説明

情報記録装置、情報再生装置、コンテンツデータの再生方法及びコンテンツデータの記録方法

【課題】不正な再生から安全に秘匿データを秘匿してコンテンツデータの不正利用を防止することが可能な情報記録装置等を提供すること。
【解決手段】
情報記録再生装置200は、特定ECCブロック10Pを情報記録媒体300に記録する際に、所定の固有識別情報に基づいて、特定ECCブロック10Pの物理アドレスを特定ブロックアドレスとして選定する。そして、この情報記録再生装置200は、所定の固有識別情報と選定された特定ブロックアドレスに基づいて、誤りデータ列と、誤りデータ及び秘匿データの特定ECCブロック10P内における位置とを選定し、誤りデータ及び秘匿データを特定ECCブロック10Pに埋め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツに関するデータの不正利用を抑止するための情報記録再生装置およびコンテンツデータの記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータシステムの発達とともに、映像機器または音声機器などのデジタル化が普及している。そして、映像データ及び音声データなどのコンテンツに関するデジタルデータ(以下、「コンテンツデータ」という。)がDVD(Digital Versatile Disc)またはBlue−ray Discなどの情報記録媒体を用いて配布されることが広く一般的に行われている。また、インターネットなどのネットワークを介して配信されたコンテンツデータがハードディスクなどの情報記録媒体に記録されることも一般的に行われている。
【0003】
一方、デジタルデータは、他の情報記録媒体への移動又は複製を生成する際にデータの劣化が生じにくく、オリジナルのデータと同一のものを作成することが容易であるため、コンテンツデータの不正利用を防止することが重要になっている。
【0004】
このような状況下において、コンテンツデータの不正利用を防止する記録再生装置としては、コンテンツデータの記録再生を制御する制限データを用いるものが知られている。
【0005】
具体的には、この記録再生装置は、情報記録媒体に制限データを付加しつつコンテンツデータを記録し、デジタルデータを再生する再生機器に当該制限データを読み取らせることによって、当該情報記録媒体に記録された情報コンテンツの再生または複製を制限するようになっている。また、暗号化したコンテンツデータを記録しておき、復号化するための鍵(以下、「復号化鍵」という。)を持つ再生機器のみにおいて再生を可能とするものも知られている。
【0006】
例えば、一の情報記録媒体を他の情報記録媒体から識別するための媒体識別情報を再生制御データとしてコンテンツデータとともに当該情報記録媒体に記録し、この再生制御データによってコンテンツデータの不正な再生を防止するようになっている情報記録再生装置がある。
【0007】
また、媒体識別情報に代えて、コンテンツデータを記録する際に暗号化しつつ、当該暗号化されたコンテンツデータを復号化するための鍵の情報を再生制御データとしてコンテンツデータとともに当該情報記録媒体に記録し、この再生制御データによってコンテンツデータの不正な再生を防止するようになっている情報記録再生装置もある。
【0008】
このような記録再生装置においては、媒体識別情報、復号化に用いる鍵情報などの再生制御データは、不正な再生を防止する効果を高めるために、暗号化されて記録されていることが多い。
【0009】
しかしながら、たとえ情報記録媒体に記録された再生制御データが暗号化されたとしても、当該再生制御データの記録媒体上の記録位置が判明している場合には、悪意の利用者によって、データの処理の追跡などの方法により漏洩解読され、コンテンツデータを不正利用されてしまうことがある。
【0010】
したがって、再生制御データの記録位置または当該再生制御データの存在自体を秘匿することが、すなわち、当該再生制御データを秘匿データとして管理することがコンテンツデータの不正利用を防止するためにはさらに効果的である。
【0011】
例えば、その一つとして、誤り訂正符号(ECC:Error Correction Code)が付与されて形成されるコンテンツデータの記録再生単位ブロック(以下、「ECCブロック」という。)のエラーレートを用いて鍵情報を選択的に決定するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0012】
具体的には、このシステムは、ECCブロックにおける誤り訂正が不能に陥らない程度にコンテンツデータとは無関係なデータ(以下、「誤りデータ」という。)を所定のECCブロックに混入させ、一以上のECCブロックのエラーレートまたは当該エラーレートの平均値によって鍵情報を構成するビット列の各ビットの論理値を選択的に決定するようになっている。
【0013】
したがって、ECCブロックを誤り訂正しつつ再生を行う通常の再生処理においては、エラーレートを有意な情報として使用しないので鍵情報は再生されず、このシステムは、不正な再生によっては取得させないように鍵情報を記録することができるようになっている。
【0014】
一方、コンテンツデータに対して誤り訂正を行うための冗長データを付加したECCブロックに、誤り訂正が可能な個数以下のデータバイトによって形成された当該コンテンツデータにアクセスするためのセキュリティデータ(例えば、ユーザ名、パスワードまたは鍵情報)を埋め込むシステムが知られている(例えば、特許文献2)。
【0015】
具体的には、このシステムは、特定のデータブロックに、誤り訂正が可能な個数以下のデータバイトによって形成され、かつ、当該データバイトの2次元的なデータ配列の配列パターンによって形成されるセキュリティデータを埋め込むようになっている。
【0016】
したがって、ECCブロックを誤り訂正しつつ再生を行う通常の再生処理においては、誤り訂正によってセキュリティデータが消失し、データ配列の配列パターンを認識することができなくなるため、このシステムは、不正な再生によっては取得させないようにセキュリティデータを記録することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2006−085807号公報
【特許文献2】特開2004−192737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上述の特許文献1及び2に記載されているシステムにあっては、ECCブロック内に誤り訂正可能な範囲によって故意に誤りデータを混入させている。したがって、これらのシステムにおいては、後発的な要因によって記録されたデータに対する誤りが増加すると、故意に混入された誤りデータと後発的な要因によって発生した誤りデータとによってECCブロック自体の誤り訂正が不能となる可能性が高くなる。このため、これらのシステムにおいては、正規に再生を実行したとしても、コンテンツデータの再生が不能となる可能性が高くなる。
【0019】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、不正な再生から安全に秘匿データを秘匿してコンテンツデータの不正利用を防止することが可能な情報記録装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(1)上記課題を解決するため、本発明は、コンテンツデータを、誤り訂正コードを付加した所定のブロック単位毎に情報記録媒体に記録する情報記録装置であって、予め定められた処理に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を選定する第1選定手段と、前記選定された特定のブロック位置に記録する特定のブロックを誤り訂正不能とするための誤りデータを生成する誤りデータ生成手段と、前記特定のブロック内に秘匿する秘匿データを取得する秘匿データ取得手段と、予め定められた処理に基づいて、前記特定のブロック内の前記生成された誤りデータ及び前記取得された秘匿データを埋め込む位置をそれぞれ選定する第2選定手段と、前記選定された誤りデータ及び秘匿データを埋め込む位置に基づいて、前記特定のブロックに対して、前記誤りデータを埋め込むことで前記特定のブロックを誤り訂正不能と為し、更に前記秘匿データを埋め込む埋め込み手段と、前記誤りデータ及び前記秘匿データが埋め込まれた前記特定のブロックを前記情報記録媒体上の前記特定のブロック位置に記録する記録手段と、を備える構成を有している。
【0021】
(2)また、本発明は、所定の識別情報を保持する保持手段を更に備え、前記第1選定手段が、前記保持された識別情報に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を選定するとともに、前記第2選定手段が、前記保持された識別情報と前記選定された特定のブロック位置に基づいて、前記生成された誤りデータ及び前記取得された秘匿データを埋め込む位置をそれぞれ選定する構成を有している。
【0022】
(3)また、本発明は、前記埋め込み手段が、訂正コードを有する前記秘匿データを前記選定された秘匿データを埋め込む位置に埋め込む構成を有している。
【0023】
(4)また、本発明は、前記誤りデータ生成手段が、所定のデータ列と前記特定のブロック内の前記選定された誤りデータを埋め込む位置に対応する元データに基づいて前記特定のブロックに埋め込む誤りデータを生成する構成を有している。
【0024】
(5)また、本発明は、前記第1選定手段が、前記保持された識別情報に基づいて、前記情報記録媒体上に設けられたコンテンツデータを記録するためのコンテンツデータ領域内、または、前記情報記録媒体上に設けられたコンテンツデータの記録再生を管理するための管理データが記録される管理データ領域内の何れかから前記特定のブロック位置を選定する構成を有している。
【0025】
