説明

情報記録装置、情報記録装置の制御方法、計算機、及び映像記録装置

【課題】記録信頼性の高い情報記録装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報記録装置1は、駆動情報取得部4により半導体レーザ25の動作状態を取得し、駆動情報記憶部5に逐次記録する。駆動情報分析部8は、駆動情報を分析し、半導体レーザ25の残存寿命を予測し、磁気ヘッド制御部3は残存寿命等に基づいて磁気ヘッド2の制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク等の磁気記録媒体に情報を記録する情報記録装置に関し、より詳細には、半導体レーザを備え、当該半導体レーザの寿命や劣化状態等の予測、または当該半導体レーザに生じた異常の検出が可能な情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器のみならず、テレビや映像記録装置等の家電製品、音楽再生機器等、様々な機器に磁気記録装置が内蔵されており、磁気記録装置の需要は年々高まりつつある。
【0003】
また、記録される情報量も年々増加しており、磁気記録装置の記録密度を向上させるための技術開発が積極的に行われている。特に近年では、磁気記録装置の高記録密度化に伴い、磁気ヘッド、及び記録媒体(ハードディスク等)の性能向上が求められている。
【0004】
磁気記録装置において、記録密度を高めるためには、記録媒体のグレイン(粒子)を小さくすることが効果的である。しかし、グレインを小さくすると、グレインの磁化の熱安定性が低下するため、室温における熱エネルギーによって記録ビットが反転してしまう可能性がある。
【0005】
この問題を解消する方法としては、グレインの異方性エネルギーを大きくすることが効果的であるが、異方性エネルギーを大きくすると、記録媒体の保持力が大きくなる。そのため、既存の磁気ヘッドではグレインの磁化を反転させることができず、情報の記録が困難になるという問題が発生する。
【0006】
このような問題を解決する方法として、例えば、特許文献1及び特許文献2には、光アシスト磁気記録という方法が提案されている。この方法では、保持力の大きな記録媒体が用いられるが、記録時には、記録媒体の情報記録領域に光照射を行い、光照射領域の温度を上昇させることで保磁力を低下させて情報の記録を行う。情報が記録された記録媒体は、その後冷却され、保持力が大きくなることで熱的安定性が高まる。
【0007】
このような方式の光アシスト磁気記録では、記録媒体の記録密度は光照射領域のサイズに依存するので、記録密度を高めるために近接場光を利用することが一般的である。例えば、先鋭な構造の近接場光発生部を有する微小な金属片にレーザ光を照射し、表面プラズモンを励起することにより、近接場光発生部の、光の回折限界よりも小さな領域に近接場光を発生させる。この近接場光を記録媒体に照射することにより、記録媒体における微小な領域のみを加熱することが可能になる。
【0008】
光アシスト磁気記録装置には、小型、且つ、低コストに製造可能な光源として、半導体レーザが一般的に用いられる。半導体レーザは、光アシスト磁気記録装置の基幹部品の1つであり、半導体レーザの特性が光アシスト磁気記録装置の特性に大きく影響を及ぼす。
【0009】
ここで、一般的に半導体レーザの特性は、使用環境によって影響され易い。例えば、駆動温度(周囲温度)が高くなると発振閾値の上昇、一定電流下での光出力の低下、発光効率の低下等が生じる。また、経年劣化により、同じ使用環境下であっても発振閾値の上昇、光出力の低下が見られる。さらに、半導体レーザは、電源のノイズに弱く、ノイズとして定格電流以上の電流が入力されると不可逆的な劣化が生じることもある。
【0010】
図13は、一般的な半導体レーザの駆動時間と駆動電流との関係を表すグラフである。図13では、半導体レーザの光出力を一定、周囲温度を一定にした状態で、半導体レーザを使用し続けた場合の駆動時間と駆動電流(電流)との関係を示している。
【0011】
図13に示されるように、電源ノイズや周囲温度の変動がない状態であっても、半導体内部の欠陥の広がり等により、半導体レーザの駆動電流は駆動時間とともに増加する傾向にある。また、ある駆動時間tzまでは時間に対してほぼ線形に駆動電流が増加するが、駆動時間tzを超えると急速に駆動電流が増加する傾向にある。
【0012】
そのため、半導体レーザを安定的に利用可能な期間は、駆動時間tzまでの期間であり、一般的に駆動時間tz、若しくは製造者によって定められた駆動時間tzよりも短い所定の駆動時間が半導体レーザの寿命(耐用期間)とされ、半導体レーザの利用停止や素子交換の目安とされている。
【0013】
半導体レーザの一般的な寿命は、7,000〜50,000時間程度であるが、動作条件(特に、周囲温度や電源事情等)により半導体レーザの寿命の長さは異なり、過酷な条件(例えば、周囲温度が高い、電源ノイズが多い等)であればあるほど、半導体レーザの寿命は短くなる傾向にある。
【0014】
ところで、磁気記録装置としてパーソナルコンピュータ等の計算機に内蔵されたハードディスクを想定すると、磁気記録装置の動作条件は個体によって様々である。例えば、計算機が設置されている環境の温度、計算機内部における冷却効率等によって、半導体レーザの駆動温度は異なる。そのため、半導体レーザの寿命は、個体毎に異なる可能性が高い。
【0015】
半導体レーザの故障は、光アシスト磁気記録装置の記録不良に繋がり、また、上述した半導体レーザの寿命が、磁気記録装置を構成する他の機械部品の寿命よりも短い場合、半導体レーザの寿命が、光アシスト磁気記録装置の寿命となり得る。
【0016】
従って、光アシスト磁気記録装置の記録特性の安定化とデータ保護との両方の側面から、半導体レーザの寿命予測、及び安定駆動は重要となる。
【0017】
従来、ハードディスクの寿命(故障)予測としてSMART(Self−Monitoring,Analysis and Reporting Technology)が利用されてきた。SMARTは、例えば、シーク回数や読み取りエラーの回数等、数十種類の項目においてハードディスクの駆動履歴を保存しておき、その駆動履歴に基づいて、ハードディスクの特性を自己診断する。このSMARTによって、安定した利用環境下での経年劣化による寿命を予測することが可能であるが、半導体レーザの寿命に関する項目はSMARTに設けられていない。
【0018】
一方、光アシスト磁気記録素装置において、レーザ素子の光強度を安定化させる手段として、特許文献2には、レーザ素子の駆動温度を検出する構成が開示されている。特許文献2の光アシスト磁気記録装置においては、検出されたレーザ素子の駆動温度と光出力とをフィードバックすることにより、レーザ素子の光出力の安定化を行っている。
【0019】
また、特許文献3及び特許文献4には、駆動電流と駆動温度との測定値から、レーザ素子の寿命を予測する構成、及び当該構成を備えた装置が開示されている。
【0020】
具体的には、特許文献3の発光駆動装置においては、レーザ素子の駆動時における駆動温度に基づいて、当該駆動時における駆動温度に対応する劣化閾値電流を、温度補正係数を用いて換算する。そして、レーザ素子の駆動電流が、換算された劣化閾値電流の値を上回った場合に、投入電流を停止することで、発光駆動装置の安定化を行っている。
【0021】
また、特許文献4の光ディスク装置においては、温度補正係数と駆動温度とを保持しておき、レーザ素子の駆動温度を用いて換算された累積時間を計測して、レーザ素子の累積時間が閾値を超える場合は、レーザ素子の高出力駆動(記録)を禁止し、低出力駆動(再生)のみを許可することで、光ディスク装置の安定化を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2011−060408号公報(2011年03月24日公開)
【特許文献2】特開2011−014214号公報(2011年01月20日公開)
【特許文献3】特開平8−279642号公報(1996年10月22日公開)
【特許文献4】特開2004−335030号公報(2004年11月25日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、特許文献2の構成では、レーザ素子の駆動温度を検出し、リアルタイムに光出力の調整を行うため、レーザ素子の安定駆動には有効であるが、将来のレーザ素子の残存寿命を予測することは不可能である。
【0024】
また、特許文献3及び特許文献4の構成では、ある時点におけるレーザ素子の残存寿命を予測することはできない。そのため、将来生じ得るレーザ素子の故障に伴う、装置の故障に対して事前に対策を講じることができない。
【0025】
さらに、特許文献4の光ディスク装置においては、製造者により予め温度補正係数が定められているので、レーザ素子の個体毎のばらつきを補償できない。
【0026】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、レーザ素子の駆動状態の履歴等に基づいて、ある時点におけるレーザ素子のレーザ素子の残存寿命、及び劣化状態の予測を行い、利用者に情報の通知を行う、若しくは情報の消失を回避する動作を行うことが可能になる情報記録装置を提供することにある。
【0027】
また、本発明の第2の目的は、レーザ素子の寿命が近い、レーザ素子が既に寿命を越えている、若しくはレーザ素子に突発的な異常が生じたと判断された場合に、記録媒体に記録された情報を保護することが可能になる情報記録装置を提供することである。
【0028】
これらによって、本発明は、記録信頼性の高い情報記録装置をユーザに提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明に係る情報記憶装置は、上記の課題を解決するために、情報の記録が可能な磁気記録媒体を加熱するための光発生素子、及び当該磁気記録媒体に情報を記録するための磁界発生素子を有するヘッド部と、前記光発生素子の動作時における駆動状態を、当該光発生素子の駆動情報として取得する駆動情報取得部と、前記駆動情報取得部により取得された前記駆動情報を記憶可能な駆動情報記憶部と、前記ヘッド部の動作を制御するヘッド制御部と、を備えることを特徴とする。
【0030】
上記の構成では、駆動情報取得部によって取得された光発生素子の駆動情報を記憶可能な駆動情報記憶部を備える。そのため、上記の構成によれば、光発生素子の駆動情報を過去に遡って参照することが可能になるので、駆動情報の履歴を用いた利用したアプリケーションを適用することで、情報記憶装置に新たな機能を付加することができる。
【0031】
例えば、駆動情報記憶部に記憶された駆動情報の履歴に基づいて、過去にどの程度の負荷が光発生素子に生じたか等を予測することが可能になる。そのため、光発生素子の残存寿命、及び現在の劣化状態等を正確に予測することが可能になる。
