説明

情報転送ネットワークにおける個人識別情報の管理方法、個人識別情報記録を管理するためのサーバ、個人識別情報グループを管理するための装置、及び対応するコンピュータプログラム

ネットワークと、このネットワークに接続された個人識別情報グループを管理するための装置10との間にデータ転送リンクを確立するためにSIPプロトコルで実現されるインターネット型情報転送ネットワーク11において個人識別情報を管理するこの方法は、個人識別情報記録管理サーバ12において、上記管理装置10によって管理される数個の個々の個人識別情報のうちの少なくとも1グループを表す共通個人識別情報グループを登録する事前段階と、着呼を確立するためのリクエストを検証する段階と、記録された個人識別情報グループに対応するコンタクトアドレスに、上記リクエストを送信する段階とを有し、上記リクエストは、ナンバリングシーケンスを含み、上記検証は、上記シーケンスが記録された個人識別情報グループに対応するかどうかの照合を目的とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ転送ネットワークにおいて個人識別情報(public identity)を管理するための方法に関する。
【0002】
また、本発明は、個人識別情報記録を管理するための対応するサーバ、個人識別情報グループを管理するための装置、及びこの用途のためのコンピュータプログラムに関する。
【0003】
具体的には、本発明は、ネットワークと、該ネットワークに接続された個人識別情報グループ管理装置との間でデータ転送リンクを確立するためにセッション確立プロトコル(SIP)を用いるインターネット型データ転送ネットワークに関する。
【背景技術】
【0004】
SIPプロトコルは、インターネットプロトコル(IP)環境下で数人のユーザ間で音声通信セッションを確立するための基準となるプロトコルである。その目的は、遠隔通信交換装置(operator)がそのクライアントにIPネットワークを介した音声サービスを提供できるようにするために特定の規格によって定義されるようなグローバルネットワークアーキテクチャ(例えば、ETSI TISPAN又はCableLabsによって定義されたアーキテクチャ)の枠組みにおいて、CTN(commutated telephone networks)として現在知られている使用法が、引き継がれ、かつ拡張されるようにすることにある。SIPネットワークのユーザは、固定長若しくは可変長の電話番号か、又は専用の英数字識別子かのどちらか一方によって識別される。固定長の電話番号は、例えば、フランスでは10桁であり、クローズドプランと称される。可変長の電話番号は、例えば、ドイツでは地理上の区域に準じ、オープンプランと称される。専用の識別子は、SIPメール形式、すなわち、URI(Uniform Resource Identifier)に類似する。
【0005】
また、SIPプロトコルは、異なるタイプのユーザと異なるタイプの端末装置とを有する遠隔通信交換装置のネットワークに接続可能とする。これらのうち、社内ネットワーク又はIP構内交換装置(IP private branch exchange,IPBX)を想定できる。すなわち、公衆交換装置のネットワークにIPを介して接続され、かつ社内の構内自動交換装置(private automatic branch exchanges,PABX)で現在行われている(例えば、短縮ダイヤル等)ように、社内ネットワークに接続された端末にサービスを提供可能な社内プライベートネットワークである。
【0006】
電話ネットワークにおいては、通常、これらのエンティティは、複数の国々が接続されている場合、その国のナンバリングプランのうちの1つ以上の番号レンジ(例えば、フランスのナンバリングプランのレンジ123456)で構成される。これらのレンジ自体は、フランスの場合のように固定長、又は他の国々の場合のように可変長となることができる。
【0007】
後者の場合、社内ネットワーク又はIPBXの管理装置が、(複数の)レンジを異なる長さを任意に有するサブレンジに整理する役目を負う。
【0008】
その結果、ネットワークは、この構成に透過的であるとともに、この番号の長さと、属するサブレンジの番号長に適合するかどうかとにかかわらず、この社内ネットワーク又はIPBXに対し、そのレンジのうちの1つの番号のうちの1つに向けて任意の呼を届けるように、自身を制限する。
