説明

情報通信機器、情報通信機器秘匿装置、情報通信機器秘匿方法およびプログラム

【課題】ユーザが情報通信機器から離れた場合に、当該情報通信機器を第三者に発見される可能性を低減させる。
【解決手段】携帯端末装置(情報通信機器)100が、携帯型近距離通信装置500と近距離通信を行う近距離通信部170と、近距離通信部170と所定の携帯型近距離通信装置500との通信状況を判定する近距離通信判定部372と、近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に、所定の秘匿機能を実行する秘匿機能制御部371とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報通信機器、情報通信機器秘匿装置、情報通信機器秘匿方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの情報通信機器をユーザが置き忘れてしまった場合に、情報通信機器等が警報音を発生させ、ユーザに気付かせる技術が開示されている。
例えば、特許文献1に記載の携帯電話用置忘れ防止器は、携帯電話に取り付ける、送信部を有する携帯電話側装置と、腕時計のベルトに取り付ける、該送信部からの送信信号を受信する受信部及び該受信部の受信出力に基づいて警報音を発生する警報発生手段を搭載した使用者側装置とを備え、該警報発生手段は、携帯電話側装置と使用者側装置とが一定距離以上離れたとき警報音を発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−334366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザが情報通信機器から離れる状況は、置き忘れに限らない。例えば、オフィスで情報通信機器を机に置いたままトイレや休憩所や別の部署に移動する場合や、家庭で入浴する場合など、なんらかの理由によって意図的に情報通信機器から離れる場合がある。
このように、ユーザが意図的に情報通信機器から離れた場合、上記のように情報通信機器が警報音を発生させるなどして、当該情報通信機器を第三者に発見されてしまうことはユーザにとって好ましくないことが多い。例えば、ユーザが社用の携帯電話機(情報通信機器)を机の上に置いたまま離席した場合、ユーザと同じ会社で共に業務に従事している人に当該情報通信機器の存在を知られるのは差し支えないが、第三者に知られると機密漏洩や携帯電話機の盗難等のおそれがあり好ましくないと考えられる。そこで、ユーザが情報通信機器から離れた場合に、当該情報通信機器を第三者に発見される可能性を低減させることが課題となる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決することのできる情報通信機器、情報通信機器秘匿装置、情報通信機器秘匿方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による情報通信機器は、所定の通信装置と近距離通信を行う近距離通信部と、前記近距離通信部と前記所定の通信装置との通信状況を判定する近距離通信判定部と、前記近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に所定の秘匿機能を実行する制御部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様による情報通信機器秘匿装置は、情報通信機器が所定の通信装置との通信状況を判定する近距離通信判定部と、前記近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に前記情報通信機器に所定の秘匿機能を実行させる制御部と、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様による情報通信機器秘匿方法は、所定の通信装置と近距離通信を行う近距離通信ステップと、前記近距離通信ステップでの前記所定の通信装置との通信状況を判定する近距離通信判定ステップと、前記近距離通信判定ステップにて所定の通信状況以下であると判定した場合に所定の秘匿機能を実行する制御ステップと、を具備することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様によるプログラムは、情報通信機器としてのコンピュータに、
所定の通信装置と近距離通信を行う近距離通信ステップと、前記近距離通信ステップでの前記所定の通信装置との通信状況を判定する近距離通信判定ステップと、前記近距離通信判定ステップにて所定の通信状況以下であると判定した場合に所定の秘匿機能を実行する制御ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが情報通信機器から離れた場合に、情報通信機器を第三者に発見される可能性を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態における携帯端末装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態における音声出力部の構成例を示すブロック図である。
【図3】同実施形態において音声出力部が音声を出力する領域を示す説明図である。