(6)また、本発明は、前記記録手段が、前記選定された特定のブロックの前記生成された誤りデータ及び前記取得された秘匿データが埋め込まれる前の元データを、前記選定された特定のブロック位置とは異なるブロック位置に記録する構成を有している。
【0026】
(7)上記課題を解決するため、本発明は、情報記録装置によって記録された情報記録媒体を再生する情報再生装置であって、予め定められた処理に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を特定する第1特定手段と、予め定められた処理に基づいて、前記特定のブロック内の秘匿データが埋め込まれた位置を特定する第2特定手段と、前記選定された特定のブロック位置に記録されている特定のブロックを前記情報記録媒体上の前記選定された特定のブロック位置から再生する再生手段と、前記選定特定された秘匿データが埋め込まれた位置に基づいて前記特定のブロックから前記秘匿データを抽出する抽出手段と、を備える構成を有している。
【0027】
(8)上記課題を解決するため、本発明は、コンテンツデータを、誤り訂正コードを付加した所定のブロック単位毎に情報記録媒体に記録するコンテンツデータの記録方法であって、予め定められた処理に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を選定する第1選定工程と、前記選定された特定のブロック位置に記録する特定のブロックを誤り訂正不能とするための誤りデータを生成する誤りデータ生成工程と、前記特定のブロック内に秘匿する秘匿データを取得する秘匿データ取得工程と、予め定められた処理に基づいて、前記特定のブロック内の前記生成された誤りデータ及び前記取得された秘匿データを埋め込む位置をそれぞれ選定する第2選定工程と、前記選定された誤りデータ及び秘匿データを埋め込む位置に基づいて、前記特定のブロックに対して、前記誤りデータを埋め込むことで前記特定のブロックを誤り訂正不能と為し、更に前記秘匿データを埋め込む埋め込み工程と、前記誤りデータ及び前記秘匿データが埋め込まれた前記特定のブロックを前記情報記録媒体上の前記特定のブロック位置に記録する記録工程と、を含む構成を有している。
【0028】
(9)上記課題を解決するため、本発明は、予め定められた処理に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を特定する第1特定工程と、予め定められた処理に基づいて、前記特定のブロック内の秘匿データが埋め込まれた位置を特定する第2特定工程と、前記選定された特定のブロック位置に記録されている特定のブロックを前記情報記録媒体上の前記選定された特定のブロック位置から再生する再生工程と、前記選定特定された秘匿データが埋め込まれた位置に基づいて前記特定のブロックから前記秘匿データを抽出する抽出工程と、を含む構成を有している。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、コンテンツデータを記録するための記録再生単位である特定のブロックにコンテンツデータの再生に必要な媒体識別情報または暗号化されたコンテンツデータの復号化鍵などの秘匿データを埋め込むので、当該秘匿データをその埋め込み位置を固定することなく情報記録媒体に記録することができる。また、本発明は、後発的な要因によって記録された各データの誤りが増加した場合であっても、故意に誤りデータが埋め込まれた情報記録媒体からコンテンツデータを適切に読み出すことができるので、後発的な誤りの数による影響を受けにくく、安定に秘匿データを秘匿することができる。したがって、本発明は、誤り訂正不能である特定のブロックのデータを外部に出力させることなく、より安全に当該秘匿データを秘匿させることができるので、コンテンツデータの不正利用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る情報記録再生装置及び情報記録媒体の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態におけるコンテンツデータの記録再生単位(ECCブロック)の構成を示す図である。
【図3】第1実施形態における情報記録再生装置の秘匿データ記録処理の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態における情報記録再生装置の秘匿データ抽出処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態における情報記録再生装置の秘匿データ記録処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、情報記録媒体におけるオーディオデータ又は映像データなどのコンテンツデータ(情報)の記録再生を実行する情報記録再生装置に本発明の情報記録装置、情報再生装置、記録方法及び再生方法を適用した場合の実施形態である。
【0032】
<第1実施形態>
はじめに、図1〜図4の各図を用いて本発明に係る情報記録再生装置200及び情報記録媒体300の第1実施形態について説明する。
【0033】
(概要構成)
まず、図1を用いて本実施形態における情報記録再生装置200及び情報記録媒体300の概要について説明する。なお、図1は、本実施形態における情報記録再生装置200及び情報記録媒体300の構成を示すブロック図である。
【0034】
情報記録再生装置200は、図1に示すように、パーソナルコンピュータなどの上位の制御装置100の指令に基づいて、情報記録媒体300にコンテンツに関するデータ(以下、「コンテンツデータ」という。)の記録再生を行うようになっている。また、この情報記録再生装置200は、記録再生単位であるECCブロックのデータ(すなわち、ECCブロック)10を用いてコンテンツデータの記録再生を行うようになっている。
【0035】
情報記録媒体300は、図1に示すように、コンテンツデータが記録される領域であって、ユーザデータ領域310と代替領域340が含まれるコンテンツデータ領域を有している。また、この情報記録媒体300は、ECCブロック10毎に情報記録媒体300における物理アドレス(以下、「ECCブロックアドレス」という。)に基づいてコンテンツデータ領域内にコンテンツデータが記録されている。そして、この情報記録媒体300は、ECCブロックアドレスに基づいてコンテンツデータの記録再生が管理されるようになっている。
【0036】
情報記録再生装置200は、コンテンツデータを情報記録媒体300に記録する際に、特定のECCブロック(以下、「特定ECCブロック」という。)10Pに、ECCに基づく誤り訂正を不能とするためのデータ(以下、「誤りデータ」という。)を埋め込むようになっている。
【0037】
また、この情報記録再生装置200は、特定ECCブロック10Pに、この誤りデータとともに、コンテンツデータを復号化するための復号化鍵など当該情報記録媒体300が正規に再生された場合にコンテンツデータの再生に必要な秘匿されるべき所定のデータ(以下、「秘匿データ」という。)を埋め込むようになっている。
【0038】
そして、この情報記録再生装置200は、ユーザ領域310の一部である特定のECCブロックアドレス(以下、「特定ブロックアドレス」という。)が付与されているECCブロック領域(以下、「特定ECCブロック領域」という。)に、誤りデータ及び秘匿データを埋め込まれた特定ECCブロック10Pを記録するようになっている。なお、以下の説明において、特定ECCブロック10Pとは、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれたECCブロック10だけでなく、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれる予定のECCブロック10についても特定ECCブロック10Pという。
【0039】
なお、情報記録再生装置200は、例えば、既に暗号化されたコンテンツデータを外部から取得して情報記録媒体300に記録するようになっている。ただし、以下の説明については、コンテンツデータが既に暗号化されているとして説明し、特に明記はしない。
【0040】
具体的には、この情報記録再生装置200は、コンテンツデータを情報記録媒体300に記録する際に、所定の固有識別情報に基づいて、特定ECCブロック10Pが記録されるユーザデータ領域310のアドレス、すなわち、特定ブロックアドレスを選定するようになっている。
【0041】
そして、この情報記録再生装置200は、所定の固有識別情報と選定された特定ブロックアドレスに基づいて、誤りデータ列と、誤りデータ及び秘匿データの特定ECCブロック10P内における位置とを選定し、誤りデータ及び秘匿データを当該特定ECCブロック10Pに埋め込むようになっている。
【0042】
なお、本実施形態の固有識別情報は、例えば、メーカ識別情報、製品種別情報、製造番号からなる、情報記録再生装置を個々に識別するための装置個体識別情報や、対象となっている情報記録媒体を個々に識別するための媒体個体識別情報でも良いし、あるいは情報記録媒体を管理するユーザを識別するためのユーザ識別情報であっても良い。
【0043】
さらに、埋め込み位置選定手段280が保持している固有識別情報を、制御装置100が書き換えられるよう構成することも可能である。この構成では、制御装置100が、通信インタフェース201を介して記録再生制御手段290に、埋め込み位置選定手段280に保持すべき固有識別情報を伝送し、埋め込み位置選定手段208に設定することを指令する。このとき、制御装置100と情報記録再生装置200との間には相互認証、伝送データ暗号化などで第三者に秘密情報が漏洩しない伝送方法が確立されている。
【0044】
したがって、正規に情報記録媒体300が再生されないかぎり、特定ECCブロック10Pのアドレスと当該特定ECCブロック10P内の秘匿データの位置が特定されず、秘匿データが読み出されない。また、秘匿データを取得しないかぎり、コンテンツデータがたとえ情報記録媒体300から読み出されたとしても、復号化できない。したがって、この情報記録再生装置200は、不正な再生から情報記録媒体300に記録されたコンテンツデータを保護することができるようになっている。
