説明

情報読取装置及びプログラム

【課題】読取対象を含む全体画像上に着目中の読取対象に関する情報を表示できるようにする。
【解決手段】制御部1は、読取対象を含む全体画像を取得して表示部5に表示している状態において、スキャナ部8により撮影された読取対象画像と全体画像を比較することでその読取対象が全体画像内のどの位置にあるかを特定し、この読取対象に対して所定の処理が完了している場合に、所定の処理が完了した対象であることを全体画像上で識別表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影部により撮影された画像から情報を読み取る情報読取装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば、書庫などに保管されている多数の商品の入出庫や棚卸などを管理する場合に、バーコードリーダを使用し、商品に添付されているバーコードを読み取ることによって入出庫管理や棚卸管理などを行うようにしている。その際、定期的に在庫棚卸作業を行い、リスト内容と収納商品とを照合しながら一つずつ確認することは、多大な時間と労力を必要とすることになる。そこで、このような確認作業を能率良く行うようにするために、従来では、書庫などに保管されている数多くの物品からバーコードを連続的に読み取ることにより、入出庫や棚卸などの管理を行うようにした物品管理システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−289810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した先行技術は、予め登録されている物品番号と、実際に保管庫に格納されている物品から読み取ったバーコード(物品番号)を比較して、新しく読み込んだ物品番号を移動データとして登録するようにしたものであるが、保管されている数多くの物品から読取対象としてのバーコードを連続的に読み取る際に、バーコードを2重に読み取ってしまったり、読み取り漏れを起してしまったりするなどの問題があった。このことは、バーコード(読取対象)を連続的に読み取る作業中(バーコードスキャニング中)において、現在着目している(読み取っている)物品が全体の多数の物品に対してどの物品なのかを把握することができないことに起因し、また、バーコードを読み取った後の物品であるか読み取る前の物品であるかを把握することができないことに起因している。
【0005】
本発明の課題は、読取対象を含む全体画像上でその読取対象に関する情報を表示できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、
撮影部により撮影された画像から情報を読み取る情報読取装置であって、
読取対象を含む全体画像を取得する取得手段と、
前記撮影部により前記読取対象が撮影された場合に、その読取対象画像と前記取得手段により取得した全体画像を比較することでその読取対象が前記全体画像内のどの位置にあるかを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された位置にある読取対象に対して所定の処理が完了している場合に、当該所定の処理が完了した対象であることを前記全体画像上で識別表示する識別表示手段と、
を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、
前記所定の処理は、コード情報が記録されている読取対象から当該コード情報を読み取って認識するコード認識処理であり、
前記識別表示手段は、前記特定手段により特定された位置にある読取対象に対して前記コード認識処理が完了している場合に、当該コード認識処理が完了した対象であることを前記全体画像上で識別表示する、
ようにしたことを特徴とする、請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1あるいは請求項2に従属する発明として、
前記識別表示手段は、前記特定手段により特定された位置にある前記全体画像内の読取対象に、処理済みを示す画像を重ね表示することにより、当該読取対象の位置と共に前記所定の処理が完了した対象であることを識別表示する、
ようにしたことを特徴とする、請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1あるいは請求項2に従属する発明として、
前記識別表示手段は、前記全体画像の全域に前記所定の処理を実行していないことを示す未処理画像を予め重ね表示している状態において、前記特定手段により特定された読取対象の位置にある前記未処理画像の重ね表示を消去することにより、当該所定の処理が完了した対象であることを前記全体画像上で識別表示する、
