説明

情報記録媒体

【課題】近年記録容量の大容量化が進む情報記録用媒体では、記録・読み取りの高密度・高精細化が進み、物理的損傷回避のためのハードコート層形成は必須のものとなりつつある。さらにはハードコート層表面に付着した指紋等の液状付着物と埃等の固体堆積物さえも記録・読み取りエラーを導くため、それらの両方、または少なくとも一方の付着・堆積の抑制あるいは除去が求められる。こうした新たな要求を効率よく満たすため、従来のハードコート性能に加えて防汚性と帯電防止性の両方を備えたハードコート層を有する情報記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】防汚性付与剤、導電性金属酸化物、および活性エネルギー線硬化性を有する有機化合物を含む事を特徴とする放射線硬化型組成物を塗布した情報記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体に関し、特に、ハードコート層を有する情報記録媒体のハードコート層の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量化が進む情報担持媒体の例として、光ディスクが挙げられる。光ディスクには、コンパクトディスク、DVD、ブルーレイディスクなどがある。光ディスクは、通常、基板上に情報担持層、さらに保護層を有する構成となっており、基板材料としては、ポリカーボネートやアクリル樹脂などの樹脂材料が用いられている。また、保護層としてもポリカーボネートやアクリル樹脂などの透明樹脂材料が用いられている。しかし、これらの樹脂材料は傷付きやすい。
【0003】
光ディスクは、一般に、前記の樹脂材料を通して記録光や再生光を照射するため樹脂材料表面に傷が生じると、情報の記録や再生が困難となる場合が生じる。このため、基板の少なくとも光入射面側には、傷を防止するためのハードコート層が形成されることが好ましい。
【0004】
こうしたハードコート層としては、例えば特許文献1に開示されている。しかし、より高密度の情報担時媒体では、ディスクの取り扱い作業時において光入射側表面に皮脂等の汚れや、埃などが付着することによっても同様の問題が生じる。
【0005】
前記の紫外線硬化膜ハードコート層は帯電しやすく、ハードコート層が帯電すると、その表面にゴミが付着し、記録・再生時にエラーが発生しやすくなる。このため、ディスクの帯電を防止する方法として、導電性ポリマーを含有する組成物でハードコート層を形成し、表面抵抗率を低下させる方法や、ハードコート層の表面に帯電防止膜を形成する方法が用いられている。
【0006】
このような導電性ポリマーを用いる例としては、特許文献2などが挙げられる。しかしながら、導電性ポリマーを含有する組成物を用いたハードコートではディスクが曝露される環境の変化、特に温度と湿度の変化によってその帯電防止性能が劣化する場合が有り、長期間にわたって優れた帯電防止性能を得るには不十分である。
【0007】
また、導電性金属酸化物を含有する例としては、特許文献3に開示されている放射線硬化膜がある。この導電性金属酸化物を含む組成物を用いたハードコートでは、長期にわたって安定した帯電防止性能が期待できるが、それ単独では皮脂等の汚れ付着を抑制することができない。
【0008】
更に、光入射側表面における皮脂等の汚れ付着を抑制する方法としては、ハードコート層の表面に、撥水撥油膜を形成する方法等が用いられおり、例としては、特許文献4に開示されている。しかしながら、ハードコート層の表面に帯電防止膜あるいは撥水撥油膜を形成する方法は2度塗りとなるため、生産効率が悪い。
【0009】
また、導電性金属酸化物を含むハードコート層を形成する組成物に一般的な防汚剤を添加しようとする場合、塗工性と十分な防汚機能の発現・維持を両立することが困難である。
【特許文献1】特開平8−192097号公報
【特許文献2】特開平16−175571号公報
【特許文献3】特開平4−149837号公報
【特許文献4】特開平6−195749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、帯電防止と撥水撥油の両機能を併せ持つうえに、基板の傷を効果的に防ぐことができるハードコート層を有し、優れた生産性で良好な記録や再生が行える情報記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
帯電防止と撥水撥油の両機能を併せ持ち、基板の傷を効果的に防ぐことができるハードコート層を有し、さらに、優れた生産性、良好な記録および再生が行える情報記録媒体を提供することの目的は、下記(1)〜(4)の本発明によって達成される。
【0012】
(1) プラスチック基板上に記録層および保護膜を形成してなる情報記録媒体において、少なくとも記録・読取装置によって記録・読み取り操作が行われる側の表面にハードコート層を有する情報記録媒体であって、前記ハードコート層の厚さが1〜10μmであり、前記ハードコート層の耐磨耗性が、JISーK7204のテーハ゛ー磨耗試験においてテーバー社製磨耗輪CSー10F Type IVを用い、500gの荷重で100回転の条件下、ポリカーボネートを基板とした試験で、JISーK7136のヘイズ測定値の試験前後の差が12以下である情報記録媒体である。
【0013】
(2) 前記ハードコート層がフルオロアルキルエステル防汚剤としてフルオロアルキル基、及び3つ以上のラジカル重合性二重結合を持つ数平均分子量2000〜100、000のビニル共重合体を0.5〜25.0重量部含み、該ビニル共重合体の主鎖を構成するモノマーの組成比としてフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーを15〜30重量部含み、前記ハードコート層が、一般的塗工方式、例えば、スピンコート方式で形成することを特徴とする情報記録媒体である。
【0014】
(3) 前記ハードコート層が導電性金属酸化物微粒子を含有し、前記ハードコート層の表面抵抗率がJISーK6911による測定方法において1.0 E+14Ω/□以下で、前記ハードコート層中の導電性微粒子の含有量が40〜70重量%である情報記録媒体である。
【0015】
(4)前記ハードコート層を形成する組成物の放射線硬化前において、導電性金属酸化物を凝集させること無く良好な分散状態を維持するために、該ハードコート層を形成する放射線硬化組成物に含まれる活性エネルギー線硬化性を有する有機化合物として、少なくとも(メタ)アクリレート化合物と第一級アミンまたは第二級アミンを反応させてなる化合物を含み、該アミン化合物が脂肪族モノアミンであり、該(メタ)アクリレート化合物が芳香族環を有することを特徴とする情報記録媒体である。
【0016】
即ち本発明は、すくなくともフルオロアルキルエステル系防汚剤、導電性微粒子、および未反応のエチレン性不飽和二重結合を有するアミノ基含有放射線硬化性化合物を含むことを特徴とする、情報記録媒体表面に形成されるハードコート層に用いられる放射線硬化型組成物に関する。
【0017】
また本発明は、前記アミノ基含有放射線硬化性化合物が、下記一般式(1)で表される化合物と第一級アミンまたは第二級アミンとを、前記アクリレート化合物またはメタクリレート化合物中のエチレン性不飽和二重結合100モルに対して、前記アミンが0.5〜50モルとなる比率で反応させたものであり、前記第一級アミンまたは第二級アミンが脂肪族モノアミンである上記放射線硬化型組成物に関する。
式(1)
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、R〜Rは、それぞれ独立に非置換もしくは置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を示し、Rは、4価の芳香族基を示す。)
また本発明は、前記フルオロアルキルエステル系防汚剤がフルオロアルキル基、及び3つ以上のラジカル重合性二重結合を持つ数平均分子量2000〜100、000のビニル共重合体であって、該ビニル共重合体の主鎖を構成するモノマーの組成比としてフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーを1〜50重量部含むことを特徴とする上記放射線硬化型組成物に関する。
【0020】
また本発明は、前記導電性微粒子をハードコート層中に対し40〜70重量部含有し、該導電性微粒子の平均粒子経が5〜200nmであり、該導電性微粒子がアンチモン、インジウム、スズから選ばれる少なくとも一種の元素を含有する金属酸化物であり、放射線硬化後の塗膜の表面抵抗率が1.0 E+14Ω/□以下であることを特徴とする上記放射線硬化型組成物に関する。
【0021】
さらに本発明は、上記放射線硬化型組成物を放射線照射して硬化させてなる情報記録媒体に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の情報記録媒体には、導電性微粒子とフルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体を含有するハードコート層が形成されているため、該情報記録媒体の帯電による埃の堆積が少なく、液状の汚れを付着しにくい上に、付着した皮脂等の油分はシリコーン系防汚剤に比べても非常に細かくはじかれているため、レーザー光による読み取りに対する障害となりにくい。また、厳しい周辺環境下に長期間さらしても帯電防止能および撥水・撥油能の耐久性が高い。加えて、本発明はハードコート層自体の表面抵抗率および表面エネルギーが低いため、ハードコート層上に帯電防止膜などの余分な層を形成する必要がなく、生産効率上非常に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。本発明の情報記録媒体の好適例として第1図に示される光ディスクを例に挙げて説明する。第1図に示される光ディスクは片面記録型であり基板1表面上に記録層2、保護層3を順次有し、さらに保護層3上に、導電性微粒子とフルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体を含有するハードコート層4を有する。このハードコート層4の厚さは通常1〜10μmの範囲で十分である。
【0024】
本発明におけるハードコート層4を形成する組成物の放射線硬化前において、導電性金属酸化物を凝集させること無く良好な分散状態を維持するために、導電性金属酸化物およびフルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体以外のハードコート層4の構成物として 、すくなくとも(メタ)アクリレート化合物と第一級アミンまたは第二級アミンを反応させてなる化合物を含む必要がある。当該(メタ)アクリレート化合物はハードコート層の耐摩耗性を維持するために芳香族環を有し、導電性金属酸化物の良好な分散を維持するために前記アミン化合物が脂肪族モノアミンで、導電性金属酸化物の重量を100としたとき該反応生成物を1〜50重量%添加することが必要であり、さらに好ましくは、5〜50重量%、より好ましくは、15.0〜30.0重量%添加することが必要であり、さらに好ましくは18.0〜25.0重量%添加する必要がある。該反応生成物の添加量が15.0重量%未満では導電性金属酸化物の分散状態を維持できず、30.0重量%以上では導電性の低下を招く。
【0025】
前記芳香環を有するアクリレート化合物またはメタクリレート化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
式(1)
【0026】
【化3】

