説明

情報記録媒体記録装置及び情報記録媒体記録再生装置

【課題】 追記録可能なユーザ仕様情報(価値情報)の改ざんを確実に防止可能な情報記録媒体に対する価値情報の記録再生を迅速に行う記録再生装置を提供する。
【解決手段】 情報記録媒体AAのユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に再生用レーザ光Oを照射してユーザ仕様情報を再生し、この再生後、「強」記録用レーザ光Mを照射して当該ユーザ仕様情報を復元不可能なように抹消する光学ヘッドB2と、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に光学ヘッドB2を移送する光学ヘッド送り機構部B3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学的に情報の追記録が可能な情報記録媒体記録装置、及び、光学的に情報の再生が可能でありしかも一旦再生した情報の抹消が可能な情報記録媒体記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】コンパクトディスク(Compact Disc,CD)との互換性(反射率、高周波信号の変調度、高周波信号の対称性、トラッキング信号出力、クロストーク等に関する規格値の同一性)を備えている追記録型の光ディスクとしては、次のものが知られている(例えば特開平2−185737号公報)。
【0003】即ち、この追記録型光ディスクAは、図13R>3に示すように、いわゆる空溝であるトラッキング用案内溝Gを設けてある透明基板1と、この案内溝Gが設けてある透明基板1上に、予め定められた波長を有する記録用のレーザ光Lが照射されたときに適量のレーザ光Lを吸収して屈折率が減少する有機材料膜2を付着させ、この有機材料膜2に光反射用の金属膜3を設けてなるものである。
【0004】前記した有機材料膜2はCDとの互換性を有する反射率を得るために、未記録状態の有機材料膜2へレーザ光Lを照射した場合の反射レーザ光の反射率を70%以上確保している。一方、既記録状態の有機材料膜2へレーザ光Lを照射した場合、有機材料膜2の厚さを薄くしてレーザ光Lの等価光学距離をγ/4に近づけると低反射率となる(γ:波長)。
【0005】こうして読み出した再生情報はコントラスト(S/N)を高くとりCD互換の規格内に収まるように条件設定を行っている。併せてトラッキング信号のレベルの考慮を行っている。このためには、トラッキング用案内溝Gの深さを浅くして未記録状態の反射率を高める方法とトラッキング用案内溝Gの深さを深くして等価光学距離をγ/2に近づける方法とがある。
【0006】他方、CDとの互換性を備えており、予め情報が記録された再生専用領域であるROM(Read Only Memory)領域と随時または追加して情報の書き込みが可能な領域であるRAM(Random Access Memory)領域とを備えた追記録型の光ディスクとしては、次のものが知られている(例えば特開平4−205738号公報)。前述したものと同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0007】即ち、この追記録型光ディスクBは、図14R>4に示すように、直径が120mmの透明基板1のうち、半径が25mm〜35mmのROM領域には、深さ130nmのCD−ROM規格を満たす信号のピットG0 が所望の情報に応じて形成されている。また、半径が35mm〜58mmのRAM領域には、深さ55nm、幅0.5μm、ピッチ1.8μmで振幅30nmのウォブリング(Wobbling)により絶対時間変調されたトラッキング用のV字状の案内溝Ga が形成されている。さらに、透明基板1の全面には波長780nmのレーザ光Lが照射された時に、適量のレーザ光Lを吸収して屈折率が変化する有機材料膜2を付着させ、またこの有機材料膜2に光反射用の金属膜3を設け、さらにこの金属膜3上に保護層4を設けたものである。
【0008】前記した追記録型光ディスクBは前記したROM領域のピットの深さと空溝深さを変えるか、あるいは、有機材料膜2の厚み塗布条件を変える方法で、ROM領域部の反射率とRAM領域部の反射率とを合わせている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した追記録型光ディスクA,Bは、CDの情報記録面の反射率と同一の反射率を備えており、しかも情報が追記録可能な有機材料膜2をトラッキング案内溝G,Ga が形成された透明基板1上に設けているので、仮にCDプレーヤにこうした追記録型光ディスクA,Bを装填し再生することにり、追記録された情報を容易に再生することができる。
【0010】しかしながら、上述した追記録型光ディスクBには、ROM領域とRAM領域(w/o=write once領域)とを半径方向に分離記録することについての開示はあるものの、RAM領域に記録された情報の読み出しの前にROM領域に記録した情報(例えばトラッキング情報、アドレス情報(トラック番号、金額情報など)を読み出すこと、また、RAM領域には必要に応じて価値情報(例えば金券と同じ価値情報)が記録可能であり、一旦記録されたこの価値情報を必要に応じて減じることは可能であるがいずれの場合にもこの価値情報を改ざんされないように防止することについての開示は全くない。
【0011】従って、上述した追記録型光ディスクBのRAM領域にこうした価値情報を記録しておくとたやすく改ざんされてしまう結果、こうしたことが全く発生しない情報記録媒体が求められていた。また、光学的に情報の追記録が可能な情報記録媒体記録装置、及び、光学的に情報の再生が可能でありしかも一旦再生した情報の抹消が可能な情報記録媒体記録再生装置が求められていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、本発明は下記する(1)〜(9)の情報記録媒体記録装置及び情報記録媒体記録再生装置を提供する。
【0013】(1) 図3,図9〜図12に示すように、金額等の情報の追記録が可能な追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3(n:整数)と、(追記録領域11a3〜11n3を「弱」記録用レーザ光L、「強」記録用レーザ光M、再生用レーザ光O、消去用レーザPのいずれかを用いて記録再生消去走査するのに)必要な情報が予め記録された(特定の情報を記録再生消去走査するために当該情報の位置を特定するためにアドレス情報がピット情報として記録された同期部11a2〜11n2と、その際に正常にトラッキングを行うためのトラッキング情報としてあるいは追記録領域に情報が記録されているかどうかの確認のために用いられる空溝部11a1〜11n1とから構成される)再生専用領域とから構成される単位情報領域(1本のグルーブ)11a〜11nを同一基板(ベース)10上に多数設け、かつ、前記追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3は品質管理情報記録部11a32〜11n32及び仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31を備えてなる情報記録媒体AAに、少なくとも品質管理情報を記録する情報記録媒体記録装置であって、前記情報記録媒体AAを所定位置に載置固定する(図9,図10に示すように、移送されてくる情報記録媒体AAはその右左各辺10c,10dが一対の送りガイドB1a,B1bで支持されると共にその下辺10bが位置規制部B1cに当接すると、情報記録媒体AAは所定位置に載置固定する)載置部(情報記録媒体載置部)B1と、この載置部(情報記録媒体載置部)B1に載置した情報記録媒体AAの前記品質管理情報記録部11a32〜11n32に光ビーム(「弱」記録用レーザ光)Lを照射して品質管理情報(メーカコード、製造年月日、ロット番号、製造装置コードなどを示すデータ)を追記録する光学ヘッド(光学ヘッド部)B2と、前記品質管理情報記録部11a32〜11n32に前記光学ヘッド(光学ヘッド部)B2を移送する移送部(光学ヘッド送り機構部)B3とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録装置(製造用データ記録装置)。
【0014】(2) 図3,図9〜図12に示すように、金額等の情報の追記録が可能な追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3(n:整数)と、(追記録領域11a3〜11n3を「弱」記録用レーザ光L、「強」記録用レーザ光M、再生用レーザ光O、消去用レーザPのいずれかを用いて記録再生消去走査するのに)必要な情報が予め記録された(特定の情報を記録再生消去走査するために当該情報の位置を特定するためにアドレス情報がピット情報として記録された同期部11a2〜11n2と、その際に正常にトラッキングを行うためのトラッキング情報としてあるいは追記録領域に情報が記録されているかどうかの確認のために用いられる空溝部11a1〜11n1とから構成される)再生専用領域とから構成される単位情報領域(1本のグルーブ)11a〜11nを同一基板(ベース)10上に多数設け、かつ、前記追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3は品質管理情報記録部11a32〜11n32及び仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31を備えてなる情報記録媒体AAに、少なくとも仕様情報(ユーザ仕様情報)を記録する情報記録媒体記録装置であって、前記情報記録媒体AAを所定位置に載置固定する(図9,図10に示すように、移送されてくる情報記録媒体AAはその右左各辺10c,10dが一対の送りガイドB1a,B1bで支持されると共にその下辺10bが位置規制部B1cに当接すると、情報記録媒体AAは所定位置に載置固定する)載置部(情報記録媒体載置部)B1と、この載置部(情報記録媒体載置部)B1に載置した情報記録媒体AAの前記品質管理情報記録部11a32〜11n32に光ビーム(「弱」記録用レーザ光)Lを照射して仕様情報(ユーザが買い求める態様に応じて加工したユーザ仕様情報であり、例えば1000円券、2000円券などの金額情報、電話の100度数、200度数などの通話度数情報などを示すデータ)を追記録する光学ヘッド(光学ヘッド部)B2と、前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に前記光学ヘッド(光学ヘッド部)B2を移送する移送部(光学ヘッド送り機構部)B3とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録装置(販売用データ記録装置)。
【0015】(3) 図3,図9〜図12に示すように、金額等の情報の追記録が可能な追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3(n:整数)と、(追記録領域11a3〜11n3を「弱」記録用レーザ光L、「強」記録用レーザ光M、再生用レーザ光O、消去用レーザPのいずれかを用いて記録再生消去走査するのに)必要な情報が予め記録された(特定の情報を記録再生消去走査するために当該情報の位置を特定するためにアドレス情報がピット情報として記録された同期部11a2〜11n2と、その際に正常にトラッキングを行うためのトラッキング情報としてあるいは追記録領域に情報が記録されているかどうかの確認のために用いられる空溝部11a1〜11n1とから構成される)再生専用領域とから構成される単位情報領域(1本のグルーブ)11a〜11nを同一基板(ベース)10上に多数設け、かつ、前記追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3は品質管理情報記録部11a32〜11n32及び仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31を備えると共に前記各再生専用領域は走査案内領域(空溝部)11a1〜11n1及びアドレス領域(同期部)11a2〜11n2を備えてなる情報記録媒体AAに、少なくとも仕様情報(ユーザ仕様情報)を記録する情報記録媒体記録装置であって、前記情報記録媒体AAを所定位置に載置固定する(図9,図10に示すように、移送されてくる情報記録媒体AAはその右左各辺10c,10dが一対の送りガイドB1a,B1bで支持されると共にその下辺10bが位置規制部B1cに当接すると、情報記録媒体AAは所定位置に載置固定する)載置部(情報記録媒体載置部)B1と、この載置部(情報記録媒体載置部)B1に載置した情報記録媒体AAの前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に光ビーム(「弱」記録用レーザ光)Lを照射して仕様情報(ユーザが買い求める態様に応じて加工したユーザ仕様情報であり、例えば1000円券、2000円券などの金額情報、電話の100度数、200度数などの通話度数情報などを示すデータ)を追記録すると共に、少なくとも前記走査案内領域(空溝部)11a1〜11n1に光ビーム(「弱」記録用レーザ光)Lを照射して前記仕様情報(ユーザ仕様情報)の追記録の存在を示す情報(ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31にユーザ仕様情報が未記録である場合の空溝部11a1〜11n1の反射率は70%(図4(A)に図示)、一方、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31にユーザ仕様情報が記録されている場合の空溝部11a1〜11n1の反射率は10%(図4(D)に図示)であり、ユーザ仕様情報の追記録の存在を示す情報としては反射率10%)を記録する光学ヘッド(光学ヘッド部)B2と、前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31及び走査案内領域(空溝部)11a1〜11n1に前記光学ヘッド(光学ヘッド部)B2を移送する移送部(光学ヘッド送り機構部)B3とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録装置(販売用データ記録装置)。
【0016】(4) 前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31及び走査案内領域(空溝部)11a1〜11n1に照射する前記光ビーム(「弱」記録用レーザ光)Lの光量は、上記(1)記載の情報記録媒体記録装置(製造用データ記録装置)における光ビーム(「弱」記録用レーザ光)Lの光量とほぼ同一であることを特徴とする上記(2)又は(3)記載の情報記録媒体記録装置(販売用データ記録装置)。
