説明

情報記録装置

【課題】外部メディアの残容量を短時間で表示することを可能とする。
【解決手段】半導体メモリを有するリムーバブルな記録メディアを装着する装着部と、記録メディアに対して記録情報を記録する記録部と、記録メディアの識別コードおよびファイル構造を示すデータからなる識別情報と記録メディアの容量情報とを対応付けて記憶し、記録メディアの容量情報が変化した場合に該記録メディアの容量情報が更新される記憶部とを有する。制御部が装着される記録メディアの識別情報と記憶部に記憶されている識別情報とが一致するか否かを判断し、一致する場合に容量情報を記憶部から取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば音声信号をSDメモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のリムーバブルな記録メディアに記録する情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のオーディオ機器として、チューナ、CDプレーヤー、リムーバブルな記録メディアの記録再生部を一体に備える装置が市販されている。SDメモリカード、USBメモリ等の半導体メモリ(すなわち、フラッシュメモリ)を有するリムーバブルな記録メディアが使用される。以下、この種の記録メディアを外部メディアと適宜称する。かかるオーディオ機器では、CDプレーヤーで再生された音楽、外部からの入力等を外部メディアに記録し、また、外部メディアから再生することが可能である。
【0003】
外部メディアに対して例えばCDプレーヤーの再生信号を記録する場合、再生信号を外部メディアに確実に記録するために、使用する外部メディアの残容量を確認する機能を持つことが好ましい。
【0004】
例えば特許文献1には、データ取得手段のデータ取得速度、不揮発性メモリのデータ記録速度、および揮発性メモリ(書き込みバッファ)の残空き容量から、揮発性メモリに対して情報データを記録可能な時間を求めることが記載されている。特許文献2には、フラッシュメモリが一切使用されておらず、完全に全容量が残っているかどうかを表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−175783号公報
【特許文献2】特開2007−025824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、装置内部の書き込みバッファの容量が不足して記録が中止するまでの時間を提示するものであり、外部メディアの残容量を表示することとは異なる内容のものである。特許文献2には、外部メディアの全容量が残っているか否かを表示するものであり、残容量をユーザに知らせる機能としては、不十分なものであった。
【0007】
一般的には、外部メディアが機器に装着されると、外部メディア内の全ファイルに対してアクセスを行い、残容量の計算を行うようにされる。この方法は、外部メディア内のファイル数が多い場合等では、残容量の計算に時間がかかる問題が生じる。特に、チューナ、CDプレーヤー、外部メディアの記録再生部を一体に備える装置では、コストを抑えるために、高性能のCPUを搭載することができず、残容量の計算処理にかかる時間が長くなる。
【0008】
したがって、本開示は、外部メディアの残容量を短時間で表示することが可能な情報記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本開示は、半導体メモリを有するリムーバブルな記録メディアを装着する装着部と、
記録メディアに対して記録情報を記録する記録部と、
記録メディアの識別コードおよびファイル構造を示すデータからなる識別情報と記録メディアの容量情報とを対応付けて記憶し、記録メディアの容量情報が変化した場合に該記録メディアの容量情報が更新される記憶部と、
装着部に装着される記録メディアの識別情報と記憶部に記憶されている識別情報とが一致するか否かを判断し、一致する場合に容量情報を記憶部から取得する制御部と
を有する情報記録装置である。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、過去に使用したことがある外部メディアの容量情報を外部メディアの識別情報と対応付けてメモリに記憶している。したがって、外部メディアが挿入される時に、該外部メディアがメモリに登録されていれば、直ぐに残容量が判る。したがって、残容量の計算を行うためのCPUの能力が低くても残容量を直ぐに表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示による情報記録装置の一実施の形態の外観を示す正面図である。
