説明

情報読取装置

【課題】引掛部材に作用する引張力に応じて読取手段の制御を好適に変更し得る情報読取装置を提供する。
【解決手段】筐体11を吊下部材Fに引っ掛けるために当該筐体11の外面に引掛部材14が設けられており、この引掛部材14に吊下部材Fを介する引張力が作用するか否かについて判定される。そして、この判定結果に応じて第1読取モードおよび第2読取モードのいずれかを選択することで、制御回路40による光源21の制御が変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の情報を読取手段により読み取る情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部の情報を読取手段により読み取る情報読取装置に関する技術として、下記特許文献1に示す手持ち式バーコード読取装置が知られている。このバーコード読取装置は、装置本体の先端付近にゴムバンドによりフックが固定されている。このフックを置き台のフックに係合することにより、装置本体を置き台に対して掛け置きしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平03−93966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、限られた作業スペースにて運用が求められる工場等にて情報読取装置を使用する場合、作業スペースを有効に活用するために、筐体に上記特許文献1に示すようなフック部を設けて、このフック部を天井等から吊り下げた伸縮自在の吊下部材に引っ掛けた状態で当該情報読取装置を運用することがある。
【0005】
このような運用において、例えば、読取手段により光学的に情報を読み取る情報読取装置を使用しその使用頻度が高い場合には、作業者が毎回トリガ操作する必要のない方式の情報読取装置を使用することが望ましい。このような方式としては、例えば、読取視野内に物体が入ったことを検出すると読取作業を自動的に開始する自動トリガ方式や、常時読取動作を行なう連続トリガ方式等がある。しかしながら、上述のような情報読取装置が吊下部材に引っ掛けられた状態であると、読取対象と異なる物体が読取視野内に入ったためにその物体に向けて情報を読み取るための照明光やマーカ光が照射されるなど、作業者の意図しない動作がなされてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、引掛部材に作用する引張力に応じて読取手段の制御を好適に変更し得る情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の情報読取装置では、外部の情報を読取手段により読み取る情報読取装置であって、前記読取手段を制御する制御手段と、前記各手段の少なくとも1つが収容される筐体と、前記筐体を吊下部材に引っ掛けるために当該筐体の外面に設けられる引掛部材と、前記引掛部材に前記吊下部材を介する引張力が作用するか否かについて判定する判定手段と、を備え、前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に応じて前記読取手段の制御を変更することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の情報読取装置において、前記読取手段は、前記外部の情報として表示された情報コードに対して照射光を照射する照射手段と、前記照射手段により照射されて前記情報コードにより反射された反射光を受光しこの反射光に応じた受光信号を出力する受光手段と、前記受光手段からの前記受光信号に基づいて前記情報コードのデコード処理を行うデコード手段と、を備え、前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に応じて前記照射光の制御を変更することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の情報読取装置において、前記引掛部材は、前記筐体に設けられる開口部を挿通して外方に露出する引掛部と、前記筐体の内面に対して1または複数の弾性部材を介して対向するフランジ部とを備え、前記判定手段は、前記フランジ部と前記筐体の内面とが接触または近接するとき前記引張力が作用すると判定することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の情報読取装置において、前記判定手段は、前記フランジ部と前記筐体の内面との間に作用する圧力が所定の閾値以上になるとき前記引張力が作用すると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、筐体を吊下部材に引っ掛けるために当該筐体の外面に引掛部材が設けられており、この引掛部材に吊下部材を介する引張力が作用するか否かについて判定手段により判定される。そして、制御手段により、判定手段による判定結果に応じて外部の情報を読み取る読取手段の制御が変更される。
【0012】