【0017】(5) 図3,図9〜図12に示すように、金額等の情報の追記録が可能な追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3(n:整数)と、(追記録領域11a3〜11n3を「弱」記録用レーザ光L、「強」記録用レーザ光M、再生用レーザ光O、消去用レーザPのいずれかを用いて記録再生消去走査するのに)必要な情報が予め記録された(特定の情報を記録再生消去走査するために当該情報の位置を特定するためにアドレス情報がピット情報として記録された同期部11a2〜11n2と、その際に正常にトラッキングを行うためのトラッキング情報としてあるいは追記録領域に情報が記録されているかどうかの確認のために用いられる空溝部11a1〜11n1とから構成される)再生専用領域とから構成される単位情報領域(1本のグルーブ)11a〜11nを同一基板(ベース)10上に多数設け、かつ前記各追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3は品質管理情報記録部11a32〜11n32及び仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31を備えてなる情報記録媒体AAに記録された仕様情報(ユーザ仕様情報)を少なくとも再生し、再生した当該仕様情報(ユーザ仕様情報)を抹消する抹消情報を前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に重畳記録する(ユーザ仕様情報が記録されているユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31の反射率は70%,10%の2値(図4(D)に図示)であり、「強」記録用レーザ光Mをこのユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に照射して反射率70%,10%を反射率70%,0%に可逆なく変更する。この結果、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に記録されているユーザ仕様情報は読み出せなくなる。こうした反射率の変更がユーザ仕様情報を抹消したのと同じ効果を奏する)情報記録媒体記録再生装置であって、前記情報記録媒体AAを所定位置に載置固定する(図9,図10に示すように、移送されてくる情報記録媒体AAはその右左各辺10c,10dが一対の送りガイドB1a,B1bで支持されると共にその下辺10bが位置規制部B1cに当接すると、情報記録媒体AAは所定位置に載置固定する)載置部(情報記録媒体載置部)B1と、この載置部(情報記録媒体載置部)B1に載置した情報記録媒体AAの前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に再生用光ビーム(再生用レーザ光)Oを照射して仕様情報(ユーザが買い求める態様に応じて加工したユーザ仕様情報であり、例えば1000円券、2000円券などの金額情報、電話の100度数、200度数などの通話度数情報などを示すデータ)を再生し、次に、前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に記録用光ビーム(「強」記録用レーザ光)Mを照射して当該仕様情報を抹消する抹消情報を重畳記録する(ユーザ仕様情報が記録されているユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31の反射率は70%,10%の2値(図4(D)に図示)であり、「強」記録用レーザ光Mをこのユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に照射して反射率70%,10%を反射率70%,0%に可逆なく変更する。この結果、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に記録されているユーザ仕様情報は読み出せなくなる。こうした反射率の変更がユーザ仕様情報を抹消したのと同じ効果を奏する)光学ヘッド(光学ヘッド部)B2と、少なくとも前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に前記光学ヘッド(光学ヘッド部)B2を移送する移送部(光学ヘッド送り機構部)B3とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録再生装置(データ記録再生装置)。
【0018】(6) 図3,図9〜図12に示すように、金額等の情報の追記録が可能な追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3(n:整数)と、(追記録領域11a3〜11n3を「弱」記録用レーザ光L、「強」記録用レーザ光M、再生用レーザ光O、消去用レーザPのいずれかを用いて記録再生消去走査するのに)必要な情報が予め記録された(特定の情報を記録再生消去走査するために当該情報の位置を特定するためにアドレス情報がピット情報として記録された同期部11a2〜11n2と、その際に正常にトラッキングを行うためのトラッキング情報としてあるいは追記録領域に情報が記録されているかどうかの確認のために用いられる空溝部11a1〜11n1とから構成される)再生専用領域とから構成される単位情報領域(1本のグルーブ)11a〜11nを同一基板(ベース)10上に多数設け、かつ前記各追記録領域(データ記録部)11a3〜11n3は少なくとも品質管理情報記録部11a32〜11n32及び仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31を備えてなる情報記録媒体AAに記録された仕様情報(ユーザ仕様情報)を少なくとも再生し、再生した当該仕様情報(ユーザ仕様情報)を抹消する抹消情報を前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に重畳記録する(ユーザ仕様情報が記録されているユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31の反射率は70%,10%の2値(図4(D)に図示)であり、「強」記録用レーザ光Mをこのユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に照射して反射率70%,10%を反射率70%,0%に可逆なく変更する。この結果、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に記録されているユーザ仕様情報は読み出せなくなる。こうした反射率の変更がユーザ仕様情報を抹消したのと同じ効果を奏する)情報記録媒体記録再生装置であって、前記情報記録媒体AAを所定位置に載置固定する(図9,図10に示すように、移送されてくる情報記録媒体AAはその右左各辺10c,10dが一対の送りガイドB1a,B1bで支持されると共にその下辺10bが位置規制部B1cに当接すると、情報記録媒体AAは所定位置に載置固定する)載置部(情報記録媒体案内領域(空溝部)11a1〜11n1に再生用光ビーム(再生用レーザ光)Oをまず順次照射して当該走査案内領域(空溝部)11a1〜11n1に係る前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に仕様情報載置部)B1と、この載置部(情報記録媒体載置部)B1に載置した情報記録媒体AAの全走査(ユーザ仕様情報)が追記録されていると(制御部B5が)判定したときに、再生用光ビーム(再生用レーザ光)Oを当該仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に照射して仕様情報(ユーザ仕様情報)を再生し、次に、前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に記録用光ビーム(「強」記録用レーザ光)Mを照射して当該仕様情報を抹消する抹消情報を重畳記録する(ユーザ仕様情報が記録されているユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31の反射率は70%,10%の2値(図4(D)に図示)であり、「強」記録用レーザ光Mをこのユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に照射して反射率70%,10%を反射率70%,0%に可逆なく変更する。この結果、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に記録されているユーザ仕様情報は読み出せなくなる。こうした反射率の変更がユーザ仕様情報を抹消したのと同じ効果を奏する)光学ヘッド(光学ヘッド部)B2と、少なくとも前記仕様情報記録部(ユーザ仕様情報記録部)11a31〜11n31に前記光学ヘッド(光学ヘッド部)B2を移送する移送部(光学ヘッド送り機構部)B3とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録再生装置(データ記録再生装置)。
【0019】(7) 前記記録用光ビーム(「強」記録用レーザ光)Mの光量は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光ビーム(「弱」記録用レーザ光)Lの光量よりも大であることを特徴とする上記(5)又は(6)記載の情報記録媒体記録再生装置(データ記録再生装置)。
【0020】(8) 前記記録用光ビーム(「強」記録用レーザ光)Mの光量は、前記再生用光ビーム(再生用レーザ光)Oの光量よりも大であることを特徴とする上記(5)又は(6)記載の情報記録媒体記録再生装置(データ記録再生装置)。
【0021】(9) 前記再生用光ビーム(再生用レーザ光)Oの光量は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光ビーム(「弱」記録用レーザ光)Lの光量よりも小であることを特徴とする上記(5)又は(6)記載の情報記録媒体記録再生装置(データ記録再生装置)。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の情報記録媒体記録装置及び情報記録媒体記録再生装置を図1〜図12に沿って説明する。図1は情報記録媒体の外観構成図、図2は図1に示す情報記録媒体の要部である機能書き込みチップを説明するための図、図3は図2に示す機能書き込みチップの構成及びその動作を説明するための図、図4は未記録状態、ユーザ仕様情報の記録状態の機能書き込みチップに「弱」記録用レーザ光を照射したことよる反射率の変化を説明するための図、図5は消費情報に応じた分のユーザ仕様情報を抹消したことによる反射率の変化を説明するための図、図6は機能書き込みチップを構成する空溝部だけに再生用レーザ光を照射した場合に各グルーブの未記録・記録済状態の違いにより異なる反射率となることを説明するための図、図7は機能書き込みチップを構成するデータ記録部において「強」・「弱」記録用レーザ光を用いた記録状態を説明するための図、図8は機能書き込みチップに記録する誤り訂正符号入りデータの構成を説明するための図、図9,図10,図11R>1はそれぞれ本発明の情報記録媒体記録装置及び情報記録媒体記録再生装置の概略構成及びその動作を説明するための図、図12は本発明の情報記録媒体記録装置及び情報記録媒体記録再生装置の要部である光ヘッド部の構造を説明するための図である。
【0023】以下、本発明の情報記録媒体記録装置及び情報記録媒体記録再生装置を、次の(1)〜(9)順序で説明する。
(1)「情報記録媒体の概略構成」
(1−1)機能書き込みチップ(1−2)再生専用チップ(2)「書き込みチップへの追記録」
(2−1)情報記録媒体の製造時(2−2)情報記録媒体の販売時(2−3)情報記録媒体の使用時(3)「情報記録媒体の改ざん防止方法」
(3−1)消費情報に見合ったユーザ仕様情報の破壊(3−2)未使用情報記録媒体の複製防止(4)「機能書き込みチップの具体的な仕様」
(4−1)「弱」記録状態(4−2)「強」記録状態(5)「情報記録媒体の記録状態」
(5−1)未記録状態の情報記録媒体(5−2)「弱」記録状態の情報記録媒体(5−3)「強」記録状態の情報記録媒体(5−4)消去状態の情報記録媒体(6)「情報記録媒体の製造方法」
(6−1)機能書き込みチップの原盤製作(6−2)機能書き込みチップの複製(6−3)機能書き込みチップを搭載した情報記録媒体の製造(7)「情報記録媒体記録再生装置の共通構成」
(8)「情報記録媒体記録再生装置の動作」
(8−1)製造用データ記録装置の記録動作(8−2)販売用データ記録装置の記録動作(8−3)データ記録再生装置の記録再生動作(9)「情報記録媒体再生方法」
【0024】情報記録媒体の外観形状は円盤状、方形状などが考えられる。情報記録媒体の外観形状が円盤形状の場合は次の通りである。即ち、後述する図1〜図3に示すように、金額等の情報の追記録が可能なデータ記録部11a3〜11n3(n:整数)と、このデータ記録部11a3〜11n3を「弱」記録用レーザ光L、「強」記録用レーザ光M、再生用レーザ光O、消去用レーザPのいずれかを用いて記録再生消去走査するのに必要な情報が予め記録された、特定の情報を記録再生消去走査するための当該情報の位置を特定するためにアドレス情報がピット情報として記録された同期部11a2〜11n2と、その際に正常にトラッキングを行うためのトラッキング情報としてあるいはデータ記録部11a3〜11n3に情報が記録されているかどうかの確認のために用いられる空溝部11a1〜11n1とから構成される単位情報領域(1本のグルーブ)11a〜11nを同一基板(ベース)10上に多数記録した情報記録媒体であって、この単位情報領域を情報トラック方向に同心円状又は螺旋状に連続記録した円盤形状の情報記録媒体(CDと互換性がある光ディスク)である。しかしながら、以下の説明においては説明の都合上、情報記録媒体の外観形状を方形形状(カード形状)として詳細に説明することにする。
【0025】(1)「情報記録媒体の概略構成」
情報記録媒体AAは、図1に示すように、外観はカード形状であり、例えば名刺大あるいはクレジットカードの大きさ(縦50mm×横85mm程度)である。そして、ベース10上には機能書き込みチップ11、再生専用チップ12が設けられている。以下、(1)「情報記録媒体の概略構成」を、(1−1)機能書き込みチップ、(1−2)再生専用チップの順に説明する。
【0026】また、ここでは図示しないが必要に応じてベース10上に磁気ストライブなどを設けて従来品との互換性を保持することも容易に可能である。機能書き込みチップ11は帯状、再生専用チップ12は長方形で示されているが、機能書き込みチップ11及び再生専用チップ12の形状はそこに記録されているデータが読み出すことができる形状であれば良く、楕円、円形状等であっても良い。図1中、10a,10b,10c,10dはそれぞれベース10の上辺、下辺、右辺、左辺を示す。
【0027】ところで、ここでは図示しないがベース10に誤挿入防止用部材を設けている。即ち、ベース10の上辺、下辺、右辺、左辺10a,10b,10c,10dのいずれか図示せぬ切り欠き、凹部、凸部などを設けたり、あるいは、ベース10の上面、下面に凹部、凸部などを設けるものである。こうした切り欠き、凹部、凸部のいずれかを設けたベース10を有する情報記録媒体AAを情報記録媒体記録再生装置BBの情報記録媒体挿入口へ誤挿入なく正しく挿入された場合に、図10中矢印d方向から供給されてくる情報記録媒体AAの左右各辺10d,10cが必ず一対の送りガイドB1a、送り用ギヤB1b常時)で支持され、かつ、その下辺10bが必ず位置規制部B1cに当接することによってのみ、情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11における直線トラック状のグルーブ11a〜11nに記録されているデータを読み出したり、ここにデータを書き込んだりすることができる。情報記録媒体AAを情報記録媒体記録再生装置BBの情報記録媒体挿入口へ誤挿入してしまうと、情報記録媒体記録再生装置BBは情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11における直線トラック状のグルーブ11a〜11nに記録されているデータを読み出したり、ここにデータを書き込んだりすることが全くできない。従って、情報記録媒体AAを情報記録媒体記録再生装置BBの情報記録媒体挿入口へ誤挿入したか否かの判別に前記した誤挿入防止用部材の検知の有無を検出することにより、この検出をパスしないと誤挿入と判定して挿入した情報記録媒体AAを情報記録媒体記録再生装置BB外へ排出するのである。