ようにしたことを特徴とする、請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
また、上述した課題を解決するために請求項5記載の発明は、
撮影部により撮影された画像から情報を読み取る情報読取装置であって、
読取対象を含む全体画像を取得する取得手段と、
前記撮影部により現在照準を定めている読取対象画像と前記取得手段により取得された全体画像を比較することでその読取対象が前記全体画像内のどの位置にあるかを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された位置が現在照準を定めている読取対象であることを前記全体画像上で識別表示する識別表示手段と、
を具備したことを特徴とする。
【0011】
請求項1あるいは請求項5に従属する発明として、
前記特定手段は、前記全体画像と前記読取対象画像との倍率を整合させてから前記全体画像と前記読取対象の画像とを比較する、
ようにしたことを特徴とする、請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決するために請求項7記載の発明は、
コンピュータに対して、
撮影部により撮影された画像から情報を読み取る機能と、
読取対象を含む全体画像を表示する機能と、
前記全体画像を取得する機能と、
前記撮影部により前記読取対象が撮影された場合に、その読取対象画像と前記取得した全体画像とを比較することでその読取対象が前記全体画像内のどの位置にあるかを特定する機能と、
前記特定された位置にある読取対象に対して所定の処理が完了している場合に、当該所定の処理が完了した対象であることを前記全体画像上で識別表示する機能と、
を実現させるためのプログラム、であることを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決するために請求項8記載の発明は、
コンピュータに対して、
撮影部により撮影された画像から情報を読み取る機能と、
読取対象を含む全体画像を取得する機能と、
前記撮影部により現在照準を定めている読取対象画像と前記取得した全体画像とを比較することでその読取対象が前記全体画像内のどの位置にあるかを特定する機能と、
前記特定された位置が現在照準を定めている読取対象であることを前記全体画像上で識別表示する機能と、
を実現させるためのプログラム、であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、読取対象を含む全体画像上でその読取対象に関する情報を表示することができ、読み取り処理を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】情報読取装置として適用したハンディターミナルの基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】山積みされている複数の商品全体をデジタルカメラDCで撮影した場合に、このデジタルカメラDCから全体画像がハンディターミナルHT側に送信されて表示されている状態を示した図。
【図3】ハンディターミナルHT側に全体画像が表示されている状態において、任意の読取対象(例えば、バーコード)に照準を定めて撮影している場合の表示状態を示した図。
【図4】ハンディターミナルHT側に全体画像が表示されている状態において、任意の読取対象(例えば、バーコード)に照準を定めてその読み取り処理を実行した後の表示状態を示した図。
【図5】バーコードの読み取りモードへの切り替えに応じて実行開始される読み取り処理を示したフローチャート。
【図6】本実施形態の変形例を説明するための図で、図5のステップS8とステップS10の間に挿入されるフローチャートの一部を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1〜図5を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
この第1実施形態は、情報読取装置として適用したハンディターミナルの基本的な構成要素を示したブロック図である。
ハンディターミナルHTは、バーコード読み取り用のスキャナ部(撮影部)により読取対象(バーコード)が撮影された場合に、その撮影画像(バーコード画像)を解析することにより商品コードなどの情報を読み取るスキャニング機能を備えたハンディタイプのデータ収集端末であり、制御部1を中核として動作する構成となっている。
【0017】