【0045】
また、この情報記録再生装置200は、コンテンツデータの記録時と再生時において同一の特定ブロックアドレス及び当該特定ブロックアドレス内の秘匿データの位置を特定することができれば、ユーザデータ領域310のいずれのECCブロック10にも秘匿データを埋め込むことができる。したがって、この情報記録再生装置200は、情報記録媒体300上における埋め込む位置を固定することなく秘匿データを記録することができるので、より安全に当該秘匿データを秘匿することができる。
【0046】
一方、この情報記録再生装置200は、コンテンツデータを情報記録媒体300に記録する際に、特定ECCブロック10Pが記録される特定ECCブロック領域については、再生不能となっていることを示す欠陥登録を行うようになっている。
【0047】
また、この情報記録再生装置200は、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれる前の特定ECCブロック10Pのデータ(以下、「元データ」ともいう。)を、ユーザデータ領域310とは別領域であって、当該特定ECCブロック10Pを記録する際に、代替してECCブロック10を記録するための代替領域340に記録するようになっている。
【0048】
そして、この情報記録再生装置200では、この情報記録媒体300を再生する場合に、特定ECCブロック10Pが記録されている特定ECCブロック領域が欠陥登録されているので、当該欠陥領域に記録されている特定ECCブロック10Pに代えて代替領域に記録されたECCブロック10を読み出すようになっている。
【0049】
すなわち、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれた特定ECCブロック10Pが記録される特定ECCブロック領域は、欠陥登録されているので、通常の再生処理においては、当該特定ECCブロック10Pが読み出されずに、代替領域340に記録された当該特定ECCブロック10Pの元データを有するECCブロック10が読み出される。したがって、秘匿データは通常の再生処理においては読み出されることはない。
【0050】
このように、この情報記録再生装置200は、ECCブロック10を誤り訂正しつつ再生を行う通常の再生処理においては、秘匿データを読み出させないように、特定ECCブロック10Pを情報記録媒体300に記録するようになっている。
【0051】
その一方、この情報記録再生装置200は、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれる前の特定ECCブロック10Pの元データを失わせることなく情報記録媒体300に記録しているので、この元データを利用することによってコンテンツデータを再生することができるようになっている。
【0052】
すなわち、この情報記録再生装置200は、特定ECCブロック10Pに誤りデータ及び秘匿データを埋め込んだとしても、元データに基づいて当該特定ECCブロック10Pに含まれるコンテンツデータを取得することができるようになっている。
【0053】
したがって、情報記録再生装置200は、後発的な要因によって記録された各データの誤りが増加した場合であっても、故意に誤りを埋め込んだことによる誤り耐性の劣化がなく、適切に再生することができる。
【0054】
(情報記録媒体)
次に、上記の図1及び図2を用いて本実施形態における情報記録媒体300の具体的な構成について説明する。なお、図2は、本実施形態における記録再生単位、すなわち、ECCブロック10の構成を示す図である。
【0055】
本実施形態の情報記録媒体300は、図1に示すように、例えば、Blue−rayやDVDなどの光ディスクであって、主として管理データが記録されるリードイン領域320及びリードアウト領域330と、コンテンツデータが記録されるユーザデータ領域310及び代替領域340と、から構成される。
【0056】
リードイン領域320及びリードアウト領域には、ECCブロック単位によって記録再生される領域であって、コンテンツデータの記録再生を管理するための管理データを格納する管理データ領域が設けられる。また、本実施形態においては、情報記録媒体300は、説明の観点から一層の層構造を有しているが、2層以上の層構造を有していてもよい。また、情報記録媒体300が2層以上の層構造を有している場合には、リードイン領域320及びリードアウト領域330などは適宜該当する層に設けられている。
【0057】
リードイン領域320は、情報記録媒体300のデータを記録するための領域における最内周に設けられる。また、このリードイン領域320には、DMA(Defect Management Area)と呼ばれる欠陥登録を管理する欠陥管理領域(以下、「DMA」という。)が形成されている。 また、リードアウト領域330は、情報記録媒体300のデータを記録するための領域における最外周に設けられ、コンテンツデータの記録終端を示す領域である。また、このリードアウト領域330には、リードイン領域320と同様の管理データなどの各種のデータが記録されていてもよい。
【0058】
DMAには、コンテンツデータを正常に記録できないユーザデータ領域310内の欠陥領域のアドレス情報(以下、「欠陥アドレス」という。)と、当該欠陥領域に記録できなかったコンテンツデータが代替記録される代替領域340のアドレスデータ(以下、「代替アドレス」という。)などの管理データが記録されている。特に、欠陥アドレス及び代替アドレスとしては、欠陥領域または代替領域340のECCブロックアドレスがそれぞれ含まれている。
【0059】
すなわち、情報記録媒体300においては、指定された領域へのECCブロック10の記録が失敗した場合に、その領域を欠陥領域として当該領域のアドレスデータがDMAに記録されるようになっている。また、記録できなかったECCブロック10が代替領域340の所定領域に記録されるとともに、その代替領域340の所定領域のアドレスデータがDMAに記録されるようになっている。
【0060】
そして、代替領域340の所定領域にECCブロック10が記録されている場合であって当該コンテンツデータを再生するために上記欠陥領域のアドレスが指定された場合には、欠陥領域のECCブロック10が読み取られずに、DMAに記録されているアドレスデータに基づいて、代替領域340の所定領域に記録されているECCブロック10が読み取られるようになっている。
【0061】
特に、本実施形態においては、上述のように、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれた特定ECCブロック10Pが記録されるユーザデータ領域310(具体的には、その領域に関連付けられたECCブロックアドレス)についても欠陥登録される。したがって、DMAに当該特定ECCブロック10Pが記録されるべきアドレスと、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれる前の特定ECCブロック10Pの元データが記録される代替領域340のアドレスと、が欠陥管理領域に記録されるようになっている。そして、代替領域340には、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれる前の特定のECCブロック10の元データが記録されるようになっている。
【0062】
ユーザデータ領域310には、リードイン領域320と同様に、ECCブロック10毎に、オーディオデータ又は映像データなどの各種のコンテンツデータが記録されるようになっている。また、代替領域340には、欠陥登録されたユーザデータ領域310に記録されるべきECCブロックデータ10がECCブロック10毎に記録されるようになっている。そして、記録されるECCブロック10は、ユーザデータ領域310に記録されるものと基本的には同じデータ構造のECCブロック10が記録される。ただし、この代替領域340には、欠陥登録されてユーザデータ領域310に記録できなかったECCブロック10が記録される。
【0063】
例えば、情報記録媒体300に記録されるECCブロック10は、図2に示すように、208バイト×182バイトの37856バイトの行列のデータから形成される。具体的には、このECCブロック10には、コンテンツそのものに関するデータが格納される2048バイトのコンテンツデータと、当該コンテンツデータに対して当該ECCブロック10の論理アドレスまたは論理的属性を表すデータを含む16バイトの制御データと、が実データ11として記録される。
【0064】
また、各ECCブロック10においては、12バイト(行)×172バイト(列)に配列させた16個のセクタから形成されており、192バイト(行)×172バイト(列)によって実データ11が配列されている。
【0065】
各ECCブロック10には、列方向に、192バイトに対してリードソロモン符号によって16バイトの誤り訂正コード12aが付加されているとともに、行方向に、付加した誤り訂正コード12aの行も含めて、172バイトに対して同様に10バイトの誤り訂正コード12bが付加されている。
【0066】
特に、本実施形態においては、ユーザデータ領域310に記録される特定ECCブロック10Pには、誤りデータ及び秘匿データを埋め込むためのデータ値の置換が実行されるようになっている。例えば、特定ECCブロック領域に記録される特定ECCブロック10Pは、上記のように形成されたECCブロック10に誤り訂正不能となるように誤りデータとして17行×6バイトの計102バイトが埋め込まれるとともに、16バイトの秘匿データが埋め込まれて形成されるようになっている。
【0067】
具体的には、特定ECCブロック領域に記録された特定ECCブロック10Pが再生時に誤り訂正不能となるように、当該特定ECCブロック10Pには、208行の中から17行が当該特定ECCブロック10Pの中から選択され、選択された各行内の6バイトのデータ値に対して、元のバイトのデータ値と異なる値が誤りデータとして埋め込まれるようになっている。