【0028】前記したベース10は、不透明なポリカーボネイト基板で形成されしかも容易に折り曲がらない程度の厚さを有している。その厚さはクレジットカードの厚さ(1mm程度)である。
【0029】(1−1)機能書き込みチップ前記した機能書き込みチップ11は、縦5mm×横20mm程度の帯状であり、追記録(w/o=write once)可能な書き込み機能を有する半導体チップである。この追記録可能な部分は後述するデータ記録部11a3〜11n3(図3(A)に図示)の品質管理情報記録部、ユーザ仕様情報記録部、その他の記録部である。機能書き込みチップ11はベース10上に設けられるか又は、ベース10上面に凹部を形成しこの凹部に収納固定される。
【0030】(1−2)再生専用チップ前記した再生専用チップ12は、縦10mm×横20mm程度の長方形であり、例えば透過型ホログラフによりセキュリティのためのパターン情報が記録されている。再生専用チップ12はベース10上に設けられるか又は、ベース10上面に凹部を形成しこの凹部に収納固定される。
【0031】(2)「書き込みチップへの追記録」
書き込みチップ11のデータ記録部11a3〜11n3への追記録は、情報記録媒体の製造時、情報記録媒体の販売時、情報記録媒体の使用時のときに随時行うことが考えられる。以下、(2)「書き込みチップへの追記録」を、(2−1)情報記録媒体の製造時、(2−2)情報記録媒体の販売時、(2−3)情報記録媒体の使用時の順に説明する。
【0032】(2−1)情報記録媒体の製造時前記した情報記録媒体AAを製造するメーカにおいては、メーカサイドの品質管理情報(メーカコード、製造年月日、ロット番号、製造装置コードなどを示すデータ)を図示せぬデータ記録装置(製造用データ記録装置)を用いてデータ記録部11a3〜11n3内の品質管理情報記録部11a32〜11n32に記録した後、この情報記録媒体AAを出荷する。
【0033】ところで、データ記録部11a3〜11n3には品質管理情報記録部11a32〜11n32の他に、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31がある。このユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31には出荷後、ユーザの希望に応じたユーザ仕様情報を追記録することができる。
【0034】(2−2)情報記録媒体の販売時メーカサイドの品質管理情報が記録されている情報記録媒体AAを、ユーザが買い求める態様に応じて加工したユーザ仕様情報(例えば1000円券、2000円券などの金券として加工し、また、電話の100度数、200度数などの通話度数券などと加工して)を記録するに際し、このユーザ仕様情報を販売機能を兼ねた図示せぬデータ記録装置(販売用データ記録装置)を用いて情報記録媒体AAのデータ記録部11a3〜11n3内のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に記録する。こうして、品質管理情報及びユーザ仕様情報を順次追記録した情報記録媒体AAを作成して前記した販売用データ記録装置でユーザに販売する。
【0035】(2−3)情報記録媒体の使用時品質管理情報及びユーザ仕様情報が付加記録された情報記録媒体AAを使用してユーザがサービス、物品を購入するに際し、前記したユーザ仕様情報から購入に見合った消費情報を減額(使った分のユーザ仕様情報を再使用が不可能なように抹消(破壊))するための機能を備えた図示せぬデータ記録再生装置を用いて、データ記録部11a3〜11n3内のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に記録されているユーザ仕様情報から前記した消費情報に応じた情報を抹消した後、品質管理情報及び減額されたユーザ仕様情報を記録してある情報記録媒体AAをユーザに返却するのである。減額すべきユーザ仕様情報がない場合(全て使い切った場合)は情報記録媒体AAをユーザに返却しないか、あるいは、再使用ができないように書き込みチップ11を光学的、物理的に破壊した上でユーザに返却する。
【0036】こうして、データ記録部11a3〜11n3への追記録は、情報記録媒体AAの製造時、販売時において順次行われるのである。
【0037】(3)「情報記録媒体の改ざん防止方法」
前記した品質管理情報は、例えば市場に大量に出回った情報記録媒体AAに製造上の欠陥が発見された場合、それがどのメーカで製造されたかをこの品質管理情報を読み出して、メーカ名、製造年月日、ロット番号、製造装置を特定してその欠陥原因を究明し、その欠陥を除去するために用いられる。以下、(3)「情報記録媒体の改ざん防止方法」を、(3−1)消費情報に見合ったユーザ仕様情報の破壊、(3−2)未使用情報記録媒体の複製防止の順に説明する。
【0038】前記したユーザ仕様情報は、品質管理情報のみが記録された情報記録媒体AAにユーザの要求に応じた情報を書き込むためのデータである。例えば、情報記録媒体AAにおける金額が未記入な金額書入欄にユーザが希望する金額を書き入れて、特定金額の金券として加工し、この特定金額でこれを販売するために必要なものである。
【0039】前記した消費情報は消費に見合った金額などの情報であり、この消費情報に対応した部分だけユーザ仕様情報の一部あるいは全てを抹消するためのものである。
【0040】こうした品質管理情報、ユーザ仕様情報はたやすく改ざん可能なように記録されていると、ユーザ仕様情報が全て抹消されている使用済の情報記録媒体AAのユーザ仕様情報を復元して販売時の真新しいユーザ仕様情報をもつ未使用の情報記録媒体AAを得るというような、情報記録媒体AAの改ざんが可能となる。この改ざんが広くかつ大量に行われると、特定の金種の情報記録媒体AAを購入することによって、現金を用いずともサービス、物品を購入できるという信用システムが根底から覆るおそれが大きい。
【0041】従って、こうした信用システムを維持発展させていく上で欠くことができない、極めて重要なこととして情報記録媒体AAの確実な改ざん防止を遂行する必要がある。こうした改ざん防止方法としては、下記する(3−1)消費情報に見合ったユーザ仕様情報の破壊、(3−2)未使用情報記録媒体の複製防止が考えられる。
【0042】(3−1)消費情報に見合ったユーザ仕様情報の破壊前記した消費情報を消去して販売時の真新しいユーザ仕様情報に復元することができないように、消費情報に見合ったユーザ仕様情報を破壊することである。具体的には、ユーザ仕様情報を記録するのに用いられる「弱」記録用レーザ光L(従来の技術で用いたレーザ光Lと同一)の光量よりも大なる光量の「強」記録用レーザ光Mを消費情報に見合ったユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に照射することにより、消費情報に見合ったユーザ仕様情報を抹消(破壊)することである。
【0043】また、消費情報に見合ったユーザ仕様情報を記録しているグルーブ11a〜11nに図示せぬパンチで物理的に穴を開ける等である。
【0044】因みに、販売時の真新しいユーザ仕様情報であるか、使用時の消費情報に見合って破壊されたユーザ仕様情報であるかの判別は、図2に示す機能書き込みチップ11のベース11Aの平坦部1aとグルーブ11a〜11nへ再生用レーザ光Oを照射した場合に、平坦部1aとグルーブ11a〜11nとからそれぞれ反射する反射レーザ光の反射率の違い(反射光の光路差による光の位相差)により行うことができる。即ち、平坦部1aにおける反射率>グルーブ11a〜11nにおける反射率。
【0045】(3−2)未使用情報記録媒体の複製防止前記したように、例えば透過型ホログラフによりセキュリティ情報が記録されている再生専用チップ12を、機能書き込みチップ11と共に、ベース10上に搭載することである。透過型ホログラフにより作成されたセキュリティ情報は限られたメーカが備えている特殊装置を用いなければその複製ができないものである。
【0046】具体的には、この透過型ホログラムにより作成されたセキュリティ情報は図示せぬホログラム読取装置でしか読み取ることができないものである。このホログラム読取装置をユーザがサービス、物品を購入するに際して使用するデータ記録再生装置内に備えておき、そしてこの読取装置で読み出した再生情報をこのデータ記録再生装置内にメモリしてあるセキュリティ基準情報に照合し、読み出したセキュリティ情報がこのセキュリティ基準情報に一致すれば、読み取ったセキュリティ情報は「真」と判定する。
【0047】セキュリティ情報が「真」の場合であって、かつ機能書き込みチップ11内に記録されているユーザ仕様情報記録部に再生用レーザ光Oを照射して得られた特定の反射率の有無から、真正な未使用のユーザ仕様情報記録部であることを検知し、このユーザ仕様情報記録部に記録されているユーザ仕様情報が購入しようとするサービス、物品の購入高よりも等しいか大である場合には、ユーザは希望するサービス・物品を購入することができるとするのである。
【0048】(4)「機能書き込みチップの具体的な仕様」
前記した機能書き込みチップ11は、図2、図3にそれぞれ示すように、ベース11A上に多数並列して形成された直線トラック状のグルーブ(groove,溝)11a,11b,11c,…,11nを備えている。以下、(4)「機能書き込みチップの具体的な仕様」を、(4−1)「弱」記録状態、(4−2)「強」記録状態の順に説明する。
【0049】グルーブ11aは、図3(A)中左から右に向かい、空溝部11a1,同期部(sync&addr)11a2,データ記録部(data)11a3,同期部(sync&addr)11a4,空溝部11a5が間欠的に順次配列されている。
【0050】同様に、グルーブ11bは、空溝部11b1,同期部11b2,データ記録部11b3,同期部11b4,空溝部11b5が間欠的に順次配列され、グルーブ11cは、空溝部11c1,同期部11c2,データ記録部11c3,同期部11c4,空溝部11c5が間欠的に順次配列され、…、グルーブ11nは、空溝部11n1,同期部11n2,データ記録部11n3,同期部11n4,空溝部11n5が間欠的に順次配列されている。各グルーブ11a〜11nの先頭に位置している空溝部11a1〜11n1の開始位置は全て揃っている。
【0051】前記した構成の機能書き込みチップ11の仕様は、例えば、次の(1) 〜(14)の通りである。
(1) サイズ:縦5mm×横20mm(2) 記録容量:100kByte(全グルーブ11a〜11nに記録可能な記録容量であり、同期部11a2〜11n2、データ記録部11a3〜11n3、同期部11a4〜11n4の記録容量である)
(3) 有効記録範囲:縦1mm×横15mm(ベース11A上にグルーブ11a〜11nが形成される範囲)
(4) 全トラック数:200トラック(前記グルーブ11a〜11nのトラック本数)
(5) 1トラック当りの実記録容量:500Byte(各グルーブ11a〜11nにそれぞれ記録され、エラー訂正のためのデータを除く情報の記録容量)
(6) クラスターサイズ:1トラック1セクタ(グルーブ11a〜11nの各トラックに1セクタ(単位情報)を記録)
(7) トラックピッチ:4.8μm(各グルーブ11a〜11n間のトラックピッチ)
(8) 最短ピット長:6μm(同期部11a2〜11n2、データ記録部11a3〜11n3、同期部11a4〜11n4のトラック方向の最短ピット長)
(9) 記録変調方式:略EFM(Eight Fourteen Modulation)方式(データ記録部11a3〜11n3に記録される情報の8−14変調方式であり、訂正符号はリードソロモン符号を用いる)
【0052】(10) 空溝部11a1〜11n1のトラック方向の長さ:2.5mm(11) 同期部11a2〜11n2のトラック方向の長さ:1.5mm(12) データ記録部11a3〜11n3のトラック方向の長さ:12.5mm(13) 同期部11a4〜11n4のトラック方向の長さ:1.5mm(14) 空溝部11a5〜11n5のトラック方向の長さ:2.5mm
【0053】また、データ記録部11a3〜11n3に記録されるデータの改ざんを防止しその保持の安全性向上のため、インターリーブ処理を行う。データ配列は50%のエラー訂正コードの付加を行う。図8に示すのはグルーブ11a〜11nの1トラック当たりのデータの記録状態を示す図である。
【0054】図8中、「データ・エリア500B」は1トラック当たりの実記録容量500Byte(縦20Byte×横25Byte)を示している。また、1トラック当たり実記録容量500Byteの他に、エラー訂正のためのデータが記録されている(横方向ECC(Error Correction Code,エラー訂正コード)は100Byte(縦20Byte×横5Byte)、縦方向ECCは125Byte(縦5Byte×横25Byte))。この結果、エラー訂正後の誤り率は10-12 Byte以下となり、極めて高い精度で再生情報のエラー訂正が可能となった。
【0055】さて、グルーブ11a〜11nの先端部、後端部にそれぞれ配置される前記した空溝部11a1〜11n1,11a5〜11n5は、前述した追記録型光ディスクA(図13に図示)のトラッキング用案内溝Gに相当するものであり、ここに照射するレーザ光でピット形状を変更(傷付ける)するなどしてここの反射率を可変することができる。なお、空溝部11a5〜11n5は必要に応じて除去しても良い。
【0056】即ち、後述するように、製造された後にデータ記録部11a3〜11n3に何もデータが記録されていない未使用状態の機能書き込みチップにおける空溝部11a1〜11n1の反射率は70%であり(図4(A)に図示)、また、後述する「弱」記録状態あるいは「強」記録状態の機能書き込みチップにおける空溝部11a1〜11n1の反射率はいずれも10%と変更される(図4(D)、図5(B)に図示)。さらに、「弱」記録用レーザ光L,「強」記録記録用レーザ光Mの各光量よりも大なる光量の消去用レーザ光Pでは反射率は0%と変更される。
【0057】また、データ記録部11a3〜11n3の先端部、後端部にそれぞれ配置される前記した同期部11a2〜11n2,11a4〜11n4は、前述した追記録型光ディスクB(図14に図示)のROM領域におけるピットG0 に相当するものであり、ここに照射するレーザ光でピット形状を変更(傷付ける)するなどしてここの反射率を可変することができる。なお、同期部11a4〜11n4は必要に応じて除去しても良い。
【0058】即ち、後述するように、未使用状態の機能書き込みチップ11における同期部11a2〜11n2には、3ビットのデータとして例えば「1,0,1」が記録されており、このときの反射率はデータ「1,0,1」に応じて、70%,100%,70%である(図4(B)に図示)。
【0059】また、「弱」記録状態あるいは「強」記録状態の機能書き込みチップ11における同期部11a2〜11n2の反射率は、データ「1,0,1」に応じて、10%,13%,10%と変更される(図4(D)、図5(B)に図示)。ここでは未使用状態のときと記録済状態のときとでは反射率は変化するが、その変化はデータの値に応じて規則的になされる。従って、未使用あるいは記録済状態いずれの状態でもデータ「1,0,1」を読み出すことができる。
【0060】この同期部11a2〜11n2,11a4〜11n4には、グルーブ11a〜11nの最大200トラックのトラック順に付した例えば8ビットのアドレスコードが記録されてあっても良い(図示せず)。例えば、第1トラックであるグルーブ11aの同期部11a2,11a4には「00000001」がそれぞれ記録されており、第2トラックであるグルーブ11bの同期部11b2,11b4には「00000010」がそれぞれ記録されているというようにである。