制御部1は、電源部(二次電池)2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこのハンディターミナルHTの全体動作を制御するもので、この制御部1には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部3は、例えば、フラッシュメモリを有する構成で、図5に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているプログラム記憶部M1、棚卸管理情報や入出庫管理情報などを記憶する情報記憶部M2、バーコード認識用の辞書記憶部M3などを有している。
【0018】
RAM4は、フラグ情報、画面情報など、このハンディターミナルHTが動作するために必要となる各種の情報を一時的に記憶するワーク領域である。表示部5は、例えば、高精細液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ(電子ペーパ)のいずれかを使用し、バーコード読み取り結果などを高精細に表示するもので、この表示部5の表面に指の接触を検出する透明なタッチパネルを積層配設することにより、例えば、静電容量方式のタッチスクリーン(タッチ画面)を構成するようにしている。操作部6は、図示省略したが、押しボタン形式の各種のキーとして、数字キー、文字キー、各種のファンクションキーを備えたもので、制御部1は、この操作部6からの入力操作信号に応じた処理として、例えば、棚卸管理、入出荷検品、入出庫管理などの業務処理を行う。通信部7は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネットなどの広域通信網を介してデータを送受信するもので、外部の記憶装置(図示省略)との間においてデータをアップロードしたり、ダウンロードしたりする。
【0019】
スキャナ部8は、C−MOS、CCD撮像素子などのエリアイメージセンサを備え、各商品などに付されているコードシンボルとしてのバーコード(例えば、一次元バーコード、二次元バーコード)を読取対象として撮影してその画像データに光電変換する撮像部を構成するもので、このエリアイメージセンサで光電変換されたバーコード読み取り信号(バーコード画像)は、増幅されてノイズ除去などの処理が行われた後に制御部1に与えられる。そして、このスキャナ部(撮像部)8は、2焦点式レンズやズームレンズを備え、望遠撮影機能、広角撮影機能を作動させて望遠/広角撮影を行うようにしている。制御部1は、スキャナ部(撮像部)8により読み取られたバーコード画像を解析することによりその画像から情報(例えば、商品コードなど)を認識するバーコード認識処理(バーコード読み取り処理)を行うようにしている。
【0020】
なお、照明部9は、スキャナ部(撮像部)8による撮像範囲に照明光(スポットライト光)を照射する発光ダイオードなどの照明装置で、スキャナ部8の起動に応じて駆動開始されるが、ユーザ操作でも駆動開始されるようになっている。レーザ距離測定部10、加速度センサ11は、バーコード読み取り時に使用されるもので、レーザ距離測定部10は、読取対象との距離を測定し、加速度センサ11は、ハンディターミナルHTの傾きを測定するもので、制御部1は、後述する画像パターンマッチングを行う際に、撮影時にレーザ距離測定部10により測定された被写体までの距離と加速度センサ11で測定された傾きを考慮することにより、比較対象の画像同士を整合(倍率及び向き整合)させるようにしている。すなわち、比較対象の画像同士の撮影倍率を整合させたりその向きを整合させたりするようにしている。
【0021】
図2は、山積みされている商品の全体をデジタルカメラDCで撮影した場合に、このデジタルカメラDCから全体画像がハンディターミナルHT側に送信されて表示されている状態を示した図である。
デジタルカメラ(コンパクトカメラ)DCは、広角撮影が可能なもので、通信機能を備え、山積みされている商品の全体を撮影した撮影画像(全体画像)をハンディターミナルHTに対して送信可能な構成となっている。なお、全体画像は、広角撮影された広角画像に限らず、望遠撮影された望遠画像、等倍撮影された画像であってもよい。ハンディターミナルHT側では受信した撮影画像(全体画像)を表示部5に表示させるが、全体画像の中には各商品に付されているバーコード(図示の例では、一次元バーコード)も写し出されている。すなわち、全体画像には、読取対象(バーコード)が含まれている。なお、デジタルカメラDCからハンディターミナルHTへの撮影画像(全体画像)の送信は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して行うようにしているが、これに限らず、近距離通信により行うようにしてもよく、さらにはSDカードなどの記録メディアを介して行うようにしてもよい。
【0022】
