説明

情報記録媒体

【目的】 目視による判別が付かず、しかるべき手段を用いた場合にのみ判読可能で、しかも情報記録媒体の一つ一つに個別で、しかも書き換え可能で常に更新できる偽造防止のための「真偽判別情報」を保持した、高いセキュリィティーの情報記録媒体を得る。
【構成】 支持体上に、(1)電子受容性化合物及び、該電子受容性化合物との反応により近赤外部に吸収をもつ電子供与性染料前駆体を含有する可逆感熱発色層と(2)近赤外線領域では透明であって可視光領域では不透明である隠蔽層を順次積層してなる情報記録媒体において、該電子受容性化合物が、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる化合物であることを特徴とする情報記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプリペイドカード、キヤッシュカード、クレジットカード、馬券等の各種投票券、切符や定期券等の通行券、各種チケットのように価値情報を保持した情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明の情報記録媒体は、プリペイドカード、キヤッシュカード、クレジットカード、馬券等の各種投票券、切符や定期券等の通行券、各種チケットのような情報記録媒体として使用することが出来るが、一般的にこれら情報記録媒体は、金額や有効期限といったその情報記録媒体が担う価値そのものに関した情報を保持している。以後この情報を「価値情報」と呼ぶ。また、これら情報記録媒体の不正使用を防止する目的で与えられる情報を保持している場合がある。以後この情報を「真偽判定情報」と呼ぶ。さらに、これら情報記録媒体は、顧客へのサービスや販売促進の目的のために、宣伝情報や占い等の企画の為の情報を保持していてもかまわない。以後この情報を「付属情報」と呼ぶ。
【0003】近年のように各種カード類等の著しい普及に伴い、種々の偽造や改ざん、不正使用の危険性が考えられ、それに対応した常に新しい不正防止技術が求められている。言い替えれば、偽造および変造困難な高いセキュリィティーの「真偽判定情報」が望まれている。
【0004】このため証券、乗車券、定期券、馬券、プリペイドカードなどの偽造や改ざんを防止するための種々の方法が提案されている。それらの内、磁気的な方法として基材に磁気記録層を設け、情報を記録する際に、記録密度や信号の符号化方式を変更し、一般の装置では読み書き出来ないようにする方法、また磁気記録層の上に磁気シールド層を設ける方法等がある。これらの方法は主に情報記録媒体の保持する価値情報が不正に読みとられたり書き換えられるのを防ぐことを目的にしている。
【0005】一方、情報記録媒体の偽造防止としては、その情報記録媒体が正規のものであるかを判定するための「真偽判定情報」を情報記録媒体に与えるということも考えられる。これらの方法の内、視覚を利用した方法として、光の干渉を利用して、光を当てると立体像が浮かび上がるホログラムを利用した方法、蛍光インキを使って目に見えないようにパターン印刷し、紫外線を当てると蛍光を発し、パターンが目視で確認できるような隠し文字印刷を施す方法等がある。さらに特開昭59−38099号公報、特開昭61−297192号公報、特開昭64−87395号公報等には、可視光領域以外の波長の光に対する吸光係数、および反射率の違いを利用して、不可視の情報を形成する方法に付いて述べられている。また、特開昭59−44082号公報、特開平2−6193号公報 、特開平3−231394号公報には、サーモクロミック材料による偽造防止用情報を利用する方法が示されている。また磁気的な方法としては、磁気バーコード等を設けて情報記録媒体に固有の情報を与えるといった方法も報告されている。例えば、特開平1−269227号公報、特開平2−98498号公報、特開平3−252901号公報には、磁性層中のしかるべき位置に保磁力の違う部位が存在し、それらのパターンを利用した偽造防止用情報が示されている。
【0006】しかしながらこれらの方法では、情報記録媒体上に形成される「真偽判定情報」は、製造上の煩雑さから特定の限られたパターンに制約されてしまうといった問題点を含んでいる。つまりこれらの方法の持つ問題は、複数の情報記録媒体が同一の「真偽判定情報」を持つ確率が高くなってしまうことであって、情報記録媒体の「指紋」としての「真偽判定情報」の効果が十分発揮出来ない点にある。
【0007】一方、情報記録媒体の「価値情報」や「付属情報」を表示する手段としては、従来からロイコ系色素による感熱印字や、錫やアルミニウム等の蒸着層の熱あるいは放電による破壊を利用した熱破壊印字による方法が利用されてきた。ところが、一般にこのような感熱記録材料は、一度画像を形成するとその部分を消去して再び画像形成前の状態に戻すことは不可能であるため、さらに情報を記録する場合には画像が未形成の部分に追記するしかなかった。このため感熱記録部分の面積が限られている場合には、記録可能な情報が制限され必要な情報を全て記録できないという問題が生じていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の様に、情報記録媒体に設けられる「真偽判定情報」あるいは指紋情報は情報記録媒体毎に異なることが望ましく、複数の情報記録媒体で同一の「真偽判定情報」が存在することは避ける必要がある。さらにはそれらの「真偽判定情報」は複製が困難なランダムなパターンであることが望ましい。さらにいえばこれら偽造防止用情報は、通常の状態では読み取ることができず、しかるべき手段を用いた場合にのみ判読可能なものであればさらに偽造防止効果を高めることができる。また、これらの「真偽判定情報」を情報記録媒体に形成する操作が煩雑であれば、その分製造コストがかさみ、たとえいかに高いセキュリィティーのシステムであっても、実際は使用できない場合が生じるため、簡便でかつローコストであることが重要である。加えて、「価値情報」や「付属情報」の表示に関しては、繰り返し印字が可能であり、しかもコントラストが高く、保存性の良い表示方法であることが望ましい。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、このようにしかるべき手段を用いた場合にのみ判読可能で、かつ情報記録媒体の一つ一つに固有な「真偽判定情報」を保持した、よりセキュリティ性が高い情報記録媒体を簡便かつローコストで得るために種々の検討を加えた結果、支持体上に、(1)電子受容性化合物及び、該電子受容性化合物との反応により近赤外部に吸収をもつ電子供与性染料前駆体を含有する可逆感熱発色層と(2)近赤外線領域では透明であって可視光領域では不透明である隠蔽層を順次積層してなる情報記録媒体において、該電子受容性化合物が、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる化合物であることを特徴とする情報記録媒体の発明に至った。次に、本発明の情報記録媒体に目的とする「真偽判定情報」を与える原理に付いて述べる。