【0027】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、R〜Rは、それぞれ独立に非置換もしくは置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を示し、Rは、4価の芳香族基を示す。)
の4価の芳香族基としては、具体的にフェニル、ベンゾフェノン、ビフェニル、フェニルエーテル、ジフェニルスルホン、ジフェニルスルフィド、ペリレン、及びナフタレンなどが挙げられる。
【0028】
Rが芳香族基でない場合には、前記ハードコート層の耐摩耗性低下を招く。
【0029】
式(1)で表される化合物を製造するためには、まず、下記式(2)
式(2)
【0030】
【化4】



【0031】
(ここで、Rは、式(1)で定義した通り)で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物を下記式(3)
式(3)
【0032】
(化5)
CH=C(R)COOROH

(ここで、RおよびRは、式(1)で定義した通り)で示される第1のヒドロキシル基含有アクリレート化合物またはメタクリレート化合物、および下記式(4)
式(4)
【0033】
(化6)
CH=C(R)COOROH 式(4)

(ここで、RおよびRは、式(1)で定義した通り)で示される第2のヒドロキシル基含有アクリレート化合物またはメタクリレート化合物と反応させて、下記式(5)(ここで、R、R、R、RおよびRは、式(1)で定義した通り)で示される化合物を得ることができる。
式(5)
【0034】
【化7】