【0009】
SIPプロトコルは、以下の二重のユーザ識別の概念に基づいている。
第1識別子は、どのユーザと交信できるかに基づいた識別情報(例えば、電話番号又はforename.surname@domain型の英数字シーケンス)を表す。以降、第1識別子を(住所録として知られている)個人識別情報と称する。
第2識別子は、ユーザとの交信が可能な場合の物理ネットワークアドレス(例えば、ユーザ端末のIPアドレス)を表す。以降、第2識別子を(連絡先として知られている)コンタクトアドレスと称する。
【0010】
個人識別情報と1つ(又は複数)のコンタクトアドレスと間の関連付けは、時とともに変化する可能性がある。登録手続フェーズと称されるフェーズによって、ユーザは、自身の個人識別情報と自身の(複数の)コンタクトアドレスと間の関連付けを、ネットワーク、具体的には、後者の特定のエンティティに知らせることができる。特定のエンティティは、ユーザの登録手続ステータスの管理を行う(「登録装置(REGISTRAR)」と称される)。
【0011】
そして、この関連付けは、ネットワークに関連するロケーションサーバのロケーションデータベースに格納される。関連付けは、(自身の個人識別情報によって識別された)ユーザに宛てたリクエストの着信中に問い合わせを受け、このリクエストの送り先に関連した(複数の)コンタクトアドレスを見つけ出すために用いられる。
【0012】
SIPプロトコルによるこの登録手続メカニズムの実施態様を以下に示す。
【0013】
ユーザエージェント(「UA」)は、「登録(REGISTER)」メッセージをその登録装置に送信することによって、ネットワークへの登録を行う。この「REGISTER」メッセージの「To」ヘッダは、登録を受ける個人識別情報を含み、かつ「Contact」ヘッダは、そのコンタクトアドレス、すなわち、対応する装置の物理アドレス(例えば、そのIPアドレス)を含む。この「REGISTER」メッセージの受信時、登録装置は、この情報をロケーションデータベースに記録し、次いで、受理メッセージ(「200 OK」)を返す。このメッセージがSIP登録手続フェーズを終了させる。
【0014】
1つのSIP登録手続(「REGISTER」−「200 OK」)の間に、同一の個人識別情報に関連した数個のコンタクトアドレスを登録することができる。一方、同一のコンタクトアドレスに関連した数個の個人エンティティを、SIPシグナリングを介して、明示的に登録することはできない。
【0015】
従って、数個の個人エンティティを登録するには、少なくとも登録を受ける個人識別情報の数と同数の登録手続を事前に開始することを前提とする。
【0016】
従って、例えば、IPBXがSIPプロトコルを用いて公衆ネットワークに接続され、それぞれが別々の公衆エンティティに位置した数人のユーザに対して機能する場合、このIPBXは、公衆ネットワークからアクセス可能とするために、リクエストを受けた個人識別情報の数と同数の「REGISTER」メッセージを送信しなければならない。
【0017】
3GPP及びETSI TISPANによって定義されたIPマルチメディアサブシステム(IMS)アーキテクチャは、ある状況下において、1つのSIP登録手続フェーズでの1つのコンタクトアドレスへの数個の個人識別情報の登録手続を許可することによって、このメカニズムを改善する。つまり、このアーキテクチャは、各ユーザが登録した個人識別情報のセットが格納されたユーザデータベース(HSS:home subscriber serverと称される)によってサポートされる。現在、ユーザの個人識別情報のうち、デフォルトで登録された1つ以上の識別情報セットが定義できる。すなわち、SIP登録手続の間にセットの識別情報のうちの1つがユーザによって明示的に登録された時に、SIPネットワークによって自動的に登録される1つ以上の識別情報セットである。従って、登録手続の間の識別情報に関連したこの識別情報セットのデフォルト登録手続は、ネットワーク主導である。加入者は、自身の登録の修正による自身の交換装置への申し込み以外の動作を行うことができない。
【0018】
登録手続メカニズムとIMSアーキテクチャフレームワークで定義されたようなその改良版とに共通した特性は、ロケーションデータベースに登録された個人識別情報の個々かつ網羅的な格納である。