【図4】同実施形態において、携帯端末装置が、秘匿機能に関する処理を行う手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を携帯端末装置に適用する場合を例に本発明の実施の形態について説明する。本発明は、携帯電話機や携帯情報端末装置などの様々な携帯端末装置に適用可能である。ただし、本発明の適用範囲は携帯端末装置に限らない。例えばノート型パーソナルコンピュータやタブレット型コンピュータなど、近距離通信機能を備えかつ携帯型の様々な情報通信機器に本発明を適用し得る。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態における携帯端末装置の機能構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、携帯端末装置100は、表示部110と、操作入力部120と、音声入力部130と、音声出力部140と、無線通信部150と、通信中継部160と、近距離通信部170と、撮像部180と、外観部190と、制御部210と、記憶部220とを具備する。制御部210は、表示制御部310と、入力処理部320と、音声処理部330と、通信制御部340と、撮像制御部350と、外観制御部360と、アプリケーション実行部370とを具備する。アプリケーション実行部370は、秘匿機能制御部371と、近距離通信判定部372とを具備する。
【0014】
近距離通信部170は、ユーザが携帯している携帯型近距離通信装置(所定の通信装置)500と近距離通信を行う。携帯型近距離通信装置500は、携帯端末装置100との間で、最大数十cmあるいは最大数m程度の距離で無線通信を行うことができる通信装置である。携帯型近距離通信装置500は、例えば、腕時計、ペンダント、ID(Identifier)カード、ヘッドセットあるいはIC(Integrated Circuit)カードなど、ユーザが常に携帯するものの形態を有して、あるいは、ユーザが常に携帯するものに付随して構成されている。
【0015】
携帯端末装置100は、例えば携帯電話機の機能と携帯情報端末装置(Personal Digital Assistant;PDA)の機能とを組み合わせたような機能を有するいわゆるスマートフォンと呼ばれる端末装置であり、ユーザ操作に応じて音声通話や、インターネット閲覧や、画像・映像・音楽などの記録および再生や、電子メール機能など各種機能を実行する。
【0016】
表示部110は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示画面を有し、動画像や静止画像やテキスト(文字)などの各種画像を表示する。
操作入力部120は、例えば表示部110の表示画面に設けられたタッチセンサ(タッチパネル)や押ボタンなどの入力装置を有し、ユーザ操作を受け付ける。
【0017】
音声入力部130はマイクを有し、ユーザが発した音声や、周囲音を採取して音声信号に変換し、音声処理部330に出力する。
音声出力部140は、指向性を変化させて音声を出力可能な装置であり、通話音や、呼び出し音や、音楽などの音声を出力する。音声出力部140は、例えば、複数のスピーカと、各スピーカから出力される音声の位相を制御する制御回路とを具備し、各スピーカから出力される音声の位相を調整することで音声の指向性を変化させる。あるいは、音声出力部140が、超指向性スピーカと通常のスピーカとを具備し、スピーカを切り替えることで指向性を変化させるようにしてもよい。
【0018】
図2は、後者の構成(超指向性スピーカと通常のスピーカとを具備する構成)における、音声出力部140の構成例を示した概略ブロック図である。同図の例では、音声出力部140は、切り替え部141と、増幅部142と、通常のスピーカ(例えば、無指向性スピーカ)143と、変調および増幅部144と、発振器145と具備する。これら各部のうち、変調および増幅部144と、発振器145とで、パラメトリックスピーカシステムと呼ばれる超指向性スピーカシステムを構成する。
【0019】
切り替え部141は、音声処理部330から出力される音声信号(すなわち音声を示す電気信号)と、切り替え信号などの制御信号の入力を受ける。切り替え部141は、制御部210から出力された切り替え信号が、音声処理部330を介して入力されると、当該切り替え信号に応じて通常のスピーカ143と発振器145とのいずれか一方を出力先として選択し、音声信号を出力する。
【0020】
増幅部142は、切り替え部141から出力された音声信号を増幅して通常のスピーカ143へ出力する。通常のスピーカ143は、可聴周波数帯域の音声信号の入力を受けて、可聴周波数帯域の音声(すなわち音波)を出力する。一方、変調および増幅部144は、切り替え部141から出力された音声信号で所定の超音波信号を変調し、変調信号を増幅して発振器145へ出力する。
【0021】
発振器145は、1または複数の超音波振動子を有して構成されていて、音声信号で変調された超音波を出力する。発振器145から、空気中を超音波が伝播する際に非線形特性が生じる大きな振幅の超音波を放射することで、指向性の強い(鋭い)音声を出力する。
【0022】