【0035】
式(2)で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これら芳香族テトラカルボン酸二無水物のうち、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、ビフェニル骨格を有するものであり、ビフェニル骨格を式(1)で示される化合物の分子内に効率よく導入でき、さらに硬化膜のハードコート性と金属酸化物の良好な分散性を併せ持つことができるため特に好ましい。
【0036】
第1および第2のヒドロキシル基含有アクリレート化合物またはメタクリレート化合物は、同じであっても異なっていてもよい。そのようなヒドロキシル基含有アクリレート化合物またはメタクリレート化合物の例としては、2ーヒドロキシエチルアクリレート、2ーヒドロキシエチルメタクリレート、3ーヒドロキシプロピルアクリレート、3ーヒドロキシプロピルメタクリレート、4ーヒドロキシブチルアクリレート、4ーヒドロキシブチルメタクリレート、2ーヒドロキシブチルアクリレート、2ーヒドロキシブチルメタクリレート、2ーヒドロキシー3ーフェノキシプロピルアクリレート、および2ーヒドロキシー3ーフェノキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0037】
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物と第1および第2のヒドロキシル基含有アクリレート化合物またはメタクリレート化合物との反応は、芳香族テトラカルボン酸二無水物の有する2つのカルボン酸無水物基と第1および第2のヒドロキシル基含有アクリレート化合物またはメタクリレート化合物がそれぞれ有するヒドロキシル基との反応であり、それ自体当該分野においてよく知られている。例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物と第1および第2のヒドロキシル基含有アクリレート化合物またはメタクリレート化合物とを、シクロヘキサノンのような有機溶媒中、1,8ージアザビシクロ[5.4.0]ー7ーウンデセンのような触媒の存在下、50〜120℃の温度で反応させることができる。この場合、反応系に、メトキノン(methoquinone)のような重合禁止剤を添加することができる。
【0038】
上記反応後、反応生成物である式(5)の化合物を含む反応混合物に、これを精製することなく、例えば、下記式(6)(ここで、Rは、CH=C(R)ーC(O)Oー基(ここで、Rは、上記定義の通り)であるエポキシ基含有化合物を添加し、反応させて式(1)で示される化合物を得ることができる。
式(6)
【0039】
【化8】