図3は、ハンディターミナルHT側に全体画像が表示されている状態において、読取対象としての任意のバーコードに照準を定めて撮影した場合の表示状態を示した図である。
この場合、制御部1は、スキャナ部8により現在照準を定めている読取対象(バーコード)の撮影画像(バーコード画像)を取得する。なお、この場合、読取対象(バーコード)を望遠撮影するようにしてもよい。制御部1は、この読取対象画像と全体画像とを比較する画像パターンマッチングを行うことで、その読取対象(バーコード)が全体画像内のどの位置にあるかを特定し、その位置(図中、破線で囲んだ領域)が現在照準を定めている読取対象であることを識別表示するようにしている。この識別表示は、スキャナ部8の画角に相当する矩形のエリア内に薄い緑色を付したもの(グリーン枠)を全体画像上にオーバレイ表示(重ね表示)するようにしたものであるが、その表示の仕方は任意である。
【0023】
図4は、ハンディターミナルHT側に全体画像が表示されている状態において、読取対象としての任意のバーコードに照準を定めてその読み取り処理を実行した後の表示状態を示した図である。制御部1は、現在照準を定めているバーコードの撮影画像を取得してその画像解析を行い、その解析結果とバーコード認識用の辞書記憶部M3の内容とを照合することによりバーコード認識処理(バーコード読み取り処理)を実行すると共に、この読み取り処理の実行後においては、そのバーコードの位置(画像パターンマッチングにより特定した位置)に読み取り処理が完了したことを識別表示するようにしている。この識別表示は、その旨を示す文字「済」を全体画像上に重ね表示するようにしたものであるが、その表示の仕方は任意である。
【0024】
次に、本実施形態におけるハンディターミナルHT側の動作概念を図5に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードに従った動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0025】
図5は、バーコードの読み取りモードへの切り替えに応じて実行開始される読み取り処理を示したフローチャートである。すなわち、ハンディターミナルHTの全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したもので、この図5のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
先ず、制御部1は、バーコード読み取り動作が可能な状態(読み取りモード:スキャナモード)において、デジタルカメラDC側で広角撮影された全体画像(例えば、山積みされている商品の全体を撮影した画像)を取得済みであるか、つまり、RAM4に全体画像が記憶されているかを調べる(ステップS1)。
【0026】
いま、全体画像を取得済みではなければ(ステップS1でNO)、デジタルカメラDC側から全体画像を受信するまで待機状態となるが(ステップS2)、全体画像を受信した場合には(ステップS2でYES)、それをRAM4内に一時記憶させる(ステップS3)。なお、デジタルカメラDCには、ハンディターミナルHTと同様のレーザ距離測定部及び加速度センサ(図示省略)が備えられていて、撮影時に被写体までの距離やカメラの傾きを測定し、その測定結果を全体画像と共にハンディターミナルHT側に送信するようにしている。この場合、ハンディターミナルHT側では全体画像と共に受信した距離及び傾きをRAM4内に一時記憶させるようにしている。
【0027】
そして、RAM4から全体画像を読み出して表示部5に表示させる(ステップS4)。この状態において、任意のバーコードに照準を定めて撮影が行われると、制御部1は、スキャナ部8により撮影された読取対象の画像(バーコード画像)を取得すると共に(ステップS5)、レーザ距離測定部10及び加速度センサ11の測定結果を取得する(ステップS6)。そして、このバーコード画像と全体画像とを比較する画像パターンマッチングを行うが、その際、全体画像の撮影時におけるレーザ距離測定部10及び加速度センサ11の測定結果と、バーコード画像の取得時におけるレーザ距離測定部10及び加速度センサ11の測定結果を考慮して、全体画像とバーコード画像とを整合させた後、画像パターンマッチングを行って(ステップS7)、読取対象(バーコード)が全体画像内のどのエリア位置にあるかを特定する(ステップS8)。これによって全体画像上に特定した位置が現在照準を定めているバーコードの位置(エリア)であることを識別表示させる(ステップS9)。この場合、図3に示すような矩形のエリア(グリーン枠)による識別表示が行われる。
【0028】