【0010】本発明の情報記録媒体の可逆感熱発色層は、電子受容性化合物及び該電子受容性化合物との反応により近赤外部に吸収をもつ電子供与性染料前駆体を含有するため、熱ヘッド等によって印字された場合、印字部が近赤外線を吸収するパターンになる。そこで、この近赤外線の吸収の違いを利用して、近赤外線でのみ判定可能な「真偽判定情報」を形成することが出来る。しかもこの「真偽判定情報」は、熱ヘッド等によって任意のパターンで形成することが出来るので、情報記録媒体毎に異なったパターンにすることができ、さらにはそのパターンを偽造困難なランダムなものにすることも可能である。
【0011】しかしながら、このままでは情報記録媒体上に形成された「真偽判定情報」は容易に目視出来るため、偽造防止としては効果が小さい。このため、この「真偽判定情報」を隠蔽する必要がある。そこで、この可逆感熱発色層の上部に、近赤外線領域では透明であって可視光領域では不透明である隠蔽層を設けることによって「真偽判定情報」が隠蔽でき、これによって非常に高いセキュリィテイーを実現することが出来る。このようにして、本発明の情報記録媒体は、各情報記録媒体毎に異なる、不可視で偽造困難な「真偽判定情報」を簡便に形成することが出来る。
【0012】しかも本発明の情報記録媒体の可逆感熱発色層の電子受容性化合物は、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる化合物であるため、情報記録媒体に形成される「真偽判定情報」は何度でも書き換えることが出来る。この書き換え可能な特徴を利用すると、常に新しい「真偽判定情報」を形成できるだけでなく、情報記録媒体の使用時にその「真偽判定情報」を読みとり、かつその後、その「真偽判定情報」が熱によって消去する事が出来るかどうかを確認するようにすれば、2重のチェックになりセキュリィティーはさらに向上する。
【0013】さらに言えば、本発明の情報記録媒体の可逆感熱発色層は、「真偽判定情報」の記録だけでなく、「価値情報」や「付属情報」の記録にも使用できる。このため、隠蔽層は「真偽判定情報」の上部にだけ設ければ良く、残りの部分は可逆感熱発色層の印字部が目視可能であるようにしておけば、セキュリイテーが高く、しかも繰り返し印字可能でより多くの情報量を保持した情報記録媒体を実現することが出来る。
【0014】次に本発明の構成要素に付いて詳しく述べる。まず、本発明の情報記録媒体に用いられる支持体としては、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、発泡フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0015】電子受容性化合物との反応により近赤外部に吸収をもつ電子供与性染料前駆体としては、以下に例示するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3´−(6´−ジメチルアミノ)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3´−(6´−ジエチルアミノ)フタリド等のフルオレン系化合物、3,3−ビス[2´−(p−ジメチルアミノフェニル)−2´−(p−メトキシフェニル)ビニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス[2´−(p−ジメチルアミノフェニル)−2´−(p−メトキシフェニル)ビニル]−4,5,6,7ーテトラブロモフタリド、3,3−ビス[2´−(p−メトキシフェニル)−2´−(p−ピロリジノフェニル)ビニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−p−トルエンスルフォニルメタン、ビス(p−ジエチルアミノスチリル)−p−トルエンスルフォニルメタン、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−ベンゼンスルフォニルメタン、1,1−ビス[2´,2´−(p−ジメチルアミノフェニル)ビニル]−2,2−ジニトリルエタン等のジビニル系化合物、
【0017】2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン等のフルオラン系化合物等が挙げられる。これらの電子供与性化合物は単独または2種以上混合して使用される。
【0018】また、本発明の情報記録媒体の可逆感熱発色層は「真偽判定情報」の形成だけでなく「価値情報」や「付属情報」の表示用にも使用できるため、染料前駆体の発色後の色調をユーザーが望むものに調整しなければならない場合が生じるが、この時は電子受容性化合物との反応により可視部に吸収をもつ電子供与性染料前駆体を、上記染料前駆体と混合して使用すれば良く、そのような染料前駆体としては、
【0019】3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等のトリアリールメタン系化合物、
【0020】4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等のジフェニルメタン系化合物、ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のキサンテン系化合物、
【0021】ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系化合物、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等のスピロ系化合物を挙げることができ、これらは単独もしくは2種以上混合して使うことができる。
【0022】又、本発明に用いられる電子受容性化合物としては、上記染料前駆体の共存下、加熱後の冷却速度の違いにより保持可能な可逆的な色調変化を生じるものであれば特に制限されないで用いる事が出来る。発色濃度や消色性の点で、本出願人による特願平4−347032号に記載の可逆性顕色剤が好ましく用いられるが、そのうち、下記一般式1で表されるものが特に好ましく使用される。
【0023】
【化1】


【0024】式化1中、nは1、2又は3を表す。mは0、1又は2を表す。Qは脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Aで表される環は芳香環である。Xは窒素原子を介してAで表される芳香環と結合する2価の基、ヘテロ原子を2個以上含む2価の基、又は、不飽和結合あるいは芳香環を含む2価の基を表す。Rは脂肪族炭化水素基を表わす。XとRに含まれる原子のうち水素原子と芳香環を構成する原子を除いた原子の総数は8以上である。
