説明

情報読出し方法、情報記録媒体、情報読出し装置

【課題】有価証券の二重処理を、簡易かつ確実に防止する。
【解決手段】雰囲気温度よりも高い第1の温度で相転移する第1の固体と前記第1の温度よりも高い第2の温度で相転移する第2の固体とがビットパターンに対応付けて配置されることにより情報が記録される情報記録層、及び前記第2の温度よりも高い第3の温度で相転移する不透明な第3の固体から構成される光遮断層が、不透明の基材上に順次積層されてなる情報記録媒体を、前記第3の温度よりも高い第4の温度で前記光遮断層の側から加熱し、前記第3の固体及び前記第1の固体が相転移した後、前記第2の固体が相転移する前の所定のタイミングで、各ビット位置における前記第2の固体の有無を検出することにより、前記情報記録層に記録した情報を読み出す情報読出し方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一回しか情報を読み出すことができない情報読出し方法、情報記録媒体、及び情報読出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小切手や宝くじの当たり券、商品券等の有価証券を所有する者は、それらの有価証券を金融機関等の所定の店舗に提出あるいは提示することにより、所定金額の現金や商品を受け取ることができる。
【0003】
一方、有価証券の提出あるいは提示を受けた店舗は、その有価証券を再び使用されることがないようにしなければならない。そのために、例えば、受け取った有価証券が使用済みであることを示す印をその有価証券に押印したり、その有価証券にパンチ穴を空けたりすることが行われている。また、有価証券の処理履歴データをコンピュータに記録しておき、有価証券の処理の際に毎回、その処理履歴データと照合するようにすることにより二重処理を防止する技術も開発されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭62−166467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、有価証券への押印や穴あけにより二重処理を防止しようとする場合には、押印や穴あけを忘れたり、押印や穴あけが行われているにもかかわらず二重処理が行われたりする可能性がある。また処理履歴データと照合することにより二重処理を防止しようとする場合には、二重処理が行われない限り永久に参照されることがないはずの処理履歴データを、処理済みの全ての有価証券について長期間にわたり保存し続けなければならない。
このため、有価証券の二重処理を、簡易かつ確実に防止するための技術が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、一回しか情報を読み出すことができない情報読出し方法、情報記録媒体、及び情報読出し装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、雰囲気温度よりも高い第1の温度で相転移する第1の固体と前記第1の温度よりも高い第2の温度で相転移する第2の固体とがビットパターンに対応付けて配置されることにより情報が記録される情報記録層、及び前記第2の温度よりも高い第3の温度で相転移する不透明な第3の固体から構成される光遮断層が、不透明の基材上に順次積層されてなる情報記録媒体を、前記第3の温度よりも高い第4の温度で前記光遮断層の側から加熱し、前記第3の固体及び前記第1の固体が相転移した後、前記第2の固体が相転移する前の所定のタイミングで、各ビット位置における前記第2の固体の有無を検出することにより、前記情報記録層に記録した情報を読み出す情報読出し方法に関する。
【0007】
このような態様によれば、情報記録層に記録された情報を一度だけしか読み出すことができないようにすることができる。つまり、情報記録層を破壊しなければ、情報を読み出すことができないのである。詳しく説明すると、まず、光遮断層は不透明であるため、情報記録層に記録された情報を外部から視認することはできない。そのため、情報記録層に記録された情報を読み出すためには光遮断層を破壊しなければならないが、この光遮断層の相転移温度は第1の固体及び第2の固体の各相転移温度よりも高いため、光遮断層を相転移温度以上に加熱して光遮断層を相転移させると、第1の固体も第2の固体も相転移することになる。情報記録層に記録されている情報の読出しは、第1の固体と第2の固体の相転移するタイミングの差を利用して行う。つまり、第2の固体の相転移温度は第1の固体の相転移温度よりも高いため、第2の固体の方が遅れて相転移するので、第1の固体が相転移した後第2の固体が相転移する前のタイミングで情報を読み出すのである。そしてその後第2の固体が相転移した後は、もはや情報を読み出すことは不可能となる。このように本態様においては、情報記録層に記録された情報は、情報記録層を破壊しなければ読み出すことができない。このため、このような情報読出し方法を使用して有価証券を処理するようにすれば、有価証券の二重処理を確実に防止することが可能となる。また処理履歴データのような無駄なデータを保存しておく必要もなく、二重処理のチェックのための処理も必要ない。