【図2】本開示による情報記録装置の一実施の形態の外観を示す上面図である。
【図3】本開示による情報記録装置の一実施の形態のブロック図である。
【図4】本開示による情報記録装置の一実施の形態のEEPROMの記憶内容を表すブロック図である。
【図5】USBメモリの識別情報の一例の説明に用いる略線図である。
【図6】SDメモリカードの識別情報の一例を示す略線図である。
【図7】本開示による情報記録装置の一実施の形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【図8】本開示による情報記録装置の一実施の形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【図9】本開示による情報記録装置の一実施の形態における残容量表示の説明に用いる略線図である。
【図10】本開示による情報記録装置の一実施の形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【図11】本開示による情報記録装置の一実施の形態における録音可能時間の表示の説明に用いる略線図である。
【図12】本開示による情報記録装置の一実施の形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【図13】本開示による情報記録装置の一実施の形態における録音予約時の表示の説明に用いる略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施の形態は、本開示の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において、特に限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0013】
「情報記録装置の一例」
本開示の一実施の形態について説明する。図1および図2を参照して本開示を適用できる情報記録装置の一例について説明する。図1は、情報記録装置100の前面を示し、図2は、情報記録装置100の上面を示す。情報記録装置100の前面には、左チャンネルのスピーカ101Lと、右チャンネルのスピーカ101Rとが設けられ、前面がサランネットで覆われている。さらに、左右のチャンネルのマイクロホン102Lおよび102R、リモートコントロール用の赤外線の受光素子103が前面に設けられている。なお、本開示は、スピーカが本体と分離しており、スピーカケーブルによってスピーカとパワーアンプと接続される構成に対しても適用できる。
【0014】
さらに、情報記録装置100の前面のほぼ中央位置に外部メディアの装着部104が設けられている。装着部104は、横方向に延びる領域にUSBジャック105、例えばSDメモリカード用のメモリカードスロット106、赤色LED(Light Emitting Diode)107aおよび107b、並びに青色LED108が配されている。赤色LED107aは、USBメモリに対する録音動作時に点灯し、赤色LED107bは、SDメモリカードに対する録音動作時に点灯する。さらに、青色LED108は、USBメモリまたはSDSDメモリカードに対してアクセス中に点灯または点滅する。
【0015】
なお、USBメモリおよびSDメモリカードは、リムーバブルな記録メディアの一例であり、他の種類のリムーバブルな記録メディアを使用しても良い。本開示の一実施の形態では、外部メディアがUSBマスストレージクラスに対応しているものが使用される。したがって、USBジャック105には、USBメモリ以外に、USBマスストレージクラスに対応している機器(ICレコーダ、デジタルオーディオプレーヤー、携帯電話等)が接続可能である。
【0016】
筐体の上面には、操作スイッチおよび表示部が設けられている。110が電源ボタンであり、111がおやすみタイマーボタンである。中央にCDふた112が位置し、CDの挿入時にCDふた112が開かれる。音量調整ダイヤル113によって音量を増減できる。
【0017】
さらに、LCD(Liquid Crystal Display)表示部114が設けられる。CDボタン1
15、外部メディアボタン116、ラジオボタン117、外部入力/マイクボタン118によって、ソースの選択がなされる。さらに、予約ボタン119、メニューボタン120、上下左右の方向を指定する方向キーが周囲に配置され、中央に決定キーが配置された選択キー121が設けられている。さらに、再生/一時停止ボタン122、停止ボタン123、表示ボタン124等のボタンが設けられている。