引掛部材に所定の引張力が作用すると判定されるときは、作業者が読取作業を行なうために装置を引き寄せた読取作業状態が推定され、引掛部材に所定の引張力が作用しないと判定されるときは、情報読取装置が吊下部材に引っ掛けられたままである引掛状態が推定される。このように、判定手段による判定結果に応じて読取作業状態および引掛状態のいずれかが推定されるので、この判定結果に応じて、例えば、引掛状態が推定されることから、読取作業状態が推定される場合に実施される読取手段による読取処理を停止する等、読取手段の制御を変更することで、作業者の意図しない動作を防止することができる。
したがって、引掛部材に作用する引張力に応じて読取手段の制御を好適に変更することができる。
【0013】
請求項2の発明では、読取手段は、照射手段により照射光が照射されて情報コードにより反射された反射光を受光手段により受光し、この受光手段からの受光信号に基づいてデコード手段により情報コードのデコード処理を行う。そして、制御手段により、判定手段による判定結果に応じて照射光の制御が変更される。
【0014】
これにより、判定手段による判定結果に応じて、例えば、引掛状態が推定されることから、読取作業状態が推定される場合に実施される照射手段による照射光の照射を停止することで、照射された照射光が作業者の目に入る等、作業者の意図しない動作を防止することができる。
【0015】
請求項3の発明では、引掛部材は、筐体に設けられる開口部を挿通して外方に露出する引掛部と、筐体の内面に対して1または複数の弾性部材を介して対向するフランジ部とを備えており、このフランジ部と筐体の内面とが接触または近接するとき、判定手段により引張力が作用すると判定される。
【0016】
このため、上記読取作業状態では、吊下部材により引掛部に所定の引張力が外方に作用するので、この引張力によりフランジ部が筐体の内面に向けて弾性部材の付勢力に抗して押しつけられて接触または近接することとなる。このようなフランジ部の状態に基づいて引張力が作用するか否かを判定することにより、弾性部材の付勢力を調整することで、読取作業状態となる引張力を所望の値に設定することができる。これにより、自重が異なる情報読取装置が複数種類あっても、その自重に応じて弾性部材の付勢力を調整することで、適切に読取作業状態か引掛状態かが判定されて読取手段の制御を好適に変更することができる。
【0017】
請求項4の発明では、判定手段は、フランジ部と筐体の内面との間に作用する圧力が所定の閾値以上になるとき引張力が作用すると判定する。これにより、アタッチメント等の着脱により情報読取装置の自重が変化する場合でも、その自重の変化に応じて上記所定の閾値を変更することで、適切に読取作業状態か引掛状態かが判定されて読取手段の制御を好適に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るバーコードリーダの構成概要を示す斜視図である。
【図2】図1の引掛部材の概略断面を示す説明図である。
【図3】バーコードリーダの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態における制御回路にて実施される読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図5】引掛部材に引張力が作用する状態を示す説明図である。
【図6】第2実施形態に係るバーコードリーダの要部を示す説明図である。
【図7】第2実施形態における制御回路にて実施される読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報読取装置をバーコードリーダに適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
バーコードリーダ10は、対象物に表示された読取対象であるバーコードを光学的に読み取るいわゆるガンタイプの情報読取装置として構成されており、その筐体11は、図1に示すように、読取口12aを有する長手状の本体部12とこの本体部12の下方側から延びるグリップ部13とを備えている。
【0020】
本体部12の上面のうち読取口12aから離間する部位には、開口部12bから一部が露出する引掛部材14が設けられている。本第1実施形態に係るバーコードリーダ10は、この引掛部材14を、天井等から吊り下げた伸縮自在の吊下部材Fに引っ掛けることで、吊下部材Fに連結された状態で読取作業等を含めて運用されるものである。
【0021】
図2に示すように、引掛部材14は、開口部12bを挿通して外方に露出する環状の引掛部15と、筐体11の内部に配置される略円板状のフランジ部16とを備えている。フランジ部16は、筐体11の内面に対して4個のばね部材17を介して所定距離だけ離れた状態で対向するように配置されている。各ばね部材17は、その付勢力が、バーコードリーダ10を吊下部材Fに引っ掛けて自重のみが作用するときにフランジ部16と筐体11の内面との間に隙間ができる程度に設定されている。このため、吊下部材Fを介した所定値以上の引張力が引掛部15に作用するとき、フランジ部16は、開口部12b側の面の少なくとも一部が筐体11の内面に対して近接して接触することとなる。なお、図2では、便宜上、ばね部材17および後述する接触スイッチ51をそれぞれ2つのみ示している。
【0022】
