領域に記憶して出荷する。
このようにすれば、ICカードが市場に出荷された後、何かしらのセキュリティ違反(例えば、ICカード内の秘密情報にアクセスしたり、重要情報を不正に読出そうとする行為)を違反検知手段が検知した場合には、ICカードは、「消去対象」だけを消去することができる。
(10)第1の実行コマンド送信手段21c,第2の送信制御手段21b及び第2の実行コマンド送信手段21dは、1つの実行コマンド送信手段として一体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による情報記録媒体の実施例1を示す図である。
【図2】不揮発性メモリ15の詳細を説明する図である。
【図3】本発明による情報処理装置の実施例1を示す図である。
【図4】ICチップ10a及び検査装置20の相互のやり取りを示す図である。
【図5】ICチップ10a及び検査装置20の制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】ICチップ10a及び検査装置20の制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明による情報記録媒体の実施例2を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
10、10−2 ICカード(情報記録媒体)
10a ICチップ
11、11−2 CPU
11a、11a−2 処理実行手段
12 通信機能
13 RAM(揮発性メモリ)
14、14−2 ROM
15 不揮発性メモリ
15a、15a−1 割付情報
15b 領域識別子
15c ブロック識別子
16 暗号装置
20 検査装置(情報処理装置)
21 CPU
21a 第1の送信制御手段
21b 第2の送信制御手段
21c 第1の実行コマンド送信手段
21d 第2の実行コマンド送信手段
22 通信機能
23 RAM
24 ROM
25 不揮発性メモリ
25a 割付情報記憶手段
25b 実施回数記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリを有する情報記録媒体であって、
複数の領域に分割された前記不揮発性メモリの各分割領域を識別するための割付情報を記憶する割付情報記憶手段と、
前記割付情報記憶手段が記憶している割付情報に基づいて、前記不揮発性メモリに所定の処理を行う処理実行手段と、
を備える情報記録媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記録媒体において、
前記所定の処理は、前記不揮発性メモリのメモリ消去及び/又は前記不揮発性メモリのメモリ検査であること、
を特徴とする情報記録媒体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報記録媒体において、
前記各分割領域における前記所定の処理の実施回数を記憶する実施回数記憶手段を備え、
前記処理実行手段は、前記実施回数記憶手段が記憶している実施回数に基づいて前記所定の処理を行うこと、
を特徴とする情報記録媒体。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の情報記録媒体において、
前記各分割領域は、書換えが頻繁に行われる多書換え領域と、書換えが頻繁に行われない少書換え領域とに分類され、
前記実施回数記憶手段は、前記多書換え領域の所定の処理の実施回数が、前記少書換え領域の所定の処理の実施回数よりも多くなるように前記実施回数を記憶していること、
を特徴とする情報記録媒体。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の情報記録媒体において、
前記各分割領域は、セキュリティが要求される重要領域と、セキュリティが要求されない通常領域とに分類され、
所定のセキュリティ違反を検知する違反検知手段と、
前記違反検知手段がセキュリティ違反を検知した場合に、前記重要領域のメモリを消去するメモリ消去手段とを備えること、
を特徴とする情報記録媒体。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の情報記録媒体において、
前記情報記録媒体は、前記割付情報を、前記不揮発性メモリ、揮発性メモリ、読出し専用メモリのうち少なくとも1つのメモリに記憶すること、
を特徴とする情報記録媒体。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の情報記録媒体に実行させる情報記録媒体のプログラムであって、前記情報記録媒体の各手段の機能を実行するための手順を備える情報記録媒体のプログラム。
【請求項8】
不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリに所定の処理を行う処理実行手段とを備える情報記録媒体を取り扱う情報処理装置であって、
複数の領域に分割された前記不揮発性メモリの各分割領域を識別するための割付情報を記憶する割付情報記憶手段と、
前記割付情報記憶手段が記憶している割付情報を前記情報記録媒体に送信する第1の送信制御手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置において、
前記処理実行手段に、前記第1の送信制御手段が送信した割付情報に基づいて所定の処理を行わせる実行コマンドを送信する第1の実行コマンド送信手段を備えること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の情報処理装置において、
前記所定の処理は、前記不揮発性メモリのメモリ消去及び/又は前記不揮発性メモリのメモリ検査であること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記各分割領域における前記所定の処理の実施回数を記憶する実施回数記憶手段と、
前記実施回数記憶手段が記憶している実施回数を前記情報記録媒体に送信する第2の送信制御手段と、
前記処理実行手段に、前記第2の送信制御手段が送信した実施回数に基づいて所定の処理を行わせる実行コマンドを送信する第2の実行コマンド送信手段とを備えること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記第1の実行コマンド送信手段,前記第2の送信制御手段及び前記第2の実行コマンド送信手段は、1つの実行コマンド送信手段として一体化されていること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記各分割領域は、書換えが頻繁に行われる多書換え領域と、書換えが頻繁に行われない少書換え領域とに分類され、
前記実施回数記憶手段は、前記多書換え領域の所定の処理の実施回数が、前記少書換え領域の所定の処理の実施回数よりも多くなるように前記実施回数を記憶していること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記情報記録媒体は、前記第1の送信制御手段から送信されてきた割付情報を、前記不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリに記憶すること、
を特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−206760(P2007−206760A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21681(P2006−21681)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】