【0032】
このように、上記の構成によれば、駆動情報を用いて光発光素子の状態を把握することが可能になるので、光発光素子の状態に応じてヘッド制御部がヘッド部を制御することで、誤記録等の発生を抑制することができる。
【0033】
従って、上記の構成によれば、記録信頼性の高い情報記録装置を実現することができる。
【0034】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記ヘッド部は、前記磁気記録媒体に記録された情報を読み出すための再生素子をさらに備えることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、情報記録媒体に記録された情報の記録、及び再生を単一のヘッド部で行うことができるので、情報記録装置の小型化を図ることが可能になる。また、記録系と再生系とを別々に設ける場合に比べて、情報記録装置の構成を簡略化することができる。
【0036】
また、本発明に係る情報記憶装置では、少なくとも2つの前記ヘッド部を備え、前記ヘッド制御部は、前記ヘッド部を個別に制御することが好ましい。
【0037】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記ヘッド制御部は、前記駆動情報に応じて、前記ヘッド部の動作がそれぞれ異なるように、前記ヘッド部を制御することが好ましい。
【0038】
上記の構成によれば、複数のヘッド部の動作を組み合わせた制御が可能になるので、例えば、光発生素子の状態に応じてヘッド部を使い分けることができる。
【0039】
従って、上記の構成によれば、光発生素子の状態に応じてヘッド部を使い分けることで、駆動情報に応じた事前の故障対策等を講ずることが可能になるので、単一のヘッド部のみを備える構成に対して、情報記録装置の記録信頼性をさらに向上させることができる。
【0040】
なお、特許文献3及び特許文献4では、複数のヘッド部を備えた構成は想定されていないため、上記の構成のように、複数のヘッド部を活用して事前の故障対策を講ずることはできない。
【0041】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記駆動情報を分析して、前記光発生素子の機能障害に関する特性を予測する駆動情報分析部をさらに備え、前記駆動情報分析部は、予測した前記特性を前記ヘッド制御部に出力し、前記ヘッド制御部は、前記駆動情報分析部から出力された前記特性に基づいて、前記ヘッド部の動作を制御することが好ましい。
【0042】
上記の構成では、光発生素子の機能障害に関する特性を予測する駆動情報分析部をさらに備える。ここで、光発生素子の機能障害に関する特性には、例えば、光発生素子の残存寿命または劣化状態等が含まれる。
【0043】
上記の構成によれば、駆動情報分析部は、光発生素子の残存寿命または劣化状態等を予測してヘッド制御部に出力するので、ヘッド制御部はこの特性に基づいてヘッド部を制御することができる。
る。
【0044】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記駆動情報分析部は、前記駆動情報取得部によって取得された前記駆動情報に基づいて、前記特性を予測することが好ましい。
【0045】
上記の構成によれば、駆動情報取得部によって取得された最新の駆動情報に基づいて、光発生素子の特性を予測することが可能になるので、突発的なノイズの混入による影響等を予測することができる。
【0046】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記駆動情報分析部は、前記駆動情報記憶部に記憶された前記駆動情報に基づいて、前記特性を予測することが好ましい。
【0047】
上記の構成によれば、駆動情報記憶部に記憶された駆動情報の履歴に基づいて、光発生素子の特性を予測することが可能になるので、経年劣化等を予測することができる。
【0048】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記駆動情報分析部は、前記駆動情報取得部によって取得された駆動情報、および前記駆動情報記憶部に記憶された前記駆動情報に基づいて、前記特性を予測することが好ましい。
【0049】
上記の構成によれば、突発的なノイズをはじめとする短期的な事象と、経年劣化による長期的な事象との両方の影響を含んだ光発生素子の特性を予測することが可能になるので、光発生素子の特性をより正確に予測することができる。
【0050】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記特性は、前記光発生素子の残存寿命であることが好ましい。
【0051】
上記の構成によれば、ヘッド制御部は、情報記録装置の残存寿命を得ることができるので、光発生素子の残存寿命に基づいたヘッド部の最適な制御を行うことができる。
【0052】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記特性は、突発的な劣化要因により生じた前記光発生素子の劣化の有無であることが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、ヘッド制御部は、突発的な劣化要因により生じた前記光発生素子の劣化を得ることができるので、突発的なノイズの混入による影響等による劣化の有無に基づいたヘッド部の最適な制御を行うことができる。
【0054】
また、本発明に係る情報記憶装置では、突発的な劣化要因により生じた前記光発生素子の劣化の有無の予測は、前記駆動情報記憶部に記憶された前記駆動情報のうち、予測が実行される時点までの90%以上、100%未満の間に記憶された前記駆動情報を用いて予測した前記光発生素子の残存寿命と、前記駆動情報記憶部に記憶された前記駆動情報のうち、前記駆動情報の記憶を開始した時点から10%未満の間に記憶された前記駆動情報を用いて予測した光発生素子の残存寿命とを比較することで行われることが好ましい。
【0055】
上記の構成によれば、情報記録装置の出荷時から現時点までの間に、ノイズの混入の有無等の突発的な劣化要因の存在を予測することが可能になる。
【0056】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記駆動情報分析部は、前記特性を示す値が所定の閾値を超えたとき、当該記特性を示す値が所定の閾値を超えたこと利用者に対して通知させることが好ましい。
【0057】
上記の構成によれば、例えば、光発生素子の特性として光発生素子の残存寿命が駆動情報分析部によって予測され、閾値として残存寿命1,000時間が登録されている場合、予測された光発生素子の残存寿命が1,000時間を切った段階で、駆動情報分析部はその旨を使用者に通知させる。例えば、駆動情報分析部は表示部等に警告画面を表示させることで、利用者は光発生素子の残存寿命が1,000時間を切ったことを知ることができる。
【0058】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記ヘッド制御部は、前記特性を示す値が所定の閾値を超えているとき、当該閾値を超えた光発生素子を有するヘッド部の動作内容を、通常の動作内容から変更することが好ましい。
【0059】
上記の構成では、例えば、特性として光発生素子の残存寿命が駆動情報分析部によって予測され、閾値として残存寿命1,000時間が登録されていた場合、ヘッド制御部は、予測された光発生素子の残存寿命が1,000時間を切った段階で、当該ヘッド部の動作を制限したり、情報のバックアップを行う。
【0060】
従って、上記の構成によれば、光発生素子の劣化の進行を抑制すると共に、磁気記憶部に記憶された情報の保護が可能になる。
【0061】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記駆動情報は、前記光発生素子の駆動電流または駆動温度を含むことが好ましい。
【0062】
上記の構成によれば、駆動状態分析部は、駆動電流または駆動温度に基づいて、光発生素子の特性を好適に予測することができる。
【0063】
本発明に係る情報記憶装置は、上記の課題を解決するために、情報の記録が可能な磁気記録媒体を加熱するための光発生素子、及び当該磁気記録媒体に情報を記録するための磁界発生素子を有するヘッド部と、前記光発生素子の動作時における駆動状態を、当該光発生素子の駆動情報として取得する駆動情報取得部と、前記駆動情報取得部により取得された前記駆動情報で示される値と、予め設定された設定値と比較し、異常を検出する異常検出部と、前記異常検出部により検出された検出結果に基づいて、前記ヘッド部の動作を制御するヘッド制御部と、を備えることを特徴とする。
【0064】
上記の構成では、ヘッド制御部は、駆動情報取得部によって取得された駆動情報で示される値と、予め設定された設定値とを比較して、前記光発生素子の異常を検出する異常検出部と、前記異常検出部の検出結果に応じて、ヘッド部の動作を制御する。
【0065】
そのため、上記の構成によれば、突発的な異常が光発生素子に生じた場合、例えば、異常が検出された光発生素子を有するヘッド部の動作を制限または停止させる等の制御が可能になる。
【0066】
従って、上記の構成によれば、記録信頼性の高い情報記録装置を実現することができる。
【0067】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記ヘッド制御部は、前記異常検出部により前記光発生素子の異常が検出されたとき、当該異常が検出された光発生素子を有するヘッド部の動作内容を、通常の動作内容から変更することが好ましい。
【0068】
上記の構成によれば、例えば、異常が検出された光発生素子を有するヘッド部の動作を制限したり、情報のバックアップを行う等の制御が可能になる。
【0069】
従って、上記の構成によれば、光発生素子の劣化の進行を抑制すると共に、磁気記憶部に記憶された情報の保護が可能になる。
【0070】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記ヘッド制御部は、前記異常検出部により前記光発生素子の異常が検出されたとき、当該異常が検出された光発生素子の動作を停止させることが好ましい。
【0071】
上記の構成によれば、光発生素子の更なる劣化の進行を確実に防止することができる。
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記異常検出部は、前記光発生素子に異常を検出したとき、当該光発生素子に異常が生じたことを利用者に対して通知させることが好ましい。
【0072】
上記の構成によれば、光発生素子に異常を検出したとき、異常検出部は、例えば、表示部等に警告画面を表示させることで、利用者は光発生素子に異常が生じたことを知ることができる。