【0025】Qで表される置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、アリル基等の脂肪族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、n−オクチルオキシ基等のアルコキシ基、弗素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子が挙げられる。
【0026】Xで表される2価の基のうち窒素原子を介してAで表される芳香環と結合するものの例としては、−NHCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHCONHNH−、−N=CH−、−N=N−、−NHSO2−などが挙げられる。窒素に水素原子が結合している場合、その水素原子がメチル基やシクロヘキシル基等の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい。これらの中では尿素結合が消色性や画像濃度の点でより好ましい。興味有る事にアミド結合の場合、Aで表される芳香環と結合するのがカルボニル基であると消色性や画像濃度の点のいずれかが不満足となる。
【0027】Xで表される2価の基がヘテロ原子を2個以上含むものの例としては、−SO2NH−、−S−S−、−CONHNH−などがある。なお、ここでいうヘテロ原子とは、水素原子、炭素原子、酸素原子を除く他の原子で、2価以上の連結基の構成原子になり得るものである。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、硫黄原子、リン原子、硼素原子、珪素原子、セレン原子、弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子、スズ原子などが挙げられる。
【0028】Xで表される2価の基が不飽和結合あるいは芳香環を含む2価の基のものの例としては、−CH=CH−、−CH=N−、−SO2−、フェニレン基、炭素−炭素三重結合を含む基、それらを組み合わせた基、さらに、それらの片側又は両側に、先にXの他の例として挙げた−NHCO−、−NH−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−N=CH−、−N=N−、−NHSO2−、−SO2NH、−S−S−などの連結基の一つ又は二つ以上を組み合わせた基が挙げられる。この場合には連結基として他に、−CONH−、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCOO、−CO−、−SO2−等の2価の基も挙げられる。
【0029】Rで表される脂肪族炭化水素基としては、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、シクロヘキシル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、16−メチルヘプタデシル基、オクタデシル基、9−オクタデセニル基、ノナデシル基、アイコシル基、ヘンアイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、2−ノルボルニル基、7,7−ジメチルノルボルニル基、1−アダマンチル基、コレステリル基等が挙げられる。これらが分岐状になっていてもよく、多環式になっていてもよく、不飽和結合を含んでいてもよい。しかし、XとRに含まれる原子のうち水素原子と芳香環を構成する原子を除いた原子の総数が8以上、特に14以上である事が消色性のため必要である。
【0030】一般式化1で表される化合物は電子受容性化合物であり、染料前駆体を発色させる能力を持つにも係わらず、特異的に消色能力も持ち合わせ、可逆効果を発現させる。なお、通常の感熱記録材料に用いている電子受容性化合物、即ち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等ではこのような可逆効果は全く見られない。次に、本発明に好ましく用いられる電子受容性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】4′−ヒドロキシヘプタンアニリド、4′−ヒドロキシ−3−メチルオクタンアニリド、4′−ヒドロキシトリデカンアニリド、4′−ヒドロキシヘプタデカンアニリド、4′−ヒドロキシノナデカンアニリド、3′−ヒドロキシノナデカンアニリド、4′−ヒドロキシ−10−オクタデセンアニリド、4′−ヒドロキシ−ドカサンアニリド、15−シクロヘキシル−4′−ヒドロキシペンタデカンアニリド、4′−ヒドロキシ−5−テトラデセンアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メチルノナンアニリド、3′−シクロヘキシル−4′−ヒドロキシヘプタデカンアニリド、3′−アリル−4′−ヒドロキシペンタデカンアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メトキシオクタデカンアニリド、3′−クロロ−4′−ヒドロキシオクタデカンアニリド、3′−ヒドロキシドデカンアニリド、2′,4′−ジヒドロキシヘプタデカンアニリド、
【0032】4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−テトラデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルアミノカルボニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルカルボニルアミノベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(ヘプチルチオ)ベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルスルホニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ノニルスルホニルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシスルホニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルアミノスルホニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(N−ペンタデシリデンアミノ)ベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(N−ヘプタデシリデンアミノ)ベンズアニリド、