【0068】
また、当該選定された特定ECCブロック10Pの中から誤りデータが埋め込まれたバイトと異なる所定のバイトデータが選択され、当該特定ECCブロック10Pに、選択された各バイトのデータ値に対して、秘匿データの各データ値が埋め込まれるようになっている。
【0069】
なお、秘匿データは、暗号化されていてもよいし、暗号化されていなくてもよい。また、秘匿データは、ECCブロック10内において連続して、すなわち、隣接する連続した16バイトのバイトデータに置換するように埋め込まれてもよいし、秘匿データを構成する各データ値がランダムに選定された16バイトに対してデータ値を置換するように埋め込まれてもよい。ただし、誤りデータ位置を秘匿データ位置と重複しないよう選定される。
【0070】
(情報記録再生装置)
次に、上記の図1を用いて本実施形態における情報記録再生装置200の構成について説明する。
【0071】
本実施形態の情報記録再生装置200は、通信インターフェース210と、一時保持手段220と、ECC生成手段230と、特別情報埋め込み手段240と、記録再生手段250と、秘匿データ抽出手段260と、ECC訂正手段270と、埋め込み位置選定手段280と、記録再生制御手段290と、を有している。
【0072】
通信インターフェース210は、例えばパーソナルコンピュータなどの情報記録再生装置200を制御する上位の制御装置100と通信回線を介して接続され、当該制御装置100とのデータの授受その他の通信を行うようになっている。具体的には、この通信インターフェース210は、情報記録媒体300に対するコンテンツデータの記録再生時に、制御装置100と秘匿データの授受を行うようになっている。
【0073】
また、通信インターフェース210は、制御装置100との間において、相互認証、伝送データの暗号化などの第三者に秘匿データが漏洩しない伝送方法によって通信を行うようになっている。
【0074】
なお、情報記録媒体300にコンテンツデータを記録する際に制御装置100から取得した秘匿データは、記録再生制御手段290に保持されるようになっている。
【0075】
一時保持手段220は、情報記録媒体300の再生を行う際に情報記録媒体300から読み出したコンテンツデータを一時的に格納するようになっている。また、この一時保持手段220は、情報記録媒体300にコンテンツデータを記録する際に、記録すべきコンテンツデータを一時的に格納するようになっている。
【0076】
ECC生成手段230は、コンテンツデータの情報記録媒体300への記録を行う際に、一時保持手段220に保持された記録すべきコンテンツデータを取得し、当該取得したコンテンツデータからECCブロック10を生成するための予め定められたデータ処理を実行するようになっている。
【0077】
例えば、このECC生成手段230は、上述のようなECCブロック10を生成するために、記録すべきコンテンツデータをECCブロック10毎に分割して制御データを付加して実データ11を生成し、生成した実データ11に各誤り訂正コード12を付加してECCブロック10を生成するようになっている。
【0078】
埋め込み位置選定手段280は、情報記録媒体300の記録再生時に、保持している固有識別情報に基づいて、誤りデータと秘匿データを埋め込むための特定ブロックアドレス、または、これらのデータが埋め込まれた特定ブロックアドレスを選定するようになっている。そして、この埋め込み位置選定手段280は、選定した特定ブロックアドレスを記録再生制御手段290に出力するようになっている。
【0079】
この埋め込み位置選定手段280は、情報記録再生装置200を製造したメーカの識別情報、当該メーカにおいて製品種別毎に付与された製品種別の情報、または、この情報記録再生装置200の製造番号を固有識別情報として用いるようになっている。
【0080】
例えば、この埋め込み位置選定手段280は、記録再生制御手段290その他の手段に記憶されているこれらの固有識別情報(以下、「装置識別情報」という。)の少なくとも何れかを取得して固有識別情報として保持するようになっている。
【0081】
なお、この埋め込み位置選定手段280は、上述のように、装置識別情報に代えて、コンテンツデータの再生の対象となる情報記録媒体300に予め記録されている識別番号などの当該情報記録媒体300を管理するための媒体識別情報を固有識別情報として用いてもよい。なお、この場合には、媒体識別情報は、情報記録媒体300から読み出して取得するようになっている。
【0082】
また、埋め込み位置選定手段280は、上述のように、装置識別情報または媒体識別情報に代えて、図示しないインターネットなどの制御装置100に接続された通信手段またはキーボードその他の制御装置100に接続された入力手段を介して取得されたユーザを識別するためのユーザ識別情報を固有識別情報として用いてもよい。
【0083】
一方、この埋め込み位置選定手段280は、保持している固有識別情報に基づいて、予め定められた所定の擬似乱数列を生成する演算処理を実行するようになっている。そして、この埋め込み位置選定手段280は、当該演算処理によって生成された擬似乱数列の予め定められた場所から必要な長さのデータを取得することによって特定ブロックアドレスを定めるようになっている。
【0084】
なお、この擬似乱数列は、予測可能な数列であるので、初期値(シード)が同一であれば、同一の数列を得ることができるようになっている。したがって、固有識別情報が、コンテンツデータの情報記録媒体300に対する記録時及び再生時で同一であれば、同一の特定ブロックアドレスが選定されるようになっている。
【0085】
例えば、この埋め込み位置選定手段280は、線形帰還シフトレジスタを用いることによって擬似乱数列を生成するようになっている。すなわち、この埋め込み位置選定手段280は、線形帰還シフトレジスタの初期値をシードとし、保持している固有識別情報または固有識別情報を加工した数値を線形帰還シフトレジスタのシードとして与えて擬似乱数列を得るようになっている。
【0086】
特に、この線形帰還シフトレジスタは、その値を構成するビット列の一部の排他的論理和を入力ビットとするシフトレジスタである。したがって、この埋め込み位置選定手段280は、この線形帰還シフトレジスタを用いることによって容易に擬似乱数列を生成することができるようになっている。
【0087】
なお、線形帰還シフトレジスタの取りうる状態は有限個であるが、構成によって十分実用的な擬似乱数列が生成される。また、本実施形態においては、得られた特定ブロックアドレスが許容できないものであれば、その後に続く擬似乱数列を用いるようになっている。
【0088】
さらに、埋め込み位置選定手段280は、特定ブロックアドレスを選定すると、保持している固有識別情報と当該選定された特定ブロックアドレスに基づいて、上述と同様の擬似乱数列の演算処理を実行するようになっている。
【0089】
そして、この埋め込み位置設定手段は、特定ブロックアドレスが選定されると、当該特定ブロックアドレスに該当する領域、すなわち、特定ECCブロック領域に記録される特定ECCブロック10Pに対して、誤りデータ列と、埋め込み位置選定手段280によって設定された誤りデータ列及び誤りデータを埋め込む位置(以下、「誤りデータ位置」という。)と、秘匿データを埋め込む位置(以下、「秘匿データ位置」という。)と、を選定するようになっている。
【0090】
また、この埋め込み位置選定手段280は、コンテンツデータを情報記録媒体300に記録する際には特別情報埋め込み手段240に、情報記録媒体300を再生する際には秘匿データ抽出手段260に、選定した誤りデータ列とともに、誤りデータ位置及び秘匿データ位置を情報(以下、「誤りデータ位置情報」及び「秘匿データ位置情報」という。)として出力するようになっている。
【0091】
具体的には、この埋め込み位置選定手段280は、保持している固有識別情報に対象となる特定ブロックアドレスを加えた数値に基づいて、上述と同一の処理によって擬似乱数列を生成するようになっている。そして、この埋め込み位置選定手段280は、当該擬似乱数列の予め定められた場所から必要な長さのデータを取得することによって、誤りデータ位置及び秘匿データ位置を選定するようになっている。
【0092】
例えば、この埋め込み位置選定手段280は、擬似乱数列の予め定められた場所から1バイトずつ、17個の行番号と、102個の行内バイト番号を取得するとともに、102個の誤りデータ値を取得して誤りデータ位置を取得するようになっている。
【0093】
また、この埋め込み位置選定手段280は、16個の行番号と列番号の組を擬似乱数列から誤りデータ位置に続けて秘匿データを埋め込む特定ECCブロック10P内の秘匿データ位置を取得するようになっている。
【0094】
なお、上述の特定ブロックアドレスと同様に、得られた位置が許容できないものであれば、その後に続く擬似乱数列を用いるようになっている。また、埋め込み位置選定手段280は、誤りデータ位置及び秘匿データ位置とも、208以上の行番号若しくは182以上の列番号の数値が得られた場合には、または、行番号及び列番号の重複が生じた場合には、順次ずらして取得するようになっている。
【0095】
特別情報埋め込み手段240は、記録再生制御手段290によって設定された秘匿データを一時的に保持するとともに、埋め込み位置選定手段280によって設定された誤りデータ位置情報及び秘匿データ位置情報を一時的に保持するようになっている。
【0096】
また、この特別情報埋め込み手段240は、保持する特定ブロックアドレスに基づいて、該当する領域、すなわち、特定ECCブロック領域に記録されているECCブロック10を特定ECCブロック10Pとして取得するようになっている。例えば、この特別情報埋め込み手段240は、既に情報記録媒体300に記録されている特定ブロックアドレスが示す特定ECCブロック領域ECCに記録されているECCブロック10を、記録再生手段250を介して特定ECCブロック10Pとして取得するようになっている。そして、この特別情報埋め込み手段240は、誤りデータ位置情報及び秘匿データ位置情報に基づいて、取得した特定ECCブロック10Pに対して誤りデータと秘匿データを埋め込むようになっている。