図3は、図2に示した音声出力部140から出力される音声の指向性を模式的に示す説明図である。図3は、携帯端末装置100およびユーザ401と、他の人物402〜406との位置関係と、通常のスピーカ143を用いて出力された音声の可聴領域A1と、発振器145を用いて出力された音声の可聴領域A2とを平面図にて示している。同図に示す例では、通常のスピーカ143から出力された音声は、ユーザ401を含む6人の人物401〜406の全員に届いている。一方、発振器145を用いて出力された音声は、ユーザ401とその両側に位置する人物402および人物403にのみ届いている。
【0023】
無線通信部150は、無線基地局との通信を行う。具体的には、無線通信部150は、通信制御部340から出力される信号に対して変調処理を行って無線信号にて送信し、また、受信した無線信号に対して復調処理を行って通信制御部340に出力する。
【0024】
通信中継部160は、例えば無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントとして機能し、通信制御部340および無線通信部150を介して、無線通信部150に接続されているネットワークと、携帯端末装置100にアクセス可能な通信装置との間の通信を中継する。すなわち、当該通信装置は、携帯端末装置100をアクセスポイントとしてネットワークに接続する。
通信中継部160は、通信制御部340からの指示に応じて、接続情報を所定の時間間隔で送出(ブロードキャスト送信)するか、あるいは、接続情報を送出せずにいわゆるステルスモードで動作する。ここでいう接続情報は、アクセスポイントとしての通信中継部160に接続する際に必要となる情報である。通信中継部160は、例えば、アクセスポイントの識別情報であるSSID(Service Set Identifier)を接続情報として送出する。
SSIDなどの接続情報が送出されていないステルスモードでは、事前にSSIDなどの接続情報を設定されている通信装置のみが、通信中継部160に接続可能となる。
【0025】
近距離通信部170は、Bluetooth(登録商標)などの所定の近距離通信の方式を用いて、携帯型近距離通信装置500などと無線通信を行う。
【0026】
撮像部180は、例えば撮像用レンズ(フォーカスレンズおよびズームレンズを含む)および撮像素子を備えたカメラを有して撮像を行う。具体的には、撮像部180は、被写体からの光線の入力を受けて、フォーカスレンズの位置に応じたフォーカスおよびズームレンズの位置に応じたズームにて撮像素子上に被写体像を結像する。そして、撮像部180は、撮像素子において、結像された被写体像を画像信号に変換して撮像制御部350に出力する。
撮像部180は、携帯端末装置100が撮像機能を実行する状態において、画像信号を常時出力する。撮像部180が取得するカメラ画像は、ファインダー画像として表示部110に表示される。また、撮像部180が取得するカメラ画像は、操作入力部120が受け付ける操作によって指示される撮像画像の保存のタイミングにおいて、撮像画像として記憶部220に書き込まれる(保存される)。
【0027】
外観部190は、携帯端末装置100の筐体外側に設けられた表示装置である。外観部190は、例えばカラー電子ペーパーと呼ばれる不揮発性の表示媒体を用いて構成される。あるいは、外観部190が、フレキシブルの液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを用いて構成されるなど、カラー電子ペーパー以外によって構成されるようにしてもよい。
【0028】
制御部210は、携帯端末装置100の各部を制御して各種機能を実行する。制御部210は、例えば、携帯端末装置100の具備するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、携帯端末装置100の具備するメモリからプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0029】
表示制御部310は、表示部110を制御して各種画像を表示させる。具体的には、表示制御部310は、アプリケーション実行部370から出力される動画像データや静止画像データやテキストデータ等に基づいて画面表示用の信号を生成して表示部110に出力することにより、表示部110に画像を表示させる。
【0030】
入力処理部320は、操作入力部120が受け付けた操作に応じた信号をアプリケーション実行部370に出力する。
音声処理部330は、アプリケーション実行部370から出力される音声データを電気信号に変換して音声出力部140に出力することで、音声出力部140に音声を出力させる。また、音声処理部330は、音声入力部130が音声を採取して出力する電気信号を音声データに変換してアプリケーション実行部370に出力する。
【0031】
通信制御部340は、アプリケーション実行部370から出力されるデータに符号化などの処理を行って、無線通信部150に出力して変調させ、無線信号にて送信させる。また、通信制御部340は、無線通信部150が受信して復調した信号に、復号などの処理を行ってデータを抽出し、アプリケーション実行部370に出力する。
また、通信制御部340は、通信中継部160に接続している通信装置から受信したデータに所定の変換処理を行って、無線通信部150を介して無線基地局に送信する。また、通信制御部340は、無線基地局から受信したデータに所定の変換処理を行って、無線通信部150を介して通信中継部160に接続している通信装置に対して送信する。