【0018】
上述したオーディオ機器は、録音/再生装置である。外部メディアのUSBメモリまたはSDメモリカードに対して、CD部により再生された音楽、ラジオの受信音声、外部入力(またはマイクロホン)の音声を記録することができる。
【0019】
一例として、CD部により再生された音楽を聴く場合には、CDボタン115が押され、CDふた112を開けてCDをセットする。CDふた112を閉める。そして、再生/一時停止ボタン122が押される。CDの再生が開始される。停止ボタンを押すと、再生
が終了する。
【0020】
さらに、CDの再生音楽を外部メディア例えばUSBメモリに記録する操作の概略について説明する。最初に、USBジャック105にUSBメモリを接続すると共に、CDふた112を開けてCDをセットする。メニューボタン120が押され、LCD表示部114のメニュー表示を見ながらUSBメモリに対する録音動作が設定される。USBメモリに対する録音動作の設定が赤色LED107aの発光によって表示される。そして、CDボタン115を押すと、CDの再生が開始されると共に、録音動作が開始する。SDメモリカードに対する録音も同様になされる。停止ボタンを押すと、録音が終了する。
【0021】
図3は、本開示の一実施の形態の電気的構成を示す。外部入力部11からの外部入力オーディオ信号がアッテネータ14を介してセレクタ17の入力端子aに供給される。チューナ部12の出力がアッテネータ15を介してセレクタ17の入力端子bに供給される。マイクロホン13の出力がアンプ16を介してセレクタ17の入力端子cに供給される。
【0022】
CDプレーヤー部18からの再生デジタル信号がコーデック(図中ではCODECと表記する)19に供給される。コーデック19は、音声データのエンコードとデコードとを行うことができる装置(またはソフトウェア)である。例えばコーデック19がDSP(Digital Signal Processor)によって構成される。コーデック19において復号された結果のアナログオーディオ信号がセレクタ17の入力端子dに供給される。
【0023】
コーデック19における符号化方式としては、WMA(Windows Media Audio)、AC−
3(ドルビーデジタル)、ATRAC(Adaptive Transfer Acoustic Coding) 、MPEG(Moving Picture Experts Group)オーディオ用のコーデック(MP3(MPEG1 Audio Layer 3) 等の種々の方式を使用できる。さらに、複数の符号化方式の一つを選択するようにしても良い。
【0024】
コーデック19に対してマイクロコンピュータで構成されるUSBホスト20が接続されている。USBホスト20は、USBメモリ21およびSDメモリカード22に対するインターフェースとしての機能を有する。録音は、コーデック19から出力される符号化されたデジタルオーディオ信号がUSBホスト20を介してUSBメモリ21またはSDメモリカード22に対して供給することでなされる。
【0025】
CDプレーヤー部18の再生信号をUSBメモリ21またはSDメモリカード22に対して記録する場合には、コーデック19において、CDプレーヤー部18の再生信号がデジタルオーディオ信号に変換され、さらに、符号化される。符号化データがUSBホスト20を介してUSBメモリ21またはSDメモリカード22に対して供給される。
【0026】
さらに、セレクタ17によって選択されたオーディオ信号をUSBメモリ21またはSDメモリカード22に記録することができる。例えば入力端子bに供給されるチューナ部12の出力信号がアンプ23およびA/Dコンバータ24を介してコーデック19に供給される。コーデック19において、符号化された符号化データがUSBホスト20を介してUSBメモリ21またはSDメモリカード22に対して供給される。
【0027】
セレクタ17によって選択されたオーディオ信号は、アンプ23と共にイコライザ25に供給される。イコライザ25の出力信号がパワーアンプ26を介してスピーカ101に供給される。図3では、簡略化されているが、2チャンネルの再生信号経路が設けられており、スピーカ101は、図1におけるスピーカ101L、101Rと対応している。セレクタ17の入力端子dには、コーデック19からのオーディオ信号が供給される。すなわち、CDプレーヤー部18、USBメモリ21およびメモリカード22の何れかの再生オーディオ信号が入力端子dに供給され、イコライザ25およびパワーアンプ26を介してスピーカ101に供給される。