【0061】さらに、データ記録部11a3〜11n3は前述した追記録型光ディスクA(図13に図示)において透明基板1上に予め定められた波長を有する「弱」記録用レーザ光Lが照射されたときに、適量のレーザ光Lを吸収して屈折率が減少する有機材料膜2を付着させ、この有機材料膜2に光反射用の金属膜3を設けてなる積層状態のものに相当する追記録可能な部分であり、ここはRAM領域(W/O領域)である。データ記録部11a3〜11n3はここに照射する「弱」記録用レーザ光Lあるいは「強」記録用レーザ光Mで反射率を可変することができる。
【0062】「弱」記録用レーザ光Lを照射した場合は、前記したユーザ仕様情報を記録し、「強」記録用レーザ光Mを照射した場合には、その照射に応じた部分の前記したユーザ仕様情報を破壊抹消するというように使用できるところである。
【0063】例えば、情報記録媒体AAを10,000円の金券として用いる場合、1グルーブ(1トラック)当り1,000円の金額データを記録するように、10本のグルーブ11a〜11jのデータ記録部11a3〜11j3内に1,000円のユーザ仕様情報をそれぞれ記録する。
【0064】また、同期部11a2〜11j2,11a4〜11j4にアドレスコードを記録せずに、1,000円のデータを2進数で記録した場合、同期部11a2〜11j2,11a4〜11j4とデータ記録部11a3〜11j3との異なるエリアに同一データを記録しておく。こうすることにより、異なるエリアに記録したデータが完全に一致しなければ、情報記録媒体AAの使用が不正なものとすることにより、情報記録媒体AAの不正使用を確実に防止することができる。
【0065】次に、データ記録部11a3〜11n3への「弱」記録状態及び「強」記録状態について説明する。以下、(4)「機能書き込みチップの具体的な仕様」として、(4−1)「弱」記録状態、(4−2)「強」記録状態の順に説明する。
【0066】(4−1)「弱」記録状態図7に示すように、矢印方向aからデータ記録部11a3〜11n3上へ照射される「弱」記録用レーザ光Lは、面1a、透明基板1、成形溝(ピット)1bを透過して有機材料膜2の色素記録部11aaに到達する。そして「弱」記録用レーザ光Lの光量ではこの色素記録部11aaを透過しないので、「弱」記録用レーザ光Lはその下層の金属反射膜3に到達することはない。
【0067】これにより、色素記録部11aaは適量のレーザ光Lを吸収して屈折率が減少する結果、「弱」記録用レーザ光Lが照射される前のデータ記録部11a3〜11n3の反射率は70%一定であった(図4(B)に図示)のが、「弱」記録用レーザ光Lが照射された後の反射率は記録すべきユーザ仕様情報に応じて反射率70%,10%のいずれかとなるのである(図4(D)に図示のユーザ仕様情報「1,0,1,0,1,0」)。図7中、3は金属反射膜、4は保護膜である。
【0068】(4−2)「強」記録状態図7に示すように、矢印方向aからデータ記録部11a3〜11n3上へ照射される「強」記録用レーザ光Mは、前記した「弱」記録用レーザ光Lの光量よりも大なる光量を有するものであり、面1a、透明基板1、成形溝(ピット)1bを透過して有機材料膜2の色素記録部11aaに到達し、この色素記録部11aaを破壊した後、金属反射膜3に到達する。この結果、「強」記録用レーザ光Mが照射される前のデータ記録部11a3〜11n3の反射率は70%一定であった(図4(B)に図示)のが、「強」記録用レーザ光Mが照射された後の反射率はその照射に応じたユーザ仕様情報「1,0,1,0,1,0」を破壊抹消したことにより、ユーザ仕様情報「1,0,1,0,1,0」に応じて反射率は0%,70%,0%,70%,0%,70%となるのである(図5(B)に図示の状態)。
【0069】このように、未使用状態の機能書き込みチップにおけるデータ記録部11a3〜11n3には、ユーザ仕様情報はなく(ユーザ仕様情報「0」)、このときの反射率は70%である(図4(B)に図示)。また、「弱」記録状態の機能書き込みチップ11におけるデータ記録部11a3〜11n3の反射率は、ユーザ仕様情報「1,0,1,0,1,0」に応じて反射率は10%,70%,10%,70%,10%,70%である(図4(D)に図示の状態)。さらに、「強」記録状態の機能書き込みチップ11におけるデータ記録部11a3〜11n3の反射率は、ユーザ仕様情報「1,0,1,0,1,0」に応じて反射率は0%,70%,0%,70%,0%,70%となることは前述した通りである(図5(B)に図示の状態)。
【0070】ここで、ユーザ仕様情報を再生するに際し、反射率は70%をユーザ仕様情報「0」、反射率は10%をユーザ仕様情報「1」と設定しておき、この設定基準をユーザ仕様情報の再生の可否に用いる。
【0071】これにより、「弱」記録用レーザ光Lで記録したユーザ仕様情報から得られる反射率は70%,10%の2値であるので、前記した設定基準に適合するから、「弱」記録用レーザ光Lで記録したユーザ仕様情報はたやすく取り出す(再生する)ことができるのである。
【0072】一方、「強」記録用レーザ光Mでユーザ仕様情報から得られる反射率は70%,0%の2値であるので、前記した設定基準に適合しないから、「強」記録用レーザ光Mで記録したユーザ仕様情報は再生することができないのである。
【0073】ところで上記した構成の、図3(A)に示したグルーブ11a,11b,11c,…,11nの縦断面構造は、図3(B)に示すとおりである。前記したデータ記録部11a3〜11n3(有機材料膜2を含む)透明基板1上には、光反射用の金属膜3が設けられており、また、金属膜3上には保護層4が設けられているものである。図3(B)中、aは「弱」記録用レーザ光L、「強」記録用レーザ光M、再生用レーザ光O、消去用レーザ光Pの各レーザ光が照射される方向を示す。
【0074】ここで、上述した4種類のレーザ光について、次の(1) 〜(4) のようにまとめてみる。
(1) 「弱」記録状態に用いられる追記録用レーザ光:レーザ光L(2) 「強」記録状態に用いられる追記録用レーザ光:レーザ光M(3) 消去用レーザ光:レーザ光P(4) 再生用レーザ光:レーザ光Oと記す。
【0075】これら4つのレーザ光の光量は次の通り相違するが、その波長は同一(例えば780nm)の値である。即ち、消去用レーザ光Pの光量>「強」記録用レーザ光Mの光量>「弱」記録用レーザ光Lの光量>再生用レーザ光Oの光量
【0076】例えば、レーザ光の波長が780nm、後述する対物レンズB2fのNA:0.45、情報記録媒体AAの記録線速度(図3(A)、図4、図5中、矢印b方向):1.2m/sの場合、次の(1) 〜(4) の光量が必要である。
(1) 再生用レーザ光Oの光量:0.3mW(2) 「弱」記録用レーザ光Lの光量:3〜6mW(3) 「強」記録用レーザ光Mの光量:12〜20mW(4) 消去用レーザ光Pの光量:30〜40mW
【0077】(5)「情報記録媒体の記録状態」
さて、次に、情報記録媒体AAの4記録状態(未記録状態、「弱」記録状態、「強」記録状態、消去状態)につき説明する。以下、(5)「情報記録媒体の記録状態」を、(5−1)未記録状態の情報記録媒体、(5−2)「弱」記録状態の情報記録媒体、(5−3)「強」記録状態の情報記録媒体、(5−4)消去状態の情報記録媒体の順に説明する。
【0078】(5−1)未記録状態の情報記録媒体未記録状態(未使用状態)の情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11におけるグルーブ11a〜11nは、図4(B)に示すように、次の(1) 〜(3) の反射率である。
(1) 空溝部11a1〜11n1:データ「0」(反射率70%)
(2) 同期部11a2〜11n2:各グルーブ11a〜11nに対応する固定データが2値「0」(反射率100%),「1」(反射率70%)で記録される。図4(B)の場合、データ「1,0,1」が記録されている。
(3) データ記録部11a3〜11n3データ記録部11a3〜11n3がユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31、品質管理情報記録部11a32〜11n32で構成されている場合、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に記録されるユーザ仕様情報は「0」(反射率70%)である。
【0079】データ記録部11a3〜11n3を構成する品質管理情報記録部11a32〜11n32に記録される品質管理情報は、通常の場合、メーカ名、製造年月日、ロット番号、製造装置などが「弱」記録状態で2値「0」(反射率70%),「1」(反射率10%)で記録されている。データ記録部11a3〜11n3はユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31、品質管理情報記録部11a32〜11n32以外にも他の情報を記録する部分を設けた構成にしても良い。
【0080】また、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31と同一の記録部分を繰り返し設ける記録方法を採ることによって、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に記録されていたユーザ仕様情報が欠落しても、ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n3以外の記録部分に記録されているユーザ仕様情報を読み出せる。従って、ユーザ仕様情報を常時安定して再生することができるというの記録保存安全性を格段に高めるように記録しても良いことは勿論である。
【0081】(5−2)「弱」記録状態の情報記録媒体図4(B)に示した未記録状態の情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11におけるグルーブ11a〜11nに、「弱」記録用レーザLを照射すると、図4(D)に示すように、次の(1) 〜(3) の反射率が得られる。
(1) 空溝部11a1〜11n1:データ「1」(反射率10%)
(2) 同期部11a2〜11n2:各グルーブ11a〜11nに対応する固定データ(図4(B)に示した同期部11a2〜11n2に対応する固定データと同一であるが、その固定データは2値「0」(反射率13%),「1」(反射率10%)で記録される。図4(D)の場合、データ「1,0,1」が記録されている。
(3) データ記録部11a3〜11n3:ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31には前述したユーザ仕様情報が新たに書き込まれる(追記録される)データが2値「0」(反射率70%),「1」(反射率10%)で記録される。図4(D)の場合、ユーザ仕様情報「1,0,1,0,1,1」が記録されている。品質管理情報記録部11a32〜11n32には「弱」記録用レーザ光Lは照射されない。
【0082】(5−3)「強」記録状態の情報記録媒体図4(D)に示した「弱」記録状態の情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11におけるグルーブ11a〜11nに「強」記録用レーザMを照射すると、図5(B)に示すように、次の(1) 〜(3) の反射率が得られる。
(1) 空溝部11a1〜11n1:「弱」記録状態と同じ(反射率10%)
(2) 同期部11a2〜11n2:「弱」記録状態と同じ(データ「0」(反射率13%),「1」(反射率10%)。
(3) データ記録部11a3〜11n3:ユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31のデータが消費情報に応じたユーザ仕様情報を抹消するため、その消費情報に対応するグルーブのユーザ仕様情報のみ2値「0」(反射率70%),「1」(反射率0%)とされる結果、ユーザ仕様情報「1,0,1,0,1,1」が読み出せなくなる。
【0083】(5−4)消去状態の情報記録媒体前記した未記録状態(未使用状態)(図4(B)に図示)、「弱」記録状態(図4(D)に図示)、「強」記録状態(図5(B)に図示)の情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11におけるグルーブ11a〜11nに消去レーザPを照射すると、次のように全て反射率0%となり、全てのデータは読み出し不可能とされる(図示せず)。消去用レーザPを照射すると、次の(1) 〜(3) の反射率が得られる。
(1) 空溝部11a1〜11n1:データ破壊(反射率0%)
(2) 同期部11a2〜11n2:データ破壊(反射率0%)
(3) データ記録部11a3〜11n3:データ破壊(反射率0%)
この結果、再度、「強」記録用レーザ光M、「弱」記録用レーザ光L、そして再生用レーザ光Oをそこに照射してもデータを読み出したり、あるいは記録し直したりすることはできない。
【0084】ところで、上述した未記録状態におけるグルーブ11a〜11nの溝(ピット)の深さd1(図4(A)に図示)は、各レーザ光L,M,O,Pの(1/8波長=等価光路長)に対応する値に等しくなるように、透明基板1の屈折率を考慮して決定される。こうした未記録状態のグルーブ11a〜11n内のピットの深さd1は、「弱」記録用レーザ光Lにより機能書き込みチップ11のグルーブ11a〜11nに形成され反射率10%,13%が得られるピットの深さより、浅くしてある。その理由はCD互換の反射率を得るために、未記録状態の機能書き込みチップ11のグルーブ11a〜11nからの反射率を70%以上確保する必要があるためであり、各レーザ光L,M,O,Pの波長を780nmとした場合、ピット深さd1は50nmと設定されるのである。
【0085】さて、上述した図4(B)、図4(D)、図5(B)にそれぞれ示したものは、いずれも図3(A)に示すクルーブ11a,11b,11c,…,11nを各レーザ光L,M,O,Pで同図中左から右に向かって矢印b方向へ走査した場合について説明したものである。
【0086】これに対して、図6で説明するのはクルーブ11a,11b,11c,…,11nを構成する空溝部11a1〜11n1を再生用レーザ光Oで図3(A)中上から下に向かって矢印c方向へ再生走査した場合のものである。
【0087】即ち、前述したように、未記録状態(未使用状態)の場合の空溝部11a1〜11n1にはデータ「0」(反射率70%)が記録され、また、「弱」記録状態及び「強」記録状態の場合の空溝部11a1〜11n1にはデータ「1」(反射率10%)が記録されることを利用して、再生用レーザ光Oで空溝部11a1〜11n1のみを矢印c方向へ走査し、この走査によって得られた各トラックの再生データが「0」あるいは「1」であるかを判別する。このことにより、クルーブ11a〜11nを全て矢印b方向へ走査しなくとも、当該クルーブ11a〜11nが未記録状態(再生データ「0」)であるか、あるいは、記録状態(再生データ「1」)であるかを判別することができるのである。
【0088】(6)「情報記録媒体の製造方法」
ここで、上述した情報記録媒体AAの製造について、(6−1)機能書き込みチップの原盤製作、(6−2)機能書き込みチップの複製、(6−3)機能書き込みチップを搭載した情報記録媒体の製造の順に説明する。
【0089】(6−1)機能書き込みチップの原盤製作周知のCD原盤を作成する手法を用いて、この原盤上に上述した機能書き込みチップ11(図2に図示)を多数形成する。例えば1枚の円盤形状あるいは方形状の原盤に100個分の機能書き込みチップ11を形成する。各機能書き込みチップ11には直線トラック状の150本のグルーブ11a〜11nが形成されるのである。勿論、原盤の面積に応じてその上に最大限形成可能な機能書き込みチップ11の数は一義的に決まる。また、原盤上に形成される能書き込みチップ11の数は情報記録媒体AAの製造数、生産効率などに応じて可変されるのであり、さらに、各機能書き込みチップ11に形成されるグルーブ11a〜11nの本数は情報記録媒体AAの仕様に応じて増減するのである。