【0032】
また、通信制御部340は、アプリケーション実行部370から出力された指示に応じて、通信中継部160にSSIDなどの接続情報を送出させるか、あるいは、送出を抑制させるかの制御を行う。
また、通信制御部340は、アプリケーション実行部370から出力されるデータに符号化などの処理を行って、近距離通信部170に出力して変調させ、無線信号にて送信させる。また、通信制御部340は、近距離通信部170が受信して復調した信号に、復号などの処理を行ってデータを抽出し、アプリケーション実行部370に出力する。
【0033】
撮像制御部350は、撮像部180の制御や撮像部180から出力された信号の処理を行う。撮像制御部350は、撮像部180から出力された電気信号を動画像フレームまたは静止画像の画像データに変換してアプリケーション実行部370に出力する。また、撮像制御部350は、アプリケーション実行部370から出力されるフォーカス指示に従って撮像部180のフォーカスレンズを移動させて、撮像部180におけるフォーカスを調整する。また、撮像制御部350は、アプリケーション実行部370から出力されるズーム指示に従って撮像部180のズームレンズを移動させて、撮像部180におけるズームを調整する。
【0034】
外観制御部360は、アプリケーション実行部370から出力される外観の色を表すデータに基づいて外観部190の表示色を制御する。
【0035】
アプリケーション実行部370は、アプリケーションプログラムを実行して、音声通話機能、ブラウザ機能、撮像機能、電子メール機能など各種機能を提供する。特に、アプリケーション実行部370の秘匿機能制御部371は、秘匿機能を実行する。また、アプリケーション実行部370の近距離通信判定部372は、近距離通信判定機能を提供する。この秘匿機能および近距離通信判定機能について、次に説明する。
【0036】
近距離通信判定部372は、近距離通信判定機能として、近距離通信部170と携帯型近距離通信装置500との通信状況を判定する。より具体的には、近距離通信判定部372は、近距離通信部170と携帯型近距離通信装置500との通信状況が所定の通信状況以下(すなわち、所定の通信状況またはそれ以下に劣化している)か否かを判定する。
【0037】
本実施形態では、近距離通信判定部372は、近距離通信部170と携帯型近距離通信装置500とが通信可能である場合に、所定の通信状況よりも良好であると判定し、通信不可能である場合に、所定の通信状況以下であると判定する。
但し、近距離通信判定部372の判定基準として、通信可否以外にも様々な基準を用いることができる。例えば、近距離通信判定部372が、近距離通信部170と携帯型近距離通信装置500との通信における電波強度、あるいは、S/N比(Signal To Noise Ratio)に基づいて通信状況を判定するようにしてもよい。例えば、近距離通信部372が、電波強度測定値が所定の値よりも大きい場合に、所定の通信状況よりも良好であると判定し、所定の値以下である場合に、所定の通信状況以下であると判定するようにしてもよい。
【0038】
近距離通信判定部372は、例えば、近距離通信部170と携帯型近距離通信装置500との間で、近距離通信が行われているか、あるいは、停止しているかを判定することによって、通信可否の判定を行う。
【0039】
より具体的には、例えば、携帯型近距離通信装置500が携帯端末装置100に対して定期的に無線信号を送信する。そして、近距離通信判定部372は、携帯型近距離通信装置500から送信された無線信号を近距離通信部170が受信したか否かを判定することで、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信可能か否かを判定する。
すなわち、携帯型近距離通信装置500から送信された無線信号を近距離通信部170が受信したと判定した場合(すなわち、近距離通信が行われていると判定した場合)、近距離通信判定部372は、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信可能であると判定する。
一方、携帯型近距離通信装置500から送信された無線信号を近距離通信部170が受信していないと判定した場合(すなわち、近距離通信が停止していると判定した場合)、近距離通信判定部372は、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信不可能であると判定する。近距離通信判定部372は、通信可能か否かの判定結果を秘匿機能制御部371へ通知する。
【0040】
ここで、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信不可能である場合、ユーザが携帯端末装置100から離れたと考えられる。かかる場合、秘匿機能制御部371は、以下に示す第1から第3の秘匿機能を実行する。
ここでいう秘匿機能は、少なくともある領域からの携帯端末装置100の発見可能性を低減させる機能である。すなわち、秘匿機能は、少なくともある領域に対して、携帯端末装置100から当該領域に到達するエネルギーを限定する(例えば、携帯端末装置100が出力する音声を低減させる、あるいは、携帯端末装置100が反射する光の色を特定の色に限定する)機能である。
【0041】
