説明

情報通信装置、情報通信プログラム、及び情報通信方法

【課題】徒に通話料金が高くなることを抑制する情報通信装置、情報通信プログラム、及び情報通信方法を提供する。
【解決手段】予め定められた関係から送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出手段52と、その通信時間算出手段52により算出された通信時間と課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理制御手段54とを、備えたものであることから、実際の通信時間が規定の課金時間を多少超過することが予想される場合における料金の発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料通信回線に接続され、その有料通信回線を介してデータの通信を行うファクシミリ装置等の情報通信装置に関し、特に、徒に通話料金が高くなることを抑制するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
公衆電話回線等の有料通信回線に接続され、その有料通信回線を介して他の通信機器へのデータの送信を行い得るように構成されたファクシミリ装置等の情報通信装置が知られている。斯かる情報通信装置においては、一般に、その通信に係るサービスに関して、通信距離等に応じて複数に区分された段階的に増加する料金区間がそれぞれ定められた課金規則からデータ通信に係る実際の通信時間に基づいてその通信に対応する課金が行われる。そのような情報通信装置において、徒に通話料金が高くなることを抑制するための技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載されたファクシミリ装置がそれである。この技術によれば、公衆電話回線を使った所定の宛先(電話番号)に対するデータ通信において、1課金時間(単位時間)内に送信できるデータ量を算出し、その宛先への送信データがその1課金時間内に送信し得る最大量に近づいたところで送信することにより、通話回数を可及的に抑えて通話料金を低減できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−207205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記通信装置に係る一般的な課金規則では、実際の通信時間がその課金規則に段階的に増加するように定められた各料金区間(課金区間)を少しでも超過した場合には更なる課金が発生し、通話料金がかさむという不具合があった。しかし、前述したような従来の技術では、そのように実際の通信時間が規定の料金区間を多少超過した場合における料金の発生を抑制することができなかった。また、ファクシミリ装置により送信されるデータは一般に線画が多くデータ量は小さいため、複数蓄積すれば常に最大量に少し満たないデータ量での通信が可能であるが、写真等を送信する場合にはデータ量がはるかに大きいため、最大量まで余裕がありそうでも、1枚の写真に相当するデータを追加すると最大量を超えて料金が上がったり、追加しないと最大量より大幅に少ないデータ量で送信を繰り返し結果的に料金が増加するといった弊害が生じる。一方、圧縮率を上げる等してデータ量を削減し、データ量が最大と等しくなるように調整して送信する場合、通信相手との通信条件(通信路や相手の装置に依存する条件であって通信相手毎に異なる)等のネゴシエーションに時間がかかると通信時間が料金区間が対象とする時間から長くなり料金が増加することや、通信確立時間を考慮しななければならないといった不具合があった。このため、徒に通話料金が高くなることを抑制する情報通信装置、情報通信プログラム、及び情報通信方法の開発が求められていた。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、徒に通話料金が高くなることを抑制する情報通信装置、情報通信プログラム、及び情報通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる目的を達成するために、本第1発明の要旨とするところは、有料通信回線を介して他の通信機器へのデータの送信を行い得るように構成されると共に、通信時間の経過に従って複数段階に料金が増加するように料金区間が定められた課金規則から前記データの送信に係る実際の通信時間に基づいてその通信に対応する課金が行われる情報通信装置であって、予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出手段と、その通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理制御手段とを、備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、前記目的を達成するために、本第2発明の要旨とするところは、有料通信回線を介して他の通信機器へのデータの送信を行い得るように構成されると共に、通信時間の経過に従って複数段階に料金が増加するように料金区間が定められた課金規則から前記データの送信に係る実際の通信時間に基づいてその通信に対応する課金が行われる情報通信装置に備えられた制御装置を、予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出手段、及びその通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理制御手段として機能させることを特徴とする情報通信プログラムである。
【0008】
また、前記目的を達成するために、本第3発明の要旨とするところは、有料通信回線を介して他の通信機器へのデータの送信を行い得るように構成されると共に、通信時間の経過に従って複数段階に料金が増加するように料金区間が定められた課金規則から前記データの送信に係る実際の通信時間に基づいてその通信に対応する課金が行われる情報通信装置に係る情報通信方法であって、予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出過程と、その通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理過程とを、含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
このように、前記第1発明によれば、予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出手段と、その通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理制御手段とを、備えたものであることから、実際の通信時間が規定の課金時間を多少超過することが予想される場合における料金の発生を抑制することができる。すなわち、徒に通話料金が高くなることを抑制する情報通信装置を提供することができる。
【0010】
ここで、前記第1発明において、好適には、前記通信時間算出手段により算出される通信時間は、前記他の通信機器における着信が開始されてからその通信機器との間で相互に通信方法に係る情報を交換するネゴシエーションを経て実際にデータの送信が開始されるまでの通信確立時間を含むものである。このようにすれば、実用的な態様でデータの送信に係る通信時間を算出することができる。
【0011】
また、好適には、前記他の通信機器に対応する各識別情報毎に過去に実際に行われた通信に係る前記通信確立時間を記憶するデータベースを備え、前記通信時間算出手段は、そのデータベースに記憶された各識別情報毎の通信確立時間に基づいてその識別情報に対応する前記他の通信機器に対するデータの送信に要する通信時間を算出するものであり、前記データベースに記憶される通信確立時間は、前記情報通信装置によりデータの送信が行われる毎に更新されるものである。このようにすれば、過去に実際に行われた通信に係る通信確立時間に基づいて、実用的な態様でデータの送信に係る通信時間を算出することができる。
【0012】
また、好適には、前記他の通信機器に対応する各識別情報毎に過去に実際に行われた通信に係る通信速度を記憶するデータベースを備え、前記通信時間算出手段は、そのデータベースに記憶された各識別情報毎の通信速度に基づいてその識別情報に対応する前記他の通信機器に対するデータの送信に要する通信時間を算出するものであり、前記データベースに記憶される通信速度は、前記情報通信装置によりデータの送信が行われる毎に更新されるものである。このようにすれば、過去に実際に行われた通信に係る通信速度に基づいて、実用的な態様でデータの送信に係る通信時間を算出することができる。