【0028】
さらに、装置全体を制御するコントローラ27が設けられている。コントローラ27は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、フラッシュROM(Read Only Memory)、時計回路等からなるマイクロコンピュータであり、この一実施の形態の情報記録装置の各部を制御するためのコントロール信号を発生する。例えばコントローラ27がチューナ部12、CDプレーヤ部18、セレクタ17等をそれぞれ制御するコントロール信号を発生する。
【0029】
コントローラ27に対して、受光素子103、電源ボタン110等を含むキー28、LCD表示部114、LED(図示しない)およびEEPROM(Electrical Erasable Programmable ROM)29が接続されている。EEPROMに以外に、書き換え可能な不揮
発性メモリを記憶部として接続するようにしても良い。
【0030】
「EEPROMの内容」
EEPROM29のメモリマップの一例を図4に示す。EEPROM29は、例えば2kバイトの容量を有しており、00h(hは、16進表記を意味する)〜2Fhのアドレス範囲にFMプリセット放送局の周波数データが書き込まれ、30h〜3Fhのアドレス範囲にAMプリセット放送局の周波数データが書き込まれる。
【0031】
さらに、EEPROM29の下記のアドレスに5種類の接続メディア(接続された外部メディア)の識別子(IDと称する)とそれぞれの残容量とが記憶される。
50h:接続メディア1のID、52h:接続メディア1の残容量
56h:接続メディア2のID、58h:接続メディア2の残容量
5Ch:接続メディア3のID、5Eh:接続メディア3の残容量
62h:接続メディア4のID、64h:接続メディア4の残容量
66h:接続メディア5のID、68h:接続メディア5の残容量
アドレスの6EhからFFhの範囲は、空き領域とされる。
【0032】
接続メディア1〜接続メディア5のそれぞれは、USBメモリ21またはSDメモリカード22であり、両者が混在しても良い。すなわち、EEPROM29には、装着部(USBジャック105またはメモリカードスロット106)に装着された最新の記録メディアから遡って5個の異なる記録メディアのメディアIDと残容量とが記憶される。したがって、EEPROM29に未登録の外部メディアが接続されると、最も前の時点で接続された外部メディアの情報に代えて新しく接続された外部メディアのメディアIDと残容量とがEEPROM29上に記憶される。
【0033】
記憶する記録メディアの個数は、5個以外であっても良いが、CDのようなメディアと異なり、ユーザが良く使用する数個の情報を記憶しておけば、通常使用上、問題が少ないと考えられる。5個の外部メディアの一例を以下に示す。
外部メモリスロット付きICレコーダ(2台)。
USBメモリ(1個)
SDメモリカード(2枚)
【0034】
残容量の単位の一例は、記録可能時間(時間である)である。本開示の一実施の形態では、記録時のデータレートが例えば128kbpsであり、残容量をこのデータレートで除
算した結果が記録可能時間となる。すなわち、ファイルサイズと録音可能時間の関係は、下記の式で表される。
ファイルサイズ[byte]=128[kbps]/8×録音可能時間[sec]
録音可能時間[hour]=ファイルサイズ[byte]×(8/128)/3600
【0035】
但し、残容量の表記は、時間以外にメモリの残量(バイト数)を直接的に表示しても良く、記録可能時間とメモリの残量とを併記しても良い。さらに、EEPROM29に未登録の外部メディアの場合には、外部メディアにアクセスして残容量を求める処理が必要とされる。一方、登録済の外部メディアの場合では、外部メディアに対してのアクセスは不要であり、EEPROM29からメディアIDが一致するものの残容量情報を読み出せば良い。録音等でメモリ容量を使用した場合には、その使用分が以前の容量から減算されるように、残容量の値が更新される。
【0036】
メディアIDは、外部メディアを特定するための情報である。例えば製品名と対応する製品コードと、ユーザによって書き込まれたFAT(File Allocation Table)情報(ファ
イル、ディレクトリ構造)とによって、メディアIDが構成される。メディアIDは、同一製品のメディアであり、同一の記録情報であることを特定するための情報である。
【0037】