筐体11の内部には回路部20が収容されており、この回路部20は、図3に示すように、主に、光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、トリガースイッチ42等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、から構成されている。
【0023】
光学系の光源21は、レーザ光Lfを出射可能な照射手段として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズ等とから構成されている。本第1実施形態では、受光センサ28を挟んだ両側に光源21が設けられており、筐体11の読取口12aを介して読取対象物Rに向けてレーザ光Lfを出射可能に構成されている。この読取対象物Rは、例えば、包装容器や包装用紙あるいはラベルといった表示媒体に相当するもので、その表面にはバーコードBが印刷されている。なお、光源21およびレーザ光Lfは、特許請求の範囲に記載の「照射手段」および「照射光」の一例に相当し得る。
【0024】
受光センサ28は、読取対象物RやバーコードBに照射されて反射した反射光Lrを受光可能な受光手段として構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を一次元に配列したラインセンサ、或いは2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ28は、結像レンズ27を介して入射する入射光をこの受光面28aで受光可能に図略のプリント配線板に実装されている。なお、受光センサ28は、特許請求の範囲に記載の「受光手段」の一例に相当し得る。
【0025】
結像レンズ27は、外部から読取口12aを介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能する。本第1実施形態では、光源21から出射されたレーザ光LfがバーコードBに反射して読取口12aに入射する反射光Lrを集光することにより、受光センサ28の受光面28aにバーコードBのコード画像を結像可能にしている。
【0026】
次に、マイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、LED43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35と中心に構成されるもので、上述した光学系によって撮像されたバーコードBの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。
【0027】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0028】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばフラッシュROM(EPROM、EEPROMなど)のデータ書換え可能なメモリがこれに相当する。このメモリ35には、上述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されるとともに、後述する読取処理等を実行可能な所定プログラムやその他、光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0029】
制御回路40は、バーコードリーダ10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本第1実施形態の場合、トリガースイッチ42、LED43、ブザー44、バイブレータ45、液晶表示器46、通信インタフェース48等が接続されている。
【0030】
これにより、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、バーコードBの読み取りに関する情報を報知するインジケータとして機能するLED43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該バーコードリーダ10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、さらには読み取ったバーコードBによるコード内容を画面表示可能な液晶表示器46の画面制御や外部装置とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等を可能にしている。なお、通信インタフェース48に接続される外部装置には、当該バーコードリーダ10の上位システムに相当するホストコンピュータ等が含まれる。なお、制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「制御手段」の一例に相当し得る。
【0031】
また、回路部20は、4個の接触スイッチ51を備えており、各接触スイッチ51は、図2に示すように、筐体11の内面であってばね部材17の近傍にそれぞれ配置されている。各接触スイッチ51は、ばね部材17の付勢力に抗して移動したフランジ部16との接触を検知する役割を果たすもので、フランジ部16に対して接触状態である場合にこの接触状態を示す接触信号を制御回路40に出力するように、それぞれ制御回路40に電気的に接続されている。
【0032】