【0019】
SIPプロトコルで定義された基本メカニズムに従って、数個の個人識別情報を同時に登録しようとする「UA」は、目下、登録を受けるエンティティの数と同数の登録手続を開始しなければならない。これには、やりとりされるメッセージ及び関連する処理によって重大なネットワーク負荷を引き起こし、結果として、インスタンスの輻輳を増大させるという欠点がある。
【0020】
さらに、登録手続は、通常、「UA」の初期化(又は再初期化)を生じさせるとともに、定期的なリフレッシュを行わねばならない。しかしながら、このような再初期化はネットワーク障害の後に生じるので、ネットワーク障害に続いて膨大な数のメッセージを送信することが、このネットワーク障害を自らさらに悪化させるおそれがある。
【0021】
最後に、この登録手続の結果が、すべてのユーザに対して遅延を生じさせ、また、未登録のユーザが呼の受信も送信も行えないということから考えても、問題となる。
【0022】
デフォルト登録された識別情報を定義するためにIMSアーキテクチャによってサポートされるメカニズムは、数個の個人識別情報の登録には1つの「REGISTER」メッセージで充分なので、これらの欠点を克服する。一方、上記メカニズムは、識別情報それぞれのネットワークにおける事前告知を必要とする。事前告知は、ロケーションデータベース中のこれら識別情報の格納と同様に、登録手続グループの対象となる。
【0023】
これは、公衆ネットワークによる可視化がなされるように番号レンジの内部調整を必要とし、さらに、レンジの個々の番号に必要以上に大きな格納量を必要とするので、例えば、オープン電話番号レンジに位置するIPBX又は社内ネットワークのすべてには当てはまらない。
【0024】
さらに、これは、公衆ネットワークデータを修正(番号の追加、削除等)と同期させるために、複雑な過程を引き起こす。上記修正は、社内ネットワーク又はIPBX管理装置によってその番号レンジの構成に対していつでも行うことができる。
【0025】
同様の欠点は、社内ネットワークのユーザがSIP形式、すなわち、URI(例えば、sip: terminal X@YYYYYY.com、Xは0から100の値を取る)である場合に見られる。留意すべきは、このような会社が端末数を増やしたいと考える場合、そのデフォルト登録手続パラメータを修正するためには、その接続交換装置に連絡しなければならないということである。
【0026】
CTNによって、ナンバリングは、加入者によってダイヤルされる番号として、ダイヤルされた番号の部分的シーケンスをそれぞれ含む一連のメッセージの形式で送信できる。ダイヤルされた番号がオープンプランに(すなわち、可変長のレンジに)属する場合、この「重複(overlap)」メカニズムがよく使用される。IMS型アーキテクチャのフレームワークでは、部分的番号シーケンスを伝達する着呼リクエストは、あたかもこのシーケンスが未割り当て(すなわち、未登録)番号に対応しているかのように、同様の方法でネットワークによって拒否される。これは、完全な番号だけがSIPネットワークに登録でき、重複したナンバリングを検出するSIPネットワーク上流の中間ネットワークの存在を必要とし、かつSIPネットワークにメッセージを提出する前に受信した部分的シーケンスからナンバリングを再構成するという事実に繋がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従って、本発明の目的は、これらの問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この目的を達成するために、本発明の要旨は、ネットワークと、このネットワークに接続された個人グループ管理装置10との間にデータ転送リンクを確立する方法であり、本方法は、上記個人グループ管理装置によって管理された数個の個々の(several individual)個人エンティティのうちの少なくとも1グループで表される上記個人識別情報グループを定義及び登録する事前段階と、着呼を確立するためのリクエストを検証する段階と、登録された個人識別情報グループに対応するコンタクトアドレスに上記リクエストを送信する段階とを有し、上記リクエストは、ナンバリングシーケンスを含み、上記検証は、前記シーケンスが登録した個人識別情報グループに対応しているかどうかの照合を目的とすることを特徴とする。