【0073】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記ヘッド制御部は、前記ヘッド部による前記磁気記録媒体への新規情報の記録を禁止して、情報の書き換えおよび再生に限定するように当該ヘッド部の動作内容を変更することが好ましい。
【0074】
上記の構成によれば、ヘッド部の動作内容を最低限に抑えることができ、光発生素子の劣化または異常等の進行を抑制することができる。
【0075】
なお、特許文献4には、光発生素子が寿命に達した際の、光発生素子の動作の制御のみが開示されており、ヘッド部が、光発生素子に加えて磁気記録素子等を有する情報記録装置に、例えば、特許文献3に開示された技術を単に適用しても、上記の構成は見出すことはできない。
【0076】
また、本発明に係る情報記憶装置では、前記ヘッド制御部は、前記ヘッド部による前記磁気記録媒体への情報の記録を停止するように当該ヘッド部の動作内容を変更することが好ましい。
【0077】
上記の構成によれば、光発生素子の劣化または異常等の進行を完全に停止させることができる。
【0078】
本発明に係る情報記憶装置の制御方法は、上記の課題を解決するために、情報の記録が可能な磁気記録媒体を加熱するための光発生素子、及び当該磁気記録媒体に情報を記録するための磁界発生素子を有するヘッド部を用いて、情報を記録する記録ステップと、前記記録ステップにおける前記光発生素子の動作時における駆動状態を、当該光発生素子の駆動情報として駆動情報取得ステップと、前記駆動情報取得ステップにて取得した前記駆動情報、及び前記駆動情報取得ステップにて取得した前記駆動情報を記憶した当該駆動情報の履歴のいずれか、または双方に応じて、前記ヘッド部の動作を制御するヘッ制御ステップと、を含むこと特徴とする。情報記録装置の制御方法。
【0079】
上記の構成では、駆動情報取得ステップにて取得した駆動情報、及び駆動情報取得ステップにて取得した駆動情報を記憶した当該駆動情報の履歴のいずれか、または双方に応じて、ヘッド部の動作を制御するヘッ制御ステップを含む。
【0080】
そのため、上記の構成によれば、光発生素子の駆動情報を過去に遡って参照することが可能になるので、駆動情報の履歴を用いた利用したアプリケーションを適用することで、情報記憶装置に新たな機能を付加することができる。
【0081】
例えば、記憶された駆動情報の履歴に基づいて、過去にどの程度の負荷が光発生素子に生じたか等を予測することが可能になる。そのため、光発生素子の残存寿命、及び現在の劣化状態等を正確に予測することが可能になる。
【0082】
このように、上記の構成によれば、駆動情報を用いて光発光素子の状態を把握することが可能になるので、光発光素子の状態に応じてヘッド部を制御することで、誤記録等の発生を抑制することができる。
【0083】
従って、上記の構成によれば、記録信頼性の高い情報記録装置の制御方法を実現することができる。
【0084】
本発明に係る計算機は、上記の課題を解決するために、上記情報記録装置を備えること特徴とする。
【0085】
上記の構成によれば、記録信頼性の高いパーソナルコンピュータ等の計算機を実現することができる。
【0086】
本発明に係る映像記録装置は、上記の課題を解決するために、上記情報記録装置を備えること特徴とする。
上記の構成によれば、記録信頼性の高い映像記録装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0087】
以上のように、本発明に係る情報記憶装置は、上記の課題を解決するために、情報の記録が可能な磁気記録媒体を加熱するための光発生素子、及び当該磁気記録媒体に情報を記録するための磁界発生素子を有するヘッド部と、前記光発生素子の動作時における駆動状態を、当該光発生素子の駆動情報として取得する駆動情報取得部と、前記駆動情報取得部により取得された前記駆動情報を記憶可能な駆動情報記憶部と、前記ヘッド部の動作を制御するヘッド制御部と、を備える。
【0088】
それゆえ、本発明によれば、記録信頼性の高い映像記録装置を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施形態1に係る情報記録装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示されるヘッドの外観構成を示す斜視図。
【図3】図1に示される異常検出部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】一般的な半導体レーザの駆動電流−光出力の温度依存性を示すグラフである。
【図5】一般的な半導体レーザの駆動電流−光出力において、正常な場合と端面破壊(COD)が生じた場合とを示すグラフである。
【図6】一般的な半導体レーザの電流−光出力の、素子駆動時間による変化を示すラフである。
【図7】一般的な半導体レーザにおいて、一定の光出力を得るために必要な駆動電流の駆動時間依存性を示すグラフである。
【図8】実施形態1に係る情報記録装置1の変形例の要部構成を示すブロック図である。
【図9】分光素子を備える磁気ヘッドの外観構成を示す斜視図である。
【図10】一般的な半導体レーザの発振ピーク波長と駆動温度との関係を示す図である。
【図11】実施形態2に係る計算機の要部構成を示すブロック図である。
【図12】実施形態3に係る映像記録装置の要部構成を示すブロック図である。
【図13】一般的な半導体レーザの駆動時間と駆動電流との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0090】
〔実施の形態1〕
以下、本発明に係る情報記録装置の一実施形態について、図1〜図12に基づいて説明する。
【0091】
<情報記録装置の構成>
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る情報記録装置1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る情報記録装置1の要部構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示される磁気ヘッド2の外観構成を示す斜視図である。
【0092】
図1に示されるように、情報記録装置1は、磁気ヘッド(ヘッド部)2、磁気ヘッド制御部(ヘッド制御部)3、駆動情報取得部4、駆動情報記憶部5、異常検出部6、警告情報出力部7、駆動情報分析部8、及びディスク媒体(磁気記録媒体)10を備えている。
【0093】
(磁気ヘッド)
磁気ヘッド2は、ディスク媒体10に対して情報の記録または再生を行うものである。磁気ヘッド2は、スライダ29と、このスライダ29に設けられた記録部21、再生部22、及び温度センサ23を有している。
【0094】
記録部21は、ディスク媒体10に対して情報の記録を行うものである。図2に示されるように、記録部21は、磁場発生部(磁界発生素子)24、半導体レーザ(光発生素子)25、受光素子26、及び近接場光発生部27を有しており、データアクセス時にディスク媒体10を走査する。
【0095】
磁場発生部24は、発生させた磁場によって、ディスク媒体10の磁化の方向を変えることによって、ディスク媒体10に情報を記録するものである。具体的には、磁場発生部24は、ディスク媒体10に形成された情報記録領域における磁化の方向を変え、この磁化の方向の違いが情報ビットとしてディスク媒体10に記録される。磁場発生部24には、例えば、コイル等が用いられる。
【0096】
半導体レーザ25は、近接場光発生部27に光を照射することで、微小な光スポットを有する近接場光を発生させるものである。近接場光発生部27において発生した近接場光は、ディスク媒体10の情報記録領域に照射されて、当該情報記録領域を加熱する。これにより、情報記録領域の温度を上昇させることで保磁力を低下させ、磁場発生部24によってディスク媒体10に対して情報の記録を行う。
【0097】
受光素子26は、半導体レーザ25の光出力を検出するものである。受光素子26には、半導体レーザ25から発せられる光の波長帯に感度を有するフォトダイオード等が用いられる。受光素子26は、半導体レーザ25の、近接場光発生部27が設けられた面と反対側の面近傍に設けられている。半導体レーザ25に入力される電流は、後述する磁気ヘッド制御部3によって制御されるが、受光素子26によって検知される光出力を磁気ヘッド制御部3にフィードバックすることにより、情報記録時の光出力が略一定になるように半導体レーザ25を制御することができる。
【0098】
スライダ29のディスク媒体10と対向する面はエアベアリング面であり、微細な凹凸が形成されている。このエアベアリング面とディスク媒体10の表面との間にディスク媒体10の回転により空気が流入すると、エアベアリング面の凹凸により、圧力の変化が生じて、スライダ29に浮力が生じる。
【0099】
一方、スライダ29のエアベアリング面と反対側の面は、サスペンション30の一端に接着されている。サスペンション30は、薄いステンレス板の板金により形成されており、スライダ29をディスク媒体10上の所定の位置において押し付けるために利用される。スライダ29は、このサスペンション30による押し付け力とスライダ29の浮力とが釣り合う高さにおいて安定して浮上する。この安定浮上の高さが最適となるように、スライダ29のエアベアリング面の凹凸形状が調整されている。
【0100】
サスペンション30の他端は、磁気ヘッド駆動モータ(図示せず)に接続されており、磁気ヘッド駆動モータは、磁気ヘッド制御部3からの制御信号によって、磁気ヘッド2を所定の位置に移動させるように制御される。
【0101】
再生部22は、ディスク媒体10に記録された情報の再生を行うものである。再生部22は、ディスク媒体10に記録された情報を再生(読込)可能な素子である再生素子28から構成されており、再生素子28は、ディスク媒体10の磁化の方向の違いを検知することが可能である。再生素子28としては、例えば、一般的なハードディスク装置に用いられているトンネル磁気抵抗(TMR)素子、巨大磁気抵抗(GMR)素子、面直巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子等が用いられる。
【0102】
なお、磁場発生部24、及び再生素子28は、スライダ29のエアベアリング面側に積層されて形成されている。
【0103】
温度センサ23は、半導体レーザ25の駆動温度(周囲温度)を検知する温度検出素子である。磁気ヘッド2は、温度センサ23が検出した駆動温度等を含む検出信号S2を、駆動情報取得部4に出力する。
【0104】
(磁気ヘッド制御部3)
磁気ヘッド制御部3は、磁気ヘッド2の動作を制御するものであり、外部からの入力信号等に応じて磁気ヘッド2の動作を制御する。
【0105】