【0090】機能書き込みチップ11の原盤製作の工程は、次の(1) 〜(5) の順序である。
(1) 例えば機能書き込みチップ11を縦横に合計約100個配列したよりも一回り大きいスペースを有する方形あるいは円盤形状のガラス原盤全面に、フォトレジストを塗布する。
【0091】(2) 次に、レーザ露光機を用いて、フォトレジストを塗布され、ガラス原盤上に、各機能書き込みチップ11当り約150本のグルーブを形成する部分以外の原盤上をマスクした後に露光する。
【0092】(3) 次に、各機能書き込みチップ11当り150本のグルーブを形成する部分以外に施されたマスクを除去する現像を行う。こうして、ガラス原盤上に各機能書き込みチップ11当り150本のグルーブを形成(刻設)することができる。こうして各グルーブには前述した空溝部、同期部、データ記録部に夫々対応するピット信号や空溝を作成することができる。
【0093】(4) 次に、各機能書き込みチップ11当り150本のグルーブが刻設されたガラス原盤上に導電処理を施す。
(5) 導電処理を施したガラス原盤を電鋳処理する。
【0094】こうして、上記した(1) 〜(5) の原盤製作の工程により、100個分の機能書き込みチップ11が一度に成形可能なスタンパが作成できる。
【0095】(6−2)機能書き込みチップの複製機能書き込みチップ11の複製工程は、次の(1) 〜(5) の順序である。
【0096】(1) 周知のCDを成形するCD製造装置とほぼ同一構成の製造装置に上記したスタンパを装着し、これに光学的透明材料であるPC(ポリカーボネート)を充填することにより、100個分の機能書き込みチップ11の透明基板1を成形する。
【0097】(2) 次に、この透明基板1上の各グルーブ内のデータ記録部に対応する空溝内に記録材料であり有機材料である機能性色素を塗布する。こうして、データ記録部に対応する空溝内に有機材料膜2を成膜することができる。
【0098】(3) 次に、データ記録部内に対応する空溝に機能性色素が塗布された透明基板1上全面に光反射用の金属膜3を成膜する。
【0099】(4) 次に、金属膜3が全面に成膜された透明基板1上に光学的透明材料であるPCを保護層4として成膜する。
【0100】(5) 次に、100個分の機能書き込みチップが形成された成形ボートを分割切断して、100個の機能書き込みチップ11を得る。。
【0101】こうして、上記した(1) 〜(5) の工程により、1個の機能書き込みチップ11を得ることができる。
【0102】(6−3)機能書き込みチップを搭載した情報記録媒体の製造完成した機能書き込みチップ11をベース10上の所定個所に熱溶融あるいは接着剤などで接着することにより、機能書き込みチップ11をベース10上に搭載することができる。また、再生専用チップ12を張り付ける。こうして、図1に示す情報記録媒体AAを作成することができるのである。
【0103】次に、上述した情報記録媒体AAにデータを記録し、そこに記録されたデータを再生し、そしてそこに記録されたデータを全て消去する機能を有する情報記録媒体記録再生装置について説明する。
【0104】(7)「情報記録媒体記録再生装置の共通構成」
上述したカード形状の情報記録媒体AA(図1に図示)を記録再生消去する情報記録媒体記録再生装置BB(図9R>9〜図12に図示)について説明する。
【0105】この情報記録媒体記録再生装置BBは、前述した、情報記録媒体AAの製造時に用いる製造用データ記録装置、情報記録媒体AAの販売時に用いる販売用データ記録装置、そして情報記録媒体AAの使用時に用いるデータ記録再生装置のいずれにも用いることができる構成を備えている。即ち、製造用データ記録装置及び販売用データ記録装置はこの情報記録媒体記録再生装置BBの構成から再生系の構成を除いたものとほぼ等しい構成を有するものであり、また、データ記録再生装置は情報記録媒体記録再生装置BBの構成と等しい構成を有するものである。
【0106】さて、情報記録媒体記録再生装置BBは、図9に示すように、情報記録媒体載置部B1、光学ヘッド部B2、光学ヘッド送り機構部B3、情報記録媒体ローディング部B4、制御部B5から主に構成されている。光学ヘッド部B2は光学ヘッド送り機構部B3に固定されている。
【0107】情報記録媒体載置部B1は、情報記録媒体記録再生装置BB筐体(図示せず)に固定されており、記録再生消去すべき情報記録媒体AAを載置固定すると共に、光学ヘッドB2から出射されるレーザ光(即ち「弱」記録用レーザ光L、「強」記録用レーザ光M、消去用レーザ光P、再生用レーザ光O)の走査進行に応じて機能書き込みチップ11上に形成されるグルーブ11a〜11n上を照射可能とする構成を備えている。
【0108】ここで、製造用データ記録装置及び販売用データ記録装置には記録専用の光学ヘッB2が搭載される。また、情報記録媒体の使用時に用いるデータ記録再生装置には記録(消去)再生共用の光学ヘッB2が搭載される。
【0109】前記した情報記録媒体載置部B1は、図10R>0に示すように、記録再生装置BBの挿入口(図示せず)から挿入されて所定の搬送路を経た後、同図中左から(矢印d方向)から供給されてくる情報記録媒体AAの左右各辺10d,10c(図1に図示)を支持する一対の送りガイドB1a、送り用ギヤB1bと、その情報記録媒体AAの下辺10b(図1に図示)の位置規制を行う位置規制部B1cとから主に構成されている。
【0110】この結果、挿入口から挿入される情報記録媒体AAの挿入方向(矢印d方向)と、情報記録媒体載置部B1に載置固定される情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11における直線トラック状のグルーブ11a〜11nのトラック方向(矢印b方向)とは直交する。
【0111】この一対の送りガイドB1a、送り用ギヤB1bは同一平面上に設けられており、このうち送り用ギヤB1bは光学ヘッド送り機構部B3を構成する送りギアB3aに噛合している(図10に図示)。
【0112】光学ヘッド部B2は、情報記録媒体載置部B1に載置される情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11のグルーブ11a〜11n(図1〜図3に図示)に必要とする各種のデータを書き込んだり、あるいはグルーブ11に記録されている各種のデータを読み出したり、不要なデータを消去(抹消)するためのものであり、図12に示す構成をしている。前記した情報記録媒体記録再生装置BBを製造用データ記録装置として用いる場合には、前述した品質管理情報を記録することのみが行われる。
【0113】記録再生消去機能を有する光学ヘッド部B2は、図12に示すように、レーザダイオード(光源)B2a、回折格子B2b、偏光プリズム(ビームスプリッタ)B2c、コリメーションレンズB2d、1/4波長板B2e、対物レンズB2f、シリンドリカルレンズB2g、ディテクタ(フォトダイオード)B2h、軸B2i、2軸デバイスB2j、磁石B2kから構成される。
【0114】ここで、製造用データ記録装置に搭載の光学ヘッド部B2の光源B2aは「弱」記録用レーザ光Lを照射するレーザダイオードである。また販売用データ記録装置に搭載の光学ヘッド部B2の光源B2aも「弱」記録用レーザ光Lを照射するレーザダイオードである。さらに、使用時に用いるデータ記録再生装置に搭載の光学ヘッド部B2の光源B2aは「強」記録用レーザ光Mを照射するレーザダイオード、消去用レーザ光Pを照射するレーザダイオード、再生用レーザ光Oを照射するレーザダイオードを切り換え出力可能な切り換え手段を備えている。
【0115】図12中に示す矢印は光源B2aから出射したレーザ光が対物レンズB2fを介して図示せぬ情報記録媒体AA上(図2に示したグルーブ11a〜11n上)に順次照射され、そこから反射した反射レーザ光が再び対物レンズB2fを透過しビームスプリッタB2cで偏光されてフォトダイオードB2hに到達するまでの光路を示している。また、フォトダイオードB2hで光電変換された検出信号のうち一方は再生信号として用いられる(例えば図4(B)、図4(D)、図5(B)、図6にそれぞれ示した反射光を有する再生信号)。
【0116】この再生信号からデータ(特にユーザ仕様情報)を取り出す再生信号処理においては、情報記録媒体AA表面の汚れ、傷などの光学的な欠陥により、再生信号に劣化を生じたときこれを訂正するエラー訂正処理が行われる(符号化して記録されたデータの復号化)。
【0117】他方は軸B2iを中心として2軸デバイスB2j、磁石B2kの作用により対物レンズB2fの位置調整(フォーカスサーボ、トラッキングサーボ)を上下左右(図9に示す矢印f方向、図10に示す矢印e方向)に正確にかつ高速に位置決めを行うために用いられる。フォーカスサーボにより図9に示す矢印f方向に対物レンズB2fの位置調整を行うことができるのであり、また、トラッキングサーボにより図10に示す矢印e方向に対物レンズB2fの位置調整を行うことができるのである。
【0118】前記した光学ヘッド送り機構部B3は、光学ヘッド部B2と一体に固定されており、光学ヘッド送り機構部B3の送り量に応じて光学ヘッド部B2は正確に移送される(図10に示す矢印e方向)。即ち、光学ヘッド送り機構部B3の送り量に応じて光学ヘッド部B2に対する情報記録媒体載置部B1の位置を順次微小に移動可能とする。光学ヘッド送り機構部B3は、図10に示すように、送りギアB3a、中間ギアB3b、送りモータB3c、回転エンコーダB3dから構成される。
【0119】回転エンコーダB3dは制御部B5から供給される横方向・縦方向移動制御信号に比例する送り電流を送りモータB3cに送出する(ここで横方向とは図1010中矢印e方向、縦方向とは図10中矢印g方向を指す)。送りモータB3cは送り電流のレベル及び極性に対応する回転角度、回転方向に応じて回転し、この回転をモータB3cの回転軸に軸支している中間ギアB3bに伝達する。中間ギアB3bはこの回転を噛合している送りギアB3aに伝達する。
【0120】前述したように、この送りギアB3aは送り用ギヤB1bに噛合しているから、送りギアB3aの回転(回転角度、回転方向)に対応して、光学ヘッド部B2を図10中の矢印e方向(横方向)に移送することができる。即ち、情報記録媒体載置部B1に載置固定される情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11における直線トラック状のグルーブ11a〜11nのトラック方向(図10に示す矢印b方向)と直交する方向に光学ヘッド部B2を移送することができるのである。
【0121】一方、光学ヘッド部B2を図10中の矢印g方向(縦方向)に移送する送り機構を備えていることは勿論である。この送り機構としては次のようなものが考えられる。この送り機構としては例えば前述した一対の送りガイドB1a,送り用ギアB1bとほぼ同様な構成のものである。この送り用ギアB1bとほぼ同様な送り用ギア(図示せず)は送りギアB3aとほぼ同様な送りギア(図示せず)に噛合しており、この送りギアB3aとほぼ同様な送りギアは中間ギア(図示せず)と噛合し、この中間ギアは中間ギアB3bに噛合するものである。
【0122】制御部B5から供給される縦方向移動制御信号が前記した回転エンコーダB3dに供給されると、回転エンコーダB3dは縦方向移動制御信号に比例する送り電流を送りモータB3cに送出し、送りモータB3cは送り電流のレベル及び極性に対応する回転角度、回転方向に応じて回転し、この回転をモータB3cの回転軸に軸支している中間ギアB3bに伝達する。中間ギアB3bは前記した中間ギア、送りギアB3aとほぼ同様な送りギア(いずれも図示せず)を介して、前記した送り機構の送り用ギアに伝達する。
【0123】こうして、情報記録媒体載置部B1に載置固定される情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11における直線トラック状のグルーブ11a〜11nのトラック方向と同一方向(図10に示す矢印g方向)に光学ヘッド部B2を移送することができるのである。
【0124】情報記録媒体ローディング部B4は、ユーザが図示せぬ情報記録媒体挿入口に差し込んだ情報記録媒体AAを情報記録媒体載置部B1内の所定位置まで搬送するためのものであり、図11に示すように、正逆回転が可能な4つの位置規制ローラB4a〜B4d、クリーナ部B4fから構成される。ここでは図示の都合上位置規制ローラB4a〜B4dは情報記録媒体載置部B1と全く分離した状態で示してあるが、図示しない位置規制ローラが情報記録媒体載置部B1内にも取り付けられており、この位置規制ローラを含む全ての位置規制ローラは情報記録媒体ローディング部B4によって回転駆動されることは言うまでもない。
【0125】位置規制ローラB4a〜B4dは、同図中に示す矢印方向hの正転により、図示せぬ情報記録媒体挿入口に差し込まれた情報記録媒体AAを情報記録媒体載置部B1へ移送する。この移送は情報記録媒体載置部B1の位置規制部B1cが搬送されてくる情報記録媒体AAの下辺10bに当接することにより停止される。一方、位置規制ローラB4a〜B4dは、矢印方向iの逆転により、情報記録媒体載置部B1内に載置固定されている情報記録媒体AAを情報記録媒体載置部B1外へ搬出し、別の搬送路を経て図示せぬ情報記録媒体排出口へ送出される。
【0126】また、情報記録媒体AAを図示せぬ情報記録媒体挿入口から情報記録媒体載置部B1へ移送する過程で、情報記録媒体AAに位置決めのための物理的な凹凸や光学的な印が付されている場合には、こうした物理的な凹凸や光学的な印を識別する識別装置を情報記録媒体挿入口から情報記録媒体載置部B1へ至る情報記録媒体AAの搬送路に配置しておくことにより、移送する情報記録媒体AAを情報記録媒体載置部B1内の規定位置へ一段と正確に配置することができる。クリーナ部B4eは搬送途中において情報記録媒体AA表面の汚れを除去するものである。
【0127】前記した制御部B5は、情報記録媒体載置部B1、光学ヘッド部B2、光学ヘッド送り機構部B3、情報記録媒体ローディング部B4、その他、情報記録媒体記録再生装置BB各部の記録再生消去動作を統括制御する。
【0128】(8)「情報記録媒体記録再生装置の動作」
次に、上述した構成の情報記録媒体記録再生装置BBを用いて、情報記録媒体の製造時に用いる製造用データ記録装置、情報記録媒体の販売時に用いる販売用データ記録装置、情報記録媒体の使用時に用いるデータ記録再生装置の動作について、(8−1)製造用データ記録装置の記録動作、(8−2)販売用データ記録装置の記録動作、(8−3)データ記録再生装置の記録再生動作の順に説明する。
【0129】(8−1)製造用データ記録装置の記録動作製造用データ記録装置の記録動作について、次の(1) 〜(18)の順に説明する。
【0130】(1) まず、制御部B5は、データ記録部11a3〜11n3にはデータが何も記録されていない製造されたばかりの情報記録媒体AA(図1に図示)がデータ記録装置の入口に到達したことを感知し、情報記録媒体ローディング部B4に対して、この情報記録媒体AAを情報記録媒体載置部B1内の所定位置まで搬送する旨の移送制御信号を出力する。
【0131】(2) 情報記録媒体ローディング部B4は制御部B5から供給される移送制御信号に基づいて、位置規制ローラB4a〜B4dを回転(正転、図11中矢印h方向の回転)し、クリーナ部B4eで情報記録媒体AAのグルーブ11a〜11nの表面に付着した汚れなどを除去した後、この情報記録媒体AAを次段の情報記録媒体載置部B1へ順次移送する(図11中矢印d方向)。
