説明

情報記録媒体

【課題】変造防止機能を高めた情報記録媒体を提供する。
【解決手段】基材1と、基材1の片面に設けられ、非磁性特性を有した金属材料により形成される金属層2と、金属層2の上に設けられ、特定の磁気履歴特性を有したアモルファス強磁性体膜3、4と、アモルファス強磁性体膜3、4の少なくとも一部にパターン情報を記録したパターン情報部とを備え、アモルファス強磁性体膜3、4及び/又はパターン情報部は、磁気履歴特性を変化させるときにパンチ穴10があけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレホンカードのように管理対象情報を磁気的に記録する情報記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録媒体カードとして、現在国内で最も多く利用されているプリペイドカードには、NTT(日本電信電話株式会社)の発行するテレホンカードと日本カードシステムの発行するパチンコ遊技カードなどがある。これらのカードは変造,改ざんをされやすく大きな社会問題となっている。これらのカードを対象として変造,改ざんの防止対策として「記録担体カードとその真偽判定装置」が提案されている(特許文献1)。この従来例では、記録担体カードはカード基板上に管理対象情報を記録する第一の記録領域と、該第一の記録領域とは別の位置にアモルファス強磁性体層が配置されるとともに、必要な個数のパンチ穴をあけることを予定して設けられた第二の記録領域とを供えた構成を有している。また、前記第二の記録領域にはセキュリティコードを記録した構成を有している。これらの構成を有するカードの第二の記録領域に鑚孔されたパンチ穴の位置を磁気的に読み出して、該第一の記録領域に記録された管理情報とその読み出されたパンチ穴の位置情報とを比較して改ざんの有無を判定する方法をとるため、あけられたパンチ穴に適宜の遮蔽材を埋め込むか貼付することによる改ざんを容易に検出することができるという優れた利点をもっている。
【特許文献1】特開平6−286368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来例には、悪質な改ざんを防止する方法として、記録担体カード上の磁性膜として通常では入手できない組成の磁性膜を用いてその組成の磁性膜に特有の磁気特性を利用することと、カードの第二記録領域に書換え出来ないように予め書き込んであるセキュリティコードを利用することにより実行される方法が提示されている。一般にプリペイドカードは何種類かの金額の異なったカードが発行されており、これらの金額の異なったカードを使用して低金額カードを高金額カードに見せかける改ざんに対しては前記の従来例の方法では、セキュリティ性が不充分であるという問題がある。その不具合点の第一は、素材特有の磁気特性を利用する方法ではカードの種類に対応した種類の固有特性を有する素材を用意しなければならないことであり、種類が多くなると製作上困難を伴う。第二はセキュリティコードの書き込みであるが、鑚孔される部分以外の領域に書かれるため、いわゆるハイブリッド法(切り貼り)と呼ばれる変造方法で変造されるおそれがある。
【0004】
本発明の目的は、変造防止機能を高めた情報記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を括弧内に付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、基材(1)と、前記基材(1)の片面に設けられ、非磁性特性を有した金属材料により形成される金属層(2)と、前記金属層(2)の上に設けられ、特定の磁気履歴特性を有したアモルファス強磁性体膜(3、4)と、前記アモルファス強磁性体膜(3、4)の少なくとも一部にパターン情報を記録したパターン情報部とを備える情報記録媒体である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の情報記録媒体において、前記アモルファス強磁性体膜(3、4)及び/又は前記パターン情報部は、前記磁気履歴特性を変化させるときにパンチ穴(10)があけられることを特徴とする情報記録媒体である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の情報記録媒体において、前記パターン情報部は、磁気履歴特性の異なる複数のアモルファス強磁性体膜(3、4)により形成されていることを特徴とする情報記録媒体である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の情報記録媒体において、前記パターン情報部