この状態において、照準が定められているバーコードへの読み取りを指示する操作が行われたかを調べたり(ステップS10)、読み取り処理の終了を指示する操作が行われたかを調べたりする(ステップS11)。なお、読み取り操作や終了操作は、操作部6の所定キーであってもよいが、表示部(タッチ画面)5へのタッチ操作であってもよい。いま、終了操作が行われたときには(ステップS11でYES)、図5のフローから抜けるが、いずれの操作も行われなければ(ステップS11でNO)、上述のステップS5に戻り、スキャナ部8により撮影されたバーコード画像を取得する。ここで、読み取りを指示する操作が行われたときには(ステップS10でYES)、バーコード画像を解析し、認識用の辞書記憶部M3の内容と照合することによりバーコード認識処理(バーコード読み取り処理)を実行する(ステップS12)。
【0029】
その結果、読み取り成功か、つまり、正常に認識することができた、つまり、読み取りが成功したかを調べる(ステップS13)。いま、読み取りが成功しなければ(ステップS13でNO)、その読み取り不成功を示すマーク(例えば、“?”のマーク)を現在照準が定められているバーコード画像上に表示させた後(ステップS14)、上述のステップS11に戻って再度の読み取り操作を受け付けるようにするが、読み取りが成功したときには(ステップS13でYES)、図4に示すように、全体画像上の読み取り処理完了エリアに「済」のマークを重ね表示させる(ステップS15)。その後、上述のステップS5に戻り、スキャナ部8により撮影されたバーコード画像を取得した後、以下、上述の動作を繰り返す。
【0030】
以上のように、第1実施形態において制御部1は、読取対象を含む全体画像を取得して表示部5に表示している状態において、スキャナ部(撮像部)8により撮影された読取対象画像と全体画像を比較することでその読取対象が全体画像内のどの位置にあるかを特定し、この読取対象に対して所定の処理が完了している場合に、所定の処理が完了した読取対象であることを全体画像上で識別表示するようにしたので、読取対象を含む全体画像上に現在着目している読取対象に関する情報として、処理の完了/未了を示す情報を表示することができ、重複した無駄な処理や処理漏れを防ぎ、処理を効率良く、かつ正確に行うことが可能となる。
【0031】
所定の処理は、バーコード情報が記録されている読取対象(例えば、バーコード)から当該バーコード情報を読み取ってバーコード認識を行うバーコード認識処理(読み取り処理)であり、制御部1は、全体画像に含まれている複数の読取対象のいずれかの読取対象からコード情報を読み取るためにスキャナ部(撮像部)8により撮影された読取対象が全体画像内のどの位置にあるかを特定し、その読取対象に対してバーコード認識処理(読み取り処理)が完了している場合に、その処理が完了した読取対象であることを全体画像上で識別表示するようにしたので、山積みされている商品の個々に対する読み取り処理を効率良く、かつ正確に行うことが可能となる。
【0032】
制御部1は、特定した位置にある全体画像内の読取対象に処理済み画像としての「済」を重ね表示して、当該読取対象の位置と共に所定の処理が完了した読取対象であることを識別表示するようにしたので、具体的で分かり易い識別表示が可能となる。
【0033】
スキャナ部(撮像部)8により現在照準を定めている読取対象画像と全体画像とを比較することでその読取対象が全体画像内のどの位置にあるかを特定し、その位置が現在照準を定めている読取対象であることを全体画像上で識別表示するようにしたので、全体の中で何を処理しようとしているのかを的確に把握することができる。
【0034】
全体画像と読取対象画像との倍率を整合させてから全体画像と読取対象の画像とを比較するようにしたので、画像パターンマッチングを正確に行うことが可能となる。
【0035】
なお、上述した実施形態においては、現在照準を定めているバーコードの位置であることを識別表示(グリーン枠表示)するようにしたが、バーコード認識処理(読み取り処理)が完了している位置であれば、その識別表示の色を変更するようにしてもよい。
図6は、本実施形態の変形例において、図5のステップS8とステップS10の間に挿入されるフローチャートの一部を示した図である。
先ず、スキャナ部8により撮影されたバーコード画像と全体画像を比較する画像パターンマッチングを行うことで、そのバーコードが全体画像内のどの位置にあるかを特定した場合に(ステップS8)、既にバーコード認識処理(読み取り処理)が完了している位置であるか、つまり、全体画像上に「済」マークが重ね表示されている位置であるかを調べる(図6のステップS91)。いま、「済」マークが重ね表示されていなければ、つまり、読み取り処理を完了していなければ(ステップS91でNO)、上述の実施形態と同様に、その位置にグリーン枠を表示させた後(ステップS92)、上述のステップS10に移るが、「済」マークが重ね表示されていれば(ステップS91でYES)、その位置(エリア全体)を灰色表示させると共に、そのエリアでの読み取り処理もできなくするグレイアウト表示を行わせた後(ステップS93)、図5のステップS5に戻る。