【0033】4′−ヒドロキシ−3,4−ジオクチルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3,4,5−トリオクタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−オクチル−4−(オクチルチオ)ベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−(ヘプタデシルチオ)−5−ペンタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−ヘプタデシルカルボニルアミノ−5−ドデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルアミノカルボニル−5−テトラデシルアミノカルボニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルスルホニルアミノ−5−オクタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−ヘプタデシルオキシスルホニル−5−テトラデシルオキシスルホニルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3,5−ビス(N−ドコシリデンアミノ)ベンズアニリド、
【0034】4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルカルボニルアミノベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルカルボニルアミノ−5−オクタデシルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メチル−4−ノニルベンズアニリド、3′−アリル−4′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メトキシ−4−オクタデシルベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−メチル−4−ノニルオキシベンズアニリド、4′−ヒドロキシ−3′−プロピル−4−ノナデシルカルボニルオキシベンズアニリド、3′−ブチル−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシカルボニルベンズアニリド、3′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルカルボニルオキシベンズアニリド、3′−ヒドロキシ−4−ノナデシルスルホニルベンズアニリド、3′,4′−ジヒドロキシ−4−ヘプタデシルスルホニルオキシベンズアニリド、3′,4′,5′−トリヒドロキシ−4−テトラコシルアミノスルホニルベンズアニリド、3′,5′−ジヒドロキシ−4−ペンタコシルアミノカルボニルベンズアニリド、3′−ヒドロキシ−4−(N−ドデシリデンアミノ)ベンズアニリド、N−〔4−(3−ヒドロキシフェニルアミノカルボニル)ベンジリデン〕ペンタデシルアミン、
【0035】N−シクロヘキシル−4−ヒドロキシベンズヒドラジド、N−シクロヘキシルメチル−4−ヒドロキシベンズヒドラジド、N−シクロヘキシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−シクロヘキシルメチル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−メチル−N−オクタデシル−4−ヒドロキシベンズアミド、N−(3−メチルヘキシル)−4−ヒドロキシベンズアミド、N−オクタデシル−4−ヒドロキシベンズヒドラジド、N−(8−オクタデセニル)−4−ヒドロキシベンズアミド、
【0036】4−ヒドロキシ−4′−ドデシルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−テトラデシルベンズアニリド、N−メチル−4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−(オクタデシルチオ)ベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ペンチルカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ヘキサデシルカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ヘプタデシルオキシカルボニルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ドデシルオキシカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ドコシルオキシカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ヘプタデシルカルボニルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−シクロヘキシルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクチルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルアミノベンズアニリド、
【0037】4−ヒドロキシ−4′−ヘプチルカルボニルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ヘプタデシルカルボニルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルアミノカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−(8−オクタデセニル)アミノカルボニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ドデシルスルフォニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシスルフォニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシスルフォニルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−ドデシルスルフォニルオキシベンズアニリド、N−4−ヒドロキシベンゾイル−N′−オクタデシリデン−1,4−フェニレンジアミン、N−4−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)ベンジリデンドデシルアミン、4−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシカルボニルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−テトラデシルオキシカルボニルアミノベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルウレイレンベンズアニリド、
【0038】3−ヒドロキシ−4′−ドデシルオキシベンズアニリド、N−メチル−4−ヒドロキシ−3′−オクタデシルオキシベンズアニリド、3−ヒドロキシ−4′−オクチルベンズアニリド、3−ヒドロキシ−4′−テトラデシルベンズアニリド、N−メチル−3−ヒドロキシ−4′−オクタデシルベンズアニリド、N−ドデシル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンズアミド、3−メトキシ−4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、3−アリル−4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、3−クロロ−4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルベンズアニリド、3−ブロモ−4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルベンズアニリド、N−オクタデシル−4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンズアミド、N−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3−エチルベンズアミド、4−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシ−3′−メチルベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクタデシルオキシ−3′−クロロベンズアニリド、4−ヒドロキシ−3′,4′−ジデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−3′−オクタデシルアミノ−4′−オクタデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−2′−クロロ−3′,5′−ジデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−3′,4′−ジオクタデシルオキシベンズアニリド、4−ヒドロキシ−4′−オクチル−3′−メチルベンズアニリド、3−ヒドロキシ−4−メチル−4′−テトラデシルベンズアニリド、N−メチル−4−ヒドロキシ−3′−オクタデシルベンズアニリド、
【0039】4−(N−オクチルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−ドデシルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−3−メチルヘキシルスルホニルアミノ)フェノール、4′−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクチルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(ドデシルチオ)ベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルカルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ヘキサデシルカルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−(8−ヘプタデセニル)カルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクチルオキシカルボニルオキシベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシカルボニルベンゼンスルホンアニリド、′−ヒドロキシ−4−オクタコシルオキシカルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルカルボニルオキシベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルアミノベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルアミノベンゼンスルホンアニリド、
【0040】4′−ヒドロキシ−4−ヘプタデシルカルボニルアミノベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルアミノカルボニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルスルホニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクチルオキシスルホニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシスルホニルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルスルホニルオキシベンゼンスルホンアニリド、N−オクチリデン−4−(4−ヒドロキシフェニル)アミノスルホニルアニリン、N−ドデシリデン−4−(4−ヒドロキシフェニル)アミノスルホニルアニリン、N−4−(4−ヒドロキシフェニルアミノスルホニル)ベンジリデンオクタデシルアミン、4′−ヒドロキシ−4−オクチルオキシカルボニルアミノベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシカルボニルアミノベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルウレイレンベンゼンスルホンアニリド、
【0041】3−(N−ドデシルスルホニルアミノ)フェノール、4−(N−オクタデシルスルホンアミノ)カテコール、4−(N−オクタデシルスルホンアミノ)レゾルシノール、4−(N−オクタデシルスルホニルアミノ)ピロガロール、4′−ヒドロキシ−3−オクチルオキシベンゼンスルホンアニリド、3′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、N−メチル−4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、3′−ヒドロキシ−4−ドデシルベンゼンスルホンアニリド、3−メチル−4−(N−ドデシルスルホンアミノ)フェノール、4−メチル−3−(N−テトラデシルスルホンアミノ)フェノール、3′−メトキシ−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、3′−クロロ−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルベンゼンスルホンアニリド、4′−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−4−オクタデシルベンゼンスルホンアニリド、3−メチル−4−(N−オクタデシルスルホンアミノ)フェノール、4′−ヒドロキシ−3,4−ジオクタデシルオキシベンゼンスルホンアニリド、