は、厚みの異なる複数のアモルファス強磁性体膜(3、4)により形成されていることを特徴とする情報記録媒体である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の情報記録媒体において、前記アモルファス強磁性体膜(3、4)は、前記基材(1)の両面に形成されていることを特徴とする情報記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、プリペイドカードの偽造を防ぐために、異なった磁気特性あるいは、厚みを変えたパターンを、基材の片面又は両面に予め書き込んであるアモルファス強磁性体膜をパンチ穴が明けられることが予約されている領域に張り付けておき、パンチ穴位置とカード種別パターンと使用素材の正真性を検出することにより、簡単にかつ安全性の高いプリペイドカードシステムを提供できる利点がある。また、非金属特性を有した金属層の上にアモルファス強磁性体膜を形成しているので、アモルファス強磁性体膜の磁気特性を安定させることができ、検出ミスなどを防止する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によればパンチ穴をあけることを予定されている領域にアモルファス強磁性体及び金属層を張り付けるかまたは、カード樹脂基板内に埋め込んである。カードが使用されると残り度数に応じて穴があけられ、同時にその部分を覆っているアモルファス強磁性体層及び金属層にも穴があけられる。アモルファス強磁性体層に物理的欠陥(パンチ穴)があるとその部分に磁気変化があり、外部からの交流あるいは直流磁気バイアスと磁気センサによって穴の位置検出が可能である。
【0012】
プリペイドカードの多くは使用価格が異なった幾つかの種類を持っており、書換え可能な磁気記録領域に種別情報として記録されているためセキュリティ性は弱い。本発明によれば磁気履歴特性の異なった二種類あるいはそれ以上の組み合わせ配置したアモルファス強磁性体層が非磁性特性を有する金属層の上に配置されており、組み合わせパターンの幅,間隔を変えることで種別情報とすることができる。しかもパンチ穴をあけることを予想される領域全域に繰り返し配置させれば、一部分の切り張り変造をしたものの発見は容易である。磁気履歴特性の異なったものを組み合わせること以外にも、厚みを変えれば、磁気検出電圧が異なり種別情報として利用することができ、これらの組み合わせを用いることも可能である。ここで利用できる特異な磁気履歴特性とは保持力(Hc)、透磁率(μ)、飽和磁束密度(Bm)、角形比(Bm/Br)、磁気モーメント(M)、磁気異方性などであり、これらのパラメータが外部励磁磁界強度により非線形の特性を示すことである。
【0013】
パンチ穴があった部分を切り取ってつなぎ合わせるいわゆる「だるまおとし」変造に対しては、アモルファス強磁性体層の幅はパン穴径以上であればパンチする際の位置誤差あるいはアモルファス強磁性体層の張り付け位置誤差を含め充分に広くしておけば、前記のように変造されたカードから読み出されるパターンはパンチ穴径だけ短くなりパターン情報の検知出力電圧差から容易に発見可能である。アモルファス強磁性体の、金属種類,合金配合比は特殊であり、その磁気履歴特性は固有の物であるから、もし別の強磁性体層によって変造されても簡単に発見することができる。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の実施例で、カード基板上の第二の記憶領域に張り付けることを想定したアモルファス磁性体を含む記録薄膜の例である。(a)はその基本構成を示す一実施例であり、(b)は(a)の断面構成例である。(c)〜(e)はアモルファス強磁性体膜3,4の形成例である。1は樹脂基板であり、5μm〜20μm厚みのPET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)の薄膜である。2は金属層であり、アルミニウム,銅,チタンなどのように非磁性特性を有し、熱伝導の良い金属を1μm以下の厚みになるように蒸着あるいはスパッタしたもので、次工程でその上にスパッタする磁性材料の磁気特性を安定させるために用いる。3,4はそれぞれ特異な履歴特性をもったアモルファス強磁性体膜である。3,4の磁気履歴特性は互いに異なるように、例えば、相異なるスパッタリングターゲット材料を使用するのが一般的であるが、そのほか同一材料であっても製法上で磁気履歴特性に差異を持たせることもできる。5は接着材であり、熱可塑性樹脂であるポリエチレン,ポリアミド,アクリルのように100℃程度の熱で溶融しカード基板上に接着させることができる。