【0029】
また、この方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を有する。
グループ内の上記数個の個々の個人エンティティを関連付けるための規則を定義することからなる個人識別情報グループを定義する段階と、上記ナンバリングシーケンスが定義された関連付け規則に従うかどうかを検証することからなる検証段階とをさらに有することを特徴とする。
上記ネットワークのロケーションデータベースにこの個人識別情報グループを登録することからなる共通個人識別情報グループの登録段階をさらに有することを特徴とする。
上記個人識別情報グループが、ロケーションデータベース内の共通識別情報グループとして、後者を識別するデータに関連することを特徴とする。
共通個人識別情報グループが、さまざまな個々の個人エンティティのグループのうちの共通部分によって形成されることを特徴とする。
【0030】
別の態様に従って、本方法は、個人エンティティグループ管理装置による、着呼を確立するための上記リクエストの受信に続いて、対応する個々の個人識別情報を抽出するために、上記装置によって、この個人識別情報グループを分析する段階と、上記ナンバリングシーケンスが完全である場合、抽出され、かつこの装置10に接続された個々の個人識別情報に対応するアドレスに、上記リクエストをルーティングする段階と、上記ナンバリングシーケンスが部分的である場合、番号が不完全であることを示すメッセージを、上記ネットワークに送信する段階とをさらに有し、上記コンタクトアドレスが、上記個人エンティティグループ管理部のそれに対応することを特徴とする。
【0031】
故に、リクエストは、ネットワークによって、共通個人識別情報グループを管理するために応答可能な装置に届けられ、かつ後者は、そこから対応する個々の個人識別情報を抽出して、このデータをこの装置に接続された対応する受信者に届けるために、この識別情報を完全に分析する段階を実行する。番号が完全ではない場合、発信者端末に完全な番号を送信させるために、番号が完全ではないことを示すエラーメッセージが、ネットワークを介して送信される。完全な番号は、発信者によって改めてダイヤルされる。
【0032】
また、本発明は、本装置とネットワークとの間にデータ転送リンクを確立するためにSIPプロトコルを用いるインターネット型情報転送ネットワークにおいて個人識別情報グループを管理するための装置に関し、本装置は、ネットワークに関連する個人識別情報記録を管理するためのサーバにリンクされたロケーションデータベース内の数個の個々の個人エンティティのうちの少なくとも1グループを表す共通個人識別情報グループの登録手続リクエストを送信する手段と、対応する個々の個人識別情報を抽出するために、着呼を確立するためのリクエストを分析する手段と、上記リクエストのナンバリングシーケンスが完全である場合、抽出され、かつ上記個人識別情報グループ管理装置に接続された個々の個人識別情報に対応するアドレスに、上記リクエストをルーティングする手段と、上記ナンバリングシーケンスが部分的である場合、番号が不完全であることを示すメッセージを上記ネットワークに送信する手段とを具備し、上記リクエストは、上記ロケーションデータベースに登録された個人識別情報グループを含むことを特徴とする。
【0033】
さらに別の態様に従って、本発明の要旨は、ネットワークと、このネットワーク11に接続された個人識別情報グループ管理装置10との間にデータ転送リンクを確立するためにSIPプロトコルを用いるインターネット型情報転送ネットワークのために、個人識別情報記録を管理するためのサーバであり、上記管理装置によって管理された数個の個々の個人エンティティのうちの少なくとも1グループを表す共通個人識別情報グループを定義及び登録する手段と、着呼を確立するためのリクエストを検証する手段と、
登録された個人識別情報グループに対応するコンタクトアドレスに、上記リクエストを送信する手段とを具備し、上記サーバは、登録手続ロケーションデータベース13にリンクしており、上記リクエストは、ナンバリングシーケンスを含み、上記検証は、上記シーケンスがロケーションデータベースに登録された個人識別情報グループに対応しているかどうかの照合に適することを特徴とする。
【0034】