【0040】
式(6)で示される化合物の例には、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートのようなエポキシ基含有(メタ)アクリレート、oーフェニルフェノールグリシジルエーテル、pーフェニルフェノールグリシジルエーテル、モノスチレン化フェノールグリシジルエーテル、4ーシアノー4ーヒドロキシビフェニルグリシジルエーテル、4,4’ービフェノールモノグリシジルエーテル、4,4’ービフェノールジグリシジルエーテルのような芳香族グリシジルエーテル化合物等が含まれる。
【0041】
式(5)で示される化合物と式(6)で示される化合物との反応は、式(5)で示される化合物の有するカルボキシル基と式(6)で示される化合物の有するエポキシ基との反応であり、それ自体当該分野においてよく知られている。例えば、この反応は、ジメチルベンジルアミン等のようなアミン触媒の存在下、50〜120℃の温度で行なうことができる。
【0042】
これらの反応は、無溶媒で行なってもよく、あるいは反応に対して不活性溶媒中で行なってもよい。かかる溶媒としては、例えば、nーヘキサン、ベンゼンまたはトルエン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2ージクロロエタンまたはパークレン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、N,Nージメチルホルムアミド、N,Nージメチルアセトアミド、N,Nージメチルイミダゾリジノン等の極性溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は2種類以上を併用しても差し支えない。
【0043】
芳香環を有するアクリレート化合物またはメタクリレート化合物としては、市販の化合物を使用することも可能であり、例えば、共栄社化学製のUAー306H、UAー306T、UAー306Iなどが挙げられる。
【0044】
アミノ基含有光硬化性化合物を構成する第一級アミンまたは第二級アミンは、一分子中に第一級アミノ基または第二級アミノ基を少なくとも1個有するアミン化合物であり、剛直性の少ない脂肪族アミンがより好ましい。さらに、分子内に第一級アミノ基または第二級アミノ基を2個以上有するアミン化合物を用いた場合、アミン化合物1分子に対して複数のアクリレート化合物またはメタクリレート化合物が複雑に反応するため、反応物は高分子量化しゲル化しやすい問題を有する。そのため、アクリレート化合物またはメタクリレート化合物に対するアミン化合物の添加量を低減させたり、反応条件などを制御することにより汎用性のあるアミノ基含有光硬化性化合物を得ることが可能となる。
また、アミン化合物は、アクリレート化合物またはメタクリレート化合物と反応しないアミノ基以外の他の極性官能基を有しても良い。このような極性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、シアノ基、ニトロキシル基などが挙げられる。
【0045】
アミノ基含有光硬化性化合物を構成する第一級アミンのうち、モノアミンとしては、アミノメタン、アミノエタン、1ーアミノプロパン、2ーアミノプロパン、1ーアミノブタン、2ーアミノブタン、1ーアミノペンタン、2ーアミノペンタン、3ーアミノペンタン、イソアミルアミン、1ーアミノヘキサン、1ーアミノヘプタン、2ーアミノヘプタン、2ーオクチルアミン、1ーアミノノナン、1ーアミノデカン、1ーアミノドデカン、1ーアミノトリデカン、1ーアミノヘキサデカン、ステアリルアミン、アミノシクロプロパン、アミノシクロブタン、アミノシクロペンタン、アミノシクロヘキサン、アミノシクロドデカン、1ーアミノー2ーエチルヘキサン、1ーアミノー2ーメチルプロパン、2ーアミノー2ーメチルプロパン、3ーアミノー1ープロペン、3ーアミノメチルヘプタン、3ーイソプロポキシプロピルアミン、3ーブトキシプロピルアミン、3ーイソブトキシプロピルアミン、2ーエチルヘキシロキシプロピルアミン、3ーデシロキシプロピルアミン、3ーラウリロキシプロピルアミン、3ーミリスチロキシプロピルアミン、2ーアミノメチルテトラヒドロフラン、アニリン、oーアミノトルエン、mーアミノトルエン、pーアミノトルエン、oーベンジルアニリン、pーベンジルアニリン、1ーアニリノナフタレン、1ーアミノアントラキノン、2ーアミノアントラキノン、1ーアミノアントラセン、2ーアミノアントラセン、5ーアミノイソキノリン、oーアミノジフェニル、4ーアミノジフェニルエーテル、2ーアミノベンゾフェノン、4ーアミノベンゾフェノン、oーアミノアセトフェノン、mーアミノアセトフェノン、pーアミノアセトフェノン、ベンジルアミン、αーフェニルエチルアミン、フェネシルアミン、pーメトキシフェネシルアミン、pーアミノアゾベンゼン、mーアミノフェノール、pーアミノフェノール、アリルアミン等が挙げられる。
【0046】
また、アミノ基含有光硬化性化合物を構成する第二級アミンのうち、モノアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、Nーメチルエチルアミン、Nーメチルイソプロピルアミン、Nーメチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジnープロピルアミン、ジnーブチルアミン、ジsecーブチルアミン、Nーエチルイソアミルアミン、Nーエチルー1,2ージメチルプロピルアミン、ピペリジン、2ーピペコリン、3ーピペコリン、4ーピペコリン、2,4ールペチジン、2,6ールペチジン、3,5ールペチジン、3ーピペリジンメタノール、ピペコリニックアシッド、イソニペコチックアシッド、メチルイソニペコテート、エチルイソニペコテート、2ーピペリジンエタノール、4ーピペリジンエタノール、4ーピペリジンブチリックアシッド塩酸塩、4ーピペリジノール、ピロリジン、3ーピロリジノール、インドリン、Nーブチルアニリン、Nーメチルベンジルアミン、3ーベンジルアミノプロピオニックアシッドエチルエーテル、4ーベンジルピペリジン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0047】
さらに、アミノ基含有光硬化性化合物を構成する第一級アミンおよび第二級アミンのうち、分子内にアミノ基を複数有するアミン化合物の例としては、3ーアミノピロリジン、ジメチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N,Nージイソプロピルアミノエチルアミン、1,2ージアミノプロパン、1,3ージアミノプロパン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、2ーヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ビスー(3ーアミノプロピル)エーテル、ジメチルアミノエトキシプロピルアミン、1,2ービスー(3ーアミノプロポキシ)エタン、1,3ービスー(3ーアミノプロポキシ)ー2,2ージメチルプロパン、1,2ージアミノブタン、1,4ージアミノブタン、ラウリルアミノプロピルアミン、ジエタノールアミノプロピルアミン、Nーアミノエチルピペリジン、Nーアミノエチル4ーピペコリン、Nーアミノプロピルピペリジン、Nーアミノプロピルー2ーピペコリン、Nーアミノプロピルー4ーピペコリン、Nーアミノエチルモルフォリン、Nーアミノプロピルモルフォリン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、4ーピペリジンカルボキシアミド、4ーアミノメチルー1ーブチルピペリジン、4ーアミノメチルピペリジン、1,3ージー(4ーピペリジル)ープロパン、4ーピペリジノピペリジン、Nーアミノプロピルアニリン、3ーアミノピロリジン、Nーメチルピペラジン、Nーエチルピペラジン、Nーアリルピペラジン、Nーイソブチルピペラジン、Nーアミノプロピルピペラジン、1ーシクロペンチルピペラジン、Nーフェニルピペラジン、1ー(2ーピリジル)ピペラジン、1ー(4ーピリジル)ピペラジン、ホモピペラジン、Nーメチルホモピペラジン等が挙げられる。
【0048】
上記に示すアミン化合物は、一種類または二種類以上を併用して用いてもよい。
【0049】
なかでも、第二級アミノ基のみを有する脂肪族モノアミンは、分散性も良好であり、かつマイケル付加反応が一段階で終了し反応による着色が少ないため好ましい。第二級アミノ基のみを有する脂肪族モノアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、Nーメチルエチルアミン、Nーメチルイソプロピルアミン、Nーメチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジnープロピルアミン、ジnーブチルアミン、ジsecーブチルアミン、Nーエチルー1,2ージメチルプロピルアミン、ピペリジン、2ーピペコリン、3ーピペコリン、4ーピペコリン、2,4ールペチジン、2,6ールペチジン、3,5ールペチジン、3ーピペリジンメタノール、2ーピペリジンエタノール、4ーピペリジンエタノール、4ーピペリジノール、ピロリジン、3ーアミノピロリジン、3ーピロリジノール等が挙げられる。特に、ジメチルアミン、ジエチルアミン、Nーメチルエチルアミン、Nーメチルイソプロピルアミン、Nーメチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジnープロピルアミン、ジnーブチルアミンは、分散性と分散安定性がより良好であることから好ましい。
【0050】
アクリレート化合物またはメタクリレート化合物と第一級アミンまたは第二級アミンとは、前記アクリレート化合物またはメタクリレート化合物中のエチレン性不飽和二重結合100モルに対して、第一級アミンまたは第二級アミンが0.5〜50モルとなる比率で反応させることが好ましく、1.0〜30モルとなる比率で反応させることがより好ましい。
【0051】