なお、(c)のアモルファス強磁性体膜の形成例では、樹脂基板1の両面にそれぞれ磁気履歴特性の異なるアモルファス強磁性体膜3,4を、それぞれ特殊のパターンとして蒸着あるいはスパッタにより形成したものである。(d)の形成例は、樹脂基板1の片面にそれぞれ磁気履歴特性の異なるアモルファス強磁性体膜3,4をそれぞれパターン化して交互に配置されるように形成したものである。(e)の形成例は、樹脂基板1の片面にアモルファス強磁性体膜3を面一にまず形成し、その上にアモルファス強磁性体膜3をパターン化し、又は磁気履歴特性の異なるアモルファス強磁性体膜4をパターン化して形成した例である。これらの(c)〜(e)の形成例においては、アモルファス強磁性体膜3,4の通常の検出の外に、磁気履歴特性の差異による検出および予め特殊のパターン化を図って、それぞれパターン情報として検知出力を得ることもできるため、二重,三重の情報を用いて真偽を判定できるので変造等は極めて困難となる。
【0015】
図2はカード基板上にアモルファス強磁性体を含む記録薄膜を張り付けた本発明の実際に使用する状態を示す記録媒体(カードA)の一実施例である。(a)はその一部開口状態を示す斜視図、(b)はその部分断面図である。6はカード基板であり、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート),紙などからなる。7は管理情報を記録する第一の記録領域であり、酸化鉄を主成分とする粉末磁性体が塗布されている。8はアモルファス強磁性体を含む記録薄膜が配置された第二の記録領域である。この場合第一の記録領域7が第二の記録領域8を含む構造でもよい。9はカード名称等を印刷する印刷層、10はカードAが使用されたときに使用度数に応じて穿孔されるパンチ穴である。
【0016】
図3は、前記情報記録媒体が真正品であるか又は偽造,変造品であるかを判定する真偽判定装置の一実施例である。この実施例では、第一の記録領域7と第二の記録領域8を有し、パンチ穴10をプリペイド課金使用残高の目安とするように作成された磁気カードの真偽を判定する装置例を示している。11は第1の磁気センサであり、第一の記録領域7に記録された情報を読み出すためのものである。12は第2の磁気センサであり、第二の記録領域8のパンチ穴位置あるいは、この領域が不正に切り張りされたかを検出するものである。13は第3の磁気センサであり、第二の記録領域8に使用されているアモルファス強磁性体が真正であるか否かを判定することと、第二の記録領域8に書き込まれたカード種別を表すパターン情報を読み出すために用いられる。14は第2の磁気センサ12に静磁バイアスを印加するための直流電源である。15は第3の磁気センサ13に交流磁気バイアスを印加するための交流電源である。16は上記検知カードを水平方向に搬送するための記録媒体駆動装置である。17a〜17cは各磁気センサの信号を増幅するための信号増幅器である。
【0017】
図4は各磁気センサによる検知動作原理を説明する図である。(a)は第1の磁気センサ11の検知動作を示すもので、磁気ヘッド11により、第一の記録領域7上の磁気コーティングされた磁性層に磁性材の保磁力を利用して書かれた各種情報を、読み出し信号増幅器17aを介して出力するものである(磁気カードの規格および磁気記録様式は、JISX6301−79およびJISX6302−79参照)。また、磁気記録情報の読み出し回路は一般に使用されているものを使用する(例えば「データキャリア」日本工業新聞社発行、竹田晴見著参照)。
【0018】
(b)は第2の磁気センサ12の検知動作を示すものであり、磁気ヘッド12に外部の直流電源14により静磁バイアスを印加させ、ヘッドギャップから漏洩する磁束が第二の記録領域8に配置されたアモルファス強磁性体膜3又は4に浸透する。強磁性体膜3又は4が一様ならば磁束変化はなく信号は検出されない。もし、パンチ穴10が穿けられているならば、その部分に磁束変化を生ずる。アモルファス強磁性体膜3又は4の真空の透磁率に対する比である比透磁率が高い材料(数千)を使用しておけば磁束変化も大きくなり、磁束変化の検出が容易になる。これにより不正を行う者が故意に同一材料で穴を塞ぐ細工を行っても、材料の境目において磁束変化が生じて細工を行ったことが判明する。
【0019】
(c)は第3の磁気センサ13の検知動作を示すものであり、交流磁気バイアスされた差動型の磁気ヘッド13を使用する。この判別原理はアモルファス強磁性体のB−H特性を利用したものであり、材料固有の値を持つため、異なった材料で全体を切り貼り交換しても、第3の磁気センサ13によって容易に真偽を判別することができる。
【0020】