一例として、製品コードに対して5バイトが確保される。図5は、USBメモリのUSB記述子(Descriptor)の中の装置記述(Device Descriptor)の具体列を示す。USBメモリ(USB装置)は、一つの装置記述しか持つことができない。装置記述は、適合するUSBバージョン、適切なドライバを読み込むための供給者ID(idVendor)、製品ID(idProduct)、装置が持っている利用可能な設定数等の情報を含んでいる。
【0038】
供給者ID(idVendor)は、USB協会によって割り当てられた供給者識別コードである。製品ID(idProduct)は、製造(供給)者によって割り当てられた製品識別コードであ
る。USBメモリの場合では、製品ID(idProduct)がメディアIDの製品コードとして
利用される。図5Aに示すUSBメモリの製品ID(idProduct)は、0x02D5(0x
は、16進の表記であることを示す)である。一方、図5Bに示す他のUSBメモリの製品ID(idProduct)は、0x0243である。これらの異なる製品IDによってUSBメ
モリを区別することができる。さらに、FAT情報によって、二つのUSBファイルを識別できる。
【0039】
さらに、SDメモリカードの場合では、図6に示すCID(Card IDentification)レジ
スタの内容に含まれる製品名(Product name)が製品コードとして利用される。製品名は、製造(供給)者によって割り当てられた製品識別コードである。
【0040】
FAT情報は、例えばファイルやディレクトリのデータ領域における配置(クラスタ・チェーン)を同一か否かを判定するのに必要な量のデータを保存し、保存したデータを演算(例えば加算)して下位の数バイトを抽出したようなデータである。
【0041】
外部メディアが接続されると、外部メディアからメディアID(製品コードおよびFAT情報)が読み取られ、コントローラ27において、読み取られたメディアIDとEEPROM29に保存されている5個のメディアIDとのそれぞれとの一致が検出される。例えば二つのメディアIDの排他的論理和を演算することによって、一致するか否かの判定結果を得ることができる。なお、例えば一方が他方をコピーすることによって作成された場合のように、同一の製品コードの外部メディアであって、全く同じ状態のFAT情報を持つ二つの外部メディアは、同一デバイスとして判定される。
【0042】
「一実施の形態における処理」
以下、コントローラ27において、ソフトウェアによって実行される、本開示の一実施の形態の処理について説明する。最初に、図7を参照して、外部メディアの検出から残容量表示準備完了までの処理の流れを説明する。
【0043】
図7のステップS1において、外部メディアが挿入されたことが検出される。ステップS2において、当該外部メディアのメディアIDが調べられる。すなわち、製品コードおいてFAT情報の解析がなされる。
【0044】
ステップS3において、接続された外部メディアのメディアIDがEEPROM29内のリストにおいて検索される。ステップS4において、検索の結果、接続された外部メディアのメディアIDがEEPROM29に保存されたメディアIDにヒットしたか否かが判定される。
【0045】
ヒットした場合、ステップS5において、EEPROM29から保存データ(残容量データ)が読み出され、残容量表示準備完了(ステップS8)の状態となる。ステップS4において、接続された外部メディアのメディアIDがEEPROM29に保存されたメディアIDにヒットしないと判定されると、処理がステップS6に移る。
【0046】
ステップS6において、残容量の計算が開始される。この残容量の計算は、接続された外部メディアの全ファイルに対してアクセスを行い、当該外部メディアの残容量を実際に求める処理である。求められた残容量がステップS7において、EEPROM29に記憶される。そして、残容量表示準備完了(ステップS8)の状態となる。
【0047】
上述したように、新規に残容量計算が必要な場合でも、外部メディアが挿入された直後から計算を開始し、当該外部メディアがオーディオ再生、録音等で使用されていないタイミング(例えば録音開始前、予約録音の登録時等)では、余程大きな容量を持つ外部メディアでない場合、残容量表示可能状態となっている。なお、外部メディアの再生中、外部メディアに対する録音中に、残容量計算を並行して行っても良い。しかしながら、そのためには、高性能のCPUが必要とされるので、本開示の一実施の形態のように、汎用のCPUの使用する場合には、並行処理は、行わない処理としている。
【0048】