【0013】
また、好適には、前記データ処理制御手段は、前記他の通信機器との間のネゴシエーションの結果決定された通信速度が前記データベースに記憶された通信速度と異なる場合には、前記ネゴシエーションの結果決定された通信速度に基づいて前記通信時間算出手段により前記送信に係る通信時間を再度算出し、その算出結果に基づいてその送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するものである。このようにすれば、実際にネゴシエーションにかかった時間を基に実用的な態様で送信に係るデータの処理を実行することができる。
【0014】
また、好適には、前記データ処理制御手段は、画像情報の送信に際してその送信に係るデータ量を低減するための処理として、その画像情報の解像度を下げる処理、その画像情報の圧縮率を上げる処理、及びその画像情報の階調を下げる処理のうち少なくとも1つを実行するものである。このようにすれば、画像情報の送信に際して、実用的な態様でそのデータ量を低減するための処理を実行することができる。
【0015】
また、好適には、前記データ処理制御手段は、複数の画像情報の送信に際してその送信に係るデータ量を低減するための処理として、それら複数の画像情報のうち画像品質の高いものから優先的にそのデータ量を低減するための処理を実行するものである。このようにすれば、画像情報の送信に際して、効率的且つ実用的な態様でそのデータ量を低減するための処理を実行することができる。
【0016】
また、好適には、前記データ処理制御手段は、前記通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、前記送信に係るデータ量を低減するための処理によってその送信に係る通信時間が一段階下の料金区間内に収まると判断される場合には、その料金区間内に収まるように前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するものである。このようにすれば、実際の通信時間が規定の課金時間を多少超過することが予想される場合において、一段階低い課金時間内に通信時間を収めることで、料金を低く抑えることができる。
【0017】
また、好適には、前記データ処理制御手段は、前記通信時間算出手段により算出された通信時間が前記課金規則に定められた最低段階の料金区間内に収まる場合には、その通信に係るデータ量を低減するための処理を行わないものである。このようにすれば、料金が最小課金単位に収まるデータ通信において、無駄なデータの処理が実行されるのを抑制することができる。
【0018】
また、前記第2発明によれば、前記情報通信装置に備えられた制御装置を、予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出手段、及びその通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理制御手段として機能させる情報通信プログラムであることから、実際の通信時間が規定の課金時間を多少超過することが予想される場合における料金の発生を抑制することができる。すなわち、徒に通話料金が高くなることを抑制する情報通信プログラムを提供することができる。
【0019】
また、前記第3発明によれば、予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出過程と、その通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理過程とを、含むことから、実際の通信時間が規定の課金時間を多少超過することが予想される場合における料金の発生を抑制することができる。すなわち、徒に通話料金が高くなることを抑制する情報通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明が好適に適用される情報通信システムを概略的に示す図である。
【図2】本発明の情報通信装置の一実施例であるファクシミリ装置の構成を概略的に説明するブロック図である。
【図3】図2に示すファクシミリ装置の制御部に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図4】図1に示す情報通信システムの課金規則の一例として、通信先が県内である場合の課金テーブルを例示するものである。
【図5】図1に示す情報通信システムの課金規則の一例として、通信先が県外である場合の課金テーブルを例示するものである。
【図6】図2に示すファクシミリ装置のメモリ部に設けられた電話番号データベースの一例を示す図である。
【図7】図2に示すファクシミリ装置のメモリ部に設けられた通信情報データベースの一例を示す図である。
【図8】送信対象である画像情報が300(Kbyte)である場合の通信速度と送信に要する時間との関係を示す図である。
【図9】送信対象である画像情報の解像度とそのデータ量との関係の一例を示す図である。
【図10】送信対象である画像情報の解像度を下げた場合にデータ量が低減される様子を説明する図である。
【図11】図5に示す課金規則において、昼間に県外の通信距離100km以上の通信先に対して300(Kbyte)の画像情報を送信する場合であって、通信速度14400(bps)、通信確立時間20秒である場合に要する通信時間について説明する図である。
【図12】図5に示す課金規則において、昼間に県外の通信距離100km以上の通信先に対して270(Kbyte)の画像情報を送信する場合であって、通信速度14400(bps)、通信確立時間20秒である場合に要する通信時間について説明する図である。
【図13】図2に示すファクシミリ装置の制御部による他の通信機器に対するデータ送信制御の一例の要部を説明するフローチャートの一部である。
【図14】図2に示すファクシミリ装置の制御部による他の通信機器に対するデータ送信制御の一例の要部を説明するフローチャートの一部である。
【図15】図13及び図14の制御におけるSSの処理に相当するデータ量低減制御の要部を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明が好適に適用される情報通信システム10を概略的に示す図である。この図1に示す情報通信システム10は、例えばよく知られたアナログ回線(アナログ電話線)である公衆電話回線12を通信伝送路として、その公衆電話回線12を介して多数の通信機器の間で相互に情報の送受信が可能とされるように構成されたものであり、通話先の電話番号に対応する通信機器までの接続経路(電話線)の接続を制御する複数(図1では2つのみ示している)の交換機14を備えている。また、本発明の情報通信装置の一実施例である複数(図1では4つのみ示している)のファクシミリ装置16が上記交換機14を介して上記公衆電話回線12に接続され、その公衆電話回線12を介して他の通信機器へのデータの送信乃至他の通信機器からのデータ受信を行い得るように構成されている。
【0023】
ここで、図1に示すように、上記交換機14には一般的な電話機18等、他の通信機器も接続されており、上記公衆電話回線12を介してそれら他の通信機器相互間の情報通信も実現される。また、本実施例のファクシミリ装置16は、そのように上記公衆電話回線12を介して接続された従来の一般的なファクシミリ装置等との間でも当然にデータの送受信が可能である。すなわち、本実施例においては、上記ファクシミリ装置16による情報送信に関して送信先となる他のファクシミリ装置16乃至図示しない他の一般的なファクシミリ装置が、データ送信対象である他の通信機器に相当する。また、本実施例においては、上記交換機14を介して情報の通信を制御する形式の情報通信システム10について説明するが、ファックス専用回線等を介して通信を行うシステムにおいては必ずしも上記交換機14を備える必要はない。
【0024】