【0097】
具体的には、この特別情報埋め込み手段240は、誤りデータ位置情報及び秘匿データ位置情報に基づいて、取得した特定ECCブロック10P内の埋め込み対象位置のデータバイトを特定し、当該特定されたデータバイトを誤りデータ列と秘匿データのデータ値に置換することによって、誤りデータと秘匿データの埋め込みを行っている。
【0098】
特に、この特別情報埋め込み手段240は、選定された特定ECCブロック10Pを再生時に訂正不能とするために、誤りデータ列に基づいて、特定ECCブロック10P内の埋め込み対象位置のデータバイトを当該データバイトの元の値と異なるデータ値を誤りデータとして埋め込むようになっている。
【0099】
なお、この特別情報埋め込み手段240は、埋め込んだ秘匿データが後発的な誤りによって再現できなくなることを避けるため、秘匿データに誤り訂正コードを含ませて特定ブロックアドレスに対応する特定ECCブロック10P内の所定の位置に当該秘匿データを埋め込むようにしてもよい。
【0100】
例えば、特別情報埋め込み手段240は、記録再生制御手段290によって設定された10バイトの秘匿データに対して6バイトの誤り訂正コードを生成して付加し、計16バイトの秘匿データを埋め込むようにしてもよい。
【0101】
記録再生手段250は、記録再生制御手段290の指令に基づいて、情報記録媒体300(具体的には各領域)に管理データ、秘匿データ及びコンテンツデータなどの各種のデータの書き込み(記録)及び読み出し(再生)を行うようになっている。
【0102】
秘匿データ抽出手段260は、情報記録媒体300を再生する際に、上述のように埋め込み位置選定手段280によって設定された誤りデータ列、誤りデータ位置情報及び秘匿データ位置情報を取得し、一時的に保持するようになっている。
【0103】
また、この秘匿データ抽出手段260は、情報記録媒体300が再生された際に、埋め込み位置設定手段によって選定された特定ブロックアドレスに基づいて、情報記録媒体300の特定ECCブロック領域から該当するECCブロック10、すなわち、特定ECCブロック10Pを取得するようになっている。そして、この秘匿データ抽出手段260は、保持している秘匿データ位置情報に基づいて、特定ECCブロック10Pから秘匿データを抽出し、一時的に保持するようになっている。
【0104】
特に、この秘匿データ抽出手段260は、秘匿データを抽出する際に、秘匿データに誤り訂正コードが含まれている場合には誤り訂正を施すようになっている。また、本実施形態においては、この秘匿データ抽出手段260は、誤り訂正可能であるときには正しい秘匿データを得ること、誤り訂正不能であるときには正しい秘匿データが得られなかったこと判別することができるようになっている。
【0105】
なお、特定ECCブロック10Pが記録されるコンテンツ領域310の一部、すなわち、特定ECCブロック領域は、欠陥登録されている。したがって、特定ECCブロック10Pは、コンテンツデータの再生時には読み出されずに、代替領域340に記録された元データを有するECCブロック10(誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれていない特定ECCブロックのデータ)が読み出されるが、この秘匿データ抽出手段260は、欠陥登録の有無に関係なく、特定ブロックアドレスに対応する特定ECCブロック領域に記録された特定ECCブロック10Pを取得するようになっている。
【0106】
ECC訂正手段270は、情報記録媒体300の再生時などに記録再生手段250によって読み出された各ECCブロック10の誤り訂正を行い、予め定められたデータ処理、例えば、訂正コード12の除去を施すようになっている。ただし、このECC訂正手段270は、情報記録媒体300を再生する際に秘匿データを抽出するために用いた特定ECCブロック10Pについては誤り訂正を行わないようになっている。
【0107】
記録再生制御手段290は、制御装置100からの記録再生要求に従って、情報記録媒体300におけるコンテンツデータ及び管理データの記録再生を制御するようになっている。そして、この記録再生制御手段290は、制御装置100が指定した記録再生対象のアドレスを情報記録媒体300上の物理アドレスに変換して各データの記録及び再生を行うようになっている。また、この記録再生制御手段290は、情報記録媒体300に対するコンテンツデータの記録または再生の際には、情報記録媒体300における欠陥代替情報を保持しつつ、その管理を行っている。
【0108】
特に、この記録再生制御手段290は、コンテンツデータを情報記録媒体300に記録する際には、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれた特定ECCブロック10Pのアドレス(特定ブロックアドレス)を取得するようになっている。
【0109】
そして、この記録再生制御手段290は、特定ECCブロック10Pが記録されるコンテンツ領域310の一部(特定ECCブロック領域)については欠陥であるものとして登録し、記録再生手段250に、情報記録媒体300の代替領域340に誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれていない特定ECCブロック10Pの元のデータを記録させるようになっている。すなわち、この記録再生制御手段290は、記録再生手段250に、誤りデータ及び秘匿データを埋め込むことなく、実データ11に訂正コード12が付加されたECCブロック10を情報記録媒体300の代替領域340に記録させるようになっている。
【0110】
また、この記録再生制御手段290は、特別情報埋め込み手段240を動作させて欠陥として登録される特定ECCブロック領域に記録される特定ECCブロック10Pに対して誤りデータと秘匿データを埋め込ませるようになっている。また、この記録再生制御手段290は、記録再生手段250に、特定ECCブロック領域へ誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれた特定ECCブロック10Pを記録させるようになっている。
【0111】
一方、この記録再生制御手段290は、情報記録媒体300を再生する際には、埋め込み位置選定手段280によって選定された特定ブロックアドレスを取得し、秘匿データ抽出手段260に当該特定ブロックアドレスに対応する特定ECCブロック領域に記録された特定ECCブロック10Pから秘匿データを抽出させるようになっている。
【0112】
(秘匿データ記録処理)
次に、図3を用いて本実施形態の情報記録再生装置200において秘匿データを記録する処理(以下、「秘匿データ記録処理」という。)の動作について説明する。なお、図3は、本実施形態における情報記録再生装置200の秘匿データ記録処理の動作を示すフローチャートである。
【0113】
本動作においては、コンテンツデータが情報記録媒体300に既に記録されているものとし、固有識別情報が埋め込み位置選定手段280に予め保持されているものとする。また、制御装置100と情報記録再生装置200との間には相互認証、伝送データ暗号化などで第三者に秘匿データが漏洩しない伝送方法が既に確立されているものとする。
【0114】
まず、記録再生制御手段290が、通信インターフェース210を介して制御装置100によって秘匿データとともに秘匿データ記録処理を実行する旨の指令を受信すると(ステップS100)、記録再生制御手段290は、取得した秘匿データを特別情報埋め込み手段240に設定する(ステップS101)。
【0115】
次いで、記録再生制御手段290は、埋め込み位置選定手段280に特定ブロックアドレスと、誤りデータ列、誤りデータ位置及び秘匿データ位置と、を選定させるとともに、選定された特定ブロックアドレスを取得する(ステップS102)。このとき、埋め込み位置選定手段280は、特別情報埋め込み手段240に選定された誤りデータ列、誤りデータ位置及び秘匿データ位置を設定する。
【0116】
次いで、記録再生制御手段290は、記録再生手段250に対して、ステップS102において埋め込み位置選定手段280から取得した特定ブロックアドレスに対応する特定ECCブロック領域を再生させる(ステップS103)。このとき、記録再生手段250は、再生することによって取得したECCブロック10を秘匿データ抽出手段260に出力する。なお、特定ECCブロック10Pを形成する実データ11を取得するため、記録再生制御手段290は、記録再生手段250に特定ECCブロック領域を再生させる。
【0117】
次いで、記録再生制御手段290は、秘匿データ抽出手段260に再生により特定ECCブロック領域から取得したECCブロック10をECC訂正手段270に出力させる(ステップS104)。
【0118】
次いで、ECC訂正手段270は、誤り訂正処理などの再生により取得したECCブロック10に関する実データ11を所得するための所定の処理を行うとともに、取得した実データ11を一時保持手段220に出力する(ステップS105)。
【0119】
次いで、一時保持手段220は、出力された実データ11を格納するとともに(ステップS106)、記録再生制御手段290は、未だコンテンツデータが記録されていない所定の代替領域340を選定する(ステップS107)。
【0120】
次いで、記録再生制御手段290は、ステップS105において一時保持手段220に保持された実データ11をECC生成手段230へ出力させる(ステップS108)。
【0121】
次いで、ECC生成手段230は、入力された実データ11に対して誤り訂正コード12の付加処理などの所定の処理を実行してECCブロック10を生成し、特別情報埋め込み手段240に当該生成したECCブロック10を出力する(ステップS109)。