第1の秘匿機能は、音声出力部140の指向性を強く変化させる機能である。近距離通信判定部372が、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信可能であると判定した場合、秘匿機能制御部371は、例えば図3の領域A1のように音声出力部140の指向性を弱く設定する。一方、近距離通信判定部372が、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信不可能であると判定した場合、秘匿機能制御部371は、例えば図3の領域A2のように音声出力部140の指向性を強く設定する。
【0042】
このように、秘匿機能制御部371が、音声出力部140の指向性を強く設定することで、音声出力部140が音声を出力したときに、その音声に気付く人の所在範囲を適切に限定することができる。例えば、音声出力部140がアラーム音や着信音を出力したときに、携帯端末装置100の正面にいる人のみに気付かせることができる。
【0043】
第2の秘匿機能は、撮像部180が携帯端末装置100の周囲を撮像して周囲の色を検出し、検出した色と同一または類似した色に外観部190の表示色と表示部110の表示色とを変化させる機能である。
近距離通信判定部372が、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信可能であると判定した場合、秘匿機能制御部371は、撮像制御部350を介して撮像部180を制御して撮像を行わせ、携帯端末装置100の周囲の画像データを取得する。続いて、秘匿機能制御部371は、撮像制御部350から取得した画像データから、携帯端末装置100の周囲の色を検出する。そして、秘匿機能制御部371は、表示制御部310を介して表示部110の表示色を、検出した色またはその類似色(撮像された携帯端末装置100の周囲の画像の色に応じた色)に設定する。同様に、秘匿機能制御部371は、外観制御部360を介して外観部190の表示色を、検出した色またはその類似色に設定する。
このようにすることで、携帯端末装置100を第三者に視覚的に発見される可能性を低減させることができる。
【0044】
第3の秘匿機能は、通信中継部160による通信中継機能のうち、通信を中継する機能を有効にしたまま、接続情報の送出を抑制(すなわち停止)する機能である。近距離通信判定部372が、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信可能であると判定した場合、秘匿機能制御部371は、通信制御部340を介して通信中継部160を制御し、SSIDなどの接続情報の送出を抑制する。このように接続情報の送出を抑制することで、携帯端末装置100の通信中継機能が第三者に不正利用されることを防止することができる。
【0045】
記憶部220は、例えば携帯端末装置100の具備するメモリの記憶領域にて実現され、各種データを記憶する。記憶部220は、アプリケーション実行部370によって書き込まれる撮像画像データ(撮像画像の画像データ)を記憶する。また、記憶部220は、携帯端末装置100の具備するCPUが実行する各種プログラムを、予め記憶している。
【0046】
次に、図4を参照して携帯端末装置100の動作について説明する。図4は、携帯端末装置100が、秘匿機能を実行する際の処理手順を示すフローチャートである。携帯端末装置100は、所定の周期で秘匿機能制御部371を構成する所定のプログラムを呼び出すことで、図4の処理を開始する。
【0047】
同図の処理において、まず、近距離通信判定部372は、近距離通信部170と携帯型近距離通信装置500との間の近距離通信が停止しているか否かを判定することで、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信不可能か否かを判定する。(ステップS110)。
近距離通信が停止していると判定した場合、すなわち、近距離通信不可能であると判定した場合(ステップS110:YES)、秘匿機能制御部371は、音声処理部330を介して音声出力部140の指向性を強く設定する(ステップS120)。
【0048】
また、秘匿機能制御部371は、撮像部180を制御して携帯端末装置100の周囲の画像を撮像させ、得られた画像データに基づいて周囲の色を検出し、検出した色と類似の色(または同一の色)に外観部190の表示色と表示部110の表示色を設定する(ステップS130)。
また、秘匿機能制御部371は、通信中継部160からのSSIDなどの所定の接続情報の送出を抑制する(ステップS140)。
その後、同図の処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS110において、近距離通信が停止していないと判定した場合、すなわち、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信可能であると判定した場合(ステップS110:NO)、秘匿機能制御部371は、ステップS120〜ステップS140で設定した秘匿機能を解除する(ステップS150)。すなわち、ステップS150において、秘匿機能制御部371は、音声出力部140の指向性を通常の状態(すなわち指向性が強くない状態)に戻し、外観部190および表示部110の各表示色を通常の状態(すなわち秘匿機能によって表示色が変更されていない状態)に戻し、通信中継部160からの接続情報の送出状態を通常の状態(すなわち送出が抑制されていない状態)に戻す処理を行う。