上記交換機14は、例えば上記情報通信システム10を管理運営する情報通信サービス会社の電話局に備えられたものであり、所謂加入者線を介して上記複数のファクシミリ装置16や電話機18等と接続されている。斯かる交換機14は、その交換機14に接続された上記ファクシミリ装置16をはじめとする所定の通信機器から他の通信機器との間の通信要求があった場合、その要求に係る通信機器の識別情報(電話番号)に基づいて通信元の通信機器から通信先の通信機器までの間を通信経路(接続経路)の接続切り替えを行うスイッチング制御を行う他、上記公衆電話回線12を主体とする通信網において通信先の通信機器に至る中継経路の選択を行う経路選択制御、及び携帯電話機や自動車電話等の移動体通信端末を追跡する追跡制御等の各種電話交換サービスを統括的に制御する。また、上記情報通信システム10において上記ファクシミリ装置16をはじめとする通信機器相互間の通信が行われた場合、後述するようにその通信距離及び通信時間等に応じた課金制御を行う。
【0025】
図2は、本実施例のファクシミリ装置16の構成を概略的に説明するブロック図である。このファクシミリ装置16は、例えば文字、図形、写真等の二次元情報(画像情報)を光学的手段によって電気信号に変換し、上記公衆電話回線12を介して他の通信機器に送信すると共に、他の通信機器から送られてくる電気信号に対応する二次元情報を復元して印刷する等の制御を行う一般的なファクシミリ装置としての機能を有するものであり、図2に示すように、制御部20、メモリ部22、操作部24、表示部26、モデム部28、スキャン部30、変調/符号化部32、復調/復号部34、プリント部36、及びデータ入力部38等を備えて構成されている。なお、本実施例においては特に説明しないが、前記ファクシミリ装置16はファクシミリとしての機能に加えて、音声により他の通信機器との間で通話を行う電話機としての機能を備えたものであってもよい。
【0026】
上記制御部20は、中央演算処理装置であるCPU、読出専用メモリであるROM、及び随時書込読出メモリであるRAM等から成り、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータであり、前記公衆電話回線12を介して他の通信機器との間で行われる情報通信に係る基本的な制御を実行すると共に、後述する通信時間算出制御及びデータ処理制御等の各種制御を実行する。また、上記メモリ部22は、例えばハードディスク等の記憶装置であり、後述する課金規則データベース40及び通信情報データベース42等のデータベースをはじめ、本実施例の制御に用いられる各種情報が記憶されるようになっている。
【0027】
前記操作部24は、前記ファクシミリ装置16により他の通信機器との間で情報の通信を行うための入力を行う入力インターフェイスであり、例えば通信先の通信機器の識別情報としての電話番号等を入力するための0〜9の数字ボタンを少なくとも含む複数の入力ボタンを備え、その入力ボタンによる入力情報(入力信号)を前記制御部20に供給する。また、上記表示部26は、前記ファクシミリ装置16による他の通信機器との間の情報通信に係る各種情報を表示するためのディスプレイ装置であり、例えば所定の通信機器から情報が送られてきた場合(或いは電話がかかってきた場合)、その通信機器の識別情報としての電話番号等を表示させる。
【0028】
前記モデム部28は、前記ファクシミリ装置16により前記公衆電話回線12を介して他の通信機器との間で情報の通信を行うために、後述するスキャン部30等により取り込まれて変調/符号化部32により符号化された送信データをアナログ信号に変換して前記公衆電話回線12(加入者線)に送り出すと共に、その公衆電話回線12を介して所定の通信機器から送られてくるアナログ信号としての受信データをデジタル信号に変換して前記復調/復号部34乃至プリント部36等へ供給する信号変換装置(変調装置)である。
【0029】
前記スキャン部30は、前記ファクシミリ装置16による送信対象となる画像情報(二次元情報)を光学的な手段により取得する画像情報取込装置である。すなわち、送信対象となる画像情報を一次元情報に変換するために、原画像を複数の区画に分解して走査(スキャンニング)する走査装置を備え、その原画像における各画素の濃淡情報を電気信号に変換して取得する。この変換は、例えば光源、光学系、及び光電変換素子等により行われ、光源には白熱電球、管状蛍光灯、発光ダイオード等、光学系にはレンズ、プリズム、ミラー、光ファイバ等、光電変換素子には光電管−光電子倍増管、フォトダイオード、フォトトランジスタ等が好適に用いられる。また、上記走査装置としては、円筒走査等の機械的走査機構或いは電子管による走査、ICイメージセンサとレンズを用いる走査、密着形イメージセンサを用いる走査等の電子的走査機構が好適に用いられる。
【0030】
前記変調/符号化部32は、前記スキャン部30により取得された画像情報を変調乃至符号化する送信信号処理部である。例えば、送信対象となる画像情報の冗長度を削減するために、その画像情報をMH方式(モディファイドハフマン方式)及びMR方式(モディファイドリード方式)等により変調乃至符号化する。この変調/符号化部32により変調乃至符号化された画像情報は、前記モデム部28によりアナログ信号に変換され、前記公衆電話回線12を介して通信先である他の通信機器に伝送される。また、本実施例のファクシミリ装置16では、前記変調/符号化部32により変調乃至符号化された画像情報に関して、必要に応じて後述するデータ処理制御手段54によりそのデータ量を低減するための処理が実行された後、前記モデム部28及び公衆電話回線12を介して通信先である他の通信機器に伝送される。
【0031】
前記復調/復号部34は、前記公衆電話回線12を介して受信されて前記モデム部28によりデジタル信号に変換された他の通信機器からの受信情報(画像情報)を復調乃至復号する受信信号処理部である。この復調/復号部34は、上述のようにデジタル信号に変換された他の通信機器からの受信情報に関して、例えば、前記変調/符号化部32による変調乃至符号化と同様の方式に係る逆の処理である復調乃至復号処理を行い、受信された画像情報に相当する元の信号を復元する。
【0032】
前記プリント部36は、前記復調/復号部34により復調乃至復号された電気信号に基づいて、受信された画像を印刷(プリントアウト)する。例えば、復調乃至復号された電気信号から画素を組み立てるための駆動装置を備え、所定の駆動回路により制御されるその駆動装置により印刷機構と印刷紙とを相対移動させながら印刷を行う。この印刷機構としては、印刷ヘッド部の発熱により感熱紙に熱を加えて印刷する感熱印刷方式、トナーを含む微粉末を印刷紙に付着させて静電荷を与えることにより印刷するトナー印刷方式、液滴化したインクを印刷紙に吐出して印刷するインクジェット印刷方式等の印刷装置が好適に用いられる。
【0033】
前記データ入力部38は、デジタルカメラやパーソナルコンピュータ等の外部装置からのデータ入力を受け付けるUSB端子、LANインターフェイス、或いはカードリーダ等の装置である。本実施例のファクシミリ装置16は、デジタルカメラやパーソナルコンピュータ等の外部装置から斯かるデータ入力部38を介して入力された画像情報も、前記スキャン部30により取り込まれた画像情報と同様に他の通信機器に対して送信することができるように構成されている。すなわち、前記データ入力部38から入力された画像情報を前記変調/符号化部32により変調乃至符号化し、前記モデム部28によりアナログ信号に変換して前記公衆電話回線12を介して通信先である他の通信機器に対して送信することが可能とされている。
【0034】
図3は、前記ファクシミリ装置16の制御部20に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図3に示す通信制御手段50は、前記ファクシミリ装置16による他の通信機器との間の情報通信を制御する。すなわち、前記ファクシミリ装置16から他の通信機器に対するデータ(画像情報)の送信に関して、前記スキャン部30乃至データ入力部38により取り込まれた画像情報を前記変調/符号化部32により変調乃至符号化し、前記操作部24により入力される識別情報(電話番号)に対応する他の通信機器へ、前記モデム部28を介して送信するデータ送信制御を行う。また、他の通信機器から前記モデム部28を介して前記ファクシミリ装置16へのデータ(画像情報)が受信された場合、そのデータを前記復調/復号部34により復調乃至復号し、前記プリント部36によりそのデータに相当する画像を印刷するデータ受信制御を行う。なお、このようにして受信されたデータを前記メモリ部22等や外付メディアである外部メモリ等に保存し、所定の表示装置により閲覧したり外部機器により利用するといった実施形態も可能である。
【0035】