次に、図8のフローチャートを参照して、メニュー画面から「録音可能時間」の表示要求時の処理の流れについて説明する。ステップS11において、設定ボタン(メニューボタン12て0)が押される。ステップS12に示すように、LCD表示部114の画面にメニュー画面が表示される。
【0049】
選択キー121の操作によって、外部メディアとしてUSBメモリとSDメモリとの一方が選択される(ステップS13)。さらに、選択キー121の操作によって、残容量表示のメニューが選択される(ステップS14)。処理がステップS15に移り、ステップS15において、残容量表示準備完了状態か否かが判定される。
【0050】
ステップS15において、残容量表示準備完了状態と判定されると、ステップS16において、残容量表示がなされる。一方、 ステップS15において、残容量表示準備完了
状態でないと判定されると、ステップS17において、残容量表示の代わりに「未計算」の表示がなされる。
【0051】
図9に残容量表示の一例を示す。一実施の形態では、録音可能時間と、空き容量の値とがLCD表示部114上に表示される。「未計算」の表示としては、このメッセージ自体の表示、「計算中です」のような表示等が可能である。外部メディアを装着した場合には、図7のフローチャートで示す処理によって、残容量が計算されるはずである。しかしながら、EEPROM29のリストにない外部メディアが装着されたような場合には、当該メディアの全ファイルにアクセスするために、残容量計算に時間がかかる。したがって、残容量表示要求がされた時点で、残容量の計算が完了していない場合がある。そのような場合に、ステップS17の処理(「未計算」の表示)がなされる。
【0052】
次に、図10のフローチャートを参照して録音可能なファンクションが設定されている状態において、表示ボタン124が押された場合の処理の流れを説明する。ステップS21が録音可能なファンクションが設定されている状態を表す。録音可能なファンクションの例は、CDボタン115が押されてCDプレーヤ部18によってCDの再生が可能な状態である。同様に、ラジオボタン117が押されてチューナ部12の受信信号が選択されている状態、並びに外部入力/マイクボタン118が押されて外部入力部11またはマイクロホン13の出力が選択されている状態も録音可能なファンクションの一つである。
【0053】
録音可能なファンクションの設定状態において、表示ボタン124が押される(ステップS22)。ステップS23において、残容量表示準備完了状態か否かが判定される。残容量表示準備完了状態と判定されると、ステップS24において、LCD表示部114において、残容量が録音時間として表示される。一方、 ステップS23において、残容量
表示準備完了状態でないと判定されると、ステップS25において、残容量表示の代わりに「未計算」の表示がなされる。
【0054】
図11に残容量表示の一例を示す。図11の例は、チューナ部12の所定のチャンネルの放送が選択されている場合で、当該放送チャンネルの情報と残容量(時間)の情報とがLCD表示部114に表示される。このように、録音可能なファンクションの設定状態において、表示ボタン124を押すのみで、残容量時間を表示することができるので、次に、録音操作を行うかどうかをユーザが判断する上で有益な情報を提供できる。なお、録音中に表示ボタンを押した場合でも、残容量表示が可能とされている。
【0055】
特に、USBメモリ、SDメモリカード等では、コンパクトカセットのように、現在の再生位置、現在の録音位置、残容量を視覚的に認識できないので、ユーザが録音操作を行った場合に、意図に反して録音途中で残容量がなくなるおそれがある。本開示によってこのようなリスクを回避できる。なお、録音動作がなされた場合には、録音に要したメモリの容量が以前の容量から減算される。
【0056】
次に、図12のフローチャートを参照して予約録音登録時の処理の流れについて説明する。ステップS31において、録音予約登録がなされる。すなわち、放送局、曜日、開始時刻、終了時刻、毎週録画の設定等の設定がLCD表示部114の表示を見ながら選択キー121によって設定される。ステップS32において、録音先の外部メディアが選択される。実際に装着されている外部メディア(USBメモリおよびSDメモリカードの一方)が録音先として設定される。
【0057】
ステップS33において、録音先として設定された外部メディアの解析がなされる。すなわち、メディアIDが外部メディアから読み込まれる。ステップS34において、残容量表示準備完了か否かが判定される。残容量表示準備完了は、読み込まれたメディアIDと対応する残容量データが取得された状態を意味する。すなわち、読み込まれたメディアIDがEEPROM29内のリスト内のメディアIDとヒットして対応する残容量データが読み出された状態、または検索の結果、ヒットしない場合に、新たな残容量データが計算された状態である。