第一級アミンまたは第二級アミンの反応比率が0.5モル未満の場合、得られるアミノ基含有光硬化性化合物中のアミノ基の比率が小さいため良好な顔料分散性が得られにくくなり、その硬化膜の透明性が悪化しやすくなる。また、50モルを超える場合、得られるアミノ基含有光硬化性化合物中のアミノ基の比率が非常に大きくなるため良好な顔料分散性は得られるが、一方でエチレン性不飽和二重結合の比率が低くなるため、塗膜作成時の光硬化性が乏しくなり、その硬化膜のハードコート性も低下しやすくなる。
【0052】
アミノ基含有光硬化性化合物は、前記アクリレート化合物またはメタクリレート化合物と前記第一級アミンまたは第二級アミンとを、二成分が溶解可能な溶剤中において反応させてなるものであり、第一級アミンまたは第二級アミン中のアミノ基がアクリレート化合物またはメタクリレート化合物中のエチレン性不飽和二重結合にマイケル付加することにより、分子の末端にアミノ基を導入したアミノ基含有光硬化性化合物である。反応温度に関しては、室温下でも速やかに反応が進むものであり、10〜110℃が好ましく、20〜80℃がより好ましい。反応温度が10℃未満の場合、原料となるアクリレート化合物またはメタクリレート化合物、または反応物であるアミノ基含有光硬化性化合物の溶解性が低下することで析出しやすく、反応速度が低下し反応時間が長時間化することで生産性が落ちるなどの問題が生じ易い。また、反応温度が110℃を超えた場合、反応物が着色するため、その着色したアミノ基含有光硬化性化合物を用いた硬化性組成物、およびその硬化膜の色目に影響を及ぼすことになる。
【0053】
前記アクリレート化合物またはメタクリレート化合物と前記第一級アミンまたは第二級アミンとを反応させる際に用いる溶剤に関しては、原料となるアクリレート化合物またはメタクリレート化合物、および第一級アミンまたは第二級アミンが溶剤と反応しないものであれば特に限定するものではない。溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、ブタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチルなどが挙げられる。
【0054】
本発明の情報記録媒体に用いるフルオロアルキルエステル系防汚剤は、フルアオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体であって、該フルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体は、1つ以上のフルオロアルキル基、及び3つ以上のラジカル重合性二重結合を持つ数平均分子量2000〜100、000であり、例えば、ラジカル重合性二重結合とフルオロアルキル基を有する単量体(a)と、ラジカル重合性二重結合を有する反応性官能基を有するラジカル重合性単量体(b)、さらに必要に応じて(a)、(b)以外のラジカル重合性二重結合を有する単量体(c)をラジカル重合させて重合体(A)を得た後、前記反応性官能基と反応可能な官能基およびラジカル重合性二重結合を有する化合物を反応させることにより得られる。
【0055】
また、1つ以上のフルオロアルキル基、及び3つ以上のラジカル重合性二重結合を持つ数平均分子量2000〜100、000のビニル共重合体は、前記単量体(a)と、ラジカル重合性二重結合を2つ以上有する単量体(c‘)と、必要に応じて前記単量体(c)とを重合させて得ることもできる。単量体(c‘)が少量の場合、ゲル化することなく所期のビニル共重合体を得ることができる。また、単量体(c‘)の一部または全部を、ラジカル重合性二重結合の一部をブロック基を付加させて保護することにより、よりゲル化しにくくすることもできる。
【0056】
本発明で用いられるラジカル重合性二重結合およびフルオロアルキル基を有する単量体(a)は、例えば、含フッ素単量体の例として、2,2,2ートリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3ーペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2ー(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3ー(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2ー(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2ー(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2ー(パーフルオロー3ーメチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2ー(パーフルオロー5ーメチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2ー(パーフルオロー7ーメチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H、1H、3Hーテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H、1H、5H、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H、1H、7Hードデカフルオロヘプチル、1H、1H、9Hーヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1Hー1ー(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H、1H、3Hーヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、等の炭素数1〜20のフルオロアルキル基を有するフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のオレフィン類が挙げられ、要求性能に応じてこれらの中から1種類、あるいは2種類以上を混合して使用できる。
【0057】
重合体(A)における単量体(a)の共重合比率は、重合体を構成する単量体の総重量を基準として1〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜50重量%、より好ましくは、15〜30重量%である。単量体(a)の共重合比率が1重量%未満の場合には、硬化物の上部表面に撥水性、撥油性を付与することが困難となり、50重量%を越える場合には、放射線硬化型組成物に含まれる他の成分との相溶性、基材との密着性、強靭性等の塗膜性能、及び重合体の溶媒への溶解性を得ることが困難となる。特に30重量%を超える場合には、スピンコート方式でのハードコート層形成が困難となる。
【0058】
前記ラジカル重合性二重結合および反応性官能基を有する(a)以外の単量体(b)は、一段目に重合した重合体(A)にラジカル重合性二重結合を導入する起点となり、導入されたラジカル重合性二重結合が活性エネルギー線で架橋させてセットすることにより、ビニル重合体のブリードを抑制し、強靭な隔壁を形成させるためのものである。
反応性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられる。
【0059】
前記ヒドロキシ基を有する単量体(b)として具体的には、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4ーヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0060】
前記カルボキシル基を有する単量体(b)として具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
イソシアネート基を有する単量体(b)として具体的には、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート等や、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4ーヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートとを反応させて得られるものが挙げられる。
【0061】
前記エポキシ基を有する単量体(b)として具体的には、グリシジルメタクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ビニルシクロヘキサンモノエポキサイド、1、3ーブタジエンモノエポキサイドなどが挙げられる。
【0062】
単量体(b)は、要求性能に応じて1種、または2種以上を混合して用いることができる。
【0063】
前記重合体(A)における単量体(b)の共重合比率は、重合体を構成する単量体の総重量を基準として10〜95重量%であることが好ましく、特に好ましくは40〜85重量%である。単量体(b)の共重合比率が10重量%未満の場合には、放射線硬化物が十分な耐摩耗性、塗膜硬度を得ることが困難となり、95重量%を越える場合には、フルオロアルキル基を有する単量体の共重合比率が下がり、表面移行しづらくなり汚れが付着しやすくなってしまう。
【0064】
前記(a)および(b)以外のラジカル重合性二重結合を有する単量体(c)は、ビニル重合体と放射線硬化型組成物に含まれる他の成分との相溶性の向上、および硬化物に硬度、強靭性、耐摩耗性等の物性を付与するために用いられる。単量体(c)としては、(i)(メタ)アクリル酸誘導体、(ii)芳香族ビニル単量体、(iii)オレフィン系炭化水素単量体、(iv)ビニルエステル単量体、(v)ビニルハライド単量体、(vi)ビニルエーテル単量体等が挙げられる。
【0065】
(i)(メタ)アクリル酸誘導体として具体的には、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0066】