別の態様に従って、本発明の要旨は、コンピュータで読み取り可能に及び/又は登録手続管理サーバのマイクロプロセッサで実行可能に格納された、及び/又は、通信ネットワークからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品であり、本発明による方法を実行するための命令コードプログラムを有することを特徴とする。
【0035】
最後に、本発明は、コンピュータで読み取り可能に及び/又は個人識別情報グループ管理装置のマイクロプロセッサで実行可能に格納された、及び/又は、通信ネットワークからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品に関し、本発明による方法を実行するための命令コードプログラムを有することを特徴とする。
【0036】
故に、本発明によって、従来の2つの方法それぞれの欠点を克服することができる。これによって、一意の「REGISTER」メッセージで、このセットを構成する識別情報のそれぞれをネットワークが個別に格納することなく、(潜在的に非常に大きい)個人識別情報のセットを、グループを定義した「規則」の形式で登録することができる。
【0037】
グループ規則の登録手続によって、(例えば、社内ネットワークの)ユーザは、関連する個人識別情報のそれぞれを個別に宣言する必要なしに、呼端末への応答性を得ることができるようになる。現存する規則の修正は、シグナリングを介して動的に実行される。
【0038】
さらに、本発明によって、SIPネットワークは、部分的なナンバリングシーケンスを含むが、SIPネットワークに格納された規則のうちの1つに従う着呼を確立するためのリクエストをルーティングできるようになる。その利点は、不完全な番号を含む呼を確立するためのリクエストを受信したエンティティがこれらの番号を管理するエンティティであることである。そして、このエンティティは、番号が不完全であること示すエラーメッセージ(「484 address incomplete」メッセージ)を、発信者に送信できる。故に、発信者によって改めてダイヤルされるであろう追加の桁によって補完された番号を送信するように求めることができる。この発明によって定義した方法が無い場合、発信者は、番号が割り当てられていないとの指示を受け、通話を終了する。
【0039】
そして、本発明による方法は、ネットワークによって個々に把握されていない識別情報の未解決セットのグループ定義規則形式での、SIPネットワーク上の登録手続を許可する。目下の用途の一例は、1つ以上の可変長電話番号レンジが割り当てられた社内ネットワーク又はIPBXの交換装置ネットワーク上の登録手続である。これは、不完全なナンバリングシーケンスを含むSIPネットワーク上の着信リクエストの取り扱いに類似する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】SIP、すなわち、従来のURI型個人識別情報のSIP登録手続のための方法及びシステムの構成及び機能を示したブロック図である。
【図2】本発明に従って実現されたグループ限定規則を登録するための方法及びシステムの機能的構成を示したブロック図である。
【図3】本発明によるシステムにおける不完全なナンバリング状態での呼ルーティングを示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、例示のみを目的とする添付の図面を参照して、以下の記載からより良く理解される。
【0042】
上記の通り、本発明は、ネットワークと、このネットワークに接続されたグループ識別情報管理装置との間でデータ転送リンクを確立するためにSIPプロトコルを用いるインターネット型情報転送ネットワークにおいて、個人識別情報を管理するための方法に関する。
【0043】
現在の最新技術として知られる登録手続メカニズムのSIPプロトコルによる実施形態が、図1に示される。
【0044】
この登録手続メカニズムによれば、この図では参照符号1で示されるUAは、参照符号3で示された登録メッセージを参照符号4で示されたその登録装置に送信することによって、参照符号2で示されたネットワークに登録を行う。さらに、登録装置は、参照符号5で示されたロケーションデータベースに接続されたロケーションサーバに関連する。
【0045】