【0058】
ステップS34において、残容量表示準備完了と判定されると、ステップS35において、予約された放送番組の時間に対して残容量が足りているか否かが判定される。残容量が足りていると判定されると、ステップS36において正常完了表示がなされ、録音予約登録が完了する(ステップS39)。
【0059】
ステップS34において、残容量表示準備完了でないと判定されると、ステップS37において、一般警告表示がなされる。例えば録音予約がなされ、外部メディアが接続された段階でも、残容量計算中であるような場合、ステップS37に処理が移る。一般警告表示がなされてから、録音予約登録が完了する(ステップS39)。
【0060】
ステップS34において、残容量表示準備完了と判定され、ステップS35において、予約された放送番組の時間に対して残容量が不足と判定されると、ステップS38において残容量不足の警告表示がなされてから、録音予約登録が完了する(ステップS39)。
【0061】
図13Aは、LCD表示部114においてなされるステップS36の正常完了表示の一例である。図13Bは、LCD表示部114においてなされるステップS37の一般警告表示の一例である。図13Cは、LCD表示部114においてなされるステップS38の残容量不足の警告表示の一例である。これらの表示は、一例であって他のメッセージを表示するようにしても良い。
【0062】
「一実施の形態の効果」
本開示の一実施の形態による効果は、以下の通りである。
・通常は、メモリ容量が大きくなると、残容量計算に時間がかかるが、本開示によれば、一旦、機器内で残容量計算が終了した外部メディアであれば、メモリ容量に依存せずに即座に残容量を知ることができる。
・記録メディアがカセットテープから外部メディアに変わりつつあるオーディオ機器において、残容量を簡単にモニタすることができ、利便性が向上する。
・高速なCPUを持たないオーディオ機器であっても、高速に外部メディアの残容量を提示することができる。
・ユーザ操作がない期間に新規な残容量計算を行うことによって、並列処理に適さないCPUを持つシステムであっても、高速に外部メディアの残容量を提示することができる。
・ユーザが記録前に残容量情報を容易に確認することができ、これから録音しようとする時間に対して不足がないことを確認することができる。したがって、録音が途中で途切れることを事前に防止することができる。
・予約録音設定時に、残容量の不足を警告することができるので、必要に応じて外部メディアを交換する等、ユーザの対応を促すことができる。
・SDメモリカード等の外部メディアが一般的なUSBマスストレージクラスにして対応していれば、パーソナルコンピュータを起動しないでも、起動の速いオーディオ機器によって容易に残容量を確認することができる。
【0063】
なお、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
(1)
半導体メモリを有するリムーバブルな記録メディアを装着する装着部と、
前記記録メディアに対して記録情報を記録する記録部と、
前記記録メディアの識別コードおよびファイル構造を示すデータからなる識別情報と前記記録メディアの容量情報とを対応付けて記憶し、前記記録メディアの容量情報が変化した場合に該記録メディアの前記容量情報が更新される記憶部と、
前記装着部に装着される記録メディアの識別情報と前記記憶部に記憶されている識別情報とが一致するか否かを判断し、一致する場合に前記容量情報を前記記憶部から取得する制御部と
を有する情報記録装置。
(2)
前記装着部に装着される記録メディアの識別情報と前記記憶部に記憶されている識別情報とが一致しない場合に、装着されている前記記録メディアに対してアクセスすることによって、容量情報を取得する(1)に記載の情報記録装置。
(3)
前記容量情報を取得する処理は、記録メディアに対するアクセス操作が指示されていない期間でなされる(1)および(2)の何れかに記載の情報記録装置。
(4)
前記記憶部は、前記装着部に装着された最新の記録メディアから遡って所定個数の異なる前記記録メディアに関して、前記容量情報を記憶する(1)(2)および(3)の何れかに記載の情報記録装置。
(5)
複数種類の前記記録メディアの識別情報と前記容量情報とが前記記憶部に記憶される(1)(2)(3)および(4)の何れかに記載の情報記録装置。
(6)
前記制御部が取得した前記容量情報を要求に応じて提示する(1)(2)(3)(4)および(5)の何れかに記載の情報記録装置。