ここで、図3に示すように、前記ファクシミリ装置16のメモリ部22には、前記情報通信システム10に係る課金規則(課金体系)を記憶する課金規則データベース40、通話相手である通信機器の識別情報である電話番号を記憶する電話番号データベース(電話番号簿)、及び前記他の通信機器に対応する各識別情報(電話番号)毎に過去に実際に行われた通信に係る通信確立時間及び通信速度等を記憶する通信情報データベース42をはじめとする、前記ファクシミリ装置16による他の通信機器との間の通信に係る各種データベースが設けられている。
【0036】
図4及び図5は、前記ファクシミリ装置16のメモリ部22に設けられた課金規則データベース40の一例を示す図であり、図4は通信先が県内である場合の課金テーブル、図5は通信先が県外である場合の課金テーブルをそれぞれ示している。これらの図に示すように、前記情報通信システム10においては、通信時間の経過に従って複数段階に料金が増加するように通信距離乃至時間帯毎の料金区間が定められた課金規則が規定されており、前記ファクシミリ装置16等による他の通信機器との間の情報通信に際しては、斯かる課金規則からその情報通信に係る実際の通信時間に基づいてその通信に対応する課金が行われるようになっている。なお、この課金規則に従っての課金は、通常、情報通信要求を行った側の通信機器に対応して行われるようになっており、前記ファクシミリ装置16によるデータ通信に関しては、データを送信する側のファクシミリ装置16に対応して斯かる課金が行われるようになっているが、発信側が必ずしもデータの送信側になるとは限らず、所謂ポーリング送信機能等においては、1通信に対して双方向のデータ送信が行われる可能性がある。
【0037】
図4及び図5に示すように、前記情報通信システム10における課金規則では、複数に区分された通信相手との間の通信距離及び通信時間帯を基準として単位時間当たりの課金情報(課金単位)が定められている。すなわち、図4に示すように、通信相手が県内である場合には、その通信相手との距離(通信距離)が所定の区域内である場合、隣接乃至20km未満である場合、20km以上60km未満である場合、60km以上である場合のそれぞれに関して個別に各時間帯毎の単位時間当たりの課金情報(単位料金)が定められている。例えば、図4に示す課金テーブルにおいて60km以上である場合には、昼間において3分当たり40円、夜間において30円の課金単位が定められている。ここで、課金単位が3分当たり40円であるということは通信時間が3分経過するまでは40円で通信ができる一方、3分を超過した場合には次の単位時間6分(=3分×2)が経過するまでは80円(40円×2)で通信を行うことができるというように、通信時間の経過に従って単位時間当たりの料金が累積(整数倍)されてゆくものであり、斯かる態様においては単位時間(乃至その整数倍)を1秒でも超過した場合には、一単位分の料金が累積された通信料金が課金されるように定められている。なお、この課金規則に基づく課金制御(課金管理制御)は、前記情報通信システム10を管理運営する情報通信サービス会社の電話局に備えられた前記交換機14等により行われるものであるが、本実施例においてはその交換機14側における制御に関しては詳細な説明を省略する。
【0038】
図4及び図5に例示する課金規則データベース40は、前記交換機14等により管理される前記情報通信システム10の課金制御に係る課金規則を、前記ファクシミリ装置16のメモリ部22に記憶したものである。すなわち、本実施例のファクシミリ装置16は、前記交換機14等による前記情報通信システム10の課金制御に用いられる課金規則に対応する情報乃至その要部を前記メモリ部22等に記憶するものである。また、好適には、前記課金規則データベース40の記憶内容は、前記情報通信システム10の課金制御に係る課金規則が変更される毎に更新される。この更新は、例えば前記ファクシミリ装置16により自動で(或いは前記操作部24による所定の操作に応じて)変更後の課金規則に相当する情報が前記公衆電話回線12を介してダウンロードされることにより実行される。
【0039】
図6は、前記ファクシミリ装置16のメモリ部22に設けられた電話番号データベース(電話番号簿)の一例を示す図である。この図6に示すように、前記メモリ部22に設けられた電話番号データベースには、前記ファクシミリ装置16の通信対象である他の通信機器(他のファクシミリ装置16或いは図示しない一般的なファクシミリ装置等)それぞれに関して、その通信機器に対応する利用者の名前、識別情報である電話番号、及び付加情報1、2等が登録できるようになっている。この付加情報は、例えば各通信機器が市内、県内・市外、県外の何れであるか、或いは所定の契約により無料通話が可能な通信対象であるか(付加情報1)、及び発信と着信がそれぞれ属する単位料金区域の間の距離(付加情報2)等、前記ファクシミリ装置16による通信においての課金に関する情報であり、好適にはそのファクシミリ装置16の所在地を基準として通信対象である各通信機器に対応する識別情報(電話番号)から一義的に定められるものである。なお、本実施例においては、この電話番号データベースと通信情報データベース42とが別個のデータベースとして設けられているが、それらは単一のデータベースとして前記メモリ部22に記憶されるものであってもよい。
【0040】
図7は、前記ファクシミリ装置16のメモリ部22に設けられた通信情報データベース42の一例を示す図である。この図7に示すように、前記メモリ部22に設けられた通信情報データベース42には、前記ファクシミリ装置16の通信対象である他の通信機器それぞれに関して、その通信機器に対応する利用者の名前、識別情報である電話番号、通信確立時間、及び通信速度が記憶されるようになっている。この通信確立時間は、前記ファクシミリ装置16による他の通信機器に対するデータの送信に際して、斯かる他の通信機器における着信が開始されてからネゴシエーション(その通信機器との間で相互に通信方法に係る情報を交換する処理)を経て実際にデータの送信が開始されるまでの時間に相当するものであり、好適には最新の通信における実際の通信確立時間が記憶されるものであるが、過去における実際の通信確立時間の平均値、或いは過去における実際の通信確立時間の最大値が記憶されるものであってもよい。また、前記通信情報データベース42に記憶される通信速度は、前記ファクシミリ装置16による他の通信機器に対するデータの送信に関して、過去における実際の通信速度を記憶するものであり、好適には最新の通信における実際の通信速度が記憶されるものであるが、過去における実際の通信速度の平均値、或いは過去における実際の通信速度の最大値が記憶されるものであってもよい。また、前記他の通信機器との間の通信における通信速度は、その通信機器との間の通信に係るネゴシエーションの結果決定されるものであり、そのネゴシエーションの結果決定された値を上記実際の通信速度として前記通信情報データベース42に記憶するものであってもよい。更に、前記通信情報データベース42に記憶される通信確立時間及び通信速度は、好適には、前記ファクシミリ装置16により対応する通信機器に対するデータの送信が行われる毎に更新されるものである。
【0041】
図3に戻って、通信時間算出手段52は、予め定められた関係から前記ファクシミリ装置16による送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する。すなわち、前記スキャン部30乃至データ入力部38により取り込まれ、前記変調/符号化部32により変調乃至符号化された、通信先の他の通信機器に対する送信対象となる画像情報のデータ量(容量)に基づいて、その画像情報を送信するために必要な通信時間を算出する。具体的には、前記メモリ部22に設けられた通信情報データベース42から、通信先の他の通信機器に対応する通信速度を読み出し、上記送信対象となる画像情報のデータ量及びその通信速度からその画像情報を送信するのに必要なデータ送信時間を算出すると共に、前記通信情報データベース42から、同じく通信先の他の通信機器に対応する通信確立時間を読み出し、算出された上記データ送信時間及びその通信確立時間の和としての時間を、その画像情報の送信に要する通信時間として算出する。
【0042】
図8は、送信対象である画像情報が300(Kbyte)である場合の通信速度と送信に要する時間との関係を示す図である。この図8に示すように、送信対象である画像情報のデータ量が所定の値である場合、その画像情報の送信に要する時間は通信速度により一義的に定まる。すなわち、通信速度33600(bps)である場合には送信時間74秒、通信速度14400(bps)である場合には送信時間170秒、通信速度9600(bps)である場合には送信時間256秒、通信速度7200(bps)である場合には送信時間341秒といったように、通信速度が遅くなるほどデータ量の送信に要する時間が長くなる。上記通信時間算出手段52は、好適には、このような関係に基づいて送信対象である画像情報を送信するのに必要なデータ送信時間を算出し、そのデータ送信時間及び上記通信確立時間の和としての時間を、その画像情報の送信に要する通信時間として算出する。
