説明

情報通信体の製本手段及びそれを用いた製本型情報通信体及びその製造方法

【課題】 製本状態の情報通信体を多種類の接着手段による複雑な工程を経ることなく、簡単な構成の工程で容易に製造可能な手段とそれを使用した製本状態に展開する情報通信体及び前記情報通信体の製造方法を提供する。
【解決手段】 折り線或いは切取線を介して連接された複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねることにより生じる任意の対向葉片を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体J1において、第三葉片3の第二葉片2と連接する側と逆側の縁辺に設けられた貫通孔6に被覆されたフィルムシートF(又は疑似接着フィルムシートG)の前記貫通孔6に露出している部分で、前記第三葉片3が前記フィルムシートF(又は疑似接着フィルムシートG)が被覆された側の面と逆側の面に位置する第二葉片2と剥離不能に接着された情報通信体により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片が剥離可能に折り畳まれ或いは切り重ねられた情報通信体およびその製造方法に関する。
詳しくは、最近盛んに使用されている、見掛けは通常の葉書であるにもかかわらず、複数の葉片が剥離可能に積層されているため、多くの情報を隠蔽状態で伝達することができる葉書や封書に代表される情報通信体の製本手段およびそれを用いた製本型情報通信体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記複数の葉片が剥離可能に積層された情報通信体として、例えば特開平7−323682号公報に記載の隠蔽情報所持体がある。前記特許文献では各葉片を剥離可能に接着(以下疑似接着という)する手段と完全接着する2種類の異なる性質の接着剤を使い分けている。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−323682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記一つの情報通信体に異なる性質の接着剤を形成するには、複雑な工程やそれに伴う品質管理を必要とする。中でも完全接着剤については、そのまま露出していると通過するローラやその他の接触物に転写してしまい作業に支障が生じるため扱いに慎重さを必要とする。また疑似接着剤と完全接着剤の接着条件が異なる場合は、それぞれの処理工程が必要なため製造工程が増える。製造する側として容易な管理で簡単に済ませたいところである。
本発明は、上記問題に鑑み、一つの情報通信体において異なる性質の接着剤を使用することなく、さらに疑似接着と完全接着の両者を同一処理条件で実行することを可能としたものである。そして本発明によれば、少なくとも2種類の接着剤により製造可能な従来の製本タイプの情報通信体を、1種類の疑似接着媒体のみにより実行可能にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の製本手段は、折り線或いは切取線を介して連接された複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねることにより生じる任意の対向葉片を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体において、任意の葉片の任意の箇所に設けられた貫通孔に被覆されたフィルムシート又は疑似接着フィルムシートの前記貫通孔に露出している部分で、前記任意の葉片が前記フィルムシート又は疑似接着フィルムシートが被覆された側の面と逆側の面に位置する葉片と剥離不能に接着されることを特徴としている。
【0006】
また、上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体は、折り線を介して連接された第一葉片、第二葉片及び第三葉片を断面Z(S)字状に折り畳み、対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体であって、第三葉片の第二葉片側と逆側の縁辺に沿って貫通孔を設けると共に第三葉片の裏面側に被覆されたフィルムシート又は疑似接着フィルムシートがその接着剤層により前記貫通孔を通して第二葉片と剥離不能に接着したことを特徴としている。
【0007】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の製本手段を用いた異なる態様の製本型情報通信体は、折り線を介して連接された第一葉片、第二葉片及び第三葉片を断面Z(S)字状に折り畳み、対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体であって、第二葉片の第一葉片側縁辺に沿って貫通孔を設けると共に第二葉片の裏面側に被覆された疑似接着フィルムシートがその接着剤層により前記貫通孔を通して第三葉片と剥離不能に接着したことを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の製本手段を用いたさらに異なる態様の製本型情報通信体は、折り線を介して連接された第一葉片、第二葉片及び第三葉片を断面S(Z)字状に折り畳むと共に第二葉片と第三葉片の間に第四葉片を介在させた製本型情報通信体において、第一葉片と第二葉片及び第二葉片と第四葉片が疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化された往信葉書を構成し、第三葉片が返信葉書を構成する往復葉書であって、第一葉片の第二葉片と連接する側と逆側の縁辺に沿って貫通孔を設け前記貫通孔から露出している第一葉片の外面側に被覆されたフィルムシート又は疑似接着フィルムシートがその接着剤層により第二葉片と剥離不能に接着したことを特徴としている。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の製本手段を用いたさらに異なる態様の製本型情報通信体は、折り線を介して連接された第一葉片、第二葉片及び第三葉片を断面S(Z)字状に折り畳むと共に第二葉片と第三葉片の間に第四葉片を介在させた製本型情報通信体において、第一葉片と第二葉片及び第二葉片と第四葉片が疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化された往信葉書を構成し、第三葉片が返信葉書を構成する往復葉書であって、第二葉片の第三葉片と連接する側の縁辺に沿って貫通孔を設け前記貫通孔から露出している第二葉片に被覆された疑似接着フィルムシートがその接着剤層により第一葉片と剥離不能に接着したことを特徴としている。
【0010】
なお前記往復葉書において、返信葉書を構成する第三葉片を逆側へ折り込んで第一葉片と対向するようにしても差し支えない。
【0011】