図5は上記真偽判定装置制御部のブロック図である。18は第一の記憶領域7からの情報読み取り回路で、第1の磁気センサ11からの検知信号S1をもとにこの領域に記憶されているカード種別情報,パンチ穴位置情報,その他のカード情報を含む各種の情報を読み出して、カード種別判別回路22,パンチ穴位置判別回路23,その他カード情報判別回路24にそれぞれ出力する。19はパンチ穴位置検出回路で、第2の磁気センサ12からの検知信号S2をもとにパンチ穴位置情報を読み出して、パンチ穴位置判別回路23に出力する。20は磁気特性判別回路で、検知信号S3をもとにアモルファス強磁性体膜33又は34の固有の特性情報を判別して、その判別情報をマイクロコンピュータシステム25に出力する。21はパターン情報読み出し回路で、検知信号S3をもとにパターン化されたアモルファス強磁性体膜33又は34のパターン情報を磁気特性判別回路20のバンドパスフィルタを介して読み出して、カード種別判別回路22に出力する。22はカード種別判別回路で、第一の記録領域7から情報読み取り回路18により読み出された情報と、パターン情報読み出し回路21からの情報を取り込んでカード種別情報をマイクロコンピュータシステム25に出力する。23はパンチ穴位置判別回路で、第一の記録領域7から情報読み取り回路18により読み出された情報と、パンチ穴位置検出回路19により読み出された情報とを取り込んで、パンチ穴位置情報をマイクロコンピュータシステム25に出力する。24はその他カード情報判別回路で、第一の記録領域7から情報読み取り回路18により読み出された情報のうちカードに予め記録されている一般書誌的情報を取り込んで、その他カード情報としてマイクロコンピュータシステム25に出力する。25はマイクロコンピュータシステムで、各回路18〜24からの情報をもとに各種制御を行う。
【0021】
次に図5に示す各回路18〜25について更に詳細に説明する。第一の記録領域7から情報を読みとる情報読み取り回路18は、前述したように一般に使用されている磁気記録情報読み出し回路を使用することができるので、説明を省略する。図6(a),(b)は、パンチ穴位置検出回路19の一実施例を示すもので、(a)はパンチ穴位置検知信号波形図であり、(b)はその回路例である。図6(a)は検知信号S2からのパンチ穴検知信号波形で、3個の穴が明いている時はその間隔に対応する時間間隔T1,T2,T3で信号が検出される。最初に検出した穴が度数0に近いとすると、図6(b)に示すパンチ穴位置検出回路19のカウンタ回路19−1は搬送開始と同時にスタートして、T1時間後にその値はバッファ回路19−2に一時記憶される。一度記憶された内容は再度スタートするまで保持されるようになっている。この値は不正がなければ第一の記憶領域7に記憶されているべき度数管理情報と一致しているはずである。
【0022】
図7(a)(b)は、磁気特性判別回路20の磁気特性判別の原理を示す波形図とスペクトラム分布図であり、図8はその磁気特性判別回路20の具体的回路構成の一実施例を示す。図7(a)は異なった磁気特性を持ったアモルファス強磁性体膜がA部,B部,A部と並んで配置された状態の第二記録領域8を検知した時の時間軸波形である。A部では三角波が検出され、B部では正弦波状の波形が検出される。図7(b)は上記波形の各部分のスペクトラム(周波数成分)をスペクトラムアナライザを用いて分析した結果である。A部は一次,二次,三次とその成分電力比が小さくなるが、B部では二次,三次,一次の順に小さくなっている。この成分比は材料によって一定であるから、これらのスペクトラム比を比べることで材料の真偽を判定することができる。
【0023】
スペクトラム比を判定するには一例として、図8の回路に示すように、励磁周波数によって決まる高調波成分に相当するバンドパスフィルタ20−1,20−2,…,20−Nを準備して各バンドパスフィルタからの信号レベルが想定されるレベルであるか否かを判定するA部判定用レベル判定回路群20−11,20−12,…20−1Nと、B部判定用レベル判定回路群20−21,20−22,…,20−2Nをもち、各回路からの一致を取る一致回路20−31,20−32によってA部,B部がそれぞれ定められた材料の磁気特性をもつか否かによって真偽判別を行う。この例ではバンドパスフィルタによるスペクトラム抽出を示したが、A/D変換器、FET演算あるいはディジタルフィルタによっても同様の効果が得られる。
【0024】