【0008】
また前記情報記録媒体の加熱は、前記情報記録媒体の各ビット位置に順次、前記光遮断層の側からレーザ光を照射することにより行われ、各ビット位置における前記第2の固体の有無の検出は、前記所定のタイミングで、前記レーザ光の反射光を計測することにより行われるようにすることもできる。
このような態様によって、情報記録媒体の加熱と第2の固体の有無の検出の両方を同一のレーザ光を用いて行うことができるため、情報の読出し処理をより合理的に行うことができるようになる。
【0009】
また前記情報記録媒体は、前記レーザ光を照射する位置の基準となる目印を表示する透明のビット位置表示層が、前記光遮断層上に積層されてなり、前記レーザ光の照射は、前記目印の位置を基準に行われるようにすることもできる。
このような態様によって、レーザ光の照射位置をすばやく正確に決定することができるようになるため、情報の読出し処理を高速化することが可能となると共に、情報記録媒体への情報の記録を高密度化することもできるようになる。
【0010】
また前記第1乃至第3の各温度は、それぞれ、前記第1乃至第3の各固体が気化又は昇華する温度であり、前記ビット位置表示層の融点は、前記第4の温度よりも高く、前記ビット位置表示層は、前記第1乃至第3の各固体が気化又は昇華してなる気体を外部に放出するための通気穴が設けられてなるようにすることもできる。
このような態様によって、情報記録媒体を構成する第1乃至第3の固体は第4の温度で加熱することによって気化又は昇華し、ビット位置表示層の通気穴から大気中に放出されることになる。このため、情報読出し時の基材への汚れ付着を防止することができる。また、ビット位置表示層は融点が第4の温度よりも高いため、情報読み取り後も解けずに基材上にそのまま残ることになる。これにより、再度情報を読み取ろうとした場合(二重処理)に、ビット位置表示層があるにもかかわらず情報が読み取れない場合には、二重処理が行われようとしていることを検知することが可能となる。なお、情報が読み取れない場合であってもビット位置表示層がない場合もある。その場合には、その情報記録媒体は、本願発明にかかる二重処理防止を意図されたものではない、ということがわかるのである。
【0011】
また前記情報記録媒体は、前記第4の温度よりも融点が高く不透明の断熱層が、前記基材と前記情報記録層との間に積層されてなるようにすることもできる。
このような態様によって、第4の温度が基材に伝わることを防止することができ、熱による基材の損傷を防ぐことが可能となる。また情報記録媒体の変形、破損などを防止することもできる。
【0012】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための最良の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0013】
有価証券の二重処理を、簡易かつ確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
===全体構成===
本実施の形態に係る情報記録媒体100が貼付された有価証券300の例を図1に示す。
【0015】
有価証券300は、財産権を表示する証券であり、小切手や宝くじの当たり券、商品券、図書券などが含まれる。また入場券や乗車券なども有価証券300に含まれる。
【0016】
本実施の形態に係る有価証券300には情報記録媒体100が貼付されている。情報記録媒体100には、有価証券300の種類や内容に応じて、発行者や金額、有効期限等の様々な情報が記録されている。
【0017】
有価証券300の提示や提出を受けた金融機関や店舗等では、図2に例示するような情報読出し装置200に有価証券300を挿入する。そして情報読出し装置200は、後述する仕組みによって情報記録媒体100に記録されている情報を読み出して、有価証券300を処理する。また図2には示されていないが、有価証券300の処理は、情報読出し装置200と情報通信網を介して通信可能に接続されたコンピュータに実行させるようにすることもできる。この場合、情報読出し装置200は、読み出した情報を、情報通信網を介してコンピュータに送信する。
【0018】
===情報読出し装置===
情報読出し装置200の構成について説明する。情報読出し装置200は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)210、メモリ220、通信部230、レーザ光発射部240、反射光検出部250を備える。
【0019】
CPU210は情報読出し装置200の全体の制御を司るもので、メモリ220に記憶された制御プログラム(不図示)を実行することにより、情報読出し装置200としての各種機能を実現する。例えば、CPU210により制御プログラムが実行され、メモリ220や通信部230、レーザ光発射部240、反射光検出部250等のハードウェア機器と協働することにより、特許請求の範囲に記載の情報記録媒体加熱部、情報読出し部、読出し情報記憶部が実現される。
【0020】