【0036】
このように現在照準を定めている位置が読み取り処理を完了した位置であれば、その位置をグレイアウト表示させて、その位置に対する読み取りもできなくなるようにすれば、重複した読み取り処理をより確実に防ぐことができるようになる。この場合、グレイアウト表示に代わって赤色などの目立つ色で表示するようにすれば、さらに効果的なものとなる。
【0037】
また、読み取り処理が完了した位置をグレイアウト表示させている状態において、その位置のバーコードと同じバーコードを他の位置でも読み取った場合、つまり、同じコードを異なる位置からそれぞれ読み取った場合には、どちらかの位置での読み取り時に誤認識した可能性が高いため、その両方のバーコード位置に対して再度の読み取りを行うようにしてもよい。
【0038】
上述した実施形態においては、所定の処理が完了している場合に、所定の処理が完了したバーコードであることを全体画像上で識別表示する場合に、「済」マークをオーバレイ表示(重ね表示)するようにしたが、読み取り処理を開始する前に、全体が未処理領域であることを示すために、例えば、全体画像の全域に薄いグレーの網掛けをオーバレイ表示しておき、所定の処理が完了した場合には、その完了の位置に表示されているオーバレイ表示を消去することにより、所定の処理が完了したバーコードであることを全体画像上で識別表示するようにしてもよい。このように処理が完了する毎に完了した位置のオーバレイ表示を消去するようにしても、上述した実施形態と同様の効果を有するほか、処理の完了と未了の明確化が可能となる。さらに処理完了を示す表示は、枠内に“×”を入れた図形を重ね表示させたりするなど、任意である。
【0039】
上述した実施形態においては、読み取りが成功しなければ、その旨を示すマーク(例えば、“?”のマーク)を現在照準が定められている位置に表示させた後に、再度の読み取り操作を受け付けるようにしたが、別アングルや別距離(画角)での読み取りを可能とするために、読み取り不成功を示すマークを表示させた後は(図5のステップS14)、上述のステップS5に戻り、別アングルや別距離で撮影されたバーコード画像を取得するようにしてもよい。また、読み取り不成功を示すマークとしては、“?”のマークに限らず、例えば、枠内に“×”を入れた図形を重ね表示するようにしてもよく、別アングルや別距離で再撮影を行う場合の目印として有効なものであれば、その形態は任意である。
【0040】
また、上述した実施形態においては、各バーコードに照準を定めながら逐次撮影を行うようにしたが、全体画像の全体を複数のブロックに分け、各ブロックを逐次撮影するようにしてもよい。この場合、現在照準を定めているブロックを識別表示したり、撮影が完了したブロックを識別表示したりすればよい。
【0041】
上述した実施形態においては、読取対象として、一次元バーコードを例示したが、読取対象としては、二次元バーコードであってもよく、また、印刷文字や手書き文字、マークシート、画像(例えば、梱包箱、本、顔など)であってもよい。
【0042】
上述した実施形態においては、スキャナ部8により撮影されたエリア内のバーコード画像と全体画像を比較する画像パターンマッチングを行うことで、そのバーコードが全体画像内のどのエリアの位置にあるかを特定するようにしたが、マッチング方法としては、画像パターンマッチングに限らず、統計的識別法、構造識別法などであってもよい。
【0043】
上述した実施形態においては、デジタルカメラDCからハンディターミナルHTに全体画像を送信するようにしたが、ハンディターミナルHTは、通信以外に外部記録メディアなどを介して全体画像を取得するようにしてもよい。また、ハンディターミナルHTに広角撮影が可能な撮像部を設けたり、スキャナ部8を広角撮影が可能な構成としたりすることで、ハンディターミナルHT側で全体画像を撮影取得するようにしてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態においては、情報読取装置としてハンディターミナルHTを例示したが、物の集積場所に対面して荷物を正面から撮影するために、所定箇所に固定的に設置された定置式の情報読取装置であってもよく、また、OCR(光学式文字読取装置)などであってもよい。
【0045】
また、上述した実施形態において示したハンディターミナルHTは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 制御部
3 記憶部
5 表示部
6 操作部