【0132】(3) 情報記録媒体ローディング部B4から情報記録媒体載置部B1内に順次移送される情報記録媒体AAはその左右各辺10d,10cが一対の送りガイドB1a,B1bにより支持されて、位置規制部B1c側へ移送される。そして、情報記録媒体AAの下辺10bが位置規制部B1cに当接すると、情報記録媒体載置部B1は制御部B5に対して、情報記録媒体ローディング部B4から移送された情報記録媒体AAが所定位置に載置固定された旨の位置規制信号を出力する。
【0133】(4) 制御部B5は情報記録媒体載置部B1から位置規制信号を受け取ると、情報記録媒体ローディング部B4に対して、位置規制ローラB4a〜B4dの回転を停止する旨の回転停止制御信号を出力する。
【0134】(5) この結果、情報記録媒体ローディング部B4の位置規制ローラB4a〜B4dの回転は停止され、情報記録媒体載置部B1内に収納された情報記録媒体AAは所定位置に載置固定される。
【0135】(6) この後、制御部B5は、情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の第1トラックである先頭位置(図2に示すグルーブ11aの左端)が、光学ヘッド部B2から情報記録媒体AA上へ「弱」記録用レーザ光Lがまず照射されるように、光学ヘッド送り機構部B3に対して、光学ヘッド部B2を図10中矢印e方向(同図中右から左)へ移動する旨の横方向移動制御信号を出力する。
【0136】(7) 光学ヘッド送り機構部B3の回転エンコーダB3dは制御部B5から供給される横方向移動制御信号に比例する送り電流を送りモータB3cに送出し、送りモータB3cは送り電流のレベル及び極性に対応する回転角度、回転方向に応じて回転し、この回転をモータB3cの回転軸に軸支している中間ギアB3bに伝達し、中間ギアB3bはこの回転を噛合している情報記録媒体載置部B1の送りギアB3aに伝達する。こうして、情報記録媒体載置部B1の送りギアB3aに対して、光学ヘッド送り機構部B3は情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置に対応する横方向(図10中矢印e方向、同図中右から左へ向かう方向)の位置に、光学ヘッド部B2を正確に移動することが完了する。
【0137】(8) 制御部B5は、前記したように情報記録媒体載置部B1の送りギアB3aを横方向移動制御信号に基づいて回転完了した旨の移動完了信号を光学ヘッド送り機構部B3から受け取ると、次に、制御部B5は、光学ヘッド送り機構部B3の回転エンコーダB3dに対して縦方向移動制御信号に比例する送り電流を送りモータB3cに送出し、送りモータB3cは送り電流のレベル及び極性に対応する回転角度、回転方向に応じて回転し、この回転をモータB3cの回転軸に軸支している中間ギアB3bに伝達し、中間ギアB3bはこの回転を噛合している前記した別の中間ギア、送りギアB3aとほぼ同様な送りギア(いずれも図示せず)を介して、光学ヘッド部B2を縦方向(図10矢印g方向)に移送する前記した送り機構の送り用ギアに伝達する。こうして、情報記録媒体載置部B1に対して、光学ヘッド送り機構部B3は情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置に対応する縦方向(図10中矢印g方向)の位置に、光学ヘッド部B2を移動することが完了する。
【0138】(9) この結果、制御部B5は、情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置(図2に示すグルーブ11aの左端にある空溝部11a1)に、「弱」記録用レーザ光Lが照射可能となるように光学ヘッド部B2が位置決めされる。
【0139】(10) 次に、制御部B5は光学ヘッド送り機構部B3に対して、光学ヘッド部B2がグルーブ11a上をトラック方向(図10に示す矢印b方向)へ順次走査するように光学ヘッド部B2を縦方向(矢印g方向)へ移送する旨のヘッド移送制御信号を送出する。この結果、光学ヘッド送り機構部B3はこのヘッド移送制御信号を受け付けると、光学ヘッド部B2を順次連続してグルーブ11aのトラック方向へ順次移送する。
【0140】(11) 制御部B5はトラック方向への光学ヘッド送り機構部B3の移送状態を空溝部11a1の先端からの距離を計測し、光学ヘッド部B2がグルーブ11aのデータ記録部11a3内の品質管理情報記録部11a32の始端(図4(A)に図示の時刻t8)に到達する位置を検出すると、制御部B5は、光学ヘッド部B2に対して、レーザダイオード(光源)B2aの発光を開始する旨の発光開始制御信号を送出する。
【0141】(12) 光学ヘッド部B2は制御部B5から供給される発光開始制御信号に基づいて「弱」記録用レーザ光Lの発光を開始する。この光源B2aから出射した「弱」記録用レーザ光Lは対物レンズB2fを介して情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11中のグルーブ11aのデータ記録部11a3内の品質管理情報記録部11a32の先頭位置に照射された後、順次トラック方向へ走査されて品質管理情報が順次記録される。
【0142】(13) この後、制御部B5はトラック方向への光学ヘッド送り機構部B3の移送状態を空溝部11a1の先端からの距離を計測し、光学ヘッド部B2がグルーブ11aのデータ記録部11a3内の品質管理情報記録部11a32の終端に到達する位置を検出すると、制御部B5は、光学ヘッド部B2に対して、レーザダイオード(光源)B2aの発光を終了する旨の発光停止制御信号を送出する。
【0143】(14) 光学ヘッド部B2は制御部B5から供給される発光終了制御信号に基づいて「弱」記録用レーザ光Lの発光を終了する。この後、光学ヘッド部B2はグルーブ11aの終端(空溝部11a5の終端)まで連続して走査される。この後、制御部B5はトラック方向への光学ヘッド送り機構部B3の移送状態を空溝部11a1の先端からの距離を計測し、光学ヘッド部B2がグルーブ11aの終端(空溝部11a5の終端)までの位置を検出すると、制御部B5は、光学ヘッド送り機構部B3に対して、グルーブ11aの次段であるグルーブ11bの先端(空溝部11b1の先端)まで光学ヘッド部B2を移送する旨の横方向移動制御信号を出力する。
【0144】(15) 光学ヘッド送り機構部B3はこの横方向移動制御信号を受け付けると光学ヘッド部B2を第2トラックであるグルーブ11bの先端(空溝部11b1の先端)まで移送する。
【0145】(16) 製造用データ記録装置は、上記した(6) 〜(15)までの動作手順を情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11内の最初のトラックであるグルーブ11aから最後のトラックであるグルーブ11nの全てに亘って繰り返し行い、グルーブ11a〜11nのデータ記録部11a3〜11a3内の品質管理情報記録部11a32〜11n32に品質管理情報を記録する。
【0146】(17) 制御部B5は、情報記録媒体AAの全グルーブ11a〜11nのデータ記録部11a3〜11n3の品質管理情報記録部11a32〜11n32に品質管理情報を全て、あるいは指定された品質管理情報記録部に記録したことを検知すると、再び情報記録媒体ローディング部B4に対して、この情報記録媒体AAを情報記録媒体載置部B1外へ搬出する旨の搬出制御信号を出力する。
【0147】(18) 情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置されている情報記録媒体AAは、図示せぬ排出手段によって情報記録媒体ローディング部B4側へ押し出され、クリーナ部B4eを経て逆転している情報記録媒体ローディング部B4の位置規制ローラB4a〜B4dにより、このデータ記録装置外へ排出されるのである。
【0148】こうして、情報記録媒体AAの製造時に用いる製造用データ記録装置の記録動作は終了する。
【0149】(8−2)販売用データ記録装置の記録動作この販売用データ記録装置は、上述した製造用データ記録装置により品質管理情報が記録されかつ多種類のデータが同期部11a2〜11n2に記録されてはいるがユーザ仕様情報だけが記録されていない情報記録媒体AAに、ユーザが求める態様に応じて加工したユーザ仕様情報(例えば1000円券、2000円券の金券などとして加工し)を追記録するための記録装置である。
【0150】ところで、前述したように、情報記録媒体AAを10,000円の金券として用いる場合、1グルーブ(1トラック)当り1,000円の金額データを記録するとすれば、10本のグルーブ11a〜11jのデータ記録部11a3〜11j3内のユーザ仕様情報記録部11a31〜11j31に各1,000円のユーザ仕様情報をそれぞれ記録することが必要となる。これに応じて、販売用データ記録装置はユーザが求める金額の情報記録媒体AAを作成しこれを販売するのである。
【0151】販売用データ記録装置は、販売する金券の種類を最低1000円から1000円刻みで10000円まで10種類の金券を発売する場合には、次のようにユーザ仕様情報を記録すれば良い。
【0152】1000円券の場合はグルーブ11aのユーザ仕様情報記録部11a31だけに1000円のデータを追記録する。以下同様に、2000円の場合はユーザ仕様情報記録部11a31,11b31に1000円を示すデータをそれぞれ追記録し、…、こうして、10000の場合は10のユーザ仕様情報記録部11a31〜11j31に1000円を示すデータをそれぞれ追記録するのである。そして、必要とする金額以外のユーザ仕様情報記録部は未記録状態とするのである。
【0153】以下、この販売用データ記録装置の記録動作について、1枚の情報記録媒体AAを10000円券の情報記録媒体AAとして加工する記録動作について、次の(1) 〜(20)の順に説明する。
【0154】(1) まず、制御部B5は、ユーザがデータ記録装置の図示せぬ現金投入口に現金を投入するとこの金額を検知し、検知した金額を図示せぬ表示部に表示する。次に、ユーザが1000円券〜10000円券まで1000円刻みで10段階のいずれかの金種を選択する金種選択ボタン及びその購入枚数を選択する枚数ボタンを押すと、制御部B5はユーザが選択した金種及び購入枚数を検知する。この結果、制御部B5は投入した現金の金額よりもユーザが選択した金種に購入枚数を乗算した金額が少ない場合、この差に応じた現金をお釣としてユーザへ返却する。
【0155】(2) 販売用データ記録装置は、上述した製造用データ記録装置により品質管理情報が記録されてはいるがユーザ仕様情報だけが記録されていな情報記録媒体AAを多数枚蓄積する蓄積部(図示せず)を備えている。制御部B5は、上記した(1)の動作が完了すると、蓄積部に対して、1枚の情報記録媒体AAを情報記録媒体ローディング部B4の入口に搬送する旨の搬送制御信号を送出する。
【0156】(3) 蓄積部はこの搬送制御信号を受け付けると、蓄積部は1枚の情報記録媒体AAを情報記録媒体ローディング部B4の入口に搬送する。
【0157】(4) 制御部B5は、蓄積部から搬送された情報記録媒体AA(図1に図示)が情報記録媒体ローディング部B4の入口に到達したことを感知し、情報記録媒体ローディング部B4に対して、この情報記録媒体AAを情報記録媒体載置部B1内の所定位置まで搬送する旨の移送制御信号を出力する。
【0158】(5) 情報記録媒体ローディング部B4は制御部B5から供給される移送制御信号に基づいて、位置規制ローラB4a〜B4dを回転(正転、図11中矢印h方向の回転)し、クリーナ部B4eで情報記録媒体AAのグルーブ11a〜11nの表面に付着した汚れなどを除去した後、この情報記録媒体AAを次段の情報記録媒体載置部B1へ順次移送する(図11中矢印d方向)。
【0159】(6) 情報記録媒体ローディング部B4から情報記録媒体載置部B1内に順次移送される情報記録媒体AAはその左右各辺10d,10cが一対の送りガイドB1a,B1bにより支持されて、位置規制部B1c側へ移送される。そして、情報記録媒体AAの下辺10bが位置規制部B1cに当接すると、情報記録媒体載置部B1は制御部B5に対して、情報記録媒体ローディング部B4から移送された情報記録媒体AAが所定位置に載置固定された旨の位置規制信号を出力する。
【0160】(7) 制御部B5は情報記録媒体載置部B1から位置規制信号を受け取ると、情報記録媒体ローディング部B4に対して、位置規制ローラB4a〜B4dの回転を停止する旨の回転停止制御信号を出力する。
【0161】(8) この結果、情報記録媒体ローディング部B4の位置規制ローラB4a〜B4dの回転は停止され、情報記録媒体載置部B1内に収納された情報記録媒体AAは所定位置に載置固定される。
【0162】(9) この後、制御部B5は、情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の第1トラックである先頭位置(図2に示すグルーブ11aの左端)が、光学ヘッド部B2から情報記録媒体AA上へ「弱」記録用レーザ光Lがまず照射されるように、光学ヘッド送り機構部B3に対して、光学ヘッド部B2を図10中矢印e方向(同図中右から左)へ移動する旨の横方向移動制御信号を出力する。
【0163】(10) 光学ヘッド送り機構部B3の回転エンコーダB3dは制御部B5から供給される横方向移動制御信号に比例する送り電流を送りモータB3cに送出し、送りモータB3cは送り電流のレベル及び極性に対応する回転角度、回転方向に応じて回転し、この回転をモータB3cの回転軸に軸支している中間ギアB3bに伝達し、中間ギアB3bはこの回転を噛合している情報記録媒体載置部B1の送りギアB3aに伝達する。こうして、情報記録媒体載置部B1の送りギアB3aに対して、光学ヘッド送り機構部B3は情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置に対応する横方向(図10中矢印e方向、同図中右から左へ向かう方向)の位置に、光学ヘッド部B2を正確に移動することが完了する。
【0164】(11) 制御部B5は、前記したように情報記録媒体載置部B1の送りギアB3aを横方向移動制御信号に基づいて回転完了した旨の移動完了信号を光学ヘッド送り機構部B3から受け取ると、次に、制御部B5は、光学ヘッド送り機構部B3の回転エンコーダB3dに対して縦方向移動制御信号に比例する送り電流を送りモータB3cに送出し、送りモータB3cは送り電流のレベル及び極性に対応する回転角度、回転方向に応じて回転し、この回転をモータB3cの回転軸に軸支している中間ギアB3bに伝達し、中間ギアB3bはこの回転を噛合している前記した別の中間ギア、送りギアB3aとほぼ同様な送りギア(いずれも図示せず)を介して、光学ヘッド部B2を縦方向(図10矢印g方向)に移送する前記した送り機構の送り用ギアに伝達する。こうして、情報記録媒体載置部B1に対して、光学ヘッド送り機構部B3は情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置に対応する縦方向(図10中矢印g方向)の位置に、光学ヘッド部B2を移動することが完了する。
【0165】(12) この結果、制御部B5は、情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置(図2に示すグルーブ11aの左端にある空溝部11a1)に、「弱」記録用レーザ光Lが照射可能となるように光学ヘッド部B2が位置決めされる。
【0166】(13) 制御部B5は、光学ヘッド部B2に対して、レーザダイオード(光源)B2aの発光を開始する旨の発光開始制御信号を送出する。