(ii)芳香族ビニル単量体として具体的には、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、モノフルオロメチルスチレン、ジフルオロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン等のスチレン類が挙げられる。
【0067】
(iii)オレフィン系炭化水素単量体として具体的には、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、1、4ーペンタジエン等が挙げられる。
【0068】
(iv)ビニルエステル単量体として具体的には、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0069】
(v)ビニルハライド単量体として具体的には、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
【0070】
(vi)ビニルエーテル単量体として具体的には、ビニルメチルエーテル等が挙げられる。
【0071】
これらの単量体は、2種以上を混合して用いても良い。
【0072】
重合体(A)における単量体(c)の共重合比率は、重合体を構成する単量体の総重量を基準として0〜89重量%であることが好ましい。単量体(c)の共重合比率が上記範囲を超えた場合には、基材との充分な密着性が得られない。
【0073】
前記重合体(A)は、公知の方法、例えば、溶液重合で合成することができる。重合時の溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエチル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。溶媒は、2種以上を混合して用いてもよい。重合時の単量体の仕込み濃度は、0〜80重量%が好ましい。
【0074】
前記重合開始剤としては、通常の過酸化物またはアゾ化合物、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチルバレノニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジーtーブチルペルオキシド、tーブチルペルベンゾエート、tーブチルペルオクトエート、クメンヒドロキシペルオキシドなどが用いられ、重合温度は、好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは70〜140℃である。
【0075】
得られる重合体(A)の好ましい重量平均分子量は、5000〜100000である。
【0076】
このようにして得られた反応性官能基およびポリオルガノシロキサン鎖を有する重合体(A)に、前記反応性官能基と反応可能な官能基およびラジカル重合性二重結合を有する化合物(B)を反応させることにより、ラジカル重合性二重結合およびポリオルガノシロキサン鎖を有するビニル重合体が得られる。
【0077】
重合体(A)と化合物(B)とは、重合体(A)が有する反応性官能基の数に対し、該反応性官能基と反応可能な官能基の数が100%となる割合で反応させることが好ましい。もちろん、光反応性を損なわない範囲であれば100%未満となる割合で反応させても良い。
【0078】
前記重合体(A)の反応性官能基と、該反応性官能基と反応可能な官能基との組み合わせとしては、以下に示すような公知の種々の組み合わせと反応方法を採用することができる。
【0079】
1)反応性官能基がヒドロキシ基である場合、代表的な反応可能な官能基は、酸ハロゲン基、イソシアネート基が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸クロライドあるいはメタクリロキシエチルイソシアネートとの反応により、ラジカル重合性二重結合を導入できる。
【0080】
(メタ)アクリル酸クロライドとの反応は、フルオロアルキル基及びヒドロキシル基を有するポリマーの溶液に触媒を添加し、(メタ)アクリル酸クロライドを加え加熱することにより進められる。溶媒としては、2ーブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキソラン等のエーテル溶液を用いることができる。触媒としてはトリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン等が好ましく、触媒量は固形分に対し0.1〜1重量%である。反応はゲル化抑制のため空気下で行い、反応温度は80〜120℃で反応時間は1〜24時間である。
【0081】
前記メタクリロキシエチルイソシアネートとの反応は、フルオロアルキル基及びヒドロキシル基を有するポリマーの溶液に触媒としてオクチル酸スズ、ジブチルジラウリン酸錫、オクチル酸亜鉛等の金属化合物、あるいはトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等の3級アミンを0.05〜1PHR(Per Hundred Resin)触媒として添加し、加熱下メタクリロキシエチルメタクリレートを加えることにより進められる。溶媒としては、2ーブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキソラン等のエーテル溶液を用いることができる。
【0082】
2)反応性官能基がエポキシ基である場合、代表的な反応可能な官能基は、カルボキシル基が挙げられ、具体的には(メタ)アクリル酸との反応により、ラジカル重合性二重結合を導入できる。
(メタ)アクリル酸との反応は、フルオロアルキル基及びヒドロキシル基を有するポリマーの溶液に触媒を添加し、(メタ)アクリル酸を添加して加熱することにより進められる。反応条件としては、上記、1)反応性官能基がヒドロキシ基である場合と同様の条件が勧められるが、触媒としては、3級アミンが最も好ましい。
カルボキシル基とラジカル重合性二重結合を持つ化合物としては、(メタ)アクリル酸の他に、ペンタエリスリトールトリアクリレート無水コハク酸付加物、(メタ)アクリロキシエチルフタレートが挙げられる。
【0083】
3)反応性官能基がイソシアノ基である場合、代表的な反応可能な官能基は水酸基が挙げられ、具体的にはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのεーカプロラクトン付加物等が挙げられ、反応条件としては、上記、1)反応性官能基がヒドロキシ基である場合と同様の条件が好ましい。
【0084】
本発明の1つのフルオロアルキル基、及び3つ以上のラジカル重合性二重結合を持つ数平均分子量5000〜100,000のビニル共重合体は、放射線硬化型組成物が基材に塗布された時に表面に濃縮される性質があるため、単量体(a)の量が少なくても十分な防汚性を発現することができ、本発明の放射線硬化型組成物の不揮発分重量全体を基準として、フルオロアルキル基を有する単量体(a)の含有量が0.01〜15重量%とすることができる。
【0085】
しかし、本発明の情報記録媒体のハードコート層4の表面における防汚性を得るには、本発明のハードコート層に用いられる放射線硬化型組成物の不揮発分重量全体を基準として、フルオロアルキル基を有する単量体(a)の含有量が0.3重量%以上とすることが好ましい。
【0086】
本発明の情報記録媒体におけるハードコート層4を構成する性組成物に含有される導電性金属酸化物は、平均粒子径が5〜200nmの金属酸化物である。平均粒子径が5nm未満の金属酸化物の場合、微粒子同士の凝集力が非常に大きいことから透明性の高い微粒子レベルの分散をさせることが非常に困難である。また、平均粒子径が200nmを超える金属酸化物の場合、微粒子レベルで分散させることは容易になるが、粒子径が大きいことから可視光などの光に対して散乱が生じ易く硬化膜の透明性を悪化させるとともに、十分な導電性が得られない。
【0087】
本発明の情報記録媒体におけるハードコート層4の表面抵抗率は1.0 E+14Ω/□以下であることが好ましく、そのような表面抵抗率を得るためには、前記ハードコート層中の導電性粒子の含有量が40〜70重量%の範囲であることが望ましい。含有量が40重量%以下では十分な導電性が得られず、70重量%以上では耐摩耗性の低下を招く。
【0088】
導電性金属酸化物としては、各種導電性金属(複合)酸化物が使用できるが、アンチモン、インジウム、スズから選ばれる少なくとも一種の元素を含有する金属酸化物微粒子が好ましい。さらに具体的には、五酸化アンチモン、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、リンドープ酸化スズ(PTO)、アンチモン酸亜鉛(AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、酸化スズ、ATO被覆酸化チタン、アルミニウムドープ酸化亜鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物は、2種類以上を併用しても差し支えない。
【0089】
金属酸化物の市販品としては、日産化学工業製:サンエポックEFRー6N(五酸化アンチモン)、サンエポックEFRー6NP(五酸化アンチモン)、サンエポックEFRー6NX(五酸化アンチモン)、石原産業製:SNー100P(ATO)、FSー10P(ATO)、SNー102P(ATO)、FSー12P(ATO)、ETー300W(ATO被覆酸化チタン)、TTOーFー1(鉄含有酸化チタン)、TTOーFー2(鉄含有酸化チタン)、TTOーFー3(鉄含有酸化チタン)、TTOーFー11(鉄含有酸化チタン)、三菱マテリアル製:Tー1(ITO)、Sー1200(酸化スズ)、三井金属製:パストラン(ITO、ATO)、シーアイ化成製:ナノテックITO、ナノテックSnO、触媒化成製:TLー20(ATO)、TLー30(ATO)、TLー30S(PTO)、TLー120(ITO)、TLー130(ITO)、ハクスイテック製:PazetCK(アルミニウムドープ酸化亜鉛)等が挙げられる。
【0090】