次に、このように構成されるバーコードリーダ10において制御回路40により実施される読取処理について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、図略の電源スイッチがオンされて所定の自己診断処理等が正常終了すると、ステップS101において、読取モードが自動選択可能に設定されているか否かについて判定される。本第1実施形態では、読取モードとして、引掛部材14に吊下部材Fを介する所定の引張力が作用する場合に選択される第1読取モードと、引掛部材14に所定の引張力が作用しない場合に選択される第2読取モードとが設けられている。図略のスイッチ等の操作により、上記引張力の有無に応じて両モードのいずれかを自動的に選択可能に設定されている場合には、ステップS101にてYesと判定される。
【0033】
次に、ステップS103において、引掛部材14のフランジ部16が各接触スイッチ51のいずれかに接触しているか否かについて判定される。ここで、引掛部材14のフランジ部16が各接触スイッチ51のいずれかに接触する状態としては、作業者が読取作業を行なうために吊下部材Fに吊り下げられたバーコードリーダ10を引き寄せた状態(以下、読取作業状態という)であり、吊下部材Fを介して引掛部材14に外方への引張力が作用する状態が想定される。このため、図5に例示するように、フランジ部16が各接触スイッチ51のいずれかに接触しているためにその接触スイッチ51から接触信号が入力されていると(S103でYes)、上記引張力が作用しているとして、ステップS105にて上述した第1読取モードが選択される。なお、ステップS103を実行する制御回路40は、特許請求の範囲に記載の「判定手段」の一例に相当し得る。
【0034】
本第1実施形態では、第1読取モードは、常時読取動作を行なう連続トリガ方式を適用するモードとして設定されており、上述のように第1読取モードが選択されると、ステップS109にて第1読取モードに応じたコード読取処理がなされる。具体的には、同期信号を基準に光源21に発光信号が出力されると、この発光信号を受けた光源21がLEDを発光させてレーザ光Lfを読取口12aを介して継続して出射することにより、常時バーコードBの読み取りが可能な状態になる。
【0035】
そして、バーコードBに照射されたレーザ光Lfが反射しその反射光Lrが読取口12aを介して結像レンズ27に入射すると、受光センサ28の受光面28aには、結像レンズ27によりバーコードBの像、つまりコード画像が結像される。これにより、受光面28aを構成する各受光素子が露光され、各受光素子から受光量に応じた信号がそれぞれ出力される。各受光素子から出力される信号は、バーコードBの画像データを構成するものであり、この画像データを2値化した後、所定のデコード処理を施すことによって、バーコードBとして符号化された文字データ等がデコードされてメモリ35に書き込まれることとなる。
【0036】
このようにバーコードリーダ10が読取作業状態であることが推定される場合には、第1読取モードが選択されて常時読取動作を行なう連続トリガ方式が自動的に適用されるので、読取作業の頻度が高い場合でも作業効率を向上させることができる。
【0037】
一方、バーコードリーダ10が吊下部材Fに引っ掛けられたままの状態(以下、引掛状態という)であることから、引掛部材14のフランジ部16が各接触スイッチ51に接触していないために、ステップS103にてNoと判定されると、ステップS107にて上述した第2読取モードが設定される。
【0038】
本第1実施形態では、第2読取モードは、トリガースイッチ42の操作に応じて読取動作を行なう方式を適用するモードとして設定されており、上述のように第2読取モードが選択されると、ステップS109にて第2読取モードに応じたコード読取処理がなされる。具体的には、トリガースイッチ42の操作まで読取動作がなされず、トリガースイッチ42の操作がなされると、同期信号を基準に光源21に発光信号が出力され、この発光信号を受けた光源21がLEDを発光させてレーザ光Lfを読取口12aを介して出射することにより、トリガースイッチ42の操作中に限りバーコードBの読み取りが可能な状態になる。すなわち、トリガースイッチ42の操作中では、第1読取モードが選択された場合と同様の処理がなされることとなる。
【0039】
このようにバーコードリーダ10が引掛状態であることが推定される場合に、第2読取モードが選択されてトリガースイッチ42の操作に応じて読取動作を行なう方式が自動的に適用されるので、トリガースイッチ42の操作以外での光源21によるレーザ光Lfの照射が停止される。これにより、作業者の意図しないレーザ光Lfの照射等の動作を防止することができる。
【0040】
そして、上述のように第1読取モードおよび第2読取モードのいずれかが選択された状態でコード読取処理がなされると、電源オフになるまでステップS111にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
【0041】
なお、上記引張力の有無に応じて両モードのいずれかを自動的に選択可能に設定されていない場合には(S101でNo)、ステップS103における判定処理を実施することなく、ステップS105にて第1読取モードが選択されて上記コード読取処理が実施される。