【0043】
図3に戻って、データ処理制御手段54は、前記通信時間算出手段52により算出された通信時間と前記課金規則データベース40に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行する。具体的には、前記スキャン部30乃至データ入力部38により取り込まれ、前記変調/符号化部32により変調乃至符号化された画像情報の送信に際して、その送信に係るデータ量を低減するための処理として、その画像情報の解像度を下げる処理(ドットの間引き処理)、その画像情報の圧縮率を上げる処理(JPEG圧縮等における圧縮率の変更)、及びその画像情報の階調を下げる処理(色の間引き処理)のうち少なくとも1つを実行する。また、好適には、先ず、対象となる画像情報の解像度を下げる処理を実行し、それでも十分にデータ量が小さくならない場合にはその圧縮率を上げる乃至階調を下げる等の処理を実行するというように、解像度を下げる処理を優先的に実行する。なお、画像情報の品質(画質)の測定には一般にSN比が用いられる。
【0044】
図9は、送信対象である画像情報の解像度とそのデータ量との関係の一例を示す図である。この図9に示すように、送信対象である画像情報の解像度に応じてそのデータ量は変化する。すなわち、解像度QXGA(2048×1536)である場合にはデータ量2024(Kbyte)、解像度UXGA(1600×1200)である場合にはデータ量1382(Kbyte)、解像度XGA(1024×768)である場合にはデータ量643(Kbyte)、解像度SVGA(800×600)である場合にはデータ量434(Kbyte)といったように、画像情報の解像度が小さくなるほど(画像が粗くなるほど)そのデータ量は小さくなる。また、図10は、送信対象である画像情報の解像度を下げた場合にデータ量が低減される様子を説明する図である。この図10に示すように、規格によらずに画像情報の解像度を少し下げた場合であってもその解像度の低下に応じて斯かる画像情報のデータ量は小さくなる。上述のように、前記データ処理制御手段54は、好適には、前記通信制御手段50による送信に係る画像情報のデータ量を低減するための処理として、その画像情報の解像度を下げる処理を実行する。斯かる処理により、その解像度の低下に応じて送信に係る画像情報のデータ量を低減することができる。
【0045】
また、送信対象である画像情報の圧縮率乃至階調に応じてもそのデータ量は変化する。すなわち、画像情報の圧縮率を上げるほどそのデータ量は小さくなる。また、画像情報の階調を下げるほどそのデータ量は小さくなる。前述のように、前記データ処理制御手段54は、好適には、前記通信制御手段50による送信に係る画像情報のデータ量を低減するための処理として、その画像情報の圧縮率を上げる処理乃至階調を下げる処理を実行する。斯かる処理により、その圧縮率の上昇乃至階調の低下に応じて送信に係る画像情報のデータ量を低減することができる。なお、斯かるデータ処理制御手段54による画像情報の処理は、前記変調/符号化部32により変調乃至符号化された画像情報を処理するものであってもよいし、その変調/符号化部32による変調乃至符号化の段階で斯かる処理を行うものであってもよい。すなわち、送信に係る画像情報の圧縮率等を前記変調/符号化部32を介して変化させるものであってもよい。
【0046】
また、前記データ処理制御手段54は、好適には、前記通信時間算出手段52により算出された通信時間と前記課金規則データベース40に複数段階に定められた料金区間とを比較し、前記送信に係るデータ量を低減するための処理によってその送信に係る通信時間が一段階下の料金区間内に収まると判断される場合には、その料金区間内に収まるように前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行する。
【0047】
図4乃至図5を用いて前述したように、前記情報通信システム10における課金規則では、複数に区分された通信相手との間の通信距離及び通信時間帯を基準として単位時間当たりの課金情報(課金単位)が定められており、例えば図5に示す通信対象が県外である場合の課金規則において、その通信相手との距離(通信距離)が100km以上である場合の昼間時間帯における料金は、単位時間3分毎に80円と定められている。斯かる課金規則においては、実際の通信時間が3分未満である場合には80円、3分以上6(=3×2)分未満である場合には160(=80×2)円、6分以上9(=3×3)分未満である場合には240(80×3)円、・・・というように、単位時間を基準として段階的(累積的)に料金区間が上昇する課金が行われるようになっている。換言すれば、実際の通信時間が上記単位時間の整数倍を超える毎に一段階上の料金区間に移行する課金が行われるようになっている。前記データ処理制御手段54は、例えば、前記通信時間算出手段52により算出された通信時間と前記課金規則データベース40に定められた対応する課金情報の単位時間の整数倍(算出された通信時間よりも小さく且つ最も近い値)とを比較し、前記送信に係るデータ量を低減するための処理によってその送信に係る通信時間を斯かる単位時間の整数倍内に収めた場合、その画像情報の品質が所定の基準値以上となる場合には斯かる処理を実行する一方、基準値未満となる場合には処理を実行しない。この画像品質の基準値は、好適にはデータ処理が行われる前の画像情報の解像度に基づいて予め定められ、前記メモリ部22等に記憶されたものである。
【0048】
図11は、昼間に県外の通信距離100km以上の通信先に対して300(Kbyte)の画像情報を送信する場合であって、通信速度14400(bps)、通信確立時間20秒である場合に要する通信時間について説明する図である。この図11に示すように、斯かる場合における通信時間は、通信確立時間20秒及び実際の画像情報の送信に要する時間170秒の和である190秒となる。ここで、昼間に県外の通信距離100km以上の通信先に190秒の通信を行った場合の通信料金を考えると、図5に示すように単位時間3分(=180秒)の2倍である6分に対応する160(=80×2)円が通信料金となる。一方、上記単位時間3分の1倍は3分であり、上記の通信では実際の通信時間が3分を10秒上回っているために一段階上の料金区間に移行してしまっている。
【0049】
図12は、昼間に県外の通信距離60km以上の通信先に対して270(Kbyte)の画像情報を送信する場合であって、通信速度14400(bps)、通信確立時間20秒である場合に要する通信時間について説明する図である。この図12に示すように、送信に係る画像情報のデータ量を270(Kbyte)に低減させた場合、その通信時間は、通信確立時間20秒及び実際の画像情報の送信に要する時間154秒の和である174秒となる。すなわち、図11に示す300(Kbyte)の画像情報を送信する場合と比較してデータを30(Kbyte)圧縮した分、通信時間が全体で16秒短縮されている。この場合における通信料金を考えると、単位時間3分の1倍である180秒(=3分)以内に収まるためその通信料金は80(80×1)円となる。前記データ処理制御手段54は、このように前記送信に係るデータ量を低減するための処理によってその送信に係る通信時間が、単位時間の整数倍のうち前記通信時間算出手段52により算出された通信時間よりも小さく且つ最も近い値以下とすることができる場合には斯かる処理を実行する。例えば、前記通信時間算出手段52により算出された通信時間Tと、単位時間の整数倍のうちその通信時間Tよりも小さく且つ最も近い値T3とを比較し、その差T−T3が予め定められた所定値Tover以下である場合には上記処理を実行する一方、その所定値Tover未満である場合には斯かる処理を実行しない。これは、送信対象である画像情報の解像度、圧縮率、乃至階調等を過度に変化させることによりその画像情報の品質(画質)が限度以上に劣化するのを防ぐためである。なお、前記データ処理制御手段54は、好適には、前記通信時間算出手段52により算出された通信時間が前記課金規則データベース40に定められた最低段階の料金区間内すなわち単位時間の1倍に対応する区間に収まる場合には、通信時間を短縮する必要がないため、その通信に係るデータ量を低減するための処理を行わない。