既述の各情報通信体は、折りミシンや折り筋を開封の端緒として流用しても構わないが、独立した開封ミシンを別に形成しておいて、その部分から開封を開始するようにしても構わない。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体の製造方法は、折り線を介して横方向に連接すると共に情報通信体の完成後に製本状態として完全接着すべき箇所に貫通孔を設けた単位シートが縦方向に連接された長尺状シートをそのまま或いは一部葉片を折り畳みながら繰り出す繰出し工程、繰り出された長尺状シートの疑似接着予定面と貫通孔にフィルムシート及び/又は疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆された長尺状シートの一方のマージナル部分を切除する第一の切除工程、マージナル部分を切除した長尺状シートを折り畳む折畳み工程、折り畳まれた長尺状シートの残るマージナル部分を切除する第二の切除工程、残るマージナル部分を切除した長尺状シートを天地方向で単位シート毎に断裁する断裁工程、断裁された単位シートの対向する疑似接着フィルムシート同士を剥離可能に疑似接着すると共に貫通孔部分で完全接着して製本形態に仕上げる一体化工程とからなることを特徴としている。
【0013】
なお、前記製造方法において両マージナル部分の各切除工程は段階的ではなく同時に実行されても構わない。
【0014】
また、両マージナル部分の各切除工程、単位シート毎に断裁する断裁工程、一体化工程はそれぞれ順序を入れ替えても構わない。
【0015】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体の製造方法は、折り線を介して横方向に連接すると共に情報通信体の完成後に製本状態として完全接着すべき箇所に貫通孔を設けた情報通信体シートが印刷された枚葉状シートをそのまま或いは折り畳みながら繰り出す繰出し工程、繰り出された枚葉状シートの疑似接着予定面と貫通孔にフィルムシート及び/又は疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆された枚葉状シートの流れ方向の余白部分を切除する切除工程及び折り予定線に折りミシン及び/又は折り筋を形成する折り手段形成工程、余白部分を切除すると共に折り手段を形成した枚葉状シートを折り畳む折畳み工程、折り畳まれた枚葉状シートの天地方向の余白部分を除去し情報通信体シート毎に仕上げる断裁工程、断裁された情報通信体シートの対向する疑似接着フィルムシート同士を剥離可能に疑似接着すると共に貫通孔部分で完全接着して製本形態に仕上げる一体化工程とからなることを特徴としている。
【0016】
なお、マイクロミシン等のミシンによる開封手段形成工程を任意の工程、或いは工程間に配置しても構わない。
【0017】
また、単位シート毎に断裁する断裁工程と一体化工程はその順序を入れ替えても構わない。
【0018】
前記フィルムシートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、アセテート、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエステル等の比較的腰の強いフィルム樹脂を基材としたドライラミネート方式に対応したプリントラミネート用のフィルムシートや、前記基材の残るもう一方の面に公知の感熱性接着剤層を形成した、サーマルラミネート方式に対応したプリントラミネート用のフィルムシートを好適に使用することができる。
【0019】
前記疑似接着フィルムシートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、アセテート、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエステル等の比較的腰の強い基材の一方の面に疑似接着層を形成したドライラミネート方式に対応したプリントラミネート用の疑似接着フィルムシートや、前記基材の残るもう一方の面に公知の感熱性接着剤層を形成した、サーマルラミネート方式に対応したプリントラミネート用の疑似接着フィルムシートを好適に使用することができるが、製造工程の任意の箇所で塗布することにより形成されても構わない。
【0020】
前記疑似接着フィルムシートは、例えば情報通信体を構成する印刷物の疑似接着予定面に被覆ラミネートして、その後疑似接着予定面同士を折り合わせ疑似接着層同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着するものである。そして疑似接着後に前記対向面同士を引き剥がすと、疑似接着層同士の界面から剥離するか、或いは基材と何れかの疑似接着層との間から剥離するか、さらに前記両者の剥離が複合的に起こり、対向面同士を容易に剥離することができるのである。
【0021】
本発明の情報通信体に使用される紙材は、上質紙、マットコート紙、グロスコート紙、合成紙その他の公知の用紙等を好適に使用することができる。
【0022】
本発明の各種フィルムシートの接着剤層を露出するための貫通孔の形状等には格別制限はない。例えば円形、楕円、長楕円、三角形や四角形或いはそれ以上の多角形、スリット、直線と曲線の組合せ等が考えられるが、露出した接着剤層が対向する葉片に接着しやすい形状の貫通孔を選択すればよい。
【0023】
前記貫通孔は一列に配列しても構わないが2列以上の複数の列でも構わない。或いはランダムな配置及び形状にしても構わない。
【発明の効果】
【0024】
本発明の情報通信体の製本手段によれば、完全接着部分と疑似接着部分の接着手段を分けて形成する必要がない。従って製造工程が簡略化できコストの上昇を抑えることができる。また前記接着手段の形成は各種フィルムシートの被覆で一括して完了される。また一体化工程で疑似接着と完全接着の両接着が同時に完了することができる。従って製造工程の簡略化や設置スペースの縮小化ができ、それによりシステムのコスト上昇が抑えられ、さらに作業効率が向上する。
【0025】
また本発明の製本型情報通信体及びその製造方法によれば、既述の理由により、安価で大量の製本型情報通信体を素人でも容易に短時間で製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(A)及び(B)は、三つ折り製本型葉書の基本用紙S1の表面図及び裏面図である。
【図2】(A)及び(B)は、図1の基本用紙S1により製造された三つ折り製本型葉書J1の表面図及び裏面図である。
【図3】(A)及び(B)は、図2(A)のI−I線断面図及び開封時の様子を示す断面図である。
【図4】(A)及び(B)はフィルムシートF及び疑似接着フィルムシートGの厚さ方向の部分拡大断面図である。
【図5】図2(B)のII−II線断面図で厚さ方向の部分拡大断面図である。
【図6】(A)及び(B)は実施例1と異なる態様の三つ折り製本型葉書の基本用紙S2の表面図及び裏面図である。
【図7】(A)及び(B)は、図6の基本用紙S2により製造された三つ折り製本型葉書J2の断面図及び開封時の様子を示す断面図である。
【図8】(A)及び(B)は四つ折り製本型往復葉書J3の断面図及び開封時の様子を示す断面図である。
【図9】四つ折り製本型往復葉書J3の開封状態を分かりやすく示す斜視図である。
【図10】(A)及び(B)は実施例3と異なる態様の四つ折り製本型往復葉書J4の断面図及び開封時の様子を示す断面図である。
【図11】(A)及び(B)は三つ折り製本型葉書J1の作製に使用する長尺状シートZ1の表面図及び裏面図である。