【0167】(14) 光学ヘッド部B2は制御部B5から供給される発光開始制御信号に基づいて「弱」記録用レーザ光Lの発光を開始する。この光源B2aから出射した「弱」記録用レーザ光Lは対物レンズB2fを介して情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11中のグルーブ11aの空溝部11a1、同期部11a2、データ記録部11a3のユーザ仕様情報記録部11a31、(品質管理情報記録部11a32には照射されず)、同期部11a4、空溝部11a5に順次照射される。
【0168】(15) こうして、例えば図4(B)に示した未記録状態の情報記録媒体AAの機能書き込みチップ11におけるグルーブ11aに「弱」記録用レーザLを照射してユーザ仕様情報である1000円のデータを記録することができる。即ち、図4(B),(D)に示すように、空溝部11a1はデータ「0」(反射率70%)→データ「1」(反射率10%)と変化し、同期部11a2はデータそのものは「1,0,1」と変化しないが、反射率は変化する(反射率100.70%→反射率13.10%)。また、データ記録部11a3のユーザ仕様情報記録部11a31にはユーザ仕様情報である1000円のデータが新たに書き込まれる(追記録される)のである。1000円のデータを「1,0,1,0,1,0」とした場合、データが2値「0」(反射率70%),「1」(反射率10%)で記録される。
【0169】(16) 制御部B5はトラック方向への光学ヘッド送り機構部B3の移送状態を空溝部11a1の先端からの距離を計測し、光学ヘッド部B2がグルーブ11aの終端(空溝部11a5の終端)までの位置を検出すると、制御部B5は、光学ヘッド送り機構部B3に対して、グルーブ11aの第2のトラックであるグルーブ11bの先端(空溝部11b1の先端)まで光学ヘッド部B2を移送する旨の横方向移動制御信号を出力する。
【0170】(17) 光学ヘッド送り機構部B3はこの横方向移動制御信号を受け付けると光学ヘッド部B2をグルーブ11bの先端(空溝部11b1の先端)まで移送する。
【0171】(18) 販売用データ記録装置は、上記した(12)〜(17)までの動作手順を情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11内の第1トラックであるグルーブ11aから第10トラックであるグルーブ11jに亘って繰り返し行い、空溝部11a1〜11j1のデータ「0」(反射率70%)をデータ「1」(反射率10%)とし、同期部11a2〜11j2をそのデータそのものは変化させないが、反射率を変化させる(反射率100.70%→反射率13.10%)。そして、データ記録部11a3〜11j3内のユーザ仕様情報記録部11a31〜11j31にはユーザ仕様情報である1000円のデータ「1,0,1,0,1,0」をそれぞれ記録するのである。前述したように、品質管理情報記録部11a32〜11j32に記録されている品質管理情報には変化がない。これ以外のグルーブ11k〜グルーブ11nには変化がなく未記録状態を維持する。
【0172】(19) 制御部B5は、情報記録媒体AAの10本のトラックであるグルーブ11a〜11jのユーザ仕様情報記録部11a31〜11j31に1000円のデータ「1,0,1,0,1,0」をそれぞれ記録したことを検知すると、再び情報記録媒体ローディング部B4に対して、この情報記録媒体AAを情報記録媒体載置部B1外へ搬出する旨の搬出制御信号を出力する。
【0173】(20) 情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置されている情報記録媒体AAは、情報記録媒体載置部B1内の図示せぬ位置制御ローラの回転(逆転、図11中矢印i方向の回転)によって情報記録媒体ローディング部B4側へ押し出され、クリーナ部B4eを経て逆転している情報記録媒体ローディング部B4の位置規制ローラB4a〜B4dにより、このデータ記録装置外へ排出されるのである。
【0174】こうして、販売用データ記録装置はユーザが希望する金額に加工した情報記録媒体AAを作成しこれを販売することができるのである。
【0175】(8−3)データ記録再生装置の記録再生動作ユーザ仕様情報が記録された情報記録媒体AAの使用時に用いられるデータ記録再生装置は、ユーザがサービス、物品を購入するに際し、ユーザ仕様情報から購入に見合った消費情報を減額(使った分のユーザ仕様情報を抹消する)するための機能を備えている。そして、データ記録部11a3〜11n3内のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31のいずれかに記録されているユーザ仕様情報を読み出し、この読み出したユーザ仕様情報から前記した消費情報に応じた情報を抹消した後、減額されたユーザ仕様情報を記録した情報記録媒体AAをユーザに返却する装置である。
【0176】以下の説明においては、10000円券の情報記録媒体AAで1000円のサービス、物品を購入する場合の再生記録動作について、次の(1) 〜(27)の順に説明する。10000円券の情報記録媒体AAには10本のグルーブ11a〜11jのデータ記録部11a3〜11j3内のユーザ仕様情報記録部11a31〜11j31に各1,000円のユーザ仕様情報がそれぞれ記録されていることは前述した通りである。
【0177】(1) まず、制御部B5は、ユーザがデータ記録再生装置の図示せぬ情報記録媒体挿入口に10000円券の情報記録媒体AAを誤挿入なく正しく挿入すると、この情報記録媒体AAを情報記録媒体ローディング部B4の入口に搬送する。情報記録媒体AAを誤挿入すると直ちにデータ記録再生装置外へ排出される。
【0178】(2) 制御部B5は、情報記録媒体挿入口から搬送された情報記録媒体AA(図1に図示)が情報記録媒体ローディング部B4の入口に到達したことを感知し、情報記録媒体ローディング部B4に対して、この情報記録媒体AAを情報記録媒体載置部B1内の所定位置まで搬送する旨の移送制御信号を出力する。
【0179】(3) 情報記録媒体ローディング部B4は制御部B5から供給される移送制御信号に基づいて、位置規制ローラB4a〜B4dを回転(正転)し、クリーナ部B4eで情報記録媒体AAのグルーブ11a〜11nの表面に付着した汚れなどを除去した後、この情報記録媒体AAを次段の情報記録媒体載置部B1へ順次移送する(図11中矢印d方向)。
【0180】(4) 情報記録媒体ローディング部B4から情報記録媒体載置部B1内に順次移送される情報記録媒体AAはその左右各辺10d,10cが一対の送りガイドB1a,B1bにより支持されて、位置規制部B1c側へ移送される。そして、情報記録媒体AAの下辺10bが位置規制部B1cに当接すると、情報記録媒体載置部B1は制御部B5に対して、情報記録媒体ローディング部B4から移送された情報記録媒体AAが所定位置に載置固定された旨の位置規制信号を出力する。
【0181】(5) 制御部B5は情報記録媒体載置部B1から位置規制信号を受け取ると、情報記録媒体ローディング部B4に対して、位置規制ローラB4a〜B4dの回転を停止する旨の回転停止制御信号を出力する。
【0182】(6) この結果、情報記録媒体ローディング部B4の位置規制ローラB4a〜B4dの回転は停止され、情報記録媒体載置部B1内に収納された情報記録媒体AAは所定位置に載置固定される。
【0183】(7) この後、制御部B5は、情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の第1トラックである先頭位置(図2に示すグルーブ11aの左端)が、光学ヘッド部B2から情報記録媒体AA上へ再生用レーザ光Oがまず照射されるように、光学ヘッド送り機構部B3に対して、光学ヘッド部B2を図10中矢印e方向へ移動する旨の横方向移動制御信号を出力する。
【0184】(8) 光学ヘッド送り機構部B3の回転エンコーダB3dは制御部B5から供給される横方向移動制御信号に比例する送り電流を送りモータB3cに送出し、送りモータB3cは送り電流のレベル及び極性に対応する回転角度、回転方向に応じて回転し、この回転をモータB3cの回転軸に軸支している中間ギアB3bに伝達し、中間ギアB3bはこの回転を噛合している情報記録媒体載置部B1の送りギアB3aに伝達する。こうして、情報記録媒体載置部B1の送りギアB3aに対して、光学ヘッド送り機構部B3は情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置に対応する横方向(図10中矢印e方向)の位置に、光学ヘッド部B2を正確に移動することが完了する。
【0185】(9) 制御部B5は、前記したように情報記録媒体載置部B1の送りギアB3aを横方向移動制御信号に基づいて回転完了した旨の移動完了信号を光学ヘッド送り機構部B3から受け取ると、次に、制御部B5は、光学ヘッド送り機構部B3の回転エンコーダB3dに対して縦方向移動制御信号に比例する送り電流を送りモータB3cに送出し、送りモータB3cは送り電流のレベル及び極性に対応する回転角度、回転方向に応じて回転し、この回転をモータB3cの回転軸に軸支している中間ギアB3bに伝達し、中間ギアB3bはこの回転を噛合している前記した別の中間ギア、送りギアB3aとほぼ同様な送りギア(いずれも図示せず)を介して、光学ヘッド部B2を縦方向(図10中矢印g方向の下から上へ向かう方向)に移送する前記した送り機構の送り用ギアに伝達する。こうして、情報記録媒体載置部B1に対して、光学ヘッド送り機構部B3は情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置に対応する縦方向(図10中矢印g方向)の位置に、光学ヘッド部B2を移動することが完了する。
【0186】(10) この結果、制御部B5は、情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置(図2に示すグルーブ11aの左端にある空溝部11a1)に、再生用レーザ光Oが照射可能となるように光学ヘッド部B2が位置決めされる。
【0187】(11) 制御部B5は、光学ヘッド部B2に対して、レーザダイオード(光源)B2aの発光を開始する旨の発光開始制御信号を送出する。
【0188】(12) 光学ヘッド部B2は制御部B5から供給される発光開始制御信号に基づいて再生用レーザ光Oの発光を開始する。この光源B2aから出射した再生用レーザ光Oは対物レンズB2fを介して情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11中のグルーブ11aの空溝部11a1に照射される。
【0189】(13) これと同時に、制御部B5は、光学ヘッド送り機構部B3の回転エンコーダB3dに対して縦方向移動制御信号に比例する送り電流を連続して送出することにより、光学ヘッド送り機構部B3は情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置に対応する縦方向(図10中矢印g方向)の位置に、光学ヘッド部B2を連続して正確に移動させる。
【0190】(14) この結果、再生用レーザ光Oは空溝部11a1〜11n1に亘り連続して走査する(図3(A)に示す矢印c方向)。前述したように、10000円券の情報記録媒体AAのグルーブ11a〜11jの空溝部11a1〜11j1には反射率10%と加工されかつユーザ仕様情報記録部11a31〜11j31には1000円のデータが記録されており、一方これ以外の空溝部11k1〜11n1は反射率70%のままでありここにはユーザ仕様情報が記録されていないことは既知である。これによって、制御部B5は、全ての空溝部11a1〜11n1に亘り連続して照射した再生用レーザ光Oの反射レーザ光の反射率の相違を判別することだけで、グルーブ11a〜11jにはそれぞれ1000円のユーザ仕様情報が記録されていることを検知することができる。
【0191】(15) 次に、制御部B5は、グルーブ11a〜11jのユーザ仕様情報記録部11a31〜11j31に記録されている1000円のデータ「1,0,1,0,1,0」が未使用状態であるかを検知する制御を行う。
【0192】(16) 制御部B5は、情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11の先頭位置(図2に示すグルーブ11aの左端にある空溝部11a1)に、再生用レーザ光Oが照射可能となるように光学ヘッド部B2が位置決めされる。
【0193】(17) 制御部B5は、光学ヘッド部B2に対して、グルーブ11aのトラック方向へ、再生用レーザ光Oを走査する旨のレーザ光走査制御信号を送出する。
【0194】(18) 光学ヘッド部B2は制御部B5から供給されるレーザ光走査制御信号に基づいて再生用レーザ光Oをグルーブ11aの空溝部11a1、同期部11a2、データ記録部11a3のユーザ仕様情報記録部11a31、品質管理情報記録部11a32、同期部11a4、空溝部11a5に順次照射させる。
【0195】(19) こうして、制御部B5は、例えば図4(D)に示すように、空溝部11a1はデータ「0」(反射率70%)→データ「1」(反射率10%)と変化し、同期部11a2はデータそのものは「1,0,1」と変化しないが、反射率は変化する(反射率100.70%→反射率13.10%)。また、データ記録部11a3のユーザ仕様情報記録部11a31にはユーザ仕様情報である1000円のデータ「1,0,1,0,1,0」とした場合、データが2値「0」(反射率70%),「1」(反射率10%)で記録されることを検出すると、グルーブ11aには未使用の1000円のデータが記録してあると判定する。一方、ユーザ仕様情報記録部11a31から反射率70%,10%以外の反射率が得られたらグルーブ11aには使用済の1000円のデータが記録してあると判定する。
【0196】(20) 制御部B5は、前述したグルーブ11aに記録してある1000円のデータが未使用であるか使用済であるかを判定する動作と同様に、グルーブ11b〜11jに対しても行う。この結果、制御部B5は、3本のトラックのグルーブ11a〜11cのユーザ仕様情報記録部11a31〜11c31から反射率70%,10%の2値のユーザ仕様情報が検出され、一方、グルーブ11d〜11jのユーザ仕様情報記録部11d31〜11j31から反射率70%,10%以外の反射率70%,0%のユーザ仕様情報が検出された場合、この10000円券の情報記録媒体AAは残りが3000円であることを認識する。
【0197】(21) こうして、制御部は、ユーザが挿入した10000円券の情報記録媒体AAの残高3000円を図示せぬ表示部に表示する。これに応じて、ユーザが1000円のサービス、物品を購入する金種選択ボタンを押すと、制御部はユーザが選択した金種を検知する。この結果、制御部は選択した金種に応じた金種実行信号を図示せぬサービス・物品販売機に送出することにより、サービス・物品販売機はこの金種に応じたサービス、物品をユーザに提供することが可能となる。
【0198】(22) 一方、データ記録再生装置においては、残高3000円の情報記録媒体AAから1000円のデータを抹消しなければならない。
【0199】(23) そこで、制御部は、情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11のグルーブ11cのユーザ仕様情報記録部11c31の始端から「強」記録用レーザ光Mが照射されるように、光学ヘッド送り機構部B3に対して、光学ヘッド部B2を移動する旨の移動制御信号を送出する。
【0200】(24) この結果、情報記録媒体載置部B1内の所定位置に載置された情報記録媒体AA上の機能書き込みチップ11のグルーブ11cのユーザ仕様情報記録部11c31の始端に、「強」記録用レーザ光Mが照射可能となるように光学ヘッド部B2が位置決めされる。
【0201】(25) 制御部は、光学ヘッド部B2に対して、光量切り換え手段を切り換えてレーザダイオード(光源)B2aから「強」記録用レーザ光Mが発光開始する旨の発光開始制御信号を送出する。