【0050】
また、前記データ処理制御手段54は、好適には、通信対象である前記他の通信機器との間のネゴシエーションの結果決定された通信速度が前記通信情報データベース42に記憶された通信速度と異なる場合には、斯かるネゴシエーションの結果決定された通信速度に基づいて前記通信時間算出手段52により前記送信に係る通信時間を再度算出し、その算出結果に基づいてその送信に係るデータ量を低減するための処理を実行する。例えば、通信対象である前記他の通信機器との間のネゴシエーションの結果決定された通信速度が前記通信情報データベース42に記憶された通信速度よりも所定時間以上遅い場合には、斯かるネゴシエーションの結果決定された通信速度に基づいて前記通信時間算出手段52により前記送信に係る通信時間を再度算出し、その算出結果に基づいてその送信に係るデータ量を低減するための処理を実行する。
【0051】
また、前記データ処理制御手段54は、好適には、複数の画像情報の送信に際してその送信に係るデータ量を低減するための処理として、それら複数の画像情報のうち画像品質の高いものから優先的にそのデータ量を低減するための処理を実行する。前記スキャン部30により連続的に複数の画像が取り込まれる場合等においては、1回の通信で複数の画像情報が通信先である前記他の通信機器に対して送信される場合が考えられる。このような場合、前記データ処理制御手段54は、その1回の通信で送信される複数の画像情報それぞれの画像品質(画質)例えば解像度を比較し、その画像品質の高いものから優先的に前記一連のデータ量を低減するための処理を実行する。これは、画像品質が高い画像情報ほどデータ量の低減がし易いことに加え、可及的に少ない画像情報に絞って処理を行うことで、その処理に要する時間を短縮することができるためである。
【0052】
図13及び図14は、前記ファクシミリ装置16の制御部20による他の通信機器に対するデータ送信制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0053】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記操作部24を介しての利用者の操作により送信情報が設定される。すなわち、データ送信先の電話番号(NUM)が入力されると共に、送信対象である画像情報(PIX)が設定される。ここで、送信対象となる画像は複数枚設定が可能であり、送信先電話番号は番号の直接入力乃至前記電話番号データベースからの指定何れも可能である。次に、S2において、前記通信情報データベース42に記憶された過去の通信情報が参照され、S1にて設定された送信先電話番号NUMに対応する通信確立時間T1が取得される。次に、S3において、S1にて設定された送信データの容量(データ量)Mpixからその送信に要する時間すなわちデータ送信時間T2が算出される。ここで、送信先の電話番号NUMが前記通信情報データベース42に登録されている場合には通信確立時間及び通信速度等をその通信情報データベース42から読み出す一方、登録されていない場合には自端末が可能な最高通信速度でデータ送信時間T2の算出を行う。なお、電話番号が登録されていない場合の通信確立時間の設定に関しては、前記通信情報データベース42に登録されている全電話番号の通信確立時間の平均値等が設定される。
【0054】
次に、S4において、S3にて算出されたデータ送信時間T2と通信確立時間の和である通信予定時間Tが前記課金規則データベース40に定められた最小課金単位以下すなわち最低段階の料金区間内に収まるものであるか否かが判断される。このS4の判断が肯定される場合には、S8以下の処理が実行されるが、S4の判断が否定される場合には、S5において、S1にて設定された送信先電話番号NUMに対応して前記課金規則データベース40に定められた通信予定時間Tの一段階下の料金区間に相当する課金単位時間T3が取得される。例えば、3分毎に課金される状態課金体系の場合、通信時間Tを3分15秒だとするとT3=3分である。次に、S6において、予め定められた関係から、送信に係る画像情報の画質が所定限度より悪くならない範囲内において低減させることのできるデータ量の最大値(データ量差分の最大値)Mmaxが算出され、その最大値Mmaxをデータ送信時間に換算した値Toverが取得(導出)される。次に、S7において、通信予定時間TとS5にて算出された一段階下の課金単位時間T3との差(=T−T3)が、S6にて取得された値Tover以下であるか否かが判断される。このS7の判断が否定される場合には、S8以下の処理が実行されるが、S7の判断が肯定される場合には、SSにおいて、図15に示すデータ量低減制御が実行された後、S8において、S1にて設定された通信先電話番号NUMに対応する通信機器との間の通信が開始される。このS8の処理をもって課金時間が開始される。次に、S9において、通信対象である通信機器との間でネゴシエーションが実行される。なお、SSにおけるデータ処理に要する時間は1秒程度であり、通信予定時間Tに対して無視できる程度に小さければ無視してもよいし、その時間を考慮してデータ処理を行った上で以下の処理を実行してもよい。
【0055】
次に、図14に示すS10において、通信対象である通信機器との間のネゴシエーションの結果決定した通信速度が、前記通信情報データベース42に記憶された通信先電話番号NUMに対応する通信速度よりも遅いか否かが判断される。このS10の判断が否定される場合には、S14以下の処理が実行されるが、S10の判断が肯定される場合には、S11において、通信対象である通信機器との間のネゴシエーションの結果決定した通信速度に基づいてその通信機器に対するデータの送信に要する時間すなわちデータ送信時間T2(通信予定時間T)の再計算が行われる。ここで、図13乃至図14に示す制御においては、S11の段階においてネゴシエーションまでの処理が終了しているため、そのS11において再計算されるT2には通信確立時間は含まれず、対象となる画像情報の送信時間のみとなる。次に、S12において、S11にて再計算されたデータ送信時間T2に基づいてS1にて設定された送信先電話番号NUMに対応して前記課金規則データベース40に定められた一段階下の料金区間に相当する課金単位時間T3が取得される。次に、S13において、S11にて算出された通信予定時間TとS12にて算出された一段階下の課金単位時間T3との差(=T−T3)が、S6にて取得された値Tover以下であるか否かが判断される。このS13の判断が否定される場合には、S14以下の処理が実行されるが、S13の判断が肯定される場合には、SSにおいて、図15に示すデータ量低減制御が実行される。次に、S14において、S1にて設定された通信先電話番号NUMに対応する通信機器に対して送信対象である画像情報の実際の送信が行われる。次に、S15において、前記通信情報データベース42の記憶内容(通信確立時間及び通信速度等)が更新された後、本ルーチンが終了させられる。
【0056】
図15は、図13及び図14の制御におけるSSの処理に相当するデータ量低減制御(データ量低減サブルーチン)の要部を説明するフローチャートである。この制御では、先ず、SS1において、S3乃至S11にて算出された通信予定時間T(=T1+T2)とS5乃至S12にて算出された一段階下の課金単位時間T3との差(=T2−T3)がデータ量に換算され、減らすべきデータ量Mdownが算出される。次に、SS2において、SS1にて算出されたデータ量Mdownが実際のデータ処理によって低減されたか否かが判断される。このSS2の判断が肯定される場合には、それをもって図13乃至図14の処理に復帰させられるが、SS2の判断が否定される場合には、SS3において、送信に係る複数の画像情報PIXの中から最も解像度の高い画像PIXresolutionが選択される。次に、SS4において、SS3にて選択された画像PIXresolutionが許容可能範囲内で最低の解像度であるか否かが判断される。このSS4の判断が否定される場合には、SS5において、SS3にて選択された画像PIXresolutionの解像度を一定量下げるデータ処理が実行された後、SS2以下の処理が再び実行されるが、SS4の判断が肯定される場合には、SS6において、SS1にて算出されたデータ量Mdownが実際のデータ処理によって低減されたか否かが判断される。このSS6の判断が肯定される場合には、それをもって図13乃至図14の処理に復帰させられるが、SS6の判断が否定される場合には、SS7において、送信に係る複数の画像情報PIXの中から最も画質の高い画像PIXqualityが選択される。次に、SS8において、SS7にて選択された画像PIXqualityが許容可能範囲内で最低の画質であるか否かが判断される。このSS8の判断が否定される場合には、SS9において、SS7にて選択された画像PIXqualityの圧縮率を一定量上げるデータ処理が実行された後、SS6以下の処理が再び実行されるが、SS8の判断が肯定される場合には、それをもって図13乃至図14の処理に復帰させられる。