レーザ光発射部240は情報記録媒体100に向けてレーザ光を照射する装置である。詳しくは後述するが、情報記録媒体100はレーザ光によって加熱され、気化消滅する。
【0021】
反射光検出部250は、情報記録媒体100に照射された上記レーザ光の反射光を所定のタイミングで検出する装置である。反射光検出部250は、情報記録媒体100にレーザ光を照射して加熱したときに、情報記録媒体100を構成する材質の違いにより、気化消滅するまでの時間が異なることを利用して、材質の違いを検出するものである。
【0022】
情報読出し装置200は、材質に応じて異なる反射光と対応付けた二値データをメモリ220に記憶する。情報読出し装置200はこのようにして情報記録媒体100に記録されている情報を読み出す。
【0023】
通信部230は情報通信網と接続され、他のコンピュータと通信を行う。例えば、情報記録媒体100から読み出したデータを他のコンピュータに送信する。
【0024】
===情報記録媒体===
次に本実施の形態に係る情報記録媒体100について詳細に説明する。情報記録媒体100の断面図を図1に示す。図1に示すように、情報記録媒体100は、有価証券300を構成する紙やプラスチック等の基材上に、基盤層110、記録層120、遮断層130、表面層140が、順次積層されて構成される。
【0025】
なお基盤層110は、特許請求の範囲に記載の断熱層に相当する。また記録層120は、特許請求の範囲に記載の情報記録層に相当する。また遮断層130は、特許請求の範囲に記載の光遮断層に相当する。また表面層140は、特許請求の範囲に記載のビット位置表示層に相当する。
【0026】
基盤層110は、基材と記録層120との間に積層されてなる。基盤層110は、金属等の高融点かつ不透明の素材から構成され、情報記録媒体100の破損や変形を防ぐと共に、情報を読み出す際に有価証券300の基材である紙やプラスチックが加熱により痛まないように保護する。従って高融点とは、情報読出し装置200から照射されるレーザ光による加熱によっては融解しない程度の融点を意味する。基盤層110は、例えば融点が1668℃であるチタンや、融点が3550℃であるグラファイト等により構成することができる。
【0027】
記録層120は、情報を記録する部分であり、低温消滅部材121と高温消滅部材122とから構成される。情報の記録は、低温消滅部材121と高温消滅部材122とを、記録する情報のビットパターンに対応付けて配置することにより行われる。例えば図1に示すように、ビットパターンの”1”の部分には高温消滅部材122を配置し、”0”の部分には高温消滅部材122を配置しないようにする。低温消滅部材121及び高温消滅部材122は、雰囲気温度すなわち情報記録媒体100がおかれる環境における温度では固体であるが、雰囲気温度よりも高い温度(第1の温度)で低温消滅部材121が相転移し、さらに高い温度(第2の温度)で高温消滅部材122が相転移する。相転移は、融解、気化又は昇華のいずれでも良いが、気化又は昇華である場合には、低温消滅部材121及び高温消滅部材122は相転移によって気体となって大気中に放出されてしまうため、記録層120は気化消滅する。低温消滅部材121及び高温消滅部材122は、例えばポリアルキレングリコール等のポリオキシアルキレン樹脂を主体とした加熱消滅性素材により構成することができる。相転移温度は、ポリアルキレングリコールの構成材料の混合割合を変えることにより調整することができる。例えば、低温消滅部材121は150℃で気化し、高温消滅部材122は200℃で気化するようにすることができる。
【0028】
遮断層130は、高温消滅部材122の相転移温度(第2の温度)よりも高い温度(第3の温度)で相転移する不透明な固体(第3の固体)から構成される。遮断層130は、記録層120に記録されている情報を外部から視認できないようにする。遮断層130は例えば錫等の金属薄膜で構成される。この場合、第3の温度としては、錫の融点である232℃、あるいは錫の沸点である2270℃とすることができる。
【0029】
表面層140は、ガラス素材等の高融点かつ透明の素材で構成される。また表面層140は他の物体と接触する部分であるため、容易に破壊されない程度の硬度を持つことが好ましい。ここで高融点とは、情報読出し装置200から照射されるレーザ光による加熱によっては融解しない程度の融点を意味する。また表面層140には、記録層120や遮断層130が気化してなる気体を外部に放出するための通気穴が設けられている。なお表面層140にはアドレス情報141が記録されている。アドレス情報141は、記録層120に記録されている情報を読み出す際に、情報読出し装置200がレーザ光を照射する際の位置の基準となる目印となる。
【0030】
なお、情報記録媒体100は例えば以下のようにして製造することができる。まず、摂氏150度程度で気化するように設定した低温消滅素材121を摂氏100度程度に加熱しペースト状にしておき、ここに記憶する情報のビットパターンにあわせて高温消滅部材122を配置する。これを基盤層110のチタン等の金属プレートと貼り合わせる。この上に錫等の金属薄膜を真空蒸着法等でかぶせ、遮断層130とする。そして表面層140のガラス素材にアドレス情報を溝として書き込み、気化ガス用の細かな穴・くぼみを加工して貼付する。