【図12】長尺状シートZ1を使用した三つ折り製本型葉書J1の製造方法を分かりやすく説明する要部概略図である。
【図13】(A)及び(B)は、長尺状シートZ1の疑似接着フィルムシートGの被覆面を示す表面図及び裏面図である。
【図14】図12におけるIII−III線断面図である。
【図15】図12におけるIV−IV線断面図である。
【図16】(A)及び(B)は実施例3の四つ折り製本型往復葉書J3の作製に使用する長尺状シートZ2の表面図及び裏面図である。
【図17】長尺状シートZ2を使用した四つ折り製本型往復葉書J3の製造方法を分かりやすく説明する要部概略図である。
【図18】(A)及び(B)は図17のV−V線における片袖折りを完了した長尺状シートZ2の表面図及び裏面図である。
【図19】(A)及び(B)は、図18に示す長尺状シートZ2の疑似接着フィルムシートGの被覆面を示す表面図及び裏面図である。
【図20】図17のV−V線における片袖折りを完了した長尺状シートZ2の断面図である。
【図21】図17のVI−VI線における疑似接着フィルムシートGを各疑似接着予定面に貼り込んだ長尺状シートZ2の断面図である。
【図22】図17におけるVII−VII線断面図である。
【図23】(A)及び(B)は開封手段に開封ミシンを採用した三つ折り製本型葉書J5の基本用紙S5の表面図及び裏面図である。
【図24】(A)及び(B)は三つ折り製本型葉書J5の表面図及びVIII−VIII線断面図である。
【図25】三つ折り製本型葉書J5の開封時の様子を示す断面図である。
【図26】(A)及び(B)は開封手段に開封ミシンを採用した四つ折り製本型往復葉書J6の断面図及び開封時の様子を示す断面図である。
【図27】四つ折り製本型往復葉書J6の斜視図である。
【図28】枚葉状シートZ3の表面図である。
【図29】枚葉状シートZ3を使用した三つ折り製本型葉書J5の製造方法を分かりやすく説明する要部概略図である。
【図30】枚葉状シートZ3の表裏面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGを被覆した状態を示す表面図である。
【図31】連続的に疑似接着フィルムシートGが被覆された枚葉状シートZ3の流れ方向の余白部分を切除する切除工程、折り予定線に折りミシンを形成する工程を分かりやすく説明する要部平面図である。
【図32】流れ方向に対して垂直方向の余白部分の断裁工程を分かりやすく説明する要部平面図である。
【図33】枚葉状シートZ4の表面図である。
【図34】枚葉状シートZ4の第四葉片184を折り線187から折り畳んだ様子を示す平面図である。
【図35】折り畳まれた枚葉状シートZ4の表裏面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGを被覆した状態を示す表面図である。
【図36】(A)、(B)及び(C)は図34におけるIX−IX線、図35におけるX−X及び余白の切除、折り筋やおりミシン、開封用ミシンの加工を完了した折り畳み前の枚葉状シートZ4の断面図である。
【図37】実施例4における四つ折り製本型往復葉書の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
[実施例1:情報通信体の製本手段と三つ折り製本型葉書J1]
図1は第一の態様の三つ折り製本型葉書の基本用紙S1である。この用紙は第一葉片1、第二葉片2及び第三葉片3がそれぞれ折り線4及び5を介して横方向に連接されている。そして同図(A)に示すように、他の葉片より横幅が短い第一葉片1表面には郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載されている。また、第二葉片2表面と第三葉片3表面には疑似接着フィルムシートGが被覆されている。なお前記疑似接着フィルムシートGは透明或いは半透明状態なので内部に記載されている個人的な情報を十分読み取ることができる。前記個人情報はプライバシーを要しない一般情報でも構わず、又それら両情報が混在していても構わない。
【0028】
なお、第二葉片2の折り線4、5側及び第三葉片3の折り線5側は疑似接着フィルムシートGにより被覆されておらず、第三葉片3の外側縁辺の疑似接着フィルムシートGが被覆されていない部分に沿って貫通孔6が形成されており、そこから裏面側に被覆されているフィルムシートFの感熱接着剤層側が露出している。また、折り線5は三つ折り製本型葉書の完成後、コーナーカット部7を剥離の端緒として対向する第二葉片2と第三葉片3を連続的に剥離する際に破断されるため、カットとアンカットの比率においてカット部が大きくアンカット部が小さいほうが好ましい。
【0029】
図1(B)に示すように、第三葉片3裏面にはフィルムシートFが、そして第二葉片2及び第一葉片1裏面は略全面に疑似接着フィルムシートGが被覆されている。また三つ折り製本型葉書の完成後に表出する第三葉片3裏面は一般情報が記載され、外側縁辺に沿って形成された貫通孔6はフィルムシートFに覆われた状態である。また第二葉片2及び第一葉片1裏面には個人情報等が記載されており、第二葉片2の折り線5側には「郵便葉書」等の葉書本体を表す文言が記載されている。
【0030】
既述の通り構成された基本用紙S1は図3(A)に示すように、断面Z字状に折り畳まれ、加圧或いは加熱・加圧処理を施すことにより第一葉片1と第二葉片2及び第二葉片2と第三葉片3の間が疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に疑似接着される。そして第二葉片2及び第三葉片3同士が、第三葉片3に設けられた貫通孔6を通して、第三葉片3の表側に被覆されているフィルムシートFにより剥離不能に接着されている。
【0031】
前記フィルムシートFは、図4(A)に示すように、例えば二軸延伸ポリプロピレンからなる基材11の一方の面に公知の感熱接着剤層12を形成したものである。
【0032】
前記疑似接着フィルムシートGは、図4(B)に示すように、例えば二軸延伸ポリプロピレンからなる基材11の一方の面に公知の感熱接着剤層12を形成すると共に、残るもう一方の面に疑似接着層13を形成したものである。このものは基本用紙S1の疑似接着予定面に前記感熱接着剤層12を介して剥離不能に接着され、その後折り合わせて疑似接着層13同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すことにより剥離可能に疑似接着する。
【0033】
既述の通り構成された三つ折り製本型葉書J1は、図2(A)に示すように、第一葉片1と第二葉片2の横幅の相違により形成された段差を端緒として剥離開封することができ、同図(B)に示すように第二葉片2と第三葉片3はコーナーカット部7を剥離の開始点として折り線5に形成した切取ミシンを破断することにより容易に剥離開封できる。
【0034】
ところで、本実施例の三つ折り製本型葉書は、第二葉片2と第三葉片3が折り線4側の縁辺に沿って製本状態に接着している。この部分は図5に示すように、第三葉片3に設けられた貫通孔6に被覆されたフィルムシートFが折り合わされた第二葉片2に接触して感熱接着剤層12を介して剥離不能に接着している。従って貫通孔6部分においては、第三葉片3と第二葉片2がフィルムシートFの作用により剥離不能状態になっていることになる。