図9(a)(b)は、パターン情報読み出し回路21のパターン情報判別の原理を示す波形図であり、図10はそのパターン情報読み出し回路21の具体的回路構成の一実施例を示すものであり、一例として前記磁気特性判別回路20の中のバンドパスフィルタ出力を利用することができる。図9(a)(b)によりこのパターン情報読み出し回路21の動作を説明する。(a)は検知信号S3の元波形であり、(b)は磁気特性判別回路20内の特定のバンドパスフィルタの出力(例えば、バンドパスフィルタ20−2の出力)F2である。特定のバンドパスフィルタはA部,B部で使用される材料の磁気特性で最も顕著に差の出るスペクトラムを選択する。A部は三角波が検出され、B部は正弦波状波形が検出される。もし、パターン情報が材料の厚みの差によって構成されている場合には、検知信号S3の波形は各部振幅差となって現れ、振幅比較により分離が可能である。(b)はこのような原理によって分離したA部,B部の振幅波形であり、各部分のパターンピッチが波形の出現する時間間隔になって現れる。すなわちA部は時間幅T1およびT3の中で振幅波形が現れ、B部は時間幅T2の中で波形が現れない。
【0025】
図10はこれらの時間間隔を測定するためのパターン情報読み出し回路21の例である。一定周期のクロック信号をカウントするカウンタ回路21−1とパターン情報から分離された信号(例えばF2)から作られる信号によって、カウンタ値をバッファ回路21−2,21−3,21−4に順次に一時記憶させる。バッファ回路は図示のように複数個ありそれぞれのパターン間隔が記憶される。このようにして予め定められたパターン情報としてカード種別判別回路22に出力される。
【0026】
図11はカード種別判別回路22の一実施例である。第一の記録領域7から情報読み取り回路18によって読み出された情報によりカード種別判別情報レジスタ22−1に予め設定されるカード種別判別情報とパターン情報読み出し回路21から得られてパターン情報レジスタ22−2に設定されたパターン情報との比較を一致回路22−3で行い、予め割り付けられている種別であるか否かを比較して、一致していれば真の情報を、一致していなければ偽の情報をマイクロコンピュータシステム25等の主制御部に送る。
【0027】
図12はパンチ穴位置判別回路23の一実施例である。第一の記録領域7から情報読み取り回路18により読み出された情報によりパンチ穴位置管理情報レジスタ23−1に予め設定されるパンチ穴管理情報と実際にパンチ穴位置検出回路19によって検出されてパンチ穴位置検出情報レジスタ23−2に設定されるパンチ穴位置情報の残高値との一致を一致回路23−3で取り、一致していれば真の情報を、一致していなければ偽の情報をマイクロコンピュータシステム25等の主制御部に送る。カード種別判別回路22,パンチ穴位置判別回路23はマイクロコンピュータシステム25のソフトウェアで代行することもできる。この実施例では、第二の磁気センサ12により、パンチ穴位置を検出したが、第三の磁気センサ13の感度を上げるか、または、パンチ穴10を大きくすれば、第三の磁気センサ13の出力にも、パンチ穴10による信号が検出される。
【0028】
その他カード情報判別回路24については、カードの発行年月日,有効期限,発行所等の一般書誌的情報を判別するものであるが、これらの判別方法は、テレホンカード等のプリペイドカードで行われている方法と同様に実施できるので、詳細な説明は省略する。
【0029】
図13は第二の磁気センサ12を用いない実施例である。この場合、パンチ穴10による検知信号の変化は、アモルファス強磁性体の磁気特性を示す信号と比較して、極めて大きく現れるので、信号の振幅の違いにより、パンチ穴10を示す信号とアモルファス強磁性体の磁気特性を示す信号とを区別することができる。この場合、図5に示す真偽判定装置制御部におけるパンチ穴位置検出回路19には検知信号S3が入力される。
【0030】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、プリペイドカードの偽造を防ぐために、異なった磁気特性あるいは、厚みを変えたパターンを、基材の片面又は両面に予め書き込んであるアモルファス強磁性体膜をパンチ穴が明けられることが予約されている領域に張り付けておき、パンチ穴位置とカード種別パターンと使用素材の正真性を検出することにより、簡単にかつ安全性の高いプリペイドカードシステムを提供できる利点がある。また、非金属特性を有した金属層の上にアモルファス強磁性体膜を形成しているので、アモルファス強磁性体膜の磁気特性を安定させることができ、検出ミスなどを防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による情報記録媒体に用いる記録薄膜の具体例を示す斜視図(a)と断面略図(b)(c)(d)(e)である。
【図2】本発明による情報記録媒体の一実施例を示す斜視図(a)と一部断面図(b)である。