【0031】
===情報の読出し===
次に、情報記録媒体100に記録された情報を読み出す際の処理について説明する。本実施の形態においては、情報読出し装置200から情報記録媒体100にレーザ光を照射して加熱し、遮断層130及び記録層120を気化あるいは昇華させ、記録層120を構成する低温消滅部材121と高温消滅部材122とがそれぞれ相転移するまでの時間差を利用して高温消滅部材122の有無を検出することによって、情報記録媒体100に記録されている情報を読み出す。高温消滅部材122の有無の検出は、照射したレーザ光の反射光を計測することによって行う。情報記録媒体100にレーザ光を照射し、その反射光を検出する様子を図3に示す。また、情報記録媒体100に記録された情報を読み出す際の処理の流れを図5のフローチャートに示す。
【0032】
まず有価証券300が情報読出し装置200にセットされると(S1000)、情報読出し装置200は、レーザ光を照射する位置を決定する(S1010)。レーザ光を照射する位置は、高温消滅部材122が配置されている可能性のある所定位置であるが、情報読出し装置200は、表面層140のアドレス情報141に基づいてこの位置を決定する。アドレス情報141で示される位置は、高温消滅部材122が配置されている可能性のある位置と鉛直方向に投影した場合に重なる位置にしても良いし、オフセットした位置にしても良い。後者の場合は、オフセット量をメモリ220に記憶しておき、レーザ光発射部240は、アドレス情報141の位置からこのオフセット量だけずらした位置からレーザ光を発射する。なお、アドレス情報141の位置の検出は、レーザ光発射部240から弱いレーザ光を発射し、その反射光を反射光検出部250で検出することにより行う。
【0033】
このようにしてレーザ光を照射する位置が決定できたら、情報読出し装置200は、その位置に強いレーザ光を発射する(S1020)。これにより、まず情報記録媒体100の遮断層130が加熱される。そしてこの加熱により遮断層130の温度が相転移温度を超えると、遮断層130は相転移を起こす。その後遮断層130は気化し、表面層140の通気穴から大気中に放出される。
【0034】
次に、レーザ光は低温消滅部材121を加熱する。低温消滅部材121の相転移温度は遮断層130の相転移温度よりも低いため、低温消滅部材121は比較的短時間で相転移し、気化消滅する(S1030)。
【0035】
ここで、レーザ光を照射した位置に高温消滅部材122が配置されていない場合には、そのレーザ光は比較的短時間で基盤層110にまで到達する。一方、レーザ光を照射した位置に高温消滅部材122が配置されている場合には、そのレーザ光は高温消滅部材122の温度が相転移温度を超えるまでの間、高温消滅部材122を加熱し続けることになる。その様子を図3に示す。
【0036】
このため、レーザ光発射部240がレーザ光の照射を開始してから所定時間経過後の所定のタイミングで反射光検出部250がその反射光を計測し、基盤層110からの反射光と、高温消滅部材122からの反射光とを識別することにより、記録層120に記録されていた情報を読み出すことができる。
【0037】
そして情報読出し装置200は、例えば基盤層110からの反射光が検出された場合は”0”、高温消滅部材122からの反射光が検出された場合は”1”と対応付けてメモリ220に記憶する(S1040)。
【0038】
なお、レーザ光を照射した位置に高温消滅部材122が配置されている場合であっても、高温消滅部材122が加熱されて相転移温度を超えると、高温消滅部材122が相転移を起こし、気化消滅する(S1050)。以後、記録層120から情報を読み出すことは不可能となる。
【0039】
また、情報記録媒体100の加熱は、レーザ光を各ビットに照射して行うのみならず、情報記録媒体100全体を遮断層130の側から一斉に加熱して行うようにすることも可能である。この場合、高温消滅部材122の有無の検出は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサを用いて行うことができる。つまり高温消滅部材122の有無を画像としてとらえ、画像解析処理を行うことによって高温消滅部材122の有無を検出する。このようにすれば、各ビットの読み取りを同時に行うことができるので、情報の読み取り時間を短縮することが可能となる。
【0040】
以上本実施の形態について説明したが、本実施の態様によれば、情報記録媒体100に記録された情報は、一回しか読み出すことができない。これにより、故意、不注意にかかわりなく、また特別な履歴情報データ等の記憶、管理等をすることなく、有価証券の二重処理を確実に防止することが可能となる。
【0041】
また、本実施の形態に係る情報記録媒体100に、原本であることを示す情報を記録しておくようにすることにより、真贋の判定をするようにすることもできる。また本実施の形態に係る情報記録媒体100には、音楽データや映像データ等の様々な情報を記録することも可能である。
【0042】