なお、前記疑似接着に寄与しないフィルムシートFを疑似接着フィルムシートGに代えても構わない。また、本実施例の図面では、複雑化を避けるためフィルムシートF及び疑似接着フィルムシートGを1層で表現している。
【0035】
[実施例2:三つ折り製本型葉書J2]
実施例1では情報通信体の製本手段を説明するために、三つ折り製本型葉書の一例を引用している。本実施例では前記実施例1と異なる態様の三つ折り製本型葉書を説明する。
図6は第二の態様の三つ折り製本型情報通信体の基本用紙S2である。この用紙は第一葉片21、第二葉片22及び第三葉片23がそれぞれ折り線24及び25を介して横方向に連接されている。そして同図(A)に示すように、他の葉片より横幅が短い第一葉片21表面には郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載されている。また、第二葉片22表面と第三葉片23表面には疑似接着フィルムシートGが被覆されており、前記疑似接着フィルムシートGを透して記載されている個人的な情報を読み取ることができる。なお、前記個人情報はプライバシーを要しない一般情報でも構わず、又それら両情報が混在していても構わない。
【0036】
なお、第二葉片22及び第三葉片23を連接する折り線25側及び第三葉片23の外側、さらに第二葉片22の折り線24側においては疑似接着フィルムシートGが被覆されておらず、特に前記第二葉片22の折り線24側おいては折り線24に沿って貫通孔26が形成されており、そこから裏面側に被覆されている疑似接着フィルムシートGの感熱接着剤層側が露出している。また、折り線25は三つ折り製本型葉書の完成後、コーナーカット部27を剥離の端緒として対向する第二葉片22と第三葉片23を連続的に剥離する際に破断されるため、カットとアンカットの比率においてカット部が大きくアンカット部が小さいほうが好ましい。
【0037】
図6(B)に示すように、三つ折り製本型葉書の完成後に表出する第三葉片23裏面には一般情報が記載されている。そして個人情報等が記載されている第二葉片22及び第一葉片21裏面は略全面に疑似接着フィルムシートGが被覆され、第二葉片22に形成された貫通孔26は疑似接着フィルムシートGに覆われた状態である。
【0038】
既述の通り構成された基本用紙S2は図7(A)に示すように、断面Z字状に折り畳まれ、加圧或いは加熱・加圧処理を施すことにより第一葉片21と第二葉片22及び第二葉片22と第三葉片23の間が疑似接着フィルムシートGを介して剥離可能に疑似接着されて三つ折り製本型葉書J2に仕上げられる。そして第一葉片21と第二葉片22の横幅の相違により形成された段差を剥離の端緒として開封することができ、同図(B)に示すように第二葉片22と第三葉片23はコーナーカット部27を剥離の開始点として折り線25に形成した切取ミシンを破断することにより容易に剥離開封できる。
【0039】
ところで、本実施例の三つ折り製本型葉書は、第二葉片22と第三葉片23が折り線24側の縁辺に沿って製本状態に接着している。この部分は図7に示すように、第二葉片22に設けられた貫通孔26に被覆された疑似接着フィルムシートGが折り合わされた第三葉片23と接触して感熱接着剤層12を介して剥離不能に接着している。従って貫通孔26部分においては、第三葉片23と第二葉片22が疑似接着フィルムシートGの作用により剥離不能状態になっていることになる。
【0040】
[実施例3:四つ折り製本型往復葉書J3]
図8及び図9は四つ折り製本型往復葉書を示す。図中上から第一葉片31、第二葉片32及び第四葉片34がそれぞれ疑似接着フィルムシートGにより剥離可能に一体化されている。前記3葉片により往信葉書が構成されており中央の第二葉片32が往信葉書本体となる。そして前記往信葉書本体となる第二葉片32と折り線36により連接されている第三葉片33が単体の葉片で返信葉書を構成している。
【0041】
既述の通り構成された四つ折り製本型往復葉書J3の受取人は、往信葉書を構成する第一葉片31及び第二葉片32間を、図示されないコーナーカット部を剥離の開始点として折り線35に形成した切取ミシンを破断することにより容易に剥離開封できる。そして第二葉片32と第四葉片34間を第四葉片の開封側縁辺に沿って形成した非接着域H(疑似接着フィルムシートGが対向していない部分)を利用して開封する。開封された各葉片の表出面にはそれぞれ個人的な情報や一般情報等が記載されているが、それら各情報は疑似接着フィルムシートGを透して確認することができる。なお返信葉書33は、例えば往信葉書に記載されている質問の回答を記入した後に、折り線36から鋏み等で切り離して投函すればよい。
【0042】
[実施例4:四つ折り製本型往復葉書J4]
本実施例では前記実施例3と異なる態様の四つ折り製本型往復葉書を説明する。
図10は四つ折り製本型往復葉書J4を示す。図中上から第一葉片41、第二葉片42及び第四葉片44がそれぞれ疑似接着フィルムシートGにより剥離可能に一体化されている。前記3葉片により往信葉書が構成されており中央の第二葉片42が往信葉書本体となる。そして前記往信葉書本体となる第二葉片42と折り線46により連接されている第三葉片43が単体の葉片で返信葉書を構成している。
【0043】
既述の通り構成された四つ折り製本型往復葉書J4の受取人は、往信葉書を構成する第一葉片41及び第二葉片42間を、図示されないコーナーカット部を剥離の開始点として折り線45に形成した切取ミシンを破断することにより容易に剥離開封できる。そして第二葉片42と第四葉片44間を第四葉片の開封側縁辺に沿って形成した非接着域H(疑似接着フィルムシートGが対向していない部分)を利用して開封する。
【0044】
[実施例5:三つ折り製本型葉書J1の製造方法]
本実施例の三つ折り製本型葉書(実施例1の三つ折り製本葉書に該当)の作製に使用する長尺状シートZ1は、図11(A)に示すように、第一葉片51、第二葉片52及び第三葉片53が折り予定線54、55を介して横方向に連接された単位シートt1が切取線56を介して縦方向に連接されている。そして第一葉片51及び第三葉片53の外側には、切取線58を介してマージナル孔59を設けたマージナル部分60が連接されている。なお第三葉片53の左下部分には折り予定線55に沿ってコーナーカット部分61が設けられ、さらに外側の切取線58に沿って貫通孔57が設けられている。
【0045】
そして第一葉片51表面には郵便切手欄、郵便番号欄の他に受取人の住所氏名等が記載されており、三つ折り製本型葉書完成後に内部に隠蔽される第二葉片52及び第三葉片53表面には例えば秘密を要する個人情報62が記載されている。なお、前記個人情報62はプライバシーを要しない一般情報でも構わず、又それら両情報が混在していても構わない。
【0046】
図11(B)に示すように、第三葉片53裏面には、広告宣伝等の一般情報63が記載され、外側切取線58に沿って貫通孔57が設けられると共に折り予定線55に沿ってコーナーカット部61が設けられている。そして第二葉片52及び第一葉片51裏面には個人情報62等が記載されており、第二葉片52の折り予定線55側には「郵便葉書」等の葉書本体を表す文言が記載されている。
【0047】