【0042】1−(4−ヒドロキシフェニルジチオ)ヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニルジチオ)オクタデカン、2−ヘプチル−1−(4−ヒドロキシフェニルジチオ)オクタン、1−(4−ヒドロキシフェニルジチオ)−9−オクタデセン、1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルジチオ)オクタデカン、1−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニルジチオ)ヘキサデカン、1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルジチオ)オクタデカン、1−(2−エトキシ−4−ヒドロキシフェニルジチオ)オクタデカン、1−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルジチオ)オクタデカン、1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニルジチオ)オクタデカン、
【0043】4′−ヒドロキシ−4−ヘキシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−テトラデシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルカルボニルアミノジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−ドデシルスルホニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシスルホニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルスルホニルアミノジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−トリデシルカルボニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−(N−ヘプタデシリデンアミノ)ジフェニルスルフィド、
【0044】4′−ヒドロキシ−3,4−ジデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3,4−ジオクタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−オクチル−4−(オクチルチオ)ジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシル−5−トリデシルスルホニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−(ヘプタデシルチオ)−5−ペンタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−ヘプタデシルカルボニルアミノ−5−ドデシルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−オクタデシルカルボニルアミノ−5−オクタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3−ヘプタデシルオキシスルホニル−5−テトラデシルオキシスルホニルジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3,5−ビス(N−ドコシリデンアミノ)ジフェニルスルフィド、4−(15−シクロヘキシルペンタデシル)−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−(5−テトラデセニル)ジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−4−(10−オクタデセニルオキシカルボニル)ジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3′−メチル−4−ノニルジフェニルスルフィド、
【0045】3′−アリル−4′−ヒドロキシ−4−ペンタデシルジフェニルスルフィド、3′−クロロ−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシルジフェニルスルフィド、3′−クロロ−4′−ヒドロキシ−4−オクタデシル−5−ぺンタデシルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3′−メチル−4−ノニルオキシジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3′−(1−メチルエチル)−4−ペンタコシルスルホニルアミノジフェニルスルフィド、4′−ヒドロキシ−3′−(2−メチルプロピル)−4−ノナデシルオキシスルホニルジフェニルスルフィド、3′−ヒドロキシ−4−ドデシルジフェニルスルフィド、3′−ヒドロキシ−4−オクタデシルジフェニルスルフィド、2′,4′−ジヒドロキシ−4−ヘプタデシルジフェニルスルフィド、3′,4′−ジヒドロキシ−4−ヘプタデシルジフェニルスルフィド、3′−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシカルボニルジフェニルスルフィド、
【0046】N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−ヘキシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクチル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−ドデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−テトラデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−ヘキサデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−アイコシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−シクロドデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−ドコシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