(7)
前記要求がメニュー操作に応じて発生する(1)(2)(3)(4)(5)および(6)の何れかに記載の情報記録装置。
(8)
前記要求が記録可能な状態におけるキー操作によって発生する(1)(2)(3)(4)(5)(6)および(7)の何れかに記載の情報記録装置。
(9)
記録予約を設定する場合に、記録対象の記録メディアの残容量と記録情報量とを比較し、比較結果を提示する(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)および(8)の何れかに記載の情報記録装置。
(10)
前記記録メディアがUSBマスストレージクラスに対応しているものである(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)および(9)の何れかに記載の情報記録装置。
【0064】
「変形例」
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述した実施の形態では、音声信号の記録に対して本開示を適用した例であるが、音声信号以外の画像信号、テキストデータ等の記録に対して本開示を適用しても良い。
【符号の説明】
【0065】
11・・・外部入力部
12・・・チューナ部
13・・・マイクロホン
17・・・セレクタ
18・・・CDプレーヤ部
21・・・USBメモリ
22・・・SDメモリカード
27・・・コントローラ
29・・・EEPROM
100・・・情報記録装置
101,101L,101R・・・スピーカ
104・・・外部メディアの装着部
105・・・USBジャック
114・・・LCD表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体メモリを有するリムーバブルな記録メディアを装着する装着部と、
前記記録メディアに対して記録情報を記録する記録部と、
前記記録メディアの識別コードおよびファイル構造を示すデータからなる識別情報と前記記録メディアの容量情報とを対応付けて記憶し、前記記録メディアの容量情報が変化した場合に該記録メディアの前記容量情報が更新される記憶部と、
前記装着部に装着される記録メディアの識別情報と前記記憶部に記憶されている識別情報とが一致するか否かを判断し、一致する場合に前記容量情報を前記記憶部から取得する制御部と
を有する情報記録装置。
【請求項2】
前記装着部に装着される記録メディアの識別情報と前記記憶部に記憶されている識別情報とが一致しない場合に、装着されている前記記録メディアに対してアクセスすることによって、容量情報を取得する請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
前記容量情報を取得する処理は、記録メディアに対するアクセス操作が指示されていない期間でなされる請求項2に記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記装着部に装着された最新の記録メディアから遡って所定個数の異なる前記記録メディアに関して、前記容量情報を記憶する請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項5】
複数種類の前記記録メディアの識別情報と前記容量情報とが前記記憶部に記憶される請求項4に記載の情報記録装置。
【請求項6】
前記制御部が取得した前記容量情報を要求に応じて提示する請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項7】
前記要求がメニュー操作に応じて発生する請求項6に記載の情報記録装置。
【請求項8】
前記要求が記録可能な状態におけるキー操作によって発生する請求項6に記載の情報記録装置。
【請求項9】
記録予約を設定する場合に、記録対象の記録メディアの残容量と記録情報量とを比較し、比較結果を提示する請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項10】
前記記録メディアがUSBマスストレージクラスに対応しているものである請求項1に記載の情報記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−89277(P2013−89277A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232113(P2011−232113)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】