この登録メッセージ3の「To」で示されたヘッダは、登録を受ける個人識別情報を含む。「Contact」ヘッダは、コンタクトアドレス、すなわち、例えば、IPアドレスなど、対応する装置の物理アドレスを含む。この登録メッセージの受信時、登録装置は、ロケーションデータベース5内のこの情報をチェックし、次いで、参照符号6で示された受理メッセージ(「200 OK」)を返す。このメッセージがSIP登録手続フェーズを終了させる。
【0046】
上記の通り、1つのSIP登録手続(「REGISTER」−「200 OK」)の間に、同一の個人情報に関連する数個のコンタクトアドレスを登録することができる。一方、同一のコンタクトアドレスに関連する数個の個人エンティティを、SIPシグナリングを介して、明示的に登録することはできない。
【0047】
従って、数個の個人エンティティの登録は、少なくとも登録を受ける個人識別情報と同数の登録手続を事前に開始することを前提とする。
【0048】
本発明によって、これらの問題点を解決できるようになる。
【0049】
故に、SIPプロトコルによって、「UA」は、その登録手続リクエストにおいて個々の個人識別情報を送信できる(この識別情報は同時に登録を受けるリンクした識別情報のセットを推測するために使用可能である)と同時に、本発明に従う方法及びシステムでは、その登録手続リクエストにおいて、この規則に従って識別情報の不確定セットを登録し、それによって、数個の個々の個人識別情報のグループの一部を形成するために、制限規則グループ又はネットワーク上に現在設定された規則へのポインタを含む「UA」を提供する。故に、例えば、異なる規則を想定できる。例えば、「すべての番号は12345で始まる」若しくは「7〜10桁のすべての番号は12345で始まる」、又は「すべての識別情報は文字列qwertyを含む」などである。
【0050】
そして、着呼リクエストの受信の間に、さらに、現在のメカニズムは、リクエストを送らなければならない(複数の)コンタクトアドレスを取り出し、この識別情報が現在登録されている規則のうちの1つに従うかどうかをチェックする(すなわち、例えば、ロケーションサーバをチェックする)ために、関係する個人識別情報がロケーションデータベースに存在するかどうかを確認することを可能にする。次いで、リクエストは、適合する規則のそれぞれに関連した(複数の)コンタクトアドレスに送信される。
【0051】
「すべてのsip:ユーザ部分が文字xyzで始まるURI」型の規則を登録するための一実施形態は、以下のようになる。
「REGISTER」メッセージを再利用して、登録手続リクエスト規則を伝達する。
「To」ヘッダを再利用して、登録を受ける規則又はこの規則へのポインタを伝達する。
「*」などの「ワイルドカード」文字を文字xyzの後ろに付加し、この識別情報が任意の文字数を有してよいことを示す。
新しいsip:URIパラメータ(例えば、「規則」)を定義し、ユーザ部分が規則を含むsipであり、かつ文字*が「ワイルドカード」として解釈されなければならないことを示す。
個々の個人識別情報に使用されるものとして、この規則を同一のロケーションサーバに格納する。
【0052】
そして、このような登録手続リクエストは、以下の形式をとる。
REGISTER ...
To: sip: xyz*@domain; rule
【0053】
より複雑な規則を許可することによって、拡張バッカス・ナウア記法(augmented Backus-Naur form,ABNF)の構文で定義された規則表示符号のセットを考慮することができる。この構文は、SIPプロトコルを表すために用いる1つとなる。
【0054】
別の改善は、パラメータか又は登録手続リクエストが規則を含むことを示す何か他の情報かが、この規則を表すために使用される構文もまた示すことができる。
【0055】
図2は、「すべての電話番号が+1234で始まり、(0〜9からなる)4桁以上が続く」ことを定義した規則の完了した登録手続の一実施例を表したフローチャートを示す。この規則は、ABNF構文に従って、"+1234"*4DIGITと記述できる。従って、この規則は、「To」フィールドを含む「REGISTER」メッセージによって登録され、ABNF構文で記述される。規則を表すために用いられるこの構文は、新しいパラメータ「rule=RFC2234」で表される。
【0056】
故に、以下のようになる。
REGISTER...