その後、同図の処理を終了する。
【0050】
このように、携帯端末装置100は、図4の処理を実行することで、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信不可能であると判定した場合に、秘匿機能を実行する。
【0051】
以上のように、携帯端末装置100は、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信不可能であると、近距離通信判定部372が判定した場合に、秘匿機能を実行する。上述したように、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信不可能である場合、ユーザが携帯端末装置100から離れていると考えられる。かかる場合に、秘匿機能制御部371が上記の秘匿機能を実行することで、携帯端末装置100を第三者に発見される可能性を低減させることができる。
【0052】
また、本実施形態の秘匿機能のうち、音声出力部140の指向性を強める機能によれば、音声を出力する場合に、その音声に気付く人の所在範囲を適切に限定することができる。例えば、アラーム音や着信音を出力したときに、携帯端末装置100の正面にいる人のみに気付かせることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、音声の指向性を強めることとしているが、これは音声の出力を停止することと以下のような違いがある。つまり、音声の出力を停止してしまうと、携帯端末装置100の周囲の人が、一律に携帯端末装置100を発見しづらくなってしまう。
一方、音声の指向性を強めることには以下の格別な効果がある。
指向性を強めた音が聞こえる範囲(例えば携帯端末装置100の正面など)にいる人は、聞こえない範囲にいる人に比べて、携帯端末装置100の存在に気付いている可能性が高い。そのような人に音を聞かせることには様々な利点がある。例えば、着信音に気付いた人は、着信があったことをユーザに教えることができるし、電話に出ることもできる。
【0054】
例えば、携帯端末装置100のユーザが携帯端末装置100を机の上などに置いたまま離席した場合、出力音声の指向性を強めることによって、隣席の人にしか音を聞こえないようにする。この場合、携帯端末装置100が着信して、指向性を強められた音声で着信音を出力すると、隣席の人は、着信に気付くことができる。これにより、ユーザと関係の深い人が隣席にいる場合、当該隣席の人は、離席しているユーザを探して着信していることを知らせることができる。あるいは、隣席の人が通話することもできる。
【0055】
一方、隣席以外の人、例えば、向かいのテーブルにいる人には、着信音が聞こえないので、携帯端末装置100を第三者に発見される可能性を低減させることができる。これにより、隣席の人も離席した場合でも、第三者による機密漏洩や携帯端末装置100の盗難のおそれを軽減させることができる。
【0056】
また、社員のみが入室可能なオフィス内など、機密漏洩や携帯端末装置100の盗難のおそれがない場合でも、音声出力部140が出力する音声の届く領域を限定することで、騒音を防止し得る。例えば、他部署の人などユーザとの関係が薄い人は、携帯の存在や着信に気付いても、ユーザを特定できず、通話等の対処を行えないことが考えられる。この場合、ユーザとの関係が薄い人にとって、着信音は騒音となる。そこで、音声出力部140が出力する音声の届く領域を限定することで、かかる騒音を防止し得る。
【0057】
なお、音声出力部140が、メール受信音やアラーム音など、着信音以外の各種音声を出力する場合も同様である。この場合も、秘匿機能制御部371が秘匿機能を実行することで、出力された音に気付く人の所在範囲を適切に限定することができるとともに、携帯端末装置100を第三者に発見される可能性を低減させることができる。
【0058】
なお、本実施形態における最小構成は、近距離通信部170と、近距離通信判定部372と、制御部210(特に、秘匿機能制御部371)とである。近距離通信部170が、携帯型近距離通信装置500と通信を行い(通信を試み)、近距離通信部170が携帯型近距離通信装置500と近距離通信可能か否かを、近距離通信判定部372が判定することで、ユーザが携帯端末装置100から離れたか否かを判定し得る。そして、近距離通信判定部372が近距離通信不可能と判定した場合に、制御部210が所定の秘匿機能を実行することで、ユーザが携帯端末装置100から離れた場合に、携帯端末装置100を第三者に発見される可能性を低減させることができる。
【0059】
なお、秘匿機能制御部371と、近距離通信判定部372とで、携帯端末装置秘匿装置を構成するようにしてもよい。
この携帯端末装置秘匿装置は、例えば、携帯端末装置100の部品として携帯端末装置100に組み込まれる。あるいは、携帯端末装置秘匿装置が、携帯端末装置100の筐体外に設置され、当該携帯端末装置100に働きかけて秘匿機能を実行するようにしてもよい。
例えば、携帯端末装置秘匿装置は、携帯端末装置100に信号を出力する信号出力部を具備する。そして、秘匿機能制御部(制御部)371は、近距離通信判定部372が近距離通信不可能と判定した場合に、携帯端末装置100に対して出力音声の指向性を強くするよう指示する信号を、信号出力部に出力させる。