【0057】
以上、図13乃至図15を用いて説明した制御において、S8、S9、及びS14が前記通信制御手段50の処理に、S3及びS11が前記通信時間算出手段52の処理に、SSが前記データ処理制御手段54の処理にそれぞれ対応する。
【0058】
このように、本実施例によれば、予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出手段52(S3及びS11)と、その通信時間算出手段52により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理制御手段54(SS)とを、備えたものであることから、実際の通信時間が規定の課金時間を多少超過することが予想される場合における料金の発生を抑制することができる。すなわち、徒に通話料金が高くなることを抑制するファクシミリ装置16を提供することができる。
【0059】
また、前記データ処理制御手段54は、前記通信時間算出手段52により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、前記送信に係るデータ量を低減するための処理によってその送信に係る通信時間が一段階下の料金区間内に収まると判断される場合には、その料金区間内に収まるように前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するものであるため、実際の通信時間が規定の課金時間を多少超過することが予想される場合において、一段階低い課金時間内に通信時間を収めることで、料金を低く抑えることができる。
【0060】
また、前記通信時間算出手段52により算出される通信時間は、前記他の通信機器における着信が開始されてからその通信機器との間で相互に通信方法に係る情報を交換するネゴシエーションを経て実際にデータの送信が開始されるまでの通信確立時間を含むものであるため、実用的な態様でデータの送信に係る通信時間を算出することができる。
【0061】
また、前記データ処理制御手段54は、前記通信時間算出手段52により算出された通信時間が前記課金規則に定められた最低段階の料金区間内に収まる場合には、その通信に係るデータ量を低減するための処理を行わないものであるため、料金が最小課金単位に収まるデータ通信において、無駄なデータの処理が実行されるのを抑制することができる。
【0062】
また、前記他の通信機器に対応する各識別情報毎に過去に実際に行われた通信に係る前記通信確立時間を記憶する通信情報データベース42を備え、前記通信時間算出手段52は、その通信情報データベース42に記憶された各識別情報毎の通信確立時間に基づいてその識別情報に対応する前記他の通信機器に対するデータの送信に要する通信時間を算出するものであり、前記通信情報データベース42に記憶される通信確立時間は、前記ファクシミリ装置16によりデータの送信が行われる毎に更新されるものであるため、過去に実際に行われた通信に係る通信確立時間に基づいて、実用的な態様でデータの送信に係る通信時間を算出することができる。
【0063】
また、前記通信情報データベース42は、前記他の通信機器に対応する各識別情報毎に過去に実際に行われた通信に係る通信速度を記憶するものであり、前記通信時間算出手段52は、その通信情報データベース42に記憶された各識別情報毎の通信速度に基づいてその識別情報に対応する前記他の通信機器に対するデータの送信に要する通信時間を算出するものであり、前記通信情報データベース42に記憶される通信速度は、前記ファクシミリ装置16によりデータの送信が行われる毎に更新されるものであるため、過去に実際に行われた通信に係る通信速度に基づいて、実用的な態様でデータの送信に係る通信時間を算出することができる。
【0064】
また、前記データ処理制御手段54は、前記他の通信機器との間のネゴシエーションの結果決定された通信速度が前記通信情報データベース42に記憶された通信速度と異なる場合には、前記ネゴシエーションの結果決定された通信速度に基づいて前記通信時間算出手段52により前記送信に係る通信時間を再度算出し、その算出結果に基づいてその送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するものであるため、実際にネゴシエーションにかかった時間を基に実用的な態様で送信に係るデータの処理を実行することができる。
【0065】
また、前記データ処理制御手段54は、画像情報の送信に際してその送信に係るデータ量を低減するための処理として、その画像情報の解像度を下げる処理、その画像情報の圧縮率を上げる処理、及びその画像情報の階調を下げる処理のうち少なくとも1つを実行するものであるため、画像情報の送信に際して、実用的な態様でそのデータ量を低減するための処理を実行することができる。
【0066】
また、前記データ処理制御手段54は、複数の画像情報の送信に際してその送信に係るデータ量を低減するための処理として、それら複数の画像情報のうち画像品質の高いものから優先的にそのデータ量を低減するための処理を実行するものであるため、画像情報の送信に際して、効率的且つ実用的な態様でそのデータ量を低減するための処理を実行することができる。
【0067】
また、本実施例によれば、前記ファクシミリ装置16に備えられた制御部20を、予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出手段52、及びその通信時間算出手段52により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理制御手段54として機能させる情報通信プログラムであることから、実際の通信時間が規定の課金時間を多少超過することが予想される場合における料金の発生を抑制することができる。すなわち、徒に通話料金が高くなることを抑制する情報通信プログラムを提供することができる。
【0068】
また、本実施例によれば、予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいてその送信に要する通信時間を算出する通信時間算出過程(S3及びS11)と、その通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、その比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理過程(SS)とを、含むことから、実際の通信時間が規定の課金時間を多少超過することが予想される場合における料金の発生を抑制することができる。すなわち、徒に通話料金が高くなることを抑制する情報通信方法を提供することができる。
【0069】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0070】
例えば、前述の実施例では、情報通信装置としてのファクシミリ装置16に本発明が適用された例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の態様の情報通信装置にも広く適用され得るものである。例えば、送受信された画像情報をプリントアウトせず、所定のディスプレイ装置に表示させる形式の画像情報通信装置に本発明が適用されてもよい。また、画像情報に加えて或いはその代替として音声情報を送受信する形式の情報通信装置に本発明が適用されるものであっても構わない。この場合、その情報通信装置に備えられたデータ処理制御手段は、送信に係るデータ量を低減するためにその音声情報の音質を下げる等の処理を行う。
【0071】
また、前述の実施例において、前記通信時間算出手段52及びデータ処理制御手段54は、何れも前記ファクシミリ装置16の制御部20に機能的に備えられたものであったが、その一方乃至両方が前記制御部20とは別体の制御装置として個別に備えられたものであってもよい。また、前記変調/符号化部32及び復調/復号部34等の制御装置が前記制御部20に機能的に備えられた形態も考えられ、それらの構成は本発明が適用される情報通信装置の態様に応じて適宜変更され得る。