具体的には、磁気ヘッド制御部3は、ヘッド駆動モータ及び半導体レーザ25等を駆動するための磁気ヘッド制御信号S1を生成する。そして、磁気ヘッド制御部3は、磁気ヘッド2に生成した磁気ヘッド制御信号S1に出力して、磁気ヘッド2を制御する。
【0106】
また、磁気ヘッド制御部3は、受光素子26によって検知された光出力を取得したとき、当該光出力に基づいて、情報記録時における半導体レーザ25の光出力が略一定になるように、半導体レーザ25に入力される電流を制御する。
【0107】
なお、磁気ヘッド制御部3は、通常の情報の記録/再生動作の他に、後述する異常検出部6から出力される異常検出信号S5、及び駆動情報分析部8から入力される分析信号S7に基づいて、磁気ヘッド2の動作を制御する。
【0108】
(駆動情報取得部4)
駆動情報取得部4は、磁気ヘッド2から出力された検出信号S2から、半導体レーザ25の動作時における駆動状態を示す各種のパラメータを、駆動情報として取得するものである。具体的には、駆動情報取得部4は、温度センサ23によって検知された半導体レーザ25の駆動温度、半導体レーザ25の駆動電流、または受光素子26によって検出された半導体レーザ25の光出力、シーク回数や読み取りエラーの回数等の駆動情報を検出する。
【0109】
駆動情報取得部4は、取得した駆動情報を、駆動情報信号S3として、駆動情報記憶部5、異常検出部6、及び駆動情報分析部8に出力する。また、駆動情報取得部4は、温度センサ23によって検知された半導体レーザ25の駆動温度を磁気ヘッド制御部に出力する。
【0110】
(駆動情報記憶部5)
駆動情報記憶部5は、情報の書き込みが可能な記憶媒体であり、駆動情報取得部4から出力された駆動情報信号S3に示される半導体レーザ25の駆動情報を逐次記録する。駆動情報記憶部5に記録された駆動情報の履歴は、必要に応じて異常検出部6、及び駆動情報分析部8によって履歴情報信号S4として読み出される。
【0111】
(異常検出部6)
異常検出部6は、情報記録装置1の障害を予測するためのプログラム及び設定値記憶部60により構成される。設定値記憶部60には、半導体レーザ25の駆動状態が異常である否かを判断するための設定値、及び所定の閾値が予め格納されている。
【0112】
異常検出部6は、駆動情報取得部4から出力された駆動情報信号S3に示される駆動情報と、設定値記憶部60に格納された設定値とを比較して、半導体レーザ25の異常を検出する。半導体レーザ25に異常が検出された場合、異常検出部6は、半導体レーザ25に異常が検出されたことを示す異常検出信号S5を生成し、磁気ヘッド制御部3、及び警告情報出力部7に出力する。なお、異常検出部6における処理の詳細については、後述する。
【0113】
(警告情報出力部7)
警告情報出力部7は、異常検出部6から出力された異常検出信号S5、及び駆動情報分析部8から出力された制御信号に基づいて、警告情報をユーザに提示(通知)するための処理を行うものである。例えば、警告情報出力部7は、異常検出部6から出力された異常検出信号S5を取得したとき、表示部等に警告情報を表示させるための警告信号S6を生成し、表示部(図示せず)等に出力する。これにより、ユーザは、半導体レーザ25に異常が生じたこと等を知ることができる。
【0114】
(駆動情報分析部8)
駆動情報分析部8は、駆動情報を分析して、半導体レーザ25の機能障害に関する特性を予測するものである。情報記録装置1の残存寿命を予測するためのプログラム、及び登録値記憶部80により構成される。設定値記憶部60には、後述する半導体レーザ25の残存寿命の予測に用いられる値等が予め格納されている。
【0115】
駆動情報分析部8は、例えば、外部からの要求に応じて駆動情報記憶部5に記録された駆動情報の履歴を読み出して分析し、半導体レーザ25の残存寿命を予測する。また、駆動情報分析部8は、駆動情報取得部4から駆動情報信号S3が出力されたとき、駆動情報信号S3に示される駆動情報を分析し、半導体レーザ25の残存寿命を予測する。
【0116】
駆動情報分析部8は、半導体レーザ25の残存寿命の予測結果を分析信号S7として、磁気ヘッド制御部3に出力する。
【0117】
また、駆動情報分析部8は、予測した半導体レーザ25の残存寿命が、登録値記憶部80に記憶された閾値を超えたとき、その旨をユーザに提示させる制御信号を警告情報出力部7に出力する。例えば、閾値として残存寿命1,000時間が登録値記憶部80に予め登録されている場合、駆動情報分析部8は、予測した半導体レーザ25の残存寿命が1,000時間を切った段階で、その旨を使用者に提示させる制御信号を警告情報出力部7に出力する。これにより、ユーザは、半導体レーザ25の残存寿命が1,000時間を切ったことを知ることができる。なお、駆動情報分析部8における処理の詳細については、後述する。
【0118】
<異常検出部における処理>
次に、異常検出部6における処理の詳細について説明する。本実施形態において、情報記録装置1が備える異常検出部6は、半導体レーザ25の駆動電流の異常を検出する。
【0119】
図3は、異常検出部6における処理の流れを示すフローチャートである。図3に示されるように、駆動情報取得部4から半導体レーザ25の駆動電流及び光出力の値が出力されたとき(S101)、異常検出部6は、半導体レーザ25の駆動電流及び光出力の値と、設定値記憶部60に記録された設定値とを比較する(S102)。
【0120】
そして、異常検出部6は、半導体レーザ25の駆動電流及び光出力の値と、設定値記憶部60に記録された設定値との差分が、所定の閾値以上であるか否かを判定する(S103)。
【0121】
半導体レーザ25の駆動電流及び光出力の値と設定値との差分いずれもが、所定の閾値未満である場合(S103でNO)、異常検出部6は、半導体レーザ25に異常が生じていないものと判断する。例えば、5mWの光出力を得るために必要な駆動電流の設定値が20mAであると設定されている場合、検出された駆動電流が15mAであれば、異常検出部6は、半導体レーザ25に異常が生じていないものと判断して処理を終了する。
【0122】
一方、半導体レーザ25の駆動電流及び光出力の値と設定値との差分の少なくとも1つが、所定の閾値以上である場合(S103でYES)、異常検出部6は、半導体レーザ25に異常が生じたものと判断する。例えば、5mWの光出力を得るために必要な駆動電流の設定値が20mAであると設定されている場合、検出された駆動電流が25mAであれば、異常検出部6は、半導体レーザ25に異常が生じたものと判断する。
【0123】
この場合、異常検出部6は、異常検出信号S5を生成し、磁気ヘッド制御部3、及び警告情報出力部7に出力する(S104)。
【0124】
このような異常検出部6における一連の処理は、一定間隔、または半導体レーザ25に電流が入力される都度、繰り返し行われる。
【0125】
<駆動情報分析部における処理>
次に、駆動情報分析部8における処理の詳細について説明する。本実施形態において、情報記録装置1が備える駆動情報分析部8は、半導体レーザ25の残存寿命の予測を行う。以下では、駆動情報分析部8による半導体レーザ25の残存寿命の予測の手法について説明する。
【0126】
(半導体レーザ25の一般的な特性)
まず、図4を用いて、一般的な半導体レーザ25の温度依存性について述べる。図4は、一般的な半導体レーザ25の駆動電流−光出力の温度依存性を示すグラフである。図4に示されるように、低電流が入力された状態では、半導体レーザ25からの光出力はほぼ得られないが、ある電流値(発振閾値)を境にしてレーザ発振が生じ、駆動電流の増加と共に光出力が急激に大きくなる。
【0127】
ここで、発振閾値以上の電流が入力された場合、(微分効率)=(光出力の増加量)/(駆動電流の増加量)とおくと、駆動温度の上昇と共に発振閾値は高くなり、微分効率は小さくなる。言い換えると、駆動温度が高くなればなるほどディスク媒体10への情報の記録に必要な一定の光出力(定格出力)を得るために要する駆動電流は増加する。
【0128】
次に、図5を用いて一般的な半導体レーザ25の特性の劣化の影響について述べる。図5は、一般的な半導体レーザ25の駆動電流−光出力において、正常な場合と端面破壊(COD)が生じた場合とを示すグラフである。ここでは、劣化の種類としてCODに関して説明するが、劣化の原因が他の場合であっても同様の傾向を示すことが多い。
【0129】
半導体レーザ25の通常の駆動電流をはるかに超える電流が入力されると、半導体レーザ25の端部付近が融解し結晶構造が乱れるため、光を吸収するようになる。このような現象は、CODと称される。レーザドライバ(磁気ヘッド制御部3)の不安定性や不具合等により大電流が入力されCODが生じると、図5に示されるように、発振閾値が増加し、微分効率が低下する。一旦CODが生じると、発振閾値や微分効率は元に戻らず、急速に劣化が進むことになる。
【0130】
次に、図6及び図7を用いて通常使用における半導体レーザ25の特性変化について述べる。図6は、一般的な半導体レーザ25の電流−光出力の、素子駆動時間による変化を示すラフであり、図7は、一般的な半導体レーザ25において、一定の光出力を得るために必要な駆動電流の駆動時間依存性を示すグラフである。
【0131】
一般的な半導体レーザ25は、定められた使用環境(周囲温度)下において、定格出力を超えない範囲で使用された場合であっても、点欠陥の広がり、結晶の酸化、電流による加熱/冷却の繰り返し等による劣化が生じる。図6に示されるように、半導体レーザ25の駆動時間が長くなるほど発振閾値は増加し、微分効率は低下してくる。つまり、一定の使用環境の下で定格出力を得るために必要な駆動電流は、駆動時間の増加と共に増加する。仮に、半導体レーザ25が一定温度下で利用された場合、図7に示されるようになる。
【0132】
ここで、定格出力を得るために必要な駆動電流が予め定められた設定値(例えば、図7に示されるように定格出力5mWに対して30mA)に到達した時をもって半導体レーザ25の寿命であると判断するとし、50,000時間の駆動時間で30mAに達した場合、半導体レーザの寿命は50,000時間であるといえる。
【0133】
(半導体レーザ25の残存寿命予測の原理)
上述したように、半導体レーザ25の特性(残存寿命)は、使用環境に依存する。一般的にデバイスの劣化は、化学的、物理的なプロセスによるものが多く、駆動温度と寿命との関係として反応速度論モデルが一般的に用いられる。
【0134】
特に、半導体デバイスに対する温度ストレスによる寿命の依存性は、アレニウスモデルとして加速寿命試験において利用されており、後述する駆動情報の履歴を利用した残存寿命の予測プロセスの一例として本モデルを利用することができる。
【0135】
アレニウスモデルに従って考えると、ある駆動時間tにおけるデバイスの劣化度をB(t)、比例係数をA、活性化エネルギーをEa、ボルツマン定数をk、駆動時間t’における駆動温度をT(t’)とすると、下記の式(1)の関係が成り立つ。
【0136】
【数1】