【図3】本発明による真偽判定装置の検知回路部の具体例を示す接続構成図である。
【図4】図3の具体例に用いられる第1,第2,第3の磁気センサの構成と動作を説明するための側面略図(a)(b)(c)である。
【図5】本発明による真偽判定装置における判別回路部の具体例を示すブロック図である。
【図6】図5におけるパンチ穴位置判別回路の具体例を示すブロック図(b)とその動作を説明するための波形図(a)である。
【図7】図5における磁気特性判別回路の動作を説明するための波形図(a)とスペクトラム特性図(b)である。
【図8】図5における磁気特性判別回路の構成例を示すブロック図である。
【図9】図5におけるパターン情報読み出し回路の動作を説明するための波形図(a)(b)である。
【図10】図5におけるパターン情報読み出し回路の構成例を示すブロック図である。
【図11】図5におけるカード種別判別回路の構成例を示すブロック図である。
【図12】図5におけるパンチ穴位置判別回路の構成例を示すブロック図である。
【図13】本発明による真偽判定装置の検知回路部の他の具体例を示す接続構成図である。
【符号の説明】
【0032】
1 樹脂基板
2 金属層
3 アモルファス強磁性体膜
4 アモルファス強磁性体膜
5 接着材
6 カード基板
7 第一の記録領域
8 アモルファス強磁性体を含む第二の記録領域
9 印刷層
10 パンチ穴
11 第一の磁気センサ
12 第二の磁気センサ
13 第三の磁気センサ
14 静磁バイアス用直流電源
15 交流バイアス用交流電源
16 記録媒体駆動装置
17a,17b,17c 信号増幅器
18 第一の記録領域からの情報読み取り回路
19 パンチ穴位置検出回路
19−1 カウンタ回路
19−2 バッファ回路
20 磁気特性判別回路
20−1,20−2,…20−N バンドパスフィルタ
20−11,20−12,…,20−1N,20−21,20−22,…20−2N レベル判定回路
20−31,20−32 一致回路
21 パターン情報読み出し回路
21−1 カウンタ回路
21−2,21−3,21−4 バッファ回路
22 カード種別判別回路
22−1 カード種別判別情報レジスタ
22−2 パターン情報レジスタ
22−3 一致回路
23 パンチ穴位置判別回路
23−1 パンチ穴位置管理情報レジスタ
23−2 パンチ穴検出情報レジスタ
23−3 一致回路
24 その他カード情報判別回路
25 マイクロコンピュータシステム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の片面に設けられ、非磁性特性を有した金属材料により形成される金属層と、
前記金属層の上に設けられ、特定の磁気履歴特性を有したアモルファス強磁性体膜と、
前記アモルファス強磁性体膜の少なくとも一部にパターン情報を記録したパターン情報部と、
を備える情報記録媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記録媒体において、
前記アモルファス強磁性体膜及び/又は前記パターン情報部は、前記磁気履歴特性を変化させるときにパンチ穴があけられること、
を特徴とする情報記録媒体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報記録媒体において、
前記パターン情報部は、磁気履歴特性の異なる複数のアモルファス強磁性体膜により形成されていること、
を特徴とする情報記録媒体。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の情報記録媒体において、
前記パターン情報部は、厚みの異なる複数のアモルファス強磁性体膜により形成されていること、
を特徴とする情報記録媒体。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の情報記録媒体において、
前記アモルファス強磁性体膜は、前記基材の両面に形成されていること、
を特徴とする情報記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−252582(P2006−252582A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147876(P2006−147876)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【分割の表示】特願平8−177223の分割
【原出願日】平成8年6月19日(1996.6.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】