−コレステリル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(2−ヘプチルオクチル)尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(2−エチルヘキシル)尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(14−シクロヘキシルテトラデシル)尿素、N−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(9−オクタデセニル)尿素、N−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−[3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−N′−オクタデシル尿素、N−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N′−オクチル尿素、N−(3−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシル尿素、N−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−N′−トリコシル尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(4−テトラデシルフェニル)尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(4−ヘキシルフェニル)尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−(3,4−ジオクタデシルフェニル)尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−ドデシルチオ尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−テトラデシルチオ尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−ヘキサデシルチオ尿素、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N′−オクタデシルチオ尿素、
【0047】4−n−オクタデシルアミノフェノール、4−(1−オクタデシニル)フェノール、4−(1,3−オクタデカジイニル)フェノールなどが挙げられる。
【0048】また、可逆感熱発色層の強度を向上する等の目的でバインダーを可逆感熱発色層中に添加する事も可能である。本発明に用いるバインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のラテックスなどがあげられるがこれらに限定されるものではない。
【0049】また、可逆感熱発色層の発色感度及び消色温度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を可逆感熱発色層中に含有させることができる。本発明に用いる熱可融性物質としては60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。また、一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。本発明に用いる熱可融性物質の具体例としては、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどのワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等があげられ、2種以上併用して添加することもできる。
【0050】本発明の情報記録媒体の隠蔽層には、特開昭64−87397等に記載の公知のプロセスインキ(イエロー、マゼンタ、シアン)を適当な比で混合したインキをオフセットあるいはスクリーン印刷法等によって形成することが出来る。また、可逆感熱発色層の上部に、電子受容性化合物との反応によって近赤外線域には吸収を持たず可視部にのみ吸収を持つ電子供与性染料前駆体を含んだ感熱発色層を設けた2層構造にすることで、この感熱発色層にダミーの情報を印字して、可逆感熱発色層の「真偽判定情報」を隠蔽することも出来る。この時上部の感熱発色層は、可逆感熱発色層でも、通常の非可逆感熱発色層でも構わない。
【0051】本発明の情報記録媒体の層構成は、支持体上に、(1)電子受容性化合物及び、該電子受容性化合物との反応により近赤外部に吸収をもつ電子供与性染料前駆体を含有する可逆感熱発色層と(2)近赤外線領域では透明であって可視光領域では不透明である隠蔽層を順次積層してなるものであるが、支持体と可逆感熱発色層との間に接着性、断熱性等の目的で下引き層を設けても良い。また、隠蔽層の上には、耐摩耗性、耐薬品性、耐久性等の目的に応じて保護層を設けてもかまわない。
【0052】下引き層および保護層を設ける場合、下引き層および保護層に用いる樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ニトロセルロース等の樹脂を使用することが出来る。これら下引き層、保護層は2層ないし3層以上の複数の層から構成されていてもよい。
【0053】また情報記録媒体の「真偽判定情報」は、可逆感熱発色層の全面に設ける必要はなく、「真偽判定情報」に使用した部分以外は「価値情報」や「付属情報」の表示用に使用することが出来るので、隠蔽層は「真偽判定情報」が形成されている部分だけに施すだけで良い。また、情報記録媒体の「価値情報」の記録手段としては、磁気的、電気的、光学的、機械的等の公知の手段を利用した記録層を別に設けて記録することが出来る。この時「価値情報」を記録する記録層は、支持体に対して該可逆感熱発色層と同じ側でも反対側でも良いが、同じ側に設ける場合は本発明の性質上、可逆感熱発色層の下に設ける必要がある。ただし、これは各層を積層して形成した場合のことであって、印刷等によって、支持体の同一平面上の別々の箇所に可逆感熱発色層と「価値情報」の記録層を設ける場合は、そのような必要はない。
【0054】
【作用】本発明の情報記録媒体は、近赤外線の吸収の違いによるパターンを測定するという特殊な方法を用いるため、その「真偽判定情報」は非常にセキュリティーが高い。しかも隠蔽層の存在のために、目視不可能である。これら「真偽判定情報」は、熱ヘッド等により情報記録媒体毎に任意に形成することが出来るものであって、偽造または変造を試みるものにとっての労力は計り知れない。さらに「価値情報」「真偽判定情報」の二つの情報から、特定の関数によって「暗号情報」を形成し、これを情報記録媒体毎に記録しておいて、使用毎にこれら三つの情報を比較するようなシステムであれば、偽造はおろか変造すら殆ど不可能である。しかも、この「真偽判定情報」は可逆感熱発色層に形成されるものであるため、常に新しい「真偽判定情報」に変更することが出来る。さらに、この可逆感熱発色層の一部分を「価値情報」や「付属情報」の表示用に使用すれば、情報記録媒体としての性能は一段と高まる。