【0202】(26) 光学ヘッド部B2は制御部から供給される発光開始制御信号に基づいて「強」記録用レーザ光Mの発光を開始する。こうして、「強」記録用レーザ光Mはグルーブ11cのユーザ仕様情報記録部11c31の始端から「強」記録用レーザ光Mが照射されるのである。
【0203】(27)この結果、グルーブ11cの未使用である1000円のデータは書き替えられ(抹消され)、ユーザ仕様情報記録部11c31から反射率は70%,0%とされる。
【0204】このようにして、データ記録再生装置は、ユーザ仕様情報が記録された情報記録媒体AAを用いてユーザがサービス、物品を購入するに際し、ユーザ仕様情報から購入に見合った消費情報を減額(使った分のユーザ仕様情報を抹消する)することができるのである。
【0205】(9)「情報記録媒体再生方法」
情報記録媒体再生方法は、例えば上述したデータ記録再生装置を用いて次の(1) 〜(6) の手順のように行われるものである。
【0206】(1) 前述した構成の情報記録媒体AAを、図9,図10に示すように、データ記録再生装置の情報記録媒体ローディング部B4から情報記録媒体載置部B1内に順次移送する。情報記録媒体AAはこの移送の過程でその左右各辺10d,10cが一対の送りガイドB1a,B1bにより支持され、位置規制部B1c側へ移送され、情報記録媒体AAの下辺10bが位置規制部B1cに当接する。この結果、情報記録媒体載置部B1は制御部B5に対して、情報記録媒体ローディング部B4から移送された情報記録媒体AAが所定位置に載置固定された旨の位置規制信号を出力する。制御部B5は情報記録媒体載置部B1から位置規制信号を受け取ると、情報記録媒体ローディング部B4に対して、位置規制ローラB4a〜B4dの回転を停止する旨の回転停止制御信号を出力する。こうして、情報記録媒体ローディング部B4の位置規制ローラB4a〜B4dの回転は停止され、情報記録媒体載置部B1内に収納された情報記録媒体AAは所定位置に載置固定しされる。
【0207】(2) 次に、載置固定した情報記録媒体AAの同期部11a2〜11n2及びデータ記録部11a3〜11n3の再生用レーザ光Oを用いた再生走査に先立って、全ての空溝部11a1〜11n1を、図3,図6に示すように、グルーブ11aの空溝部11a1、グルーブ11bの空溝部11b1、グルーブ11cの空溝部11c1、…、グルーブ11nの空溝部11n1を(矢印c方向へ)順次走査する。
【0208】(3) 制御部B5は、再生用レーザ光Oを用いて順次再生走査して得た空溝部11a1〜11n1からの反射光に基づく反射率を検出する。
(4) 制御部B5は、このデータ記録部11a3〜11n3のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31にユーザ仕様情報が記録されている場合の空溝部11a1〜11n1からの反射光に基づく反射率(反射率10%)であるか、あるいは、データ記録部11a3〜11n3のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31にユーザ仕様情報が未記録の場合の空溝部11a1〜11n1からの反射光に基づく反射率(反射率70%)であるかのいずれの反射率であるかを判定する。
【0209】(5) 制御部B5は、データ記録部11a3〜11n3のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31にユーザ仕様情報が記録されている場合の空溝部11a1〜11n1からの反射光に基づく反射率(反射率10%)と判定した場合、当該空溝部11a1〜11n1に関連するデータ記録部11a3〜11n3のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31を再生走査して当該データ記録部11a3〜11n3のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31に記録されているユーザ仕様情報を再生する。
【0210】(6) 一方、制御部B5は、データ記録部11a3〜11n3のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31にユーザ仕様情報が未記録の場合の空溝部11a1〜11n1からの反射光に基づく反射率(反射率70%)と判定した場合、当該空溝部11a1〜11n1に関連するデータ記録部11a3〜11n3のユーザ仕様情報記録部11a31〜11n31を再生走査しない。
【0211】また、情報記録媒体再生方法は、例えば上述したデータ記録再生装置を用いて、空溝部11a1〜11n1を順次再生走査する走査方向(図3,図6に示す矢印c方向)は、同期部11a2〜11n2及びデータ記録部11a3〜11n3の再生用レーザ光Oを用いて順次再生走査する再生方向(図3〜図5,図10に示す矢印b方向)に対して直角を成す方向としたものである。
【0212】
【発明の効果】上述したように本発明の情報記録媒体記録装置及び情報記録媒体記録再生装置は次の効果を奏することができる。即ち、本発明の情報記録媒体記録装置は情報記録媒体の品質管理情報記録部に光ビームを照射して品質管理情報を追記録可能であるから、製造用データ記録装置として用いることができるものであり、製造時に品質管理情報が記録された情報記録媒体が市場に大量に出回わりそして情報記録媒体に製造上の欠陥が発見された場合、それがどのメーカで製造されたかをこの品質管理情報を読み出して、メーカ名、製造年月日、ロット番号、製造装置を特定してその欠陥原因を究明し、その欠陥を迅速に除去することができる。また、本発明の情報記録媒体記録装置は情報記録媒体の仕様情報記録部に光ビームを照射して仕様情報を追記録可能であるから、販売用データ記録装置として用いることができるものであり、仕様情報記録部を備えた唯1種類の情報記録媒体を装置内に収納しておき、販売時にこの情報記録媒体の仕様情報記録部に販売目的に応じた仕様情報を追記録することにより、例えばユーザが買い求める態様に応じて1000円券、2000円券などの金券、あるいは、電話の100度数、200度数などの通話度数券などに加工することができるので、情報記録媒体を多量に販売することができる。さらに、本発明の情報記録媒体記録再生装置は情報記録媒体の仕様情報記録部に再生用光ビームを照射して仕様情報を再生した後に、記録用光ビームを照射して当該仕様情報を復元不可能なように抹消することができのため、仕様情報が金額などの価値情報である場合に消費に対応した仕様情報の一部あるいは全てを復元不可能なように確実に抹消することができる結果、仕様情報が全て抹消されている使用済の情報記録媒体の仕様情報を復元して販売時の真新しい仕様情報をもつ未使用の情報記録媒体を得るというような情報記録媒体の改ざんを確実に防止でき、これにより、例えば特定の金種の情報記録媒体を購入することによって、現金を用いずともサービス、物品を購入できるという信用システムがこうした情報記録媒体の改ざんにより根底から覆るおそれを未然に防止でき、この信用システムの信頼性向上及びその発展に多大に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】情報記録媒体の外観構成図である。
【図2】図1に示す情報記録媒体の要部である機能書き込みチップを説明するための図である。
【図3】図2に示す機能書き込みチップの構成及びその動作を説明するための図である。
【図4】未記録状態、ユーザ仕様情報の記録状態の機能書き込みチップに「弱」記録用レーザ光を照射したことよる反射率の変化を説明するための図である。
【図5】消費情報に応じた分のユーザ仕様情報を抹消したことによる反射率の変化を説明するための図である。
【図6】機能書き込みチップを構成する空溝部だけに再生用レーザ光を照射した場合に各グルーブの未記録・記録済状態の違いにより異なる反射率となることを説明するための図である。
【図7】機能書き込みチップを構成するデータ記録部において「強」・「弱」記録用レーザ光を用いた記録状態を説明するための図である。
【図8】機能書き込みチップに記録する誤り訂正符号入りデータの構成を説明するための図である。
【図9】情報記録媒体を追記録・再生する情報記録媒体記録再生装置の概略構成及びその動作を説明するための図である。
【図10】情報記録媒体を追記録・再生する情報記録媒体記録再生装置の概略構成及びその動作を説明するための図である。
【図11】情報記録媒体を追記録・再生する情報記録媒体記録再生装置の概略構成及びその動作を説明するための図である。
【図12】情報記録媒体記録再生装置の要部である光ヘッド部の構造を説明するための図である。
【図13】追記録型光ディスクAの構造を示す図である。
【図14】追記録型光ディスクBの構造を示す図である。
【符号の説明】
10 ベース(基板)
10a,10b,10c,10d 上辺,下辺,右辺,左辺
11 機能書き込みチップ
11a〜11n グルーブ(単位情報領域)
11a1〜11n1 空溝部(走査案内領域)
11a2〜11n2 同期部(アドレス領域)
11a3〜11n3 データ記録部(追記録領域)
11a31〜11n31 ユーザ仕様情報記録部(仕様情報記録部)
11a32〜11n32 品質管理情報記録部
12 再生専用チップ
AA 情報記録媒体
BB 情報記録媒体記録再生装置
B1 情報記録媒体載置部(載置部)
B1a,B1b 送りガイド
B1c 位置規制部
B2 光学ヘッド(光学ヘッド部)
B3 光学ヘッド送り機構部(移送部)
B4 情報記録媒体ローディング部
B4a〜B4d 位置規制ローラ
B5 制御部
b,c 再生走査方向
L 「弱」記録用レーザ光
M 「強」記録用レーザ光
O 再生用レーザ光
P 消去用レーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】情報の追記録が可能な追記録領域と必要な情報が予め記録された再生専用領域とから構成される単位情報領域を同一基板上に多数設け、かつ前記各追記録領域は品質管理情報記録部及び仕様情報記録部を備えてなる情報記録媒体に、少なくとも品質管理情報を記録する情報記録媒体記録装置であって、前記情報記録媒体を所定位置に載置固定する載置部と、この載置部に載置した情報記録媒体の前記品質管理情報記録部に光ビームを照射して品質管理情報を追記録する光学ヘッドと、前記品質管理情報記録部に前記光学ヘッドを移送する移送部とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録装置。
【請求項2】情報の追記録が可能な追記録領域と必要な情報が予め記録された再生専用領域とから構成される単位情報領域を同一基板上に多数設け、かつ前記各追記録領域は品質管理情報記録部及び仕様情報記録部を備えてなる情報記録媒体に、少なくとも仕様情報を記録する情報記録媒体記録装置であって、前記情報記録媒体を所定位置に載置固定する載置部と、この載置部に載置した情報記録媒体の前記仕様情報記録部に光ビームを照射して仕様情報を追記録する光学ヘッドと、前記仕様情報記録部に前記光学ヘッドを移送する移送部とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録装置。
【請求項3】情報の追記録が可能な追記録領域と必要な情報が予め記録された再生専用領域とから構成される単位情報領域を同一基板上に多数設け、かつ前記各追記録領域は品質管理情報記録部及び仕様情報記録部を備えると共に前記各再生専用領域は走査案内領域及びアドレス領域を備えてなる情報記録媒体に、少なくとも仕様情報を記録する情報記録媒体記録装置であって、前記情報記録媒体を所定位置に載置固定する載置部と、この載置部に載置した情報記録媒体の前記仕様情報記録部に光ビームを照射して仕様情報を追記録すると共に、少なくとも前記走査案内領域に光ビームを照射して前記仕様情報の追記録の存在を示す情報を記録する光学ヘッドと、前記仕様情報記録部及び走査案内領域に前記光学ヘッドを移送する移送部とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録装置。
【請求項4】前記仕様情報記録部及び走査案内領域に照射する前記光ビームの光量は、請求項1記載の情報記録媒体記録装置における光ビームの光量とほぼ同一であることを特徴とする請求項2又は3記載の情報記録媒体記録装置。
【請求項5】情報の追記録が可能な追記録領域と必要な情報が予め記録された再生専用領域とから構成される単位情報領域を同一基板上に多数設け、かつ前記各追記録領域は品質管理情報記録部及び仕様情報記録部を備えてなる情報記録媒体に記録された仕様情報を少なくとも再生し、再生した当該仕様情報を抹消する抹消情報を前記仕様情報記録部に重畳記録する情報記録媒体記録再生装置であって、前記情報記録媒体を所定位置に載置固定する載置部と、この載置部に載置した情報記録媒体の前記仕様情報記録部に再生用光ビームを照射して仕様情報を再生し、次に、前記仕様情報記録部に記録用光ビームを照射して当該仕様情報を抹消する抹消情報を重畳記録する光学ヘッドと、少なくとも前記仕様情報記録部に前記光学ヘッドを移送する移送部とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録再生装置。
【請求項6】情報の追記録が可能な追記録領域と必要な情報が予め記録された再生専用領域とから構成される単位情報領域を同一基板上に多数設け、かつ前記各追記録領域は少なくとも品質管理情報記録部及び仕様情報記録部を備えると共に前記各再生専用領域は走査案内領域及びアドレス領域を備えてなる情報記録媒体に記録された仕様情報を少なくとも再生し、再生した当該仕様情報を抹消する抹消情報を前記仕様情報記録部に重畳記録する情報記録媒体記録再生装置であって、前記情報記録媒体を所定位置に載置固定する載置部と、この載置部に載置した情報記録媒体の全走査案内領域に再生用光ビームをまず順次照射して当該走査案内領域に係る前記仕様情報記録部に仕様情報が追記録されていると判定したときに、再生用光ビームを当該仕様情報記録部に照射して仕様情報を再生し、次に、前記仕様情報記録部に記録用光ビームを照射して当該仕様情報を抹消する抹消情報を重畳記録する光学ヘッドと、少なくとも前記仕様情報記録部に前記光学ヘッドを移送する移送部とを備えたことを特徴とする情報記録媒体記録再生装置。
【請求項7】前記記録用光ビームの光量は、請求項1乃至4のいずれかに記載の光ビームの光量よりも大であることを特徴とする請求項5又は6記載の情報記録媒体記録再生装置。
【請求項8】前記記録用光ビームの光量は、前記再生用光ビームの光量よりも大であることを特徴とする請求項5又は6記載の情報記録媒体記録再生装置。
【請求項9】前記再生用光ビームの光量は、請求項1乃至4のいずれかに記載の光ビームの光量よりも小であることを特徴とする請求項5又は6記載の情報記録媒体記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図11】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図12】
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【図14】
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【公開番号】特開平10−21544
【公開日】平成10年(1998)1月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−188672
【出願日】平成8年(1996)6月28日
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)