【0137】
ここで、劣化度Bと定格出力を得るために必要な駆動電流の増加量ΔIopとが比例関係にあるとし、駆動時間tにおける駆動電流をIop(t)、駆動時間0における駆動電流をI_0、比例係数をA’とすると、下記の式(2)及び式(3)が成り立つ。なお、CはC=AA’であり、新たに定められた比例定数である。
【0138】
【数2】

【0139】
【数3】

【0140】
半導体レーザ25の寿命とみなされる駆動電流をIopl、そのときの駆動時間(寿命)をtlとすると、下記の式(4)が成り立つ。
【0141】
【数4】

【0142】
駆動温度Tが一定でない場合、駆動温度Tの値は実測等により求められる。実測の場合、駆動温度Tは連続的に与えられることはほとんどなく、離散的である。例えば、ある時間間隔ごとにサンプリングされたデータとして与えられる。この場合、式(2)〜式(4)の積分は近似により計算されることが多い。例えば、長方形近似を用いる場合、式(2)〜式(4)は、下記の式(2)’〜式(4)’のようになる。ただし、pは駆動時間tpまでのサンプリング数、nは寿命までのサンプリング数である。
【0143】
【数5】

【0144】
【数6】

【0145】
【数7】

【0146】
(半導体レーザの残存寿命の計算方法)
次に、ある駆動時間tpにおいて、半導体レーザ25の残存寿命を予測する方法について具体的に説明する。
【0147】
(A−1)既知の駆動電流Iop(tp)を利用する場合
ある駆動時間tpにおける駆動電流Iop(tp)が実測により既知であるとし、駆動時間tpから駆動時間tl(寿命)まで一定の駆動温度Tbをとるという仮定をすると、式(3)及び式(4)から、下記の式(5)が成り立つ。
【0148】
【数8】

【0149】
ここで、tjは半導体レーザ25の残存寿命であるから、式(5)より半導体レーザ25の残存寿命を予測することが可能である。
【0150】
(A−2)駆動温度の履歴を利用する場合
ある駆動時間tpまでの駆動温度の履歴が実測により既知であるとし、駆動時間tpから駆動時間tlまで一定の駆動温度Tbをとるという仮定をすると、式(4)〜式(6)が成り立つ。
【0151】
【数9】

【0152】
積分の計算に長方形近似を用いる場合、下記の式(6)’が成り立つ。
【0153】
【数10】

【0154】
式(6)または式(6)’により、半導体レーザ25の残存寿命を予測することが可能である。上記の(A−1)、(A−2)のいずれの場合も、駆動温度Tbとして駆動時間tpの駆動温度を用いる場合は、半導体レーザ25の残存寿命の残り時間をずっと駆動温度Tbで使用し続けた場合の残存寿命の予測になる。一方、駆動温度Tbとして、駆動情報の履歴に基づいて駆動時間tlまでの平均駆動温度を利用すれば、駆動時間tlまでの平均的な使用条件の下で使用し続けた場合の残存寿命の予測になる。
【0155】
上述したように、式(5)、式(6)、および及び式(6)’に基づいて、半導体レーザ25の残存寿命を予測するためには、いずれも比例定数C及び活性化エネルギーEaを何らかの方法により求めておく必要がある。以下では、比例定数C及び活性化エネルギーEaの求め方について述べる。
【0156】
(B−1)半導体レーザ25の残存寿命の、実測による比例定数C及び活性化エネルギーEaの求め方
まずは、半導体レーザ25を駆動温度一定、光出力一定の条件で駆動した場合の、実測データに基づいた比例定数C及び活性化エネルギーEaの求め方について述べる。半導体レーザ25の駆動温度一定、光出力一定の条件で駆動される場合、式(2)は、単純化され下記の式(7)が成り立つ。
【0157】
【数11】

【0158】
つまり、劣化度Bは駆動時間に比例するので、式(3)の駆動電流Iop(t)も駆動時間tに比例し、下記の式(8)が成り立つ。
【0159】
【数12】

【0160】
式(8)から、比例定数C及び活性化エネルギーEaが一定であれば駆動温度一定の条件下では駆動電流Iopは駆動時間tに比例することがわかる。つまり、図7に示されるような変化を示す。活性化エネルギーEaは、劣化の原因となる物理現象が変化しない限り同じ値となり、通常、0.4eV以上、1.0eV以下となる。
【0161】
式(7)の未知数は、比例定数C及び活性化エネルギーEaの2種類なので、2つの駆動温度条件下(T1、T2)での寿命(t1、t2)が分かれば、比例定数C及び活性化エネルギーEaを求めることができる。T1、T2、t1、t2が実験等により既知の場合、式(8)から式下記の(9)−1、式(9)−2が成り立つ。
【0162】
【数13】

【0163】
【数14】

【0164】
式(9)−1、式(9)−2から比例定数Cを消去して変形することにより、下記の式(10)から活性化エネルギーEaを求めることができる。
【0165】
【数15】

【0166】
式(10)により求めた活性化エネルギーEaを、式(9)−1若しくは式(9)−2に代入することにより、比例定数Cを求めることができる。
【0167】
この方法は、情報記録装置1の製造者が、情報記録装置1に搭載するものと同じタイプの半導体レーザ25を抜き取って異なる2つの駆動温度下での寿命を予測することで実現可能である。このようにして測定した比例定数C及び活性化エネルギーEaの値を登録値記憶部80に予め登録しておくことにより半導体レーザ25の残存寿命の予測に利用することができる。
【0168】
(B−2)半導体レーザ25の駆動電流及び駆動温度の駆動情報の履歴による比例定数C及び活性化エネルギーEaの求め方
次に、実際に情報記録装置1が備える半導体レーザ25の駆動情報の履歴を利用する場合の方法について述べる。
【0169】
【表1】