これにより、携帯端末装置100は、上記の場合と同様に秘匿機能を実行し得る。
【0060】
なお、制御部210の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disc)−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0061】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 携帯端末装置
110 表示部
120 操作入力部
130 音声入力部
140 音声出力部
150 無線通信部
160 通信中継部
170 近距離通信部
180 撮像部
190 外観部
210 制御部
220 記憶部
310 表示制御部
320 入力処理部
330 音声処理部
340 通信制御部
350 撮像制御部
360 外観制御部
370 アプリケーション実行部
371 秘匿機能制御部
372 近距離通信判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信装置と近距離通信を行う近距離通信部と、
前記近距離通信部と前記所定の通信装置との通信状況を判定する近距離通信判定部と、
前記近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に所定の秘匿機能を実行する制御部と、
を具備することを特徴とする情報通信機器。
【請求項2】
指向性を変化させて音声を出力可能な音声出力部を具備し、
前記制御部は、前記近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に、前記音声出力部の前記指向性が強くなるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報通信機器。
【請求項3】
前記音声出力部は、無指向性のスピーカと、パラメトリックスピーカとを具備し、
前記制御部は、前記近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に、前記パラメトリックスピーカに音声を出力させ、前記近距離通信判定部が所定の通信状況よりも良好であると判定した場合に、前記無指向性スピーカに音声を出力させる
ことを特徴とする請求項2に記載の情報通信機器。
【請求項4】
前記情報通信機器の周囲を撮像する撮像部と、
画像を表示する表示部、または、表示色を変更可能な外観部の少なくともいずれかと、
を具備し、
前記制御部は、前記近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に、前記表示部または前記外観部の少なくとも一方の表示色を、前記撮像部によって撮像された周囲の画像の色に応じた色に設定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報通信機器。
【請求項5】
無線通信を中継する通信中継部と、
前記無線通信の接続情報を送出する無線通信部と、
を具備し、
前記制御部は、前記近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に、前記接続情報の送出を抑制するよう前記無線通信部を制御する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の情報通信機器。
【請求項6】
情報通信機器が所定の通信装置との通信状況を判定する近距離通信判定部と、
前記近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に前記情報通信機器に所定の秘匿機能を実行させる制御部と、
を具備することを特徴とする情報通信機器秘匿装置。
【請求項7】
前記情報通信機器に信号を出力する信号出力部を具備し、
前記制御部は、前記近距離通信判定部が所定の通信状況以下であると判定した場合に、前記情報通信機器に対して出力音声の指向性を強くするよう指示する信号を、前記信号出力部に出力させる
ことを特徴とする請求項6に記載の情報通信機器秘匿装置。
【請求項8】
所定の通信装置と近距離通信を行う近距離通信ステップと、
前記近距離通信ステップでの前記所定の通信装置との通信状況を判定する近距離通信判定ステップと、
前記近距離通信判定ステップにて所定の通信状況以下であると判定した場合に所定の秘匿機能を実行する制御ステップと、
を具備することを特徴とする情報通信機器秘匿方法。
【請求項9】
情報通信機器としてのコンピュータに、
所定の通信装置と近距離通信を行う近距離通信ステップと、
前記近距離通信ステップでの前記所定の通信装置との通信状況を判定する近距離通信判定ステップと、
前記近距離通信判定ステップにて所定の通信状況以下であると判定した場合に所定の秘匿機能を実行する制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−66013(P2013−66013A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202867(P2011−202867)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】