【0042】
以上説明したように、本第1実施形態に係るバーコードリーダ10では、筐体11を吊下部材Fに引っ掛けるために当該筐体11の外面に引掛部材14が設けられており、この引掛部材14に吊下部材Fを介する引張力が作用するか否かについてステップS103にて判定される。そして、この判定結果に応じて第1読取モードおよび第2読取モードのいずれかが選択されることで、制御回路40による光源21の制御が変更される。
【0043】
このように、ステップS103における判定結果に応じて読取作業状態および引掛状態のいずれかが推定されるので、この判定結果に応じて、引掛状態が推定されることから第2読取モードが選択される場合には読取作業状態が推定される場合と異なり、トリガースイッチ42の操作以外での光源21によるレーザ光Lfの照射を停止することで、照射されたレーザ光Lfが作業者の目に入る等、作業者の意図しない動作を防止することができる。
したがって、引掛部材14に作用する引張力に応じて制御回路40による光源21の制御を好適に変更することができる。
【0044】
また、本第1実施形態に係るバーコードリーダ10では、引掛部材14は、筐体11に設けられる開口部12bを挿通して外方に露出する引掛部15と、筐体11の内面に対して各ばね部材17を介して対向するフランジ部16とを備えており、このフランジ部16と筐体11の内面との接触が接触スイッチ51により検出されるとき、ステップS103により上記引張力が作用すると判定される。
【0045】
このため、上記読取作業状態では、吊下部材Fにより引掛部15に所定の引張力が外方に作用するので、この引張力によりフランジ部16が筐体11の内面に向けてばね部材17の付勢力に抗して押しつけられて接触することとなる。このようなフランジ部16の状態に基づいて引張力が作用するか否かを判定することにより、ばね部材17の付勢力を調整することで、読取作業状態となる引張力を所望の値に設定することができる。これにより、自重が異なるバーコードリーダが複数種類あっても、その自重に応じてばね部材17の付勢力を調整することで、適切に読取作業状態か引掛状態かが判定されて制御回路40による光源21の制御を好適に変更することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明の情報読取装置をバーコードリーダに適用した第2実施形態について、図6および図7を参照して説明する。
本第2実施形態に係るバーコードリーダ10では、4個の接触スイッチ51に代えて4個の圧力センサ52を採用するとともに、上述した読取処理を図4に示すフローチャートに代えて図7に示すフローチャートに基づいて演算処理している点が、上記第1実施形態に係るバーコードリーダと異なる。したがって、上述した第1実施形態のバーコードリーダと実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0047】
図6に示すように、各圧力センサ52は、上述した接触スイッチ51と同様に、筐体11の内面であってばね部材17の近傍にそれぞれ配置されている。各圧力センサ52は、ばね部材17の付勢力に抗してフランジ部16と筐体11の内面との間に作用する圧力を測定する役割を果たすもので、検知した圧力に応じた圧力信号を制御回路40に出力するように、それぞれ制御回路40に電気的に接続されている。
【0048】
以下、本第2実施形態に係る制御回路40による読取処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
上記第1実施形態と同様に、読取モードが自動選択可能に設定されていることからステップS101にてYesと判定されると、ステップS103aにて、フランジ部16と筐体11の内面との間に作用する圧力Vが所定の閾値Vt以上であるか否かについて判定される。ここで、圧力Vは、各圧力センサ52により検出される圧力のうち最大のものである。また、所定の閾値Vtは、読取作業状態および引掛状態のいずれかを推定するための閾値であって、例えば、吊下部材Fに吊り下げられたバーコードリーダ10の自重によりフランジ部16と筐体11の内面との間に作用する圧力よりも大きな値に設定されている。この所定の閾値Vtは、バーコードリーダ10に対して機能を追加するために装着されるアタッチメントの自重に応じて変更することができる。
【0049】
ここで、作業者が読取作業を行なうために吊下部材Fに吊り下げられたバーコードリーダ10を引き寄せた読取作業状態であり、圧力Vが所定の閾値Vt以上であると(S103aでYes)、ステップS105にて第1読取モードが選択されて、ステップS109にて常時読取動作を行なう連続トリガ方式が自動的に適用されてコード読取処理がなされる。
【0050】
一方、バーコードリーダ10が吊下部材Fに引っ掛けられたままの引掛状態であり、圧力Vが所定の閾値Vt未満であると(S103aでNo)、ステップS107にて第2読取モードが選択されて、ステップS109にてトリガースイッチ42の操作に応じて読取動作を行なう方式が自動的に適用されてコード読取処理がなされる。
【0051】