【0170】
表1に示されるように、駆動情報記憶部5には、駆動時間t、駆動電流Iop、駆動温度Tの実測値を逐次保存される。駆動時間tlにおける駆動電流Iopの理論値は、式(3)や式(3)’により計算することができるので、式(3)や式(3)’の比例定数C及び活性化エネルギーEaを未知数として、駆動時間tl、駆動電流Iop、駆動温度Tの実測値を式(3)や式(3)’でフィッティング(例えば、最小二乗法等)することにより、比例定数C及び活性化エネルギーEaの値を予測することが可能である。
【0171】
なお、上記の(B−1)及び(B−2)の方法には、それぞれ長所・短所がある。(B−1)の方法の場合、半導体レーザ25において比例定数C及び活性化エネルギーEaの個体差が小さいほど精度の高い残存寿命の予測が可能になる。また、予め比例定数C及び活性化エネルギーEaを求めておくため、システムが簡単になる。
【0172】
一方、(B−2)の方法の場合、半導体レーザ25の特性に無視できない程度の個体差が存在したとしても、半導体レーザ25ごとに比例定数C及び活性化エネルギーEaが求められるので、残存寿命の予測の精度が向上する。しかしながら、実測データのフィッティングにより比例定数C及び活性化エネルギーEaを計算する必要があるため、正確な計算のために、多くの比例定数C及び活性化エネルギーEaをとる必要がある。言い換えると、サンプリング回数を多くする必要がある。また、フィッティングの計算コストが増加する分、(B−1)よりもシステムの構成が複雑になる。
【0173】
また、残存寿命の予測に用いる比例定数C及び活性化エネルギーEaの値として上記の(B−2)の方法を用いる場合、フィッティングに用いる駆動時間t、駆動電流Iop、駆動温度Tの実測データにより予測される寿命の精度及び意味合いが異なる場合がある。
【0174】
すなわち、実測データとして直近のデータのみを利用すると、直近の劣化要因の影響を大きく取り込んだ寿命の予測が可能になる。例えば、後述する異常検出部6のける動作異常検出処理により異常検出信号S5が出力された場合、異常検出信号S5が出力された後の実測データのみを用いて求められた比例定数C及び活性化エネルギーEaを用いることで、半導体レーザ25に生じた異常を考慮した寿命の予測が可能になり、残存寿命の予測の精度を向上させることが可能になる。
【0175】
なお、比例定数C及び活性化エネルギーEaの求め方については、上述した方法に限定されるのではなく、別の方法により求めても良い。実際には、上述した複数の方法で計算された比例定数C及び活性化エネルギーEaの値を用いることで、残存寿命の予測の精度を向上させることが可能になる。
【0176】
例えば、上記の(B−1)の方法で求めた比例定数C及び活性化エネルギーEaを利用して算出した半導体レーザ25の残存寿命と、上記の(B−2)の駆動情報の履歴を利用して算出した半導体レーザ25の残存寿命との比較を行うことにより、半導体レーザ25の特性の個体差を予測したり、一部の駆動時間(実測データ領域)に限って上記の(B−2)の方法で計算された予測寿命と、全データを利用して計算された予測寿命とを比較することにより突発的な劣化の影響を考慮することが可能になる。
【0177】
例えば、時間0からある駆動時間taまでの全測定データ点数を100点として、駆動時間0から最初の10点分(駆動時間0から駆動時間tbまで)の駆動情報を用いて計算された、駆動時間taからの残存寿命が、全駆動情報の履歴に基づく予測残存寿命よりも長い場合、駆動時間tbから駆動時間taまでの間に外部ノイズの混入等による不可逆的な劣化が生じたことがわかる。
【0178】
ここまでは、半導体レーザ25の光出力が一定である場合を述べてきたが、実際の情報記録装置1においては、ディスク媒体10に照射される近接場光の出力を一定にする必要がある。そのため、半導体レーザ25以外、例えば、近接場光発生部27にも経年劣化が存在し時間の経過と共に近接場光への変換効率が変化する場合は、それに伴い半導体レーザ25の光出力を変化させていく必要が生じる。
【0179】
この場合、異なる光出力と駆動電流Iopとの関係(I−P特性)を複数回測定し、その都度、駆動情報記憶部5に保存しておくことで、式(3)から寿命予測が可能になる。
【0180】
例えば、近接場光発生部27が最も劣化した場合に必要な半導体レーザ25の光出力が10mWであると予測される場合、時間0において、光出力1mWから10mWの時の駆動電流Iop及び駆動温度を測定し、駆動情報記憶部5に格納しておく。その後、ある一定の間隔毎に、同様に光出力1mWから10mWの時の駆動電流Iop及び駆動温度を測定し、駆動情報記憶部5に格納する。この動作を繰り返すことで、異なる複数の光出力下での駆動電流データを保持できるため、上述の方法を用いて異なる光出力下における残存寿命予測が可能になる。
【0181】
また、上述したように複数の光出力に対する駆動電流Iop及び駆動温度の測定を行う代わりに、製造者による工場での抜き取り検査等により、予め複数の光出力下における素子寿命を測定しておき、その値を利用しても良い。
【0182】
さらに、別の方法として光出力が一定とみなせる直近の実測データから上記の(B−2)の方法で求めた比例定数C及び活性化エネルギーEaを使うことで寿命予測が可能になる。
【0183】
必要な近接場光の光出力は、例えば、テストライトにより求めることが可能である。テストライトとは、ディスク媒体10の特定の領域にテスト記録用の領域を設けておき、半導体レーザ25の光出力や磁場発生部24の磁場強度を変化させて記録を行う。そして、記録されたテスト記録データを実際に再生部22により再生させ、再生されたデータの信号品質を確認することにより最適な記録条件(光出力及び磁場強度)を見積もる方法である。
【0184】
なお、上述した寿命予測方法及びテストライト方法は、上記の方法に限定されることはなく、別の方法を用いても良い。また、従来のハードディスクに用いられてきたSMARTによる寿命予測と併せて用いることにより、半導体レーザ25以外の部材の劣化状態も含めた残存寿命の予測を行ってもよい。さらに、上述した半導体レーザ25の特性を用いた残存寿命の予測をSMARTの一部としてSMARTに統合し、ハードディスクの残存寿命の予測手段として用いられても良い。
【0185】
<情報記録装置の動作>
次に、半導体レーザ25に異常が検出された場合の情報記録装置の動作、及び半導体レーザ25の残存寿命を利用した情報記録装置の動作について、図8を参照して具体的に説明する。
【0186】
図8は、本実施形態に係る情報記録装置1の変形例の要部構成を示すブロック図である。図8に示されるように、情報記録装置1aは、3つのディスク媒体10a〜10c、及びそれぞれに対応して記録/再生が可能な3つの磁気ヘッド2a〜2cを備えている。
【0187】
(半導体レーザ25に異常が検出された場合の情報記録装置の動作)
(動作例1−1)
複数の磁気ヘッド2a〜2cを備える情報記録装置1aにおいて、異常検出部6によって磁気ヘッド2a〜2cが有する半導体レーザ25のうち、少なくとも1つの半導体レーザ25に異常が検出された場合、磁気ヘッド制御部3は、異常が検出された半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体への新規書き込みを行わず、書き換えのみにする。或いは、磁気ヘッド制御部3は、異常が検出されたディスク媒体への書き込み/書き換えを禁止し、読み取り専用にする。これにより、安定した情報の記録が可能となるため、情報記録装置1aの記録信頼性を向上させることができる。
【0188】
(動作例1−2)
また、複数の磁気ヘッド2a〜2cを備える情報記録装置1aにおいて、異常検出部6によって磁気ヘッド2a〜2cが有する半導体レーザ25のうち、少なくとも1つの半導体レーザ25に異常が検出された場合、異常検出部6は、異常検出信号S5を生成し、警告情報出力部7に出力して、表示部等に警告情報を表示させる。
【0189】
(動作例1−3)
また、情報記録装置1aが外部への警告表示手段(例えば、LEDランプ、音声出力装置等)を有する場合、異常検出部6によって磁気ヘッド2a〜2cが有する半導体レーザ25のうち、少なくとも1つの半導体レーザ25に異常が検出されたとき、前記警告表示手段を介して、別の情報記録装置へのデータ移動を促すメッセージを表示する、或いは警報音を発し、ユーザに知らせてもよい。
【0190】
(半導体レーザ25の残存寿命を利用した情報記録装置の動作)
(動作例1−4)
複数の磁気ヘッド2a〜2cを備える情報記録装置1aにおいて、磁気ヘッド制御部3に新規データの書き込み指示が入力された場合、磁気ヘッド制御部3は、駆動情報分析部8から出力された分析信号S7に示される半導体レーザ25ごとの残存寿命を比較して、磁気ヘッド2a〜2cのうち最も半導体レーザ25の残存寿命が長い磁気ヘッドに対応するディスク媒体を選択してデータの記録を行う。これにより、安定した情報の記録が可能になるため、情報記録装置1aの記録信頼性を向上させることができる。
【0191】
(動作例1−5)
また、磁気ヘッド制御部3は、複数の磁気ヘッド2a〜2cが有する半導体レーザ25のうち、少なくとも1つの半導体レーザ25の残存寿命が予め定められた時間(例えば、1,000時間)を下回ると、当該半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体への新規書き込みを行わず、書き換えのみにすることにより、当該磁気ヘッドの使用を控える構成であっても良い。
【0192】
(動作例1−6)
また、磁気ヘッド制御部3は、複数の磁気ヘッド2a〜2cが有する半導体レーザ25のうち、少なくとも1つの半導体レーザ25が寿命に到達した場合、当該半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体への書き込み/書き換えを禁止し、読み取り専用にする構成であっても良い。
<変形例1>
上述の説明では、情報記録装置1は、半導体レーザ25の特性として、半導体レーザ25の残存寿命を予測する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動情報分析部8によって半導体レーザ25の劣化状態を予測する構成であってもよい。
【0193】
この場合、駆動情報分析部8は、半導体レーザ25の劣化状態として半導体レーザ25の劣化がアレニウスモデルに沿ったものであるかどうかで判断する。半導体レーザ25の劣化がアレニウスモデルに沿っている場合、ある駆動時間tpにおける駆動電流の理論値は、式(3)或いは式(3)’により求められる。
【0194】
そして、式(3)或いは式(3)’により計算される値と、実測された駆動電流Iopの値とを比較すれば、駆動電流の理論値からのずれを特定することができる。このずれは、外部ノイズ等により半導体レーザ25の正常使用条件下における駆動による劣化以外の劣化、すなわち、突発的な劣化要因が存在したために生じたものである。
【0195】
このずれの大きさを用いて半導体レーザ25の特性のばらつきや、駆動温度以外の劣化要因の存在(例えば、電源ノイズ等)を判定することが可能である。例えば、駆動時間tpにおける半導体レーザ25の駆動電流Iopが式(3)或いは式(3)’から予測される理論値よりも大幅に高い場合、意図しない大電流(例えば、電源ノイズ等)の混入による半導体レーザ25の突発的な劣化を予測することが可能になる。
【0196】
また、駆動電流Iopの履歴を参照することにより、駆動電流Iopの実測値と理論値とのずれの時間履歴を把握することが可能になり、半導体レーザ25の劣化の原因が定常的なものなのか、それとも、非定常なものなのかを判定するのに役立てることができる。
【0197】
以下では、上述した方法により予測された半導体レーザ25の劣化状態を利用した情報記録装置1の動作例について、図8に示される情報記録装置1aを参照して説明する。
【0198】
(動作例2−1)
複数の磁気ヘッド2a〜2cを備える情報記録装置1aにおいて、磁気ヘッド制御部3に新規データ書き込み指示が入力された場合、磁気ヘッド制御部3は、異常検出部6から出力された異常検出信号S5に示される磁気ヘッド2a〜2cごとの半導体レーザ25の劣化状態を比較して、磁気ヘッド2a〜2cのうち、最も劣化が少ない半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体を選択して記録動作を行う。これにより、情報記録装置1aの記録信頼性を向上させることができる。
【0199】
(動作例2−2)
また、磁気ヘッド制御部3は、複数の磁気ヘッド2a〜2cが有する半導体レーザ25のうち、少なくとも1つの半導体レーザ25の劣化状態を示す値が、予め設定された設定値(例えば、理論とのずれが50%)を上回ると、当該半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体への新規書き込みを行わず、書き換えのみにすることにより、当該半導体レーザ25の使用を極力控える構成であっても良い。若しくは、磁気ヘッド制御部3は、当該半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体への書き込み/書き換えを禁止し、読み取り専用にする構成であっても良い。