To: sip:"+1234"*4DIGIT@orange.com; user=phone; rule=RFC2234
【0057】
この図2には、図中では参照符号10で示された個人グループ管理装置が記載されている。例えば、これは、IPBXで構成される。
【0058】
このIPBXは、例えば、インターネット型情報転送ネットワーク11を介して、参照符号12で示されたロケーションサーバに接続される。ロケーションサーバは、参照符号13で示されたロケーションデータベースに関連する。
【0059】
登録手続メッセージ「REGISTER」は、参照符号14で示される。受理メッセージ(「200 OK」)は、参照符号15で示される。
【0060】
故に、本発明による管理方法では、例えば、端末10などの、ネットワークに接続された個人グループ管理装置によって管理された個々の数個の個人エンティティのうちの少なくとも1グループを表す個人識別情報グループを定義及び登録するための1ステップが実行される。
【0061】
さらに、共通個人識別情報グループの定義は、これらの数個の個々の個人識別情報の関連付け規則グループの定義である。この個人識別情報グループの登録手続は、ネットワークに関連したロケーションサーバのロケーションデータベースへの後者の登録からなる。
【0062】
そして、個人識別情報グループは、ロケーションデータベース中の共通識別情報グループとして、後者の識別データに結び付く。共通個人識別情報グループは、グループの個々の数個の個人エンティティのうちの共通部分によって形成される。
【0063】
そして、ネットワークを介した個人識別情報の受信の間に、サーバは、この受信した識別情報がロケーションデータベースに格納された識別情報グループに対応するかどうかの照合を行う。
【0064】
従って、図3に示されたように、本発明によって、さらに、SIPネットワークは、部分的ナンバリングシーケンスを有するが、SIPネットワークに格納された規則のうちの1つに従う着呼を確立するためのリクエストを届けることができる。
【0065】
その利点は、不完全な番号を含む呼を確立するリクエストを受信するエンティティが、これらの番号を管理するエンティティであるということである。そして、このエンティティは、番号が完全でないことを示すエラーメッセージを発信者に送ることができる。故に、発信者によって改めてダイヤルされるであろう追加の桁によって補完された番号を送信するための機会を与える。
【0066】
図3に(1)〜(11)を付した異なるメッセージは、ネットワーク、サーバ12、ロケーションデータベース13、IPBX10、及び対応する受信者の間での異なるやりとりを示す。受信者は、参照符号16で示される。
【0067】
故に、データがネットワークによって共通個人識別情報グループを管理するための装置に届けられることがわかる。後者は、対応する個々の個人識別情報をそこから抽出するために、この識別情報の完全な分析のステップを用いて、このデータ、すなわち、この呼を、この装置によって接続及び管理された対応する受信者に届ける。
【0068】
やりとりされるさまざまメッセージは既知のタイプであるので、これらは、これ以上詳細には記載されない。
【0069】
この方法及びシステムは、コンピュータプログラムなどのコンピュータ化された手段によって実現できる。本コンピュータプログラムは、このプログラムが実行された場合に、ネットワークと、このネットワークに接続された個人識別情報グループ管理装置との間にデータ転送リンクを確立するためにSIPプロトコルを用いるインターネット型情報転送ネットワークにおいて、数個の個々の個人エンティティのうちの少なくとも1グループを表す個人識別情報グループを定義及び登録するための機能を有した命令コードを有する。
【0070】
さらに、本発明による方法は、「UA」と、そのSIP登録装置との間の伝送能力に依存する。規則の登録手続のためのリクエストは、共通個人識別情報グループによって表されたグループを定義する。本方法は、この規則と、ロケーションデータベース中の関連する1つ又は複数のコンタクトアドレスとを格納し、着信リクエストの受信の間に、規則を格納したロケーションデータベースへの問い合わせを行い、かつリクエストで受信した個人識別情報送信先が登録した規則のうちの1つであるかどうかを検証する。
【0071】
当然ながら、他の実施形態も想定できる。
【符号の説明】
【0072】
10 IPBX(個人識別情報グループ管理装置)
11 インターネット型情報転送ネットワーク
12 ロケーションサーバ(個人識別情報記録サーバ)
13 ロケーションデータベース
14 登録手続メッセージ
15 受理メッセージ
16 受信者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークと該ネットワークに接続された個人グループ管理装置との間にデータ転送リンクを確立するための個人識別情報グループ管理方法であって、
識別情報登録手続管理サーバ上の前記管理装置によって管理された数個の個々の個人エンティティのうちの少なくとも1グループで表される前記個人識別情報グループを定義及び登録する事前段階と、
着呼を確立するためのリクエストを検証する段階と、
登録されている個人識別情報グループに対応するコンタクトアドレスに前記リクエストを送信する段階と
を有し、
前記リクエストは、ナンバリングシーケンスを含み、
前記検証は、前記シーケンスが登録されている個人識別情報グループに対応しているかどうかの照合を目的とすることを特徴とする方法。
【請求項2】
グループ内の前記数個の個々の個人エンティティを関連付ける規則を定義することからなる共通個人識別情報グループを定義する段階と、