【0072】
また、前述の実施例では、図4乃至図5に示すように、通信時間の経過に従って単位時間当たりの料金が累積(整数倍)されてゆく課金規則が定められた情報通信システム10におけるファクシミリ装置16に本発明が適用された例について説明したが、例えば、通信時間3分未満は20円、3分以上10分未満は50円、10分以上は100円に固定というように、単位時間によらず通信時間の経過に従って複数段階に料金が増加するように料金区間が定められた課金規則を備えた情報通信システムに備えられた情報通信装置にも、本発明は好適に適用されるものである。また、斯かる課金規則を備えた情報通信システムに備えられた情報通信装置に本発明が適用される場合、その情報通信装置に備えられたデータ処理制御手段は、前記通信時間算出手段により算出された通信時間が前記課金規則に定められた固定段階の料金区間(上記例では100円に固定される10分以上の区間)より下の段階の料金区間に収められないと判断する場合には、その通信に係るデータ量を低減するための処理を行わない。
【0073】
また、前述の実施例において、前記データ処理制御手段54は、前記他の通信機器との間の通信に先立ちその通信に係る通信時間を算出すると共に、ネゴシエーションの結果決定された通信速度に基づいてその通信時間を再計算してデータ量の低減処理を行うものであったが、斯かる通信時間の算出乃至データ量の低減処理の具体的態様は、データ送信の形態に応じて適宜決定されるものである。例えば、1回の通信において所定の電話番号に係る通信機器に複数の画像情報を送信する場合においては、各画像情報を送信する毎にその通信時間を算出し、それぞれの画像情報に関して送信に要する時間と画質とが最適なものとなるようにその都度データ処理を行うものであってもよい。
【0074】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0075】
12:公衆電話回線(有料通信回線)
16:ファクシミリ装置(情報通信装置)
20:制御部(制御装置)
42:通信情報データベース
52:通信時間算出手段
54:データ処理制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料通信回線を介して他の通信機器へのデータの送信を行い得るように構成されると共に、通信時間の経過に従って複数段階に料金が増加するように料金区間が定められた課金規則から前記データの送信に係る実際の通信時間に基づいて該通信に対応する課金が行われる情報通信装置であって、
予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいて該送信に要する通信時間を算出する通信時間算出手段と、
該通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、該比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理制御手段と
を、備えたものであることを特徴とする情報通信装置。
【請求項2】
前記通信時間算出手段により算出される通信時間は、前記他の通信機器における着信が開始されてから該通信機器との間で相互に通信方法に係る情報を交換するネゴシエーションを経て実際にデータの送信が開始されるまでの通信確立時間を含むものである請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項3】
前記他の通信機器に対応する各識別情報毎に過去に実際に行われた通信に係る前記通信確立時間を記憶するデータベースを備え、前記通信時間算出手段は、該データベースに記憶された各識別情報毎の通信確立時間に基づいて該識別情報に対応する前記他の通信機器に対するデータの送信に要する通信時間を算出するものであり、前記データベースに記憶される通信確立時間は、前記情報通信装置によりデータの送信が行われる毎に更新されるものである請求項2に記載の情報通信装置。
【請求項4】
前記他の通信機器に対応する各識別情報毎に過去に実際に行われた通信に係る通信速度を記憶するデータベースを備え、前記通信時間算出手段は、該データベースに記憶された各識別情報毎の通信速度に基づいて該識別情報に対応する前記他の通信機器に対するデータの送信に要する通信時間を算出するものであり、前記データベースに記憶される通信速度は、前記情報通信装置によりデータの送信が行われる毎に更新されるものである請求項2又は3に記載の情報通信装置。
【請求項5】
前記データ処理制御手段は、前記他の通信機器との間のネゴシエーションの結果決定された通信速度が前記データベースに記憶された通信速度と異なる場合には、前記ネゴシエーションの結果決定された通信速度に基づいて前記通信時間算出手段により前記送信に係る通信時間を再度算出し、該算出結果に基づいて該送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するものである請求項4に記載の情報通信装置。
【請求項6】
前記データ処理制御手段は、画像情報の送信に際して該送信に係るデータ量を低減するための処理として、該画像情報の解像度を下げる処理、該画像情報の圧縮率を上げる処理、及び該画像情報の階調を下げる処理のうち少なくとも1つを実行するものである請求項1から5の何れか1項に記載の情報通信装置。
【請求項7】
前記データ処理制御手段は、複数の画像情報の送信に際して該送信に係るデータ量を低減するための処理として、それら複数の画像情報のうち画像品質の高いものから優先的にそのデータ量を低減するための処理を実行するものである請求項6に記載の情報通信装置。
【請求項8】
前記データ処理制御手段は、前記通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、前記送信に係るデータ量を低減するための処理によって該送信に係る通信時間が一段階下の料金区間内に収まると判断される場合には、該料金区間内に収まるように前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するものである請求項1から7の何れか1項に記載の情報通信装置。
【請求項9】
前記データ処理制御手段は、前記通信時間算出手段により算出された通信時間が前記課金規則に定められた最低段階の料金区間内に収まる場合には、該通信に係るデータ量を低減するための処理を行わないものである請求項1から8の何れか1項に記載の情報通信装置。
【請求項10】
有料通信回線を介して他の通信機器へのデータの送信を行い得るように構成されると共に、通信時間の経過に従って複数段階に料金が増加するように料金区間が定められた課金規則から前記データの送信に係る実際の通信時間に基づいて該通信に対応する課金が行われる情報通信装置に備えられた制御装置を、
予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいて該送信に要する通信時間を算出する通信時間算出手段、
及び該通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、該比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理制御手段
として機能させることを特徴とする情報通信プログラム。
【請求項11】
有料通信回線を介して他の通信機器へのデータの送信を行い得るように構成されると共に、通信時間の経過に従って複数段階に料金が増加するように料金区間が定められた課金規則から前記データの送信に係る実際の通信時間に基づいて該通信に対応する課金が行われる情報通信装置に係る情報通信方法であって、
予め定められた関係から前記送信に係るデータ量に基づいて該送信に要する通信時間を算出する通信時間算出過程と、
該通信時間算出手段により算出された通信時間と前記課金規則に複数段階に定められた料金区間とを比較し、該比較結果に基づいて前記送信に係るデータ量を低減するための処理を実行するデータ処理過程と
を、含むことを特徴とする情報通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−71915(P2011−71915A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223339(P2009−223339)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】