以上説明したように、本第2実施形態に係るバーコードリーダ10では、ステップS103aにより、フランジ部16と筐体11の内面との間に作用する圧力Vが所定の閾値Vt以上になるとき上記読取作業状態が推定されて第1読取モードが選択され、圧力Vが所定の閾値Vt未満になるとき上記引掛状態が推定されて第2読取モードが選択される。これにより、アタッチメント等の着脱によりバーコードリーダ10の自重が変化する場合でも、その自重の変化に応じて上記所定の閾値Vtを変更することで、適切に読取作業状態か引掛状態かが判定されて制御回路40による光源21の制御を好適に変更することができる。
【0052】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)上記第1読取モードは、常時読取動作を行なう連続トリガ方式を適用するモードとして設定されることに限らず、例えば、読取視野内に物体が入ったことを検出すると読取作業を自動的に開始する自動トリガ方式など、作業者が毎回トリガ操作する必要のない方式を適用するモードとして設定されてもよい。また、上記第2読取モードは、トリガースイッチ42の操作に応じて読取動作を行なう方式を適用するモードとして設定されることに限らず、例えば、トリガースイッチ42の操作に関わらず読取動作を行なわない等、第1読取モードに対して、読取動作を抑制するモードとして設定されてもよい。
【0053】
(2)本発明の情報読取装置は、バーコードを光学的に読み取るバーコードリーダに適用されることに限らず、二次元コードを光学的に読み取る二次元コードリーダに適用されてもよいし、ICカードやRFIDタグの情報を無線通信により読み取るRFIDリーダライタに適用されてもよい。RFIDリーダライタに適用する場合には、上記引掛状態が推定されることから、読取作業状態が推定される場合に実施される無線通信による読取処理を停止する等、読取処理の制御を変更することで、作業者の意図しない動作を防止することができる。
【0054】
(3)接触スイッチ51は、筐体11の内面に4個設けられることに限らず、1〜3個または5個以上設けてもよいし、フランジ部16側に設けてもよい。また、ばね部材17は、フランジ部16と筐体11の内面との間に4個設けられることに限らず、1〜3個または5個以上設けてもよい。また、ばね部材17に代えて、フランジ部16を筐体11の内面に対して離間させる方向に付勢する弾性部材を設けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…バーコードリーダ(情報読取装置)
11…筐体
12b…開口部
14…引掛部材
15…引掛部
16…フランジ部
17…ばね部材(弾性部材)
21…光源(照射手段)
28…受光センサ(受光手段)
40…制御回路(読取手段,制御手段,判定手段,デコード手段)
42…トリガースイッチ
51…接触スイッチ
52…圧力センサ
F…吊下部材
Lf…レーザ光(照射光)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の情報を読取手段により読み取る情報読取装置であって、
前記読取手段を制御する制御手段と、
前記各手段の少なくとも1つが収容される筐体と、
前記筐体を吊下部材に引っ掛けるために当該筐体の外面に設けられる引掛部材と、
前記引掛部材に前記吊下部材を介する引張力が作用するか否かについて判定する判定手段と、を備え、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に応じて前記読取手段の制御を変更することを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記読取手段は、
前記外部の情報として表示された情報コードに対して照射光を照射する照射手段と、
前記照射手段により照射されて前記情報コードにより反射された反射光を受光しこの反射光に応じた受光信号を出力する受光手段と、
前記受光手段からの前記受光信号に基づいて前記情報コードのデコード処理を行うデコード手段と、を備え、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に応じて前記照射光の制御を変更することを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記引掛部材は、前記筐体に設けられる開口部を挿通して外方に露出する引掛部と、前記筐体の内面に対して1または複数の弾性部材を介して対向するフランジ部とを備え、
前記判定手段は、前記フランジ部と前記筐体の内面とが接触または近接するとき前記引張力が作用すると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記フランジ部と前記筐体の内面との間に作用する圧力が所定の閾値以上になるとき前記引張力が作用すると判定することを特徴とする請求項3に記載の情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−129007(P2011−129007A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288634(P2009−288634)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】