前記ナンバリングシーケンスが定義された関連付け規則に従うかどうかを検証することからなる検証段階と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ネットワークのロケーションデータベースに前記個人識別情報グループを登録することからなる共通個人識別情報グループの登録手続段階をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記個人識別情報グループが、ロケーションデータベース内の共通識別情報グループとして、後者の識別情報に関連することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
共通個人識別情報グループが、数個の個々の個人エンティティのグループの共通部分によって形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記個人グループ管理装置による、着呼を確立する前記リクエストの受信に続いて、
対応する個々の個人識別情報を抽出するために、前記管理装置によって、前記個人識別情報グループを分析する段階と、
前記ナンバリングシーケンスが完全である場合、抽出され、かつ前記管理装置に接続された個々の個人識別情報に対応するアドレスに、前記リクエストをルーティングする段階と、
前記ナンバリングシーケンスが部分的である場合、番号が不完全であることを示すメッセージを、前記ネットワークに送信する段階と
をさらに有し、
前記コンタクトアドレスが、前記個人グループ管理装置の個人識別情報グループに対応することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
本装置とネットワークとの間にデータ転送リンクを確立するためにSIPプロトコルを用いるインターネット型情報転送ネットワークにおいて個人識別情報グループを管理するための装置であって、
前記ネットワークに関連した個人識別情報記録を管理するためのサーバにリンクされたロケーションデータベース内の数個の個々の個人エンティティのうちの少なくとも1グループを表す共通個人識別情報グループの登録手続リクエストを送信する手段と、
対応する個々の個人識別情報を抽出するために、着呼を確立するためのリクエストを分析する手段と、
前記リクエストのナンバリングシーケンスが完全である場合、抽出され、かつ前記個人識別情報管理装置に接続された個々の個人識別情報に対応するアドレスに、前記リクエストをルーティングする手段と、
前記ナンバリングシーケンスが部分的である場合、前記ネットワークに、番号が不完全であることを示すメッセージを送信する手段と
を具備し、
前記リクエストは、前記ロケーションデータベースに登録された個人識別情報グループを含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
ネットワークと該ネットワークに接続された個人識別情報グループ管理装置との間にデータ転送リンクを確立するためにSIPプロトコルを用いるインターネット型情報転送ネットワークのために、個人識別情報登録手続を管理するためのサーバであって、
前記個人グループ管理装置によって管理された数個の個々の個人エンティティのうちの少なくとも1グループを表す共通個人識別情報グループを定義及び登録する手段と、
着呼を確立するためのリクエストを検証する手段と、
登録されている個人識別情報グループに対応するコンタクトアドレスに、前記リクエストを送信する手段と
を具備し、
前記サーバは、登録手続ロケーションデータベースにリンクされており、
前記リクエストは、ナンバリングシーケンスを含み、
前記検証は、前記シーケンスがロケーションデータベースに登録された個人識別情報グループに対応しているかどうかの照合に適することを特徴とするサーバ。
【請求項9】
コンピュータで読み取り可能に及び/又は個人識別情報登録手続管理サーバのマイクロプロセッサで実行可能に格納された、及び/又は、通信ネットワークからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品であって、
請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の方法を実行するための命令コードプログラムを有することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
コンピュータで読み取り可能に及び/又は個人識別情報グループ管理装置のマイクロプロセッサで実行可能に格納された、及び/又は、通信ネットワークからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品であって、
請求項6に記載の方法を実行するための命令コードプログラムを有することを特徴とするコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−543391(P2009−543391A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517367(P2009−517367)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051611
【国際公開番号】WO2008/003915
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(591034154)フランス・テレコム (290)
【Fターム(参考)】