既述の通り構成された長尺状シートZ1は、例えば折り線56から蛇腹に折り畳まれブロック状態で図12左下に設置され、上方のサポートローラ70へと引き上げられ略水平に向きを変える。そして右側に設けられたピントラクタ71のピンと両マージナル孔59を合致させてさらに右側に設けられた一対のヒートローラ72a、72bからなるラミネート装置へ牽引される。
【0048】
前記ラミネート装置では、上方及び下方で待機している複数のロール(上下とも並列に2個並んでいる)から繰り出されるフィルムシートF及び疑似接着フィルムシートGが引き込まれ、それぞれ長尺状シートZ1の貫通孔57及び疑似接着予定面と感熱接着剤層12側で整合されながら図13に斜線で示す範囲が被覆される。(前記斜線で示す範囲は図14の断面図にも示されているので参照されたし)
【0049】
そして右側のスリッタ73a、73bからなる切除装置により、第一葉片51外側のマージナル部分60を切除した後に、さらに平行に設置されたミシン刃74aとバックアップローラ74b等からなるミシン入れ装置により、折り予定線54、55に折りミシンを形成すると右側に設けられたニップローラ75a、75bにより下流の折り畳み装置76へと送り出される。
【0050】
なお、前記ピントラクタ71からニップローラ75a、75bまでの各装置の駆動は、それぞれに掛けられていても、或いは任意の装置に掛けられ残りの装置はフリーな状態であっても、さらにニップローラ75a75bのみに駆動が掛かり残りのピントラクタ71からミシン入れ装置までは、ニップローラ75a、75bの引っ張りに合せて共回りする状態であっても構わない。
【0051】
また、前記ミシン入れ装置は、長尺状シートZ1に予め形成しておいても構わず、その場合は省略しても構わない。
【0052】
折り畳み装置76では、長尺状シートZ1は断面Z字状に折り畳まれてサポートローラ77へ引き上げられると略水平に向きを変えて、右側に設けられているピントラクタ78のピンと、残るマージナル孔59を合致させ断面が図15に示す状態でさらに右側に設けられたスリッタ79a、79bからなる切除装置により、前記マージナル孔59を切除した後に右側に設けられたダイカットローラ80aとバックアップローラ80bとからなる断裁装置(ロータリカッタやギロチン方式等公知のカッタでも構わない)へ送られる。
【0053】
前記断裁装置では、折り畳んだ長尺状シートZ1を天地方向の切取線56から断裁して単位シートt1毎に切り出し、前記切り出された単位シートt1は、さらに右側に設けられた一体化装置へと送り込まれる。前記一体化装置は、例えば一対の搬送ローラ81a、81bと一対のヒータパネル82a、82bが交互に配置されており、前記単位シートt1はこの中を通過中に加熱される。そして最終排出口に設けられた一対のヒートローラ83a、83b(加圧ローラでも構わない)により十分に加熱・加圧処理が施されることにより、貫通孔57を通して第二葉片52と第三葉片53が剥離不能に接着されると共に対向する疑似接着層同士が剥離可能に接着して全体として一体化されるのである。
【0054】
このようにして製造された三つ折り製本葉書は、ベルトコンベア等からなるスタッカ84に積載され、その後葉書として投函されるのである。なお、前記一体化装置は、ヒータパネルを使用しているが、一対或いは複数対のヒートローラにより加熱・加圧処理を施しても構わない。
【0055】
前記実施例5では図1乃至3に示す実施例1の三つ折り製本型葉書の製造方法を示しているが、実施例2(図6、7)の三つ折り製本型葉書の製造方法にそのまま適用できる。
即ち、それぞれの疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGを被覆して、断面Z字状に折り畳み、単位シート毎に切り出して全体として一体化する流れにより完成する流れは同じである。従って詳細な説明は省略する。
【0056】
[実施例6:四つ折り製本型往復葉書J3の製造方法]
実施例3の四つ折り製本型往復葉書の作成に使用する長尺状シートZ2は、図16(A)に示すように、右から第一葉片91、第二葉片92及び第三葉片93が折り予定線95、96を介して横方向に連接され、さらに2列並んだマージナル部分101を介して第四葉片94が連接された単位シートt2が切取線98を介して縦方向に連接されている。そして第一葉片91及び第四葉片94の外側には切取線99を介してマージナル孔100が設けられたマージナル部分101がそれぞれ連接されている。なお第一葉片91の左下隅には、折り予定線95及び切取線98に沿ってコーナーカットが施されている。
【0057】
第一葉片91表面には郵便切手欄、郵便番号欄の他に受取人の住所氏名等が記載されており、第二葉片92表面には例えば秘密を要する個人情報104が記載されている。なお、前記個人情報104はプライバシーを要しない一般情報でも構わず、又それら両情報が混在していても構わない。そして返信葉書本体となる第三葉片93表面には郵便切手欄、郵便番号欄の他返信先の住所氏名等が記載されている。さらに第四葉片94表面には宣伝広告等の一般情報104が記載されている。
【0058】
図16(B)に示すように、第一葉片91、第二葉片92及び第四葉片94裏面には個人情報104等が、そして第三葉片93裏面には一般情報103等が記載されている。第一葉片91と第二葉片92は折り予定線95から後の工程で裏面同士が対向するように折り畳まれるのであるが、第二葉片92裏面における第一葉片91の上部に設けられている丸穴106に対向する部分に「郵便往復葉書」等の往信葉書本体を示す文言が記載されている。
【0059】
既述の通り構成された長尺状シートZ2は、例えば折り線98から蛇腹に折り畳まれブロック状態で図17左下に設置され、上方のサポートローラ110へと引き上げられる。その際第四葉片94の外側のマージナル部分101はインタースタッカ等の切除装置(図時省略)により切除しながら引き上げられるのであるが、予め切除した状態で配置しておいても構わない。
【0060】
そして右側に配置された折り畳み装置111により、第四葉片94表面が折り線97から折り畳まれて図18及び図20に示すように第三葉片93表面と対向状態に片袖折りされるのである。そして上方のサポートローラ112に引き上げられると略水平に向きを変え、右側に設けられたピントラクタ113のピンと両側のマージナル孔100を合致させてさらに右側に設けられた一対のヒートローラ114a、114bからなるラミネート装置へ牽引される。
【0061】
前記ラミネート装置では、上方及び下方で待機している複数のロール(上下とも並列に2個並んでいる)から繰り出されるフィルムシートF及び疑似接着フィルムシートGが引き込まれ、それぞれ長尺状シートZ2の貫通孔105及び疑似接着予定面感熱接着剤層12側で整合されながら図19に斜線で示す範囲が被覆される。(前記斜線で示す範囲は図21の断面図にも示されているので参照されたし)
【0062】
そして右側のスリッタ115a、115bからなる切除装置により、第一葉片91外側のマージナル部分101を切除した後に、さらにミシン刃116aとバックアップローラ116b等からなるミシン入れ装置及びミシン装置と平行に配置されている筋入れ刃117aとバックアップローラ117b等からなる筋入れ装置により、折り予定線95に折りミシンを、折り予定線96に折り筋をそれぞれ形成すると、右側に設けられたニップローラ118a、118bにより下流の第二の折り畳み装置119へと送り出される。