<変形例2>
上述の説明では、受光素子26として一般的なフォトダイオードを利用する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、受光素子26に代えて分光素子26aを用いる構成であってもよい。
【0200】
図9は、分光素子26aを備える磁気ヘッド2dの斜視図である。図9に示されるように、磁気ヘッド2dは、受光素子26に代えて分光素子26aを有しており、分光素子26aは、例えば、フォトニック結晶等とフォトダイオードアレイとを組み合わせた構造になっており、入射光の波長とそれぞれの波長に対する光出力との両方を測定可能である。
【0201】
半導体レーザ25からの光の発振波長領域全体が分光素子26aの検出領域にカバーされていれば、測定された全波長の光出力を波長に対して積分することで、半導体レーザ25の光出力に換算することができる。
【0202】
ここで、半導体レーザ25の駆動温度と波長との関係について述べる。一般的に半導体レーザ25のバンドギャップ及び屈折率は駆動温度によって変化し、また、半導体内に存在するキャリアのエネルギー分布(擬フェルミ分布)も駆動温度により変化する。さらに、駆動温度により半導体レーザ25を構成する共振器構造及び利得スペクトルが変化するため、半導体レーザ25の発光波長は、その発光層の温度によって変化する。
【0203】
図10は、一般的な半導体レーザ25の発振ピーク波長と駆動温度との関係を示す図である。図10に示されるように、半導体レーザ25の発振ピーク波長は、一般的に最も大きな利得を持つ共振器のモードとなる。図10では、領域A1で示される温度に対する連続的な変化と、領域B1で示される波長の段階的な変化との両方が合わさった状態を示している。
【0204】
領域A1は、共振器の屈折率変化によるモード位置の変化により生じ、領域B1は、最も大きな利得を持つ共振器のモードが隣のモードに変化することによって生じる(モードホッピング)。図10に示されるように、半導体レーザ25の発振ピーク波長と半導体レーザ25の駆動温度とはほぼ1対1で対応している。言い換えると、半導体レーザ25の発振ピークから半導体レーザ25の駆動温度を計測することが可能であり、この方法により計測された駆動温度を上述した半導体レーザ25の残存寿命の予測に用いることが可能である。
【0205】
〔実施形態2〕
本発明の情報記録装置に関する他の実施形態について、図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0206】
なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0207】
本実施形態では、実施形態1で説明した図8に示される情報記録装置1aを計算機100に適用した場合について説明する。計算機100は、例えば、パーソナルコンピュータ等であり、計算やデータ処理、インターネット、メール等の用途に用いられる。
【0208】
<計算機の構成>
図11は、本実施形態に係る計算機100の要部構成を示すブロック図である。図11に示されるように、計算機100は、情報記録装置1a、計算機制御部101、中央演算部102、主記憶部103、表示部104、及び入力インターフェース105を備えている。
【0209】
計算機制御部101は、計算機100を構成する情報記録装置1a、中央演算部102、主記憶部103、表示部104、及び入力インターフェース105のそれぞれに接続され、各部の動作の制御を行う。
【0210】
情報記録装置1aは、計算機100の一部として構成されており、計算機制御部101によって情報の入出力及び動作の制御が行われる。情報記録装置1aは、計算機100内で情報を記録する部分であり、内部に備えられる半導体レーザ25の残存寿命や劣化状態の予測を行う。
【0211】
<計算機の動作>
次に、計算機100の具体的な動作例について説明する。計算機100が備える情報記録装置1aは、下記に示す動作を行う。なお、下記に示す動作と、実施形態1において説明した動作のうち、いずれか1つの動作が行われても良いし、或いは2つ以上の動作が複合的に行われても良い。
【0212】
(動作例3−1)
駆動情報分析部8は、情報記録装置1aが備える駆動情報分析部8によって予測された半導体レーザ25の残存寿命が、登録値記憶部80に記憶された閾値(例えば、1,000時間)を切ったとき、駆動情報分析部8は、警告情報出力部7から計算機制御部101に警告信号S6を出力させる。そして、計算機制御部101は、警告情報出力部7から出力された警告信号S6を取得したとき、情報記録装置1aの交換を促すメッセージやデータのバックアップ、別の情報記録装置へのデータ移動を促すメッセージを表示させるように表示部104を制御する。または計算機制御部101は、警報音を発するように音声出力部106を制御する。
【0213】
(動作例3−2)
また、情報記録装置1a自体が外部への警告表示手段(例えば、LEDランプ、音声出力装置等)を別に備える場合、駆動情報分析部8は、予測した半導体レーザ25の残存寿命が、登録値記憶部80に記憶された閾値(例えば、1,000時間)を切ったとき、警告表示手段を介して、情報記録装置1aの交換を促すメッセージやデータのバックアップ、別の情報記録装置1aへのデータ移動を促すメッセージを表示させる構成であっても良い。或いは、警報音を流してユーザに知らせる構成であっても良い。
【0214】
(動作例3−3)
また、計算機制御部101は、情報記録装置1aが備える磁気ヘッド2a〜2cのうち、最も残存寿命が長い半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体を自動的に選択して記録動作を行うように制御する構成であっても良い。これにより、安定した情報の記録が可能となるため、計算機100の記録信頼性を向上させることができる。
【0215】
(動作例3−4)
また、計算機制御部101は、情報記録装置1aが備える駆動情報分析部8によって予測された半導体レーザ25の残存寿命が、登録値記憶部80に記憶された閾値(例えば、1,000時間)を切ったとき、当該半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体への新規書き込みを行わず、書き換えのみにする構成であっても良い。
【0216】
(動作例3−5)
また、計算機制御部101は、情報記録装置1aが備える複数の磁気ヘッド2a〜2cが有する半導体レーザ25のうち、少なくとも1つの半導体レーザ25が寿命に到したとき、情報記録装置1aに対して、当該半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体への書き込み/書き換えを禁止し、読み取り専用にする構成であっても良い。或いは、計算機制御部101は、当該ディスク媒体に記録された情報を他の2つのディスク媒体、または別に設けられた情報記録装置(図示せず)へ移す構成であっても良い。
【0217】
〔実施形態3〕
本発明の情報記録装置に関する他の実施形態について、図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0218】
なお、説明の便宜上、実施形態1及び実施形態2にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0219】
本実施形態では、実施形態1で説明した図8に示される情報記録装置1aを映像記録装置110に適用した場合について説明する。映像記録装置110は、映像の録画及び再生等の用途に用いられる。
【0220】
<映像記録装置の構成>
図12は、本実施形態に係る映像記録装置110の要部構成を示すブロック図である。図12に示されるように、映像記録装置110は、情報記録装置1a、中央演算部102、主記憶部103、入力インターフェース105、音声出力部106、テレビチューナ111、及び装置制御部112を備えている。
【0221】
テレビチューナ111は、テレビ信号が入力され、ユーザによって選択されたチャンネルのテレビ信号を分離するものである。分離されたテレビ信号は、装置制御部112により映像に変換され、情報記録装置1aに記録される。
【0222】
情報記録装置1aは、映像記録装置110内で情報が記録される部分であり、内部に備えられる半導体レーザ25の残存寿命や劣化状態の予測を行う。
【0223】
<映像記録装置の動作>
次に、映像記録装置110の具体的な動作例について説明する。映像記録装置110が備える情報記録装置1aは、下記に示す動作を行う。なお、下記に示す動作と、実施形態1において説明した動作のうち、いずれか1つの動作が行われてもよいし、或いは2つ以上の動作が複合的に行われてもよい。
【0224】
(動作例4−1)
駆動情報分析部8は、情報記録装置1aが備える駆動情報分析部8によって予測された半導体レーザ25の残存寿命が、登録値記憶部80に記憶された閾値(例えば、1,000時間)を切ったとき、駆動情報分析部8は、警告情報出力部7から装置制御部112に警告信号S6を出力させる。そして、装置制御部112は、警告情報出力部7から出力された警告信号S6を取得したとき、計算機制御部101は、警報音を発するように音声出力部106を制御する。
【0225】
(動作例4−2)
また、装置制御部112は、磁気ヘッド2a〜2cのうち、最も残存寿命が長い半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体を自動的に選択して記録動作を行うように制御する構成であっても良い。これにより、安定した情報の記録が可能となるため、計算機100の記録信頼性を向上させることができる。
【0226】
(動作例4−3)
また、装置制御部112は、情報記録装置1aが備える駆動情報分析部8によって予測された半導体レーザ25の残存寿命が、登録値記憶部80に記憶された閾値(例えば、1,000時間)を切ったとき、当該半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体への新規書き込みを行わず、書き換えのみにする構成であっても良い。
【0227】
(動作例4−4)
また、装置制御部112は、情報記録装置1aが備える複数の磁気ヘッド2a〜2cが有する半導体レーザ25のうち、少なくとも1つの半導体レーザ25が寿命に到したとき、情報記録装置1aに対して、当該半導体レーザ25を有する磁気ヘッドに対応するディスク媒体への書き込み/書き換えを禁止し、読み取り専用にする構成であっても良い。或いは、計算機制御部101は、当該ディスク媒体に記録された情報を他の2つのディスク媒体、または別に設けられた情報記録装置(図示せず)へ移す構成であっても良い。
【0228】
<補足>
なお、本発明は、下記のように表現することも可能である。すなわち、本発明に係る情報記録装置は、光発生素子及び磁界発生素子を備えたヘッドと、前記ヘッドの動作を制御するヘッド制御部と、情報の記録が可能な情報記録媒体と、を有する情報記録装置であって、前記光発生素子の動作状態を検出する光発生素子動作状態検出手段と、前記検出された前記光発生素子の動作状態を記録し、履歴情報として残しておくことが可能な履歴情報記録手段と、を備えることを特徴とする。
【0229】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記ヘッドが前記情報記録媒体に記録された情報を読み出すことが可能な再生素子を有することを特徴とする。
【0230】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記情報記録装置は前記ヘッドを2以上有し、前記ヘッド制御部は前記2以上のヘッドを個別に制御することを特徴とする置。
【0231】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記動作状態を用いて、前記光発生素子の特性を予測し、履歴情報として残すことを特徴とする。
【0232】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記履歴情報を用いて、前記光発生素子の特性を予測することを特徴とする。
【0233】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記動作状態と、前記履歴情報の両方を利用して前記光発生素子の特性を予測することを特徴とする。
【0234】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記動作状態が前記光発生素子の駆動電流及び駆動温度であることを特徴とする。