【0122】
次いで、記録再生制御手段290は、特別情報埋め込み手段240に、ECC生成手段230によって生成されたECCブロック10、すなわち、未だ誤りデータ及び秘匿データを埋め込まれていない特定ECCブロック10Pの元データであるECCブロック10を記録再生手段250に出力させる(ステップS110)。
【0123】
次いで、記録再生制御手段290は、記録再生手段250に対して、ステップS107において情報記録媒体300の選定された代替領域340にステップS110において取得させたECCブロック10(特定ECCブロックの元データであるECCブロック10)を記録させる(ステップS111)。
【0124】
次いで、記録再生制御手段290は、ステップS102において埋め込み位置選定手段280から取得した特定ブロックアドレスに対応する特定ECCブロック領域を欠陥として登録するとともに、ステップS107において選定した代替領域340を代替先として登録する欠陥登録を行う(ステップS112)。このとき、記録再生手段250は、欠陥登録された欠陥管理情報を情報記録媒体300の所定の領域(例えば、DMA)に記録する。
【0125】
次いで、記録再生制御手段290は、ステップS106において一時保持手段220に保持させた実データ11をECC生成手段230に再度出力させる(ステップS113)。
【0126】
次いで、ECC生成手段230は、実データ11に誤り訂正コード12の付加処理などの所定の処理を実行して特定ECCブロック10Pを生成し、特別情報埋め込み手段240に生成した特定ECCブロック10Pを出力する(ステップS114)。
【0127】
次いで、記録再生制御手段290は、特別情報埋め込み手段240に、ステップ102において選定された誤りデータ列、誤りデータ位置及び秘匿データ位置に基づいて入力された特定ECCブロック10Pに誤りデータと秘匿データを埋め込ませ、当該特定ECCブロック10Pを記録再生手段250に出力させる(ステップS115)。
【0128】
最後に、記録再生制御手段290は、記録再生手段250に、ステップS102おいて取得した特定ブロックアドレスに対応するユーザデータ領域310(すなわち、特定ECCブロック領域)に、S115において誤りデータと秘匿データが埋め込まれた特定ECCブロック10Pを記録させ(ステップS116)、本動作を終了させる。
【0129】
(秘匿データ抽出処理)
次に、図4を用いて本実施形態の情報記録再生装置200において秘匿データを抽出する処理(以下、「秘匿データ抽出処理」という。)の動作について説明する。なお、図4は、本実施形態における情報記録再生装置200の秘匿データ抽出処理の動作を示すフローチャートである。
【0130】
本動作において、記録再生手段250に記録されたコンテンツデータが読み取り可能に情報記録媒体300が既に格納されているものとし、固有識別情報は既に情報記録再生装置200に取得されているものとする。また、制御装置100と情報記録再生装置200との間には相互認証、伝送データ暗号化などで第三者に秘匿データが漏洩しない伝送方法が既に確立されているものとする。
【0131】
まず、記録再生制御手段290が、通信インターフェース210を介して制御装置100から秘匿データ抽出処理を実行する旨の指令を受信すると(ステップS200)、記録再生制御手段290は、埋め込み位置選定手段280に特定ブロックアドレスを選定させて取得する(ステップS201)。
【0132】
このとき、埋め込み位置選定手段280は、特定ブロックアドレスとともに誤りデータ列、誤りデータ位置及び秘匿データ位置とを選定し、選定した誤りデータ列、誤りデータ位置及び秘匿データ位置を秘匿データ抽出手段260に設定する。
【0133】
次いで、記録再生制御手段290は、記録再生手段250に対して、ステップS201において取得した特定ブロックアドレスに対応する情報記録媒体300のユーザデータ領域310(特定ECCブロック領域)に記録されているECCブロック10(特定ECCブロック10P)を再生させる(ステップS202)。このとき、記録再生手段250は、再生した特定ECCブロック10Pを秘匿データ抽出手段260に出力する。
【0134】
次いで、記録再生制御手段290は、秘匿データ抽出手段260に、再生した特定ECCブロック10Pから秘匿データを抽出させる(ステップS203)。このとき、秘匿データ抽出手段260は、ステップS201において設定された秘匿データ位置を用いて、秘匿データを抽出する。なお、秘匿データ抽出手段260は、ECC訂正手段270に特定ECCブロック10Pを出力しない。
【0135】
最後に、記録再生制御手段290は、通信インターフェース210を介して、制御装置100に取得した秘匿データを送信し(ステップS204)、本動作を終了させる。
【0136】
(作用効果)
以上本実施形態の情報記録再生装置200は、コンテンツデータを形成する特定ECCブロック10Pに秘匿データを埋め込ませ、当該特定ECCブロック10Pを再生時訂正不能となるように情報記録媒体300に記録することができる。
【0137】
すなわち、ECCブロック10を誤り訂正しつつ再生を行う通常の再生処理においては、秘匿データが記録された特定ECCブロック10Pに対しては誤り訂正が機能せずにECCブロック10は、情報記録媒体300から再生されない。
【0138】
したがって、この情報記録再生装置200は、情報記録媒体300の再生時に特定ECCブロック10Pのアドレスとそのブロック内の秘匿データの位置を特定しないかぎり秘匿データが読み出せないように(言い換えれば、不正な再生では秘匿データを取得されないように)、当該秘匿データを記録することができる。
【0139】
また、この情報記録再生装置200は、コンテンツデータの記録時と再生時において同一の特定ブロックアドレス及び当該特定ブロックアドレス内の秘匿データの位置を特定することができるので、ユーザデータ領域310のECCブロック10であればいずれのECCブロック10にも秘匿データを埋め込むことができる。
【0140】
したがって、この情報記録再生装置200は、秘匿データを記録する位置を固定することなく情報記録媒体300に記録することができるので、より安全に当該秘匿データを秘匿することができる。
【0141】
この結果、この情報記録再生装置200は、後発的な誤りの数による影響を受けにくく、安定に秘匿データを秘匿することができるとともに、誤り訂正不能である特定のブロックのデータは外部に出力されることなく、より安全に当該秘匿データを秘匿させることができるので、コンテンツデータの不正利用を防止することができる。
【0142】
(変形例)
なお、本実施形態の特別情報埋め込み手段240は、誤りデータを埋め込む際には、誤りデータそのもので置換する代わりに、埋め込み対象位置の元のデータバイトのデータ値と誤りデータのデータ値を用いた演算結果の値を埋め込み対象位置のデータバイトに置換して埋め込みを行ってもよい。
【0143】
この場合には、選定された誤りデータ列に基づいて、誤りデータが埋め込まれる前の元のデータを復元させることができる。そして、秘匿データが誤り訂正可能なように特定ECCブロック10Pに埋め込まれていれば、この誤りデータの元のデータが復元された特定ECCブロック10Pの誤り訂正が行われると、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれる前のECCブロック10のデータが復元することとなる。したがって、上述のような欠陥登録をしなくても、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれたECCブロック10のコンテンツデータを取得することができる。
【0144】
なお、本実施形態にいては、欠陥登録及び欠陥登録された領域に記録されるべきECCブロック10の代替記録が、ユーザデータ領域310に対してのみ実行されているが、ユーザデータ領域310に加えて代替領域340に対して実行されてもよい。
【0145】
また、埋め込み位置選定手段280が保持している固有識別情報を、上位の制御装置100が書き換えられるように構成してもよい。この場合には、記録再生制御手段290は、通信インターフェース210を介して受信した制御装置100からの指令に基づいて、受信した書き換える固有識別情報を埋め込み位置選定手段280に設定するようになっている。
【0146】
また、誤りデータと秘匿データを埋め込む複数のECCブロック10を設けてもよい。この場合には、一つのECCブロック10に埋め込む秘匿データのデータ量が多い場合には、秘匿データが複数のECCブロック10に分割されて埋め込まれてもよいし、秘匿データが後発的欠陥によって抽出できなくなることを避けるため、秘匿データを異なるECCブロック10に多重化して埋め込まれてもよい。
【0147】
この場合には、秘匿データ記録処理においては、ステップS102からステップS116までを、記録することが必要な秘匿データを全て埋め込まれるまで繰り返すようになっている。そして、秘匿データ抽出処理においては、ステップS201〜ステップS203の処理を繰り返し、秘匿データを全て取得することができた際にステップS204を実行するようになっている。
【0148】
また、本実施形態の情報記録再生装置200と情報記録媒体300は、光ディスク記録再生装置及び光ディスクなどそれぞれ物理的に分離可能なものを用いて説明しているが、半導体メモリ装置に内蔵されている半導体メモリのように物理的に分離できないものについても適用することができる。
【0149】
この場合には、半導体メモリにリードイン領域320及びリードアウト領域330に代えて、所定の領域に管理データ領域が形成されている。
【0150】
また、本実施形態の情報記録媒体300は、同一の情報記録再生装置200においてコンテンツデータの記録及び再生を行うように説明しているが、他の正規な情報記録再生装置によって記録された情報記録媒体の再生または他の正規な情報記録再生装置によって再生させるために情報記録媒体300にコンテンツデータを記録することができるようになっている。