【0063】
なお、前記ピントラクタ113からニップローラ118a、118bまでの各装置の駆動は、それぞれに掛けられていても、或いは任意の装置に掛けられ残りの装置はフリーな状態であっても、さらにニップローラ118a、118bのみに駆動が掛かかり残りのピントラクタ113からミシン入れ装置及び筋入れ装置までは、ニップローラ118a、118bの引っ張りに合せて共回りする状態であっても構わない。
【0064】
折り畳み装置119では、長尺状シートZ2は図22に示すように、断面が略S(Z)字状に折り畳まれてサポートローラ120へ引き上げられると略水平に向きを変えて、右側に設けられているピントラクタ121のピンと、残るマージナル孔100を合致させスリッタ122a、122bからなる切除装置により、前記マージナル部分101を切除した後に右側に設けられたダイカットローラ123aとバックアップローラ123bとからなる断裁装置(ロータリカッタやギロチン方式等公知のカッタでも構わない)へ送られる。
【0065】
前記断裁装置では、折り畳んだ長尺状シートZ2を天地方向の切取線98から断裁して単位シートt2毎に切り出し、前記切り出された単位シートt2は、さらに右側に設けられた一体化装置へと送り込まれる。前記一体化装置は、例えば一対の搬送ローラ124a、124bと一対のヒータパネル125a、125bが交互に配置されており、前記単位シートt2はこの中を通過中に加熱される。そして最終排出口に設けられた一対のヒートローラ126a、126b(加圧ローラでも構わない)により十分に加熱・加圧処理が施されることにより貫通孔105を通して第一葉片91と第二葉片92が剥離不能に接着されると共に対向する疑似接着層同士が剥離可能に接着して全体として一体化されるのである。このようにして製造された四つ折り製本型往復葉書J3は、ベルトコンベア等からなるスタッカ127に積載され、その後葉書として投函されるのである。
【0066】
前記実施例6では図8及び9に示す実施例3の四つ折り製本型往復葉書の製造方法を示しているが、実施例4(図10)の四つ折り製本型往復葉書の製造方法にそのまま適用できる。即ち対応する疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGを被覆して、断面が略S(Z)字状に折り畳み、単位シート毎に切り出して全体として一体化する流れにより完成する流れは同じである。従って詳細な説明は省略する。なお、実施例4の四つ折り製本型往復葉書の場合、第二葉片42に貫通孔47を設ける。従って、前記実施例3のように第一葉片31の貫通孔37を被覆する疑似接着フィルムシートGを省略することができるのでより至便である。
【0067】
なお、本発明は、上記実施例に限られるものではない。
例えば、図23に示すように、三つ折り製本型葉書の開封手段として第三葉片133の折り線135側にマイクロミシン等による開封用ミシン136を設けたものでも構わない。この三つ折り製本型葉書は実施例1の三つ折り製本型葉書に対応するもので、このように構成することにより図24に示すような断面状態に一体化される。そして図25に示すように、第一葉片131と第二葉片132は葉片幅の相違により生じる段差を端緒にして開封することができ、第二葉片132と第三葉片133は前記開封用のミシン136を破断して開封することができるのである。
【0068】
このように、新たに開封用ミシンを設ける手段は、当然実施例2の三つ折り製本型葉書にも適用することも可能である。前記開封用のミシン136の加工は疑似接着予定面へ疑似接着フィルムシートGが被覆されてから、断面Z(S)字状に折り畳まれるまでの間に施されるが、このように構成することにより分割されている疑似接着フィルムシートGの被覆面が統合され、そのため取り扱うロール数が減り加工作業が簡便化される。
【0069】
前記開封用ミシンの適用は実施例3及び4の四つ折り製本型往復葉書にも適用可能である。
図26は実施例3に対応した四つ折り製本型往復葉書であるが、本実施例では第一葉片141、第二葉片142及び第四葉片144を共通の一枚の疑似接着フィルムシートGで被覆しているところが異なる。そして第一葉片141の折り線145側に開封用ミシン148が設けられており、受取人は同図(B)に示すように開封することができる。なお実施例4の四つ折り製本型往復葉書についても同様に開封ミシンを適用することが可能である。
【0070】
なお、既述の実施例において、疑似接着に寄与しないフィルムシートFは疑似接着フィルムシートGに代えても構わない。
【0071】
また、貫通孔の形状に制限はなく、楕円や超楕円、或いは四角形やそれ以上の多角形、さらに直線や曲線により形成された不規則な形状であっても構わない。
【0072】
さらにまた、折り予定線に予めミシンや折筋等の折り手段を形成しておいても構わない。その場合製造工程中の折り手段形成工程を省略することができる。
【0073】
[実施例7:枚葉状シートを用いた三つ折り製本型葉書J5の製造方法]
図28に示すように、枚葉状シートZ3は第一葉片151、第二葉片152及び第三葉片153が折り予定線154及び155を介して横方向に連接された三つ折り製本型葉書の単位シートt3が2丁印刷された枚葉状のシートである。前記単位シートt3のレイアウトは図23(A)及び(B)に示す通りである。なお第三葉片153の右側にはトムソン等の型抜き加工による貫通孔157が予め設けられている。また便宜上開封用ミシン156が記載されているが、このミシンは後のラミネート装置通過後に施されることが好ましい。
【0074】
既述の通り構成された枚葉状シートZ3は図29の左に積載され、最上面の枚葉状シートZ3から一枚ずつ、例えば吸着パッド160等の繰り出し機構により右側の搬送テーブル上へ繰り出される。繰り出された枚葉状シートZ3は右側に設置されたニップローラ161a、161bに銜え込まれて右側に設置されている一対のヒートローラ162a、162bからなるラミネート装置へ送り込まれる。
【0075】
前記ラミネート装置では、上方及び下方で待機しているロールから繰り出される疑似接着フィルムシートGが引き込まれ、それぞれ枚葉状シートZ3の表裏面の各疑似接着予定面と感熱接着剤層12側で整合されながら図30に斜線で示す範囲が被覆される。
【0076】
そして図31に示すように、左右両外側に設置されたスリッタ163aとバックアップローラ163bからなる切除装置により流れ方向の余白部分Pを切除すると共に、マイクロミシン164aとバックアップローラ164bの開封ミシン装置により開封用ミシン156を形成した後に、更に二箇所並んで設置されているミシン165aとバックアップローラ165bの組合せからなる折り手段形成工程により折りミシン154、155を形成する。その後ニップローラ166a、166bにより右側に設置されている折り畳み装置へと送り出されるのである。
【0077】
折り畳み装置167では、枚葉状シートZ3は断面Z字状に折り畳まれてサポートローラ168へ引き上げられると略水平に向きを変えて、右側に設けられているニップローラ169a、169bにより右側に設けられた断裁刃170aと固定刃170bの組合せからなる断裁装置(公知のロータリカッタや他の方式のカッタでも構わない)へ送られる。