導電性金属酸化物およびフルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体以外のハードコート層4の構成物としては、種々の有機系の物質、特に、放射線硬化型化合物によって構成される。このような物質としては、ビス(2ーアクリロキシエチル)ーヒドロキシエチルーイソシアヌレート、1,6ーヘキサンジオールジアクリレート、1,4ーブタンジオールジアクリレート、1,9ーノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ウレタンアクリレートなどの2官能性単量体;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンアクリレート、多価アルコールと多塩基酸及び(メタ)アクリル酸とから合成されるエステル化合物、例えばトリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸=2/1/4モルから合成されるエステル化合物等の3官能以上の多官能単量体等が挙げられる。塗膜にハードコート性を持たせるためには、3官能以上の多官能アクリレートを使用することが望ましく、また、複数の放射線硬化型化合物を組み合わせて用いることができる。特に、本発明の情報記録媒体におけるハードコート層4の耐磨耗性を、JISーK7204のテーハ゛ー磨耗試験において500gの荷重で100回転の条件下、ポリカーボネートを基板とした試験で、JISーK7136のヘイズ測定値の試験前後の差が12以下とするためには、4官能以上の多官能アクリレートを使用することが好ましい。
【0091】
本発明におけるハードコート用放射線硬化組成物は放射線照射、特に紫外線照射により硬化されるため、重合用組成物中には光重合開始剤が含有されることが望ましい。用いる重合開始剤は、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の一般的な化合物を単独または複数の組合せによって使用することができ、通常0.5〜7重量%の添加範囲で用いる。
【0092】
ハードコート層4の形成方法は、例えば下記のように行うことができる。まず、前記したハードコート層形成用組成物の塗膜を保護層3上に形成する。塗膜の形成方法に特に制限はなく、通常、スピンコート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等、種々の公知の方法を組み合わせて形成すればよい。この際の塗布条件は、重合用組成物の粘度、目的とする塗膜厚さなどを考慮して適宜決定する。そのため必要に応じてハードコート層形成用組成物は有機溶剤で希釈して用いることができる。次いで、必要に応じて塗膜を60〜90℃で加熱し、その後紫外線を照射して塗膜を硬化する。また、紫外線の変わりに電子線を照射しても良い。
【実施例】
【0093】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の実施例では特定の情報記録媒体を限定せず、ポリカーボネート基板に直接ハードコート層を形成し評価した。
【0094】
表1記載の実施例1および比較例1〜3のハードコート層組成物は、ハードコート層組成物の全重量を100重量%として、帯電防止剤として5酸化アンチモンを65重量%、防汚剤(A)を6.5重量%、光開始剤として1ーヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルケトンを4重量%、(メタ)アクリレート化合物と第一級アミンまたは第二級アミンを反応させてなる化合物(C)を帯電防止剤の重量を100として表1記載の比率で含有し、化合物(C)のRにビフェニル構造を持ち、残りの組成はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとウレタンアクリレートUー15HA(新中村化学製)の比率を4対1としたハードコート層組成物を有機溶剤中で調製して得た。なお、防汚剤としては2ーパーフルオロアルキルエチルアクリレート(ユニマテック株式会社製「CHEMINOX FAACー8」)15部、グリシジルメタクリレート70部、ブチルメタクリレート15部とアクリル酸35部によって合成して得たフルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体を用いた。
【0095】
表2記載の実施例1, 2および比較例4のハードコート層組成物は、ハードコート層組成物の全重量を100重量%として、帯電防止剤として5酸化アンチモンを65重量%、防汚剤(A)を6.5重量%、光開始剤として1ーヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルケトンを4重量%、(メタ)アクリレート化合物と第一級アミンまたは第二級アミンを反応させてなる化合物(C)を帯電防止剤の重量を100として25重量%の比率で含有し、化合物(C)のRに表2記載の構造を持ち、残りの組成はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとウレタンアクリレートUー15HA(新中村化学製)の比率を4対1としたハードコート層組成物を有機溶剤中で調製して得た。なお、防汚剤としては2ーパーフルオロアルキルエチルアクリレート(ユニマテック株式会社製「CHEMINOX FAACー8」)15部、グリシジルメタクリレート70部、ブチルメタクリレート15部とアクリル酸35部によって合成して得たフルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体を用いた。
【0096】
表3記載の実施例1および比較例5および6のハードコート層組成物は、帯電防止剤として5酸化アンチモンを使用し、ハードコート層組成物の全重量を100重量%として、実施例1は65重量%、比較例5は75重量%、比較例6は35重量%の帯電防止剤を含み、防汚剤を6.5重量%、(メタ)アクリレート化合物と第一級アミンまたは第二級アミンを反応させてなる化合物を帯電防止剤の重量を100として20重量部、光開始剤として1ーヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルケトンを4重量%、残りの組成はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとウレタンアクリレートUー15HA(新中村化学製)の比率を4対1としハードコート層組成物を有機溶剤中で調製して得た。
なお、防汚剤としては2ーパーフルオロアルキルエチルアクリレート(ユニマテック株式会社製「CHEMINOX FAACー8」)15部、グリシジルメタクリレート70部、ブチルメタクリレート15部とアクリル酸35部によって合成して得たフルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体を用いた。
【0097】
表4記載の帯電防止剤をハードコート層組成物の全重量を100重量%として65重量%、実施例1,3および比較例8,10においてはアミノ基含有放射線硬化性化合物(C) (Rにビフェニル構造を有する)を15重量%含み、実施例1および比較例7の防汚剤(A)は6.5重量%、実施例3の防汚剤(A)は10重量%、比較例8, 9の防汚剤(B)は10重量%、光開始剤として1ーヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルケトンを4重量%、残りの組成はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとウレタンアクリレートUー15HA(新中村化学製)の比率を4対1としハードコート層組成物を有機溶剤中で調製して得た。
【0098】
なお、帯電防止剤としては導電性金属酸化物として5酸化アンチモン(表4中Sb2O5と表記)を、導電性ポリマーとしてエレコンドPQー10(総研化学製 表4中PQー10と表記)を用いた。防汚剤(A)としては2ーパーフルオロアルキルエチルアクリレート(ユニマテック株式会社製「CHEMINOX FAACー8」)15部、グリシジルメタクリレート70部、ブチルメタクリレート15部とアクリル酸35部によって合成して得たフルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体を、防汚剤(B)としてはシリコーン変性ウレタンアクリレートXRSー10320 (BOMAR Specialties社製)を用いた。
【0099】
前記組成物をポリカーボネート基板上に厚さ約2ミクロンとなるようスピンコーターにより塗工した後、80℃にて3分間保持することによって希釈溶剤を揮発させ、120W/cmのメタルハライドランプにより、EIT社製UV光量計UV POWER PUCKによる測定で波長域315ー380nmの積算光量が1000mJ/cm2となる条件で硬化し、ハードコート層を有する基板を得た。
【0100】
ハードコート層を有する基板の物性評価は、JISーK6911による測定方法で測定した表面抵抗率、耐磨耗性の評価としてJISーK7204にあるテーハ゛ー磨耗試験を、テーバー社製磨耗輪CSー10F Type IVを用い、500gの荷重で100回転で試験した前後に測定したJISーK7136のヘイズ測定値の差、環境試験(80℃85%RH100時間保存)実施前後において、ハードコート層を有する表面の外観比較、協和界面科学(株)製接触角計にて測定した水およびトリオレイン接触角の比較によって行った。硬化前有機溶剤希釈組成物の保存安定性は、希釈した組成物を40℃で保存し、その粘度変化を測定した。
【0101】
また、表中の評価表記方法としては、硬化前有機溶剤希釈組成物の保存安定性は、粘度変化が3センチポイズ未満を良好、3センチポイズ以上の粘度変化で増粘と記した。耐摩耗性評価では前記ヘイズ値の差が12以内のものを良好、それを超えるものを不良とした。表面抵抗率の評価は1.0 E+14Ω/□以下の時良好とし、これを超えるものを不良とした。また、塗膜外観に問題ないものを透明とし塗膜表面に細孔のような欠陥が認められたものについて欠陥と記した。その他の物性評価において塗膜外観が環境試験後に変化したものについて測定を行っていない場合には「ー」の表記を行った。
【0102】
【表1】