【0151】
また、情報記録媒体300に対してコンテンツデータの記録再生を行う情報記録再生装置200を用いているが、情報記録媒体300を再生するのみの機能を有する再生装置、または、情報記録媒体300にコンテンツデータを記録するのみの機能を有する記録装置に対しても適用可能である。
【0152】
<第2の実施の形態>
次に、図5を用いて本発明に係る情報記録再生装置200及び情報記録媒体300の第2実施形態について説明する。
【0153】
本実施形態の情報記録再生装置200は、第1実施形態において誤りデータと秘匿データを埋め込む特定ECCブロック10Pをユーザデータ領域310に記録する点に代えてリードイン領域320またはリードアウト領域330などの管理データ領域に記録する点に特徴がある。
【0154】
なお、その他の情報記録再生装置200の構成、ECCブロック10及びECCブロックデータ10Pのデータ構成及び情報記録媒体300の構成は、第1実施形態と同様であり、同一の部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0155】
(情報記録媒体)
次に、本実施形態の情報記録媒体300の構成について説明する。
【0156】
本実施形態の情報記録媒体300は、第1実施形態と同様に、ユーザデータ領域310及び代替領域340のコンテンツデータの他に、リードイン領域320及びリードアウト領域330の管理データ領域を有している。そして、この管理データ領域には、記録再生単位のECCブロック10毎に位置を表す物理アドレスとともに種々の管理データが記録される。
また、この管理データ領域には、後発的な誤りの発生に備えて、同一の内容の管理データが複数のECCブロック領域に多重化されて記録されている。
【0157】
したがって、特定ECCブロック10Pに誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれて再生時に謝り訂正不能となった場合であっても、管理データ領域における他のECCブロック10から同一の内容の管理データを取得することができるようになっている。
【0158】
(情報記録再生装置)
次に、本実施形態の情報記録再生装置200の構成について説明する。
【0159】
本実施形態の情報記録再生装置200は、第1実施形態と同様に、通信インターフェース210と、一時保持手段220と、ECC生成手段230と、特別情報埋め込み手段240と、記録手段と、再生手段と、秘匿データ抽出手段260と、ECC訂正手段270と、埋め込み位置選定手段280と、記録再生制御手段290と、を有している。
【0160】
埋め込み位置選定手段280は、保持している固有識別情報に基づいて、誤りデータと秘匿データを埋め込む特定ECCブロック10Pのアドレス、すなわち、特定ブロックアドレスを、管理データ領域の中から選定するようになっている。
【0161】
そして、この埋め込み位置選定手段280は、保持している固有識別情報と選定した特定ブロックアドレスに基づいて、誤りデータ列、誤りデータを埋め込む特定ECCブロック10P内の位置及び秘匿データを埋め込む特定ECCブロック10P内の位置を選定するようになっている。
【0162】
(秘匿データ記録処理)
次に、図5を用いて本実施形態の情報記録再生装置200において秘匿データを記録する処理(以下、「秘匿データ記録処理」という。)の動作について説明する。なお、図5は、本実施形態における情報記録再生装置200の秘匿データ記録処理の動作を示すフローチャートである。
【0163】
本動作においては、コンテンツデータが情報記録媒体300に既に記録されているものとし、固有識別情報が埋め込み位置選定手段280に予め保持されているものとする。また、制御装置100と情報記録再生装置200との間には相互認証、伝送データ暗号化などで第三者に秘匿データが漏洩しない伝送方法が既に確立されているものとする。
【0164】
まず、記録再生制御手段290が、通信インターフェース210を介して制御装置100によって秘匿データとともに秘匿データ記録処理を実行する旨の指令を受信すると(ステップS300)、記録再生制御手段290は、取得した秘匿データを特別情報埋め込み手段240に設定する(ステップS301)。
【0165】
次いで、記録再生制御手段290は、埋め込み位置選定手段280に特定ブロックアドレスと、誤りデータ列、誤りデータ位置及び秘匿データ位置と、を選定させるとともに、選定された特定ブロックアドレスを取得する(ステップS302)。このとき、埋め込み位置選定手段280は、特別情報埋め込み手段240に選定された誤りデータ列、誤りデータ位置及び秘匿データ位置を選定する。
【0166】
次いで、記録再生制御手段290は、記録再生手段250に対して、ステップS302において埋め込み位置選定手段280から取得した特定ブロックアドレスに対応する特定ECCブロック領域を再生させる(ステップS303)。このとき、記録再生手段250は、再生したECCブロック10データを秘匿データ抽出手段260に出力する。
【0167】
次いで、記録再生制御手段290は、記録再生手段250に対して、ステップS302において埋め込み位置選定手段280から取得した特定ブロックアドレスに対応する特定ECCブロック領域を再生させる(ステップS304)。このとき、記録再生手段250は、再生することによって取得したECCブロック10を秘匿データ抽出手段260に出力する。なお、特定ECCブロック10Pを形成する実データ11を取得するため、記録再生制御手段290は、記録再生手段250に特定ECCブロック領域を再生させる。
【0168】
次いで、ECC訂正手段270は、ECC訂正処理などの再生により取得したECCブロック10から実データ11を取得するための所定の処理を行うとともに、取得した実データ11を一時保持手段220に伝送する(ステップS305)。
【0169】
次いで、一時保持手段220は、伝送された実データ11を格納するとともに(ステップS306)、記録再生制御手段290は、ステップS105において一時保持手段220に保持された実データ11をECC生成手段230へ出力させる(ステップS307)。
【0170】
次いで、ECC生成手段230は、入力された実データ11に対して誤り訂正コード12の付加処理などの所定の処理を実行して特定ECCブロック10Pを生成し、特別情報埋め込み手段240に生成した特定ECCブロック10Pを出力する(ステップS308)。
【0171】
次いで、記録再生制御手段290は、特別情報埋め込み手段240に、ステップ302において選定された誤りデータ列、誤りデータ位置及び秘匿データ位置に基づいて入力された特定ECCブロック10Pに誤りデータと秘匿データを埋め込ませ、当該特定ECCブロック10Pを記録再生手段250に出力させる(ステップS309)。
【0172】
最後に、記録再生制御手段290は、記録再生手段250に、ステップS302おいて取得した特定ブロックアドレスに対応する特定ECCブロック領域に、S309において誤りデータと秘匿データが埋め込まれた特定ECCブロック10Pを記録させ(ステップS310)、本動作を終了させる。
(作用効果)
以上本実施形態の情報記録再生装置200は、第1実施形態と同様に、コンテンツデータを形成する特定ECCブロック10Pに秘匿データを埋め込ませ、当該特定ECCブロック10Pを再生時訂正不能となるように情報記録媒体300に記録することができる。
【0173】
すなわち、ECCブロック10を誤り訂正しつつ再生を行う通常の再生処理においては、秘匿データが記録された特定ECCブロック10Pに対しては誤り訂正が機能せずにECCブロック10は、情報記録媒体300から再生されない。
【0174】
したがって、この情報記録再生装置200は、情報記録媒体300の再生時に特定ECCブロック10Pのアドレスとそのブロック内の秘匿データの位置を特定しないかぎり秘匿データが読み出せないように(言い換えれば、不正な再生では秘匿データを取得されないように)、当該秘匿データを記録することができる。
【0175】
また、この情報記録再生装置200は、コンテンツデータの記録時と再生時において同一の特定ブロックアドレス及び当該特定ブロックアドレス内の秘匿データの位置を特定することができるので、管理データ領域のECCブロック10であればいずれのECCブロック10にも秘匿データを埋め込むことができる。
【0176】
したがって、この情報記録再生装置200は、秘匿データを記録する位置を固定することなく情報記録媒体300に記録することができるので、より安全に当該秘匿データを秘匿することができる。
【0177】
この結果、この情報記録再生装置200は、後発的な誤りの数による影響を受けにくく、安定に秘匿データを秘匿することができるとともに、誤り訂正不能である特定のブロックのデータは外部に出力されることなく、より安全に当該秘匿データを秘匿させることができるので、コンテンツデータの不正利用を防止することができる。
【0178】
(変形例)
なお、本実施形態の特別情報埋め込み手段240は、誤りデータを埋め込む際には、誤りデータそのもので置換する代わりに、埋め込み対象位置の元のデータバイトのデータ値と誤りデータのデータ値を用いた演算結果の値を埋め込み対象位置のデータバイトに置換して埋め込みを行ってもよい。
【0179】
この場合には、選定された誤りデータ列に基づいて、誤りデータが埋め込まれる前の元のデータを復元させることができる。そして、秘匿データが誤り訂正可能なように特定ECCブロック10Pに埋め込まれていれば、この誤りデータの元のデータが復元された特定ECCブロック10Pの誤り訂正が行われると、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれる前のECCブロック10のデータが復元することとなる。したがって、上述のような欠陥登録をしなくても、誤りデータ及び秘匿データが埋め込まれたECCブロック10のコンテンツデータを取得することができる。