【0078】
前記断裁装置では、上流に設置されているセンサKが枚葉状シートZ3の第一葉片151上部に記載されたマークMを検知すると、予め設定されている距離を測定しながら図32に示す単位シートt3間の余白部分Q及びRを連続的に断裁していくのである。
【0079】
前記切り出された単位シートt3はさらに右側に設けられた一体化装置へと送り込まれ、既述の他の製造方法と同様に全体として一体化されるのである。
【0080】
[実施例8:枚葉状シートを用いた四つ折り製本型往復葉書J6の製造方法]
図33に示すように、枚葉状シートZ4は、第一葉片181、第二葉片182、第三葉片183及び第四葉片184が折り予定線185、186、187及び切断予定線188を介して横方向に連接された四つ折り製本型往復葉書の単位シートt4が3丁印刷された枚葉状のシートである。なお第一葉片181の右側にはトムソン等の型抜き加工による貫通孔190、丸穴191等が予め設けられている。また、折り予定線187に折りミシンが前記トムソン等の型抜き加工により予め設けられていても構わない。さらに第四葉片184の左側余白部分は予め断裁等により切除されている。また便宜上開封用ミシン189が記載されているが、このミシンは後のラミネート装置通過後に施されることが好ましい。
【0081】
記述の通り構成された枚葉状シートZ4は、例えば図29の左に積載され、最上面の枚葉状シートZ4が吸着パッド160等の用紙繰り出し機構により一枚ずつ右側の搬送テーブル上へ繰り出される。そして繰り出された枚葉状シートZ4は右側に設置されたニップローラ161a、161bに銜え込まれて右側に設置されている一対のヒートローラ162a、162bからなるラミネート装置へ送り込まれるのであるが、前記ラミネート装置の手前(図中のY)の段階で図34及び図36(A)に示すように折り予定線187から第四葉片184が第三葉片183表面と対向する状態に折り畳まれている。なお記述の通り折り予定線187は枚葉状シートZ4設置の段階で予め設けられていても構わず、或いは搬送テーブル上に繰り出されてラミネート装置へ至るまでの間に設けられその後折り畳まれてラミネート装置へ送り込まれるようにしても構わない。
【0082】
前記ラミネート装置では、上方及び下方で待機しているロールから繰り出される疑似接着フィルムシートGが引き込まれ、それぞれ折り畳まれた枚葉状シートZ4の表裏面の各疑似接着予定面と感熱接着剤層12側で整合されながら図35及び図36(A)に斜線で示す範囲が被覆される。
【0083】
そしてその後前記実施例7同様に、切除装置や開封ミシン装置及び折り手段形成装置等により、図36(C)に示すように、流れ方向の余白部分Pが切除されると共に折り予定線186の折り筋、折り予定線185に折りミシン及び開封ミシン189がそれぞれ設けられ、右側のニップローラ166a、166bにより右側に設置されている折り畳み装置へと送り出されるのである。
【0084】
折り畳み装置167では枚葉状シートZ4は、丁度図26に示す状態で、断面Z字状に折り畳まれてサポートローラ168へ引き上げられると略水平に向きを変えて、右側に設けられているニップローラ169a、169bにより右側に設けられた断裁刃170aと固定刃170bの組合せからなる断裁装置(公知のロータリカッタや他の方式のカッタでも構わない)へ送られる。
【0085】
前記断裁装置では、前記実施例7と同様に、上流に設置されているセンサKが枚葉状シートZ4の第一葉片181上部に記載されたマークMを検知すると、予め設定されている距離を測定しながら図34に示す単位シートt4間の余白部分R及び前後して搬送される枚葉状シートZ4間の前後する単位シートt4間の余白部分Q(図32参照)を連続的に断裁していくのである。
【0086】
そして前記切り出された単位シートt4は、さらに右側に設けられた一体化装置へと送り込まれ、既述の他の製造方法と同様に全体として一体化されるのである。
【0087】
本発明は上記実施例に限られるものではい。
例えば、実施例4の四つ折り製本型往復葉書を例に示すと、図37に示すように返信葉書を構成する第三葉片43を折り線46に沿って逆側に折り返した形態の四つ折り製本型往復葉書やその製造方法であっても構わない。
【0088】
また、既述の実施例では、情報通信体として葉書や往復葉書を例に記載しているが、その他の情報通信体として、封書やDM等に使用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0089】
S1、S2、S3、S4、S5 基本用紙
J1、J2、J5 三つ折り製本型葉書
J3、J4、J6 四つ折り製本型往復葉書
Z1、Z2 長尺状シート
Z3、Z4 枚葉状シート
t1、t2、t3、t4 単位シート
G 疑似接着フィルムシート
H 非接着域
P、Q、R 余白部分
K センサ
M マーク
1、2、3、21、22、23、31、32、33、34、41、42、43、44、51、52、53、91、92、93、94、131、132、133、141、142、143、144、151、152、153、181、182、183、184 葉片
4、5、24、25、35、36、45、46、97、134、135、145、146、154、155、187 折り線
6、26、37、47、57、105、137、147、157、190 貫通孔
106、191 丸穴
7、27、61、102 コーナーカット
11 基材
12 感熱接着剤層
13 疑似接着層
54、55、95、96、154、155、185、186 折り予定線
156、189 開封用ミシン
56、58、98、99、188 切取線
59、100 マージナル孔
60、101 マージナル部分
70、77、110、112、120、168 サポートローラ
70、78、113、121 ピントラクタ
72a、72b、83a、83b、114a、114b、126a、126b、173a、173b ヒートローラ
73a、73b、79a、79b、122a、122b、115a、115b、163a、163b 切除装置
164a、164b 開封ミシン装置
74a、74b、116a、116b、165a、165b ミシン装置
117a、117b 筋入れ装置
75a、75b、118a、118b、161a、161b、169a、169b ニップローラ
76、111、119、167 折り畳み装置
80a、80b、123a、123b、170a、170b 断裁装置
81a、81b、124a、124b、171a、171b 搬送ローラ
81a、81b、125a、125b、172a、172b ヒータパネル
84、127、174 スタッカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り線或いは切取線を介して連接された複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねることにより生じる任意の対向葉片を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体において、任意の葉片の任意の箇所に設けられた貫通孔に被覆されたフィルムシート又は疑似接着フィルムシートの前記貫通孔に露出している部分で、前記任意の葉片が前記フィルムシート又は疑似接着フィルムシートが被覆された側の面と逆側の面に位置する葉片と剥離不能に接着されることを特徴とした情報通信体の製本手段。