【0055】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこの形態に何等限定されるものではない。
【0056】実施例1図1は本発明の情報記録媒体をプリペイドカードに応用した例であって、その断面の層構成を示している。実施例1のプリペイドカードは支持体1の一方に磁気層2、保護層3が設けられ、もう一方に可逆感熱発色層4、隠蔽層5、保護層6の順に形成されている。また図2は、このプリペイドカードの可逆感熱発色層側の平面図であり、隠蔽層5が設けられていない箇所は可逆感熱発色層が見えており、ここに残高、使用年月日等の「価値情報」7や、お客様電話相談の電話番号の様な「付属情報」8が印字できるようになっている。次にこれらの構成要素の具体的な作製方法に付いて述べる。
【0057】(A)支持体として厚さ188μmのポリエステルフィルム(ダイアホイル(株)製「W400J」)を使用した。
【0058】(B)磁気層磁性体(戸田工業(株)製 バリウムフェライト 「MC127」) 100部水 85部分散剤(サンノプコ(株)製 「SNディスパーサント5468」) 1.5部上記組成物をペイントコンディショナーを用いて4時間分散し、予備分散液を調整した。次にこの予備分散液に対し、以下の組成物を添加した後スリーワンモーターで1時間攪拌し磁性塗液を得た。
バインダー(ヘキスト合成(株)製 スチレン−アクリル酸エステル共重合エマルジョン 「DM60」) 120部増粘剤(ヘキスト合成(株)製 メチルセルローズ 「チローゼH1000P」)
0.25部(ヘキスト合成(株)製 カルボキシ系共重合エマルジョン 「ビスカレックスHV30」 2.7部10%アンモニア水 0.6部この磁性塗液を上記支持体に、10μmの厚みに塗工した。また塗工直後に2000Gの配向磁場をかけ、磁性粒子を配向させた。
【0059】(B)可逆性感熱塗液の作成発色体が近赤外部に吸収を持つ電子供与性染料前駆体として3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3´−(6´−ジメチルアミノ)フタリド40部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液90部と共にボールミルで24時間粉砕し、染料前駆体分散液を得た。次いで4′−ヒドロキシ−n−ヘプタンアニリド100部を2.5%ポリビニルアルコール水溶液400部と共にボールミルで24時間粉砕し分散液を得た。上記2種の分散液を混合した後、10%ポリビニルアルコール水溶液200部、水400部を添加、よく混合し、可逆性感熱塗液を作製した。このようにして調製した可逆性感熱塗液を、上記支持体の磁性層に対して反対面上に、固形分塗抹量4g/m2となる様に塗工し、乾燥後、スーパーカレンダーで処理して可逆感熱発色層を形成した。
【0060】(C)隠蔽層次にイエロー、マゼンタ、シアンの各プロセスインキを2:3:3の比率で混合し、これを上記可逆感熱発色層上に膜厚が2μmになるように印刷した。
【0061】(D)保護層磁性層及び、可逆感熱発色層上の隠蔽層の保護層として、以下の組成物を調整し、膜厚1μmとなる様に塗工し、乾燥して保護層を作製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(積水化学工業(株)製「エスレックA」) 3部MEK 30部トルエン 30部
【0062】この様にして作製した情報記録媒体に、感熱ヘッドを用いて30mJ/mm2のエネルギーでバーコード状のパターン10を印字し、「真偽判定情報を」形成した。図3はこの時のプリペイドカードの点線A−Aにそった断面を示している。熱ヘッドによって印字された部分は、近赤外線を吸収する様になるので、赤外線の反射率を測定すると、染料前駆体が反応したところ(印字部)とそうでない所(非印字部)の差が明瞭に現れ、近赤外線によって「真偽判定情報」が正確に読みとることが出来た。勿論この「真偽判定情報」は隠蔽層のために目では確認できない。
【0063】次に、このプリペイドカードを熱ロールによって加熱、その後徐冷し、可逆感熱発色層の印字パターンを消色させた後、同様に近赤外線による読み取りを行ったが、「真偽判定情報」は検出できなかった。
【0064】さらにまた、感熱ヘッドを用いて30mJ/mm2のエネルギーでバーコード状のパターンを印字し、「真偽判定情報を」形成した。そして、同様にこのパターンを近赤外線で読みとったところ、正確に読みとることが出来た。
【0065】
【効果】本発明によって、情報記録媒体ごとに任意に形成することが出来き、近赤外線の吸収の違いという特殊な方法で記録されており、隠蔽層のために目視では判別不可能である「真偽判定情報」を保持したセキュリィティーの高い情報記録媒体を実現することが出来た。しかも、この情報記録媒体の「真偽判定情報」は、可逆感熱発色層に印字されたもので、何度でも書き換えができ、「真偽判定情報」は常に更新することが出来るので、そのセキユリィティーは非常に高い。また、該可逆感熱発色層は、その一部を「価値情報」や「付属情報」の表示用としても使用でき、書き換え可能という特徴を生かせば、情報記録媒体に非常に高い付加価値を付けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を利用したプリペイドカードの断面図
【図2】 本発明を利用したプリペイドカードの可逆感熱発色層の図
【図3】 本発明を利用したプリペイドカードに「真偽判定情報」をバーコード状に記録した場合の印字パターン。図2のA−Aの点線方向の断面図。
【符号の説明】
1 支持体
2 磁気層
3 保護層
4 可逆感熱発色層
5 隠蔽層
6 保護層
7 「価値情報」の印字例
8 「付属情報」の印字例
9 「真偽判定情報」隠蔽部
10 隠蔽された「真偽判定情報」バーコードパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上に、(1)電子受容性化合物及び、該電子受容性化合物との反応により近赤外部に吸収をもつ電子供与性染料前駆体を含有する可逆感熱発色層と(2)近赤外線領域では透明であって可視光領域では不透明である隠蔽層を順次積層してなる情報記録媒体において、該電子受容性化合物が、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる化合物であることを特徴とする情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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