7 通信部
8 スキャナ部
10 レーザ距離測定部
DC デジタルカメラ
HT ハンディターミナル
M1 プログラム記憶部
M2 情報記憶部
M3 バーコード認識用の辞書記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部により撮影された画像から情報を読み取る情報読取装置であって、
読取対象を含む全体画像を取得する取得手段と、
前記撮影部により前記読取対象が撮影された場合に、その読取対象画像と前記取得手段により取得した全体画像を比較することでその読取対象が前記全体画像内のどの位置にあるかを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された位置にある読取対象に対して所定の処理が完了している場合に、当該所定の処理が完了した対象であることを前記全体画像上で識別表示する識別表示手段と、
を具備したことを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記所定の処理は、コード情報が記録されている読取対象から当該コード情報を読み取って認識するコード認識処理であり、
前記識別表示手段は、前記特定手段により特定された位置にある読取対象に対して前記コード認識処理が完了している場合に、当該コード認識処理が完了した対象であることを前記全体画像上で識別表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記識別表示手段は、前記特定手段により特定された位置にある前記全体画像内の読取対象に、処理済みを示す画像を重ね表示することにより、当該読取対象の位置と共に前記所定の処理が完了した対象であることを識別表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記識別表示手段は、前記全体画像の全域に前記所定の処理を実行していないことを示す未処理画像を予め重ね表示している状態において、前記特定手段により特定された読取対象の位置にある前記未処理画像の重ね表示を消去することにより、当該所定の処理が完了した対象であることを前記全体画像上で識別表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の情報読取装置。
【請求項5】
撮影部により撮影された画像から情報を読み取る情報読取装置であって、
読取対象を含む全体画像を取得する取得手段と、
前記撮影部により現在照準を定めている読取対象画像と前記取得手段により取得された全体画像を比較することでその読取対象が前記全体画像内のどの位置にあるかを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された位置が現在照準を定めている読取対象であることを前記全体画像上で識別表示する識別表示手段と、
を具備したことを特徴とする情報読取装置。
【請求項6】
前記特定手段は、前記全体画像と前記読取対象画像との倍率を整合させてから前記全体画像と前記読取対象の画像とを比較する、
ようにしたことを特徴とする請求項1あるいは請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
コンピュータに対して、
撮影部により撮影された画像から情報を読み取る機能と、
読取対象を含む全体画像を表示する機能と、
前記全体画像を取得する機能と、
前記撮影部により前記読取対象が撮影された場合に、その読取対象画像と前記取得した全体画像とを比較することでその読取対象が前記全体画像内のどの位置にあるかを特定する機能と、
前記特定された位置にある読取対象に対して所定の処理が完了している場合に、当該所定の処理が完了した対象であることを前記全体画像上で識別表示する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータに対して、
撮影部により撮影された画像から情報を読み取る機能と、
読取対象を含む全体画像を取得する機能と、
前記撮影部により現在照準を定めている読取対象画像と前記取得した全体画像とを比較することでその読取対象が前記全体画像内のどの位置にあるかを特定する機能と、
前記特定された位置が現在照準を定めている読取対象であることを前記全体画像上で識別表示する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53550(P2012−53550A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193976(P2010−193976)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】