【0235】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記光発生素子の特性が残りの素子寿命であることを特徴とする。
【0236】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記光発生素子の特性が正常使用条件下における駆動による劣化以外の前記光発生素子の劣化要因の有無であることを特徴とする。
【0237】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記光発生素子の正常使用条件下における駆動による劣化以外の有無の予測は、現時点までの前記履歴情報を90%以上利用して予測された前記光発生素子の残り寿命と、前記光発生素子の前記履歴情報のうち、履歴取得開始から最初の10%以内に含まれる情報を元に予測される、前記不可逆的特性要因の有無の予測が行われる時点における前記光発生素子の残りの素子寿命を比較することで行われることを特徴とする。
【0238】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記予測された特性が予め設定された設定値を超えた場合、前記情報記録装置の利用者に対して出力することを特徴とする。
【0239】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記予測された特性が予め設定された設定値を超えた場合、前記ヘッド制御部は前記設定値を超えたヘッドの前記光発生素子の動作を通常動作とは異なる動作をさせることを特徴とする。
【0240】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記ヘッド制御部は、前記履歴情報に基づき、前記2以上の記録ヘッドの動作がそれぞれ異なるように、前記複数の記録ヘッドをそれぞれ制御することを特徴とする。
【0241】
また、本発明に係る情報記録装置は、光発生素子及び磁界発生素子を備えたヘッドと、前記ヘッドの動作を制御するヘッド制御部と、情報の記録が可能な情報記録媒体と、前記光発生素子の動作状態を検出する光発生素子動作状態検出手段と、を有する情報記録装置であって、前記検出された光発生素子の動作状態を、前記情報記録装置内に予め設定された設定値と比較し、異常を検出することを特徴とする。
【0242】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記異常が検出された場合、前記ヘッド制御部は前記光発生素子の動作を通常とは異なる動作をさせることを特徴とする。
【0243】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記異常が検出された場合、前記ヘッド制御部は前記光発生素子の動作を停止させることを特徴とする。
【0244】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記異常が検出された場合はこの異常情報を利用者に対して出力することを特徴とする。
【0245】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記異なる動作が前記ヘッドの新規情報記録を停止し、情報の書き換え及び再生に限定する動作であることを特徴とする。
【0246】
また、本発明に係る情報記録装置は、前記異なる動作が前記ヘッドの情報記録を停止する動作であることを特徴とする。
【0247】
また、本発明に係る情報記録装置の制御方法は、光発生素子動作検出手段により検出された光発生素子の動作状態を検出するステップと、光発生素子動作状態の履歴情報を検出するステップと、前記動作状態もしくは履歴情報を予め設定された設定値と比較し、障害予測に係る異常を検出するステップと、異常が検出された場合はこの異常情報を出力するステップと、を備えることを特徴とする。
【0248】
また、本発明に係る計算機は、前記情報記録装置を備え、若しくは前記情報記録装置の制御方法を実行することを特徴とする。
【0249】
また、本発明に係る映像記録装置は、前記情報記録装置を備え、若しくは前記情報記録装置の制御方法を実行することを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0250】
本発明は、ハードディスク等の磁気記録媒体を備えた各種の装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0251】
1 情報記録装置
1a 情報記録装置
2 磁気ヘッド(ヘッド部)
2a 磁気ヘッド(ヘッド部)
2b 磁気ヘッド(ヘッド部)
2c 磁気ヘッド(ヘッド部)
2d 磁気ヘッド(ヘッド部)
3 磁気ヘッド制御部(ヘッド制御部)
4 駆動情報取得部
5 駆動情報記憶部
6 異常検出部
7 警告情報出力部
8 駆動情報分析部
10 ディスク媒体(磁気記録媒体)
21 記録部
22 再生部
23 温度センサ
24 磁場発生部(磁界発生素子)
25 半導体レーザ(光発生素子)
26 受光素子
26a 分光素子
27 近接場光発生部
28 再生素子
29 スライダ
30 サスペンション
60 設定値記憶部
80 登録値記憶部
100 計算機
101 計算機制御部
102 中央演算部
103 主記憶部
104 表示部
105 入力インターフェース
106 音声出力部
110 映像記録装置
111 テレビチューナ
112 装置制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の記録が可能な磁気記録媒体を加熱するための光発生素子、及び当該磁気記録媒体に情報を記録するための磁界発生素子を有するヘッド部と、
前記光発生素子の動作時における駆動状態を、当該光発生素子の駆動情報として取得する駆動情報取得部と、
前記駆動情報取得部により取得された前記駆動情報を記憶可能な駆動情報記憶部と、
前記ヘッド部の動作を制御するヘッド制御部と、
を備えることを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
前記ヘッド部は、前記磁気記録媒体に記録された情報を読み出すための再生素子をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
少なくとも2つの前記ヘッド部を備え、
前記ヘッド制御部は、前記ヘッド部を個別に制御することを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記ヘッド制御部は、前記駆動情報に応じて、前記ヘッド部の動作がそれぞれ異なるように、前記ヘッド部を制御することを特徴とする請求項3に記載の情報記録装置。
【請求項5】
前記駆動情報を分析して、前記光発生素子の機能障害に関する特性を予測する駆動情報分析部をさらに備え、
前記駆動情報分析部は、予測した前記特性を前記ヘッド制御部に出力し、
前記ヘッド制御部は、前記駆動情報分析部から出力された前記特性に基づいて、前記ヘッド部の動作を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項6】
前記駆動情報分析部は、前記駆動情報取得部によって取得された前記駆動情報に基づいて、前記特性を予測することを特徴とする請求項5に記載の情報記録装置。
【請求項7】
前記駆動情報分析部は、前記駆動情報記憶部に記憶された前記駆動情報に基づいて、前記特性を予測することを特徴とする請求項5に記載の情報記録装置。
【請求項8】
前記駆動情報分析部は、前記駆動情報取得部によって取得された駆動情報、および前記駆動情報記憶部に記憶された前記駆動情報に基づいて、前記特性を予測することを特徴とする請求項5に記載の情報記録装置。
【請求項9】
前記特性は、前記光発生素子の残存寿命であることを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項10】
前記特性は、突発的な劣化要因により生じた前記光発生素子の劣化の有無であることを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項11】
前記突発的な劣化要因により生じた前記光発生素子の劣化の有無の予測は、前記駆動情報記憶部に記憶された前記駆動情報のうち、予測実行点までの90%以上、100%未満期間に記憶された前記駆動情報を用いて予測された前記光発生素子の残存寿命と、前記駆動情報記憶部に記憶された前記駆動情報のうち、前記駆動情報の記憶を開始した時点から10%以下の期間に記憶された前記駆動情報に基づいて予測した前記光発生素子の残存寿命と、を比較することで行われることを特徴とする請求項10に記載の情報記録装置。
【請求項12】
前記駆動情報分析部は、前記特性を示す値が所定の閾値を超えたとき、当該記特性を示す値が所定の閾値を超えたこと利用者に通知させることを特徴とする請求項6から11のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項13】
前記ヘッド制御部は、前記特性を示す値が所定の閾値を超えているとき、当該閾値を超えた光発生素子を有するヘッド部の動作内容を、通常の動作内容から変更することを特徴とする請求項6から12のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項14】
前記駆動情報は、前記光発生素子の駆動電流または駆動温度を含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項15】
情報の記録が可能な磁気記録媒体を加熱するための光発生素子、及び当該磁気記録媒体に情報を記録するための磁界発生素子を有するヘッド部と、
前記光発生素子の動作時における駆動状態を、当該光発生素子の駆動情報として取得する駆動情報取得部と、
前記駆動情報取得部により取得された前記駆動情報で示される値と、予め設定された設定値と比較し、異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部により検出された検出結果に基づいて、前記ヘッド部の動作を制御するヘッド制御部と、
を備えることを特徴とする情報記録装置。
【請求項16】
前記ヘッド制御部は、前記異常検出部により前記光発生素子の異常が検出されたとき、当該異常が検出された光発生素子を有するヘッド部の動作内容を、通常の動作内容から変更することを特徴とする請求項15に記載の情報記録装置。
【請求項17】
前記ヘッド制御部は、前記異常検出部により前記光発生素子の異常が検出されたとき、当該異常が検出された光発生素子の動作を停止させることを特徴とする請求項15に記載の情報記録装置。
【請求項18】
前記異常検出部は、前記光発生素子に異常を検出したとき、当該光発生素子に異常が生じたことを利用者に対して通知させることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項19】
前記ヘッド制御部は、前記ヘッド部による前記磁気記録媒体への新規情報の記録を禁止して、情報の書き換えおよび再生に限定するように当該ヘッド部の動作内容を変更することを特徴とする請求項13または16に記載の情報記録装置。
【請求項20】
前記ヘッド制御部は、前記ヘッド部による前記磁気記録媒体への情報の記録を停止するように当該ヘッド部の動作内容を変更することを特徴とする請求項13または16に記載の情報記録装置。
【請求項21】
情報の記録が可能な磁気記録媒体を加熱するための光発生素子、及び当該磁気記録媒体に情報を記録するための磁界発生素子を有するヘッド部を用いて、情報を記録する記録ステップと、
前記記録ステップにおける前記光発生素子の動作時における駆動状態を、当該光発生素子の駆動情報として駆動情報取得ステップと、
前記駆動情報取得ステップにて取得した前記駆動情報、及び前記駆動情報取得ステップにて取得した前記駆動情報を記憶した当該駆動情報の履歴のいずれか、または双方に応じて、前記ヘッド部の動作を制御するヘッ制御ステップと、
を含むこと特徴とする情報記録装置の制御方法。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか1項に記載の情報記録装置を備えることを特徴とする計算機。
【請求項23】
請求項1から20のいずれか1項に記載の情報記録装置を備えることを特徴とする映像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−77367(P2013−77367A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218369(P2011−218369)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】