a) 化合物(C)を含まないサンプルでは導電性金属酸化物を分散できなかった

【0103】
【表2】

【0104】
【表3】

【0105】
【表4】


表1に見られるように、比較例3のようにアミノ基含有放射線硬化性化合物を含まない場合には、導電性金属酸化物の安定した分散ができず、塗液の調製そのものが不可能である。また、比較例2のようにアミノ基含有放射線化合物の添加量が少ない場合にも導電性金属酸化物の安定した分散状態を維持できないため、塗液の増粘を導くことが分かる。更に、比較例1ではアミノ基含有放射線化合物の添加量が多く、導電性の低下を招く。また、表2から、アミノ基含有放射線化合物の式(1)でRで示される構造が芳香族環を持つことが好ましいことが分かる。表3からは、導電性微粒子の添加量が40重量%未満、あるいは70重量%より多い場合、導電性と耐擦傷性を両立できないことが分かる。表4からは、導電性高分子やシリコーン系防汚剤を使用した場合に比べ、本発明の組成物では良好な導電性と、優れた防汚性(撥水・撥油性)が周辺環境によらず発現し得ることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の情報記録媒体は、そのハードコート層によって優れた耐摩耗性、低帯電性(低い表面抵抗率)、防汚性(撥水・撥油性)を同時に付与され、それらの特性は厳しい保存環境に長期間さらされた場合にも失われることなく、外観上の変化も生じないので、長期にわたって埃などの汚れを付着させにくく、付着した汚れの除去が容易で、汚れの除去や物理的衝撃による傷がつきにくい。さらに、該ハードコート層を形成する組成物を含む塗料も良好な安定性を有しながら、複数の機能を1層のハードコート層が担うため情報記録媒体の生産効率向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図に示される光ディスクは、片面記録型であり、基板1表面上に記録層2、 保護層3を順次有し、さらに保護層3上に、導電性粒子とフルオロアルキル基を持つ放射線硬化型ビニル共重合体を含有するハードコート層4を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すくなくともフルオロアルキルエステル系防汚剤、導電性微粒子、および未反応のエチレン性不飽和二重結合を有するアミノ基含有放射線硬化性化合物を含むことを特徴とする、情報記録媒体表面に形成されるハードコート層に用いられる放射線硬化型組成物。
【請求項2】
前記アミノ基含有放射線硬化性化合物が、下記一般式(1)で表される化合物と第一級アミンまたは第二級アミンとを、前記アクリレート化合物またはメタクリレート化合物中のエチレン性不飽和二重結合100モルに対して、前記アミンが0.5〜50モルとなる比率で反応させたものであり、前記第一級アミンまたは第二級アミンが脂肪族モノアミンである請求項1記載の放射線硬化型組成物。
式(1)
【化1】


(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、R〜Rは、それぞれ独立に非置換もしくは置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を示し、Rは、4価の芳香族基を示す。)
【請求項3】
前記フルオロアルキルエステル系防汚剤がフルオロアルキル基、及び3つ以上のラジカル重合性二重結合を持ち、数平均分子量2000〜100000のビニル共重合体であって、該ビニル共重合体の主鎖を構成するモノマーの組成比としてフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマー1〜50重量部含むことを特徴とする請求項1または2いずれか記載の放射線硬化型組成物。
【請求項4】
前記導電性微粒子をハードコート層中に対し40〜70重量部含有し、該導電性微粒子の平均粒子経が5〜200nmであり、該導電性微粒子がアンチモン、インジウム、スズから選ばれる少なくとも一種の元素を含有する金属酸化物であり、放射線硬化後の塗膜の表面抵抗率が1.0 E+14Ω/□以下であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の放射線硬化型組成物。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか記載の放射線硬化型組成物を放射線照射して硬化させてなる情報記録媒体。

【図1】
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【公開番号】特開2008−152881(P2008−152881A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342005(P2006−342005)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】