【0180】
また、埋め込み位置選定手段280が保持している固有識別情報を、上位の制御装置100が書き換えられるように構成してもよい。この場合には、記録再生制御手段290は、通信インターフェース210を介して受信した制御装置100からの指令に基づいて、受信した書き換える固有識別情報を埋め込み位置選定手段280に設定するようになっている。
【0181】
また、誤りデータと秘匿データを埋め込む複数のECCブロック10を設けてもよい。この場合には、一つのECCブロック10に埋め込む秘匿データのデータ量が多い場合には、秘匿データが複数のECCブロック10に分割されて埋め込まれてもよいし、秘匿データが後発的欠陥によって抽出できなくなることを避けるため、秘匿データを異なるECCブロック10に多重化して埋め込まれてもよい。
【0182】
この場合には、秘匿データ記録処理においては、ステップS302からステップS310までを、記録することが必要な秘匿データを全て埋め込まれるまで繰り返すようになっている。
【0183】
また、本実施形態の情報記録再生装置200と情報記録媒体300は、光ディスク記録再生装置及び光ディスクなどそれぞれ物理的に分離可能なものを用いて説明しているが、半導体メモリ装置に内蔵されている半導体メモリのように物理的に分離できないものについても適用することができる。
【0184】
この場合には、半導体メモリにリードイン領域320及びリードアウト領域330に代えて、所定の領域に管理データ領域が形成されている。
【0185】
また、本実施形態の情報記録媒体300は、同一の情報記録再生装置200においてコンテンツデータの記録及び再生を行うように説明しているが、他の正規な情報記録再生装置によって記録された情報記録媒体の再生または他の正規な情報記録再生装置によって再生させるために情報記録媒体300にコンテンツデータを記録するようになっている。
【0186】
また、情報記録媒体300に対してコンテンツデータの記録再生を行う情報記録再生装置200を用いているが、情報記録媒体300を再生するのみの機能を有する再生装置、または、情報記録媒体300にコンテンツデータを記録するのみの機能を有する記録装置に対しても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明は、情報記録媒体に特殊な秘匿領域を設けずに、安定かつ安全にデータを秘匿するとともに、一般的に広く用いられている誤り訂正コードを付加してデータを記録するので、各種の著作物におけるコンテンツデータを記録する種々のストレージ機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0188】
10 … ECCブロック
10P … 特定ECCブロック
11 … 実データ
12 … 訂正コード
100 … 制御装置
200 … 情報記録再生装置
210 … 通信インターフェース
220 … 一時保持手段
230 … ECC生成手段
240 … 特別情報埋め込み手段
250 … 記録再生手段
260 … 秘匿データ抽出手段
270 … ECC訂正手段
280 … 埋め込み位置選定手段
290 … 記録再生制御手段
300 … 情報記録媒体
310 … コンテンツデータ領域
320 … リードイン領域
330 … リードアウト領域
340 … 代替領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを、誤り訂正コードを付加した所定のブロック単位毎に情報記
録媒体に記録する情報記録装置であって、
予め定められた処理に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を選定する第1選定手段と、
前記選定された特定のブロック位置に記録する特定のブロックを誤り訂正不能とするための誤りデータを生成する誤りデータ生成手段と、
前記特定のブロック内に秘匿する秘匿データを取得する秘匿データ取得手段と、
予め定められた処理に基づいて、前記特定のブロック内の前記生成された誤りデータ及び前記取得された秘匿データを埋め込む位置をそれぞれ選定する第2選定手段と、
前記選定された誤りデータ及び秘匿データを埋め込む位置に基づいて、前記特定のブロックに対して、前記誤りデータを埋め込むことで前記特定のブロックを誤り訂正不能と為し、更に前記秘匿データを埋め込む埋め込み手段と、
前記誤りデータ及び前記秘匿データが埋め込まれた前記特定のブロックを前記情報記録媒体上の前記特定のブロック位置に記録する記録手段と、
を備えること特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記録装置において、
所定の識別情報を保持する保持手段を更に備え、
前記第1選定手段が、前記保持された識別情報に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を選定するとともに、
前記第2選定手段が、前記保持された識別情報と前記選定された特定のブロック位置に基づいて、前記生成された誤りデータ及び前記取得された秘匿データを埋め込む位置をそれぞれ選定する情報記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報記録装置において、
前記埋め込み手段が、訂正コードを有する前記秘匿データを前記選定された秘匿データを埋め込む位置に埋め込む情報記録装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報記録装置において、
前記誤りデータ生成手段が、所定のデータ列と前記特定のブロック内の前記選定された誤りデータを埋め込む位置に対応する元データに基づいて前記特定のブロックに埋め込む誤りデータを生成する情報記録装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報記録装置において、
前記第1選定手段が、前記保持された識別情報に基づいて、前記情報記録媒体上に設けられたコンテンツデータを記録するためのコンテンツデータ領域内、または、前記情報記録媒体上に設けられたコンテンツデータの記録再生を管理するための管理データが記録される管理データ領域内の何れかから前記特定のブロック位置を選定する情報記録装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報記録装置において、
前記記録手段が、前記選定された特定のブロックの前記生成された誤りデータ及び前記取得された秘匿データが埋め込まれる前の元データを、前記選定された特定のブロック位置とは異なるブロック位置に記録する情報記録装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の情報記録装置によって記録された情報記録媒体を再生する情報再生装置であって、
予め定められた処理に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を特定する第1特定手段と、
予め定められた処理に基づいて、前記特定のブロック内の秘匿データが埋め込まれた位置を特定する第2特定手段と、
前記選定された特定のブロック位置に記録されている特定のブロックを前記情報記録媒体上の前記選定された特定のブロック位置から再生する再生手段と、
前記選定特定された秘匿データが埋め込まれた位置に基づいて前記特定のブロックから前記秘匿データを抽出する抽出手段と、
を備えること特徴とする情報再生装置。
【請求項8】
コンテンツデータを、誤り訂正コードを付加した所定のブロック単位毎に情報記録媒体に記録するコンテンツデータの記録方法であって、
予め定められた処理に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を選定する第1選定工程と、
前記選定された特定のブロック位置に記録する特定のブロックを誤り訂正不能とするための誤りデータを生成する誤りデータ生成工程と、
前記特定のブロック内に秘匿する秘匿データを取得する秘匿データ取得工程と、
予め定められた処理に基づいて、前記特定のブロック内の前記生成された誤りデータ及び前記取得された秘匿データを埋め込む位置をそれぞれ選定する第2選定工程と、
前記選定された誤りデータ及び秘匿データを埋め込む位置に基づいて、前記特定のブロックに対して、前記誤りデータを埋め込むことで前記特定のブロックを誤り訂正不能と為し、更に前記秘匿データを埋め込む埋め込み工程と、
前記誤りデータ及び前記秘匿データが埋め込まれた前記特定のブロックを前記情報記録媒体上の前記特定のブロック位置に記録する記録工程と、
を含むこと特徴とするコンテンツデータの記録方法。
【請求項9】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の情報記録装置によって記録された情報記録媒体を再生するコンテンツデータの再生方法であって、
予め定められた処理に基づいて、前記情報記録媒体上の特定のブロック位置を特定する第1特定工程と、
予め定められた処理に基づいて、前記特定のブロック内の秘匿データが埋め込まれた位置を特定する第2特定工程と、
前記選定された特定のブロック位置に記録されている特定のブロックを前記情報記録媒体上の前記選定された特定のブロック位置から再生する再生工程と、
前記選定特定された秘匿データが埋め込まれた位置に基づいて前記特定のブロックから前記秘匿データを抽出する抽出工程と、
を含むこと特徴とするコンテンツデータの再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−101725(P2013−101725A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21100(P2010−21100)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】