【請求項2】
折り線を介して連接された第一葉片、第二葉片及び第三葉片を断面Z(S)字状に折り畳み、対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体であって、第三葉片の第二葉片と連接する側と逆側の縁辺に沿って貫通孔を設けると共に第三葉片の裏面側に被覆されたフィルムシート又は疑似接着フィルムシートがその接着剤層により前記貫通孔を通して第二葉片と剥離不能に接着したことを特徴とした請求項1に記載の情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体。
【請求項3】
折り線を介して連接された第一葉片、第二葉片及び第三葉片を断面Z(S)字状に折り畳み、対向する葉片間を疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化した情報通信体であって、第二葉片の第一葉片側縁辺に沿って貫通孔を設けると共に第二葉片の裏面側に被覆された疑似接着フィルムシートがその接着剤層により前記貫通孔を通して第三葉片と剥離不能に接着したことを特徴とし請求項1に記載の情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体。
【請求項4】
折り線を介して連接された第一葉片、第二葉片及び第三葉片を断面S(Z)字状に折り畳むと共に第二葉片と第三葉片の間に第四葉片を介在させた製本型情報通信体において、第一葉片と第二葉片及び第二葉片と第四葉片が疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化された往信葉書を構成し、第三葉片が返信葉書を構成する往復葉書であって、第一葉片の第二葉片と連接する側と逆側の縁辺に沿って貫通孔を設け前記貫通孔から露出している第一葉片の外面側に被覆されたフィルムシート又は疑似接着フィルムシートがその接着剤層により第二葉片と剥離不能に接着したことを特徴とした情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体。
【請求項5】
折り線を介して連接された第一葉片、第二葉片及び第三葉片を断面S(Z)字状に折り畳むと共に第二葉片と第三葉片の間に第四葉片を介在させた製本型情報通信体において、第一葉片と第二葉片及び第二葉片と第四葉片が疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化された往信葉書を構成し、第三葉片が返信葉書を構成する往復葉書であって、第二葉片の第三葉片と連接する側の縁辺に沿って貫通孔を設け前記貫通孔から露出している第二葉片に被覆された疑似接着フィルムシートがその接着剤層により第一葉片と剥離不能に接着したことを特徴とした 情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体。
【請求項6】
第三葉片を逆側へ折り込んで第一葉片と対向するようにしたことを特徴とした請求項4又は5の何れかに記載の製本型情報通信体。
【請求項7】
開封用のミシンを独立して設けたことを特徴とした請求項1乃至6の何れかに記載の製本型情報通信体。
【請求項8】
折り線を介して横方向に連接すると共に情報通信体の完成後に製本状態として完全接着すべき箇所に貫通孔を設けた単位シートが縦方向に連接された長尺状シートをそのまま或いは一部葉片を折り畳みながら繰り出す繰出し工程、繰り出された長尺状シートの疑似接着予定面と貫通孔にフィルムシート及び/又は疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、フィルムシート及び/又は疑似接着フィルムシートが被覆された長尺状シートの一方のマージナル部分を切除する第一の切除工程、マージナル部分を切除した長尺状シートを折り畳む折畳み工程、折り畳まれた長尺状シートの残るマージナル部分を切除する第二の切除工程、残るマージナル部分を切除した長尺状シートを天地方向で単位シート毎に断裁する断裁工程、断裁された単位シートの対向する疑似接着フィルムシート同士を剥離可能に疑似接着すると共に貫通孔部分で完全接着して製本形態に仕上げる一体化工程とからなることを特徴とした情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体の製造方法。
【請求項9】
折り畳む工程の後で両マージナル部分を同時に切除することを特徴とした請求項8に記載の情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体の製造方法。
【請求項10】
両マージナル部分の各切除工程、単位シート毎に断裁する断裁工程及び一体化工程の順序が入れ替わったことを特徴とした請求項8及び9の何れかに記載の情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体の製造方法。
【請求項11】
折り線を介して横方向に連接すると共に情報通信体の完成後に製本状態として完全接着すべき箇所に貫通孔を設けた情報通信体シートが印刷された枚葉状シートをそのまま或いは折り畳みながら繰り出す繰出し工程、繰り出された枚葉状シートの疑似接着予定面と貫通孔にフィルムシート及び/又は疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆された枚葉状シートの流れ方向の余白部分を切除する切除工程及び折り予定線に折りミシン及び/又は折り筋を形成する折り手段形成工程、余白部分を切除すると共に折り手段を形成した枚葉状シートを折り畳む折畳み工程、折り畳まれた枚葉状シートの天地方向の余白部分を除去し情報通信体シート毎に仕上げる断裁工程、断裁された情報通信体シートの対向する疑似接着フィルムシート同士を剥離可能に疑似接着すると共に貫通孔部分で完全接着して製本形態に仕上げる一体化工程とからなることを特徴とした情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体の製造方法。
【請求項12】
ミシンによる開封手段形成工程を設けたことを特徴とした請求項8乃至11の何れかに記載の情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体の製造方法。
【請求項13】
情報通信体の単位シート毎に断裁する断裁工程と一体化工程の順序を入れ替たことを特徴とした請求項11及び12の何れかに記載の情報通信体の製本手段を用いた製本型情報通信体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2013−86507(P2013−86507A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244930(P2011−244930)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000105280)ケイディケイ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】