以上発明を実施するための最良の形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施の形態に係る情報記録媒体を含む有価証券を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る情報読出し装置の外観を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る情報記録媒体から情報が読み出される様子を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る情報読出し装置の構成を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る情報読出し処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
100 情報記録媒体
110 基盤層
120 記録層
121 低温消滅部材
122 高温消滅部材
130 遮断層
140 表面層
141 アドレス情報
200 情報読出し装置
210 CPU
220 メモリ
230 通信部
240 レーザ光発射部
250 反射光検出部
300 有価証券

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雰囲気温度よりも高い第1の温度で相転移する第1の固体と前記第1の温度よりも高い第2の温度で相転移する第2の固体とがビットパターンに対応付けて配置されることにより情報が記録される情報記録層、及び前記第2の温度よりも高い第3の温度で相転移する不透明な第3の固体から構成される光遮断層が、不透明の基材上に順次積層されてなる情報記録媒体を、前記第3の温度よりも高い第4の温度で前記光遮断層の側から加熱し、
前記第3の固体及び前記第1の固体が相転移した後、前記第2の固体が相転移する前の所定のタイミングで、各ビット位置における前記第2の固体の有無を検出することにより、前記情報記録層に記録した情報を読み出す情報読出し方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報読出し方法において、
前記情報記録媒体の加熱は、前記情報記録媒体の各ビット位置に順次、前記光遮断層の側からレーザ光を照射することにより行われ、
各ビット位置における前記第2の固体の有無の検出は、前記所定のタイミングで、前記レーザ光の反射光を計測することにより行われる
ことを特徴とする情報読出し方法。
【請求項3】
請求項2に記載の情報読出し方法において、
前記情報記録媒体は、前記レーザ光を照射する位置の基準となる目印を表示する透明のビット位置表示層が、前記光遮断層上に積層されてなり、
前記レーザ光の照射は、前記目印の位置を基準に行われる
ことを特徴とする情報読出し方法。
【請求項4】
請求項3に記載の情報読出し方法において、
前記第1乃至第3の各温度は、それぞれ、前記第1乃至第3の各固体が気化又は昇華する温度であり、
前記ビット位置表示層の融点は、前記第4の温度よりも高く、
前記ビット位置表示層は、前記第1乃至第3の各固体が気化又は昇華してなる気体を外部に放出するための通気穴が設けられてなる
ことを特徴とする情報読出し方法。
【請求項5】
請求項1に記載の情報読出し方法において、
前記情報記録媒体は、前記第4の温度よりも融点が高く不透明の断熱層が、前記基材と前記情報記録層との間に積層されてなる
ことを特徴とする情報読出し方法。
【請求項6】
雰囲気温度よりも高い第1の温度で相転移する第1の固体と前記第1の温度よりも高い第2の温度で相転移する第2の固体とがビットパターンに対応付けて配置されることにより情報が記録される情報記録層、及び前記第2の温度よりも高い第3の温度で相転移する不透明な第3の固体から構成される光遮断層が、不透明の基材上に順次積層されてなる情報記録媒体。
【請求項7】
雰囲気温度よりも高い第1の温度で相転移する第1の固体と前記第1の温度よりも高い第2の温度で相転移する第2の固体とがビットパターンに対応付けて配置されることにより情報が記録される情報記録層、及び前記第2の温度よりも高い第3の温度で相転移する不透明な第3の固体から構成される光遮断層が、不透明の基材上に順次積層されてなる情報記録媒体を、前記第3の温度よりも高い第4の温度で前記光遮断層の側から加熱する情報記録媒体加熱部と、
前記第3の固体及び前記第1の固体が相転移した後、前記第2の固体が相転移する前の所定のタイミングで、各ビット位置における前記第2の固体の有無を検出する情報読出し部と、
前記第2の固体の有無に対応付けた二値データを記憶する読出し情報記憶部と、
を備える情報読出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−172203(P2007−172203A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367588(P2005−367588)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(598049322)株式会社三菱東京UFJ銀行 (200)
【Fターム(参考)】